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特許7352893アルミニウム合金製ファスニング部材及びアルミニウム合金製ファスニング部材の製造方法
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  • 特許-アルミニウム合金製ファスニング部材及びアルミニウム合金製ファスニング部材の製造方法 図1
  • 特許-アルミニウム合金製ファスニング部材及びアルミニウム合金製ファスニング部材の製造方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-21
(45)【発行日】2023-09-29
(54)【発明の名称】アルミニウム合金製ファスニング部材及びアルミニウム合金製ファスニング部材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 22/56 20060101AFI20230922BHJP
   A44B 19/00 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
C23C22/56
A44B19/00
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019115616
(22)【出願日】2019-06-21
(65)【公開番号】P2021001373
(43)【公開日】2021-01-07
【審査請求日】2022-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000006828
【氏名又は名称】YKK株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000232656
【氏名又は名称】日本表面化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】瓜田 侑己
(72)【発明者】
【氏名】荻原 敦
(72)【発明者】
【氏名】土田 茂
(72)【発明者】
【氏名】廣見 千賀子
(72)【発明者】
【氏名】荒 亮多
(72)【発明者】
【氏名】長沢 壮平
(72)【発明者】
【氏名】香取 光臣
(72)【発明者】
【氏名】保坂 美沙子
【審査官】▲辻▼ 弘輔
(56)【参考文献】
【文献】特開昭57-093003(JP,A)
【文献】特開2010-090409(JP,A)
【文献】特開2010-090407(JP,A)
【文献】特開平05-295561(JP,A)
【文献】特開平03-094074(JP,A)
【文献】特開昭57-198265(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 22/00-22/86
A44B 19/00-19/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テルルを成分元素として含む化成皮膜を備え、前記化成皮膜は、JIS Z8781-4(2013)にて規定されるCIELAB色空間において、-5≦a*、-3≦b*10、及び、40≦L*≦75の色調範囲を満たすグレー色を呈するアルミニウム合金製ファスニング部材。
【請求項2】
前記化成皮膜は、平均膜厚が0.01~1.00μmである請求項に記載のアルミニウム合金製ファスニング部材。
【請求項3】
前記化成皮膜は、テルル及び/又はテルル化合物を10質量%以上含む請求項1または2に記載のアルミニウム合金製ファスニング部材。
【請求項4】
前記アルミニウム合金は、一般式:AlaSibMgc(a、b、cは質量%で、aは残部、0.1≦b≦1.5、0.2≦c≦5.6、不可避的不純物を含み得る)で示される組成を有する請求項1~のいずれか一項に記載のアルミニウム合金製ファスニング部材。
【請求項5】
前記アルミニウム合金製ファスニング部材は、スライドファスナー用エレメント、スライドファスナー用スライダー、スライドファスナー用止具、又はボタンである請求項1~のいずれか一項に記載のアルミニウム合金製ファスニング部材。
【請求項6】
アルミニウム合金製ファスニング部材を、テルル若しくはテルル化合物、又はこれらの塩を含む金属表面処理液に浸漬することで、前記テルルを成分元素として含む化成皮膜を形成する工程を含む請求項1~のいずれか一項に記載のアルミニウム合金製ファスニング部材の製造方法。
【請求項7】
