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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-21
(45)【発行日】2023-09-29
(54)【発明の名称】回路構成体
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20230922BHJP
   H02G 3/16 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
H05K7/20 M
H02G3/16
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019219846
(22)【出願日】2019-12-04
(65)【公開番号】P2021089984
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001966
【氏名又は名称】弁理士法人笠井中根国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100147717
【弁理士】
【氏名又は名称】中根 美枝
(74)【代理人】
【識別番号】100103252
【弁理士】
【氏名又は名称】笠井 美孝
(72)【発明者】
【氏名】藤村 勇貴
(72)【発明者】
【氏名】竹田 仁司
【審査官】五貫 昭一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/189450(WO,A1)
【文献】特開2019-122064(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/20
H02G 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通電により発熱する発熱部品と、
前記発熱部品の接続部に接続される通電部材と、
内部に冷媒が流通されて前記通電部材に熱的に接触される冷却部品を含み、
前記冷却部品が、環状筒本体を有し、該環状筒本体の内孔が締結部品挿通孔とされ、前記環状筒本体の内部に前記冷媒が流通される冷媒流路が構成されており、
前記冷却部品の前記環状筒本体が、前記締結部品挿通孔を挿通する締結部品により、前記発熱部品の前記接続部に対して、前記通電部材と共に締結されている、回路構成体。
【請求項2】
前記発熱部品の前記接続部に対して、前記冷却部品が前記通電部材を介して締結されている請求項1に記載の回路構成体。
【請求項3】
前記冷却部品が、前記冷媒の流入口と流出口を備えた前記冷媒流路を有しており、前記流入口と前記流出口に外部の冷媒供給路と冷媒排出路が接続可能とされている請求項1または請求項2に記載の回路構成体。
【請求項4】
記環状筒本体が、軸方向で相互に組み付けられる環状の第一パーツと環状の第二パーツを含み、前記第一パーツが前記第二パーツへの組付面に開口する凹状の第一流通路形成部を有し、前記第二パーツが前記第一パーツへの組付面に開口する凹状の第二流通路形成部を有し、
前記第一パーツと前記第二パーツが、シール部材を介して各前記組付面を密接させた状態で、相互に組み付けられて固定されることにより、前記環状筒本体の内部に前記第一流通路形成部と前記第二流通路形成部により区画された前記冷媒流路が構成されている請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の回路構成体。
【請求項5】
前記第一パーツと前記第二パーツのうち、前記通電部材に接触する一方のパーツが他方のパーツよりも熱伝導性が高い材料で形成されている請求項4に記載の回路構成体。
【請求項6】
前記冷却部品が、前記通電部材に対してボルトを用いて接触状態に固定されており、前記冷却部品が他部材に当接して前記冷却部品の回転を阻止する回転阻止突部を有している請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の回路構成体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発熱部品を含む回路構成体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両には、リレー等の発熱部品を含む回路構成体が搭載されている。例えば、特許文献1には、車両側の負荷としてインバータを介して接続されるモータや発電機に対して、バッテリーの電力供給を断続するリレーを備えた回路構成体が示されている。
【0003】
このような回路構成体に用いられるリレー等の発熱部品は、大電流が流れることから、電流量の二乗に比例したジュール熱が発生し、発熱量も大きくなる。そこで、特許文献1では、ケース内に収容されたリレーの接続部とケース外に配置されたバッテリーの接続端子とを接続する通電部材であるバスバーの中間部分を利用して、リレーの放熱を行う構造が提案されている。具体的には、リレーを収容するケース外に延出されたバスバーの中間部において伝熱シートを介してシャーシや電源装置全体を収容する筐体等に当接させることで、リレーで発生した熱をシャーシや筐体に熱伝導して放熱する構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-79093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、リレーとバッテリーを接続する通電部材を構成するバスバーは、大電流に耐え得るように厚さや面積を大きく確保する必要がある。そのため、特許文献1の構造では、大型のバスバーを用いて放熱用の経路を追加する必要があり、材料費や加工費が上昇するという問題があった。また、大型のバスバーを放熱用にケース外に設けられた他部材まで長く引き回す必要があり、リレーの接続部と放熱部分との距離が大きくなることが避けられない。そのため、リレーでの発熱を効率よく放熱できていないという問題も内在していた。
【0006】
