(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-21
(45)【発行日】2023-09-29
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
H02M 3/28 20060101AFI20230922BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20230922BHJP
H02J 7/35 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
H02M3/28 H
H02J7/00 L
H02J7/35 K
H02M3/28 V
(21)【出願番号】P 2019016630
(22)【出願日】2019-02-01
【審査請求日】2022-01-19
(31)【優先権主張番号】P 2018189866
(32)【優先日】2018-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】倉内 修司
(72)【発明者】
【氏名】半田 祐一
(72)【発明者】
【氏名】居安 誠二
(72)【発明者】
【氏名】林 裕二
【審査官】町田 舞
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-119598(JP,A)
【文献】特開昭62-247758(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0092903(US,A1)
【文献】特開2002-084680(JP,A)
【文献】特開平05-268765(JP,A)
【文献】特開2000-308271(JP,A)
【文献】特開2004-080987(JP,A)
【文献】米国特許第05029064(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0016479(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 1/00-7/98
H02J 7/00-7/12
H02J 7/34-7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されると共に4つ以上の電圧部(4)に接続される電力変換装置(10)であって、
一つのマルチポートトランス(3a、3b)と、該マルチポートトランスにおける3つ以上のポートにそれぞれ接続された3つ以上の電力変換用回路部(21a、22a、23a、21b、22b、23b)とをそれぞれ有する複数の電力変換ユニット(1a、1b)と、
各上記電力変換ユニットにおける少なくとも一つの上記電力変換用回路部同士を電気的に並列接続する接続配線部(5)とを有し、
上記電力変換用回路部は、複数のスイッチング素子を備えたスイッチング回路部であ
り、
上記4つ以上の電圧部は、少なくとも、車両駆動用バッテリ(BH)、蓄電装置(BL)、負荷(LD)、及び太陽光電源(SS)を含み、
複数の上記電力変換ユニットのそれぞれにおける一部の上記電力変換用回路部(21a、21b)が、上記車両駆動用バッテリに並列接続されており、
複数の上記電力変換ユニットにおける複数の上記電力変換用回路部のうち、上記車両駆動用バッテリに接続されたもの以外の電力変換用回路部(22a、23a、22b、23b)のそれぞれに、上記蓄電装置、上記負荷、上記太陽光電源、及び上記接続配線部がそれぞれ接続されており、
上記接続配線部は、上記蓄電装置にも接続されている、電力変換装
置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
第1バッテリと第2バッテリと交流電力入出力端子とを備えた電力変換装置として、特許文献1には、互いに磁気結合された3つのコイルを有するトランス(以下、適宜マルチポートトランスともいう。)を用いたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の電力変換装置は、接続される機器が極めて限定的である。それゆえ、マルチポートトランスを利用した電力変換装置として、活用の幅を拡げる余地がある。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、活用の幅を拡げることができる、電力変換装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の参考態様は、3つ以上の電圧部(4)と接続される電力変換装置(1)であって、
上記3つ以上の電圧部にそれぞれ接続される、3つ以上の電力変換用回路部(21、22、23、24、25、26、27)、と、
上記3つ以上の電力変換用回路部に、それぞれ異なるポートにおいて接続されたマルチポートトランス(3)と、を有し、
上記電圧部の少なくとも一つは、負荷(LD)である、電力変換装置にある。
【0007】
第2の参考態様は、3つ以上の電圧部(4)と接続される電力変換装置(1)であって、
上記3つ以上の電圧部にそれぞれ接続される、3つ以上の電力変換用回路部(21、22、23、24、25、26、27)と、
上記3つ以上の電力変換用回路部に、それぞれ異なるポートにおいて接続されたマルチポートトランス(3)と、を有し、
接続される3つ以上の上記電圧部は、少なくとも、車両駆動用バッテリ(BH)と、該車両駆動用バッテリに車両の外部から電力供給するための複数の電源供給部とを含む、電力変換装置にある。
【0008】
第3の参考態様は、4つ以上の電圧部(4)と接続される電力変換装置(1)であって、
上記4つ以上の電圧部にそれぞれ接続される、4つ以上の電力変換用回路部(21、22、23、24、25、26、27)と、
上記4つ以上の電力変換用回路部に、それぞれ異なるポートにおいて接続されたマルチポートトランス(3)と、を有する、電力変換装置にある。
【0009】
本発明の一態様は、車両に搭載されると共に4つ以上の電圧部(4)に接続される電力変換装置(10)であって、
一つのマルチポートトランス(3a、3b)と、該マルチポートトランスにおける3つ以上のポートにそれぞれ接続された3つ以上の電力変換用回路部(21a、22a、23a、21b、22b、23b)とをそれぞれ有する複数の電力変換ユニット(1a、1b)と、
各上記電力変換ユニットにおける少なくとも一つの上記電力変換用回路部同士を電気的に並列接続する接続配線部(5)とを有し、
上記電力変換用回路部は、複数のスイッチング素子を備えたスイッチング回路部であり、
上記4つ以上の電圧部は、少なくとも、車両駆動用バッテリ(BH)、蓄電装置(BL)、負荷(LD)、及び太陽光電源(SS)を含み、
複数の上記電力変換ユニットのそれぞれにおける一部の上記電力変換用回路部(21a、21b)が、上記車両駆動用バッテリに並列接続されており、
複数の上記電力変換ユニットにおける複数の上記電力変換用回路部のうち、上記車両駆動用バッテリに接続されたもの以外の電力変換用回路部(22a、23a、22b、23b)のそれぞれに、上記蓄電装置、上記負荷、上記太陽光電源、及び上記接続配線部がそれぞれ接続されており、
上記接続配線部は、上記蓄電装置にも接続されている、電力変換装置にある。
【発明の効果】
【0010】
上記第1の参考態様にかかる電力変換装置は、接続される3つの電圧部のうちの少なくとも一つは、負荷である。これにより、一つのマルチポートトランスを介して、負荷を含めた3つ以上の電圧部間の電力変換を行うことができる。
【0011】
上記第2の参考態様にかかる電力変換装置は、接続される3つ以上の上記電圧部が、少なくとも、車両駆動用バッテリと、複数の電源供給部とを含む。これにより、一つのマルチポートトランスを介して、複数の電源供給部から車両駆動用バッテリへの電力供給を行うことができる。
【0012】
上記第3の参考態様にかかる電力変換装置は、4つ以上の電圧部と接続され、4つ以上の電力変換用回路部を有する。これにより、一つのマルチポートトランスを介して、4つ以上の電圧部の間で、互いに電力変換を行うことができる。それゆえ、極めて多くの組合せにて、一つのマルチポートトランスを介して、複数の電圧部の間の電力変換を行うことができる。
【0013】
上記一態様にかかる電力変換装置は、複数の電力変換ユニットと接続配線部とを有する。そして、接続配線部が、各電力変換ユニットにおける少なくとも一つの電力変換用回路部同士を電気的に並列接続している。それゆえ、複数の電力変換ユニットの間の電力変換用回路部同士の間にて、電力の授受を行うことも可能となる。その結果、一部の電力変換ユニットの一部の電力変換用回路部に障害が発生した場合にも、他の電力変換用回路部にその機能を代替させることが可能となる。その結果、電力変換装置の冗長性を向上させることができる。
このように、上記第1の参考態様、第2の参考態様、第3の参考態様、本発明の一態様のいずれの電力変換装置においても、その活用の幅を広げることができる。
【0014】
以上のごとく、上記態様によれば、活用の幅を拡げることができる、電力変換装置を提供することができる。
なお、特許請求の範囲及び課題を解決する手段に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】参考形態1における、電力変換装置の回路構成図。
