(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-21
(45)【発行日】2023-09-29
(54)【発明の名称】空気調和装置
(51)【国際特許分類】
F24F 11/36 20180101AFI20230922BHJP
F25B 49/02 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
F24F11/36
F25B49/02 520M
(21)【出願番号】P 2020062062
(22)【出願日】2020-03-31
【審査請求日】2022-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(72)【発明者】
【氏名】近藤 将弘
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼岡 亮
(72)【発明者】
【氏名】青木 光哉
【審査官】奈須 リサ
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/134949(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/049646(WO,A1)
【文献】特開2017-048993(JP,A)
【文献】国際公開第2017/163321(WO,A1)
【文献】特開2016-109363(JP,A)
【文献】特開2018-077040(JP,A)
【文献】特開2009-097829(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104566637(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/00-13/32
F25B 1/00-49/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の室内機と少なくとも一台の室外機が接続配管により接続され、内部を冷媒が流通する冷媒回路を備えており、
前記室内機は、冷媒の漏洩を検知する漏洩検知手段が設けられ、
前記室内機は、室内空間に漏洩した冷媒を攪拌する室内ファンが設けられ、
前記漏洩検知手段の検知結果に基づいて、前記室内ファンを制御する制御手段を備えた空気調和装置において、
前記複数の室内機は、
前記接続配管に設けられた遮断弁により冷媒の供給が遮断されることが可能な室内機である遮断弁接続室内機と、
前記遮断弁により冷媒の供給が遮断されない室内機である遮断弁非接続室内機と、を有し、
前記制御手段は、
前記遮断弁非接続室内機の前記漏洩検知手段が漏洩を検知した場合、全ての前記遮断弁非接続室内機に対応する前記室内ファンを駆動させ、全ての前記遮断弁接続室内機に対応する前記室内ファンを駆動させない、
ことを特徴とする空気調和装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記遮断弁接続室内機の前記漏洩検知手段が漏洩を検知した場合、全ての前記遮断弁接続室内機に対応する前記室内ファンを駆動させ、全ての前記遮断弁非接続室内機に対応する前記室内ファンを駆動させない、
ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記遮断弁接続室内機の漏洩検知手段が漏洩を検知した場合、当該遮断弁接続室内機に対応する前記遮断弁を閉じる、
ことを特徴とする請求項2に記載の空気調和装置。
【請求項4】
前記制御手段は、
前記遮断弁非接続室内機の漏洩検知手段が漏洩を検知した場合、全ての前記遮断弁接続室内機に対応する前記遮断弁を閉じる、
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一つに記載の空気調和装置。
【請求項5】
二つ以上の前記室内機を電気的に接続する渡り配線を有し、
前記制御手段は、
前記遮断弁非接続室内機の前記漏洩検知手段が漏洩を検知した場合、全ての前記遮断弁非接続室内機のうち、当該室内機及び当該室内機と前記渡り配線によって電気的に接続された室内機に対応する前記室内ファンを駆動させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項6】
前記制御手段は、
前記遮断弁接続室内機の前記漏洩検知手段が漏洩を検知した場合、全ての前記遮断弁接続室内機のうち、当該室内機及び当該室内機と前記渡り配線によって電気的に接続された室内機に対応する前記室内ファンを駆動させる、
ことを特徴とする請求項4に記載の空気調和装置。
【請求項7】
前記制御手段は、
前記遮断弁接続室内機の漏洩検知手段が漏洩を検知した場合、対応する前記遮断弁を閉じる、
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の空気調和装置。
【請求項8】
前記制御手段は、
前記遮断弁非接続室内機の漏洩検知手段が漏洩を検知した場合、全ての前記遮断弁接続室内機に対応する前記遮断弁を閉じる、
