(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-21
(45)【発行日】2023-09-29
(54)【発明の名称】プライバシー表示用タッチスクリーン
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1333 20060101AFI20230922BHJP
G02F 1/13363 20060101ALI20230922BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20230922BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20230922BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20230922BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20230922BHJP
G09G 3/36 20060101ALI20230922BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
G02F1/1333
G02F1/13363
G02F1/1335
G02F1/13 505
G06F3/041 410
G06F3/044 126
G09G3/36
G09G3/20 691D
G09G3/20 660R
(21)【出願番号】P 2020540724
(86)(22)【出願日】2019-01-24
(86)【国際出願番号】 US2019014902
(87)【国際公開番号】W WO2019147771
(87)【国際公開日】2019-08-01
【審査請求日】2022-01-17
(32)【優先日】2018-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516384542
【氏名又は名称】リアルディー スパーク エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハロルド、ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】ウッドゲート、グラハム ジェイ.
【審査官】鈴木 俊光
(56)【参考文献】
【文献】台湾特許公告第001612360(TW,B)
【文献】特開2005-345799(JP,A)
【文献】特開2012-198416(JP,A)
【文献】特開2017-009654(JP,A)
【文献】特開2013-156975(JP,A)
【文献】特表平09-507308(JP,A)
【文献】国際公開第2008/004361(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0356943(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2008-0035774(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1333
G02F 1/13363
G02F 1/1335
G02F 1/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチ入力ディスプレイデバイスであって、
光を出力するように配設された空間光変調器(SLM)と、
前記SLMの出力側に配設されたディスプレイ偏光器であって、前記ディスプレイ偏光器が直線偏光器である、ディスプレイ偏光器と、
前記ディスプレイ偏光器の出力側に配設された追加の偏光器であって、前記追加の偏光器が直線偏光器である、追加の偏光器と、
前記ディスプレイ偏光器と前記追加の偏光器との間に配設された液晶材料層を備える切り替え可能な液晶リターダであって、前記切り替え可能な液晶リターダが、
偏光方向制御リターダであり、前記
偏光方向制御リターダが、前記切り替え可能な液晶リターダの切り替え可能な状態において、同時に、前記切り替え可能な液晶リターダの平面の法線に沿った軸に沿って前記ディスプレイ偏光器を通過する光の直交偏光成分に正味の相対位相シフトを導入しないように、かつ前記切り替え可能な液晶リターダの平面の法線に対して傾斜した軸に沿って前記ディスプレイ偏光器を通過する光の直交偏光成分に相対位相シフトを導入するように配設されている、切り替え可能な液晶リターダと、
前記切り替え可能な液晶リターダの前記状態を制御するための電圧を印加するように配設された切り替え可能なリターダ制御電極と、
前記切り替え可能なリターダ制御電極の出力側の層に配設された少なくとも1つのタッチ電極アレイと、
前記切り替え可能な液晶リターダと、前記切り替え可能な液晶リターダの前記出力側の前記追加の偏光器と、の間に配設された少なくとも1つのパッシブリターダと、
を備え
前記タッチ入力ディスプレイデバイスが1つのタッチ電極アレイを備える場合に、前記タッチ電極アレイが、または前記タッチ入力ディスプレイデバイスが2つ以上のタッチ電極アレイを備える場合に、前記タッチ電極アレイのうちの1つが、前記少なくとも1つのパッシブリターダが1つのパッシブリターダを備える場合に、前記パッシブリターダの表面上に、または前記少なくとも1つのパッシブリターダが2つ以上のパッシブリターダを備える場合に、前記パッシブリターダのうちの1つの表面上に、形成されている、
タッチ入力ディスプレイデバイス。
【請求項2】
前記少なくとも1つのパッシブリターダが、
偏光方向制御リターダであり、前記
偏光方向制御リターダが、同時に、前記切り替え可能な液晶リターダの平面の法線に沿った軸に沿って前記ディスプレイ偏光器を通過する光の直交偏光成分に正味の相対位相シフトを導入せず、かつ前記切り替え可能な液晶リターダの平面の法線に対して傾斜した軸に沿って前記ディスプレイ偏光器を通過する光の直交偏光成分に相対位相シフトを導入する、
請求項1に記載のタッチ入力ディスプレイデバイス。
【請求項3】
前記少なくとも1つのタッチ電極アレイが、少なくとも1つの誘電体層によって分離された層に配設されたタッチ電極アレイ対を含む、
請求項1または2に記載のタッチ入力ディスプレイデバイス。
【請求項4】
前記タッチ電極アレイ対の各々が、前記タッチ入力ディスプレイデバイスが1つのパッシブリターダを備える場合に、前記パッシブリターダのそれぞれの表面上に、または前記タッチ入力ディスプレイデバイスが2つ以上のパッシブリターダを備える場合に、前記パッシブリターダのうちの1つのそれぞれの表面上に、形成されている、
請求項3に記載のタッチ入力ディスプレイデバイス。
【請求項5】
前記少なくとも1つの誘電体層が、前記タッチ入力ディスプレイデバイスが1つのパッシブリターダを備える場合に、前記パッシブリターダを備え、または前記タッチ入力ディスプレイデバイスが2つ以上のパッシブリターダを備える場合に、前記パッシブリターダのうちの少なくとも1つを備える、
請求項3に記載のタッチ入力ディスプレイデバイス。
【請求項6】
前記タッチ入力ディスプレイデバイスが2つ以上のパッシブリターダを備え、前記少なくとも1つの誘電体層が少なくとも2つのパッシブリターダを備える、
請求項3に記載のタッチ入力ディスプレイデバイス。
【請求項7】
前記少なくとも1つの誘電体層が、リターダではない少なくとも1つの追加の層を備える、
請求項3に記載のタッチ入力ディスプレイデバイス。
【請求項8】
前記少なくとも1つのパッシブリターダが、パッシブ一軸リターダであって、前記パッシブ一軸リターダの平面に対して垂直な光学軸を有する、パッシブ一軸リターダを含む、
請求項1または2に記載のタッチ入力ディスプレイデバイス。
【請求項9】
前記少なくとも1つのパッシブリターダが、パッシブ一軸リターダの対であって、前記パッシブ一軸リターダの平面内に交差する光学軸を有する、パッシブ一軸リターダ対を含む、
請求項3に記載のタッチ入力ディスプレイデバイス。
【請求項10】
前記少なくとも1つのタッチ電極アレイが、前記パッシブ一軸リターダ対のそれぞれのパッシブ一軸リターダの対向表面上に形成されたタッチ電極アレイ対を含み、前記少なくとも1つの誘電体層が、前記パッシブ一軸リターダ対間に配設された少なくとも1つの追加の層を備える、
請求項9に記載のタッチ入力ディスプレイデバイス。
【請求項11】
前記少なくとも1つの誘電体層が、前記タッチ電極アレイ対間に配設された接着層を備える、
請求項10に記載のタッチ入力ディスプレイデバイス。
【請求項12】
前記少なくとも1つのタッチ電極アレイが、前記パッシブ一軸リターダ対のそれぞれのパッシブ一軸リターダの外面上に形成されたタッチ電極アレイ対を含み、前記少なくとも1つの誘電体層が、前記パッシブ一軸リターダ対を備える、
請求項9に記載のタッチ入力ディスプレイデバイス。
【請求項13】
入力透明支持基板および出力透明支持基板をさらに備え、前記液晶材料層が、前記入力透明支持基板と前記出力透明支持基板との間に配設されており、前記少なくとも1つのタッチ電極アレイが、前記出力透明支持基板の出力側に配設されている、
請求項1に記載のタッチ入力ディスプレイデバイス。
【請求項14】
入力透明支持基板および出力透明支持基板をさらに備え、前記液晶材料層が、前記入力透明支持基板と前記出力透明支持基板との間に配設されており、前記少なくとも1つのタッチ電極アレイが、前記切り替え可能なリターダ制御電極と前記出力透明支持基板との間に配設されている、
請求項1に記載のタッチ入力ディスプレイデバイス。
【請求項15】
前記少なくとも1つのタッチ電極アレイが、前記切り替え可能なリターダ制御電極と前記追加の偏光器との間に配設されている、
請求項1に記載のタッチ入力ディスプレイデバイス。
【請求項16】
前記少なくとも1つのタッチ電極アレイが、前記切り替え可能なリターダ制御電極から分離されている、
請求項1に記載のタッチ入力ディスプレイデバイス。
【請求項17】
前記切り替え可能なリターダ制御電極が、前記液晶材料層の両側に配設されている、
請求項1に記載のタッチ入力ディスプレイデバイス。
【請求項18】
前記ディスプレイ偏光器と前記切り替え可能な液晶リターダとの間に配設された反射偏光器をさらに備える、
請求項1に記載のタッチ入力ディスプレイデバイス。
【請求項19】
制御システムをさらに備え、前記制御システムが、前記切り替え可能な液晶リターダを制御するために前記切り替え可能なリターダ制御電極に駆動電圧を印加するように配設されており、前記制御システムが、容量性タッチ検知のために前記少なくとも1つのタッチ電極アレイにアドレスするように配設されている、
請求項1に記載のタッチ入力ディスプレイデバイス。
【請求項20】
前記駆動電圧が、前記駆動電圧が一定である期間を含む波形を有し、前記制御システムが、前記駆動電圧が一定である前記期間のうちの少なくとも1つの間に前記少なくとも1つのタッチ電極アレイにアドレスするように配設されている、
請求項19に記載のタッチ入力ディスプレイデバイス。
【請求項21】
前記駆動電圧が、前記駆動電圧が一定であるがそれぞれ異なるレベルである期間を含む波形を有し、前記制御システムが、前記駆動電圧が一定であって同じレベルである前記期間のうちの少なくとも1つの間に前記少なくとも1つのタッチ電極アレイにアドレスするように配設されている、
請求項20に記載のタッチ入力ディスプレイデバイス。
【請求項22】
前記駆動電圧の前記波形が、正極性の少なくとも1つのパルスを含む正のアドレッシング位相と、負極性の少なくとも1つのパルスを含む負のアドレッシング位相と、を含み、前記正極性の少なくとも1つのパルスのピークと、前記負極性の少なくとも1つのパルスのピークとが、前記駆動電圧が一定である前記期間である、
請求項21に記載のタッチ入力ディスプレイデバイス。
【請求項23】
前記駆動電圧の前記波形が、正極性の少なくとも1つのパルスおよび少なくとも1つの追加期間を含む正のアドレッシング位相と、負極性の少なくとも1つのパルスおよび少なくとも1つの追加の期間を含む負のアドレッシング位相と、を含み、前記正のアドレッシング位相の前記少なくとも1つの追加の期間と前記負のアドレッシング位相の前記少なくとも1つの追加の期間とが、前記駆動電圧が一定であり、かつ前記正極性の少なくとも1つのパルスの最大レベルと前記負極性の少なくとも1つのパルスの最小レベルとの中間のレベルを有する、前記期間である、
請求項20または21に記載のタッチ入力ディスプレイデバイス。
【請求項24】
前記正のアドレッシング位相の前記少なくとも1つの追加の期間と前記負のアドレッシング位相の前記少なくとも1つの追加の期間とが、ゼロボルトのレベルを有する、
請求項23に記載のタッチ入力ディスプレイデバイス。
【請求項25】
前記正のアドレッシング位相の前記少なくとも1つの追加の期間と前記負のアドレッシング位相の前記少なくとも1つの追加の期間とが、ゼロでない大きさのレベルを有する、
請求項23に記載のタッチ入力ディスプレイデバイス。
【請求項26】
前記駆動電圧が、前記液晶リターダの一定の
液晶光学配向状態を与える二乗平均平方根値を有し、かつゼロの算術平均を有する波形を有する、
請求項19に記載のタッチ入力ディスプレイデバイス。
【請求項27】
前記制御システムが、前記SLMにアドレスするようにさらに配設されている、
請求項19に記載のタッチ入力ディスプレイデバイス。
【請求項28】
前記制御システムが前記切り替え可能なリターダ制御電極に印加するように配設された前記駆動電圧が、前記SLM
にアドレスすることに同期する、
請求項27に記載のタッチ入力ディスプレイデバイス。
【請求項29】
前記制御システムが、垂直ブランキング間隔を含むアドレッシング方式を使用して前記SLMにアドレスするように配設されており、前記制御システムが、前記垂直ブランキング間隔中に前記少なくとも1つのタッチ電極アレイにアドレスするように配設されている、
請求項27または28に記載のタッチ入力ディスプレイデバイス。
【請求項30】
タッチ入力ディスプレイデバイスを制御する方法であって、前記タッチ入力ディスプレイデバイスが、
光を出力するように配設された空間光変調器(SLM)と、
前記SLMの出力側に配設されたディスプレイ偏光器であって、前記ディスプレイ偏光器が直線偏光器である、ディスプレイ偏光器と、
前記ディスプレイ偏光器の出力側に配設された追加の偏光器であって、前記追加の偏光器が直線偏光器である、追加の偏光器と、
前記ディスプレイ偏光器と前記追加の偏光器との間に配設された液晶材料層を備える切り替え可能な液晶リターダと、
前記切り替え可能な液晶リターダを制御するための電圧を印加するように配設された切り替え可能なリターダ制御電極と、
前記切り替え可能なリターダ制御電極の出力側の層に配設された少なくとも1つのタッチ電極アレイと、
前記切り替え可能な液晶リターダと、前記前記切り替え可能な液晶リターダの前記出力側の前記追加の偏光器と、の間に配設された少なくとも1つのパッシブリターダと、
を備え、
前記タッチ入力ディスプレイデバイスが1つのタッチ電極アレイを備える場合に、前記タッチ電極アレイが、または前記タッチ入力ディスプレイデバイスが2つ以上のタッチ電極アレイを備える場合に、前記タッチ電極アレイのうちの1つが、前記少なくとも1つのパッシブリターダが1つのパッシブリターダを備える場合に、前記パッシブリターダの表面上に、または前記少なくとも1つのパッシブリターダが2つ以上のパッシブリターダを備える場合に、前記パッシブリターダのうちの1つの表面上に、形成されており、
前記方法が、
前記切り替え可能な液晶リターダを制御するために前記切り替え可能なリターダ制御電極に駆動電圧を印加することであって、前記駆動電圧が、前記駆動電圧が一定である期間を含む波形を有する、印加することと、
前記駆動電圧が一定である前記期間のうちの少なくとも1つの間に容量性タッチ検知のために前記少なくとも1つのタッチ電極アレイにアドレスすることと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、プライバシー表示で使用するための角度照明の制御を備えたディスプレイデバイスと低迷光ディスプレイとのタッチ入力に関する。
【背景技術】
【0002】
プライバシーディスプレイは、(通常、軸上位置にある)主ユーザに画像視認性を提供し、通常、軸外位置にある覗き見者には画像内容の低減された視認性を提供する。プライバシー機能は、ディスプレイから軸上方向には高輝度を透過し、軸外位置では輝度を下げるマイクロルーバー光学フィルムによって提供される場合があるが、このようなフィルムは電気的に切り替え可能でないため、ディスプレイはプライバシーのみの機能に制限される。
【0003】
軸外の光出力を制御することにより、切り替え可能なプライバシーディスプレイが提供される場合がある。
【0004】
軸外プライバシーの制御は、コントラスト低減によって、例えば、面内スイッチングLCDの液晶面外チルトを調整することによって、提供され得る。
【0005】
制御が、軸外輝度低減によってさらに提供され得る。輝度低減は、液晶ディスプレイ(LCD)空間光変調器(SLM)のための切り替え可能なバックライトによって達成され得る。軸外輝度低減は、SLMの入力および/または出力の方向輝度プロファイルを変調するように配設された切り替え可能な液晶リターダ、偏光器、および補償リターダによっても提供され得る。
【0006】
タッチスクリーンは、観測者の指またはスタイラスから入力位置を受け取るように配設されており、静電容量式タッチ検知技術、抵抗式タッチ検知技術、電磁誘導検知技術、および他の知られているタッチ検知技術を備え得る。
【発明の概要】
