(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-21
(45)【発行日】2023-09-29
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20230922BHJP
【FI】
A63F7/02 320
(21)【出願番号】P 2019156054
(22)【出願日】2019-08-28
【審査請求日】2021-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】湯川 強
(72)【発明者】
【氏名】木村 裕一
【審査官】遠藤 孝徳
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-155676(JP,A)
【文献】特開2019-88641(JP,A)
【文献】特開2005-312836(JP,A)
【文献】特開2019-97627(JP,A)
【文献】特開2019-129981(JP,A)
【文献】特開2019-136362(JP,A)
【文献】特開2019-72018(JP,A)
【文献】特開2019-92699(JP,A)
【文献】特開2019-88590(JP,A)
【文献】特開2019-129992(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入賞口への遊技球の入賞に応じた賞球を遊技者が取得可能であると共に、予め設定された判定条件の成立に基づいて行われる当否判定で当りとなったことに起因して、通常より多くの前記賞球を取得可能な特別遊技が実行されると共に、前記特別遊技の実行され易さが異なる複数の遊技状態に変化する遊技機において、
前記特別遊技の終了時に、前記特別遊技の終了を示唆又は報知する報知画面を表示する報知画面表示手段と、
遊技を制御するための複数の制御データを記憶した制御データ記憶手段と、
前記複数の制御データから1つを有効制御データに設定し、その有効制御データを使用して遊技を制御する遊技制御部と、を備え、
前記報知画面表示手段は、前記複数の制御データのうち遊技者にとって最も不利ではない制御データが前記有効制御データに設定されていることを条件にして、前記特別遊技の終了後に最も不利な前記遊技状態に変化する場合に、前記最も不利ではない制御データが前記有効制御データに設定されていることを示唆する情報を有益情報として前記報知画面に含めて表示し、最も不利ではない前記遊技状態に変化する場合には、前記最も不利ではない制御データが前記有効制御データに設定されていることではなく、最も不利ではない前記遊技状態に変化することを有益情報として表示する遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、遊技を演出するための演出が行われる遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、大当り遊技や確変状態等から遊技状態が変化する時に演出が行われる遊技機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-035664号公報(段落[0053]、[0174])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の遊技機では、遊技状態が変化するときに行われる演出について、趣向性の向上が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた請求項1の発明は、入賞口への遊技球の入賞に応じた賞球を遊技者が取得可能であると共に、予め設定された判定条件の成立に基づいて行われる当否判定で当りとなったことに起因して、通常より多くの前記賞球を取得可能な特別遊技が実行されると共に、前記特別遊技の実行され易さが異なる複数の遊技状態に変化する遊技機において、前記特別遊技の終了時に、前記特別遊技の終了を示唆又は報知する報知画面を表示する報知画面表示手段と、遊技を制御するための複数の制御データを記憶した制御データ記憶手段と、前記複数の制御データから1つを有効制御データに設定し、その有効制御データを使用して遊技を制御する遊技制御部と、を備え、前記報知画面表示手段は、前記複数の制御データのうち遊技者にとって最も不利ではない制御データが前記有効制御データに設定されていることを条件にして、前記特別遊技の終了後に最も不利な前記遊技状態に変化する場合に、前記最も不利ではない制御データが前記有効制御データに設定されていることを示唆する情報を有益情報として前記報知画面に含めて表示し、最も不利ではない前記遊技状態に変化する場合には、前記最も不利ではない制御データが前記有効制御データに設定されていることではなく、最も不利ではない前記遊技状態に変化することを有益情報として表示する遊技機である。