そこで、短い伝熱経路でより確実に発熱部品の放熱を促すことができる新規な構造の回路構成体を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の回路構成体は、通電により発熱する発熱部品と、前記発熱部品の接続部に接続される通電部材と、内部に冷媒が流通されて前記通電部材に熱的に接触される冷却部品を含み、前記冷却部品が、環状筒本体を有し、該環状筒本体の内孔が締結部品挿通孔とされ、前記環状筒本体の内部に前記冷媒が流通される冷媒流路が構成されており、前記冷却部品の前記環状筒本体が、前記締結部品挿通孔を挿通する締結部品により、前記発熱部品の前記接続部に対して、前記通電部材と共に締結されている、回路構成体である。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、短い伝熱経路でより確実に発熱部品の放熱を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態1に係る回路構成体の斜視図である。
図2図2は、図1に示された回路構成体の分解斜視図である。
図3図3は、図1に示された回路構成体において電源から負荷に至る経路における電気的構成を概略的に示す図である。
図4図4は、図1に示された回路構成体を構成するベース部材の分解斜視図である。
図5図5は、図1に示された回路構成体を構成する冷却部品の分解斜視図である。
図6図6は、図5に示された冷却部品を別の方向から示す分解斜視図である。
図7図7は、実施形態2に係る回路構成体の斜視図である。
図8図8は、実施形態3に係る回路構成体の斜視図である。
図9図9は、実施形態4に係る回路構成体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<本開示の実施形態の説明>
最初に、本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示の回路構成体は、
(1)通電により発熱する発熱部品と、前記発熱部品の接続部に接続される通電部材と、内部に冷媒が流通されて前記通電部材に熱的に接触される冷却部品を含み、前記冷却部品が、環状筒本体を有し、該環状筒本体の内孔が締結部品挿通孔とされ、前記環状筒本体の内部に前記冷媒が流通される冷媒流路が構成されており、前記冷却部品の前記環状筒本体が、前記締結部品挿通孔を挿通する締結部品により、前記発熱部品の前記接続部に対して、前記通電部材と共に締結されている、回路構成体である。
【0011】
本開示の回路構成体によれば、発熱部品の発熱部位となる接続部に直接接続される通電部材に対して、内部に冷媒が流通される冷却部品が熱的に接触している。そのため、発熱部品の熱が伝熱される通電部材を、冷却部品により積極的に冷却することができ、従来構造に比べて短い伝熱経路でより確実に発熱部品の放熱を促し、回路構成体の放熱性能の向上を図ることができる。
【0012】
特に、発熱部品の熱が伝熱される通電部材が、冷却部品を流通する冷媒により冷却されることから、バスバー等の通電部材が熱的に接触されるシャーシや筐体自体が70℃を越える高温になる従来構造に比して、放熱効果や冷却効果の向上が図られ得る。また、冷却部品が、発熱部品の発熱部位である接続部に対して通電部材と共に、締結されることから、発熱部品と放熱部位の離隔距離を殆ど無くすことができ、一層効率よく発熱部品の放熱を実現できる。さらに、締結部品を挿通可能な締結部品挿通孔が環状筒本体の内孔を利用して構成されており、締結部品による締結が可能な冷却部品をコンパクトに提供することができる。
【0013】
なお、冷媒流路を流通する冷媒は、ラジエター液等の車両内で利用可能な冷媒であれば、何れも採用可能である。また、冷却部品の通電部材への熱的接触は、通電部材へ冷却部品を直接接触させたり、他の熱伝導率の高い部材を介して間接的に接触させる態様を含む。加えて、通電部材は、発熱部品の接続部に接続されているため、発熱部品の熱が有利に伝熱されるものであるが、発熱部品の接続部に接続された通電部材は、発熱部品の接続部と他部材との間の通電用としてのものの他、他部材に接続されず単に放熱用に用いられるものも含まれる。発熱部品には、リレーやヒューズ等の通電により発熱する部品が含まれる。
【0014】
(2)前記発熱部品の前記接続部に対して、前記冷却部品が前記通電部材を介して締結されていることが好ましい。冷却部品が、発熱部品の発熱部位である接続部に対して通電部材と共に、締結されることから、発熱部品と放熱部位の離隔距離を殆ど無くすことができ、一層効率よく発熱部品の放熱を実現できるからである。
【0015】
(3)前記冷却部品が、前記冷媒の流入口と流出口を備えた前記冷媒流路を有しており、前記流入口と前記流出口に外部の冷媒供給路と冷媒排出路が接続可能とされていることが好ましい。冷却部品に設けられた冷媒流路の流入口と流出口に対して、外部の冷媒供給/排出路を容易に接続することができ、冷却部品の冷媒流路内の冷媒の循環を容易に実現できるからである。
【0016】
(4)前記環状筒本体が、軸方向で相互に組み付けられる環状の第一パーツと環状の第二パーツを含み、前記第一パーツが前記第二パーツへの組付面に開口する凹状の第一流通路形成部を有し、前記第二パーツが前記第一パーツへの組付面に開口する凹状の第二流通路形成部を有し、前記第一パーツと前記第二パーツが、シール部材を介して各前記組付面を密接させた状態で、相互に組み付けられて固定されることにより、前記環状筒本体の内部に前記第一流通路形成部と前記第二流通路形成部により区画された前記冷媒流路が構成されていることが好ましい。
【0017】
状の第一/第パーツの各組付面に開口する第一流通路形成部と第二流通路形成部を、各組付面をシール部材を介して密接させることで、冷媒流路が区画されるようになっていることから、簡単な成形型の構造により冷却部品を形成することができる。
【0018】
(5)上記(4)において、前記第一パーツと前記第二パーツのうち、前記通電部材に接触する一方のパーツが他方のパーツよりも熱伝導性が高い材料で形成されていることが好ましい。通電部材に接触する一方のパーツの熱伝導性を向上させることにより、冷却部品による伝熱性能の向上を効率的に向上させつつ、他方のパーツのコストを抑えることができるからである。
