(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-21
(45)【発行日】2023-09-29
(54)【発明の名称】無人航空機の推定位置を修正するためのシステム、方法、プログラム及びプログラムを記憶した記憶媒体
(51)【国際特許分類】
G01C 21/20 20060101AFI20230922BHJP
G05D 1/10 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
G01C21/20
G05D1/10
(21)【出願番号】P 2019223731
(22)【出願日】2019-12-11
【審査請求日】2022-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】515100042
【氏名又は名称】株式会社ACSL
(73)【特許権者】
【識別番号】399041158
【氏名又は名称】西日本電信電話株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】519265251
【氏名又は名称】株式会社ジャパン・インフラ・ウェイマーク
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100151987
【氏名又は名称】谷口 信行
(72)【発明者】
【氏名】井上 翔介
(72)【発明者】
【氏名】ニクラス ベリストロム
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー トーマス ラービ
(72)【発明者】
【氏名】宗 秀哉
(72)【発明者】
【氏名】岸 豊久
【審査官】小林 勝広
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-082441(JP,A)
【文献】国際公開第2015/163107(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64B 1/00- 1/70
B64C 1/00-99/00
B64D 1/00-47/08
B64F 1/00-5/60
B64G 1/00-99/00
G01C 1/00- 1/14、 5/00-15/14、
21/00-21/36、23/00-25/00
G05D 1/00- 1/12
G06T 7/00- 7/90
G06V 10/00-20/90、30/418、
40/16、40/20
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方を撮像可能な撮像装置を備え、前記撮像装置により取得された画像から特徴点を抽出し、該特徴点に基づいて自己位置推定しながら飛行する無人航空機が、橋梁を横断する複数の横断経路の端部を、前記橋梁の側端に沿って延びる連結経路を介して相互に連結して形成された飛行計画経路に基づいて、前記橋梁を前記橋梁の下方から撮像しながら飛行するときに、前記無人航空機の推定位置を修正するシステムであって、
前記連結経路は、前記無人航空機の飛行順に第1の端部、第2の端部を有し、
前記飛行計画経路において、前記第1の端部は、ウェイポイントして設定され、
前記無人航空機が前記横断経路を飛行中に、前記自己位置推定により推定された前記無人航空機の推定位置が前記ウェイポイントに到達する前に、前記特徴点が分布する領域が、前記画像において、第1の所定の程度以上、前記無人航空機の進行方向とは反対側に偏って存在することに対応することを検知したとき、そのときの前記無人航空機の推定位置が、前記ウェイポイントに対応するように、前記無人航空機の推定位置を修正するシステム。
【請求項2】
前記特徴点が分布する領域が、前記画像において、第1の所定の程度以上、前記無人航空機の進行方向とは反対側に偏って存在することに対応することは、前記特徴点が分布する領域の第1の代表点が、前記画像中の前記無人航空機の進行方向とは反対側の第1の領域に入ったことであ
り、前記第1の代表点は、前記特徴点が分布する領域が、前記画像において、前記第1の所定の程度以上、前記無人航空機の進行方向とは反対側に偏って存在することに対応する指標となるものである請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記特徴点が分布する領域の第1の代表点は、抽出された前記特徴点のうちの最も前記無人航空機の進行方向側の点である請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記特徴点が分布する領域が、前記画像において、第1の所定の程度以上、前記無人航空機の進行方向とは反対側に偏って存在することに対応することは、前記特徴点が分布する領域の面積に関するパラメータが、第1の閾値以下であることである請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
上方を撮像可能な撮像装置を備え、前記撮像装置により取得された画像から特徴点を抽出し、該特徴点に基づいて自己位置推定しながら飛行する無人航空機が、橋梁を横断する複数の横断経路の端部を、前記橋梁の側端に沿って延びる連結経路を介して相互に連結して形成された飛行計画経路に基づいて、前記橋梁を前記橋梁の下方から撮像しながら飛行するときに、前記無人航空機の推定位置を修正するシステムであって、
前記連結経路は、前記無人航空機の飛行順に第1の端部、第2の端部を有し、
前記飛行計画経路において、前記第1の端部は、ウェイポイントして設定され、
前記無人航空機が前記横断経路を飛行中に、前記自己位置推定により推定された前記無人航空機の推定位置が前記ウェイポイントに到達したときに、前記特徴点が分布する領域が、前記画像において、第2の所定の程度以上、前記無人航空機の進行方向側に偏って存在することに対応することを検知したとき、前記無人航空機をそのまま進行方向に進ませ、前記特徴点が分布する領域が、前記画像において、第2の所定の程度以上、前記無人航空機の進行方向側に偏って存在しなくなったことに対応することを検知したとき、そのときの前記無人航空機の推定位置が、前記ウェイポイントに対応するように、前記無人航空機の推定位置を修正するシステム。
【請求項6】
前記特徴点が分布する領域が、前記画像において、第2の所定の程度以上、前記無人航空機の進行方向側に偏って存在することに対応することは、前記特徴点が分布する領域の第2の代表点が、前記画像中の前記無人航空機の進行方向側の第2の領域に位置していたことを検知したことであり、
前記特徴点が分布する領域が、前記画像において、第2の所定の程度以上、前記無人航空機の進行方向側に偏って存在しなくなったことに対応することは、前記特徴点が分布する領域の第2の代表点が、前記画像中の前記第2の領域から外れたことを検知したことであ
り、
