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  • 特許-UV硬化されるインク下層の前処理 図1A
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  • 特許-UV硬化されるインク下層の前処理 図2A
  • 特許-UV硬化されるインク下層の前処理 図2B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-21
(45)【発行日】2023-09-29
(54)【発明の名称】UV硬化されるインク下層の前処理
(51)【国際特許分類】
   B41M 5/00 20060101AFI20230922BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20230922BHJP
   C09D 11/30 20140101ALI20230922BHJP
【FI】
B41M5/00 100
B41M5/00 120
B41M5/00 132
B41J2/01 121
B41J2/01 129
B41J2/01 401
C09D11/30
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2018012411
(22)【出願日】2018-01-29
(65)【公開番号】P2018130955
(43)【公開日】2018-08-23
【審査請求日】2021-01-27
【審判番号】
【審判請求日】2022-02-14
(31)【優先権主張番号】15/435,184
(32)【優先日】2017-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー・エス・コンデロ
(72)【発明者】
【氏名】ジャック・ティー・ルストレンジ
【合議体】
【審判長】里村 利光
【審判官】井口 猶二
【審判官】大▲瀬▼ 裕久
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-237217(JP,A)
【文献】特開2008-207528(JP,A)
【文献】特開2011-178143(JP,A)
【文献】特開2005-153507(JP,A)
【文献】特開2009-90609(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M 5/00-5/52
B41J 2/01-2/215
C09D 11/00-11/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性インクの印刷方法であって、
多孔質の基材上に第1の硬化性材料の液滴を堆積させることと、
前記第1の硬化性材料を少なくとも部分的に硬化させ、第1の表面エネルギーを有する下層を形成することと、
前記下層の表面エネルギーを第1の表面エネルギーから第2の表面エネルギーに変化させることと、
前記第2の表面エネルギーを有する前記下層の表面に接触する少なくとも1つのローラーにより、前記基材を搬送することと、
前記下層上に第2の硬化性材料の液滴を堆積させることと
を含み、
前記下層の表面エネルギーを変化させることは、前記第2の硬化性材料の液滴を堆積させることの前に行われ、
前記水性インクは水を含む、印刷方法。
【請求項2】
前記第1の硬化性材料の液滴を堆積させることは、前記硬化性材料を第1のプリントヘッドからインクジェット印刷することを含む、請求項1に記載の印刷方法。
【請求項3】
前記第1の硬化性材料は、紫外線(UV)硬化性インクを含む、請求項1に記載の印刷方法。
【請求項4】
前記第1の硬化性材料を少なくとも部分的に硬化させることは、前記第1の硬化性材料をUV照射にさらすことを含む、請求項3に記載の印刷方法。
【請求項5】
前記下層の表面エネルギーを変化させることは、前記下層の表面に、火炎、コロナ、プラズマ、またはそれらの組合せのうちの少なくとも1つを与えることを含む、請求項1に記載の印刷方法。
【請求項6】
前記第2の硬化性材料を少なくとも部分的に硬化させて前記下層の上に着色層を形成することをさらに含み、前記着色層が第3の表面エネルギーを有する、請求項1に記載の印刷方法。
【請求項7】
前記第2の硬化性材料は、紫外線(UV)硬化性インクを含む、請求項6に記載の印刷方法。
【請求項8】
前記第1の硬化性材料を少なくとも部分的に硬化させることは、前記第1の硬化性材料をUV照射にさらすことを含む、請求項7に記載の印刷方法。
【請求項9】
前記着色層の表面エネルギーを前記第3の表面エネルギーから第4の表面エネルギーに変化させることをさらに含む、請求項6に記載の印刷方法。
【請求項10】
前記着色層の表面エネルギーを変化させることは、前記着色層の表面に、火炎、コロナ、プラズマ、またはそれらの組合せのうちの少なくとも1つを与えることを含む、請求項9に記載の印刷方法。
【請求項11】
前記着色層上に第3の硬化性材料の液滴を堆積させることをさらに含む、請求項7に記載の印刷方法。
【請求項12】
前記第3の硬化性材料を少なくとも部分的に硬化させ、前記着色層上にオーバーコート層を形成することをさらに含む、請求項11に記載の印刷方法。
