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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-21
(45)【発行日】2023-09-29
(54)【発明の名称】巻回体の収容箱及び収容装置
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/72 20060101AFI20230922BHJP
   B65D 25/52 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
B65D5/72 A
B65D25/52 C
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019151033
(22)【出願日】2019-08-21
(65)【公開番号】P2021031084
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-05-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】礒田 奈央子
(72)【発明者】
【氏名】河村 篤志
【審査官】田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-265032(JP,A)
【文献】実開平03-097020(JP,U)
【文献】特開平09-012036(JP,A)
【文献】特開平08-072891(JP,A)
【文献】実開昭58-192223(JP,U)
【文献】特開2015-040075(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/72
B65D 25/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムが巻回された巻回体を収容可能で、前板、底板、後板及び側板を有し、上面が開口した収容部と、
前記収容部の上面の開口を開閉可能な蓋部と、を備えた収容箱であって
前記蓋部は、
前記収容部の後板に接続され、前記蓋部の閉時に前記収容部の上面に覆う蓋板と、
前記蓋板に接続され、前記蓋部の閉時に前記前板を覆う掩蓋片と、
前記掩蓋片の先端部に設けられ、前記フィルムを切断可能な切断部と、を有し、
前記蓋板と前記掩蓋片との接続部分には角部が形成され、
前記角部には、前記収容箱を展開したときに、展開表面に対して突出する凸条部が形成され、
前記凸条部の両側には、前記凸条部に連続して内側に凹んだ両側凹条部が形成されている、巻回体の収容箱。
【請求項2】
前記凸条部は、収容箱の長手方向に直角の面で切断した縦断面において、前記蓋部の閉時の前記掩蓋片の表面の平坦面を上方に延長した仮想延長線よりも前方に突出している、請求項1に記載の巻回体の収容箱。
【請求項3】
前記凸条部は、収容箱の長手方向に直角の面で切断した縦断面において、前記蓋部の閉時の前記蓋板の表面の平坦面を前方に延長した仮想延長線よりも上に突出する、請求項1又は2に記載の巻回体の収容箱。
【請求項4】
前記凸条部は、収容箱の長手方向に直角の面で切断した縦断面において、円弧状の外表面を有する、請求項1~3に記載の巻回体の収容箱。
【請求項5】
前記掩蓋片には、凹条部が収容箱の長手方向に沿って形成されている、請求項1~4のいずれかに記載の巻回体の収容箱。
【請求項6】
前記凹条部は、収容箱の長手方向の中央に形成されている、請求項5に記載の巻回体の収容箱。
【請求項7】
前記掩蓋片における前記凸条部と前記凹条部の間には、平坦面が形成されている、請求項5又は6に記載の巻回体の収容箱。
【請求項8】
前記凸条部は、収容箱の長手方向の両端に亘り形成されている、請求項1~7のいずれかに記載の巻回体の収容箱。
【請求項9】
フィルムが巻回された巻回体を収容可能で、前板、底板、後板及び側板を有し、上面が開口した収容部と、
前記収容部の上面の開口を開閉可能な蓋部と、を備えた収容箱であって
前記蓋部は、
前記収容部の後板に接続され、前記蓋部の閉時に前記収容部の上面に覆う蓋板と、
