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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-21
(45)【発行日】2023-09-29
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 5/00 20210101AFI20230922BHJP
   G03B 17/18 20210101ALI20230922BHJP
   H04N 23/63 20230101ALI20230922BHJP
   H04N 23/68 20230101ALI20230922BHJP
【FI】
G03B5/00 J
G03B17/18
H04N23/63 100
H04N23/63 330
H04N23/68
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019039732
(22)【出願日】2019-03-05
(65)【公開番号】P2020144189
(43)【公開日】2020-09-10
【審査請求日】2021-10-21
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 英隆
(74)【代理人】
【識別番号】100199314
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 寛
(72)【発明者】
【氏名】小島 裕之
(72)【発明者】
【氏名】大須賀 恭輔
【審査官】藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-021614(JP,A)
【文献】特開2004-048346(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 5/00
G03B 17/18
H04N 23/68
H04N 23/63
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の通信機能を有さない交換レンズを介して形成された被写体像を撮像して画像データを生成する撮像センサと、
画像を表示する表示部と、
前記撮像センサを光軸と垂直な面内で移動させることにより像ぶれ補正を行う駆動部と、
像ぶれ補正による補正範囲を示す前記撮像センサの可動量を変更するために、変更された可動量を指示するユーザ操作を受け付ける操作部と、
前記駆動部に、前記撮像センサを、前記変更された可動量で移動させる制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記ユーザ操作に応じて、前記変更された可動量で前記撮像センサを移動させた後に前記撮像センサにより撮像される画像を前記表示部に表示させ
前記撮像センサの移動後に撮像される画像が表示された状態で前記変更された可動量を決定する決定操作を受け付けると、前記撮像センサの可動量として前記変更された可動量を保存する
撮像装置。
【請求項2】
記制御部は、前記可動量を変更するための前記ユーザ操作を受け付ける受付画像を前記表示部に表示させ、
前記操作部は、前記受付画像に基づいて前記ユーザ操作を受け付けるグラフィック・ユーザ・インタフェースにより構成される
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記操作部は、前記可動量に関連する数値の入力を受け付ける、
請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
記制御部は、
前記操作部に対して可動量を変更するためのユーザ操作があった場合、前記駆動部に、前記撮像センサを、変更された可動量でセンサ基準位置を基準として最大限に移動させ、
前記表示部に、最大限に移動させた位置において前記撮像センサで生成された画像データが示すライブビュー画像を表示させる、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記駆動部に、前記撮像センサを、変更された可動量でセンサ基準位置を基準として前記撮像センサの対角方向へ最大限に移動させる、
請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記駆動部に、前記撮像センサを、変更された可動量でセンサ基準位置を基準として前記撮像センサの対角方向において右上側、左上側、右下側、左下側のうち少なくとも1つの側へ最大限に移動させ、
移動させる都度、前記表示部に、最大限に移動させた位置において前記撮像センサで生成された画像データが示すライブビュー画像を表示させる、
請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記撮像センサを移動させる位置の指定操作を受け付ける第2の操作部をさらに備え、
前記制御部は、
前記第2の操作部で指定操作があったときに、前記駆動部に、前記撮像センサを指定された位置に移動させ、
前記表示部に、移動させた位置において前記撮像センサで生成された画像データが示すライブビュー画像を表示させる、
請求項4に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記表示部に、ライブビュー画像に重畳させて、ケラレの発生に関してユーザが注視すべき領域を示す枠を表示させる、
請求項4から7のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
交換レンズが適応する撮像センサのサイズの設定操作を受け付ける第3の操作部をさらに備え、
前記制御部は、
前記第3の操作部で設定操作があったときに、撮像センサのサイズに応じた大きさのセンサ可動範囲を自動で設定する、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記ユーザ操作に応じて前記撮像センサが移動された後、前記決定操作が入力されない場合、
前記操作部は、再度、前記撮像センサの可動量を変更するためのユーザ操作を受け付ける、
請求項1に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、手振れ補正機能を備えた撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、撮像センサを光軸と垂直な面内で移動させることにより手振れ補正(像ぶれ補正)を行うデジタルカメラを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-146362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
いわゆるオールドレンズと呼ばれる交換レンズを撮像装置に装着したい場合、像ぶれ補正のために撮像センサを光軸と垂直な面内で移動させたときに、交換レンズのイメージサークルの大きさが不足し、撮像画像にケラレが生じることがある。
【0005】
本開示は、レンズ交換式の撮像装置において、撮像画像にケラレが生じることを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の撮像装置は、交換レンズを介して形成された被写体像を撮像して画像データを生成する撮像センサと、撮像センサを光軸と垂直な面内で移動させることにより像ぶれ補正を行う駆動部と、像ぶれ補正時における撮像センサの可動量を変更するためのユーザ操作を受け付ける操作部と、駆動部に、撮像センサを、変更された可動量の範囲内で移動させる制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、像ぶれ補正時における撮像センサの可動量をユーザ操作により変更できる。そのため、交換レンズのイメージサークル内で撮像センサを駆動することができる。よって、撮像画像にケラレが生じることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1のデジタルカメラの構成を示すブロック図
図2】デジタルカメラの背面図
図3】デジタルカメラにおけるBIS処理部の構成を示すブロック図
図4】デジタルカメラにおけるOIS処理部の構成を示すブロック図
図5】撮像センサの可動範囲を説明した図
図6】撮像センサとイメージサークルの相対的な位置関係を説明した図
図7】撮像センサとオールドレンズ装着時のイメージサークルの相対的な位置関係を説明した図
図8】補正範囲設定画面の一例を示した図
図9】補正範囲設定画面内での注視枠の移動を説明した図
図10】注視枠の移動に応じた撮像センサの移動制御を説明した図
図11】手振れ補正処理を説明したフローチャート
図12】補正範囲設定処理を説明したフローチャート
図13】補正範囲設定処理を説明した図
図14】補正範囲設定処理を説明した図
図15】オールドレンズの登録処理を説明した図
図16】補正範囲設定データのリストの一例を示した図
図17】ネットワークを経由した補正範囲設定データの提供システムの構成図
図18】マスタデータリストの一例を説明した図
図19】実施の形態2におけるレンズ種別の設定処理を説明した図
図20】補正範囲設定処理を説明したフローチャート
図21】レンズ種別の設定処理を説明したフローチャート
図22】レンズ種別の設定処理を説明した図
図23】他の実施の形態における補正範囲設定処理を説明した図
図24】他の実施の形態における補正範囲設定画面の一例を示した図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示における実施の形態を、図面を適宜参照しながら説明する。ただし、詳細な説明において、従来技術および実質的に同一の構成に関する説明のうち不必要な部分は省略されることもある。これは、説明を簡単にするためである。また、以下の説明および添付の図面は、当業者が本開示を充分に理解できるよう開示されるのであって、特許請求の範囲の主題を限定することを意図されていない。以下では、撮像装置の一例としてデジタルカメラを例として用いて説明する。
【0010】
(実施の形態1)
本実施の形態のデジタルカメラは、交換レンズおよびカメラ本体のそれぞれにおいて、撮像画像へのカメラのぶれの影響を低減する手振れ補正機能を備える。以下、本実施の形態のカメラの構成および動作を詳述する。なお、以下の説明では、交換レンズ内の補正用レンズをシフトしてぶれを補正する機能を「OIS(Optical Image Stabilizer)機能」という。また、カメラ本体内の撮像センサ(撮像素子)をシフトしてぶれを補正する機能を「BIS(Body Image Stabilizer)機能」という。