前記第2の代表点は、前記特徴点が分布する領域が、前記画像において、前記第2の所定の程度以上、前記無人航空機の進行方向側に偏って存在することに対応する指標となるものである請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記特徴点が分布する領域の第2の代表点は、抽出された前記特徴点のうちの最も前記無人航空機の進行方向側の点である請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記特徴点が分布する領域が、前記画像において、第2の所定の程度以上、前記無人航空機の進行方向側に偏って存在することに対応することは、前記特徴点が分布する領域の面積に関するパラメータが、第2の閾値以上であることを検知したことであり、
前記特徴点が分布する領域が、前記画像において、第2の所定の程度以上、前記無人航空機の進行方向側に偏って存在しなくなったことに対応することは、前記特徴点が分布する領域の面積に関するパラメータが、前記第2の閾値よりも小さくなったことを検知したことである請求項5に記載のシステム。
【請求項9】
上方を撮像可能な撮像装置を備え、前記撮像装置により取得された画像から特徴点を抽出し、該特徴点に基づいて自己位置推定しながら飛行する無人航空機が、橋梁を横断する複数の横断経路の端部を、前記橋梁の側端に沿って延びる連結経路を介して相互に連結して形成された飛行計画経路に基づいて、前記橋梁を前記橋梁の下方から撮像しながら飛行するときに、前記無人航空機の推定位置を修正するシステムであって、
前記連結経路は、前記無人航空機の飛行順に第1の端部、第2の端部を有し、
前記飛行計画経路において、前記第1の端部は、ウェイポイントして設定され、
前記無人航空機が前記横断経路を飛行中に、前記自己位置推定により推定された前記無人航空機の推定位置が前記ウェイポイントに到達する前に、前記特徴点が分布する領域が、前記画像において、第1の所定の程度以上、前記無人航空機の進行方向とは反対側に偏って存在することに対応することを検知したとき、そのときの前記無人航空機の推定位置が、前記ウェイポイントに対応するように、前記無人航空機の推定位置を修正し、
前記無人航空機が前記横断経路を飛行中に、前記自己位置推定により推定された前記無人航空機の推定位置が前記ウェイポイントに到達したときに、前記特徴点が分布する領域が、前記画像において、第2の所定の程度以上、前記無人航空機の進行方向側に偏って存在することに対応することを検知したとき、前記無人航空機をそのまま進行方向に進ませ、前記特徴点が分布する領域が、前記画像において、第2の所定の程度以上、前記無人航空機の進行方向側に偏って存在しなくなったことに対応することを検知したとき、そのときの前記無人航空機の推定位置が、前記ウェイポイントに対応するように、前記無人航空機の推定位置を修正するシステム。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載のシステムを搭載した無人航空機。
【請求項11】
上方を撮像可能な撮像装置を備え、前記撮像装置により取得された画像から特徴点を抽出し、該特徴点に基づいて自己位置推定しながら飛行する無人航空機が、橋梁を横断する複数の横断経路の端部を、前記橋梁の側端に沿って延びる連結経路を介して相互に連結して形成された飛行計画経路に基づいて、前記橋梁を前記橋梁の下方から撮像しながら飛行するときに、コンピュータにより実行される前記無人航空機の推定位置を修正する方法であって、
前記連結経路は、前記無人航空機の飛行順に第1の端部、第2の端部を有し、
前記飛行計画経路において、前記第1の端部は、ウェイポイントして設定され、
前記無人航空機が前記横断経路を飛行中に、前記自己位置推定により推定された前記無人航空機の推定位置が前記ウェイポイントに到達する前に、前記特徴点が分布する領域が、前記画像において、第1の所定の程度以上、前記無人航空機の進行方向とは反対側に偏って存在することに対応することを検知したとき、そのときの前記無人航空機の推定位置が、前記ウェイポイントに対応するように、前記無人航空機の推定位置を修正する方法。
【請求項12】
上方を撮像可能な撮像装置を備え、前記撮像装置により取得された画像から特徴点を抽出し、該特徴点に基づいて自己位置推定しながら飛行する無人航空機が、橋梁を横断する複数の横断経路の端部を、前記橋梁の側端に沿って延びる連結経路を介して相互に連結して形成された飛行計画経路に基づいて、前記橋梁を前記橋梁の下方から撮像しながら飛行するときに、コンピュータにより実行される前記無人航空機の推定位置を修正する方法であって、
前記連結経路は、前記無人航空機の飛行順に第1の端部、第2の端部を有し、
前記飛行計画経路において、前記第1の端部は、ウェイポイントして設定され、
前記無人航空機が前記横断経路を飛行中に、前記自己位置推定により推定された前記無人航空機の推定位置が前記ウェイポイントに到達したときに、前記特徴点が分布する領域が、前記画像において、第2の所定の程度以上、前記無人航空機の進行方向側に偏って存在することに対応することを検知したとき、前記無人航空機をそのまま進行方向に進ませ、前記特徴点が分布する領域が、前記画像において、第2の所定の程度以上、前記無人航空機の進行方向側に偏って存在しなくなったことに対応することを検知したとき、そのときの前記無人航空機の推定位置が、前記ウェイポイントに対応するように、前記無人航空機の推定位置を修正する方法。
【請求項13】
上方を撮像可能な撮像装置を備え、前記撮像装置により取得された画像から特徴点を抽出し、該特徴点に基づいて自己位置推定しながら飛行する無人航空機が、橋梁を横断する複数の横断経路の端部を、前記橋梁の側端に沿って延びる連結経路を介して相互に連結して形成された飛行計画経路に基づいて、前記橋梁を前記橋梁の下方から撮像しながら飛行するときに、コンピュータにより実行される前記無人航空機の推定位置を修正する方法であって、
前記連結経路は、前記無人航空機の飛行順に第1の端部、第2の端部を有し、
前記飛行計画経路において、前記第1の端部は、ウェイポイントして設定され、
前記無人航空機が前記横断経路を飛行中に、前記自己位置推定により推定された前記無人航空機の推定位置が前記ウェイポイントに到達する前に、前記特徴点が分布する領域が、前記画像において、第1の所定の程度以上、前記無人航空機の進行方向とは反対側に偏って存在することに対応することを検知したとき、そのときの前記無人航空機の推定位置が、前記ウェイポイントに対応するように、前記無人航空機の推定位置を修正し、
前記無人航空機が前記横断経路を飛行中に、前記自己位置推定により推定された前記無人航空機の推定位置が前記ウェイポイントに到達したときに、前記特徴点が分布する領域が、前記画像において、第2の所定の程度以上、前記無人航空機の進行方向側に偏って存在することに対応することを検知したとき、前記無人航空機をそのまま進行方向に進ませ、前記特徴点が分布する領域が、前記画像において、第2の所定の程度以上、前記無人航空機の進行方向側に偏って存在しなくなったことに対応することを検知したとき、そのときの前記無人航空機の推定位置が、前記ウェイポイントに対応するように、前記無人航空機の推定位置を修正する方法。
