(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-21
(45)【発行日】2023-09-29
(54)【発明の名称】メルトブロー装置
(51)【国際特許分類】
D01D 5/08 20060101AFI20230922BHJP
D04H 3/16 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
D01D5/08 C
D04H3/16
(21)【出願番号】P 2019161700
(22)【出願日】2019-09-05
【審査請求日】2022-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000178675
【氏名又は名称】ヤマシンフィルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100170070
【氏名又は名称】坂田 ゆかり
(72)【発明者】
【氏名】尾下 竜大
(72)【発明者】
【氏名】垰口 信一
【審査官】長谷川 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-226927(JP,A)
【文献】国際公開第2018/030530(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03460108(EP,A1)
【文献】特開昭48-099411(JP,A)
【文献】特開昭53-061772(JP,A)
【文献】特開平11-131353(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D01D1/00-13/02
D04H1/00-18/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融ポリマーを吐出する複数の樹脂ノズルと、
高温の空気を生成する高温空気生成部と、前記樹脂ノズルに隣接して設けられており、前記高温空気生成部で生成された高温の空気を吐出するエアノズルと、を有する空気流発生部と、
前記溶融ポリマーが前記エアノズルから吐出された空気により延伸されて生成された繊維状の樹脂を捕集する捕集部と、
を備え、
複数の前記樹脂ノズルは、一列に並んで設けられており、
前記樹脂ノズルは、それぞれ、隣接して設けられた複数のノズル孔を有する
ことを特徴とするメルトブロー装置。
【請求項2】
前記樹脂ノズルは、第1ノズル孔及び第2ノズル孔を有し、
前記第1ノズル孔及び前記第2ノズル孔は、直線状の貫通孔であり、
前記第1ノズル孔は、前記溶融ポリマーが流入する略円筒形状の第1大径部と、前記第1大径部の奥側に形成されており、前記第1大径部の直径より直径が小さい第1小径部と、を有し、
前記第2ノズル孔は、前記溶融ポリマーが流入する略円筒形状の第2大径部と、前記第2大径部の奥側に形成されており、前記第2大径部の直径より直径が小さい第2小径部と、を有し、
前記溶融ポリマーは、前記第1小径部及び前記第2小径部の先端から吐出される
ことを特徴とする請求項1に記載のメルトブロー装置。
【請求項3】
前記第1小径部の直径は、前記第2小径部の直径より大きい
ことを特徴とする請求項2に記載のメルトブロー装置。
【請求項4】
前記第1小径部の長さを前記第1小径部の直径で割った値は、前記第2小径部の長さを前記第2小径部の直径で割った値より大きい
ことを特徴とする請求項3に記載のメルトブロー装置。
【請求項5】
前記第1小径部の直径と前記第2小径部の直径とは略同じであり、
前記第1小径部の長さと前記第2小径部の長さとは略同じである
ことを特徴とする請求項2に記載のメルトブロー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メルトブロー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数のノズルが一列に並んで設けられている極細繊維生成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、1つのノズルには1つのノズル孔しか形成されておらず、特許文献1には、1つのノズルから吐出される樹脂の量を増やすという課題は開示されていない。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、1つのノズルから吐出される樹脂の量を増やすことができるメルトブロー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係るメルトブロー装置は、例えば、溶融ポリマーを吐出する複数の樹脂ノズルと、高温の空気を生成する高温空気生成部と、前記樹脂ノズルに隣接して設けられており、前記高温空気生成部で生成された高温の空気を吐出するエアノズルと、を有する空気流発生部と、前記溶融ポリマーが前記エアノズルから吐出された空気により延伸されて生成された繊維状の樹脂を捕集する捕集部と、を備え、複数の前記樹脂ノズルは、一列に並んで設けられており、前記樹脂ノズルは、それぞれ、隣接して設けられた複数のノズル孔を有することを特徴とする。