前記蓋板に接続され、前記蓋部の閉時に前記前板を覆う掩蓋片と、
前記掩蓋片の先端部に設けられ、前記フィルムを切断可能な切断部と、を有し、
前記蓋板と前記掩蓋片との接続部分には角部が形成され、
前記角部には、前記収容箱を展開したときに、展開表面に対して陥没する凹条部が形成されており、
前記掩蓋片には、前記収容箱を展開したときに、展開表面に対して突出する凸条部が形成され、
前記蓋板には、前記収容箱を展開したときに、展開表面に対して突出する第2の凸条部が形成され、
前記凸条部及び前記第2の凸条部は、収容箱の長手方向の両端に亘り形成されている、巻回体の収容箱。
【請求項10】
前記凸条部は、収容箱の長手方向に直角の面で切断した縦断面において、前記蓋部の閉時の前記掩蓋片の表面の平坦面を上方に延長した仮想延長線よりも前方に突出している、請求項9に記載の巻回体の収容箱。
【請求項11】
前記第2の凸条部は、収容箱の長手方向に直角の面で切断した縦断面において、前記蓋部の閉時の前記蓋板の表面の平坦面を前方に延長した仮想延長線よりも上に突出している、請求項9又は10に記載の巻回体の収容箱。
【請求項12】
前記掩蓋片には、第2の凹条部が収容箱の長手方向に沿って形成されている、請求項9~11のいずれかに記載の巻回体の収容箱。
【請求項13】
前記凸条部、前記第2の凸条部、前記凹条部又は前記第2の凹条部の少なくともいずれかは、収容箱の長手方向に直角の面で切断した縦断面において、円弧状の外表面を有する、請求項12に記載の巻回体の収容箱。
【請求項14】
前記第2の凹条部は、収容箱の長手方向の中央に形成されている、請求項12又は13に記載の巻回体の収容箱。
【請求項15】
前記掩蓋片における前記凸条部と前記第2の凹条部との間には、平坦面が形成されている、請求項12~14のいずれかに記載の巻回体の収容箱。
【請求項16】
請求項1~15のいずれかに記載の収容箱に前記巻回体が収容された収容装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、フィルムが巻回された巻回体の収容箱、及び収容装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ラップフィルムを巻回した巻回体の収容箱は、一般的に細長い略直方体の外形を有する(特許文献1参照)。この巻回体の収容箱は、巻回体を収容可能で上面が開口した収容部と、収容部に接続され、収容部の上面の開口を開閉する蓋部を有している。収容部は、例えば前板、底板、後板及び側板で構成され、蓋部は、収容部の後板に接続された蓋板と、蓋板に接続された掩蓋片と、掩蓋片の先端部に設けられた切断刃等で構成されている。ユーザが収容箱のフィルムを使用する際には、ユーザが蓋部を閉じた状態で収容箱を保持し、掩蓋片と前板の間からフィルムを引き出し、掩蓋片の切断刃でフィルムを所望の長さに切っている。
【0003】
ところで、ユーザが収容箱の蓋部を開閉しやすくするために、前板や蓋板に凹陥部を設ける技術がある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平9-12036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の技術では、ユーザが収容箱の蓋部を開閉する際に、親指を前板や蓋板の凹陥部に入れる動作が必要であり、動作が増えるため煩わしい。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、簡単な動作で蓋部を開閉することができる巻回体の収容箱及び収容装置を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、巻回体の収容箱の前板と蓋板との間の角部に凸条部を設けることで上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明の態様は以下を含む。
【0008】