【請求項13】
前記紫外線硬化性インクは、黒色着色剤、マゼンタ着色剤、シアン着色剤、イエロー着色剤またはそれらの組合せを含む、請求項11に記載の印刷方法。
【請求項14】
前記第1の硬化性材料は、白色紫外線(UV)硬化性インクを含む、請求項1に記載の印刷方法。
【請求項15】
前記基材は、紙、ボール紙、またはプラスチックのうちの1つまたは複数を含む、請求項1に記載の印刷方法。
【請求項16】
水性インクの印刷装置であって、
基材処理搬送システムと、
前記基材処理搬送システムの近くに配置され、第1の硬化性材料の液滴を多孔質の基材上に画像形状に噴射するように構成された、第1のプリントヘッドの少なくとも1つの噴射ノズルと、
前記第1の硬化性材料を硬化させて前記基材上に下層を形成するための少なくとも1つの下層硬化ステーションと、
前記下層の表面エネルギーを第1の表面エネルギーから第2の表面エネルギーに変化させて、前記下層の表面を改質するための少なくとも1つの下層表面改質ステーションと、
前記第2の表面エネルギーを有する前記下層の表面に接触して、前記基材を搬送する少なくとも1つのローラーと、
前記基材処理搬送システムの近くに配置され、第2の硬化性材料の液滴を、改質された表面を有する前記下層上に画像形状に噴射するように構成された、第2のプリントヘッドの少なくとも1つの噴射ノズルと
を含み、
前記水性インクは水を含む、印刷装置。
【請求項17】
前記下層表面改質ステーションは、前記下層表面に、火炎、コロナ、プラズマ、またはそれらの組合せのうちの少なくとも1つを与える、請求項16に記載の印刷装置。
【請求項18】
前記第2の硬化性材料を硬化させて前記下層の上に着色層を形成するための少なくとも1つの着色層硬化ステーションと、
前記着色層の表面エネルギーを第3の表面エネルギーから第4の表面エネルギーに変化させるための少なくとも1つの着色層表面改質ユニットと
をさらに備え、
前記少なくとも1つの着色層表面改質ユニットは、少なくとも1つの火炎、コロナ、プラズマ、またはこれらの組合せを着色層表面に与える、
請求項16に記載の印刷装置。
【請求項19】
前記基材処理搬送システムの近くに配置され、第3の硬化性材料液滴を基材上に画像形状に噴射するように構成された、第3のプリントヘッドの少なくとも1つの噴射ノズルと、
前記第3の硬化性材料を硬化させて前記着色層上にオーバーコート層を形成するための少なくとも1つのオーバーコート層硬化ステーションと
をさらに含む、請求項18に記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の実施形態は、一般的に、水性インクジェットプリンタへの印刷に関し、特に、異なる基材上の一次画像の良好な湿潤を確実にするために下層を処理する方法を含む、水性インクインクジェット印刷のための表面調製に関する。
【背景技術】
【0002】
包装用途を含め、様々な基材上に画像を印刷することが望ましい。このような用途では、インクジェット印刷によって所望の画像を形成することができる。一般に、インクジェット印刷機またはプリンタは、記録するか、または画像を形成する表面に液体インクの液滴または噴射物を吐出する少なくとも1つのプリントヘッドを備えている。水性インクジェットプリンタは、顔料または他の着色剤が懸濁しているか、または溶液の状態になった水性または溶媒性のインクを使用する。水性インクがプリントヘッドによって受像表面上に吐出されると、水または溶媒が蒸発して、受像表面上のインク画像を安定化させる。水性インクが媒体上に直接吐出されると、水性インクは、媒体が紙のような多孔質であるときに媒体に浸透し、媒体の物理特性を変えてしまう傾向がある。媒体にぶつかるインク液滴の広がりは、媒体の表面特性および多孔度の関数であるので、印刷品質は一致しないだろう。この問題に対処するには、インクの特性を変更しなければならないか、インクが印刷される媒体の特性を変更しなければならない。例えば、インクに界面活性剤を添加すると、インクの表面張力が低下するが、そのような解決策は、インクの広がりが制御不能になることを含め、さらなる問題をもたらす。このことにより、1列分の画素ラインの縁部分が望ましくない波打ちを生じる可能性がある。さらに、水性プリントヘッドは、良好な噴射性能のために満たされなければならない特定の最小表面張力要件(すなわち、20mN/mより大きい)を有する。あるいは、媒体表面上に硬化性インクを吐出し、次いでこの硬化性インクを例えばUV硬化性インクのための紫外線によって硬化させることにより、媒体上に保護ベース層を形成することができる。次いで、その後に印刷されたインク液滴は、媒体特性(例えば、水性インク中の水または溶媒との媒体接触に応答して起こり、インク液滴の広がりに影響を与えるもの)に起因する画質の変化を回避するような様式でベース層上に印刷されてもよい。
【0003】
