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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-21
(45)【発行日】2023-09-29
(54)【発明の名称】折り畳みコンテナ
(51)【国際特許分類】
   B65D 6/18 20060101AFI20230922BHJP
【FI】
B65D6/18 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019126456
(22)【出願日】2019-07-05
(65)【公開番号】P2021011288
(43)【公開日】2021-02-04
【審査請求日】2022-05-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000010054
【氏名又は名称】岐阜プラスチック工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢崎 義久
【審査官】二ッ谷 裕子
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-267359(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0075541(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0178197(US,A1)
【文献】特開平8-318939(JP,A)
【文献】特開2019-59488(JP,A)
【文献】特開2005-47531(JP,A)
【文献】特開2016-203997(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 6/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状の底板と、前記底板の対向する一対の辺にそれぞれ回転可能に取付けられた一対の第1の側板と、前記底板の対向する他の一対の辺にそれぞれ回転可能に取付けられた一対の第2の側板とを、備え、前記底板上に一対の前記第1の側板を倒した上に一対の前記第2の側板を倒した折り畳み状態と、一対の前記第2の側板を起立させた後に一対の前記第1の側板を起立させて、一対の前記第1の側板と一対の前記第2の側板とで平面視矩形状をした側壁が形成される組み立て状態と、を選択的に構成可能な折り畳みコンテナであって、
前記組み立て状態において、前記第1の側板の前記第2の側板に近接して対向する部分である第1の対向部と、前記第2の側板の前記第1の側板に近接して対向する部分である第2の対向部との間にそれぞれ所定のクリアランスが形成されるものであり、
前記第1の対向部の上端部近傍の一部に前記第1の対向部と一体に、所定の突出高さを有してその突出端面が前記第2の対向部と接触する第1の凸部を有し、
前記第2の対向部の上端部近傍の一部に前記第2の対向部と一体に、所定の突出高さを有してその突出端面が前記第1の対向部と接触する第2の凸部を有し、
前記側壁の厚み方向のうち、前記組み立て状態の前記折り畳みコンテナにおける内部の側を内側とするとともに外部の側を外側としたとき、前記第1の凸部の外側の端部に、外側へいくほど前記突出高さが低くなる第1の傾斜部を有するか、又は/及び、前記第2の凸部の内側の端部に、内側へいくほど前記突出高さが低くなる第2の傾斜部を有し、
前記組み立て状態において、前記第1の凸部と前記第2の凸部とは、上下方向にずれた位置に形成されており、
前記第1の側板と前記第2の側板の少なくとも一方の上部に把手口が形成されており、前記第1の凸部及び前記第2の凸部は前記把手口よりも上側に形成されている、
折り畳みコンテナ。
【請求項2】
矩形状の底板と、前記底板の対向する一対の辺にそれぞれ回転可能に取付けられた一対の第1の側板と、前記底板の対向する他の一対の辺にそれぞれ回転可能に取付けられた一対の第2の側板とを、備え、前記底板上に一対の前記第1の側板を倒した上に一対の前記第2の側板を倒した折り畳み状態と、一対の前記第2の側板を起立させた後に一対の前記第1の側板を起立させて、一対の前記第1の側板と一対の前記第2の側板とで平面視矩形状をした側壁が形成される組み立て状態と、を選択的に構成可能な折り畳みコンテナであって、
前記組み立て状態において、前記第1の側板の前記第2の側板に近接して対向する部分である第1の対向部と、前記第2の側板の前記第1の側板に近接して対向する部分である第2の対向部との間にそれぞれ所定のクリアランスが形成されるものであり、