前記テルル若しくはテルル化合物、又はこれらの塩が、一酸化テルル、二酸化テルル、三酸化テルル、亜テルル酸、テルル酸、四塩化テルル、テルル化ジメチル、若しくはこれらの塩、又はこれらの組み合わせである請求項に記載のアルミニウム合金製ファスニング部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム合金製ファスニング部材及びアルミニウム合金製ファスニング部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アルミニウム合金の着色において、陽極酸化や陽極酸化皮膜に染料を吸着させる方法が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、アルミニウム合金の素地表面に形成した電解発色又は自然発色による発色被膜を、電解着色可能な皮膜構造とした後、電解着色を行って、色を重ね合わせて新たな色調の皮膜を得ることを特徴とするアルミニウム合金の電解着色方法が開示されている。そして、このような構成によれば、従来の電解着色方法では得られない様々な中間色を含む種々の色調を得ることができると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭60-110895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたアルミニウム合金の着色技術では、マロン酸、マレイン酸、シュウ酸、スルホサリチル酸等の有機酸浴中、或いは硫酸にSn、Mn、Co、Cu等の金属塩を添加した浴中で化成した着色被膜が形成されている。また、当該金属塩として、具体的には、実施例において硫酸ニッケルを使用したことが記載されている。
【0006】
このように、従来、種々の金属塩を用いて化成皮膜を形成することで、アルミニウム合金の表面を着色しているが、アルミニウム合金の表面着色技術については更なる開発の余地がある。
【0007】
本発明は、着色皮膜として新規な組成の化成皮膜を有するアルミニウム合金製ファスニング部材及びアルミニウム合金製ファスニング部材の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、テルルを成分元素として含む化成皮膜を形成することで、着色皮膜として新規な組成の化成皮膜を有するアルミニウム合金製ファスニング部材が得られることを見出した。
【0009】
以上の知見を基礎として完成した本発明は一側面において、テルルを成分元素として含む化成皮膜を備えたアルミニウム合金製ファスニング部材である。
【0010】
本発明のアルミニウム合金製ファスニング部材は一実施形態において、前記アルミニウム合金製ファスニング部材の前記化成皮膜は、JIS Z8781-4(2013)にて規定されるCIELAB色空間において、-5≦a*≦10、-3≦b*≦18、及び、0≦L*≦75の色調範囲を満たす。
【0011】
本発明のアルミニウム合金製ファスニング部材は別の一実施形態において、前記アルミニウム合金製ファスニング部材の前記化成皮膜は、さらに、JIS Z8781-4(2013)にて規定されるCIELAB色空間において、-5≦a*≦8、-3≦b*≦10、及び、40≦L*≦75の色調範囲を満たすグレー色を呈する。
【0012】
本発明のアルミニウム合金製ファスニング部材は更に別の一実施形態において、前記化成皮膜は、平均膜厚が0.01~1.00μmである。
【0013】
本発明のアルミニウム合金製ファスニング部材は更に別の一実施形態において、前記化成皮膜は、テルル及び/又はテルル化合物を10質量%以上含む。
【0014】
本発明のアルミニウム合金製ファスニング部材は更に別の一実施形態において、前記アルミニウム合金は、一般式:AlaSibMgc(a、b、cは質量%で、aは残部、0.1≦b≦1.5、0.2≦c≦5.6、不可避的不純物を含み得る)で示される組成を有する。
【0015】
本発明のアルミニウム合金製ファスニング部材は更に別の一実施形態において、前記アルミニウム合金製ファスニング部材は、スライドファスナー用エレメント、スライドファスナー用スライダー、スライドファスナー用止具、又はボタンである。
【0016】
本発明は別の一側面において、アルミニウム合金製ファスニング部材を、テルル若しくはテルル化合物、又はこれらの塩を含む金属表面処理液に浸漬することで、前記テルルを成分元素として含む化成皮膜を形成する工程を含む本発明の実施形態に係るアルミニウム合金製ファスニング部材の製造方法である。
【0017】
本発明のアルミニウム合金製ファスニング部材の製造方法は一実施形態において、前記テルル若しくはテルル化合物、又はこれらの塩が、一酸化テルル、二酸化テルル、三酸化テルル、亜テルル酸、テルル酸、四塩化テルル、テルル化ジメチル、若しくはこれらの塩、又はこれらの組み合わせである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、着色皮膜として新規な組成の化成皮膜を有するアルミニウム合金製ファスニング部材及びアルミニウム合金製ファスニング部材の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係るスライドファスナーの外観模式図である。