【0011】
1.構成
図1は、本発明の実施の形態1に係るデジタルカメラの構成を示すブロック図である。デジタルカメラ1は、カメラ本体100とそれに着脱可能な交換レンズ200とから構成される。
【0012】
1-1.カメラ本体
カメラ本体100(撮像装置の一例)は、撮像センサ110と、タッチディスプレイ120と、操作部130と、カメラコントローラ140と、ボディマウント150と、電源160と、カードスロット170とを備える。
【0013】
カメラコントローラ140は、レリーズ釦からの指示に応じて、撮像センサ110等の構成要素を制御することでデジタルカメラ1全体の動作を制御する。カメラコントローラ140は、垂直同期信号をタイミング発生器112に送信する。これと並行して、カメラコントローラ140は、露光同期信号を生成する。カメラコントローラ140は、生成した露光同期信号を、ボディマウント150及びレンズマウント250を介して、レンズコントローラ240に周期的に送信する。カメラコントローラ140は、制御動作や画像処理動作の際に、DRAM141をワークメモリとして使用する。カメラコントローラ140は、制御部の一例である。
【0014】
撮像センサ110は、交換レンズ200を介して入射される被写体像を撮像して画像データを生成する素子である。撮像センサ110は例えばCCD、CMOSイメージセンサまたはNMOSイメージセンサである。生成された画像データは、ADコンバータ111でデジタル化される。デジタル化された画像データは、カメラコントローラ140により、上下及び左右方向における反転処理、並びに、その他所定の画像処理が施される。その他所定の画像処理とは、例えば、ガンマ補正処理、ホワイトバランス補正処理、キズ補正処理、YC変換処理、電子ズーム処理、JPEG圧縮処理である。
【0015】
撮像センサ110は、タイミング発生器112により制御されるタイミングで動作する。撮像センサ110は、記録用の静止画像もしくは動画像またはライブビュー画像を生成する。ライブビュー画像は、主に動画像であり、ユーザが静止画像の撮像のための構図を決めるためにタッチディスプレイ120に表示される。
【0016】
タッチディスプレイ120はライブビュー画像等の画像およびメニュー画面等の種々の情報を表示する。タッチディスプレイ120は、例えば、液晶ディスプレイデバイスや、有機ELディスプレイデバイスを使用して構成できる。タッチディスプレイ120は、タッチ操作検出機能を備えたポインティングデバイスでもあり、ユーザによるタッチ操作を受け付けることができる。タッチ操作検出機能は、液晶ディスプレイデバイスや有機ELディスプレイデバイスに一体的に組み込んで構成してもよいし、これらのディスプレイデバイスとは別部材のタッチセンサパネルなどで構成してもよい。タッチディスプレイ120は、表示部及び操作部の一例であり、画像に基づいてユーザ操作を受け付けるグラフィック・ユーザ・インタフェースを構成する。
【0017】
操作部130は、撮影開始を指示するためのレリーズ釦、撮影モードを設定するためのモードダイアル、及び電源スイッチ等の種々の操作部材を含む。また、図2に示すように、操作部130は、ユーザによる上下左右方向への傾動操作を受け付けるジョイスティック131を含む。ジョイスティック131は、上下左右方向のうち傾けられた方向を示す信号を出力する。
【0018】
フラッシュメモリ142は、カメラコントローラ140が制御動作を行うために必要なデータなどを格納する。
【0019】
カードスロット170は、メモリカード171を装着可能であり、カメラコントローラ140からの制御に基づいてメモリカード171を制御する。デジタルカメラ1は、メモリカード171に対して画像データを格納したり、メモリカード171から画像データを読み出したりすることができる。
【0020】
電源160は、二次電池を含み、デジタルカメラ1内の各要素に電力を供給する回路である。
【0021】
ボディマウント150は、交換レンズ200のレンズマウント250と機械的及び電気的に接続可能である。ボディマウント150は、レンズマウント250を介して、交換レンズ200との間で、データを送受信可能である。ボディマウント150は、カメラコントローラ140から受信した露光同期信号を、レンズマウント250を介してレンズコントローラ240に送信する。また、カメラコントローラ140から受信したその他の制御信号を、レンズマウント250を介してレンズコントローラ240に送信する。また、ボディマウント150は、レンズマウント250を介してレンズコントローラ240から受信した信号をカメラコントローラ140に送信する。また、ボディマウント150は、電源160からの電力を、レンズマウント250を介して交換レンズ200全体に供給する。
【0022】
また、カメラ本体100は、BIS機能(撮像センサ110のシフトにより、手振れを補正する機能)を実現する構成として、カメラ本体100のぶれを検出するジャイロセンサ184(ぶれ検出部)と、ジャイロセンサ184の検出結果に基づきぶれ補正処理を制御するBIS処理部183とをさらに備える。さらに、カメラ本体100は、撮像センサ110を移動させるセンサ駆動部181と、撮像センサ110の位置を検出する位置センサ182とを備える。
【0023】
センサ駆動部181は、例えば、マグネットと平板コイルとで実現可能である。位置センサ182は、光学系の光軸に垂直な面内における撮像センサ110の位置を検出するセンサである。位置センサ182は、例えば、マグネットとホール素子で実現可能である。センサ駆動部181は、駆動部の一例である。
【0024】
BIS処理部183は、ジャイロセンサ184からの信号及び位置センサ182からの信号に基づき、センサ駆動部181を制御して、カメラ本体100のぶれによる被写体像の像ぶれを相殺するように撮像センサ110を光軸に垂直な面内にシフトさせる。
【0025】
1-2.交換レンズ
交換レンズ200は、光学系と、レンズコントローラ240と、レンズマウント250とを備える。光学系は、ズームレンズ210と、OIS(Optical Image Stabilizer)レンズ220と、フォーカスレンズ230と、絞り260とを含む。
【0026】
ズームレンズ210は、光学系で形成される被写体像の倍率を変化させるためのレンズである。ズームレンズ210は、1枚又は複数枚のレンズで構成される。ズームレンズ210は、ズームレンズ駆動部211により駆動される。ズームレンズ駆動部211は、使用者が操作可能なズームリングを含む。または、ズームレンズ駆動部211は、ズームレバー及びアクチュエータまたはモータを含んでもよい。ズームレンズ駆動部211は、使用者による操作に応じてズームレンズ210を光学系の光軸方向に沿って移動させる。
【0027】
フォーカスレンズ230は、光学系で撮像センサ110上に形成される被写体像のフォーカス状態を変化させるためのレンズである。フォーカスレンズ230は、1枚又は複数枚のレンズで構成される。フォーカスレンズ230は、フォーカスレンズ駆動部233により駆動される。
【0028】
フォーカスレンズ駆動部233はアクチュエータまたはモータを含み、レンズコントローラ240の制御に基づいてフォーカスレンズ230を光学系の光軸に沿って移動させる。フォーカスレンズ駆動部233は、DCモータ、ステッピングモータ、サーボモータ、または超音波モータなどで実現できる。
【0029】
OISレンズ220は、OIS機能(OISレンズ220のシフトにより、手振れを補正する機能)において、交換レンズ200の光学系で形成される被写体像のぶれを補正するためのレンズである。OISレンズ220は、デジタルカメラ1のぶれを相殺する方向に移動することにより、撮像センサ110上の被写体像のぶれを小さくする。OISレンズ220は1枚又は複数枚のレンズで構成される。OISレンズ220はOIS駆動部221により駆動される。
【0030】
OIS駆動部221は、OIS処理部223からの制御を受けて、光学系の光軸に垂直な面内でOISレンズ220をシフトする。OIS駆動部221によりOISレンズ220を駆動できる範囲は機構的に制限される。OIS駆動部221によりOISレンズ220を機構的に駆動できる範囲を「OISレンズ可動範囲」という。OIS駆動部221は、例えば、マグネットと平板コイルとで実現可能である。位置センサ222は、光学系の光軸に垂直な面内におけるOISレンズ220の位置を検出するセンサである。位置センサ222は、例えば、マグネットとホール素子で実現可能である。OIS処理部223は、位置センサ222の出力及びジャイロセンサ224(ぶれ検出器)の出力に基づいてOIS駆動部221を制御する。
【0031】
絞り260は撮像センサ110に入射される光の量を調整する。絞り260は、絞り駆動部262により駆動され、その開口の大きさが制御される。絞り駆動部262はモータまたはアクチュエータを含む。
【0032】
ジャイロセンサ184または224は、デジタルカメラ1の単位時間あたりの角度変化すなわち角速度に基づいて、ヨーイング方向及びピッチング方向のぶれ(振動)を検出する。ジャイロセンサ184または224は、検出したぶれの量(角速度)を示す角速度信号をBIS処理部183またはOIS処理部223に出力する。ジャイロセンサ184または224によって出力された角速度信号は、手振れやメカノイズ等に起因した幅広い周波数成分を含み得る。ジャイロセンサに代えて、デジタルカメラ1のぶれを検出できる他のセンサを使用することもできる。
【0033】
カメラコントローラ140及びレンズコントローラ240は、ハードワイヤードな電子回路で構成してもよいし、プログラムを用いたマイクロコンピュータなどで構成してもよい。例えば、カメラコントローラ140及びレンズコントローラ240は、CPU、MPU、GPU、DSU、FPGAまたはASIC等のプロセッサで実現できる。
【0034】
1-3.BIS処理部
図3を用いて、カメラ本体100におけるBIS処理部183の構成を説明する。BIS処理部183は、ADC(アナログ/デジタル変換部)/LPF(ロー・パス・フィルタ)405と、HPF(ハイ・パス・フィルタ)406と、位相補償部407と、積分器408と、PID制御部410とを含む。
【0035】
ADC/LPF405は、ジャイロセンサ184からの角速度信号をアナログ形式からデジタル形式へ変換する。さらに、ADC/LPF405は、ノイズを排除してデジタルカメラ1のぶれのみを抽出するために、デジタル形式に変換された角速度信号の高周波成分を遮断する。撮影者の手振れの周波数が1~10Hz程度の低周波であり、この点を考慮してLPFのカットオフ周波数が設定される。ノイズが問題とならない場合はLPFの機能を省略することができる。