前記第1の対向部の上端部近傍の一部に前記第1の対向部と一体に、所定の突出高さを有してその突出端面が前記第2の対向部と接触する第1の凸部を有し、
前記第2の対向部の上端部近傍の一部に前記第2の対向部と一体に、所定の突出高さを有してその突出端面が前記第1の対向部と接触する第2の凸部を有し、
前記側壁の厚み方向のうち、前記組み立て状態の前記折り畳みコンテナにおける内部の側を内側とするとともに外部の側を外側としたとき、前記第1の凸部の外側の端部に、外側へいくほど前記突出高さが低くなる第1の傾斜部を有するか、又は/及び、前記第2の凸部の内側の端部に、内側へいくほど前記突出高さが低くなる第2の傾斜部を有し、
前記組み立て状態において、前記第1の凸部と前記第2の凸部とは、上下方向において同じ位置に形成されており、
前記第1の側板と前記第2の側板の少なくとも一方の上部に把手口が形成されており、前記第1の凸部及び前記第2の凸部は前記把手口よりも上側に形成されている、
り畳みコンテナ
【請求項3】
矩形状の底板と、前記底板の対向する一対の辺にそれぞれ回転可能に取付けられた一対の第1の側板と、前記底板の対向する他の一対の辺にそれぞれ回転可能に取付けられた一対の第2の側板とを、備え、前記底板上に一対の前記第1の側板を倒した上に一対の前記第2の側板を倒した折り畳み状態と、一対の前記第2の側板を起立させた後に一対の前記第1の側板を起立させて、一対の前記第1の側板と一対の前記第2の側板とで平面視矩形状をした側壁が形成される組み立て状態と、を選択的に構成可能な折り畳みコンテナであって、
前記組み立て状態において、前記第1の側板の前記第2の側板に近接して対向する部分である第1の対向部と、前記第2の側板の前記第1の側板に近接して対向する部分である第2の対向部との間にそれぞれ所定のクリアランスが形成されるものであり、
前記第1の対向部の上端部近傍の一部に前記第1の対向部と一体に、所定の突出高さを有する第1の凸部を有し、
前記第2の対向部の上端部近傍の一部に前記第2の対向部と一体に、前記組み立て状態における上下方向において前記第1の凸部と同じ位置に形成されて所定の突出高さを有し、その突出端面が前記組み立て状態において前記第1の対向部の突出端面と接触する第2の凸部を有し、
前記側壁の厚み方向のうち、前記組み立て状態の前記折り畳みコンテナにおける内部の側を内側とするとともに外部の側を外側としたとき、前記第1の凸部の外側の端部に、外側へいくほど前記突出高さが低くなる第1の傾斜部を有するか、又は/及び、前記第2の凸部の内側の端部に、内側へいくほど前記突出高さが低くなる第2の傾斜部を有し、
前記第1の側板と前記第2の側板の少なくとも一方の上部に把手口が形成されており、前記第1の凸部及び前記第2の凸部は前記把手口よりも上側に形成されている、
り畳みコンテナ
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り畳みコンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、底板と第1の側板と第2の側板とを備え、折り畳み状態と組み立て状態とを選択的に構成可能な折り畳みコンテナが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
第1の側板は、底板の対向する一対の辺にそれぞれ回転可能に取付けられ、第2の側板は、底板の対向する他の一対の辺にそれぞれ回転可能に取付けられる。底板上に一対の第1の側板を倒した上に一対の第2の側板を倒すことで、折り畳み状態とすることができる。また、一対の第2の側板を起立させた後に一対の第1の側板を起立させて、一対の第1の側板と一対の第2の側板とで平面視矩形状をした側壁が形成される組み立て状態とすることができる。
【0004】
組み立て状態において、第1の側板の第2の側板に近接して対向する部分である第1の対向部と、第2の側板の第1の側板に近接して対向する部分である第2の対向部との間にそれぞれ所定のクリアランスが形成される。組み立て状態において所定のクリアランスが形成されることにより、折り畳みコンテナを折り畳み状態から組み立てて組み立て状態とする作業がしやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第3911165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、組み立て状態において所定のクリアランスが形成されることにより、折り畳みコンテナに荷物を入れて持ち運ぶ際に、折り畳みコンテナにひねりが発生しやすい、という問題があった。
【0007】