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の遊技機では、特別遊技終了時に、特別遊技の終了を示唆又は報知する報知画面を表示する。その際、特別遊技終了後に通常より有利な状態となる場合は、特別遊技終了後、通常より有利になるという情報が報知画面に表示されるので、趣向性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図6】遊技の制御データの設定について示すブロック図
【
図9】第1実施形態における報知画面設定処理のフローチャート
【
図12】第2実施形態における報知画面設定処理のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0016】
[第1実施形態]
図1に示すように、本実施形態の遊技機10はパチンコ遊技機であって、前面に備えたガラス窓10Wを通して遊技板11の遊技領域R1が視認可能になっている。なお、以下の説明において、特記しない限り「右」及び「左」とは、遊技機10を前方から見た場合の「右」及び「左」を指すものとする。
【0017】
ガラス窓10Wの下方には、上皿26及び下皿27が上下2段にして設けられ、下皿27の右側に操作ノブ28が備えられている。そして、操作ノブ28を回動操作すると、上皿26内の遊技球が遊技領域R1に打ち込まれる。
【0018】
図2に示すように、遊技板11のうち遊技領域R1の中央には、表示窓10Hが貫通形成され、この表示窓10Hを通して、表示画面30が前方に臨んでいる。
【0019】
表示窓10Hの開口縁には、表示装飾枠23が取り付けられている。表示装飾枠23は、遊技板11の前面側から表示窓10Hに嵌め込まれて遊技板11の前面から突出し、遊技領域R1を流下する遊技球が表示装飾枠23の内側に進入することを規制している。また、遊技領域R1は、表示装飾枠23の左方向が左側流下領域Ra、右方向が右側流下領域Rb、下方向が下部流下領域Rcとに分かれている。そして、操作ノブ28の操作により、遊技球を左側流下領域Raに流下させる左打ちを行うか、右側流下領域Rbに流下させる右打ちを行うかを、打ち分けることができる。
【0020】
右側流下領域Rbには、上から順番に、始動ゲート18、一般入賞口18A、サブ大入賞口18Bが設けられている。
【0021】
下側流下領域Rcの左右方向の中央部には、第1の始動入賞口14A、第2の始動入賞口14B及びアウト口16が、上から順に並べて設けられている。また、サブ大入賞口18Bの下方である下部流下領域Rcにおける右側部分に、メイン大入賞口15が設けられている。
【0022】
始動ゲート18は、遊技球が内側を通過可能な構造をなし、一般入賞口18A及び第1の始動入賞口14Aは、上方に向かって常時開口した、所謂、ポケット構造をなしている。
【0023】
第2の始動入賞口14Bは、右側方に向かって開口し、通常は開閉扉14Tによって閉塞されている。そして、始動ゲート18を遊技球が通過するたびに行われる当否判定(以下、これを「普図判定」という)で当りになると、開閉扉14Tが所定期間に亘って開き、遊技球が入賞可能となる。
【0024】
メイン大入賞口15は、前方に開口した横長矩形状を有し、開閉扉15Tによって通常は閉塞されている。
【0025】
サブ大入賞口18Bは、遊技板の前面に向かって開放し、開閉扉18Tによって通常閉塞されている。サブ大入賞口18Bの内部には、図示しない、V確定口と通常口が設けられており、サブ大入賞口18Bに入球した遊技球の多くはV確定口を通過するが、稀にV確定口を通過しなかった遊技球は通常口を通過し、遊技板11の後側に取り込まれる。
【0026】
第1及び第2の始動入賞口14A,14Bへの入賞に応じて行われる当否判定(以下、「これを「特図判定」という)で大当りになると、後述する大当り遊技が実行されてメイン大入賞口15又はサブ大入賞口18Bの何れかが開く。本実施形態の遊技機10では、第1の始動入賞口14Aに遊技球が入賞した場合に発生する特図判定権を第1の当否判定権、第2の始動入賞口14Bに遊技球が入賞した場合に発生する特図判定権を第2の当否判定権とする。
