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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-21
(45)【発行日】2023-09-29
(54)【発明の名称】ナースコールシステム
(51)【国際特許分類】
   A61G 12/00 20060101AFI20230922BHJP
   H04M 3/42 20060101ALI20230922BHJP
   H04M 9/00 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
A61G12/00 E
H04M3/42 S
H04M9/00 H
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019114594
(22)【出願日】2019-06-20
(65)【公開番号】P2021000203
(43)【公開日】2021-01-07
【審査請求日】2022-04-05
(73)【特許権者】
【識別番号】591253593
【氏名又は名称】株式会社ケアコム
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】菊池 修
(72)【発明者】
【氏名】樋口 拓人
【審査官】瀧本 絢奈
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-290401(JP,A)
【文献】特開2014-086856(JP,A)
【文献】特開2010-125151(JP,A)
【文献】特開2013-248068(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 12/00
H04M 3/42
H04M 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナースコール子機と、
上記ナースコール子機からの呼び出しに対応して報知動作を行う報知機能、および、応答操作に応じて上記ナースコール子機との間に形成される通話路を介して通話を行うことを可能にする通話機能を備えた据置型ナースコール親機および携帯型ナースコール親機と、
無線基地局を介して上記携帯型ナースコール親機との間で通信に関する制御を行うハンディナースコール主装置と、
上記報知機能を備える一方で上記通話機能を備えていない端末と、
上記端末との間の通信を制御する端末制御装置と、
上記ナースコール子機、上記据置型ナースコール親機および上記ハンディナースコール主装置とナースコール幹線を介して接続されるとともに、上記端末制御装置とコンピュータネットワークを介して接続され、上記ナースコール子機、上記据置型ナースコール親機、上記ハンディナースコール主装置および上記端末制御装置をそれぞれ制御する制御機とを備え、
上記制御機は、上記ナースコール子機から送信される呼出信号を受信したときに、上記据置型ナースコール親機および上記携帯型ナースコール親機に上記報知動作を実行させるように制御するとともに、上記端末制御装置に指示をして上記端末に上記報知動作を実行させるように制御することを特徴とするナースコールシステム。
【請求項2】
ナースコール子機と、
上記ナースコール子機からの呼び出しに対応して報知動作を行う報知機能、および、応答操作に応じて上記ナースコール子機との間に形成される通話路を介して通話を行うことを可能にする通話機能を備えたナースコール親機と、
上記報知機能を備える一方で上記通話機能を備えていない端末と、
上記端末との間の通信を制御する端末制御装置と、
上記ナースコール子機および上記ナースコール親機とナースコール幹線を介して接続されるとともに、上記端末制御装置とコンピュータネットワークを介して接続され、上記ナースコール子機、上記ナースコール親機および上記端末制御装置をそれぞれ制御する制御機とを備え、
上記制御機は、
上記ナースコール子機から送信される呼出信号を受信したときに、上記ナースコール親機に上記報知動作を実行させるように制御するとともに、上記端末制御装置に指示をして上記端末に上記報知動作を実行させるように制御した後、
上記ナースコール親機から送信される応答通知を受信した場合は、上記報知動作を停止させるように制御するとともに、上記ナースコール子機からの呼出状態を停止させて、上記ナースコール子機と上記ナースコール親機との間に通話路を形成するように制御する一方、
上記端末から送信される応答通知を上記端末制御装置が受信したことを上記端末制御装置から通知された場合は、上記ナースコール子機からの呼出状態を維持しつつ、上記報知動作を停止させるように制御する
ことを特徴とするナースコールシステム。
【請求項3】