図2図1に示されるスライドファスナーのエレメント、上止具及び下止具の製造方法及びファスナーテープの芯部への取付けの仕方を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明のアルミニウム合金製ファスニング部材及びアルミニウム合金製ファスニング部材の製造方法の実施形態について説明するが、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0021】
〔アルミニウム合金製ファスニング部材〕
本発明の実施形態に係るアルミニウム合金製ファスニング部材は、アルミニウム合金で形成されたファスニング部材の表面に、テルルを成分元素として含む化成皮膜を備えている。当該テルルを成分元素として含む化成皮膜が着色皮膜となり、アルミニウム合金で形成されたファスニング部材の表面を着色することができる。
【0022】
<アルミニウム合金>
ファスニング部材の材質であるアルミニウム合金としては、Al-Si-Mg系合金、Al-Cu-Mg系合金、Al-Mn系合金、Al-Si系合金、Al-Mg系合金、又はAl-Zn-Mg系合金等を使用することができる。本発明の実施形態に係るアルミニウム合金製ファスニング部材は、特に、当該アルミニウム合金として、Al-Si-Mg系合金を使用することが好ましく、Al-Mg系合金を使用することがより好ましい。具体的には当該アルミニウム合金が、一般式:AlaSibMgc(a、b、cは質量%で、aは残部、0.1≦b≦1.5、0.2≦c≦5.6、不可避的不純物を含み得る)で示される組成を有するのが好ましい。
【0023】
Siは、Alマトリックス中に一度、固溶させた後、時効熱処理を行うことによりMgと極微小な金属間化合物を形成し、合金の機械的性質(強度、硬度)を向上させる効果がある。Siの組成割合が0.1質量%以上であると、アルミニウム合金の強度、硬度が向上するため好ましい。Siの組成割合が1.5質量%以下であると、Si単体の粗大な析出又は晶出を抑制することができ、塑性変形における伸びが大きくなり加工性を向上させる。Siの組成割合(b)は0.25(質量%)≦b≦0.9(質量%)、すなわち0.25質量%以上0.9質量%以下であるのがより好ましく、0.25質量%以上0.35質量%未満であるのが更により好ましい。
【0024】
Mgは、熱処理を行うことによりSiと極微小な金属間化合物を形成し、合金の機械的性質(強度、硬度)を向上させる効果がある。また、マトリックスであるAl中に固溶することにより合金の機械的性質(強度、硬度)を向上させる効果がある。Mgの組成割合(c)は0.8(質量%)≦c≦5.6(質量%)、すなわち0.8質量%以上5.6質量%以下であるのがより好ましく、4.5質量%以上5.6質量%以下であるのが更により好ましい。適量を添加した場合には、冷間加工後の加熱される工程(水洗・乾燥など)における軟化を防ぐことができる。特に、冷間圧延によって導入された転位の移動を時効熱処理によりAlマトリックス中に析出した原子(Mg)が妨げるため熱処理による強度低下を抑えることができる。
【0025】
不可避的不純物は、原料中に存在したり、製造工程において不可避的に混入したりするもので、本来は不要なものであるが、微量であり、特性に影響を及ぼさないため許容されている不純物のことである。本発明において、不可避的不純物として許容される各不純物元素の含有量は一般に0.1質量%以下であり、好ましくは0.05質量%以下である。
【0026】
<化成皮膜>
本発明の実施形態に係るアルミニウム合金製ファスニング部材の化成皮膜の成分元素として含まれるテルルは、単体のテルル(Te)及び/又はテルル化合物として含まれていてもよい。テルル化合物としては、テルル酸化物であってもよい。化成皮膜におけるテルル及び/又はテルル化合物の含有量は、所望する色調によって適宜調製することができる。通常、化成皮膜におけるテルル及び/又はテルル化合物の含有量を大きくするほど濃い色調となり、小さくするほど薄い色調となる。本発明の実施形態に係るアルミニウム合金製ファスニング部材の化成皮膜は、テルル及び/又はテルル化合物を10質量%以上含んでもよく、10質量%以上100質量%以下含んでもよい。
【0027】
本発明の実施形態に係るアルミニウム合金製ファスニング部材は、化成皮膜が、JIS Z8781-4(2013)にて規定されるCIELAB色空間において、-5≦a*≦10、-3≦b*≦18、及び、0≦L*≦75の色調範囲を満たすことが好ましい。なお、a*はマゼンタ-緑系の色調(+マゼンタ寄り、-は緑寄り)を示す値であり、b*は黄-青系の色調(+は黄寄り、-は青寄り)を示す値である。L*は明度を示し、値が大きいと光沢感が高い。アルミニウム合金で形成されたファスニング部材の表面に、上記色調範囲を満たす化成皮膜を形成することで、幅広い色を得ることができる。
