(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-21
(45)【発行日】2023-09-29
(54)【発明の名称】蓄電池ユニット及び人型ロボット
(51)【国際特許分類】
B25J 19/00 20060101AFI20230922BHJP
【FI】
B25J19/00 F
(21)【出願番号】P 2019159762
(22)【出願日】2019-09-02
【審査請求日】2022-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】掃部 雅幸
(72)【発明者】
【氏名】柚木崎 創
(72)【発明者】
【氏名】烏山 純一
(72)【発明者】
【氏名】田中 佑樹
【審査官】仁木 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-120188(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 - 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人型ロボットの胴体
の周囲に互いから分離し且つ分散して配置される
複数の蓄電池モジュールと、
前記複数の蓄電池モジュール
を互いに連結するベースとを備え、
前記複数の蓄電池モジュールのうちの少なくとも2つは、前記胴体の左右方向に分散して配置され、
前記ベースは、前記
複数の蓄電池モジュー
ルと共に前記胴体に着脱可能に取り付けられるように構成される
蓄電池ユニット。
【請求項2】
前記
複数の蓄電池モジュー
ルは、前記胴体を囲むように配置される
請求項1に記載の蓄電池ユニット。
【請求項3】
前記
複数の蓄電池モジュール
のうちの少なくとも2つは、前記胴体の
左右の側部に配置される
請求項1または2に記載の蓄電池ユニット。
【請求項4】
前記複数
の蓄電池モジュール
のうちの少なくとも1つは、前記胴体の上
部に配置される
請求項1
~3のいずれか一項に記載の蓄電池ユニット。
【請求項5】
前記ベースは、前記
複数の蓄電池モジュールを
着脱可能に収容する
複数の収容
部を含む
請求項1~4のいずれか一項に記載の蓄電池ユニット。
【請求項6】
前記ベースは、前記複数の蓄電池モジュールを前記複数の収容部に着脱可能に固定する複数の固定部を含む
請求項5に記載の蓄電池ユニット。
【請求項7】
前記蓄電池ユニットが前記胴体に取り付けられた状態において、前記
複数の収容
部は、前記胴体の外方からの前
記蓄電池モジュー
ルの収容及び取り外しが可能であるように、前記胴体から外方に向かって開放するように配置される
請求項5
または6に記載の蓄電池ユニット。
【請求項8】
前記ベースは、前記胴体に着脱可能に嵌合する嵌合部を含む
請求項1~
7のいずれか一項に記載の蓄電池ユニット。
【請求項9】
請求項1~
8のいずれか一項に記載の蓄電池ユニットと、
前記胴体とを備える
人型ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電池ユニット及び人型ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電源として蓄電池を搭載し且つ二足歩行する人型ロボットが知られている。例えば、特許文献1は、上部胴体の背部に蓄電池を搭載する二足歩行ロボットを開示している。特許文献1では、蓄電池の外形のコンパクト化のために、蓄電池は、中央の小容量の蓄電池モジュールと、小容量の蓄電池モジュールの左右両側の大容量の蓄電池モジュールとで構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の二足歩行ロボットのように、ロボットの動力用の蓄電池がロボットの背部に配置される場合、重い蓄電池が背部から大きく突出する。このため、蓄電池を搭載したロボットの重心の位置は、ロボットの上下方向の中心軸から大きく後方へ偏る。よって、ロボットの姿勢のバランス制御が複雑且つ困難になる。
【0005】
そこで、本発明は、人型ロボットの重心位置の偏りを低減する蓄電池ユニット及び人型ロボットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る蓄電池ユニットは、人型ロボットの胴体の前部及び背部の少なくとも一方に配置される第1蓄電池モジュールと、前記胴体の前後方向と交差する方向での前記胴体の周囲に配置される第2蓄電池モジュールと、前記第1蓄電池モジュール及び前記第2蓄電池モジュールを連結するベースとを備え、前記ベースは、前記第1蓄電池モジュール及び前記第2蓄電池モジュールと共に前記胴体に着脱可能に取り付けられるように構成される。
