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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-21
(45)【発行日】2023-09-29
(54)【発明の名称】ポリマーブレンドフィルムおよび積層体
(51)【国際特許分類】
   C08J 5/18 20060101AFI20230922BHJP
   C08L 79/08 20060101ALI20230922BHJP
   C08L 71/02 20060101ALI20230922BHJP
   C08K 5/06 20060101ALI20230922BHJP
   C08G 73/10 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
C08J5/18 CFG
C08L79/08 C
C08L71/02
C08K5/06
C08G73/10
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020525400
(86)(22)【出願日】2019-05-27
(86)【国際出願番号】 JP2019020827
(87)【国際公開番号】W WO2019239865
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2022-02-10
(31)【優先権主張番号】P 2018112684
(32)【優先日】2018-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018112685
(32)【優先日】2018-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003160
【氏名又は名称】東洋紡株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山本 佑
(72)【発明者】
【氏名】栗田 智晴
【審査官】石塚 寛和
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/125832(WO,A1)
【文献】特開2015-227418(JP,A)
【文献】特開2013-049743(JP,A)
【文献】特開2014-028922(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 5/00-5/02、5/12-5/22
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00-13/08
C08G 73/00-73/26
B32B 1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアミドイミド100質量部に対して、一般式(I)で表される構造を有する化合物を0.1~15質量部含有し、前記ポリアミドイミドが構成単位として一般式(II)で表される構造を含み、前記ポリアミドイミドの全構成成分を200モル%としたとき、一般式(II)で表される構造が100モル%以上、190モル%以下である、ポリマーブレンドフィルム。
【化1】

(一般式(I)中、nは1以上の整数であり、mは5以上の整数である。)
【化2】

(一般式(II)中、R1およびR2は同じであっても異なっていてもよく、それぞれ独立に、水素、炭素数1~4のアルキル基、又は炭素数1~4のアルコキシ基を示す。)
【請求項2】
ポリアミドイミド100質量部に対して、導電性粒子を0.1~30質量部含有することを特徴とする請求項1に記載のポリマーブレンドフィルム。
【請求項3】
150℃~300℃における重量減少率が1.5質量%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリマーブレンドフィルム。
【請求項4】
ガラス転移温度が280℃以上であることを特徴とする請求項1~のいずれかに記載のポリマーブレンドフィルム。
【請求項5】
ポリアミドイミドの酸価が250eq/10g以下であることを特徴とする請求項1~のいずれかに記載のポリマーブレンドフィルム。
【請求項6】
ポリマーブレンドフィルムの厚みが1~50μmであることを特徴する請求項1~のいずれかに記載のポリマーブレンドフィルム。
【請求項7】
ポリマーブレンドフィルムの反りが40mm以下であることを特徴とする請求項1~のいずれかに記載のポリマーブレンドフィルム。
【請求項8】
ポリマーブレンドフィルムの光線透過率が50%以上であることを特徴とする請求項1~のいずれかに記載のポリマーブレンドフィルム。
【請求項9】
請求項1~のいずれかに記載のポリマーブレンドフィルムの表面の少なくとも片面にポリイミドフィルムを積層した積層体。
【請求項10】
積層体からのポリマーブレンドフィルムの剥離強度が0.01~1N/cmであることを特徴とする請求項に記載の積層体。
【請求項11】
下記(1)~(3)の工程を有し、ポリアミドイミド100質量部に対して、一般式(I)で表される構造を有する化合物を0.1~15質量部含有し、前記ポリアミドイミドが構成単位として一般式(II)で表される構造を含み、前記ポリアミドイミドの全構成成分を200モル%としたとき、一般式(II)で表される構造が100モル%以上、190モル%以下である、ポリマーブレンドフィルムの製造方法。
【化1】

(一般式(I)中、nは1以上の整数であり、mは5以上の整数である。)
【化2】

(一般式(II)中、R1およびR2は同じであっても異なっていてもよく、それぞれ独立に、水素、炭素数1~4のアルキル基、又は炭素数1~4のアルコキシ基を示す。)
(1)支持体である樹脂フィルムの少なくとも片面に、ポリアミドイミド100質量部に対して、一般式(I)で表される構造を有する化合物を0.1~15質量部含有するポリマーブレンド組成物をキャストし積層体を作製する工程
(2)ポリマーブレンド組成物層を支持体の樹脂フィルムから剥離せず積層体の状態でポリマーブレンド組成物層を乾燥する工程
(3)支持体の樹脂フィルムからポリマーブレンド組成物層を剥離し、ポリマーブレンドフィルムを得る工程
【請求項12】
支持体である樹脂フィルムがポリイミドフィルムである請求項11に記載のポリマーブレンドフィルムの製造方法。
【請求項13】
前記樹脂フィルムが単層であることを特徴とする請求項11または12に記載のポリマーブレンドフィルムの製造方法。
【請求項14】
前記ポリマーブレンドフィルムの厚みが1~50μmであることを特徴とする請求項10~13のいずれかに記載のポリマーブレンドフィルムの製造方法。
【請求項15】
前記樹脂フィルムの厚みが1~500μmであることを特徴とする請求項10~14のいずれかに記載のポリマーブレンドフィルムの製造方法。
【請求項16】
前記ポリマーブレンドフィルムの光線透過率が50%以上であることを特徴とする請求項10~15のいずれかに記載のポリマーブレンドフィルムの製造方法。
【請求項17】
前記ポリマーブレンドフィルムの反りが40mm以下であることを特徴とする請求項10~16のいずれかに記載のポリマーブレンドフィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリアミドイミドを主成分とするポリマーブレンドフィルム、該ポリマーブレンドフィルムを用いた積層体、およびポリマーブレンドフィルムの製造方法に関する。更に詳しくは耐熱性の要求されるFPC(フレキシブルプリント配線板)やCOF(チップオンフィルム)のフィルムなどの各種電子部材等で使用されるポリマーブレンドフィルムおよびポリマーブレンドフィルムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的にポリアミドイミドフィルムは耐熱性、強度、絶縁性、耐薬品性、加工性に優れており、電子、電気の絶縁材料として広く使用されている。ポリアミドイミドフィルムの製造方法としては大きく3つの工程からなるのが一般的である。