本発明は上記従来の問題点に鑑みて発明したものであって、組み立て状態においてひねりが発生しにくい折り畳みコンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る一形態の折り畳みコンテナは、矩形状の底板と、一対の第1の側板と、一対の第2の側板とを、備える。前記第1の側板は、前記底板の対向する一対の辺にそれぞれ回転可能に取付けられる。前記第2の側板は、前記底板の対向する他の一対の辺にそれぞれ回転可能に取付けられる。前記折り畳みコンテナは、前記底板上に一対の前記第1の側板を倒した上に一対の前記第2の側板を倒した折り畳み状態と、一対の前記第2の側板を起立させた後に一対の前記第1の側板を起立させて、一対の前記第1の側板と一対の前記第2の側板とで平面視矩形状をした側壁が形成される組み立て状態と、を選択的に構成可能である。前記組み立て状態において、前記第1の側板の前記第2の側板に近接して対向する部分である第1の対向部と、前記第2の側板の前記第1の側板に近接して対向する部分である第2の対向部との間にそれぞれ所定のクリアランスが形成されるものである。前記折り畳みコンテナは、前記第1の対向部の一部に、所定の突出高さを有する第1の凸部を有し、前記第2の対向部の一部に、所定の突出高さを有する第2の凸部を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る折り畳みコンテナにあっては、第1の凸部及び第2の凸部が形成されているため、組み立て状態において第1の凸部及び第2の凸部が形成された部分におけるクリアランスは、所定のクリアランスより小さくなる。これにより、第1の側板と第2の側板とが相対的に移動しにくくなり、折り畳みコンテナにはひねりが発生しにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、一実施形態に係る折り畳みコンテナの組み立て状態の斜視図である。
図2図2は、同上の折り畳みコンテナの折り畳み状態の斜視図である。
図3図3Aは、同上の折り畳みコンテナの底板の斜視図である。図3Bは、図3Aの一点鎖線で囲んだ部分の拡大図である。
図4図4Aは、同上の折り畳みコンテナの第1の側板の斜視図である。図4Bは、図4Aの一点鎖線で囲んだ部分の拡大図である。
図5図5Aは、同上の折り畳みコンテナの第2の側板の斜視図である。図5Bは、図5Aの一点鎖線で囲んだ部分の拡大図である。
図6図6は、同上の折り畳みコンテナの組み立て状態における垂直断面図である。
図7図7Aは、同上の折り畳みコンテナの組み立て状態において、第2の凸部と第1の対向部との関係を示す水平断面図である。図7Bは、同上の折り畳みコンテナの組み立て状態において、第1の凸部と第2の対向部との関係を示す水平断面図である。図7Cは、同上の折り畳みコンテナの組み立て状態において、第1の対向部と第2の対向部との関係を示す水平断面図である。
図8図8は、同上の折り畳みコンテナの変形例における一部拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、折り畳みコンテナに関し、さらに詳しくは、底板と第1の側板と第2の側板とを備え、図1に示す組み立て状態と、図2に示す折り畳み状態とを選択的に構成可能な折り畳みコンテナに関する。以下、本発明の一実施形態に係る折り畳みコンテナについて、図1図7に基いて説明する。
【0012】
本実施形態に係る折り畳みコンテナ1は、図1に示すように、底板2と、一対の第1の側板3と、一対の第2の側板4とを、備える。なお、便宜上、図1におけるように、方向を規定する。すなわち、折り畳みコンテナ1の中心を基準として、底板2の方を下方とするとともにその反対を上方とし、第1の側板3の方を前方とするとともにその反対を後方とし、前方より後方を見たときの左右をそれぞれ左方と右方とする。
【0013】
底板2は、図3Aに示すように、平面視矩形状(特に長方形状)をしたものである。底板2は、底部21、第1の立ち上がり部22及び第2の立ち上がり部24を有する。底部21は、平面視矩形状(特に長方形状)をしたものである。図示しないが、底部21の下面には、平面視(下面視)格子状をしたリブが下方に向けて形成されている。底部21は、リブに囲まれる部分にそれぞれ上下に貫通する貫通孔を有するメッシュ状に形成されている。
【0014】
底部21の平面視における短辺側の端部にそれぞれ第1の立ち上がり部22が設けられている。第1の立ち上がり部22は、底部21の平面視における一対の短辺の端部からそれぞれ上方に向けて、所定の突出高さで突出している。第1の立ち上がり部22は、底部21と一体に形成される。第1の立ち上がり部22は、前後方向に見て矩形状をしている。図3Bに示すように、第1の立ち上がり部22には、第1の側板3が連結される第1の連結部23が形成される。
【0015】