上記端末制御装置は、どのナースコール子機からの呼び出しを受け付けて上記端末に対する報知動作を行うか、あるいは、どのナースコール子機からの呼び出しを拒否して上記端末に対する報知動作を行わないかを指定可能に構成され、指定された内容に従って、上記端末に対する上記報知動作の実行を制御することを特徴とする請求項1または2に記載のナースコールシステム。
【請求項4】
上記制御機を省略して上記制御機の機能を上記据置型ナースコール親機が備えるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のナースコールシステム。
【請求項5】
上記制御機を省略して上記制御機の機能を上記ナースコール親機が備えるようにしたことを特徴とする請求項2に記載のナースコールシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナースコールシステムに関し、特に、ナースコール子機の呼出ボタンの押下操作によって呼び出しを行い、これに応じてナースコール親機等において呼び出しの報知を行うように成されたナースコールシステムに用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、病院や介護施設などでは、ナースコールシステムが用いられている。ナースコールシステムは、病院の患者が医師や看護師のサポートを必要とする際、または介護施設の被介護者が介護師のサポートを必要とする際に、患者や被介護者(以下、単に「患者」と言う)が呼出ボタン等を押下することによって医師や看護師、介護師(以下、単に「看護師」と言う)を呼び出すことができるように成されたシステムである。
【0003】
多くのナースコールシステムは、ベッドサイドやトイレ、浴室などに設置するナースコール子機と、ナースステーションに設置するナースコール親機とを備えて構成されている。また、看護師が携帯するPHS(Personal Handyphone System)端末とPBX(Private Branch Exchange:電話交換機)とを組み合わせたナースコールシステムも提供されている(例えば、特許文献1の図2参照)。この種のナースコールシステムにおいて、患者がナースコール子機の呼出ボタンを押下して呼び出しを行うと、呼び出しが行われたことがPHS端末やナースコール親機にて報知される。これに対して看護師が、自身が携帯するPHS端末や、ナースコール親機のハンドセット等によって応答すると、ナースコール子機との間に通話路が形成され、通話を行うことが可能な状態となる。
【0004】
特許文献1の図4には、PBXおよびSIPサーバを併用し、PHS端末に代えてIPフォン(スマートフォン)を備えたナースコールシステムも開示されている。この図4に示されるナースコールシステムにおいて、呼出ボタンの押下により発生するアラーム情報は、非ウェブ型回線を通じてPBXに送信され、次いでSIPサーバによってウェブ型通信規格に変換されたのち、院内のLAN回線と無線LANアクセスポイントなどのウェブ型回線を介してIPフォンに送信される。IPフォンでは、着信アラームが鳴り、看護師が返信操作を行うことにより、音声通話が可能となる。
【0005】
特許文献1の図4に記載のナースコールシステムでは、PBXは上記の動作と並行して、アラーム情報を発信履歴管理手段に送信する。発信履歴管理手段は、取得したアラーム情報を発信時間順に整理した発信履歴記録を作成する。作成された発信履歴記録は、IPフォンによって参照することが可能である。また、アラーム情報メッセージ送信手段は、新着のアラーム情報を発信履歴管理手段から取得し、IPフォンに対してプッシュ型のアラーム情報メッセージとして送信する。ここで、アラーム情報メッセージは、SIPサーバを経由せず、ウェブを通じて院外のメッセージサーバに送信される。メッセージサーバは、当該アラーム情報メッセージを、あらかじめ登録されたIPフォン群に対して直接送信する。IPフォンは、アラーム情報メッセージを受信して、メッセージを表示したり音声で注意を促したりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第5813199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の図4に記載のナースコールシステムでは、PBXおよびSIPサーバを介してナースコール子機とIPフォンとが通話可能であるとともに、ウェブ型回線を通じて新着のアラーム情報メッセージをIPフォンに送信して表示することが可能である。しかしながら、特許文献1に記載のナースコールシステムでは、電話機能とIP通信機能との両方を備えたIPフォンが必要であり、電話機能を持たない端末に対してアラーム情報メッセージを表示させることはできないという問題があった。