【0007】
本開示の第1の態様によれば、タッチ入力ディスプレイデバイスが提供され、タッチ入力ディスプレイデバイスは、光を出力するように配設された空間光変調器(SLM)と、SLMの出力側に配設されたディスプレイ偏光器であって、ディスプレイ偏光器が直線偏光器である、ディスプレイ偏光器と、ディスプレイ偏光器の出力側に配設された追加の偏光器であって、追加の偏光器が直線偏光器である、追加の偏光器と、ディスプレイ偏光器と追加の偏光器との間に配設された液晶材料層を備える切り替え可能な液晶リターダであって、切り替え可能な液晶リターダが、極性制御リターダであり、極性制御リターダが、切り替え可能な液晶リターダの切り替え可能な状態において、同時に、切り替え可能な液晶リターダの平面の法線に沿った軸に沿ってディスプレイ偏光器を通過する光の直交偏光成分に正味の相対位相シフトを導入しないように、かつ切り替え可能な液晶リターダの平面の法線に対して傾斜した軸に沿ってディスプレイ偏光器を通過する光の直交偏光成分に相対位相シフトを導入するように配設されている、切り替え可能な液晶リターダと、切り替え可能な液晶リターダの状態を制御するための電圧を印加するように配設された切り替え可能なリターダ制御電極と、切り替え可能なリターダ制御電極の出力側の層に配設された少なくとも1つのタッチ電極アレイと、を備える。有利なことに、広範囲の視認位置に対して高いコントラストおよび輝度を有する第1のモードと、正面のユーザに対する高いコントラストおよび輝度と軸外位置に対する低い輝度と有する第2のモードと、を有し得る切り替え可能な指向性ディスプレイにタッチ検知を提供することができる。そのようなディスプレイは、切り替え可能なプライバシー動作を提供することができるか、または例えば夜間動作で使用するための切り替え可能な迷光を提供することができる。
【0008】
タッチ入力ディスプレイデバイスは、切り替え可能な液晶リターダと追加の偏光器との間に配設された少なくとも1つのパッシブリターダをさらに備えてもよい。少なくとも1つのパッシブリターダは、極性制御リターダであってもよく、極性制御リターダは、同時に、切り替え可能な液晶リターダの平面の法線に沿った軸に沿ってディスプレイ偏光器を通過した光の直交偏光成分に正味の相対位相シフトを導入せず、かつ切り替え可能な液晶リターダの平面の法線に対して傾斜した軸に沿ってディスプレイ偏光器を通過した光の直交偏光成分に相対位相シフトを導入する。有利なことに、第1のモードで高い画像視認性が達成される極角範囲を増大させることができ、第2のモードで高い視覚セキュリティレベルが達成される極角範囲を増大させることができる。
【0009】
ディスプレイデバイスが1つのタッチ電極アレイを備える場合に、タッチ電極アレイが、またはディスプレイデバイスが2つ以上のタッチ電極アレイを備える場合に、タッチ電極アレイのうちの1つが、ディスプレイデバイスが1つのパッシブリターダを備える場合に、パッシブリターダの表面上に、またはディスプレイデバイスが2つ以上のパッシブリターダを備える場合に、パッシブリターダのうちの1つの表面上に、形成されていてもよい。タッチ検知構造は、単一電極導体堆積プロセスで形成され、指向性ディスプレイに厚さをほとんどまたはまったく追加しなくてもよく、有利なことに低コストであり得る。
【0010】
少なくとも1つのタッチ電極アレイは、少なくとも1つの誘電体層によって分離された層に配設されたタッチ電極アレイ対を含んでもよい。有利なことに、電極ルーティングトポロジーを、単一層に配設されたタッチ電極対と比較して単純化することができ、複雑さが低減され、タッチ電極アレイの精度性能が向上する。
【0011】
タッチ電極アレイ対の各々は、ディスプレイデバイスが1つのパッシブリターダを備える場合に、パッシブリターダのそれぞれの表面上に、またはディスプレイデバイスが2つ以上のパッシブリターダを備える場合に、パッシブリターダのうちの1つのそれぞれの表面上に、形成されていてもよい。有利なことに、電極アレイを形成するための低コストの製造方法を提供することができる。パッシブリターダは、湾曲した、折り曲げ可能な、折りたたみ可能なディスプレイに対応して可撓性を有し得る。追加の厚さがほとんどまたはまったく生じず、コストが最小限に抑えられる。
【0012】
上記の少なくとも1つの誘電体層は、ディスプレイデバイスが1つのパッシブリターダを備える場合に、パッシブリターダを備えてもよいか、またはディスプレイデバイスが2つ以上のパッシブリターダを備える場合に、パッシブリターダのうちの少なくとも1つを備える。層数が低減され、有利なことに、厚さ、複雑さ、およびコストが低減される。
【0013】
ディスプレイデバイスは、2つ以上のパッシブリターダを備えてもよく、上記の少なくとも1つの誘電体層は、少なくとも2つのパッシブリターダを備えてもよい。パッシブリターダを、A-プレートリターダ上に都合よく形成することができ、有利なことに、コストが低減される。さらに、パッシブリターダを、上に電極を形成するのに好適である材料によって提供することができる。
【0014】
上記の少なくとも1つの誘電体層は、リターダではない少なくとも1つの追加の層を備えてもよい。有利なことに、誘電体層を調整して、リターダ材料および厚さの選択とは独立に適切な電気的特性を提供することができる。
【0015】
少なくとも1つのパッシブリターダは、パッシブ一軸リターダであって、パッシブ一軸リターダの平面に対して垂直な光学軸を有するパッシブ一軸リターダを含んでもよい。リターダ数を低減することができ、有利なことに、厚さが低減される。
【0016】
少なくとも1つのパッシブリターダが、パッシブ一軸リターダの対であって、パッシブ一軸リターダの平面内に交差する光学軸を有する、パッシブ一軸リターダ対を含んでもよい。電極アレイは、リターダの各々の一方側に形成され、電極形成の複雑さを低減することができる。有利なことに、製造コストを低減することができる。
【0017】
少なくとも1つのタッチ電極アレイは、パッシブ一軸リターダ対のそれぞれのパッシブ一軸リターダの対向表面上に形成されたタッチ電極アレイ対を含み、上記の少なくとも1つの誘電体層は、パッシブ一軸リターダ対間に配設された少なくとも1つの追加の層を備えてもよい。上記の少なくとも1つの誘電体層は、タッチ電極アレイ対間に配設された接着層を備えてもよい。有利なことに、低コストの構造を提供することができる。タッチ検知の感度の向上を達成するために、追加の層材料および厚さを選択することによって誘電体特性を選択することができる。
【0018】
少なくとも1つのタッチ電極アレイは、パッシブ一軸リターダ対のそれぞれのパッシブ一軸リターダの外面上に形成されたタッチ電極アレイ対を含み、上記の少なくとも1つの誘電体層は、パッシブ一軸リターダ対を備えてもよい。リターダ対を溶媒結合することができ、有利なことに、表面反射および厚さが低減される。
【0019】
タッチ入力ディスプレイデバイスは、入力透明支持基板および出力透明支持基板をさらに備え、液晶材料層は、入力透明支持基板と出力透明支持基板との間に配設されており、少なくとも1つのタッチ電極アレイは、出力透明支持基板の出力側に配設されていてもよい。タッチ入力ディスプレイデバイスは、入力透明支持基板および出力透明支持基板をさらに備え、液晶材料層は、入力透明支持基板と出力透明支持基板との間に配設されており、少なくとも1つのタッチ電極アレイは、切り替え可能なリターダ制御電極と出力透明支持基板との間に配設されていてもよい。タッチ検知構造をSLMの制御から遮蔽することができ、有利なことに、感度が増大する。
【0020】
少なくとも1つのタッチ電極アレイは、切り替え可能なリターダ制御電極と追加の偏光器との間に配設されていてもよい。有利なことに、タッチ電極アレイからの反射の視認性を低減することができる。さらに、タッチ電極アレイをリターダ構造と統合することができ、有利なことに、厚さおよびコストが低減される。
【0021】
少なくとも1つのタッチ電極アレイは、切り替え可能なリターダ制御電極から分離されていてもよい。切り替え可能なリターダ制御電極は、液晶材料層の両側に配設されていてもよい。有利なことに、切り替え可能なリターダを、タッチ電極アレイの制御とは独立に切り替えることができる。
【0022】
タッチ入力ディスプレイデバイスは、制御システムをさらに備えてもよく、制御システムは、切り替え可能な液晶リターダを制御するために切り替え可能なリターダ制御電極に駆動電圧を印加するように配設されていてもよく、制御システムは、容量性タッチ検知のために少なくとも1つのタッチ電極アレイにアドレスするように配設されていてもよい。有利なことに、切り替え可能な方向性ディスプレイの制御およびタッチ制御を、同じデバイスで達成することが可能である。
【0023】
駆動電圧は、駆動電圧が一定である期間を含む波形を有してもよく、制御システムは、駆動電圧が一定である期間のうちの少なくとも1つの間に少なくとも1つのタッチ電極アレイにアドレスするように配設されていてもよい。有利なことに、タッチ信号の信号対雑音比が大きくなり、タッチシステムの感度が向上する。
【0024】
駆動電圧は、駆動電圧が一定であるがそれぞれ異なるレベルである期間を含む波形を有してもよく、制御システムは、駆動電圧が一定であって同じレベルである期間のうちの少なくとも1つの間に少なくとも1つのタッチ電極アレイにアドレスするように配設されていてもよい。タッチ信号の信号対雑音比が増加し、有利なことに、タッチシステムの感度が向上する。
【0025】
駆動電圧の波形は、正極性の少なくとも1つのパルスを含む正のアドレッシング位相と、負極性の少なくとも1つのパルスを含む負のアドレッシング位相と、を含み、正極性の少なくとも1つのパルスのピークと、負極性の少なくとも1つのパルスのピークとが、駆動電圧が一定である上記の期間であってもよい。切り替え可能な液晶リターダの両端間の平均電圧はゼロに維持され、すなわち切り替え可能な液晶リターダの両端間の正味のDC電圧はなく、タッチ信号が取得されるサンプリング期間数が増加する。有利なことに、タッチ位置決定の遅れおよび精度が向上する。
【0026】
駆動電圧の波形は、正極性の少なくとも1つのパルスおよび少なくとも1つの追加期間を含む正のアドレッシング位相と、負極性の少なくとも1つのパルスおよび少なくとも1つの追加の期間を含む負のアドレッシング位相と、を含み、正のアドレッシング位相の少なくとも1つの追加の期間と負のアドレッシング位相の少なくとも1つの追加の期間とが、駆動電圧が一定であり、かつ正極性の少なくとも1つのパルスの最大レベルと負極性の少なくとも1つのパルスの最小レベルとの中間のレベルを有する、上記の期間であってもよい。サンプリング期間数が増加し、タッチ信号処理回路のコモンモード電圧範囲が減少する。有利なことに、タッチ信号処理回路のコストおよび性能が向上する。
【0027】
正のアドレッシング位相の少なくとも1つの追加の期間と負のアドレッシング位相の少なくとも1つの追加の期間とが、ゼロボルトのレベルを有してもよい。サンプリング期間数が増加し、タッチ信号処理回路のコモンモード電圧範囲がさらに減少する。有利なことに、タッチ信号処理回路のコストおよび性能が向上する。
【0028】
正のアドレッシング位相の少なくとも1つの追加の期間と負のアドレッシング位相の少なくとも1つの追加の期間とが、ゼロでない大きさのレベルを有してもよい。サンプリング期間数が増加し、タッチ信号処理回路のコモンモード電圧範囲が減少する。有利なことに、タッチ信号位置の遅れが減少し、タッチ信号処理回路のコストが向上する。
【0029】
駆動電圧は、液晶リターダの一定の液晶光学整合状態を与える二乗平均平方根値を有し、かつゼロの算術平均を有する波形を有してもよい。液晶リターダの両端間の平均の正味のDC電圧はない。液晶材料は、電気化学的に劣化せず、有利なことに、液晶材料の動作寿命が向上する。
【0030】
制御システムは、SLMにアドレスするようにさらに配設されていてもよい。制御システムの統合により、有利なことに、コストおよび複雑さが節減される。
【0031】
制御システムが切り替え可能なリターダ制御電極に印加するように配設された駆動電圧が、SLMのアドレッシングに対して同期してもよい。切り替え可能な液晶リターダの電極およびSLMによって生成される電界の相対的なタイミングが固定される。有利なことに、限定されないが「遅い走査バー」を含むスクリーンアーチファクトの任意の出現が低減される。
【0032】
制御システムは、垂直ブランキング間隔を含むアドレッシング方式を使用してSLMにアドレスするように配設されており、制御システムは、垂直ブランキング間隔中に少なくとも1つのタッチ電極アレイにアドレスするように配設されていてもよい。垂直ブランキング期間中、駆動電極上のSLMへの高周波信号遷移の低減が達成される。それらの遷移からの電場放射が低減され、有利なことに、画面のタッチ感度が向上する。
【0033】
駆動電圧の波形は、正の最大電圧を有する第1のアドレッシング正電圧位相を含むアドレッシングシーケンスと、負の最小電圧を有する第2のアドレッシング負電圧位相と、を含んでもよい。第1の位相における駆動電圧の波形は、2つ以上の正の電圧レベルを含んでよく、かつ第2の位相における駆動電圧の波形は、2つ以上の負の電圧レベルを含んでもよいか、または、第1の位相における駆動電圧の波形は、少なくとも1つの正の電圧レベルおよびゼロの電圧レベルを含んでもよく、かつ第2の位相における駆動電圧の波形は、少なくとも1つの負の電圧レベルおよびゼロの電圧レベルを含んでもよい。タッチ入力ディスプレイデバイスは、正の最大電圧と負の最小電圧との中間の中間駆動電圧レベルを含む第3のアドレッシング位相をさらに含んでもよい。中間電圧レベルは、ゼロであってもよい。駆動電圧の波形の二乗平均平方根値は、液晶リターダの一定の液晶光学整合状態を与えるように配設されていてもよく、駆動電圧の波形の算術平均は、ゼロであってもよい。駆動電極が一定レベルにあるときに、タッチ電極アレイに印加され、およびタッチ電極アレイから測定される信号を提供してもよい。切り替え可能な液晶リターダは、リターダの動作寿命が延長されるように、DCバランスされてもよい。有利なことに、タッチ測定システムにおけるノイズが低減され、向上した精度を達成することができる。
【0034】
駆動電圧が同じ一定レベルにあるときに、タッチ電極アレイに印加され、およびタッチ電極アレイから測定される信号を提供することができる。有利なことに、タッチ検知装置のコストおよび複雑さを向上させることができる。
【0035】
切り替え可能な液晶リターダに印加される波形は、SLMのアドレッシングに対して同期してもよい。SLMのアドレッシングは、垂直ブランキング間隔を含んでもよく、タッチ電極アレイに印加され、およびタッチ電極アレイから測定される信号は、垂直ブランキング間隔中に提供される。有利なことに、タッチ信号検出器におけるSLMからの電気ノイズが最小化され、タッチ測定の精度および速度が高まる。
【0036】
タッチ入力ディスプレイデバイスは、制御システムをさらに備えてもよく、制御システムは、切り替え可能な液晶リターダを制御するために切り替え可能なリターダ制御電極に駆動電圧を印加するように配設されていてもよく、制御システムは、容量性タッチ検知のために少なくとも1つのタッチ電極アレイにアドレスするように配設されていてもよい。有利なことに、タッチ電極アレイと切り替え可能なリターダ制御電極との間の干渉を低減することができる。
【0037】
駆動電圧は、駆動電圧が一定である期間を含む波形を有してもよく、制御システムは、駆動電圧が一定である期間のうちの少なくとも1つの間に少なくとも1つのタッチ電極アレイにアドレスするように配設されていてもよい。駆動電圧は、駆動電圧が一定であるがそれぞれ異なるレベルである期間を含む波形を有してもよく、制御システムは、駆動電圧が一定であって同じレベルである期間のうちの少なくとも1つの間に少なくとも1つのタッチ電極アレイにアドレスするように配設されていてもよい。駆動電圧の波形は、正極性の少なくとも1つのパルスを含む正のアドレッシング位相と、負極性の少なくとも1つのパルスを含む負のアドレッシング位相と、を含み、正極性の少なくとも1つのパルスのピークと、負極性の少なくとも1つのパルスのピークとが、駆動電圧が一定である上記の期間であってもよい。
【0038】
駆動電圧の波形は、正極性の少なくとも1つのパルスおよび少なくとも1つの追加期間を含む正のアドレッシング位相と、負極性の少なくとも1つのパルスおよび少なくとも1つの追加の期間を含む負のアドレッシング位相と、を含み、正のアドレッシング位相の少なくとも1つの追加の期間と負のアドレッシング位相の少なくとも1つの追加の期間とが、駆動電圧が一定であり、かつ正極性の少なくとも1つのパルスの最大レベルと負極性の少なくとも1つのパルスの最小レベルとの中間のレベルを有する、上記の期間であってもよい。
【0039】
正のアドレッシング位相の少なくとも1つの追加の期間と負のアドレッシング位相の少なくとも1つの追加の期間とが、ゼロボルトのレベルを有してもよい。正のアドレッシング位相の少なくとも1つの追加の期間と負のアドレッシング位相の少なくとも1つの追加の期間とが、ゼロでない大きさのレベルを有してもよい。駆動電圧は、液晶リターダの一定の液晶光学整合状態を与える二乗平均平方根値を有し、かつゼロの算術平均を有する波形を有してもよい。制御システムは、SLMにアドレスするようにさらに配設されていてもよい。制御システムが切り替え可能なリターダ制御電極に印加するように配設された駆動電圧が、SLMのアドレッシングに対して同期してもよい。制御システムは、垂直ブランキング間隔を含むアドレッシング方式を使用してSLMにアドレスするように配設されており、制御システムは、垂直ブランキング間隔中に少なくとも1つのタッチ電極アレイにアドレスするように配設されていてもよい。