【0007】
本発明に係るメルトブロー装置によれば、一列に並んで設けられた複数の樹脂ノズルは、それぞれ、隣接して設けられた複数のノズル孔を有する。これにより、1つのノズルから吐出される樹脂の量を増やすことができる。
【0008】
ここで、前記樹脂ノズルは、第1ノズル孔及び第2ノズル孔を有し、前記第1ノズル孔及び前記第2ノズル孔は、直線状の貫通孔であり、前記第1ノズル孔は、前記溶融ポリマーが流入する略円筒形状の第1大径部と、前記第1大径部の奥側に形成されており、前記第1大径部の直径より直径が小さい第1小径部と、を有し、前記第2ノズル孔は、前記溶融ポリマーが流入する略円筒形状の第2大径部と、前記第2大径部の奥側に形成されており、前記第2大径部の直径より直径が小さい第2小径部と、を有し、前記溶融ポリマーは、前記第1小径部及び前記第2小径部の先端から吐出されてもよい。これにより、大径部から小径部へ溶融ポリマーを安定して流すことができる。
【0009】
ここで、前記第1小径部の直径は、前記第2小径部の直径より大きくてもよい。これにより、異なる直径のナノファイバを同時に生成することができる。
【0010】
ここで、前記第1小径部の長さを前記第1小径部の直径で割った値は、前記第2小径部の長さを前記第2小径部の直径で割った値より大きくてもよい。これにより、第1小径部の直径と第2小径部の直径とが異なる場合であっても、第1小径部及び第2小径部から同じように溶融ポリマーを吐出させることができる。
【0011】
ここで、前記第1小径部の直径と前記第2小径部の直径とは略同じであり、前記第1小径部の長さと前記第2小径部の長さとは略同じであってもよい。これにより、ナノファイバの製造量を2倍にし、生産性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、1つのノズルから吐出される樹脂の量を増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】メルトブロー装置1の概略を示す模式図である。
【
図2】メルトブロー装置1の一部を拡大して模式的に示した斜視図である。
【
図3】樹脂ノズル14の概略を示す図であり、(A)は平面図、(B)は断面図である。
【
図4】樹脂ノズル14Aの概略を示す図であり、(A)は平面図、(B)は断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。本発明のメルトブロー装置は、熱可塑性プラスチック樹脂を溶融して押出機のノズルから吐出し、高速高温の気流で吹き出すメルトブロー法により繊維径の小さい繊維(ナノファイバー)を製造するために用いられる装置である。
【0015】
<第1の実施の形態>
図1は、メルトブロー装置1の概略を示す模式図である。
図2は、メルトブロー装置1の一部を拡大して模式的に示した斜視図である。メルトブロー装置1は、主として、樹脂供給部10と、空気流発生部20と、捕集部30と、を有する。
【0016】
樹脂供給部10は、主として、ホッパ11と、押出機12と、ダイ13と、樹脂ノズル14とを有する。熱可塑性プラスチック樹脂の原料チップをホッパ11に投入し、押出機12に備えられた図示しないヒータで加熱して熱可塑性プラスチック樹脂を溶融し、溶融ポリマーを得る。押出機12は、溶融ポリマーをダイ13へと押し出す。
【0017】
樹脂ノズル14は、ダイ13に設けられており、ダイ13から供給された溶融ポリマーを吐出する。樹脂ノズル14は、
図2に示すように、一列に並んで設けられている。樹脂ノズル14からは、溶融ポリマーが上方から下方に向けて吐出される。樹脂ノズル14には、それぞれ、複数のノズル孔が形成されている。樹脂ノズル14については後に詳述する
【0018】
本実施の形態では、熱可塑性プラスチック樹脂として、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)が用いられるが、これに限定されるものではない。
【0019】
空気流発生部20は、主として、圧縮空気を生成するコンプレッサ21と、圧縮空気が通過する配管22と、レギュレータ23と、配管22を加熱するヒータ24と、エアノズル25とを有する。コンプレッサ21、配管22、及びヒータ24により、高温の空気が生成される。エアノズル25は、樹脂ノズル14に隣接して設けられており、生成された高温かつ高圧の空気を吐出する。
【0020】
エアノズル25は、
図2に示すように、一列に並んで設けられている。エアノズル25の配列方向は、樹脂ノズル14の配列方向と略平行であり、エアノズル25の配置領域は樹脂ノズル14の配置領域を含む。
【0021】
