(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-21
(45)【発行日】2023-09-29
(54)【発明の名称】窒化物半導体多層膜反射鏡の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01S 5/183 20060101AFI20230922BHJP
C23C 16/34 20060101ALI20230922BHJP
C30B 25/02 20060101ALI20230922BHJP
C30B 29/38 20060101ALI20230922BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20230922BHJP
H01L 33/10 20100101ALI20230922BHJP
【FI】
H01S5/183
C23C16/34
C30B25/02 Z
C30B29/38 D
H01L21/205
H01L33/10
(21)【出願番号】P 2019155184
(22)【出願日】2019-08-28
【審査請求日】2022-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】599002043
【氏名又は名称】学校法人 名城大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 哲也
(72)【発明者】
【氏名】平岩 恵
(72)【発明者】
【氏名】岩山 章
(72)【発明者】
【氏名】岩谷 素顕
(72)【発明者】
【氏名】上山 智
(72)【発明者】
【氏名】赤▲崎▼ 勇
【審査官】大和田 有軌
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-049862(JP,A)
【文献】特開2016-111131(JP,A)
【文献】特開2015-160752(JP,A)
【文献】特表2011-504660(JP,A)
【文献】特開2008-060459(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0003697(US,A1)
【文献】平岩恵、外6名,“高品質AlInN/GaN多層膜反射鏡のためのその場観察反り測定”,第66回応用物理学会春季学術講演会講演予稿集,2019年02月25日,p.12-306
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00 - 5/50
H01L 33/00 - 33/64
C23C 16/00 - 16/56
C30B 1/00 - 35/00
H01L 21/205
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屈折率が互いに異なる第1層と第2層とを有するペアを複数積層し、前記第1層又は前記第2層のいずれか一方にInが含まれており、
先に積層された前記ペアにおける前記第1層又は前記第2層の内のInが含まれる層の結晶成長温度よりも、後に積層された前記ペアにおける前記第1層又は前記第2層の内のInが含まれる層の前記結晶成長温度を高くして積層することによって、
各前記ペアにおける前記第1層又は前記第2層の内のInが含まれる層の結晶成長条件を同じになるように制御した場合と比較して、各前記ペアにおける前記第1層又は前記第2層の内のInが含まれる層のInモル分率の差を抑える第1温度変更工程を実行
し、
先に積層された前記ペアにおける前記第1層又は前記第2層の内のInが含まれる層における前記結晶成長温度以外の結晶成長条件は、後に積層された前記ペアにおける前記第1層又は前記第2層の内のInが含まれる層における前記結晶成長温度以外の前記結晶成長条件と同じであることを特徴とする窒化物半導体多層膜反射鏡の製造方法。
【請求項2】
屈折率が互いに異なる第1層と第2層とを有するペアを複数積層し、前記第1層及び前記第2層の各々にInが含まれており、
先に積層された前記第1層の結晶成長温度よりも、後に積層された前記第1層の前記結晶成長温度を高くして積層することによって、
各前記第1層における結晶成長条件を同じになるように制御した場合と比較して、各前記第1層のInモル分率の差を抑える第1温度変更工程と、
先に積層された前記第2層の前記結晶成長温度よりも、後に積層された前記第2層の前記結晶成長温度を高くして積層することによって、
各前記第2層における前記結晶成長条件を同じになるように制御した場合と比較して、各前記第2層のInモル分率の差を抑える第2温度変更工程と、を備えており、
先に積層された前記第1層における前記結晶成長温度以外の結晶成長条件は、後に積層された前記第1層における前記結晶成長温度以外の前記結晶成長条件と同じであり、
先に積層された前記第2層における前記結晶成長温度以外の前記結晶成長条件は、後に積層された前記第2層における前記結晶成長温度以外の前記結晶成長条件と同じであり、