【請求項14】
請求項11~13
のいずれか1項に記載の方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項15】
請求項14に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人航空機の推定位置を修正するためのシステム、方法、プログラム及びプログラムを記憶した記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近時ドローンによる建築構造物の点検が試みられている。ドローンは、GPSの衛星測位情報を利用して自己位置を推定し、飛行計画経路に沿って自律飛行することができるが、橋梁の下や建築構造物の周囲などでは、GPSによって正確な位置情報を得ることが難しい。そのため、そのような環境においては、Visual SLAMによる自己位置推定をGPSによる自己位置推定の代替とする技術が提案されている(下記非特許文献1)。ここで、Visual SLAMとは、連続して撮影された画像の複数のフレーム間で複数の特徴点を追跡することにより自己位置とマップの推定を並行して行う技術である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】野波健蔵、「ドローン産業応用のすべて」、オーム社、平成30年2月、p.73-79
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、Visual SLAMによる自己位置推定においては、飛行距離が大きくなるにつれて誤差が累積するため、実際の飛行経路が、飛行計画経路とずれてきてしまう。
【0005】
そこで、本発明は、無人航空機がVisual SLAMによる自己位置推定により自律飛行を行う場合に、無人航空機の推定位置を修正するためのシステム及び方法を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの態様は、上方を撮像可能な撮像装置を備え、前記撮像装置により取得された画像から特徴点を抽出し、該特徴点に基づいて自己位置推定しながら飛行する無人航空機が、橋梁を横断する複数の横断経路の端部を、前記橋梁の側端に沿って延びる連結経路を介して相互に連結して形成された飛行計画経路に基づいて、前記橋梁を前記橋梁の下方から撮像しながら飛行するときに、前記無人航空機の推定位置を修正するシステムであって、前記連結経路は、前記無人航空機の飛行順に第1の端部、第2の端部を有し、前記飛行計画経路において、前記第1の端部は、ウェイポイントして設定され、前記無人航空機が前記横断経路を飛行中に、前記自己位置推定により推定された前記無人航空機の推定位置が前記ウェイポイントに到達する前に、前記特徴点が分布する領域が、前記画像において、第1の所定の程度以上、前記無人航空機の進行方向とは反対側に偏って存在することに対応することを検知したとき、そのときの前記無人航空機の推定位置が、前記ウェイポイントに対応するように、前記無人航空機の推定位置を修正するシステムを提供するものである。
【0007】
前記特徴点が分布する領域が、前記画像において、第1の所定の程度以上、前記無人航空機の進行方向とは反対側に偏って存在することに対応することは、前記特徴点が分布する領域の第1の代表点が、前記画像中の前記無人航空機の進行方向とは反対側の第1の領域に入ったことであるものとすることができる。
【0008】
前記特徴点が分布する領域の第1の代表点は、抽出された前記特徴点のうちの最も前記無人航空機の進行方向側の点であるものとすることができる。
【0009】
前記特徴点が分布する領域が、前記画像において、第1の所定の程度以上、前記無人航空機の進行方向とは反対側に偏って存在することに対応することは、前記特徴点が分布する領域の面積に関するパラメータが、第1の閾値以下であるものとすることができる。
【0010】
本発明の1つの態様は、上方を撮像可能な撮像装置を備え、前記撮像装置により取得された画像から特徴点を抽出し、該特徴点に基づいて自己位置推定しながら飛行する無人航空機が、橋梁を横断する複数の横断経路の端部を、前記橋梁の側端に沿って延びる連結経路を介して相互に連結して形成された飛行計画経路に基づいて、前記橋梁を前記橋梁の下方から撮像しながら飛行するときに、前記無人航空機の推定位置を修正するシステムであって、前記連結経路は、前記無人航空機の飛行順に第1の端部、第2の端部を有し、前記飛行計画経路において、前記第1の端部は、ウェイポイントして設定され、前記無人航空機が前記横断経路を飛行中に、前記自己位置推定により推定された前記無人航空機の推定位置が前記ウェイポイントに到達したときに、前記特徴点が分布する領域が、前記画像において、第2の所定の程度以上、前記無人航空機の進行方向側に偏って存在することに対応することを検知したとき、前記無人航空機をそのまま進行方向に進ませ、前記特徴点が分布する領域が、前記画像において、第2の所定の程度以上、前記無人航空機の進行方向側に偏って存在しなくなったことに対応することを検知したとき、そのときの前記無人航空機の推定位置が、前記ウェイポイントに対応するように、前記無人航空機の推定位置を修正するシステムを提供するものである。
【0011】
前記特徴点が分布する領域が、前記画像において、第2の所定の程度以上、前記無人航空機の進行方向側に偏って存在することに対応することは、前記特徴点が分布する領域の第2の代表点が、前記画像中の前記無人航空機の進行方向側の第2の領域に位置していたことを検知したことであり、前記特徴点が分布する領域が、前記画像において、第2の所定の程度以上、前記無人航空機の進行方向側に偏って存在しなくなったことに対応することは、前記特徴点が分布する領域の第2の代表点が、前記画像中の前記第2の領域から外れたことを検知したことであるものとすることができる。
【0012】
前記特徴点が分布する領域の第2の代表点は、抽出された前記特徴点のうちの最も前記無人航空機の進行方向側の点であるものとすることができる。
【0013】
前記特徴点が分布する領域が、前記画像において、第2の所定の程度以上、前記無人航空機の進行方向側に偏って存在することに対応することは、前記特徴点が分布する領域の面積に関するパラメータが、第2の閾値以上であることを検知したことであり、
前記特徴点が分布する領域が、前記画像において、第2の所定の程度以上、前記無人航空機の進行方向側に偏って存在しなくなったことに対応することは、前記特徴点が分布する領域の面積に関するパラメータが、前記第2の閾値よりも小さくなったことを検知したことであるものとすることができる。
【0014】