このように、硬化したインクによって形成されるベースは、典型的には、画像「下層」と呼ばれ、白色インク、透明インクまたは様々な色のインクの1つ以上の層を含んでいてもよい。これらの下層の使用は、プラスチックに印刷する場合、特に透明または半透明のプラスチックに印刷する場合に、特に重要になる場合がある。インクと媒体の相互作用を避けるために、所望の最終画像色および全体的な製品外観を達成するためにはベースが必要であるが、UVインクベースまたは下層への印刷で生じる1つの問題は、その後にカラー印刷される画像がUVインクベースまたは下層を十分に濡らすことができないことである。このような下層は、他の問題の影響を受けやすい場合もある。例えば、下層が硬化不足の場合には、(例えば、媒体を移送するためにプリンタで使用されるローラー)と接触する他の表面に裏移りしてしまうことがある。また、硬化不足の状態では、その後に印刷されるカラーインク液滴は、軟らかい硬化不足の下層によって包まれ、封入され、またはそうならずとも変形する可能性がある。同様に、ベースインク下層の過度な硬化は、その後に印刷される画像着色層の濡れが不十分であるなど、許容できない結果を引き起こす可能性がある。
【0004】
硬化パラメータの最適化によってこれらの問題に対処することができるものの、他の問題が生じる。例えば、形成される画像によっては、ベース層の最適な硬化のための硬化パラメータは、画像毎に異なる場合があり、印刷される異なる媒体またはその上に堆積する画像形成インクに依存して変化する場合があり、または単純にそうはならないが、下層がプリンタの表面に接触するときに上述のような裏移りを起こす危険性がある。したがって、ベース下層を形成するUVインクを硬化させるための硬化パラメータを最適化することは、実現可能なことではない。
【0005】
ベース層を硬化するという問題を追加することなく、改善された画像形成を提供する表面が望ましい。したがって、UV硬化性インクの表面特性を制御し、その後に印刷工程中に印刷される画像のインクの広がりを制御するアプローチが必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態では、印刷方法であって、基材上に第1の硬化性材料を堆積させることと、前記第1の硬化性材料を少なくとも部分的に硬化させ、第1の表面エネルギーを有する下層を形成することと、前記下層の表面エネルギーを第1の表面エネルギーから第2の表面エネルギーに変化させることと、前記下層上に第2の硬化性材料を堆積させることとを含む印刷方法が存在する。
【0007】
別の実施形態では、印刷装置であって、基材処理搬送システムと、前記基材処理搬送システムの近くに配置され、第1の硬化性材料の液滴を基材上に画像形状に噴射するように構成された、第1のプリントヘッドの少なくとも1つの噴射ノズルと、前記第1の硬化性材料を硬化させて前記基材上に下層を形成するための少なくとも1つの下層硬化ステーションと、前記下層の表面エネルギーを第1の表面エネルギーから第2の表面エネルギーに変化させるための少なくとも1つの下層表面改質ステーションと、前記基材処理搬送システムの近くに配置され、第2の硬化性材料の液滴を前記下層上に画像形状に噴射するように構成された、第2のプリントヘッドの少なくとも1つの噴射ノズルとを含む、印刷装置が存在する。
【0008】
利点としては、硬化許容差/条件に対する感度が低いこと、下層表面の濡れ性が増すこと、裏移りの問題が減るか、またはなくなることといった1つ以上の利点が含まれるだろう。
【0009】
これらの実施形態のさらなる利点は、一部は以下の説明に記載されるか、一部は以下の説明から理解されるか、または実施形態の実施によって学習されるだろう。これらの利点は、添付の特許請求の範囲において特に指摘されている要素および組合せによって実現され、達成されるであろう。
【0010】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は、例示的で説明的なものに過ぎず、特許請求される実施形態を限定するものではないことを理解されたい。
【0011】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本記載と合わせ、本教示のいくつかの実施形態を説明し、本教示の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A図1Aは、一実施形態に係る印刷装置を示す。
図1B図1Bは、例えば図1Aの印刷装置によって実行される、一実施形態に係る印刷方法の様々な段階を示す。
図2A図2Aは、一実施形態に係る印刷装置を示す。
図2B図2Bは、例えば図2Aの印刷装置によって実行される、一実施形態に係る印刷方法の様々な段階を示す。
図3図3は、一実施形態に係る印刷装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本教示の実施形態について詳細に参照し、その例を添付の図面に示す。可能な場合はいつでも、同じ部品または同様の部品を指すために、図面全体で同じ参照番号が使用される。
【0014】
