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  • 特許-ワイヤロープ清掃装置 図1
  • 特許-ワイヤロープ清掃装置 図2
  • 特許-ワイヤロープ清掃装置 図3
  • 特許-ワイヤロープ清掃装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-21
(45)【発行日】2023-09-29
(54)【発明の名称】ワイヤロープ清掃装置
(51)【国際特許分類】
   B66C 13/00 20060101AFI20230922BHJP
【FI】
B66C13/00 A
B66C13/00 B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021024065
(22)【出願日】2021-02-18
(65)【公開番号】P2022126151
(43)【公開日】2022-08-30
【審査請求日】2022-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】305014401
【氏名又は名称】永島 安孝
(74)【代理人】
【識別番号】100136180
【弁理士】
【氏名又は名称】羽立 章二
(72)【発明者】
【氏名】永島 安孝
【審査官】長尾 裕貴
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-206575(JP,U)
【文献】特開平08-277093(JP,A)
【文献】実開昭57-181387(JP,U)
【文献】実開平06-073070(JP,U)
【文献】特開2009-258001(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フック部の滑車を通過するワイヤロープを清掃するワイヤロープ清掃装置であって、
本体部と、前記ワイヤロープ及び前記フック部に取り付けられる取付部を備え、
前記本体部は、前記ワイヤロープを清掃する清掃部を含み、
前記ワイヤロープは、前記本体部をとおり、
前記本体部及び前記取付部が前記ワイヤロープの巻き上げ及び巻き下げによって前記ワイヤロープを移動して、前記清掃部が、前記本体部をとおる前記ワイヤロープを清掃し、
前記取付部は、前記ワイヤロープに塗油する塗油部を備え、
前記塗油部は、前記ワイヤロープの素線切れによってできた毛羽に引っ掛かり、前記取付部と分かれて移動する、ワイヤロープ清掃装置。
【請求項2】
フック部の滑車を通過するワイヤロープを清掃するワイヤロープ清掃装置であって、
本体部と、前記ワイヤロープ及び前記フック部に取り付けられる取付部を備え、
前記本体部は、前記ワイヤロープを清掃する清掃部を含み、
前記ワイヤロープは、前記本体部をとおり、
前記本体部及び前記取付部が前記ワイヤロープの巻き上げ及び巻き下げによって前記ワイヤロープを移動して、前記清掃部が、前記本体部をとおる前記ワイヤロープを清掃し、
前記取付部は、コイルバネであり、
前記清掃部は、複数のワイヤブラシを多方向から前記ワイヤロープに接した状態で回転可能に保持したものである、ワイヤロープ清掃装置。
【請求項3】
前記ワイヤロープは、一方の端末が固定され、他方の端末が巻きドラムによって巻き上げられたり巻き下げられたりするものであり、
当該ワイヤロープ清掃装置は、前記滑車と前記巻きドラムとの間に取り付けられる、請求項1又は2に記載のワイヤロープ清掃装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、フック部の滑車を通過するワイヤロープを清掃するワイヤロープ清掃装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に記載されているようにワイヤロープを清掃するワイヤロープ清掃器は知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-203501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載のワイヤロープ清掃器は、清掃時に取り付け、清掃後には取り外される。そのため、通常の使用状態では、取り外されてワイヤロープを清掃しないものであった。
【0005】
そこで、本願発明は、通常の使用状態でも継続的にクレーン用のワイヤロープを清掃することに適したワイヤロープ清掃装置を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明の第1の観点は、フック部の滑車を通過するワイヤロープを清掃するワイヤロープ清掃装置であって、本体部と、前記ワイヤロープ及び前記フック部に取り付けられる取付部を備え、前記本体部は、前記ワイヤロープを清掃する清掃部を含み、前記ワイヤロープは、前記本体部をとおり、前記本体部及び前記取付部が前記ワイヤロープの巻き上げ及び巻き下げによって前記ワイヤロープを移動して、前記清掃部が、前記本体部をとおる前記ワイヤロープを清掃する。
