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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-21
(45)【発行日】2023-09-29
(54)【発明の名称】廃樹脂熱分解油プラントシステム
(51)【国際特許分類】
   C10G 1/10 20060101AFI20230922BHJP
   C08J 11/12 20060101ALI20230922BHJP
   B01D 46/10 20060101ALI20230922BHJP
   B01D 46/12 20220101ALI20230922BHJP
【FI】
C10G1/10
C08J11/12 ZAB
B01D46/10 B
B01D46/12
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022530659
(86)(22)【出願日】2019-11-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-30
(86)【国際出願番号】 KR2019016449
(87)【国際公開番号】W WO2021107181
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】522204485
【氏名又は名称】ジョンド ハイテック コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】JUNGDO HITEC CORP.
【住所又は居所原語表記】253,Seodaeguil-ro,Okcheon-eup Okcheon-gun Chungcheongbuk-do 29057,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】ファン、スン チャン
【審査官】上坊寺 宏枝
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-306974(JP,A)
【文献】特開2004-300186(JP,A)
【文献】特開平09-291288(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0080624(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第111019684(CN,A)
【文献】特開2013-071020(JP,A)
【文献】特開2012-011299(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0091673(KR,A)
【文献】韓国登録特許第10-0675909(KR,B1)
【文献】特開2013-103998(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10G 1/10
C08J 11/12
B01D 5/00、46/10、46/12、53/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃樹脂熱分解油プラントシステムであって、
一方側には廃樹脂が投入される投入部、他方側には廃樹脂の熱分解による油蒸気を排出する第1排出管が設けられ、軸回転可能な円筒状の内部ボディと、前記内部ボディの下側に設けられ、内部ボディを加熱するメインバーナと、前記内部ボディ及び前記メインバーナを包み込み、前記メインバーナによる燃焼ガスを排出するガス排出管が設けられた外部ボディと、を備える熱分解炉;
第1通孔を有し且つ内部に冷却媒体が通過するジャケット構造の第1凝縮板が内部に多層構造で設けられ、前記第1排出管を介して流入した油蒸気を凝縮させ、凝縮した油類成分を下側に排出する第1流出管と、外部から前記冷却媒体を循環させる第1循環管と、残留油蒸気を排出する第2排出管とが含まれている回転連結管を他方側に備える円筒状の回転凝縮器;
モータを備え、前記内部ボディと前記第1排出管、及び前記回転凝縮器と前記回転連結管を同時に回転させる回動部;
