(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-21
(45)【発行日】2023-09-29
(54)【発明の名称】飛行体用対気速度及び風向計測装置及びその計測方法
(51)【国際特許分類】
G01P 5/00 20060101AFI20230922BHJP
G01P 5/24 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
G01P5/00 J
G01P5/24 B
(21)【出願番号】P 2019188999
(22)【出願日】2019-10-15
【審査請求日】2022-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】304020177
【氏名又は名称】国立大学法人山口大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001601
【氏名又は名称】弁理士法人英和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小河原 加久治
(72)【発明者】
【氏名】河原 遼太
(72)【発明者】
【氏名】新銀 秀徳
【審査官】岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第104316721(CN,A)
【文献】特表平11-515100(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1886001(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01P 5/00- 5/26
G01F 1/00- 9/02
G01S15/00-15/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行体の外面に、第1の方向についての風速を計測する第1風速計測手段及び前記第1の方向とは異なる第2の方向についての風速を計測する第2風速計測手段と、
前記第1風速計測手段で計測された第1の方向についての風速及び前記第2風速計測手段で計測された第2の方向についての風速に基づいて風向を計測する風向計測手段を備え、
前記第1風速計測手段及び前記第2風速計測手段は、いずれも
1対の超音波送受信器と、
一方の超音波送受信器が超音波を送信してから他方の超音波送受信器で該超音波を受信するまでの第1伝播時間を計測する第1伝播時間計測手段と、
前記他方の超音波送受信器が超音波を送信してから前記一方の超音波送受信器で該超音波を受信するまでの第2伝播時間を計測する第2伝播時間計測手段と、
前記第1伝播時間計測手段で計測された第1伝播時間及び前記第2伝播時間計測手段で計測された第2伝播時間に基づいて時間差風速を演算する時間差風速演算手段と、
前記一方の超音波送受信器が超音波を送信した後、前記他方の超音波送受信器で受信した第1受信信号を記録する第1受信信号記録手段と、
前記他方の超音波送受信器が超音波を送信した後、前記一方の超音波送受信器で受信した第2受信信号を記録する第2受信信号記録手段と、
前記第1受信信号記録手段で記録された第1受信信号と前記第2受信信号記録手段で記録された第2受信信号との位相差を演算する位相差演算手段と、
前記時間差風速演算手段で演算された風速
及び前記超音波送受信器の支持具の超音波の伝播に関するパラメータに基づいて、前記位相差演算手段で演算された位相差を修正する位相差修正手段と、
前記位相差修正手段で修正された修正位相差に基づいて位相差風速を演算する位相差風速演算手段を有している
ことを特徴とする飛行体用対気速度及び風向計測装置。
【請求項2】
前記第1の方向と前記第2の方向は、同一平面内で直交している
ことを特徴とする請求項1に記載の飛行体用対気速度及び風向計測装置。
【請求項3】
飛行体の外面に設置された第1の方向についての風速を計測する第1風速計測手段及び前記第1の方向とは異なる第2の方向についての風速を計測する第2風速計測手段を用いて、前記飛行体の対気速度及び風向を計測する方法であって、
前記第1風速計測手段及び前記第2風速計測手段が、それぞれ有している1対の超音波送受信器のうちの一方の超音波送受信器が超音波を送信してから他方の超音波送受信器で該超音波を受信するまでの第1伝播時間を計測し、
前記一方の超音波送受信器が超音波を送信した後、前記他方の超音波送受信器で受信した第1受信信号を記録し、
前記他方の超音波送受信器が超音波を送信してから前記一方の超音波送受信器で該超音波を受信するまでの第2伝播時間を計測し、
前記他方の超音波送受信器が超音波を送信した後、前記一方の超音波送受信器で受信した第2受信信号を記録し、
前記第1伝播時間及び前記第2伝播時間に基づいて時間差風速を演算し、
前記第1受信信号と前記第2受信信号との位相差を演算し、
前記時間差風速
及び前記超音波送受信器の支持具の超音波の伝播に関するパラメータに基づいて前記位相差を修正し、修正位相差を演算し、