【0007】
本発明の一態様に係る人型ロボットは、本発明の一態様に係る蓄電池ユニットと、前記胴体とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、人型ロボットの重心位置の偏りを低減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態に係る人型ロボットの一例を前部から見た斜視図
【
図2】実施の形態に係る人型ロボットの頭部から下胴体部までの構成の一例を背部から見た斜視図
【
図3】実施の形態に係る人型ロボットにおける外装体が取り外された状態の胴体の一例を背部から見た斜視図
【
図4】実施の形態に係る人型ロボットにおける外装体が取り外された状態の胴体の一例を背部から見た斜視図
【
図5】実施の形態に係る人型ロボットにおける外装体が取り外された状態の胴体の一例を側方から見た側面図
【
図6】
図3において蓄電池ユニットが取り外された状態の胴体の一例を示す斜視図
【
図7】実施の形態に係る蓄電池ユニットの構成の一例を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下において、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、添付の図面における各図は、模式的な図であり、必ずしも厳密に図示されたものでない。さらに、各図において、実質的に同一の構成要素に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。また、本明細書及び特許請求の範囲では、「装置」とは、1つの装置を意味し得るだけでなく、複数の装置からなるシステムも意味し得る。
【0011】
<人型ロボットの構成>
図1は、実施の形態に係る人型ロボット1の一例を前部から見た斜視図である。
図2は、実施の形態に係る人型ロボット1の頭部10から下胴体部40までの構成の一例を背部から見た斜視図である。
図1及び
図2に示すように、実施の形態に係る人型ロボット1は、頭部10、首部20、上胴体部30、下胴体部40、腕部50及び脚部60を有する。人型ロボット1は、ヒューマノイド又は二足歩行ロボット等とも呼ばれ、脚部60の駆動を制御することで二足歩行を行うことができるように構成されている。さらに、人型ロボット1は、腕部50及び脚部60を駆動させ、腕部50の先端の手部及び脚部60の先端の足部を移動させることで、人間と同様に作業等の動作を行うことができる。
【0012】
腕部50及び脚部60は、複数のリンクと、複数のリンクを屈曲可能に接続する関節とを有する。隣り合うリンクが関節を介して互いに対して屈曲することで、腕部50及び脚部60が屈曲動作する。上胴体部30と下胴体部40とは、関節70を介して屈曲可能に接続されている。上胴体部30は、下胴体部40に対して前屈動作、後屈動作及び左右の旋回動作をすることができる。下胴体部40は人間の骨盤に対応し、関節70は人間の腰に対応し得る。駆動装置が各関節に設けられ、当該関節の屈曲動作及び旋回動作を駆動する。駆動装置は、サーボモータなどの電気モータ及びアクチュエータ等の駆動源を有する。駆動装置は、その動作の制御を受けることで、リンクを所望の屈曲方向及び屈曲角度で屈曲させる、又は上胴体部30を所望の屈曲方向、屈曲角度、旋回方向及び旋回角度で屈曲及び旋回させる。
【0013】
上胴体部30は外装体31で覆われている。例えば、外装体31は板状のカバーである。なお、
図2では、外装体31は、その一部が切り欠かれた状態で描かれている。人型ロボット1は、外装体31の内側の上胴体部30に、蓄電池ユニット100を備えている。蓄電池ユニット100は、電力を蓄積し、人型ロボット1の駆動装置等の電力を動力源とする装置に電力を供給する。蓄電池ユニット100は、人型ロボット1の外部の電源と接続されることで電力の供給を受け、当該電力を蓄積する。
【0014】
<蓄電池ユニットの構成>
蓄電池ユニット100の構成を説明する。
図3及び
図4は、実施の形態に係る人型ロボット1における外装体31が取り外された状態の上胴体部30の一例を背部から見た斜視図である。
図5は、実施の形態に係る人型ロボット1における外装体31が取り外された状態の上胴体部30の一例を側方から見た側面図である。
図6は、
図3において蓄電池ユニット100が取り外された状態の上胴体部30の一例を示す斜視図である。