本発明の1つの態様は、上方を撮像可能な撮像装置を備え、前記撮像装置により取得された画像から特徴点を抽出し、該特徴点に基づいて自己位置推定しながら飛行する無人航空機が、橋梁を横断する複数の横断経路の端部を、前記橋梁の側端に沿って延びる連結経路を介して相互に連結して形成された飛行計画経路に基づいて、前記橋梁を前記橋梁の下方から撮像しながら飛行するときに、前記無人航空機の推定位置を修正するシステムであって、前記連結経路は、前記無人航空機の飛行順に第1の端部、第2の端部を有し、前記飛行計画経路において、前記第1の端部は、ウェイポイントして設定され、前記無人航空機が前記横断経路を飛行中に、前記自己位置推定により推定された前記無人航空機の推定位置が前記ウェイポイントに到達する前に、前記特徴点が分布する領域が、前記画像において、第1の所定の程度以上、前記無人航空機の進行方向とは反対側に偏って存在することに対応することを検知したとき、そのときの前記無人航空機の推定位置が、前記ウェイポイントに対応するように、前記無人航空機の推定位置を修正し、前記無人航空機が前記横断経路を飛行中に、前記自己位置推定により推定された前記無人航空機の推定位置が前記ウェイポイントに到達したときに、前記特徴点が分布する領域が、前記画像において、第2の所定の程度以上、前記無人航空機の進行方向側に偏って存在することに対応することを検知したとき、前記無人航空機をそのまま進行方向に進ませ、前記特徴点が分布する領域が、前記画像において、第2の所定の程度以上、前記無人航空機の進行方向側に偏って存在しなくなったことに対応することを検知したとき、そのときの前記無人航空機の推定位置が、前記ウェイポイントに対応するように、前記無人航空機の推定位置を修正するシステム。
【0015】
本発明の1つの態様は、前記システムを搭載した無人航空機を提供するものである。
【0016】
本発明の1つの態様は、上方を撮像可能な撮像装置を備え、前記撮像装置により取得された画像から特徴点を抽出し、該特徴点に基づいて自己位置推定しながら飛行する無人航空機が、橋梁を横断する複数の横断経路の端部を、前記橋梁の側端に沿って延びる連結経路を介して相互に連結して形成された飛行計画経路に基づいて、前記橋梁を前記橋梁の下方から撮像しながら飛行するときに、コンピュータにより実行される前記無人航空機の推定位置を修正する方法であって、前記連結経路は、前記無人航空機の飛行順に第1の端部、第2の端部を有し、前記飛行計画経路において、前記第1の端部は、ウェイポイントして設定され、前記無人航空機が前記横断経路を飛行中に、前記自己位置推定により推定された前記無人航空機の推定位置が前記ウェイポイントに到達する前に、前記特徴点が分布する領域が、前記画像において、第1の所定の程度以上、前記無人航空機の進行方向とは反対側に偏って存在することに対応することを検知したとき、そのときの前記無人航空機の推定位置が、前記ウェイポイントに対応するように、前記無人航空機の推定位置を修正する方法を提供するものである。
【0017】
本発明の1つの態様は、上方を撮像可能な撮像装置を備え、前記撮像装置により取得された画像から特徴点を抽出し、該特徴点に基づいて自己位置推定しながら飛行する無人航空機が、橋梁を横断する複数の横断経路の端部を、前記橋梁の側端に沿って延びる連結経路を介して相互に連結して形成された飛行計画経路に基づいて、前記橋梁を前記橋梁の下方から撮像しながら飛行するときに、コンピュータにより実行される前記無人航空機の推定位置を修正する方法であって、前記連結経路は、前記無人航空機の飛行順に第1の端部、第2の端部を有し、前記飛行計画経路において、前記第1の端部は、ウェイポイントして設定され、前記無人航空機が前記横断経路を飛行中に、前記自己位置推定により推定された前記無人航空機の推定位置が前記ウェイポイントに到達したときに、前記特徴点が分布する領域が、前記画像において、第2の所定の程度以上、前記無人航空機の進行方向側に偏って存在することに対応することを検知したとき、前記無人航空機をそのまま進行方向に進ませ、前記特徴点が分布する領域が、前記画像において、第2の所定の程度以上、前記無人航空機の進行方向側に偏って存在しなくなったことに対応することを検知したとき、そのときの前記無人航空機の推定位置が、前記ウェイポイントに対応するように、前記無人航空機の推定位置を修正する方法を提供するものである。
【0018】
本発明の1つの態様は、上方を撮像可能な撮像装置を備え、前記撮像装置により取得された画像から特徴点を抽出し、該特徴点に基づいて自己位置推定しながら飛行する無人航空機が、橋梁を横断する複数の横断経路の端部を、前記橋梁の側端に沿って延びる連結経路を介して相互に連結して形成された飛行計画経路に基づいて、前記橋梁を前記橋梁の下方から撮像しながら飛行するときに、コンピュータにより実行される前記無人航空機の推定位置を修正する方法であって、前記連結経路は、前記無人航空機の飛行順に第1の端部、第2の端部を有し、前記飛行計画経路において、前記第1の端部は、ウェイポイントして設定され、前記無人航空機が前記横断経路を飛行中に、前記自己位置推定により推定された前記無人航空機の推定位置が前記ウェイポイントに到達する前に、前記特徴点が分布する領域が、前記画像において、第1の所定の程度以上、前記無人航空機の進行方向とは反対側に偏って存在することに対応することを検知したとき、そのときの前記無人航空機の推定位置が、前記ウェイポイントに対応するように、前記無人航空機の推定位置を修正し、前記無人航空機が前記横断経路を飛行中に、前記自己位置推定により推定された前記無人航空機の推定位置が前記ウェイポイントに到達したときに、前記特徴点が分布する領域が、前記画像において、第2の所定の程度以上、前記無人航空機の進行方向側に偏って存在することに対応することを検知したとき、前記無人航空機をそのまま進行方向に進ませ、前記特徴点が分布する領域が、前記画像において、第2の所定の程度以上、前記無人航空機の進行方向側に偏って存在しなくなったことに対応することを検知したとき、そのときの前記無人航空機の推定位置が、前記ウェイポイントに対応するように、前記無人航空機の推定位置を修正する方法を提供するものである。
【0019】
本発明の1つの態様は、前記方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを提供するものである。
【0020】
本発明の1つの態様は、前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供するものである。
【発明の効果】
【0021】
上記構成による本発明によれば、無人航空機がVisual SLAMによる自己位置推定により自律飛行を行う場合に、無人航空機の推定位置を修正するためのシステム及び方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の1つの実施形態に係る無人航空機の外観図である。
【
図2】本発明の1つの実施形態に係る無人航空機の全体構成を示す図である。
【
図3】本発明の1つの実施形態に係る推定位置修正システムの機能構成を示す図である。
【