【0028】
本発明の実施形態に係るアルミニウム合金製ファスニング部材は、さらに、化成皮膜が、JIS Z8781-4(2013)にて規定されるCIELAB色空間において-5≦a*≦8、-3≦b*≦10、及び、40≦L*≦75の色調範囲を満たすグレー色を呈することが好ましい。L*は、好ましくは、45≦L*≦73の光度範囲である。
【0029】
本発明の実施形態に係るアルミニウム合金製ファスニング部材の化成皮膜は、JIS Z8781-4(2013)にて規定されるCIELAB色空間において、-5≦a*≦8、-3≦b*≦10、及び、40≦L*≦75の色調範囲を満たすグレー色を呈する領域における平均膜厚が0.01~1.00μmであるのが好ましい。化成皮膜の当該平均膜厚は、以下の方法で評価することができる。まず、化成皮膜の当該グレー色を呈する領域の断面を常法により研磨後、SEM等の電子顕微鏡で観察し、等間隔(例えば、互いに1μmの間隔)に任意の5点を選ぶ。続いて、当該5点における化成皮膜の膜厚を測定し、それらの平均値を算出し、グレー色を呈する領域における平均膜厚とする。化成皮膜の当該平均膜厚が0.01μm未満であると、膜厚が薄いために母材の色が表出してシルバー色を呈してしまう。化成皮膜の当該平均膜厚が0.01μm以上であると、アルミニウム合金製ファスニング部材の表面に所望するグレー色をより確実に着色することができる。化成皮膜の当該平均膜厚が1.00μm以下であると、アルミニウム合金製ファスニング部材の表面に所望するグレー色をより確実に着色しながら化成皮膜の形成に必要なコストを抑えることができる。化成皮膜の当該平均膜厚が1.00μmより大きいと、皮膜が厚いために黒色を呈してしまう。また、アルミニウムとの密着性が悪くなり、皮膜が剥がれてしまう。化成皮膜の当該平均膜厚は、より好ましくは0.1~0.5μmである。
【0030】
本発明の実施形態に係るアルミニウム合金製ファスニング部材は、スライドファスナー用エレメント、スライドファスナー用スライダー、スライドファスナー用止具、又はボタンであってもよい。
【0031】
<スライドファスナー用エレメント、スライドファスナー用スライダー、スライドファスナー用止具、ボタン>
図1に、本発明の実施形態に係るスライドファスナー10の外観模式図を示す。図1に示すスライドファスナー10は、あくまで本発明の一実施形態を示すものであり、当該構成に限定されるものではない。スライドファスナー10は、一側端側に芯部2が形成された一対のファスナーテープ1とファスナーテープ1の芯部2に所定の間隔をおいてかしめ固定(装着)されたエレメント3(スライドファスナー用エレメント)と、エレメント3の上端及び下端でファスナーテープ1の芯部2にかしめ固定された上止具4(スライドファスナー用上止具)及び下止具5(スライドファスナー用下止具)と、対向する一対のエレメント3間に配され、エレメント3の噛合及び開離を行うための上下方向に摺動自在なスライダー6(スライドファスナー用スライダー)を備える。なお、一本のファスナーテープ1の芯部2にエレメント3が装着された状態のものをスライドファスナーストリンガーといい、一対のファスナーテープ1の芯部2に装着されたエレメント3が噛合状態となっているものをスライドファスナーチェーンという。このように、スライドファスナー10のエレメント3、スライダー6、上止具4及び下止具5として本発明の実施形態に係るアルミニウム合金製ファスニング部材を用いることで、スライドファスナーのエレメント、スライダー、及び止具に所望の着色を行うことができ、例えばグレー色を施して美観に優れたスライドファスナーを製造することができる。
【0032】
図2は、図1に示されるスライドファスナーのエレメント3、上止具4及び下止具5の製造方法及びファスナーテープ1の芯部2への取付けの仕方を示す模式図である。図2に示すようにエレメント3は、断面略Y字状からなる金属製異形線8を所定寸法ごとに切断し、これをプレス成形することにより、係合頭部9を形成し、その後、ファスナーテープ1の芯部2へ両方の脚部14を加締めることにより、装着される。上止具4は、断面矩形状の金属製の矩形線11(平角線)を所定寸法ごとに切断し、曲げ加工により略断面コ字状に成形し、その後、ファスナーテープ1の芯部2へ加締めることにより、装着される。下止具5は、断面略X字状からなる金属製異形線12を所定寸法ごとに切断し、その後、ファスナーテープ1の芯部2へ加締めることにより、装着される。なお、図2においては、金属製のエレメント3、上下止具4、5が、同時にファスナーテープ1に装着されるように見えるが、実際は、まず、ファスナーテープ1に所定領域ごと間欠的に金属製のエレメント3を取付けてファスナーストリンガーを作製し、一対のファスナーストリンガーの対向するエレメント列を噛み合わせてファスナーチェーンを作製する。次いで、ファスナーチェーンのエレメント3が取着されていない領域に所定の上下止具4又は5が装着される。