【0027】
第1及び第2の始動入賞口14A,14B、一般入賞口18A、メイン大入賞口15及びサブ大入賞口18Bに遊技球が入賞する度に、図示しない払出装置から賞球としての所定複数の遊技球が下皿27に払い出される。具体的には、第1及び第2の始動入賞口14A,14B、一般入賞口18Aに関しては、遊技球の1つの入賞に対して4球の遊技球が下皿27に払い出され、メイン大入賞口15及びサブ大入賞口18Bに関しては、1つの入賞に対して15球の遊技球が下皿27に払い出される。
【0028】
普図判定及び特図判定の結果の報知は、表示画面30に表示される。普図判定の判定結果に関しては、例えば、1~9の数字からなる普
図13Yを奇数と偶数とに交互に切り替えて
図2に示した表示画面30の下側角部に表示した後に停止表示して、そのときの普
図13Yが奇数か偶数かによって当りか否かが報知される。
【0029】
特図判定の判定結果の報知に関しては、それぞれが1~9の数字からなる3つの特
図13Zが表示画面30に横並びにされて上下にスクロール表示した後に停止表示し、その時の特
図13Zの図柄組合せがゾロ目であれば「当り」、ゾロ目以外であれば「外れ」として報知される。また、特図判定は、上記したように第1又は第2の始動入賞口14A,14Bに遊技球が入賞する度に行われるが、特
図13Zを表示画面30に変動表示中、又は、次述する大当り遊技中に第1又は第2の始動入賞口14A,14Bに遊技球が入賞した場合には、その入賞によって発生する特図判定が行われる権利(以下、これを「特図判定権」という)が、第1又は第2の始動入賞口14A,14Bの何れに入球したかに関係なく特図判定権が発生した順に最大4つまで保留される。そして、特
図13Zの変動表示中ではなくかつ、大当り遊技中でないという条件が成立したときに、保留されていた特図判定権が1つずつ、発生順(古い順)に使用されて、新たに特
図13Zの変動表示が開始される。
【0030】
特図判定の判定結果がゾロ目、即ち、当りになると、複数のラウンド遊技を連ねてなる大当り遊技が実行される。ここで、メイン又はサブの大入賞口15,18Bの何れか一方を開いてから閉じるまでの間が1つのラウンドであり、各ラウンド中の遊技がラウンド遊技である。本実施形態のパチンコ遊技機10の大当り遊技は、16ラウンドで構成された16ラウンド大当り遊技であり、各ラウンド毎にメイン又はサブの大入賞口15,18Bの何れか一方のみが開放状態になる。
【0031】
図3には、遊技機10の電気的な構成が示されている。同図において、符号50は、主制御回路50であって、CPU50A、RAM50B、ROM50C及び複数のカウンタを備えたマイクロコンピュータと、該マイクロコンピュータとサブ制御回路52を結ぶ入出力回路と、大入賞装置等が接続された中継回路等を結ぶ入出力回路とを備え、遊技に関わる主制御を行う。CPU50Aは、当否判定部、制御部、演算部、各種カウンタ、各種レジスタ、各種フラグ等を備え、遊技状態の制御や演算制御を行う他、特図判定や普図判定に関する乱数等も生成し、制御信号をサブ制御回路52等へ出力(送信)可能に構成されている。RAM50Bは、CPU50Aで生成される各種乱数値用の記憶領域、各種データを一時的に記憶する記憶領域やフラグ、CPU50Aの作業領域を備える。ROM50Cには、制御データ、特別図柄13Z及び普通図柄13Yの変動表示に関する図柄変動データ等が書き込まれている他、特図判定及び普図判定の判定値、大当り遊技のラウンド数等が書き込まれている。
【0032】
サブ制御回路52は、主制御回路50と同様に、CPU52A、RAM52B、ROM52C及び複数のカウンタを備えたマイクロコンピュータと、該マイクロコンピュータと主制御回路50を結ぶ入出力回路と、表示制御回路54、音声制御回路55等を結ぶ入出力回路を備えている。CPU52Aは、制御部、演算部、各種カウンタ、各種レジスタ、各種フラグ等を備え、演算制御を行う他、制御信号を表示制御回路54等へ出力(送信)可能に構成されている。RAM52Bは、各種データの記憶領域とCPU52Aによる作業領域を有している。ROM52Cには、各種演出のデータ等が記憶されている。
【0033】