第2通孔を有し且つ内部に冷却媒体が通過するジャケット構造の第2凝縮板が内部に多層構造で設けられ、前記第2排出管を介して流入した残留油蒸気を凝縮させ、凝縮した油類成分を下側に排出する第2流出管と、内部のガスを吸入して外側に排出する第1真空ポンプとを備える固定凝縮器;並びに
前記第1凝縮板及び前記第2凝縮板の内部に低温の冷却媒体を循環させる冷凍機;を含むことを特徴とする、廃樹脂熱分解油プラントシステム。
【請求項2】
前記第1流出管及び前記第2流出管から排出された油類成分を収容する第1貯蔵タンク;
熱媒体を加熱して外部に循環させるヒータ;
前記第1貯蔵タンクの油類成分を真空状態で前記熱媒体を介して加熱させ、精製された油蒸気を生成する精製塔;
前記精製された油蒸気を冷却及び凝縮させて精製油を生成する熱交換器;並びに
前記精製油を収容する第2貯蔵タンク;をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の廃樹脂熱分解油プラントシステム。
【請求項3】
前記精製塔は、
壁内部に熱媒体が通過するジャケット構造を持つ円筒状のケースと、前記ケースの内部に油類成分を噴射するノズルと、前記ケースの内壁と接触して回転するブラシと、を含むことを特徴とする、請求項2に記載の廃樹脂熱分解油プラントシステム。
【請求項4】
前記第1排出管は、
前記第1排出管が貫通し、内部に空間が形成され、側面が開放されたフィルタボディと、前記第1排出管と交差するように前記フィルタボディの側面開放部を介して脱着可能に配置され、一方側から他方側へメッシュが高くなるように複数設けられたフィルタと、前記開放部を開閉する蓋とを備える粉塵除去部;をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の廃樹脂熱分解油プラントシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃樹脂のリサイクル技術に関し、詳しくは、収去された廃樹脂を熱分解及び蒸留して油流成分を抽出する際に、効率を向上させながら、廃水を始めとする各種汚染物質を発生させない廃樹脂熱分解油プラントシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、プラスチック(plastic)を意味する合成樹脂は、成形が容易であり、石油を主原料として様々な物質を重合させてユーザ要求の特性付与が容易であるため、その使用が急激に増加し、それによる廃棄物の量も増加しており、その処理が社会的問題として台頭している。
【0003】
このような多量の廃樹脂は、現在、大部分が焼却及び埋立によって処理され、一部のみリサイクルされる実情であって、自然分解が容易に行われない特性上、焼却及び埋立は環境汚染につながるので、リサイクルが推奨される中で、廃樹脂のエネルギー化が廃樹脂リサイクルの主な方法として検討されている。
【0004】
特に、樹脂製品を生産するために使用される燃料である石油の埋蔵量が減少しながら価格が上昇する実情に応じて、廃樹脂に存在する油流成分を還元回収し、資源のリサイクル度を高めるための研究が盛んに行われている。
【0005】
収去された廃樹脂から他の資源を回収する従来の方法としては、熱処理を介して廃プラスチックから油を抽出するか或いは廃棄物を細かく破砕した後、他の材料と混ぜて固体燃料棒の形状に圧縮・成形する方法などがある。
【0006】
しかし、前者は、投入される再生費用に比べて回収される現実利益が低くて経済性がなく、再生油の品質も低いという問題があり、後者は、環境ホルモンであるダイオキシンの発生が問題として指摘された。
【0007】
また、過去は、廃プラスチックが単純PP、PE材質であって比較的リサイクルが容易であったが、近年は、プラスチック製造技術の高度化に伴い、単純PP、PEの他にPET、ABS、PC、PA、PBT、PPSU、PCALLOYなどの多様な機能性素材が使用されており、リサイクル工程が厳しいという状況である。
【0008】
特に、日光にさらされる容器及びフィルムにUVを用いてPVCでコーティングし、耐熱及び強度の向上が要求される容器及びフィルムにはシラン架橋を添加し、各種包装紙にはPVC、PET、PAなどで印刷及びコーティングが行われるので、プラスチック生産技術の高度化は、リサイクル可能な廃プラスチックが減少した。
【0009】