図3Aに示すように、底部21の平面視における長辺側の端部にそれぞれ第2の立ち上がり部24が設けられている。第2の立ち上がり部24は、底部21の平面視における一対の長辺の端部からそれぞれ上方に向けて、第1の立ち上がり部22の突出高さよりも高い突出高さで突出している。第2の立ち上がり部24は、底部21と一体に形成される。第2の立ち上がり部24は、左右方向に見て矩形状をしている。第2の立ち上がり部24は、左右に貫通する貫通孔を多数有するメッシュ状に形成されている。図3Bに示すように、第2の立ち上がり部24には、第2の側板4が連結される第2の連結部25が形成される。
【0016】
第1の側板3は、図4Aに示すように、底板2の対向する一対の辺(本実施形態では短辺)にそれぞれ回転可能に取付けられる。第1の側板3は、前後方向に見て矩形状(特に正方形状)をしたものである。第1の側板3の外面には、リブ31が外方に向けて形成されている。ここで、内外について、組み立て状態における第1の側板3及び第2の側板4の厚み方向のうち、折り畳みコンテナ1における内部の側を内側とするとともに外部の側を外側とする。リブ31は、上下方向に伸びる複数の縦リブ311と、左右方向に伸びる複数の横リブ312とにより構成される。第1の側板3は、前後に貫通する多数の貫通孔を有するメッシュ状に形成されている。第1の側板3には、左右方向の中央部で上下方向の上部に、左右方向に長い長方形状をした把手口32が形成されている。
【0017】
第1の側板3には、ロック部材33が設けられる。ロック部材33は、第1の側板3の把手口32の上側の部分に配置される。図4Bに示すように、第1の側板3の外面の把手口32の上側の部分には、左右方向に長い長方形状をした、内方に凹む凹所34が形成されている。ロック部材33は、左右方向に長い長方形状をしたもので、左右方向の長さは凹所34の左右方向の長さより若干短く、上下方向の長さは凹所34の上下方向の長さの半分ほどである。ロック部材33は、凹所34内に収容され、左右方向には移動せず、上下方向に移動可能となる。ロック部材33の左右の端部にはそれぞれ、左右に突出するロック凸部331が形成されている。ロック凸部331は、第1の側板3の凹所34を囲む堰状部分を貫通して堰状部分の左右にそれぞれ突出しており、これによりロック部材33の凹所34からの抜け止めがなされている。堰状部分のロック凸部331に貫通される部分は、上下方向に長い長孔となっており、ロック凸部331(ロック部材33)は上下方向に移動可能となっている。
【0018】
ロック部材33は、例えばロック部材33の一部に形成される板ばね等の弾性部332により上向きの力が加えられ、外力が加えられていないときには凹所34の上端部に位置している。ロック部材33に下向きの外力が加えられると、ロック部材33は凹所34の下端部に向けて移動する。
【0019】
第1の側板3には、図4Aに示すように、底板2に連結される連結部35が設けられる。連結部35は、第1の側板3の下端面から下方に突設されている。連結部35は、第1の側板3の下端面から下方に突出する基部と、基部から左右方向にそれぞれ突出する軸部とにより構成される。一方、図3Bに示すように、第1の立ち上がり部22に形成される第1の連結部23は、軸部が挿入される受け部を有する。軸部は、受け部からの抜け止めがなされた状態で、受け部に挿入される。すなわち、連結部35が有する軸部と第1の連結部23が有する受け部とにより構成される軸受構造により、第1の側板3は底板2に回転可能に取付けられる。なお、本実施形態では連結部35が軸部を有すると共に第1の連結部23が受け部を有しているが、連結部35が受け部を有すると共に第1の連結部23が軸部を有してもよい。
【0020】
第2の側板4は、図2に示すように、底板2の対向する他の一対の辺にそれぞれ回転可能に取付けられる。図5Aに示すように、第2の側板4は、左右方向に見て矩形状(特に長方形状)をしたものである。第2の側板4の外面には、図1に示すように、リブ41が外方に向けて形成されている。リブ41は、上下方向に伸びる複数の縦リブ411と、左右方向に伸びる複数の横リブ412とにより構成される。第2の側板4は、前後に貫通する多数の貫通孔を有するメッシュ状に形成されている。第2の側板4には、前後方向の中央部で上下方向の上部に、前後方向に長い長方形状をした把手口42が形成されている。
【0021】
