(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-21
(45)【発行日】2023-09-29
(54)【発明の名称】ガラス板の折割機械
(51)【国際特許分類】
C03B 33/033 20060101AFI20230922BHJP
C03B 33/037 20060101ALI20230922BHJP
C03B 33/03 20060101ALI20230922BHJP
B28D 7/04 20060101ALI20230922BHJP
B28D 5/00 20060101ALI20230922BHJP
B26F 3/00 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
C03B33/033
C03B33/037
C03B33/03
B28D7/04
B28D5/00 Z
B26F3/00 A
(21)【出願番号】P 2019103737
(22)【出願日】2019-06-03
(62)【分割の表示】P 2018562266の分割
【原出願日】2018-07-31
【審査請求日】2021-07-26
(31)【優先権主張番号】P 2017149541
(32)【優先日】2017-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000174220
【氏名又は名称】坂東機工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108442
【氏名又は名称】小林 義孝
(72)【発明者】
【氏名】坂東 和明
【審査官】本多 仁
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-217475(JP,A)
【文献】特許第4449084(JP,B2)
【文献】特開2006-117518(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B 33/03
B26F 3/00
B28D 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
切り線が形成されたガラス板が載置される可撓性部材と、この可撓性部材を介してガラ ス板を支持する支持面を有した支持機構と、当該可撓性部材を介してガラス板を当該ガラス板の下面から受けるガラス板受け面を有しているガラス板受け装置と、このガラス板受け装置を移動させる第一の移動装置と、切り線が形成されたガラス板を切り線に沿って押し割る押し面を有している押し割り装置と、この押し割り装置を移動させる第二の移動装置とを具有しており、第一の移動装置は、ガラス板に対する押し面による押し割りに際して、平面視でガラス板の切り線で囲まれる領域外の位置にガラス板受け面が配置されるように、ガラス板受け装置を移動させるようになっており、第二の移動装置は、ガラス板に対する押し面による押し割りに際して、ガラス板受け面に対応して平面視でガラス板の切り線で囲まれる領域外の位置に押し面が配置されるように、押し割り装置を移動させるようになっており、
ガラス板受け装置は、押し割り装置の押し面によるガラス板の切り線に沿っての押し割りおいて、押し面のガラス板の押し付け予定面への押し付け前に、ガラス板の切り線と押し面によるガラス板への押し付け予定面との間のガラス板に切り線を起点とした上方に向かった撓みを生じさせるように、ガラス板受け面を上昇させるガラス板受け面の昇降手段を具備しており、押し面によるガラス板の切り線に沿う押し割りは、
押し面のガラス板の押し付け予定面への押し付け前に、支持機構の支持面よりも上方に配されたガラス板受け面で
ガラス板の切り線と押し面によるガラス板への押し付け予定面との間のガラス板に切り線を起点とした上方に
向かった撓
みを生じさせた状態でガラス板の切り線で囲まれる領域外のガラス板に対して行われるようになっているガラス板の折割機械。
【請求項2】
第一の移動装置は、ガラス板の面に平行な面内で、ガラス板受け面を一の方向とこの一の方向に交差する他の方向とに移動させる移動機構を具有している請求項1に記載のガラス板の折割機械。
【請求項3】
第二の移動装置は、ガラス板の面に平行な面内で、押し面を一の方向とこの一の方向に交差する他の方向とに移動させる移動機構を具有している請求項1又は2に記載のガラス板の折割機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス板の折割機械に関する。
【背景技術】
【0002】
押し割り装置を、無端ベルト上に載置されたガラス板の面に平行な面内で、当該ガラス板に形成された折割線に沿って移動させる一方、無端ベルトの下方でガラス板受け装置を押し割り装置の移動に対応させて移動させるようにしたガラス板の折割機械は、知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
斯かるガラス板の折割機械では、切り線に沿ったガラス板に対する押し割りに際しては、一般に、ガラス板受け装置のガラス板受け面を折割線で囲まれる領域内においてガラス板の下面に配置し、斯かる領域内に配置されたガラス板受け面で下面が支持されたガラス板の上面に対して折割線で囲まれる領域外で押棒を押し当てて、ガラス板を折割線に沿って押し割って折割っているために、押し割り後に次の押し割り位置にガラス板受け面を移動させる際に、押し割り後の折割カレットをガラス板受け面が押上げる場合があり、斯かる折割カレットの押上げが生じると、当該折割カレットが押し割後の製品としてのガラス板の折割面に衝突して、折割面で製品としてのガラス板に欠け等が生じる虞が有る。