エアノズル25からは、高温の空気が水平方向に吐出される。エアノズル25から吐出された空気を吹き付けることにより、樹脂ノズル14から吐出された溶融ポリマーが延伸されて、繊維状の樹脂(ナノファイバ)となる。また、エアノズル25を樹脂ノズル14の中心軸と交差する位置に配置することで、自重で落下する溶融ポリマーをできるだけ早い段階で空気流にのせ、空気による延伸の効果を高くすることができる。
【0022】
捕集部30は、主として、繊維状の樹脂を捕集する略円筒形状のサクションドラム31と、ブロワ32と、ブロワ32に接続された吸引部33と、不織布51、52が巻回された不織布ロール34、35と、巻取りドラム36とを有する。ここで、不織布51は基材であり、不織布52はカバー材である。
【0023】
エアノズル25から吐出される空気は大風量(約70リットル/分)であり、風速も速いため、エアノズル25から吐出された空気により、随伴流が発生する。そのため、樹脂ノズル14から吐出された溶融ポリマーは、まず随伴流に乗って水平方向(
図1における右方向)に吹き飛ばされ、その後エアノズル25から吐出された空気により前方(エアノズル25から吐出された空気の流れの下流側)に吹き飛ばされることで延伸されて繊維状の樹脂(ナノファイバ)となり、サクションドラム31に吹き付けられる。サクションドラム31には不織布ロール34から引き出された不織布51が巻き掛けられており、吸引部33から空気が吸引されることでナノファイバが不織布51の表面に吸着する。
【0024】
不織布51の端は巻取りドラム36に設けられている。巻取りドラム36が一定の速度で回転することで、ナノファイバが表面に吸着した不織布51は、巻取りドラム36に向けて一定速度で移動する。
【0025】
また、不織布ロール35から引き出された不織布52も、端が巻取りドラム36に設けられている。したがって、巻取りドラム36が一定の速度で回転することで、不織布52が不織布51表面のナノファイバ層を覆う。そして、不織布52が不織布51表面のナノファイバ層を覆ったものをカレンダー加工等により一体化することで、ナノファイバが不織布51、52によって挟持された完成品(布状の製品)となり、巻取りドラム36に巻回される。この布状の製品は、例えば濾材として用いることができる。ナノファイバが不織布51、52によって狭持されることにより形成された濾材は、空隙率が高く、通気抵抗が低いという利点がある。
【0026】
次に、樹脂ノズル14について説明する。
図3は、樹脂ノズル14の概略を示す図であり、(A)は平面図、(B)は断面図である。樹脂ノズル14は、中心軸14axが略鉛直方向に沿っており、
図3(B)では、左側が鉛直方向上側であり、右側が鉛直方向下側である。
【0027】
樹脂ノズル14は、フランジ部14aと、略円筒形状の筒状部14bとを有する。フランジ部14aはダイ13に設けられ、筒状部14bの先端(フランジ部14aが設けられている側と反対側)がダイ13の下側から露出する。
【0028】
樹脂ノズル14は、直線状の貫通孔である第1ノズル孔141及び第2ノズル孔145を有する。第1ノズル孔141及び第2ノズル孔145は、隣接して設けられている。第1ノズル孔141及び第2ノズル孔145は、樹脂ノズル14を鉛直方向に貫通する孔であり、両側がフランジ部14aの上側の面14cと筒状部14bの下側の面14dとに開口する。
【0029】
なお、樹脂ノズル14の根元側を、樹脂ノズル14のダイ13に近い側とし、樹脂ノズル14の先端側を、樹脂ノズル14のダイ13から遠い側とする。つまり、フランジ部14aは、樹脂ノズル14の根元側に設けられている。
【0030】
第1ノズル孔141は、略円筒形状の大径部142と、略円筒形状の小径部143とを有する。大径部142は樹脂ノズル14の根元側に形成されており、一端が面14c(ここでは、穴149の底面)に開口している。小径部143は、大径部142の奥側に形成されており、一端が大径部142の端に開口しており、他端が面14dに開口している。
【0031】
本実施の形態では、面14cに穴149が設けられており、大径部142の一端が穴149の底面に開口しているが、穴149は必須ではなく、穴149の底面と面14cとは同義である。
【0032】
なお、樹脂ノズル14の根元側(面14c側)から見たときに、面14cから樹脂ノズル14の中へ入った側を奥側とし、面14c側を手前側とする。
【0033】
小径部143の直径φ1は、大径部142の直径より小さく、その大きさは0.5mm程度とかなり小さい。ただし、小径部143の直径は、第2ノズル孔145の小径部147(後に詳述)の直径より大きい。
【0034】
大径部142には、面14c側の端から溶融ポリマーが流入する。溶融ポリマーは、大径部142の奥に向かって流れ、小径部143に流入する。小径部143に流入した溶融ポリマーは、小径部143の奥側の端、つまり面14dに開口している端から吐出される。
【0035】
第2ノズル孔145は、略円筒形状の大径部146と、略円筒形状の小径部147とを有する。大径部146は樹脂ノズル14の根元側に形成されており、一端が面14cに開口している。小径部147は、大径部146の奥側に形成されており、一端が大径部146の端に開口しており、他端が面14dに開口している。