ことを特徴とする請求項5ないし7のいずれか一つに記載の空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室外機と複数台の室内機が冷媒配管で接続された冷媒回路を有する空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ビル用マルチエアコンなどの空気調和装置は、室外機と複数台の室内機が冷媒配管で接続された冷媒回路を有する。従来、このような空気調和装置において、冷媒が漏洩した場合の対策として、冷媒配管に各室内機に対応するように複数の遮断弁を設けたものがある(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載の空気調和装置は、各室内機に冷媒漏洩センサが設けられており、当該冷媒漏洩センサが冷媒の漏洩を検知したら、漏洩を検知した冷媒漏洩センサが設けられた室内機に対応する遮断弁を閉じる。これにより、漏洩が発生した箇所を含む回路を冷媒回路から切り離すことで、冷媒回路内の冷媒の全てが室内空間へ流出することを防止できる。一方で、切り離された時点で漏洩が発生した箇所を含む回路に残留した冷媒は、室内空間へ流出する。冷媒が可燃性、又は、微燃性である場合や、不燃性でも毒性の限界濃度が低い場合は、室内空間へ流出した冷媒の空気中の濃度が規定濃度とならないようにするため、別途対策が必要になる。
【0003】
そこで、特許文献2に記載された空気調和装置は、冷媒が漏洩した場合、室内機に搭載された送風機を動作させる送風運転を行い、漏洩した冷媒を攪拌させることで、室内空間へ流出した冷媒の空気中の濃度を低下させて、可燃濃度範囲となる領域の発生を防止している。さらに、複数台の室内機を予め設置位置の近いもの同士でグループを設定する。このグループに属する1台の室内機で冷媒が漏洩した場合、漏洩を検知した冷媒漏洩センサが設けられた室内機と、当該室内機と同グループに属する室内機とで送風運転を行う。これにより、同じ部屋に複数台室内機が設置されるような広い室内空間で冷媒が漏洩し、1台の室内機による送風運転では漏洩した冷媒の攪拌が不十分となる場合であっても、漏洩冷媒の空気中の濃度が可燃濃度範囲となる領域の発生を防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-45103号公報
【文献】特再公表2017-163321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2に記載されたグループは、施工者やユーザによって手動で設定されるものであるため、設定ミスが生じた場合は、漏洩が発生した室内機の周辺に設置された室内機が送風運転しないため、1台の室内機による送風運転では漏洩した冷媒の攪拌が不十分となり、漏洩冷媒の空気中の濃度が可燃濃度範囲となる領域が発生する虞がある。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、冷媒の漏洩が発生したとき、漏洩が発生した室内機の周辺に設置された室内機を確実に送風運転させる空気調和装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る空気調和装置は、複数の室内機と少なくとも一台の室外機が接続配管により接続され、内部を冷媒が流通する冷媒回路を備えており、室内機は、冷媒の漏洩を検知する漏洩検知手段が設けられ、室内機は、室内空間に漏洩した冷媒を攪拌する室内ファンが設けられ、漏洩検知手段の検知結果に基づいて、遮断弁及び室内ファンを制御する制御手段を備えている。複数の室内機は、接続配管に設けられた遮断弁により冷媒の供給が遮断されることが可能な室内機である遮断弁接続室内機と、遮断弁により冷媒の供給が遮断されない室内機である遮断弁非接続室内機と、を有し、制御手段は、遮断弁非接続室内機の漏洩検知手段が漏洩を検知した場合、全ての遮断弁非接続室内機に対応する室内ファンを駆動させ、全ての遮断弁接続室内機に対応する室内ファンを駆動させない。
【発明の効果】
【0008】
以上述べたように、本発明によれば、冷媒の漏洩が発生したとき、漏洩が発生した室内機の周辺に設置された室内機を確実に送風運転させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1の実施形態における空気調和装置を示すブロック構成図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態における室内機及び室外機の設置状態を示す模式図である。
【
図3】本実施形態の攪拌運転の流れを示すフロー図である。
【
図4】本発明の第2の実施形態における室内機及び室外機の設置状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づいて詳細に説明する。実施形態としては、1台の室外機に7台の室内機が並列に接続され、全ての室内機で同時に冷房運転あるいは暖房運転が行える空気調和装置を例に挙げて説明する。尚、本発明は以下の実施形態に限定されることはなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
【実施例1】
【0011】
図1(A)に示すように、本実施形態における空気調和装置1は、1台の室外機2と、室外機2に液管8およびガス管9で並列に接続された7台の室内機5a~5g(
図1(A)では、これらのうち室内機5a、5b、5d、5eの4台のみを描画している)とを備えている。より詳細には、室外機2の閉鎖弁25と各室内機5a~5gの液管接続部53とが液管8で接続されている。また、室外機2の閉鎖弁26と各室内機5a~5gのガス管接続部54とがガス管9で接続されている。このように、室外機2と7台の室内機5a~5gとが液管8およびガス管9で接続されて、空気調和装置1の冷媒回路10が形成されている。冷媒回路10の内部は、冷媒が流通する。尚、本実施形態の空気調和装置1は、1台の室外機2を備えているが、これに限るものではなく、2台以上の室外機2を備えても良い。
【0012】
<室外機の構成>
まずは、室外機2について説明する。室外機2は、圧縮機21と、四方弁22と、室外熱交換器23と、室外膨張弁24と、液管8が接続された閉鎖弁25と、ガス管9が接続された閉鎖弁26と、アキュムレータ27と、室外ファン28と、室外機制御手段200とを備えている。そして、室外ファン28と室外機制御手段200とを除くこれら各装置が、以下で詳述する各冷媒配管で相互に接続されて冷媒回路10の一部をなす室外機冷媒回路20を形成している。