前記修正位相差に基づいて位相差風速を演算し、
前記第1風速計測手段で計測された第1の位相差風速及び前記第2風速計測手段で計測された第2の位相差風速に基づいて風向を計測する
ことを特徴とする飛行体用対気速度及び風向計測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行体、特に低速で飛行する小型UAV(Unmanned Aerial Vehicle)に搭載する対気速度及び風向計測装置及びその計測方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特許第3574814号公報)に記載されるように、航空機の前方方向に向けその軸芯が三角形の各頂点に位置するように機体に取り付けられた3本の平行な支持棒上に、複数個の超音波送受信機を軸方向に位置を異ならせて配備し、隣接する支持棒上の超音波送受信機との組合せで複数組の超音波送受信経路が形成されるようにし、所定距離の前記複数組の超音波送受信経路を伝搬する時間情報から対気速度に関する三次元情報を得るものが提案されている。
【0003】
また、特許文献2(特許第6347469号公報)には、無人航空機の回転翼よりも高い位置に風向及び風速を計測する気象観測部を配置する点(特に、段落0019~0021及び
図1を参照)や、気象観測部を構成する風向風速計測器がアンテナa、アンテナb及びアンテナcを等間隔に配置したものであり、超音波(20kHz以上の周波数の信号)を利用してアンテナa-アンテナb間、アンテナb-アンテナc間及びアンテナc-アンテナa間の3方向の風のベクトルを同時に算出して、正確な風向と風速を測定する点(特に、段落0028~0031及び
図3を参照)が記載されている。
【0004】
一般的に、小型UAVは低速で飛行するため、その対気速度の計測が困難である。
通常、航空機の対気速度の計測にはピトー管流速計が使われているが、ピトー管流速計では、対気速度が4m/秒の場合、差圧が1mmH2Oしか発生せず、低速領域の計測に対しては、傾斜マノメータや高感度の圧力変換器が必要となる。
そのため、小型化や軽量化が難しい上に、コストがかさむという問題があり、また、応答性が悪いため、対気速度の変動を計測できないという問題もある。
特許文献1では、超音波風速計のセンサプローブを改良して、ピトー管流速計で計測できない低速領域の計測が可能である航空機用の対気速度計測装置を提供している。
また、特許文献2でも、超音波を利用して3方向の風のベクトルを同時に算出して、正確な風向と風速を測定できる風向風速計測器を提案している。
【0005】
特許文献1及び2で利用している超音波風速計の計測手法は、超音波の伝播時間差を利用する時間差法である。
すなわち、
図1に示すように、2つの超音波送受信器を距離L(m)だけ離して設置した1対の超音波送受信器において、2つの超音波送受信器間における風速がV(m/秒)であれば、音速をVs(m/秒)とした時、空気の流れ方向に超音波が伝播する時の伝播速度はVs+Vとなり、空気の流れの逆方向に超音波が伝播する時の伝播速度がVs-Vとなる。そのため、空気の流れ方向に超音波が伝播する時の伝播時間に対して、空気の流れの逆方向に超音波が伝播する時の伝播時間は長くなる。そして、一方の超音波送受信器から超音波を送信し他方の超音波送受信器でその超音波を受信するまでの伝播時間をt
1(秒)とし、他方の超音波送受信器から超音波を送信し一方の超音波送受信器でその超音波を受信するまでの伝播時間をt
2(秒)とすると、その伝播時間差を利用して計測される風速Vt(m/秒)は、Vs>>Vtであれば、伝播時間t
1を測定するために超音波を送受信した時の伝播方向を正として、下記の式(1)で表される。
Vt=Vs
2(t
2-t
1)/2L・・・・式(1)
なお、この超音波風速計を航空機に搭載すると、計測値の大きさは、風速と対地速度の和である対気速度となり、計測値の向きは対気速度と逆向きとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第3574814号公報
【文献】特許第6347469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
超音波の伝播時間は、例えば、
図2に示すように、超音波を受信して発せられる電圧信号に対して閾値を設けて、受信信号が閾値に達することで受信を検出して測定される。このため、伝播時間の分解能は受信信号の半周期分に相当するものとなる。この伝播時間を測定する手法により測定される伝播時間から算出される対気速度よりも高い分解能が要求される場合には、何回か計測した対気速度の計測値を平均することでしか、この要求を満たすことができなかった。
しかし、小型UAVの自律制御に用いる場合、自律制御の対気速度を参照した制御ループの制御周期よりも計測器のサンプリング時間の方が短くなければならず、時間差法によって対気速度を何回も計測して平均すると応答性を満足することができない。