【0036】
HPF406は、ドリフト成分を遮断するため、ADC/LPF405から受信した信号に含まれる所定の低周波成分を遮断する。
【0037】
位相補償部407は、HPF406から受信した信号に対して、センサ駆動部181などに起因する位相遅れを補正する。
【0038】
積分器408は、位相補償部407から入力したぶれ(振動)の角速度を示す信号を積分して、ぶれ(振動)の角度を示す信号(以下「ぶれ検出信号」という)を生成する。積分器408からのぶれ検出信号はPID制御部410に入力される。
【0039】
PID制御部410は、位置センサ182からの信号と、積分器408からの信号と、カメラコントローラ140からの制御信号とに基づいて、撮像センサ110をシフトさせるための駆動信号を生成してセンサ駆動部181へ出力する。センサ駆動部181は駆動信号に基づいて撮像センサ110を駆動する。カメラコントローラ140からの制御信号には、例えば、撮像センサ110の制限後可動範囲Ra(後述する)の情報が格納され、PID制御部410は、制限後可動範囲Raの情報に基づいて、撮像センサ110が制限後可動範囲Raをはみ出して駆動されないように駆動信号を生成する。
【0040】
1-4.OIS処理部
図4を用いて、交換レンズ200におけるOIS処理部223の構成を説明する。OIS処理部223は、ADC(アナログ/デジタル変換)/LPF(ロー・パス・フィルタ)305と、HPF(ハイ・パス・フィルタ)306と、位相補償部307と、積分器308と、PID制御部310とを含む。
【0041】
ADC/LPF305は、ジャイロセンサ224からの角速度信号をアナログ形式からデジタル形式へ変換する。さらに、ADC/LPF305は、ノイズを排除してデジタルカメラ1のぶれのみを抽出するために、デジタル形式に変換された角速度信号の高周波成分を遮断する。撮影者の手振れの周波数が1~10Hz程度の低周波であり、この点を考慮してLPFのカットオフ周波数が設定される。ノイズが問題とならない場合はLPFの機能を省略することができる。
【0042】
HPF306は、ドリフト成分を遮断するため、ADC/LPF305から受信した信号に含まれる所定の低周波成分を遮断する。
【0043】
位相補償部307は、HPF306から受信した信号に対して、OIS駆動部221およびレンズ-ボディ間通信などに起因する位相遅れを補正する。
【0044】
積分器308は、位相補償部307から入力したぶれ(振動)の角速度を示す信号を積分して、ぶれ(振動)の角度を示すぶれ検出信号を生成する。積分器308からのぶれ検出信号はPID制御部310に入力される。
【0045】
PID制御部310は、位置センサ222からの信号と、積分器308からの信号と、カメラコントローラ140からの制御信号とに基づいて、OISレンズ220をシフトさせるための駆動信号を生成してOIS駆動部221へ出力する。OIS駆動部221は駆動信号に基づいてOISレンズ220を駆動する。
【0046】
2.動作
以上のように構成されるデジタルカメラ1の動作を説明する。
【0047】
カメラ本体100のBIS処理部183は、ジャイロセンサ184からの検出信号と、位置センサ182からの位置情報とに基づき、撮像センサ110を駆動するための駆動信号を生成し、センサ駆動部181へ送信する。センサ駆動部181は、BIS処理部183からの駆動信号にしたがい、ジャイロセンサ184で検出されたぶれを相殺するように撮像センサ110を光軸に垂直な面上でシフトさせる。
【0048】
交換レンズ200のOIS処理部223は、ジャイロセンサ224からの検出信号と、位置センサ222からの位置情報とに基づき、OISレンズ220を駆動するための駆動信号を生成し、OIS駆動部221へ送信する。OIS駆動部221は駆動信号にしたがい、ジャイロセンサ224で検出されたぶれを相殺するようにOISレンズ220を光軸に垂直な面上でシフトさせる。
【0049】
手振れ補正のため、OIS機能とBIS機能は、いずれか一方のみを作動させてもよいし、双方を同時に作動させてもよい。
【0050】
以上のように、デジタルカメラ1は、検出したぶれ信号に基づいて手振れ補正機能を作動させることにより撮像画像における手振れの影響を低減する。
【0051】
図5は、撮像センサ110の可動範囲を説明した図である。図5(a)は、撮像センサ110が駆動されていないときの撮像センサ110と可動範囲の位置関係を示している。撮像センサ110が駆動されていないとき、図5(a)に示すように、撮像センサ110の中心(撮像面の中心)はX軸とY軸の交点に位置する。このときの撮像センサ110の位置を「センサ基準位置」という。X軸方向は、撮像センサ110の幅方向に平行な方向である。Y軸方向は、撮像センサ110の高さ方向に平行な方向である。図5(a)において撮像センサ110の中心と撮像センサ110の角との間の対角方向長をLxで示す。
【0052】
センサ駆動部181は、撮像センサ110を最大可動範囲Rmax内で移動させることができる。最大可動範囲Rmaxは、センサ駆動部181が撮像センサ110を駆動できる最大の範囲であり、センサ駆動部181の機械的構造により定まる。図5(a)において最大可動範囲Rmaxの半径をrmaxで示す。センサ基準位置にある撮像センサ110の角と最大可動範囲Rmaxの外周円との間の半径方向の距離をdmaxで示す。距離dmaxは、センサ駆動部181が撮像センサ110を対角方向に機構的に移動させることができる最大の距離(最大移動距離)に相当する。以下適宜、距離dmaxを「最大可動量dmax」という。最大可動範囲Rmaxの半径rmaxは、撮像センサ110の対角方向長Lxに最大可動量dmaxを加算した大きさを有する。
【0053】
撮像センサ110の可動範囲は、カメラコントローラ140がPID制御部410に可動範囲を制限する指示信号(情報)を出力することで、最大可動範囲Rmaxよりも小さい範囲に制限可能である。このように制限された可動範囲を以下適宜「制限後可動範囲Ra」という。図5(a)において制限後可動範囲Raの半径をraで示す。センサ基準位置にある撮像センサ110の角と制限後可動範囲Raの外周円との間の半径方向の距離をdaで示す。以下適宜、距離daを「制限後可動量da」という。制限後可動範囲Raの半径raは、撮像センサ110の対角方向長Lxに制限後可動量daを加算した大きさを有する。最大可動量dmaxに対する制限後可動量daの比率(%)を、以下適宜「可動量制限率」という。
【0054】
図5(b)は、撮像センサ110が駆動されていないときの撮像センサ110と制限後可動範囲Raの位置関係を示している。図5(b)では、一例として、可動量制限率が、100%、90%、80%、70%、60%の場合における制限後可動範囲Raをそれぞれ示している。図5(b)から明らかなように、可動量制限率が小さくなるほど、制限後可動範囲Raの半径が小さくなる。なお、可動量制限率は、100%、90%、80%、70%、60%以外の適宜な値をとり得る。
【0055】
カメラ本体100は、交換レンズ200と通信を行って、交換レンズ200のイメージサークルCに関する情報(以下、適宜「イメージサークル情報」という)を取得し、ぶれ補正時に撮像センサ110がイメージサークルCをはみ出さないように交換レンズ200の撮像センサ110の移動を制限する。ここで、イメージサークルとは、レンズ(交換レンズ)の光軸と垂直な平面上にレンズ通過光により形成され、例えば、レンズ中心に対し一定割合以上の輝度やレンズ性能を有する円形の光照射範囲である。イメージサークル情報とは、イメージサークルCの大きさ(例えば半径)を示す情報である。
【0056】
なお、カメラ本体100は、交換レンズ200のイメージサークル情報を、例えば以下のように取得する。例えば、交換レンズ200のフラッシュメモリ242にイメージサークル情報を格納しておく。カメラ本体100のカメラコントローラ140は、交換レンズ200のレンズコントローラ240と通信を行って、フラッシュメモリ242に格納されている情報を取得する。なお、カメラ本体100のフラッシュメモリ142に、交換レンズ200の型式情報に紐付けてイメージサークル情報を格納しておいてもよい。この場合、カメラコントローラ140は、交換レンズ200と通信を行って、交換レンズ200から例えば型式情報を取得し、取得した型式情報に対応するイメージサークル情報をフラッシュメモリ142から取得する。
【0057】
図6は、撮像センサ110とイメージサークルの相対的な位置関係を説明した図である。図6(a)、図6(b)は、手振れ補正のためにBIS機能を作動させたときの撮像センサ110とイメージサークルCの相対的な位置関係を示している。図6(a)に示すように、イメージサークルCが最大可動範囲Rmaxよりも小さい場合には、カメラコントローラ140は、ぶれ補正時における撮像センサ110の可動量を、最大可動量Lmaxよりも小さい量に制限する。これにより、図6(a)に示すように、撮像センサ110の可動範囲を、最大可動範囲Rmaxの中の一部の範囲(制限後可動範囲Ra)に制限する。そして、カメラコントローラ140は、センサ駆動部181に、撮像センサ110を制限後可動範囲Ra内で駆動させる。図6(a)では、制限後可動範囲Raが、イメージサークルCと同じ大きさ(半径)を有する例を示しているが、制限後可動範囲Raの大きさ(半径)は、イメージサークルCの大きさ(半径)以下であればよい。これに対し、図6(b)に示すように、イメージサークル情報が示すイメージサークルCの大きさ(半径)が最大可動範囲Rmaxよりも大きい場合には、カメラコントローラ140は、撮像センサ110の可動範囲を制限することなく、最大可動範囲Rmaxと同じ大きさの範囲を制限後可動範囲Raとして設定する。そして、カメラコントローラ140は、センサ駆動部181に、撮像センサ110を最大可動範囲Rmax(制限後可動範囲Ra)内で駆動させる。このようにイメージサークルCの大きさ(半径)と最大可動範囲Rmaxの大きさ(半径)との大小関係に応じて撮像センサ110の可動範囲を設定することにより、イメージサークルCの大きさによらず、手振れ補正時に撮像センサ110がイメージサークルCからはみ出すことを防止できる。そのため、撮像センサ110がイメージサークルCからはみ出すことによるケラレの発生を抑制できる。
【0058】
なお、カメラ本体100において、交換レンズ200のイメージサークル情報は、以下のように取得される。例えば、交換レンズ200のフラッシュメモリ242にイメージサークル情報を格納しておく。カメラコントローラ140は、交換レンズ200のレンズコントローラ240と通信を行って、フラッシュメモリ242に格納されている情報を取得する。なお、カメラ本体100のフラッシュメモリ142に、交換レンズ200の型式情報に紐付けてイメージサークル情報を格納しておいてもよい。この場合、カメラコントローラ140は、交換レンズ200と通信を行って、交換レンズ200から型式情報を取得し、取得した型式情報に対応するイメージサークル情報をフラッシュメモリ142から取得する。