本実施形態の広い範囲を記載する数値範囲およびパラメータは概算値であるが、具体例に記載する数値範囲は、可能な限り正確に報告している。しかし、いかなる数値範囲も、それぞれの試験測定でみられる標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を固有に含む。さらに、本明細書に開示する全ての範囲は、その範囲に包含される任意の部分範囲およびあらゆる部分範囲を包含することが理解されるべきである。例えば、「10未満」という範囲は、最小値が0であり、最大値が10である(境界値を含む)任意の部分範囲およびあらゆる部分範囲、すなわち、最小値が0以上であり、最大値が10以下である任意の部分範囲およびあらゆる部分範囲(例えば、1~5)を含んでいてもよい。特定の場合には、パラメータとして述べられるような数値は、負の値であってもよい。この場合、「10未満」であると述べられる範囲の値の例は、負の値、例えば、-1、-2、-3、-10、-20、-30などを想定することができる。
【0015】
以下の実施形態は、図面を参照しつつ、説明のためにのみ記載される。当業者であれば、以下の説明は本質的に例示的なものであり、本実施形態の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載のパラメータに対する様々な変更が可能であることを理解するであろう。明細書および実施例は、例としてのみ考慮されることが意図される。いくつかの実施形態を1つ以上の他の実施形態と組み合わせて新しい実施形態を作り出すことができるので、様々な実施形態は必ずしも相互に排他的ではない。
【0016】
本明細書で使用される場合、特に断らない限り、「プリンタ」という用語は、デジタル複写機、製本機、ファクシミリ機、多機能機、静電写真装置、インクジェットプリンタなどの任意の目的のための印刷出力機能を発揮する任意の装置を包含する。
【0017】
図面に示された構造は、簡略化のために図示されていない追加の特徴を含んでいてもよく、図示されている構造は除去または修正されてもよいことが理解されよう。
【0018】
図1A図2Aおよび図3はそれぞれ、本実施形態に係る画像生成装置またはプリンタ100、200、300の実施形態を示す。プリンタ100、200、300は、限定されないが、紙、ボール紙、プラスチックまたは他の多孔質シートなどの基材を含む受像媒体上にインク画像を形成するために使用され得る印刷装置である。例えば、基材110は、矢印によって示された印刷経路に沿って、基材処理搬送システム115によって操作される。一方、少なくとも1つの第1のプリントヘッド101、少なくとも1つの第2のプリントヘッド103、105、107および/または109、および/または第3のプリントヘッド112からの噴射ノズルは、基材処理搬送システムの近くに配置され、基材上に画像を形成するために基材表面の上に(例えば、インクジェット噴射によって)材料を画像形状に堆積させるように構成されている。
【0019】
いくつかの実施形態では、プリントヘッド101、103、105、107、109および112は、基材の幅にわたって延在してもよい。したがって、これらのプリントヘッドは、単一のプリントヘッドまたは複数のプリントヘッド(例えば、その後に改質され、下層、着色層および/またはオーバーコート層が形成されるような硬化性材料の液滴を運ぶために互い違いに配置された複数のプリントヘッド)を含むプリントヘッドモジュールの中に含まれていてもよい。
【0020】
プリントヘッドモジュールは、プリンタのフレーム(図示せず)に動作可能に接続され、基材の表面上に画像形状のパターンになるように硬化性材料を吐出するように位置合わせされることができる。プリントヘッド101、103、105、107、109および/または112用の関連するプリントヘッドモジュールは、インク組成物(例えば、UV硬化性インク組成物)を1つまたは複数のプリントヘッドに供給するための対応する電子機器、リザーバ、および導路を含むことができる。例えば、導路(図示せず)は、インク供給源を少なくとも1つのプリントヘッドに動作可能に接続して、1つ以上のプリントヘッドにインクを供給することができる。プリントヘッド101、103、105、107、109および/または112はそれぞれ、インクジェットプリントヘッドのようなインクを堆積させるために使用されるのと同じ種類のプリントヘッドであってもよい。硬化性材料を噴射するためのプリントヘッドは、水系インクを噴射するように設計されたKyocera KJ4Bシリーズのような従来のプリントヘッドであってもよいが、実施形態はこれに限定されない。
【0021】
印刷経路に沿った様々なステーションでは、堆積した材料の化学特性および/または物理特性を操作することができる。例えば、硬化ステーション111、111’および111”は、堆積した材料に紫外線を与えることができる。堆積した材料がUV硬化性材料を含む場合、紫外線は、UV硬化性材料を少なくとも部分的に硬化させ、初期表面エネルギーを有する層を形成させる。堆積したインクを硬化させることによって形成された硬化層の低エネルギー表面は、このような表面では高エネルギー表面と同様にインク液滴が広がらないので、良質のインク画像の形成を助けない。一方、処理搬送システム115は、基材の上に形成された層との接触を含め、基材110の上面または底面に接触する複数のローラーを備えていてもよい。場合によっては、形成された層は、硬化不足になるか、または過度に硬化する可能性があり、その後で堆積する材料について、裏移りまたは濡れ性の問題を引き起こす可能性がある。この問題に対処するために、層の表面エネルギーを、例えば初期表面エネルギーから次の表面エネルギーに変化させることにより、その後で堆積する材料に対してより正確な画像形状のパターンを得ることができる。その結果、表面改質ユニット113、113’および/または113’’は、例えば火炎処理、コロナ放電またはプラズマを介して基材の表面を改質するために使用することができる。