【0019】
(6)前記冷却部品が、前記通電部材に対してボルトを用いて接触状態に固定されており、前記冷却部品が他部材に当接して前記冷却部品の回転を阻止する回転阻止突部を有していることが好ましい。冷却部品が有する回転阻止突部が他部材に当接することで、冷却部品の過度の回転が阻止できることから、冷却部品と通電部材とのボルト締結を有利に行うことができる。
【0020】
<本開示の実施形態の詳細>
本開示の回路構成体の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0021】
<実施形態1>
以下、本開示の実施形態1について、図1から図6を参照しつつ説明する。回路構成体10は、例えば電気自動車やハイブリッド自動車等の車両(図示せず)に搭載され、バッテリー等の電源12からモータ等の負荷14への電力の供給、制御を行う(図3参照)。なお、回路構成体10の車両搭載時の向きは限定されるものではないが、以下の説明において、上方向とは図1中のZ方向、前方向とは図1中のX方向、左方向とは図1中のY方向として説明する。また、複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材については符号を省略する場合がある。
【0022】
<回路構成体10の概略的回路構成>
回路構成体10は、図3に示すように、正極側に設けられた回路構成体10aと負極側に設けられた回路構成体10bを備えている。回路構成体10aの入力側には、電源12の正極側が接続されており、回路構成体10bの入力側には、電源12の負極側が接続されている。回路構成体10aの出力側には、負荷14の正極側が接続されており、回路構成体10bの出力側には、負荷14の負極側が接続されている。回路構成体10aと回路構成体10bの入力側と出力側の間にはそれぞれ、電源12を負荷14に接続する発熱部品であるリレー16が接続されている。加えて、電源12と負荷14の正極側を接続するリレー16には、プリチャージ抵抗18およびプリチャージリレー20がリレー16をバイパスするように直列に接続されたプリチャージ回路22が接続されている。
【0023】
なお、本開示の実施形態1では、図3に示すように、プリチャージ抵抗18は、プリチャージリレー20の入力側に接続されている。電源12と負荷14の負極側を接続するリレー16にも同様にプリチャージ回路22が接続されるが、図3中では、電源12と負荷14の負極側を接続するリレー16に接続されるプリチャージ回路22を二点鎖線で示す。また、リレー16とプリチャージリレー20はいずれも、励磁コイルの通電状態で接点部を移動させて接点部をON/OFFに切り換えるリレーであり、図示しない制御回路によりON/OFF制御がなされている。以上述べてきたように、回路構成体10aと回路構成体10bは略同一構造とされている。
【0024】
<回路構成体10>
回路構成体10は、例えば図4に示すように、車両搭載時において下方に位置するロアケース24と上方に位置するアッパケース26を備えている。そして、ロアケース24とアッパケース26によって絶縁性のベース部材28が構成されている。ベース部材28の内部にはリレー16とプリチャージ回路22を接続するバスバーやプリチャージ回路22内を接続するバスバーが収容される。また、ベース部材28に対して、2つのリレー16と、それぞれのリレー16の接続部30a,30bに接続された通電部材としてのバスバー32,34が設けられている。
【0025】
<ロアケース24>
ロアケース24は、絶縁性の合成樹脂を所定の形状に射出成形してなる。ロアケース24を構成する合成樹脂は、ガラスファイバー等のフィラーを含んでいてもよい。ロアケース24は、全体として横長の(左右方向幅寸法が前後方向幅寸法よりも大きい)扁平形状を有している。ロアケース24の外周面には、複数のロア側係合部36が設けられている。ロア側係合部36は、後述するアッパケース26の外周面に設けられたアッパ側係合部46と係合して、ロアケース24とアッパケース26とが相互に固定されるようになっている。なお、ロア側係合部36とアッパ側係合部46との係合態様は限定されるものではなく、例えば凹凸嵌合等が採用され得る。
【0026】
ロアケース24の上面には、後述するリレー16,16の脚部63がボルト締結される略角筒形状のリレー固定部38が上方に向かって突出して設けられている。さらに、ロアケース24の上面には、リレー16やプリチャージ抵抗18、プリチャージリレー20等に電線等を接続するためのボルト挿通部40が設けられている。即ち、電線の末端に設けられた端子部とアッパケース26とが重ね合わされた状態でボルト挿通部40にボルトが挿通されることで、電線とリレー16等が電気的に接続され得る。ロアケース24において、ボルト挿通部40は、略角筒形状をもって複数設けられている。
【0027】
<アッパケース26>
アッパケース26は、絶縁性の合成樹脂を所定の形状に射出成形してなる。アッパケース26を構成する合成樹脂は、ガラスファイバー等のフィラーを含んでいてもよい。アッパケース26は、全体として下方に開口する略箱体形状を有しており、ロアケース24と略同様の形状とされた上壁42と、当該上壁42から下方に突出する周壁44が設けられている。周壁44の下端部において、ロアケース24におけるロア側係合部36と対応する箇所には、アッパ側係合部46が設けられており、ロア側係合部36と係合可能とされている。
【0028】
また、アッパケース26には、リレー16が収容される収容凹部48が形成されている。実施形態1では、正極側のリレー16が収容される収容凹部48と負極側のリレー16が収容される収容凹部48とが相互に左右方向で離隔して設けられている。収容凹部48の底面は、水平平面(上下方向と直交する方向に広がる平面)上に広がる略平坦面とされており、上壁42よりも低い位置に設けられている。さらに、左側の収容凹部48の前方および右側の収容凹部48の後方には、バスバー32,34が載置される載置面50,50が設けられている。載置面50,50は、収容凹部48の底面よりも低い位置に設けられている。これら載置面50,50の間には上下方向に突出する仕切壁部52が形成されている。これにより、リレー16の+側に接続されるバスバー32と-側に接続されるバスバー34とが当接して、電気的な短絡が発生することが防止され得る。