このため、RDF、SRF種類の廃プラスチックを半分溶かして分解し、これをセメント工場や熱併合発電所に燃料用として使う方法があるが、塩素成分を除去することができる代案がないため使用中止状態にあり、前処理過程での所要経費が相当で納品単価が低いため事業性がないという問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、かかる問題点を解決するためになされたもので、その目的は、廃樹脂製品を熱分解して再生燃料を作る工程において効率を向上させ、機能性プラスチックや合成材料からなるビニール製品も容易に処理することができるうえ、汚染物質も発生させない廃樹脂熱分解油プラントシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は、廃樹脂熱分解油プラントシステムであって、一方側には廃樹脂が投入される投入部、他方側には廃樹脂の熱分解による油蒸気を排出する第1排出管が設けられ、軸回転可能な円筒状の内部ボディと、前記内部ボディの下側に設けられ、内部ボディを加熱するメインバーナと、前記内部ボディ及び前記メインバーナを包み込み、前記メインバーナによる燃焼ガスを排出するガス排出管が設けられた外部ボディと、を備える熱分解炉;第1通孔を有し且つ内部に冷却媒体が通過するジャケット構造の第1凝縮板が内部に多層構造で設けられ、前記第1排出管を介して流入した油蒸気を凝縮させ、凝縮した油類成分を下側に排出する第1流出管と、外部から前記冷却媒体を循環させる第1循環管と、残留油蒸気を排出する第2排出管とが含まれている回転連結管を他方側に備える円筒状の回転凝縮器;モータを備え、前記内部ボディと前記第1排出管、及び前記回転凝縮器と前記回転連結管を同時に回転させる回動部;第2通孔を有し且つ内部に冷却媒体が通過するジャケット構造の第2凝縮板が内部に多層構造で設けられ、前記第2排出管を介して流入した残留油蒸気を凝縮させ、凝縮した油類成分を下側に排出する第2流出管と、内部のガスを吸入して外側に排出する第1真空ポンプとを備える固定凝縮器;並びに前記第1凝縮板及び前記第2凝縮板の内部に低温の冷却媒体を循環させる冷凍機;を含むことを特徴とする。
【0012】
このとき、前記第1流出管及び前記第2流出管から排出された油類成分を収容する第1貯蔵タンク;熱媒体を加熱して外部に循環させるヒータ;前記第1貯蔵タンクの油類成分を真空状態で前記熱媒体を介して加熱させ、精製された油蒸気を生成する精製塔;前記精製された油蒸気を冷却及び凝縮させて精製油を生成する熱交換器;及び前記精製油を収容する第2貯蔵タンク;をさらに含むことができる。
【0013】
また、前記精製塔は、壁の内部に熱媒体が通過するジャケット構造を持つ円筒状のケースと、前記ケースの内部に油類成分を噴射するノズルと、前記ケースの内壁と接触して回転するブラシと、を含むことができる。
【0014】
また、前記第1真空ポンプから排出されるガスを前記外部ボディの内側のメインバーナ側に再供給する第1ガス管と、前記ガス排出管を介して排出される燃焼ガスを移送する第2ガス管と、をさらに含み、前記第2ガス管から供給された燃焼ガスに含まれている塩素成分と反応して水素成分のみ分離するようにケイ素鉄と亜鉛材質の反応物質及び活性炭が内部に充填された反応炉と、脱臭のための補助バーナとを備える脱塩塔;をさらに含むことができる。
【0015】
また、前記第1排出管は、前記第1排出管が貫通し、内部に空間が形成され、側面が開放されたフィルタボディと、前記第1排出管と交差するように前記フィルタボディの側面開放部を介して脱着可能に配置され、一方側から他方側へメッシュが高くなるように複数設けられたフィルタと、前記開放部を開閉する蓋とを備える粉塵除去部;をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、廃プラスチック及びビニールを熱分解して高品質の燃料油を生産することにより、焼却又は埋立処理される廃棄物の量を大幅に減らすことができ、処理によるエネルギー及びコストを低減することができる。
【0017】