表示制御回路54は、表示装置に設けられていて、CPU、RAM及びROMを有している。表示制御回路54のCPUは、サブ制御回路52から出力される制御信号に基づき、画像データをROMから取得し、その画像データに基づいて表示画面30に画像を表示する。この表示制御回路54と表示画面30が本発明に係る「報知画面表示手段」に相当する。
【0034】
本実施形態の遊技機10では、第1の当否判定権を使用した特図判定の大当りには、「特典付き大当り」と「特典無し大当り」との2種類があり、第2の当否判定権を使用した特図判定の大当りには、「特典付き大当り」のみがある。つまり、第2の当否判定権を使用した特図判定の大当り(即ち、第2の始動入賞口14Bに入賞したときの大当り)で、「特典付き大当り」になる確率は100%である。これに対し、第1の当否判定権を使用した特図判定の大当り(即ち、第1の始動入賞口14Aに入賞したときの大当り)で、「特典付き大当り」になる確率は、例えば、20%、「特典無し大当り」になる確率は80%に設定されている。
【0035】
上記した何れの大当りであっても、大当り遊技が実行されると、メイン大入賞口15又はサブ大入賞口18Bが開放状態となる。前述したように、本実施形態の大当り遊技は16ラウンドで構成される16ラウンド大当り遊技であり、1ラウンド毎にメイン大入賞口15又はサブ大入賞口18Bの何れかが開放状態となる。また、メイン及びサブの大入賞口15,18Bは、開放してから、開放時間が規定開放時間である30秒に達したか、又は、入賞数が上限入賞数である10球に達したかの何れか一方が成立したときに直ちに閉鎖するようになっている。そして、メイン及びサブの大入賞口15,18Bに遊技球が1つ入賞するごとに、前述の如く15球の賞球が排出されるので、1ラウンドの消化により遊技者が獲得可能な最大の賞球数は150球(=10×15)である。但し、メイン及びサブの大入賞口15,18Bへの10球目の入賞球が検出されてから扉15,18Tが閉じるまでの間に、11球目以降の遊技球が入賞することもあり、その場合には、11球目以降の入賞分の賞球も払い出される。
【0036】
大当り遊技中に開放されるメイン大入賞口15又はサブ大入賞口18Bに遊技球を入賞させ、より多くの賞球を獲得するには、大当り遊技中は右打ちを行う必要がある。大当り中のサブ大入賞口18Bが開放するラウンドにおいて、「特典付き大当り」の場合、例えば、1秒間の開放を複数回繰り返すので、普通に右打ちを行っていればサブ大入賞口18Bに遊技球が入球するが、「特典無し大当り」では、例えば、1秒間の開放を1回のみ行うように設定されているため、右打ちを行っても通常はサブ大入賞口18Bに遊技球が入賞しない。即ち、「特典無し大当り」の大当り遊技中に、遊技球がV確定口に入球することは実質的にない。
【0037】
本実施形態の遊技機10では、特図判定の当りには、大当り遊技後に特図判定で大当りとなる確率について、大当りとなる確率が通常時より高い「確変状態」と、大当りとなる確率が通常通りの「通常状態」とが設けられている。また、大当り遊技後に、通常状態に比べて普図判定の判定結果を報知する時間が短くなり(例えば、3秒)、普図判定で当りとなったときに第2の始動入賞口14Bが開放される時間が通常状態よりも長くなる、「時短状態」となる場合がある。
【0038】
遊技機10では、大当りを契機にして遊技状態が切り替わる。そして、大当り遊技後に「確変状態」や「時短状態」となるか否かは、大当り遊技中にサブ大入賞口18Bの内部に設けられたV確定口に遊技球が入球したか否かによって確定される。具体的には、
図4に示すように、第1の当否判定権か第2の当否判定権かに係わらず、「特典付き大当り」となった場合には、その大当り遊技中にV確定口に遊技球が入球すれば、その大当り遊技後に「確変状態」でかつ「時短状態」(即ち、確変時短状態)となり、V確定口に遊技球が入球しなければ、「確変状態」ではない「時短状態」(即ち、非確変時短状態)になる。また、「特典無し大当り」となった場合には、その大当り遊技中にV確定口に遊技球が入球すれば、その大当り遊技後に「時短状態」ではない「確変状態」(即ち、確変非時短状態)になり、V確定口に入球しなければ、「確変状態」ではなく「時短状態」でもない「非確変非時短状態」(即ち、通常状態)になる。ただし、「時短状態」は、大当り遊技の終了後に使用される判定権利の数が規定上限数(例えば、100回)に達するか、或いは、その時短状態中に特図判定で大当りとなり、大当り遊技が実行された場合に終了する。
【0039】