【0005】
本発明は、前記諸点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、押し割り後の製品としてのガラス板の折割面に欠け等を生じさせないガラス板の折割機械を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるガラス板の折割機械は、切り線が形成されたガラス板が載置される可撓性部材と、この可撓性部材を介してガラス板を当該ガラス板の下面の中央部で支持する支持面を有した支持機構と、当該可撓性部材を介してガラス板を当該ガラス板の下面から受けるガラス板受け面を有していると共に可撓性部材の下方に配されたガラス板受け装置と、このガラス板受け装置を移動させる第一の移動装置と、切り線が形成されたガラス板を切り線に沿って押し割る押し面を有していると共に可撓性部材の上方に配された押し割り装置と、この押し割り装置を移動させる第二の移動装置とを具有しており、第一の移動装置は、ガラス板に対する押し面による押し割りに際して、平面視でガラス板の切り線で囲まれる領域外の位置にガラス板受け面が配置されるように、ガラス板受け装置を移動させるようになっており、第二の移動装置は、ガラス板に対する押し面による押し割りに際して、ガラス板受け面に対応して平面視でガラス板の切り線で囲まれる領域外の位置に押し面が配置されるように、押し割り装置を移動させるようになっており、押し面によるガラス板の切り線に沿う押し割りは、支持機構の支持面よりも上方に配されたガラス板受け面で撓まされたガラス板の切り線で囲まれる領域外のガラス板に対して行われるようになっている。
【0007】
斯かる本発明のガラス板の折割機械によれば、押し面によるガラス板の切り線に沿う押し割りは、支持機構の支持面よりも上方に配されたガラス板受け面で撓まされたガラス板の切り線で囲まれる領域外のガラス板に対して行われるようになっている結果、折割カレットと押し割り後の製品としてのガラス板の折割面との衝突を回避でき、押し割り後の製品としてのガラス板の折割面に欠け等が発生することをなくし得る。
【0008】
本発明による好ましい例では、ガラス板受け装置は、押し割り装置の押し面によるガラス板の切り線に沿っての押し割りおいて、押し面のガラス板の押し付け予定面への押し付け前に、ガラス板の切り線と押し面によるガラス板への押し付け予定面との間のガラス板に撓みを生じさせるように、ガラス板受け面を可撓性部材に向って移動させるガラス板受け面の昇降手段を具備していてもよく、本発明において、ガラス板受け面は、押し面によるガラス板の切り線に沿う押し割りに拘わらず、常時、支持機構の支持面よりも上方に配されていてもよいのであるが、斯かる昇降手段を具備していると、ガラス板の切り線に沿っての押し割りおいて、ガラス板に上方に向かう撓みを生じさせることができる結果、ガラス板の上方に配された押し割り装置の押し面によるガラス板の切り線に沿っての押し割りを確実に行い得る上に、ガラス板受け面の可撓性部材への不必要な押圧を回避でき、可撓性部材の損傷を低減できる。ガラス板受け面の支持機構の支持面よりも上方に配される量又は昇降手段によるガラス板受け面の可撓性部材に向かう移動量は、ガラス板の大きさ、厚み、折り割り幅(カレット幅)等により決定され、好ましい例では、1mmから5mm程度であるが、これに限定されない。
【0009】
本発明において、好ましい例では、第一の移動装置は、ガラス板の面に平行な面内で、ガラス板受け面を一の方向とこの一の方向に交差する他の方向とに移動させる移動機構を具有しており、第二の移動装置は、ガラス板の面に平行な面内で、押し面を一の方向とこの一の方向に交差する他の方向とに移動させる移動機構を具有している。
【0010】
本発明の更に他の好ましい例では、可撓性部材は、無端ベルトを具有しており、ガラス板の折割機械は、無端ベルトに張力を与える手段及び無端ベルトを走行させる走行手段を具有している。
【0011】
本発明において、ガラス板受け面は、好ましい例では、端切り線を含む切り線の形成におけるカッタホイールとの関連で、可撓性部材を介してガラス板の下面を受ける平坦面を具有しているが、斯かる平坦面は、外形が円形、楕円形又は三角形以上の多角形であってもよい。
【0012】
一方、本発明において、押し面は、好ましい例では、ガラス板の上面を押圧できる平坦面を具有している。
【0013】
本発明の折割機械によって折割られるべきガラス板としては、一般の建造物用窓ガラス板、家具用ガラス板及び例えばフロントガラス、リアーガラス若しくはサイドガラス等の自動車用ガラス板並びにコンピュータ及び携帯電話機等の表示画面用のガラス板を例示することができるが、その他のガラス板をも含み得る。
【0014】
本発明における可撓性部材としては、可撓性の無端部材である可撓性の無端ベルトを好ましい例として挙げることができるが、その他、可撓性の有端シートであってもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、押し割り後の製品としてのガラス板の折割面に欠け等を生じさせないガラス板の折割機械を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の好ましい一具体例の側面説明図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す具体例において無端ベルト及び支持部材等を一部破断した平面説明図である。
【
図4】
図4は、
図1に示す具体例においてガラス板受け装置の詳細側面説明図である。
【
図5】
図5は、