第2の側板4には、図5に示すように、底板2に連結される連結部43が設けられる。連結部43は、第2の側板4の下端面から下方に突設されている。連結部43は、第2の側板4の下端面から下方に突出する基部と、基部から前後方向にそれぞれ突出する軸部とにより構成される。一方、図3Bに示すように、第2の立ち上がり部24に形成される第2の連結部25は、軸部が挿入される受け部を有する。受け部は、上下方向において軸部よりも長く形成されている。軸部は、受け部からの抜け止めがなされた状態で、受け部に挿入され、受け部内を上下に移動可能に構成されている。すなわち、連結部43が有する軸部と第2の連結部25が有する受け部とにより構成される軸受構造により、第2の側板4は底板2に回転可能に取付けられる。なお、本実施形態では連結部43が軸部を有すると共に第2の連結部25が受け部を有しているが、連結部43が受け部を有すると共に第2の連結部25が軸部を有してもよい。
【0022】
図5Bに示すように、第2の側板4には、底板2に対して起立した第1の側板3が外方に倒れないようにする倒れ防止部44を有する。倒れ防止部44は、第2の側板4の前後方向の両端部における上部に、内面側に突出する、上下方向に長い長方形状をした受け片により形成される。倒れ防止部44は、前後方向における内方側に引っ掛け片からなるロック部45を有している。底板2に対して先に起立した第2の側板4のロック部45には、後で底板2に対して起立される第1の側板3のロック凸部331が引っ掛けられる。図5Bに示すロック部45には、図4Bに示す後から起立される第1の側板3のロック凸部331が後方より接触する。図5Bに示すように、ロック部45の下端部は前方へ行くほど下方に位置するように傾斜しており、図4Bに示すように、ロック凸部331の上端部は前方へ行くほど下方に位置するように傾斜している。これにより、後から起立される第1の側板3のロック凸部331がロック部45に後方より接触すると、ロック凸部331が下方に移動してロック部45の下側を越え、ロック凸部331がロック部45の前方に移動すると、ロック凸部331は上方に移動して、ロック部45の前方でかつ倒れ防止部44の後方に位置してロック状態となる。これにより、底板2に対して起立した第1の側板3が外方及び内方に倒れないようになされる。
【0023】
また、ロック状態を解除するには、使用者がロック部材33を下方に移動させればよい。これにより、ロック凸部331がロック部45の下側に位置するため、第1の側板3を内方に倒すとロック凸部331がロック部45の下側を通って内方に移動し、ロック状態が解除される。
【0024】
折り畳みコンテナ1は、図2に示すように、底板2上に一対の第1の側板3を倒した上に一対の第2の側板4を倒して、折り畳み状態とすることができる。第2の側板4が連結される第2の立ち上がり部24の突出高さが、第1の側板3が連結される第1の立ち上がり部22の突出高さよりも高いため、このような折り畳み状態が可能となっている。
【0025】
また、底板2上に倒される一対の第1の側板3は、互いに接触することはない。これに対して、底板2上に倒された一対の第1の側板3上に倒される一対の第2の側板4は、上下に重なるが、いずれの第2の側板4が上側に位置してもよい。
【0026】
また、折り畳みコンテナ1は、図1に示すように、一対の第2の側板4を起立させた後に一対の第1の側板3を起立させて、一対の第1の側板3と一対の第2の側板4とで平面視矩形状をした側壁5が形成される組み立て状態とすることができる。折り畳みコンテナ1は、組み立て状態と折り畳み状態とを選択的に構成可能である。
【0027】
折り畳みコンテナ1は、図6に示すように、組み立て状態において、第1の側板3と第2の側板4との間に、設計上、所定のクリアランス6が形成されるように、各部材、すなわち底板2、第1の側板3及び第2の側板4が形成されている。具体的には、組み立て状態において、第1の側板3の第2の側板4に近接して対向する部分である第1の対向部30(図4B参照)と、第2の側板4の第1の側板3に近接して対向する部分である第2の対向部40(図5B参照)との間にそれぞれ図7Cに示すクリアランス6が形成されるものである。クリアランス6は、0.3~3mm(好ましくは0.5~2mm)等の適宜範囲内の数値となるように設定されるが、特にこれらの数値に限定されない。
【0028】
このようなクリアランス6が形成されない場合、折り畳みコンテナ1を折り畳み状態から組み立てて組み立て状態とする際に、第1の側板3と第2の側板4とが衝突しやすく、組み立て作業がしにくい。上記のようなクリアランス6が形成されることにより、クリアランス6がない場合と比べて、第1の側板3と第2の側板4とが衝突しにくく、組み立て作業がしやすい。
【0029】
しかしながら、組み立て状態において上記のようなクリアランス6が形成される場合、第1の側板3と第2の側板4とが相対的に移動しやすくなるため、折り畳みコンテナ1は、変形しやすくなり、ひねりが発生しやすくなる。
【0030】
そこで、本実施形態では、クリアランス6を確保して組み立て作業のしやすさを確保しつつ、クリアランス6によるひねりの発生を抑制すべく、クリアランス6を小さくさせる(又は無くす)第1の凸部7及び第2の凸部8を折り畳みコンテナ1に形成する。
