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特許7352810含フッ素重合体、塗料組成物、塗装物品の製造方法および塗装物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-21
(45)【発行日】2023-09-29
(54)【発明の名称】含フッ素重合体、塗料組成物、塗装物品の製造方法および塗装物品
(51)【国際特許分類】
   C09D 175/04 20060101AFI20230922BHJP
   C08F 220/06 20060101ALI20230922BHJP
   C08F 220/12 20060101ALI20230922BHJP
   C08F 220/24 20060101ALI20230922BHJP
   C08F 220/26 20060101ALI20230922BHJP
   C09D 133/14 20060101ALN20230922BHJP
【FI】
C09D175/04
C08F220/06
C08F220/12
C08F220/24
C08F220/26
C09D133/14
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020569484
(86)(22)【出願日】2020-01-10
(86)【国際出願番号】 JP2020000741
(87)【国際公開番号】W WO2020158354
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-06-17
(31)【優先権主張番号】201910090833.4
(32)【優先日】2019-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129791
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 真由美
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(74)【代理人】
【識別番号】100224605
【弁理士】
【氏名又は名称】畠中 省伍
(72)【発明者】
【氏名】南 晋一
(72)【発明者】
【氏名】榎本 孝司
(72)【発明者】
【氏名】山本 育男
(72)【発明者】
【氏名】曾 ▲しん▼
【審査官】谷合 正光
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-254715(JP,A)
【文献】特開2015-028150(JP,A)
【文献】国際公開第2017/183409(WO,A1)
【文献】特開2015-196314(JP,A)
【文献】特開2008-233346(JP,A)
【文献】特開2004-115718(JP,A)
【文献】特開2008-209799(JP,A)
【文献】特開2015-155524(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 175/04
C08F 220/06
C08F 220/12
C08F 220/24
C08F 220/26
C09D 133/14
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)含フッ素重合体
2)水性媒体、および
(4)硬化剤
を含んでなる、最表層形成用の塗料組成物であって、
含フッ素重合体(1)が
(a)含フッ素単量体、
(b)非フッ素非架橋性単量体、および
(c)非フッ素架橋性単量体
から誘導された繰り返し単位を有し、
含フッ素単量体(a)は、一般式:
CH2=C(-X)-C(=O)-Y-Z-Rf (a-I)
[式中、Xは、水素原子、一価の有機基またはハロゲン原子であり、
Yは、-O-または-NH-であり、
Zは、直接結合または二価の有機基であり、
Rfは、炭素数1~20のフルオロアルキル基である。]
で示される化合物であり、
非フッ素非架橋性単量体(b)は
(b1)脂肪族基である環状炭化水素基を有する環状炭化水素基含有単量体、および
(b2)ホモポリマーのガラス転移点(Tg)が0℃未満である低Tg単量体
を含み、
非フッ素架橋性単量体(c)は、式:
CH=CX-C(=O)-Y-Z-W (c-I)
[式中、Xは、水素原子、メチル基、または、ハロゲン原子であり、
は、直接結合、-O-または-NH-であり、
は、直接結合または二価の有機基であり、
は、水酸基、エポキシ基、クロロメチル基、ブロックイソシアネート基、アミノ基、カルボキシル基、ヒドラジド基またはメラミン基である。]
で示される化合物であり、
含フッ素重合体において、単量体(b1)と単量体(b2)の重量比は、100:5~100:100であ
硬化剤(4)はポリイソシアネート化合物であり、含フッ素重合体中の水酸基と、ポリイソシアネート化合物中のイソシアネート基の当量比(NCO/OH)は、0.5~2.5である、塗料組成物。
【請求項2】
含フッ素単量体(a)は、式(a-I)において、Xが水素であり、Rfの炭素数が1~6である請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項3】
環状炭化水素基含有単量体(b1)において、環状炭化水素基の炭素数が4~30である、請求項1または2に記載の塗料組成物。
【請求項4】
単量体(b1)において、環状炭化水素基が、シクロヘキシル基、t-ブチルシクロヘキシル基、アダマンチル基、2-メチル-2-アダマンチル基、2-エチル-2-アダマンチル基、ボルニル基、イソボルニル基、ノルボルニル基、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基およびこれらの基から1以上の水素原子を除いた残基からなる群から選択された少なくとも1種である請求項1または2に記載の塗料組成物。
【請求項5】
単量体(b2)は、ホモポリマーのガラス転移点が0℃未満であって、かつ、
式:
CH=CX-C(=O)-Y-Z (b2-I)
[式中、Xは、水素原子、一価の有機基またはハロゲン原子であり、
は、-O-または-NH-であり、
は、炭素数1~30の直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基である。]
で示される化合物である請求項1~4のいずれか1項に記載の塗料組成物。
【請求項6】
非フッ素架橋性単量体(c)が、
式(c-I)においてZが炭素数1~20の直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基で
ありWが水酸基である化合物と、
式(c-I)においてカルボキシル基を有する化合物
との両方を含む請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項7】
含フッ素重合体において、含フッ素単量体(a)の量が重合体に対して30重量%以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載の塗料組成物。
【請求項8】
含フッ素重合体において、非フッ素非架橋性単量体(b)の量が重合体に対して10~75重量%であり、非フッ素架橋性単量体(c)の量が重合体に対して10~75重量%である、請求項1~7のいずれか1項に記載の塗料組成物。
【請求項9】
含フッ素重合体において、非フッ素架橋性単量体(c)の量が重合体に対して25重量%以上であり、
含フッ素重合体(固形分)の量は、塗料組成物に対して、0.1~40重量%である、請求項1~8のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の塗料組成物を物品に塗布する工程を含む、塗装物品の製造方法。
【請求項11】
請求項1~9のいずれか一項の塗料組成物から形成される30μm以下の厚さの塗膜を有する塗装物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、含フッ素重合体、塗料組成物、ならびに当該塗料組成物を用いた塗装物品の製造方法および塗装物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属、無機、プラスチック、木材、紙、皮革、繊維等の製品は、その表面の保護、意匠性及び機能性の付与などの目的で表面被覆が行われており、種々の塗料が開発されている。
特許第4213257号は、フルオロオレフィン15~85モル%、パーフルオロアルキルアクリレート系単量体0.1~20モル%、およびヘミアセタールエステル2~50モル%などによって構成される含フッ素共重合体を使用した防汚性の塗料およびワニスを開示している。
国際公開第2017/183409号は、α位が水素原子である含フッ素単量体およびブチルアクリレート非フッ素単量体から誘導された繰り返し単位を有する含フッ素アクリル重合体を含む、水性塗料組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4213257号
【文献】国際公開第2017/183409号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の1つの目的は防汚性に優れる塗膜を形成することができる塗料組成物に使用するための重合体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の実施形態の例は次のとおりである。
[項1]
(a)含フッ素単量体、
(b)非フッ素非架橋性単量体、および
(c)非フッ素架橋性単量体
から誘導された繰り返し単位を有し、
含フッ素単量体(a)は、一般式:
CH2=C(-X)-C(=O)-Y-Z-Rf (a-I)
[式中、Xは、水素原子、一価の有機基またはハロゲン原子であり、
Yは、-O-または-NH-であり、