前記第1温度変更工程及び前記第2温度変更工程の少なくともいずれか一方を実行することを特徴とする窒化物半導体多層膜反射鏡の製造方法。
【請求項3】
前記第1層と前記第2層との間にInが含まれない第3層を少なくとも1層積層することを特徴とする請求項2に記載の窒化物半導体多層膜反射鏡の製造方法。
【請求項4】
前記ペアを複数積層する毎に、Inが含まれる層の前記結晶成長条件をInの取り込みが減少するように変化させることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の窒化物半導体多層膜反射鏡の製造方法。
【請求項5】
屈折率が互いに異なる第1層と第2層とを有するペアを複数積層し、前記第1層又は前記第2層のいずれか一方にInが含まれており、
先に積層された前記ペアにおける前記第1層又は前記第2層の内のInが含まれる層のIn供給量よりも、後に積層された前記ペアにおける前記第1層又は前記第2層の内のInが含まれる層の前記In供給量を少なくすることによって、
各前記ペアにおける前記第1層又は前記第2層の内のInが含まれる層の結晶成長条件を同じになるように制御した場合と比較して、各前記ペアにおける前記第1層又は前記第2層の内のInが含まれる層のInモル分率の差を抑え
、
先に積層された前記ペアにおける前記第1層又は前記第2層の内のInが含まれる層における前記In供給量以外の前記結晶成長条件は、後に積層された前記ペアにおける前記第1層又は前記第2層の内のInが含まれる層における前記In供給量以外の前記結晶成長条件と同じであることを特徴とする窒化物半導体多層膜反射鏡の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は窒化物半導体多層膜反射鏡の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
GaN層とAlInN層とのペアによる窒化物半導体多層膜反射鏡(以下、GaN/AlInN多層膜反射鏡ともいう)の製造において、高い反射率と高い結晶性とを実現するためには、GaNの格子に一致するInNモル分率18%のAlInN層を最初のペアから最後のペアまで同じように形成する必要がある。そのため、従来の窒化物半導体多層膜反射鏡の製造方法は、最初のペアの結晶成長条件(特に成長温度)と最後のペアの結晶成長条件とが極力等しくなるように制御していた(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
結晶成長中のウエハの反りを観察するために、結晶成長装置にその場反り測定装置を取り付けた。その場反り測定装置は、波長405nmの2つの平行なレーザ光をウエハに照射して、反射光の間隔をCCDカメラで捉える構成とされている。これにより、その場反り測定装置は捉えた反射光の間隔に基づいて曲率半径を計算することができる。反りの程度を表す曲率は曲率半径の逆数と定義される。
【0005】
その場反り測定装置用いてGaN/AlInN多層膜反射鏡の結晶の成長中のウエハの反りを測定すると、GaNとAlInNとの各々の格子定数の違いによって、結晶の成長を開始した時点からの経過時間(以下、単に経過時間ともいう)に対する反りは
図1(A)から(C)に示すような挙動を示すと考えられる。具体的には、その場反り測定装置を用いて経過時間に対するウエハの曲率(Curvature)を求めている。GaN層の成長時には、曲率を示す値が相対的に大きく(~80/km)、AlInN層の成長時には相対的に小さく(~0/km)なり、このような値の変化を周期的に繰り返すグラフが得られる。GaN層及びAlInN層の各結晶の結晶成長温度のそれぞれが結晶成長の開始時から終了時まで一定である場合、特にAlInN層において、InNモル分率が一定になると考えられ、このグラフは経過時間によらずほぼ一定の傾きが得られる。つまり、傾きは経過時間によらず変化しない。ここで、傾きとは、例えば、グラフにおける相対的に小さい値に沿うように伸びる直線の傾きである(以下、単にグラフの傾きともいう。)(
図1(A)から(C)における直線S1,S2,S3)。
【0006】
図1(B)に示すように、GaN層に格子整合するAlInN層のInNモル分率を与える結晶成長温度の場合、グラフの傾きを示す直線S2はほぼ水平になり、このときのウエハの状態は反りがなく平坦な状態である。すなわち、GaN層とAlInN層との各々の格子定数はほぼ一致している。
図1(A)に示すように、(B)の場合よりも結晶成長温度が高い場合、Inが結晶に取り込まれ難くなるため、AlInN層におけるInNモル分率は小さくなり、格子定数は小さくなる。そして、グラフの傾きを示す直線S1は上向き(正の傾き)の傾向を示し、このときのウエハの状態は、中央部C1が下方向に窪んだ凹型になる。
図1(C)に示すように、(B)の場合よりも結晶成長温度が低い場合、Inが結晶に取り込まれ易くなるため、AlInN層におけるInNモル分率は大きくなり、格子定数は大きくなる。そして、グラフの傾きを示す直線S3は下向き(負の傾き)の傾向を示し、このときのウエハの状態は、中央部C3が上方向に突出した凸型になる。