【
図2】参考形態1における、マルチポートトランスと3つの電力変換用回路部の一例を示す回路構成図。
【
図3】実施形態1における、電力変換装置の回路構成図。
【
図4】実施形態2における、電力変換装置の回路構成図。
【
図5】参考形態2における、電力変換装置の回路構成図。
【
図6】実施形態3における、電力変換装置の回路構成図。
【
図7】実施形態4における、電力変換装置の回路構成図。
【
図8】参考形態3における、電力変換装置の回路構成図。
【
図9】実施形態5における、電力変換装置の回路構成図。
【
図10】参考形態4における、電力変換装置の回路構成図。
【
図11】参考形態5における、電力変換装置の回路構成図。
【
図12】参考形態6における、電力変換装置の回路構成図。
【
図13】実施形態6における、電力変換装置の回路構成図。
【
図14】実施形態7における、電力変換装置の回路構成図。
【
図15】参考形態7における、電力変換装置の回路構成図。
【
図16】実施形態8における、電力変換装置の回路構成図。
【
図17】実施形態9における、電力変換装置の回路構成図。
【
図18】実施形態10における、電力変換装置の回路構成図。
【
図19】実施形態11における、電力変換装置の回路構成図。
【
図20】実施形態12における、電力変換装置の回路構成図。
【
図21】実施形態13における、電力変換装置の回路構成図。
【
図22】実施形態14における、電力変換装置の回路構成図。
【
図23】実施形態15における、電力変換装置の回路構成図。
【
図24】実施形態16における、電力変換装置の回路構成図。
【
図25】実施形態17における、電力変換装置の回路構成図。
【
図26】実施形態18における、電力変換装置の回路構成図。
【
図27】実施形態19における、電力変換装置の回路構成図。
【
図28】実施形態20における、電力変換装置の回路構成図。
【
図29】実施形態21における、電力変換装置の回路構成図。
【
図30】実施形態22における、電力変換装置の回路構成図。
【
図31】実施形態23における、電力変換装置の回路構成図。
【
図32】実施形態24における、電力変換装置の回路構成図。
【
図33】実施形態25における、電力変換装置の回路構成図。
【
図34】実施形態26における、電力変換装置の回路構成図。
【
図35】実施形態27における、電力変換装置の回路構成図。
【
図36】実施形態28における、電力変換装置の回路構成図。
【
図37】実施形態29における、電力変換装置の回路構成図。
【
図38】実施形態30における、電力変換装置の回路構成図。
【
図39】実施形態31における、電力変換装置の回路構成図。
【
図40】実施形態32における、電力変換装置の回路構成図。
【
図41】実施形態33における、電力変換装置の回路構成図。
【
図42】実施形態34における、電力変換装置の回路構成図。
【
図43】実施形態35における、電力変換装置の回路構成図。
【
図44】実施形態36における、電力変換装置の回路構成図。
【
図45】実施形態37における、電力変換装置の回路構成図。
【
図46】実施形態38における、電力変換装置の回路構成図。
【
図47】実施形態39における、電力変換装置の回路構成図。
【
図48】実施形態40における、電力変換装置の回路構成図。
【
図49】実施形態41における、電力変換装置の回路構成図。
【
図50】実施形態42における、電力変換装置の回路構成図。
【
図51】実施形態43における、電力変換装置の回路構成図。
【
図52】実施形態44における、電力変換装置の回路構成図。
【
図53】実施形態45における、電力変換装置の回路構成図。
【
図54】実施形態46における、電力変換装置の回路構成図。
【
図55】実施形態47における、電力変換装置の回路構成図。
【
図56】実施形態48における、電力変換装置の回路構成図。
【
図57】実施形態49における、電力変換装置の回路構成図。
【
図58】実施形態50における、電力変換装置の回路構成図。
【
図59】実施形態51における、電力変換装置の回路構成図。
【
図60】実施形態51における、電圧部を接続した電力変換装置の回路構成図。
【
図61】比較形態1における、電力変換装置の回路構成図。
【
図62】参考形態28における、電力変換装置の回路構成図。
【
図63】実施形態52における、電力変換装置の回路構成図。
【
図64】実施形態52における、電圧部を接続した電力変換装置の回路構成図。
【
図65】参考形態29における、電力変換装置の回路構成図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
上記第2の参考態様の電力変換装置において、上記複数の電源供給部は、交流電源と直流電源と太陽光電源とのうちの少なくとも2つを含むものとすることができる。この場合には、互いに異なる種類の電源から、車両駆動用バッテリへの充電を行うことができる。
【0017】
電圧部は、種々の電源、負荷等を適用することができる。また、複数の電圧部の少なくとも一部を、例えば、車両に搭載された電源や負荷とすることもできる。
【0018】
以下において、電力変換装置の実施形態及び参考形態を、図面を参照しながら、説明する。
【0019】
(参考形態1)
本形態は、
図1に示すごとく、3つの電圧部4と接続される電力変換装置100の形態である。
電力変換装置は、3つの電力変換用回路部21、22、23と、マルチポートトランス3とを有する。3つの電力変換用回路部21、22、23は、3つの電圧部4にそれぞれ接続される。マルチポートトランス3は、3つの電力変換用回路部21、22、23に、それぞれ異なるポートにおいて接続されている。
本形態において、3つの電圧部4は、交流電源ACS、蓄電装置BL、車両駆動用バッテリBHである。
【0020】
〔蓄電装置BL〕
蓄電装置BLは、車両に搭載された補機用バッテリとすることができる。蓄電装置BLの電圧は、例えば、12Vとすることができる。ただし、これに限られず、蓄電装置BLの電圧は、例えば、7V、48V等とすることができる。また、蓄電装置BLとしては、キャパシタ等によって構成することもできる。
【0021】
また、複数の蓄電装置(BL1、BL2)を、電力変換装置に接続することもできる。この場合、例えば、複数の蓄電装置を、同じ電圧のものとしてもよいし、互いに異なる電圧のものとしてもよい。例えば、一方の蓄電装置BL1の電圧を12V、他方の蓄電装置BL2の電圧を、12V以外としてもよいし、12Vとしてもよい。
【0022】
〔車両駆動用バッテリBH(高圧バッテリBH)〕
車両駆動用バッテリBHは、電気自動車やハイブリッド自動車等の車両に搭載され、車両の駆動用の電力を、蓄え、出力することができる。車両駆動用バッテリBHは、蓄電装置BLよりも高電圧のバッテリであり、例えば、200V以上とすることができる。以下において、車両駆動用バッテリBHを、高圧バッテリBHともいう。
【0023】
〔交流電源ACS〕
交流電源ACSは、高圧バッテリBHに車両の外部から電力供給するための電源供給部の一種である。すなわち、交流電源ACSとしては、例えば、給電ステーション等の交流式充電器が想定される。また、図示を省略するが、交流電源ACSには、交流出力ポートが並列接続されているものとすることができる。交流電源ACSおよび交流出力ポートは、例えば、実効電圧100Vの交流電力を、入力及び出力できるよう構成されている。また、交流出力ポートには、通電、遮断を切り替え可能なリレーを設けることができる。以下の実施形態及び参考形態において、交流電源ACSというときは、特に示さない限り、交流出力ポートも含めた構成を意味するものとする。
【0024】
電力変換装置1は、電気自動車、ハイブリッド自動車等の車両に搭載される。また、高圧バッテリBH及び蓄電装置BLも、電力変換装置1と共に、車両に搭載されている。
【0025】
マルチポートトランス3は、互いに磁気結合した3個以上のコイルを有する。そして、これらのコイルの両端子に、それぞれ3つの電圧部4が接続される。
【0026】
なお、電力変換用回路部21、22、23は、それぞれ、複数の電力変換用素子を備えたものとすることができる。電力変換用素子としては、例えば、MOSFET(MOS型電界効果トランジスタの略)、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタの略)、或いは、スイッチング機能を有するダイオード等の、スイッチング素子を用いることができるが、これに限られるものではない。以下において、電力変換用回路部21、22、23等を、適宜、スイッチング回路部21、22、23等ともいう。
【0027】
図2に示すごとく、スイッチング回路部21、22、23は、それぞれブリッジ回路構成を有する。すなわち、本形態の電力変換装置100は、マルチポートトランス3と、3つのスイッチング回路部21、22、23とによって、MAB(Multiple Active Bridgeの略)を構成している。
【0028】
例えば、
図2に示すごとく、スイッチング回路部21、22、23が、フルブリッジ回路構成を有するものとすることができる。また、これらのスイッチング回路部21、22、23を、ハーフブリッジ回路構成とすることもできる。或いは、3つのスイッチング回路部21、22、23のうちの一部を、フルブリッジ回路構成とし、他の一部をハーフブリッジ回路構成とすることもできる。