Zは、直接結合または二価の有機基であり、
Rfは、炭素数1~20のフルオロアルキル基である。]
で示される化合物であり、
非フッ素非架橋性単量体(b)は
(b1)環状炭化水素基含有単量体、および
(b2)ホモポリマーのガラス転移点(Tg)が0℃未満である低Tg単量体
を含む、含フッ素重合体。
[項2]
含フッ素単量体(a)は、式(a-I)において、Xが水素原子であり、Rfの炭素数が1~6である項1に記載の含フッ素重合体。
[項3]
環状炭化水素基含有単量体(b1)において、環状炭化水素基の炭素数が4~30である、項1または2に記載の含フッ素重合体。
[項4]
単量体(b1)において、環状炭化水素基が、シクロヘキシル基、t-ブチルシクロヘキシル基、アダマンチル基、2-メチル-2-アダマンチル基、2-エチル-2-アダマンチル基、ボルニル基、イソボルニル基、ノルボルニル基、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基、ベンジル基、フェニル基、ナフチル基、2-t-ブチルフェニル基およびこれらの基から1以上の水素原子を除いた残基からなる群から選択された少なくとも1種である項1または2に記載の含フッ素重合体。
[項5]
単量体(b2)は、ホモポリマーのガラス転移点が0℃未満であって、かつ、
式:
CH=CX-C(=O)-Y-Z (b2-I)
[式中、Xは、水素原子、一価の有機基またはハロゲン原子であり、
は、-O-または-NH-であり、
は、炭素数1~30の直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基である。]
で示される化合物である項1~4のいずれか1項に記載の含フッ素重合体。
[項6]
非フッ素架橋性単量体(c)は、式:
CH=CX-C(=O)-Y-Z-W (c-I)
[式中、Xは、水素原子、メチル基、または、ハロゲン原子であり、
は、直接結合、-O-または-NH-であり、
は、直接結合または二価の有機基であり、
は、水酸基、エポキシ基、クロロメチル基、ブロックイソシアネート基、アミノ基、カルボキシル基、ヒドラジド基またはメラミン基である。]
で示される化合物である項1~5のいずれか1項に記載の含フッ素重合体。
[項7]
非フッ素架橋性単量体(c)が、式(c-I)において、
が炭素数1~20の直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基でありWが水酸基である化合物と
およびZが直接結合でありWが水酸基である化合物、またはWがカルボキシル基である化合物
との両方を含む項6に記載の含フッ素重合体。
[項8]
含フッ素重合体において、含フッ素単量体(a)の量が重合体に対して30重量%以下である、項1~7のいずれか1項に記載の含フッ素重合体。
[項9]
含フッ素重合体において、非フッ素非架橋性単量体(b)の量が重合体に対して10~75重量%であり、非フッ素架橋性単量体(c)の量が重合体に対して10~75重量%である、項1~8のいずれか1項に記載の含フッ素重合体。
[項10]
含フッ素重合体において、単量体(b2)の量が単量体(b1)100重量部に対して3~50重量部である、項2~9のいずれか1項に記載の含フッ素重合体。
[項11]
(1)項1~10のいずれか1項に記載の含フッ素重合体、および
(2)液状媒体
を含んでなる塗料組成物。
[項12]
(4)硬化剤
の少なくとも1つを含んでなり、
界面活性剤(3)の量は、単量体100重量部に対して、0.5~20重量部であり、
硬化剤(4)はポリイソシアネート化合物であり、含フッ素重合体中の水酸基と、ポリイソシアネート化合物中のイソシアネート基の当量比(NCO/OH)は、0.5~2.5である項11に記載の塗料組成物。
[項13]
項11または12に記載の塗料組成物を物品に塗布する工程を含む、塗装物品の製造方法。
[項14]
項11または12の塗料組成物から形成される30μm以下の厚さの塗膜を有する塗装物品。
【発明の効果】
【0006】
本開示の含フッ素重合体を含む塗料組成物は、基材に被覆することにより、優れた撥水撥油性、防汚性および汚れ脱離性、特に、油性汚れ(例えば、オレイン酸、乳酸)に対する優れた防汚性および汚れ脱離性を付与できる。含フッ素重合体が含フッ素単量体から誘導された繰り返し単位を少量しか含まず、かつ、塗膜が薄膜の場合であっても、優れた効果を発現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(1)含フッ素重合体
本開示における含フッ素重合体は、(a)含フッ素単量体、(b)非フッ素非架橋性単量体、および(c)非フッ素架橋性単量体から誘導された繰り返し単位を有する。含フッ素重合体は好ましくはアクリル重合体である。含フッ素重合体は、塗料組成物のワニスまたはビヒクルを形成する。
【0008】
(a)含フッ素単量体
含フッ素単量体は、ルオロアルキル基およびアクリル酸基もしくはメタクリル酸基もしくはα-置換アクリル酸基を有する重合性化合物である。「α-置換アクリル酸基」とは、アクリル酸基のα位の水素原子が、一価の有機基またはハロゲン原子などの基で置換された基を意味する。フルオロアルキル基はパーフルオロアルキル基であることが好ましく、炭素数1~20である。フルオロアルケニル基はパーフルオロアルケニル基であることが好ましく、炭素数2~6である。
【0009】
含フッ素単量体(a)は、一般式:
CH2=C(-X)-C(=O)-Y-Z-Rf (a-I)
[式中、Xは、水素原子、一価の有機基またはハロゲン原子であり、
Yは、-O-または-NH-であり、
Zは、直接結合または二価の有機基であり、
Rfは、炭素数1~20のフルオロアルキル基である。]
で示される化合物である。
【0010】
含フッ素単量体(a)の一般式(a-I)において、Xは水素原子、一価の有機基またはハロゲン原子である。Xは、水素原子、炭素数1~21の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX12基(但し、X1およびX2は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。)、シアノ基、炭素数1~21の直鎖状または分岐鎖状のフルオロアルキル基、置換または非置換のベンジル基、置換または非置換のフェニル基であってよい。Xは、水素原子、メチル基、フッ素原子、または塩素原子であることが好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
【0011】
Yは、-O-であることが好ましい。
【0012】
Zは、例えば、直接結合、炭素数1~20の直鎖状または分岐鎖状脂肪族基(特に、アルキレン基)、例えば、式-(CH-(式中、xは1~10である。)で示される基、あるいは、式-R(R)N-SO-または式-R(R)N-CO-で示される基(式中、Rは、炭素数1~10のアルキル基であり、Rは、炭素数1~10の直鎖アルキレン基または分枝状アルキレン基である。)、あるいは、式-CHCH(OR)CH-(Ar-O)p-(式中、Rは、水素原子、または、炭素数1~10のアシル基(例えば、ホルミルまたはアセチルなど)、Arは、置換基を必要により有するアリーレン基、pは0または1を表す。)で示される基、あるいは、式-CH-Ar-(O)-(式中、Arは、置換基を必要により有するアリーレン基、qは0または1である。)で示される基、-(CH2)m-SO2-(CH2)n-基 または-(CH2)m-S-(CH2)n-基(但し、mは1~10、nは0~10、である)であってよい。
Zは、炭素数1~10の脂肪族基、炭素数6~18の芳香族基または環状脂肪族基、
-CH2CH2N(R1)SO2-基(但し、R1は炭素数1~4のアルキル基である。)、
-CH2CH(OZ1)CH2-(Ph-O)p-基(但し、Z1は水素原子またはアセチル基、Phはフェニレン基、pは0または1である。)、-(CH2)n-Ph-O-基(但し、Phはフェニレン基、nは0~10である。)、-(CH2)m-SO2-(CH2)n-基または-(CH2)m-S-(CH2)n-基(但し、mは1~10、nは0~10、である)であることが好ましい。脂肪族基は、アルキレン基(特に炭素数は1~4、例えば1または2である。)であることが好ましい。芳香族基または環状脂肪族基は、置換または非置換であってよい。S基またはSO2基はRf基に直接に結合していてよい。
【0013】
Rf基はパーフルオロアルキル基であることが好ましい。Rf基の炭素数は、1~20、好ましくは1~6、より好ましくは4~6、特に6である。Rf基の炭素数が1~20である含フッ素単量体を使用してもよいが、含フッ素単量体は、Rf基が炭素数4~6、特に6である化合物のみからなることが好ましい。Rf基の例は、-CF3、-CF2CF3、-CF2CF2CF3、-CF(CF3)2、-CF2CF2CF2CF3、-CF2CF(CF3)2、-C(CF)3、-(CF2)4CF3、-(CF2)2CF(CF3)2、-CF2C(CF3)3、-CF(CF3)CF2CF2CF3、-(CF2)5CF3、-(CF2)3CF(CF3)2、-(CF2)4CF(CF3)2、-C817等である。
【0014】
含フッ素単量体(a)は、式(a-I)において、Xが水素であり、Rfの炭素数が1~6(例えば4~6)であることが好ましい。
【0015】
含フッ素単量体(a)の具体例としては、例えば以下のものを例示できるが、これらに限定されるものではない。
CH2=C(-H)-C(=O)-O-(CH2)2-Rf
CH2=C(-H)-C(=O)-O-C6H4-Rf
CH2=C(-Cl)-C(=O)-O-(CH2)2-Rf
CH2=C(-H)-C(=O)-O-(CH2)2N(-CH3)SO2-Rf
CH2=C(-H)-C(=O)-O-(CH2)2N(-C2H5)SO2-Rf
CH2=C(-H)-C(=O)-O-CH2CH(-OH)CH2-Rf