【0008】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、ナースコール子機からの呼び出しに応答することによって通話可能とする電話機能を持たない端末に対しても、ナースコール子機からの呼び出しを報知することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題を解決するために、本発明のナースコールシステムは、ナースコール子機ナースコール親機およびハンディナースコール主装置の他に、ナースコール子機からの呼び出しに対応して報知動作を行う報知機能を備える一方で、応答操作に応じてナースコール子機との間で通話を行うことを可能にする通話機能を備えていない端末と、端末との間の通信を制御する端末制御装置と、ナースコール幹線を介して接続されるナースコール子機ナースコール親機およびハンディナースコール主装置とコンピュータネットワークを介して接続される端末制御装置とをそれぞれ制御する制御機とを備える。そして、制御機が、ナースコール子機から送信される呼出信号を受信したときに、ナースコール親機に報知動作を実行させるように制御するとともに、端末制御装置に指示をして端末に報知動作を実行させるようにしている。
【発明の効果】
【0010】
上記のように構成した本発明によれば、ナースコール幹線とは別のコンピュータネットワークを介して、制御機が端末制御装置を介して端末を制御可能であるため、ナースコール子機からの呼び出しに応答することによって通話可能とする電話機能を持たない端末に対しても、制御機から端末制御装置への制御を通じてナースコール子機からの呼び出しを報知することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態によるナースコールシステムの全体構成例を示す図である。
図2】本実施形態による制御機の機能構成例を示すブロック図である。
図3】本実施形態による端末制御装置の機能構成例を示すブロック図である。
図4】本実施形態の端末に表示される報知画面の一例を示す図である。
図5】本実施形態による制御機の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態によるナースコールシステムの全体構成例を示す図である。なお、ここでは病院に設置されるナースコールシステムを例にとって説明するが、本実施形態のナースコールシステムは、病院に設置されるものに限定されない。例えば、介護施設等に設置される場合にも適用可能である。
【0013】
図1に示すように、本実施形態のナースコールシステムは、据置型ナースコール親機1、制御機2、廊下灯3、壁埋込形子機4、ハンド形子機5(特許請求の範囲におけるナースコール子機に相当)、ハンディナースコール主装置6、構内交換機(PBX)7、無線基地局8、携帯型ナースコール親機(例えば、PHS端末またはスマートフォン)9、端末制御装置11、無線アクセスポイント(AP)12および端末13,14を備えて構成されている。
【0014】
据置型ナースコール親機1および携帯型ナースコール親機9(以下、両方をまとめてナースコール親機1,9と記すことがある)は、ハンド形子機5からの呼び出しに対応して報知動作を行う報知機能と、ナースコール親機1,9での応答操作に応じてハンド形子機5との間に形成される通話路を介して通話を行うことを可能にする電話機能とを備えている。これに対し、端末13,14は、報知機能を備える一方、電話機能を備えていない。
【0015】
据置型ナースコール親機1は、患者(ハンド形子機5)からの呼び出しに対する応答の操作を行い、看護師が患者と通話を行うためのものであり、ナースステーションに設置される。据置型ナースコール親機1は、制御機2が患者からの呼び出しを受けたとき、制御機2からの指示により所定の報知動作を行う。報知動作は、据置型ナースコール親機1が備えるスピーカから報知音を出力するとともに、据置型ナースコール親機1が備えるディスプレイに対して呼び出しに係る患者および呼出種別などの情報を表示させることによって行われる。
【0016】
この報知動作の実行中に、看護師が据置型ナースコール親機1でオフフック等の応答操作を行うと、応答操作が行われたことが制御機2に通知される。そして、据置型ナースコール親機1は、制御機2からの指示に従って、上述の報知動作を停止するとともに、ハンド形子機5との間に通話路を形成することにより、患者と通話を行うことができる状態とする。
【0017】
制御機2は、据置型ナースコール親機1およびハンド形子機5とナースコール幹線を介して接続されるとともに、端末制御装置11とコンピュータネットワーク(LAN)を介して接続され、据置型ナースコール親機1、ハンド形子機5および端末制御装置11をそれぞれ制御する。なお、制御機2とハンド形子機5との間は、廊下灯3および壁埋込形子機4を介して接続される。また、制御機2は、ナースコール幹線を介してハンディナースコール主装置6にも接続され、当該ハンディナースコール主装置6、PBX7および無線基地局8を介して携帯型ナースコール親機9も制御する。この制御機2による制御内容の詳細については後述する。
