(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-21
(45)【発行日】2023-09-29
(54)【発明の名称】光源モジュール
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20230922BHJP
F21V 19/00 20060101ALI20230922BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230922BHJP
【FI】
F21S2/00 100
F21V19/00 450
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2019231407
(22)【出願日】2019-12-23
【審査請求日】2022-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000102212
【氏名又は名称】ウシオ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 知識
(72)【発明者】
【氏名】金端 祥寛
【審査官】坂口 達紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-091975(JP,A)
【文献】特開2014-022177(JP,A)
【文献】特開2017-199511(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21K 9/00-9/90
F21S 2/00-45/70
F21V 19/00-19/06
23/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子が実装された複数の光源基板と、
複数の前記光源基板が載置されたヒートシンクと、
前記光源基板の面上に載置され、一部箇所にネジ切りが形成された給電部材と、
隣接する前記光源基板に設けられた前記給電部材同士を連絡する板状の導電部材と、
前記導電部材と前記給電部材とを、前記光源基板の面に直交する第一方向に固定する固定ネジとを備え、
前記給電部材は、第一部分と、前記第一部分に隣接し前記第一部分よりも前記第一方向に係る長さが短い第二部分とを有し、
前記第一部分と前記第二部分は、前記導電部材側の面が共通の面で構成されており、
前記固定ネジは、前記導電部材側を頭部として、前記導電部材及び前記給電部材の前記第一部分を貫通するように取り付けられており、
前記固定ネジの軸部の先端が、前記ヒートシンクに対して前記第一方向に離間していることを特徴とする、光源モジュール。
【請求項2】
前記光源基板は、前記第一方向に貫通するように形成された第一切り欠き部を有し、
前記ヒートシンクは、前記第一切り欠き部に対して前記第一方向に連通するように形成された第二切り欠き部を有し、
前記給電部材の前記第一部分は、前記第一切り欠き部と前記第二切り欠き部とが連通する領域の一部に位置していることを特徴とする、請求項1に記載の光源モジュール。
【請求項3】
前記固定ネジの前記軸部の先端が、前記光源基板の面よりも前記ヒートシンク側であって、前記ヒートシンクの面からは前記第一方向に離間した箇所に位置していることを特徴とする、請求項2に記載の光源モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源モジュールに関し、特に発光素子が実装された複数の光源基板を含む光源モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、実装する発光素子の数を増やすことで、全体の光出力を高めた光源モジュールが開発されている。本出願人も、複数の発光素子が実装された光源基板を複数連結することで、光出力を高めた光源モジュールを過去に出願している(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されている光源モジュールは、複数の光源基板がネジにより連結されており、光源基板単位での着脱が可能に構成されている。これにより、連結する光源基板の数を増加させることで、光出力を容易に向上させることができると共に、一の光源基板に不具合が生じた場合でも、当該基板のみを交換することで対応できる。
【0005】
一方、光源基板同士を連結する際に用いられるネジは、ヒートシンクまで達するように挿入される。また、このネジの取付箇所には、光源基板に対して通電するための給電端子が形成される。一方、ネジは導電性部材で構成されるため、ネジが給電端子と接触すると、ネジを通じて給電端子とヒートシンクが短絡してしまう。このような現象を防ぐべく、
図11に示すように、特許文献1の光源モジュールでは、ネジ93と給電端子94との間に、絶縁ブッシュ95を介在させている。なお、