特に、機能性プラスチックや合成材質の廃ビニール類も、効果的に処理することができ、多数の熱分解炉を並列方式で運用することにより、大量の廃棄物の処理時間を大幅に短縮することができる。また、工程中に廃水や廃酸の発生がなく、触媒を用いた脱塩機能を介して大気中に塩素やダイオキシンが放出されないため、環境汚染の問題が発生しない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態による油類流れ中心の系統図である。
図2】本発明の実施形態による第1冷却ライン中心の系統図である。
図3】本発明の実施形態によるガス流れ中心の系統図である。
図4】本発明の実施形態による第2冷却ライン中心の系統図である。
図5】本発明の実施形態による熱媒体流れ中心の系統図である。
図6】本発明の実施形態による熱分解炉の構造を示す図である。
図7】本発明の実施形態による粉塵除去部の構造を示す図である。
図8】本発明の実施形態による回転凝縮器の構造を示す図である。
図9】本発明の実施形態による固定凝縮器の構造を示す図である。
図10】本発明の実施形態による凝縮器の凝縮板構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明の廃樹脂熱分解油プラントシステムの構造を具体的に説明する。
【0020】
図1は本発明の実施形態による油類流れ中心の系統図、図2は本発明の実施形態による第1冷却ライン中心の系統図であり、廃樹脂類を熱分解して生成された油類成分を蒸留及び精製して再生燃料油を作る系統を示している。
本発明では、このような熱分解及び再生燃料油生産のための基本構成として、熱分解炉1、回転凝縮器2、固定凝縮器4、及び冷凍機5を備える。
図6は本発明の実施形態による熱分解炉の構造を示す図である。
【0021】
前記熱分解炉1は、廃樹脂製品を熱分解して油蒸気を生成するための構成であって、横になった円筒状からなるが、一方側には廃樹脂が投入される投入部121、他方側には廃樹脂の熱分解による油蒸気を排出する第1排出管14が設けられた内部ボディ12と、前記内部ボディ12の下側に設けられ、内部ボディ12を加熱するメインバーナ13と、前記内部ボディ12及び前記メインバーナ13を包み込む外部ボディ11と、から構成される。
【0022】
前記投入部121には、廃プラスチックや廃ビニールの圧縮品を投入し、一方側と他方側を横切る仮想の軸を介して内部ボディ12が回転するにつれて、下側のメインバーナ13の熱気が、内部ボディ12に投入された廃棄物に均一に伝達されることにより、熱分解が行われる。
【0023】
このとき、前記第1排出管14も、内部ボディ12と一体化して回転するにつれて、内部ボディ12の回転中心に第1排出管14を設け、ベアリングBを介して支持されるように構成され、前記外部ボディ11は、回転せずに内部ボディ12の回転を支持するベアリングBが内側に設置されるとともに、上側には、前記メインバーナ13の作動による燃焼ガスを外部へ排出するガス排出管111が設けられる。
【0024】
このように内部ボディ12の加熱を介して、投入された廃樹脂の水分除去及び熱分解が順次行われ、後述する第1真空ポンプ43の作用を介して、内部ボディ12から発生した水分及び油蒸気は前記第1排出管14を介して順次排出される。
【0025】
このとき、前記内部ボディ12で溶融する廃樹脂の熱処理効果を高めながら溶着などを最小限に抑えるために、内部ボディ12の内壁には、一方と他方の方向に沿って螺旋状(スクリュー状)に形成された突出部123を備える。このような構造によって、前記内部ボディ12の回転に伴い、溶融した樹脂が一方側または他方側へ自然に移動し、内部ボディ12の回転方向を周期的に変更することにより均一な熱処理が行われるとともに、焼付防止及び容易な掃除が実現される。
【0026】
このとき、内部ボディ12の内部で熱分解を介して発生するタールなどの物質が前記第1排出管14を介して排出されるのを防止するために、内部ボディ12の内部に第1排出管14側に遮断部17を備えることができる。
【0027】
前記遮断部17は、第1排出管14を介して、ガスを含む気相の物質の通過のみを許容し、液相及び固相の物質は通過しないようにする構造体であって、中央に貫通孔172が設けられ、内部ボディ12の内部を横切って設置される貫通板171と、前記貫通板171から第1排出管14側へ離隔し、内部ボディ12の内壁と所定の距離を保つように設置された遮断板173とから構成される。
【0028】