図1に示す具体例においてガラス板受け装置の詳細平面説明図である。
【
図6】
図6は、
図1に示す具体例においてガラス板受け装置の動作説明図である。
【
図7】
図7は、
図1に示す具体例における押し割り装置の詳細側面図である。
【
図13】
図13は、
図1に示す具体例における押し割り装置の変形例の説明図である。
【
図14】
図14は、
図1に示す具体例におけるガラス板受け面の変形例の説明図である。
【
図15】
図15は、
図1に示す具体例におけるガラス板受け面の他の変形例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を、図面に示す具体例に基づいて更に詳細に説明する。これにより前記発明及び更に他の発明が明瞭となるであろう。尚、本発明はこれら具体例に何等限定されないのである。
【0018】
図1から
図7において、本例のガラス板の折割機械1は、ガラス板2が載置される可撓性部材としての可撓性の無端ベルト3と、無端ベルト3の上側部の周囲を、その下面側から支持する支持部材4と、夫々が、支持部材4により囲まれた領域5内において無端ベルト3を介してガラス板2を、当該ガラス板2の下面から受けるガラス板受け面6及び6aを有していると共に無端ベルト3の上側部の下方に配された複数、本例では2機のガラス板受け装置7及び7aと、夫々が、ガラス板受け面6及び6aの夫々を有したガラス板受け装置7及び7aの夫々を、ガラス板2の面に平行な面内、本例では水平面内での一の方向であるX方向とX方向に交差する他の方向、本例ではX方向と直交するY方向とに移動させる移動装置8及び8aと、無端ベルト3の上側部の上方に配された複数、本例では2機の押し割り装置9及び9aと、夫々が、押し割り装置9及び9aの夫々を、水平面内で一の方向であるX方向とX方向に交差する他の方向、本例ではX方向と直交するY方向とに移動させる移動装置10及び10aと、折割前のガラス板2を支持部材4により囲まれた領域5内に搬入し、折割後のガラス板2を支持部材4により囲まれた領域5外に搬出する搬入、搬出手段11と、無端ベルト3に張力を与える張力付与手段12と、無端ベルト3をX方向においてA方向に走行させる走行装置13と、無端ベルト3を介してガラス板2を当該ガラス板2の下面の中央部で支持する支持面としての上面51を有した支持機構15と、フレーム16とを具有している。
【0019】
ガラス板受け装置7及び7aの夫々、移動装置8及び8aの夫々、押し割り装置9及び9aの夫々並びに移動装置10及び10aの夫々は、夫々同一に構成されているので、以下では特に必要な場合を除いて、ガラス板受け装置7、移動装置8、押し割り装置9及び移動装置10についてのみ説明し、対応するものには同じ数字符号にaを付して図示のみする。
【0020】
無端ベルト3は、駆動ドラム17及び従動ドラム18並びに自由回転ドラム19及び20に掛け回されている。
【0021】
中空角材からなる支持部材4は、フレーム16のブラケット21及び中間基台22を介してフレーム16の基台23に支持されている。支持部材4は、中空角材に代えて、板状部材からなっていてもよく、要は、無端ベルト3の上側部をその下面側から支持して、無端ベルト3の上側部が極端に垂れ下がらないようにできればよく、したがって、無端ベルト3に所望に張力を付与できて、無端ベルト3の上側部が極端に垂れ下がらないようできれば、支持部材4を省いてもよい。また、本例のように、騒動ドラム17及び従動ドラム18が設けられる場合には、駆動ドラム17及び従動ドラム18を支持部材4の一部として機能させて、支持部材4において駆動ドラム17及び従動ドラム18と平行に伸びる部位を省いてもよい。
【0022】
ガラス板受け装置7は、無端ベルト3の上側部の下面に接触しているガラス板受け面6を1mmから5mm程度上昇させる一方、当該上昇後、ガラス板受け面6を元の位置に下降させるガラス板受け面6の昇降手段27と、ガラス板受け面6が一端面に形成されている可動受け部材28と、可動受け部材28が上下方向に移動自在に取り付けられた支持部材29と、支持部材29が取り付けられた基台30とを具有しており、昇降手段27は、支持部材29を移動自在に貫通していると共に可動受け部材28に連結されたピストンロッドを有して支持部材29に取り付けられたシリンダ装置35を具有しており、シリンダ装置35は、エアシリンダからなってもよいが、油圧シリンダでもよく、その作動で、ピストンロッドを介して可動受け部材28を昇降させるようになっている。
【0023】
円形の外側輪郭線31を有すると共にガラス板2の下面に平行に伸びた平坦なガラス板受け面6は、昇降手段27により上昇されない場合には、支持機構15の上面51及び支持部材4の支持面としての上面52と平行であって、当該上面51及び上面52と同一高さ又は1mmから5mm程度高く配されている。
【0024】
移動装置8は、X方向移動機構55とY方向移動機構56とからなる。
【0025】
X方向移動機構55は、ガラス板受け装置7の基台30が取り付けられたX方向の直線移動台57と、横部材58に取付けられた電動モータ59と、横部材58に軸受60及び61を介して回転自在に支持されたねじ軸62と、電動モータ59の出力回転軸の回転をねじ軸62に伝達するように、電動モータ59の出力回転軸及びねじ軸62の一端に固着されたプーリ63及び64並びにプーリ63及び64間に掛け渡されたベルト65と、ねじ軸62に螺合して、直線移動台57の下面に取付けられて固着されたナット(図示せず)と、横部材58に形成された一対のレール66と、一対のレール66に摺動自在に嵌合して、直線移動台57の下面に取り付けられて固着されたスライダ67とを具有している。
【0026】