【0013】
圧縮機21は、インバータにより回転数が制御される図示しないモータによって駆動されることで、運転容量を可変できる高圧容器型の能力可変型圧縮機である。圧縮機21の冷媒吐出側は、後述する四方弁22のポートaと吐出管41で接続されており、また、圧縮機21の冷媒吸入側は、四方弁22のポートcと吸入管42で接続されている。
【0014】
四方弁22は、冷媒回路10における冷媒の流れる方向を切り換えるための弁であり、a、b、c、dの4つのポートを備えている。ポートaは、上述したように圧縮機21の冷媒吐出側と吐出管41で接続されている。ポートbは、室外熱交換器23の一方の冷媒出入口と冷媒配管43で接続されている。ポートcは、圧縮機21の冷媒吸入側と吸入管42で接続されている。そして、ポートdは、閉鎖弁26と室外機ガス管45で接続されている。
【0015】
室外熱交換器23は、冷媒と、後述する室外ファン28の回転により室外機2の内部に取り込まれた外気を熱交換させるものである。上述したように、室外熱交換器23の一方の冷媒出入口と四方弁22のポートbとが冷媒配管43で接続されている。また、室外熱交換器23の他方の冷媒出入口と閉鎖弁25とが室外機液管44で接続されている。室外熱交換器23は、空気調和装置1が冷房運転を行う場合は凝縮器として機能し、空気調和装置1が暖房運転を行う場合は蒸発器として機能する。
【0016】
室外膨張弁24は、室外機液管44に設けられている。室外膨張弁24は図示しないパルスモータにより駆動される電子膨張弁であり、パルスモータに与えられるパルス数によって開度が調整されることで、室外熱交換器23に流入する冷媒量、あるいは、室外熱交換器23から流出する冷媒量が調整される。室外膨張弁24の開度は、空気調和装置1が暖房運転を行っている場合は、図示しない吐出温度センサで検出した圧縮機21から吐出された冷媒の温度に応じてその開度が調整され、冷房運転を行っている場合はその開度が全開とされる。
【0017】
室外ファン28は樹脂材で形成されており、室外熱交換器23の近傍に配置されている。室外ファン28は、図示しないファンモータによって回転することで、図示しない吸込口から室外機2の内部へ外気を取り込み、室外熱交換器23において冷媒と熱交換した外気を図示しない吹出口から室外機2の外部へ放出する。
【0018】
また、室外機2には、室外機制御手段200が備えられている。室外機制御手段200は、室外機2の図示しない電装品箱に格納された制御基板に搭載されており、
図1(B)に示すように、CPU210と、記憶部220と、通信部230と、センサ入力部240とを備えている。
【0019】
記憶部220は、例えばフラッシュメモリで構成されており、室外機2の制御プログラムや各種センサからの検出信号に対応した検出値、圧縮機21や室外ファン28の駆動状態、各室内機5から送信される運転情報(運転/停止情報、冷房/暖房等の運転モード等を含む)を記憶する。通信部230は、各室内機5a~5gとの通信を行うインターフェイスである。センサ入力部240は、室外機2の各種センサでの検出結果を取り込んでCPU210に出力する。
【0020】
CPU210は、センサ入力部240を介して各種センサでの検出値を定期的(例えば、30秒毎)に取り込むとともに、各室内機5a~5gから送信される運転情報を含む信号が通信部230を介して入力される。CPU210は、これら入力された各種情報に基づいて、室外膨張弁24の開度調整、圧縮機21や室外ファン28の駆動制御を行う。
【0021】
<各室内機の構成>
次に、7台の室内機5a~5gについて説明する。7台の室内機5a~5gは全て同じ構成を有しており、ここでは室内機5aについてのみ説明する。室内熱交換器51aと、室内膨張弁52aと、液管接続部53aと、ガス管接続部54aと、室内ファン55aとを備えている。そして、室内ファン55を除くこれら各構成装置が以下で詳述する各冷媒配管で相互に接続されて、冷媒回路10の一部をなす室内機冷媒回路50aを構成している。
【0022】
室内熱交換器51aは、冷媒と、後述する室内ファン55aの回転により図示しない吸込口から室内機5aの内部に取り込まれた室内空気を熱交換させるものである。室内熱交換器51aの一方の冷媒出入口と液管接続部53aとが室内機液管71aで接続され、他方の冷媒出入口とガス管接続部54aとが室内機ガス管72aで接続されている。室内熱交換器51aは、空気調和装置1が冷房運転を行う場合は蒸発器として機能し、空気調和装置1が暖房運転を行う場合は凝縮器として機能する。尚、液管接続部53aやガス管接続部54aは、各冷媒配管が溶接やフレアナット等により接続されている。
【0023】
室内膨張弁52aは、室内機液管71aに設けられている。室内膨張弁52aは電子膨張弁であり、室内熱交換器51aが蒸発器として機能する場合すなわち室内機5aが冷房運転を行う場合は、その開度は、室内熱交換器51aの冷媒出口(ガス管接続部54a側)での冷媒過熱度が目標冷媒過熱度となるように調整される。また、室内膨張弁52aは、室内熱交換器51aが凝縮器として機能する場合すなわち室内機5aが暖房運転を行う場合は、その開度は、室内熱交換器51aの冷媒出口(液管接続部53側)での冷媒過冷却度が目標冷媒過冷却度となるように調整される。ここで、目標冷媒過熱度や目標冷媒過冷却度とは、室内機5aで十分な冷房能力あるいは暖房能力を発揮するのに必要な冷媒過熱度および冷媒過冷却度である。
【0024】