【0022】
例えば、プリンタ100、200および/または300によって実行される印刷サイクルについて、図1Bおよび図2Bを参照して説明する。本明細書で使用される「印刷サイクル」とは、印刷のための画像形成面を準備し、準備した表面上にインク(例えば、UV硬化性インク)を吐出し、例えば、少なくとも1つの下層および/または追加の着色層またはオーバーコート層を形成し、画像形成表面でインクを処理し、その上に追加のインク層を被せるために画像を安定化し、準備するためのプリンタの操作を実施するための印刷方法の工程の完了を指す。
【0023】
プリンタ100、200および300はそれぞれ、直接的または間接的に、動作するサブシステムおよび構成要素を支持するAフレームなどのフレームを備えていてもよい。上述したように、プリンタ100、200、300は、基材処理搬送システム115を備えており、この基材処理搬送システム115は、支持された終端のないベルトを備え、基材がその上を移動するように構成されていてもよい。プリンタ100、200、300は、第1の硬化性材料120を基材110上に堆積させることを含む印刷方法を実行するように構成されていてもよい。少なくとも1つの実施形態の印刷方法では、第1の硬化性材料は、例えば、プリントヘッド101に関連するノズルから画像形状のパターンになるように吐出させることによって滴下することができる。堆積した犠牲コーティングは、任意の所望の厚さを有していてもよい。
【0024】
次に、堆積した第1の硬化性材料120は、第1の硬化性材料120が1つ以上の下層を形成するように、第1の硬化ステーション111において少なくとも部分的に硬化されてもよい。しかし、この時点で、少なくとも部分的に硬化した下層は、その後に堆積するインクの望ましい濡れを促さない第1の表面エネルギーを有する。したがって、この方法は、下層の表面エネルギーを第1の表面エネルギーから第2の表面エネルギーに変化させつつ、続けられる。下層表面改質ユニット113は、基材110の露出した表面に火炎源、コロナ源またはプラズマ源の少なくとも1つを提供する。その後、得られた改質された下層表面122は、その後に堆積するインクを受け入れる準備が整う。したがって、下層の表面エネルギーの変化は、第2の硬化性材料の堆積の前に行われてもよい。なお、例えば、プリンタ300において、下層表面改質ユニット113とプリントヘッド103との間に追加の下層表面改質ユニット113’’を備えていてもよい。このような追加の下層表面改質ユニット113’’は、基材表面から不純物を除去するために使用されてもよい。
【0025】
本実施形態の印刷方法は、下層上に第2の硬化性材料130を堆積させることを含んでいてもよい。例えば、第2のプリントヘッドの少なくとも1つの噴射ノズルは、基材処理搬送システムの近くに配置されてもよく、第2の硬化性材料液滴を下層上に画像形状に噴射するように構成されてもよい。一実施形態では、シアン、マゼンタ、イエローおよび/またはブラックの硬化性インクなどの第2の硬化性材料を、改質された下層表面122上に堆積させるために、1つまたは複数のプリントヘッド103、105、107および/または109を使用してもよい。次いで、第2の硬化性材料を硬化ステーション111’によって硬化させて、初期表面エネルギー(すなわち、第3の表面エネルギー)を有する着色層130を形成してもよい。
【0026】
例えば、オーバーコート層によって着色層を保護することが望ましい場合がある。したがって、一実施形態では、プリンタ200、300はそれぞれ、基材処理搬送システムの近くに配置され、基材上に第3の硬化性材料の液滴を画像形状に噴射するように構成された第3のプリントヘッド112の少なくとも1つの噴射ノズルを備えている。しかしながら、着色層は、オーバーコート層を形成するインク(すなわち、第3の硬化性材料)の適切な濡れを可能にするのに適した初期表面エネルギーを有さないことがある。したがって、着色層の表面エネルギーを第3の表面エネルギーから第4の表面エネルギーまで変化させるために、少なくとも1つの着色層表面改質ユニット113’が含まれていてもよい。一実施形態では、少なくとも1つの着色層表面改質ユニットは、炎、コロナ、プラズマ、またはそれらの組合せのうちの少なくとも1つを着色層表面に提供する。
【0027】
その後、得られた改質された着色層表面132は、第3の硬化性材料を含むインクのようなその後に堆積するインクを受け入れる準備が整う。さらに、第3の硬化性材料を硬化させ、着色層140上にオーバーコート層を形成するために、オーバーコート層硬化ステーション111”がプリンタ200およびプリンタ300に設けられていてもよい。
【0028】
一実施形態では、第1の硬化性材料は、紫外線(UV)硬化性インク、例えば白色UV硬化性インクを含む。一実施形態では、第2の硬化性材料は、UV硬化性インクを含み、例えば、UV硬化性インクは、黒色着色剤、マゼンタ着色剤、シアン着色剤、イエロー着色剤またはそれらの組合せを含むUV硬化性インクを含む。一実施形態では、第2の硬化性材料は、透明UV硬化性インクを含む。