CH2=C(-H)-C(=O)-O-CH2CH(-OCOCH3)CH2-Rf
CH2=C(-H)-C(=O)-O-(CH2)2-S-Rf
CH2=C(-H)-C(=O)-O-(CH2)2-S-(CH2)2-Rf
CH2=C(-H)-C(=O)-O-(CH2)3-SO2-Rf
CH2=C(-H)-C(=O)-O-(CH2)2-SO2-(CH2)2-Rf
CH2=C(-H)-C(=O)-NH-(CH2)2-Rf
CH2=C(-CH3)-C(=O)-O-(CH2)2-Rf
CH2=C(-CH3)-C(=O)-O-C6H4-Rf
CH2=C(-CH3)-C(=O)-O-(CH2)2N(-CH3)SO2-Rf
CH2=C(-CH3)-C(=O)-O-(CH2)2N(-C2H5)SO2-Rf
CH2=C(-CH3)-C(=O)-O-CH2CH(-OH)CH2-Rf
CH2=C(-CH3)-C(=O)-O-CH2CH(-OCOCH3)CH2-Rf
【0016】
CH2=C(-CH3)-C(=O)-O-(CH2)2-S-Rf
CH2=C(-CH3)-C(=O)-O-(CH2)2-S-(CH2)2-Rf
CH2=C(-CH3)-C(=O)-O-(CH2)3-SO2-Rf
CH2=C(-CH3)-C(=O)-O-(CH2)2-SO2-(CH2)2-Rf
CH2=C(-CH3)-C(=O)-NH-(CH2)2-Rf
CH2=C(-F)-C(=O)-O-(CH2)2-S-Rf
CH2=C(-F)-C(=O)-O-(CH2)2-S-(CH2)2-Rf
CH2=C(-F)-C(=O)-O-(CH2)2-SO2-Rf
CH2=C(-F)-C(=O)-O-(CH2)2-SO2-(CH2)2-Rf
CH2=C(-F)-C(=O)-NH-(CH2)2-Rf
CH2=C(-Cl)-C(=O)-O-(CH2)2-S-Rf
CH2=C(-Cl)-C(=O)-O-(CH2)2-S-(CH2)2-Rf
CH2=C(-Cl)-C(=O)-O-(CH2)2-SO2-Rf
CH2=C(-Cl)-C(=O)-O-(CH2)2-SO2-(CH2)2-Rf
CH2=C(-Cl)-C(=O)-NH-(CH2)2-Rf
CH2=C(-CF3)-C(=O)-O-(CH2)2-S-Rf
CH2=C(-CF3)-C(=O)-O-(CH2)2-S-(CH2)2-Rf
CH2=C(-CF3)-C(=O)-O-(CH2)2-SO2-Rf
CH2=C(-CF3)-C(=O)-O-(CH2)2-SO2-(CH2)2-Rf
CH2=C(-CF3)-C(=O)-NH-(CH2)2-Rf
CH2=C(-CF2H)-C(=O)-O-(CH2)2-S-Rf
CH2=C(-CF2H)-C(=O)-O-(CH2)2-S-(CH2)2-Rf
CH2=C(-CF2H)-C(=O)-O-(CH2)2-SO2-Rf
CH2=C(-CF2H)-C(=O)-O-(CH2)2-SO2-(CH2)2-Rf
CH2=C(-CF2H)-C(=O)-NH-(CH2)2-Rf
【0017】
CH2=C(-CN)-C(=O)-O-(CH2)2-S-Rf
CH2=C(-CN)-C(=O)-O-(CH2)2-S-(CH2)2-Rf
CH2=C(-CN)-C(=O)-O-(CH2)2-SO2-Rf
CH2=C(-CN)-C(=O)-O-(CH2)2-SO2-(CH2)2-Rf
CH2=C(-CN)-C(=O)-NH-(CH2)2-Rf
CH2=C(-CF2CF3)-C(=O)-O-(CH2)2-S-Rf
CH2=C(-CF2CF3)-C(=O)-O-(CH2)2-S-(CH2)2-Rf
CH2=C(-CF2CF3)-C(=O)-O-(CH2)2-SO2-Rf
CH2=C(-CF2CF3)-C(=O)-O-(CH2)2-SO2-(CH2)2-Rf
CH2=C(-CF2CF3)-C(=O)-NH-(CH2)2-Rf
CH2=C(-F)-C(=O)-O-(CH2)3-S-Rf
CH2=C(-F)-C(=O)-O-(CH2)3-S-(CH2)2-Rf
CH2=C(-F)-C(=O)-O-(CH2)3-SO2-Rf
CH2=C(-F)-C(=O)-O-(CH2)3-SO2-(CH2)2-Rf
CH2=C(-F)-C(=O)-NH-(CH2)3-Rf
【0018】
CH2=C(-Cl)-C(=O)-O-(CH2)3-S-Rf
CH2=C(-Cl)-C(=O)-O-(CH2)3-S-(CH2)2-Rf
CH2=C(-Cl)-C(=O)-O-(CH2)3-SO2-Rf
CH2=C(-Cl)-C(=O)-O-(CH2)3-SO2-(CH2)2-Rf
CH2=C(-CF3)-C(=O)-O-(CH2)3-S-Rf
CH2=C(-CF3)-C(=O)-O-(CH2)3-S-(CH2)2-Rf
CH2=C(-CF3)-C(=O)-O-(CH2)3-SO2-Rf
CH2=C(-CF3)-C(=O)-O-(CH2)3-SO2-(CH2)2-Rf
CH2=C(-CF2H)-C(=O)-O-(CH2)3-S-Rf
CH2=C(-CF2H)-C(=O)-O-(CH2)3-S-(CH2)2-Rf
CH2=C(-CF2H)-C(=O)-O-(CH2)3-SO2-Rf
CH2=C(-CF2H)-C(=O)-O-(CH2)3-SO2-(CH2)2-Rf
CH2=C(-CN)-C(=O)-O-(CH2)3-S-Rf
CH2=C(-CN)-C(=O)-O-(CH2)3-S-(CH2)2-Rf
CH2=C(-CN)-C(=O)-O-(CH2)3-SO2-Rf
CH2=C(-CN)-C(=O)-O-(CH2)3-SO2-(CH2)2-Rf
CH2=C(-CF2CF3)-C(=O)-O-(CH2)3-S-Rf
CH2=C(-CF2CF3)-C(=O)-O-(CH2)3-S-(CH2)2-Rf
CH2=C(-CF2CF3)-C(=O)-O-(CH2)3-SO2-Rf
CH2=C(-CF2CF3)-C(=O)-O-(CH2)2-SO2-(CH2)2-Rf
[上記式中、Rfは、炭素数1~20、例えば4~6のフルオロアルキル基である。]
【0019】
(b)非フッ素非架橋性単量体
本開示において、含フッ素重合体は非フッ素非架橋性単量体(b)から誘導された繰り返し単位を有する。非フッ素非架橋性単量体(b)はフッ素原子を含有しない単量体である。非フッ素非架橋性単量体(b)は、1つのオレフィン性不飽和炭素-炭素二重結合(重合性基)を有し、架橋性の官能基を有しない。ここでいう架橋性の官能基とは、水酸基、エポキシ基、クロロメチル基、ブロックイソシアネート基、アミノ基、カルボキシル基、ケトン基、ヒドラジド基またはメラミン基を有しないことであってよく、特に水酸基、エポキシ基、クロロメチル基、ブロックイソシアネート基、アミノ基またはカルボキシル基をいう。
【0020】
非フッ素非架橋性単量体(b)は
(b1)環状炭化水素基含有単量体、および
(b2)ホモポリマーのガラス転移点(Tg)が0℃未満である低Tg単量体
を含む。非フッ素非架橋性単量体(b)は単量体(b1)および(b2)からなってよい。非フッ素非架橋性単量体(b)は好ましくは(メタ)アクリレートまたは(メタ)アクリルアミド単量体である。
【0021】
(b1)環状炭化水素基含有単量体
環状炭化水素基含有単量体(b1)は、環状炭化水素基および炭素-炭素二重結合(エチレン性不飽和二重結合)を有する単量体である。環状炭化水素基含有単量体は、環状炭化水素基を有する(メタ)アクリレートであることが好ましく、特にメタクリレートであってよい。環状炭化水素基を有する(メタ)アクリレートは、(好ましくは一価の)環状炭化水素基および一価の(メタ)アクリレート基を有する化合物である。環状炭化水素基と(メタ)アクリレート基は、直接に結合していることが好ましい。環状炭化水素基の環における炭素原子が、(メタ)アクリレート基におけるエステル基に直接に結合することが好ましい。
【0022】
環状炭化水素基は、飽和または不飽和であり、飽和であることが好ましい。環状炭化水素基は、単環基、多環基、橋かけ環基であってよく、橋架け環基が好ましい。環状基は鎖状基(例えば、直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基)を有していてよい。
【0023】
環状炭化水素基の炭素数は4~30であってよく、例えば6~20である。環状炭化水素基の炭素数は、15以下であってよく、例えば12以下または10以下である。環状炭化水素基は脂肪族基であってよく、例えば、アルキル基である。環状炭化水素基の例としては、炭素数4~20、特に5~12の環状脂肪族基、炭素数6~20の芳香族基、炭素数7~20の芳香脂肪族基が挙げられる。
【0024】
環状炭化水素基含有単量体(b1)は、そのホモポリマーのガラス転移点が高く、50℃以上であってよく、例えば80℃以上、好ましくは100℃以上、特に125℃以上、特別には150℃以上である。
【0025】
環状炭化水素基の具体例としては、シクロヘキシル基、t-ブチルシクロヘキシル基、アダマンチル基、2-メチル-2-アダマンチル基、2-エチル-2-アダマンチル基、ボルニル基、イソボルニル基、ノルボルニル基、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基、ベンジル基、フェニル基、ナフチル基、2-t-ブチルフェニル基、これらの基から1以上の水素原子を除いた残基(例えば、シクロへキシレン基、アダマンチレン基、フェニレン基、ナフチレン基等)およびこれらの置換体である基等が挙げられる。
【0026】
環状炭化水素基含有単量体(b1)は、一般式:
CH=CA12-C(=O)-O-A13 (b1-I)
[式中、A12は、水素原子またはメチル基であり、
13は、炭素数4~30の環状炭化水素基を含有する基である。]
で示される化合物であることが好ましい。
【0027】
12は、メチル基であることが特に好ましい。
13は、環状炭化水素基であり、その例は上記で説明したとおりである。
【0028】