【0015】
図3~
図5に示すように、蓄電池ユニット100は、上胴体部30の背部に着脱可能に取り付けられている。ここで、上胴体部30及び下胴体部40の背部は、人型ロボット1の背中及び臀部に対応し、上胴体部30の後屈方向の部分である。上胴体部30及び下胴体部40の前部は、人型ロボット1の胸部及び腹部に対応する。さらに、直立状態の人型ロボット1を基準として、後屈方向を後方向BDとし、前屈方向を前方向FDとし、前方向FDに対する右側方を右方向RDとし、前方向FDに対する左側方を左方向LDとする。
【0016】
蓄電池ユニット100は、蓄電池モジュール110~130と、ベース140とを備える。蓄電池モジュール110は、上胴体部30の上部に配置される上部蓄電池モジュールである。蓄電池モジュール120は、上胴体部30の背部に配置される背部蓄電池モジュールである。蓄電池モジュール130は、上胴体部30の側部に配置される側部蓄電池モジュールである。ベース140は、蓄電池モジュール110~130を互いに連結し、蓄電池モジュール110~130と共に上胴体部30に着脱可能に取り付けられるように構成される。
【0017】
上部蓄電池モジュール110及び側部蓄電池モジュール130は、上胴体部30の前後方向と交差する方向での上胴体部30の周囲に配置される。例えば、上部蓄電池モジュール110及び側部蓄電池モジュール130は、上胴体部30の前後方向と直交する方向での上胴体部30の周囲に配置される。このような蓄電池モジュール110~130は、上胴体部30を囲むように配置される。背部蓄電池モジュール120は第1蓄電池モジュールの一例であり、上部蓄電池モジュール110及び側部蓄電池モジュール130は第2蓄電池モジュールの一例である。
【0018】
蓄電池モジュール110~130はそれぞれ、1つ以上の蓄電池150を含む。蓄電池モジュール110~130はそれぞれ、一体化された1つ以上の蓄電池150を含んでもよく、分離された1つ以上の蓄電池150を含んでもよい。蓄電池150は、二次電池とも呼ばれ、電力の充放電が可能である電池である。蓄電池150は、鉛蓄電池、リチウムイオン二次電池、ニッケル・水素蓄電池、又はニッケル・カドミウム蓄電池等で構成されてもよい。
【0019】
上部蓄電池モジュール110は、1ペアの上部蓄電池モジュール110a及び110bで構成される。上部蓄電池モジュール110a及び110bはそれぞれ、人型ロボット1の上胴体部30の左右の肩部32a及び32bの上に載るように配置される。以下において、2つの上部蓄電池モジュールを区別する場合、「上部蓄電池モジュール110a」及び「上部蓄電池モジュール110b」という表現が用いられ、区別しない場合、「上部蓄電池モジュール110」という表現が用いられ得る。
【0020】
図3及び
図6に示すように、肩部32a及び32bはそれぞれ、上胴体部30に備えられ、左右の腕部50と上胴体部30との関節部分である。肩部32a及び32bはそれぞれ、腕部50が接続される関節33と、関節33の駆動装置34とを含む。駆動装置34は、サーボモータ34aと減速機34bとを含む。減速機34bは、サーボモータ34aの回転速度を減速し且つ回転駆動力を増加させて、当該回転駆動力を関節33に伝達する。例えば、減速機34bの回転駆動力は、駆動ベルト又はギヤ機構等を介して関節33に伝達されるように構成されてもよい。
【0021】
図3~
図5に示すように、側部蓄電池モジュール130は、1ペアの側部蓄電池モジュール130a及び130bで構成される。側部蓄電池モジュール130a及び130bはそれぞれ、人型ロボット1の上胴体部30の左右の側部に配置される。側部蓄電池モジュール130a及び130bはそれぞれ、肩部32a及び32bの下方に配置される。側部蓄電池モジュール130a及び130bはそれぞれ、上部蓄電池モジュール110a及び110bの下方に配置される。なお、「上方」及び「上方向」は、直立状態の人型ロボット1の脚部60から頭部10に向かう方向であり、「下方」及び「下方向」は、人型ロボット1の上記頭部10から脚部60に向かう方向である。以下において、2つの側部蓄電池モジュールを区別する場合、「側部蓄電池モジュール130a」及び「側部蓄電池モジュール130b」という表現が用いられ、区別しない場合、「側部蓄電池モジュール130」という表現が用いられ得る。
【0022】