(1)支持体である金属製のエンドレスベルトや樹脂製のフィルム上にワニスをキャストし、タックフリーになるまで乾燥させる。
(2)支持体から剥離する。
(3)剥離したフィルムを熱処理し、残溶剤を除去する。
【0003】
熱処理の方法としては、剥離したフィルムの両端部を把持することで、溶剤揮発時に生じる体積収縮によるフィルムにシワが入ることを抑制できるピンテンター方式やクリップテンター方式が挙げられる(特許文献1、2)。
【0004】
しかしながら、上記方式はフィルムの端部に溶剤揮発時の体積収縮の応力が端部に集中するため、フィルムが破断しやすく、生産性が低下することがあるという問題がある。また製造時にフィルム屑が混入しやすく、巻取り時にキズや打痕など外観不良が発生する問題もある。
【0005】
ピンテンター方式やクリップテンター方式以外の方法として、金属箔/樹脂フィルム積層体上にキャストし、積層体のまま熱処理を行い、残溶剤を除去した後にフィルムを剥離し、目的物を得るという方法が開示されている(特許文献3、4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平09-29852号公報
【文献】特許第4428016号公報
【文献】特開2004-322441号公報
【文献】特開2010-201889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、金属箔/樹脂フィルム積層体上にキャストした樹脂層はロール状に巻き取る際に金属箔層と接触し、キャストした樹脂層表面にキズや打痕など外観不良が発生する問題がある。また支持体である樹脂フィルムと目的の樹脂フィルムが熱処理時に融着し、剥離性が悪化することがある。
【0008】
上述のように、既存の製造方法ではフィルムの破断や裂け、剥離不良といった生産効率の問題とフィルム表面のキズや打痕といったフィルム品位の問題があった。特に電子部品の軽量化、コンパクト化が求められており、フィルム厚みを極力薄くすることが求められている。フィルムの厚みが薄くなることにより、フィルム破断や剥離不良といった問題が顕在化される。また支持体フィルムを把持せずに目的の樹脂溶液を乾燥すると、支持体フィルムが反り返り、目的の樹脂フィルムの反りも大きくなる。フィルムの反りが大きくなると電子部品の体積が大きくなり、コンパクト化が困難となる。
【0009】
従って、本発明の目的はフィルム表面にキズや打痕が生じることなく、容易に樹脂フィルムから剥離可能であり、反りが小さいポリマーブレンドフィルム、およびポリマーブレンドフィルムの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明はポリアミドイミドを主成分とするポリマーブレンドフィルム、および該ポリマーブレンドフィルムを用いた積層体に関するものである。ポリマーブレンドフィルムとはポリアミドイミドと特定構造を有する成分を含有(ブレンド)した組成物(以下、ポリマーブレンド組成物ともいう。)からなるフィルムである。前記特定構造を有する成分を含有することにより、フィルム製膜時にポリマーブレンドフィルム中の溶剤成分を1.5質量%以下まで低下させても、支持体である樹脂フィルムからの良好な剥離性を示すことを見出し、本発明に至った。
【0011】
すなわち、本発明のポリマーブレンドフィルムおよびその製造方法は、以下の構成からなる。
【0012】
ポリアミドイミド100質量部に対して、一般式(I)で表される構造を有する化合物を0.1~15質量部含有するポリマーブレンドフィルム。
【化1】
(一般式(I)中、nは1以上の整数であり、mは5以上の整数である。)
【0013】
前記ポリアミドイミドは、構成単位として一般式(II)で表される構造を含むことが好ましく、酸価は250eq/10g以下であることが好ましい。
【化2】
(一般式(II)中、RおよびRは同じであっても異なっていてもよく、それぞれ独立に、水素、炭素数1~4のアルキル基、又は炭素数1~4のアルコキシ基を示す。)
【0014】
ポリアミドイミド100質量部に対して、導電性粒子を1~30質量部含有することが好ましい。
【0015】
前記ポリマーブレンドフィルムの150℃~300℃における重量減少率は1.5質量%以下であることが好ましく、ガラス転移温度は280℃以上であることが好ましく、厚みは1~50μmであることが好ましく、反りが40mm以下であることが好ましく、光線透過率が50%以上であることが好ましい。
【0016】
前記ポリマーブレンドフィルムの表面の少なくとも片面にポリイミドフィルムを積層した積層体。前記積層体からのポリマーブレンドフィルムの剥離強度は0.01~1N/cmであることが好ましい。
【0017】
下記(1)~(3)の工程を有し、ポリアミドイミド100質量部に対して、一般式(I)で表される構造を有する化合物を0.1~15質量部含有するポリマーブレンドフィルムの製造方法。
【化1】
(一般式(I)中、nは1以上の整数であり、mは5以上の整数である。)
(1)支持体である樹脂フィルムの少なくとも片面に、ポリアミドイミド100質量部に対して、一般式(I)で表される構造を有する化合物を0.1~15質量部含有するポリマーブレンド組成物をキャストし積層体を作製する工程
(2)ポリマーブレンド組成物層を支持体の樹脂フィルムから剥離せず積層体の状態でポリマーブレンド組成物層を乾燥する工程
(3)支持体の樹脂フィルムからポリマーブレンド組成物層を剥離し、ポリマーブレンドフィルムを得る工程
【0018】
支持体である樹脂フィルムがポリイミドフィルムであり、単層であり、厚みが1~500μmであることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明のポリマーブレンドフィルムは、ポリアミドイミドに、該ポリアミドイミドとは異なる特定構造を有する成分を含有(ブレンド)することで、フィルム製膜時にポリマーブレンドフィルム中の溶剤成分を1.5質量%以下まで乾燥しても、支持体である樹脂フィルムから容易に剥離することができ、工業的に優位である。そして、得られたポリマーブレンドフィルムは耐熱性が高く、反りが小さい。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明の実施の形態にかかるポリマーブレンドフィルム、ポリマーブレンドフィルムの製造方法および該ポリマーブレンドフィルムを用いた積層体について説明する。
【0021】
<ポリアミドイミド>
本発明におけるポリアミドイミドは構造中にアミド基とイミド基を含む樹脂であれば特に限定はされない。ポリアミドイミドは、例えば、イソシアネート法、アミン法(例えば、酸クロリド法、低温溶液重合法、室温溶液重合法等)などで合成することができる。ポリアミドイミドは、有機溶剤に可溶であることが好ましい。従って工業的にも重合時の溶液がそのまま塗工できるイソシアネート法で合成することが好ましい。
【0022】
イソシアネート法の場合、ポリアミドイミドは、有機溶剤中でトリカルボン酸無水物、ジカルボン酸、テトラカルボン酸無水物などの酸成分とイソシアネート成分を加熱重縮合することによって合成することができる。
【0023】
有機溶剤としては、例えば、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等のアミド系溶剤、ジメチルスルホオキシド、スルホラン等の硫黄系溶剤、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤、ニトロベンゼン、ニトロエタン等のニトロ系溶剤、ジグライム、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶剤、γ-ブチルラクトン、γ-バレロラクトン等のエステル系溶剤などが挙げられ、これらは単独でも混合しても使用することができる。