室内ファン55aは樹脂材で形成されており、室内熱交換器51aの近傍に配置されている。室内ファン55aは、図示しないファンモータによって回転することで、図示しない吸込口から室内機5aの内部に室内空気を取り込み、室内熱交換器51aにおいて冷媒と熱交換した室内空気を図示しない吹出口から室内へ放出する。また、後述する攪拌運転では、図示しないファンモータによって回転することで、室内空間に漏洩した冷媒を攪拌する。
【0025】
また、室内機5aには、本発明の制御手段である室内機制御手段500aが備えられている。室内機制御手段500aは、室内機5aの図示しない電装品箱に格納された制御基板に搭載されており、
図1(B)に示すように、CPU510aと、記憶部520aと、通信部530aと、センサ入力部540aとを備えている。
【0026】
記憶部520aは、例えばフラッシュメモリで構成されており、室内機5aの制御プログラムや各種センサからの検出信号に対応した検出値、室外機2から送信される運転情報を記憶する。通信部530aは、室外機2や後述する遮断弁ユニット100との通信を行うインターフェイスである。センサ入力部540aは、室内機5aの各種センサでの検出結果を取り込んでCPU210に出力する。
【0027】
CPU510は、センサ入力部540aを介して各種センサでの検出値を定期的(例えば、30秒毎)に取り込むとともに、室外機2から送信される運転情報を含む信号が通信部530aを介して入力される。CPU510aは、これら入力された各種情報に基づいて、室内膨張弁52aの開度調整や室内ファン55aの駆動制御を行う。
【0028】
以上説明した構成の他に、室内機5には各種のセンサが設けられている。室内機液管71aまたは室内機ガス管72aの付近には、室内機5aの内部で冷媒回路10から漏洩した冷媒の濃度を検出する、本発明の漏洩検知手段である冷媒漏洩センサ61aが備えられている。詳しくは後述するが、冷媒漏洩センサ61aの検知結果に基づいて、液側遮断弁110a、ガス側遮断弁120a及び室内ファン55aを制御する。
【0029】
<液管およびガス管の構成>
次に、本発明の接続配管の一つである液管8の構成について説明する。液管8は、液主管81と液分岐部82と液枝管83a~83gを有する。液主管81は、一方が閉鎖弁25と接続され、他方が液分岐部82と接続される。液分岐部82は一方が液主管81と接続され、他方が7本の液枝管83a~83gと接続されている。各液枝管83a~83gは、一方が液分岐部と接続され、他方が対応する室内機5a~5gの液管接続部53a~53gと接続される。
【0030】
次に、本発明の接続配管の一つであるガス管9の構成について説明する。ガス管9は、ガス主管91とガス分岐部92とガス枝管93a~93gを有する。ガス主管91は、一方が閉鎖弁26と接続され、他方がガス分岐部92と接続される。ガス分岐部92は一方がガス主管91と接続され、他方が7本のガス枝管93a~93gと接続されている。各ガス枝管93a~93gは、一方がガス分岐部と接続され、他方が対応する室内機5a~5gのガス管接続部54a~54gと接続される。
【0031】
<遮断弁ユニットの構成>
次に、遮断弁ユニット100の構成について説明する。遮断弁ユニット100は、液分岐部82と、ガス分岐部92と、液側遮断弁110a~110cと、ガス側遮断弁120a~120cと、遮断弁ユニット制御手段130を備える。尚、本実施形態における空気調和装置1では、7台の室内機のうち3台の室内機5a~5cに対応する液枝管83a~83cには液側遮断弁110a~110cが、ガス枝管93a~93cにはガス側遮断弁120a~120cがそれぞれ設置され、他の4台の室内機5d~gに対応する液枝管83d~83g、及び、ガス枝管93d~93gには遮断弁が設置されない。
【0032】
液側遮断弁110aは、液枝管83aに設けられている。液側遮断弁110aは開閉弁であり、空気調和装置1が運転している時は開状態であるが、冷媒漏洩センサ61aの検出結果に応じて閉状態となるように遮断弁ユニット制御手段130により制御される。液側遮断弁110bは、液枝管83bに設けられている。液側遮断弁110bは開閉弁であり、空気調和装置1が運転している時は開状態であるが、冷媒漏洩センサ61bの検出結果に応じて閉状態となるように遮断弁ユニット制御手段130により制御される。液側遮断弁110cは、液枝管83cに設けられている。液側遮断弁110cは開閉弁であり、空気調和装置1が運転している時は開状態であるが、冷媒漏洩センサ61cの検出結果に応じて閉状態となるように遮断弁ユニット制御手段130により制御される。
【0033】
ガス側遮断弁120aは、ガス枝管93aに設けられている。ガス側遮断弁120aは開閉弁であり、空気調和装置1が運転している時は開状態であるが、冷媒漏洩センサ61aの検出結果に応じて閉状態となるように遮断弁ユニット制御手段130により制御される。ガス側遮断弁120bは、ガス枝管93bに設けられている。ガス側遮断弁120bは開閉弁であり、空気調和装置1が運転している時は開状態であるが、冷媒漏洩センサ61bの検出結果に応じて閉状態となるように遮断弁ユニット制御手段130により制御される。ガス側遮断弁120cは、ガス枝管93cに設けられている。ガス側遮断弁120cは開閉弁であり、空気調和装置1が運転している時は開状態であるが、冷媒漏洩センサ61cの検出結果に応じて閉状態となるように遮断弁ユニット制御手段130により制御される。
【0034】
また、遮断弁ユニット100には、遮断弁ユニット制御手段130が備えられている。遮断弁ユニット制御手段130は、遮断弁ユニット100の図示しない電装品箱に格納された制御基板に搭載されており、
図1(B)に示すように、CPU131と、記憶部132と、通信部133とを備えている。
【0035】
記憶部132は、例えばフラッシュメモリで構成されており、室内機との接続関係についてディップスイッチやロータリスイッチ等で作業者によって入力された情報を記憶する。通信部133は、室内機5a~5cとの通信を行うインターフェイスである。