【0029】
本形態においては、交流電源ACSと蓄電装置BLと高圧バッテリBHとの間で、電力変換を行うことができる。例えば、高圧バッテリBHから蓄電装置BLへの充電を行いながら、高圧バッテリBHから交流電源ACSの交流出力ポートへの電力供給を行うことができる。また、交流電源ACSから高圧バッテリBHへの充電を行いつつ、蓄電装置BLへの充電を行うことができる。
そして、上記のような3つの電圧部4の間の電力変換を、コンパクト化した一つのマルチポートトランス3と、小規模のスイッチング回路部21、22、23にて実現することができる。ここで、小規模とは、部品点数の数が少ないことや、全体の体格が小さいことなどを含む。
【0030】
上述した参考形態1における3つの電圧部4は、適宜、他の種類の電圧部、すなわち、各種電源や負荷等に変更して、適宜実施形態又は参考形態を構築することができる。
参考形態1に示した、車両駆動用バッテリBH、交流電源ACS、蓄電装置BL、以外に、電力変換装置に接続される電圧部としては、例えば、以下に示す、直流電源DCS、負荷LD、太陽光電源SS等が考えられる。すなわち、後述の実施形態等に示すように、種々の電圧部3つ以上を、電力変換装置を介して適宜組み合わせて、複数の電圧部間における電力変換を、一つのマルチポートトランスを介して、実現することができる。
【0031】
〔太陽光電源SS〕
太陽光電源SSは、高圧バッテリBHに車両の外部から電力供給するための電源供給部の一種である。例えば車両の天井等に配置された太陽光パネルを含む太陽光発電機とすることができる。太陽光電源SSは、MPPT(最大電力点追従機能)を備えた太陽光発電装置とすることができる。また、太陽光電源SSは、PWM(パルス幅変調)制御機能を備えた太陽光発電装置とすることもできる。
【0032】
なお、太陽光電源SSは、時間帯や天候等、使用可能な条件が限られていることから、かかる電源は、他の電源等と併用することが多い。それゆえ、太陽光電源SSを、一つのマルチポートトランスを介して他の複数の電圧部と接続可能とすることで、車両電源システム等、システム全体として、部品点数や体格の低減を図ることができる。
【0033】
〔負荷LD〕
負荷LDは、例えば、車両に搭載されるものとすることができる。負荷LDは、例えば、ヒータとすることができる。ヒータとしては、ハイブリッド自動車等における排気系に設けた電気加熱式触媒を加熱するためのヒータがある。また、ヒータとしては、座席等を暖めるためのヒータや、高圧バッテリBH等の電池を加温するためのヒータ等がある。或いは、ヒータとして、水加熱ヒータと呼ばれる高電圧電池の冷却水を温めるものを採用してもよい。また、ヒータ以外にも、例えば、アクティブボディーコントロール(例えば、エアサスなど)、電気式スーパーチャージャー、エンジンクーリングファン、エアコンコンプレッサー等とすることができる。また、負荷LDの電圧は、蓄電装置BLの電圧よりも高いものとすることができる。また、負荷LDの電圧は、高圧バッテリBHの電圧よりも高いものとすることもできる。
【0034】
〔直流電源DCS〕
直流電源DCSは、高圧バッテリBHに車両の外部から電力供給するための電源供給部の一種である。直流電源DCSは、直流電力にて充電することができる充電用電源とすることができる。直流電源DCSとしては、例えば、給電ステーション等の直流式充電器が想定される。
【0035】
(実施形態1)
本形態の電力変換装置1は、
図3に示すごとく、太陽光電源SSと負荷LDと高圧バッテリBHとの3つの電圧部4に接続されている。
【0036】
本形態においては、一つのマルチポートトランス3を介して、負荷LDを含めた3つ以上の電圧部4間の電力変換を行うことができる。例えば、太陽光電源SSから負荷LDと高圧バッテリBHとの双方へ、マルチポートトランス3を介して、電力供給することができる。また、高圧バッテリBHから太陽光電源SS側への電力供給を行うこともできる。
【0037】
その他、参考形態1と同様の構成及び作用効果を有する。
なお、実施形態1以降の実施形態及び参考形態において用いた符号のうち、既出の実施形態において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、既出の実施形態もしくは参考形態におけるものと同様の構成要素等を表す。
【0038】
(実施形態2)
本形態の電力変換装置1は、
図4に示すごとく、蓄電装置BLと負荷LDと高圧バッテリBHとの3つの電圧部4に接続されている。
蓄電装置BLとしては、上述のように、電圧12Vのものに限らず、他の電圧のものとすることもできる。
【0039】
本形態においては、蓄電装置BL及び高圧バッテリBHの双方から、負荷LDへ電力供給することができる。また、蓄電装置BLと高圧バッテリBHとの間において、相互に電力のやりとりを行うことができる。そして、両者間において電力調停を行ったうえで、蓄電装置BLと高圧バッテリBHとのいずれかから負荷LDへ電力供給を行うこともできる。それゆえ、電力変換装置1を介したシステム全体において、エネルギー効率を向上させやすい。
その他、参考形態1と同様の構成及び作用効果を有する。
【0040】
(参考形態2)
本形態の電力変換装置100は、
図5に示すごとく、太陽光電源SSと蓄電装置BLと高圧バッテリBHとの3つの電圧部4に接続されている。
本形態においては、例えば、太陽光電源SSから蓄電装置BLと高圧バッテリBHとの双方へ、マルチポートトランス3を介して、電力供給することができる。また、高圧バッテリBHから太陽光電源SS側への電力供給を行うこともできる。
【0041】
また、蓄電装置BLと高圧バッテリBHとの間において、相互に電力のやりとりを行うことができる。そして、両者間において電力調停を行ったうえで、太陽光電源SSから、蓄電装置BLと高圧バッテリBHとのいずれかへ電力供給を行うこともできる。それゆえ、電力変換装置1を介したシステム全体において、エネルギー効率を向上させやすい。
その他、参考形態1と同様の構成及び作用効果を有する。
【0042】
(実施形態3)
本形態の電力変換装置1は、
図6に示すごとく、直流電源DCSと負荷LDと高圧バッテリBHとの3つの電圧部4に接続されている。
本形態においては、例えば、直流電源DCSから負荷LDと高圧バッテリBHとの双方へ、マルチポートトランス3を介して、電力供給することができる。すなわち、直流電源DCSから高圧バッテリBHへの充電中に、直流電源DCSから負荷LDへも電力供給が可能となる。これにより、例えば、負荷LDがヒータの場合、早期にヒータ加熱を行うことができる。特に、車両の始動前に、高圧バッテリBHの充電中からヒータを加熱して、触媒等を昇温させておくことができる。
その他、実施形態1と同様の構成及び作用効果を有する。
【0043】
(実施形態4)
本形態の電力変換装置1は、
図7に示すごとく、太陽光電源SSと直流電源DCSと高圧バッテリBHとの3つの電圧部4に接続されている。
すなわち、本形態の電力変換装置1は、接続される3つの電圧部4が、少なくとも、車両駆動用バッテリ(すなわち高圧バッテリBH)と、該車両駆動用バッテリに車両の外部から電力供給するための複数の電源供給部(すなわち、直流電源DCS及び太陽光電源SS)とを含む。
【0044】
これにより、一つのマルチポートトランス3を介して、複数の電源供給部から車両駆動用バッテリへの電力供給を行うことができる。
本形態においては、直流電源DCSから高圧バッテリBHへの充電中に、太陽光電源SSからの高圧バッテリBHへ電力供給することができる。これにより、高圧バッテリBHの充電時間を短縮することができる。
その他、実施形態1と同様の構成及び作用効果を有する。
【0045】
(参考形態3)
本形態の電力変換装置100は、
図8に示すごとく、蓄電装置BLと直流電源DCSと高圧バッテリBHとの3つの電圧部4に接続されている。
本形態においては、直流電源DCSから高圧バッテリBHへの充電中に、蓄電装置BLから高圧バッテリBHへの充電も可能となる。また、直流電源DCSから、蓄電装置BLと高圧バッテリBHとの双方に、1つのマルチポートトランス3を介して電力供給することができる。
その他、参考形態1と同様の構成及び作用効果を有する。
【0046】
(実施形態5)
本形態の電力変換装置1は、
図9に示すごとく、蓄電装置BLと負荷LDと高圧バッテリBHとの3つの電圧部4に接続されている。
本形態においては、蓄電装置BLを12V系の蓄電装置とすることができる。
【0047】
本形態においては、蓄電装置BLと高圧バッテリBHとの双方から、1つのマルチポートトランス3を介して、負荷LDへの電力供給が可能となる。それゆえ、例えば、負荷LDがヒータの場合、ヒータの加熱時間を短縮することができる。また、蓄電装置BLからの電力を、ヒータ加熱の制御用電力とすることもできる。
その他、実施形態1と同様の構成及び作用効果を有する。
【0048】
(参考形態4)
本形態の電力変換装置100は、
図10に示すごとく、蓄電装置BLと太陽光電源SSと高圧バッテリBHとの3つの電圧部4に接続されている。