直線移動台57は、電動モータ59の作動によるその出力回転軸の回転でプーリ63及び64並びにベルト65を介してねじ軸62が回転されると、一対のレール66に案内されてX方向に直線移動されるようになっている。
【0027】
Y方向移動機構56は、X方向移動機構55とほぼ同様に構成されており、Y方向の直線移動台としての横部材58と、中間基台22上に支持部材70及びブラケット21等を介して固定して取り付けられた横部材71と、横部材71に取付けられた電動モータ72と、横部材71に軸受73及び74を介して回転自在に支持されたねじ軸75と、電動モータ72の出力回転軸の回転をねじ軸75に伝達するように、電動モータ72の出力回転軸及びねじ軸75の一端に固着されたプーリ76及び77並びにプーリ76及び77間に掛け渡されたベルト78と、ねじ軸75に螺合して、横部材58の下面に取付けられて固着されたナット(図示せず)と、横部材71に形成された一対のレール79と、一対のレール79に摺動自在に嵌合して、横部材58の下面に取り付けられて固着されたスライダ80とを具有している。
【0028】
横部材58は、電動モータ72の作動によるその出力回転軸の回転でプーリ76及び77並びにベルト78を介してねじ軸75が回転されると、一対のレール79に案内されてY方向に直線移動されるようになっており、而して、横部材58のY方向の直線移動により、直線移動台57は、同じく、Y方向に直線移動されるようになっている。
【0029】
押し割り装置9は、エアーシリンダ装置85と、エアーシリンダ装置85のピストンロッド86に取付けられて、平坦な押し面87をその下面に有した押し棒88と、エアーシリンダ装置89と、エアーシリンダ装置89のピストンロッド90にベアリング機構91を介して取付けられており、先端にカッタホイール92を有したカッタブロック93と、電動モータ94と、電動モータ94の出力回転軸に取り付けられたプーリ又は歯車95と、エアーシリンダ装置89の外筒96にブラケット97を介して取り付けられたベアリング機構98と、ベアリング機構98に取り付けられたプーリ又は歯車99と、歯車95と歯車99との間に掛け渡されたタイミングベルト又はチェーン100と、歯車99に取り付けられていると共に、スリット101が形成された係合部材102と、一端部がスリット101に配されて、他端部がカッタブロック93に取付けられた係合片103と、エアーシリンダ装置85及び89並びに電動モータ94が取り付けられた基台104とを具有している。
【0030】
押し割り装置9では、エアーシリンダ装置85の作動でピストンロッド86が伸縮されると、押し棒88は上下方向、即ちZ方向に移動され、エアーシリンダ装置89の作動でピストンロッド90が伸縮されると、カッタホイール92はZ方向に移動され、電動モータ94の作動による歯車95の回転でチェーン100を介して歯車99が回転されると、係合部材102及び係合部材102にスリット101で係合する係合片103もピストンロッド90の軸心105を中心としてR方向に回転され、この回転でカッタホイール92は同じく軸心105を中心としてR方向に回転され、その刃先が切り線形成方向に向けられる。
【0031】
移動装置10は、X方向移動機構110とY方向移動機構111とからなる。
【0032】
X方向移動機構110は、押し割り装置9の基台104が取り付けられたX方向の直線移動台112と、横部材113に取付けられた電動モータ114と、横部材113に軸受115及び116を介して回転自在に支持されたねじ軸117と、電動モータ114の出力回転軸の回転をねじ軸117に伝達するように、電動モータ114の出力回転軸及びねじ軸117の一端に固着されたプーリ118及び119並びにプーリ118及び119間に掛け渡されたベルト120と、ねじ軸117に螺合して、直線移動台112の下面に取付けられて固着されたナット(図示せず)と、横部材113に形成された一対のレール121と、一対のレール121に摺動自在に嵌合して、直線移動台112の下面に取り付けられて固着されたスライダ122とを具有している。
【0033】
直線移動台112は、電動モータ114の作動によるその出力回転軸の回転でプーリ118及び119並びにベルト120を介してねじ軸117が回転されると、一対のレール121に案内されてX方向に直線移動されるようになっている。
【0034】
Y方向移動機構111は、X方向移動機構110とほぼ同様に構成されており、Y方向の直線移動台としての横部材113と、フレーム16の上枠132にブラケット133等を介して固定して取り付けられた横部材134と、横部材134に取付けられた電動モータ135と、横部材134に軸受(図示せず)を介して回転自在に支持されたねじ軸136と、電動モータ135の出力回転軸の回転をねじ軸136に伝達するように、電動モータ135の出力回転軸及びねじ軸136の一端に固着されたプーリ137及び138並びにプーリ137及び138間に掛け渡されたベルト139と、ねじ軸136に螺合して、横部材113の上面に取付けられて固着されたナット140と、横部材134に取り付けられた一対のレール141と、一対のレール141に摺動自在に嵌合して、横部材113の上面に取り付けられて固着されたスライダ(図示せず)とを具有している。横部材113は、当該スライダを介してY方向に移動自在に吊り下げ支持されている。
【0035】
横部材113は、電動モータ135の作動によるその出力回転軸の回転でプーリ137及び138並びにベルト139を介してねじ軸136が回転されると、一対のレール141に案内されてY方向に直線移動されるようになっており、而して、横部材113のY方向の直線移動により、直線移動台112は、同じく、Y方向に直線移動されるようになっている。