【0059】
ここで、カメラ本体100と組み合わせて使用される交換レンズの仕様によっては、カメラ本体100が交換レンズと通信を行えず、イメージサークル情報を取得できない場合がある。この種の交換レンズとしては、例えばフィルムカメラ向けに設計された交換レンズなどがある。また、カメラ本体100と交換レンズとが通信を行うことができても、カメラ本体100がイメージサークル情報を取得できない場合がある。この種のレンズとしては、例えば、マウント形式が同じでも通信規格の相違などにより通信ができない交換レンズがある。以下では、カメラ本体100に装着されたときにイメージサークル情報を取得できない交換レンズを、適宜「オールドレンズ」と呼ぶ。このようなオールドレンズをカメラ本体100に装着した場合、カメラ本体100がイメージサークル情報を取得できないため、上述した、イメージサークル情報に基づいて制限後可動範囲Raを設定する制御を行うことができない。この場合、以下のような不具合が生じることがある。
【0060】
図7は、撮像センサとオールドレンズのイメージサークルの相対的な位置関係を説明した図である。図7は、手振れ補正のためにBIS機能を作動させたときの撮像センサ110とイメージサークルCの相対的な位置関係を示している。図7に示すように、オールドレンズのイメージサークルCが最大可動範囲Rmaxよりも小さい場合がある。このようなオールドレンズをカメラ本体100に装着した場合、カメラ本体100がオールドレンズのイメージサークル情報を取得できないため、撮像センサ110の可動量を制限できず、制限後可動範囲Raを設定できない。その結果、図7に矢印Pで示すように、撮像センサ110がイメージサークルCからはみ出す場合がある。図7では、撮像センサ110の右下の角110aがイメージサークルCをはみ出しており、撮像センサ110における右下の角110a付近のはみ出した部分に被写体光が当たらない。そのため、撮像画像にケラレが生じる。従来、ユーザは、ケラレが生じ得ることを承知の上でBIS機能を用いるか、あるいは、BIS機能をオフするかを選択せざるを得なかった。
【0061】
このような課題に鑑み、本実施の形態のカメラ本体100は、交換レンズのイメージサークルの大きさに関する情報を取得できない場合でも、交換レンズのイメージサークル内で撮像センサを駆動することができる撮像装置を提供する。以下にそれを実現するための構成、動作を説明する。
【0062】
2.1 デジタルカメラにおける手振れ補正処理
本実施の形態のカメラ本体100では、カメラ本体100が交換レンズのイメージサークル情報を取得できない場合、ユーザ操作に基づいて、撮像センサ110の制限後可動範囲Raの大きさを設定(変更)可能に構成している。具体的には、図8の補正範囲設定画面においてユーザが補正範囲設定の設定値として「100%」、「90%」、「80%」、「70%」、「60%」の中から一個の設定値を選択することで、前述した図5(b)に示すように、制限後可動範囲Raの大きさを、設定値に応じた大きさに変更できるように構成している。本例では、補正範囲設定の設定値として、前述した、最大可動量dmaxに対する制限後可動量daの比率(%)である「可動量制限率」を採用している。可動量制限率が100%であることは、制限後可動範囲Raと最大可動範囲Rmaxとが同じ大きさ(半径)を有し、撮像センサ110の可動量が制限されないこと、つまり撮像センサ110が最大可動範囲Rmax内で駆動できることを意味する。
【0063】
2.2 補正範囲設定画面
図8の補正範囲設定画面についてより詳しく説明する。補正範囲設定画面では、背景画像としてライブビュー画像Imが表示される。図8の補正範囲設定画面では、ライブビュー画像Imが富士山及びその周囲の空が写った画像である例を示している。
【0064】
また、補正範囲設定画面では、ライブビュー画像Imに重畳させて、数値窓Waと、決定ボタンBdと、リターンボタンBrと、注視枠Faと、X方向カーソルAx、Y方向カーソルAy、上向きカーソルZa、下向きカーソルZbが表示される。
【0065】
数値窓Waは、補正範囲設定の設定値を表示する窓である。
【0066】
決定ボタンBdは、補正範囲設定画面での設定内容に対するユーザによる決定操作を受け付けるボタンである。
【0067】
リターンボタンBrは、後述する図13(a)のメニュー画面へのユーザによる戻り操作を受け付けるボタンである。
【0068】
注視枠Faは、補正範囲設定画面のライブビュー画像の中でケラレが生じる可能性がある領域であってユーザが注視すべき領域(注視領域)を囲む枠である。
【0069】
上向きカーソルZa及び下向きカーソルZbは、数値窓Wa内の設定値の変更操作を受け付けるボタンである。上向きカーソルZaにタッチ操作を行えば、設定値を大きくすることができ、下向きカーソルZbにタッチ操作を行えば、設定値を小さくすることができる。
【0070】
数値窓Waについてより詳しく説明する。数値窓Waには、設定値として、可動量制限率を示す数値が表示される。図8では、可動量制限率として「100%」が設定された例を示している。可動量制限率を示す数値は、上向きカーソルZaや下向きカーソルZbに対してユーザがタッチ操作を行うことで変更できる。本例では、上向きカーソルZaや下向きカーソルZbに対してユーザがタッチ操作を行うことで「100%」、「90%」、「80%」、「70%」、「60%」の中から選択的に設定できる。なお、可動量制限率は、1%単位で小刻みに変更できるようにしてもよい。
【0071】
図8の補正範囲設定画面では、一例として、撮像センサ110を可動量制限率「100%」のときの制限後可動範囲Ra(最大可動範囲Rmax)内で対角方向における右下側へ最大限移動させた場合の画面を示している。また、イメージサークルCの大きさ(半径)よりも可動量制限率100%のときの制限後可動範囲Ra(最大可動範囲Rmax)の大きさ(半径)の方が大きい例を示している。この場合、撮像センサ110の右下の角110aが、イメージサークルCから外にはみ出る。そのため、イメージサークルCからはみ出した撮像センサ110の右下の角110a付近には被写体光が届かない。そのため、図8の補正範囲設定画面の背景画像であるライブビュー画像Imの左上の隅にケラレVが生じている。ユーザは、ライブビュー画像Imのうち注視枠Fa内の画像を見ることで、可動量制限率を100%に設定すると撮像画像の左上の隅にケラレVが生じることを認識できる。また、ユーザは、ケラレVを生じさせないためには、可動量制限率を100%よりも小さい値に変更すべきことを認識できる。この場合、ユーザは、下向きカーソルZbに対してタッチ操作を行って、可動量制限率の値を変更すればよい。
【0072】
注視枠Faは、ユーザがジョイスティック131をX方向カーソルAxあるいはY方向カーソルAyが示す方向へ傾動操作することにより、傾動させた方向へ移動させることができる。
【0073】
図9は、補正範囲設定画面内での注視枠Faの移動を説明した図である。デジタルカメラ1では、ジョイスティック131を傾動操作することで、注視枠Faを補正範囲設定画面における左上の隅に移動させたり(図9(a))、右上の隅に移動させたり(図9(b))、左下の隅に移動させたり(図9(c))、右下の隅に移動させたり(図9(d))することができる。なお、図9の各図では、設定値がいずれも100%のときを示しているが、これは一例である。
【0074】
注視枠Faがユーザにより移動されるとき、カメラコントローラ140は、注視枠Faの移動に応じて、図10に例示するように、撮像センサ110を移動させる。
【0075】
図10は、注視枠Faの移動に応じた撮像センサ110の移動制御を説明した図である。図9図10を対応させながら、本制御を説明する。例えば、図9(a)のように、注視枠Faが補正範囲設定画面内で左上の隅に移動されると(位置しているとき)、カメラコントローラ140は、図10(a)のように、撮像センサ110を、その右下の角110aが制限後可動範囲Raの外周円に接する位置まで、対角方向において右下側に最大限移動させる。なお、撮像センサ110を注視枠Faの移動方向に対して反対方向に移動させるのは、撮像センサ110では、交換レンズを介して形成される被写体像の上下左右が実被写体に対して反転するからである。図9(b)のように、注視枠Faが補正範囲設定画面内で右上の隅に移動されると、カメラコントローラ140は、図10(b)のように、撮像センサ110を、その左下の角110bが制限後可動範囲Raの外周円に接する位置まで、対角方向において左下側に最大限移動させる。図9(c)のように、注視枠Faが補正範囲設定画面内で左下の隅に移動されると、カメラコントローラ140は、図10(c)のように、撮像センサ110を、その右上の角110cが制限後可動範囲Raの外周円に接する位置まで、対角方向において右上側に最大限移動させる。図9(d)のように、注視枠Faが補正範囲設定画面内で右下の隅に移動されると、カメラコントローラ140は、図10(d)のように、撮像センサ110を、その左上の角110dが制限後可動範囲Raの外周円に接する位置まで、対角方向において左上側に最大限移動させる。このように左上側、右上側、右下側、左下側へ移動させたときの撮像センサ110の移動位置を、以下適宜、左上最大移動位置(左上隅位置)、右上最大移動位置(右上隅位置)、右下最大移動位置(右下隅位置)、左下最大移動位置(左下隅位置)という。
【0076】
撮像センサ110を左上最大移動位置、右上最大移動位置、右下最大移動位置、左下最大移動位置に移動させることができるように構成しているのは以下の理由による。例えば、オールドレンズなどの交換レンズでは経年劣化などにより光軸の位置ずれが生じている場合があり、この場合、交換レンズの光軸が、センサ基準位置にある撮像センサの中心に一致せずに、イメージサークルの中心が撮像センサの中心に対して偏心し、その結果、上記の4つの最大移動位置へ撮像センサを移動させたときのケラレの発生程度に関して、これらの最大移動位置間で差が出る場合がある。また、センサ駆動部181の機構構成部材の経年劣化などにより撮像センサの可動範囲の中心が本来の位置からずれる場合があり、この場合においても、センサ基準位置にある撮像センサの中心と、イメージサークルの中心が撮像センサの中心とが一致せずに偏心し、その結果、ケラレの発生程度に関しこれらの最大移動位置間で差が出る場合がある。本実施の形態によれば、これらの状況が生じている場合でも、ユーザの意思によって全ての最大移動位置でのケラレの発生有無を確認することができる。
