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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-21
(45)【発行日】2023-09-29
(54)【発明の名称】空気調和装置の室外機
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/36 20110101AFI20230922BHJP
   F24F 1/16 20110101ALI20230922BHJP
【FI】
F24F1/36
F24F1/16
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019164173
(22)【出願日】2019-09-10
(65)【公開番号】P2021042888
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(72)【発明者】
【氏名】望月 詠人
(72)【発明者】
【氏名】辻 康雅
(72)【発明者】
【氏名】高梨 恭輔
【審査官】安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-198165(JP,A)
【文献】特開平10-141709(JP,A)
【文献】特開2013-139918(JP,A)
【文献】国際公開第2018/100601(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/36
F24F 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
仕切り板によって内部が第1室と第2室とに区画される筐体と、
前記筐体の内部に、前記第1室から前記第2室に亘って配置される熱交換器と、
を有する空気調和機の室外機であって、
前記筐体の一部を形成し、前記熱交換器の下方、かつ、前記熱交換器の形状に対応した位置に前記第1室から前記第2室に亘って凹状に形成された排水溝を備えた底板と、
前記熱交換器と前記底板の間に配置され突出部を備える隙間部材と、を有し、
前記熱交換器を前記底板に配置したときに、前記突出部が前記排水溝に配置され、前記突出部は前記排水溝における前記第1室と前記第2室との間の境界面を形成する、
ことを特徴とする空気調和装置の室外機。
【請求項2】
前記排水溝に前記突出部を配置した際に、前記排水溝と前記突出部との間に第1所定寸法となる隙間が形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和装置の室外機。
【請求項3】
前記突出部は、前記第1室から前記第2室へ水を流す貫通部を有する、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の空気調和装置の室外機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和装置の室外機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和装置の室外機は、所定の間隔で配置される複数枚のフィンと、複数枚のフィンを貫通し冷媒が流れる複数本の伝熱管とを有する熱交換器を備える(例えば、特許文献1)。
【0003】
室外機筐体の内部は、仕切り板によって上述した熱交換器やファンなどが配置される熱交換室と、圧縮機や膨張弁や電装品箱などが配置される機械室とに仕切られている。熱交換器は、室外機筐体の底板に組み付けられる。熱交換器は、機械室に配置される圧縮機や膨張弁と冷媒配管で接続する必要があり、この接続のために熱交換器の一部が機械室に配置される。つまり、熱交換器は、機械室と熱交換室にまたがって配置されるので、熱交換器が配置される箇所には仕切り板が存在しない。また、底板には、熱交換器で発生した凝縮水や室外機の内部に侵入した雨水などの水を、室外機の外部に排出する排水溝が設けられている。排水溝は、底板に熱交換器の形状に沿って凹部として形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-210140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、熱交換器が配置される箇所には仕切り板が存在せず、かつ、熱交換器の下方には機械室から熱交換室にわたって排水溝が形成されている。