すなわち、内部ボディ12から発生したガスは、前記貫通孔172を通過した後、遮断板173に衝突し、遮断板173の外側に内部ボディ12内壁との隙間を介して通過し、中央の第1排出管14から排出される。この過程でガスに混合された各種液相、固相物質は、貫通孔172及び遮断板173を介して形成されるジグザグ状流路を通過することができず、第1排出管14へ排出されない。このとき、このような物質の蓄積如何を外部から容易に確認することができるように、第1排出管14側に透明材質で点検口174を形成することもできる。
図7は本発明の実施形態による粉塵除去部の構造を示す図である。
【0029】
前記内部ボディ12から発生した水分及び油蒸気は、前記第1排出管14を介して回転凝縮器2へ移動する。このとき、廃樹脂に含まれている各種異物を始めとして、熱処理進行過程で再生油類の品質を阻害する各種粉塵が発生するので、前記回転凝縮器2に流入する油蒸気からこれを適切に濾過しなければならず、このために、前記第1排出管14には粉塵除去部15が設置される。
【0030】
前記粉塵除去部15は、実質的に前記第1排出管14と一体に設けられ、これを通過する粉塵を濾過するフィルタであって、第1排出管14と連通する空間が内部に形成された直方体形状からなり、第1排出管14と共に回転するフィルタボディ151を備える。
【0031】
このとき、前記フィルタボディ151の一方側の側面は開放され、これによりフィルタ152の設置及び交換が行われるようにし、フィルタボディ151の開放部を開閉することができるように取っ手を備えた蓋153が設けられる。
【0032】
フィルタ152は、前記フィルタボディ151の側面開放部を介して分離及び洗浄可能な材質からなり、前記第1排出管14と交差するように設置され、第1排出管14を通過する粉塵を濾過する。このとき、一方側から他方側へメッシュが高くなるように複数のフィルタ152を順次備えることが好ましく、添付図面では、3つのフィルタが設置された様子を示しているが、これに限定されない。
図8は本発明の実施形態による回転凝縮器の構造を示す図である。
【0033】
前記回転凝縮器2は、前記内部ボディ12から発生した油蒸気を凝縮させて油類成分を生成するための構成であって、横になった円筒状からなり、前記第1排出管14と連結されて一緒に回転が行われる。
【0034】
前記回転凝縮器2の内部には第1通孔212が設けられ、内部に冷却媒体が通過するジャケット構造の第1凝縮板21が一方側から他方側に立てられて多層構造で設けられ、前記第1排出管14を介して流入した油蒸気を凝縮させる。
【0035】
図10は本発明の実施形態による凝縮器の凝縮板構造を示す図であり、添付図面では、実施形態として、6つの第1凝縮板21が備えられた様子を示しており、それぞれの第1凝縮板21は、回転凝縮器2の内部を縦方向に遮断する形態で設置され、前記第1通孔212の位置を異にすることにより、第1通孔212を通過して一方側から他方側へ流れる油蒸気がそれぞれの第1凝縮板21と接触して冷却及び凝縮が行われる。
【0036】
このとき、前記回転凝縮器2は、側面には凝縮した油類成分を下側に排出することができるように第1流出管22が弁と共に設けられ、外部から前記冷却媒体を循環させる第1循環管231、及び凝縮していない残留油蒸気を排出する第2排出管232が含まれている回転連結管23が他方側に備えられる。
【0037】
前記回転連結管23は、前記回転凝縮器2と共に回転するにつれて、回転中心に位置するとともに、ベアリングBを介して支持され、好ましくは、前記冷凍機5を介して-20℃のレベルに冷却された冷却媒体を回転凝縮器2内部の第1凝縮板21へ供給する配管と、第1凝縮板21を循環して温度が上昇した冷却媒体(約60℃)を冷凍機側へ移送する配管と、残留油蒸気を前記固定凝縮器へ排出する第2排出管232とが同心円をなして形成された多重配管構造で構成し、後述する固定凝縮器4との連結構造で回転による漏れ等を効果的に防止することができる。
【0038】
さらに、モータ31を備え、前記内部ボディ12と第1排出管14、及び回転凝縮器2と回転連結管23を一緒に回転させる回動部3が備えられる。前述したように、前記内部ボディ12と第1排出管14、及び回転凝縮器2と回転連結管23の4つの構成が構造的に連結され、ベアリングBを介して適切に支持されることにより、4つの構成のうちのいずれを回転させても、一緒に回転が行われる。