上記のことから、本実施形態の遊技機10の大当り遊技以外の遊技の状態として、確変時短遊技、確変非時短遊技、非確変時短遊技、通常遊技の4種類の遊技の状態がある。遊技の状態の制御は、主制御回路50によって行われる。なお、本実施形態では、「確変時短状態」で行われる確変時短遊技が、本発明に係る「特別遊技」に相当する。
【0040】
本実施形態の遊技機10で、より多くの賞球を獲得するには、通常遊技では第2始動入賞口14Bの開閉扉14Tが開放し難いため、第1の始動入賞口14Aを狙った左打ちを行うことが好ましい。また、遊技の状態が「確変状態」や「時短状態」になった場合は、特図判定及び普図判定で当りになる確率が高くなり、普図判定の当りによる第2の始動入賞口14Bの開閉扉14Tが開放される時間が通常より長くなる。このことから、第2の始動入賞口14Bを狙った右打ちを行うことが好ましく、第2の始動入賞口14Bへの入賞による特図判定では100%の確率で「特典付き当り」となるため、確変状態を長く続かせ、より多くの賞球を獲得することが可能になる。
【0041】
本実施形態の遊技機10では、
図5に示すように、特図判定で大当りとなる確率について、通常状態の大当りとなる確率と高確率状態(即ち、確変状態)の大当りとなる確率とがそれぞれ異なる6種類が設けられ、「設定1」から「設定6」に進みにつれて、通常状態の大当りとなる確率と確変状態の大当りとなる確率とが共に高くなっている。遊技ホールの管理者は、図示しない、遊技板11の裏側に配された設定変更スイッチを操作し、「設定1」から「設定6」の中から1つを現状の設定として任意に選択可能となっている。
【0042】
具体的には、
図6に示すように、遊技ホールの管理者が設定変更スイッチ60を操作すると、設定変更部61が、制御データ記憶部63に記憶された通常状態の大当りとなる確率と高確率状態の大当りとなる確率の複数の制御データ(63a~63f)の中から設定変更スイッチ60によって選択された1つの制御データを選択し、選択された制御データの設定を使用して遊技制御部62が遊技を制御する。この制御データ記憶部63が本実施形態の「制御データ記憶手段」に相当、遊技制御部62が「遊技制御部」に相当する。
【0043】
ところで、本実施形態の遊技機10では、確変時短遊技終了時に、表示画面30に確変時短遊技が終了することを示唆又は報知する報知画面を表示する。この報知画面は、確変時短遊技の終了後に通常より有利な状態となる場合には、確変時短遊技中に獲得した賞球数の情報は表示されず、確変時短遊技後に通常よりも有利になるという情報が表示される。
【0044】
具体的には、確変時短遊技中に特図判定で当たりとなり、この当りを契機に遊技状態が確変時短遊技から切り替わるとき、この大当り遊技中に第1又は第2の始動入賞口14A,14Bへの遊技球の入球によって特図判定権が保有された保留権が発生し、この保留権の中に大当りがある場合には、確変時短遊技の終了時に、
図7の(A)に示されるように、イルカが海面をジャンプする画像と「大当り濃厚」の文字が含まれる「大当り濃厚画面」が表示される。
【0045】
また、確変時短遊技中に行われた特図判定で「特典無し大当り」となり、その大当り遊技中に遊技球がV確定口に入賞し、大当り遊技後に時短状態が終了する場合、又は、時短遊技状態となってから特図判定が100回行われ時短状態が終了する場合には、大当り遊技後の遊技状態、又は、大当り遊技後の遊技状態、又は、特図判定が100回終了した後の遊技状態は確変時短遊技状態から時短状態でない確変状態、即ち、確変非時短遊技状態へと切り替わる。このように、時短状態ではなくなるが、確変状態であることは変わらない場合には、
図7の(B)に示すように、イカの画像と「確変モード継続」の文字が含まれ、確変状態が継続することを示唆する「確変継続画面」が表示される。
【0046】
次に、本実施形態の遊技機10では、大当りとなる確率は通常状態と高確率状態とで、それぞれ異なる「設定1」から「設定6」の6種類が設けられ、予め遊技ホールの管理者によってその中から何れか1つが選択されている。「設定1」では、非確変状態の大当り確率が1/300、確変状態の大当り確率が1/75であるのに対し、「設定6」では、非確変状態の大当り確率が1/200、確変状態の大当り確率が1/50まで上昇している(
図4参照)。このように、6種類のうち、「設定1」に比べて他は遊技者にとって有利な設定となっている。遊技機10の大当りとなる確率が「設定2」から「設定6」の何れかに設定されているとき、