【0024】
ポリアミドイミド溶液(ポリアミドイミドワニス)を製造するための共重合反応は、前述の溶剤中、通常10℃~200℃で1時間~24時間が好ましい。より好ましくは100℃以上150℃以下で2時間以上15時間以下がよい。また、反応はイソシアネート成分と活性水素化合物の反応に対する触媒、例えば、3級アミン類、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物などの存在下に行っても良い。例えば、3級アミン類としてトリエチレンジアミンの存在下に行っても良い。
【0025】
ポリアミドイミド溶液(ポリアミドイミドワニス)の固形分濃度は、広い範囲から選択できるが、5質量%以上40質量%以下が加工性に特に優れるため好ましい。より好ましくは、特に8質量%以上20質量%以下とするのが好ましい。
【0026】
ポリアミドイミドの酸成分としては、トリカルボン酸またはテトラカルボン酸を使用することが好ましく、トリカルボン酸とテトラカルボン酸を併用することがより好ましい。また、トリカルボン酸またはテトラカルボン酸の一無水物、二無水物またはエステル化物を使用することも好ましい。トリカルボン酸としては、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸、ジフェニルエーテル-3,3’,4’-トリカルボン酸、ジフェニルスルホン-3,3’,4’-トリカルボン酸またはトリメリット酸、およびこれらの一無水物またはエステル化物が挙げられる。また、ヘキサヒドロトリメリット酸、およびヘキサヒドロトリメリット酸の一無水物またはエステル化物など、上記モノマーの水素添加物を挙げることができる。テトラカルボン酸としては、ベンゾフェノン-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸、ビフェニル-3,3’,4、4’-テトラカルボン酸、ジフェニルエーテル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸、エチレングリコールビス(トリメリテート)、ビスフェノールビス(トリメリテート)、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、ナフタレン-2,3,6,7-テトラカルボン酸、ナフタレン-1,2,4,5-テトラカルボン酸、ナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸またはピロメリット酸、およびこれらの一無水物、二無水物またはエステル化物が挙げられる。また、ヘキサヒドロピロメリット酸、およびヘキサヒドロピロメリット酸の一無水物、二無水物またはエステル化物などの上記モノマーの水素添加物を挙げることができる。また、ジカルボン酸を使用してもよい。ジカルボン酸としては、イソフタル酸、テレフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸を挙げることができ、またシクロヘキサンジカルボン酸等、上記モノマーの水素添加物を挙げることができる。これら酸成分を単独で、または2種以上の混合物として用いることができる。
【0027】
トリカルボン酸としては、トリメリット酸無水物またはヘキサヒドロトリメリット酸無水物が好ましい。また、テトラカルボン酸としては、ベンゾフェノン-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル-3,3’,4、4’-テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルエーテル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、またはシクロヘキサン-1,2,4-トリカルボン酸-1,2-無水物が好ましく、これらを単独で、または、2種以上の混合物を酸成分として用いることができる。より好ましくは、トリメリット酸無水物を単独で使用するか、またはトリメリット酸無水物、ベンゾフェノン-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物およびビフェニル-3,3’,4、4’-テトラカルボン酸二無水物を併用することである。併用する場合は、全酸成分を100モル%としたとき、トリメリット酸無水物が60~90モル%であることが好ましく、より好ましくは70~85モル%である。また、ベンゾフェノン-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物は8~30モル%であることが好ましく、より好ましくは10~15モル%である。また、ビフェニル-3,3’,4、4’-テトラカルボン酸二無水物は2~10モル%であることが好ましく、より好ましくは5~8モル%である。
【0028】
ポリアミドイミドのイソシアネート成分として、下記にアミン成分を例示するが、下記アミン成分に対応するイソシアネート成分を使用することができる。アミン成分としては、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、3,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジアミノベンズアニリド、4,4’-ジアミノベンズアニリド、4,4’-ジアミノベンゾフエノン、3,3’-ジアミノベンゾフエノン、3,4’-ジアミノベンゾフエノン、2,6-トリレンジアミン、2,4-トリレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルプロパン、3,3’-ジアミノジフェニルプロパン、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、p-キシレンジアミン、m-キシレンジアミン、1,4-ナフタレンジアミン、1,5-ナフタレンジアミン、2,6-ナフタレンジアミン、2,7-ナフタレンジアミン、2,2’-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、4-メチル-1,3-フェニレンジアミン、3,3’-ジエチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジエチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジエトキシ-4,4’-ジアミノビフェニル、トランス-1,4-ジアミノシクロヘキサン、シス-1,4-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノシクロヘキサン(トランス/シス混合物)、1,3-ジアミノシクロヘキサン、ジシクロへキシルメタン-4,4’―ジアミン(トランス体、シス体、トランス/シス混合物)、イソホロンジアミン、1,4-シクロヘキサンビス(メチルアミン)、2,5-ビス(アミノメチル)ビシクロ〔2.2.1〕へプタン、2,6-ビス(アミノメチル)ビシクロ〔2.2.1〕へプタン、3,8-ビス(アミノメチル)トリシクロ〔5.2.1.0〕デカン、1,3-ジアミノアダマンタン、4,4’-メチレンビス(2-メチルシクロへキシルアミン)、4,4’-メチレンビス(2-エチルシクロへキシルアミン)、4,4’-メチレンビス(2,6-ジメチルシクロへキシルアミン)、4,4’-メチレンビス(2,6-ジエチルシクロへキシルアミン)、2,2-ビス(4-アミノシクロヘキシル)プロパン、2,2-ビス(4-アミノシクロヘキシル)ヘキサフルオロプロパン、1,3-プロパンジアミン、1,4-テトラメチレンジアミン、1,5-ペンタメチレンジアミン、1,6-ヘキサメチレンジアミン、1,7-ヘプタメチレンジアミン、1,8-オクタメチレンジアミン、1,9-ノナメチレンジアミンなどを使用することができる。これらを単独で、または2種以上の混合物を使用することができる。また、これらに対応するジイソシアネートなどを単独で、または2種以上の混合物を用いることができる。