中心周波数の高い超音波送受信器を用いて、対気速度の分解能の向上を図ることはできるが、超音波は周波数が高いほど空気によるエネルギーの損失が大きくなって振幅が減衰し、受信信号のS/N比が劣化する。そのため、通常、超音波風速計には中心周波数300kHz程度までの超音波送受信器が用いられ、これより高い中心周波数の超音波送受信器は使用されない。また、中心周波数の高い超音波送受信器は高価であるため、これを用いた計測器を搭載する場合、小型UAVを安価に製作できなくなるという問題もある。
この発明は、これらの問題を解決しようとするものであり、低速で飛行する小型UAV等の飛行体に適する、高い分解能で対気速度及び風向を計測できる装置及び方法を安価に提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明の飛行体用対気速度及び風向計測装置は、
飛行体の外面に、第1の方向についての風速を計測する第1風速計測手段及び前記第1の方向とは異なる第2の方向についての風速を計測する第2風速計測手段と、
前記第1風速計測手段で計測された第1の方向についての風速及び前記第2風速計測手段で計測された第2の方向についての風速に基づいて風向を計測する風向計測手段を備え、
前記第1風速計測手段及び前記第2風速計測手段は、いずれも
1対の超音波送受信器と、
一方の超音波送受信器が超音波を送信してから他方の超音波送受信器で該超音波を受信するまでの第1伝播時間を計測する第1伝播時間計測手段と、
前記他方の超音波送受信器が超音波を送信してから前記一方の超音波送受信器で該超音波を受信するまでの第2伝播時間を計測する第2伝播時間計測手段と、
前記第1伝播時間計測手段で計測された第1伝播時間及び前記第2伝播時間計測手段で計測された第2伝播時間に基づいて時間差風速を演算する時間差風速演算手段と、
前記一方の超音波送受信器が超音波を送信した後、前記他方の超音波送受信器で受信した第1受信信号を記録する第1受信信号記録手段と、
前記他方の超音波送受信器が超音波を送信した後、前記一方の超音波送受信器で受信した第2受信信号を記録する第2受信信号記録手段と、
前記第1受信信号記録手段で記録された第1受信信号と前記第2受信信号記録手段で記録された第2受信信号との位相差を演算する位相差演算手段と、
前記時間差風速演算手段で演算された風速及び前記超音波送受信器の支持具の超音波の伝播に関するパラメータに基づいて、前記位相差演算手段で演算された位相差を修正する位相差修正手段と、
前記位相差修正手段で修正された修正位相差に基づいて位相差風速を演算する位相差風速演算手段を有していることを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の飛行体用対気速度及び風向計測装置において、
前記第1の方向と前記第2の方向は、同一平面内で直交していることを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明の飛行体用対気速度及び風向計測方法は、
飛行体の外面に設置された第1の方向についての風速を計測する第1風速計測手段及び前記第1の方向とは異なる第2の方向についての風速を計測する第2風速計測手段を用いて、前記飛行体の対気速度及び風向を計測する方法であって、
前記第1風速計測手段及び前記第2風速計測手段が、それぞれ有している1対の超音波送受信器のうちの一方の超音波送受信器が超音波を送信してから他方の超音波送受信器で該超音波を受信するまでの第1伝播時間を計測し、
前記一方の超音波送受信器が超音波を送信した後、前記他方の超音波送受信器で受信した第1受信信号を記録し、
前記他方の超音波送受信器が超音波を送信してから前記一方の超音波送受信器で該超音波を受信するまでの第2伝播時間を計測し、
前記他方の超音波送受信器が超音波を送信した後、前記一方の超音波送受信器で受信した第2受信信号を記録し、
前記第1伝播時間及び前記第2伝播時間に基づいて時間差風速を演算し、
前記第1受信信号と前記第2受信信号との位相差を演算し、
前記時間差風速及び前記超音波送受信器の支持具の超音波の伝播に関するパラメータに基づいて前記位相差を修正し、修正位相差を演算し、
前記修正位相差に基づいて位相差風速を演算し、
前記第1風速計測手段で計測された第1の位相差風速及び前記第2風速計測手段で計測された第2の位相差風速に基づいて風向を計測することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明の飛行体用対気速度及び風向計測装置及び請求項3に係る発明の飛行体用対気速度及び風向計測方法によれば、小型、軽量、安価な構成によって、高い分解能で対気速度及び風向を計測でき、かつ、対気速度が小さくても正確に計測可能である。
さらに、時間差風速及び超音波送受信器の支持具の超音波の伝播に関するパラメータに基づいて位相差を修正するので、超音波送受信器の支持具を伝播した超音波を受信することによる対気速度及び風向の計測誤差を除去できる。
【0012】