図9に示すように、海の中にタコがいる画像と確変時短遊技が終了することを示唆する「チャンスタイム終了」の文字が含まれる「設定示唆画面」が表示される。確変時短遊技の終了時に「設定2」から「設定6」の何れの設定になっているかは、例えば、タコの色が虹色なら設定6濃厚、金色なら設定5以上濃厚、銀色なら設定4以上濃厚、銅色なら設定3以上濃厚、赤色なら設定2以上濃厚とタコの色によって示唆する。なお、背景の色の変化やタコの数等で示唆してもよい。
【0047】
また、確変時短遊技が終了した後、遊技状態が確変状態でも時短状態でもなく、特図判定の保留権もなく、保留権はあるが保留権に大当りが含まれず、遊技機10の大当りになる確率の設定が「設定1」であるような、確変時短遊技の終了後に遊技者にとって有利な状態とならない場合には、確変時短遊技が終了することを示唆する「チャンスタイム終了画面」が表示される。「チャンスタイム終了画面」は、
図8の(B)に示すように、表示画面30の右端に確変時短遊技中に獲得した賞球数の情報が表示され、海の中の画像と「チャンスタイム終了」の文字とが含まれる画像が表示される。
【0048】
図9には、遊技機10において、確変時短遊技終了時に報知画面を表示するときにサブ制御回路52が実行する報知画面設定処理S10が示されている。確変時短遊技状態終了時に行われる報知画面設定処理S10では、時短状態となってから行われた特図判定の回数が100回以下であるか否かが判断される(S11)。100回以下である場合(S11でYES)、特図判定の判定結果が大当りであるか否かが判断される(S12)。大当りでない場合(S12でNO)には、報知画面設定処理S10を終了し、大当りである場合(S12でYES)、その大当り遊技中にV確定口に入賞したか否かが判断される(S13)。V確定口に入賞した場合(S13でYES)、及び、時短状態となってから特図判定の回数が100回以下でない場合(S11でNO)には、報知画面として「確変継続画面」を表示画面30に表示し(S14)、報知画面設定処理S10を終了する。
【0049】
大当り遊技中にV確定口に入賞しなかった場合(S13でNO)、特図判定権が保留された保留権があるか否かが判断される(S15)。保留権がある場合(S15でYES)、保留権の中に大当りがあるか否かが判断され(S16)、保留権の中に当りがある場合(S16でYES)、「大当り濃厚画面」を表示し(S17)、報知画面設定処理S10を終了する。
【0050】
特図判定権が保留された保留権がない場合(S15でNO)、又は、保留された保留権の中に大当りがない(S16でNO)場合には、遊技機10の大当りとなる確率の現状の設定が「設定1」であるか否かが判断される(S18)。「設定1」である場合(S18でYES)、「チャンスタイム終了画面」を表示し(S19)、「設定1」でない場合(S18でNO)、「設定示唆画面」を表示し(S20)、報知画面設定処理S10を終了する。
【0051】
以上が、確変時短遊技終了時に報知画面を表示するときにサブ制御回路52が実行する報知画面設定処理S10の説明である。なお、本実施形態では、サブ制御回路52と表示制御回路54とが、本発明の「報知画面表示手段」に相当する。
【0052】
本実施形態の遊技機10の構成に関する説明は以上である。次に、遊技機10の作用効果について説明する。
【0053】
本実施形態の遊技機10では、遊技の状態に確変時短遊技、確変非時短遊技、非確変時短遊技、通常遊技の4種類があり、このうち、遊技者がより多くの賞球を獲得することが可能である確変時短遊技の終了時に、確変時短遊技が終了することを示唆又は報知する報知画面を表示画面30に表示する。この報知画面は、確変時短遊技の終了後、遊技者にとって通常よりも有利になる場合には、獲得した賞球数を含めず、確変時短遊技終了後の遊技者にとって有利な状態に係る情報を含んでいる。
【0054】
確変時短遊技の終了後に、時短状態ではなくなるが、確変状態は継続する場合には、報知画面に、獲得した賞球数を含めず、確変状態が引き続き継続することを示唆する「確変継続画面」を表示する。
【0055】
また、遊技状態の切替は大当りを契機に実行されるため、大当り遊技後に確変時短遊技から遊技状態が切り替わることがある。このとき、大当り遊技中に保留された特図判定権の中に大当りが含まれている場合には、報知画面に、獲得した賞球数を含めず、保留権の中に大当りが含まれていることを示唆する「大当り濃厚画面」を表示する。
【0056】