【0007】
GaN層とAlInN層とのペアを25ペア積層する多層膜反射鏡の成長において、最初のペアのAlInN層の結晶成長温度から最後のペアのAlInN層の結晶成長温度まで結晶成長温度が等しくなるように制御して、結晶成長温度を3種類(840℃、835℃、830℃)に変更して結晶を成長し、各々の結晶成長におけるウエハの反りを測定した。
図2に示すように、各結晶成長温度のグラフを比較すると、AlInN層の結晶成長温度が低いほどグラフの傾きが下方向に向かう(すなわち、負の傾きの度合いが大きくなる)結果を示した。この結果は想定通りであった。しかし、いずれの結晶成長温度のグラフの傾きにおいても経過時間に対して傾きは一定ではなく、曲線Cu1,Cu2,Cu3が示すように経過時間が長くなるにつれて徐々に負の傾きの度合いが大きくなることが新たに見いだされた。
【0008】
この原因を突き止めるために、多層膜反射鏡を形成する工程において、AlInN層の形成時にはAlInN層を形成するための原料ガスを意図的に供給せず(昇温及び降温は行う)、GaN層の形成時のみGaN層の形成をするための原料ガスを供給して結晶成長した(つまり、GaN層のみを積層させた)際の反りの測定を行い、GaN/AlInN多層膜反射鏡を結晶成長した際の反りの測定結果と比較した(
図3参照。)。GaN層のみを結晶成長した際のグラフの傾きを示す直線S4は一定である。それに対して、GaN/AlInN多層膜反射鏡を結晶成長した際の反りの測定結果のグラフの傾きは上方向に膨らんだ曲線Cu4となり、経過時間に対して傾きが一定ではなく徐々に下方向に向かう傾向を示している。したがって、傾きが徐々に下方向に向かう要因はAlInN層にあることがわかった。
【0009】
図4は、InNモル分率が17.5%の場合におけるGaN/AlInN多層膜反射鏡のウエハ曲率の時間推移におけるプロファイルの計算結果と、実際にGaN/AlInN多層膜反射鏡の結晶成長において得られた時間推移におけるプロファイルとを重ねて示したグラフである。AlInN層の成長温度は、結晶成長の開始から終了まで同じ温度(840℃)にした。計算により得た結果によれば、AlInN層のInNモル分率が成長期間中一定であればグラフの傾きは一定となり、グラフの傾きを示す直線S5のようになる。これに対して、GaN/AlInN多層膜反射鏡を結晶成長した際における反りの測定結果のグラフの傾きは、経過時間の前半において直線S5とほぼ同じであるが、経過時間の後半において下方向に向かうことが明確に表れている(曲線Cu5参照。)。
【0010】
これにより、GaN/AlInN多層膜反射鏡の結晶成長において、InNモル分率は一定ではなく成長が進むにつれて徐々に増大しているという大きな課題があることがわかった。AlInN層の成長温度は、開始直後の1ペア目のAlInN層に対しても、終了間際の25ペア目のAlInN層に対しても同じ温度(840℃)になるように制御している。にもかかわらず、AlInN層におけるInNモル分率が増大するという現象は、Inを含む窒化物半導体多層膜反射鏡構造において我々が初めて明らかにした結果である。この現象が生じる直接的な要因は不明であるが、良好な多層膜反射鏡形成には、InNモル分率が最初のペアから最後のペアまで同一であれば良いため、例えば、成長条件をペア数に応じて積極的に変化させる手法で実現可能と考えた。
【0011】
次に、モデルに基づく計算とのフィッティングにより、GaN層とAlInN層とのペアを25ペア積層する多層膜反射鏡の結晶成長において、最初に積層したAlInN層のInNモル分率に対して、最後に積層したAlInN層のInNモル分率がどの程度増大したのかを見積もった。具体的には、AlInN層を積層する毎に、ある一定のInNモル分率が増大すると仮定して、GaN層とAlInN層とのペアを25ペア積層する多層膜反射鏡の結晶成長で得られた実験値のグラフにフィッティングするように計算を行い、InNモル分率の推移を求めた。
【0012】
詳しくは、1ペア目のAlInN層のInNモル分率は17.5%とし、AlInN層を1層成長する毎に0.05%増加させ、最終ペアである25ペア目のAlInN層のInNモル分率が18.75%になるというモデルを設定した。こうして計算した結果Calを、実験値Exと共にグラフにプロットすると、両者のグラフの傾きは極めてよく一致することが判明した(
図5参照。)。つまり、結晶成長が進行するにつれ、AlInN層におけるInNモル分率の増加は、我々が用いた装置において、25ペアでおよそ1%も増加していることがわかった。また、我々が用いた装置においては、このInNモル分率のおよそ1%の増加は、最終ペアである25ペア目のAlInN層における結晶成長温度が、最初のペアにおけるAlInN層の結晶成長温度よりも5℃も低い状態に相当することもわかった。我々が用いた装置では、成長温度が一定(840℃)になるようにPID制御を行っている。したがって、実際に結晶成長が進むことによってInNモル分率が増加する要因として、5℃も成長温度が低下しているからである、とは極めて考え難い状況であることも判明した。