請求項2に係る発明の飛行体用対気速度及び風向計測装置によれば、請求項1に係る発明の効果に加え、計測される風速の方向が同一平面内で直交しているので、風速及び風向の演算を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】伝播時間の測定方法と分解能との関係を示す図。
【
図3】飛行体用対気速度及び風向計測装置の概念図。
【
図4】実施例1に係る飛行体用対気速度及び風向計測装置を示す図。
【
図5】位相差法による風速の計測原理を説明する図。
【
図6】実施例1における位相差の求め方を説明する図。
【
図8】実施例2に係る飛行体用対気速度及び風向計測装置を示す図。
【
図9】3対の超音波送受信器を用いた対気速度の三次元情報を示す図。
【
図10】2対の超音波送受信器を用いた対気速度の二次元情報を示す図。
【
図11】超音波送受信器を双発の固定翼機に取り付けた状態を示す図。
【
図12】飛行体用対気速度及び風向計測装置の信号処理手段のブロック図。
【
図13】対地速度と対気速度の校正時の計測値と誤差を含む校正前の計測値との比較を示すグラフ。
【
図14】飛行試験時の対気速度u,v,w,V及び風向α,βの計測値を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図3は飛行体用対気速度及び風向計測装置の概念図である。
本発明の飛行体用対気速度及び風向計測装置は、
図3に示すように、第1の方向に距離L(m)の間隔で配置されている1対の超音波送受信器を有する第1風速計測手段1、第2の方向に距離L(m)の間隔で配置されている1対の超音波送受信器を有する第2風速計測手段2及び第1風速計測手段1で計測された第1の方向についての位相差風速及び第2風速計測手段2で計測された第2の方向についての位相差風速に基づいて風向を計測する風向計測手段3を備えている。
なお、第1の方向及び第2の方向は同一平面内で直交している。
【0015】
第1風速計測手段1は、一方の超音波送受信器4が中心周波数f(Hz)の超音波を送信してから他方の超音波送受信器5でその超音波を受信するまでの第1伝播時間t1(秒)を計測する第1伝播時間計測手段11、他方の超音波送受信器5が中心周波数fの超音波を送信してから一方の超音波送受信器4でその超音波を受信するまでの第2伝播時間t2(秒)を計測する第2伝播時間計測手段12、第1伝播時間t1及び第2伝播時間t2に基づいて時間差風速V1t(m/秒)を演算する時間差風速演算手段13、一方の超音波送受信器4が超音波を送信した後、他方の超音波送受信器5で受信した第1受信信号α1を記録する第1受信信号記録手段14、他方の超音波送受信器5が超音波を送信した後、一方の超音波送受信器4で受信した第2受信信号β1を記録する第2受信信号記録手段15、第1受信信号α1と第2受信信号β1との位相差φ1(rad)を演算する位相差演算手段16、時間差風速演算手段13で演算された風速に基づいて位相差φ1を修正する位相差修正手段17及び位相差修正手段で修正された修正位相差φ1a(rad)に基づいて位相差風速V1p(m/秒)を演算する位相差風速演算手段18を有している。
同様に第2風速計測手段2は、一方の超音波送受信器6が中心周波数fの超音波を送信してから他方の超音波送受信器7でその超音波を受信するまでの第1伝播時間t3(秒)を計測する第1伝播時間計測手段21、他方の超音波送受信器7が中心周波数fの超音波を送信してから一方の超音波送受信器6でその超音波を受信するまでの第2伝播時間t4(秒)を計測する第2伝播時間計測手段22、第1伝播時間t3及び第2伝播時間t4に基づいて時間差風速V2t(m/秒)を演算する時間差風速演算手段23、一方の超音波送受信器6が超音波を送信した後、他方の超音波送受信器7で受信した第1受信信号α2を記録する第1受信信号記録手段24、他方の超音波送受信器7が超音波を送信した後、一方の超音波送受信器6で受信した第2受信信号β2を記録する第2受信信号記録手段25、第1受信信号α2と第2受信信号β2との位相差φ2(rad)を演算する位相差演算手段26、時間差風速演算手段23で演算された風速に基づいて位相差φ2を修正する位相差修正手段27及び位相差修正手段で修正された修正位相差φ2a(rad)に基づいて位相差風速V2p(m/秒)を演算する位相差風速演算手段28を有している。
なお、時間差風速V1t、V2tの演算式は、下記の式(2)及び式(3)で表される。
V1t=Vs2(t2-t1)/2L・・・・式(2)
V2t=Vs2(t4-t3)/2L・・・・式(3)
また、位相差風速V1p、V2pは、後述するが下記の式(4)及び式(5)で表される。
V1p=Vs2φ1a/4πfL・・・・・式(4)
V2p=Vs2φ2a/4πfL・・・・・式(5)
以下、実施例によって本発明の実施形態を説明する。
【実施例1】
【0016】
実施例1に係る飛行体用対気速度及び風向計測装置は、
図4に示すように、
図3と同様、2対の超音波送受信器を小型UAV(ドローン)の中央部上面に取り付けたものである。
そして、対気速度及び風向の計測については、従来の超音波風速計の計測手法である伝播時間差を利用したものに、超音波を受信して発せられる電圧信号の位相差、即ち受信信号の位相差を利用したものを組み合わせることによって行う。