【0036】
搬入、搬出手段11は、ベルト3上に載置されて折割が完了したガラス板2を持上げ、折割中にベルト3上に載置されたガラス板2をベルト3を介して支持機構15と協同して挟持してベルト3上に固定する持上げ機構151と、ベルト3上に折割すべきガラス板を載置する持上げ機構152と、一対の持上げ装置151及び152をY方向に往復動させる往復動機構153とを具有している。
【0037】
持上げ機構151は、可動台155に取付けられたエアーシリンダ装置156と、エアーシリンダ装置156のピストンロッド157の先端に取付けられた真空吸盤装置158とを具有しており、エアーシリンダ装置156の作動でそのピストンロッド157がZ方向に進退されると、真空吸盤装置158は、ベルト3上に載置されたガラス板2を持上げ、またベルト3上に載置されたガラス板2をベルト3を介して支持機構15と協同して挟持してベルト3上に固定する。
【0038】
持上げ機構152は、持上げ機構151と同様に形成されており、持上げ機構151と共通の可動台155に取付けられたエアーシリンダ装置161と、エアーシリンダ装置161のピストンロッド162の先端に取付けられた真空吸盤装置163とを具有しており、エアーシリンダ装置161の作動でそのピストンロッド162がZ方向に下降されると、真空吸盤装置163は、吸引しているガラス板2をベルト3上に載置する。
【0039】
往復動機構153は、可動台155と、フレーム16の上枠165に取付けられた電動モータ166と、フレーム16の上枠132に軸受167を介して回転自在に支持されたねじ軸168と、電動モータ166の出力回転軸の回転をねじ軸168に伝達するように、電動モータ166の出力回転軸及びねじ軸168の一端に固着されたプーリ169及び170並びにプーリ169及び170間に掛け渡されたベルト171と、ねじ軸168に螺合して、可動台155の上面に取付けられて固着されたナット172と、上枠132に形成された一対のレール173と、一対のレール173に摺動自在に嵌合して、可動台155の上面に取り付けられて固着されたスライダ174とを具有している。
【0040】
スライダ174を介して上枠132にY方向に移動自在に吊り下げ支持されている可動台155は、電動モータ166の作動によるその出力回転軸の回転でプーリ169及び170並びにベルト171を介してねじ軸168が回転されると、一対のレール173に案内されてY方向に直線往復移動されるようになっている。
【0041】
搬入、搬出手段11は、往復動機構153の作動により持上げ装置151及び152をY方向に直線往復移動させ、この直線往復移動において、持上げ装置152により、入り側の搬送装置181に載置されている折割前のガラス板2を持ち上げて、これを支持部材4に囲まれた領域5内に搬入して、無端ベルト3の上側部の上面に載置し、持上げ装置151により、無端ベルト3の上側部の上面に載置された折割後のガラス板2を支持部材4に囲まれた領域5外に搬出して、これを出側の搬送装置182に載置する。
【0042】
張力付与手段12は、ブラケット21に支持された一対のエアーシリンダ装置185及び186を具有しており、エアーシリンダ装置185のピストンロッドは、自由回転ドラム19を回転自在に支持しており、エアーシリンダ装置186のピストンロッドは、自由回転ドラム20を回転自在に支持している。
【0043】
張力付与手段12は、エアーシリンダ装置185及び186の空気弾性力により自由回転ドラム19及び20を介して無端ベルト3に張力を付与しており、これにより無端ベルト3が緊張されるようになっている。駆動ドラム17、従動ドラム18、自由回転ドラム19及び20の位置調整により無端ベルト3を所望に緊張させることができる場合には、張力付与手段12を設けなくてもよい。
【0044】
走行装置13は、基台23に取付けられた電動モータ191と、前記の駆動ドラム17及び従動ドラム18と、自由回転ドラム19及び20と、電動モータ191の出力回転軸の回転を駆動ドラム17の回転軸に伝達するように、電動モータ191の出力回転軸及び駆動ドラム17の回転軸に取り付けられたプーリ192及び193並びにプーリ192及び193に掛け回されたベルト194とを具有しており、駆動ドラム17及び従動ドラム18は夫々、中間基台22に支持されたフレーム195及び196に回転自在に取付けられている。
【0045】
走行装置13は、電動モータ191が作動されてその出力回転軸が回転されると、プーリ192、ベルト194、プーリ193を介して駆動ドラム17を回転させ、駆動ドラム17の回転でベルト3は例えばA方向に走行され、これによりベルト3は、ベルト3上で折り割られたカレットをA方向に搬送して排出する。
【0046】
支持機構15は、矩形状の受け板201と、受け板201を支持する支柱202とを具有しており、支柱202は、横部材203を介してブラケット21に支持されている。
【0047】
支持機構15は、受け板201の上面51で無端ベルト3を介して、当該無端ベルト3上に載置されたガラス板2を下から支持すると共に真空吸盤装置158と協同して当該ガラス板2を挟持してこれをベルト3上に固定する。
【0048】
入り側の搬送装置181は、折割すべきガラス板2が載置される無端ベルト211と、無端ベルト211を走行させる走行装置(図示せず)とを具有しており、折割すべきガラス板2を、走行装置の作動に基づく無端ベルト211の走行により所定位置まで正確に搬入する。
【0049】