【0018】
廊下灯3は、病院の各病室の入口付近外部に設置される。この廊下灯3は、表示装置を備え、病室内の患者名が表示されるとともに、病室内の患者がハンド形子機5を用いて看護師の呼び出しを行うと、呼び出しが行われたことが表示されるようになっている。なお、呼び出しが行われたことの表示は、LEDの点灯または点滅により行うようにしてよい。廊下灯3は、ハンド形子機5から壁埋込形子機4を介して送信された呼出信号を制御機2に送信する。また、廊下灯3は、ナースコール親機1,9とハンド形子機5との間に形成された通話路を介してやり取りされる会話の音声信号を中継する。
【0019】
壁埋込形子機4は、病室の各ベッドサイドの壁に埋め込み設置される。この壁埋込形子機4は、廊下灯3に接続されている。壁埋込形子機4は、ハンド形子機5を接続するための接続端子および復旧ボタンを備えている。壁埋込形子機4は、廊下灯3とハンド形子機5との間で上述した呼出信号および音声信号を送受信する。なお、壁埋込形子機4は、患者が看護師を呼び出すための呼出ボタン、患者が看護師と会話を行う際に使用するマイクおよびスピーカを備えてもよい。この場合、壁埋込形子機4も特許請求の範囲のナースコール子機に相当する。
【0020】
ハンド形子機5は、壁埋込形子機4に接続され、患者のベッドサイドに設置される。ハンド形子機5は、患者が看護師を呼び出すための呼出ボタン、患者が看護師と会話を行う際に使用するマイク(図示せず)およびスピーカを備えている。ハンド形子機5は、一または複数の呼出種別に対応する呼出ボタンを備えており、患者が何れかの呼出ボタンを操作すると、操作された呼出ボタンに対応する呼出種別の呼出信号が壁埋込形子機4および廊下灯3を介して制御機2に送信されるようになっている。呼出種別は、例えば、一般呼出、緊急呼出、特定呼出(トイレまたは点滴)などである。
【0021】
ハンディナースコール主装置6は、PBX7および無線基地局8を介して、個々の看護師が所持する携帯型ナースコール親機9との間で通話やデータの送受信に関する制御を行う。このハンディナースコール主装置6は、例えば病院内の通信センタに設置され、制御機2と接続されている。ハンディナースコール主装置6は、制御機2からの制御に従って、複数の携帯型ナースコール親機9に対する呼び出しを実行する。無線基地局8は、携帯型ナースコール親機9との間で通話やデータの無線通信をするためのものであり、PBX7と接続されている。
【0022】
端末制御装置11は、LANに接続されたAP12を介して端末13,14との間の通信を制御する。端末13,14は、無線LANによりAP12に接続する無線LAN機能と、上述した報知機能とを少なくとも有するものであればよく、例えばパーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォンまたは病院内専用端末(例えば、電子カルテ端末など)により構成することが可能である。端末制御装置11は、制御機2からの制御に従って、端末13,14に対して報知動作の実行を指示する。また、端末制御装置11は、端末13,14で応答操作が行われた場合の応答通知を制御機2に対して行う。
【0023】
図2は、制御機2の機能構成例を示すブロック図である。図2に示すように、制御機2は、機能構成として、呼出受付部21、報知処理部22、応答受付部23、通話路形成部24および復旧受付部25を備えている。また、ナースコール親機1は、記憶媒体として、管理情報記憶部20を備えている。
【0024】
なお、上記各機能ブロック21~25は、ハードウェア構成、DSP(Digital Signal Processor)、ソフトウェアの何れによっても実現することが可能である。例えばソフトウェアによって実現する場合、上記各機能ブロック21~25は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記録媒体に記憶されたプログラムが動作することによって実現される。
【0025】
管理情報記憶部20は、患者に関する情報(以下、患者情報という)と、看護師に関する情報(以下、看護師情報という)と、ナースコールの呼出先に関する情報(以下、呼出先情報という)とをナースコールに関する管理情報として記憶している。
【0026】
患者情報は、例えば、患者の氏名、年齢、性別、病室の部屋番号、患者が使用しているベッドを識別するベッド番号、患者を識別するための患者ID、患者が使用するハンド形子機5を識別するための子機IDなどの各種情報を含む。また、看護師情報は、例えば、看護師の氏名、看護師を識別するための看護師ID、担当する患者を識別するための患者ID、看護師が使用する携帯型ナースコール親機9を識別するための親機IDなどの各種情報を含む。
【0027】