【0036】
CPU131は、室内機5a~5cから送信される信号が通信部133を介して入力される。CPU131は、入力された情報に基づいて、液側遮断弁110a~110c、及び、ガス側遮断弁120a~120cの閉制御を行う。
【0037】
<冷媒回路の動作>
次に、本実施形態における空気調和装置1の空調運転時の冷媒回路10における冷媒の流れや各部の動作について、
図1(A)を用いて説明する。尚、以下の説明では、空気調和装置1が冷房運転を行う場合について説明し、暖房運転を行う場合については詳細な説明を省略する。また、
図1における矢印は冷房運転時の冷媒の流れを示している。
【0038】
図1に示すように、空気調和装置1が冷房運転を行う場合は、四方弁22が実線で示す状態、すなわち、四方弁22のポートaとポートbとが連通するように、また、ポートcとポートdとが連通するように切り換えられる。これにより、冷媒回路10は、各室内熱交換器51が蒸発器として機能するとともに、室外熱交換器23が凝縮器として機能する冷房サイクルとなる。
【0039】
上記のような冷媒回路10の状態で圧縮機21が駆動すると、圧縮機21から吐出された冷媒は、吐出管41を流れて四方弁22に流入し、四方弁22から冷媒配管43を介して室外熱交換器23へと流入する。
【0040】
室外熱交換器23へと流入した冷媒は、室外ファン28の回転によって室外機2の内部に取り込まれた外気と熱交換を行って凝縮する。室外熱交換器23から室外機液管44へと流出した冷媒は、開度が全開とされている室外膨張弁24を通過し、閉鎖弁25を介して液管8に流出する。
【0041】
液管8を流れる冷媒は、液管接続部53を介して各室内機5に分流する。各室内機5に流入した冷媒は各室内機液管71を流れ、室内熱交換器51の各々の冷媒出口での冷媒過熱度が目標冷媒過熱度となるように開度が調整された各室内膨張弁52を通過する際に減圧される。
【0042】
各室内機液管71から各室内熱交換器51に流入した冷媒は、各室内ファン55の回転により各室内機5の内部に取り込まれた室内空気と熱交換を行って蒸発する。このように、各室内熱交換器51が蒸発器として機能し、各室内熱交換器51で冷媒と熱交換を行って冷却された室内空気が図示しない吹出口から室内に吹き出されることによって、40台の室内機5が設置された室内の冷房が行われる。
【0043】
各室内熱交換器51から各室内機ガス管72に流出した冷媒は、各ガス管接続部54を介してガス管9に流出する。ガス管9で合流し閉鎖弁25を介して室外機2に流入した冷媒は、室外機ガス管45、四方弁22、吸入管42の順に流れ、圧縮機21に吸入されて再び圧縮される。
【0044】
尚、空気調和装置1が暖房運転を行う場合、四方弁22が破線で示す状態、すなわち、四方弁22のポートaとポートdが連通するよう、また、ポートbとポートcが連通するように切り換えられる。これにより、冷媒回路10は、各室内熱交換器51が凝縮器として機能するとともに、室外熱交換器23が蒸発器として機能する暖房サイクルとなる。
【0045】
<空気調和装置が設置された建物の構成>
以上説明した空気調和装置1が、
図2に示す建物300に設置されている。室外機2が屋外に設置され、7台の室内機5a~5gは屋内に設置される。建物300は床面積の異なる4つの部屋301~304を有している。部屋301は、床面積が比較的狭い部屋であり、1台の室内機5aが設置される。部屋302は、床面積が部屋301よりも広い部屋であり、2台の室内機5b、5cが設置される。部屋303は、床面積が部屋302よりも広い部屋であり、2台の室内機5d、5eが設置される。部屋304は、床面積が部屋303と同じ広さの部屋であり、2台の室内機5f、5gが設置される。尚、
図2において、室内機5aには冷媒漏洩センサ61aと室内ファン55aが図示され、他の室内機5b~5gも同様である。また、遮断弁ユニット100、液分岐部82は建物の天井裏空間305に配置される。尚、
図2では液管8(液主管81、液分岐部82、液枝管83a~g)及び液側遮断弁110a~110cのみ図示し、ガス管9(ガス主管91、ガス分岐部92、ガス枝管93a~93g)及びガス側遮断弁120a~120cの図示を省略している。
【0046】
IEC(国際電気標準会議;IEC60335-2-40:2018)規格、及び、ISO(国際標準化機構;ISO5149)規格では、空気調和装置に充填された冷媒の全量が部屋空間に流出したときの空気中における冷媒の平均濃度(kg/m3)によって、当該部屋に安全対策が必要であるか否かを規定している。具体的には、前述の平均濃度が冷媒のRCL(冷媒限界濃度)を元とした規定濃度以上となる部屋の大きさ(m3)の場合、安全対策が必要となる。安全対策には、換気装置や遮断弁が含まれる。換気装置は、部屋の内部から外部へ空気の流れを作ることで漏洩が発生した冷媒を屋外へ排出し、遮断弁は、冷媒回路の冷媒が漏洩した箇所に冷媒が流入するのを停止することで、規定濃度への到達を抑制する。本実施形態の空気調和装置1では、安全対策として遮断弁の設置を採用している。建物300では、部屋301、及び、部屋302の大きさが当該条件に該当するため、部屋301に設置された室内機5aと、部屋302に設置された室内機5b、5cに対応して液側遮断弁110、ガス側遮断弁120が設けられる。
【0047】
<冷媒が漏洩した時の空気調和装置の動作>