【0013】
その場反り測定装置による測定結果とこの測定結果にフィッティングするように構築したモデルにより、GaN/AlInN多層膜反射鏡の成長において、結晶成長温度が等しくても、結晶成長が進むにつれてAlInN層のInNモル分率は次第に増加することがわかった。AlInN層のInNモル分率を最初に積層したAlInN層から最後に積層したAlInN層まで同じIn組成とするためには、InNモル分率を決める結晶成長温度又は原料を装置内に流入させる流量等の成長条件を結晶成長の進行に合わせて制御することが必要である。
【0014】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、良好な品質の窒化物半導体多層膜反射鏡を製造することができる窒化物半導体多層膜反射鏡の製造方法を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
第1発明の窒化物半導体多層膜反射鏡の製造方法は、
屈折率が互いに異なる第1層と第2層とを有するペアを複数積層し、前記第1層又は前記第2層のいずれか一方にInが含まれており、
先に積層された前記ペアにおける前記第1層又は前記第2層の内のInが含まれる層の結晶成長条件よりも、後に積層された前記ペアにおける前記第1層又は前記第2層の内のInが含まれる層の前記結晶成長条件をInの取り込みが減少するように変化させて積層することによって、各前記ペアにおける前記第1層又は前記第2層の内のInが含まれる層のInモル分率の差を抑える第1温度変更工程を実行することを特徴とする。
【0016】
第1発明の窒化物半導体多層膜反射鏡の製造方法は結晶成長条件をInの取り込みが減少するように変化させて積層することによって、窒化物半導体多層膜反射鏡におけるInが含まれる層同士のInモル分率の差が生じることを抑え、全体として良好な結晶品質の窒化物半導体多層膜反射鏡を製造することができる。
【0017】
第2発明の窒化物半導体多層膜反射鏡の製造方法は、
屈折率が互いに異なる第1層と第2層とを有するペアを複数積層し、前記第1層及び前記第2層の各々にInが含まれており、
先に積層された前記第1層の結晶成長条件よりも、後に積層された前記第1層の前記結晶成長条件をInの取り込みが減少するように変化させて積層することによって、各前記第1層のInモル分率の差を抑える第1温度変更工程と、
先に積層された前記第2層の前記結晶成長条件よりも、後に積層された前記第2層の前記結晶成長条件をInの取り込みが減少するように変化させて積層することによって、各前記第2層のInモル分率の差を抑える第2温度変更工程と、を備えており、
前記第1温度変更工程及び前記第2温度変更工程の少なくともいずれか一方を実行することを特徴とする。
【0018】
第2発明の窒化物半導体多層膜反射鏡の製造方法は、結晶成長条件をInの取り込みが減少するように変化させて積層することによって、窒化物半導体多層膜反射鏡におけるInが含まれる第1層同士及び第2層同士のInモル分率の差が生じることを抑え、全体としての歪を良好に抑えることができる。
【0019】
したがって、第1発明及び第2発明の窒化物半導体多層膜反射鏡の製造方法は良好な結晶品質の窒化物半導体多層膜反射鏡を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】その場反り測定装置によって得られるグラフ及びウエハの状態を示し、(A)はグラフの傾きが上向きの状態を示し、ウエハの状態が凹型の状態になることを示し、(B)はグラフの傾きがほぼ水平の状態を示し、ウエハの状態が反りのない平坦な状態になることを示し、(C)はグラフの傾きが下向きの状態を示し、ウエハの状態が凸型の状態になることを示す。
【
図2】最初のペアのAlInN層の結晶成長温度から最後のペアのAlInN層の結晶成長温度まで結晶成長温度が等しくなるように制御して、結晶成長温度を3種類(840℃、835℃、830℃)に変更して結晶を成長し、各々の結晶成長におけるウエハの曲率を測定した結果を示すグラフである。
【
図3】GaN層のみで結晶成長した際の曲率の測定結果と、GaN/AlInN多層膜反射鏡を結晶成長した際の曲率の測定結果とを比較したグラフである。
【
図4】InNモル分率が17.5%のモデルにおける曲率を計算により得た結果と、GaN/AlInN多層膜反射鏡の結晶成長において得られた曲率の測定結果とを比較したグラフである。
【
図5】最初のペアのAlInN層のInNモル分率を17.5%とし、AlInN層を1層成長する毎に0.05%増加させ、最終ペアである25ペア目のAlInN層のInNモル分率が18.75%になるというモデルにおける曲率を計算により得た結果と、GaN/AlInN多層膜反射鏡の結晶成長において得られた曲率の測定結果とを比較したグラフである。
【
図6】実施例1の窒化物半導体多層膜反射鏡の構成を示す模式図である。
【