1つの背部蓄電池モジュール120が、1ペアの上部蓄電池モジュール110a及び110bの間の位置、且つ、1ペアの側部蓄電池モジュール130a及び130bの間の位置に配置される。本実施の形態では、上部蓄電池モジュール110a及び110bは、背部蓄電池モジュール120を中心として、左方向LD及び右方向RDに均等な位置に配置される。側部蓄電池モジュール130a及び130bは、背部蓄電池モジュール120を中心として、左方向LD及び右方向RDに均等な位置に配置される。
【0023】
図7は、実施の形態に係る蓄電池ユニット100の構成の一例を示す斜視図である。
図7に示すように、ベース140は、フレーム状の部材である。ベース140は、上部蓄電池モジュール110a及び110b、背部蓄電池モジュール120、並びに、側部蓄電池モジュール130a及び130bを着脱可能に搭載する。このようなベース140は、樹脂等の非導電性の材料で構成され得る。
【0024】
ベース140は、上部左収容部141aと、上部左固定部141aaと、上部右収容部141bと、上部右固定部141baと、背部収容部142と、背部固定部142aと、側部左収容部143aと、側部左固定部143aaと、側部右収容部143bと、側部右固定部143baとを含む。背部収容部142は第1収容部の一例であり、背部固定部142aは第1固定部の一例である。上部左収容部141a、上部右収容部141b、側部左収容部143a及び側部右収容部143bは第2収容部の一例である。上部左固定部141aa、上部右固定部141ba、側部左固定部143aa及び側部右固定部143baは第2固定部の一例である。
【0025】
さらに、ベース140は、上部左収容部141a及び側部左収容部143aを連結する第1左収容連結部144aと、上部左収容部141a及び背部収容部142を連結する第2左収容連結部145aと、背部収容部142及び側部左収容部143aを連結する第3左収容連結部146aと、上部右収容部141b及び側部右収容部143bを連結する第1右収容連結部144bと、上部右収容部141b及び背部収容部142を連結する第2右収容連結部145bと、背部収容部142及び側部右収容部143bを連結する第3右収容連結部146bとを含む。
【0026】
本実施の形態では、蓄電池ユニット100が直立状態の上胴体部30に取り付けられた状態で、第1左収容連結部144a、第2左収容連結部145a、第1右収容連結部144b及び第2右収容連結部145bは上下方向に延びるが、これらが延びる方向は上下方向以外の方向であってもよい。第3左収容連結部146a及び第3右収容連結部146bは左右方向に延びるが、これらが延びる方向は左右方向以外の方向であってもよい。
【0027】
収容部141a、141b、142、143a及び143bはそれぞれ、有底矩形筒状、つまり、1つの面で開放された箱状の形状を有し、直方体状の蓄電池モジュール110a、110b、120、130a及び130bを収容する。さらに、収容部141a、141b、142、143a及び143bはそれぞれ、蓄電池ユニット100が上胴体部30に取り付けられた状態において、上胴体部30から外方に向かって開放する。これにより、蓄電池ユニット100が上胴体部30に取り付けられた状態において、上胴体部30の外方から収容部への蓄電池150の収容及び取り外し、つまり交換が可能である。
【0028】
固定部141aa、141ba、142a、143aa及び143baはそれぞれ、収容部141a、141b、142、143a及び143bに配置される。固定部141aa、141ba、142a、143aa及び143baはそれぞれ、収容部141a、141b、142、143a及び143bに収容された蓄電池モジュール110a、110b、120、130a及び130bを当該収容部に固定する。本実施の形態では、固定部141aa、141ba、142a、143aa及び143baはそれぞれ、蓄電池モジュール110a、110b、120、130a及び130bを収容部141a、141b、142、143a及び143bに着脱自在に固定する帯状の面ファスナを含むが、上記固定が可能な構成であればよい。面ファスナの例は、ベルクロ(登録商標)等である。帯状の面ファスナは、蓄電池モジュールの外面上に巻き付けられることで当該蓄電池モジュールを収容部に固定する。
【0029】