【0040】
タッチ入力ディスプレイデバイスは、ディスプレイ偏光器と切り替え可能な液晶リターダとの間に配設された反射偏光器をさらに備えてもよい。有利なことに、周囲光におけるプライバシーディスプレイとして使用される場合、増加した軸外反射率が提供されて、覗き見者に対する減少した画像外コントラストを達成することができる。パブリックモードでは、減少した反射率が達成され、これにより広い視野に対して高コントラストのパブリックモードを提供することができる。
【0041】
本開示の第2の態様によれば、タッチ入力ディスプレイデバイスが提供され、タッチ入力ディスプレイデバイスは、SLMと、SLMの出力側に配設されたディスプレイ偏光器であって、ディスプレイ偏光器は直線偏光器である、ディスプレイ偏光器と、ディスプレイ偏光器の出力側に配設された追加の偏光器であって、追加の偏光器は直線偏光器である、追加の偏光器と、ディスプレイ偏光器と追加の偏光器との間に配設された複数のリターダと、を備え、複数のリターダは、入力透明支持基板と出力透明支持基板の間に配設された切り替え可能な液晶リターダと、切り替え可能な液晶リターダと追加の偏光器との間に配設された少なくとも1つのパッシブ極性制御リターダと、を備え、出力透明支持基板と追加の偏光器との間に配設された第1のタッチ入力電極アレイおよび第2のタッチ入力電極アレイをさらに備える。
【0042】
第1の入力電極アレイおよび第2の入力電極アレイは、少なくとも1つのパッシブ極性制御リターダの少なくとも1つの表面上に設けられてもよい。少なくとも1つのパッシブ極性制御リターダは、直列に配設されたリターダ対を含み、各パッシブ極性制御リターダは、1つの表面上に配設されたタッチ電極アレイを備えてもよく、タッチ電極アレイは互いに対向し、誘電体材料はタッチ電極アレイ間に配設されている。リターダ対は、各々がリターダの平面に対して垂直な各々の光学軸を有するパッシブ一軸リターダ対、またはリターダの平面内に交差する光学軸を有する、パッシブ一軸リターダ対を含んでもよい。誘電材料は、接着材料を含んでもよい。
【0043】
タッチ入力ディスプレイデバイスは、制御システムをさらに備えてもよく、制御システムは、切り替え可能な液晶リターダに印加される駆動電圧を制御するように、およびタッチ電極アレイに印加され、およびタッチ電極アレイから測定される信号を制御するように、配設されていてもよい。有利なことに、タッチ位置測定を、薄い厚さ、低コスト、高精度、および高速で提供することができる。
【0044】
本開示の第3の態様によれば、タッチ入力ディスプレイデバイスを制御する方法が提供され、タッチ入力ディスプレイデバイスは、光を出力するように配設されたSLMと、SLMの出力側に配設されたディスプレイ偏光器と、ディスプレイ偏光器の出力側に配設された追加の偏光器と、ディスプレイ偏光器と追加の偏光器との間に配設された液晶材料層を備える切り替え可能な液晶リターダと、切り替え可能な液晶リターダと追加の偏光器との間に配設された少なくとも1つのパッシブリターダと、切り替え可能な液晶リターダを制御するための電圧を印加するように配設された切り替え可能なリターダ制御電極と、切り替え可能なリターダ制御電極の出力側の層に配設された少なくとも1つのタッチ電極アレイと、を備え、方法は、切り替え可能な液晶リターダを制御するために切り替え可能なリターダ制御電極に駆動電圧を印加することであって、駆動電圧が、駆動電圧が一定である期間を含む波形を有する、印加することと、駆動電圧が一定である期間のうちの少なくとも1つの間に容量性タッチ検知のために少なくとも1つのタッチ電極アレイにアドレスすることと、を含む。有利なことに、切り替え可能な指向性ディスプレイは、高感度、高精度、および低遅延を有するタッチ検知を具備することができる。薄い厚さおよび低コストを達成することができる。
【0045】
本開示の各実施形態は、広範な光学システムで使用することができる。実施形態は、様々なプロジェクタ、投影システム、光学部品、ディスプレイ、マイクロディスプレイ、コンピュータシステム、プロセッサ、自己内蔵型プロジェクタシステム、ビジュアルシステムおよび/もしくはオーディオビジュアルシステム、ならびに電気デバイスおよび/もしくは光学デバイスを含んでもよく、またはこれらと共に作動してもよい。本開示の態様は、光学デバイスおよび電気デバイス、光学システム、プレゼンテーションシステム、または任意の種類の光学システムを包含してもよい任意の装置に関連する、実質的にいかなる装置に使用されてもよい。したがって、本開示の実施形態は、視覚的なおよび/または光学的なプレゼンテーション、視覚的な周辺機器などにおいて、ならびに多数のコンピュータ環境において使用される、光学システム、光学デバイスで用いられてもよい。
【0046】
詳細に開示する複数の実施形態に進む前に、本開示は、他の実施形態例が可能であるので、用途または作製において示す特定の配置の詳細に限定されないことを理解するべきである。さらに、本開示の態様は、独自の固有の実施形態を規定するために様々な組み合わせおよび配置で述べられてもよい。また、本明細書で使用する用語は、説明の目的のためのものであって、限定するためのものではない。
【0047】
指向性バックライトは、光導波路の入力開口側に配設された独立したLED光源の変調によって通常制御される実質的に出力面全体から発する照明に対する制御を提供する。放出光の指向性分布を制御することで、限られた角度範囲から単一の閲覧者だけがディスプレイを見ることが可能である、セキュリティ機能についての単一人視認と、照明が主として小さな角度方向分布で提供される、高い電気的効率と、時系列の立体表示および自動立体表示のために左目視認と右目視認とを交互させることと、低コストと、を達成することが可能である。
【0048】
本開示の前述および他の利点ならびに特徴は、本開示をその全体にわたって読むことで、当業者に明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0049】
例示のために、実施形態が添付の図面に示され、添付の図面において、同様の参照符号は、類似の部分を示す。
【
図1A】SLM、反射偏光器、および切り替え可能な液晶リターダを備えるタッチ入力ディスプレイデバイスを透視側面図で例示する図であり、タッチ電極アレイが第1のパッシブ極性制御リターダおよび第2のパッシブ極性制御リターダの対向表面上に設けられている。
【
図1B】
図1Aの光学スタックにおける光学層および電極層の整合を正面図で例示する図である。
【
図2A】プライバシーモードにおける
図1Aのタッチ入力ディスプレイデバイスを斜視側面図で例示する図である。
【
図2B】パブリックモードにおける
図1Aのタッチ入力ディスプレイデバイスを斜視側面図で例示する図である。
【
図3A】プライバシーモードにおける
図1Aの透過光線について極性方向による出力輝度の変化を例示するグラフである。
【
図3B】プライバシーモードにおける
図1Aの反射光線について極性方向による反射率の変化を例示するグラフである。
【
図3C】パブリックモードにおける
図1Aの透過光線について極性方向による出力輝度の変動を例示するグラフである。
【
図3D】パブリックモードにおける
図1Aの反射光線について極性方向による反射率の変化を例示するグラフである。
【
図4A】パブリックモードにおける
図1Aのディスプレイについてインターフェース表面からの反射された周囲光の観測を正面斜視図で例示する図である。
【
図4B】プライバシーモードにおける
図1Aのディスプレイについて反射された周囲光の観測を正面斜視図で例示する図である。
【
図4C】エンターテインメントモードとシェアリングモードとの両方について車両内に配設された切り替え可能な指向性ディスプレイを有する自動車を側面図で例示する図である。
【
図4D】エンターテインメントモードにある、車両内に配設された切り替え可能な指向性ディスプレイを有する自動車を上面図で例示する図である。
【
図4E】共有モードにある、車両内に配設された切り替え可能な指向性ディスプレイを有する自動車を上面図で例示する図である。
【
図5】
図1Aのタッチ入力ディスプレイデバイスを側面図で示す図である。
【
図6A】電極が誘電体層の各側に配設されているタッチ入力ディスプレイデバイスの電極および制御システムを透視正面図で例示する図である。
【
図6B】電極が誘電体層の同じ側に配設されているタッチ入力ディスプレイデバイスの電極を透視正面図で例示する図である。
【
図6C】タッチ入力ディスプレイデバイスのためのさらなる配設の電極を透視正面図で例示する図である。
【
図6D】
図6Cに対応する配設を側断面図で例示する図である。
【
図7】タッチ入力デバイスの制御のための回路図を例示する図である。
【
図8】電圧波形による切り替え可能な液晶リターダの駆動を透視正面図で例示する図である。
【
図9A】切り替え可能な液体電極の駆動のための駆動波形を例示するグラフである。
【
図9B】2つの逆相駆動電極を備える切り替え可能な液晶リターダを駆動するための駆動波形を示すグラフである。
【
図10】
図9A~
図9Bの駆動波形およびタッチ制御信号について液晶リターダの両端間に提供される合成電圧波形を例示するグラフである。
【
図11A】液晶リターダの両端間に提供される合成電圧波形と、タッチ電極アレイへの印加およびタッチ電極アレイからの測定のための制御信号の対応するタイミングと、を各々例示するグラフである。
【
図11B】液晶リターダの両端間に提供される合成電圧波形と、タッチ電極アレイへの印加およびタッチ電極アレイからの測定のための制御信号の対応するタイミングと、を各々例示するグラフである。
【
図11C】液晶リターダの両端間に提供される合成電圧波形と、タッチ電極アレイへの印加およびタッチ電極アレイからの測定のための制御信号の対応するタイミングと、を各々例示するグラフである。
【
図11D】液晶リターダの両端間に提供される合成電圧波形と、タッチ電極アレイへの印加およびタッチ電極アレイからの測定のための制御信号の対応するタイミングと、を各々例示するグラフである。
【
図12A】ゼロボルト駆動電極と交流電圧波形駆動電極とを備える切り替え可能な液晶リターダを駆動するための駆動波形を例示するグラフである。
【
図12B】
図12Aの駆動波形について液晶リターダの両端間に提供される合成電圧波形を例示するグラフである。
【
図13A】3つの駆動電圧レベルを有する液晶リターダの両端間に提供される合成電圧波形を例示するグラフである。
【
図13B】4つの駆動電圧レベルを有する液晶リターダの両端間に提供される合成電圧波形を例示するグラフである。
【
図14】液晶リターダの両端間に提供される合成電圧波形と、タッチ電極アレイへの印加およびタッチ電極アレイからの測定のための制御信号の対応するタイミングと、SLMの垂直ブランキング間隔との同期と、を例示するグラフである。
【
図15】液晶リターダの両端間に提供される合成電圧波形、SLMの駆動と非同期的に、タッチ電極アレイへの印加およびタッチ電極アレイからの測定のための制御信号の対応するタイミングを例示するグラフである。
【
図16A】誘電体層が交差A-プレート対によって設けられたタッチ入力ディスプレイデバイスを側面図で例示する図である。
【
図16B】誘電体層が交差A-プレート対によって設けられたタッチ入力ディスプレイデバイスを斜視側面図で例示する図である。
【
図16C】誘電体層が交差A-プレート対の1つによって設けられたタッチ入力ディスプレイデバイスを斜視側面図で例示する図である。
【
図17】誘電体層が2つのC-プレート間に設けられたタッチ入力ディスプレイデバイスを斜視側面図で例示する図である。
【
図18A】誘電体層がC-プレートによって設けられたタッチ入力ディスプレイデバイスを斜視側面図で例示する図である。
【
図18B】
図18Aのタッチ入力ディスプレイデバイスを側面図で例示する図である。
【
図19A】誘電体層が2つのA-プレート間に設けられたタッチ入力の切り替え不可能なプライバシーディスプレイデバイスを斜視側面図で例示する図である。
【
図19B】
図19Aの透過光線について極性方向を有する複数のパッシブ極性制御リターダの出力透過率の変化を例示するグラフである。
【
図20】タッチ電極アレイ間の誘電体層がパッシブリターダと切り替え可能な液晶リターダの出力面との間に設けられたタッチ入力ディスプレイデバイスを側面図で例示する図である。
【
図21A】タッチ電極アレイ間の誘電体層が出力透明支持基板と接着層とによって設けられたタッチ入力ディスプレイデバイスを側面図で例示する図である。
【
図21B】液晶制御電極のうちの1つと切り替え可能な液晶リターダの出力透明支持基板との間にタッチ電極アレイが設けられたタッチ入力ディスプレイデバイスを側面図で例示する図である。
【
図21C】タッチ電極アレイ間の誘電体層が切り替え可能な液晶リターダの出力透明支持基板によって設けられたタッチ入力ディスプレイデバイスを透視側面図で例示する図である。
【
図22】液晶極性制御リターダと追加の偏光器との間にタッチ電極アレイが設けられたタッチ入力切り替え可能なプライバシーディスプレイデバイスを透視側面図で例示する図である。
【
図23A】軸外光によるリターダ層の照明を斜視図で例示する図である。
【
図23B】0°の第1の直線偏光状態の軸外光によるリターダ層の照明を斜視図で例示する図である。
【
図23C】90°の第1の直線偏光状態の軸外光によるリターダ層の照明を斜視図で例示する図である。
【
図23D】45°の第1の直線偏光状態の軸外光によるリターダ層の照明を斜視図で例示する図である。
【
図24A】正の仰角を有する軸外偏光によるC-プレートリターダの照明を斜視図で例示する図である。
【
図24B】負の横角度を有する軸外偏光によるC-プレートリターダの照明を斜視図で例示する図である。
【
図24C】正の仰角および負の横角度を有する軸外偏光によるC-プレートリターダの照明を斜視図で例示する図である。
【
図24D】正の仰角および正の横角度を有する軸外偏光によるC-プレートリターダの照明を斜視図で例示する図である。
【
図25A】正の仰角を有する軸外偏光による交差A-プレートリターダ層の照明を斜視図で例示する図である。
【
図25B】負の横角度を有する軸外偏光による交差A-プレートリターダ層の照明を斜視図で例示する図である。
【
図25C】正の仰角および負の横角度を有する軸外偏光による交差A-プレートリターダ層の照明を斜視図で例示する図である。
【
図25D】正の仰角および正の横角度を有する軸外偏光による交差A-プレートリターダ層の照明を斜視図で例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
ここで、本開示の目的のための光学リターダに関する用語を記載する。
【0051】
一軸複屈折材料を含む層には、光学異方性を支配する方向があるのに対して、それに対して垂直な(またはそれに対して所与の角度である)すべての方向には、等価な複屈折がある。
【0052】
光学リターダの光学軸は、複屈折が発生しない一軸性複屈折材料における光線の伝搬方向についていう。これは、例えば、主光線が沿って伝搬する対称軸または表示面の法線に平行であり得る、光学システムの光学軸とは異なる。
【0053】
光学軸に直交する方向に伝搬する光の場合、遅相軸に対して平行な電気ベクトル方向を有する直線偏光が最も遅い速度で進行するとき、光学軸は遅相軸である。遅相軸方向は、設計波長における最も高い屈折率を有する方向である。同様に、進相軸方向は、設計波長における最も低い屈折率を有する方向である。
【0054】
正の誘電異方性一軸複屈折材料の場合、遅相軸方向は、複屈折材料の異常軸である。負の誘電異方性一軸複屈折材料の場合、進相軸方向は、複屈折材料の異常軸である。
【0055】
半波長および四分の一波長という用語は、通常500nm~570nmであり得る設計波長λ0に対するリターダの動作に関連している。本発明の例示的実施形態では、例示的なリターダンス値は、特に指定のない限り、550nmの波長で提供される。
【0056】
リターダは、リターダに入射する光波の2つの直交偏光成分間の相対位相シフトを提供し、2つの偏光成分に付与する相対位相Γの量によって特徴付けられる。状況によっては、「位相シフト」という用語は、「相対」という語を伴わずに使用されるが、それでも相対位相シフトを意味する。相対位相シフトは、次によって、リターダの複屈折Δnおよび厚さdに関連する。
Γ=2.π.Δn.d/λ0 式1
【0057】
式1中、Δnは、異常屈折率と常屈折率との差として定義され、すなわち、
Δn=ne-no 式2
【0058】
半波長リターダの場合、d、Δn、およびλ0の間の関係は、偏光成分間の位相シフトがΓ=πであるように選択される。四分の一波長リターダの場合、d、Δn、およびλ0の間の関係は、偏光成分間の位相シフトがΓ=π/2であるように選択される。
【0059】
本明細書における半波長リターダという用語は、通常、リターダに対して法線方向にかつ空間光変調器(SLM)に対して法線方向に伝搬する光についていう。
【0060】
次に、偏光器対間の透明なリターダを通る光線の伝搬のいくつかの態様について説明する。
【0061】
光線の偏光状態(SOP)は、2つの直交偏光成分間の相対振幅および相対位相シフトによって記述される。透明なリターダは、これら直交偏光成分の相対振幅を変更せずに、それらの相対位相にのみ作用する。直交偏光成分間に正味の位相シフトを提供すると、SOPが変更される一方、正味の相対位相を維持するとSOPが保持される。