【0033】
本発明の実施形態に係るアルミニウム合金製ファスニング部材はスライドファスナーに用途限定されるわけではなく、スナップファスナー、及び、その他の金属製ファスナー用の部材としても適用可能である。また、本発明の実施形態に係るアルミニウム合金製ファスニング部材がボタンであってもよい。ボタンの形態は特に限定されず、公知のボタンに適用可能である。
【0034】
〔アルミニウム合金製ファスニング部材の製造方法〕
次に、本発明の実施形態に係るアルミニウム合金製ファスニング部材の製造方法について詳述する。まず、テルル若しくはテルル化合物、又はこれらの塩を含む金属表面処理液が入った浴槽を準備する。次に、浴槽中の金属表面処理液の温度を制御しながら、処理対象のアルミニウム合金製ファスニング部材を金属表面処理液に浸漬する。所定時間経過後、浴槽から処理対象の金属を引き上げることで、表面に着色皮膜である化成皮膜が形成され、所望の色調に着色されたアルミニウム合金製ファスニング部材を得る。このように、本発明の実施形態に係るアルミニウム合金製ファスニング部材の製造方法によれば、処理対象のアルミニウム合金製ファスニング部材を、テルル若しくはテルル化合物、又はこれらの塩を含む金属表面処理液に浸漬するだけで、所望の色調に着色することができる。このため、アルミニウム合金製ファスニング部材の表面を着色する際に、当該アルミニウム合金製ファスニング部材の表面に酸化膜を形成しておく必要もなく、電解によって着色する必要もなくなり、処理効率が良好となる。
【0035】
また、本発明の実施形態に係るアルミニウム合金製ファスニング部材の製造方法において、処理対象のアルミニウム合金製ファスニング部材を金属表面処理液に浸漬する以外に、例えば、金属表面処理液の吹き付け工程によって、表面に金属表面処理液を接触させて、アルミニウム合金製ファスニング部材の表面を着色してもよい。
【0036】
<金属表面処理液>
(テルル若しくはテルル化合物、又はこれらの塩)
金属表面処理液におけるテルル若しくはテルル化合物、又はこれらの塩は、一酸化テルル、二酸化テルル、三酸化テルル、亜テルル酸、テルル酸、四塩化テルル、テルル化ジメチル、若しくはこれらの塩、又はこれらの組み合わせであるのが好ましい。一酸化テルル、二酸化テルル、三酸化テルル、亜テルル酸、テルル酸、四塩化テルル、テルル化ジメチルの塩としては、これらの金属塩、又はアンモニウム塩などを用いることができる。
【0037】
金属表面処理液におけるテルル若しくはテルル化合物、又はこれらの塩の合計含有量は、処理対象のアルミニウム合金製ファスニング部材の種類、及び、どのような色調に着色するかによるが、例えば、テルル若しくはテルル化合物、又はこれらの塩の合計含有量は、0.5~100g/Lとすることができる。基本的には、テルル若しくはテルル化合物、又はこれらの塩の合計含有量が少ないほど、アルミニウム合金製ファスニング部材の表面を薄い色調に着色することができる。また、テルル若しくはテルル化合物、又はこれらの塩の合計含有量が多いほど、アルミニウム合金製ファスニング部材の表面を濃い色調に着色することができる。テルル若しくはテルル化合物、又はこれらの塩の合計含有量は、1~50g/Lであることがより好ましく、2~20g/Lであることがより好ましい。
【0038】
金属表面処理液は、後述のように、無機酸若しくはその塩、有機硫黄化合物若しくはその塩、カルボン酸若しくはヒドロキシカルボン酸、又はこれらの塩、オキソ酸若しくはその塩等を含んでもよいが、これらの成分を含まない金属表面処理液の場合、特にアルミニウム合金の表面を、より美観に優れた灰色系の色調に着色することができる。
【0039】
(無機酸若しくはその塩)
金属表面処理液は、更に、無機酸若しくはその塩を含んでもよい。金属表面処理液は、無機酸若しくはその塩を含んでも、良好な処理効率で前述の処理対象のアルミニウム合金製ファスニング部材の表面を所望の色調に着色することができる。
【0040】
無機酸若しくはその塩が、硫酸、硝酸、塩酸、リン酸、若しくはこれらの塩、又はこれらの組み合わせであるのが好ましい。硫酸、硝酸、塩酸、リン酸の塩としては、これらの金属塩、又はアンモニウム塩などを用いることができる。
【0041】
金属表面処理液における無機酸若しくはその塩の合計含有量は、1~200g/Lとすることができる。基本的には、無機酸若しくはその塩の合計含有量が少ないほど、アルミニウム合金製ファスニング部材の表面を薄い色調に着色することができる。また、無機酸若しくはその塩の合計含有量が多いほど、金属表面を濃い色調に着色することができる。無機酸若しくはその塩の合計含有量は、10~150g/Lであることがより好ましく、70~120g/Lであることがより好ましい。