図7】実施例1の窒化物半導体多層膜反射鏡の曲率の測定結果と、従来の方法(最初のペアから最後のペアまでのAlInN層10の結晶成長温度が等しくなるように結晶成長する方法)を用いて作製したサンプルの曲率の測定結果とを比較したグラフである。
【
図8】実施例1の窒化物半導体多層膜反射鏡のX線回折曲線と、従来の方法(最初のペアから最後のペアまでのAlInN層の結晶成長温度が等しくなるように結晶成長する方法)を用いて作製したサンプルのX線回折曲線とを比較したグラフである。
【
図9】実施例2の窒化物半導体多層膜反射鏡の構成を示す模式図である。
【
図10】1つのペアにおけるGaInN層、AlInN層の間にGaN層を1層積層して結晶成長した他の実施例の窒化物半導多層膜反射鏡の構造を示す模式図である。
【
図11】重なり合うペアの間にGaN層を1層積層して結晶成長した他の実施例の窒化物半導多層膜反射鏡の構造を示す模式図である。
【
図12】GaInN層、AlInN層の順に繰り返して積層して結晶成長した多層膜において、GaInN層、及びAlInN層が3層続けて積層される毎にGaN層を1層積層して結晶成長した他の実施例の窒化物半導多層膜反射鏡の構造を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明における好ましい実施の形態を説明する。
【0022】
第2発明の窒化物半導体多層膜反射鏡の製造方法は、第1層と第2層との間にInが含まれない第3層を少なくとも1層積層してもよい。
この構成によれば、第1層と第2層との間にInを含有しない第3層を積層することによって、Inを含む第1層や第2層を積層したことによって低下した結晶性を回復させることができる。
【0023】
第1発明及び第2発明の窒化物半導体多層膜反射鏡の製造方法は、ペアを複数積層する毎に、Inが含まれる層の結晶成長条件をInの取り込みが減少するように変化させ得る。
この構成によれば、各ペアを積層する毎に、Inが含まれる層の結晶成長条件をInの取り込みが減少するように変化させても良いが、使用する装置の制御性に応じて複数積層する毎に結晶成長条件を変化させることによって、Inが含まれる層の結晶成長を制御し易くすることができる。
【0024】
第1発明及び第2発明の窒化物半導体多層膜反射鏡の製造方法の結晶成長条件において、変化させる条件は結晶成長温度であり、先に積層されたペアの内のInが含まれる層の結晶成長温度よりも、後に積層されたペアの内のInが含まれる層の結晶成長温度を高くし得る。
この構成によれば、先に積層されたペアの内のInが含まれる層の結晶成長温度よりも、後に積層されたペアの内のInが含まれる層の結晶成長温度を高くし、先のペアよりも後のペアにおけるInの取り込み量を抑制することによって、窒化物半導体多層膜反射鏡におけるInが含まれる層同士のInモル分率の差が生じることを抑え、全体としての歪を良好に抑えることができる。
【0025】
第1発明及び第2発明の窒化物半導体多層膜反射鏡の製造方法の結晶成長条件において、変化させる条件はIn供給量であり、先に積層されたペアの内のInが含まれる層の形成におけるIn供給量よりも、後に積層されたペアの内のInが含まれる層の形成におけるIn供給量が少なくてもよい。
この構成によれば、先に積層されたペアの内のInが含まれる層の形成におけるIn供給量よりも、後に積層されたペアの内のInが含まれる層の形成におけるIn供給量を少なくし、先のペアよりも後のペアにおけるInの取り込み量を抑制することによって、窒化物半導体多層膜反射鏡におけるInが含まれる層同士のInモル分率の差が生じることを抑え、全体としての歪を良好に抑えることができる。
【0026】
次に、本発明の窒化物半導体発光素子とその製造方法を具体化した実施例1、2について、図面を参照しつつ説明する。
【0027】
<実施例1>
AlInN結晶等のInNモル分率は、結晶成長温度が比較的高い場合には低下し、結晶成長温度が比較的低い場合には上昇することが知られている。このため、結晶成長条件の1つである結晶成長温度を制御することによって、InNモル分率の増加を防ぐ方法を考えた。具体的には、後に結晶成長するAlInN層の結晶成長温度を先に結晶成長するAlInN層の結晶成長温度よりも高くすることによって、InNモル分率の増加を抑えるのである。
【0028】
具体的には、
図6に示すように、屈折率が互いに異なる第1層であるAlInN層10と第2層であるGaN層11とを有するペアPを25ペア積層する多層膜反射鏡の結晶成長を、5ペア結晶成長する毎にAlInN層の成長温度を1℃上昇させて実施例1のGaN/AlInN多層膜反射鏡のサンプル(以下、実施例1のサンプルともいう)の結晶成長を行った。AlInN層10はGaN層11よりも屈折率が低い。ここで、1ペア毎に結晶成長温度を0.2℃上昇させても良いが、本実施例に用いる結晶成長装置の成長温度制御の精度を考慮し、ここでは5ペア毎に1℃上昇させる手法を採用した。ペアPは、AlInN層10にInが含まれている。