環状炭化水素基含有単量体(b1)の具体例としては、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、2-メチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-エチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、スチレン、フェニル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリラートおよび2-t-ブチルフェニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。環状炭化水素基含有単量体(b1)が存在することにより、薄い塗膜であっても共重合体が与える撥水性および撥油性が高くなる。
【0029】
(b2)ホモポリマーのガラス転移点(Tg)が0℃未満である低Tg単量体
低Tg単量体(b2)はそのホモポリマーのガラス転移点が0℃未満である単量体である。ガラス転移点は-10℃未満であってよく、例えば-30℃未満、好ましくは-50℃未満、特に-60℃未満である。
【0030】
低Tg単量体(b2)は、炭素-炭素二重結合(エチレン性不飽和二重結合)を有する単量体である。低Tg単量体(b2)は、(メタ)アクリルアミドまたは(メタ)アクリレートであることが好ましく、特にメタクリレートであってよい。
【0031】
低Tg単量体(b2)は、(好ましくは一価の)炭素数1~30の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基および一価の(メタ)アクリレート基を有する低Tg単量体(b2)であることが好ましい。炭素数1~30の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基と(メタ)アクリレート基は、直接に結合していることが好ましい。環状炭化水素基の環における炭素原子が、(メタ)アクリレート基におけるエステル基に直接に結合することが好ましい。
【0032】
低Tg単量体(b2)は、ホモポリマーのガラス転移点が上記範囲のガラス転移点を有し、かつ、
式:
CH=CX-C(=O)-Y-Z (b2-I)
[式中、Xは、水素原子、一価の有機基またはハロゲン原子であり、
は、-O-または-NH-であり、
は、炭化水素基である。]
で示される化合物であることが好ましい。
は水素原子、メチル基、または、フッ素原子以外のハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子)であることが好ましい。
は炭素数1~30、特に2~15の炭化水素基(例えば、直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基(例えば脂肪族炭化水素基、特にアルキル基))であることが好ましい。
【0033】
低Tg単量体(b2)は、ホモポリマーのガラス転移点が上記範囲のガラス転移点を有し、かつ、炭素数2~15の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基を有する(メタ)アクリレートエステルであってよい。例えば、低Tg単量体(b2)単量体は、ホモポリマーのガラス転移点が上記範囲のガラス転移点を有し、かつ、一般式:
CH=CA21COOA22 (b2-II)
[式中、A21は、水素原子、メチル基、または、フッ素原子以外のハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子)であり、
22は、炭素数2~15の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基である。]
で示される化合物であってよい。炭素数2~15の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基は、C2n+1(n=2~15)によって表されるアルキル基であることが好ましい。例えば、低Tg単量体(b2)は、ホモポリマーのガラス転移点が上記範囲のガラス転移点を有し、かつ、式(b2-II)において、A21が水素原子でありA22の炭素数が2~11(好ましくは3~10、例えば4~9)の直鎖状アルキル基であるアクリレートまたはA21がメチル基でありA22の炭素数が7~14(好ましくは8~13、例えば9~12)の直鎖状アルキル基であるメタクリレートであってよい。
【0034】
低Tg単量体(b2)の具体例としては、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、へプチルアクリレート、オクチルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレート、ウンデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート、イソアミルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、イソデシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、トリデシルアクリレート、エトキシ-ジエチレングリコールアクリレート、メトキシ-トリエチレングルコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシ-ポリエチレングリコールアクリレート(n=約2)、メトキシポリエチレンングリコールアクリレート(n=4~13)などのアクリレート;ヘキシルメタクリレート、ヘプチルメタクリレート、オクチルメタクリレート、ノニルメタクリレート、デシルメタクリレート、ウンデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、テトラデシルメタクリレート、2-エトキシエチルメタクリレート、メトキシポリエチレンングリコールメタクリレート(n=4~13)などのメタクリレートなどが挙げられる。
【0035】
(c)非フッ素架橋性単量体
非フッ素架橋性単量体(c)は非フッ素架橋性(メタ)アクリレートまたは(メタ)アクリルアミド単量体であることが好ましい。
【0036】
非フッ素架橋性単量体(c)は、反応性基を有する(メタ)アクリレートまたは(メタ)アクリルアミドであることが好ましい。反応性基は、活性水素含有基または活性水素反応性基、例えば、水酸基、エポキシ基、クロロメチル基、ブロックイソシアネート基、アミノ基、カルボキシル基、ケトン基、ヒドラジド基およびメラミン基であることが好ましい。非フッ素架橋性単量体(c)は、活性水素含有単量体(例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、ケトン基、ヒドラジド基および/またはメラミン基を有する単量体)または活性水素反応性基含有単量体(例えば、エポキシ基、クロロメチル基、ブロックイソシアネート基、カルボキシル基および/またはヒドラジド基を有する単量体)であることが好ましく、活性水素含有単量体であることがより好ましい。特に好ましい反応性基は、水酸基である。
【0037】
非フッ素架橋性単量体(c)は、一般式:
CH=CX-C(=O)-Y-Z-W (c-I)
[式中、Xは、水素原子、メチル基、または、フッ素原子以外のハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子)であり、
は、直接結合、-O-または-NH-であり、
は、直接結合または二価の有機基であり、
は、水酸基、エポキシ基、クロロメチル基、ブロックイソシアネート基、アミノ基、カルボキシル基、ケトン基、ヒドラジド基またはメラミン基である。]
で示される化合物であることが好ましい。
【0038】
非フッ素架橋性単量体(c)は、一般式:
CH=CX-C(=O)-Y-Z-OH (c-II)
[式中、Xは、水素原子、メチル基、または、フッ素原子以外のハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子)であり、
は、直接結合、-O-または-NH-であり、
は、直接結合または二価の有機基である。]
で示される化合物であることが特に好ましい。
は、例えば、炭素数1~20の直鎖状または分岐鎖状脂肪族基(特に、アルキレン基)、例えば、式-(CH-(式中、xは1~10である。)で示される基であってよい。
非フッ素架橋性単量体(c)としては、例えば、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N―2-プロパロール(メタ)アクリルアミド、N-ブチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートなどが例示される。非フッ素架橋性単量体(c)は水酸基含有単量体(例えばN-メチロール(メタ)アクリルアミド)および/またはカルボキシル基含有単量体(例えば(メタ)アクリル酸)を含むことが好ましい。なお、カルボキシル基は塩基により一部または全てが中和されていてもよい。中和のための塩基として、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどの無機塩基を用いてもよいし、アミン類(例えばアルキルアミン)などの有機塩基を用いてもよい。
【0039】
非フッ素架橋性単量体(c)は、式(c-I)において、
が炭素数1~20の直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基でありWが水酸基である化合物と
カルボキシル基を有する化合物(例えば、YおよびZが直接結合でありWが水酸基である化合物、またはWがカルボキシル基である化合物)
との両方を含んでいてもよい。
【0040】
(d)他の単量体