【0077】
このような構成によると、ユーザは、ジョイスティック131を操作して注視枠Faの位置を移動させることで、撮像センサ110を現在の制限後可動範囲Ra内で左上最大移動位置、右上最大移動位置、右下最大移動位置、左下最大移動位置のうちの任意の位置へ移動させて、ケラレの有無を確認することができる。なお、ユーザは、これらの4個の隅の全てに注視枠Faを移動させる必要はなく、確認が必要と考える1~3個の任意の隅にのみ注視枠Faを移動させて、ケラレの有無を確認するだけでもよい。
【0078】
2.3 デジタルカメラにおける手振れ補正処理
本実施の形態のデジタルカメラ1における手振れ補正処理について図11のフローチャートを参照して説明する。デジタルカメラ1では、上述したように、検出した手振れ量に基づき撮像センサ110を駆動することで手振れによる撮像センサ110上での像ぶれを相殺するが、その際、検出した手振れ量に基づいて算出した撮像センサ110の駆動範囲の大きさ(半径)が制限後可動範囲Raの大きさ(半径)よりも大きいときは、撮像センサ110の移動量を撮像センサ110が制限後可動範囲Raを超えて移動しないように制限する。
【0079】
図11は、デジタルカメラ1における手振れ補正処理に関するフローチャートである。本処理は、ユーザによるレリーズ釦の押下(撮影指示)があったときに実行される。
【0080】
カメラコントローラ140は、交換レンズのイメージサークル情報を取得できた否かを判断する(S11)。
【0081】
交換レンズのイメージサークル情報を取得できた場合(S11でYES)、カメラコントローラ140は、取得したイメージサークル情報に基づいて、制限後可動範囲Raの大きさ(半径)を設定する。
【0082】
一方、交換レンズのイメージサークル情報を取得できない場合(S11でNO)、カメラコントローラ140は、補正範囲設定画面で設定された可動量制限率に基づいて、制限後可動範囲Raの大きさ(半径)を設定する。なお、後述するように複数の交換レンズ(オールドレンズ)について補正範囲設定が行われているときは、最後に選択された交換レンズについての可動量制限率を用いる。また、後述するように、カメラコントローラ140は、利用する交換レンズをユーザに選択させる画面を表示させ、その画面で選択された交換レンズについて可動量制限率を用いてもよい。
【0083】
カメラコントローラ140は、BIS処理部183から手振れ量(積分器408の出力)を取得し(S14)、取得した手振れ量に基づいて、撮像面上での像ぶれを相殺するために必要な撮像センサ110の像ぶれ補正量(センサ移動量)を算出する(S15)。具体的には、カメラコントローラ140は、BIS機能を作動させていないとき(撮像センサ110がセンサ基準位置にあるとき)の撮像センサ110の中心位置から、BISを作動させて撮像センサ110を像ぶれ補正量分移動させたときにおける撮像センサ110の移動方向側の角までの距離(補正半径)を算出する。例えば、像ぶれを相殺するために撮像センサ110を対角方向に像ぶれ補正量αだけ移動させることが必要な場合、上記距離(補正半径)は、撮像センサの対角長+αとなる。
【0084】
カメラコントローラ140は、補正半径と制限後可動範囲Raの半径とを比較して、補正半径が制限後可動範囲Raの半径よりも大きいか否かを判断する(S16)。
【0085】
補正半径が制限後可動範囲Raの半径よりも大きい場合(S16でYES)、カメラコントローラ140は、補正半径が制限後可動範囲Raの半径以下となるように像ぶれ補正量を制限する(小さくする)(S17)。
【0086】
これに対し、補正半径が制限後可動範囲Raの半径と同じまたは小さい場合(S16でNO)、カメラコントローラ140は、ステップS15で検出した手振れ量に基づいて算出した像ぶれ補正量に基づいて手振れ補正処理を実行する(S18)。
【0087】
2.4 補正範囲設定
前述した補正範囲設定処理について図12のフローチャート、及び図13図14の説明図を参照して説明する。図12は、カメラ本体100による補正範囲の設定処理を示すフローチャートである。図13図14は、補正範囲の設定処理を説明した図である。ここでの補正範囲設定とは、図8を参照して説明したように撮像センサ110の可動量を設定(変更)して、撮像センサ110の可動範囲を設定(変更)する処理である。
【0088】
ユーザは、装着した交換レンズ(オールドレンズ)に関して、手振れ補正に関する設定を行う場合、操作部130に対して所定の操作を行って、手振れ補正に関する図13(a)のメニュー画面をタッチディスプレイ120に表示させる。メニュー画面には、手振れ補正に関する設定項目として、「動作設定」、「焦点距離設定」、「補正範囲設定」などの項目が表示されるとともに、リターンボタンが表示される。「動作設定」に対してタッチ操作が行われると、手振れ補正を「ON」とするか「OFF」とするかの選択を行うことができる。図13(a)では、「ON」が選択された例を示している。「焦点距離設定」に対してタッチ操作が行われると、交換レンズの焦点距離を新規に設定しあるいは複数の選択肢から選択できる。図13(a)では、「35mm」が設定された例を示している。「補正範囲設定」に対してタッチ操作が行われると、前述した可動量制限率を設定できる。図13(a)では、可動量制限率として「100%」が設定された例を示している。「補正範囲設定」が選択されると、カメラコントローラ140は、補正範囲設定画面をタッチディスプレイ120に表示する(S101)。図13(b)は、補正範囲設定画面の一例を示す図である。図13(b)では、図8と同じ内容が表示された例を示している。そのため、具体的な説明は省略する。
【0089】
図13(b)の補正範囲設定画面を表示させる際、カメラコントローラ140は、図14(a)に示すセンサ基準位置にある撮像センサ110を、図14(b)に示すように、可動量制限率100%のときの制限後可動範囲Ra(最大可動範囲Rmax)内で対角方向へ最大限移動させる。図14(b)では、撮像センサ110を可動量制限率が100%のときの制限後可動範囲Ra内で対角方向における右下側へ最大限移動させた例を示している。また、図14(b)では、イメージサークルCの大きさ(半径)よりも、可動量制限率が100%のときの制限後可動範囲Raの大きさ(半径)の方が大きい例を示している。この場合、撮像センサ110の右下の角110aが、イメージサークルCから外にはみ出る。そのため、イメージサークルCからはみ出した撮像センサ110の右下の角110a付近には被写体光が届かず、図13(b)の補正範囲設定画面の背景画像であるライブビュー画像の左上の隅の空の部分にケラレVが生じている。ユーザは、ライブビュー画像のうち注視枠Fa内の画像を見ることにより、可動量制限率を100%に設定すると撮像画像の左上の隅にケラレVが生じることを認識できる。また、ユーザは、ケラレVを生じさせないためには、可動量制限率を100%よりも小さい値に変更すべきことを認識できる。そして、ユーザが、操作部130を操作して、図13(c)に示すように可動量制限率を90%に変更したものとする。
【0090】
カメラコントローラ140は、補正範囲設定画面上の設定値(可動量制限率)に変化があったか否かを判断する(S102)。つまり、図13(b)の補正範囲設定画面上でユーザによる可動量制限率の変更操作があったか否かを判断する。
【0091】
可動量制限率に変化があると判断した場合(S102においてYES)、カメラコントローラ140は、変更後の可動量制限率に基づいて制限後可動範囲Raの大きさ(半径Rb)を変更する(S103)。例えば、図13(c)のように可動量制限率がユーザ操作により90%に変更されると、カメラコントローラ140は、制限後可動範囲Raの大きさ(半径ra)を可動量制限率90%に応じた大きさ(半径)に変更する。またこのとき、カメラコントローラ140は、撮像センサ110を、図14(c)に示すように、可動量制限率90%の制限後可動範囲Ra内において対角方向で右下側へ最大限移動させる。図14(c)では、イメージサークルCの半径と、可動量制限率90%の制限後可動範囲Raの半径とが等しい例を示している。この場合、撮像センサ110の右下の角110aがイメージサークルCの外周に接する。そのため、撮像センサ110の全領域がイメージサークルC内に位置しており、撮像センサ110の全領域に被写体光が届く。したがって、図13(c)の補正範囲設定画面のライブビュー画像の注視枠Fa内にケラレは生じていない。したがって、ユーザは、可動量制限率を90%に設定すれば、撮像画像の左上の隅にケラレが生じなくなることを認識できる。
【0092】
ステップS102において可動量制限率に変化がないと判断した場合(S102においてNO)、カメラコントローラ140は、ステップS103の処理をバイパスする。
【0093】
カメラコントローラ140は、注視枠Faの位置の変更操作があったか否かを判断する(S104)。
【0094】
注視枠Faの位置の変更操作があったと判断した場合(S104においてYES)、カメラコントローラ140は、注視枠Faの位置に対応する位置に撮像センサ110を移動させる(S105)。例えば、ユーザによりジョイスティック131が右側に傾けられたものとすると、カメラコントローラ140は、図13(d)に示すように、注視枠Faを、補正範囲設定画面のライブビュー画像の右上角の位置に移動させるとともに、図14(d)に示すように、撮像センサ110を可動量制限率90%の制限後可動範囲Ra内で左方向に最大限移動させる。図14(d)では、イメージサークルCの大きさ(半径)と可動量制限率90%の制限後可動範囲Ra内の大きさ(半径)とが等しい例を示している。この場合、撮像センサ110の左下の角110bがイメージサークルCの外周に接する。そのため、撮像センサ110の全領域がイメージサークルC内に位置しており、撮像センサ110の全領域に被写体光が届く。したがって、図13(d)の補正範囲設定画面のライブビュー画像の注視枠Fa内にケラレは生じていない。したがって、ユーザは、可動量制限率を90%に設定すれば、撮像画像の右上の隅にケラレが生じないことを認識できる。
【0095】
これに対し、注視枠Faの位置の変更操作がないと判断した場合(S104においてNO)、カメラコントローラ140は、ステップS105の処理をバイパスする。
【0096】
カメラコントローラ140は、決定ボタンを利用してユーザにより決定操作がなされたか否かを判断する(S106)。
【0097】
決定操作がなされたと判断した場合(S106においてYES)、カメラコントローラ140は、ユーザにより設定された可動量制限率を、フラッシュメモリ142に保存して(S107)、補正範囲設定処理を終了する。