図4】本発明の1つの実施形態に係る推定位置修正システムの推定位置修正処理の例のフローチャートである。
【
図6】
図5の一部を拡大し、無人航空機の位置と特徴点の分布の関係の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。ただし、本発明は以下に説明する具体的態様に限定されるわけではなく、本発明の技術思想の範囲内で種々の態様を取り得る。例えば、本発明の無人航空機は、
図1に示すマルチコプタに限らず、回転翼機、固定翼機等、任意の無人航空機であってもよい。また、無人航空機1のシステム構成も、図に示されるものに限らず同様の動作が可能であれば任意の構成を取ることができる。例えば通信回路の機能を飛行制御部に統合する等、複数の構成要素が実行する動作を単独の構成要素により実行してもよいし、あるいは主演算部の機能を複数の演算部に分散する等、単独の構成要素が実行する動作を複数の構成要素により実行してもよい。また、無人航空機1のメモリ内に記憶される各種データは、それとは別の場所に記憶されていてもよいし、各種メモリに記録される情報も、1種類の情報を複数の種類に分散して記憶してもよいし、複数の種類の情報を1種類にまとめて記憶してもよい。
【0024】
図1は、本実施形態に係る無人航空機(マルチコプタ)1の一例であるマルチコプタの外観図である。無人航空機1は、外観に関しては、制御ユニット101と、制御ユニット101からの制御信号により駆動される6つのモータ102と、各々のモータ102の駆動により回転して揚力を発生させる6つのロータ(回転翼)103と、制御ユニット101と各々のモータ102とを接続する6つのアーム104と、着陸時に無人航空機を支える着陸脚105とを備える。モータ102、ロータ103、及びアーム104の数は、それぞれ、3、4などのような3以上の数とすることもできる。制御ユニット101からの制御信号により6つのモータ102が回転させられ、それにより6つのロータ103の各々の回転数を制御することにより、上昇、下降、前後左右への飛行、旋回等、無人航空機1の飛行が制御される。また、制御ユニット101には台座106が取り付けられており、高解像度で対象物を撮影するための第1のカメラ108が、第1のカメラ108を回転可能に支持する支持部材107を介して台座106に取り付けられている。また、台座106の前方には後述のVisual SLAM処理を行うための対象物の画像を撮影するための第2のカメラ109が真上に向けて取り付けられており、台座106の下側にはVSLAM処理ユニット124が取り付けられている。また、無人航空機1は、飛行位置センサ110、アンテナ117も有している。
【0025】
図2は、
図1に示す無人航空機1の全体構成を示す図である。無人航空機1は、大きく、制御ユニット101、制御ユニット101に電気的に接続されたモータ102、モータ102に機械的に接続されたロータ103、第1のカメラ108、第2のカメラ109、飛行位置センサ110、姿勢センサ111、方位センサ112、高度センサ113、距離センサ115、アンテナ117から構成される。
【0026】
制御ユニット101は、無人航空機1の飛行制御を行うための情報処理や、そのための電気信号の制御を行うための構成であり、典型的には基板上に各種の電子部品を配置して配線することによってそのような機能の実現に必要な回路を構成したユニットである。制御ユニット101は、さらに、情報処理ユニット120、通信回路121、制御信号生成部122、スピードコントローラ123、インターフェイス125から構成される。
【0027】
第1のカメラ108は、高解像度で対象物を撮像するためのカメラである。第1のカメラ108は、第1のカメラ108を回転可能に支持する支持部材107を介して台座106に取り付けられていて、これにより撮像方向を変えることができるようになっている。第1のカメラ108は、無人航空機1の飛行中、それの撮影範囲の画像のデータを取得し、取得された画像は、後述の記憶部221に記憶される。画像は、典型的には一連の静止画像からなる動画の画像である。
【0028】
第2のカメラ109は、後述のVisual SLAM処理を行うための対象物の画像を撮影するためのカメラであり、台座106に真上を向くように取り付けられている。Visual SLAM処理の負荷を低減するために、低解像度での撮像を行う第2のカメラ109が、第1のカメラ108とは別個に設けられている。第2のカメラ109は、無人航空機1の飛行中、それの撮影範囲の画像のデータを取得し、取得された画像は、情報処理ユニット120や後述の記憶部207に記憶される。画像は、典型的には一連の静止画像からなる動画の画像である。
【0029】
飛行位置センサ110は、GPS(Global Positioning System)センサのような無人航空機1の飛行位置の座標を感知するナビゲーションのためのセンサである。飛行位置センサ110は、好適には、三次元的な座標を感知する。飛行位置センサ110は、主として、GPS信号が良好に受信可能な環境下で、無人航空機1が飛行計画経路に沿って飛行する時の位置を制御するために使用される。
【0030】
姿勢センサ111は、例えば6軸ジャイロ(加速度/角速度センサ)のような、無人航空機1の移動と傾きなどを検出するためのセンサであり、無人航空機1の飛行時の姿勢を制御するために使用される。
【0031】
方位センサ112は、例えば磁気センサのような、飛行方向を制御するためのセンサである。
【0032】
高度センサ113は、例えば気圧センサのような、無人航空機1の高度を検出するセンサであり、無人航空機1の飛行高度を制御するために使用される。
【0033】
無人航空機1は、超音波センサのような距離センサを備えていてもよい。距離センサ115は、例えば超音波センサのような、障害物や地面との間の距離を測定し、障害物との衝突を避けたり、対地高度を精密に測定するためのセンサである。
【0034】
アンテナ117は、無人航空機1を操縦したり制御するための情報や各種データを含む無線信号を受信したり、テレメトリ信号を含む無線信号を無人航空機1から送信するための空中線である。
【0035】
通信回路121は、アンテナ117を通じて受信した無線信号から、無人航空機1のための操縦信号、制御信号や各種データなどを復調して情報処理ユニット120に入力したり、無人航空機1から出力されるテレメトリ信号などを搬送する無線信号を生成するための電子回路であり、典型的には無線信号処理ICである。なお、例えば、操縦信号の通信と、制御信号、各種データの通信とを別の周波数帯の異なる通信回路で実行するようにしてもよい。例えば、手動での操縦を行うためのコントローラ(プロポ)の送信器と950MHz帯の周波数で通信し、データ通信を2GHz帯/1.7GHz帯/1.5GHz帯/800MHz帯の周波数で通信するような構成を採ることも可能である。
【0036】