【0029】
アミン成分(イソシアネート成分)として、好ましくは3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、ジシクロへキシルメタン-4,4’-ジアミン(トランス体、シス体、トランス/シス混合物)、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、または4-メチル-1,3-フェニレンジアミンおよびこれらに対応するジイソシアネート成分である。これらを単独で、または2種以上の混合物を用いることができる。なかでも3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、およびこれに対応するジイソシアネート成分(o-トリジンジイソシアネート)であることが好ましい。
【0030】
酸成分とアミン成分との配合割合は、全アミン成分に対して酸成分のモル比が0.95から1.05の割合で使用することが好ましい。
【0031】
ポリアミドイミドは、構成単位として一般式(II)で表される構造を含むことが好ましい。一般式(II)で表される構造を含むことでポリアミドイミドに十分な耐熱性を付与することができる。
【化2】
【0032】
一般式(II)において、RおよびRは同じであっても異なっていてもよく、それぞれ独立に、水素、炭素数1~4のアルキル基、又は炭素数1~4のアルコキシ基を示す。炭素数1~4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基またはイソプロピル基が挙げられる。炭素数1~4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基またはイソプロポキシ基が挙げられる。R、Rともに水素またはメチル基が好ましく、より好ましくはメチル基である。Rの位置はイミド基に対して2位であることが好ましく、Rの位置は3’位であることが好ましい。
【0033】
一般式(II)で表される構造は、ポリアミドイミドの全構成成分を200モル%としたとき、100モル%以上であることが好ましく、より好ましくは120モル%以上であり、さらに好ましくは150モル%以上である。少なすぎると耐熱性が低下し、電子材料として使用する上での耐熱性が不足することがある。また、190モル%以下であることが好ましく、より好ましくは180モル%以下である。多すぎると溶剤溶解性が悪化し、均一なフィルムが得られず、製膜性が悪化することがある。
【0034】
ポリアミドイミドは、N-メチル-2-ピロリドン中(ポリマー濃度0.5g/dl)、30℃での対数粘度にして0.3~2.8dl/gに相当する分子量を有するものが好ましく、より好ましくは0.5~2.5dl/gに相当する分子量を有するものである。対数粘度が0.3dl/g未満では、フィルム等の成型物にしたとき、機械的特性が不十分となるおそれがあり、また、2.8dl/gを超えると、溶液粘度が高くなるため、成形加工が困難となることがある。ポリアミドイミドの好適な溶液粘度としては、25℃での溶液粘度が20~1000dPa・sの範囲である。溶液粘度が前記範囲を外れると塗工性が低下することがある。
【0035】
ポリアミドイミドの酸価は250eq/10g以下であることが好ましい。より好ましくは200eq/10g以下であり、さらに好ましくは160eq/10g以下である。酸価が高すぎると支持体の樹脂フィルムとの密着性が高くなり、剥離性が悪化することがある。下限は特に限定されないが、50eq/10gであれば十分であり、80eq/10g以上であっても差し支えない。
【0036】
<一般式(I)で表される構造を有する化合物>
本発明のポリマーブレンドフィルムは、ポリアミドイミド100質量部に対して、一般式(I)で表される構造を有する化合物(以下、一般式(I)化合物ともいう。)を0.1~15質量部含有する。好ましくは0.5質量部以上であり、より好ましくは1質量部以上であり、さらに好ましくは2質量部以上である。少なすぎると、ポリマーブレンドフィルムが支持体である樹脂フィルムから剥離することができないことがある。また、12質量部以下であることが好ましく、より好ましくは10質量部以下であり、さらに好ましくは8質量部以下である。多すぎると透明性(光線透過率)が低下することがある。
【0037】
一般式(I)化合物は、下記ポリオキシエチレンアルキルエーテル構造を有することで、ポリマーブレンドフィルムの耐熱性、透明性、反りを維持しつつ、樹脂フィルムから容易に剥離することができる。
【化1】
一般式(I)において、nは1以上の整数であり、好ましくは2以上の整数であり、より好ましくは3以上の整数である。また、15以下の整数であることが好ましく、より好ましくは12以下の整数である。mは5以上の整数であり、好ましくは8以上の整数であり、さらに好ましくは10以上の整数である。また10000以下の整数であることが好ましく、より好ましくは8000以下の整数である。n、mが上記範囲を外れると、ポリマーブレンドフィルムの透明性が悪化することがある。n、mとも上記範囲内とすることでポリマーブレンドフィルムの優れた透明性、反り性および剥離性を発現することができる。
【0038】
一般式(I)化合物の分子量は1000以上であることが好ましく、より好ましくは1500以上である。分子量が低すぎると高温処理時に揮発しやすくなり、剥離時に本来の効果が発現しにくくなることがある。また、100000以下であることが好ましく、より好ましくは50000以下である。高すぎるとポリアミドイミドとの相溶性が悪化し、透明性が悪化することがある。
【0039】
一般式(I)化合物の市販品としてはビックケミージャパン株式会社のDisperbyk(登録商標)シリーズのDisperbyk2013、Disperbyk2025が挙げられる。
【0040】
ポリマーブレンドフィルムには、必要に応じて、フィルムの諸特性、たとえば、機械的特性、電気的特性、滑り性、及び難燃性などを改良する目的で、本発明の効果を損ねない範囲で他の樹脂や有機化合物、導電性粒子、及び無機化合物(無機粒子)を混合させたり、あるいは反応させてもよい。また、ポリマーブレンド組成物は前記有機溶剤の溶液であることが好ましい。
【0041】
導電性粒子としては、例えば、カーボンブラック(アセチレンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラックなど)、グラファイト(黒鉛)、アニリンブラック、チタンブラック等を用いることができ、ポリアミドイミド樹脂との分散性の観点からカーボンブラックが好ましい。
【0042】
無機粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム等を用いることができる。疎水処理を行った無機粒子がポリアミドイミドとの親和性が向上し、分散性も向上するため好ましい。
【0043】
導電性粒子を含有(ブレンド)させる場合、ポリアミドイミド100質量部に対して、0.1質量部以上であることが好ましく、より好ましくは0.5質量部以上であり、さらに好ましくは1質量部以上であり、一層好ましくは2質量部以上であり、特に好ましくは5質量部以上である。また、30質量部以下であることが好ましく、より好ましくは20質量部以下であり、さらに好ましくは15質量部以下であり、一層好ましくは12質量部以下であり、特に好ましくは10質量部以下である。前記範囲内とすることでポリマーブレンドフィルムの脆化を抑えつつ、表面抵抗値を低減することができる。導電性粒子を含有した場合のポリマーブレンドフィルムの表面抵抗値は、10Ω/□以下であることが好ましく、より好ましくは10Ω/□以下であり、さらに好ましくは10Ω/□以下である。下限は特に限定されないが、工業的には10Ω/□以上であれば問題ない。本発明のポリマーブレンドフィルム自体は透明性(光線透過率)が高いものであるが、導電性粒子を含有すると透明性(光線透過率)が低下することがある。