そして、排水溝が凹部として底板に形成されることから、熱交換器が底板に組み付けられた際に熱交換器の下面と排水溝とが密接しない。このため、熱交換器の下方と排水溝との間には、機械室と熱交換室とを連通する隙間が形成される。この隙間の寸法が大きいと、室外機の熱交換室に外気を取り込むための吸込口や、熱交換器で冷媒と熱交換を行った外気を熱交換室から外部へ放出するための吹出口から熱交換室に侵入した小動物が、上記の隙間を通って機械室へと侵入する恐れがある。そして、機械室に侵入した小動物が電装品箱に侵入すれば、電装品箱に格納されている回路基板をショート等といった問題を生じさせる恐れがあった。
【0006】
本発明は、以上に説明した問題点を解決するものであり、熱交換室から機械室への小動物の侵入を防止できる空気調和装置の室外機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る空気調和装置の室外機は、仕切り板によって内部が第1室と第2室とに区画される筐体と、筐体の内部に第1室から第2室に亘って配置される熱交換器とを有する。この室外機は、筐体の一部を形成し熱交換器の下方、かつ、熱交換器10の形状に対応した位置に第1室から第2室に亘って凹状に形成された排水溝を備えた底板と、突出部を備え熱交換器に組み付けられる隙間部材とを有する。そして、隙間部材を組み付けた熱交換器を底板に配置したときに、突出部が排水溝に配置され、突出部は排水溝における第1室と第2室との間の境界面を形成する。
【発明の効果】
【0008】
本願の空気調和装置の室外機によれば、突出部により第1室と第2室とが遮断されるので、第2室(熱交換室)から第1室(機械室)への小動物の侵入を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態における、空気調和装置の室外機の説明図であり、(A)は室外機の外観斜視図であり、(B)は天面パネルを取り除いて室外機の内部を上方から見た図である。
図2】本発明の実施形態における、隙間部材の装着状態を説明する図面であり、(A)は本発明に関わる構成のみを表した室外機の内部斜視図であり、(B)は(A)におけるB部拡大図である。
図3】隙間部材を装着する前の、熱交換器を側板側から見た図である。
図4】本発明の実施形態における、隙間部材の斜視図である。
図5】本発明の実施形態における、隙間部材の装着方法を説明する図面であり、(A)は熱交換器の下面に隙間部材を装着する手順を説明する図面であり、(B)は室外機の熱交換器の下面への隙間部材の装着が完了した状態を示す図面である。
図6】隙間部材を装着した後の、熱交換器を側板側から見た図である。
図7】熱交換器の側板に隙間部材の突き当て部が突き当たる状態を示す斜視図である。
図8】本発明の他の実施形態における、突出部に貫通部を設けた隙間部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以降の説明では、室外機における左右方向を図1(A)に示すX方向とし、室外機における前後方向をY方向とし、室外機における上下方向を図1(A)に示すZ方向とする。また、本発明は以下の実施形態に限定されることはなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
【0011】
まず、室外機1について説明する。図1(B)に示すように、本実施形態における空気調和装置の室外機1は、少なくとも熱交換器10と、ファン41とを後述する室外機1の筐体の内部に備えている。また、図示しないが、熱交換器10とともに室外機1の冷媒回路を形成する圧縮機、四方弁、膨張弁や、電源基板や制御基板などの回路基板を格納する電装品箱を室外機1の筐体の内部に備えている。
【0012】
図1(A)および図1(B)に示すように、室外機1の筐体は、前面パネル2と、天面パネル3と、前面側支柱23と、背面側支柱24と、側面パネル4と、底板8と、仕切板25とで直方体形状に形成されている。
【0013】