本実施の形態では、上部左収容部141aは、1つの蓄電池150を含む上部蓄電池モジュール110aを収容可能である。上部右収容部141bは、1つの蓄電池150を含む上部蓄電池モジュール110bを収容可能である。背部収容部142は、2つの蓄電池150を含む背部蓄電池モジュール120を収容可能である。背部収容部142に収容された2つの蓄電池150は、蓄電池ユニット100が上胴体部30に取り付けられた状態において、後方向BDへ突出しないように、上胴体部30の外装体31に沿って左右方向に並んで配置されている。側部左収容部143aは、2つの蓄電池150を含む側部蓄電池モジュール130aを収容可能である。側部右収容部143bは、2つの蓄電池150を含む側部蓄電池モジュール130bを収容可能である。収容部143a及び143bそれぞれに収容された2つの蓄電池150は、蓄電池ユニット100が上胴体部30に取り付けられた状態において、左方向LD及び右方向RDへ突出しないように、上胴体部30の外装体31に沿って前後方向に並んで配置されている。このような蓄電池ユニット100における上胴体部30に取り付けられた状態の重心は、後方向BDへの偏りが抑えられ且つ下方に偏った位置にある。
【0030】
また、ベース140は、収容連結部144a及び144bに、取付部147a及び147bを含む。取付部147a及び147bはそれぞれ、肩部32a及び32bに着脱可能に嵌合するように構成されている。本実施の形態では、取付部147a及び147bは、前方向FDに開放されたU字状の部材で構成されるが、肩部32a及び32bに着脱可能に固定される構成であればよい。取付部147a及び147bは嵌合部の一例である。
【0031】
取付部147a及び147bはそれぞれ、肩部32a及び32bの駆動装置34に対して後方から前方向FDに向かって嵌めこまれるように構成されている。取付部147a及び147bはそれぞれ、肩部32a及び32bの駆動装置34の外周面に外側から嵌合しつまり外嵌合し、肩部32a及び32bに固定される。本実施の形態では、取付部147a及び147bはそれぞれ、駆動装置34の上下の外周面に嵌合する。さらに、取付部147a及び147bの下部に形成された凹部147cが、駆動装置34の下側の外周面に形成された凸部34c(
図4参照)に係合又は嵌合するように構成されてもよい。これにより、取付部147a及び147bが駆動装置34に対して位置決めされる。さらに、凹部147cと凸部34cとは、スナップ嵌合等により容易に脱嵌合及び脱係合しないように嵌合又は係合するように構成されてもよい。ベース140は、取付部147a及び147bそれぞれを肩部32a及び32bに外嵌合させることで、上胴体部30に上下方向、左右方向及び前後方向に固定される。また、取付部147a及び147bの嵌合は、取付部147a及び147bが後方向BDに引っ張られることで解除され、それにより、ベース140が上胴体部30から取り外される。
【0032】
上述のようなベース140は、各部が一体化されるように連続する1つの部材で構成されてもよく、複数の部材が接続されることで形成されるように構成されてもよい。蓄電池ユニット100は、蓄電池モジュール110a、110b、120、130a及び130bの全てとベース140とを一体化して含む1つのユニットを構成する。蓄電池ユニット100は、上胴体部30に対するベース140の着脱により、蓄電池モジュール110a、110b、120、130a及び130bの全てを一緒に上胴体部30に着脱することを可能にする。さらに、ベース140は、頭部10、首部20、肩部32a及び32b、並びに関節70と干渉しないように、これらの動作領域を避けて蓄電池モジュール110a、110b、120、130a及び130bを配置するように構成されている。
【0033】
また、蓄電池モジュール110a、110b、120、130a及び130bそれぞれからケーブル(図示せず)を介して延びる端子160が、上胴体部30の所定の端子(図示せず)と接続されることで、蓄電池モジュール110a、110b、120、130a及び130bが人型ロボット1と電気的に接続される。本実施の形態では、ベース140に固定された端子160に、上胴体部30の可動な端子が接続されるが、ベース140に対して可動な端子160が上胴体部30の端子に接続されてもよい。
【0034】
なお、端子160に面ファスナ等の留め付け手段が配置されてもよい。そして、各端子160が、留め付け手段を介して固定部141aa、141ba、142a、143aa若しくは143ba又はその他の構成部材に保持されてもよい。これにより、蓄電池ユニット100の上胴体部30への着脱は、端子160及びケーブル(図示せず)等の影響を受けずに円滑に行うことが可能になる。
【0035】
また、
図6に示すように、上胴体部30は、上胴体部30の骨格を構成する骨格フレーム35の内側に電装ユニットボックス36を含む。電装ユニットボックス36は、その内部に、人型ロボット1の各駆動装置等の動作を制御する回路基板等を含む電装ユニットを含む。
【0036】