【0042】
(有機硫黄化合物若しくはその塩)
金属表面処理液は、更に、有機硫黄化合物若しくはその塩を含んでもよい。金属表面処理液は、有機硫黄化合物若しくはその塩を含んでも、良好な処理効率で前述の処理対象のアルミニウム合金製ファスニング部材の表面を所望の色調に着色することができる。
【0043】
有機硫黄化合物若しくはその塩が、チオ尿素、二酸化チオ尿素、チオジグリコール、ジメチルチオ尿素、チオリンゴ酸、ジチオジグリコール酸、ジメチルスルホキシド、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、p-フェノールスルホン酸、チオシアン酸、システイン、メチオニン、若しくはこれらの塩、又はこれらの組み合わせであるのが好ましい。チオ尿素、二酸化チオ尿素、チオジグリコール、ジメチルチオ尿素、チオリンゴ酸、ジチオジグリコール酸、ジメチルスルホキシド、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、p-フェノールスルホン酸、チオシアン酸、システイン、メチオニンの塩としては、これらの金属塩、又はアンモニウム塩などを用いることができる。
【0044】
金属表面処理液における有機硫黄化合物若しくはその塩の合計含有量は、0.1~50g/Lとすることができる。基本的には、有機硫黄化合物若しくはその塩の合計含有量が少ないほど、アルミニウム合金製ファスニング部材の表面を薄い色調に着色することができる。また、有機硫黄化合物若しくはその塩の合計含有量が多いほど、アルミニウム合金製ファスニング部材の表面を濃い色調に着色することができる。有機硫黄化合物若しくはその塩の合計含有量は、1~30g/Lであることがより好ましく、5~15g/Lであることがより好ましい。
【0045】
(カルボン酸若しくはヒドロキシカルボン酸、又はこれらの塩)
金属表面処理液は、更に、カルボン酸若しくはヒドロキシカルボン酸、又はこれらの塩を含んでもよい。金属表面処理液は、カルボン酸若しくはヒドロキシカルボン酸、又はこれらの塩を含んでも、良好な処理効率で前述の処理対象のアルミニウム合金製ファスニング部材の表面を所望の色調に着色することができる。
【0046】
カルボン酸若しくはヒドロキシカルボン酸、又はこれらの塩が、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、シュウ酸、グルコン酸、マロン酸、コハク酸、安息香酸、ピルビン酸、グリオキシル酸、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、若しくはこれらの塩、又はこれらの組み合わせであるのが好ましい。ギ酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、シュウ酸、グルコン酸、マロン酸、コハク酸、安息香酸、ピルビン酸、グリオキシル酸、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸の塩としては、これらの金属塩、又はアンモニウム塩などを用いることができる。
【0047】
金属表面処理液におけるカルボン酸若しくはヒドロキシカルボン酸、又はこれらの塩の合計含有量は、0.5~100g/Lとすることができる。基本的には、カルボン酸若しくはヒドロキシカルボン酸、又はこれらの塩の合計含有量が少ないほど、アルミニウム合金製ファスニング部材の表面を濃い色調に着色することができる。また、カルボン酸若しくはヒドロキシカルボン酸、又はこれらの塩の合計含有量が多いほど、アルミニウム合金製ファスニング部材の表面を薄い色調に着色することができる。カルボン酸若しくはヒドロキシカルボン酸、又はこれらの塩の合計含有量は、1~50g/Lであることがより好ましく、10~30g/Lであることがより好ましい。
【0048】
(オキソ酸若しくはその塩)
金属表面処理液は、更に、オキソ酸若しくはその塩を含んでもよい。金属表面処理液は、オキソ酸若しくはその塩を含んでも、良好な処理効率で前述の処理対象のアルミニウム合金製ファスニング部材の表面を所望の色調に着色することができる。
【0049】
オキソ酸若しくはその塩が、過塩素酸、塩素酸、亜塩素酸、次亜塩素酸、臭素酸、炭酸、ホウ酸、若しくはこれらの塩、又はこれらの組み合わせであるのが好ましい。過塩素酸、塩素酸、亜塩素酸、次亜塩素酸、臭素酸、炭酸、ホウ酸の塩としては、これらの金属塩、又はアンモニウム塩などを用いることができる。
【0050】
金属表面処理液におけるオキソ酸若しくはその塩の合計含有量は、0.5~100g/Lとすることができる。基本的には、オキソ酸若しくはその塩の合計含有量が少ないほど、アルミニウム合金製ファスニング部材の表面を薄い色調に着色することができる。また、オキソ酸若しくはその塩の合計含有量が多いほど、アルミニウム合金製ファスニング部材の表面を濃い色調に着色することができる。オキソ酸若しくはその塩の合計含有量は、1~50g/Lであることがより好ましく、10~30g/Lであることがより好ましい。