【0098】
ステップS106において決定操作がなされていないと判断した場合(S106においてNO)、カメラコントローラ140は、ステップS102に戻って以後の処理を再度実行する。
【0099】
2.5 オールドレンズ選択画面
オールドレンズに該当する複数の交換レンズをユーザが所持している場合がある。これを考慮し、本実施の形態のデジタルカメラ1では、複数のオールドレンズについての補正範囲設定の設定値をオールドレンズ毎に登録可能とするとともに、オールドレンズ選択画面からユーザが所望のオールドレンズを選択するだけで所望のオールドレンズの補正範囲設定の設定値を設定できるように構成している。以下、詳しく説明する。
【0100】
図15は、他の実施の形態におけるオールドレンズの登録処理を説明した図である。図15(a)は、オールドレンズ選択画面の一例を示した図である。オールドレンズ選択画面は、例えば操作部130に対して所定の操作を行うことで呼び出すことができる。オールドレンズ選択画面では、オールドレンズ毎に、レンズ型番と、補正範囲設定の設定値とが対応付けて表示される。レンズ型番は、後述するようにユーザが手動で登録する。図15(a)では、レンズ1とレンズ2の2個のオールドレンズが登録されている例を示す。レンズ1では、レンズ型番として「AB1-50」、補正範囲設定の設定値として「90%」が登録されている。また、レンズ2では、レンズ型番として「CX-35」、補正範囲設定の設定値として「80%」が登録されている。レンズ2には、現在選択されていることを示す網がけ表示が施されている。この状態で、ユーザが決定ボタンを利用して決定操作を行えば、レンズ2の選択が確定され、ユーザが設定した補正範囲設定の設定値である「80%」が設定される。リターンボタンにタッチ操作を行えば、主設定画面などに戻ることができる。なお、図15(a)では、レンズ型番の登録例を示したが、他の実施の形態で説明する補正範囲設定の設定値の外部との授受を行わない場合には、ユーザが希望する任意のレンズ名などを登録するようにしてもよい。
【0101】
オールドレンズ選択画面への新たなオールドレンズの登録は、例えば以下のような方法で行うことができる。例えば、上記のステップS106で決定操作がなされたと判断した場合に、カメラコントローラ140は、図15(b)に示すように、ユーザによるオールドレンズの型番の登録を受け付けるレンズ型番入力画面を表示させる。既に、図15(a)のようにレンズ1、レンズ2の2個のオールドレンズが登録されている場合、カメラコントローラ140は、図15(b)のレンズ型番入力画面では、レンズ3のレンズ型番の入力を受け付ける入力枠を表示させる。ユーザにより入力枠内にタッチ操作が行われると、例えばキーボードが表示され、ユーザが文字入力を行うことができる。図15(b)では、ユーザにより、レンズ3として「WX-100」というレンズ型番が入力された例を示す。レンズ型番が入力された後でユーザにより決定ボタンを利用して決定操作がなされると、カメラコントローラ140は、ユーザにより設定された補正範囲設定の設定値(可動量制限率)と、入力されたレンズ型番とを、レンズ3に紐付けて、フラッシュメモリ142に保存し、補正範囲設定処理を終了する。
【0102】
レンズ3が登録された後、次に、オールドレンズ選択画面が呼び出されたとき、カメラコントローラ140は、オールドレンズ選択画面に、レンズ1、レンズ2に加え、レンズ3に関する情報を表示させる。これにより、ユーザは、レンズ3のオールドレンズについても、補正範囲設定を容易に行うことができるようになる。
【0103】
このように、本実施の形態によれば、ユーザが複数のオールドレンズ(交換レンズ)を所持している場合に、利用するオールドレンズに応じた補正範囲設定の設定値をオールドレンズ選択画面から容易に設定し、利用するオールドレンズに応じたBIS制御を行うことができるようになる。この構成によると、次のような効果も得られる。すなわち、焦点距離が同じで、かつマウント形式が同じである場合でも、レンズの型番などが異なると、オールドレンズの設計思想の相違などにより、イメージサークルの大きさ(半径)が異なる場合がある。このような場合でも、本構成によれば、レンズ型番に紐付けて補正範囲設定の設定値(可動量制限率)を保存することで、ユーザがオールドレンズ毎に最適な補正範囲設定を容易に行うことができるようになる。
【0104】
2.6 補正範囲設定データの外部への入出力
本実施の形態のデジタルカメラ1では、上記のようにして設定された補正範囲設定の設定値のデータ(以下適宜「補正範囲設定データ」という)を、外部へ入出力する機能を有する。具体的には、本実施の形態のデジタルカメラ1と同様の機能を有する第3者のデジタルカメラとの間で、メモリカード171やネットワークを経由して、補正範囲設定データを授受する機能を有する。メモリカード171は、SDカードやXQD(登録商標)カードなどどのようなカードであってもよい。
【0105】
例えば、メモリカード171経由の場合、カメラコントローラ140は、ユーザによる所定の操作があったときに、フラッシュメモリ142に格納されているオールドレンズの補正範囲設定データを、予め定められたリスト形式でメモリカード171に出力する。図16は、出力される補正範囲設定データのリストの一例を示した図である。補正範囲設定データのリストでは、オールドレンズ毎に、レンズ型番、及び補正範囲設定の設定値が紐付けて記録されている。図16のリストを格納しているメモリカード171が、第3者が所持するデジタルカメラ1のカードスロット170に装着され、所定のユーザ操作がなされた場合、第3者のデジタルカメラ1のカメラコントローラ140は、メモリカード171に記録されている補正範囲設定データを読み込んで、フラッシュメモリ142に記録する。その後、第3者のデジタルカメラ1においてオールドレンズ選択画面を表示させるユーザ操作がなされた場合、第3者のデジタルカメラ1のカメラコントローラ140は、図16のリストに登録されているオールドレンズを含むオールドレンズ選択画面を表示させる。第3者のデジタルカメラ1のフラッシュメモリ142に他のオールドレンズについての補正範囲設定データが先に登録されている場合、先に登録されているオールドレンズと、今回フラッシュメモリ142から読み込んだオールドレンズとの両方をリスト表示したオールドレンズ選択画面を表示させる。このように、本実施の形態のデジタルカメラ1によれば、複数のデジタルカメラ1間で、他のユーザが設定した補正範囲設定の設定値についての補正範囲設定データを利用することができる。なお、本例では、メモリカード171を経由する例を示したが、デジタルカメラ1に外部USBインタフェースを設け、外部USBインタフェースに接続したUSBメモリなどをSDカード同様に利用してもよい。
【0106】
これに対し、ネットワーク経由の場合、以下のように構成する。図17は、ネットワークを経由した補正範囲設定データの提供システムの構成図である。図18は、補正範囲設定データについてのマスタデータリストの構成を示した図である。補正範囲設定データの提供システムは、カメラ情報サーバ1000を備える。カメラ情報サーバ1000は、上記図18のマスタデータリストを格納している。マスタデータリストは、オールドレンズ毎に、レンズ型番、及び補正範囲設定の設定値を紐付けて記録している。マスタデータリストは、メモリカードに出力される補正範囲設定データのリストと同じ形式で保存されている。デジタルカメラA、B、C…は、ネットワーク通信機能を備え、上記図16で示したような補正範囲設定データのリストを、ネットワーク経由でカメラ情報サーバ1000にアップロードできる。カメラ情報サーバ1000は、デジタルカメラA、B、C…のいずれかから補正範囲設定データのリストがアップロードされてきたときに、アップロードされてきた補正範囲設定データのリストをマスタデータリストに取り込んで保存する。カメラ情報サーバ1000は、デジタルカメラA、B、C…のいずれかからネットワーク経由でマスタデータリストの取得要求があったときに、要求元のデジタルカメラにマスタデータリストを送信する。このような提供システムによれば、ユーザが新たにオールドレンズを取得した場合に、他のユーザが設定した補正範囲設定の設定値をネットワーク経由でカメラ情報サーバ1000から取得して利用することが可能となる。なお、ユーザがデジタルカメラ1にマスタデータリストをダウンロードした際、マスタデータリストに含まれる複数のオールドレンズの補正範囲設定データのうち、ユーザが必要とするオールドレンズの補正範囲設定データのみを選択してデジタルカメラに保存できるようにしてもよい。また、カメラ情報サーバ1000は、デジタルカメラ1を所持する予め登録されたユーザのみがアクセス可能なように認証を行ってもよい。これにより、補正範囲設定データの信頼性を適切に確保できる。
【0107】
3.効果
以上のように本実施の形態のカメラ本体100(撮像装置の一例)は、交換レンズを介して形成された被写体像を撮像して画像データを生成する撮像センサ110と、撮像センサ110を光軸と垂直な面内で移動させることにより像ぶれ補正を行うセンサ駆動部181(駆動部の一例)と、像ぶれ補正時における撮像センサ110の可動量を変更するためのユーザ操作を受け付けるタッチディスプレイ120(操作部の一例)と、センサ駆動部181に、撮像センサ110を、変更された可動量の範囲内で移動させるカメラコントローラ140(制御部の一例)と、を備える。
【0108】
これにより、像ぶれ補正時における撮像センサ110の可動量をユーザ操作により変更できる。そのため、交換レンズのイメージサークル内で撮像センサ110を駆動することができる。よって、撮像画像にケラレが生じることを抑制することができる。
【0109】
カメラ本体100は、画像を表示するタッチディスプレイ120(表示部の一例)をさらに備える。カメラコントローラ140は、可動量を変更するためのユーザ操作を受け付ける補正範囲設定画面(受付画像の一例)を表示させ、操作部は、補正範囲設定画面に基づいてユーザ操作を受け付けるGUI(グラフィック・ユーザ・インタフェース)により構成される。これにより、ユーザは、GUIを利用して可動量制限率を容易に設定できる。
【0110】
タッチディスプレイ120は、可動量制限率(可動量に関連する数値の一例)の入力を受け付ける。これにより、ユーザは、制限後可動範囲Raを、可動量制限率を示す数値により定量的に指定することができる。
【0111】