【0044】
無機粒子を含有(ブレンド)させる場合、ポリアミドイミド100質量部に対して、0.1質量部以上であることが好ましく、より好ましくは0.5質量部以上であり、さらに好ましくは1質量部以上であり、特に好ましくは2質量部以上である。少なすぎると、無機粒子の効果が得られないことがある。また、15質量部以下であることが好ましく、より好ましくは12質量部以下であり、さらに好ましくは10質量部以下であり、特に好ましくは8質量部以下である。多すぎると透明性(光線透過率)低下やフィルムが脆化することがある。
【0045】
導電性粒子および無機粒子のブレンドの方法は特に限定されない。ブレンド後のポリアミドイミド溶液が均一に混合されておればよい。均一とは可視光での散乱が生じない程度のマクロな相分離のない状態であるものをさす。マクロな相分離が生じると、例えば、フィルム化した際に著しい透明性や強度の低下が生じる。
【0046】
ポリマーブレンドフィルムは、前記ポリアミドイミドおよび一般式(I)化合物を含有するポリマーブレンド組成物からなるフィルムである。ポリマーブレンド組成物には、前記他の樹脂や有機化合物、導電性粒子、及び無機化合物(無機粒子)を含有させることができる。ポリマーブレンド組成物中、ポリアミドイミドは70質量%以上含有することが好ましく、より好ましくは75質量%以上であり、さらに好ましくは80質量%以上である。少なすぎると耐熱性、透明性、反り性が低下することがある。また、98質量%以下であることが好ましく、より好ましくは95質量%以下であり、さらに好ましくは90モル%以下である。多すぎると一般式(I)化合物の相対的な含有量が低下し、樹脂フィルムからの剥離性が低下することがある。
【0047】
ポリマーブレンドフィルムは、150℃~300℃における重量減少率が1.5質量%以下であることが好ましい。より好ましくは1,2質量%以下であり、さらに好ましくは1.0質量%以下である。上述の重量減少率以下であれば、FPCやCOFとしてデバイスに組み込んだ際に不具合を起こさない。下限は特に限定されないが、0.1質量%以上であれば十分であり、0.2質量%以上でも差し支えない。ここで、重量減少率とは、ポリマーブレンドフィルムのサンプルを窒素雰囲気下で、室温から400℃まで加温した際の、150℃から300℃の間の重量減少量を測定したものをいう。
【0048】
ポリマーブレンドフィルムの耐熱性はガラス転移温度で示すことができる。本発明のポリマーブレンドフィルムのガラス転移温度は280℃以上であることが好ましく、より好ましくは300℃以上であり、さらに好ましくは320℃以上である。上述の温度以上であれば、リフロー工程時に熱で変形するおそれがない。
【0049】
ポリマーブレンドフィルムの厚さは、広い範囲から選択できるが、絶乾後(残留溶剤1.5質量%以下)の厚さで1μm以上50μm以下程度が好ましく、より好ましくは10μm以上40μm以下程度であり、さらに好ましくは20μm以上30μm以下である。厚さが1μmよりも小さいと、フィルム強度等の機械的性質やハンドリング性に劣り、一方、厚さが50μmを超えると加工性(乾燥性、塗工性)等が低下することがある。又、必要に応じて、表面処理を施してもよい。例えば、加水分解、コロナ放電、低温プラズマ、物理的粗面化、易接着コーティング処理等の表面処理を施すことができる。
【0050】
ポリマーブレンドフィルムの反りは40mm以下であることが好ましく、より好ましくは30mm以下であり、さらに好ましくは25mm以下である。上記範囲を超えると、FPCやCOF用途に使用することが困難となることがある。また、下限は特に限定されないが、工業的には10mmあれば十分である。
【0051】
ポリマーブレンドフィルムの光線透過率は50%以上であることが好ましく、より好ましくは52%以上であり、さらに好ましくは55%以上である。上記範囲未満であると、透明性が悪いポリマーブレンドフィルムとなる。また、上限は特に限定されないが、工業的には70%以下でも差し支えない。
【0052】
<ポリマーブレンドフィルムの作製方法>
本発明では、ポリマーブレンドフィルムは、支持体である樹脂フィルムの少なくとも片面に、前記ポリマーブレンド組成物をキャスト(塗布)し、積層体を作製し、乾燥した後に剥離する方法で作製することが好ましい。ポリマーブレンド組成物のキャストは樹脂フィルムの片面(ポリマーブレンドフィルム層/樹脂フィルム)であっても両面(ポリマーブレンドフィルム層/樹脂フィルム/ポリマーブレンドフィルム層)であっても差し支えない。キャスト方法としては、特に限定されるものではなく、従来からよく知られている方法を適用することができる。例えば、ロールコーター、ナイフコーター、ドクタ、ブレードコーター、グラビアコーター、ダイコーター、リバースコーターなどにより、塗工液であるポリマーブレンド組成物の粘度を調整後、樹脂フィルムに直接塗布することができる。具体的には、下記(1)~(3)の工程を有することが好ましい。下記(1)~(3)の工程を有することで、ポリマーブレンドフィルム中の残留溶剤を1.5質量%以下まで乾燥させても、支持体である樹脂フィルムから容易に、かつ歩留まりよく剥離し、ポリマーブレンドフィルムを得ることができる。
【0053】
<工程(1)>
工程(1)は、支持体である樹脂フィルムの少なくとも片面に、ポリアミドイミド100質量部に対して、一般式(I)で表される構造を有する化合物を0.1~15質量部含有するポリマーブレンド組成物をキャストし積層体を作製する工程である。
【0054】
<樹脂フィルム>
本発明において支持体として使用する樹脂フィルムは、特に限定されないが、ポリイミドフィルムであることが好ましい。ポリイミドフィルムは、いわゆるポリイミドを含め、ポリアミドイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリイミドエステル、ポリエーテルイミド、ポリシロキサンイミド等に代表されるように、その構造中にイミド基を有するポリマーからなる耐熱性フィルムであればよい。ポリイミドフィルムは、ポリマーブレンド組成物をキャストする支持体としての機能があれば問題なく使用でき、ポリマーブレンド組成物の溶剤に対する耐溶剤性、熱処理工程に耐えうる耐熱性、剥離性に優れたフィルムであればよい。また、ポリイミドフィルムに用いるポリイミドは、ポリアミドイミドとは異なる組成であることが好ましく、アミド結合のないポリイミドであることが好ましい。また、樹脂フィルムは単層であっても複層であっても構わないが、単層であることが好ましい。
【0055】