【0039】
前記回動部3のモータ31の回転力を伝達するためには、ギアやチェーン、ベルトなどの動力伝達手段32が設けられなければならないので、添付図面の如く最も直径が小さく且つ重心にある第1排出管14にこれを連結して回転させることが好ましく、正・逆方向の回転制御に共に十分な回転力伝達のためにギア及びチェーンを適切に備えることができることは、当業者にとって自明である。
図9は本発明の実施形態による固定凝縮器の構造を示す図である。
【0040】
前記固定凝縮器4は、前記回転凝縮器2を介して凝縮していない油蒸気を再度凝縮させる構造体であって、同様に横になった円筒形状からなり、内部には、第2通孔412を有し且つ内部に冷却媒体が通過するジャケット構造の第2凝縮板41が左右方向の多層構造で設けられる。添付図面では、実施形態として、6個の第2凝縮板41が備えられた様子を示しており、それぞれの第2凝縮板41は、固定凝縮器4の内部を縦方向に遮断する形態で一定間隔を置いて設置され、第2通孔412の位置を異にすることにより、第2通孔412を通過して左側から右側へ流れる残留油蒸気がそれぞれの第2凝縮板41と接触して冷却及び凝縮する。
【0041】
このとき、前記固定凝縮器4の下側には、凝縮した油類成分を排出することができるように第2流出管42が弁と共に設けられ、上側には、内部のガスを吸入して外側へ排出する第1真空ポンプ43が連結される。
【0042】
このとき、固定凝縮器4と第1真空ポンプ43との間に第1補助タンク44を設置することにより、ガスに含まれ得る物質が水棒式の第1真空ポンプ43に流入することを最小限に抑え、油蒸気の分離効率を向上させることができる。
【0043】
すなわち、固定凝縮器4のガス排出側には第3排出管45が設けられ、凝縮していない油蒸気が排出され、前記第3排出管45は第1補助タンク44の内部に連結される。
【0044】
この状態で、前記第1真空ポンプ43は、前記第1補助タンク44の上側に連結されて吸入が行われ、前記第3排出管45を介して流入した油蒸気中の油成分は第1補助タンク44に残る。
【0045】
このとき、前記第1補助タンク44の下側は狭くなり、凝縮した油成分などが集められるようにし、前記第2流出管42と連結して、凝縮した油類成分を排出する。
【0046】
上述したように、前記内部ボディ12から第1排出管14と回転凝縮器2と第2排出管232と固定凝縮器4は内部が連結された構造であるため、前記第1真空ポンプ43が駆動されることにより、内部ボディ12と回転凝縮器2及び固定凝縮器4と第1補助タンク44は同時に真空レベルに減圧することができる。
【0047】
前記冷凍機5を介して-20℃のレベルに冷却された冷却媒体は、固定凝縮器4の内部の第2凝縮板41を循環し、温度が上昇した冷却媒体(約60℃)は、再び冷凍機側に供給される。
【0048】
また、前記回転凝縮器2は回転し、固定凝縮器4は固定された状態で、前記回転連結管23を介して回転凝縮器2と固定凝縮器4とを連結しながら油蒸気及び冷却媒体の漏れなしに移送が行われるようにするためには、一方側に前記回転連結管23が回動可能に連結され、他方側には回動しない固定接続管25が連結され、内部で前記第1循環管231及び第2排出管232がそれぞれ回転連結管23と固定接続管25との間で連通するように構成されたロータリジョイント24を設置する。
【0049】
このようなロータリジョイント24は、回転する配管と固定された配管を流体の漏れなしに連結するためのシーリング(sealing)構造を備えた構成であって、公知の商用の製品を介して構成することができるので、発明の趣旨がぼやけることを防止するために、これについての具体的な説明は省略する。
【0050】
前記冷凍機5は、圧縮機、凝縮器、膨張弁及び蒸発器を備えた冷凍機であって、前述したように、ジャケット構造の第1凝縮板21及び第2凝縮板41の内部に低温の冷却媒体を循環させる。このための第1冷却ライン52及び第1冷却ポンプ51を備え、前記冷却媒体としては冷媒をそのまま使用することも可能であるが、蒸発器を介して-20℃のレベルに冷却された不凍液を第1凝縮板21及び第2凝縮板41へ供給して循環するように構成することが好ましい。
【0051】