【0062】
直線SOPには、振幅がゼロでない偏光成分と、ゼロの振幅を有する直交偏光成分と、がある。
【0063】
直線偏光器は、直線偏光器の電気ベクトル透過方向に対して平行な直線偏光成分を有し、かつ異なるSOPの光を減衰させる固有の直線SOPを透過させる。
【0064】
吸収偏光器は、入射光の1つの偏光成分を吸収し、かつ第2の直交偏光成分を透過する偏光器である。吸収直線偏光器の例は、二色性偏光器である。
【0065】
反射偏光器は、入射光の1つの偏光成分を反射し、かつ第2の直交偏光成分を透過させる偏光器である。反射直線偏光器の例は、3M Corporation製のDBEFTMまたはAPFTMなどの多層高分子フィルムスタック、またはMoxtek製のProFluxTMなどのワイヤーグリッド偏光器である。
【0066】
正味の相対位相シフトを導入しない直線偏光器と平行直線分析偏光器との間に配設されたリターダは、直線偏光器内の残留吸収以外の光の完全な透過を提供する。
【0067】
直交偏光成分間の正味の相対位相シフトを提供するリターダは、SOPを変更し、分析偏光器での減衰を提供する。
【0068】
本開示において、「A-プレート」は、光学軸が層の平面に対して平行な複屈折材料層を利用する光学リターダについていう。
【0069】
「正のA-プレート」は、正の複屈折A-プレート、すなわち、正のΔnを有するA-プレートについていう。
【0070】
本開示において、「C-プレート」は、光学軸が層の平面に対して垂直な複屈折材料層を利用する光学リターダについていう。「正のC-プレート」は、正の複屈折C-プレート、すなわち、正のΔnを有するC-プレートについていう。「負のC-プレート」は、負の複屈折C-プレート、すなわち、負のΔnを有するC-プレートについていう。
【0071】
「O-プレート」は、層の平面に対して平行な成分と層の平面に対して垂直な成分とを有する光学軸を有する複屈折材料層を利用する光学リターダについていう。「正のO-プレート」は、正の複屈折O-プレート、すなわち、正のΔnを有するO-プレートについていう。
【0072】
リターダの材料に、次のように波長λと共に変化するリターダンスΔn.dを具備する無色リターダが提供されてもよい。
Δn .d/λ =κ 式3
【0073】
ここで、κは、実質的に一定である。
【0074】
好適な材料の例として、Teijin Films製の変性ポリカーボネートが挙げられる。本実施形態では、以下に記載するように、輝度低下が少ない極角視線方向と、輝度低下が増大した極角視線方向との間の色交換を有利に最小化するために、無色リターダを設けることができる。
【0075】
次に、リターダおよび液晶に関連して本開示で使用される様々な他の用語について説明する。
【0076】
液晶セルは、Δn.dによって与えられるリターダンスを有し、ここで、Δnは、液晶セル内の液晶材料の複屈折であり、dは、液晶セル内の液晶材料の整合とは無関係な液晶セルの厚さである。
【0077】
ホモジニアス整合は、分子が基板に対して実質的に対して平行に整合する、切り替え可能な液晶ディスプレイにおける液晶の整合を指す。ホモジニアス整合は、プラナー整合と称されることがある。ホモジニアス整合は、通常、2度などの小さいプレチルトを具備している場合があり、これにより、以下に説明するように、液晶セルの整合層の表面の分子は、わずかに傾斜している。プレチルトは、セルの切り替えの悪化を最小限に抑えるように配設されている。
【0078】
本開示において、ホメオトロピック整合は、棒状液晶分子が基板に対して実質的に垂直に整合する状態である。ディスコティック液晶では、ホメオトロピック整合は、円盤状の液晶分子によって形成された柱状構造の軸が、表面に対して垂直に整合する状態として定義される。ホメオトロピック整合では、プレチルトは、整合層に近い分子の傾斜角であり、通常、90度に近く、例えば、88度であり得る。
【0079】
ツイスト液晶層では、ネマチック液晶分子のツイスト構成(らせん構造またはらせんとしても知られている)が設けられる。ツイストは、整合層の非平行整合によって達成され得る。さらに、コレステリックドーパントを液晶材料に添加して、ツイスト方向(時計回りまたは反時計回り)の悪化を解決し、緩和(通常は駆動されない)状態でのツイストのピッチをさらに制御することができる。スーパーツイスト液晶層は180度より大きいツイストを有する。SLMで使用されるツイストネマティック層は、通常、90度のツイストを有する。
【0080】
正の誘電異方性を有する液晶分子は、印加された電界によって、ホモジニアス整合(A-プレートリターダ配向など)からホメオトロピック整合(C-プレートまたはO-プレートリターダ配向など)に切り替えられる。
【0081】
負の誘電異方性を有する液晶分子は、印加された電界によって、ホメオトロピック整合(C-プレートまたはO-プレートリターダの配向など)からホモジニアス整合(A-プレートリターダ配向など)に切り替えられる。
【0082】
棒状分子は、式2に記載されるように、ne>noであるように、正の複屈折を有する。円盤状分子は、ne<noであるように、負の複屈折を有する。
【0083】
A-プレート、正のO-プレート、および正のC-プレートなどの正のリターダは、通常、延伸フィルムまたは棒状液晶分子によって提供され得る。負のC-プレートなどの負のリターダは、延伸フィルムまたは円盤様液晶分子によって提供され得る。
【0084】
平行な液晶セル整合は、ホモジニアス整合層の整合方向が平行であるか、またはより典型的には逆平行であることについていう。予めチルトしたホメオトロピック整合の場合、整合層は、実質的に平行または逆平行である成分を有し得る。ハイブリッド整合液晶セルは、1つのホモジニアス整合層および1つのホメオトロピック整合層を有し得る。ツイスト液晶セルは、例えば、互いに90度に配向された、平行な整合を有しない整合層によって提供され得る。
【0085】
透過型SLMは、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第8,237,876号に開示されているように、入力ディスプレイ偏光器と出力ディスプレイ偏光器との間にリターダをさらに備えてもよい。このようなリターダ(図示せず)は、本実施形態のパッシブリターダとは異なる箇所にある。このようなリターダは、軸外視認場所のコントラスト劣化を補償し、これは、本実施形態の軸外視認位置の輝度低下に異なる効果である。
【0086】
ディスプレイのプライベート動作モードは、画像が鮮明に見えないような低いコントラスト感度を観測者が見る動作モードである。コントラスト感度は、静止画像の異なるレベルの輝度を区別する能力の尺度である。逆コントラスト感度は、高い視覚セキュリティレベル(VSL)が低い画像視認性に対応するという点で、視覚的セキュリティの尺度として使用され得る。
【0087】
観測者に画像を提供するプライバシーディスプレイの場合、視覚的セキュリティは次のように与えられ得る。
VSL=(Y+R)/(Y-K) 式4
【0088】
ここで、VSLは、視覚的セキュリティレベル、Yは、覗き見者視野角でのディスプレイの白状態の輝度、Kは、覗き見者視野角でのディスプレイの黒状態の輝度、Rは、ディスプレイからの反射光の輝度である。
【0089】
パネルのコントラスト比は次のように与えられる。
C=Y/K 式5
【0090】
高コントラストの光学LCDモードの場合、白状態の透過率は視野角に対して実質的に一定のままである。本実施形態のコントラスト減少液晶モードでは、白状態の透過率は、通常、次のように、黒状態の透過率が増加するにつれて減少する。
Y+K~P.L 式6
【0091】
次に、視覚的セキュリティレベルは、次のようにさらに与えられ得る。
【数1】
【0092】
ここで、軸外相対輝度Pは、通常、覗き見者角度での正面輝度Lのパーセンテージとして定義され、ディスプレイは、画像コントラスト比Cを有することができ、表面反射率はρである。
【0093】
軸外相対輝度Pは、プライバシーレベルと呼ばれることがある。ただし、このようなプライバシーレベルPは、正面輝度と比較した所与の極角でのディスプレイの相対輝度を表し、プライバシーの外観の尺度ではない。
【0094】
ディスプレイは、ランバートの周囲照度Iで照明される場合がある。したがって、完全に暗い環境では、高コントラストディスプレイは、およそ1.0のVSLを有する。周囲照度が増加するにつれて、知覚される画像コントラストが低下し、VSLが増加し、プライベート画像が知覚される。
【0095】
典型的な液晶ディスプレイの場合、パネルコントラストCは、ほぼすべての視野角で100:1を超えるため、視覚的なセキュリティレベルを次のように近似することができる。
VSL=1+l.ρ/(π.P.L) 式8
【0096】
プライバシーディスプレイと比較して、広角ディスプレイは標準的な周囲照度条件で容易に観測されることが望ましい。画像視認性の1つの尺度は、次によって与えられるマイケルソンコントラストなどのコントラスト感度によって与えられる。
M=(Imax-Imin)/(Imax+Imin) 式9
【0097】
したがって、
M=((Y+R)-(K+R))/((Y+R)+(K+R))=(Y-K)/(Y+K+2.R) 式10
【0098】
したがって、視覚的セキュリティレベル(VSL)は、1/Mと等価である(ただし、同一ではない)。本考察では、与えられた軸外相対輝度Pについて、広角画像の視認性Wは、次のように近似される。
W=1/VSL=1/(1+I.ρ/(π.P.L)) 式11
【0099】
プライバシーディスプレイなどのディスプレイ、および夜間使用のためのディスプレイなどの低迷光ディスプレイでも使用のために、ディスプレイ出力偏光器と追加の偏光器との間に配設された切り替え可能な液晶リターダを備える切り替え可能な指向性ディスプレイ装置にタッチパネル機能を提供することが望ましい。
【0100】
図1Aは、空間光変調器(SLM)48、反射偏光器302、および切り替え可能な液晶リターダ301を備えるタッチ入力ディスプレイデバイス100を斜視側面図で例示する図であり、タッチ電極アレイ500、502は、第1のパッシブ極性制御リターダ330Aおよび第2のパッシブ極性制御リターダ330Bの対向表面上に設けられており、
図1Bは、
図1Aの光学スタックにおける光学層および電極層の整合を正面図で例示する図である。
【0101】
本開示において、指25の場所は、以降でさらに記載されるように、タッチ電極アレイ500、502および制御システム400、450、250、350によって検出される。
【0102】
タッチ入力ディスプレイデバイス100は、光400を出力するように配設されたSLM48と、SLM48の出力側に配設されたディスプレイ偏光器218と、ディスプレイ偏光器218の出力側に配設された追加の偏光器318と、ディスプレイ偏光器218と追加の偏光器318との間に配設された液晶材料414の層314を備える切り替え可能な液晶リターダ301と、切り替え可能な液晶リターダ301と追加の偏光器318との間に配設されたパッシブ極性制御リターダ330A、330Bと、切り替え可能な液晶リターダ301を制御するための電圧Vを印加するように配設された切り替え可能なリターダ制御電極413、415と、切り替え可能なリターダ制御電極413、415の出力側の層に配設されたタッチ電極アレイ500、502と、を備える。
【0103】
ディスプレイ偏光器218、反射偏光器302、および追加の偏光器318は、それぞれ電気ベクトル透過方向219、303、319を有する直線偏光器である。
【0104】
切り替え可能な液晶リターダ301は、透明支持基板312、316を備える。電極413、415および整合層(図示せず)は、液晶材料414の層314に整合および電気的な制御を提供するために、それぞれ支持基板312、316の対向表面上に配設されている。切り替え可能なリターダ制御電極413、415は、液晶材料414の層314の両側に配設されている。
【0105】
タッチ電極アレイ500、502の対の各々は、ディスプレイデバイスが2つ以上のパッシブリターダを備える
図1A~
図1Bの場合、パッシブ極性制御リターダ330A、330Bのうちの1つのそれぞれの表面上に形成されている。タッチ電極アレイ500は、パッシブ極性制御リターダ330Aの表面上に形成されており、タッチ電極アレイ502は、パッシブ極性制御リターダ330Bの表面上に形成されている。
【0106】
タッチ電極アレイは、一軸リターダ330A、330Bであるパッシブ極性制御リターダ対のそれぞれのパッシブ極性制御リターダの対向表面上に形成されたタッチ電極アレイ500、502の対を含み、少なくとも1つの誘電体層504は、パッシブ一軸リターダ対間に配設された少なくとも1つの追加の層を備える。タッチ電極アレイ500、502の対は、誘電体層504によって分離された層に配設されている。誘電体層504は、切り替え可能な液晶層314と追加の偏光器318との間に配設されている。第1のタッチ電極アレイ500および第2のタッチ電極アレイ502は、誘電体層504上および誘電体層504の各側に配設されている。
【0107】
タッチ電極アレイ500、502は、切り替え可能なリターダ制御電極413、415と追加の偏光器318との間に配設されており、切り替え可能なリターダ制御電極413、415から分離されている。
【0108】
タッチ入力ディスプレイデバイス100は、制御システム400をさらに備え、制御システム400は、ドライバ350によって切り替え可能な電圧リターダ301を制御するために、切り替え可能な電圧リターダ制御電極413、415に駆動電圧Vを印加するように配設されている。制御システム400は、容量性タッチ検知のためにタッチ電極アレイ500、502にアドレスするようにさらに配設されている。
【0109】
任意による反射偏光器302は、ディスプレイ偏光器218と極性制御リターダ300との間に配設されている。極性制御リターダ300は、反射偏光器302(または反射偏光器302が省略されている場合は出力偏光器218)と追加の偏光器318との間に配設されている。反射偏光器302の電気ベクトル透過方向303は、ディスプレイ偏光器218の電気ベクトル透過方向219と追加の偏光器318の電気ベクトル透過方向319とに対して平行である。
【0110】
図1A~
図1Bの実施形態では、極性制御リターダ300は、パッシブ極性制御リターダ330および切り替え可能な液晶リターダ301を備えるが、一般に、少なくとも1つのリターダの他の構成によって置き換えられてもよく、そのいくつかの例が、下記のデバイスに存在する。
【0111】
本実施形態は、高い視覚的セキュリティレベルが達成される広い極性領域を有するプライバシーモードと、高い画像視認性が達成される広い極性領域を有するパブリック動作モードと、の間で切り替え可能な切り替え可能なプライバシーディスプレイを提供する。上記のプライバシーディスプレイの動作は、これから説明するように、極性制御リターダ300によって提供される。
【0112】
少なくとも1つの極性制御リターダ300は、切り替え可能な液晶リターダ301の切り替え可能な状態において、同時に、少なくとも1つの極性制御リターダ300の平面の法線に沿った軸に沿って反射偏光器302を通過する光の直交偏光成分に正味の相対位相シフトを導入しないように、かつ少なくとも1つの極性制御リターダ300の平面の法線に対して傾斜した軸に沿って反射偏光器302を通過する光の直交偏光成分に正味の相対位相シフトを導入するように配設された切り替え可能な液晶リターダ301を含む。
【0113】
極性制御リターダ300は、
図1A~
図1Bではパッシブ一軸リターダの平面内に交差する光学軸を有するパッシブ単軸リターダ330A、330Bの対を備える、少なくとも1つのパッシブ極性制御リターダ330をさらに備える。パッシブ極性制御リターダ330A、330Bは、同時に、切り替え可能な液晶リターダの平面301の法線に沿ってディスプレイ偏光器218および反射偏光器302を通過する光の直交偏光成分に正味の相対位相シフトを導入せず、かつ切り替え可能な液晶リターダの平面の法線に対して傾斜した軸に沿ってディスプレイ偏光器を通過する光の直交偏光成分に相対位相シフトを導入する極性制御リターダ300を提供する。
【0114】
極性制御リターダ300は、極性制御リターダ300の平面の法線に沿った軸に沿って反射偏光器302、極性制御リターダ300、および追加の偏光器318を通過する光の輝度に影響を与えないが、極性制御リターダ300は、切り替え可能なリターダ301の切り替え可能な状態のうちの少なくとも1つにおいて、極性制御リターダ300の平面の法線に対して傾斜した軸に沿ってそこを通過する光の輝度を低減する。この効果につながる原理は、
図23A~
図25Eを参照して以下により詳細に記載されており、極性制御リターダ300の結晶材料に対して異なる角度をなす軸に沿った光に極性制御リターダ300によって導入された位相シフトの有無を基に生じる。以下に記載するすべてのデバイスで同様の効果が達成される。
【0115】
制御システム400は、SLM48に対処するようにさらに配設されている。制御システムは、(i)SLMコントローラ250によってSLM48に画像データを提供し、(ii)電圧ドライバ350の制御を提供して、切り替え可能な液晶リターダに印加される駆動電圧を制御し、(iii)タッチコントローラ450およびタッチドライバ452、454によって、タッチ電極アレイ500、502に印加され、そこから測定される信号を制御する、ように配設されたシステムコントローラ400を備える。