(1)フィルムが巻回された巻回体を収容可能で、前板、底板、後板及び側板を有し、上面が開口した収容部と、前記収容部の上面の開口を開閉可能な蓋部と、を備え、前記蓋部は、前記収容部の後板に接続され、前記蓋部の閉時に前記収容部の上面に覆う蓋板と、前記蓋板に接続され、前記蓋部の閉時に前記前板を覆う掩蓋片と、前記掩蓋片の先端部に設けられ、前記フィルムを切断可能な切断部と、を有し、前記蓋板と前記掩蓋片との接続部分には角部が形成され、前記角部には、前記収容箱を展開したときに、展開表面に対して突出する凸条部が形成されている、巻回体の収容箱。
(2)前記凸条部は、収容箱の長手方向に直角の面で切断した縦断面において、前記蓋部の閉時の前記掩蓋片の表面の平坦面を上方に延長した仮想延長線よりも前方に突出している、(1)に記載の巻回体の収容箱。
(3)前記凸条部は、収容箱の長手方向に直角の面で切断した縦断面において、前記蓋部の閉時の前記蓋板の表面の平坦面を前方に延長した仮想延長線よりも上に突出する、(1)又は(2)に記載の巻回体の収容箱。
(4)前記凸条部は、収容箱の長手方向に直角の面で切断した縦断面において、円弧状の外表面を有する、(1)~(3)に記載の巻回体の収容箱。
(5)前記掩蓋片には、凹条部が収容箱の長手方向に沿って形成されている、(1)~(4)のいずれかに記載の巻回体の収容箱。
(6)前記凹条部は、収容箱の長手方向の中央に形成されている、(5)に記載の巻回体の収容箱。
(7)前記掩蓋片における前記凸条部と前記凹条部の間には、平坦面が形成されている、(5)又は(6)のいずれか一項に記載の巻回体の収容箱。
(8)前記凸条部は、収容箱の長手方向の両端に亘り形成されている、(1)~(7)のいずれかに記載の巻回体の収容箱。
(9)フィルムが巻回された巻回体を収容可能で、前板、底板、後板及び側板を有し、上面が開口した収容部と、前記収容部の上面の開口を開閉可能な蓋部と、を備え、前記蓋部は、前記収容部の後板に接続され、前記蓋部の閉時に前記収容部の上面に覆う蓋板と、前記蓋板に接続され、前記蓋部の閉時に前記前板を覆う掩蓋片と、前記掩蓋片の先端部に設けられ、前記フィルムを切断可能な切断部と、を有し、前記蓋板と前記掩蓋片との接続部分には角部が形成され、前記角部には、前記収容箱を展開したときに、展開表面に対して陥没する凹条部が形成されており、前記掩蓋片には、前記収容箱を展開したときに、展開表面に対して突出する凸条部が形成されている、巻回体の収容箱。
(10)前記凸条部は、収容箱の長手方向に直角の面で切断した縦断面において、前記蓋部の閉時の前記掩蓋片の表面の平坦面を上方に延長した仮想延長線よりも前方に突出している、(9)に記載の巻回体の収容箱。
(11)前記蓋板には、前記収容箱を展開したときに、展開表面に対して突出する第2の凸条部が形成されている、(9)又は(10)に記載の巻回体の収容箱。
(12)前記第2の凸条部は、収容箱の長手方向に直角の面で切断した縦断面において、前記蓋部の閉時の前記蓋板の表面の平坦面を前方に延長した仮想延長線よりも上に突出している、(11)に記載の巻回体の収容箱。
(13)前記凸条部及び前記第2の凸条部は、収容箱の長手方向の両端に亘り形成されている、(11)又は(12)に記載の巻回体の収容箱。
(14)前記掩蓋片には、第2の凹条部が収容箱の長手方向に沿って形成されている、(9)~(13)のいずれかに記載の巻回体の収容箱。
(15)前記凸条部、前記第2の凸条部、前記凹条部又は前記第2の凹条部の少なくともいずれかは、収容箱の長手方向に直角の面で切断した縦断面において、円弧状の外表面を有する、(14)に記載の巻回体の収容箱。
(16)前記第2の凹条部は、収容箱の長手方向の中央に形成されている、(14)又は(15)に記載の巻回体の収容箱。
(17)前記掩蓋片における前記凸条部と前記第2の凹条部との間には、平坦面が形成されている、(14)~(16)のいずれかに記載の巻回体の収容箱。
(18)(1)~(17)のいずれかに記載の収容箱に前記巻回体が収容された収容装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、簡単な動作で蓋部を開閉することができる巻回体の収容箱及び収容装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】収容装置の構成の一例を示す斜視図である。
図2】蓋部を開放したときの収容装置を示す斜視図である。