【0029】
なお、上壁42において、ロアケース24におけるリレー固定部38およびボルト挿通部40と対応する位置には、上下方向で貫通する貫通孔54が形成されている。貫通孔54にボルトを挿通することで、リレー16をボルト締結したり、バスバー32,34と電線等を電気的に接続することが可能とされている。また、上壁42には、プリチャージ抵抗18を装着するためのプリチャージ抵抗装着部56と、プリチャージリレー20を装着するためのプリチャージリレー装着部58が、上方に開口して設けられている。
【0030】
<リレー16>
リレー16は、機械式のリレーであって、図示しない制御回路によりON/OFF制御がなされている。リレー16は、図2にも示すように、全体として略中空の直方体状とされたリレー本体60を備えており、当該リレー本体60の内部に、図示しない接点部およびコイル部を有している。なお、左側のリレー16と右側のリレー16は同様の構造であり、前後反転した状態で装着される。以下の説明では、左側のリレー16について説明して、右側のリレー16の説明を省略する。また、リレー本体60の前端面には、一対の貫通孔が左右方向で相互に離隔して形成されており、これら貫通孔により前述のリレー16の接続部30a,30bが構成されている。
【0031】
そして、通電時においてリレー16の接点部を介して、接続部30a,30b間に電流が流れることで、接点部において発熱するようになっている。なお、接続部30a,30bの間には、前方に突出する仕切板部62が、リレー本体60の上下方向略全長に亘って形成されている。これにより、+側の接続部30aに接続されるバスバー32と-側の接続部30bに接続されるバスバー34との接触に伴う電気的な短絡が発生しないようになっている。
【0032】
リレー本体60には、左右方向両側に突出する複数(本実施形態では3個)の脚部63が設けられていると共に、当該脚部63にはボルト挿通孔が形成されている。ベース部材28における収容凹部48の底面に設けられた貫通孔54と脚部63のボルト挿通孔とを位置合わせした状態で固定ボルト64を挿通して締結することで、リレー16がベース部材28に取り付けられている。
【0033】
<バスバー32,34>
一対のバスバー32,34は、それぞれが導電性を有する金属板材を加工することによって形成されている。各バスバー32,34は、図2にも示されるように、略L字形状に屈曲して形成されている。屈曲部分に対する一方の側がリレー16の接続部30a,30bに接続される略矩形板形状の第一接続部32a,34aとされている。第一接続部32a,34aは、板厚方向である前後方向に貫通するボルト挿通孔66を有している。バスバー32,34は、リレー16の接続部30a,30bに対してボルト締結されることにより、リレー16の接続部30a,30bに対して電気的および熱的に接続されるようになっている。
【0034】
また、各バスバー32,34において屈曲部分に対する他方の側は前方に向かって延び出しており、当該延出部分が略矩形板形状の第二接続部32b,34bとされている。第二接続部32b,34bは、板厚方向である上下方向に貫通するボルト挿通孔68を有している。これらのボルト挿通孔68は、ベース部材28の載置面50,50にバスバー32,34を載置した際に、載置面50に設けられた貫通孔54と位置合わせされるようになっている。そして、バスバー32,34の第二接続部32b,34bに図示しない電線末端の端子部等を重ね合わせて、ボルト挿通孔68および貫通孔54にボルトを挿通して締結することで電線とバスバー32,34とが電気的に接続されるようになっている。
【0035】
<冷却部品70>
バスバー32,34には、図5,6に示される如き冷却部品70が熱的に接触している。実施形態1の冷却部品70は、全体として前後方向に延びる円筒形状とされており、環状筒本体72と、当該環状筒本体72の内周側を前後方向に貫通する内孔74とを備えている。
【0036】
実施形態1では、一対の冷却部品70,70が設けられている。即ち、リレー16における+側の接続部30aに対して第一の冷却部品70aが取り付けられていると共に、リレー16における-側の接続部30bに対して第二の冷却部品70bが取り付けられている。実施形態1では、第一の冷却部品70aと第二の冷却部品70bとが同様の構造とされていることから、以下の説明では、第一の冷却部品70aについて説明して、第二の冷却部品70bについての説明を省略する。
【0037】
第一の冷却部品70aの環状筒本体72は、前後方向(環状筒本体72の中心軸方向)で相互に連結される第一パーツ76と第二パーツ78とを含んで構成されている。実施形態1では、第一パーツ76と第二パーツ78とが前後方向で端面同士を重ね合わせるように組み付けられている。即ち、第一パーツ76の前端面が第二パーツ78への組付面79aとされていると共に、第二パーツ78の後端面が第一パーツ76への組付面79bとされている。それ故、環状筒本体72および内孔74が前後方向で分離可能とされており、第一パーツ76が、環状筒本体72および内孔74の後方部分を構成する第一の環状筒本体72aおよび第一の内孔74aを備えている。また、第二パーツ78が、環状筒本体72および内孔74の前方部分を構成する第二の環状筒本体72bおよび第二の内孔74bを備えている。
【0038】
第一パーツ76は、全体として略有底筒形状とされており、略円板形状とされた第一の底壁部80aから前方に向かって第一の環状筒本体72aが突出して設けられている。実施形態1では、第一の環状筒本体72aに、上下方向両側に突出する突出部82,82が一体的に形成されている。この突出部82は、半円形乃至は円形断面を有して、第一パーツ76の前後方向略全長に亘って延びている。そして、第一パーツ76において突出部82の外周面と突出部82の非形成部分の外周面とが滑らかな湾曲面で連続している。なお、突出部82には、前方に開口するボルト穴83が設けられている。また、第一の底壁部80aの形状は、第一の環状筒本体72aの形状に略対応して、左右方向の幅寸法に比して上下方向の幅寸法が大きくされており、上下方向両側に突出部分84,84が形成されている。