制御信号生成部122は、情報処理ユニット120によって演算により得られた制御指令値データを、電圧を表わすパルス信号(PWM信号など)に変換する構成であり、典型的には、発振回路とスイッチング回路を含むICである。スピードコントローラ123は、制御信号生成部122からのパルス信号を、モータ102を駆動する駆動電圧に変換する構成であり、典型的には、平滑回路とアナログ増幅器である。図示していないが、無人航空機1は、リチウムポリマーバッテリやリチウムイオンバッテリ等のバッテリデバイスや各要素への配電系を含む電源系を備えている。
【0037】
VSLAM処理ユニット124は、本発明の推定位置修正システムの一例となるもので、CPU124a、RAM124b、ROM124c、外部メモリ124d、インターフェイス124gを含む。RAM124b、ROM124c、外部メモリ124d、インターフェイス124eは、システムバス124fを介して、CPU124aに接続されている。VSLAM処理ユニット124は、GPUを備えていてもよい。
【0038】
後述の
図3に示される推定位置修正システム2の各部は、ROM124cや外部メモリ124dに記憶された各種プログラムが、CPU124a、RAM124b、ROM124c、外部メモリ124d、インターフェイス124e等を資源として使用することで実現される。
【0039】
Visual SLAMについては、MonoSLAMやPTAM(Parallel Tracking and Mapping等、さまざまなアルゴリズムが開発されている。VSLAM処理ユニット124がそのようなアルゴリズムを実装したプログラムを実行することにより、第2のカメラ109からの画像信号を用いてVisual SLAMによる自己位置推定とマップ作成を行い、これにより推定された自己位置(無人航空機1の周囲に存在する要素に対する無人航空機1の相対位置)や速度(位置の時間微分により求められる。)、姿勢(撮影した画像における複数の特徴点の配置から幾何学計算により求められる。)等、無人航空機1の状態を表す量を決定する。これらの量を示す信号は情報処理ユニット120へと出力され、そして情報処理ユニット120は、VSLAM処理ユニット124から入力される情報を利用する。またVSLAM処理ユニット124が推定したマップ情報も情報処理ユニット120へと出力され、記録装置に記録される。なお、第2のカメラ109としては単眼カメラではなく、ステレオカメラを用いてもよく、この場合も同様の原理でVisual SLAMによる自己位置等の推定が可能である。
【0040】
インターフェイス125は、情報処理ユニット120、飛行位置センサ110、姿勢センサ111、方位センサ112、高度センサ113、距離センサ115などの機能要素との間で信号の送受信ができるように信号の形態を変換することにより、それらを電気的に接続する構成である。なお、説明の都合上、図面においてインターフェイスは1つの構成として記載しているが、接続対象の機能要素の種類によって別のインターフェイスを使用することが通常である。また、接続対象の機能要素が入出力する信号の種類によってはインターフェイス125が不要な場合もある。また、
図2において、インターフェイス125が媒介せずに接続されている情報処理ユニット120であっても、接続対象の機能要素が入出力する信号の種類によってはインターフェイスが必要となる場合もある。
【0041】
情報処理ユニット120は、CPU、RAM、ROM、外部メモリ、システムバスを含む。RAM、ROM、外部メモリ、通信回路121、制御信号生成部122、インターフェイス125は、システムバスを介して、CPUに接続されている。
【0042】
情報処理ユニット120は、操作者からの操縦信号(非自律飛行時)や飛行計画経路データ(自律飛行時)などに基づいて無人航空機1の飛行を適切に制御する。具体的には、飛行制御用の各種センサやVSLAM処理ユニット124から得られる情報により無人航空機1の姿勢、速度等を判断し、飛行位置センサ107から得られる情報により無人航空機1の現在の飛行位置などを判断し、操縦信号、飛行計画経路、速度制限、高度制限等の目標値と比較することにより情報処理ユニット120で各ロータ103に対する制御指令値を演算し、制御指令値を示すデータを制御信号生成部122に出力する。制御信号生成部122は、その制御指令値を電圧を表わすパルス信号に変換して各スピードコントローラ123に送信する。各スピードコントローラ123は、そのパルス信号を駆動電圧へと変換して各モータ102に印加し、これにより各モータ102の駆動を制御して各ロータ103の回転数を制御することにより無人航空機1の飛行が制御される。
【0043】
ここで、飛行計画経路データは、無人航空機1の三次元(緯度、経度、高度)の飛行計画経路を表すデータであり、典型的には、飛行計画経路上に存在する一連の複数のウェイポイントの集合のデータである。飛行計画経路は、典型的には、それらの複数のウェイポイントを順番に結んだ直線の集合であるが、ウェイポイントの所定範囲内においては所定の曲率の曲線とすることもできる。好適には、飛行計画経路の特定のウェイポイントの近傍に目標位置が存在すると良い。そのウェイポイントには、それを通過後に目標位置に向かう旨の情報が付加される。そのウェイポイントは、飛行計画経路の終点(折り返し点)とすることもできる。なお、あるウェイポイントを目標位置とすることもできる。この場合、そのウェイポイントのデータには、それが目標位置である旨の情報が付加される。飛行計画経路データは、複数のウェイポイントにおける飛行速度を定めるデータを含んでいてもよい。飛行計画経路データは、典型的には自律飛行において飛行計画経路を定めるために使用されるが、非自律飛行において飛行時のガイド用として使用することもできる。飛行計画経路データは、典型的には、飛行前に無人航空機1に入力されて記憶される。
【0044】
図3は、本発明の1つの実施形態に係る推定位置修正システムの機能構成を示す図である。修正位置修正システム2は、VSLAM部201、特徴点領域パラメータ算出部203、推定位置修正部205、記憶部207を備える。
【0045】
VSLAM部201は、第2のカメラ109が撮像した画像の画像データを取得し、取得した画像データから橋梁3に関する特徴点を検出し、検出された特徴点に基づいて、自己位置の推定とマップの作成を行う。
【0046】
特徴点分布領域パラメータ算出部203は、検出された特徴点が分布する領域に関するパラメータを算出する。検出された特徴点が分布する領域に関するパラメータは、例えば、検出された特徴点のうちの最も無人航空機の進行方向側の点、検出された特徴点が分布する領域の面積等、任意の適切な特徴点に関するパラメータとすることができる。
【0047】