次に、空気調和装置1の冷媒回路10から各部屋301~304の何れかへ冷媒が漏洩した場合の空気調和装置1の動作について説明する。室内機制御手段500のCPU510は、各室内機5から冷媒漏洩センサ61が検出した結果を定期的(例えば、30秒毎)に受信しており、受信した検出結果である冷媒の濃度が上昇すれば、濃度の上昇が認められた冷媒漏洩センサを搭載する室内機において冷媒が漏洩したと判断する。尚、空気調和装置1は、各室内機5a~5gにディップスイッチ等が設けられ、各室内機5a~5gに接続される液枝管83に液側遮断弁110、及び、ガス枝管93にガス側遮断弁120が設置されているか否かの状態を示す情報を作業者が入力することで記憶部520に記憶される。
【0048】
従来は、攪拌運転を行うグループとして専用のグループが施工者やユーザによって手動で設定されていたため、設定ミスが生じる可能性が有った。本実施形態の空気調和装置1は、遮断弁により冷媒の供給が遮断されることが可能な一つ以上の遮断弁接続室内機(5a~5c)と遮断弁により冷媒の供給が遮断されない一つ以上の遮断弁非接続室内機(5d~5g)とを有し、遮断弁非接続室内機の冷媒漏洩センサが漏洩を検知した場合、全ての遮断弁非接続室内機の室内ファンを駆動させ、全ての遮断弁接続室内機の室内ファンは駆動させない。このように、本発明の空気調和装置1は、専用のグループを施工者やユーザが手動で設定するものではなく、室内機制御手段500の記憶部520に記憶された遮断弁の接続情報に基づいて室内ファンを駆動させるか否かを決定するものである。そのため、従来では生じていた人為的な設定ミスが無くなる。よって、冷媒の漏洩が発生したとき、漏洩が発生した室内機の周辺に設置された室内機を確実に送風運転させることができるので、冷媒を攪拌させるのに十分な風量を確保でき、漏洩冷媒の空気中の濃度が可燃濃度範囲となる領域が発生することを抑制できる。
【0049】
以下、遮断弁接続室内機の室内機5bで冷媒が漏洩した場合と、遮断弁非接続室内機の室内機5dで冷媒が漏洩した場合の空気調和装置1の動作についてそれぞれ説明する。
【0050】
<室内機5bから冷媒が漏洩した場合>
先ず、部屋302に設置された室内機5bで冷媒が漏洩した場合の空気調和装置1の動作について説明する。室内機5bの室内機制御手段500bが備えるCPU510bは、冷媒漏洩センサ61bの検出結果から室内機5bで冷媒が漏洩したと判断したら、液側遮断弁110b及びガス側遮断弁120bを閉じる。すなわち、漏洩が発生した室内機冷媒回路50bを冷媒回路10から切り離す。これにより、部屋302に流出する冷媒は、室内機冷媒回路50b、液枝管83b、ガス枝管93bに残留する冷媒のみになるので、冷媒回路10内の冷媒の全てが部屋302へ流出することを防止でき、空気中の濃度が燃焼範囲になることを防止できる。また、漏洩が発生した室内機冷媒回路50bを冷媒回路10から切り離すことで、室内機5bで冷媒が漏洩した後も他の室内機5a、5d~5gは運転が可能になる。室内機5cも運転が可能ではあるが、後述する攪拌運転を優先して行う。
【0051】
また、CPU510bは、室内機5bで冷媒が漏洩したと判断したら、室内機5bから部屋302へ流出した冷媒を攪拌するため、室内ファン55bを駆動させて攪拌運転を行う。当該攪拌運転は、冷媒漏洩センサ61bの検出結果がRCL(冷媒限界濃度)を元とした規定濃度を下回った状態で予め定めた所定の時間(例えば、1時間)が経過したら終了しても良いし、冷媒が漏洩した箇所の修理を行う作業者の操作によって終了しても良い。
【0052】
また、室内機制御手段500bが備える通信部530bを介して他の室内機5a、5c~5gへ、室内機5bで冷媒が漏洩したことを知らせる信号を発信する。当該信号を受信した他の室内機5a、5c~5gのうち、室内機5bと同じ遮断弁接続室内機である室内機5cは、室内ファン55cを駆動させて攪拌運転を行う。同様に、室内機5bと同じ遮断弁接続室内機である室内機5aは、室内ファン55aを駆動させて攪拌運転を行う。一方で、遮断弁非接続室内機である室内機5d~5gは、攪拌運転を行わない。これにより、全台の室内機5a~5gを攪拌運転させる場合と比較して電力の消費を抑制できる。
【0053】
<室内機5dから冷媒が漏洩した場合>
次に、部屋303に設置された室内機5dで冷媒が漏洩した場合の空気調和装置1の動作について説明する。CPU510dは、室内機5dで冷媒が漏洩したと判断したら、液側遮断弁110a~110c及びガス側遮断弁120a~120cを閉じる。すなわち、液側遮断弁110及びガス側遮断弁120と接続している室内機冷媒回路50a~50cを冷媒回路10から切り離す。冷媒が漏洩した室内機5dは遮断弁非接続室内機であり、室内機冷媒回路50dへの冷媒の供給を停止する手段を持たないため、室内機5dが設置された室内303へ冷媒回路10に充填された冷媒の全てが流出する虞がある。しかし、液側遮断弁110及びガス側遮断弁120と接続している室内機冷媒回路50a~50cを冷媒回路10から切り離すことで、当該回路の冷媒は部屋303に流出しなくなるので、冷媒回路10内の冷媒の全てが部屋303へ流出することを防止でき、空気中の濃度が燃焼範囲になることを防止できる。
【0054】
また、CPU510dは、室内機5dで冷媒が漏洩したと判断したら、室内機5dから部屋303へ流出した冷媒を攪拌するため、室内ファン55dを動作させる送風運転を行う。当該送風運転は、予め定めた所定の時間が経過したら終了しても良いし、冷媒が漏洩した箇所の修理を行う作業者の操作によって終了しても良い。
【0055】
また、通信部530dを介して他の室内機5a~5c、5e~5gへ、室内機5dで冷媒が漏洩したことを知らせる信号を発信する。当該信号を受信した他の室内機5a~5c、5e~5gのうち、室内機5dと同じ遮断弁接続室内機である室内機5eは、室内ファン55eを駆動させて攪拌運転を行う。同様に、室内機5dと同じ遮断弁接続室内機である室内機5fは、室内ファン55fを駆動させて攪拌運転を行う。同様に、室内機5dと同じ遮断弁接続室内機である室内機5gは、室内ファン55gを駆動させて攪拌運転を行う。一方で、遮断弁接続室内機に属する室内機5a~5cは、攪拌運転を行わない。これにより、全台の室内機5a~5gを攪拌運転させる場合と比較して電力の消費を抑制できる。