本形態においては、太陽光電源SSから、一つのマルチポートトランス3を介して、高圧バッテリBHと蓄電装置BLとの双方を同時に充電することができる。これにより、太陽光エネルギーの利用率を向上させることができる。また、例えば補機用バッテリとして用いられる蓄電装置BLの劣化を抑制することができる。また、蓄電装置BLからの電力を、ヒータ加熱の制御用電力とすることもできる。
その他、実施形態1と同様の構成及び作用効果を有する。
【0049】
(参考形態5)
本形態の電力変換装置100は、
図11に示すごとく、2つの蓄電装置BL1、BL2と高圧バッテリBHとの3つの電圧部4に接続されている。
本形態において、蓄電装置BL1の電圧は、12Vとすることができる。蓄電装置BL2の電圧は、蓄電装置BL1と同じ12Vとしてもよいし、これとは異なる電圧、例えば、7V、48V等としてもよい。
【0050】
本形態においては、蓄電装置BL1と蓄電装置BL2と高圧バッテリBHとの間で、一つのマルチポートトランス3を介して、電力のやりとりを行うことができる。そして、これらの蓄電装置BL1と蓄電装置BL2と高圧バッテリBHとの間で、電力調停を行うことができる。例えば、蓄電装置BL1及び蓄電装置BL2の電力を、高圧バッテリBHへ供給し、車両駆動用の電力として使用することができる。これにより、電費の向上を図ることができる。
その他、参考形態1と同様の構成及び作用効果を有する。
【0051】
(参考形態6)
本形態の電力変換装置100は、
図12に示すごとく、蓄電装置BLと直流電源DCSと高圧バッテリBHとの3つの電圧部4に接続されている。
本形態においては、直流電源DCSから高圧バッテリBHへの充電中に、蓄電装置BLからも高圧バッテリBHへ電力供給を行うことが可能となる。これにより、充電時間を短縮することができる。
また、直流電源DCSから高圧バッテリBH及び蓄電装置BLの双方への電力供給を行うこともできる。
その他、参考形態1と同様の構成及び作用効果を有する。
【0052】
(実施形態6)
本形態の電力変換装置1は、
図13に示すごとく、交流電源ACSと負荷LDと高圧バッテリBHとの3つの電圧部4に接続されている。
本形態においては、交流電源ACSから、高圧バッテリBHへ電力供給を行うと共に、負荷LDにも電力供給を行うことができる。すなわち、交流電源ACSによる高圧バッテリBHの充電中に、交流電源ACSの電力によってヒータ等の負荷LDを作動させることができる。また、高圧バッテリBHから負荷LD及び交流電源ACSの交流出力ポートへの電力供給を同時に行うことが可能となる。
その他、実施形態1と同様の構成及び作用効果を有する。
【0053】
(実施形態7)
本形態の電力変換装置1は、
図14に示すごとく、交流電源ACSと太陽光電源SSと高圧バッテリBHとの3つの電圧部4に接続されている。
本形態においては、交流電源ACSから高圧バッテリBHへの充電中に、太陽光電源SSからも高圧バッテリBHへの充電を行うことができる。これにより、高圧バッテリBHの充電時間を短縮することができる。
その他、実施形態4と同様の構成及び作用効果を有する。
【0054】
(参考形態7)
本形態の電力変換装置1は、
図15に示すごとく、交流電源ACSと蓄電装置BLと高圧バッテリBHとの3つの電圧部4に接続されている。
特に、本形態においては、蓄電装置BLとして、12V系以外の蓄電装置を採用することができる。
【0055】
本形態においては、交流電源ACSから高圧バッテリBHへの充電中に、蓄電装置BLからも高圧バッテリBHへ充電することができる。これにより、充電時間を短縮することができる。
【0056】
(実施形態8)
本形態の電力変換装置1は、
図16に示すごとく、交流電源ACSと直流電源DCSと高圧バッテリBHとの3つの電圧部4に接続されている。
本形態においては、交流電源ACSと直流電源DCSとの双方から、高圧バッテリBHへの充電を行うことができる。これにより、高圧バッテリBHの充電時間を短縮することができる。
その他、実施形態4と同様の構成及び作用効果を有する。
【0057】
(実施形態9)
本形態の電力変換装置1は、
図17に示すごとく、4つの電圧部4と接続される電力変換装置である。
電力変換装置1は、4つの電圧部4にそれぞれ接続される、4つの電力変換用回路部(すなわち、スイッチング回路部21、22、23、24)と、4つのスイッチング回路部21、22、23、24に、それぞれ異なるポートにおいて接続されたマルチポートトランス3と、を有する。本形態においては、マルチポートトランス3は、互いに磁気結合された4つのコイルを有する。
【0058】
本形態においては、4つの電圧部4として、交流電源ACSと負荷LDと蓄電装置BLと高圧バッテリBHとが、電力変換装置1に接続されている。
【0059】
本形態の電力変換装置1は、4つの電圧部4と接続され、4つの電力変換用回路部(すなわち、スイッチング回路部21、22、23、24)を有する。これにより、一つのマルチポートトランス3を介して、4つの電圧部4の間で、互いに電力変換を行うことができる。それゆえ、極めて多くの組合せにて、一つのマルチポートトランス3を介して、複数の電圧部4の間の電力変換を行うことができる。
【0060】
すなわち、4つの電圧部4が存在する場合の、2個1組の組合せとしては、6通りの組合せが可能となる。それゆえ、6通りの組み合わせにて電圧部4の間の電力変換を、一つのマルチポートトランス3を介して行うことができる。それゆえ、部品点数や体格の拡大を抑制しつつ、飛躍的に多くの組合せの電圧部4間において、電力のやりとりを行うことができる。
【0061】
本形態の電力変換装置1には、交流電源ACSと負荷LDと蓄電装置BLと高圧バッテリBHとが接続されているため、例えば、交流電源ACSから高圧バッテリBHへの充電とともに、蓄電装置BLへの充電、さらには、負荷LDへの電力供給を行うことができる。
その他、実施形態1と同様の構成及び作用効果を有する。
【0062】
(実施形態10)
本形態の電力変換装置1は、
図18に示すごとく、太陽光電源SSと蓄電装置BLと負荷LDと高圧バッテリBHとの4つの電圧部4に接続されている。
本形態においては、太陽光電源SSから、高圧バッテリBHへの充電を行うと共に、負荷LD及び蓄電装置BLへの電力供給を行うことができる。また、太陽光電源SS、蓄電装置BL、及び高圧バッテリBHの電力を、負荷LDに供給することもできる。これにより、例えば、負荷LDがヒータの場合、ヒータの加熱時間を短縮することができる。
その他、実施形態9と同様の構成及び作用効果を有する。
【0063】
(実施形態11)
本形態の電力変換装置1は、
図19に示すごとく、太陽光電源SSと直流電源DCSと負荷LDと高圧バッテリBHとの4つの電圧部4に接続されている。
本形態においては、直流電源DCSから高圧バッテリBHへの充電中に、太陽光電源SSから負荷LDへの電力供給を行うことができる。例えば、負荷LDが、高圧バッテリBHを加温するヒータである場合、太陽光電源SSの電力によって、高圧バッテリBHを負荷LDのヒータによって加温しながら、高圧バッテリBHを充電することができる。これにより、充電速度を向上させ、充電時間を短縮することができる。
その他、実施形態9と同様の構成及び作用効果を有する。
【0064】
(実施形態12)
本形態の電力変換装置1は、
図20に示すごとく、蓄電装置BLと直流電源DCSと負荷LDと高圧バッテリBHとの4つの電圧部4に接続されている。
本形態においては、直流電源DCSから高圧バッテリBHへの充電中に、蓄電装置BLから負荷LDへの電力供給を行うことができる。例えば、負荷LDが、高圧バッテリBHを加温するヒータである場合、蓄電装置BLの電力によって、高圧バッテリBHを負荷LDのヒータによって加温しながら、高圧バッテリBHを充電することができる。これにより、充電速度を向上させ、充電時間を短縮することができる。
その他、実施形態9と同様の構成及び作用効果を有する。
【0065】
(実施形態13)
本形態の電力変換装置1は、
図21に示すごとく、蓄電装置BLと直流電源DCSと太陽光電源SSと高圧バッテリBHとの4つの電圧部4に接続されている。
本形態においては、直流電源DCSから高圧バッテリBHへの充電中に、蓄電装置BL及び太陽光電源SSからも、高圧バッテリBHへ電力供給を行うことができる。これにより、高圧バッテリBHの充電を短時間にて行うことができる。
その他、実施形態9と同様の構成及び作用効果を有する。
【0066】
(実施形態14)
本形態の電力変換装置1は、
図22に示すごとく、蓄電装置BLと負荷LDと太陽光電源SSと高圧バッテリBHとの4つの電圧部4に接続されている。
本形態においては、蓄電装置BLとして、12V系のものを用いることができる。
本形態においては、太陽光電源SSから高圧バッテリBHへの充電をしながら、太陽光電源SSから蓄電装置BL及び負荷LDへの充電を行うことができる。
その他、実施形態9と同様の構成及び作用効果を有する。
【0067】
(実施形態15)
本形態の電力変換装置1は、
図23に示すごとく、2つの蓄電装置BL1、BL2と負荷LDと高圧バッテリBHとの4つの電圧部4に接続されている。
本形態においては、一方の蓄電装置BL1として、12V系のものを用いることができる。また、他方の蓄電装置BLとして、12V系のものを用いてもよいし、他の電圧のものを用いてもよい。
【0068】