遊技機10は、大当りとなる確率が通常時と高確率時で異なる6種類の中から1つを、ホール管理者が予め現状の設定として選択している。その現状の設定が、6種類のうち、通常時の大当りとなる確率と高確率時の大当りとなる確率とが共に1番低確率である「設定1」以外の「設定2」から「設定6」の何れかである場合には、報知画面に、獲得した賞球数を含めず、大当りとなる確率が「設定1」以外であることを示唆する「設定示唆画面」を表示する。
【0057】
以上のことから、確変時短遊技が終了時の報知画面に、確変時短遊技中に獲得した賞球数についての情報が含まないので、遊技者に通常と異なるという違和感を与える。さらに、遊技者にとって通常より有利な状態である確変時短遊技は終了してしまうが、確変時短遊技終了後に通常より有利になるという情報が表示されるので、通常とは異なるという感覚が増して、従来の報知画面より趣向性が向上する。
【0058】
[第2実施形態]
本実施形態の遊技機10は、第1実施形態の遊技機10の変形例である。第1実施形態では、確変時短遊技が本発明に係る「特別遊技」に相当していたのに対し、本実施形態では、大当り遊技が本発明に係る「特別遊技」に相当するという点が異なる。そのため、第1実施形態では、確変時短遊技終了時に、表示画面30に確変時短遊技が終了することを示唆又は報知する報知画面を表示していたのに対し、本実施形態では、大当り遊技終了時に、大当り遊技が終了することを示唆又は報知する報知画面を表示する。
【0059】
具体的には、本実施形態の遊技機10の大当り遊技は、第1実施形態と同様に16ラウンドで構成された16ラウンド大当り遊技であり、16ラウンド大当り遊技が終了する毎に、大当り遊技が終了することを示唆又は報知する報知画面を表示する。この報知画面は、大当り遊技終了後に通常より有利な状態となる場合には、大当り遊技中に獲得した賞球数の情報は表示されず、大当り遊技終了後に通常よりも有利な状態になるという情報が表示される。なお、大当り遊技が連続して実行される場合には、連続した大当り遊技の最後の大当り遊技終了時に報知画面を出してもよい。
【0060】
大当り遊技中にサブ大入賞口18Bの内部に設けられたV確定口(図示しない)に遊技球が入賞したとき、大当り遊技後の遊技の状態は確変状態となる。この大当り遊技が実行される前の遊技の状態が確変状態でなかったとき、「確変突入画面」が表示される。「確変突入画面」は、
図10の(A)に示すように、イカの画像と「確変モード突入」の文字が含まれ、大当り遊技後に遊技の状態が切り替わり確変状態になることを示唆している。また、この大当り遊技が実行される前の遊技の状態が確変状態であった場合には、
図7の(B)に示すように、「確変継続画面」が表示される。
【0061】
大当り遊技後の遊技状態は確変状態ではないが、この大当りが特典付き大当りであった場合には、大当り遊技後の遊技状態は時短状態となる。このとき、大当り遊技が実行される前の遊技の状態が時短状態であった場合には、「時短継続画面」が表示される。「時短継続画面は
図10の(B)に示すように、クラゲの画像と「時短モード継続」の文字が含まれ、時短状態が継続することを示唆している。また、大当り遊技が実行される前の遊技の状態が時短状態でなかった場合には、「時短突入画面」が表示される。「時短突入画面」は
図11の(A)に示すように、クラゲの画像と「時短モード突入」の文字が含まれ、大当り遊技後に遊技の状態が切り替わり、時短状態になることを示唆している。
【0062】
大当り遊技中に第1又は第2の始動入賞口14A,14Bへの遊技球の入賞により、特図判定権が保有された保留権があり、その保留権の中に大当りがある場合には、大当り遊技終了時に、
図7の(A)に示される、「大当り濃厚画面」が表示される。
【0063】
大当りとなる確率が通常状態と高確率状態でそれぞれ異なる「設定1」から「設定6」まで6種類が設けられ、予め遊技ホールの管理者によってその中から何れか1つが選択されている。この6種類のうち、「設定1」に比べて他は遊技者にとって有利な設定となっている。遊技機10の大当りとなる確率が「設定2」から「設定6」の何れかに設定されているとき、
図8に示されるように、大当り遊技後に何れの設定になっているかを示唆する「設定示唆画面」が表示される。「設定示唆画面」に表示されるタコの色が、虹色なら設定6濃厚、金色なら設定5以上濃厚、銀色なら設定4以上濃厚、銅色なら設定3以上濃厚、赤色なら設定2以上濃厚というように現状の設定によって変化する。