前面パネル2は板金で形成され、図1(A)に示すように、室外機2の前面のうちの右側の一部(後述する機械室31の前面)を覆うように配置されている。前面側支柱23は板金をL字状に折り曲げて形成され、図1(B)に示すように、室外機1の前面の左端に配置されている。そして、前面パネル2の左端と前面側支柱23の間に、室外機1の内部と外部を連通する吹出口21が上下に2つ配置されており、吹出口21に臨むようにファン41も上下に2つ配置されている。
【0014】
背面側支柱24は板金をL字状に折り曲げて形成され、室外機1の背面の左端に配置されている。背面パネル5は板金で形成され、室外機1の背面のうちの右側の一部(後述する機械室31の背面)を覆うように配置されている。そして、前面側支柱23と背面側支柱24の間、および、背面側支柱24と背面パネル5の左端の間のそれぞれが、室外機1の内部と外部を連通する吸込口21とされており、図1(B)および図2(A)に示すように、L字状に形成された熱交換器10が吸込口22に臨むように配置されている。なお、図2では、ファン41の描画は省略している。
【0015】
側面パネル4は板金で形成され、室外機1の右側面(後述する機械室31の右側面)を覆うように配置されている。仕切板25は、室外機1の筐体内部を機械室31(本発明の第1室に相当)と熱交換室32(本発明の第2室に相当)とに仕切るように配置されるものであり、板金を略C字状に折り曲げて形成されている。
【0016】
底板8は板金の周縁部を上方に折り曲げて形成される。底板8には、これまで説明した各々のパネルや前面側支柱23、背面側支柱24、仕切板25、熱交換器10、冷媒回路を形成する圧縮機などが固定される。また、図2(B)および図3に示すように、底板8には、熱交換器10で発生した凝縮水や外部から侵入した雨水などの水を、室外機1の外部に排出する排水溝8aが設けられている。排水溝8aは、底板8を凹状となるように、かつ、機械室31から熱交換室32にわたって熱交換器10の下面10aに沿って形成されている。排水溝8aには、図示しない排水孔が設けられており、排水溝8aは排水孔に向かって傾斜するように形成されている。従って、熱交換器10が蒸発器として機能する際に生成されて排水溝8aに滴下した凝縮水は排水孔へと流れ、排水孔から室外機1の外部に排水される。
【0017】
以上説明した室外機1の筐体内部には、前述したように熱交換器10と、ファン41と、図示しない圧縮機、四方弁、膨張弁、および、電装品箱が配置される。具体的には、機械室31には、圧縮機と四方弁と膨張弁と電装品箱が配置される。電装品箱は、図2(A)に示す仕切り板25の上端部にその一部が固定されて機械室31の上方に配置される。従って、室外機1の内部において仕切り板25より上方の空間は、電装品箱によって機械室31と熱交換室32とに仕切られる。一方、熱交換室32には、熱交換器10とファン41が配置される。ファン41は、吹出口21に臨むように配置される。熱交換器10は、略L字形状に形成されて背面及び左側面に設けられた各吸込口22に臨むように配置される。
【0018】
上記のように、底板8に固定された熱交換器10は、大部分が熱交換室32に配置されるとともに一部が機械室31に配置される。具体的には、図1(B)に示すように、側面パネル4が取り付けられる側であり圧縮機や四方弁などと冷媒配管で接続される側の熱交換器10の端部(以下、熱交換器端部11aと記載する)が、仕切り板25の熱交換器10側の端部(以下、仕切り板端部25aと記載する)を通り側面パネル4に平行な直線Aを越えて機械室31に配置される。ここで、直線Aは、仕切り板25が存在しない箇所において、機械室31と熱交換室32とを分けるための仮想の直線である。つまり、図3に示すように、直線A上の熱交換器端部11aが配置される箇所の下方における、熱交換器10の下面10aの下方の排水溝8aには、仕切り板25が存在しないことで、排水溝8aを介して機械室31と熱交換室32とが連通する連通口Sが形成される。
【0019】
図1(B)および図2に示すように、熱交換器10は、所定の間隔で配置された複数枚のフィン11と、複数枚のフィン11を貫通し冷媒が流れる複数本の伝熱管7とを備え、前述したように略L字形状に形成されている。図2(B)および図3に示すように、熱交換器10は、熱交換器10の下面10aが排水溝8aの上方に配置されるように、熱交換器10が底板8や前面側支柱23に図示しない複数の固定金具で組み付けられる。熱交換器10は、複数枚のフィン11の間を、図2(A)に示す空気の流れ方向αで通過する空気と、複数本の伝熱管7を流れる冷媒とを熱交換させる。