添付図面では、このような熱分解炉1、回転凝縮器2及び固定凝縮器4が2セット備えられた様子を示しており、プラント規模に応じて、一つから多数まで相互並列連結する方式で運用することにより、多量の廃棄物の処理による加熱時間を大幅に短縮することができる。
図3は本発明の実施形態によるガス流れ中心の系統図である。
【0052】
第1真空ポンプ43を介して内部ボディ12から回転凝縮器2及び固定凝縮器4を減圧させることにより、前述したように、廃棄物の加熱による水分、及び固定凝縮器4で凝縮していない油蒸気を含むガスは、第1真空ポンプ43の排出口を介して排出される。
【0053】
このとき、水分は大気中に放出することができるが、固定凝縮器4で凝縮していない油蒸気を含むガスは、有害成分を含んでいるので、別途の処理後に排出が行われる必要があり、本発明では、これを前記メインバーナ13に再供給して燃焼及び焼却させる。
【0054】
このために、前記第1真空ポンプ43から排出されるガスを前記外部ボディ11内側のメインバーナ13側に再供給する第1ガス管16と共に、前記第1真空ポンプ43の排出口には切換弁を設けて、第1真空ポンプ43の排出口が外部又は第1ガス管16と選択的に連結されるようにすることにより、メインバーナ13の作動初期水分は外部へ排出されるようにし、以後発生する油蒸気を含むガスは、第1ガス管16へ移送できるようにする。
【0055】
前記第1ガス管16を介して移送されたガスは、外部から供給された空気と共にメインバーナ13を介して燃焼し、その副産物は、前記ガス排出管111から排出される。このとき、PVCなどの樹脂を熱処理する際に塩素ガスが発生するので、前記ガス排出管111から排出されるガスは、すぐに大気中に放出されないように第2ガス管83を介して移動し、触媒作用によって塩素成分を除去する脱塩塔8へ供給される。
【0056】
前記脱塩塔8は、前記第2ガス管83から供給された燃焼ガスに含まれている塩素成分と反応して水素成分のみ分離する反応物質が内部に充填された反応炉81と、脱臭のための補助バーナ82とを備えて、塩素成分が除去された状態で大気排出して大気汚染を防ぐ。好ましくは、反応炉81の内部を3層で構成するが、下からケイ素鉄層811、亜鉛層812、活性炭層813を形成して塩素ガが上層に通過し、汚染物質が順次除去されてきれいなガスが大気へ放出されるように構成する。
図5は本発明の実施形態による熱媒体流れ中心の系統図である。
【0057】
前記第1流出管22及び第2流出管42から排出された油類成分は、第1ポンプ611を介して第1貯蔵タンク61に収容されて沈殿による不純物分離が行われる。このとき、処理される廃棄物の量と不純物などを反映して、添付図面の如く第1貯蔵タンク61を2つ以上備えることができ、円滑な沈殿及び後処理のために、前記第1貯蔵タンク61に収容された油類成分を約50℃のレベルに加熱することが好ましい。
【0058】
本発明では、このために熱媒体を加熱して外部へ循環させるヒータ71を備える。前記ヒータは熱媒体ボイラーであり、熱媒体は300℃のレベルに加熱可能な油流を活用してこれを循環させ、前記精製塔72と第1貯蔵タンク61に必要な熱を提供する。
【0059】
第1貯蔵タンク61の油類成分は、第2ポンプ73を介して精製塔72に供給され、精製工程を経る。前記精製塔72は、真空状態で前記熱媒体を介して供給された油類成分を加熱させ、精製された油蒸気を生成する構成であって、壁の内部に加熱済みの熱媒体が通過するジャケット構造を持つ円筒状のケース721と、前記ケース721の内部に、前記第2ポンプ73を介して供給される油類成分を噴射するノズル722と、前記ケース721の内壁と接触して回転するブラシ723とから構成される。
【0060】
つまり、後述する第2真空ポンプ75の作用を介して前記ケース721の内部を真空に減圧した後、熱媒体を介して300℃程度に加熱された状態で油類成分を噴射して油蒸気を生成する。このとき、油圧モータ等を介して前記ブラシ723を定速で回転させ、油蒸気の生成を促進するだけでなく、油類成分によって、ケースの内壁にくっ付く堆積物の処理を容易にする。
【0061】
また、このような堆積物の容易な処理のために、前記ケース721の下端を横切る溝と、前記溝に流入した堆積物を一方側に移送するスクリューを構成することも可能である。
【0062】