【0036】
小径部147の直径φ2は、大径部146の直径より小さく、その大きさは0.3mm程度とかなり小さい。また、小径部147の直径φ2は、小径部143の直径φ1より小さい。
【0037】
大径部146には、面14c側の端から溶融ポリマーが流入する。溶融ポリマーは、大径部146の奥に向かって流れ、小径部147に流入する。小径部147に流入した溶融ポリマーは、小径部147の奥側の端、つまり面14dに開口している端から吐出される。
【0038】
樹脂ノズル14は、中心軸14axが略鉛直方向に沿っている。したがって、第1ノズル孔141の中心軸ax1及び第2ノズル孔145の中心軸ax2もが略鉛直方向に沿っており、小径部143、147から吐出された溶融ポリマーは、自重で鉛直下向きに落下する。
【0039】
第1ノズル孔141の小径部143の直径φ1は、第2ノズル孔145の小径部147の直径φ2より大きい。そして、小径部143の長さL1を小径部143の直径φ1で割った値X1は、小径部147の長さL2を小径部147の直径φ2で割った値X2より大きい。そのため、小径部143の直径φ1と小径部147の直径φ2とが異なる場合であっても、小径部143及び小径部147から同じように溶融ポリマーを吐出させることができる。
【0040】
小径部143の長さL1を小径部143の直径φ1で割った値X1が、小径部147の長さL2を小径部147の直径φ2で割った値X2より大きいことを数式で示すと、以下の数式(1)のようになる。
[数1]
X1=A×(φ1/φ2)×X2 (ただし、Aは1以上の数)・・・(1)
【0041】
値X1、X2が大きすぎると、第1ノズル孔141内部の圧損過大により、小径部143の先端から溶融ポリマーが噴き出さなかったり、溶融ポリマーが不連続に噴き出したりする不具合が発生するおそれがある。したがって、値X2を4~6程度とし、係数Aを3以下(好ましくは、2~3程度)とすることが望ましい。
【0042】
本実施の形態によれば、1つの樹脂ノズル14が2つのノズル孔(第1ノズル孔141及び第2ノズル孔145)を有することで、1つの樹脂ノズル14から吐出される樹脂の量を増やすことができる。
【0043】
また、本実施の形態によれば、第1ノズル孔141の小径部143の直径φ1と、第2ノズル孔145の小径部147の直径φ2とが異なるため、異なる直径のナノファイバを同時に生成することができる。そして、異なる直径のナノファイバが表面に混在して吸着された不織布51を不織布52で覆った完成品を濾材として用いることで、同径のナノファイバのみを含む濾材に比べ、濾過性能、断熱性能、吸音性能を改善することができる。また、直径の異なるナノファイバが混在する完成品は、断熱性能、吸音性能が改善されているため、この完成品を断熱材、防音材として使用することができる。
【0044】
なお、本実施の形態では、大径部142、146の底面(奥側(小径部143、147側)の面)が中心軸ax1、ax2と略直交していたが、大径部142、146の底面の形状はこれに限られない。例えば、大径部142、146の底面が、溶融ポリマーの流れを妨げないように、直径が徐々に細くなるテーパー形状となっていてもよい。
【0045】
<第2の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態は、直径が異なる第1ノズル孔141と第2ノズル孔145が樹脂ノズル14に設けられていたが、樹脂ノズルが有する第1ノズル孔及び第2ノズル孔の形態はこれに限られない。本発明の第2の実施の形態は、樹脂ノズルが2つの同じノズル孔を有する形態である。以下、第2の実施の形態にかかるメルトブロー装置について説明する。
【0046】
第1の実施の形態にかかるメルトブロー装置1と第2の実施の形態にかかるメルトブロー装置との差異は、樹脂ノズルのみであり、その他の構成は同一である。したがって、以下、第2の実施の形態にかかるメルトブロー装置の樹脂ノズル14Aについてのみ説明し、その他の部分については説明を省略する。また、第1の実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0047】
図4は、樹脂ノズル14Aの概略を示す図であり、(A)は平面図、(B)は断面図である。樹脂ノズル14Aは、中心軸14axが略鉛直方向に沿っており、
図4(B)では、左側が鉛直方向上側であり、右側が鉛直方向下側である。
【0048】
樹脂ノズル14Aは、フランジ部14aと、略円筒形状の筒状部14bとを有する。また、樹脂ノズル14Aは、直線状の貫通孔である第1ノズル孔141Aと第2ノズル孔145Aとを有する。
【0049】
第1ノズル孔141A及び第2ノズル孔145Aは、隣接して設けられている。第1ノズル孔141A及び第2ノズル孔145Aは、樹脂ノズル14Aを鉛直方向に貫通する孔であり、両側が面14c及び面14dに開口する。