【0020】
フィン11は、アルミニウムまたはアルミニウム合金を用いて板状に形成されている。フィン11は、所定の間隔で複数枚積層されてその間を空気が流通する。ファン41が回転することで、各吸込口22から吸い込まれて熱交換室32に流入した空気が、熱交換器10を図2(A)に示す矢印αの方向に流れる。また、図2に示すように、熱交換器端部11aには、当該熱交換器端部11aに配置されるフィン11の外側に側板6が取り付けられる。側板6は、板金を加工してフィン11と高さ寸法がほぼ同じで前後寸法(図1(A)におけるY方向)がフィン11よりやや大きい形状となるように形成されている。
【0021】
複数本の伝熱管7は、銅製のパイプをヘアピン状に形成したものである。複数本の伝熱管7は、空気の流れ方向αに直交する方向において、上下方向に平行に並べて配置されている。図1(B)及び図2(A)に示すように、各伝熱管7は、熱交換器端部11aにおいて、一部の伝熱管7は図示しない分流器に接続され、他の伝熱管7は、伝熱管7の一方の端部と他の伝熱管7の端部とが接続管7aで接続されて、1本の管路が形成される。なお、本実施形態の熱交換器10では伝熱管7を空気の流れ方向αに対して複数列並べたものとしているが、熱交換器10を搭載する空気調和装置で必要とされる能力に応じて、伝熱管7の列数は適宜増減すればよい。
【0022】
以上に説明した熱交換器10の組み立ては、以下の手順で行われる。まず、複数枚のフィン11と側板6とに、複数本の伝熱管7を挿通させる。具体的には、複数枚のフィン11に設けられた孔に各伝熱管7を挿通させ、最後に側板6に設けられた孔に各伝熱管7を挿通させる。次に、各伝熱管7の拡管を行って各伝熱管7と各フィン11および側板6とを固定する。次に、1つの伝熱管7の一方の端部と接続管7aの一方の端部とを溶接して接続し、接続管7aの他端と他の伝熱管7の一方の端部とを溶接して接続する。このとき、伝熱管7の端部と接続管7aとの溶接個所より内側(左側)に側板6が配置される、つまり、熱交換器端部11aの最も外側(右側)に配置されているフィン11と溶接個所との間に側板6が介在する。これにより、伝熱管7と接続管7aとを溶接する際に、側板6の内側に配置されるフィン11に伝わる熱量が減少するので、伝熱管7と接続管7aとを溶接する際に発生する熱によってフィン11が変形することを防止できる。
【0023】
ところで、図3に示すように、熱交換器10を底板8に組み付けると、熱交換器10の下方に凹形状の排水溝8aが位置する。熱交換器10と排水溝8aとの距離が近いと、冬季に排水溝8aに存在する水が凍結したときに熱交換器10の下部が氷で覆われてしまい、熱交換器10として働く面積が減少して熱交換量が低下する恐れがある。このため、熱交換器10は排水溝8aから離して底板8に組み付けられる。
【0024】
前述したように、室外機1の内部は、仕切り板25によって機械室31と熱交換室32とに分けられている。一方、熱交換器10が排水溝8aから離して底板8に組み付けられることで、前述した連通口Sが形成される。そして、連通口Sの高さ寸法や幅寸法が大きくて虫等の小動物が侵入可能な寸法(例えば、9.0mm)より大きい寸法である場合は、室外機1の外部から吸込口22や吹出口21を介して熱交換室32に侵入した虫等の小動物が、連通口Sを通って機械室31に侵入し、機械室31に配置された図示しない電装品箱(必ずしも閉じた箱である必要はなく、一部が機械室31に開口していてもよい)の内部に侵入して電源基板などの回路基板をショートさせてしまう恐れがある。
【0025】
以上に説明した問題点を解決するために、本実施形態における空気調和装置の室外機1は、熱交換器10の下面10aに隙間部材9を取り付け、この隙間部材9に設けられる突出部9dを連通口Sに配置する。これにより、排水溝8aにおいて突出部9dが熱交換室32と機械室31との境界面を形成するとともに連通口Sの面積を小さくするので、熱交換室32から機械室31への小動物の侵入を防ぐことができる。以下、主に図4を用いて、隙間部材9の詳細を説明する。
【0026】