本形態においては、2つの蓄電装置BL1、BL2と、高圧バッテリBHとから、負荷LDへの電力供給を行うことができる。これにより、例えば、負荷LDがヒータの場合、ヒータ加熱時間を短縮することができる。
その他、実施形態9と同様の構成及び作用効果を有する。
【0069】
(実施形態16)
本形態の電力変換装置1は、
図24に示すごとく、2つの蓄電装置BL1、BL2と太陽光電源SSと高圧バッテリBHとの4つの電圧部4に接続されている。
本形態においては、太陽光電源SSから2つの蓄電装置BL1、BL2、及び高圧バッテリBHへの充電が可能となる。すなわち、太陽光電源SSから2つの蓄電装置BL1、BL2と高圧バッテリBHとのすべてへ、同時に電力供給を行うこともできるし、これらの1つまたは2つに、選択的に充電を行うこともできる。また、2つの蓄電装置BL1、BL2、及び太陽光電源SSのうちの少なくとも一つから高圧バッテリBHへの充電を行うことも可能となる。すなわち、電源冗長化を図ることができる。
その他、実施形態9と同様の構成及び作用効果を有する。
【0070】
(実施形態17)
本形態の電力変換装置1は、
図25に示すごとく、蓄電装置BLと負荷LDと直流電源DCSと高圧バッテリBHとの4つの電圧部4に接続されている。
本形態においては、直流電源DCSから高圧バッテリBHへの充電中に、蓄電装置BLから負荷LDへの電力供給を行うことができる。そして、実施形態11と同様の作用効果を得ることもできる。
その他、実施形態9と同様の構成及び作用効果を有する。
【0071】
(実施形態18)
本形態の電力変換装置1は、
図26に示すごとく、蓄電装置BLと太陽光電源SSと直流電源DCSと高圧バッテリBHとの4つの電圧部4に接続されている。
本形態においては、直流電源DCSから高圧バッテリBHへの充電中に、太陽光電源SSからも高圧バッテリBHへ電力供給を行うことができる。これにより、高圧バッテリBHの充電を短時間にて行うことができる。さらに、蓄電装置BLから高圧バッテリBHへの充電も、同時に行うことができる。これにより、さらに高速にて高圧バッテリBHの充電を行うことができる。
また、高圧バッテリBH、直流電源DCS、及び太陽光電源SSから蓄電装置BLへの充電を行うこともできる。
その他、実施形態9と同様の構成及び作用効果を有する。
【0072】
(実施形態19)
本形態の電力変換装置1は、
図27に示すごとく、2つの蓄電装置BL1、BL2と直流電源DCSと高圧バッテリBHとの4つの電圧部4に接続されている。
本形態においては、直流電源DCSから高圧バッテリBHへの充電中に、2つの蓄電装置BL1、BL2の少なくとも一方から高圧バッテリBHへ電力供給を行うことができる。これにより、高圧バッテリBHの充電を短時間にて行うことができる。また、直流電源DCSからの高圧バッテリBHの充電に代えて、2つの蓄電装置BL1、BL2の少なくとも一方からの高圧バッテリBHの充電を行うこともできる。すなわち、電源冗長化を図ることができる。
その他、実施形態9と同様の構成及び作用効果を有する。
【0073】
(実施形態20)
本形態の電力変換装置1は、
図28に示すごとく、交流電源ACSと負荷LDと太陽光電源SSと高圧バッテリBHとの4つの電圧部4に接続されている。
本形態においては、交流電源ACSから高圧バッテリBHへの充電中に、太陽光電源SSから負荷LDへの電力供給を行うことができる。これにより、実施形態11と同様の作用効果を得ることができる。
その他、実施形態9と同様の構成及び作用効果を有する。
【0074】
(実施形態21)
本形態の電力変換装置1は、
図29に示すごとく、交流電源ACSと負荷LDと蓄電装置BLと高圧バッテリBHとの4つの電圧部4に接続されている。
本形態においては、交流電源ACSから高圧バッテリBHへの充電中に、蓄電装置BLから負荷LDへの電力供給を行うことができる。これにより、実施形態11と同様の作用効果を得ることができる。
その他、実施形態9と同様の構成及び作用効果を有する。
【0075】
(実施形態22)
本形態の電力変換装置1は、
図30に示すごとく、交流電源ACSと太陽光電源SSと蓄電装置BLと高圧バッテリBHとの4つの電圧部4に接続されている。
本形態においては、交流電源ACSから高圧バッテリBHへの充電中に、太陽光電源SSから高圧バッテリBH及び蓄電装置BLの少なくとも一方への充電も行うことができる。また、交流電源ACS、太陽光電源SS、及び高圧バッテリBHの少なくとも一つから蓄電装置BLへの充電を行うこともできる。
その他、実施形態9と同様の構成及び作用効果を有する。
【0076】
(実施形態23)
本形態の電力変換装置1は、
図31に示すごとく、交流電源ACSと負荷LDと直流電源DCSと高圧バッテリBHとの4つの電圧部4に接続されている。
本形態においては、交流電源ACSと直流電源DCSとの双方から、高圧バッテリBHへの充電及び負荷LDへの電力供給を行うことができる。
その他、実施形態9と同様の構成及び作用効果を有する。
【0077】
(実施形態24)
本形態の電力変換装置1は、
図32に示すごとく、交流電源ACSと太陽光電源SSと直流電源DCSと高圧バッテリBHとの4つの電圧部4に接続されている。
本形態においては、交流電源ACSと直流電源DCSと太陽光電源SSとから、高圧バッテリBHへの充電を行うことができる。
その他、実施形態9と同様の構成及び作用効果を有する。
【0078】
(実施形態25)
本形態の電力変換装置1は、
図33に示すごとく、交流電源ACSと蓄電装置BLと直流電源DCSと高圧バッテリBHとの4つの電圧部4に接続されている。
本形態においては、蓄電装置BLを12V系以外の蓄電装置とすることができる。
本形態においては、交流電源ACSと直流電源DCSとの双方から、高圧バッテリBHへの充電及び蓄電装置BLへの充電を行うことができる。また、交流電源ACS、直流電源DCS、及び蓄電装置BLから、高圧バッテリBHへの充電を行うこともできる。
その他、実施形態9と同様の構成及び作用効果を有する。
【0079】
(実施形態26)
本形態の電力変換装置1は、
図34に示すごとく、交流電源ACSと太陽光電源SSと蓄電装置BLと高圧バッテリBHとの4つの電圧部4に接続されている。
本形態においては、交流電源ACSから高圧バッテリBHへの充電中に、太陽光電源SSからも高圧バッテリBHへの充電を行うことができる。また、交流電源ACS、太陽光電源SS、及び高圧バッテリBHの少なくとも一つから蓄電装置BLへの充電を行うこともできる。
その他、実施形態9と同様の構成及び作用効果を有する。
【0080】
(実施形態27)
本形態の電力変換装置1は、
図35に示すごとく、交流電源ACSと2つの蓄電装置BL1、BL2と高圧バッテリBHとの4つの電圧部4に接続されている。
本形態においては、交流電源ACSから高圧バッテリBHへの充電中に、2つの蓄電装置BL1、BL2の少なくとも一方から高圧バッテリBHへ電力供給を行うことができる。これにより、高圧バッテリBHの充電を短時間にて行うことができる。また、交流電源ACSからの高圧バッテリBHの充電に代えて、2つの蓄電装置BL1、BL2の少なくとも一方からの高圧バッテリBHの充電を行うこともできる。すなわち、電源冗長化を図ることができる。また、交流電源ACSから高圧バッテリBHへの充電とともに、蓄電装置BL1、BL2の少なくとも一方への充電も行うことができる。
その他、実施形態9と同様の構成及び作用効果を有する。
【0081】
(実施形態28)
本形態の電力変換装置1は、
図36に示すごとく、交流電源ACSと蓄電装置BLと直流電源DCSと高圧バッテリBHとの4つの電圧部4に接続されている。
本形態においては、蓄電装置BLを12V系の蓄電装置とすることができる。
本形態においては、交流電源ACSと直流電源DCSとの双方から、高圧バッテリBHへの充電及び蓄電装置BLへの充電を行うことができる。また、交流電源ACS、直流電源DCS、及び蓄電装置BLから、高圧バッテリBHへの充電を行うこともできる。
その他、実施形態9と同様の構成及び作用効果を有する。
【0082】
(実施形態29)
本形態の電力変換装置1は、
図37に示すごとく、5つの電圧部4と接続される電力変換装置である。
電力変換装置1は、5つの電圧部4にそれぞれ接続される、5つの電力変換用回路部(すなわち、スイッチング回路部21、22、23、24、25)と、5つのスイッチング回路部21、22、23、24、25に、それぞれ異なるポートにおいて接続されたマルチポートトランス3と、を有する。本形態においては、マルチポートトランス3は、互いに磁気結合された5つのコイルを有する。
【0083】
本形態においては、5つの電圧部4として、直流電源DCSと交流電源ACSと負荷LDと2つの蓄電装置BL1、BL2と高圧バッテリBHとが、電力変換装置1に接続されている。
【0084】
本形態の電力変換装置1は、一つのマルチポートトランス3を介して、5つの電圧部4の間で、互いに電力変換を行うことができる。それゆえ、極めて多くの組合せにて、一つのマルチポートトランス3を介して、複数の電圧部4の間の電力変換を行うことができる。
【0085】
すなわち、5つの電圧部4が存在する場合の、2個1組の組合せとしては、10通りの組合せが可能となる。それゆえ、10通りの組み合わせにて電圧部4の間の電力変換を、一つのマルチポートトランス3を介して行うことができる。それゆえ、部品点数や体格の拡大を抑制しつつ、飛躍的に多くの組合せの電圧部4間において、電力のやりとりを行うことができる。