ポリイミドフィルムは公知のジアミンと酸無水物を溶液重合により製造することができる。ジアミンとしては、例えば、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、2’-メトキシ-4,4’-ジアミノベンズアニリド、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2’-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジヒドロキシ-4,4’-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノベンズアニリド、2,2-ビス-[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)]ビフェニル、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[1-(4-アミノフェノキシ)]ビフェニル、ビス[1-(3-アミノフェノキシ)]ビフェニル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)]ベンゾフェノン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)]ベンゾフェノン、ビス[4,4’-(4-アミノフェノキシ)]ベンズアニリド、ビス[4,4'-(3-アミノフェノキシ)]ベンズアニリド、9,9-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]フルオレン、2,2-ビス-[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス-[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’-メチレンジ-o-トルイジン、4,4’-メチレンジ-2,6-キシリジン、4,4’-メチレン-2,6-ジエチルアニリン、4,4’-ジアミノジフェニルプロパン、3,3’-ジアミノジフェニルプロパン、4,4’-ジアミノジフェニルエタン、3,3’-ジアミノジフェニルエタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、ベンジジン、3,3’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジメトキシベンジジン、4,4’’-ジアミノ-p-テルフェニル、3,3’’-ジアミノ-p-テルフェニル、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、2,6-ジアミノピリジン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’-[1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスアニリン、4,4’-[1,3-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスアニリン、ビス(p-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(p-β-アミノ-t-ブチルフェニル)エーテル、ビス(p-β-メチル-δ-アミノペンチル)ベンゼン、p-ビス(2-メチル-4-アミノペンチル)ベンゼン、p-ビス(1,1-ジメチル-5-アミノペンチル)ベンゼン、1,5-ジアミノナフタレン、2,6-ジアミノナフタレン、2,4-ビス(β-アミノ-t-ブチル)トルエン、2,4-ジアミノトルエン、m-キシレン-2,5-ジアミン、p-キシレン-2,5-ジアミン、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン、2,6-ジアミノピリジン、2,5-ジアミノピリジン、2,5-ジアミノ-1,3,4-オキサジアゾール、ピペラジンなどを使用することができる。
【0056】
また、酸無水物としては、例えば、無水ピロメリット酸、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルスルフォンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-オキシジフタル酸無水物、2,2’,3,3’-、2,3,3’,4’-又は3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3’,3,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3’,3,4’-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、3,3’’,4,4’’-、2,3,3’’,4’’-又は3,2’’,3,3’’-p-テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)-プロパン二無水物、ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1-ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,2,7,8-、1,2,6,7-又は1,2,9,10-フェナンスレン-テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-アントラセンテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)テトラフルオロプロパン二無水物、2,3,5,6-シクロヘキサン二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、4,8-ジメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロナフタレン-1,2,5,6-テトラカルボン酸二無水物、2,6-又は2,7-ジクロロナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-(又は1,4,5,8-)テトラクロロナフタレン-1,4,5,8-(又は2,3,6,7-)テトラカルボン酸二無水物、2,3,8,9-、3,4,9,10-、4,5,10,11-又は5,6,11,12-ペリレン-テトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、ピラジン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ピロリジン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、チオフェン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、4,4’-ビス(2,3-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルメタン二無水物等を使用することができる。
【0057】
ジアミン、酸無水物はそれぞれ、その1種のみを使用してもよく2種以上を併用することもできる。なお、ポリイミドは、上記ジアミンと酸無水物から得られるものに限定されることはない。
【0058】
ジアミン、酸無水物はそれぞれ、その1種のみを使用してもよく2種以上を併用することもできる。なお、ポリイミドは、上記ジアミンと酸無水物から得られるものに限定されることはない。
【0059】
また、ジアミンと酸無水物との反応は有機溶剤中で行わせることが好ましく、このような有機溶剤としては特に限定されないが、具体的には、例えばジメチルスルフォキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、ヘキサメチルホスホルムアミド、フェノール、クレゾール、γ-ブチロラクトン等が挙げられ、これらは単独で、又は混合して用いることができる。また、このような有機溶剤の使用量としては特に制限されるものではないが、重合反応よって得られるポリアミド酸の濃度が5~30質量%程度になるような使用量に調整して用いることが好ましい。
【0060】
前記有機溶剤を用いた反応において、ジアミンと酸無水物との配合割合は、全ジアミンに対して酸無水物のモル比が0.95から1.05の割合で使用することが好ましい。
【0061】
ジアミンと酸無水物との反応は、0℃~60℃の温度条件で1時間~24時間反応させることが好ましい。このような温度条件が前記下限(0℃)未満では、反応速度が遅くなって分子量の増加が進まない傾向にあり、他方、前記上限(60℃)を超えるとイミド化が進行して反応溶液がゲル化し易くなる傾向にある。このような温度条件で反応させることで効率的にポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミド酸の樹脂溶液を得ることができる。