【0051】
(水性媒体)
金属表面処理液は、前述の各種成分に、水性媒体を混合したものであってもよい。水性媒体は、水を主成分とする媒体を示す。水性媒体としては、例えば、水を主成分とし、水と混和可能なアルコール等の有機溶媒を含む媒体が挙げられる。水性媒体は、本発明の実施形態に係る金属表面処理液の調製の際、金属表面処理液の保存の際、又はアルミニウム合金製ファスニング部材の表面を着色した後において、当該アルミニウム合金製ファスニング部材の着色表面の何らかの特性向上のために有利に作用する各種の成分、又は本発明の効果を実質的に阻害しない各種成分を、必要に応じて含むことができる。例えばpH調整剤、保存安定剤等は、そのような成分の具体例である。
【0052】
<処理温度>
金属表面処理液による処理温度は、10~80℃の範囲が好ましく、10~60℃の範囲がより好ましく、30~60℃の範囲が更により好ましい。処理温度が10℃以上であると表面処理の反応速度が増し、80℃以下であると蒸発による金属表面処理液の液面の低下を抑制することができる。
【0053】
<処理時間>
金属表面処理液による処理時間は、10秒~20分間の範囲が好ましく、30秒~20分間の範囲がより好ましく、1分~10分間の範囲が更により好ましい。基本的には、処理時間が短いほど、アルミニウム合金製ファスニング部材の表面を薄い色調に着色することができる。また、処理時間が長いほど、アルミニウム合金製ファスニング部材の表面を濃い色調に着色することができる。
【0054】
<前処理>
金属表面処理を行う際、あらかじめアルミニウム合金製ファスニング部材の脱脂、活性化、表面調整を行うことで、アルミニウム合金製ファスニング部材の外観、耐食性及び金属表面処理液との反応性を向上させることが可能である。
【0055】
<後処理>
金属表面処理後に、ケイ素、樹脂及びワックスからなる群のうちの一種以上を含有するコーティング剤にて後処理を行っても良い。アルミニウム合金製ファスニング部材の表面の所望の色調に影響を与えない範囲において、これらコーティング剤に特に限定はなく、アクリル樹脂、オレフィン樹脂、アルキド樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フッ素樹脂、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリプロピレン、メタクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリカーボネート等の樹脂類やケイ酸塩、コロイダルシリカ等を成分とするコーティング剤を用いても良い。これらの樹脂濃度は、0.01~800g/Lが好ましいが、適切な濃度は樹脂の種類により異なる。
【実施例
【0056】
以下、本発明の実施例を示すが、これらは本発明をより良く理解するために提供するものであり、本発明が限定されることを意図するものではない。
【0057】
〔アルミニウム合金の着色試験〕
-試験例1-
試験例1のサンプルとして、表1の試験例1に示す合金組成を有するJIS H4040:2015にて規定されるA5056アルミニウム合金製エレメントを取り付けたスライドファスナーチェーンを処理条件毎に準備し、それぞれ12個のエレメントに対して分析を行った。表1はその平均値を示している。ファスナーテープの延在する面における当該アルミニウム合金製エレメントのサイズは、いずれも4.0mm2であった。
次に、サンプルの表面に、脱脂、水洗を順に行った。
次に、亜テルル酸Na:5g/Lの金属表面処理液を入れた浴槽を準備し、pHを10に調製した。金属表面処理液の水性媒体は純水を使用した。
【0058】
次に、浴槽中の金属表面処理液を、40℃、50℃、60℃、70℃、又は80℃に制御した状態で、サンプルを浸漬した。60秒、120秒、150秒、又は180秒浸漬させた後、サンプルを取り出した。
次に、サンプルの表面を水洗し、続いて乾燥した。
【0059】
-試験例2-
試験例2のサンプルとして、国際公開公報2016/157337A1に開示されるような、表1の試験例2に示す合金組成を有するアルミニウム合金製エレメントを取り付けたスライドファスナーチェーンを準備し、そのうちの12個のエレメントに対して分析を行った。表1はその平均値を示している。ファスナーテープの延在する面における当該アルミニウム合金製エレメントのサイズは、いずれも4.0mm2であった。次に、試験例1と同様の金属表面処理液を入れた浴槽を準備し、この浴槽中の金属表面処理液を50℃に制御した状態でサンプルを120秒浸漬させた後、取り出した。
次に、サンプルの表面を水洗し、続いて乾燥した。