出側の搬送装置182は、折り割られたガラス板2が載置される無端ベルト212と、無端ベルト212を走行させる走行装置(図示せず)とを具有しており、折り割られたガラス板2を、走行装置の作動に基づく無端ベルト212の走行により次の処理工程、例えば折割縁を研削、研磨する工程に搬送する。
【0050】
ガラス板の折割機械1は、その他にマイクロコンピュータ等からなる制御装置を具有しており、制御装置は、電動モータ並びにエアーシリンダ装置並びに真空吸引装置等の作動を、予めプログラムされた数値制御命令を介して制御する。このような制御装置自体は公知であるので、それの詳細な説明は省略する。
【0051】
ガラス板の折割機械1は、次のようにしてガラス板2に対して折割作業を行う。
【0052】
まず、切り線として予め折割予定線(主切り線)221が付されていると共に矩形の外縁を有したガラス板2が無端ベルト211により正確な位置に配される。尚、このような折割予定線221は本例のガラス板の折割機械1によって形成するようにしてもよい。
【0053】
一つの折割完了において、エアーシリンダ装置156及び161の作動により既に下降されている真空吸盤装置158及び163の夫々を作動させて、真空吸盤装置158により無端ベルト3上のすでに折割されたガラス板2を、真空吸盤装置163により無端ベルト211上の次に折り割るべきガラス板2を夫々吸引して、その後、エアーシリンダ装置156及び161を作動させて、真空吸盤装置158により無端ベルト3上の折割されたガラス板2を、真空吸盤装置163により無端ベルト211上の折り割るべきガラス板2を持ち上げる。
【0054】
持ち上げ後、往復動機構153の電動モータ166を作動させて可動台155を往動させ、真空吸盤装置158により持ち上げられた既に折割されたガラス板2を支持部材4により囲まれた領域5外であって、無端ベルト212上に搬出し、真空吸盤装置163に持ち上げられたこれから折り割るべきガラス板2を無端ベルト3上であって支持部材4により囲まれた領域5内に搬入する。
【0055】
この搬出、搬入動作中において、ガラス板2が持上げられた状態で、電動モータ191が作動され、これにより無端ベルト3がA方向に走行されると、無端ベルト3の上側部上に残っている折割カレットが無端ベルト3の走行と共にA方向に搬送されて排出される。折割カレットの排出後、電動モータ191の作動が停止されて、無端ベルト3のA方向の走行が停止される。
【0056】
搬出、搬入後、エアーシリンダ装置156及び161を再作動させて、真空吸盤装置158及び163を下降させて、真空吸盤装置158及び163の所定位置への下降後、真空吸盤装置158及び163の吸引動作を停止させて、真空吸盤装置158により無端ベルト212上に折割されたガラス板2を、真空吸盤装置163により無端ベルト3上にこれから折り割るべきガラス板2を載置する。その後、エアーシリンダ装置156及び161を逆作動させて、真空吸盤装置158及び163を上昇させて、更に、往復動機構153の電動モータ166を逆作動させて可動台155を復動させ、真空吸盤装置163を無端ベルト211上に、真空吸盤装置158を無端ベルト3上に移動させる。
【0057】
真空吸盤装置158及び163の往復動中に、無端ベルト211の作動により、次に折割されるべきガラス板2が所定位置に搬入される。
【0058】
真空吸盤装置158及び163がもとの位置に復帰されると、エアーシリンダ装置156及び161を再作動させて、真空吸盤装置158及び163を下降させて、真空吸盤装置158及び163の所定位置への下降により、エアーシリンダ装置156に基づく空気弾性力をもって真空吸盤装置158により無端ベルト3の上側部上に載置されたガラス板2を当該無端ベルト3に押圧して、同じくエアーシリンダ装置161に基づく空気弾性力をもって真空吸盤装置163により無端ベルト211上に載置されたガラス板2を当該無端ベルト211に押圧する。
【0059】
これにより無端ベルト3上の上側部に載置されたガラス板2は、その中央部で無端ベルト3を間にして真空吸盤装置158と受け板201とに挟持されて、しっかりと無端ベルト3の上側部上に保持、固定されることになる。
【0060】
その後、電動モータ59及び59a並びに72及び72aを作動させてガラス板受け装置7及び7aをX及びY方向に移動させてガラス受け面6及び6aがカッタホイール92及び92aの下に配置されるようにすると共に、電動モータ114及び114a並びに135及び135aを作動させて押し割り装置9及び9aをX及びY方向に移動させてカッタホイール92及び92aを、折割予定線221を始点として放射方向に移動させる。カッタホイール92及び92aが折割予定線221から移動する際に同時にエアーシリンダ装置89及び89aを作動させてカッタホイール92及び92aをガラス板2に当接させ、これによりカッタホイール92及び92aでもって切り線としてのガラス板2に端切り線(補助切り線)222を形成する。
【0061】
端切り線222の形成中は、端切り線形成方向にカッタホイール92及び92aの刃先を向けるべく、電動モータ94及び94aを作動させる。また端切り線形成中は、押し棒88及び88aは、ガラス板2に当接することなく、上昇されている。
【0062】
こうして一つの端切り線222が形成されると、押し割り装置9及び9a並びにガラス板受け装置7及び7aは次の端切り線形成位置まで移動され、カッタホイール92及び92aは領域5内で端切り線形成を夫々行う。端切り線形成中には、ガラス板受け面6及び6aがカッタホイール92及び92aの押圧力をガラス板2及びベルト3を介して受けるようにカッタホイール92及び92aの移動に対応してガラス板受け装置7及び7aは移動される。
【0063】