呼出先情報は、患者(例えば、患者ID)と、当該患者からの呼び出しに対応して報知を行う担当看護師(例えば、看護師ID)と、当該担当看護師が所持する携帯型ナースコール親機9の親機IDおよび呼出先に関する情報(内線番号など)とを関連付けて記憶したものである。一人の患者を複数の看護師でサポートするチームナーシングを行う場合は、一人の患者と複数の看護師と各看護師が所持する複数の携帯型ナースコール親機9の呼出先とがグルーピングされて記憶される。
【0028】
呼出受付部21は、患者(ハンド形子機5)からの呼び出しを受け付ける。すなわち、呼出受付部21は、ハンド形子機5から壁埋込形子機4および廊下灯3を介して送られてくる呼出信号を受信する。呼出受付部21が呼び出しを受け付けると、呼出受付部21は、呼出状態であることを患者に知らせるための呼出音をハンド形子機5のスピーカから出力するための処理を行い、そのような呼出状態を後述する所定の操作が行われるまで継続する。
【0029】
報知処理部22は、呼出受付部21が患者からの呼び出しを受け付けた場合(ハンド形子機5から送信される呼出信号を受信した場合)、ナースコール親機1,9に報知動作を実行させるように制御するとともに、端末制御装置11に指示をして端末13,14に報知動作を実行させるように制御する。
【0030】
ここで、据置型ナースコール親機1に対する報知処理は、以下のようにして行う。すなわち、報知処理部22は、呼出受付部21が受信した呼出信号によって伝えられる子機情報(呼び出しを行ったハンド形子機5を特定するための子機IDなど)に基づいて、管理情報記憶部20を参照することにより、呼び出しを行った患者を特定する。そして、報知処理部22は、特定した患者に関する患者情報の一部(例えば、氏名、年齢、性別、部屋番号、ベッド番号など)を管理情報記憶部20から読み出し、呼出種別の情報と共に据置型ナースコール親機1に送信する。据置型ナースコール親機1は、ディスプレイ上に報知画面を生成し、制御機2から受信した患者情報および呼出種別を表示させる。また、据置型ナースコール親機1は、スピーカから所定の報知音を出力する。
【0031】
また、携帯型ナースコール親機9に対する報知処理は、以下のようにして行う。すなわち、報知処理部22は、上述のようにして呼び出しを行った患者を特定した後、その患者を担当する看護師の呼出先情報を管理情報記憶部20から読み出し、当該読み出した呼出先情報に基づいて、チームナーシングのためにグルーピングされた複数の携帯型ナースコール親機9に対する報知を実行する。例えば、公知のスライド呼出機能によって、複数の携帯型ナースコール親機9に対する報知を順番に実行する。
【0032】
具体的には、報知処理部22は、ハンディナースコール主装置6を介してPBX7に対し、複数の携帯型ナースコール親機9に対する報知の実行を指示する呼出信号を所定の時間間隔ごとに順番に送信する。この呼出信号には、報知処理部22が特定した患者に関する患者情報の一部(例えば、氏名、年齢、性別、部屋番号、ベッド番号など)および呼出種別の情報が含まれている。PBX7は、制御機2からハンディナースコール主装置6を介して呼出信号を受信したとき、呼出先として指定されている携帯型ナースコール親機9に対する呼び出しを実行する。この呼出信号を受信した携帯型ナースコール親機9は、患者情報および呼出種別をディスプレイに表示させるとともに、スピーカから所定の報知音を出力する。
【0033】
また、端末13,14に対する報知処理は、以下のようにして行う。すなわち、報知処理部22は、端末制御装置11に対し、端末13,14に対する報知の実行を指示する指示情報を送信する。この指示情報には、報知処理部22が特定した患者に関する患者情報の一部(例えば、氏名、年齢、性別、部屋番号、ベッド番号、子機IDなど)および呼出種別の情報が含まれている。端末制御装置11は、制御機2から指示情報を受信したとき、AP12を介して端末13,14に対して指示情報を送信することにより、報知動作の実行を指示する。この指示情報を受信した端末13,14は、患者情報および呼出種別をディスプレイに表示させる。このとき、スピーカから所定の報知音を出力するようにしてもよい。
【0034】
図4は、端末13,14に表示される報知画面の一例を示す図である。ここでは一例として、電子カルテ端末に表示される報知画面の一例を示す。図4(a)に示すように、電子カルテ端末は、端末制御装置11から報知動作の指示情報を受信すると、電子カルテ情報を表示しているメイン画面上に報知画面40をポップアップ表示させ、この報知画面40に患者情報および呼出種別を表示させる。
【0035】
図4(b)は、報知画面40の表示例を示すものである。図4(b)に示すように、報知画面40には、呼出種別41および患者情報42が表示されている。また、報知画面40には、電子カルテ端末を使用する看護師または他の病院スタッフが応答操作をするための応答ボタン43も表示されている。看護師等がこの応答ボタン43を操作すると、当該応答ボタン43が操作されたことを知らせる応答通知が端末制御装置11に送信され、さらに端末制御装置11から制御機2に送信される。この応答通知には、応答ボタン43を操作した端末を識別するための端末IDが含まれている。