図11において、符号91は光源基板を指しており、符号92はヒートシンクを指している。
図11に示すように、ネジ93はヒートシンク92内に達している。
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された光源モジュールにおいて、光源基板91の着脱を行おうとすると、ネジ93を外した後に、
図11に示す絶縁ブッシュ95を取り外す必要がある。更に、装着時においても、絶縁ブッシュ95を取り付けた状態でネジ93を挿入する必要がある。すなわち、特許文献1に開示された光源モジュールの場合、部品点数が多く、着脱作業が煩雑化するという内在的な課題を抱えている。
【0007】
また、
図11に示すように、絶縁ブッシュ95によって、ネジ93と給電端子94との間の絶縁性が確保されているため、絶縁ブッシュ95が破損・劣化すると、給電端子94とヒートシンク92が短絡するおそれがある。かかる観点から、絶縁ブッシュ95には高い強度を確保させる必要があり、材料や形状上の一定の制約を有する。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑み、着脱可能に構成された複数の光源基板を有し、光源基板の着脱作業を従来よりも簡素化できる光源モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題に鑑み、本発明に係る光源モジュールは、
発光素子が実装された複数の光源基板と、
複数の前記光源基板が載置されたヒートシンクと、
前記光源基板の面上に載置され、一部箇所にネジ切りが形成された給電部材と、
隣接する前記光源基板に設けられた前記給電部材同士を連絡する板状の導電部材と、
前記導電部材と前記給電部材とを、前記光源基板の面に直交する第一方向に固定する固定ネジとを備え、
前記固定ネジの軸部の先端が、前記ヒートシンクに対して前記第一方向に離間していることを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、給電部材に対して固定ネジが取り付けられており、この固定ネジの軸部の先端は、ヒートシンクに対して離間した位置に配置される。すなわち、従来の構成とは異なり、固定ネジは、ヒートシンク内には挿入されていない。このため、別途の絶縁性部材を設けることなく、固定ネジとヒートシンクとの短絡が防止される。
【0011】
前記光源モジュールにおいて、
前記光源基板及び前記ヒートシンクは、それぞれ前記第一方向に連通された切り欠き部を有し、
前記給電部材は、前記切り欠き部が形成されている領域の一部に位置する第一部分と、前記第一部分に隣接し、前記第一部分よりも前記第一方向に係る長さが短い第二部分とを有し、
前記固定ネジは、前記給電部材の前記第一部分に挿入されているものとしても構わない。
【0012】
上記の構成によれば、給電部材の第二部分については、第一方向に係る長さ(高さ)を短くすることができる。これにより、光源基板上に形成された給電部材によって、発光素子から出射される光が遮られる事象が抑制される。また、給電部材の第一部分については、光源基板及びヒートシンクに設けられた切り欠き部内に位置させることで、固定ネジの軸部の先端がヒートシンクの面に達しないように離間させつつ、固定ネジを挿入できる程度の長さを確保することができる。
【0013】
すなわち、上記構成において、前記固定ネジの前記軸部の先端が、前記光源基板の面よりも前記ヒートシンク側であって、前記ヒートシンクの面からは前記第一方向に離間した箇所に位置しているものとしても構わない。
【発明の効果】
【0014】
本発明の光源モジュールによれば、従来よりも光源基板の着脱作業を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の光源モジュールの一実施形態の構成を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す光源モジュールをZ方向から見たときの模式的な平面図である。
【
図3】
図1から給電部材、導電部材及び固定ネジのみを抽出して図示した斜視図である。
【
図4】
図1に示す光源モジュールを、固定ネジの設置箇所近傍においてXZ平面で切断したときの模式的な断面図の一例である。
【
図5】
図1に示す光源モジュールを、固定ネジの設置箇所近傍においてXZ平面で切断したときの模式的な断面図の別の一例である。
【
図7】給電部材のZ方向に係る長さによる影響を説明するための模式的な図面である。
【
図8】給電部材のZ方向に係る長さによる影響を説明するための別の模式的な図面である。
【
図9】本発明の光源モジュールの別実施形態の構成を模式的に示す斜視図である。
【