【0039】
さらに、第一パーツ76の径方向中間部分には、前端面(組付面79a)に開口する凹状の部分を有している。実施形態1では、この凹状の部分が、周方向に延びる円弧状凹部85とされている。特に、実施形態1では、略1周の周方向寸法をもって延びている。即ち、実施形態1では、第一の環状筒本体72aの内周側に径方向で離隔して第一の内側筒部86aが設けられている。この第一の内側筒部86aの内周側に第一の内孔74aが形成されていると共に、第一の環状筒本体72aと第一の内側筒部86aとの径方向間に円弧状凹部85が形成されている。
【0040】
この第一パーツ76は、第一の環状筒本体72aと第一の内側筒部86aとからなる二重筒構造とされていると共に、周上の一部において第一の環状筒本体72aと第一の内側筒部86aとが相互に連結されている。これにより、後述する冷媒が第一および第二の冷却部品70a,70b内を流通する際に、冷媒が第一および第二の冷却部品70a,70b内で回り込むように流動することができる。それ故、後述する冷媒流路95の長さを十分に確保することができて、冷却効果が安定して発揮され得る。
【0041】
第二パーツ78は、全体として略有底筒形状とされており、略円板形状とされた第二の底壁部80bから後方に向かって第二の環状筒本体72bが突出して設けられている。第二の環状筒本体72bには、上下方向両側に突出する突出部88が一体的に形成されている。この突出部88は、第一パーツ76における突出部82と同様の外形状とされている。突出部88は、第二パーツ78の前後方向全長までは延びておらず、第二パーツ78の後方端部に設けられている。そして、この突出部88を前後方向で貫通してボルト孔90が形成されている。
【0042】
第二パーツ78の径方向中間部分には、後端面(組付面79b)に開口する凹状の部分を有している。実施形態1では、この凹状の部分が、周方向に延びる円弧状凹部92とされている。特に、本実施形態1では、略1周の周方向寸法をもって延びている。即ち、実施形態1では、第二の環状筒本体72bの内周側に径方向で離隔して第二の内側筒部86bが設けられている。この第二の内側筒部86bの内周側に第二の内孔74bが形成されていると共に、第二の環状筒本体72bと第二の内側筒部86bとの径方向間に円弧状凹部92が形成されている。
【0043】
この第二パーツ78は、第二の環状筒本体72bと第二の内側筒部86bとからなる二重筒構造とされていると共に、周上の一部において第二の環状筒本体72bと第二の内側筒部86bとが相互に連結されている。これにより、後述する冷媒が第一および第二の冷却部品70a,70b内を流通する際に、冷媒が第一および第二の冷却部品70a,70b内で回り込むように流動することができる。それ故、後述する冷媒流路95の長さを十分に確保することができて、冷却効果が安定して発揮され得る。
【0044】
そして、第一パーツ76の組付面79aと第二パーツ78の組付面79bとを重ね合わせることで、第一パーツ76の突出部82と第二パーツ78の突出部88も重ね合わされて、ボルト穴83とボルト孔90とが相互に連通する。これらボルト穴83およびボルト孔90に前方から固定ボルト94が挿通されて締結されることで、第一パーツ76と第二パーツ78とが前後方向で連結される。これにより、第一の環状筒本体72aと第二の環状筒本体72bとが連続して環状筒本体72が構成されると共に、第一の内孔74aと第二の内孔74bとが連通して内孔74が構成される。また、第一パーツ76における円弧状凹部85と第二パーツ78における円弧状凹部92とが前後方向で相互に連通するようになっている。そして、これら両円弧状凹部85,92により区画された領域が、冷媒が流通される冷媒流路95とされている。なお、冷媒流路95を流通する冷媒は、ラジエター液等の車両内で利用可能な冷媒であれば、何れも採用可能である。
【0045】
すなわち、実施形態1では、第一の環状筒本体72aおよび第一の内側筒部86aの後端面と第二の環状筒本体72bおよび第二の内側筒部86bの前端面とが重ね合わされるようになっている。これらの重ね合わせ面間には、シール部材としてのOリング96が設けられている。要するに、第一および第二の環状筒本体72a,72b間には、外周側Oリング96aが設けられていると共に、第一の内側筒部86aと第二の内側筒部86bとの間には、内周側Oリング96bが設けられている。第一パーツ76と第二パーツ78とが組み付けられる際に外内のOリング96a,96bが前後方向で圧縮されることにより、第一パーツ76と第二パーツ78との組付面79a,79bが相互に密接して、冷媒が漏出しないようにされている。
【0046】
以上の如き構造とされた第一の冷却部品70aと第二の冷却部品70bとが、リレー16の左右両側で1つずつ設けられている。そして、左右方向で隣り合う第一の冷却部品70aと第二の冷却部品70bが、チューブ98で連通されている。実施形態1では、左右方向で隣り合う両第一の環状筒本体72a,72aに厚さ方向で貫通する貫通孔100が形成されている。貫通孔100の開口縁部にチューブ98が接着や溶着等により固着されることで、円弧状凹部85,85同士(即ち、冷媒流路95,95同士)がチューブ98を介して相互に連通されている。
【0047】
また、左右方向で隣り合う両第二の環状筒本体72b,72bに厚さ方向で貫通する貫通孔102が形成されている。貫通孔102の開口縁部に外方に延びるチューブ104が接着や溶着等により固着されることで、両円弧状凹部92,92(即ち、両冷媒流路95,95)がそれぞれチューブ104を介して外部空間に連通されている。
【0048】
これにより、一方の貫通孔102が冷媒流路95へ冷媒の流入口とされると共に、他方の貫通孔102が冷媒流路95からの流出口とされている。