【0116】
ここで、極性制御リターダ300の動作についてさらに記載する。
【0117】
図2A~
図2Bは、プライバシー動作モードおよびパブリック動作モードでそれぞれ動作するための
図1Aのタッチ入力ディスプレイデバイスを異なる透視側面図で例示する概略図である。さらに詳細には考察されていない
図2A~
図2Bの実施形態の特徴は、特徴のあらゆる潜在的な変形を含む、上記で考察される等価な参照番号を有する特徴に対応するものとすることができる。
【0118】
タッチ電極アレイは、パッシブ一軸リターダ330A、330Bの対の対向表面上に配設されている。誘電体層504は、パッシブ一軸リターダ対の対向表面上に配設されたタッチ電極アレイ間に設けられた接着層を備える。誘電体層504は、例えば、光学的に透明な接着剤(OCA)または感圧接着剤(PSA)を含んでもよく、または別の誘電体材料によって提供されてもよい。
【0119】
タッチ指25は、指グリースに対する機械的堅牢性および耐性を達成するための疎油性ハードコーティングを有するガラスカバーであり得る基板320の近くにあり得るか、またはそれと接触し得る。タッチ制御はまた、ペンまたはスタイラスによって提供されてもよい。
【0120】
動作中、液晶材料414の層314は、電圧ドライバ350により第1の電圧波形Vaで駆動されて、
図2Aのプライバシー動作のための第1の液晶整合を提供し、電圧ドライバ350により第2の電圧波形Vbで駆動されて、
図2Bの広角動作のための第2の液晶整合を提供する。
【0121】
少なくとも1つのパッシブ極性制御リターダ330は、直列に配設されたリターダ330A、330Bの対を含み、各パッシブ極性制御リターダ330A、330Bは、1つの表面上に配設されたタッチ電極アレイ500またはタッチ電極アレイ502を含み、タッチ電極アレイ500、502は互いに対向し、誘電体材料504はタッチ電極アレイ500、502間に配設されている。
【0122】
タッチ電極アレイ500、502は、例えばITO、銀ナノワイヤまたは導電性ポリマーなどの透明な導体を含んでもよい。それらは、物理蒸着、スパッタリング、蒸発、インクジェット印刷または接触印刷を含む既知の技術によって形成されてもよい。それらは、マスクまたはフォトレジストの使用とエッチングとによってパターン化されてもよい。電極が可撓性リターダ基板、例えばPCまたはCOC/COP上に形成されるとき、電極堆積プロセスの種類および温度は、溶融または基板を回避するように制御されてもよい。インクジェットおよび接触印刷などの本来低温のプロセスでは、基板のガラス転移温度を超えることなく電極層を生成することができる。
【0123】
別個の基板上に形成されたタッチ電極アレイ500、502の引き回しのトポロジーは、電極がリターダの単一の表面上に設けられる場合、引き回しトポロジーよりも多くのオプションを有し、引き回しトポロジーよりも単純であってもよい。単層として形成される場合、2つの電極アレイは、(中間の絶縁ブリッジまたは中間の誘電体層を追加するための特設の処理ステップを伴わずに)交差する電極トレースを有することができない。例えば、中間誘電体層は、電極アレイ500、502が単一の表面上に形成される場合、電極層500、502の層間に設けられてもよい。そのようなアレイの製造は、コストを増加させる電極アレイ形成プロセス中に整合を必要とする。有利なことに、電極アレイ500、502の形成のコストは、電極アレイ500、502がリターダ300A、300Bである異なる基板上に形成されるときに低減され得る。
【0124】
次に、
図2A~
図2Bに示される実施形態と同様の例示的な実施形態の視認様相について記載する。
【0125】
図3Aは、プライバシー動作モードにおける
図1Aおよび
図2Aの透過光線の極性方向による出力輝度の変化を例示する概略グラフであり、
図3Bは、プライバシー動作モードにおける
図1Aおよび
図2Aの反射光線の極性方向による反射率の変化を例示する概略グラフであり、
図3Cは、パブリック動作モードにおける
図1Aおよび
図2Bの透過光線の極性方向による出力輝度の変化を例示する概略グラフであり、
図3Dは、表1に例示される実施形態を含む、パブリックモードにおける
図1Aおよび
図2Bの反射光線の極性方向による反射率の変化を例示する概略グラフである。
【表1】
【0126】
本実施形態では、切り替え可能な液晶リターダ301は、液晶材料414の層314に隣接して、およびその各側に配置された2つの表面整合層(図示せず)を備える。各整合層は、隣接する液晶材料414においてホモジニアス整合を提供するように配設されている。切り替え可能な液晶リターダ301の液晶材料414の層314は、正の誘電異方性を有する液晶材料414を含む。液晶材料414の層は、500nm~900nmの範囲で、好ましくは600nm~850nmの範囲で、および最も好ましくは700nm~800nmの範囲で、550nmの波長の光に対するリターダンスを有する。少なくとも1つのリターダ330は、リターダの平面内に交差する光学軸を有するパッシブリターダ308A、308Bの対をさらに含み、パッシブリターダ対の各パッシブリターダは、300nm~800nmの範囲で、好ましくは350nm~650nmの範囲で、最も好ましくは450nm~550nmの範囲で、550nmの波長の光に対するリターダンスを有する。
【0127】
本実施形態において、「交差する」は、リターダの平面内の2つのリターダの光学軸間の実質的に90°の角度についていう。パッシブリターダは、低コストおよび高い均一性を有利に達成するために、延伸フィルムを使用して提供されてもよい。リターダ材料のコストを低減するために、例えば、フィルム製造中の延伸誤差に起因するリターダ配向のいくらかの変動を材料に提供することが望ましい。
【0128】
したがって、
図3Cおよび
図3Dに例示されるようなパブリック動作モードでは、実質的に、高輝度出力および低反射率が、広い視認自由度にわたって提供される。比較すると、
図3Aおよび
図3Bに例示されるように、軸外の視認位置に位置する観測者に対して輝度は増加し、反射率は減少する。
【0129】
例えばプライバシーディスプレイで使用され、ディスプレイ偏光器と追加の偏光器との間に配設された複数のリターダを備える切り替え可能な指向性ディスプレイデバイスは、米国特許第10,126,575号と、2018年9月14日に出願された「Optical stack for switchable directional display」(代理人整理番号412101)と題する米国特許出願第16/131,419号と、にさらに記載されており、その両方は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。ディスプレイ偏光器とリターダとの間に配設された反射偏光器をさらに備える指向性ディスプレイデバイスは、米国特許公開第2018/0329245号に記載されており、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。ディスプレイ偏光器と追加の偏光器との間に配設されたパッシブリターダを備える指向性ディスプレイ偏光器は、米国特許公開第2018/0321553号に記載されており、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0130】
有利なことに、切り替え可能なプライバシーディスプレイは、プライバシー動作モードにおいて高い視覚的セキュリティレベルが提供される大きい極性領域と、パブリック動作モードにおいて高い画像視認性が提供される大きい極性領域と、を具備することができる。タッチ電極アレイは、低コストかつ最小限の追加の厚さで提供される。プライバシーモードでは正面のディスプレイユーザに、またパブリックモードでは複数のディスプレイユーザに、高い画像コントラストを提供することができる。
【0131】
次に、
図1Aおよび
図2A~
図2Bのディスプレイのプライバシーモードの動作についてさらに記載する。
【0132】
図4Aは、パブリックモードで動作しているディスプレイのインターフェース表面からの反射周囲光の観測を正面斜視図で例示する概略図である。いくつかの光線404は、追加の偏光器318の前面、またはカバーガラスおよびディスプレイの他の表面によって反射され得る。通常、このような反射率は、空気と偏光器との界面または空気とガラスとの界面でのフレネル反射に起因して、垂直入射の結合光学スタックでは4%、45度入射の結合光学スタックでは約5%であり得る。したがって、ソース604の低輝度反射画像605は、ディスプレイ100の前面の覗き見者によって観測され得る。さらに、暗い画像データ601および明るい画像データ603は、画像データが鮮明に観測できるように、観測者47によって高輝度で見られる。ディスプレイ出力光400は、両方が画像データを見ることができ、かつ有利にパブリックモードが提供されるように、両方の観測者45、47に光を提供する。
【0133】
図4Bは、プライバシーモードで動作している
図1Aのディスプレイに対する反射周囲光の観測を正面斜視図で例示する概略図である。
図4Aと比較すると、軸外の偏光が反射偏光器302から反射されるため、光源604の反射606から実質的により高い反射輝度が観測される。
【0134】
覗き見者47が占める領域27内のさらなる画像輝度は、領域26内の観測者45への光と比較して実質的に減少する。したがって、覗き見者47に対して画像の視認性が低下し、プライベート画像が有利に提供される。
【0135】
反射画像606の形状および分布は、周囲光源604の空間分布によって決定されるが、特に追加の偏光器318の出力表面における拡散層によってさらに決定され得る。
【0136】
自動車に制御可能なディスプレイ照明を設けることがさらに望ましい場合がある。
【0137】
図4Cは、娯楽動作モードと共有動作モードとの両方について、自動車600の車室602内に配設された切り替え可能な指向性ディスプレイ100を有する自動車を側面図で例示する概略図である。光円錐610(例えば、輝度がピーク輝度の50%よりも大きい光の円錐を表す)は、仰角方向におけるディスプレイ100の輝度分布によって提供されてもよく、切り替え可能ではない。さらに、ディスプレイ反射率は、この光円錐610の外側の正面反射率と比較して増加し得る。
【0138】
図4Dは、エンターテインメント動作モードで車室602内に配設され、プライバシーディスプレイと同様に動作する切り替え可能な指向性ディスプレイ100を有する自動車を上面図で例示する概略図である。光円錐612は、狭い角度範囲を具備しており、これにより、乗客606にはディスプレイ100が見え得るが、運転者604には低下した輝度および増加した反射率の結果としてディスプレイ100上の画像が見えないことが可能である。有利なことに、エンターテインメント画像は、運転者604の邪魔になることなく乗客606に表示され得る。
【0139】
図4Eは、共有動作モードで車室602内に配設された切り替え可能な指向性ディスプレイ100を有する自動車を上面図で例示する概略図である。光円錐614は、例えばディスプレイが動いていないとき、または邪魔にならない画像が提供されるときに、すべての搭乗者がディスプレイ100上の画像を知覚し得るように、広い角度範囲を具備している。
【0140】
さらに、夜間動作における迷光を低減することができ、それにより、車室内の邪魔な内部光が低減され、車両の近くにある物体の運転者の視認性が有利に向上する。
図4A~
図4Eのディスプレイは、高感度および高画像品質を有するタッチ検知機能を有利に具備することができる。
【0141】
次に、タッチ入力構造の動作についてさらに記載する。
【0142】
図5は、
図1Aのタッチ入力ディスプレイデバイスを側面図で例示する概略図である。さらに詳細には考察されていない
図5の実施形態の特徴は、特徴の任意の潜在的な変形を含めて、上記で考察される等価な参照符号を有する特徴に対応するものとすることができる。
【0143】
タッチ動作モードでは、タッチ電極アレイ500、502に印加され、そこから測定される信号は、実効静電容量571を有する突出した静電場570を生じる。指25は、力線572のいくらかの歪みを生じ、タッチ電極アレイ500、502から測定される静電容量を変更する。
【0144】
SLM48は、ピクセル駆動電極202を具備する。SLM48のピクセルに提供される信号が、タッチ制御システムのための信号によって干渉されないこと、およびタッチ制御システムの感度が、SLM48に提供される信号によって干渉されないことが望ましい。本実施形態では、電極413、415は、ピクセル駆動電極202とタッチ検知システムとの間のシールドを提供する。上述の電気信号シールドは、タッチ信号検出の信号対雑音比を増加させる。有利なことに、タッチ感度が増大し、画像安定性が劣化しない。さらに、本実施形態は、SLM48内のピクセル間位置でタッチ検知方法を使用する必要がないため、ピクセルの開口率が増加する。有利なことに、増加した開口率は、ディスプレイパネルを通したより多くの光透過を可能にする。さらに有利なことに、ディスプレイの解像度は、SLM48のピクセル位置でのタッチ検知回路の統合によって低下しない。
【0145】
いくつかの知られているディスプレイは、ディスプレイからの光放射と指またはタッチスタイラスとの相互作用を使用する。パブリックモードとプライベートモードとで光の出力角度が異なる場合、タッチシステムの感度および性能は、表示モードによって変わり得る。タッチ電極500、502がSLM48のピクセル平面に位置しない、記載された実施形態では、タッチ検知の動作および感度が、ディスプレイがパブリックモードで動作しているか、またはプライバシーモードで動作しているかとは独立である。
【0146】
次に、タッチ電極アレイ500、502の配設について記載する。
【0147】
図6Aは、タッチ入力ディスプレイデバイス用の電極および制御システム400、450、350、250を斜視正面図で示す概略図である。さらに詳細には考察されていない
図6Aの実施形態の特徴は、特徴の任意の潜在的な変形を含めて、上記で考察される等価な参照符号を有する特徴に対応するものとすることができる。
【0148】
タッチ電極アレイ500、502は、誘電体層504の各側に配設されている。システムコントローラ400は、タッチコントローラからの信号の駆動および測定が、切り替え可能な液晶リターダの駆動電圧が一定、例えばゼロである時間中に行われ得るように、電圧ドライバ350およびタッチコントローラ450が同期できるようにする。これにより、測定プロセスの信号対雑音比(SNR)を向上させることができ、タッチ感度と電気的干渉に対する耐性とが増大する。測定または検出される静電容量の変動は、フェムトファラッドのオーダーであり得る。測定回路は、静電容量-電圧変換器回路を備えてもよく、アナログ信号処理回路をさらに備えてもよい。代替的にまたは追加的に、静電容量-デジタル回路を使用することができ、デジタル信号処理機能をさらに備えることができる。測定回路は、SNRを向上させるために波形436でゲート制御されてもよい。測定回路は、タッチパネル信号駆動の周波数帯域を優先して区別し、かつ他の周波数を区別してSNRを向上させるための周波数フィルタリングを含んでもよい。電極415および413は、タッチ電極アレイ500、502からSLM48への高周波駆動信号をスクリーニングすることができ、それにより、SLM48の垂直ブランキング間隔(VBI)に同期することを必要とせずに、測定プロセスのSNRを向上させることができる。ただし、システムコントローラ400はまた、例えば、タッチコントローラの信号の駆動および測定が、SLM48アドレッシングのVBIの間に発生し、タッチ測定のSNRをさらに向上させるように、タッチコントローラ450とSLM48とを同期させてもよい。
【0149】
制御システム400が切り替え可能なリターダ制御電極413、415に印加するように配設される駆動電圧は、SLM48のアドレッシングに対して同期する。
【0150】
動作中、(i)画像データの駆動、(ii)ワイド動作モードとプライバシー動作モードとの両方のための切り替え可能な液晶層の制御、および(iii)タッチ入力を提供することが望ましい。
【0151】
いくつかの種類のディスプレイは、セル内タッチを提供する、すなわち、電極202は、タッチ入力機能をさらに提供することができる。本実施形態と比較すると、セル内タッチ突出力線570がSLM48の電極202のうちのいくつかによって提供されるとした場合、液晶リターダの電極413、415は、このようなセル内電極からの突出場を遮蔽することができ、タッチ電極アレイ202からの信号の測定の信号対雑音比を減少させることができる。したがって、このようなセル内タッチ電極アレイ202は、切り替え可能な液晶リターダ314の存在下でのタッチ機能の提供には効果的でない可能性がある。動作中、液晶リターダの電極413、415は、タッチ電極アレイ500、502からの突出場570がタッチ電極アレイ500、502からの信号の測定の信号対雑音比を減少し得るように、さらなる電気力線を生じてもよい。タッチドライバ452、454およびタッチ制御システム450を備えるタッチ制御システムに高い信号対雑音比を提供することが望ましいであろう。
【0152】
切り替え可能な液晶層314の電極413、415によるタッチ信号の遮蔽を伴わずにタッチ入力を達成することが望ましいであろう。
【0153】
図6Bは、タッチ入力ディスプレイデバイスのためのさらなる電極配設を透視正面図で例示する概略図である。