カメラ本体100は、画像を表示するタッチディスプレイ120(表示部の一例)をさらに備える。カメラコントローラ140は、タッチディスプレイ120に対して可動量を変更するためのユーザ操作があった場合、センサ駆動部181に、撮像センサ110を、変更された可動量でセンサ基準位置を基準として最大限に移動させ、タッチディスプレイ120に、最大限に移動させた位置において撮像センサ110で生成された画像データが示すライブビュー画像を表示させる。これにより、ユーザは、ライブビュー画像を視ることで、移動位置におけるケラレの有無をユーザが容易に認識できる。
【0112】
カメラコントローラ140は、センサ駆動部181に、撮像センサ110を、変更された可動量でセンサ基準位置を基準として撮像センサ110の対角方向へ最大限に移動させる。これにより、ユーザは、対角方向へ撮像センサ110を移動させた位置におけるライブビュー画像を視ることができる。ケラレは対角方向へ撮像センサ110を移動させたときに発生しやすいため、ケラレの有無をユーザが適切に認識できる。
【0113】
カメラコントローラ140は、センサ駆動部181に、撮像センサ110を、変更された可動量でセンサ基準位置を基準として撮像センサ110の対角方向において右上側、左上側、右下側、左下側のうち少なくとも1つの側へ最大限に移動させ、移動させる都度、タッチディスプレイ120に、最大限に移動させた位置において撮像センサ110で生成された画像データが示すライブビュー画像を表示させる。これにより、ケラレの有無をユーザがより適切に認識できる。ケラレの発生状況は、交換レンズの光軸ずれなどに起因して、撮像センサ110の角毎に異なってくる場合があるが、このような場合におけるケラレの有無を、1以上の箇所で適切に確認することができる。そのため、ケラレの有無をより一層適切に認識できる。
【0114】
カメラ本体100は、撮像センサ110を移動させる位置の指定操作を受け付けるジョイスティック131(第2の操作部の一例)をさらに備える。カメラコントローラ140は、ジョイスティック131で指定操作があったときに、センサ駆動部181に、撮像センサ110を指定された位置に移動させ、タッチディスプレイ120に、移動させた位置において撮像センサ110で生成された画像データが示すライブビュー画像を表示させる。これにより、ユーザは、所望の位置へ撮像センサ110を移動させて、移動位置におけるライブビュー画像を視ることができる。そのため、ケラレの有無をユーザがより適切に認識できる。
【0115】
カメラコントローラ140は、タッチディスプレイ120に、ライブビュー画像に重畳させて、ケラレの発生に関してユーザが注視すべき領域を示す注視枠Faを表示させる。これにより、ユーザが、ケラレの発生に関してユーザが注視すべき領域を容易に認識できる。そのため、ユーザがケラレの発生を見落とすことを抑制できる。
【0116】
(実施の形態2)
以下、実施の形態2を説明する。カメラ本体100が備えた撮像センサ110とは異なるサイズを有する撮像センサ用の交換レンズ(オールドレンズ)がカメラ本体100に装着される場合がある。交換レンズのイメージサークルの大きさは、撮像センサのサイズに応じて異なる。例えば、図19(a)に示すように、35mmフルサイズセンサ用の交換レンズのイメージサークルCfは、35mmフルサイズセンサの撮像面の全域をカバーできるように最適化された大きさを有する。また、図19(b)に示すように、APS-Cサイズセンサ用の交換レンズのイメージサークルCaは、APS-Cサイズセンサの撮像面の全域をカバーできるように最適化された大きさを有する。そのため、35mmフルサイズセンサ用の交換レンズのイメージサークルCfは、APS-Cサイズセンサ用の交換レンズのイメージサークルCaよりも大きい。したがって、35mmフルサイズセンサを搭載したカメラ本体に、APS-Cサイズセンサ用の交換レンズを装着すると、図19(a)に示すように、イメージサークルCaは35mmフルサイズセンサをカバーできない。これに対し、APS-Cサイズセンサを搭載したカメラ本体に、35mmフルサイズセンサ用の交換レンズを装着すると、図19(b)に示すように、イメージサークルCfは35mmAPS-Cサイズセンサを十分や余裕をもってカバーできる。このような場合を考慮し、本実施の形態のデジタルカメラは、カメラ本体100に装着される交換レンズが適応するセンササイズに応じて、つまりセンササイズに基づくレンズ種別に応じて、制限後可動範囲Raの大きさを変更可能なように構成されている。なお、本実施の形態のカメラ本体100のハードウェア構成及び基本的な動作については実施の形態1と同様であり、これらの説明については省略する。
【0117】
図20は、本実施の形態の、制限後可動範囲Raの設定処理を示すフローチャートである。本実施の形態のカメラコントローラ140は、図12のステップS101~S107の処理に加えて、ステップS100の処理を行う。
【0118】
具体的に、カメラコントローラ140は、ステップS101の処理を行う前に、ユーザによるレンズ種別の選択を受け付けて、選択されたレンズ種別に応じた大きさの制限後可動範囲Raを設定する処理を行う(S100)。図21は、図20のステップS100の処理を具体的に示したフローチャートである。図22は、図20のステップS100の処理を説明するための図である。
【0119】
図22(a)の手振れ補正のメニュー画面の複数の設定項目のうち「レンズ種別設定」が選択されると、カメラコントローラ140は、図22(b)に示すようなレンズ種別設定画面をタッチディスプレイ120に表示する(S201)。図22(b)は、レンズ種別設定画面の一例を示した図である。図22(b)のレンズ種別設定画面では、選択可能なレンズ種別として「F35mm」及び「APS-C」が表示されている。また、「F35mm」に関し、「F35mm」が現在選択されていることを示す網がけ表示が施されている。
【0120】
カメラコントローラ140は、ユーザによるレンズ種別の選択操作を受け付ける(S203)。例えば、ユーザによる「APS-C」の選択操作が行われると、図22(c)に示すように、「APS-C」が選択されたことを示す網がけが施される。
【0121】
カメラコントローラ140は、決定ボタンを利用してユーザにより決定操作がなされたか否かを判断する(S204)。
【0122】
決定操作がなされていないと判断した場合(S204においてNO)、カメラコントローラ140は、ステップS202以後の処理を再度実行する。
【0123】
決定操作がなされたと判断した場合(S204においてYES)、カメラコントローラ140は、レンズ種別として、現在選択されているレンズ種別をフラッシュメモリ142に保存する(S205)。また、カメラコントローラ140は、図22(d)のメニュー画面を表示する。図22(d)のメニュー画面では、図22(c)のレンズ種別設定画面で選択されたレンズ種別である「APS-C」が表示され、かつ網がけが施されている。
【0124】
カメラコントローラ140は、レンズ種別設定画面で選択されたレンズ種別に対応する制限後可動範囲Raを設定する(S206)。本実施の形態のカメラ本体100の撮像センサ140がAPS-Cサイズセンサであるとした場合、図22(a)のようにレンズ種別として「F35mm」が設定されると、カメラコントローラ140は、図19(b)において35mmフルサイズセンサのイメージサークルCfの大きさに応じた制限後可動範囲Raを設定する。これに対し、図22(d)のようにレンズ種別として「APS-C」が設定されると、カメラコントローラ140は、APS-CサイズセンサのイメージサークルCaの大きさに応じた制限後可動範囲Raを設定する。
【0125】
図21のフローチャートに基づく処理を終了すると、カメラコントローラ140は、ステップS101~S107において実施の形態1同様の処理を行う。なお、本実施の形態においては、ステップS100にて決定した制限後可動範囲Raの大きさを、可動量制限率が100%のときの制限後可動範囲Raの大きさとして用い、補正範囲設定において、可動量制限率が100%以下の値に設定された場合、設定された可動量制限率に応じて制限後可動範囲Raを狭くする。なお、APS-Cサイズセンサを実装しているカメラ本体において、「F35mm」を設定すると、センサ駆動部181による機構的な最大可動範囲Rmaxよりも制限後可動範囲Raの方が大きくなるが、この場合、センサ駆動部181による機構的な最大可動範囲の制約により、実質的に最大可動範囲Rmax内で撮像センサ110が駆動されることとなる。
【0126】
以上説明したように、本実施の形態のカメラ本体100では、交換レンズが適応する撮像センサのサイズの設定操作を受け付けるタッチディスプレイ120(第3の操作部の一例)をさらに備え、カメラコントローラ140は、タッチディスプレイ120で設定操作があったときに、撮像センサのサイズに応じた大きさの制限後可動範囲Raを自動で設定する。これにより、装着しようとする交換レンズが適応する撮像センササイズに応じた大きさの制限後可動範囲Raをユーザが容易に設定することができる。
【0127】
(他の実施の形態)
上記実施の形態の思想は、以上で説明された実施の形態に限定されない。種々の実施の形態が考えられてもよい。以下、上記実施の形態の思想を適用できる他の実施の形態について説明する。
【0128】
上記の各実施の形態では、交換レンズのみをカメラ本体100に取り付けた場合に生じ得るケラレを抑制する例を示したが、本開示は、これ以外の場合にも同様の効果を奏することができる。例えば、交換レンズの先端にフードやフィルタを取り付けた場合、交換レンズのイメージサークル内にフードやフィルタが入り込んで、交換レンズのイメージサークルが実質的に狭められることがあるが、カメラ本体100は、交換レンズにフードやフィルタが取り付けられていることを認識できない。また、テレコンバージョンレンズやワイドコンバージョンレンズを介して交換レンズをカメラ本体100に取り付けた場合にも、これらのコンバージョンレンズの光学系の影響を受けて、交換レンズのイメージサークルが実質的に狭められる場合がある。この場合、交換レンズとカメラ本体100との間にコンバージョンレンズが介在していることにより、カメラ本体100は、交換レンズと通信を行うことができず、交換レンズのイメージサークル情報を取得できない。しかし、本実施の形態では、これらの場合についても、ユーザがメニュー画面から補正範囲設定を選択して、補正範囲設定画面でケラレの有無を確認することで、撮像センサ110の可動量を適切に狭めることができる。そのため、手振れ補正のために撮像センサ110を駆動させた場合におけるケラレの発生を抑制できる。
【0129】