図3、
図6及び
図7に示すように、上胴体部30に取り付けられた蓄電池ユニット100では、背部蓄電池モジュール120は、電装ユニットボックス36の後方向BDで、背部収容部142を介して電装ユニットボックス36と隣り合う。側部蓄電池モジュール130aは、電装ユニットボックス36の左方向LDで、上部左収容部141aを介して電装ユニットボックス36と隣り合う。側部蓄電池モジュール130bは、電装ユニットボックス36の右方向RDで、上部右収容部141bを介して電装ユニットボックス36と隣り合う。
【0037】
背部蓄電池モジュール120、並びに、側部蓄電池モジュール130a及び130bは、電装ユニットボックス36の防護部材としても機能する。さらに、ベース140が低い熱伝導性の樹脂等で構成されることによって、電装ユニットボックス36と背部蓄電池モジュール120との間での熱伝達が抑制され、電装ユニットボックス36と側部蓄電池モジュール130a及び130bとの間での熱伝達が抑制される。よって、電装ユニットボックス36内の電装ユニットの高温化が抑制される。
【0038】
また、肩部32a及び32bはそれぞれ、左方向LD及び右方向RDに電装ユニットボックス36よりも突出している。側部蓄電池モジュール130a及び130bはそれぞれ、左方向LD及び右方向RDに肩部32a及び32bよりも突出しないように、肩部32a及び32bの下方に収まる。つまり、側部蓄電池モジュール130a及び130bはそれぞれ、上胴体部30における左右の脇腹の窪みに収まる。これにより、側部蓄電池モジュール130a及び130bが左右の腕部50と干渉することが抑制される。
【0039】
<効果等>
上述のような実施の形態に係る蓄電池ユニット100は、人型ロボット1の上胴体部30の前部及び背部の少なくとも一方である背部に配置される背部蓄電池モジュール120と、上胴体部30の前後方向と交差する方向での上胴体部30の周囲に配置される上部蓄電池モジュール110及び側部蓄電池モジュール130と、蓄電池モジュール110~130を互いに連結するベース140とを備え、ベース140は、蓄電池モジュール110~130と共に上胴体部30に着脱可能に取り付けられるように構成される。
【0040】
上記構成によると、蓄電池モジュール110~130は、上胴体部30の周囲に分散して配置される。よって、蓄電池ユニット100を搭載した人型ロボット1において、人型ロボット1の重心位置が人型ロボット1の中心軸からずれて偏る、つまり重心のバランスが偏ることが抑えられ得る。例えば、人型ロボット1の中心軸は、頭部10及び首部20を通り且つ上下方向に延びる軸であってもよく、人型ロボット1が左右に旋回するときの中心軸であってもよい。さらに、蓄電池モジュール110~130は、上胴体部30へのベース140と共に、一括して着脱される。よって、蓄電池モジュール110~130の着脱が容易になる。
【0041】
また、蓄電池モジュール110~130は、上胴体部30を囲むように配置されてもよい。上記構成によると、蓄電池モジュール110~130は、上胴体部30の周囲に分散して配置されることが可能である。
【0042】
また、蓄電池モジュール110及び130は、上胴体部30の上部及び側部に配置されてもよい。上記構成によると、蓄電池モジュール110~130は、上胴体部30の上部、背部及び側部に分散して配置されることができる。
【0043】
また、ベース140は、人型ロボット1の上胴体部30に着脱可能に嵌合する嵌合部としての取付部147a及び147bを含んでもよい。例えば、取付部147a及び147bは、上胴体部30の肩部32a及び32bに嵌合するように構成されてもよい。さらに、取付部147a及び147bは、上部蓄電池モジュール110a及び110bと側部蓄電池モジュール130a及び130bとを連結するベース140の第1収容連結部144a及び144bに配置されてもよい。上記構成によると、ベース140の上胴体部30への着脱が容易になる。
【0044】
また、上部蓄電池モジュール110a及び110bは、上胴体部30の肩部32a及び32bの上に載るように配置されてもよい。なお、肩部32a及び32bは、人型ロボット1の左右の腕部50と上胴体部30との関節部分であってもよい。上記構成によると、上部蓄電池モジュール110a及び110bの上胴体部30への配置が容易になる。さらに、上部蓄電池モジュール110a及び110bは肩部32a及び32bによって下方から安定して支持される。
【0045】