単量体(a)~(c)以外の他の単量体(d)は、フッ素を含有しないことが好ましい。他の単量体(c)として、ハロゲン化オレフィン、(メタ)アクリルアミド、エチレン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、およびビニルアルキルエーテルが含まれる。
【0041】
ハロゲン化オレフィン単量体(ハロゲン化オレフィン)は、フッ素原子を有しないことが好ましい。ハロゲン化オレフィンは、1~10の塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子で置換されている炭素数2~20のオレフィンであることが好ましい。ハロゲン化オレフィンは、炭素数2~20の塩素化オレフィン、特に1~5の塩素原子を有する炭素数2~5のオレフィンであることが好ましい。ハロゲン化オレフィンの好ましい具体例は、ハロゲン化ビニル、例えば塩化ビニル、臭化ビニル、ヨウ化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、例えば塩化ビニリデン、臭化ビニリデン、ヨウ化ビニリデンである。塩化ビニルおよび塩化ビニリデンが好ましく、塩化ビニルが特に好ましい。
【0042】
単量体(a)、(b1)、(b2)、(c)および(d)のそれぞれは、単独であってよく、あるいは2種以上の組合せであってもよい。
【0043】
本開示の塗料組成物において、フッ素を含む重合体は含フッ素重合体のみであることが好ましい。含フッ素重合体は、ポリエチレンオキサイド基、特にポリアルキレンオキサイド基を有しないことが好ましい。
【0044】
単量体(a)の量は、重合体に対して、30重量%以下であってよく、例えば27重量%以下、25重量%以下、20重量%以下などであってよい。単量体(a)の量は、重合体に対して、1%以上であってよく、例えば3%以上、5%以上、8%以上、10%以上などであってよい。例えば、単量体(a)の量は、重合体に対して、1~30重量%であってよい。特に3~25重量%、例えば5~20重量%であってよい。
単量体(b)の量は、重合体に対して、10~75重量%以上であってよく、好ましくは20~65重量%、例えば25~55重量%である。
単量体(c)の量は、重合体に対して、10~75重量%以上であってよく、好ましくは20~65重量%、例えば25~55重量%である。カルボキシル基含有単量体(例えば、アクリル酸)の量は、重合体に対して、0~10重量%であってよく、例えば0.5~8重量%である。
単量体(d)の量は、重合体に対して、25重量%以上、好ましくは10重量%以下、例えば0~5重量%であってよい。
【0045】
単量体(a)と単量体(b)の重量比は、100:50~100:1000、好ましくは100:100~100:500、例えば100:200~100:500であってよい。
単量体(b)と単量体(c)の重量比は、100:20~100:500、好ましくは100:40~100:300、例えば100:60~100:200であってよい。
単量体(b1)と単量体(b2)の重量比は、100:5~100:100、好ましくは100:10~100:75、例えば100:15~100:50であってよい。
【0046】
含フッ素重合体(固形分)の量は、塗料組成物に対して、約0.01~60重量%、好ましくは約0.1~40重量%、特に好ましくは約5~35重量%の量であってよい。含フッ素重合体は、有機溶媒に溶解した溶液の形態で存在しても水系分散体の形態で存在してもよい。
【0047】
含フッ素重合体の重量平均分子量は、5000~500000であってよい。重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによりポリスチレン換算で求めた値である。含フッ素重合体は、ランダム共重合体またはブロック共重合体であってよいが、ランダム共重合体であることが好ましい。
【0048】
含フッ素重合体のガラス転移点(Tg)は、限定されるわけではないが、-30~80℃であってよく、例えば-20~50℃である。ガラス転移点は示差走査熱量計(DSC)法により測定される。
【0049】
含フッ素重合体は、限定されるわけではないが、水酸基価が2~200mgKOH/gであってよく、例えば4~100mgKOH/gである。
【0050】
本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートまたはメタクリレートを意味し、「(メタ)アクリルアミド」とは、一般に、アクリルアミドまたはメタクリルアミドを意味する。「(メタ)アクリレート」および「(メタ)アクリルアミド」は、α位が水素原子およびメチル基以外の他の基(例えば、一価の有機基(例示すれば、炭素数2~10の炭化水素基)またはハロゲン原子(例示すれば、塩素原子および臭素原子))で置換されている化合物をも含んでよい。
【0051】
塗料組成物は、
(1)含フッ素重合体、および
(2)液状媒体
を含んでなる。
塗料組成物は、さらに、
(3)界面活性剤、および
(4)硬化剤
の少なくとも1つを含んでよい。
塗料組成物は、さらに(5)他の成分を含んでもよい。
【0052】
(2)液状媒体
塗料組成物は、含フッ素重合体および液状媒体を含んでなる。液状媒体は非水性媒体および/または水性媒体であってよい。本明細書において、「水性媒体」とは、水のみからなる媒体、および水に加えて有機溶剤(有機溶剤の量は、水100重量部に対して、80重量部以下、例えば0.1~50重量部、特に5~30重量部である。)をも含有する媒体を意味する。
液状媒体の量は、塗料組成物に対して、20~99重量%、例えば40~95重量%であってよい。
【0053】
水性媒体は、含フッ素重合体を重合により製造した後に、添加してもよい。例えば、単量体を有機溶媒の存在下で重合して、含フッ素重合体を製造した後に、水を添加、有機溶媒を留去する。有機溶媒は留去しなくてもよい。界面活性剤は、重合前または重合後に添加してよく、あるいは添加しなくてもよい。界面活性剤を添加しない場合にも、含フッ素重合体が水性媒体に良好に分散した水性分散液が得られる。
【0054】
(3)界面活性剤
塗料組成物は、水性分散液である場合に、界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤は、ノニオン性界面活性剤およびカチオン性界面活性剤およびアニオン界面活性剤の少なくとも1種を含む。さらに、界面活性剤は、両性界面活性剤を含んでもよい。また、界面活性剤を含有しなくてもよい。
塗料組成物は、水性分散液である場合に、一般に、界面活性剤を含む。塗料組成物は水溶液である場合に、一般に、界面活性剤を含まない。
【0055】
ノニオン性界面活性剤は、オキシアルキレン基を有するノニオン性界面活性剤である。オキシアルキレン基におけるアルキレン基の炭素数は、2~10であることが好ましい。ノニオン性界面活性剤の分子におけるオキシアルキレン基の数は、一般に、2~100であることが好ましい。
ノニオン性界面活性剤は、直鎖状および/または分岐鎖状の脂肪族(飽和および/または不飽和)基のアルキレンオキシド付加物、直鎖状および/または分岐鎖状脂肪酸(飽和および/または不飽和)のポリアルキレングリコールエステル、ポリオキシエチレン(POE)/ポリオキシプロピレン(POP)共重合体(ランダム共重合体またはブロック共重合体)、アセチレングリコールのアルキレンオキシド付加物等であってよい。これらの中で、アルキレンオキシド付加部分およびポリアルキレングリコール部分の構造がポリオキシエチレン(POE)またはポリオキシプロピレン(POP)またはPOE/POP共重合体(ランダム共重合体であってもブロック共重合体であってよい)であるものが好ましい。
また、ノニオン性界面活性剤は、環境上の問題(生分解性、環境ホルモンなど)から芳香族基を含まない構造が好ましい。
【0056】
カチオン性界面活性剤は、アミド基を有しない化合物であることが好ましい。
【0057】
カチオン性界面活性剤は、アミン塩、4級アンモニウム塩、オキシエチレン付加型アンモニウム塩であってよい。カチオン性界面活性剤の具体例としては、特に限定されないが、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリン等のアミン塩型界面活性剤、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウム等の4級アンモニウム塩型界面活性剤等が挙げられる。
【0058】
カチオン性界面活性剤の具体例には、ドデシルトリメチルアンモニウムアセテート、トリメチルテトラデシルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルオクタデシルアンモニウムクロライド、(ドデシルメチルベンジル)トリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルドデシルジメチルアンモニウムクロライド、メチルドデシルジ(ヒドロポリオキシエチレン)アンモニウムクロライド、ベンジルドデシルジ(ヒドロポリオキシエチレン)アンモニウムクロライド、N-[2-(ジエチルアミノ)エチル]オレアミド塩酸塩が包含される。
【0059】
アニオン性界面活性剤の例としては、脂肪酸塩(脂肪酸の炭素数は例えば8~30である)、スルホン酸塩(例えば、アルキルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸塩(アルキル基の炭素数は例えば8~30である。))、硫酸エステル塩(例えば、アルキル硫酸エステル塩(アルキル基の炭素数は例えば8~30である。)が挙げられる。