【0029】
UV硬化性材料
上述のように、硬化性材料を硬化させることによって、少なくとも1つの下層、着色層および/またはオーバーコート層を別々に形成することができる。一実施形態では、硬化性材料は、紫外線を露光することによって硬化してもよい(すなわち、UV硬化性材料)。例えば、UV硬化性材料は、紫外線硬化性水性インクを含んでいてもよい。一実施形態では、紫外線硬化性水性インクは、紫外線重合性化合物を含んでいてもよい。紫外線重合性化合物としては、紫外線によりラジカル重合する重合性基を有する化合物を例示することができ、単量体、オリゴマーまたはそれらの混合物であってもよい。重合性基としては、エチレン性不飽和二重結合を有する基を例示することができ、具体例としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、ビニルエーテル基、無水マレイン酸基、N-置換マレイミド基が挙げられるだろう。紫外線重合性化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0030】
紫外線重合性化合物は、水溶性の紫外線重合性化合物であってもよいし、水不溶性の紫外線重合性化合物であってもよい。紫外線重合性化合物の一例において、「水溶性」とは、対象物質が25℃で100質量部の水に対して5質量部以上(好ましくは10質量部以上)の量を溶解することを意味する。紫外線重合性化合物の一例において、「水不溶性」とは、対象物質が25℃で100質量部の水に対して5質量部未満の量しか溶解しないことを意味する。
【0031】
紫外線重合性化合物は、水溶性の紫外線重合性化合物を含んでいてもよい。水溶性紫外線重合性化合物は、従来から知られている紫外線重合性化合物を含んでいてもよい。一実施形態では、水溶性紫外線重合性化合物としては、アクリロイルモルホリン(ACMO)、ヒドロキシエチルアクリルアミド(HEAA)、ジアセトンアクリルアミド、N-ビニル-2-ピロリドン、N-ビニルホルムアミド、ビニルナフタレンスルホン酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、無水コハク酸と2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとのエステル、無水オルトフタル酸と2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのエステルのようなラジカル重合性モノマー、およびこれらの組合せが挙げられるだろう。一実施形態では、水溶性紫外線重合性化合物としては、多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル、多価アルコールに由来するグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸エステルなどの水溶性紫外線重合性モノマーが挙げられてもよい。
【0032】
水不溶性紫外線重合性化合物としては、従来から知られている水不溶性の紫外線重合性物質を例示することができ、水不溶性の紫外線重合性物質の具体例としては、アルコール、多価アルコールまたはアミノアルコールのアクリル酸エステル;アルコールまたは多価アルコールのメタクリル酸エステル;アクリル酸脂肪族アミド;アクリル系脂環式アミド;アクリル芳香族アミドなどのラジカル重合性モノマーが挙げられるだろう。
【0033】
紫外線重合性化合物は、水不溶性の紫外線重合性化合物を含んでいてもよい。水不溶性の紫外線重合性化合物は、水不溶性の紫外線重合性モノマーを必要な重合度で重合させることによって得られるオリゴマーを含んでいてもよい。例えば、水不溶性の紫外線重合性化合物は、エポキシ骨格にアクリロイル基またはメタクリロイル基を有するアクリレート(エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ウレタンメタクリレート、ポリエステルメタクリレートなど)、ウレタン骨格、ポリエステル骨格、ポリエーテル骨格を有するオリゴマーを含んでいてもよい。一実施形態では、水不溶性の紫外線重合性化合物を、従来から知られている方法により水性インクに乳化分散させる。水不溶性紫外線重合性材料は、自己乳化していてもよく、または分散剤によって乳化していてもよい。
【0034】