【0064】
また、大当り遊技が終了した後の遊技状態が確変状態や時短状態ではない通常状態であり、保留権に当りがなく、遊技機10の大当りになる確率の設定が「設定1」である場合には、
図11の(B)に示すように、海の中の画像と、大当り遊技中に獲得した賞球数の情報が含まれる「大当り終了画面」が表示される。
【0065】
図12には、本実施形態の遊技機10において、大当り遊技終了時に報知画面を表示するときにサブ制御回路52が実行する報知画面設定処理S20が示されている。大当り遊技終了時に行われる報知画面設定処理S20では、大当遊技中にV確定口への入賞があったか否かが判断される(S21)。V確定口への入賞があった場合(S21でYES)、大当り遊技前の遊技の状態が確変状態であったか否かが判断され(S22)、確変状態であった場合(S22でYES)には、「確変継続画面」を表示し(S23)、確変状態でなかった場合(S22でNO)には、「確変突入画面」を表示し(S24)、報知画面設定処理S20を終了する。
【0066】
大当遊技中にV確定口への入賞がなかった場合(S21でNO)、この大当り遊技の大当りが特典付き大当りであったか否かが判断され(S25)、特典付き大当りであった場合(S25でYES)には、この大当り遊技の前の遊技状態が時短状態であったか否かが判断される(S26)。時短状態であった場合(S26でYES)には、「時短継続画面」を表示し(S27)、時短状態でなかった場合(S26でNO)には、「時短突入画面」を表示し(S28)、報知画面設定処理S20を終了する。
【0067】
大当遊技中にV確定口への入賞がなく(S21でNO)、大当り遊技の大当りが特典付き大当りでなかった場合(S25でYES)には、
大当り遊技中に特図判定権が保留された保留権があるか否かが判断される(S29)。保留権がある場合(S29でYES)、保留権の中に当りがあるか否かが判断され(S30)、保留権球の中に当りがある場合(S30でYES)には、「大当り濃厚画面」を表示し(S31)、報知画面設定処理S20を終了する。
【0068】
特図判定権が保留された保留権がない場合(S29でNO)、又は、保留権の中に当りがない場合(S30でNO)、遊技機10の大当りとなる確率の現状の設定が「設定1」であるか否かが判断される(S32)。「設定1」である場合(S32でYES)には、「大当り終了画面」を表示し(S33)、「設定1」でない場合(S32でNO)には、「設定示唆画面」を表示し(S34)、報知画面設定処理S20を終了する。
【0069】
このように、本実施形態の遊技機10によれば、大当り遊技終了時に、大当り遊技が終了したことを示唆する報知画面を表示して、大当り遊技が終了したということを遊技者に認識させることができる。
【0070】
大当り遊技後の遊技の状態が遊技者にとって通常より有利な状態となるときに表示される報知画面には、獲得した賞球数を含めず、大当り遊技後に通常より有利であることという情報を表知画面に表示する。報知画面が表示されたことにより、より多くの賞球を獲得できる大当り遊技が終了したのに、大当り遊技中に獲得した賞球数が表示されず遊技者に違和感を与え、さらに、大当り遊技終了後に有利な状態となる場合には、遊技者にとって有利となる情報が示唆又は報知されて違和感が増すため、大当り遊技後の報知画面の趣向性が向上する。
【0071】
[他の実施形態]
(1)上記実施形態では、特別遊技の終了後に遊技者にとって通常より有利な状態にならない場合、特別遊技の終了後に表示する報知画面に特別遊技中に獲得した賞球数の情報を表示していたが、賞球数の情報を表示しなくてもよい。
【0072】
(2)上記実施形態とは別に、大当りとなる確率は6種類以外の複数種類又は1種類でもよい。
【0073】
(3)上記実施形態とは別に、大当たりの確率は全ての設定で同じであって、時短状態が終了するまでの判定権利の回数、スペシャルタイム(所謂、ST)の回数、確変の継続率の割合、確変状態となる割合、大当り遊技を構成するラウンド数が異なる複数の大当り遊技から、例えば、構成するラウンド数が最大である10ラウンド大当りとなる比率、又は、大当り遊技中に獲得可能な賞球数がそれぞれ異なる複数種類が設けられてもよい。
【符号の説明】
【0074】
10 遊技機
30 表示画面(報知画面表示手段)
54 表示制御回路(報知画面表示手段)
62 遊技制御部(遊技制御部))
63 制御データ記憶部(制御データ記憶手段)