図11】従来の光源モジュールにおける光源基板と給電部との電気的接続方法を模式的に示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る光源モジュールの実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、以下の各図面は、模式的に図示されたものであり、図面上の寸法比と実際の寸法比は必ずしも一致していない。また、各図面間においても寸法比は必ずしも一致していない。
【0017】
図1は、本実施形態の光源モジュールの一例を模式的に示す斜視図である。
図1に示す光源モジュール1は、発光素子2が実装された複数の光源基板(10,10)と、これらの光源基板(10,10)が載置されたヒートシンク3を備える。なお、
図1等の図面では、煩雑さを回避する目的で、発光素子2に対して給電するための配線パターンについての図示が省略されている。
【0018】
図1では、光源モジュール1の一例として、ヒートシンク3のXY平面上に光源基板(10,10)が載置され、発光素子2からZ方向に光が出射される場合が図示されている。以下の説明では、
図1に示すXYZ座標系が適宜参照される。
図2は、
図1に示す光源モジュールをZ方向から見たときの模式的な平面図である。
【0019】
図1及び
図2に示すように、光源モジュール1は、隣接する光源基板(10,10)を電気的に連絡する板状の導電部材7を備える。より詳細には、各光源基板(10,10)には、発光素子2に対して給電するための給電部材5が載置されており、導電部材7は給電部材5の上面に載置され、固定ネジ9によってZ方向に固定されている。
図1の例では、Z方向が「第一方向」に対応する。給電部材5は、光源基板10に対して例えばハンダ付けにより固定されている。
【0020】
なお、
図1に示すように、光源モジュール1は、光源基板10をヒートシンク3に対して固定するための、基板固定用ネジ21を備える。ただし、この基板固定用ネジ21は、光源基板10のうち、電気的に通電されていない箇所に設けられている。つまり、基板固定用ネジ21は、通電される箇所に形成される固定ネジ9とは異なる位置に配置されるネジである。
【0021】
図3は、
図1から給電部材5、導電部材7及び固定ネジ9のみを抽出して図示した斜視図である。また、
図4は、
図1及び
図2に示す光源モジュール1を、固定ネジ9の設置箇所近傍においてXZ平面で切断したときの模式的な断面図である。
図4では、視認のしやすさを目的として、給電部材5に対してハッチングが施されている。
【0022】
図3に示すように、導電部材7は、2つの給電部材(5,5)を連絡するように配置され、それぞれの給電部材5に対して、固定ネジ9によって固定される。より詳細には、
図2に示すように、導電部材7は、隣接する光源基板10のそれぞれに載置された給電部材(5,5)を連絡するように配置されている。給電部材5は、例えばブロック形状を呈しており、銅、銅合金、金、アルミニウムなどの金属で構成されている。導電部材7は、例えば板形状を呈しており、銅、銅合金、金、アルミニウムなどの金属で構成されている。
【0023】
給電部材5は、一部箇所にネジ切りが施されており(不図示)、このネジ切りに固定ネジ9がネジ留めされている。この結果、給電部材5と導電部材7とは、固定ネジ9によって接触が確保されて電気的に接続される。つまり、隣接する光源基板(10,10)同士が、給電部材5及び導電部材7によって電気的に接続される。
【0024】
ここで、
図4に示すように、固定ネジ9の軸部の先端9aは、ヒートシンク3よりも+Z側に位置している。つまり、かかる構成によれば、固定ネジ9によって、給電部材5とヒートシンク3とが短絡することが抑制される。
【0025】
なお、より好ましい形態としては、
図5に示すように、固定ネジ9が設置される箇所に対してZ方向に対向する位置を含む領域において、ヒートシンク3及び光源基板10に対して、それぞれ切り欠き部(3a,10a)が設けられる。このような構成とすることで、給電部材5のZ方向に係る長さを低くして、固定ネジ9が給電部材5をZ方向に貫通したとしても、固定ネジ9の軸部の先端9aをヒートシンク3の面に対してZ方向に離間させることができる。これにより、固定ネジ9とヒートシンク3とが短絡することが抑制される。
【0026】
より詳細な一例としては、
図6に示すように、給電部材5は、Z方向に係る長さの長い第一部分5aと、第一部分5aよりもZ方向に係る長さの短い第二部分5bとを有する。そして、給電部材5の第一部分5aにネジ切りが設けられ、固定ネジ9が挿入されている。
【0027】
かかる構成とすることで、給電部材5のZ方向に係る長さを短くしながらも、固定ネジ9とヒートシンク3との短絡が抑制される。
【0028】
図7及び
図8は、給電部材5のZ方向に係る長さ(以下、「高さ」という。)による影響を説明するための模式的な図面である。
【0029】
図7(a)に示すように、給電部材5の高さが高いと、発光素子2から出射される光L1の一部を遮るおそれがある。これに対し、