推定位置修正部205は、算出された特徴点が分布する領域に関するパラメータが、所定の条件を満たす場合に、推定位置を修正する。すなわち、無人航空機1が後述の横断経路を飛行中に、自己位置推定により推定された無人航空機の推定位置がウェイポイントに到達する前に、特徴点が分布する領域が、画像において、第1の所定の程度以上、無人航空機の進行方向とは反対側に偏って存在することに対応することを検知したとき、そのときの無人航空機の推定位置が、ウェイポイントに対応するように、推定位置を修正する。また、無人航空機が横断経路を飛行中に、自己位置推定により推定された無人航空機の推定位置がウェイポイントに到達したときに、特徴点が分布する領域が、画像において、第2の所定の程度以上、無人航空機1の進行方向側に偏って存在することに対応することを検知したとき、無人航空機をそのまま進行方向に進ませ、特徴点が分布する領域が、画像において、第2の所定の程度以上、無人航空機1の進行方向側に偏って存在しなくなったことに対応することを検知したとき、そのときの無人航空機の推定位置が、前記ウェイポイントに対応するように、推定位置を修正する。
【0048】
記憶部207は、各種データや各種プログラムを記憶する。
【0049】
以上のシステム構成を前提に、本発明の1つの実施形態に係る推定位置修正システムの推定位置修正処理の例を
図1~6を参照して、以下に説明する。本実施形態では、橋梁の下側を撮像して点検を行う場合を例として説明する。
【0050】
図4は、本発明の1つの実施形態に係る推定位置修正システムの推定位置修正処理の例のフローチャートである。
図5は、飛行計画経路の一例を示す図である。
図6は、
図5の一部を拡大し、無人航空機の位置と特徴点の分布の関係の一例を示す図である。
【0051】
無人航空機1の飛行前の事前準備として、適切な飛行計画経路を作成し、飛行計画経路上に存在する一連の複数のウェイポイントの集合を飛行計画経路データとして情報処理ユニット120に記憶させておく。飛行計画経路データは、それぞれのウェイポイントにおける高度あるいは対地高度の情報を含むこともできる。無人航空機1の飛行計画経路データを情報処理ユニット120に記憶させる際には、それらを無線信号で無人航空機1に送信し、アンテナ117及び通信回路121を経由して情報処理ユニット120に読み込ませると好適である。無人航空機1が他の適当なインターフェイスを有している場合、そのインターフェイスを経由して無人航空機1の情報処理ユニット120に読み込ませてもよい。
【0052】
図5は、飛行計画経路RTの一部の一例を示す図である。橋梁3の長手方向に直交する方向に延びる横断経路T1、T2、T3、・・・と橋梁3の側縁31との交点がウェイポイントP1、P2、P3、・・・として設定され、横断経路T1、T2、T3、・・・が橋梁3の側縁31に沿って延びる連結経路J1、J2、J3、・・・を介して連結されている。隣接する横断経路間の間隔は、第1のカメラ108の撮影幅に基づいて、隣接する横断経路での撮影幅のオーバラップ量を考慮して決定される。また、ウェイポイントの高度は、橋梁3から所定の距離だけ下方とされる。連結経路は、必ずしも橋梁の側縁上にある必要はなく、橋梁の側縁に沿っていればよい。
【0053】
飛行前の事前準備が完了すると、情報処理ユニット120により飛行計画経路に沿った自律飛行制御が行われる。すなわち、情報処理ユニット120は、情報処理ユニット120から飛行計画経路データを読み出し、それによって定められる飛行計画経路に沿って目標位置に飛行するように無人航空機1を制御する。具体的には、飛行計画経路データで定められるウェイポイントをその順番に経由して飛行するように無人航空機1の飛行方向及び高度を制御する。飛行計画経路は好適には目標となる飛行速度のデータを含んでおり、無人航空機1は、その飛行速度で飛行計画経路に沿って飛行するように制御される。なお、情報処理ユニット120は、飛行時に、ユーザからの手動の操作を受け付けて非自律飛行を実行させることができる。この場合、飛行計画経路はガイド用として使用することになり、例えば、手動の操作が終了したときに無人航空機1を飛行計画経路上に復帰させることなどができる。
【0054】
VSLAM部201は、飛行中に、第2のカメラ109が橋梁3の下方から橋梁3を撮像した画像の画像データを取得し、取得した画像データから橋梁3に関する特徴点を検出し、検出された特徴点に基づいて、自己位置の推定とマップの作成を行う(S101)。
【0055】
特徴点分布領域パラメータ算出部205は、検出された特徴点が分布する領域に関するパラメータである、検出された特徴点のうちの最も機体の進行方向側の点Ctを算出する(S103)。
【0056】
推定位置修正部205は、算出された検出された特徴点のうちの最も機体の進行方向側の点が、所定の条件を満たす場合に、推定位置を修正する。
【0057】
図6は、
図5の一部を拡大し、無人航空機の位置と特徴点の分布の関係の一例を示す図である。無人航空機1が橋梁3の下を飛行しているとき(例えば
図6のA点)、上方を撮像可能な第2のカメラ109により取得された画像Iには、画像全体に橋梁3が撮像されているので、検出される特徴点C、Ctは、
図6の(I)に示されるように、取得された画像全体に分布する。一方、無人航空機1が橋梁の側縁31付近に達すると(例えば
図6のB点)、第2のカメラ109により取得された画像Iの、無人航空機1の進行方向とは反対側には橋梁3が撮像され、無人航空機1の進行方向側には空が撮像されるので、検出される特徴点C、Ctは、
図6の(II)に示されるように、取得された画像Iの、無人航空機1の進行方向とは反対側の領域に分布し、取得された画像Iの無人航空機1の進行方向側には特徴点C、Ctが分布しない。すなわち、取得された画像Iにおいて、特徴点C、Ctが分布する領域は、所定の程度、無人航空機1の進行方向とは反対側に偏って存在する。
【0058】
したがって、この特徴点の分布を利用して、横断経路を飛行しているときに、検出された特徴点C、Ctが取得された画像I全体に分布している場合は、無人航空機1は橋梁3の下を飛行しており、特徴点C、Ctが分布する領域が、所定の程度、無人航空機1の進行方向とは反対側に偏って存在する場合は、無人航空機1は橋梁3の側縁31付近、すなわち次のウェイポイント付近を飛行していると判断することができる。
【0059】
一方、Visual SLAMによる自己位置推定においては、飛行距離が大きくなるにつれて誤差が累積するが、正の誤差が累積すると、実際の自己位置が次のウェイポイントに到達しても、推定された自己位置がウェイポイントにまだ到達していないという状態が生じ、負の誤差が累積すると、推定された自己位置が飛行計画経路上のウェイポイントに到達したとき、実際の自己位置は、ウェイポイントの手前となるという状態が生じる。
【0060】
そこで、推定位置修正部207は、横断経路(例えばT2)を飛行中に、VSLAM部203が推定した自己位置がウェイポイント(例えばP3)に到達する前に(S105)、特徴点領域の第1の代表点である、ステップS103で算出された検出された特徴点Cのうちの最も機体の進行方向側の点Ctが、取得された画像I中の第1の領域である、画像中央から無人航空機1の進行方向とは反対側の領域R1に入ったことを検知した場合(