【0036】
図2に戻って説明する。応答受付部23は、報知処理部22により報知動作が実行されたナースコール親機1,9または端末13,14からの応答通知を受け付ける。例えば、看護師が患者からの呼び出しに応答するために据置型ナースコール親機1のハンドセットをオフフックすると、据置型ナースコール親機1でオフフックされたことを知らせる応答通知が据置型ナースコール親機1から制御機2に送信され、応答受付部23にて受信される。
【0037】
また、看護師が患者からの呼び出しに応答するために携帯型ナースコール親機9をオフフックすると、携帯型ナースコール親機9でオフフックされたことを知らせる応答通知がハンディナースコール主装置6を介して制御機2に送信され、応答受付部23にて受信される。
【0038】
また、看護師または他の病院スタッフが患者からの呼び出しに応答するために端末13,14で応答ボタン43を操作すると、端末13,14で応答ボタン43が操作されたことを知らせる応答通知が端末制御装置11を介して制御機2に送信され、応答受付部23にて受信される。
【0039】
応答受付部23は、ナースコール親機1,9から送信される応答通知を受信した場合、ナースコール親機1,9および端末13,14の報知動作を停止させるように報知処理部22を制御する。また、応答受付部23は、ハンド形子機5からの呼出状態(ハンド形子機5に呼出音を鳴らせている状態)を停止させるように呼出受付部21を制御するとともに、ハンド形子機5とナースコール親機1,9との間に通話路を形成するように通話路形成部24を制御する。
【0040】
また、応答受付部23は、端末13,14から送信される応答通知を端末制御装置11が受信したことを端末制御装置11から通知された場合は、ハンド形子機5からの呼出状態を維持しつつ、ナースコール親機1,9および端末13,14の報知動作を停止させるように報知処理部22を制御する。呼出状態を維持するのは、以下の理由による。
【0041】
すなわち、端末13,14において呼び出しに対する応答操作が行われた場合は、ハンド形子機5との間に通話路が形成されないため、患者は看護師と通話を行うことができない。このような場合に、端末13,14での応答操作に応じて呼出状態を停止させてハンド形子機5から呼出音の出力を止めると、患者は、看護師が応答してくれたのか、何かの不具合で呼び出しが不通になってしまったのかを判別することができない。そのため、患者が不安に思う可能性がある。
【0042】
そこで、端末13,14での応答操作が行われた場合は、ハンド形子機5に対する呼出音の出力を継続して、呼出中であることが患者に分かるようにする。この場合、端末13,14で応答操作をした看護師等が患者の病室に行って、壁埋込形子機4の復旧ボタンを操作したときに、ハンド形子機5の呼出状態を停止する。すなわち、壁埋込形子機4の復旧ボタンが操作されると、復旧信号が廊下灯3を介して制御機2に送信され、復旧受付部25にて受信される。復旧受付部25は、復旧信号を受信したことを呼出受付部21に通知する。呼出受付部21は、この通知を受けて、ハンド形子機5の呼出状態を停止する。
【0043】
図3は、端末制御装置11の機能構成例を示すブロック図である。図3に示すように、端末制御装置11は、機能構成として、報知指示受信部31、報知部32、応答通知受信部33、応答通知部34および報知指定部35を備えている。また、端末制御装置11は、記憶媒体として、指定情報記憶部30を備えている。
【0044】
上記各機能ブロック31~35は、ハードウェア、DSP、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、上記各機能ブロック31~35は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記録媒体に記憶されたプログラムが動作することによって実現される。
【0045】
報知指示受信部31は、制御機2の報知処理部22により送信された端末13,14に対する報知動作実行の指示情報を受信する。報知部32は、報知指示受信部31により受信された指示情報を、AP12を介して端末13,14に送信することにより、図4で例示したような報知画面40を端末13,14のディスプレイに表示させる。なお、報知部32が端末13,14に送信する指示情報は、報知指示受信部31が制御機2から受信する指示情報とフォーマット等の形式が同じである必要はなく、端末13,14が受け付け可能な形式に変換されたものであってもよい。
【0046】