端切り線形成が終了すると、次にエアーシリンダ装置89及び89aを作動させてカッタホイール92及び92aを上昇させてカッタホイール92及び92aとガラス板2との当接を解除する。
【0064】
そして、
図8に示すように、ガラス板2の切り線である折割予定線221で囲まれる領域B外の位置であって平面視でガラス板受け面6及び6aの外側輪郭線31がガラス板2の折割予定線221に外接する位置にガラス板受け面6及び6aを配置するように電動モータ59及び59a並びに72及び72aを作動させてガラス板受け装置7及び7aをX及びY方向に移動させると共に同じく電動モータ114及び114a並びに135及び135aを作動させて押し割り装置9及び9aをX及びY方向に移動させて押し棒88及び88aの押し面87及び87aの夫々をガラス板受け面6及び6aの夫々の上方に配置する。
【0065】
図8に示すように、ガラス板受け面6aと押し面87aとが夫々Z方向において対面した状態で、
図6に示すように、シリンダ装置35及び35aを作動させ、可動受け部材28及び28aを介してガラス板受け面6及び6aを1mmから5mm程度上昇させ、ガラス板受け面6及び6aの夫々に対応すると共にガラス板2の折割予定線221と押し面87及び87aの夫々によるガラス板2への押し付け予定面との間のガラス板2に略折割予定線221を起点とした上方に向かった撓みを生じさせ、斯かる撓みを生じさせた状態で、エアーシリンダ装置85及び85aを作動させて押し棒88及び88aを下降させてこれを折割予定線221で囲まれる領域B外のガラス板2に当接させて、ガラス板2を折割予定線221に沿って押し割り、領域B外のガラス板2であって端切り線222間のガラス板2を領域B内のガラス板2から押し割り、押し割り後のガラス板受け面6及び6aの下降と押し棒88及び88aの上昇とによるガラス板受け面6及び6a並びに押し面87及び87aの元の位置への復帰と共に、領域B外のガラス板2を折割カレットとして無端ベルト3のA方向の走行で排出し、以上の動作を端切り線222間の各押し付け予定面で行う。
【0066】
以上の押し割りが終了して、折割予定線211に沿って折り割られたガラス板2が得られると、以上の動作が繰り返される。
【0067】
切り線としての折割予定線221が形成されたガラス板2が載置される可撓性部材としての無端ベルト211と、無端ベルト211を介してガラス板2を当該ガラス板2の下面から支持する支持機構15と、無端ベルト211を介してガラス板2を当該ガラス板2の下面から受けるガラス板受け装置7及び7aと、ガラス板受け装置7及び7aの夫々を移動させる移動装置8及び8aと、ガラス板2を当該ガラス板2の上面から押し付けて折割予定線221に沿って押し割る押し割り装置9及び9aと、押し割り装置9及び9aの夫々を移動させる移動装置10及び10aとを具有しており、移動装置8及び8aの夫々は、ガラス板2に対する押し割り装置9及び9aによる押し割りに際して、平面視でガラス板2の折割予定線221で囲まれる領域外の位置で無端ベルト211を介してガラス板2を当該ガラス板2の下面から受けられるように、ガラス板受け装置7及び7aの夫々を移動させるようになっており、移動装置10及び10aの夫々は、ガラス板2に対する押し割り装置9及び9aによる押し割りに際して、ガラス板受け装置7及び7aの夫々の移動に対応して平面視でガラス板2の折割予定線221で囲まれる領域外の位置でガラス板2を当該ガラス板2の上面から押し付けられるように、押し割り装置9及び9aの夫々を移動させるようになっているガラス板2の折割機械1では、即ち、より具体的には、折割予定線221及び端切り線222が形成されたガラス板2が載置される無端ベルト3と、無端ベルト3を介してガラス板2を当該ガラス板2の下面の中央部で支持する上面51を有した支持機構15と、当該無端ベルト3を介してガラス板2を当該ガラス板2の下面から受けるガラス板受け面6及び6aを有していると共に無端ベルト3の下方に配されたガラス板受け装置7及び7aと、ガラス板受け装置7及び7aを移動させる移動装置8及び8aと、折割予定線221及び端切り線222が形成されたガラス板2を当該折割予定線221及び端切り線222に沿って押し割る押し面87及び87bを有していると共に無端ベルト3の上方に配された押し割り装置9及び9aと、押し割り装置9及び9aを移動させる移動装置10及び10aとを具有しており、移動装置8及び8aの夫々は、ガラス板2に対する押し面87及び87aの夫々による押し割りに際して、平面視でガラス板2の折割予定線221で囲まれる領域B外の位置にガラス板受け面6及び6aの夫々が配置されるように、ガラス板受け装置7及び7aの夫々を移動させるようになっており、移動装置10及び10aの夫々は、ガラス板2に対する押し面87及び87aの夫々による押し割りに際して、ガラス板受け面6及び6aの夫々に対応して平面視でガラス板2の折割予定線221で囲まれる領域B外の位置に押し面87及び87aの夫々が配置されるように、押し割り装置を移動させるようになっており、押し面87及び87aによるガラス板2の折割予定線221及び端切り線222に沿う押し割りは、支持機構15の上面51よりも上方に配されたガラス板受け面6及び6aの夫々で撓まされたガラス板2の折割予定線221で囲まれる領域B外のガラス板2に対して行われるようになっているガラス板2の折割機械1では、ガラス板2に対する押し面87及び87aの夫々による押し割りに際して、ガラス板受け面6及び6aの夫々が平面視で領域B外に配置されるように、移動装置8及び8aの夫々によりガラス板受け装置7及び7aの夫々が移動されるようになっている結果、領域B外の折割カレットと領域Bのガラス板2の折割面との衝突を回避でき、押し割り後の製品としてのガラス板2の折割面に欠け等が発生することをなくし得る。