詳しくは、横型MOCVD装置を用いて、c面サファイア基板S(以下、単に基板Sともいう)の表面に反射波長のピークを520nmとする25ペアのAlInN層10とGaN層11とによる窒化物半導体多層膜反射鏡を、AlInN層10の結晶成長温度をペア数増加に従って変化させて成長させる。
【0029】
具体的には、先ず、横型MOCVD装置の反応炉内に基板Sを投入する。そして、低温堆積バッファ層(図示せず)を形成した後に、基板Sの温度を1100℃にして、基板S上に厚さ2μmのu-GaN層30を結晶成長させる。次に、基板Sの温度を835℃まで降温してトリメチルアルミニウム(以下、TMAともいう)24μmol/min、トリメチルインジウム(以下、TMIともいう)36μmol/min、アンモニア(以下、NH3ともいう)4slm、及びキャリアガスとして窒素(以下、N2ともいう)を4slm流して厚さ60nmのAlInN層10を結晶成長させる。そして、基板Sの温度を1100℃まで昇温させてトリメチルガリウム(以下、TMGともいう)49μmol/min、NH34slm、及びキャリアガスとして水素(以下、H2ともいう)を15.5slm流して厚さ55nmのGaN層11を結晶成長させる。そして、AlInN層10及びGaN層11の成長を5回繰り返してトータル5ペア結晶成長させる。つまり、屈折率が互いに異なるAlInN層10とGaN層11とを有するペアPを複数積層する。
【0030】
次に、第1温度変更工程を実行する。具体的には、基板Sの温度を835℃より1℃昇温して836℃にして、厚さ60nmのAlInN層10を結晶成長させ、基板Sの温度を1100℃まで昇温させて厚さ55nmのGaN層11を結晶成長させる。そして、AlInN層10及びGaN層11の成長を5回繰り返してトータル5ペア結晶成長させる。AlInN層10の結晶成長の際の基板Sの温度を1℃昇温して836℃とした点を除き、他の条件は上記の成長条件と同じである。こうして、AlInN層10及びGaN層11を5ペア成長する毎にAlInN層10の結晶成長の際の基板Sの温度を1℃ずつ昇温して、最終的には基板Sの温度を839℃まで昇温し、AlInN層10及びGaN層11のペアPをトータル25ペア結晶成長する。こうして、実施例1のサンプルを作製する。
【0031】
つまり、ペアPを複数積層する毎に、AlInN層10の結晶成長条件である結晶成長温度をInの取り込みが減少するように変化させる。具体的には、先に積層されたAlInN層10の結晶成長温度よりも、後に積層されたAlInN層10の結晶成長温度を高くする。こうして、先に積層されたペアPにおけるAlInN層10の結晶成長条件よりも、後に積層されたペアPにおけるAlInN層10の結晶成長条件(結晶成長温度)をInの取り込みが減少するように変化させて積層することによって、各ペアPにおけるAlInN層10のInモル分率の差を抑える第1温度変更工程を実行する。
【0032】
こうして作製した実施例1のサンプルの曲率の測定結果と、従来の方法(最初のペアPから最後のペアPまでのAlInN層10の結晶成長温度が等しくなるように結晶成長する方法)を用いて作製したサンプル(以下、比較例1のサンプルともいう)の曲率の測定結果とを比較した(
図7参照。)。比較例1のサンプルの曲率の測定結果のグラフの傾きは経過時間に対して上方向に膨らむ曲線Cu6のようになっている。これに対して、実施例1のサンプルの曲率の測定結果のグラフの傾きはほぼ一定(すなわち直線になっている)の直線S6のようになっている。
【0033】
図8に示すように、実施例1のサンプルのX線回折曲線を従来のサンプルのX線回折曲線と比較すると、高次の回折ピークが明瞭になっていることがわかる(
図8における、楕円内の範囲に現れるピークである。)。つまり、本発明の窒化物半導体多層膜反射鏡の製造方法を実行することによって、最初のペアから最後のペアまで、より均一な多層構造を有する窒化物半導体多層膜反射鏡を形成し得ることがわかった。これにより、特に全体の層厚が厚くなる、緑~赤色などの長波長領域において高反射率を有する窒化物半導体多層膜反射鏡が実現できる。さらに、多層膜反射鏡構造において、より高精度の格子整合が達成されるため、この窒化物半導体多層膜反射鏡上に形成する活性層も、安定して高品質なものが得られる。
【0034】
このように、この窒化物半導体多層膜反射鏡の製造方法は結晶成長条件をInの取り込みが減少するように変化させて積層することによって、窒化物半導体多層膜反射鏡におけるInが含まれる層同士のInモル分率の差が生じることを抑え、全体として良好な結晶品質の窒化物半導体多層膜反射鏡を製造することができる。
【0035】
したがって、本発明の窒化物半導体多層膜反射鏡の製造方法は良好な結晶品質の窒化物半導体多層膜反射鏡を製造することができる。
【0036】
この窒化物半導体多層膜反射鏡の製造方法は、ペアPを複数積層する毎に、AlInN層10の結晶成長条件をInの取り込みが減少するように変化させる。