応答通知受信部33は、報知画面40に表示された応答ボタン43が操作された端末13,14から、当該応答ボタン43が操作されたことを知らせる応答通知を受信する。応答通知部34は、応答通知受信部33が受信した応答通知を制御機2に送信する。なお、応答通知部34が制御機2に送信する応答通知は、応答通知受信部33が端末13,14から受信する応答通知とフォーマット等の形式が同じである必要はなく、制御機2が受け付け可能な形式に変換されたものであってもよい。
【0047】
報知指定部35は、どのハンド形子機5からの呼び出しを受け付けて端末13,14に対する報知動作を行うか、あるいは、どのハンド形子機5からの呼び出しを拒否して端末13,14に対する報知動作を行わないかを指定し、その指定内容を指定情報記憶部30に記憶する。指定情報は、例えば、報知動作を行う(または行わない)ハンド形子機5の子機IDにより構成される。この報知動作を行う(または行わない)ハンド形子機5の指定操作は、例えば、端末13,14からAP12を介して端末制御装置11にアクセスし、端末13,14の操作部を用いて看護師等により行うことが可能である。
【0048】
報知部32は、報知指示受信部31が受信した指示情報に含まれている子機IDと、指定情報記憶部30に記憶されている指定情報(子機ID)とに基づいて、報知動作を行うものとして指定されているハンド形子機5からの呼び出しに対応して報知動作の指示があったときにのみ、端末13,14に対する報知動作の実行を制御する。
【0049】
なお、報知指定部35により指定された内容に従って端末13,14に対する報知動作を実行しない場合においても、ナースコール親機1,9に対する報知動作は実行される。したがって、端末13,14を使用する看護師等が、業務の都合等を考慮して、報知動作を行う(または行わない)対象のハンド形子機5を任意に指定することが可能である。
【0050】
ここでは、ハンド形子機5の指定情報を端末制御装置11に記憶し、端末制御装置11において、報知動作の指示情報を端末13,14に送信するか否かを決定する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、指定情報を端末制御装置11から制御機2に送信して制御機2に記憶するようにする。そして、制御機2が指定情報に従って、報知動作の指示情報を端末制御装置11に送信するか否かを決定するようにしてもよい。この場合、端末制御装置11から制御機2に指定情報を送信して記憶させることが、指定された内容に従って端末13,14に対する報知動作の実行を制御することに相当する。
【0051】
図5は、以上のように構成した制御機2の動作例を示すフローチャートである。まず、制御機2の呼出受付部21は、ハンド形子機5から送られてくる呼出信号を受信したか否かを判定する(ステップS1)。呼出信号を受信していない場合は、ステップS1の判定が繰り返される。一方、呼出受付部21が呼出信号を受信した場合、報知処理部22は、ナースコール親機1,9および端末13,14に報知動作を実行させるように制御する(ステップS2)。
【0052】
その後、応答受付部23は、応答通知を受信したか否かを判定する(ステップS3)。応答通知を受信していない場合は、ステップS3の判定が繰り返される。一方、応答受付部23が応答通知を受信した場合、応答受付部23は、それが端末13,14から送信された応答通知か否かを判定する(ステップS4)。ここで、応答受付部23は、応答通知を端末制御装置11から受信した場合に、端末13,14から送信された応答通知であると判定する。
【0053】
応答受付部23は、端末13,14から送信された応答通知であると判定した場合、ハンド形子機5からの呼出状態を維持しつつ、ナースコール親機1,9および端末13,14の報知動作を停止させるように報知処理部22を制御する(ステップS5)。
【0054】
その後、復旧受付部25は、壁埋込形子機4から送られてくる復旧信号を受信したか否かを判定する(ステップS6)。復旧信号を受信していない場合は、ステップS6の判定が繰り返される。一方、復旧受付部25が復旧信号を受信した場合、呼出受付部21は、ハンド形子機5からの呼出状態を停止させる(ステップS7)。これにより、図5に示すフローチャートの処理が終了する。
【0055】
上記ステップS4において、応答受付部23にて受信した応答通知が端末13,14から送信されたものではない、つまりナースコール親機1,9から送信された応答通知であると判定した場合、応答受付部23は、ハンド形子機5からの呼出状態を停止させるように呼出受付部21を制御するとともに、ナースコール親機1,9および端末13,14の報知動作を停止させるように報知処理部22を制御する(ステップS8)。
【0056】
次いで、応答受付部23は、ハンド形子機5とナースコール親機1,9との間に通話路を形成するように通話路形成部24を制御する(ステップS9)。これにより、図5に示すフローチャートの処理が終了する。なお、通話路を形成した後、ナースコール親機1,9においてオンフックの操作が行われると、ナースコール親機1,9とハンド形子機5との間に形成された通話路が切断される。