図3】巻回体と収容箱の構成を示す斜視図である。
図4】収容箱を展開した表面側の展開図である。
図5】蓋板と掩蓋片の間の角部付近の拡大斜視図である。
図6】蓋部の縦断面を示す説明図である。
図7】使用時の収容箱を示す斜視図である。
図8】他の態様の蓋部の縦断面を示す説明図である。
図9】他の構成例の収容箱の展開平面の部分断面図である。
図10】他の構成例の蓋部の縦断面を示す説明図である。
図11】他の構成例の収容装置を示す斜視図である。
図12】他の構成例の収容箱を展開した表面側の展開図である。
図13】他の構成例の蓋板と掩蓋片の間の角部付近の拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態について説明する。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0012】
図1は、本実施の形態にかかる収容装置1の一例を示す斜視図である。図2は、収容装置1を開封した状態の斜視図である。図3は、収容装置1の収容箱10と巻回体11を示す斜視図である。なお、本明細書において、収容装置1の構成における「上」、「下」は、図1及び図2に示す収容装置1の姿勢、すなわち収容装置1の後述の底板31を下にし、蓋板40を上にしたときの姿勢を基準にする。また、収容装置1の前板30側を「前」、後板32側を「後ろ」とし、収容箱10の長手方向Xを「左右方向X」ともいい、収容箱10の短辺方向で長手方向Xに直交する方向を「前後方向Y」とする。
【0013】
図2及び図3に示すように収容装置1は、収容箱10と、フィルムFの巻回体11を有している。
【0014】
収容箱10は、全体が例えば細長い直方体形状を有している。収容箱10は、収容部20と蓋部21を有している。収容箱10を構成する原紙は、例えばボール紙、コートボール紙、段ボール等であってよいし、これらに限定されず、当業界で公知の紙類を適宜選択して用いてもよい。原紙は、これらの素材に、エンボス加工、疑似エンボス加工、印刷加工、ポリエチレン等を用いたラミネート加工等が施されたものであってもよい。
【0015】
図4は、収容箱10を展開したときの収容箱10の表面を示す展開図である。収容部20は、例えば図4の展開図において前板30と、底板31と、後板32と、前板脇片33と、側板34と、後板脇片35、裏板36及び裏板脇片37等を有している。
【0016】
裏板36、前板30、底板31及び後板32は、長方形状を有し、前後方向Yにこの順番で互いに接続されている。前板脇片33は、方形状を有し、前板30の左右方向Xの両端に接続されている。側板34は、方形状を有し、底板31の左右方向Xの両端に接続されている。後板脇片35は、方形状を有し、後板32の左右方向Xの両端に接続されている。裏板脇片37は、裏板36の左右方向Xの両端に接続されている。
【0017】
前板30には、左右方向Xの両端部に亘り波形の切り込み30aが形成されている。裏板36には、裏板36と前板30との接続線(折り線)に接続される切り込み36aが形成されている。
【0018】
収容部20は、図3に示すように上面が開口した直方体状に形成されている。前板30、底板31、後板32及び側板34は、収容部20の上面以外の5つの壁面を構成している。裏板36は、前板30の裏面に折り返されて前板30の裏面に接着されている。前板30の切り込み30aよりも上部は、下部と離れて前方側に浮き上がっている。裏板36の切り込み36aよりも上部は、下部と離れて後方側に浮き上がっている。後板脇片35は、側板34の内側に折り返されて、側板34の内面を覆っている。前板脇片33及び裏板脇片37は、側板34の内面に折り返されて後板脇片35と側板34との間に介在されている。
【0019】
蓋部21は、図4の展開図において蓋板40と、掩蓋片41と、蓋板脇片42と、掩蓋脇片43及び開封片44等を有している。
【0020】