【0017】
受信信号の位相差を利用した風速の計測原理の説明図を
図5に示す。
ここでは、第1の方向における風速を計測する場合について述べる。
まず、第1伝播時間t
1を測定するために、一方の超音波送受信器4から超音波(中心周波数fの正弦波であり、sin2πftで表される)を送信した時に、他方の超音波送受信器5でその超音波を受信して得られた信号を受信信号α1(A
1sin(2πft+φ
1)で表される)とする(ただし、A
1は0より大きい所定値、tは時間(秒)、φ
1は受信信号α1と正弦波との位相差)。
そして、位相差φ
1は、正弦波の周期をT(T=1/f)とすると、受信してからn波分に亘って積分することにより、下記の式(6)で表される。
【数1】
次に、第2伝播時間t
2を測定するために、他方の超音波送受信器5から超音波(中心周波数fの正弦波であり、sin2πftで表される)を送信した時に、一方の超音波送受信器4でその超音波を受信して得られた信号を受信信号β1(A
2sin(2πft+φ
2)で表される)とする(ただし、A
2は0より大きい所定値、tは時間(秒)、φ
2は受信信号β1と正弦波との位相差)。
そうすると、φ
2は式(6)のφ
1をφ
2に、A
1をA
2に置き換えて同様に計算でき、受信信号α1、β1の位相差を利用して計測される位相差風速Vpは、φ
1を算出するために超音波を送受信した時の伝播方向を正として、下記の式(7)で表される。
Vp=Vs
2(φ
2-φ
1)/4πfL・・・・・・式(7)
【0018】
式(7)から分かるように、位相差風速VpはVs、(φ
2-φ
1)、f及びLから求められるため、実施例1では
図6に示すように、受信信号α1と受信信号β1を記録し、両者の位相差φ
2-φ
1を求めることにより、演算することができる。
ところで、位相差φ
1は直交座標系の上記式(6)の大括弧内における上辺及び下辺の式によって決まる偏角であり、-π<φ
1<πの範囲で逆正接を計算でき、同様に位相差φ
2も-π<φ
2<πの範囲で逆正接を計算できる。
そのため、-2π<φ
2-φ
1<2πの範囲では計算できるが、φ
2-φ
1<-2π及び2π<φ
2-φ
1の範囲では正しく計算することができない。
そこで、時間差法によって計測された風速Vtを基準に、位相差法により算出された位相差を修正するアンラップ処理を施すことにより、時間差法によって計測される風速Vtと同等の計測範囲で高い分解能の風速を応答性良く計測できる。
アンラップ処理は、
図7に示すように、時間差法で計測された風速Vtの計測値として最も度数の高い値に近い計測値となるように、位相差を修正して風速Vpを求める処理である。
【実施例2】
【0019】
実施例2に係る飛行体用対気速度及び風向計測装置は、
図8に示すように、
図3における第1の方向(以下、「x
sen軸方向」という。)及び第2の方向(以下、「y
sen軸方向」という。)の2対の超音波送受信器4~7に加え、第3の方向(以下、「z
sen軸方向」という。)に1対の超音波送受信器9、10を設け、z
sen軸方向における風速を計測できるようにしたものである。
飛行体の対気速度の計測には三次元情報を得ることがより望ましいため、このような3軸方向のセンサ座標系を有する装置を利用する。
【0020】
図9は、3対の超音波送受信器を用いた対気速度の三次元情報を示す図である。通常、センサの座標系x
seny
senz
senと機体座標系xyzとは異なるため、座標変換が必要となる。
図9に示すように、3対の超音波送受信器の内、2対の超音波送受信器のそれぞれの超音波の伝播経路からなる平面において、一方の超音波の伝播経路の方向をx
sen軸とし、x
sen軸に対して右手直交系をなすようにy
sen軸を決め、x
sen軸及びy
sen軸に対して右手直交系をなすようにz
sen軸を決めることで、センサ座標系を設定する。
また、センサ座標系をz
sen軸周りにθ
1だけ回転させ、これによりできた座標系x
1y
1z
1をy
1軸周りにθ
2だけ回転させ、これによりできた座標系x
2y
2z
2をy
2軸周りにθ
3だけ回転させてできる機体座標系xyzを設定する。
そして、
図8において超音波の伝播経路がx
sen軸方向の1対の超音波送受信器4,5を除く、2対の超音波送受信器6,7,9,10の各伝播経路とy
sen軸とのなす角をθ
1,θ
2とする。
さらに、3対の超音波送受信器による対気速度の計測値を、それぞれu
sen,v
sen,w
senとし、z軸周りにx軸と対気速度ベクトルとのなす角をβ、xy平面と対気速度ベクトルとのなす角をαとすると、対気速度の計測値のx方向成分u、y方向成分v、z方向成分w、対気速度の大きさの計測値V
sen及び風向の計測値β,αは、下記の式(8)~(11)で表される。
【数2】
V
sen=(u
2+v
2+w
2)
1/2・・・・・・式(9)
β=arctan(v/u)・・・・・・・・・式(10)
α=arctan{w/(u
2+v
2)
1/2}・・・・式(11)
ただし、R
xyz