図7(b)に示すように、給電部材5の高さを低くすることで、給電部材5によって発光素子2から出射される光L1が遮られることが抑制され、光取り出し効率が向上する。
【0030】
また、
図8は、発光素子2から出射される光L1が照射面24に照射される状態を模式的に示す図面である。光源モジュール1から外部に光を取り出すための光取り出し窓23は、給電部材5に衝突しない範囲内で、できるだけ近接させるのが好ましい。すなわち、給電部材5と光取り出し窓23との間のZ方向(
図8内の紙面上下方向)に係る離間距離d1は、給電部材5の高さの大小に依存しない。
【0031】
すると、光取り出し窓23と発光素子2との離間距離d0は、給電部材5の高さが大きい
図8(a)の場合の方が、給電部材5の高さが小さい
図8(b)の場合よりも、大きくなる。この結果、光取り出し窓23から距離d2だけ離間した照射面24に対して、発光素子2から出射される光L1が照射される面積を比較すると、
図8(a)における照射領域24aよりも、
図8(b)における照射領域24bの方が小さくなる。この結果、
図8(b)の場合の方が、照射面24における照度が高められる。
【0032】
つまり、給電部材5の高さを低くすることにより、光源モジュール1からの光取り出し効率の向上と、照射面24における照度の向上を図ることができる。
【0033】
一方で、固定ネジ9の軸部の長さは、固定ネジ9の頭部の大きさによって規格化されているのが一般的であり、軸部の長さの選択性はあまり高いとはいえない。このため、給電部材5の高さを低くすると、固定ネジ9の軸部の先端9aが光源基板10を貫通してヒートシンク3に達する可能性が生じる。かかる観点から、
図5に示すように、光源基板10に対して切り欠き部10aを設けると共に、ヒートシンク3に対して切り欠き部3aを設けておくことで、固定ネジ9の軸部の先端9aが給電部材5を貫通して突出しても、ヒートシンク3の面からはZ方向に離間した位置に留めることができる。
【0034】
上記の構成によれば、ヒートシンク3と固定ネジ9の軸部の先端9aとをZ方向に離間した位置に留めながらも、隣接する光源基板(10,10)同士を電気的に接続することができる。これにより、ヒートシンク3に対する短絡を抑制するための絶縁性部材を固定ネジ9に対して取り付ける必要がないため、光源基板10の着脱作業が従来よりも容易化される。
【0035】
[別実施形態]
以下、別実施形態について説明する。
【0036】
〈1〉上記実施形態では、複数の光源基板(10,10)が、同一平面上に載置されている場合について説明したが、必ずしもこの限りではない。例えば、
図9に示す光源モジュール1のように、複数の傾斜面を有するヒートシンク3を有すると共に、それぞれの傾斜面に複数の光源基板(10,10)が載置されているものとしても構わない。
図9に示す光源モジュール1は、一例として多角柱形状を呈した長尺形状のヒートシンク3を有する。このヒートシンク3の外側面上に周方向及び軸方向に複数の光源基板(10,10,‥‥)が載置されている。
【0037】
図9に示す光源モジュール1では、異なる傾斜面に載置された複数の光源基板(10,10)同士の電気的な接続を確保するために、導電部材7が形成されている。この場合、導電部材7は、光源基板(10,10)が載置されている傾斜面に沿って屈曲しているものとして構わない。なお、この構成の場合も、導電部材7を給電部材5に対して固定するための固定ネジ9の軸部の先端が、ヒートシンク3の面に対して直交する方向に離間するように形成されている。
【0038】
この構成においても、
図5を参照して上述したように、ヒートシンク3と光源基板10に対して切り欠き部(3a,10a)が設けられているものとすることができる。
図10は、
図9の一部拡大図であり、これらの切り欠き部(3a,10a)を表示する目的で、一部の給電部材5及び導電部材7の図示が省略された図面である。
【0039】
〈2〉上記実施形態では、導電部材7が、隣接する光源基板(10,10)を連絡するように設けられているものとして説明した。しかし、例えば、端部に位置する光源基板10と、電源が実装された領域とが導電部材7によって連絡される構成とすることも可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 :光源モジュール
2 :発光素子
3 :ヒートシンク
3a :切り欠き部
5 :給電部材
5a :第一部分
5b :第二部分
7 :導電部材
9 :固定ネジ
9a :固定ネジの軸部の先端
10 :光源基板
10a :切り欠き部
21 :基板固定用ネジ
23 :光取り出し窓
24 :照射面
24a :照射領域
24b :照射領域
91 :光源基板
92 :ヒートシンク
93 :ネジ
94 :給電端子
95 :絶縁ブッシュ
L1 :光