紫外線硬化型水性インクは、さらに、紫外線重合開始剤を1種以上含んでいてもよい。例えば、1種以上の紫外線重合開始剤は、水溶性紫外線重合開始剤または水不溶性紫外線重合開始剤を含んでいてもよい。一実施形態では、紫外線重合開始剤は、水不溶性チオキサントン化合物を含んでいてもよい。チオキサントン化合物の具体例としては、イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、クロロチオキサントン、ジメチルチオキサントン、メチルエチルキサントン、メチルイソプロピルキサントンなどが挙げられるだろう。紫外線重合開始剤は、チオキサントン化合物に加えて、またはチオキサントン化合物以外に、他の紫外線重合開始剤と併用されてもよい。例えば、紫外線重合開始剤は、ヒドロキシアセトフェノン類(1-フェニル-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパノン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパノン)、アミノアセトフェノン類(例えば、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オン)、チオキサントンアンモニウム塩類、ベンゾフェノンアンモニウム塩類などの従来から知られている紫外線重合開始剤を含め、1種類以上の水溶性紫外線重合開始剤を含んでいてもよい。その他の水不溶性紫外線重合開始剤としては、ベンゾイン化合物(例えば、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル)、ベンゾフェノン、アシルホスフィンオキシド化合物(ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド)、アントラキノン化合物(例えば、エチルアントラキノン)が挙げられるだろう。その他の水不溶性紫外線重合開始剤は、従来から知られている分散剤などを用いて水性インクに乳化分散させてもよいし、水溶性有機溶媒に溶解または分散させ、インク中に分散させてもよい。
【0035】
紫外線硬化型水性インクは、水素供与剤(すなわち、紫外線重合補助開始剤)をさらに含んでいてもよい。水素供与剤としては、水不溶性の第三級アミン化合物を使用してもよい。例えば、水不溶性第三級アミン化合物としては、2-ジメチルアミノエチルベンゾエート、4-ジメチルアミノエチルベンゾエート、4-ジメチルアミノイソアミルベンゾエート、4-ジメチルアミノメチルベンゾエート、4-ジメチルアミノ 3-メチルブチルベンゾエート、4-ジメチルアミノ 2-エチルヘキシルベンゾエート、p-ピペリジニルメチルベンゾエート、p-ピペリジニルエチルベンゾエート、p-ピペラジニルメチルベンゾエート、p-ピペラジニルエチルベンゾエート、p-モルホリノメチルベンゾエート、p-モルホリノエチルベンゾエート、4-ジエチルアミノメチルベンゾエート、4-ジエチルアミノ 3-メチルブチルベンゾエート、2-ジエチルアミノエチルベンゾエート、4-ジエチルアミノエチルベンゾエート、4-ジエチルアミノイソアミルベンゾエート、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジメチルフェニルピペラジン、1-(2-エトキシフェニルピペラジンおよび1-(2,6-ジメトキシフェニル)ピペラジンおよびこれらの組合せが挙げられるだろう。水素供与剤(紫外線重合開始補助剤)は、水不溶性第三級アミン化合物の他に、他の水素供与剤と併用されてもよい。その他の水素供与剤の例としては、脂肪族アミン、芳香族基を有するアミン(ピペリジン)、トリエタノールアミンなどのアミン含有化合物類、アリルウレア、o-トリルチオウレアなどの尿素含有化合物類、ジエチルジチオリン酸ナトリウムのような硫黄含有化合物類および芳香族スルフィン酸の可溶性塩、N,N-二置換p-アミノベンゾニトリルなどのニトリル含有化合物、トリ-n-ブチルホスフィン、ジエチルジチオリン酸ナトリウムなどのリン含有化合物類、Michlerケトン、N-ニトロソヒドロキシルアミン誘導体類、オキサゾリジン化合物類、テトラヒドロ-1,3-オキサジン化合物類、アルデヒド(ホルムアルデヒドまたはアセトアルデヒド)とジアミンとの縮合物などの含窒素化合物類、エポキシ樹脂とアミンとの反応生成物で構成される重合アミン、およびトリエタノールアミントリアクリレートのような従来から知られている水素供与剤が挙げられるだろう。
【0036】
紫外線硬化型水性インクは、水をさらに含んでいてもよい。水は、イオン交換水、超純水、蒸留水、限外濾過水などを含んでいてもよく、特に不純物の混入や微生物の生成を抑制する観点から適切に例示されてもよい。
【0037】
紫外線硬化型水性インクは、水溶性有機溶媒をさらに含んでいてもよい。その他の水溶性有機溶媒の例としては、多価アルコール類、多価アルコール誘導体類、含窒素溶媒、アルコール類、硫黄含有溶媒等が挙げられるだろう。水溶性有機溶媒のさらなる例としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネートが挙げられるだろう。多価アルコール類の例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2,6-ヘキサントリオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、キシリトールなどの糖アルコール類、およびキシロース、グルコース、ガラクトースなどの糖類が挙げられるだろう。多価アルコール誘導体類の例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジグリセリンのエチレンオキシド付加物が挙げられるだろう。水溶性有機溶媒は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。水溶性有機溶媒の含有量は、水に対して1質量%~60質量%が好ましく、1質量%~40質量%がより好ましい。