【0031】
第1の凸部7は、図4Bに示すように、第1の対向部30の一部に形成され、所定の突出高さを有するものである。本実施形態では、第1の凸部7は、第1の側板3の上端部近傍に位置する第1の対向部30に形成される。
【0032】
第2の凸部8は、図5Bに示すように、第2の対向部40の一部に形成され、所定の突出高さを有するものである。本実施形態では、第2の凸部8は、第2の側板4の上端部近傍(特に上端部)に位置する第2の対向部40に形成される。
【0033】
第1の凸部7と第2の凸部8とは、上下方向にずれた位置に形成されている。本実施形態では、図6に示すように、第2の凸部8が第1の凸部7の上側に位置している。第1の凸部7と第2の凸部8との間には、隙間11が形成されている。この隙間11が形成されることにより、組み立て作業がしやすくなる。
【0034】
第1の凸部7の突出高さは、第1の側板3の上端部近傍に位置する第1の対向部30と、第2の側板4の上端部近傍に位置する第2の対向部40との間のクリアランス6(例えば0.5mm)と同じに設定される。このため、第1の凸部7の突出端面である平面が、第2の対向部40である平面と、面接触する。なお、第1の凸部7の突出高さは、クリアランス6より短くてもよいし、クリアランス6より長くてもよい。第1の凸部7は、外側の端部に、外側へいくほど突出高さが低くなる第1の傾斜部71を有している(図4B図7B参照)。第1の傾斜部71の表面は、平面からなる傾斜面となっている。
【0035】
第2の凸部8の突出高さは、クリアランス6と同じに設定される。このため、第2の凸部8の突出端面である平面が、第1の対向部30である平面と、面接触する。なお、第2の凸部8の突出高さは、クリアランス6より短くてもよいし、クリアランス6より長くてもよい。第2の凸部8は、内側の端部に、内側へいくほど突出高さが低くなる第2の傾斜部81を有している(図5B図7A参照)。第2の傾斜部81の表面は、平面からなる傾斜面となっている。
【0036】
また、図4Bに示すように、本実施形態では、第1の側板3の第1の対向部30の一部にリブ36が形成されている。リブ36は、第2の対向部40に向けて突出する横片と、横片の先端から上方に突出する縦片とを有する前後方向に見てL字状をしたものである。
【0037】
また、図5Bに示すように、第2の側板4の第2の対向部40のリブ36に対応する部分に、溝部46が形成されている。溝部46は、前後方向に見て、L字状をしたリブ36が挿入される、下方及び前後方向に開放するものである。
【0038】
折り畳みコンテナ1の組み立て状態において、図6に示すように、リブ36が溝部46に挿入される。リブ36と溝部46の内面とは、接触している。これにより、第1の側板3と第2の側板4とが相対的に移動しにくくなり、折り畳みコンテナ1にはひねりが発生しにくくなる。
【0039】
本実施形態の折り畳みコンテナ1には、第1の凸部7及び第2の凸部8が形成されているため、組み立て状態において折り畳みコンテナ1には、第1の凸部7及び第2の凸部8が形成された部分にはクリアランス6が形成されない。このため、この折り畳みコンテナ1にあっては、組み立て状態において、第1の側板3と第2の側板4とが相対的に移動しにくくなるため、折り畳みコンテナ1にはひねりが発生しにくい。
【0040】
特に、本実施形態においては、第1の凸部7は第1の側板3の上端部(近傍)に形成され、第2の凸部8は第2の側板4の上端部(近傍)に形成されている。第1の側板3及び第2の側板4は、下端部が底板2に回転可能に連結されているため、下端部を中心として上端部が回転して移動するものであり、第1の側板3及び第2の側板4は、上端部が移動しやすい。第1の凸部7が第1の側板3の上端部に形成され、第2の凸部8が第2の側板4の上端部に形成されることにより、折り畳みコンテナ1のひねりの発生を効果的に抑制することができる。
【0041】
また、折り畳みコンテナ1に第1の凸部7及び第2の凸部8が形成されているため、折り畳みコンテナ1を組み立てる際に、第1の凸部7と第2の対向部40とが衝突しやすく、第2の凸部8と第1の対向部30とが衝突しやすい。そこで、本実施形態では、第1の凸部7が第1の傾斜部71を有し、第2の凸部8は第2の傾斜部81を有しているため、第1の傾斜部71及び第2の傾斜部81がない場合と比べて、第1の凸部7と第2の対向部40とが衝突しにくく、第2の凸部8と第1の対向部30とが衝突しにくい。これにより、折り畳みコンテナ1の組み立て作業がしやすくなる。また、第2の対向部40は第1の傾斜部71にガイドされ、第1の対向部30は第2の傾斜部81にガイドされるため、折り畳みコンテナ1の組み立て作業がしやすくなる。