上記の実施の形態では、カメラコントローラ140は、メニュー画面でユーザにより「補正範囲設定」が選択されたときに、補正範囲設定画面をタッチディスプレイ120に表示するが、補正範囲設定画面の表示タイミングはこれに限定されない。例えば、カメラコントローラ140は、ユーザ操作によりカメラ本体100の電源がオンされた際に交換レンズと通信ができない場合に、自動的に補正範囲設定画面をタッチディスプレイ120に表示してもよい。また、交換レンズとの通信が可能であるが、交換レンズから当該交換レンズのイメージサークル情報を取得することができない場合に、自動的に補正範囲設定画面をタッチディスプレイ120に表示してもよい。また、カメラ本体100が交換レンズと通信可能であり、交換レンズとの通信によりイメージサークル情報を取得している場合には、カメラコントローラ140は、メニュー画面における補正範囲設定の項目を表示させないようにしたり、補正範囲設定の項目をグレーアウトさせるようにしたりしてもよい。また、カメラ本体100が交換レンズと通信可能であり、交換レンズとの通信によりイメージサークル情報を取得しているにもかかわらず、ユーザにより可動量制限率が「100%」から他の値に変更された場合には、これを無視して、可動量制限率100%でのBIS制御を行ってもよい。あるいは、ユーザが他の値に変更しようとしても変更できないようにしたり、変更できない旨のメッセージをタッチディスプレイ120に表示したりしてもよい。
【0130】
実施の形態2では、レンズ種別設定画面において、レンズ種別として35mmフルサイズセンサ用レンズとAPS-Cサイズセンサ用レンズとのうちのいずれか一方を選択する例を示したが、これに限定されない。例えば、これらのレンズに加え、Super35センサ用レンズ、MFTSサイズセンサ用レンズ、APS-Hサイズセンサ用レンズなど、他のサイズの撮像センサ用のレンズを含めてもよい。
【0131】
上記の各実施の形態では、ジョイスティック131に対するユーザ操作に応じて、撮像センサ110を、対角方向の左上最大移動位置(左上隅位置)、右上最大移動位置(右上隅位置)、右下最大移動位置(右下隅位置)、左下最大移動位置(左下隅位置)に移動させることが可能な構成を説明した。しかし、本開示では、撮像センサを、対角方向の左上最大移動位置、右上最大移動位置、右下最大移動位置、左下最大移動位置のうちの1から3個の所定あるいは任意の最大移動位置(隅)にのみ移動可能なように構成してもよい。少なくとも一つの最大移動位置に撮像センサ110を移動させれば、ケラレの発生を一定程度認識できるからである。なお、ジョイスティック131に対する操作量(例えばユーザによる傾動操作の継続時間)に応じて、撮像センサ110を左上最大移動位置、右上最大移動位置、右下最大移動位置、左下最大移動位置の間の任意の位置に移動可能としてもよい。
【0132】
上記の実施の形態では、図8の補正範囲設定画面において上向きカーソルZaや下向きカーソルZbにユーザによるタッチ操作が行われると、数値窓Wa内の設定値を変更する例を示したが、これに限定されない。例えば、図24に示すように、ユーザが数値窓Waに対してタッチ操作を行ったときに、選択可能な設定値を一覧表示したプルダウンメニューを表示させるようにしてもよい。図24では、選択可能な設定値として上述した「100%」、「90%」、「80%」、「70%」、「60%」が示されており、いずれかの選択枝にタッチ操作が行われると、カメラコントローラ140は、補正範囲設定の設定値を、タッチ操作が行われた選択枝に対応する設定値に変更する。
【0133】
上記の各実施の形態では、可動量に関連する数値として「100%」、「90%」などの可動量制限率を示す数値を例示した。しかし、可動量に関連する数値は、可動量制限率でなく、可動範囲の直径や半径に対する制限後可動範囲Raの直径や半径の割合を示す数値であってもよい。また、本開示では、数値入力以外の方法で可動量の設定が行われてもよい。例えば補正範囲設定画面に、スライド操作可能なスライダを表示させて、スライドされた位置に応じた可動量制限率などを設定するようにしてもよい。
【0134】
上記の実施の形態では、補正範囲設定画面として、図8に示す画面を示したが、本開示において、補正範囲設定画面は、これに限定されない。図23は、他の実施の形態における補正範囲設定を説明した図である。具体的には、図23(b)に示すように、制限後可動範囲RaをX軸方向とY軸方向とで別々に設定可能としてもよい。この場合、図23(a)に示すように、制限後可動範囲Raは矩形の領域となる。また、X軸方向の制限後可動範囲Raは、撮像センサ110の、X軸方向への最大可動距離Dxに対する、X軸方向への制限後可動距離dxの割合で表現される。Y軸方向の制限後可動範囲Raは、撮像センサ110の、Y軸方向への最大可動距離Dyに対する、制限後駆動距離dyの割合で表現される。このように設定されたとき、カメラコントローラ140は、矩形の制限後可動範囲Raの4個の隅のうち任意のあるいは所定の隅に、撮像センサの移動方向の角が位置するように撮像センサを移動させて、ライブビュー画像を表示させる。これにより、ユーザは、これらの設定値のときに、撮像画像にケラレが生じるか否かを判断できる。このような構成によれば、X軸方向とY軸方向とで手振れ補正の効かせ方を異ならせたいような場合に、任意の設定を行うことができる。これにより、例えば、X方向の可動量を減らし、Y方向の可動量を大きくするようなことが可能となる。これは、撮像センサがセンサ基準位置にあるときのイメージサークルCに対するX方向よりもY方向の隙間量が大きいからである。
【0135】
上記の各実施の形態では、静止画像を撮像する場合について説明したが、本開示は、動画像を撮像する場合にも適用可能である。
【0136】
以上のように、本開示における技術の例示として、実施の形態を説明した。そのために、添付図面及び詳細な説明を提供した。
【0137】
従って、添付図面及び詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0138】
また、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲又はその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略等を行うことができる。
【0139】
(本開示)
上記の実施の形態は下記の構成を開示している。
【0140】
(1)撮像装置(1)は、
交換レンズを介して形成された被写体像を撮像して画像データを生成する撮像センサ(110)と、
撮像センサ(110)を光軸と垂直な面内で移動させることにより像ぶれ補正を行う駆動部(181)と、
像ぶれ補正時における撮像センサの可動量を変更するためのユーザ操作を受け付ける操作部(120)と、
駆動部に、撮像センサを、変更された可動量の範囲内で移動させる制御部(140)と、を備える。
【0141】
(2)(1)において、撮像装置は、画像を表示する表示部(120)をさらに備える。制御部は、可動量を変更するためのユーザ操作を受け付ける受付画像を表示部に表示させる。操作部は、受付画像に基づいてユーザ操作を受け付けるグラフィック・ユーザ・インタフェースにより構成される、
【0142】
(3)(1)または(2)において、操作部は、可動量に関連する数値の入力を受け付ける。
【0143】
(4)(1)において、撮像装置は、画像を表示する表示部をさらに備える。制御部は、操作部に対して可動量を変更するためのユーザ操作があった場合、駆動部に、撮像センサを、変更された可動量でセンサ基準位置を基準として最大限に移動させ、表示部に、最大限に移動させた位置において撮像センサで生成された画像データが示すライブビュー画像を表示させる。
【0144】
(5)(4)において、制御部は、駆動部に、撮像センサを、変更された可動量でセンサ基準位置を基準として撮像センサの対角方向へ最大限に移動させてもよい
【0145】
(6)(4)において、制御部は、駆動部に、撮像センサを、変更された可動量でセンサ基準位置を基準として、撮像センサの対角方向において右上側、左上側、右下側、左下側のうち少なくとも1つの側へ最大限に移動させ、移動させる都度、表示部に、最大限に移動させた位置において撮像センサで生成された画像データが示すライブビュー画像を表示させてもよい。
【0146】
(7)(4)において、撮像装置は、撮像センサを移動させる位置の指定操作を受け付ける第2の操作部(131)をさらに備える。制御部は、第2の操作部で指定操作があったときに、駆動部に、撮像センサを指定された位置に移動させ、表示部に、移動させた位置において撮像センサで生成された画像データが示すライブビュー画像を表示させる。
【0147】
(8)(4)から(7)のいずれかにおいて、制御部は、表示部に、ライブビュー画像に重畳させて、ケラレの発生に関してユーザが注視すべき領域を示す枠(Fa)を表示させてもよい。
【0148】
(9)(1)において、撮像装置は、交換レンズが適応する撮像センサのサイズの設定操作を受け付ける第3の操作部(120)をさらに備る。制御部は、第3の操作部で設定操作があったときに、撮像センサのサイズに応じた大きさのセンサ可動範囲(Ra)を自動で設定してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0149】
本開示の思想は、撮像機能を有する撮像装置(デジタルカメラやカムコーダ、携帯電話、スマートフォン等)に適用することができる。
【符号の説明】
【0150】
1 デジタルカメラ
100 カメラ本体
110 撮像センサ
110a 撮像センサの右下の角
110b 撮像センサの左下の角
110c 撮像センサの右上の角
110d 撮像センサの左上の角
111 ADC
112 TG
120 タッチディスプレイ
130 操作部
131 ジョイスティック
140 カメラコントローラ
141 RAM
142 フラッシュメモリ
150 ボディマウント
160 電源
170 カードスロット
181 センサ駆動部
182 位置センサ
183 BIS処理部
184 ジャイロセンサ
200 交換レンズ
210 ズームレンズ
211 ズームレンズ駆動部
220 OISレンズ
221 OIS駆動部
222 位置センサ
223 OIS処理部
224 ジャイロセンサ
230 フォーカスレンズ
233 フォーカスレンズ駆動部
240 レンズコントローラ
241 RAM
242 フラッシュメモリ
250 レンズマウント
260 絞り
262 絞り駆動部
1000 カメラ情報サーバ
C イメージサークル
Fa 注視枠
Rmax 最大可動範囲
Ra 制限後可動範囲
rmax 最大可動範囲の半径
ra 制限後可動範囲の半径
dmax 最大移動距離(最大可動量)
da 制限後駆動距離(制限後可動量)
V ケラレ
図1
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図5
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