【0056】
<冷媒が漏洩した時の室内機制御手段による処理の流れ>
次に、
図3を用いて、空気調和装置1の冷媒回路10から各部屋301~304の何れかへ冷媒が漏洩した場合の室内機制御手段500a~500gによる処理の流れについて説明する。
図3に示すのは、室内機制御手段500のCPU510が行う処理を示すフローチャートである。
図3において、STは処理のステップを表し、これに続く数字はステップの番号を表している。
図3のフローチャートに示す処理は、空気調和装置1が停止している際も常に繰り返し実行されるものである。尚、
図3では、本発明に関わる処理のみに言及しており、冷房運転時や暖房運転時の空気調和装置1の制御などのその他の制御に係る処理については、記載と説明を省略する。
【0057】
室内制御手段500のCPU510は、当該室外制御手段500を備えた室内機5が搭載する冷媒漏洩センサ61の検出結果から、当該室内機5で冷媒が漏洩しているか否かを判定する(ST1)。冷媒が漏洩していると判断した場合(ST1-YES)、CPU510は、冷媒が漏洩したことを知らせる信号を他の室内機5へ送信する(ST2)。
その後、室内制御手段500のCPU510は、当該室外制御手段500を備えた室内機5に接続される液枝管83に液側遮断弁110、及び、ガス枝管93にガス側遮断弁120がそれぞれ設置されているか否かを判定する(ST3)。尚、液側遮断弁110及びガス側遮断弁120が設置されているか否かは記憶部520に記憶されている。液側遮断弁110及びガス側遮断弁120が設置されている場合(ST3-YES)、CPU510は、当該液側遮断弁110及びガス側遮断弁120を閉じるように遮断弁ユニット制御手段130に対して指令を送る(ST4)。
【0058】
その後、室内制御手段500のCPU510は、当該室外制御手段500を備えた5に搭載される室内ファン55を駆動させて攪拌運転を開始する(ST5)。攪拌運転は、冷媒漏洩センサ61bの検出結果がRCL(冷媒限界濃度)を元とした規定濃度を下回った状態で予め定めた所定の時間(例えば、1時間)が経過したら終了しても良いし、冷媒が漏洩した箇所の修理を行う作業者の操作によって終了しても良い。
【0059】
一方、ステップST1において、CPU510は、冷媒が漏洩していないと判断した場合(ST1-NO)、冷媒が漏洩したことを知らせる信号を他の室内機5から受信したか否かを判定する(ST6)。信号を受信していない場合(ST6-NO)、CPU510は、処理を終えて、再度ステップST1へ移行する。
【0060】
冷媒が漏洩したことを知らせる信号を他の室内機5から受信した場合(ST6-YES)、室内制御手段500のCPU510は、当該室外制御手段500を備えた室内機5と当該信号の送信元である室内機5とで遮断弁の接続状態を示す情報が同じか否かを判定する(ST7)。遮断弁の接続状態とは、室内機制御手段500の記憶部520に記憶され、各室内機5a~5gに接続される液枝管83に液側遮断弁110、及び、ガス枝管93にガス側遮断弁120が設置されているか否かの状態を示す情報である。
例えば、室内制御手段500のCPU510は、当該室外制御手段500を備えた室内機5が遮断弁接続室内機(例えば、室内機5b)であり、信号の送信元である室内機5が遮断弁接続室内機(例えば、室内機5c)なら、当該室外制御手段500を備えた室内機5と当該信号の送信元である室内機5とで遮断弁の接続状態を示す情報が同じと判断する。一方で、室内制御手段500のCPU510は、当該室外制御手段500を備えた室内機5が遮断弁接続室内機(例えば、室内機5b)であり、信号の送信元である室内機5が遮断弁非接続室内機(例えば、室内機5d)なら、当該室外制御手段500を備えた室内機5と当該信号の送信元である室内機5とで遮断弁の接続状態を示す情報が異なると判断する。
【0061】
制御対象である室内機5と当該信号の送信元である室内機5とで遮断弁の接続状態を示す情報が同じと判断した場合(ST7-YES)、制御対象である室内機5と当該信号の送信元である室内機5とは同じ部屋に設置されている可能性が有る。そのため、CPU510は、ステップST5へ移行し、制御対象である室内機5に搭載される室内ファン55を駆動させて攪拌運転を開始する。
【0062】
制御対象である室内機5と当該信号の送信元である室内機5とで遮断弁の接続状態を示す情報が同じではないと判断した場合(ST7-NO)、CPU510は、当該室外制御手段500を備えた室内機5が遮断弁接続室内機(例えば、室内機5b)で、且つ、信号の送信元である室内機5が遮断弁非接続室内機(例えば、室内機5d)であるか否かを判定する(ST8)。前述の判定条件を満たす場合(ST8-YES)、CPU510は、その液側遮断弁110及びガス側遮断弁120を閉じるように遮断弁ユニット制御手段130に対して指令を送る(ST9)。ステップST9は、冷媒が漏洩している室内機5が遮断弁非接続室内機であり、CPU510の制御対象である室内機5は遮断弁接続室内機という状況である。そのため、本ステップによって冷媒回路10内の冷媒の全てが漏洩してしまうことを防止できる。
【0063】
液側遮断弁110及びガス側遮断弁120が設置されていない場合(ST8-NO)、CPU510は、処理を終えて、再度ステップST1へ移行する。この場合、冷媒が漏洩している室内機5が遮断弁接続室内機であり、CPU510の制御対象である室内機5は遮断弁非接続室内機という状況である。つまり、漏洩が発生した室内機冷媒回路50は冷媒回路10から切り離されている。そのため、もし、CPU510の制御対象である室内機5が運転中だった場合、冷媒が漏洩した後も運転を継続できる。