アニオン性界面活性剤の例は、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン、ココイルサルコシンナトリウム、ナトリウムN-ココイルメチルタウリン、ポリオキシエチレンヤシアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ジエーテルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、α-オレフィンスルホン酸ナトリウム、ラウリルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム等が包含される。
【0060】
両性界面活性剤としては、アラニン類、イミダゾリニウムベタイン類、アミドベタイン類、酢酸ベタイン等が挙げられ、具体的には、ラウリルベタイン、ステアリルベタイン、ラウリルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等が挙げられる。
【0061】
ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、および両性界面活性剤のそれぞれが1種または2以上の組み合わせであってよい。
界面活性剤はアニオン性界面活性剤および/またはノニオン性界面活性剤であることが好ましい。アニオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤との組み合わせが好ましい。
界面活性剤は、単量体100重量部に対して、0~25重量部、例えば0.5~20重量部の範囲で用いてよい。
本開示において、界面活性剤を使用しない場合にも、含フッ素重合体の分散液、特に水性分散液を形成できる。
【0062】
[含フッ素重合体の製造方法]
本開示における含フッ素重合体は通常の重合方法の何れでも製造でき、また重合反応の条件も任意に選択できる。このような重合方法として、溶液重合、懸濁重合、乳化重合が挙げられる。
【0063】
溶液重合では、重合開始剤の存在下で、単量体を有機溶媒に溶解させ、窒素置換後、30~120℃の範囲で1~10時間、加熱撹拌する方法が採用される。重合開始剤としては、例えばアゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、ジ-t-ブチルパーオキシド、ラウリルパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、t-ブチルパーオキシピバレート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネートなどが挙げられる。重合開始剤は単量体100重量部に対して、0.01~20重量部、例えば0.01~10重量部の範囲で用いられる。
【0064】
有機溶媒は、単量体に不活性でこれらを溶解するものであり、例えば、エステル(例えば、炭素数2~30のエステル、具体的には、酢酸エチル、酢酸ブチル)、ケトン(例えば、炭素数2~30のケトン、具体的には、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトン)、アルコール(例えば、炭素数1~30のアルコール、具体的には、イソプロピルアルコール)であってよい。有機溶媒の具体例としては、アセトン、クロロホルム、HCHC225、イソプロピルアルコール、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、石油エーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、1,1,2,2-テトラクロロエタン、1,1,1-トリクロロエタン、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、テトラクロロジフルオロエタン、トリクロロトリフルオロエタンなどが挙げられる。有機溶媒は単量体の合計100重量部に対して、10~2000重量部、例えば、50~1000重量部の範囲で用いられる。
【0065】
乳化重合では、重合開始剤および乳化剤の存在下で、単量体を水中に乳化させ、窒素置換後、50~80℃の範囲で1~10時間、撹拌して重合させる方法が採用される。重合開始剤は、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、t-ブチルパーベンゾエート、1-ヒドロキシシクロヘキシルヒドロ過酸化物、3-カルボキシプロピオニル過酸化物、過酸化アセチル、アゾビスイソブチルアミジン-二塩酸塩、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの水溶性のものやアゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、ジ-t-ブチルパーオキシド、ラウリルパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、t-ブチルパーオキシピバレート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネートなどの油溶性のものが用いられる。重合開始剤は単量体100重量部に対して、0.01~10重量部の範囲で用いられる。
【0066】
放置安定性の優れた重合体水分散液を得るためには、高圧ホモジナイザーや超音波ホモジナイザーのような強力な破砕エネルギーを付与できる乳化装置を用いて、単量体を水中に微粒子化して重合することが望ましい。また、乳化剤としてはアニオン性、カチオン性あるいはノニオン性の各種乳化剤を用いることができ、単量体100重量部に対して、0.5~20重量部の範囲で用いられる。アニオン性および/またはノニオン性および/またはカチオン性の乳化剤を使用することが好ましい。単量体が完全に相溶しない場合は、これら単量体に充分に相溶させるような相溶化剤、例えば、水溶性有機溶媒や低分子量の単量体を添加することが好ましい。相溶化剤の添加により、乳化性および共重合性を向上させることが可能である。
【0067】
水溶性有機溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、エタノールなどが挙げられ、水100重量部に対して、1~50重量部、例えば10~40重量部の範囲で用いてよい。また、低分子量の単量体としては、メチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレートなどが挙げられ、単量体の総量100重量部に対して、1~50重量部、例えば10~40重量部の範囲で用いてよい。
【0068】
重合においては、連鎖移動剤を使用してもよい。連鎖移動剤の使用量に応じて、重合体の分子量を変化させることができる。連鎖移動剤の例は、ラウリルメルカプタン、チオグリコール、チオグリセロールなどのメルカプタン基含有化合物(特に、(例えば炭素数1~30の)アルキルメルカプタン)、次亜リン酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウムなどの無機塩などである。連鎖移動剤の使用量は、単量体の総量100重量部に対して、0.01~10重量部、例えば0.1~5重量部の範囲で用いてよい。
【0069】
本開示の塗料組成物は、溶液、エマルション(特に、水性分散液)またはエアゾールの形態であってよいが、水性分散液であることが好ましい。塗料組成物は、重合体(表面処理剤の活性成分)および媒体(特に、液状媒体、例えば、有機溶媒および/または水)を含んでなる。媒体の量は、例えば、塗料組成物に対して、5~99.9重量%、特に10~80重量%であってよい。
塗料組成物において、重合体の濃度は、0.01~95重量%、例えば5~50重量%であってよい。
【0070】
含フッ素重合体を乳化重合法または溶液重合法により製造することが好ましい。
含フッ素重合体を重合により製造した後に、水(または水性媒体)を添加して、含フッ素重合体を水に分散させることが好ましい。
水(または水性媒体)は、含フッ素重合体を重合により製造した後に、添加してもよい。例えば、単量体を有機溶媒の存在下で重合して、含フッ素重合体を製造した後に、重合体混合物に水を添加して、有機溶媒を留去して、含フッ素重合体を水に分散させてよい。有機溶媒は留去しなくてもよい。界面活性剤は、重合前または重合後に添加してよく、あるいは添加しなくてもよい。界面活性剤を添加しない場合にも、良好な水性分散液が得られる。
【0071】
塗料組成物は、(4)硬化剤(活性水素反応性化合物または活性水素含有化合物)を含んでよい。一般に、含フッ素重合体を製造した後に、硬化剤(4)を加える。
【0072】
(4)硬化剤
含フッ素重合体を良好に硬化させるように、塗料組成物は、硬化剤(架橋剤)を含むことが好ましい。非フッ素架橋性単量体(c)は活性水素含有単量体または活性水素反応性基含有単量体であるので、含フッ素重合体は、活性水素または活性水素反応性基を有する。硬化剤は、含フッ素重合体の活性水素または活性水素反応性基と反応するように、活性水素反応性化合物または活性水素含有化合物である。
活性水素反応性化合物の例は、ポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、クロロメチル基含有化合物、カルボキシル基含有化合物およびヒドラジド化合物である。
活性水素含有化合物の例は、水酸基含有化合物、アミノ基含有化合物およびカルボキシル基含有化合物、ケトン基含有化合物、ヒドラジド化合物およびメラミン化合物である。
【0073】
硬化剤はポリイソシアネート化合物であることが好ましい。
ポリイソシアネート化合物は、1分子中にイソシアネート基を2個以上有する化合物である。ポリイソシアネート化合物は、架橋剤として働く。ポリイソシアネート化合物の例は、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート及びこれらポリイソシアネートの誘導体などを挙げることができる。
【0074】