【0049】
そして、一方の貫通孔102(流入口)に接続されるチューブ104が外部から冷媒流路95へ冷媒を供給する冷媒供給路とされる。同様に、他方の貫通孔102(流出口)に接続されるチューブ104が冷媒流路95から外部へ冷媒を排出する冷媒排出路とされる。また、第一パーツ76において第二パーツ78への組付面79aに開口して、冷媒流路95の一部を構成する第一流通路形成部が円弧状凹部85により構成されている。同様に、第二パーツ78において第一パーツ76への組付面79bに開口して、冷媒流路95の一部を構成する第二流通路形成部が円弧状凹部92により構成されている。
【0050】
なお、上記の如き冷却部品(第一パーツ76および第二パーツ78)は、例えば硬質の合成樹脂により好適に形成され得る。また、これら第一パーツ76と第二パーツ78のうち、通電部材であるバスバー32,34に接触する方(実施形態1では第一パーツ76)が熱伝導性が高い材料であることが好ましい。
【0051】
<回路構成体10の組み付け工程>
続いて、回路構成体10の組み付け工程の一例について説明する。回路構成体10の組み付け工程は、以下の記載に限定されない。
【0052】
まず、ベース部材28を構成するロアケース24とアッパケース26を準備する。次に、ロアケース24又はアッパケース26に対してリレー16とプリチャージ回路22を接続するバスバーやプリチャージ回路22内を接続するバスバーを収容配置する。続いて、ロアケース24に対してアッパケース26を上方から重ね合わせて、ロア側係合部36とアッパ側係合部46とを係合させる。これにより、ロアケース24とアッパケース26が組み付けられて、ベース部材28が形成される。
【0053】
そして、アッパケース26の収容凹部48に対してリレー16を配置して、固定ボルト64によりベース部材28に対してリレー16を固定する。続いて、2つのリレー16に対してそれぞれバスバー32,34を配置する。なお、以下の説明では、左方のリレー16について説明する。
【0054】
すなわち、バスバー32,34の第一接続部32a,34aがリレー16の接続部30a,30bに対して前方側から重ね合わされる。また、バスバー32,34の第二接続部32b,34bが収容凹部48の底面に対して前方側に位置する載置面50に上方から重ね合わされる。
【0055】
次に、予め組み立てておいた冷却部品70(第一および第二の冷却部品70a,70b)をリレー16の前端面に対してバスバー32,34の第一接続部32a,34aを介して重ね合わせる。そして、リレー16の接続部30a,30bと第一接続部32a,34aのボルト挿通孔66,66と第一および第二の冷却部品70a,70bの内孔74(第一および第二の内孔74a,74b)とをそれぞれ位置合わせする。これら接続部30a,30b、ボルト挿通孔66,66、内孔74a,74bに締結部品としての固定ボルト108,108を挿通して締結する。これにより、リレー16の接続部30a,30bに対して第一および第二の冷却部品70a,70bがバスバー32,34を介してボルト固定される。換言すれば、リレー16に対してバスバー32,34を固定する固定ボルト108,108を利用して、第一および第二の冷却部品70a,70bが共締めされている。即ち、冷却部品70において締結部品である固定ボルト108が挿通される締結部品挿通孔が、環状筒本体72の内孔74により構成されている。
【0056】
これにより、バスバー32,34に対して第一および第二の冷却部品70a,70bにおける第一および第二の底壁部80a,80bが直接的に当接することで、第一および第二の底壁部80a,80bが熱的に接触している。特に、第一および第二の底壁部80a,80bには、上下方向両側に突出する突出部分84,84が設けられており、バスバー32,34との接触面積が大きく確保されている。この結果、バスバー32,34から第一および第二の冷却部品70a,70bへの熱効率の向上が図られている。尤も、バスバー32,34と第一および第二の冷却部品70a,70bとは熱的に接触していればよく、直接的に当接している必要はない。即ち、バスバーと冷却部品との間に伝熱性を有する部材が設けられてもよく、バスバーと冷却部品とは伝熱性を有する部材を介して間接的に当接していてもよい。
【0057】
なお、固定ボルト108の締付けに際して、第一および第二の冷却部品70a,70bにおける突出部82,88や上下方向の突出部分84が、リレー16の接続部30a,30b間に設けられた仕切板部62に当接可能とされている。これにより、固定ボルト108,108と共に第一および第二の冷却部品70a,70bが回転することが防止され得る。したがって、実施形態1では、冷却部品70において他部材への当接により冷却部品70の回転を阻止する回転阻止突部が、突出部82と突出部88と突出部分84との少なくとも一つにより構成されている。
【0058】
上記の如き工程をもって回路構成体10が組み付けられている。なお、バスバー32,34の第二接続部32b,34bに対して電線末端の端子部が重ね合わされてボルト固定されることで、バスバー32,34を介してリレー16に電力が供給され得る。
【0059】
以上の如き構造とされた実施形態1の回路構成体10では、リレー16に電力が供給されることでリレー16内部の接点部が発熱して、この熱は、リレー16に接続されるバスバー32,34に及ぼされる。ここにおいて、バスバー32,34には冷却部品70(第一および第二の冷却部品70a,70b)が熱的に接触しており、当該冷却部品70の内部に冷媒が流通される冷媒流路95が構成されている。これにより、冷媒流路95内を冷媒が流通することで、バスバー32,34が効率的に冷却されて、リレー16の発熱が解消される。この結果、別途放熱用の経路等を設けることがなく、発熱部品の放熱が材料費や加工費の上昇を伴うことなく達成され得る。
【0060】