【0064】
以上説明したように、本実施形態の空気調和装置1では、遮断弁により冷媒の供給が遮断されることが可能な一つ以上の遮断弁接続室内機(5a~5c)と遮断弁により冷媒の供給が遮断されない一つ以上の遮断弁非接続室内機(5d~5g)とを有し、遮断弁非接続室内機の冷媒漏洩センサが漏洩を検知した場合、全ての遮断弁非接続室内機の室内ファンを駆動させ、全ての遮断弁接続室内機の室内ファンは駆動させない。このように、本発明の空気調和装置1は、室内機制御手段500の記憶部520に記憶された遮断弁の接続情報に基づいて室内ファンを駆動させるか否かを決定するものである。そのため、従来では生じていた人為的な設定ミスが無くなる。よって、冷媒の漏洩が発生したとき、漏洩が発生した室内機の周辺に設置された室内機を確実に送風運転させることができるので、冷媒を攪拌させるのに十分な風量を確保でき、漏洩冷媒の空気中の濃度が可燃濃度範囲となる領域が発生することを抑制できる。
【実施例2】
【0065】
次に、本発明の第2の実施形態について、
図4を用いて説明する。第2の実施形態と第1の実施形態の違いは、ワイヤードリモコン302x~304xが部屋に設けられている点と、二つ以上の室内機を接続する渡り配線31、33、35が設けられている点と、室内機5gの冷媒漏洩センサ61gの替わりにガスセンサ36が部屋304に設けられている点であって、他の構成は同じである。従って、
図4において、第1の実施形態と同じ構成は同じ符号を示す。また、共通する構成の説明は省略する。
【0066】
部屋302にはワイヤードリモコン302xが設けられている。ワイヤードリモコン302xは配線30によって室内機5bと接続され、室内機5bと室内機5cは渡り配線31によって各種信号を相互に伝送可能となるように接続しされている。ワイヤードリモコン302xは、図示しない入力手段を備え、使用者により入力された運転情報を部屋302に設けられた室内機5bと室内機5cへ送信する。部屋303にはワイヤードリモコン303xが設けられている。ワイヤードリモコン303xは配線32によって室内機5dと接続され、室内機5dと室内機5eは渡り配線33によって各種信号を相互に伝送可能となるように接続しされている。ワイヤードリモコン303xは、図示しない入力手段を備え、使用者により入力された運転情報を部屋303に設けられた室内機5dと室内機5eへ送信する。部屋304にはワイヤードリモコン304xが設けられている。ワイヤードリモコン304xは配線34によって室内機5fと接続され、室内機5fと室内機5gは渡り配線35によって各種信号を相互に伝送可能となるように接続しされている。ワイヤードリモコン304xは、図示しない入力手段を備え、使用者により入力された運転情報を部屋304に設けられた室内機5fと室内機5gへ送信する。CPU510は、設置時に室内機5とワイヤードリモコンとの対応関係を予め記憶部520に記憶しておく。
【0067】
渡り配線によって接続された室内機は、リモコンを共用するため本実施形態の様に同じ部屋に設置される場合が多い。そのため、一台の室内機5で漏洩が発生したら、記憶部520を参照して、当該室内機5と渡り配線で接続され、リモコンを共用する全ての室内機5で攪拌運転を行う。第1の実施形態では、例えば、部屋302に設置された室内機5bで冷媒が漏洩した場合、違う部屋に設けられているにも関わらず同じ遮断弁接続室内機のグループに属する室内機5aも攪拌運転を行っていた。しかし、本実施形態では、室内機5aで冷媒が漏洩した場合、冷媒が漏洩したことを知らせる信号を渡り配線を介して室内機5bにのみ冷媒が漏洩した部屋に設置された室内機5だけ攪拌運転を実施できる。そのため、第1の実施形態と比較して電力の消費をさらに抑制できる。
【0068】
また、各冷媒漏洩センサ61は、必ずしも室内機5に設けられていなくても良い。例えば、
図4に示すように、部屋304にはガスセンサ36が設けられている。ガスセンサ36は配線37を介して室内機5gと通信可能に接続されている。室内機5gの室内機制御手段500gのCPU510gは、ガスセンサ36の検出結果を通信部530gを介して取り込む。CPU510gは、ガスセンサ36の検出結果に基づいて冷媒が漏洩したか否かを判断する。これにより、室内機5gが冷媒漏洩センサ61gを備えていなくても冷媒が漏洩したことを検知できる。
【符号の説明】
【0069】
1 空気調和装置
2 室外機
5 室内機
8 液管
9 ガス管
10 冷媒回路
20 室外機冷媒回路
21 圧縮機
22 四方弁
23 室外熱交換器
24 室外膨張弁
25 閉鎖弁
26 閉鎖弁
28 室外ファン
30 配線
31 渡り配線
32 配線
33 渡り配線
34 配線
35 渡り配線
36 ガスセンサ
37 配線
41 吐出管
42 吸入管
43 冷媒配管
44 室外機液管
45 室外機ガス管
46 冷媒配管
50 室内機冷媒回路
51 室内熱交換器
52 室内膨張弁
53 液管接続部
54 ガス管接続部
55 室内ファン
61 冷媒漏洩センサ
71 室内機液管
72 室内機ガス管
81 液主管
82 液分岐部
83 液枝管
91 ガス主管
92 ガス分岐部
93 ガス枝管
100 遮断弁ユニット
110 液側遮断弁
120 ガス側遮断弁
130 遮断弁ユニット制御手段
131 CPU
132 記憶部
133 通信部
200 室外機制御手段
210 CPU
220 記憶部
230 通信部
240 センサ入力部
301 部屋
302 部屋
303 部屋
304 部屋
305 天井裏空間
500 室内機制御手段
510 CPU
520 記憶部
530 通信部
540 センサ入力部