脂肪族ポリイソシアネートの例は、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、1,2-ブチレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、2,4,4-または2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6-ジイソシアナトメチルカプロエートの脂肪族ジイソシアネート、およびリジンエステルトリイソシアネート、1,4,8-トリイソシアナトオクタン、1,6,11-トリイソシアナトウンデカン、1,8-ジイソシアナト-4-イソシアナトメチルオクタン、1,3,6-トリイソシアナトヘキサン、2,5,7-トリメチル-1,8-ジイソシアナト-5-イソシアナトメチルオクタンなどの脂肪族トリイソシアネートなどである。
【0075】
脂環族ポリイソシアネートの例は、脂環族ジイソシアネートおよび脂環族トリイソシアネートなどである。脂環族ポリイソシアネートの具体例は、1,3-シクロペンテンジイソシアネート、3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート)、1,3,5-トリイソシアナトシクロヘキサンである。
【0076】
芳香脂肪族ポリイソシアネートの例は、芳香脂肪族ジイソシアネートおよび芳香脂肪族トリイソシアネートである。芳香脂肪族ポリイソシアネートの具体例は、1,3-もしくは1,4-キシリレンジイソシアネートまたはその混合物、1,3-または1,4-ビス(1-イソシアナト-1-メチルエチル)ベンゼン(テトラメチルキシリレンジイソシアネート)もしくはその混合物、1,3,5-トリイソシアナトメチルベンゼンである。
【0077】
芳香族ポリイソシアネートの例は、芳香族ジイソシアネート、芳香族トリイソシアネート、芳香族テトライソシアネートである。芳香族ポリイソシアネートの具体例は、
m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、2,4’-または4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートもしくはその混合物、2,4-または2,6-トリレンジイソシアネートもしくはその混合物、トリフェニルメタン-4,4’,4’’-トリイソシアネート、および4,4’-ジフェニルメタン-2,2’,5,5’-テトライソシアネートなどである。
【0078】
ポリイソシアネートの誘導体は、例えば、上記したポリイソシアネート化合物のダイマー、トリマー、ビウレット、アロファネート、カルボジイミド、ウレトジオン、ウレトイミン、イソシアヌレート、イミノオキサジアジンジオン等の各種誘導体を挙げることができる。
【0079】
これらポリイソシアネートは、1種で又は2種以上を組合せて使用することができる。
ポリイソシアネート化合物として、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基をブロック剤でブロックした化合物であるブロック化ポリイソシアネート化合物を使用することもできる。
【0080】
イソシアネート化合物はブロック剤によりブロックされていてよい。ブロック剤は、遊離のイソシアネート基を封鎖するものである。ブロック化ポリイソシアネート化合物は、例えば、100℃以上、好ましくは130℃以上に加熱することにより、イソシアネート基が再生し、水酸基と容易に反応することができる。ブロック剤の例は、フェノール系化合物、ラクタム系化合物、脂肪族アルコール系化合物、オキシム系化合物などである。
【0081】
ポリイソシアネート化合物は、単独で又は2種以上を組合せて使用することができる。
【0082】
活性水素反応性化合物であるエポキシ化合物は、エポキシ基を有する化合物である。エポキシ化合物の例は、ポリオキシアルキレン基を有するエポキシ化合物、例えば、ポリグリセロールポリグリシジルエーテルおよびポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル;ならびにソルビトールポリグリシジルエーテルなどである。
【0083】
活性水素反応性化合物であるクロロメチル基含有化合物はクロロメチル基を有する化合物である。クロロメチル基含有化合物の例は、クロロメチルポリスチレンなどである。
【0084】
活性水素反応性化合物であるカルボキシル基含有化合物はカルボキシル基を有する化合物である。カルボキシル基含有化合物の例は、(ポリ)アクリル酸、(ポリ)メタクリル酸などである。
【0085】
活性水素反応性化合物であるヒドラジド化合物はヒドラジド基を有する化合物であり、ヒドラジド化合物の例は、ヒドラジン、カルボヒドラジド、アジピン酸ヒドラジドなどである。
【0086】
活性水素含有化合物であるケトン基含有化合物はケトン基を有する化合物である。ケトン基含有化合物の例は、(ポリ)ジアセトンアクリルアミド、ジアセトンアルコールなどである。
【0087】
活性水素含有化合物であるメラミン化合物の例は、メラミン由来構造を有する化合物であり、メラミン樹脂、メチルエーテル化メラミン樹脂などである。
【0088】
含フッ素重合体中の活性水素または活性水素反応性基(特に水酸基)と、硬化剤中の活性水素または活性水素反応性基との当量比(特にポリイソシアネート化合物中のイソシアネート基の当量比(NCO/OH))は、0.5~2.5であってよく、例えば0.5~2.3あり、0.8~2.0が好ましく、1.1~1.8がより好ましい。
【0089】
(5)他の成分
塗料組成物は、上記成分(1)~(4)以外の他の成分(5)を含んでよい。一般に、含フッ素重合体を製造した後に、他の成分(5)を加える。他の成分の例は、非フッ素撥水性化合物である。
【0090】
非フッ素撥水性化合物
塗料組成物は、フッ素原子を含まない撥水性化合物(非フッ素撥水性化合物)を含有することがある。
非フッ素撥水性化合物は、非フッ素アクリレート重合体、飽和または不飽和の炭化水素化合物、またはシリコーン系化合物であってよい。
【0091】
非フッ素アクリレート重合体は、1種類の非フッ素(メタ)アクリレート単量体によって構成される単独重合体、あるいは少なくとも2種類の非フッ素(メタ)アクリレート単量体によって構成される共重合体、あるいは少なくとも1種類の非フッ素(メタ)アクリレート単量体および少なくとも1種類の他の非フッ素単量体(エチレン性不飽和化合物、例えば、エチレン、ビニル系単量体)によって構成される共重合体である。
非フッ素アクリレート重合体を構成する非フッ素(メタ)アクリレート単量体は、一般式:
CH=CA-T
[式中、Aは、水素原子、メチル基、または、フッ素原子以外のハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子)であり、
Tは、水素原子、炭素数1~30の鎖状または環状の炭化水素基、またはエステル結合を有する鎖状または環状の炭素数1~31の有機基である。]
で示される化合物である。
【0092】
炭素数1~30の鎖状または環状の炭化水素基の例は、炭素数1~30の直鎖または分岐の脂肪族炭化水素基、炭素数4~30の環状脂肪族基、炭素数6~30の芳香族炭化水素基、炭素数7~30の芳香脂肪族炭化水素基である。
【0093】
エステル結合を有する鎖状または環状の炭素数1~31の有機基の例は、-C(=O)-O-Qおよび-O-C(=O)-Q(ここで、Qは、炭素数1~30の直鎖または分岐の脂肪族炭化水素基、炭素数4~30の環状脂肪族基、炭素数6~30の芳香族炭化水素基、炭素数7~30の芳香脂肪族炭化水素基)である。
【0094】
非フッ素(メタ)アクリレート単量体の例には、例えば、アルキル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートが含まれる。
【0095】
非フッ素(メタ)アクリレート単量体は、アルキル(メタ)アクリレートエステルであることが好ましい。アルキル基の炭素原子の数は1~30であってよく、例えば、6~30(例えば、10~30)であってよい。非フッ素(メタ)アクリレート単量体の具体例は、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートおよびベヘニル(メタ)アクリレートである。
非フッ素アクリレート重合体は、含フッ素重合体と同様の重合方法で製造できる。
【0096】
飽和または不飽和の炭化水素系化合物は飽和の炭化水素であることが好ましい。飽和または不飽和の炭化水素系化合物において、炭素数は、15以上、好ましくは20~300、例えば25~100であってよい。飽和または不飽和の炭化水素系化合物の具体例は、パラフィンなどである。
シリコーン系化合物は、一般に、撥水剤として使用されているものである。シリコーン系化合物は、撥水性を示す化合物であれば、限定されない。
非フッ素撥水性化合物の量は、含フッ素重合体100重量部に対して、500重量部以下、例えば、5~200重量部、特に、5~100重量部であってよい。
【0097】
本開示の塗料組成物には、必要に応じて、着色顔料、体質顔料、光輝性顔料、防錆顔料等の公知の顔料を配合することができる。
【0098】
さらに、本開示の塗料組成物には、必要に応じて、硬化触媒、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、表面調整剤、消泡剤等の一般的な塗料用添加剤を配合することも可能である。本開示において、ヒドラジノ基含有化合物を使用しないことが好ましい。
塗料組成物はケイ素原子を含有しないことが好ましい。塗料組成物はフルオロオレフィンを含有しないことが好ましい。
【0099】
本開示の塗料組成物は、従来既知の方法により被処理物(すなわち、物品)に適用することができる。通常、該塗料組成物を有機溶媒または水に分散して希釈して、浸漬塗布、スプレー塗布、泡塗布などの塗布といった既知の方法により、被処理物の表面に付着させ、乾燥する方法が採られる。また、必要ならば、適当な架橋剤と共に適用し、キュアリングを行ってもよい。さらに、本開示の塗料組成物に、助剤、例えば、防虫剤、柔軟剤、抗菌剤、難燃剤、帯電防止剤、塗料定着剤、防シワ剤、成膜助剤などを添加して併用することも可能である。基材と接触させる処理液における重合体の濃度は0.01~10重量%(特に、浸漬塗布の場合)、例えば0.05~10重量%であってよい。