蓋板40及び掩蓋片41は、長方形状を有し、前後方向Yに互いに接続されている。蓋板40は、後板32に接続されている。蓋板脇片42は、方形状を有し、蓋板40の左右方向Xの両端に接続されている。掩蓋脇片43は、方形状を有し、掩蓋片41の左右方向Xの両端に接続されている。開封片44は、帯状に形成され、掩蓋片41の先端部に切り取り可能に接続されている。掩蓋片41と開封片44の接続線(切り取り線)P1は、左右方向Xの中央が開封片44側に凸に湾曲し、その両側が掩蓋片41側に凸に湾曲している。すなわち、掩蓋片41と開封片44の接続線P1は、略M字状に形成されている。
【0021】
蓋部21の蓋板40は、図3に示すように後板32の上端部に接続され、図1に示すように蓋部21の閉鎖時に収容部20の上面を覆う。掩蓋片41は、蓋板40の前端部に接続され、蓋部21の閉鎖時に前板30を覆う。掩蓋片41は、前板30よりも上下幅が小さく、前板30の上部領域を覆う。図3に示すように掩蓋脇片43は、蓋板脇片42の内側に折り返されて、蓋板脇片42の内面を覆っている。
【0022】
掩蓋片41の先端部には、収容部20内の巻回体11から引き出されたフィルムFを切断する切断部としての切断刃50が設けられている。
【0023】
切断刃50は、例えば鋸刃状に形成されている。切断刃50は、例えば金属、樹脂等の薄い板形状を有し、掩蓋片41の先端部の裏面に張り付けられている。切断刃50は、例えば掩蓋片41の下端部(切り取り線P1)の形状に沿った略M字形状を有している。すなわち、切断刃50は、長手方向Xの中央が下に凸に湾曲し、その両側が上に凸に湾曲している。
【0024】
図1に示すように蓋板40と掩蓋片41の接続部分には角部70が形成されている。角部70には、収容箱10の長手方向Xの両端に亘って、収容箱10の外側に突出する凸条部80が形成されている。
【0025】
凸条部80は、図4に示すように収容箱10を展開したときの展開表面に対し収容箱10の外側(図4の紙面手前側)に突出している。より具体的に凸条部80は、収容箱10の展開平面の蓋板40表面及び掩蓋片41よりも収容箱外側方向へ突出している。原紙の厚みをTとすると、突出量は0.1mm以上T以下、好ましくは0.15mm以上T×0.7以下であることが好ましい。このように形成することで、指をひっかけやすく、凸条部80の近傍の強度を維持することができる。
【0026】
図5に示すように凸条部80は、外側に円弧状に突出している。すなわち、図6に示すように凸条部80は、収容箱10の長手方向Xに直角の面で切断した縦断面において、円弧状の外表面80aを有している。凸条部80は、蓋板40の表面の平坦面40aを前方に延長した蓋板表面の仮想延長線T1よりも上に突出し、掩蓋片41の表面の平坦面41aを上方に延長した掩蓋片表面の仮想延長線T2よりも前方に突出している。
【0027】
凸条部80の長手方向Xにおける長さL1は、例えば1mm以上、好ましくは3mm以上に設定されている。長さL1を1mm以上とすることで指をひっかけやすくなる。また、凸条部80を角部70に形成することで、角部70の強度が維持できるため、凸条部80は長手方向Xの両端にわたって形成されているのが好ましい。
【0028】
図1に示すように掩蓋片41における凸条部80の下方の位置には、内側に凹んだ凹条部90が形成されている。凹条部90は、収容箱10の長手方向Xに沿って、収容箱10の長手方向Xの中央部に形成されている。凹条部90の長手方向Xにおける長さL2は、収容箱10の長手方向Xにおける幅をWとすると、例えば1mm≦L2≦W×0.4、好ましくは3mm≦L2≦W×0.2に設定されている。長さL2を1mm以上とすることで、凹条部90に指をひっかけやすくなる。長さL2をW×0.4以下とすることで、掩蓋片41の強度を維持することができる。
【0029】
図5に示すように凹条部90は、内側に円弧状に凹んでいる。すなわち、図6に示すように凹条部90は、収容箱10の長手方向Xに直角の面で切断した縦断面において、円弧状の外表面90aを有している。例えば凹条部90の外表面90aの円弧半径は、凸条部80の外表面80aの円弧半径よりも小さい。凹条部90の上下方向の幅D1は、例えば 0.5mm以上5mm以下、好ましくは1mm以上3mm以下に設定されている。このように設定することで、凹条部90に指をひっかけやすくなる。なお、凹条部90は、図5及び図6よりも上下幅が広いものであってもよい。この場合、凹条部90は、掩蓋片41の上下方向の幅(凸条部80の下端から掩蓋片41の下端までの幅)以下、好ましくは掩蓋片41の上下方向の幅×0.8以下であってもよい。