図4に示すように、隙間部材9は、板金を用いて略四角形状となるように形成されて、熱交換器10の下面10aに接する基部9aと、基部9aの一辺から上方に基部9aから連続して伸びるように形成される第1返り部9bと、基部9aの第1返り部9bが連なる辺と反対側の一辺から上方に基部9aから連続して伸びるように形成される第2返り部9cとを有している。第1返り部9bは隙間部材9を熱交換器10に取り付けた際に空気の流れ方向αの上流側に配置されるように形成され、第2返り部9cは隙間部材9を熱交換器10に取り付けた際に空気の流れ方向αの下流側に配置されるように形成される。
【0027】
また、第1返り部9bと第2返り部9cのそれぞれが連なる辺とは別の二辺のうち、熱交換器端部11a側に配置される一辺から下方に基部9aから連続して伸びるように形成される突出部9dが設けられている。この突出部9dは、隙間部材9を熱交換器10の下面10aに取り付けた際に、熱交換器10と排水溝8aとの間に配置されて連通口Sの面積を小さくして熱交換室32から機械室31へと小動物が侵入できないように形成されている。なお、隙間部材9を後述する方法で熱交換器10に組み付けた際に、第1返り部9bの端部のうちの側板6に臨む端部を第1返り部端部9b1とし、第2返り部9cの端部のうちの側板6に臨む端部を第2返り部端部9c1とする。
【0028】
以上に説明した隙間部材9は、例えば、レーザーカッター等を用いて板金を切断して、第1返り部9bなどを含む隙間部材9の外形を切り抜き、第1返り部9b、第2返り部9c、および、突出部9dの各々を基部9aから曲げ起こして形成する。このとき、図4に示す第1返り部9bと第2返り部9cとの間隔Dを、図5に示す熱交換器10の厚さHより少し小さい寸法とする。
【0029】
次に、図5を用いて、隙間部材9を熱交換器10に組み付ける方法について説明する。なお、図5では、接続管7aの描画を省略するとともに、熱交換器10に隙間部材9を取り付けた状態をわかりやすくするために、側板6の描画を省略している。
【0030】
まず、図5(A)に示すように、熱交換器10の下面10aに隙間部材9を下方、すなわち、図5(A)に示す矢印βの方向から近づけて、第1返り部9bと第2返り部9cとの間に熱交換器10が配置されるように、熱交換器10に隙間部材9を組み付ける。前述したように、第1返り部9bと第2返り部9cとの間隔Dが熱交換器10の厚さHより少し小さい寸法とされているため、熱交換器10に隙間部材9を組み付けると、第1返り部9bと第2返り部9cとがそれぞれ外側に弾性変形する。これにより、隙間部材9の第1返り部9bと第2返り部9cとが複数のフィン11の両端面を挟みこんで、熱交換器10への隙間部材9の組み付けが完了する。
【0031】
なお、隙間部材9の組み付け方法はこれに限定されない。例えば、第1返り部9bと第2返り部9cとの間隔Dを熱交換器10の厚さHより少し大きい寸法にとし、第1返り部9bおよび第2返り部9cとフィン11の端面との間に生じる隙間に、クッション材など弾性変形する材料を介在させて、熱交換器10に隙間部材9を組み付けてもよい。
【0032】
以上に説明した隙間部材9を組み付けた熱交換器10を底板8に組み付けると、図6に示すように、突出部9dが排水溝8aの連通口Sに配置される。より具体的には、排水溝8aにおける、図1(B)に示す直線Aの下方に突出部9dが配置される。これにより、突出部9dの下端と排水溝8aの間の隙間(以下、隙間Lと記載する)を除いて、排水溝8aにおいて機械室31と熱交換室32との間の連通口Sの面積を突出部9dによって小さくする。なお、図6においても、図5と同様に接続管7aの描画を省略している。
【0033】
そして、突出部9dは、隙間Lの高さ寸法が第1所定寸法(例えば、2.5mm)となるように形成される。ここで、第1所定寸法は、電装品箱に侵入して回路部品をショートさせるなどの問題を引き起こす可能性がある大きさの小動物が、隙間Lを介して熱交換室32から機械室31へと侵入できない距離であり、かつ、機械室31で発生あるいは外部から機械室31に侵入し機械室31に位置する排水溝8aに滴下した水を、隙間Lを介して熱交換室32に流すことができる距離である。また、この隙間Lを設けることで、室外機1の運搬中に発生する振動や室外機1の落下によって、突出部9dと排水溝8aとが互いに近づく方向に動いても両者の接触を防止し、排水溝8aとの接触によって突出部9dが変形することを防止できる。