図6Aの配設と比較して、タッチ電極アレイは、補償リターダ330の単一の表面上に配設された単一のアレイ503である。有利なことに、より単純な構造が提供され得る。タッチ電極アレイ503は、少なくとも1つのパッシブ極性制御リターダ330のうちの1つの表面上に形成されている。
【0154】
図6Cは、タッチ入力ディスプレイデバイスのさらなる配設の電極アレイ500、502を透視正面図で例示する概略図である。
図6Bと比較して、同じ表面上の電極は、電極アレイ500、502間の交差部で小さな絶縁ブリッジ(図示せず)によって互いに絶縁されている。この配設は、電極セット間のフリンジ場を増加させ、したがって検出および測定のSNRが増加する。
【0155】
図6Dは、
図6Cの断面A-A'の配設を側断面図で例示する概略図であり、絶縁ブリッジが、連続する誘電体層504によって置き換えられている。さらに詳細には考察されていない
図6C~
図6Dの実施形態の特徴は、特徴のあらゆる潜在的な変形を含む、上記で考察される等価な参照番号を有する特徴に対応するものとすることができる。
【0156】
次に、タッチセンサからの信号を駆動および測定するための制御回路について記載する。
【0157】
図7は、タッチ入力デバイスの制御の等価回路を例示する概略図である。タッチパネルシステムは、基準電位Vref_1に対して電圧Vsourceを生成することができ、これは、後述するように、複雑な波形であり得る。Vsourceは、以下で説明するように、タッチパネル電極の第1のアレイに印加される。第1の電極アレイは、第2の電極アレイの要素と共に、キャパシタの空間マトリクス、例えばCmatrixを形成している。第2の電極アレイは、基板の同じ側、基板の各側、または2つの別個の基板上にあってもよい。パルスVsourceが第1の電極アレイに印加されると、信号、例えば電圧Vdetectが、第2の電極アレイで検出され得る。電圧Vsourceおよび検出電圧Vdetectは、ディスプレイ表面にわたる静電容量の空間アレイを測定するために、第1の電極アレイおよび第2の電極アレイをそれぞれ含む電極のうちの1つ以上に順次走査または接続され得る。パネル表面がタッチされると、指の存在がその近傍の電場を歪め、これは静電容量の変化として検出でき、関連付けられた静電容量のマトリクスの各々での電圧Vdetectの変化として測定され得る。この静電容量の変化は、Cfingerによって例示されている。主電源に接続された機器の場合、Vref_1およびVref_2は、接地電位にあると見なせる。バッテリ駆動機器の場合、Vref_1は、浮遊電位と見なせる。
【0158】
本明細書の図では、明確にするために1本の指25が示されているが、本実施形態のタッチパネルは、1本以上の指からの複数のタッチを解決することができる。指(または複数の指)は、Cmatrixの1つ以上の要素に適用可能な誘電体の変化を生成し、これは、Vdetectでの静電容量の変化として検出され得る。
【0159】
第2の電極アレイは、異なる形状の電極を含んでもよい。特に、形状は、指の存在によって引き起こされるVdetectへの必要な信号電圧変化と、例えばアンテナとして作用する指によって拾われた注入ノイズ電圧と、をより簡単に区別できるように設計されてもよい。
【0160】
図8は、液晶材料414を含む液晶層314を内包する切り替え可能なリターダの電極413、415に配線427、429を接続することによって駆動される電圧波形430、432を有する切り替え可能な液晶リターダの駆動を透視正面図で例示する概略図である。さらに詳細には考察されていない
図8の実施形態の特徴は、特徴の任意の潜在的な変形を含めて、上記で考察される等価な参照符号を有する特徴に対応するものとすることができる。
【0161】
次に、切り替え可能な液晶リターダおよびタッチコントローラ450の駆動波形について記載する。
【0162】
図9Aは、ゼロボルトである、電極413に提供される第1の電圧波形430と、デュアルレール電源が設けられる場合の、交流電圧波形である、電極415に提供される第2の電圧波形432と、を含む、切り替え可能な液晶リターダの駆動のための駆動波形を例示する概略グラフである。電圧波形430は、接地電位または電池駆動機器の基準電位にあり得る。電圧波形432は、正の最大+V1を具備する第1のアドレッシング正電圧位相と、負の最小電圧-V1を有する第2のアドレッシング負電圧位相と、を有することができる。この配設を使用して、切り替え可能な液晶リターダは、単一の駆動増幅器によって駆動され得る。有利なことに、駆動回路の複雑さが低減される。
【0163】
図9Bは、シングルレール電源のみが電圧レールV1を具備する場合の切り替え可能な液晶リターダを駆動するための代替の駆動電圧波形430、432を例示する概略グラフである。さらに詳細には考察されていない
図9Bの実施形態の特徴は、特徴の任意の潜在的な変形を含めて、上記で考察される等価な参照符号を有する特徴に対応するものとすることができる。
【0164】
波形430、432は、逆位相で駆動されて示されている。この配設を使用して、切り替え可能な液晶リターダは、2つの駆動増幅器によって駆動され得る。有利なことに、電源はシングルレールタイプであり得、したがって複雑さおよびコストを低減することができる。
【0165】
図10は、
図9A~
図9Bの駆動波形について液晶リターダ301の両端間に提供される合成電圧波形434と、タッチコントローラ450の制御信号についての波形436と、を例示する概略グラフである。さらに詳細には考察されていない
図10の実施形態の特徴は、特徴の任意の潜在的な変形を含めて、上記で考察される等価な参照符号を有する特徴に対応するものとすることができる。
【0166】
駆動電圧の波形434は、正の最大電圧レベル435を有する第1のアドレッシング正電圧位相431と、負の最小電圧レベル437を有する第2のアドレッシング負電圧位相433と、を含むアドレッシングシーケンスを含む。
図10の液晶材料の層314の両端間の駆動電圧の波形434では、電圧遷移は,本質的に瞬間的であるとして示されている。実際には、いくらかの遷移時間が存在する。液晶材料の層314の両端間の駆動電圧は、駆動電圧が一定である期間451、453を含む波形434を有し、制御システム400は、駆動電圧が一定である期間451、453のうちの少なくとも1つの間に少なくとも1つのタッチ電極アレイ500、502にアドレスするように配設されている。したがって、波形436は、期間451中に提供される。別の実施形態では、波形436は、期間453中に提供されてもよい。
【0167】
駆動電圧の波形434の算術平均はゼロである。換言すると、電極413、415間の、切り替え可能な液晶層314がとる算術平均電位は、ゼロである。有利なことに、液晶リターダの層314内の液晶材料414は、DCバランスされる。電荷移動の影響が最小限に抑えられ、セルの寿命およびパフォーマンスが最適化される。
【0168】
図10は、タッチコントローラ450に印加されるタッチ制御波形436をさらに例示している。タッチ制御波形436が第1のロー状態にあるとき、信号はコントローラ450に提供されず、タッチ検知は提供されない。タッチ制御波形436が第2のハイ状態にあるとき、信号がコントローラ450に提供され、信号がタッチドライバ452、454によってタッチ電極アレイ500、502に印加され、そこから測定される。
【0169】
したがって、合成電圧波形434の駆動電圧が一定レベルにあるときに、タッチ電極アレイ500、502に印加され、そこから測定される信号が提供される。
【0170】
タッチ制御波形436のアクティブ状態は、波形434の一定電圧レベルの長さ以下である期間、例えば期間431に、提供される。さらに、タッチ電極アレイ500、502に印加され、そこから測定される信号は、信号が波形434で印加され、測定されるたびに、電圧波形434の駆動電圧が同じ一定レベル435であるときに提供される。
【0171】
タッチ位置の検出の信号対雑音比は、切り替え可能な液晶リターダ電極413、415上の変化する電場からの干渉に起因する、タッチ電極アレイ500、502が遭遇するフリンジ場の変動が減少するために増加し、したがって、指の近傍からの静電容量の変動への寄与は、区別するのがより容易である。有利なことに、タッチ検出の感度を増大させ、精度を向上させることができる。
【0172】
タッチ測定システムの信号対雑音比を増大させることが望ましい。次に、さらなる電圧波形434および対応するタッチ制御波形436について記載する。
【0173】
図11A~
図11Dは、各々、液晶リターダ層314の両端間に提供される合成電圧波形434と、タッチ電極アレイ500、502への印加およびそこからの測定のためのタッチ制御信号436の対応するタイミングと、を例示する概略グラフである。さらに詳細には考察されていない
図11A~
図11Dの実施形態の特徴は、特徴のあらゆる潜在的な変形を含む、上記で考察される等価な参照番号を有する特徴に対応するものとすることができる。
【0174】
したがって、第1の位相における駆動電圧の波形434は、少なくとも1つの正の電圧レベルおよびゼロの電圧レベルを含み、第2の位相における駆動電圧の波形は、少なくとも1つの負の電圧レベルおよびゼロの電圧レベルを含む。
【0175】
図11Aでは、液晶材料414の層314の両端間の駆動電圧は、駆動電圧が一定である期間451、453、455を含む波形434を有し、制御システム400は、駆動電圧が一定である期間451、455のうちの少なくとも1つの間に少なくとも1つのタッチ電極アレイ500、502にアドレスするように配設されている。駆動電圧の波形434は、レベルV2を有する正極性の少なくとも1つのパルス461を含む正のアドレッシング位相431と、レベル-V2を有する負極性の少なくとも1つのパルス463を含む負のアドレッシング位相433と、を含む。
【0176】
波形436は、期間451、455の間に提供される。駆動電圧は、駆動電圧は一定であるが、それぞれ異なるレベル+V2、0、-V2である期間451、453、455を含む波形434を有し、制御システム400は、駆動電圧が一定であり、ゼロボルトである同じレベルである期間451、455のうちの少なくとも1つの間に、少なくとも1つのタッチ電極アレイ500、502にアドレスするように配設されている。
【0177】
換言すると、駆動電圧の波形434は、正極性の少なくとも1つのパルス461および少なくとも1つの追加期間465を含む正のアドレッシング位相431と、負極性の少なくとも1つのパルス463および少なくとも1つの追加の期間467を含む負のアドレッシング位相433と、を含み、正のアドレッシング位相431の少なくとも1つの追加の期間465と負のアドレッシング位相433の少なくとも1つの追加の期間467とが、駆動電圧が一定であり、かつ正極性の少なくとも1つのパルス461の最大レベルと負極性の少なくとも1つのパルス463の最小レベルとの中間のレベルを有する、上記の期間451、455である。正のアドレッシング位相431の少なくとも1つの追加の期間465と負のアドレッシング位相433の少なくとも1つの追加の期間467とは、ゼロボルトのレベルを有する。
【0178】
駆動電圧は、液晶リターダ301の一定の液晶光学整合状態を与える二乗平均平方根値を有し、かつゼロの算術平均を有する波形434を有する。
【0179】
図11Aは、タッチ制御信号が、タッチ電極アレイに印加され、そこから測定され、駆動電圧波形434が一定レベルであるとき、および電圧波形434がゼロボルトであるとき、Ts以下の時間中に提供されることを例示している。電圧駆動波形434は、例えば時間Td中に示される他の時間ではゼロでなくてもよい。
【0180】
図10の配設と比較して、タッチ位置の検出の信号対雑音比は、切り替え可能な液晶リターダ電極413、415上の電場からの干渉に起因する、タッチ電極アレイ500、502が遭遇するフリンジ場の絶対レベルが減少するために増加し、したがって、指25の近傍からの静電容量の変動への寄与は、区別するのがより容易である。有利なことに、タッチ検出の感度を増大させ、精度を向上させることができる。
【0181】
高周波検出により、指25の記録された位置で知覚される遅延が減少する。スロットTs全体またはTs内の一部は、タッチ電極アレイに印加され、そこからから測定される信号に使用されてもよい。
【0182】
代替的に、波形434中のゼロ電圧タイムスロットのうちのいくつかは、タッチ測定に使用されなくてもよく、すなわち、波形436のうちのいくつかが除去されてもよい。これは、切り替え可能な液晶リターダの動作周波数をより高いレベルに設定することを可能にしつつ、タッチ信号の測定のコントローラ450におけるより低い処理負荷を達成する。有利なことに、切り替え可能な液晶リターダの動作周波数を、材料および光学システムに適合するように自由に設定することができる。
【0183】
タッチ測定が提供される時間の長さを増加させることが望ましい場合がある。
【0184】
図11Bに示されるように、波形434のゼロ電圧時間を増加させてもよい。望ましい液晶整合を維持するために、負の最小電圧-V3および正の最大電圧+V3は、
図11Aに示されるV2よりも大きい大きさを有してもよい。切り替え可能な液晶層314への同じ全体の二乗平均平方根(RMS)駆動が提供され得る。増加した検出時間により、より多くの電極を測定できるようになり、これによりタッチ位置測定の精度を高めることができる。指向性出力を有利に維持することができ、検出時間を、有利なことに感度、応答時間、および精度が達成されるように増加させることができる。
【0185】
切り替え可能な液晶リターダ電極413、415からの電場内の高周波時間信号を低減することが望ましい場合がある。
【0186】
図11Cに示されるように、駆動電圧の波形は、方形波以外であり得る。例えば、台形波形プロファイル439を有する波形434を使用すると、高周波フーリエ成分が減少し、液晶リターダ301の駆動による電気的干渉が減少する。有利なことに、タッチ測定の信号対雑音比を向上させることができる。
【0187】
図11Aと比較すると、
図11Dは、正極性の少なくとも1つのパルス461のピークと負極性の少なくとも1つのパルス463のピークとが、駆動電圧が一定である期間451、453であることを例示している。
【0188】
したがって、タッチ入力ディスプレイデバイス100を制御する方法は、光400を出力するように配設されたSLM48と、SLM48の出力側に配設されたディスプレイ偏光器218と、ディスプレイ偏光器218の出力側に配設された追加の偏光器318と、ディスプレイ偏光器218と追加の偏光器318との間に配設された液晶材料414の層314を備える切り替え可能な液晶リターダ301と、切り替え可能な液晶リターダ301と追加の偏光器318との間に配設された少なくとも1つのパッシブ極性制御リターダ330と、切り替え可能な液晶リターダ301を制御するための電圧を印加するように配設された切り替え可能なリターダ制御電極413、415と、切り替え可能なリターダ制御電極413、415の出力側の少なくとも1つの層に配設された少なくとも1つのタッチ電極アレイ500、502と、を備え、方法は、切り替え可能な液晶リターダ301を制御するために切り替え可能なリターダ制御電極413、415に駆動電圧を印加することであって、駆動電圧が、駆動電圧が一定である期間451、453、455を含む波形434を有する、印加することと、駆動電圧が一定である期間451、453、455のうちの少なくとも1つの間に容量性タッチ検知のために少なくとも1つのタッチ電極アレイ413、415にアドレスすることと、を含む。
【0189】
タッチ位置の測定の周波数をさらに増加させることが望ましい場合がある。
【0190】
図12Aは、2つのさらなる例示的な駆動電圧波形430、432を例示する概略グラフであり、
図12Bは、合成電圧波形434を例示する概略グラフである。さらに詳細には考察されていない
図12A~
図12Bの実施形態の特徴は、特徴のあらゆる潜在的な変形を含む、上記で考察される等価な参照番号を有する特徴に対応するものとすることができる。
【0191】
第1のアドレッシング位相431および第2のアドレッシング位相433の各々は、正の最大電圧435と負の最小電圧437との中間の駆動電圧レベル441を含む。中間電圧レベル441は、ゼロボルトである。換言すると、第1の位相431における電圧波形434は、少なくとも1つの正の電圧レベル435およびゼロの電圧レベル441を含み、第2の位相433における駆動電圧の合成波形434は、少なくとも1つの負の電圧レベル437およびゼロの電圧レベル441を含む。
【0192】
駆動電圧の波形434の二乗平均平方根(RMS)値は、液晶リターダの一定の液晶光学整合状態を与えるように配設されており、駆動電圧の波形434の算術平均は、ゼロである。
【0193】
例示のように、タッチ電極アレイに印加され、そこから測定される信号が提供され得るタイムスロットTsの密度または周波数の増加が、提供されてもよい。測定タイムスロットTsの密度を増加させることにより、タッチ信号測定の遅延を減少させることができ、それにより、指25または複数の指が動いているときのタッチ相互作用の信頼性が向上する。切り替え可能な液晶リターダの電圧が同じ一定値である間にタッチ電極アレイ500、502に印加され、そこから測定される信号を提供することにより、タッチ測定システムの信号対雑音比が向上し、信頼性が有利に向上する。
【0194】
状況によっては、接地以外の電圧でタッチ信号を測定することが望ましいであろう。
【0195】
図13A~