【0068】
なお、ガラス板の折割機械1の押し割り装置9及び9aによって、端切り線形成に加えて、折割予定線211を形成してもよく、また、ガラス板の折割機械1では、押し割のみを行うようにし、端切り線形成を前工程で行ってもよく、この場合には、カッタホール92及び92a等を省くことができる。
【0069】
更に、上記の具体例では、一対のガラス板受け装置7及び7a、一対の移動装置8及び8a、一対の押し割り装置9及び9a並びに一対の移動装置10及び10aを設けて、ガラス板2に対する端切り線形成及び押し割りを分担して行うようにしたが、これに代えて、夫々を一個だけ設けて又は3個以上設けてガラス板の折割機械を構成してもよい。
【0070】
更に、上記の具体例では、
図8に示すように、平面視で外側輪郭線31がガラス板2の折割予定線221に外接する位置であって同じく平面視でガラス板受け面6及び6aが領域B外の位置に配置するように電動モータ59及び59a並びに72及び72aを作動させてガラス板受け装置7及び7aをX及びY方向に移動させると共に同じく電動モータ114及び114a並びに135及び135aを作動させて押し割り装置9及び9aをX及びY方向に移動させて押し棒88及び88aの押し面87及び87aの夫々がガラス板受け面6及び6aの夫々の上方に位置するようにしたが、これに代えて、
図9に示すように、平面視で外側輪郭線31がガラス板2の折割予定線221の若干外側の位置であって同じく平面視でガラス板受け面6及び6aが領域B外に位置するように、また、
図10に示すように、平面視で外側輪郭線31がガラス板2の折割予定線221に交差する位置であってガラス板受け面6及び6aの大部分が領域B外に位置するように、電動モータ59及び59a並びに72及び72aを作動させてガラス板受け装置7及び7aをX及びY方向に移動させると共に同じく電動モータ114及び114a並びに135及び135aを作動させて押し割り装置9及び9aをX及びY方向に移動させて押し棒88及び88aの押し面87及び87aの夫々がガラス板受け面6及び6aの夫々の上方に位置するようにして、折り割りを実行してもよく、更には、押し棒88及び88aの押し面87及び87aの夫々がガラス板受け面6及び6aの夫々の上方から外れて、平面視で外側輪郭線31で規定されるガラス板受け面6及び6aの夫々と折割予定線221との間に押し棒88及び88aの押し面87及び87aの夫々が位置するようにして、折り割りを実行するようにしてもよい。
【0071】
また、上記の具体例では、昇降手段27及び27aでガラス板受け面6及び6aの夫々を昇降させたが、昇降手段27及び27aを設けないで、常時、ガラス板受け面6及び6aを上面51に対して1mmから5mm程度上方に配されていてもよい。
【0072】
上記の具体例では、
図7に示すように、押し面87は、平坦な円形の平面であるが、
図11に示すように、押し棒88の下端に固定された部分球の外周面からなる回転しない部分球面(固定部分球面)であってもよく、
図12に示すように、ピストンロッド86の下端に軸を介して回転自在に支持されたローラ等の円柱体の外周面からなる回転自在な円筒面であってもよく、更には、図示しないが、押し棒88の下端に回転自在に支持された球体の外周面からなる回転自在な球面であってもよく、同じく図示しないが、押し棒88の下端に固定された円柱体、円錐体又は截頭円錐体の外周面からなる円筒面、円錐面又は截頭円錐面であってもよく、加えて、平坦な円形の平面に代えて、押棒88の下端に固定された角柱体の外周面からなる平坦な矩形状の平面であってもよく、押し面87が回転自在な円筒面及び固定の円筒面の場合には、これら円筒面の軸心Oが当該円筒面で押圧されるガラス板2の上面の位置(押圧予定位置)に最も近接する折割予定線線221の接線と平行に伸びるように、押棒88を当該押棒88の軸心230又はピストンロッド90の軸心105の周りで回転させる回転機構を設けるとよい。
【0073】
また、上記の具体例では、ピストンロッド86の伸縮で押し棒88をZ方向に移動させて、押し面87をガラス板2に当接させて、これにより、ガラス板2を押し割っているが、これに代えて、
図13に示すように、基台104から吊下げ部材231を介して吊下げられて設けられたエアーシリンダ装置85のピストンロッド86の伸縮で押し棒88をZ方向に交差する斜め方向Sに進退させるようにし、ピストンロッド86の伸長で押し面87をガラス板2に当接させて、押し面87でガラス板2を斜め下方に押すと共に領域B外のガラス板2を領域B内のガラス板2から離れてガラス板2の外縁に向かって蹴り出すようにして、これにより、ガラス板2を押し割ってもよく、この場合も、エアーシリンダ装置85を吊下げ部材231の軸心232又はピストンロッド90の軸心105の周りで回転させる回転機構を設けるとよい。
【0074】
一方、上記の具体例では、ガラス板受け面6は、押し面87と同様に、平坦な面であるが、
図14に示すように、部分球の外周面からなる部分球面であってもよく、また、
図15に示すように、円錐体の外周面からなる円錐面であってもよく、更には、図示しないが、截頭円錐体の外周面からなる截頭円錐面であってもよい。
【0075】
以上の押し面87及びガラス板受け面6の変形例は、押し面87a及びガラス板受け面6aにも適用できる。
【符号の説明】
【0076】
1 折割機械
2 ガラス板
3 無端ベルト
4 支持部材
5 領域
6、6a ガラス板受け面
7、7a ガラス板受け装置
8、8a 移動装置
9、9a 押し割り装置
11 搬入、搬出手段
12 張力付与手段
13 走行装置