【0030】
掩蓋片41における凸条部80と凹条部90の間には、平坦面100が形成されている。平担面100の上下方向の幅(凸条部80と凹条部90の距離)D2は、例えば1mm以上20mm以下、好ましくは2mm以上15mm以下に設定されている。このように設定することで、指が凸条部80と平坦面100と凹条部90の全てに接触し、指をひっかけやすくなる。
【0031】
図3に示すように巻回体11は、例えば円筒状の紙製の芯管110を有し、その芯管110にフィルムFが巻かれて構成されている。芯管110は、例えば収容箱10内部の長手方向Xの長さと同程度の100mm以上の長さを有し、25mm~40mm程度の直径を有している。
【0032】
収容装置1の収容箱10は、製造当初、図1に示すように掩蓋片41の先端に接続された開封片44によって封止されている。収容装置1の使用時に開封片44が切り取り線に沿って切り取られることで、図2に示すように蓋部21が開閉自在となり、切断刃50が掩蓋片41の先端部に露出する。
【0033】
収容装置1の使用時には、ユーザが片手で収容箱10を上から保持する。具体的には、図7に示すようにユーザの手の平が主に蓋板40と後板32とを覆い、第1指(親指)が掩蓋片41に掛けられ、他の四本の指が底板31に掛けられる。ユーザは、収容箱10を保持し、掩蓋片41を第1指で押さえながら、掩蓋片41と前板30との間からフィルムFを引き出し、切断刃50によりフィルムFを所望の長さで切断する。
【0034】
蓋部21を開く際には、ユーザは、例えば第1指を掩蓋片41の平坦面41aに沿って角部70側にスライドさせ、凸条部80に引っ掛ける。このとき、第1指は、凹条部90にも引っかかる。そして、第1指で蓋部21を開く方向に押すことにより蓋部21を開く。また蓋部21を閉じる際には、ユーザは、例えば第1指を蓋板40の上に置き、第1指を蓋板40の平坦面40aに沿って角部70側にスライドさせ、凸条部80に引っ掛ける。そして、第1指で蓋部21を閉める方向に押すことにより蓋部21を閉める。
【0035】
本実施の形態によれば、蓋板40と掩蓋片41の間の角部70に外側に突出する凸条部80が形成されているので、蓋板40又は掩蓋片41上で指をスライドさせるだけで凸条部80に引っ掛けることができ、この結果、簡単な動作で蓋部21を開閉することができる。また、凸条部80が形成されていることにより、角部70の強度を確保することができる。
【0036】
凸条部80は、収容箱10の長手方向Xに直角の面で切断した縦断面において、円弧状の外表面80aを有しているので、凸条部80に指が引っ掛かりやすい。
【0037】
凸条部80は、収容箱10の長手方向Xに直角の面で切断した縦断面において、蓋板40の表面の平坦面40aを前方に延長した蓋板表面の仮想延長線T1よりも上に突出し、掩蓋片41の表面の平坦面41aを上方に延長した掩蓋片表面の仮想延長線T2よりも前方に突出している。この結果、指が凸条部80にさらに引っ掛かりやすくなり、簡単に蓋部21を開閉することができる。また、凸条部80が前方にも上方にも突出していることで、突出量が少なくとも確実に指をひっかけることができるため、収容箱10の保管場所への収納性を維持しつつ、蓋部21の開閉しやすさを担保することができる。
【0038】
掩蓋片41における凸条部80の下方の位置には、内側に凹んだ凹条部90が収容箱10の長手方向Xに沿って形成されている。この場合、例えば凸条部80と凹条部90の両方に指を掛けて蓋部21を確実に開閉することができる。
【0039】
凹条部90は、収容箱10の長手方向Xの中央に形成されている。掩蓋片41の長手方向Xの中央は、フィルムFを切断する際に切断刃50を押さえるために第1指が最も置かれる位置であり、この位置に凹条部90を形成することにより、好適に、蓋部21の開閉動作を簡単にすることができる。
【0040】
掩蓋片41における凸条部80と凹条部90の間には、平坦面100が形成されている。これにより、凸条部80と凹条部90の間に、指と掩蓋片41が接触する領域が確保され、指と掩蓋片41の十分な接触面積が確保されるため、蓋部21の開閉を簡単に行うことができる。