【0007】
本願発明の第2の観点は、第1の観点のワイヤロープ清掃装置であって、前記取付部は、前記ワイヤロープに塗油する塗油部を備え、前記塗油部は、前記ワイヤロープの素線切れによってできた毛羽に引っ掛かり、前記取付部と分かれて移動する。
【0008】
本願発明の第3の観点は、第1又は第2の観点のワイヤロープ清掃装置であって、前記取付部は、コイルバネであり、前記清掃部は、複数のワイヤブラシを多方向から前記ワイヤロープに接した状態で回転可能に保持したものである。
【0009】
本願発明の第4の観点は、第1から第3のいずれかの観点のワイヤロープ清掃装置であって、前記ワイヤロープは、一方の端末が固定され、他方の端末が巻きドラムによって巻き上げられたり巻き下げられたりするものであり、当該ワイヤロープ清掃装置は、前記滑車と前記巻きドラムとの間に取り付けられる。
【発明の効果】
【0010】
本願発明の各観点によれば、ワイヤロープの巻き上げ・巻き下げによる通常の使用状態において、清掃部によって継続的にワイヤロープを清掃することが可能になる。
【0011】
ワイヤロープは、目視・計測による日常点検は必須である。素線切れは、ワイヤロープ切断事故の前駆症状である。第2の観点にあるように、フェルト等の塗油部により日常的なメンテナンスとして必要な塗油を行うとともに、塗油部が素線切れを継続して検出する、いわば素線切れセンサーのように機能することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本願の発明の実施の形態に係るワイヤロープ清掃装置の構成の一例を示す図である。
図2】ワイヤロープ清掃装置を含めた全体的な構成の具体的な一例を示す図である
図3図2のワイヤロープ清掃装置41の具体的な構成の一例を示す。
図4】本体部の構成と、清掃部の配置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、図面を参照して、本願発明の実施例について説明する。なお、本願発明は、この実施例に限定されるものではない。
【実施例
【0014】
図1は、本願の発明の実施の形態に係るワイヤロープ清掃装置の構成の一例を示す図である。
【0015】
フック部1は、滑車3を備える。滑車3は、外周にワイヤロープ5を巻き掛けて回転する。以下では、滑車3が動滑車であるとする。ワイヤロープの一方の端末は固定部6により固定され、他方の端末は巻きドラム9による巻き上げ・巻き下げが行われる。固定部6には、リミットスイッチ7が存在し、巻きドラム9による巻き上げ動作によりフック部1が固定部6に近づいてリミットスイッチ7に接近して接触等すると、巻きドラム9による巻き上げ動作が停止する。他方、巻きドラム9は、固定部6よりも十分に高く、フック部1が上昇してもフック部1と巻きドラム9との間には、ワイヤロープ清掃装置11が上昇できるだけの十分な空間が存在する。ワイヤロープ5のうち、固定部6側に位置する部分をワイヤロープ51とし、巻きドラム9側に位置する部分をワイヤロープ52とする。ただし、本願発明は動滑車に限定されるものではない。
【0016】
ワイヤロープ清掃装置11は、ワイヤロープ52に取り付けられ、ワイヤロープ5を清掃する。
【0017】
ワイヤロープ清掃装置11は、本体部13(本願請求項の「本体部」の一例)と、清掃部15(本願請求項の「清掃部」の一例)と、第1取付部171と、第2取付部172(第1取付部171と第2取付部172が本願請求項の「取付部」の一例)と、塗油部19(本願請求項の「塗油部」の一例)と、固定部21(本願請求項の「固定部」の一例)と、連結部23(本願請求項の「連結部」の一例)を備える。ワイヤロープ5は、本体部13並びに第1取付部171及び第2取付部172を通る。
【0018】
本体部13は、清掃部15を備える。清掃部15は、例えば本体部13においてワイヤブラシをワイヤロープ5に接した状態で回転可能に保持したものである。巻きドラム9による巻き上げや巻き下げによって、フック部1が上下動する。ワイヤロープ清掃装置11はフック部1に取り付けられており、巻きドラム9による巻き上げや巻き下げによってワイヤロープ5は本体部13を通過して本体部13はワイヤロープ5上を移動する。(言い換えると、本体部13はワイヤロープ5における位置を変更する)。本体部13がワイヤロープ5上を移動すると、ワイヤブラシは回転しつつワイヤロープ5を清掃する。
【0019】
第1取付部171及び第2取付部172は、それぞれ、本体部13よりもフック部1に近い側及び遠い側に位置する。第1取付部171及び第2取付部172は、例えば圧縮コイルバネを利用することにより、ワイヤロープ5に取り付けたり取り外したりする作業を容易に実現することができる。
【0020】