このため、各ペアPを積層する毎に、AlInN層10の結晶成長条件をInの取り込みが減少するように変化させても良いが、使用する装置の制御性に応じて複数積層する毎に成長条件を変化させることによって、Inが含まれる層の結晶成長を制御し易くすることもできる。
【0037】
この窒化物半導体多層膜反射鏡の製造方法の結晶成長条件において、変化させる条件は結晶成長温度であり、先に積層されたAlInN層10の結晶成長温度よりも、後に積層されたAlInN層10の結晶成長温度を高くする。
この構成によれば、先に積層されたAlInN層10の結晶成長温度よりも、後に積層されたAlInN層10の結晶成長温度を高くし、先のペアPよりも後のペアPにおけるInの取り込み量を抑制することによって、窒化物半導体多層膜反射鏡におけるAlInN層10同士のInモル分率の差が生じることを抑え、全体としての歪を良好に抑えることができる。
【0038】
<実施例2>
次に、実施例2の窒化物半導体発光素子とその製造方法について
図9を参照しつつ説明する。実施例2は、第1層と第2層のそれぞれにInが含まれる点、及び第1層を積層する際に第1温度変更工程を実行し、第2層を積層する際に第2温度変更工程を実行する点等が実施例1と異なる。同じ構成については、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
【0039】
実施例2の窒化物半導体発光素子は、
図9に示すように、屈折率が互いに異なる第1層であるAlInN層110と第2層であるGaInN層111とを有するペアP2を25ペア積層する多層膜反射鏡の結晶成長を、5ペア結晶成長する毎にAlInN層110及びGaInN層111の各々の結晶成長におけるc面サファイア基板S(以下、単に基板Sともいう)の温度を1℃上昇させて実施例2のGaInN/AlInN多層膜反射鏡のサンプル(以下、実施例2のサンプルともいう)の結晶成長を行った。ペアP2は、AlInN層110及びGaInN層111にInが含まれている。実施例2のサンプルは基板Sの表面に反射波長のピークを520nmとする25ペアのAlInN層110とGaInN層111とによる窒化物半導体多層膜反射鏡をAlInN層110及びGaInN層111の各々の結晶成長温度を成長位置によって変えて成長させる。
【0040】
具体的には、横型MOCVD装置を用いて、基板Sの表面に反射波長のピークを520nmとする25ペアのInNモル分率19%のAlInN層110とInNモル分率2%のGaInN層111とによる窒化物半導体多層膜反射鏡をAlInN層110の成長温度をペア数に応じて変化させて成長させる。AlInN層110はGaInN層111よりも屈折率が低い。
【0041】
先ず、横型MOCVD装置の反応炉内に基板Sを投入する。そして、低温堆積バッファ層(図示せず)を形成した後に、基板Sの温度を1100℃にして、基板S上に厚さ2μmのu-GaN層30を結晶成長させる。次に、基板Sの温度を835℃まで降温してTMA、TMI、NH3及びキャリアガスとしてN2を反応炉内に流入させてInNモル分率19%で厚さ59nmのAlInN層110を結晶成長させる。そして、基板Sの温度を850℃まで昇温させてTMG、TMI、NH3及びキャリアガスとしてN2を反応炉内に流入させてInNモル分率2%で厚さ55nmのGaInN層111を結晶成長させる。そして、AlInN層110及びGaInN層111の成長を5回繰り返してトータル5ペア結晶成長させる。つまり、屈折率が互いに異なるAlInN層110とGaInN層111とを有するペアP2を複数積層する。AlInN層110とGaInN層111とは各々にInが含まれている。
【0042】
次に、第1温度変更工程及び第2温度変更工程を実行する。具体的には、基板Sの温度を835℃より1℃昇温して836℃にして厚さ59nmのAlInN層110を結晶成長させ、基板の温度を850℃より1℃昇温して851℃にして厚さ55nmのGaInN層111を結晶成長させる。AlInN層110の結晶成長の際の基板Sの温度を1℃昇温して836℃とした点、及びGaInN層111の結晶成長の際の基板Sの温度を1℃昇温して851℃とした点を除き、他の条件は上記の成長条件と同じである。こうして、AlInN層110及びGaInN層111を5ペア成長する毎に、AlInN層110及びGaInN層111の各々の結晶成長させる際の基板Sの温度を1℃ずつ昇温して、最終的には基板Sの温度を839℃まで昇温してAlInN層110を結晶成長し、基板Sの温度を854℃まで昇温してGaInN層111を結晶成長し、ペアP2をトータル25ペア結晶成長する。こうして、実施例2のサンプルを作製する。
【0043】
こうして、先に積層されたAlInN層110の結晶成長条件よりも、後に積層されたAlInN層110の結晶成長条件をInの取り込みが減少するように変化させて積層することによって、各AlInN層110のInモル分率の差を抑える第1温度変更工程を実行する。そして、先に積層されたGaInN層111の結晶成長条件よりも、後に積層されたGaInN層111の結晶成長条件をInの取り込みが減少するように変化させて積層することによって、GaInN層111のInモル分率の差を抑える第2温度変更工程を実行する。