【0041】
凸条部80は、収容箱10の長手方向Xの両端に亘り形成されているので、収容箱10のどの位置を保持していても、指をスライドさせるだけで凸条部80に引っ掛けることができる。このため、より確実に、蓋部21の開閉動作を簡単にすることができる。また、凸条部80が収容箱10の両端に亘り形成されているため、角部70の強度を維持することができる。
【0042】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0043】
例えば凸条部80は、収容箱10の長手方向Xの両端に亘り形成されていたが、一部にのみ形成されていてもよい。凹条部90は、収容箱10の左右方向Xの中央に形成されていたが、他の部分に形成されていてもよいし、収容箱10の長手方向Xの両端に亘り形成されていてもよい。凹条部90はなくてもよい。また、収容箱10は、他の構成や形状を有するものであってもよい。例えば切断刃50は、直線状など他の形状を有するものであってもよい。例えば収容箱10の裏板36はなくてもよい。フィルムFは、食品包装用のラップフィルムに限られず、アルミホイル、クッキングシート等であってもよい。
【0044】
さらに、上記実施の形態において、図8に示すように凸条部80の両側(蓋板40側と掩蓋片41側)には、内側に凹んだ凹条部100が形成されていてもよい。凹条部100は、凸条部80と平行に凸条部80と同じ長さで形成されていてもよい。
【0045】
以上の実施の形態において、角部70には、図9に示すように収容箱10を展開したときに、展開表面に対して陥没する凹条部120が形成され、掩蓋片41には、収容箱10を展開したときに、展開表面に対して突出する凸条部121が形成され、蓋板40には、収容箱10を展開したときに、展開表面に対して突出する第2の凸条部122が形成されていてもよい。なお、本実施の形態の収容箱10は、特に言及しない限り、上記図1図7に示した実施の形態と同様であり、同じ符号を用いて説明を省略する。
【0046】
かかる場合、図10に示すように収容箱10の長手方向に直角の面で切断した縦断面において、凸条部121は、蓋部21の閉時の掩蓋片41の表面の平坦面41aを上方に延長した仮想延長線T2よりも前方に突出していてもよい。第2の凸条部122は、蓋部21の閉時の蓋板40の表面の平坦面40aを前方に延長した仮想延長線T1よりも上に突出していてもよい。
【0047】
さらに、凸条部121、第2の凸条部122及び凹条部120は、図11図12及び図13に示すように収容箱10の長手方向Xの両端に亘り形成されていてもよい。
【0048】
かかる例において、掩蓋片41には、第2の凹条部123が収容箱10の長手方向Xに沿って形成されていてもよい。第2の凹条部123は、収容箱10の長手方向Xの中央に形成されていてもよい。
【0049】
図10に示したように凸条部121、第2の凸条部122、凹条部120及び第2の凹条部123は、収容箱10の長手方向Xに直角の面で切断した縦断面において、円弧状の外表面を有していてもよい。
【0050】
図10に示すように掩蓋片41における凸条部121と第2の凹条部123との間には、平坦面130が形成されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、簡単な動作で蓋部を開閉することができる巻回体の収容箱を提供する際に有用である。
【符号の説明】
【0052】
1 収容装置
10 収容箱
11 巻回体
20 収容部
21 蓋部
30 前板
31 底板
32 後板
34 側板
40 蓋板
41 掩蓋片
50 切断刃
70 角部
80 凸条部
90 凹条部
110 芯管
F フィルム
図1
図2
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図5
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図8
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図10
図11
図12
図13