【0086】
本形態の電力変換装置1には、交流電源ACS、直流電源DCS、及び2つの蓄電装置BL1、BL2から高圧バッテリBHへの充電を行うことができる。また、充電制御用の電力として、例えば、一方の蓄電装置BL1(例えば12V系)を用いることもできる。
その他、実施形態9と同様の構成及び作用効果を有する。
【0087】
(実施形態30)
本形態の電力変換装置1は、
図38に示すごとく、直流電源DCSと太陽光電源SSと蓄電装置BLと負荷LDと高圧バッテリBHとの5つの電圧部4に接続されている。
本形態においては、直流電源DCSから高圧バッテリBHへの充電中に、太陽光電源SS、蓄電装置BLから負荷LDへの電力供給を行うことができる。これにより、例えば、負荷LDがヒータの場合、ヒータ加熱を早めることができる。また、太陽光電源SS及び蓄電装置BLの電力によって、直流電源DCSから高圧バッテリBHへの充電をアシストすることもできる。
その他、実施形態29と同様の構成及び作用効果を有する。
【0088】
(実施形態31)
本形態の電力変換装置1は、
図39に示すごとく、2つの蓄電装置BL1、BL2と太陽光電源SSと負荷LDと高圧バッテリBHとの5つの電圧部4に接続されている。
本形態においては、太陽光電源SSから2つの蓄電装置BL1、BL2、及び高圧バッテリBHへの充電を行うことができる。そして、太陽光電源SSから負荷LDへの電力供給を行うことができる。さらには、蓄電装置BL1、BL2からも負荷LDへ電力供給を行うことができる。
【0089】
(実施形態32)
本形態の電力変換装置1は、
図40に示すごとく、蓄電装置BLと太陽光電源SSと直流電源DCSと負荷LDと高圧バッテリBHとの5つの電圧部4に接続されている。
本形態においては、直流電源DCSから高圧バッテリBHへの充電中に、太陽光電源SSから負荷LDへの電力供給を行うことができる。これにより、例えば負荷LDがヒータの場合、ヒータ加熱時間を短縮することができる。
また、直流電源DCS及び太陽光電源SSから蓄電装置BLへの充電も行うことができる。
その他、実施形態29と同様の構成及び作用効果を有する。
【0090】
(実施形態33)
本形態の電力変換装置1は、
図41に示すごとく、2つの蓄電装置BL1、BL2と直流電源DCSと負荷LDと高圧バッテリBHとの5つの電圧部4に接続されている。
本形態においては、直流電源DCSから高圧バッテリBHへの充電中に、蓄電装置BL1、BL2から負荷LDへの電力供給を行うことができる。また、直流電源DCSから負荷LDへの電力供給を行うこともできる。
その他、実施形態29と同様の構成及び作用効果を有する。
【0091】
(実施形態34)
本形態の電力変換装置1は、
図42に示すごとく、2つの蓄電装置BL1、BL2と直流電源DCSと負荷LDと高圧バッテリBHとの5つの電圧部4に接続されている。
本形態においては、直流電源DCSから高圧バッテリBHへの充電中に、太陽光電源SSからも高圧バッテリBHへの充電を行うことができる。このとき、さらに、蓄電装置BL1、BL2からも、高圧バッテリBHへの充電を行うことができる。また、直流電源DCSおよび太陽光電源SSからの充電に代えて、蓄電装置BL1、BL2の少なくとも一方から、高圧バッテリBHへの充電を行うこともできる。すなわち、電源冗長化を図ることができる。
その他、実施形態29と同様の構成及び作用効果を有する。
【0092】
(実施形態35)
本形態の電力変換装置1は、
図43に示すごとく、負荷LDと蓄電装置BLと交流電源ACSと太陽光電源SSと高圧バッテリBHとの5つの電圧部4に接続されている。
本形態においては、交流電源ACSから高圧バッテリBHへの充電中に、太陽光電源SSから負荷LDへの電力供給を行うことができる。これにより、例えば負荷LDがヒータの場合、ヒータ加熱時間を短縮することができる。また、交流電源ACS及び太陽光電源SSから蓄電装置BLへの充電も行うことができる。また、蓄電装置BLの電力によって、高圧バッテリBHへの充電を行うこともできる。
その他、実施形態29と同様の構成及び作用効果を有する。
【0093】
(実施形態36)
本形態の電力変換装置1は、
図44に示すごとく、負荷LDと直流電源DCSと交流電源ACSと太陽光電源SSと高圧バッテリBHとの5つの電圧部4に接続されている。
本形態においては、交流電源ACSから高圧バッテリBHへの充電中に、直流電源DCSからも、太陽光電源SSからも、高圧バッテリBHへの充電を行うこともできる。或いは、交流電源ACS等から高圧バッテリBHへの充電中に、太陽光電源SSから負荷LDへの電力供給を行うこともできる。
その他、実施形態29と同様の構成及び作用効果を有する。
【0094】
(実施形態37)
本形態の電力変換装置1は、
図45に示すごとく、負荷LDと直流電源DCSと交流電源ACSと蓄電装置BLと高圧バッテリBHとの5つの電圧部4に接続されている。
本形態においては、蓄電装置BLを12V系以外の蓄電装置とすることができる。
本形態においても、交流電源ACS及び直流電源DCSから、高圧バッテリBHへの充電を行うことができる。この際、蓄電装置BLから負荷LDへの電力供給を行うことができる。また、交流電源ACSと直流電源DCSとの少なくとも一方の電力を、負荷LDに供給することもできる。
その他、実施形態29と同様の構成及び作用効果を有する。
【0095】
(実施形態38)
本形態の電力変換装置1は、
図46に示すごとく、太陽光電源SSと直流電源DCSと交流電源ACSと蓄電装置BLと高圧バッテリBHとの5つの電圧部4に接続されている。
本形態においては、交流電源ACS、直流電源DCS、及び太陽光電源SSから、高圧バッテリBHへの充電を行うことができる。また、交流電源ACS、直流電源DCS、及び太陽光電源SSの少なくとも一つによって、蓄電装置BLの充電を行うこともできる。
その他、実施形態29と同様の構成及び作用効果を有する。
【0096】
(実施形態39)
本形態の電力変換装置1は、
図47に示すごとく、太陽光電源SSと蓄電装置BLと交流電源ACSと負荷LDと高圧バッテリBHとの5つの電圧部4に接続されている。
本形態においては、交流電源ACSから高圧バッテリBHへの充電中に、太陽光電源SSから高圧バッテリBHへの充電をも行うことができる。また、交流電源ACSと太陽光電源SSとの少なくとも一方から、負荷LDへの電力供給を行うことができる。また、交流電源ACSと太陽光電源SSとの少なくとも一方から、蓄電装置BLへの充電を行うこともできる。
その他、実施形態29と同様の構成及び作用効果を有する。
【0097】
(実施形態40)
本形態の電力変換装置1は、
図48に示すごとく、2つの蓄電装置BL1、BL2と交流電源ACSと負荷LDと高圧バッテリBHとの5つの電圧部4に接続されている。
本形態においては、交流電源ACSから高圧バッテリBHへの充電中に、蓄電装置BL1、BL2から負荷LDへの電力供給を行うことができる。また、一方の蓄電装置BL1の電力を、負荷LDの作動を制御する制御用電力として用いることもできる。
その他、実施形態29と同様の構成及び作用効果を有する。
【0098】
(実施形態41)
本形態の電力変換装置1は、
図49に示すごとく、2つの蓄電装置BL1、BL2と交流電源ACSと太陽光電源SSと高圧バッテリBHとの5つの電圧部4に接続されている。
【0099】
本形態においては、交流電源ACSから高圧バッテリBHへの充電中に、太陽光電源SSからも、高圧バッテリBHへの充電を行うことができる。また、交流電源ACS及び太陽光電源SSの少なくとも一方から、蓄電装置BL1、BL2への充電を行うこともできる。また、交流電源ACS、太陽光電源SS、2つの蓄電装置BL1、BL2のいずれかから高圧バッテリBHへの充電を行うことができる。すなわち、電源冗長化を図ることができる。
その他、実施形態29と同様の構成及び作用効果を有する。
【0100】
(実施形態42)
本形態の電力変換装置1は、
図50に示すごとく、直流電源DCSと蓄電装置BLと交流電源ACSと負荷LDと高圧バッテリBHとの5つの電圧部4に接続されている。
本形態においては、蓄電装置BLを12V系の蓄電装置とすることができる。
【0101】
本形態においては、交流電源ACS及び直流電源DCSから、高圧バッテリBHへの充電を行うことができる。この際、交流電源ACS及び直流電源DCSの少なくとも一方から負荷LDへの電力供給を行うことができる。また、蓄電装置BLの電力を、負荷LDの作動の制御用の出力として利用することもできる。
その他、実施形態29と同様の構成及び作用効果を有する。
【0102】
(実施形態43)
本形態の電力変換装置1は、
図51に示すごとく、直流電源DCSと蓄電装置BLと交流電源ACSと太陽光電源SSと高圧バッテリBHとの5つの電圧部4に接続されている。
【0103】
本形態においては、交流電源ACS、直流電源DCS、及び太陽光電源SSから、高圧バッテリBHへの充電を行うことができる。すなわち、これらの3つの電源のいずれか1つ以上の電源から、高圧バッテリBHへの充電を行うことができる。また、これらの3つの電源のいずれか1つ以上から、蓄電装置BLへの充電を行うこともできる。また、蓄電装置BLから高圧バッテリBHへの充電を行うこともできる。また、蓄電装置BLの電力を、交流電源ACS等からの高圧バッテリBHへの充電の際の制御用の電力として利用することもできる。