また、実施形態1の回路構成体10では、バスバー32,34と共に第一および第二の冷却部品70a,70bがボルト固定によりリレー16に共締めされている。それ故、発熱部品と通電部材との固定手段と、通電部材と冷却部品との固定手段を別個に設けることがなく、回路構成体10の構造が簡略化され得る。特に、放熱部位が、リレー16に直接的に固定される固定ボルト108,108とされることで、リレー16からの放熱が一層効率よく達成され得る。
【0061】
さらに、実施形態1の回路構成体10では、第一および第二の冷却部品70a,70bにおける冷媒の流入口(貫通孔102)や流出口(貫通孔102)に対してチューブ104が接続されており、冷媒供給路および冷媒排出路を構成している。これにより、冷媒流路95への外部の冷媒源からの冷媒の供給や冷媒流路95からの外部の冷媒源への冷媒の排出がより確実に達成され得る。
【0062】
特に、実施形態1の回路構成体10では、第一および第二の冷却部品70a,70bが締結部品挿通孔として利用可能な内孔74を有する環状筒本体72を有し、環状筒本体72が相互に別体とされた第一パーツ76と第二パーツ78とを組み付けることで構成されている。そして、第一パーツ76の内部に設けられた第一流通路形成部(円弧状凹部85)と第二パーツ78の内部に設けられた第二流通路形成部(円弧状凹部92)とを含んで冷媒流路95が形成されている。これにより、締結部材により締結可能で内部に冷媒流路95を有する第一および第二の冷却部品70a,70bを簡単な構造の成形型で形成することが可能となる。また、第一パーツ76と第二パーツ78との組付面79a,79b間にシール部材としてのOリング96(外周側Oリング96aおよび内周側Oリング96b)が設けられていることから、組付面79a,79b間からの冷媒の漏れも防止され得る。加えて、環状筒本体72の内孔74を締結部品である固定ボルト108が挿通される締結部品挿通孔として利用していることから、締結部品により締結が可能となる冷却部品70をコンパクトに提供することができる。
【0063】
さらに、第一パーツ76と第二パーツ78においては、バスバー32,34に接触する第一パーツ76の方が熱伝導性が高い材料で形成されることが好適である。これにより、リレー16の発熱がバスバー32,34を介してより効率よく冷却部品70を構成する第一パーツ76に及ぼされて、冷却部品70による冷却がより確実に達成され得る。
【0064】
更にまた、第一および第二の冷却部品70a,70bは、上下方向両側に突出する突出部82,88および突出部分84を備えており、左右方向寸法に比して上下方向寸法が大きくされている。これにより、第一および第二の冷却部品70a,70bに対して固定ボルト108,108を挿通して締結する際に、第一および第二の冷却部品70a,70bの上下方向両側部分が仕切板部62に当接することで、第一および第二の冷却部品70a,70bが、固定ボルト108,108と共に過度に回転することが防止され得る。
【0065】
<実施形態2>
次に、本開示の実施形態2について、図7を参照しつつ説明する。図7に示される回路構成体120は、全体として、実施形態1の回路構成体10と同様の構造ではあるが、冷却部品70(第一の冷却部品70aおよび第二の冷却部品70b)を取り付ける位置が異なっている。以下の説明では、実施形態1の回路構成体10との相違点について説明して、同様の構造とされる部分の説明を省略する。また、以下の説明において、実施形態1と実質的に同一の部材又は部位には、図中に、実施形態1と同一の符号を付すことにより詳細な説明を省略する。
【0066】
実施形態2では、第一および第二の冷却部品70a,70bが、バスバー32,34の第二接続部32b,34bに取り付けられている。即ち、ベース部材28の載置面50に設けられた貫通孔54と、第二接続部32b,34bに設けられたボルト挿通孔68と、第一および第二の冷却部品70a,70bにおける第一および第二の内孔74a,74bとがそれぞれ位置合わせされている。なお、第二接続部32b,34bと第一および第二の冷却部品70a,70bとの間には、図示しない電線端末に設けられた端子部がボルト挿通孔と位置合わせされた状態で介在される。そして、これら貫通孔54とボルト挿通孔68と第一および第二の内孔74a,74bに固定ボルト108,108が挿通されて締結されている。
【0067】
なお、バスバー32,34の第一接続部32a,34aには、図示しない電線末端の端子部が重ね合わされて、第一接続部32a,34aのボルト挿通孔66,66およびリレー16の接続部30a,30bと位置合わせされている。そして、これらにボルト122,122が挿通されて締結されている。
【0068】
以上の如き構造とされた実施形態2における回路構成体120においても、リレー16の発熱が、バスバー32,34に伝達されると共に、当該バスバー32,34に対して熱的に接触する冷却部品70により放熱され得る。特に、実施形態2では、第一および第二の冷却部品70a,70bがバスバー32,34と共にベース部材28に対して共締めされており、実施形態1と同様に効率的な組付けが実現され得る。
【0069】
なお、実施形態2では、第一および第二の冷却部品70a,70b間に、ベース部材28に設けられた仕切壁部52が位置している。これにより、第一および第二の冷却部品70a,70bが回転した際に、第一および第二の冷却部品70a,70bにおいて前後方向両側に突出する突出部82,88および突出部分84が仕切壁部52に当接して、それ以上の回転が阻止されるようになっている。したがって、実施形態2においても、第一および第二の冷却部品70a,70bの回転を阻止する回転阻止突部が、突出部82と突出部88と突出部分84の少なくとも一つによって構成され得る。
【0070】
<実施形態3>
次に、本開示の実施形態3について、図8を参照しつつ説明する。図8に示される回路構成体130は、全体として、実施形態1の回路構成体10と同様の構造ではあるが、実施形態1の回路構成体10とは、冷却部品132の構造が異なっている。以下の説明では、実施形態1の回路構成体10との相違点について説明して、同様な構造とされた部分の説明を省略する。
【0071】