塗油部19は、ワイヤロープ5に油を塗る。ワイヤロープ5は、メンテナンスのために、定期的(例えば毎日)油を塗る作業が必要である。塗油部19は、例えば麻ひも、フェルト、タオル地などであり、第1取付部171及び第2取付部172の少なくとも一方に取り付けて、塗油部19に定期的に油を滴下することにより、定期的な塗油を容易に実現することができる。さらに、塗油部19を第1取付部171とも第2取付部172とも別体のものとすることにより、ワイヤロープ5に素線切れが生じた場合には切れた素線が塗油部19に引っ掛かり、第1取付部171及び第2取付部172とは別にワイヤロープ5に従って移動することとなり、素線切れを検出できる。
【0021】
固定部21は、例えばクリップであり、フック部1に固定される。連結部23は、第1取付部171と固定部21を連結する。
【0022】
図2図4を参照して具体的な構成の一例を説明する。図2は、ワイヤロープ清掃装置を含めた全体的な構成の一例を示す図である。図3は、ワイヤロープ清掃装置41の具体的な構成の一例を示す。
【0023】
図2を参照して、フック部31は滑車33を備え、巻きドラムでワイヤロープ35を巻き上げたり巻き下げたりすることによって上下動する。
【0024】
ワイヤロープ清掃装置41は、ワイヤロープ35のうち巻きドラム側であるワイヤロープ352に取り付けられる。
【0025】
ワイヤロープ清掃装置41は、本体部43と、清掃部451及び452と、第1取付部471と、第2取付部472と、固定部51と、連結部53を備える。ワイヤロープ352は、本体部43並びに第1取付部471及び第2取付部472を通る。
【0026】
本体部43は、清掃部45を備える。清掃部45はワイヤブラシをワイヤロープ352に接した状態で回転可能に保持したものである。ワイヤブラシは、ワイヤロープ352側に、下側に傾斜させて保持しており、柔軟に保持している。ワイヤブラシは、自重によってワイヤロープ352に接する。巻きドラムの回転によってフック部31が上下動すると、本体部43は、ワイヤロープ35上を移動する。本体部43がワイヤロープ35上を移動すると、ワイヤブラシは回転しつつワイヤロープ35を清掃する。
【0027】
第1取付部471及び第2取付部472は、圧縮コイルバネであり、それぞれ、本体部43よりもフック部31に近い側及び遠い側に位置する。
【0028】
第1取付部471及び/又は第2取付部472には、塗油部(麻ひも、フェルト、タオル地など)を取り付けることができる。図3を参照して、本体部の上側(巻きドラム側)には、塗油部を取り付けるための塗油部係止部491及び492が形成されている。塗油部は帯状で、ワイヤロープ352に巻き付けられて、長手方向の両端を塗油部係止部491及び492に係止することができる。下側(フック部31側)も塗油部係止部493及び494が形成されており、同様に塗油部を取り付けることができる。塗油部は、塗油部係止部49に取り付けられた状態では、ワイヤロープ清掃装置41と共に移動する。塗油部は、定期的に油を滴下されてワイヤロープ352を塗油する。また、塗油部は、ワイヤロープ352の素線切れによる切れた素線に引っ掛かり、塗油部係止部49から外れてワイヤロープ352に留まり、ワイヤロープ清掃装置41とは別に移動することとなる。そのため、素線切れのセンサーのような機能をはたすことができる。
【0029】
固定部51は、板バネクリップ等であり、フック部31の特定箇所に容易に取り付けることができる。連結部53は、第1取付部471の圧縮コイルバネのフック部31側を延長したものであり、固定部51に固定される。第1取付部471と固定部51は、フレキシブルに連結される。
【0030】
図4(a)は、本体部の構成と、清掃部の配置の一例を示す図である。図2及び図3は、ワイヤロープ清掃装置41のX-Xの断面を示す。図4(b)及び(c)は、ワイヤブラシの一例を示す。
【0031】
本体部73は、中心をワイヤロープ63が通っている。本体部73は、清掃部751、752及び753として3つのワイヤブラシを回転可能に保持する。各ワイヤブラシは、3方からワイヤロープ63に接し、ワイヤロープ63の巻き上げなどに伴い回転してワイヤロープ63を清掃する。本体部73は筒状であって、ワイヤロープ63に沿って長手方向とする延びた形状である。本体部73は長手方向に2つのパーツに分かれており、蝶番82及び掛け外し部83で取り付けたり取り外したりすることができる。掛け外し部83を外すことにより本体部73は筒状の長手方向に開いた状態となり、ワイヤロープ63を本体部73内に入れたり、本体部73から出したりすることができる。掛け外し部83を取り付けることにより本体部73は閉じた状態となる。
【符号の説明】
【0032】
1 フック部、3 滑車、5 ワイヤロープ、6 固定部、7 リミットスイッチ、9 巻きドラム、11 ワイヤロープ清掃装置、13 本体部、15 清掃部、171 第1取付部、172 第2取付部、19 塗油部、21 固定部、23 連結部、31 フック部、33 滑車、35 ワイヤロープ、41 ワイヤロープ清掃装置、43 本体部、45 清掃部、471 第1取付部、472 第2取付部、49 塗油部係止部、51 固定部、53 連結部、63 ワイヤロープ、73 本体部、75 清掃部、82 蝶番、83 掛け外し部
図1
図2
図3
図4