【0038】
下層は、白色または透明であってもよく、または色を含んでいてもよい。したがって、UV硬化性材料は、着色剤、例えば顔料を含んでいてもよい。一実施形態では、UV硬化性材料は、黒色顔料、シアン、マゼンタおよび/またはイエローを含む原色顔料の少なくとも1つ、赤色、緑色、青色、茶色および白色のような特定の色の顔料、金および銀のような金属光沢顔料、無色顔料、またはこれらの組合せを含んでいてもよい。顔料粒子は、コアであるシリカ、アルミナまたはポリマービーズの表面に染料または顔料を固定することによって得られてもよく、および/または染料、着色エマルションおよび着色ラテックスの不溶性レーキ製品を含んでもよい。
【0039】
黒色顔料の具体例としては、Raven 7000、Raven 5750、Raven 5250、Raven 5000 ULTRAII、Raven 3500、Raven 2000、Raven 1500、Raven 1250、Raven 1200、Raven 1190 ULTRAII、Raven 1170、Raven 1255、Raven 1080およびRaven 1060(いずれもColumbian Carbon Co.,Ltd製)、Regal 400R、Regal 330R、Regal 660R、Mogul L、Black Pearls L、Monarch 700、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1100、Monarch 1300、Monarch 1400(いずれもCabot Corporation製)、Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black 18、Color Black FW200、Color Black 5150、Color Black S160、Color Black 5170、Printex35、Printex U、Printex V、Printex 140U、Printex 140V、Special Black 6、Special Black 5、Special Black 4AおよびSpecial Black 4(いずれもDEGUSSA Corporation製)、No.25、No.33、No.40、No.47、No 52、No.900、No.2300、MCF-88、MA600、MA7、MA8、MA100(いずれも三菱化学株式会社製)を挙げることができるが、本明細書に記載の実施形態は、これに限定されるものではない。シアン着色顔料の具体例としては、C.I.Pigment Blue -1、-2、-3、-15、-15:1、-15:2、-15:3、-15:4、-16、-22および-60を挙げることができるが、本明細書に記載の実施形態は、これに限定されるものではない。マゼンタ着色顔料の具体例としては、C.I.Pigment Red -5、-7、-12、-48、-48:1、-57、-112、-122、-123、-146、-168、-177、-184、-202およびC.I.Pigment Violet-19を挙げることができるが、本明細書に記載の実施形態は、これに限定されるものではない。イエロー顔料の具体例としては、C.T.Pigment Yellow-1、-2、-3、-12、-13、-14、-16、-17、-73、-74、-75、-83、-93、-95、-97、-98、-114、-128、-129、-138、-151、-154、および-180を挙げることができるが、本明細書に記載の実施形態は、これに限定されるものではない。一実施形態では、顔料が着色剤として使用される場合、顔料と共に顔料分散剤が好ましくは使用される。使用可能な顔料分散剤の例としては、高分子分散剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤などが挙げられるだろう。
【0040】
これらの実施形態は、1つ以上の実施について説明してきたが、添付の特許請求の範囲の精神および範囲から逸脱することなく、示されている実施例に対し、変更および/または改変を行ってもよい。それに加え、実施形態の具体的な特徴が、いくつかの実施の1つのみに関して開示されていてもよいが、このような特徴を、所望であり得る他の実施の1つ以上の他の特徴および任意の所与の機能または具体的な機能の利点と組み合わせてもよい。
【0041】
さらに、「~を含む(including)」、「含む(includes)」、「~を有する(having)」、「有する(has)」、「伴う(with)」という用語またはこれらの変形語をいずれかの詳細な記載および特許請求の範囲に使用する程度まで、このような用語は、「~を含む(comprising)」という語句と同様の様式で包括的であることを意図している。本明細書で使用されるように、「1つ以上」との句、例えば、A、BおよびCとは、A、BまたはCのいずれか単独、またはAとB、BとCおよびAとCのような2つの組合せ、またはA、B、C、3つの組合せのいずれかを意味する。

図1A
図1B
図2A
図2B
図3