その他、実施形態29と同様の構成及び作用効果を有する。
【0104】
(実施形態44)
本形態の電力変換装置1は、
図52に示すごとく、6つの電圧部4と接続される電力変換装置である。
電力変換装置1は、6つの電圧部4にそれぞれ接続される、6つの電力変換用回路部(すなわち、スイッチング回路部21、22、23、24、25、26)と、6つのスイッチング回路部21、22、23、24、25、26に、それぞれ異なるポートにおいて接続されたマルチポートトランス3と、を有する。本形態においては、マルチポートトランス3は、互いに磁気結合された6つのコイルを有する。
【0105】
本形態においては、6つの電圧部4として、2つの蓄電装置BL1、BL2と負荷LDと交流電源ACSと直流電源DCSと高圧バッテリBHとが、電力変換装置1に接続されている。
【0106】
本形態の電力変換装置1は、一つのマルチポートトランス3を介して、6つの電圧部4の間で、互いに電力変換を行うことができる。それゆえ、極めて多くの組合せにて、一つのマルチポートトランス3を介して、複数の電圧部4の間の電力変換を行うことができる。
【0107】
すなわち、6つの電圧部4が存在する場合の、2個1組の組合せとしては、15通りの組合せが可能となる。それゆえ、15通りの組み合わせにて電圧部4の間の電力変換を、一つのマルチポートトランス3を介して行うことができる。それゆえ、部品点数や体格の拡大を抑制しつつ、飛躍的に多くの組合せの電圧部4間において、電力のやりとりを行うことができる。
【0108】
本形態の電力変換装置1には、交流電源ACS、直流電源DCS、及び2つの蓄電装置BL1、BL2から高圧バッテリBHへの充電を行うことができる。また、交流電源ACS、直流電源DCS、及び2つの蓄電装置BL1、BL2から負荷LDへの電力供給を行うこともできる。また、充電制御用の電力、或いは負荷LDの作動制御用の電力として、例えば、一方の蓄電装置BL1(例えば12V系)を用いることもできる。
その他、実施形態29と同様の構成及び作用効果を有する。
【0109】
(実施形態45)
本形態の電力変換装置1は、
図53に示すごとく、直流電源DCSと2つの蓄電装置BL1、BL2と太陽光電源SSと負荷LDと高圧バッテリBHとの6つの電圧部4に接続されている。
【0110】
本形態においては、直流電源DCSから高圧バッテリBHへの充電中に、太陽光電源SS、蓄電装置BL1、BL2の少なくとも一つからも高圧バッテリBHへの充電を行うことができる。また、直流電源DCS、太陽光電源SS、蓄電装置BL1、BL2から、負荷LDへの電力供給を行うこともできる。また、充電制御用の電力、或いは負荷LDの作動制御用の電力として、例えば、一方の蓄電装置BL1(例えば12V系)の電力を用いることもできる。
その他、実施形態44と同様の構成及び作用効果を有する。
【0111】
(実施形態46)
本形態の電力変換装置1は、
図54に示すごとく、直流電源DCSと負荷LDと太陽光電源SSと蓄電装置BLと交流電源ACSと高圧バッテリBHとの6つの電圧部4に接続されている。
【0112】
本形態においては、直流電源DCS、交流電源ACS、及び太陽光電源SSから、高圧バッテリBHへの充電を行うことができる。さらには、蓄電装置BLからも、高圧バッテリBHへの充電を行うことができる。また、直流電源DCS、交流電源ACS、及び太陽光電源SS、蓄電装置BLから、負荷LDへの電力供給を行うことができる。
その他、実施形態44と同様の構成及び作用効果を有する。
【0113】
(実施形態47)
本形態の電力変換装置1は、
図55に示すごとく、2つの蓄電装置BL1、BL2と負荷LDと太陽光電源SSと交流電源ACSと高圧バッテリBHとの6つの電圧部4に接続されている。
【0114】
本形態においては、交流電源ACS及び太陽光電源SSから、高圧バッテリBHへの充電を行うことができる。さらには、蓄電装置BL1、BL2からも、高圧バッテリBHへの充電を行うことができる。また、交流電源ACS及び太陽光電源SS、蓄電装置BL1、BL2から、負荷LDへの電力供給を行うことができる。
その他、実施形態44と同様の構成及び作用効果を有する。
【0115】
(実施形態48)
本形態の電力変換装置1は、
図56に示すごとく、蓄電装置BLと負荷LDと太陽光電源SSと交流電源ACSと直流電源DCSと高圧バッテリBHとの6つの電圧部4に接続されている。
【0116】
本形態においては、直流電源DCS、交流電源ACS、及び太陽光電源SSから、高圧バッテリBHへの充電を行うことができる。また、直流電源DCS、交流電源ACS、及び太陽光電源SS、蓄電装置BLから、負荷LDへの電力供給を行うことができる。また、充電制御用の電力、或いは負荷LDの作動制御用の電力として、蓄電装置BL(例えば12V系)の電力を用いることもできる。
その他、実施形態44と同様の構成及び作用効果を有する。
【0117】
(実施形態49)
本形態の電力変換装置1は、
図57に示すごとく、2つの蓄電装置BL1、BL2と太陽光電源SSと交流電源ACSと直流電源DCSと高圧バッテリBHとの6つの電圧部4に接続されている。
【0118】
本形態においては、直流電源DCS、交流電源ACS、及び太陽光電源SSから、高圧バッテリBHへの充電を行うことができる。また、充電制御用の電力として、例えば一方の蓄電装置BL1(例えば12V系)の電力を用いることもできる。また、直流電源DCS、交流電源ACS、及び太陽光電源SSから、蓄電装置BL1、BL2への充電を行うこともできる。
その他、実施形態44と同様の構成及び作用効果を有する。
【0119】
(実施形態50)
本形態の電力変換装置1は、
図58に示すごとく、7つの電圧部4と接続される電力変換装置である。
電力変換装置1は、7つの電圧部4にそれぞれ接続される、7つの電力変換用回路部(すなわち、スイッチング回路部21、22、23、24、25、26、27)と、7つのスイッチング回路部21、22、23、24、25、26、27に、それぞれ異なるポートにおいて接続されたマルチポートトランス3と、を有する。本形態においては、マルチポートトランス3は、互いに磁気結合された7つのコイルを有する。
【0120】
本形態においては、7つの電圧部4として、2つの蓄電装置BL1、BL2と太陽光電源SSと交流電源ACSと直流電源DCSと負荷LDと高圧バッテリBHとが、電力変換装置1に接続されている。
【0121】
本形態の電力変換装置1は、一つのマルチポートトランス3を介して、7つの電圧部4の間で、互いに電力変換を行うことができる。それゆえ、極めて多くの組合せにて、一つのマルチポートトランス3を介して、複数の電圧部4の間の電力変換を行うことができる。
【0122】
すなわち、7つの電圧部4が存在する場合の、2個1組の組合せとしては、21通りの組合せが可能となる。それゆえ、21通りの組み合わせにて電圧部4の間の電力変換を、一つのマルチポートトランス3を介して行うことができる。それゆえ、部品点数や体格の拡大を抑制しつつ、飛躍的に多くの組合せの電圧部4間において、電力のやりとりを行うことができる。
【0123】
本形態の電力変換装置1には、交流電源ACS、直流電源DCS、太陽光電源SS、及び2つの蓄電装置BL1、BL2から高圧バッテリBHへの充電を行うことができる。また、交流電源ACS、直流電源DCS、太陽光電源SS、及び2つの蓄電装置BL1、BL2から負荷LDへの電力供給を行うこともできる。また、充電制御用の電力、或いは負荷LDの作動制御用の電力として、例えば、一方の蓄電装置BL1(例えば12V系)を用いることもできる。
その他、実施形態44と同様の構成及び作用効果を有する。
【0124】
(実施形態51)
本形態の電力変換装置10は、
図59に示すごとく、複数の電力変換ユニット1a、1bと、接続配線部5とを有する。
電力変換ユニット1a、1bは、一つのマルチポートトランス3a、3bと、3つ以上の電力変換用回路部21a、22a、23a、21b、22b、23bとをそれぞれ有する。3つ以上の電力変換用回路部21a、22a、23a、21b、22b、23bは、マルチポートトランス3a、3bにおける3つ以上のポートにそれぞれ接続されている。
接続配線部5は、各電力変換ユニット1a、1bにおける少なくとも一つの電力変換用回路部21a、22a、23a、21b、22b、23b同士を電気的に並列接続する。
【0125】
図59に示す、本形態の電力変換装置10は、特に、接続配線部5が、一つの電力変換ユニット1aにおける一つの電力変換用回路部22aと、他の一つの電力変換ユニット1bにおける一つの電力変換用回路部22bとを、並列接続している。
【0126】
また、本形態の電力変換装置10は、電力変換用回路部22a、22bにおける、マルチポートトランス3a、3bと反対側の端子に、接続配線部5が接続されている。
各電力変換ユニット1a、1bは、例えば、実施形態1の電力変換装置1と同様のものとすることができる。
【0127】
そして、例えば、