前記精製塔72を介して生成された油蒸気は、熱交換器74を介して冷却され、凝縮が行われる。前記熱交換器74は、前記冷凍機5を介して発生する冷却媒体や後述の水冷部9を介して冷却水を循環させ、油蒸気を冷却するように構成することができ、凝縮効率を向上させ且つ再生油の収率を高めることができるように、添付図面の如く複数の熱交換器74を直列に接続することもできる。
前記熱交換器74を介して精製された油蒸気を冷却及び凝縮させて生成された精製油は、第2貯蔵タンク62に最終的に収容される。
【0063】
この時、前記熱交換器74と第2貯蔵タンク62との間に第2真空ポンプ75を設置することにより、前記精製塔72及び熱交換器74の内部に真空を形成して油蒸気の移送を助け、凝縮した精製油を第2貯蔵タンク62へ移送する。
【0064】
このとき、前述したように水封式第2真空ポンプ75への未凝縮油蒸気の流入を最小限に抑えるために、熱交換器74と第2真空ポンプ75との間に第2補助タンク76を構成することができる。
すなわち、熱交換器74の排出側には排出管が設けられ、これは第2補助タンク76の内部に連結される。
【0065】
この状態で、前記第2真空ポンプ75は、前記第2補助タンク76の上側に連結されて吸入が行われ、前記熱交換器74を介して凝縮していない油蒸気中の油成分は、第2補助タンク76に残る。
【0066】
図4は本発明の実施形態による第2冷却ライン中心の系統図であり、冷却水タンク91、第2冷却ポンプ92、第2冷却ライン93及び冷却塔94を備え、前記第1真空ポンプ43及び第2真空ポンプ75を冷却する水冷部9の構成を示している。
【0067】
本発明において、前記第1真空ポンプ43及び第2真空ポンプ75は、水棒式真空ポンプであって、処理時間連続動作して真空を形成するので、運転中に冷却が要求され、前記冷却水タンク91に収容された冷却水を、前記第2冷却ポンプ92を介してそれぞれ第1真空ポンプ43及び第2真空ポンプ75と共に冷却塔94を循環させて冷却が行われるように構成される。
以下、上述したシステム構成を介して廃樹脂から再生油を製造する工程について説明する。
【0068】
好適な実施形態として、重量約2600kgの廃樹脂圧縮品を2つ投入することができる程度の大きさに内部ボディ12を製作し、前記メインバーナ13は、LPGを燃料として使用する。その後、投入部121を閉鎖し、約1時間加熱して内部ボディ12の内部温度が130℃に達すると、前記第1真空ポンプ43及び切換弁を介して、廃樹脂から発生した水分約10%を大気中に放出する。
【0069】
その後、切換弁を閉じて約2時間内部ボディ12を加熱して約380℃に達すると、前記第1真空ポンプ43が前記熱分解炉1、回転凝縮器2及び固定凝縮器4に700~900mmHgの真空をかけて、熱分解炉1から発生する油蒸気を回転凝縮器2、固定凝縮器4及び第1補助タンク44側に強力に吸入して完全真空状態を維持する。
【0070】
このとき、前記冷凍機5は、零下20度の冷却媒体(不凍液)を、前記回転凝縮器2及び固定凝縮器4にそれぞれ設置された第1凝縮板21及び第2凝縮板41に循環させて、熱分解炉1から排出される油蒸気を凝縮させ、これにより油蒸気が液化して油類成分が生成される。
【0071】
このとき、第1補助タンク44を通過した後、前記第1真空ポンプ43側に未凝縮の重いガスが微小に流入し、これを第1ガス管16を介して熱分解炉のメインバーナ13へ供給して燃焼させる。
【0072】
前記回転凝縮器2、固定凝縮器4及び第1補助タンク44で生成された熱分解油、すなわち油類成分は、第1ポンプ611を介して前記第1貯蔵タンク61に移送されて沈殿、濾過、加熱工程を経た後、第2ポンプ73を介して前記精製塔72に移送された熱分解油は、減圧蒸留方式で精製され、前記熱交換器74を通過して第2真空ポンプ75で吸入して第2貯蔵タンク62へ移送され、最終製品である高性能低硫黄熱分解油として貯蔵される。
【0073】
前記第1真空ポンプ43から排出されるヘビー残存ガスは、第1ガス管16を介して熱分解炉のメインバーナ13へ供給して燃料で燃焼させる。このとき、発生する燃焼ガスには塩素成分が存在するので、これを塩酸ガスに切り換えて脱塩塔8で水素化させて大気中に排出する。
図1
図2
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