senは機体座標系からセンサ座標系に変換する回転行列で、R
senは3対の超音波送受信器による各対気速度の計測値u
sen,v
sen,w
senをセンサ座標系に変換する行列であり、下記の式(12)及び式(13)で表される。
【数3】
【数4】
【0021】
小型UAVの対気速度及び風向の計測では、小型UAVの飛行が制御されていて水平飛行しており、風向がある程度分かっている場合等、二次元情報のみで十分な場合がある。
二次元情報を得るために、2対の超音波送受信器を用いる。一方の超音波送受信器の超音波の伝播経路の方向をx
sen軸とし、x
sen軸に対して右手直交系をなすようにy
sen軸を決めることで、センサ座標系を設定する。
また、センサ座標系をθ
1だけ回転させてできる機体座標系xyを設定する。2対の超音波送受信器を用いた対気速度の二次元情報を示す図を
図10に示す。超音波の伝播経路がx
sen軸方向の1対の超音波送受信器4,5でない、他方の1対の超音波送受信器6,7の各伝播経路とy
sen軸とのなす角をθ
1とする。
さらに、2対の超音波送受信器による対気速度の計測値を、それぞれu
sen,v
senとし、x軸と対気速度ベクトルとのなす角をβとすると、対気速度の計測値のx方向成分u、y方向成分v、対気速度の大きさの計測値V
sen及び風向の計測値βは、下記の式(14)~(16)で表される。
【数5】
V
sen=(u
2+v
2)
1/2・・・・・・式(15)
β=arctan(v/u)・・・・・・式(16)
特に、対気速度及び風向の三次元情報又は二次元情報を得る時、それぞれの超音波送受信器の伝播経路が直交する場合、すなわち、三次元情報を得る時のθ
1=0°,θ
2=90°又は二次元情報を得る時のθ
1=0°である場合、式(13)及び式(14)は簡単になり、演算する上で有利である。
【0022】
複数対の超音波送受信器の取り付けについて、各対の超音波送受信器の距離は同じである必要はないが、同じであれば対気速度及び風向を算出する演算の処理が簡便である。
また、超音波送受信器が超音波を検出できる範囲であれば、各対の超音波送受信器の距離に制限はないが、超音波送受信器の外形の寸法に対して、各対の超音波送受信器の間の距離が十分大きくない場合、計測する流れの内、超音波送受信器及びその支持具等によって乱される流れの割合が大きくなって、対気速度及び風向の計測誤差が大きくなる。
さらに、取り付ける航空機の機体の外形の寸法を大きく超える距離の場合、超音波送受信器及びその支持具等が航空機の飛行特性を大きく悪化させる原因となる。
そのため、各対の超音波送受信器の間の距離は、超音波送受信器の外形の寸法より十分大きく、取り付ける航空機の外形の寸法を超えない範囲が望ましい。
【0023】
本発明の対気速度を計測する対象の小型UAVは、実施例1のような回転翼タイプと、
図11に示すような固定翼タイプのものに大別される。
回転翼タイプの小型UAVの場合、物資の運搬を目的とする機体では、機体の下部は物資を積載するスペースとして確保し、機体の外形に対称性を持つ機体では、飛行特性の観点から機体の外形の対称性を崩ないように、超音波送受信器を取り付けると良い。
一例として、回転翼の小型UAVには、位置や速度情報を取得するために、全球測位衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)の受信器が機体の上部に搭載されているものがあり、実施例1では受信機部分に超音波送受信器を取り付けている。
固定翼の小型UAVは、プロペラ等から推進力を得て、操舵翼を操舵して飛行する。プロペラから推進力を得る場合、プロペラ後流が超音波の伝播経路に入ると、対気速度及び風向に計測誤差が生まれる。そのため、超音波の伝播経路がプロペラ後流に晒されないように、超音波送受信器を取り付ける。また、固定翼の小型UAVの対気速度は、機首方向の成分が大きいため、機首方向の流れをセンサプローブが乱さないように、超音波の伝播経路が機首方向と平行にならないように超音波送受信器を配置する。
一例として、双発の固定翼の小型UAVは、機軸の周辺がプロペラ後流に晒されにくいので、
図11ではその部分に超音波送受信器を取り付けている。
また、本発明は、伝播時間差を利用して計測される対気速度と同等の計測範囲で、高い分解能の対気速度の計測ができるため、小型UAVだけでなく有人の航空機に対しても適用できる。
【0024】
小型UAVに取り付けられた1対の超音波送受信器の一方から送信した超音波は、空気中を伝播する他、超音波送受信器の支持具等を伝播し、他方の超音波送受信機が受信する。
本発明では、超音波が1対の超音波送受信器の間の空気中を伝播して、その受信信号から対気速度及び風向を算出する。そのため、超音波送受信器の支持具等を伝播した超音波を受信すると、対気速度及び風向の計測誤差の原因となる。
一般的に、このような意図しない超音波の伝播を防止するため、超音波送受信器と意図しない超音波の伝播経路を吸音材で仕切れば良い。