【0050】
第1ノズル孔141Aは、略円筒形状の大径部142Aと、略円筒形状の小径部143Aとを有する。大径部142Aは樹脂ノズル14の根元側に形成されており、一端が面14cに開口している。小径部143Aは、大径部142の奥側に形成されており、一端が大径部142Aの端に開口しており、他端が面14dに開口している。
【0051】
第2ノズル孔145Aは、略円筒形状の大径部146Aと、略円筒形状の小径部147Aとを有する。大径部146Aは樹脂ノズル14Aの根元側に形成されており、一端が面14cに開口している。小径部147Aは、大径部146Aの奥側に形成されており、一端が大径部146Aの端に開口しており、他端が面14dに開口している。
【0052】
小径部143A、147Aの直径φ3は、それぞれ、大径部142A、146Aの直径より小さい。小径部143Aの直径φ3と小径部147Aの直径φ3とは略同じであり、その大きさは0.3mm程度である。
【0053】
大径部142A、146Aには、それぞれ、面14c側の端から溶融ポリマーが流入する。溶融ポリマーは、それぞれ、大径部142A、146Aの奥に向かって流れ、小径部143A、147Aに流入する。小径部143A、147Aに流入した溶融ポリマーは、それぞれ、面14d側の端から吐出される。第1ノズル孔141Aの中心軸ax1及び第2ノズル孔145Aの中心軸ax2が略鉛直方向に沿っており、小径部143A、147Aから吐出された溶融ポリマーは、自重で鉛直下向きに落下する。
【0054】
第1ノズル孔141Aの小径部143Aの直径φ3と第2ノズル孔145Aの小径部147Aの直径φ3とは略同じであり、小径部143Aの長さL3と小径部147Aの長さL3とは略同じである。そのため、小径部143A及び小径部147Aから同じ条件で溶融ポリマーを吐出させることができる。
【0055】
本実施の形態によれば、1つの樹脂ノズル14Aが2つのノズル孔(第1ノズル孔141A及び第2ノズル孔145A)を有することで、1つの樹脂ノズル14Aから吐出される樹脂の量を増やすことができる。また、小径部143Aの直径φ13と小径部147Aの直径φ3とを略同じとすることで、ナノファイバの製造量を2倍にし、生産性を向上させることができる。
【0056】
なお、第1、2の実施の形態では、樹脂ノズルが2つのノズル孔(第1ノズル孔及び第2ノズル孔)を有したが、樹脂ノズルが有するノズル孔の数は2つに限られない。樹脂ノズルは、隣接して設けられた複数のノズル孔を有すればよく、ノズル孔の数は3個以上でもよい。例えば、3個のノズル孔は、2つのノズル孔の組み合わせとして考えることができる。また、例えば、樹脂ノズルが、2つの第1ノズル孔141Aと、第1ノズル孔141Aと直径の異なる第2ノズル孔145Aを有していてもよいし、第1ノズル孔141A及び第2ノズル孔145Aを2つずつ有していてもよい。
【0057】
また、第1、2の実施の形態では、高温の空気が水平方向に吐出されるエアノズル25を設けたが、エアノズル25の形態はこれに限られない。例えば、高温の空気が鉛直下向きに吐出されるエアノズル25を、樹脂ノズル14に隣接するようにダイ13に設けてもよい。
【0058】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、上記の実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、実施形態の構成に他の構成の追加、削除、置換等をすることが可能である。
【0059】
また、本発明において、「略」とは、厳密に同一である場合のみでなく、同一性を失わない程度の誤差や変形を含む概念である。例えば、「略鉛直方向」とは、厳密に鉛直方向の場合には限られず、例えば数度程度の誤差を含む概念である。また、例えば、単に直交、平行、一致等と表現する場合において、厳密に直交、平行、一致等の場合のみでなく、略平行、略直交、略一致等の場合を含むものとする。
【0060】
また、本発明において「近傍」とは、基準となる位置の近くのある範囲(任意に定めることができる)の領域を含むことを意味する。例えば、端近傍という場合に、端の近くのある範囲の領域であって、端を含んでもいても含んでいなくてもよいことを示す概念である。
【符号の説明】
【0061】
1 :メルトブロー装置
10 :樹脂供給部
11 :ホッパ
12 :押出機
13 :ダイ
14、14A:樹脂ノズル
14a :フランジ部
14ax :中心軸
14b :筒状部
14c、14d:面
20 :空気流発生部
21 :コンプレッサ
22 :配管
23 :レギュレータ
24 :ヒータ
25 :エアノズル
30 :捕集部
31 :サクションドラム
32 :ブロワ
33 :吸引部
34、35:不織布ロール
36 :巻取りドラム
51、52:不織布
141、141A:第1ノズル孔
142、142A:大径部
143、143A:小径部
145、145A:第2ノズル孔
146、146A:大径部
147、147A:小径部
149 :穴