【0100】
本開示の塗料組成物(塗料)で処理される被処理物(基材)としては、建築用木材、壁材、コンクリート、プラスチック製品、石材、ガラス、紙、木、皮革、毛皮、石綿、レンガ、セメント、金属および酸化物、窯業製品、およびプラスターなどを挙げることができる。建築用木材、壁材およびプラスチック製品が好ましい。
【0101】
基材としては、自動車、二輪車等の車体又はその部品等も挙げられる。車体等を形成する冷延鋼板、亜鉛メッキ鋼板、亜鉛合金メッキ鋼板、ステンレス鋼板、錫メッキ鋼板等の鋼板、アルミニウム板、アルミニウム合金板等の金属基材;各種プラスチック基材等であってもよい。
【0102】
プラスチック基材としては、ポリカーボネート樹脂、スチレン樹脂(例えば、ABS樹脂、AS樹脂、ASA樹脂、ポリスチレン樹脂など)、オレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、またはこれらの混合物(例えばアロイ樹脂)である基材が挙げられ、中でもポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ABS樹脂またはアクリル樹脂である基材が好ましい。
【0103】
塗料組成物は、塗料を液体で処理するために知られている方法のいずれかによって適用することができる。塗料組成物を付着または噴霧してよい。処理された基材は、乾燥され、好ましくは、例えば、60~120℃、特に80℃で加熱される。
塗料組成物によって、含フッ素重合体を含む膜が基材上に形成される。膜は、連続的なものであり、一般に、孔が存在しない。塗膜の厚さは、0.01~5mm、例えば、0.1~3mmであってよい。通常、塗膜の厚みが薄い(例えば30μm以下の)場合、防汚性等の性質は低下するが、本発明における塗膜を用いれば、3~30μm(例えば15~30μm)のような場合であっても良好な防汚性等を示す。
塗装物品は、基材、および含フッ素重合体を含む膜を有する。
【0104】
実施例
次に、実施例、比較例及び試験例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、これらの説明が本発明を限定するものでない。
以下において、部または%は、特記しない限り、重量部または重量%を表す。
特性は、次のようにして測定した。
【0105】
防汚試験
サンプルをコーティングしたABS基板上にオレイン酸、乳酸、日焼け止めクリームを塗布し、60℃24時間放置後乾いた布でふき取り、ふき取り後の汚れの残り具合を評価した。
【0106】
汚れの残り具合の評価は次のとおりである。
【表A】
【0107】
製造例1
500ml反応フラスコにCFCF-(CFCF-CHCHOCOCH=CH(n=2.0)(C6SFA)22.5g、ラウリルメタクリレート10g、イソボルニルメタクリレート 57.5g、ヒドロキシルブチルアクリレート57.5g、メタクリル酸7.5g、を2-プロパノール 120gに溶解させ、反応フラスコ内を窒素置換後、アゾビスイソブチロニトリル2gの2-プロパノール10gに溶液させた溶液を添加し80℃に加熱し、20時間反応させた。その後、トリエチルアミン8.8gで中和し、純水400gを入れ、攪拌下に60℃で2-プロパノールを留去し水性分散液を得た。固形分を30%に調整し、重合体の組成は、仕込みモノマーの組成にほぼ一致した。
【0108】
製造例2
500ml反応フラスコにCFCF-(CFCF-CHCHOCOCH=CH(n=2.0)(C6SFA)22.5g、ブチルアクリレート10g、イソボルニルメタクリレート57.5g、ヒドロキシルブチルアクリレート57.5g、メタクリル酸7.5g、を2-プロパノール 120gに溶解させ、反応フラスコ内を窒素置換後、アゾビスイソブチロニトリル2gの2-プロパノール10gに溶液させた溶液を添加し80℃に加熱し、20時間反応させた。その後、トリエチルアミン8.8gで中和し、純水400gを入れ、攪拌下に60℃で2-プロパノールを留去し水性分散液を得た。固形分を30%に調整し、重合体の組成は、仕込みモノマーの組成にほぼ一致した。
【0109】
比較製造例1
500ml反応フラスコにCFCF-(CFCF-CHCHOCOCH=CH(n=2.0)(C6SFA)22.5g、ブチルアクリレート27g、メチルメタクリレート40.5g、ヒドロキシルブチルアクリレート52.5g、メタクリル酸7.5g、を2-プロパノール 120gに溶解させ、反応フラスコ内を窒素置換後、アゾビスイソブチロニトリル2gの2-プロパノール10gに溶液させた溶液を添加し80℃に加熱し、20時間反応させた。その後、トリエチルアミン8.8gで中和し、純水400gを入れ、攪拌下に60℃で2-プロパノールを留去し水性分散液を得た。固形分を30%に調整し、重合体の組成は、仕込みモノマーの組成にほぼ一致した。
【0110】
比較製造例2
500ml反応フラスコにCFCF-(CFCF-CHCHOCOCH=CH(n=2.0)(C6SFA)22.5g、メチルメタクリレート67.5g、ヒドロキシルブチルアクリレート52.5g、メタクリル酸7.5g、を2-プロパノール 120gに溶解させ、反応フラスコ内を窒素置換後、アゾビスイソブチロニトリル2gの2-プロパノール10gに溶液させた溶液を添加し80℃に加熱し、20時間反応させた。その後、トリエチルアミン8.8gで中和し、純水400gを入れ、攪拌下に60℃で2-プロパノールを留去し水性分散液を得た。固形分を30%に調整し、重合体の組成は、仕込みモノマーの組成にほぼ一致した。
【0111】
比較製造例3
500ml反応フラスコにブチルアクリレート22.5g、メチルメタクリレート67.5g、ヒドロキシルブチルアクリレート52.5g、メタクリル酸7.5g、を2-プロパノール 120gに溶解させ、反応フラスコ内を窒素置換後、アゾビスイソブチロニトリル2gの2-プロパノール10gに溶液させた溶液を添加し80℃に加熱し、20時間反応させた。その後、トリエチルアミン8.8gで中和し、純水400gを入れ、攪拌下に60℃で2-プロパノールを留去し水性分散液を得た。固形分を30%に調整し、重合体の組成は、仕込みモノマーの組成にほぼ一致した。
【0112】
実施例1
ABS板(6cmx15cm)を準備し、pHを7~9に調製した製造例1で得られた重合体の水分散液95gに水系イソシアネート系架橋剤(例;バイヒジュールXP 2655)をmol比NCO/OH=1.5/1になるように添加し、攪拌したのち、ABS板にコーティング棒を用いて平滑な透明被膜を厚さ20μmになるようにコーティングした。コーティングしたABS板を80℃ 120分キュアを行い、その後室温にて7日間自然乾燥して評価試験に供した。結果を表1に示す。
【0113】
実施例2
ABS板(6cm x 15cm)を準備し、pHを7~9に調製した製造例2で得られた重合体の水分散液95gに水系イソシアネート系架橋剤(例;バイヒジュールXP 2655)をmol比NCO/OH=1.5/1になるように添加し、攪拌したのち、ABS板にコーティング棒を用いて平滑な透明被膜を厚さ20μmになるようにコーティングした。コーティングしたABS板を80℃ 120分キュアを行い、その後室温にて7日間自然乾燥して評価試験に供した。結果を表1に示す。
【0114】
比較例1
ABS板(6cm x 15cm)を準備し、pHを7~9に調製した比較製造例1で得られた重合体の水分散液95gに水系イソシアネート系架橋剤(例;バイヒジュールXP 2655)をmol比NCO/OH=1.5/1になるように添加し、攪拌したのち、ABS板にコーティング棒を用いて平滑な透明被膜を厚さ20μmになるようにコーティングした。コーティングしたABS板を80℃ 120分キュアを行い、その後室温にて7日間自然乾燥して評価試験に供した。結果を表1に示す。
【0115】
比較例2
ABS板(6cm x 15cm)を準備し、pHを7~9に調製した比較製造例2で得られた重合体の水分散液95gに水系イソシアネート系架橋剤(例;バイヒジュールXP 2655)をmol比NCO/OH=1.5/1になるように添加し、攪拌したのち、ABS板にコーティング棒を用いて平滑な透明被膜を厚さ20μmになるようにコーティングした。コーティングしたABS板を80℃ 120分キュアを行い、その後室温にて7日間自然乾燥して評価試験に供した。結果を表1に示す。
【0116】
比較例3
ABS板(6cm x 15cm)を準備し、pHを7~9に調製した比較製造例3で得られた重合体の水分散液95gに水系イソシアネート系架橋剤(例;バイヒジュールXP 2655)をmol比NCO/OH=1.5/1になるように添加し、攪拌したのち、ABS板にコーティング棒を用いて平滑な透明被膜を厚さ20μmになるようにコーティングした。コーティングしたABS板を80℃ 120分キュアを行い、その後室温にて7日間自然乾燥して評価試験に供した。結果を表2に示す。
【0117】
比較例4
ABS板(6cm x 15cm)を準備し、pHを7~9に調製した比較製造例3で得られた重合体の水分散液95gに水系イソシアネート系架橋剤(例;バイヒジュールXP 2655)をmol比NCO/OH=1.5/1になるように添加し、攪拌したのち、ABS板にコーティング棒を用いて平滑な透明被膜を厚さ35μmになるようにコーティングした。コーティングしたABS板を80℃ 120分キュアを行い、その後室温にて7日間自然乾燥して評価試験に供した。結果を表2に示す。
【0118】
【表B】


【表C】


【産業上の利用可能性】
【0119】
本開示の重合体を含む塗料組成物は、例えば、建築用木材、壁材およびプラスチック製品などを被覆する塗料として使用できる。