また、ベース140は、上部蓄電池モジュール110a及び110bを収容する上部収容部141a及び141bと、上部蓄電池モジュール110a及び110bを上部収容部141a及び141bに固定する上部固定部141aa及び141baとを含んでもよい。さらに、ベース140は、背部蓄電池モジュール120を収容する背部収容部142と、背部蓄電池モジュール120を背部収容部142に固定する背部固定部142aとを含んでもよい。さらに、ベース140は、側部蓄電池モジュール130a及び130bを収容する側部収容部143a及び143bと、側部蓄電池モジュール130a及び130bを側部収容部143a及び143bに固定する側部固定部143aa及び143baとを含んでもよい。上記構成によると、上部蓄電池モジュール110a及び110b、背部蓄電池モジュール120、並びに、側部蓄電池モジュール130a及び130bをベース140の所定の位置に取り付けることが容易になる。
【0046】
また、蓄電池ユニット100が上胴体部30に取り付けられた状態において、上部収容部141a及び141bはそれぞれ、上胴体部30の外方からの上部蓄電池モジュール110a及び110bの収容及び取り外しが可能であるように、上胴体部30から外方に向かって開放するように配置されてもよい。背部収容部142は、上胴体部30の外方からの背部蓄電池モジュール120の収容及び取り外しが可能であるように、上胴体部30から外方に向かって開放するように配置されてもよい。側部収容部143a及び143bはそれぞれ、上胴体部30の外方からの側部蓄電池モジュール130a及び130bの収容及び取り外しが可能であるように、上胴体部30から外方に向かって開放するように配置されてもよい。上記構成によると、蓄電池ユニット100が上胴体部30に取り付けられた状態での蓄電池モジュールの交換が可能であり、蓄電池モジュールの交換が容易になる。
【0047】
さらに、ベース140は、上部収容部141a及び141bと側部収容部143a及び143bとを連結する第1収容連結部144a及び144bと、上部収容部141a及び141bと背部収容部142とを連結する第2収容連結部145a及び145bと、背部収容部142と側部収容部143a及び143bとを連結する第3収容連結部146a及び146bとを含んでもよい。上記構成によると、各収容部141a、141b、142、143a及び143bが互いに連結されるため、ベース140上における各収容部の位置、つまり、各収容部の相対的な位置を保持することが可能になる。
【0048】
また、固定部141aa、141ba、142a、143aa及び143baは、蓄電池モジュール110a、110b、120、130a及び130bを収容部141a、141b、142、143a及び143bに着脱自在に固定する面ファスナを含んでもよい。上記構成によると、蓄電池モジュール110a、110b、120、130a及び130bの固定及び固定解除のための動作が簡易になる。
【0049】
また、蓄電池ユニット100は、1ペアの上部蓄電池モジュール110a及び110bと、1ペアの側部蓄電池モジュール130a及び130bとを備えてもよい。さらに、上部蓄電池モジュール110a及び110bはそれぞれ、人型ロボット1の左右の肩部32a及び32bの上に載るように配置されてもよい。さらに、側部蓄電池モジュール130a及び130bはそれぞれ、上胴体部30の左右の側部において、人型ロボット1の左右の腕部50と上胴体部30との関節部分の下方に配置されてもよい。さらに、背部蓄電池モジュール120は、1ペアの上部蓄電池モジュール110a及び110bの間の位置、且つ、1ペアの側部蓄電池モジュール130a及び130bの間の位置に配置されてもよい。上記構成によると、上部蓄電池モジュール110a及び110bと、側部蓄電池モジュール130a及び130bと、背部蓄電池モジュール120とを人型ロボット1の中心軸に対して左右方向に均等に配置することが可能になる。よって、人型ロボット1の重心が左右方向で偏った位置になることが抑制される。
【0050】
また、実施の形態に係る人型ロボット1は、蓄電池ユニット100と、上胴体部30とを備える。上記構成によると、実施の形態に係る蓄電池ユニット100と同様の効果が得られる。
【0051】
(その他の実施の形態)
以上、本発明の実施の形態の例について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されない。すなわち、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。例えば、各種変形を実施の形態に施したもの、及び、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0052】