【0042】
次に、上述した実施形態の変形例について説明する。
【0043】
底板2(底部21)は、平面視正方形状をしたものであってもよい。また、底板2(底部21)の平面視形状は必ずしも矩形状でなくてもよい。
【0044】
底部21の下面にリブが形成されなくてもよい。底部21は、メッシュ状に形成されなくてもよい。すなわち、底部21は、上下に貫通する貫通孔を有しなくてもよい。
【0045】
第1の立ち上がり部22の形状は特に限定されない。第1の立ち上がり部22は、メッシュ状に形成されてもよい。すなわち、第1の立ち上がり部22は、上下に貫通する貫通孔を有してもよい。また、第1の立ち上がり部22は任意の構成であって設けられなくてもよく、第1の立ち上がり部22が設けられない場合には、底部21に第1の連結部23が形成される。
【0046】
第2の立ち上がり部24の形状は特に限定されない。第2の立ち上がり部24は、メッシュ状に形成されなくてもよい。すなわち、第2の立ち上がり部24は、左右に貫通する貫通孔を有しなくてもよい。また、第2の立ち上がり部24は任意の構成であって設けられなくてもよく、第2の立ち上がり部24が設けられない場合には、底部21に第2の連結部25が形成される。
【0047】
第1の側板3は、前後方向に見て長方形状をしたものであってもよいし、必ずしも矩形状をしたものでなくてもよい。第1の側板3には、リブ31が形成されなくてもよい。第1の側板3は、メッシュ状に形成されなくてもよい。すなわち、第1の側板3は、前後に貫通する貫通孔を有しなくてもよい。第1の側板3に形成される把手口32の形状、大きさ、第1の側板3における位置は、限定されない。また、第1の側板3に把手口32が形成されなくてもよい。
【0048】
第2の側板4は、左右方向に見て正方形状をしたものであってもよいし、必ずしも矩形状をしたものでなくてもよい。第2の側板4には、リブ41が形成されなくてもよい。第2の側板4は、メッシュ状に形成されなくてもよい。すなわち、第2の側板4は、左右に貫通する貫通孔を有しなくてもよい。第2の側板4に形成される把手口42の形状、大きさ、第2の側板4における位置は、限定されない。また、第2の側板4に把手口42が形成されなくてもよい。
【0049】
第1の凸部7が第2の凸部8の上側に位置してもよい。第1の凸部7と第2の凸部8とは、上下にずれた位置に形成されなくてもよい。すなわち、第1の凸部7と第2の凸部8とは、上下方向において同じ位置に形成されてもよい。この場合、第1の凸部7の突出高さ及び第2の凸部8の突出高さは、それぞれ所定のクリアランス6の半分以下とするのが好ましい。
【0050】
また、第1の凸部7と第2の凸部8とは、上下方向において同じ位置で、かつ、平面視において異なる位置に形成されてもよい。例えば、互いに対向する第1の対向部30と第2の対向部40のうち、第1の対向部30の側壁5の厚み方向の外側(又は内側)の部分に第1の凸部7が形成され、第2の対向部40の内側(又は外側)の部分に第2の凸部8が形成されてもよい。この場合、第1の凸部7の突出高さ及び第2の凸部8の突出高さは、それぞれ所定のクリアランス6と同じにするのが好ましい。
【0051】
第1の凸部7と第2の凸部8との間に、隙間11が形成されなくてもよい。これにより、組み立て作業はしにくくなるものの、組み立て状態において折り畳みコンテナ1にひねりが発生しにくくなる。
【0052】
第1の凸部7は、第1の側板3の上端部(近傍)に形成されなくてもよい。すなわち、第1の凸部7は、第1の側板3の上端部よりも下方(上下方向における中間部)に形成されてもよい。同様に、第2の凸部8は、第2の側板4の上端部(近傍)に形成されなくてもよい。すなわち、第2の凸部8は、第2の側板4の上端部よりも下方(上下方向における中間部)に形成されてもよい。
【0053】
また、第1の凸部7は、第1の側板3の上端部及び上端部よりも下方の部分のそれぞれに形成されてもよい。同様に、第2の凸部8は、第2の側板4の上端部及び上端部よりも下方の部分のそれぞれに形成されてもよい。第1の凸部7と第2の凸部8とが形成される上下方向における位置及び個数は、限定されない。
【0054】
上記実施形態では、第1の凸部7の突出端が平面であり、第2の対向部40も平面であり、これらが組み立て状態において面接触していた。これに対し、第1の凸部7の突出端が突起であり、この突起と第2の対向部40とが点接触するものでもよい。あるいは、第1の凸部7の突出端が突条であり、この突条と第2の対向部40とが線接触するものでもよい。同様に、第2の凸部8の突出端が突起であり、この突起と第1の対向部30とが点接触するものでもよい。あるいは、第2の凸部8の突出端が突条であり、この突条と第1の対向部30とが線接触するものでもよい。