図13Bは、それぞれ3つおよび4つの駆動電圧レベルを有する液晶リターダの両端間に提供される合成電圧波形を例示する概略グラフである。さらに詳細には考察されていない
図13A~
図13Bの実施形態の特徴は、特徴のあらゆる潜在的な変形を含む、上記で考察される等価な参照番号を有する特徴に対応するものとすることができる。
【0196】
正のアドレッシング位相431の少なくとも1つの追加の期間465と負のアドレッシング位相433の少なくとも1つの追加の期間467とは、ゼロでない大きさのレベルV1を有する。
【0197】
図13Aでは、第1の位相431における電圧波形434は、第1の正の電圧レベル435および第2の電圧レベル442を含み、第2の位相433における駆動電圧の合成波形434は、少なくとも1つの負電圧レベル437および第2の電圧レベル442を含む。
【0198】
図13Bでは、第1の位相431における駆動電圧の波形434は、複数の正の電圧レベル435、443を含み、第2の位相433における駆動電圧の波形434は、2つ以上の負電圧レベル444、437を含む。
【0199】
接地信号が多くの高周波電気ノイズを有する場合、合成電圧波形434が接地から離れている間にタッチ信号の測定を行うことができる。有利なことに、タッチ信号検出の信頼性を向上させることができる。
【0200】
図14は、液晶リターダの両端間にかかる合成電圧波形434、タッチ電極アレイ500、502への印加およびそこからの測定のための制御信号波形436の対応するタイミング、ならびにSLM48の垂直ブランキング間隔(VBI)との同期を例示する概略グラフである。さらに詳細には考察されていない
図14の実施形態の特徴は、特徴の任意の潜在的な変形を含めて、上記で考察される等価な参照符号を有する特徴に対応するものとすることができる。
【0201】
本明細書の他の実施形態の二相アドレッシング波形434と比較して、電圧波形434は、正の最大電圧435と負の最小電圧437との中間の中間駆動電圧レベル446を含む第3のアドレッシング位相425を含む。中間電圧レベル446は、ゼロとして例示されている。
【0202】
制御システム400は、垂直ブランキング間隔VBIを含むアドレッシング方式を使用してSLM48にアドレスするように配設されており、制御システム400は、垂直ブランキング間隔VBI中に少なくとも1つのタッチ電極アレイ500、502にアドレスするように配設されている。
【0203】
したがって、切り替え可能な液晶リターダに印加される波形436は、SLM48のアドレッシングに対して同期する。SLM48のアドレッシング波形438は、垂直ブランキング間隔(VBI)を含み、タッチ電極アレイ500、502に印加され、そこから測定される波形436は、垂直ブランキング間隔(VBI)中に提供される。有利なことに、SLM48のデータアドレッシングを含む高周波信号からの干渉が低減されるため、タッチ検出の信号対雑音比を向上することができる。
【0204】
切り替え可能な液晶リターダの位置がSLM48とタッチ電極アレイとの間にある場合に、切り替え可能な液晶リターダの電極は、高周波SLMデータ位相438の電気ノイズ効果をタッチ検出回路から実質的に遮蔽することができ、これにより、SLMへの同期が提供されない可能性がある。SLM48のVBIと同期することにより、タッチ電極システムからの位置更新の周波数が減少し、したがって、動く指の位置遅れエラーを増加させる。このことは、SLMのアドレッシング周波数が、例えば電力を節減するために、60Hz未満に低下した場合、特に問題である。
【0205】
例えば指25の高速移動のために、SLM48のアドレッシングとは異なるタッチ測定更新レートを提供することが望ましい場合がある。
【0206】
図15は、SLM48の駆動波形438と非同期でタッチ電極アレイ500、502への印加およびそこからの測定のための制御信号波形436の対応するタイミングである、液晶リターダの両端間に提供される合成電圧波形434を例示する概略グラフである。さらに詳細には考察されていない
図15の実施形態の特徴は、特徴の任意の潜在的な変形を含めて、上記で考察される等価な参照符号を有する特徴に対応するものとすることができる。
【0207】
有利なことに、増加した応答速度および低減された遅延を、タッチシステムによって提供することができる。加えて、SLM48への駆動信号を、タッチパネルとは独立して動作させることができ、それらの電気的統合を必要とすることなく、別個のサプライヤによって提供することができる。タッチ電極アレイ500からのSLM48の電気ノイズを遮蔽することは、タッチパネルの更新周波数をSLM48アドレッシングのVBI期間に制限せずに信号対雑音比を維持し、これらのコンポーネントが同期を伴わずに独立して動作されることを可能にすることを意味する。特に、タッチパネル制御および測定の信号は、例えば「Freesync(商標)」技術と互換性のあるSLMで使用されているように、SLM48の可変アドレッシングリフレッシュレートから独立しており、かつ互換性を有することができる。
【0208】
次に、タッチ電極アレイを備える切り替え可能な指向性ディスプレイの他の構造について記載する。
【0209】
図16Aは、誘電体層504が交差A-プレート対によって提供されるタッチ入力ディスプレイデバイスを側面図で例示する概略図であり、
図16Bは、誘電体層が交差A-プレート330A、330Bの対によって提供されるタッチ入力ディスプレイデバイスを側面図で例示する概略図である。したがって、誘電体層504は、少なくとも1つのパッシブ極性制御リターダを備える。さらに詳細には考察されていない
図16A~
図16Bの実施形態の特徴は、特徴のあらゆる潜在的な変形を含む、上記で考察される等価な参照番号を有する特徴に対応するものとすることができる。
【0210】
ディスプレイデバイス100は、2つ以上のパッシブ極性制御リターダ330A、330Bを備え、少なくとも1つの誘電体層504は、すべてのパッシブ極性制御リターダ330A、330Bを備える。タッチ電極アレイは、パッシブ一軸リターダ330Aの対のそれぞれのパッシブ一軸リターダの外面上に形成されたタッチ電極アレイ500、502の対を含み、少なくとも1つの誘電体層504は、パッシブ一軸リターダ330A、330Bの対を備える。
【0211】
有利なことに、交差A-プレートリターダ330A、330Bは、高い視認セキュリティレベルのために広い視野を達成することができる。電極を、低コストでロールツーロール製造法でA-プレートリターダ330A、330Bの一方の側に便利に提供することができる。リターダ330A、330Bは、厚さおよび複雑さを低減し、環境的および機械的ストレスに対する堅牢性を高めるために、溶媒結合によって取り付けられてもよい。
【0212】
図16A~
図16Bは、軸外輝度制御を有するディスプレイを提供するために反射偏光器302を省略できることをさらに例示する。軸外反射は、側方反射が望ましくないと考えられる配設では低減される。有利なことに、厚さおよびコストを低減することができる。
【0213】
図16Cは、誘電体層が交差A-プレートパッシブ極性制御リターダ330Aの対のうちの一方によって提供されるタッチ入力ディスプレイデバイスを側面図で例示する概略図である。したがって、誘電体層504は、少なくとも1つのパッシブ極性制御リターダを備える。さらに詳細には考察されていない
図16Cの実施形態の特徴は、特徴のあらゆる潜在的なバリエーションを含む、上記で考察される等価な参照番号を有する特徴に対応するものとすることができる。
【0214】
少なくとも1つのパッシブリターダは、パッシブ一軸リターダの平面内に交差する光学軸を有するパッシブ一軸リターダ330A、330Bの対を含む。上記の少なくとも1つの誘電体層504は、パッシブ極性制御リターダ330Aを備え、ディスプレイデバイス100は、2つのパッシブ極性制御リターダ330A、330Bを備える。
【0215】
図1Aおよび
図2Aの配設と比較して、誘電体層504は、交差A-プレートパッシブ極性制御リターダ330A、330Bを備える。A-プレートは、例えば、薄い厚さの構造が有利に提供される溶媒結合によって、接触して結合されてもよい。有利なことに、厚さを低減することができる。
図16Bの配設と比較して、電極アレイ500、502は、単一の基板上に形成されており、単一の要素のみに電極が設けられるので、製造コストを低減することができる。さらに、誘電体の厚さが低減されるため、タッチスクリーンの静電容量検知の動作特性を向上させることができる。有利なことに、電極アレイ500のうちの少なくとも1つを、パッシブ極性制御リターダ330Bの他方によって保護することができる。
【0216】
A-プレートではない補償リターダ330を提供することが望ましい場合がある。
【0217】
図17は、各々がリターダの平面に対して垂直な光学軸を有するパッシブ一軸リターダ対であるC-プレート330A、330Bの対間に誘電体層が設けられたタッチ入力ディスプレイデバイスを斜視側面図で例示する概略図である。さらに詳細には考察されていない
図17の実施形態の特徴は、特徴の任意の潜在的な変形を含めて、上記で考察される等価な参照符号を有する特徴に対応するものとすることができる。リターダ330A、330Bの対は、各々がリターダの平面に対して垂直な光学軸を有するパッシブ一軸リターダ対を含む。誘電材料507は、電極アレイ500、502間の誘電層504に設けられていてもよく、例えば、接着材料であってもよい。
【0218】
図16Bと比較して、
図3A~
図3Dの高い画像視認性のための極性領域は、例えば、パブリック動作モードでの視認自由度を高めるように向上し得る。さらに、C-プレートの材料または複数の材料の処理は、
図2AのA-プレートの材料とは異なり得、ITOなどの透明電極の異なる接着を提供することができる。さらに、電極の配向を、望ましくはリターダの平面内の延伸方向に整合させず、コストおよび複雑さを低減する。
【0219】
図18Aは、誘電体層504が、リターダの平面に対して垂直な光学軸を有する単一のC-プレート330によって提供されるタッチ入力ディスプレイデバイスを斜視側面図で例示する概略図であり、
図18Bは、
図18Aのタッチ入力ディスプレイデバイスを側面図で例示する概略図である。例示的な実施形態を表2に与える。さらに詳細には考察されていない
図18A~
図18Bの実施形態の特徴は、特徴のあらゆる潜在的な変形を含む、上記で考察される等価な参照番号を有する特徴に対応するものとすることができる。
【表2】
【0220】
パッシブ極性制御リターダ330は、パッシブ一軸リターダ330の平面に対して垂直な光学軸を有するパッシブ一軸リターダを含む。誘電体層504は、パッシブ極性制御リターダ330を備える。タッチ電極アレイ500、502は、パッシブ極性制御リターダ330の各側に配設されている。有利なことに、膜数を低減することができ、厚さ、コストおよび複雑さが低減される。
【0221】
単一のパッシブ極性制御リターダ330は、誘電体層504を提供する。有利なことに、ディスプレイデバイスの厚さ、コスト、および複雑さが低減される。C-プレートの使用により、パブリックモードでの高い画像視認性のための視野を増大させることができ、プライバシー動作モードでの高い視認セキュリティレベルのための視野を増大させることができる。
【0222】
横方向と仰角方向との両方で輝度の低減を提供することが望ましい場合がある。
【0223】
図19Aは、2つの交差Aプレート対を備えるパッシブ極性制御リターダ330A~Dの光学スタックを側面斜視図で例示する概略図であり、
図19Bは、表3に例示される構造を備える
図19Aのパッシブリターダ内の透過光線についての極性方向による出力透過率の変化を例示する概略グラフである。さらに詳細には考察されていない
図19A~
図19Bの実施形態の特徴は、特徴のあらゆる潜在的な変形を含む、上記で考察される等価な参照番号を有する特徴に対応するものとすることができる。
【表3】
【0224】
したがって、リターダは、リターダの平面内に交差する光学軸を有するパッシブ極性制御リターダ330A、330Dを含む。リターダ対は各々、互いに異なる角度で整合するそれぞれの光学軸を有する複数のA-プレートを備える。パッシブ極性制御リターダ330B、330Cの対は、ディスプレイ偏光器210の電気ベクトル透過211に対して平行である電気ベクトル透過方向に対して、各々がそれぞれ90°および0°で延在する光学軸を有する。
【0225】
パッシブ極性制御リターダ330A、330Dは、ディスプレイ偏光器218の電気ベクトル透過に対して平行である電気ベクトル透過方向211に対して、それぞれ45°および135°で延在する光学軸を有する。
【0226】
ディスプレイは、第1の言及したパッシブ極性制御リターダ330A、330D間に配置された、パッシブ極性制御リターダ330B、330Cの対をさらに含み、リターダの平面内に交差する光学軸を有する。パッシブ極性制御リターダ330B、330Cの追加の対は、ディスプレイ偏光器210、316の電気ベクトル透過に対して平行である電気ベクトル透過方向211、317に対して、各々がそれぞれ0°および90°で延在する光学軸を有する。
【0227】
例えば
図16B~
図16Cを参照して記載したように、電極アレイ500、502は、パッシブ極性制御リターダ330A、330B、330C、330Dのうちの1つまたは2つの表面上に形成されていてもよい。
【0228】
本実施形態は、いくらかの回転対称性を有する透過率プロファイルを提供する。有利なことに、プライバシーディスプレイは、覗き見者の横方向または高い視認位置の広い視野からの画像の視認性を低減することができる。さらに、このような構成を使用して、モバイルディスプレイの横長および縦長動作のためのプライバシー動作の向上を実現することができる。このような配設は、軸外の乗客への迷光を低減し、また、車両のフロントガラスおよび他のガラス表面に当たる光を低減するように、車両内に提供されてもよい。
【0229】
本明細書で提供される切り替え可能な実施形態と比較して、切り替え可能な液晶リターダは省略される。タッチ電極アレイ500、502は、パッシブプライバシーディスプレイのタッチ制御を可能にするために提供される。有利なことに、ディスプレイの厚さおよびコストを低減することができる。
【0230】
次に、切り替え可能な液晶リターダの透明基板312、316の上または中にタッチ電極アレイが形成されている配設について記載する。
【0231】
図20は、タッチ電極アレイ500、502間の誘電体層504が、C-プレートまたは交差A-プレート330A、330Bであり得るパッシブ極性制御リターダ330と、切り替え可能な液晶リターダ301の出力透明支持基板316の出力表面と、の間に設けられたタッチ入力ディスプレイデバイス100を側面図で例示する概略図である。さらに詳細には考察されていない
図20の実施形態の特徴は、特徴の任意の潜在的な変形を含めて、上記で考察される等価な参照符号を有する特徴に対応するものとすることができる。
【0232】
タッチ入力ディスプレイデバイス100は、入力透明支持基板312と出力透明支持基板316との間にさらに備え、液晶材料414の層314は、入力透明支持基板と出力透明支持基板との間に配設されており、少なくとも1つのタッチ電極アレイは、出力透明支持基板316の出力側に配設されている。基板316は、基板316の光出力側に形成されたタッチ電極アレイ502の電極パターンを有してもよく、パッシブ極性制御リターダ330は、SLM48からの出力光のためにパッシブ極性制御リターダ330の入力側に形成されたタッチ電極アレイ500を有してもよい。例えば二酸化シリコンなどの無機材料および/または接着剤であり得る誘電材料507が、タッチ電極アレイ500、502間に設けられている。
【0233】
有利なことに、単一のリターダは、単一の表面上に電極を具備することができ、厚さ、コストおよび複雑さを低減する。切り替え可能な液晶リターダ301の製造中に、さらなる透明電極を透明基板316上に都合よく形成することができる。
【0234】
電極アレイ500、502、415を透明出力基板316の一方側にのみ設けることが望ましい場合がある。
【0235】
図21Aは、タッチ電極アレイ500、502間の誘電体層504が出力透明支持基板316および接着層322によって提供されるタッチ入力ディスプレイデバイス100を側面図で例示する概略図である。電極アレイ500は、パッシブ極性制御リターダ330上に形成されており、電極502は、透明基板316上に形成されている。
【0236】
例えば二酸化シリコンなどの無機材料であり得る誘電体材料507が、タッチ電極アレイ502と液晶制御電極415との間に設けられている。上述の本実施形態の波形を使用して、2つの電極502、415間の電気的干渉を低減することができる。
【0237】
有利なことに、電極415、502が、透明支持基板316の一方側にのみ形成され、基板316の製造の複雑さを低減し、コストを低減する。
【0238】
図21Bは、タッチ電極アレイ500、502および誘電体層504が、液晶制御電極415のうちの1つと切り替え可能な液晶リターダの出力透明支持基板316との間に設けられたタッチ入力ディスプレイデバイス100を側面図で例示する概略図である。上述の本実施形態の波形を使用して、電極500、502、415間の電気的干渉を低減することができる。有利なことに、すべての電極415、500、502を基板の一方側に形成することができ、コストおよび複雑さを低減する。以下の
図21Cと比較して、
図21A~