図6の(III))(S107)、そのときの無人航空機1の推定位置をウェイポイント(例えばP3)の位置に修正する(S113)。推定位置の修正は、ウェイポイントそのものの位置ではなく、ウェイポイント近辺の任意の適切なウェイポイントに対応する位置に修正してもよい。
【0061】
また、推定位置修正部205は、横断経路(例えばT2)を飛行中に、VSLAM部201が推定した自己位置がウェイポイント(例えばP3)に到達したときに、ステップS103で算出された検出された特徴点Cのうちの最も機体の進行方向側の点Ctが、取得された画像中の第2の領域である、画像中央から無人航空機1の進行方向側の領域R2に位置していたことを検知した場合(
図6の(I)、(II))(S109)、進行方向を変えることなくそのままの進行方向に無人航空機1を進めるように制御信号生成部122に指示を与え(S111)、特徴点領域の第2の代表点である、ステップS103で算出された検出された特徴点Cのうちの最も機体の進行方向側の点Ctが、取得された画像I中の第2の領域である、画像中央から無人航空機1の進行方向側の領域R2から外れたことを検知した場合(
図6の(III))(S109)、そのときの無人航空機1の推定位置をウェイポイント(例えばP3)の位置に修正する(S113)。
【0062】
上記実施形態においては、抽出された特徴点が分布する領域に関するパラメータが、抽出された特徴点のうちの最も機体の進行方向側の点である例を説明したが、抽出された特徴点が分布する領域に関するパラメータは、これに限定されるものではなく、特徴点が分布する領域が、画像において、所定の程度以上、無人航空機の進行方向側又は進行方向とは反対側に偏って存在することに対応する指標となる任意の適切なパラメータとすることができる。
【0063】
このようなパラメータとして、例えば、抽出された特徴点が分布する領域の面積に関するパラメータを考えることができる。すなわち、
図6の(I)~(III)を参照して、無人航空機が横断経路を飛行しているときは、画像の進行方向側のみに特徴点が分布する領域が存在することはないから、例えば、特徴点が分布する領域の面積、ないしは画像の全領域の面積に対する特徴点が分布する領域の面積の割合といった特徴点が分布する領域の面積に関するパラメータが小さいほど、特徴点が分布する領域が、無人航空機の進行方向とは反対側に偏って存在する程度が大きくなる。したがって、この場合、無人航空機が横断経路を飛行中に、自己位置推定により推定された無人航空機の推定位置がウェイポイントに到達する前に、特徴点が分布する領域の面積に関するパラメータが、第1の閾値以下であることを検知したとき、そのときの無人航空機の推定位置が、ウェイポイントに対応するように、無人航空機の推定位置を修正し、無人航空機が横断経路を飛行中に、自己位置推定により推定された無人航空機の推定位置がウェイポイントに到達したときに、特徴点が分布する領域の面積に関するパラメータが、第2の閾値以上であることを検知したとき、無人航空機をそのまま進行方向に進ませ、特徴点が分布する領域の面積に関するパラメータが、第2の閾値よりも小さくなったことを検知したとき、そのときの無人航空機の推定位置が、ウェイポイントに対応するように、無人航空機の推定位置を修正する構成とすればよい。
【0064】
また、上記実施形態においては、抽出された特徴点が分布する領域に関するパラメータが、抽出された特徴点のうちの最も無人航空機の進行方向側の点を用いたが、特徴点が分布する領域の重心や、抽出された特徴点のうちの複数の最も無人航空機の進行方向側の点を加重平均した点等、他の任意の適切な特徴点が分布する領域の代表点を用いることもできる。
【0065】
また、上記実施形態においては、第1の代表点と第2の代表点が同じであったが、両者は異なっていてもよい。
【0066】
また、上記実施形態においては、第1の領域として、画像中央から無人航空機1の進行方向とは反対側の領域を、第2の領域として、画像中央から無人航空機1の進行方向側の領域を用いたが、これに限定されるものではなく、他の任意の適切な領域を用いることができる。
【0067】
また、上記実施形態においては、横断経路は、橋梁の長手方向に直交する方向に延びる経路としたが、これに限定されるものではなく、他の任意の適切な方向とすることができ、また横断経路毎に異なる方向とすることができる。また、横断経路は、直線経路でなく、曲線経路であってもよい。
【0068】
本実施形態によれば、Visual SLAMにより推定される自己位置に累積する誤差を、所定のタイミングで修正することができる。
【0069】
Visual SLAMによる自己位置推定において、負の誤差が累積すると、推定された自己位置が飛行計画経路上のウェイポイントに到達したとき、実際の自己位置は、ウェイポイントの手前となるので、ウェイポイントで折り返すと、橋梁の端部側に点検されない部分が残ってしまうが、本実施形態によれば、無人航空機1を橋梁の端部まで進めるので、点検されない部分を残さないようにすることができる。
【0070】
また、Visual SLAMによる自己位置推定において、正の誤差が累積すると、実際の自己位置がウェイポイントに到達しても、推定された自己位置がウェイポイントにまだ到達していないので、機体はそのまま進行方向に進む。そのため、機体は橋梁下の外にはみ出してしまうため、撮像された画像には空しか写らず、特徴点を検出することができないため、方向を見失ってしまい、自律飛行ができなくなってしまうが、本実施形態によれば、そのような方向を見失うことを防止することができる。
【0071】
以上、本発明について、例示のためにいくつかの実施形態に関して説明してきたが、本発明はこれに限定されるものでなく、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、形態及び詳細について、様々な変形及び修正を行うことができることは、当業者に明らかであろう。
【符号の説明】
【0072】
1 無人航空機
101 制御ユニット
102 モータ
103 ロータ
104 アーム
105 着陸脚
106 台座
107 支持部材
108 第1のカメラ
109 第2のカメラ
110 飛行位置センサ
111 姿勢センサ
112 方位センサ
113 高度センサ
115 距離センサ
117 アンテナ
120 情報処理ユニット
121 通信回路
122 制御信号生成部
123 スピードコントローラ
124 VSLAMユニット
124a CPU
124b RAM
124c ROM
124d 外部メモリ
124e インターフェイス
124f システムバス
125 インターフェイス
2 推定位置修正システム
201 VSLAM部
203 特徴点領域パラメータ算出部
205 推定位置修正部
207 記憶部
3 橋梁
31 側縁
RT 飛行計画経路
T1、T2、T3 横断経路
J1、J2、J3 連結経路
P1、P2、P3 ウェイポイント
I 画像
C 特徴点
Ct 最も機体の進行方向側の特徴点
CA 特徴点領域
R1 第1の領域
R2 第2の領域