図60に示すごとく、電力変換ユニット1a、1bにおける各電力変換用回路部21a、22a、23a、21b、22b、23bに、電圧部4として、高圧バッテリBH、蓄電装置BL、負荷LD、太陽光電源SSを接続することが考えられる。
具体的には、高圧バッテリBHに、2つの電力変換ユニット1a、1bの電力変換用回路部21a、21bを、並列接続する。また、電力変換ユニット1aの電力変換用回路部22aを蓄電装置BLに接続し、電力変換用回路部23aを負荷LDに接続する。また、電力変換ユニット1bの電力変換用回路部23bを、太陽光電源SSに接続する。そして、電力変換ユニット1bの電力変換用回路部22bは、接続配線部5を介して、電力変換ユニット1aの電力変換用回路部22aに接続されているため、蓄電装置BLにも接続されることとなる。つまり、蓄電装置BLには、2つの電力変換用回路部22a、22bが並列接続された状態となる。
【0128】
本形態の電力変換装置10は、複数の電力変換ユニット1a、1bと接続配線部5とを有する。そして、接続配線部5が、各電力変換ユニット1a、1bにおける電力変換用回路部22a、22b同士を電気的に並列接続している。それゆえ、複数の電力変換ユニット1a、1bの間の電力変換用回路部22a、22b同士の間にて、電力の授受を行うことも可能となる。その結果、一部の電力変換ユニット(例えば電力変換ユニット1a)の一部の電力変換用回路部(例えば電力変換用回路部21a)に障害が発生した場合にも、他の電力変換用回路部(例えば電力変換用回路部21b)にその機能を代替させることが可能となる。その結果、電力変換装置10の冗長性を向上させることができる。
【0129】
すなわち、例えば、
図60に示すように複数の電圧部4を接続した電力変換装置10において、電力変換ユニット1aの電力変換用回路部21aが故障した場合、高圧バッテリBHからマルチポートトランス3aを介して蓄電装置BLへ電力を供給することができなくなる。しかし、この場合、電力変換ユニット1bのマルチポートトランス3bにおける電力変換用回路部21b、22bと接続配線部5とを介して、蓄電装置BLへ電力供給を行うことができる。これにより、例えば、車両の走行に必要なECU(電子制御ユニットの略)への電力供給を確保して、走行を継続することができる。
【0130】
また、上記の場合、電力変換ユニット1aの電力変換用回路部21aを介して、高圧バッテリBHから負荷LDへ電力を供給することはできない。しかし、電力変換ユニット1bと、接続配線部5と、電力変換ユニット1aの電力変換用回路部22a、23aを介して、負荷LDへ電力を供給することが可能となる。
このように、冗長性の高い電力変換装置10を得ることができる。
【0131】
(比較形態1)
なお、比較形態として、
図61に示すごとく、ポートが2つの一般的なトランス93を2つ設けた形態を示す。この電力変換装置9においては、一方のトランス93aの2つのポートに電力変換用回路部921a、922aが接続され、他方のトランス93bの2つのポートに電力変換用回路部921b、922bが接続されている。そして、電力変換用回路部921a、921bに、高圧バッテリBHが接続され、電力変換用回路部922aに蓄電装置BLが接続され、電力変換用回路部922bに負荷LDが接続されている。かかる形態においては、電力変換用回路部921aに障害が発生すると、高圧バッテリBHから蓄電装置BLへの電力供給ができなくなる。
【0132】
これに対し、上述のように、実施形態51の電力変換装置10においては、電力変換用回路部21aに障害が生じても、高圧バッテリBHから蓄電装置BLへの電力供給を継続することができる(
図60参照)。したがって、比較形態1に比べて、実施形態51の電力変換装置10は、冗長性を向上させることができる。
【0133】
(参考形態28)
参考形態として、
図62に示すごとく、マルチポートトランス3a、3bが並列的に配置され、接続配線部5が設けられていない電力変換装置90を考える。
この参考形態28の電力変換装置90でも、やはり、電力変換用回路部21aに障害が発生すると、高圧バッテリBHから蓄電装置BLへの電力の供給はできなくなる。したがって、この参考形態28の電力変換装置90に対しても、実施形態51の電力変換装置10は、冗長性を向上させることができる。
【0134】
また、実施形態51の電力変換装置10においては、
図60に示すごとく、接続配線部5に、蓄電装置BLが接続されている。つまり、接続配線部5によって接続された電力変換用回路部22a、22bは、蓄電装置BLに接続されている。これにより、例えば、電力変換用回路部21a等の故障によって、瞬時停電などが生じても、負荷LD、太陽光電源SS、高電圧バッテリBH等への電力供給を行うことができる。それゆえ、より一層、冗長性の高い電力変換装置10とすることができる。
【0135】
また、実施形態51の電力変換装置10においては、接続配線部5によって互いに接続された電力変換用回路部22a、22b同士の間で相互に電力の授受を行うことができる。これにより、電力変換用回路部22a、22bにおける電力変換用素子の温度を適度に上げ、例えば寒冷地における始動時等、電力変換用回路部の冷却水の温度が低下しすぎやすい場合に、冷却水を効率的に温めることができる。
【0136】
なお、図示を省略するが、各電力変換ユニット1a、1bは、4つ以上のポートを有するマルチポートトランスと、4つ以上の電力変換用回路部とを有するものとすることもできる。この場合は、各電力変換ユニット1a、1bは、例えば、実施形態9の電力変換装置1と同様のものとすることができる。
【0137】
また、接続配線部5には、切離し機構を介在させることもできる。すなわち、リレーや半導体スイッチ等、電気的な接続と遮断とを切り替えることができる切離し機構を、接続配線部5の一部に設けることができる。これにより、必要に応じて、切離し機構をオンオフ切り替えして、電力変換ユニット1a、1b同士の間にて電力の授受を行うことができる。
【0138】
(実施形態52)
本形態は、
図63に示すごとく、接続配線部5を、電力変換用回路部22a、22bにおける、マルチポートトランス3a、3b側に接続した形態である。
その他は、実施形態51と同様である。
【0139】
この場合は、例えば、電力変換用回路部21aと電力変換用回路部21bとの一方に障害が発生した場合において、他方の電力変換用回路部にて、その機能を代用することができる。
例えば、
図64に示すように電圧部4を接続している場合、本形態においては、以下のような対応が可能となる。つまり、例えば、電力変換用回路部21aに障害が発生したとき、電力変換用回路部21b、マルチポートトランス3b、電力変換用回路部22aを介して、蓄電装置BLへの電力供給を維持することができる。
【0140】
また、電力変換用回路部21b、22bから、接続配線部5とマルチポートトランス3aとを介して、電力変換用回路部23aに電力を供給し、負荷LD1を作動させることもできる。
或いは、高圧バッテリBHから蓄電装置BLへの電力供給が途絶えたときでも、太陽光電源SSから、電力変換用回路部23b、マルチポートトランス3b、接続配線部5、電力変換用回路部22a、を介して、蓄電装置BLへの電力供給を行うことができる。
その他、実施形態51と同様の作用効果を有する。
【0141】
(参考形態29)
本形態は、
図65に示すごとく、3つのポートを備えたマルチポートトランス3a、3bに、それぞれ、2つの電力変換用回路部21a、23a、21b、23bを接続した形態である。
そして、マルチポートトランス3a、3bにおける、電力変換用回路部が接続されない残りのポート同士が、連結配線部51にて接続されている。つまり、マルチポートトランス3a、3bにおける一つずつの巻線部が、互いに電気的に接続されている。
その他は、実施形態51と同様である。
【0142】
本形態においては、電力変換用回路部が接続されていないポートにおいて、連結配線部51を介して、複数の電力変換ユニット9a、9b間の電力の供給を行うことができる。
【0143】
上述の実施形態以外にも、種々の形態に変形することもできる。
また、上述の各実施形態及び各参考形態において、それぞれの形態が奏し得る作用効果の一部を説明したが、各実施形態及び各参考形態によって得られる作用効果は、これら以外にも生じ得る。各実施形態及び各参考形態は、本明細書及び図面等の全体から導くことのできる種々の作用効果を奏し得る。
【0144】
また、上述の実施形態及び参考形態においては、スイッチング回路部(すなわち電力変換用回路部)を直接電圧部に接続した形態を示したが、スイッチング回路部と電圧部との間には、例えば、PFC回路(すなわち力率改善回路)を介在させてもよい。
また、スイッチング回路部(すなわち電力変換用回路部)と負荷もしくは蓄電装置との間の正負の配線には、それぞれリレーが介在していてもよい。リレーとしては、例えば、機械式リレー、半導体リレー等とすることができる。或いは、リレーに代えて、これらと同等の機能を有する電力遮断機構を設けてもよい。
【0145】
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0146】
1、10 電力変換装置
21、22、23、24、25、26、27 電力変換用回路部(スイッチング回路部)
3、3a、3b マルチポートトランス
4 電圧部
5 接続配線部
LD 負荷
BH 車両駆動用バッテリ(高圧バッテリ)