しかし、小型UAVの対気速度及び風向の計測では、超音波送受信器及びその支持具等によって、計測したい流れを乱すことや、小型UAVの飛行特性を悪化させることは避けらず、これらの影響を抑える上で、吸音材は妨げになる。
そこで、超音波送受信器の支持具の超音波の伝播に関するパラメータの同定により、超音波送受信器の支持具を伝播した超音波を受信することによる、対気速度及び風向の計測誤差を除去する。
同定されるパラメータは、送信側の超音波送受信器から発せられた超音波が支持具を伝播して受信側の超音波送受信器によって受信されるときに生じるもので、超音波の受信信号に含まれており対気速度の測定誤差の原因となるパラメータである。このため計測する流れ方向及び流れと逆方向に超音波が伝播したときの受信信号と正弦波との位相差を算出する際に、逆正接を計算する分母と分子にそれぞれ1つずつパラメータが生じる。
超音波が超音波送受信器の支持具を伝播して受信したことによる計測誤差を含んだ、受信信号α1と周波数fの正弦波の位相差φ
1は、ω=2πfとして下記の式(17)で表される。
【数6】
ただし、超音波が超音波送受信器の支持具を伝播して受信した電圧信号をA
1’>0でA
1’sin(ωt+φ
1’)と仮定し、対気速度及び風向の計測誤差の原因となるパラメータをE
s1,E
c1とした。
位相差φ
2も、超音波が超音波送受信器の支持具を伝播して受信した電圧信号をA
2’>0でA
2’sin(ωt+φ
2’)と仮定して、対気速度及び風向の計測誤差の原因となるパラメータをE
s2,E
c2とすれば、式(17)のφ
1をφ
2に置き換えて同様に計算される。
パラメータE
s1,E
c1,E
s2,E
c2を同定しておくことで、超音波送受信器の支持具を伝播した超音波を受信することによる対気速度及び風向の計測誤差を除去できる。
以上の説明は、1対の超音波送受信器を用いた場合の対気速度及び風向の計測誤差の原因となるパラメータの除去方法であったが、2対及び3対の超音波送受信器を用いた場合も、それぞれ独立に対気速度及び風向の計測を、1対の超音波送受信器の対気速度及び風向の計測方法で行っているから、それぞれ対気速度及び風向の計測誤差の原因となるパラメータを除去すれば、それぞれ誤差を除去でき、2対及び3対の超音波送受信器を用いた対気速度及び風向の計測誤差を除去できる。
【0025】
3対の超音波送受信器による対気速度及び風向の計測システム及びその計測システムを用いる対気速度及び風向の計測方法について
図12を用いて説明する。
計測システムは、超音波送受信器と送受信切り替えユニット、受信信号増幅ユニット、マイクロコンピュータから構成される。
1対の超音波送受信器は、それぞれが印加された電圧信号から超音波を送信する及び超音波を受信して電圧信号を発生する機能を持つ。
送受信切り替えユニットは、超音波送受信器に超音波の送信をさせるか、または超音波を受信させるかのいずれかに切り替える機能を持つ。
受信信号増幅ユニットは、超音波送受信器が超音波を受信して発生した電圧信号を増幅する機能を持つ。
マイクロコンピュータは、超音波を送信する超音波送受信機に印加する電圧信号を発生する回路と、受信信号増幅ユニットにより増幅された受信信号をA/D変換してデジタル化する回路、デジタル化された受信信号から対気速度及び風向を算出するCPU、外部システムと通信して算出した対気速度及び風向データを送信する回路からなる。
マイクロコンピュータにより、超音波送受信器に印加する電圧信号を生成し、送受信切り替えユニットにより超音波を送信する機能に指定された超音波送受信器に印加される。
送受信切り替えユニットにより、超音波を受信する機能に指定された超音波送受信器が送信された超音波を受信して電圧信号を生成し、受信信号増幅ユニットにより受信した受信信号が増幅される。
そして、マイクロコンピュータにより、増幅された受信信号をA/D変換してデジタル化し、デジタル化された受信信号から対気速度及び風向を算出して、外部システムに対気速度及び風向データを送信する。
外部システムは、対気速度及び風向データを必要とするシステムであり、小型UAVの自律飛行制御の場合、得られた対気速度及び風向のデータを用いてアクチュエータの指令値を決定し、アクチュエータを動かすシステムを指す。
【実施例3】
【0026】
計測器は、標準器で計測して得た値を真の値の推定値として校正を行う必要がある。
実施例3の特徴は、小型UAVの自律制御を目的とした低速領域の対気速度及び風向を計測することにあり、中心周波数40kHzの超音波送受信器(UT1612MPR/UR1612MPR,CPL (Hong Kong) Limited)を用いて、従来の小型UAV用風向風速計では計測できない4m/秒以下の対気速度に対して校正を行った。
校正手法として、インクリメンタル型ロータリエンコーダにより対地速度を計測できる手押し車に、計測器を搭載して人力で走行し、静止した空気中で対地速度と対気速度が等しくなることを利用した。
これは、産業技術総合研究所(https://unit.aist.go.jp/riem/gfstd/facility.html)による、地下トンネル内で微風速計を載せた台車を走行させる校正施設を模したものである。
【0027】