【0060】
-試験例3-
試験例3のサンプルとして、表1の試験例3に示す合金組成を有するJIS H4000:2014にて規定されるA5052アルミニウム合金の板材を準備して任意の12点において分析を行った。表1はその平均値を示している。板材表面の金属表面処理液への浸漬部分のサイズは、縦×横=30mm×45mmであった。次に、試験例1と同様の金属表面処理液を入れた浴槽を準備し、この浴槽中の金属表面処理液を50℃に制御した状態でサンプルを120秒浸漬させた後、取り出した。
次に、サンプルの表面を水洗し、続いて乾燥した。
【0061】
〔色調評価〕
試験例1~3の各サンプルについて、処理後のスライドファスナーチェーンのエレメントの一方の面に対して、池上通信機(株)製の色彩色差計RTC-21を用いて、0~40℃、85%RH以下の条件で、JIS Z8781-4(2013)にて規定されるCIELAB色空間におけるa*、b*、及びL*を求めた。光源はLED照明を使用した。
また、試験例1~3の各サンプルの外観を目視で観察し、どのような色に見えるかを評価した。なお、試験例2及び3の母材の外観は、試験例1と類似するシルバー色である。
【0062】
〔化成皮膜の平均膜厚評価〕
各試験用サンプルについて、JIS Z8781-4(2013)にて規定されるCIELAB色空間において、-5≦a*≦8、-3≦b*≦10、及び、40≦L*≦75の色調範囲を満たすグレー色を呈する領域における平均膜厚を以下の方法で評価した。まず、化成皮膜の当該グレー色を呈する領域の断面を常法により研磨後、走査電子顕微鏡(SEM)で観察し、等間隔(互いに0.1μmの間隔)に任意の5点を選んだ。続いて、当該5点における化成皮膜の膜厚を測定し、それらの平均値を算出し、グレー色を呈する領域における平均膜厚とした。
【0063】
〔化成皮膜の成分評価〕
各試験用サンプルについて、化成皮膜における、テルル及び/又はテルル化合物の含有量を以下の方法で評価した。まず、集束イオンビーム(FIB:Focused Ion Beam)加工で薄片に加工後、走査型透過電子顕微鏡(S-TEM:Scanning Transmission Electron Microscope、株式会社日立ハイテクノロジーズ製 HD-2300A、加速電流200kV)のエネルギー分散型X線分析(EDX:Energy dispersive X-ray spectrometry、AMETEK株式会社製 GENESIS)にて組成分析を行った。
各試験例について、試験条件及び評価結果を表1に示す。
【0064】
【表1】
【0065】
〔評価結果〕
試験例1~3のサンプルについて、上記金属表面処理液で処理を行ったものについては、テルルを成分元素として含む化成皮膜を有しており、各サンプルの表面に着色皮膜を形成することができたことが確認された。なお、ここでいうグレーとは、アンティークシルバーとも表現されることがある。
試験例1のサンプルについて、50℃×120秒、60℃×120秒、80℃×180秒の処理条件で得られた化成皮膜に対し、各12点、6点、8点の任意の測定箇所について組成分析を行った結果、テルルの含有率は、それぞれ少なくとも83.7質量%以上、14.0質量%以上、93.1質量%以上であった。残部は、主にアルミニウム及び酸素であり、少量のマグネシウムを含むこともある。
【0066】
〔変形例〕
表1に記載の試験例1~3では、最終成形後のエレメントが取り付けられたスライドファスナーチェーンを処理液に浸漬したため、エレメント全体は目視において同一の色調となった。ところで、異形線材の状態でアルマイト処理をした場合、異形線材の側面にのみアルマイト皮膜が形成されることになり、この異形線材から作製されるエレメントは、脚部にアルマイト皮膜を有し、異形線材の切断後にプレス成形される係合頭部にはアルマイト皮膜が設けられていない。アルマイト皮膜は、アルミニウムを陽極酸化することで形成される蜂の巣状のポーラスな多孔質皮膜に染料や金属塩を吸着させて、封孔処理を行うことで着色するものであるが、本発明の実施形態に係るアルミニウム合金製ファスニング部材に形成された化成皮膜は、アルマイト皮膜上には形成されない特徴がある。そのため、上記アルマイト処理後の異形線材から形成されるエレメントを取り付けたスライドファスナーチェーンに化成処理を施した場合、アルマイト皮膜を有する脚部には化成皮膜が形成されず、アルマイト皮膜を有していない係合頭部には化成皮膜が形成されたエレメントを含むスライドファスナーチェーンが得られた。この時、アルマイト皮膜と化成皮膜を異なる色調とすることで、2色の皮膜を有するエレメントを含む意匠性に富むスライドファスナーチェーンが得られる。
【符号の説明】
【0067】
1 ファスナーテープ
2 芯部
3 エレメント
4 上止具
5 下止具
6 スライダー
10 スライドファスナー
図1
図2