【0062】
ジアミンと酸無水物から合成されたポリアミド酸は溶液として使用される。ポリアミド酸の閉環によるイミド基を形成する方法はポリイミドフィルムの物性を損なわないのであれば、特に限定されないが、例えば、加熱による熱イミド化法や脱水縮合剤とイミド化触媒を用いる化学イミド法などに手法によりイミド化する方法を用いることができる。
【0063】
<樹脂フィルムの製造方法の例示>
以下に本発明に用いる樹脂フィルムとして、ポリイミドフィルムの製造方法を例示するが、本発明はこれに制限されない。ポリイミドフィルムの製造方法としては、例えば、支持体上に前記ポリアミド酸溶液をキャストし、タックフリーな状態まで一次乾燥した後に、支持体から剥離し、フィルムが収縮してシワが入らないようにフィルムを固定した状態で熱処理し、ポリイミドフィルムを得る方法がある。樹脂フィルムを作製する際の支持体としては、例えば、ポリイミドフィルムやPETフィルムのような樹脂フィルムやアルミや銅の金属薄が用いられるが、ハンドリング性、コストの観点から好ましくはPETフィルムである。
【0064】
樹脂フィルムの厚みは1~500μmであることが好ましく、より好ましくは10~200μmであり、更に好ましくは20~100μmである。1μm未満であれば、キャストしたポリマーブレンド組成物重量に耐えられず、フィルムが湾曲し、溶液が流れ出してしまうことがある。また支持体として使用する際に反りが大きくなることがある。一方500μm超であると、フィルム剛性が高く、ハンドリング性が悪くなることがある。
【0065】
ポリイミドフィルムとしては、市販品を用いることができる。例えば、カプトン(登録商標)シリーズ(東レ・デュポン株式会社)、アピカル(登録商標)シリーズ(カネカ株式会社)、ユーピレックス(登録商標)シリーズ(宇部興産株式会社)、LNシリーズ(SKCコーロンPI株式会社)などが挙げられるが、本発明の適応範囲はこれに限定されない。
【0066】
キャスト量は、例えば、乾燥後のポリマーブレンドフィルムの好ましい厚みになるように塗布すればよい。
【0067】
<工程(2)>
工程(2)は、ポリマーブレンド組成物層を支持体の樹脂フィルムから剥離せず積層体の状態でポリマーブレンド組成物層を乾燥する工程である。積層体のまま乾燥することで、製造工程が簡略化でき、ポリマーブレンドフィルムを歩留まり良く製造することができる。
【0068】
乾燥条件に特に限定はないが、溶剤の沸点近傍、または溶剤の沸点以上の温度で乾燥すればよい。ポリアミドイミドの樹脂組成にもよるが、100℃以上450℃以下であることが好ましく、より好ましくは150℃以上300℃以下である。例えば、100℃で10分間、次いで200℃で10分間、次いで300℃で1時間窒素下で加熱し、溶剤除去を行っても良い。上記範囲内であれば、樹脂フィルムからの剥離性、ポリマーブレンドフィルムの耐熱性、表面平滑性、及び透明性がよく、劣化反応が少なく、ポリマーブレンドフィルムがもろくならず、短時間で乾燥でき、生産性がよい。
【0069】
乾燥は、不活性ガス雰囲気下、または減圧下で行ってもよい。不活性ガスとしては、窒素、二酸化炭素、へリウム、アルゴン等が例示できるが、入手容易な窒素を用いるのが好ましい。フィルムの着色を抑え、無色透明なフィルムを得るためには、酸素濃度を0.5%以下、より好ましくは0.1%以下に下げることが望ましい。又、減圧下で行う場合は、10-5Pa以上10Pa以下程度、好ましくは10-1Pa以上200Pa以下程度の圧力下で行うのが好ましい。
【0070】
初期乾燥、熱処理ともに方式に特に限定はないが、ロールサポート方式やフローティング方式など、従来公知の方法で連続的に加工することができる。又、テンター式などの加熱炉での連続熱処理も可能である。
【0071】
乾燥は、ポリマーブレンドフィルム中の溶剤成分が1.5質量%以下まで乾燥することが好ましく、より好ましくは1.2質量%以下であり、さらに好ましくは1.0質量%以下である。溶剤成分が多すぎると、ポリマーブレンドフィルムの反りが大きくなることがある。本発明のポリマーブレンドフィルムは残留溶剤が1.5質量%以下まで乾燥させても樹脂フィルムから容易に剥離することができる。溶剤成分が多すぎると、ポリマーブレンドフィルムの反りが大きくなることがある。下限は特に限定されないが、0.1質量%以上であれば十分であり、0.2質量%以上でも差し支えない。溶剤成分が少なすぎると、樹脂フィルムから容易に剥離できなくなることがある。
【0072】
<工程(3)>
工程(3)は、支持体の樹脂フィルムからポリマーブレンド組成物層を剥離し、ポリマーブレンドフィルムを得る工程である。支持体の樹脂フィルムからポリマーブレンドフィルム層を剥離する際の剥離強度は、0.07N/cm以上であることが好ましく、より好ましくは0.08N/cm以上であり、さらに好ましくは0.1N/cm以上である。上記範囲未満であると剥離強度が弱すぎて乾燥中に樹脂フィルムから剥離し、フィルムにシワや乾燥炉内の汚染が生じることがある。また、1N/cm以下であることが好ましく、より好ましくは0.5N/cm以下であり、さらに好ましくは0.3N/cm以下である。上記範囲を超えると剥離強度が強すぎて剥離時にポリマーブレンドフィルムを傷つけることがある。
【0073】
本発明のポリマーブレンドフィルムは樹脂フィルムから容易に剥離して、耐熱性、透明性および低反り性に優れる。また、本発明の製造方法により、単膜のポリマーブレンドフィルムを容易に得ることができる。剥離方法に限定はなく従来公知の方法にて容易に剥離できる。例えば、連続的に熱処理後、ポリマーブレンドフィルムを剥離しながら、樹脂フィルムとポリマーブレンドフィルムを別々のロールに巻き取ること等で製造できる。従来方法では、耐熱性、及び低反りに優れるポリマーブレンドフィルムを、歩留まり良く、剥離しやすく、効率的に製造することが困難であった。しかし、本発明の開示により初めて可能となった。
【0074】
本発明のポリマーブレンドフィルムは、前記積層体(ポリマーブレンドフィルム/樹脂フィルム)から剥離した後、さらに別の樹脂フィルムと積層し、前記積層体とは異なる積層体を作製することも可能である。この際使用できる樹脂フィルムは前記樹脂フィルムと同じであっても異なっていても良い。また、剥離強度も前記範囲内であることが好ましい。
【実施例
【0075】
以下、実施例により、この発明をさらに詳しく説明する。なお、本発明は実施例により、特に制限されるものではない。各実施例における特性値の評価方法は以下の通りである。
【0076】
<ガラス転移温度>
ポリマーブレンドフィルムを試料として用い、TMA(熱機械的分析装置/セイコーインスツル(株)社製(商品名「EXSTAR TMA/SS 6000」))を用いて引張荷重法により以下の条件でガラス転移温度を測定した。得られた曲線の変曲点をガラス転移温度(Tg)とし、Tgより低温領域(ガラス領域)、および高温領域(ゴム領域)のそれぞれに接線を引き、それら接線が交わる温度として算出した。ガラス転移温度が高いほど耐熱性が高いと判断される。
荷重:5g
試料サイズ:4mm(幅)×20mm(長さ)
昇温速度:10℃/分
雰囲気:窒素
【0077】
<対数粘度>
JIS-K7367-1:2002(ISO-1628-1:1998)に記載されているポリマー希釈溶液の粘度の求め方に準拠して、ウベローデ形粘度計を用いて以下の条件でポリアミドイミドの対数粘度を測定した。
測定温度:30℃
溶媒:N-メチル-2-ピロリドン(25ml)
樹脂量:0.125g
【0078】
<酸価>
ポリアミドイミド0.4gをN-メチル-2-ピロリドン20mlに溶解し、0.1Nナトリウムメトキシド/メタノール溶液で滴定して酸価を測定した。指示薬にはフェノールフタレインを用いた。測定値を試料10gあたりの当量に換算し、単位はeq/10gとした。
【0079】
<反り>