【0057】
以上詳しく説明したように、本実施形態では、制御機2が、ハンド形子機5から送信される呼出信号を受信したときに、ナースコール幹線を介して接続されたナースコール親機1,9に報知動作を実行させるように制御するとともに、コンピュータネットワーク(LAN)を介して接続された端末制御装置11に指示をして端末13,14に報知動作を実行させるようにしている。
【0058】
このように本実施形態によれば、ナースコール幹線とは別のコンピュータネットワークを介して、制御機2が端末制御装置11を介して端末13,14を制御可能に構成されているので、ハンド形子機5から呼び出しに応答することによって通話可能とする電話機能を持たない端末13,14に対しても、制御機2から端末制御装置11への制御を通じてハンド形子機5からの呼び出しを報知することができる。
【0059】
また、本実施形態では、ハンド形子機5からの呼び出しに対応する報知動作に対して、端末13,14において応答ボタン43が操作された場合には、制御機2は、ハンド形子機5からの呼出状態を維持しつつ(呼出音の出力を継続しつつ)、ナースコール親機1,9および端末13,14の報知動作を停止させるようにしている。
【0060】
このように構成することにより、ハンド形子機5との間に通話路が形成されない端末13,14において応答操作が行われた場合に、応答操作を行った看護師等が患者の病室に行って壁埋込形子機4の復旧ボタンを操作するまでは、ハンド形子機5から呼出音が出力され続ける。このため、呼び出しを行った患者は、呼出音が途切れた後に看護師と通話をすることができない状態で待つことがなくなる。これにより、患者に対して不安感を与えないようにすることができる。
【0061】
なお、上記実施形態では、ナースコール親機1,9または端末13,14において応答操作が行われたときに、応答通知を制御機2に送信し、制御機2からナースコール親機1,9および端末13,14に対する指示によって報知動作を停止する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、応答操作をしたナースコール親機1,9または端末13,14のそれ自身の報知動作に関しては、制御機2からの指示によることなく自分自身で停止するようにしてもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、壁埋込形子機4の復旧ボタンを操作することによってハンド形子機5の呼出状態を停止させる例について説明したが、壁埋込形子機4の復旧ボタンは一例であり、これ以外の復旧操作であってもよい。例えば、廊下灯3に設けた復旧ボタンを操作することによってハンド形子機5の呼出状態を停止させるようにしてもよい。あるいは、病室内に設置される他の機器に設けた復旧ボタンを操作することによってハンド形子機5の呼出状態を停止させるようにしてもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、据置型ナースコール親機1と制御機2とを別に構成する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、制御機2を省略し、制御機2の機能を据置型ナースコール親機1が備えるようにしてもよい。この場合、制御機2から据置型ナースコール親機1に送信していた情報および据置型ナースコール親機1から制御機2に送信していた情報は、据置型ナースコール親機1が内部的に処理することになる。
【0064】
また、上記実施形態では、ハンド形子機5との間に通話路が形成されない端末13,14において応答操作が行われた場合に、応答操作を行った看護師等が患者の病室に行くのを忘れてしまうとハンド形子機5から呼出音が出力され続けてしまうが、これを防止するために、端末13,14において応答操作が行われてから復旧操作が行われるまでの時間を計測するタイマーを端末制御装置11等に設け、応答操作が行われてから所定時間が経過しても復旧操作が行われなかった場合に端末13,14にて再度報知動作を行うようにしても良い。
【0065】
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 据置型ナースコール親機
2 制御機
3 廊下灯
4 壁埋込形子機
5 ハンド形子機(ナースコール子機)
6 ハンディナースコール主装置
7 PBX
8 無線基地局
9 携帯型ナースコール親機
11 端末制御装置
12 AP
13,14 端末
21 呼出受付部
22 報知処理部
23 応答受付部
24 通話路形成部
25 復旧受付部
31 報知指示受信部
32 報知部
33 応答通知受信部
34 応答通知部
35 報知指定部
図1
図2
図3
図4
図5