【0055】
第1の傾斜部71の表面である傾斜面は、上記実施形態では平面であるが、曲面(湾曲面)であってもよい。また、第1の傾斜部71は任意の構成であって設けられなくてもよい。
【0056】
第2の傾斜部81の表面である傾斜面は、上記実施形態では平面であるが、曲面(湾曲面)であってもよい。また、第2の傾斜部81は任意の構成であって設けられなくてもよい。
【0057】
また、第1の傾斜部71のみ設けられて第2の傾斜部81が設けられなくてもよく、第2の傾斜部81のみ設けられて第1の傾斜部71が設けられなくてもよく、第1の傾斜部71及び第2の傾斜部81の両方が設けられなくてもよい。
【0058】
また、図8に示すように、第1の対向部30と第2の対向部40とに段差が形成されていてもよい。第2の側板4に近い側の第1の対向部30と第2の対向部40の互いに対向する部分においては、第1の対向部30に第1の凸部7が形成されている。第2の側板4から遠い側の第1の対向部30と第2の対向部40の互いに対向する部分においては、第2の対向部40に第2の凸部8が形成されている。第1の凸部7と第2の凸部8とは、上下方向において同じ位置に形成されている。この場合も、第1の側板3と第2の側板4とが相対的に移動しにくくなり、折り畳みコンテナ1にはひねりが発生しにくくなる。また、第1の凸部7が第1の傾斜部71を有し、第2の凸部8は第2の傾斜部81を有している。これにより、第1の凸部7と第2の対向部40とが衝突しにくく、第2の凸部8と第1の対向部30とが衝突しにくい。また、第2の対向部40は第1の傾斜部71にガイドされ、第1の対向部30は第2の傾斜部81にガイドされる。これにより、折り畳みコンテナ1の組み立て作業がしやすくなる。
【0059】
以上、述べた実施形態およびその変形例から明らかなように、第1の態様の折り畳みコンテナ1は、矩形状の底板2と、一対の第1の側板3と、一対の第2の側板4とを、備える。第1の側板3は、底板2の対向する一対の辺にそれぞれ回転可能に取付けられる。第2の側板4は、底板2の対向する他の一対の辺にそれぞれ回転可能に取付けられる。折り畳みコンテナ1は、底板2上に一対の第1の側板3を倒した上に一対の第2の側板4を倒した折り畳み状態と、一対の第2の側板4を起立させた後に一対の第1の側板3を起立させて、一対の第1の側板3と一対の第2の側板4とで平面視矩形状をした側壁5が形成される組み立て状態と、を選択的に構成可能である。組み立て状態において、第1の側板3の第2の側板4に近接して対向する部分である第1の対向部30と、第2の側板4の第1の側板3に近接して対向する部分である第2の対向部40との間にそれぞれ所定のクリアランス6が形成されるものである。折り畳みコンテナ1は、第1の対向部30の一部に、所定の突出高さを有する第1の凸部7を有し、第2の対向部40の一部に、所定の突出高さを有する第2の凸部8を有する。
【0060】
第1の態様では、第1の凸部7及び第2の凸部8が形成されているため、組み立て状態において第1の凸部7及び第2の凸部8が形成された部分におけるクリアランス6は、所定のクリアランス6より小さいくなる。これにより、第1の側板3と第2の側板4とが相対的に移動しにくくなり、折り畳みコンテナ1にはひねりが発生しにくくなる。
【0061】
第2の態様は、第1の態様との組み合わせにより実現され得る。第2の態様では、側壁5の厚み方向のうち、組み立て状態の折り畳みコンテナ1における内部の側を内側とするとともに外部の側を外側とする。折り畳みコンテナ1は、第1の凸部7の外側の端部に、外側へいくほど突出高さが低くなる第1の傾斜部71を有するか、又は/及び、第2の凸部8の内側の端部に、内側へいくほど突出高さが低くなる第2の傾斜部81を有する。
【0062】
第2の態様では、第1の傾斜部71及び第2の傾斜部81がない場合と比べて、第1の凸部7と第2の対向部40とが衝突しにくく、第2の凸部8と第1の対向部30とが衝突しにくい。これにより、折り畳みコンテナ1の組み立て作業がしやすくなる。
【0063】
第3の態様は、第1又は第2の態様との組み合わせにより実現され得る。第3の態様では、組み立て状態において、第1の凸部7と第2の凸部8とは、上下方向にずれた位置に形成されている。
【0064】
第3の態様によれば、第1の凸部7と第2の凸部8との干渉が避けられる。
【符号の説明】
【0065】
1 折り畳みコンテナ
2 底板
3 第1の側板
30 第1の対向部
4 第2の側板
40 第2の対向部
5 側壁
6 クリアランス
7 第1の凸部
71 第1の傾斜部
8 第2の凸部
81 第2の傾斜部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8