例えば、実施の形態に係る蓄電池ユニット100は、上部蓄電池モジュール110a及び110bと、背部蓄電池モジュール120と、側部蓄電池モジュール130a及び130bとを備えていたが、これに限定されない。例えば、蓄電池ユニット100は、上部蓄電池モジュール110a及び110b、背部蓄電池モジュール120、又は、側部蓄電池モジュール130a及び130bを備えなくてもよい。
【0053】
例えば、蓄電池ユニット100は、上胴体部30の背部に配置される背部蓄電池モジュール120と、上胴体部30の側部に配置される側部蓄電池モジュール130a及び130bとを備えるように構成されてもよい。上記構成によると、蓄電池ユニット100が取り付けられた人型ロボット1の重心位置を下方にすることが可能になる。又は、蓄電池ユニット100は、上部蓄電池モジュール110a及び110bと、背部蓄電池モジュール120とを備えるように構成されてもよい。
【0054】
また、蓄電池ユニット100は、背部蓄電池モジュール120の代わりに上胴体部30の前部に配置される前部蓄電池モジュールを備えるように構成されてもよい。この場合、蓄電池ユニット100は、前部蓄電池モジュールと、上部蓄電池モジュール110a及び110bと、側部蓄電池モジュール130a及び130bとを備えるように構成されてもよく、前部蓄電池モジュールと、側部蓄電池モジュール130a及び130bとを備えるように構成されてもよく、前部蓄電池モジュールと、上部蓄電池モジュール110a及び110bと備えるように構成されてもよい。
【0055】
また、蓄電池ユニット100は、さらなる蓄電池モジュールを備えてもよい。例えば、さらなる蓄電池モジュールは、上胴体部30の前部及び下胴体部40等に配置されてもよい。
【0056】
また、実施の形態に係る蓄電池ユニット100において、上部蓄電池モジュール110a及び110bは分離して配置されていたが、一体化されてもよい。又は、上部蓄電池モジュール110は、分離して配置された3つ以上の蓄電池モジュールを含んでもよい。同様に、側部蓄電池モジュール130a及び130bは分離して配置されていたが、一体化されてもよい。又は、側部蓄電池モジュール130は、分離して配置された3つ以上の蓄電池モジュールを含んでもよい。また、背部蓄電池モジュール120は、分離して配置された2つ以上の蓄電池モジュールを含んでもよい。
【0057】
また、実施の形態に係る蓄電池ユニット100において、ベース140は、肩部32a及び32bに嵌合することで上胴体部30に取り付けられるように構成されていたが、これに限定されない。例えば、ベース140は上胴体部30又は首部20等に嵌合するように構成されもよい。又は、ベース140は、ねじ等の留め付け部材により上胴体部30等に取り付けられるように構成されてもよい。
【0058】
また、実施の形態に係る蓄電池ユニット100は、上胴体部30の背部に配置されるように構成されていたが、これに限定されない。例えば、蓄電池ユニット100は、上胴体部30の前部に配置されるように構成されてもよく、上胴体部30の前部及び背部にわたって配置されるように構成されてもよい。又は、蓄電池ユニット100は、下胴体部40の背部、前部、又は、背部及び前部の両方に配置されるように構成されてもよい。さらに、蓄電池ユニット100は、上胴体部30及び下胴体部40にわたって配置されるように構成されてもよい。例えば、蓄電池モジュールの少なくとも1つが、下胴体部40の前部、背部、左右の側部、又は、脚部60の間の股部等に配置されてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 人型ロボット
30 上胴体部
32a,32b 肩部
100 蓄電池ユニット
110,110a,110b 上部蓄電池モジュール(第2蓄電池モジュール)
120 背部蓄電池モジュール(第1蓄電池モジュール)
130,130a,130b 側部蓄電池モジュール(第2蓄電池モジュール)
140 ベース
141a 上部左収容部(第2収容部)
141aa 上部左固定部(第2固定部)
141b 上部右収容部(第2収容部)
141ba 上部右固定部(第2固定部)
142 背部収容部(第1収容部)
142a 背部固定部(第1固定部)
143a 側部左収容部(第2収容部)
143aa 側部左固定部(第2固定部)
143b 側部右収容部(第2収容部)
143ba 側部右固定部(第2固定部)
147a 取付部(嵌合部)
150 蓄電池