すなわち、実施形態3の回路構成体130では、リレー16の接続部30a,30bに接続されるバスバー32,34の一方(バスバー32)に冷却部品132が熱的に接触している。このような構造とされた回路構成体130においてもリレー16の発熱に対する冷却効果は発揮され得る。実施形態3の冷却部品132も、第一パーツ76と第二パーツ78とから構成されて、第二パーツ78に2つの貫通孔102,102が設けられて、当該貫通孔102,102に対して冷媒供給路および冷媒排出路を構成するチューブ104,104が接続され得る。したがって、実施形態3の冷却部品132は、左右方向で隣り合う第一パーツ(76,76)を連結するチューブ(98)が設けられていない態様となっている。
【0072】
なお、実施形態3の回路構成体130では、2つのリレー16が設けられており、それぞれに冷却部品132が設けられているが、冷却部品132は何れか一方のリレー16に設けられるだけでもよい。また、リレー16に接続される他方のバスバー34には、冷却部品は設けられなくてもよいし、従来公知の冷却部品を採用してもよい。
【0073】
<実施形態4>
次に、本開示の実施形態4について、図9を参照しつつ説明する。図9に示される回路構成体140は、全体として、実施形態3の回路構成体130と同様の構造ではあるが、実施形態2の回路構成体120と同様に、冷却部品132が、バスバー32の第二接続部32bに対して熱的に接触している。
【0074】
以上の如き構造とされた回路構成体140においても実施形態1と同様の効果が発揮され得る。
【0075】
なお、図8に示される如きバスバーの第一接続部に冷却部品を熱的に接触させる態様と図9に示される如きバスバーの第二接続部に冷却部品を熱的に接触させる態様とは組み合わせて採用することが可能である。即ち、一方のバスバー32の第一接続部32aに冷却部品132を熱的に接触させると共に、他方のバスバー34の第二接続部34bに冷却部品132を熱的に接触させてもよい。その際、これら冷却部品132,132は、チューブ98により相互に連結されて1つの冷媒流路を構成してもよいし、相互に独立して、それぞれ別個の冷媒流路を構成してもよい。
【0076】
<他の実施形態>
本明細書に記載された技術は上記記述および図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書に記載された技術の技術的範囲に含まれる。
【0077】
(1)前記実施形態1や実施形態2では、左右で隣り合う冷却部品として、同様の構造とされた冷却部品を採用していたが、相互に形状や大きさ等を異ならせてもよい。
【0078】
(2)前記実施形態1や実施形態2では、隣り合う冷却部品70a,70bにおける第一パーツ76,76同士がチューブ98によって接続されると共に、第二パーツ78,78がそれぞれチューブ104を介して外部に接続されていた。このような態様に限定されず、第二パーツ同士がチューブによって接続されると共に、第一パーツがチューブを介して外部に接続されてもよいし、第一パーツと第二パーツとがチューブにより接続されてもよい。
【0079】
(3)前記各実施形態では、第一パーツ76における円弧状凹部85と第二パーツ78における円弧状凹部92は、略等しい周方向長さを有して、且つ相互に対応する位置に設けられていた。このような態様に限定されず、例えば相互に周方向長さを異ならせたり、形成する位置を相互に周方向で異ならせてもよく、第一パーツと第二パーツの組付時に両パーツに設けられる周方向凹部が相互に連通するようになっていればよい。尤も、周方向凹部は第一パーツと第二パーツの両方に設けられる必要はなく、一方のパーツに設けられた周方向凹部の開口部を他方のパーツで覆蓋するようになっていてもよい。
【0080】
(4)前記各実施形態では、冷却部品70,132が全体として円筒形状の本体部を有していたが、例えば角筒形状の本体部を有していてもよい。このような場合には、本体部の角部により冷却部品の回転を阻止する回転阻止突部が構成され得る。
【0081】
(5)前記各実施形態では、第一パーツ76と第二パーツ78とが固定ボルト94により固定されていたが、両パーツの固定方法は限定されるものではなく、例えば接着や溶着、凹凸による係止等であってもよい。
【符号の説明】
【0082】
10,10a,10b 回路構成体
12 電源
14 負荷
16 リレー(発熱部品)
18 プリチャージ抵抗
20 プリチャージリレー
22 プリチャージ回路
24 ロアケース
26 アッパケース
28 ベース部材
30a,30b 接続部
32,34 バスバー
32a,34a 第一接続部
32b,34b 第二接続部
36 ロア側係合部
38 リレー固定部
40 ボルト挿通部
42 上壁
44 周壁
46 アッパ側係合部
48 収容凹部
50 載置面
52 仕切壁部
54 貫通孔
56 プリチャージ抵抗装着部
58 プリチャージリレー装着部
60 リレー本体
62 仕切板部
63 脚部
64 固定ボルト
66,68 ボルト挿通孔
70 冷却部品
70a 第一の冷却部品
70b 第二の冷却部品
72 環状筒本体
72a 第一の環状筒本体
72b 第二の環状筒本体
74 内孔(締結部品挿通孔)
74a 第一の内孔
74b 第二の内孔
76 第一パーツ
78 第二パーツ
79a (第一パーツにおける第二パーツへの)組付面
79b (第二パーツにおける第一パーツへの)組付面
80a 第一の底壁部
80b 第二の底壁部
82 突出部(回転阻止突部)
83 ボルト穴
84 突出部分(回転阻止突部)
85 円弧状凹部(第一流通路形成部)
86a 第一の内側筒部
86b 第二の内側筒部
88 突出部(回転阻止突部)
90 ボルト孔
92 円弧状凹部(第二流通路形成部)
94 固定ボルト
95 冷媒流路
96 Oリング(シール部材)
96a 外周側Oリング
96b 内周側Oリング
98 チューブ
100 貫通孔
102 貫通孔(流入口、流出口)
104 チューブ(冷媒供給路、冷媒排出路)
108 固定ボルト
120 回路構成体
122 ボルト
130 回路構成体
132 冷却部品
140 回路構成体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9