【0034】
以上に説明したように、本実施形態の空気調和装置の室外機1は、熱交換器10の下面10aに隙間部材9を取り付けることで、熱交換器10の10aと排水溝8aとの間に生じる連通口Sに隙間部材9の突出部9dが配置される。これにより、熱交換室32に侵入した虫等の小動物が連通口Sを介して機械室31へと侵入することを防止できる。機械室31に侵入した小動物が電装品箱に侵入して回路基板をショートさせることが防止できる。また、隙間部材9の突出部9dの下端から排水溝8aまでの間に、第1所定寸法だけ離れた隙間Lを設けることで、機械室31に侵入した水や機械室31で発生した水を、隙間Lを介して滞りなく熱交換室32へと排水することができる。また、室外機1の運搬時の振動や落下によって、隙間部材9の突出部9dと底板8の排水溝8aとが接触して突出部9dが変形することを防止できる。
【0035】
なお、隙間部材9には、図4及び図5(A)に示すような、隙間部材9を位置決めするための突き当て部9b2を設けてもよい。前述したように、隙間部材9の突出部9dは、排水溝8aにおける仕切り板25の存在しない箇所に形成される連通口S、つまり、図1(B)に示す直線Aの下方に配置されれば、突出部9dにより熱交換室32から機械室31への虫等の小動物の侵入を防ぐことができる。これに対し、突出部9dの位置が直線Aから離れた位置に配置される、つまり、突出部9dが直線Aではなく排水溝8aの異なる場所に配置されると、突出部9dで熱交換室32から機械室31への虫等の小動物の侵入を防ぐことができない。
【0036】
そこで、図7に示すように、第1返り部端部9b1の上部の一部を第1返り部端部9b1から外側に凸となるように突き当て部9b2を設け、かつ、熱交換器10に隙間部材9を取り付けた際にこの突き当て部9b2を側板6に突き当てて、隙間部材9の突出部9dが連通口Sすなわち図1(B)に示す直線Aの下方に配置されるように、隙間部材9を位置決めする。このとき、突き当て部9b2の形状は、熱交換器10を底板8に組み付けた際に、隙間部材9の突出部9dが図1(B)に示す直線Aの下方に配置されるように、隙間部材9を位置決めできるのであればどのような形状であってもよい。このように、隙間部材9に突き当て部9b2を設ければ、突出部9dの位置決めが容易に行えて突出部9dで確実に連通口Sの面積を小さくすることによって熱交換室32から機械室31への小動物の侵入を防止できる。
【実施例2】
【0037】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態では、後述するように隙間部材91の構成の一部が第1の実施形態の隙間部材9と異なる。なお、上記以外の構成については、第1の実施形態と同じであるため、詳細な説明を省略する。
【0038】
図8に示すように、本実施形態の隙間部材91は、突出部9dに複数(図8では、6個)の貫通部91aを設けている。この貫通部91aは丸穴であり、その直径寸法が第1の実施形態で説明した第1所定寸法以下の大きさとされている。突出部9dに貫通部91aを設けることで、機械室31に侵入、あるいは、機械室31で発生し排水溝8aに流れ落ちた水が、第1の実施形態と比べて熱交換室32へとよりスムーズに流すことができる。なお、貫通部91aは丸穴ではなく、幅寸法が第1所定寸法以下のスリットであってもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 室外機
2 前面パネル
3 天面パネル
4 側面パネル
5 背面パネル
6 側板
7 伝熱管
7a 接続管
8 底板
8a 排水溝
9 隙間部材
9a 基部
9b 第1返り部
9b1 第1返り部端部
9b2 突き当て部
9c 第2返り部
9c1 第2返り部端部
9d 突出部
10 熱交換器
10a 熱交換器の下面
11 フィン
11a 熱交換器端部
21 吹出口
22 吸込口
23 前面側支柱
24 背面側支柱
25 仕切り板
25a 仕切り板端部
31 機械室
32 熱交換室
41 ファン
91 隙間部材
91a 貫通部
S 連通口
L 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8