ポリマーブレンドフィルムを下記試料サイズに切り出した。25℃、65%RHで24時間調湿したフィルムを下に凸な状態で水平なガラス台に置いて、フィルムの4角について台から浮いている距離を測定した。4点の距離を合計し、反りとして評価した。
試料サイズ:20cm×20cm
【0080】
<透明性>
透明性は光線透過率によって求めた。分光光度計(商品名:V650/日本分光製)を用いて、ポリマーブレンドフィルムを測定した。平行光透過率を測定するため、拡散光を受光してしまう積分球ユニットは使用せず、標準状態で測定した。測定範囲:300~800nmとし、600nmでの値を読み取った。
【0081】
<剥離性>
樹脂フィルム/ポリマーブレンドフィルムの積層体を試料とし、テンシロンを用いて以下の条件で剥離し、剥離時の応力を剥離強度(N/cm)とした。
引張速度:20mm/分
剥離角度:180°
試料サイズ:15mm(縦)×10mm(巾)
【0082】
<残留溶剤量>
TGA(商品名:DTA-60/島津製作所製)を用いて、ポリマーブレンドフィルムを窒素雰囲気下で室温から400℃まで昇温し、以下の計算式から重量減少率を算出し、これをポリマーブレンドフィルム中の残留溶剤量とした。
昇温速度:5℃/分
試料重量:30mg
重量減少率(%):(150℃~300℃の重量減少量/初期重量)×100
【0083】
<表面抵抗>
抵抗率計(商品名:ロレスタGP/三菱ケミカルアナリテック製)を用いて、測定条件はJIS K 7194(1994)に準拠してポリマーブレンドフィルムの表面抵抗を測定した。抵抗値が10Ω/□以上は測定限界であり、この場合のフィルムを絶縁フィルムとした。
【0084】
以下にポリアミドイミドおよびポリアミドイミド溶液の合成例を示す。
(合成例1:ポリアミドイミドA(樹脂A)の合成)
トリメリット酸二無水物18.14g(80モル%)、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物4.75g(12.5モル%)、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物2.60(7.5モル%)、o-トリジンジイソシアネート31.19(100モル%)、N-メチル-2-ピロリドン262.33gを加え、窒素雰囲気下で100℃×5時間反応させた。反応後、ポリマー濃度10質量%になるようにN-メチル-2-ピロリドンで希釈した。得られたポリアミドイミドの対数粘度は2.01dl/g、酸価は110eq/10g、溶液粘度は400dPa・sであった。
【0085】
(合成例2:ポリアミドイミドB(樹脂B)の合成)
トリメリット酸無水物22.67g(100モル%)、o-トリジンジイソシアネート24.95g(80モル%)、トルエンジイソシアネート4.11(20モル%)、N-メチル-2-ピロリドン165.38gを加え、窒素雰囲気下で100℃×5時間反応させた。反応後、ポリマー濃度15重量%になるようにN-メチル-2-ピロリドンで希釈した。得られたポリアミドイミドの対数粘度は1.51dl/g、酸価は160eq/10g、溶液粘度は400dPa・s、であった。
【0086】
(合成例3:ポリアミドイミドC(樹脂C)の合成)
トリメリット酸無水物15.37g(80モル%)、ピロメリット酸無水物4.36g(20モル%)、o-トリジンジイソシアネート21.14g(80モル%)、ジフェニルメタンジイソシアネート5.01g(20モル%)、N-メチル-2-ピロリドン210.11gを加え、窒素雰囲気下で100℃×5時間反応させた。反応後、ポリマー濃度10質量%になるようにN-メチル-2-ピロリドンで希釈した。得られたポリアミドイミドの対数粘度は1.68dl/g、酸価は150eq/10g、溶液粘度は580dPa・s、であった。
【0087】
(実施例1)
ポリアミドイミドA溶液20g(樹脂成分:2g)に、一般式(I)化合物としてDisperbyk2013を0.02g加え、室温下で、ガラス棒による手攪拌で均一になるまでブレンドし、ポリマーブレンド組成物1を得た。支持体である樹脂フィルムとして、ポリイミドフィルムのカプトン100EN(東レ・デュポン製)にポリマーブレンド組成物1を乾燥(熱処理)後の厚みが25μmになるようにキャスト(塗布)した。次いで、100℃で10分間乾燥し、積層体を得た。その後積層体を鉄枠に対向する2辺だけを固定し、200℃で30分、300℃で15分乾燥(熱処理)を行った。乾燥(熱処理)後の積層体からポリマーブレンドフィルムを剥離し、得られた物性を表1に示す。なお得られたポリマーブレンドフィルムは全てシワなく、平面性を有していた。
【0088】
(実施例2~10、比較例1~3)
ポリアミドイミド溶液、一般式(I)化合物、樹脂フィルムを表1に記載の通りそれぞれ変更した以外は実施例1と同様の方法でポリマーブレンドフィルムを得た。物性は同様に表1に示す。なお、比較例2、3はポリイミドフィルムと強く接着しており、剥離ができなかった。また得られたポリマーブレンドフィルムは全てシワなく、平面性を有していた。
【0089】
(実施例11)
ポリアミドイミドA溶液20g(樹脂成分:2g)に対して、導電性粒子としてECP600JD(ライオン株式会社製)0.20gを混合した溶液を用いた以外は一般式(I)化合物、樹脂フィルムを実施例1と同様の方法で用い、ポリマーブレンドフィルムを得た。物性は同様に表1に示す。
【0090】
(実施例12)
ポリアミドイミドA溶液20g(樹脂成分:2g)に対して、導電性粒子としてVULCAN-XC72(キャボットコーポレーション製)0.20gを混合した溶液を用いた以外は実施例11と同様の方法で用い、ポリマーブレンドフィルムを得た。物性は同様に表1に示す。
【0091】
(参考例1)
ポリアミドイミドA溶液20g(樹脂成分:2g)に、一般式(I)化合物としてDisperbyk2013を0.02g加え、室温下で、ガラス棒による手攪拌で均一になるまでブレンドし、ポリマーブレンド組成物1を得た。支持体である樹脂フィルムとして、ポリイミドフィルムのカプトン100EN(東レ・デュポン製)にポリマーブレンド組成物1を乾燥(熱処理)後の厚みが25μmになるようにキャスト(塗布)した。次いで、100℃で10分間乾燥し、積層体を得た。積層体からポリマーブレンドフィルムを剥離し、ポリマーブレンドフィルム単膜を鉄枠に対向する2辺だけを固定し、200℃で30分、300℃で15分乾燥(熱処理)を行った。得られた物性は同様に表1に示す。なおポリマーブレンドフィルムは熱処理時の収縮により全面にシワが発生し、平面性が得られず、透明性、反り、ガラス転移温度の評価ができなかった。
【0092】
表1で使用した一般式(I)化合物は以下のものである。
Disperbyk2013:ビックケミー・ジャパン株式会社製(炭素数3以上のアルキル鎖を有するポリオキシエチレンアルキルエーテル成分とポリプロピレングリコール成分を含む化合物)
Disperbyk2025:ビックケミー・ジャパン株式会社製(ポリオキシエチレンアルキルエーテル成分とポリメタクリレート成分を含む化合物)
また表1で使用した一般式(I)化合物と異なる化合物は以下のものである。
Disperbyk192:ビックケミー・ジャパン株式会社製(ポリオキシエチレンアルキルエーテルを含まず、炭素数13以上の不飽和脂肪酸エステル成分を含む化合物)
【0093】
表1で使用した樹脂フィルムは以下のものである。
カプトン(登録商標)100EN:東レ・デュポン株式会社製ポリイミドフィルム、厚み25μm
カプトン(登録商標)50EN:東レ・デュポン株式会社製ポリイミドフィルム、厚み12.5μm
アピカル(登録商標)25NPI:カネカ株式会社製ポリイミドフィルム、厚み25μm
LN:SKCコーロンPI株式会社製ポリイミドフィルム、厚み25μm
ユーピレックス(登録商標)-25S:宇部興産株式会社製ポリイミドフィルム、厚み25μm
【0094】
【表1】