【0044】
このように、この窒化物半導体多層膜反射鏡の製造方法は、結晶成長条件をInの取り込みが減少するように変化させて積層することによって、窒化物半導体多層膜反射鏡におけるInが含まれるAlInN層110同士及びGaInN層111同士のInモル分率の差が生じることを抑え、全体として歪を良好に抑えることができる。
【0045】
したがって、この窒化物半導体多層膜反射鏡の製造方法も良好な結晶品質の窒化物半導体多層膜反射鏡を製造することができる。
【0046】
この窒化物半導体多層膜反射鏡の製造方法は、ペアP2を複数積層する毎に、AlInN層110及びGaInN層111の結晶成長条件をInの取り込みが減少するように変化させている。
この構成によれば、各ペアP2を積層する毎に、AlInN層110及びGaInN層111の結晶成長条件をInの取り込みが減少するように変化させても良いが、使用する装置の制御性の都合に応じて、複数積層する毎に結晶成長条件を変化させることによって、Inが含まれる層の結晶成長を制御し易くすることもできる。
【0047】
この窒化物半導体多層膜反射鏡の製造方法の結晶成長条件において、変化させる条件は結晶成長温度であり、先に積層されたペアP2のAlInN層110及びGaInN層111の結晶成長温度よりも、後に積層されたペアP2のAlInN層110及びGaInN層111の結晶成長温度を高くしている。
この構成によれば、先に積層されたペアP2のAlInN層110及びGaInN層111の結晶成長温度よりも、後に積層されたペアP2のAlInN層110及びGaInN層111の結晶成長温度を高くし、先のペアP2よりも後のペアP2におけるInの取り込み量を抑制することによって、窒化物半導体多層膜反射鏡におけるAlInN層110同士及びGaInN層111同士のInモル分率の差が生じることを抑え、全体としての歪を良好に抑えることができる。
【0048】
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例1及び2に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)実施例1では、AlInN層とGaN層とを5ペア積層する毎にAlInN層の結晶成長温度を変化させ、実施例2では、AlInN層とGaInN層とを5ペア積層する毎にAlInN層及びGaInN層の結晶成長温度を変化させて多層膜を成長したが、AlInN層やGaInN層の結晶成長温度を変えるタイミングは5ペア毎に限定されない。InNモル分率の増大を修正するタイミングは、5ペアより少ないペア数でも良いし多いペア数でも良い。ただし、少なすぎると装置における成長温度の制御性の問題が生じ、多すぎると結晶内の歪が増加する可能性がある。
(2)実施例1では、AlInN層の結晶成長温度を調整してAlInN層のInNモル分率の増大量1%を打ち消し、実施例2では、AlInN層及びGaInN層の結晶成長温度を調整してAlInN層やGaInN層のInNモル分率の増大量1%を打ち消したが、AlInN層の成長時のTMIの供給量を変えることでも対応可能である。具体的には、成長を進めるにつれてTMIの供給量を減少させてInNモル分率が増大することを抑えても良い。つまり結晶成長条件において、変化させる条件はIn供給量であり、先に積層されたAlInN層の形成におけるIn供給量よりも、後に積層されたAlInN層の形成におけるIn供給量を少なくする。
(3)実施例1及び2では成長用の基板としてサファイア基板を用いたが、GaN基板等の他の材質の基板を用いても良い。
(4)実施例2ではAlInN層及びGaInN層のそれぞれの結晶成長において第1温度変更工程及び第2温度変更工程を実行しているが、第1温度変更工程又は第2温度変更工程のいずれか一方のみを実行してもよい。
(5)実施例1では、AlInN層を第1層とし、GaN層を第2層としているが、GaN層を第1層とし、AlInN層を第2層としてもよい。また、実施例2では、AlInN層を第1層とし、GaInN層を第2層としているが、GaInN層を第1層とし、AlInN層を第2層としてもよい。
(6)実施例2では、AlInN層とGaInN層とが積層されているが、AlInN層とGaInN層との間にInを含まない第3層(例えば、AlGaN層やGaN層)を少なくとも1層積層してもよい。例えば、
図10に示すように、第3層としてGaN層112を1つのペアP2におけるAlInN層110とGaInN111との間に積層したり、
図11に示すように、GaN層112を重なり合うペアP2の間に積層したり、
図12に示すように、GaN層112をAlInN層110及びGaInN層111が3層続けて積層される毎に1層積層しても良い。また、GaN層に替えてAlGaN層としてもよい。
【符号の説明】
【0049】
10,110…AlInN層(第1層)
11…GaN層(第2層)
111…GaInN層(第2層)
112…GaN層(第3層)
P,P2…ペア