マイクロコンピュータ(dePIC33FJ64GP802,Microchip Technology)により、10周期の電圧差3.3Vp-pで40kHzの矩形波の電圧信号を生成し、3ステートバッファ(SN74HC125N,TEXAS INSTRUMENTS)とアナログスイッチ(TC74HC4066AP,TOSHIBA)からなる送受信切り替えユニットにより、超音波を送信する機能に指定された超音波送受信器に印加される。
送受信切り替えユニットにより、超音波を受信する機能に指定された超音波送受信器が、送信された超音波を受信して電圧信号を生成し、オペアンプ(NJM2732D,新日本無線株式会社)を用いた反転増幅回路からなる受信信号増幅ユニットにより、受信した受信信号が増幅される。
マイクロコンピュータにより、増幅された受信信号をサンプリング周波数400kHzでA/D変換してデジタル化し、デジタル化された受信信号から対気速度及び風向を算出して、外部システム(Arduino Micro,Arduino Srl)に対気速度及び風向データをI2C通信で送信する。
【0028】
外部システムは、小型UAVの自律制御で対気速度を参照した制御手法の実装において必要と思われるサンプリング周波数10Hzで対気速度を計測し校正を行った。
それぞれ距離L=150mmで、θ
1=0°、すなわち、それぞれの伝播経路が直交して設置された2対の超音波送受信器を用いて、二次元の対気速度の大きさの計測値V
senを、ロータリエンコーダによる対地速度の計測値V
reを対気速度の真の値の推定値として、θ
1=0°で機体座標系を設定した時のβ=45°について校正した結果を
図13に示す。
校正する前の小型UAV用超音波風向微風速計による対気速度の計測値は、ロータリエンコーダによる対地速度の計測値に対して、およそ30%の計測誤差が生じることが分かり、超音波送受信器の支持具等を伝播した超音波を受信することによる対気速度の計測誤差を除去した。
校正した結果から、サンプリング周波数10Hzで、小型UAVの自律制御に用いるに十分な分解能で、対気速度や風向を計測できることが分かった。
【0029】
校正した小型UAV用超音波風向微風速計を搭載した双発の固定翼の小型UAVを、旋回半径を一定とする旋回飛行の制御を実装した上で飛行し、その時の対気速度及び風向を計測した。
小型UAV用超音波風向微風速計は、それぞれ距離L=150mmでθ
1=0°,θ
2=90°、すなわち、それぞれの伝播経路が直交して設置された3対の超音波送受信器を用いて、機体の機首方向をx軸、左右方向をy軸、x軸に垂直な胴体の上下方向をz軸とする機体座標系を設定して、センサ座標系がθ
1=0°,θ
2=0°となるように、機体に3対の超音波送受信器を設置した。
旋回半径を一定とする旋回飛行の制御ループの制御周期が20ミリ秒であったため、サンプリング周波数50Hzで対気速度及び風向を計測した。
飛行試験における対気速度u,v,w,V及び風向α,βの計測結果を
図14に示す。これらの飛行試験における対気速度や風向の計測の結果から、本発明によれば低速で飛行する小型UAVの対気速度及び風向を計測できることが分かった。
【0030】
実施例1及び2の飛行体用対気速度及び風向計測装置及びその計測方法に関する変形例を列記する。
(1)実施例1及び2では、第1伝播時間計測手段11、21及び第2伝播時間計測手段12,22で伝播時間を計測し、時間差風速を演算したが、位相差を演算する時と同様に第1受信信号及び第2受信信号を記録した上で、第1伝播時間及び第2伝播時間を計測し、時間差風速を演算しても良い。
(2)実施例1及び2では、・・・でも良い。
(3)実施例1及び2では、・・・でも良い。
【符号の説明】
【0031】
1 第1風速計測手段 2 第2風速計測手段 3 風向計測手段
4、6、9 一方の超音波送受信器 5、7、10 他方の超音波送受信器
8 第3風速計測手段 11、21 第1伝播時間計測手段
12、22 第2伝播時間計測手段 13 時間差風速演算手段
14、24 第1受信信号記録手段 15、25 第2受信信号記録手段
16、26 位相差演算手段 17、27 位相差修正手段
18、28 位相差風速演算手段
f 中心周波数(Hz) L 1対の超音波送受信器間の距離
t 時間(秒) t1、t3 第1伝播時間(秒) t2、t4 第2伝播時間(秒)
Vp、V1p、V2p 位相差風速(m/秒) Vs 音速(m/秒)
u、usen 対気速度の計測値のx方向成分(m/秒)
v、vsen 対気速度の計測値のy方向成分(m/秒)
w、wsen 対気速度の計測値のz方向成分(m/秒)
V、Vsen 対気速度の大きさの計測値(m/秒) α、β 風向の計測値(rad)
α1、α2 第1受信信号 β1、β2 第2受信信号
θ1、θ2、θ3 回転角度(rad) φ1、φ2 位相差(rad)
φ1a、φ2a 修正位相差(rad) φ1、φ2 正弦波との位相差(rad)
Rxyz
sen 機体座標系からセンサ座標系に変換する回転行列
Rsen 各対気速度の計測値usen,vsen,wsenをセンサ座標系に変換する行列