図21Bの配設では、支持基板316を、一方側にのみタッチ電極アレイ500、502を有するように処理することができ、有利なことに、複雑さを低減し、プロセス歩留まりを増大させる。
【0239】
図21Cは、
図21Aと同様であるが、電極アレイ500が基板316の出力側に形成されているタッチ入力ディスプレイデバイス100を透視側面図で例示する概略図である。有利なことに、液晶層の近くに形成されている電極構造は、
図21Bよりも単純である。さらに詳細には考察されていない
図21A~
図21Cの実施形態の特徴は、特徴のあらゆる潜在的なバリエーションを含む、上記で考察される等価な参照番号を有する特徴に対応するものとすることができる。
【0240】
図22は、タッチ電極アレイ500、502が液晶極性制御リターダ301と追加の偏光器318との間に配設されているタッチ入力切り替え可能なプライバシーディスプレイデバイス100を透視側面図で例示する概略図である。上記の実施形態と比較して、パッシブ極性制御リターダ330は、液晶リターダ301とディスプレイ出力偏光器218との間に配設されている。それぞれの表面上に形成された電極アレイ500、502を有し、それらの間に誘電体層504が形成された、透明基板370、372が設けられている。透明基板370、372は、例えば、偏光器318に対して平行にまたは直交して整合された光学軸を有することができる低い複屈折を有することができる。上述の本実施形態の波形を使用して、電極500、502、413、415間の電気的干渉を低減することができる。さらに詳細には考察されていない
図22の実施形態の特徴は、特徴の任意の潜在的な変形を含めて、上記で考察される等価な参照符号を有する特徴に対応するものとすることができる。
【0241】
有利なことに、透明電極500、502を形成するのに好適である表面特性を有しないパッシブ制御リターダ330を提供することができる。さらに、透明基板316上に形成された電極構造は、
図21B~
図21Cの配設と比較して複雑さが低減されている。
【0242】
ここで、軸外照明のための平行な偏光器間のリターダ層の動作についてさらに記載する。上述の様々なデバイスでは、少なくとも1つの極性制御リターダが、様々な異なる構成で反射偏光器318と追加の偏光器218との間に配設されている。各場合において、少なくとも1つの極性制御リターダは、少なくとも、補償された切り替え可能な極性制御極性制御リターダ300の切り替え可能な状態のうちの1つにおいて、(単数または複数の)極性制御リターダの平面の法線に沿った軸に沿って反射偏光器318、少なくとも1つの極性制御リターダ、および追加の偏光器218を通過する光の輝度に影響を与えないが、(単数または複数の)極性制御リターダの平面の法線に対して傾斜した軸に沿って反射偏光器318、少なくとも1つの極性制御リターダ、および追加の偏光器218を通過する光の輝度を低減するように構成されている。次に、この効果の説明がより詳細に記載され、その原理は、上述のデバイスのすべてに一般的に適用され得る。
【0243】
図23Aは、軸外光による極性制御リターダ層の照明を斜視図で例示する概略図である。極性制御リターダ630は、x軸に対して0度の光学軸方向634を有する屈折率楕円体632によって表された、複屈折材料を含むことができ、厚さ631を有する。さらに詳細には考察されていない以下の
図23A~
図25Eの実施形態の特徴は、特徴のあらゆる潜在的な変形を含む、上記で考察される等価な参照番号を有する特徴に対応するものとすることができる。
【0244】
垂直光線636は、材料内の経路長が厚さ631と同じであるように伝搬する。光線637は、y-z平面内にあり、経路長が増加するが、材料の複屈折は、光線636と実質的に同じである。x-z平面内にある光線638は、複屈折材料の経路長が増加し、さらに複屈折は通常光線636とは異なる。
【0245】
したがって、極性制御リターダ630のリターダンスは、それぞれの光線の入射角に依存し、かつ、入射平面、すなわちx-zにおける光線638は、通常光線636およびy-z平面における光線637とは異なるリターダンスを有する。
【0246】
次に、偏光と極性制御リターダ630との相互作用について記載する。指向性バックライト101における動作中に第1および第2の偏光成分を区別するために、以下の説明は第3および第4の偏光成分を参照する。
【0247】
図23Bは、x軸に対して90度をなす第3の直線偏光状態の軸外光による極性制御リターダ層の照明を斜視図で例示する概略図であり、
図23Cは、x軸に対して0度をなす第4の直線偏光状態の軸外光による極性制御リターダ層の照明を斜視図で例示する概略図である。このような配設では、入射直線偏光状態は、楕円632によって表される複屈折材料の光学軸に整合される。その結果、第3と第4の直交偏光成分間の位相差は提供されず、各光線636、637、638に対する直線偏光入力の偏光状態の変化は生じない。したがって、極性制御リターダ630は、極性制御リターダ630の平面の法線に沿った軸に沿って極性制御リターダ630の入力側で偏光器を通過した光の偏光成分に位相シフトを導入しない。したがって、極性制御リターダ630は、極性制御リターダ630と極性制御リターダ630の各々の側の偏光器(図示せず)とを通過する光の輝度に影響を与えない。
図23A~
図23Cは、具体的には、パッシブである極性制御リターダ630に関連するが、同様の効果が、上述のデバイスの極性制御リターダによって達成される。
【0248】
図23Dは、45度の直線偏光状態の軸外光による極性制御リターダ630層の照明を斜視図で例示する概略図である。直線偏光状態を、光学軸634方向に対してそれぞれ直交するおよび平行である第3の偏光成分と第4の偏光成分とに分解してもよい。極性制御リターダの厚さ631と屈折率楕円体632によって表される材料リターダンスとは、設計波長に対して、光線636で表される法線方向に入射する第3の偏光成分および第4の偏光成分の位相を半波長だけ、相対的にシフトする正味の効果を提供することができる。設計波長は、例えば、500~550nmの範囲であってもよい。
【0249】
設計波長において、光線636に沿って正常に伝搬する光の場合には、出力偏光は、90度回転して-45度の直線偏光状態640となることができる。光線637に沿って伝播する光は、厚さの変化による光線637に沿った位相差と同様であるが同一ではない位相差を見ることができ、したがって、楕円偏光状態639は、光線636の出力光の直線偏光学軸と同様の主軸を有し得る出力であってもよい。
【0250】
対照的に、光線638に沿った入射直線偏光状態の位相差は、著しく異なってもよく、特に、より少ない位相差が提供されてもよい。このような位相差は、所与の傾斜角642で実質的に円形である出力偏光状態644を提供し得る。したがって、極性制御リターダ630は、極性制御リターダ630の平面の法線に対して傾斜した光線638に対応する軸に沿って、極性制御リターダ630の入力側で偏光器を通過する光の偏光成分に位相シフトを導入する。
図23Dは、パッシブである極性制御リターダ630に関連するが、同様の効果が、プライバシーモードに対応する切り替え可能な液晶極性制御リターダの切り替え可能な状態において、上述の極性制御リターダによって達成される。
【0251】
極性制御リターダスタックの軸外挙動を例示するために、次に、追加の偏光器318と出力ディスプレイ偏光器218の間のCプレート330A、330Bの角度輝度制御を、様々な軸外照明配設について、平行な偏光器218、210間のC-プレートの動作を参照して記載する。
【0252】
図24Aは、正の仰角を有する軸外偏光によるC-プレート層の照明を斜視図で例示する概略図である。入射直線偏光成分704は、極性制御リターダ560の平面に対して垂直である光学軸方向507を有するC-プレートである極性制御リターダ560の複屈折材料632上に入射する。偏光成分704は、液晶分子を通した透過に正味の位相差がないため、出力偏光成分は、成分704と同じである。したがって、偏光器210を通して最大の透過が見られる。したがって、極性制御リターダ560は、x-y平面である極性制御リターダ560の平面に対して垂直な光学軸561を有する。極性制御リターダの平面に対して垂直な光学軸を有する極性制御リターダ560は、C-プレートを備える。
【0253】
図24Bは、負の横角度を有する軸外偏光によるC-プレート層の照明を斜視図で例示する概略図である。
図24Aの配設と同様に、偏光状態704は、正味の位相差を見ず、最大の輝度で透過する。したがって、極性制御リターダ560は、極性制御リターダ560の平面の法線に沿った軸に沿って極性制御リターダ560の入力側で偏光器を通過した光の偏光成分に位相シフトを導入しない。したがって、極性制御リターダ560は、極性制御リターダ560と極性制御リターダ560の各々の側の偏光器(図示せず)とを通過する光の輝度に影響を与えない。
図24A~
図24Bは、具体的には、パッシブである極性制御リターダ560に関連するが、同様の効果が、上述のデバイスの極性制御リターダによって達成される。
【0254】
図24Cは、正の仰角および負の横角度を有する軸外偏光によるC-プレート層の照明を斜視図で例示する概略図である。
図24A~
図24Bの配設と比較して、偏光状態704は、複屈折材料632に対して固有状態703、705上に分解し、極性制御リターダ560の透過の際に正味の位相差を提供する。合成の楕円偏光成分656は、
図24A~
図24Bに示される光線と比較して、低下した輝度で偏光器210を透過する。
【0255】
図24Dは、正の仰角および正の横角度を有する軸外偏光によるC-プレート層の照明を斜視図で例示する概略図である。
図24Cと同様に、偏光成分704は、正味の位相差を受ける固有状態703、705に分解され、偏光器を通した透過後に、それぞれの軸外光線の輝度を低下させる楕円偏光成分660が提供される。したがって、極性制御リターダ560は、極性制御リターダ560の平面の法線に対して傾斜した軸に沿って、極性制御リターダ560の入力側で偏光器を通過した光の偏光成分に位相シフトを導入する。
図24Dは、パッシブである極性制御リターダ560に関連するが、同様の効果が、プライバシーモードに対応する切り替え可能な液晶極性制御リターダの切り替え可能な状態において、上述の極性制御リターダによって達成される。
【0256】
図24Eは、
図24A~
図24Dの透過光線に対する極性方向による出力透過率の変化を例示する概略グラフである。したがって、C-プレートは、極象限における輝度低下を提供し得る。本明細書の他の箇所に記載される切り替え可能な液晶層314と組み合わせて、(i)C-プレートの輝度低下の除去を、第1の広角動作状態で提供してもよく、(ii)輝度低下のための拡張極領域を、第2のプライバシー動作状態で達成してもよい。
【0257】
リターダスタックの軸外挙動を例示するために、次に、追加の偏光器318と出力ディスプレイ偏光器218との間の交差A-プレートパッシブ極性制御リターダ330A、330Bの角度輝度制御を、様々な軸外照明配設について記載する。
【0258】
図25Aは、正の仰角を有する軸外偏光による交差A-プレートリターダ層の照明を斜視図で例示する概略図である。電気ベクトル透過方向219を有する直線偏光器218は、交差A-プレートパッシブ極性制御リターダ330A、330Bの第1のA-プレート330A上に横方向に対して平行である直線偏光状態704を提供するために使用される。光学軸方向331Aは、横方向に対して+45度傾斜している。正の仰角方向における軸外角度θ
1に対する極性制御リターダ330Aのリターダンスは、出力上で概ね楕円形である合成偏光成分650を提供する。偏光成分650は、第1のA-プレート330Aの光学軸方向331Aに直交する光学軸方向331Bを有する、交差A-プレートパッシブ極性制御リターダ330A、330Bの第2のA-プレート330B上に入射する。
図25Aの入射面では、軸外角度θ
1に対する第2のA-プレート330Bのリターダンスは、第1のA-プレート330Aのリターダンスと等しくかつ反対である。したがって、正味のゼロ遅滞が入射偏光成分704に提供され、出力偏光成分は入力偏光成分704と同じである。
【0259】
出力偏光成分は、追加の偏光器318の電気ベクトル透過方向に整合され、したがって効率的に透過する。有利なことに、ゼロの横角度角度成分を有する光線に対して実質的に損失がもたらされないため、完全な透過効率が達成される。
【0260】
図25Bは、負の横角度を有する軸外偏光による交差A-プレートリターダ層の照明を斜視図で例示する概略図である。したがって、入力偏光成分は、第1のA-プレート330Aによって、概ね楕円形の偏光状態である中間偏光成分652に変換される。ここでも、第2のA-プレート330Bは、出力偏光成分が入力偏光成分704と同じであり、かつ光が偏光器318を効率的に透過するように、第1のA-プレートに等しくかつ反対のリタデーションを提供する。
【0261】
したがって、極性制御リターダは、本実施形態においてx-y平面内にある、リターダ330A、330Bの平面内に交差する光学軸を有するリターダ330A、330Bの対を含む。リターダ330A、330Bの対は、偏光器318の電気ベクトル透過に対して平行である電気ベクトル透過方向に対して45°で各々延在する光学軸331A、331Bを有する。
【0262】
有利なことに、完全な透過効率が達成されるように、ゼロ仰角の角度成分を有する光線に対して実質的に損失がもたらされない。
【0263】
図25Cは、正の仰角および負の横角度を有する軸外偏光による交差A-プレートリターダ層の照明を斜視図で例示する概略図である。偏光成分704は、第1のA-プレート330Aによって、楕円偏光成分654に変換される。得られた楕円成分656は、第2のA-プレート330Bから出力される。楕円成分656は、第1の偏光成分704の入力輝度と比較して、輝度が低下した入力偏光器318によって分析される。
【0264】
図25Dは、正の仰角および正の横角度を有する軸外偏光による交差A-プレートリターダ層の照明を斜視図で例示する概略図である。第1のリターダおよび第2のリターダの正味のリターダンスが補償を提供しないため、偏光成分658および660は、第1のA-プレートパッシブ極性制御リターダおよび第2のA-プレートパッシブ極性制御リターダ330A、330Bによって提供される。
【0265】
したがって、輝度は、ゼロでない横角度およびゼロでない仰角成分を有する光線に対して低下する。有利なことに、主ディスプレイユーザの視感効率が実質的に低減されない一方で、象限を見るように配設されている覗き見者については、ディスプレイのプライバシーを向上させることができる。
【0266】
図25Eは、
図25A~
図25Dの透過光線に対する極性方向による出力透過率の変化を例示する概略グラフである。
図24Eの配設と比較して、軸外視認に対して輝度低下の領域が増大する。ただし、切り替え可能な液晶層314は、第1のパブリック動作モードでの軸外視認のためのC-プレート配設と比較して、低下した均一性をもたらし得る。
【0267】
本明細書で使用され得るとき、用語「実質的に」および「およそ(ほぼ)」は、それに対応する用語および/または項目間の相対性に対して、業界で受け入れられる許容範囲を付与するものである。かかる業界で受け入れられる許容範囲は、0パーセント~10パーセントの範囲であり、成分値、角度などが該当するが、これらに限定されない。かかる項目間の相対性は、約0パーセント未満~10パーセントの範囲である。
【0268】
本明細書に開示される原理による様々な実施形態を上述してきたが、それらは限定としてではなく単なる一例として提示されていることを理解されたい。したがって、この開示の広さおよび範囲は、上述した例示的な実施形態のいずれによっても制限されてはならず、特許請求の範囲のいずれか、および本開示に由来するそれらの均等物に従ってのみ規定されるべきである。さらに、上記の利点および特徴は、記載された実施形態において提供されているが、上記の利点のいずれかまたはすべてを達成するプロセスおよび構造に対して、かかる由来の特許請求の範囲の適用を限定しない。
【0269】
さらに、本明細書における節の見出しは、37CFR1.77に基づく示唆との一貫性を持たせるために、またはそれ以外では構成上の手がかりを提供するために、提供されている。これらの見出しは、本開示から生じ得る特許請求の範囲に定める(単数または複数の)実施形態を限定しない、または特徴付けないものとする。具体的には、単に例示ではあるが、「技術分野」という見出しがあるが、いわゆる分野を説明するためにこの見出しの下に選択された表現によって、特許請求の範囲が限定されることはない。さらに、「背景技術」に記載された技術に関する記述は、特定の技術が、本開示における任意の(単数または複数の)実施形態に対する先行技術であることの承認として、解釈されるべきではない。「発明の概要」についても、公開される特許請求の範囲で述べられる(単数または複数の)実施形態を特徴付けるものとして考慮されるべきでない。さらに、本開示内での単数形の「発明」の言及は、本開示において単一の新規性のみ存在すると主張するために使用されるべきではない。複数の実施形態は、本開示により、公開される複数の特許請求の範囲の限定に従って、述べられる場合がある。したがって、かかる特許請求の範囲は、この(単数または複数の)実施形態およびそれらの均等物を定義することによって、それらを保護している。すべての例では、かかる請求項の範囲は、本開示に照らしてそれら自体のメリットを考慮されるであろうが、本明細書内で記載された見出しによって制約されるべきではない。