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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-21
(45)【発行日】2023-09-29
(54)【発明の名称】流量センサ装置
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/684 20060101AFI20230922BHJP
   G01P 5/12 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
G01F1/684 Z
G01P5/12 C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019166533
(22)【出願日】2019-09-12
(65)【公開番号】P2021043113
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-08-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000105350
【氏名又は名称】KOA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100121049
【弁理士】
【氏名又は名称】三輪 正義
(72)【発明者】
【氏名】上野山 浩志
(72)【発明者】
【氏名】五島 成夫
(72)【発明者】
【氏名】小林 洋治
【審査官】大森 努
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-062862(JP,U)
【文献】特開2019-066334(JP,A)
【文献】特開2008-191077(JP,A)
【文献】特開2019-074390(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0244615(US,A1)
【文献】特開2019-049863(JP,A)
【文献】特表昭62-501379(JP,A)
【文献】特開平05-288581(JP,A)
【文献】特開昭54-034873(JP,A)
【文献】特開平08-248053(JP,A)
【文献】米国特許第09170269(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/68-1/699,15/00-15/18,
G01P 5/10-5/12,
G01D 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カバー部材と、
前記カバー部材の下方に配置されたキャップ部材と、
前記カバー部材と前記キャップ部材との間の周囲を囲む異物侵入防止ネットと、
前記カバー部材と、前記キャップ部材と、前記異物侵入防止ネットと、で囲まれる収容空間に配置された発光素子と、
前記収容空間であって、前記異物侵入防止ネットの内側に配置された、感温抵抗素子を備えたセンサ素子と、
前記発光素子を前記カバー部材との間で覆う蓋体と、を有し、
前記センサ素子は、前記蓋体から前記収容空間内に突出している、
ことを特徴とする流量センサ装置。
【請求項2】
前記キャップ部材の内面は、光拡散面、或いは光反射面であることを特徴とする請求項1に記載の流量センサ装置。
【請求項3】
前記キャップ部材に代えて、前記異物侵入防止ネットが、前記カバー部材の下方を覆うことを特徴とする請求項1に記載の流量センサ装置。
【請求項4】
前記カバー部材には、吊り下げた状態で支持可能な吊り下げ部を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の流量センサ装置。
【請求項5】
複数の前記流量センサ装置が前記吊り下げ部を介して多連接続されることを特徴とする請求項4に記載の流量センサ装置。
【請求項6】
前記発光素子が、基板上に配置されており、前記発光素子を下側に向けて前記基板が前記収容空間に配置されることを特徴とする請求項5に記載の流量センサ装置。
【請求項7】
前記センサ素子は、リード線を介して前記カバー部材の天井部側から吊り下げられた状態で支持されることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の流量センサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、流体の流量を検出する流量センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気などの流体の流路に、発熱用の感温抵抗体と、温度補償用の感温抵抗体とを配置し、流量の変化による発熱用感温抵抗体の放熱量に応じた抵抗値の変化に基づいて、流量を検知可能な流量センサ装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、回路基板の一方の面に、発熱用感温抵抗体を配置し、他方の面に温度補償用感温抵抗体を配置した流量センサ装置に関する発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平9-53967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、流量センサ装置を屋外で使用する場合、良好な検知感度を保つには、耐候性及び防虫性を向上させることが必要である。
【0006】
しかしながら、特許文献1には、耐候性及び防虫性に関する記載がなく、耐候性及び防虫性を配慮した流量センサ装置の構造は開示されていない。
【0007】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、耐候性及び防虫性を向上させた流量センサ装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様の流量センサ装置は、カバー部材と、前記カバー部材の下方に配置されたキャップ部材と、前記カバー部材と前記キャップ部材との間の周囲を囲む異物侵入防止ネットと、前記カバー部材と、前記キャップ部材と、前記異物侵入防止ネットと、で囲まれる収容空間に配置された発光素子と、前記収容空間であって、前記異物侵入防止ネットの内側に配置された、感温抵抗素子を備えたセンサ素子と、前記発光素子を前記カバー部材との間で覆う蓋体と、を有し、前記センサ素子は、前記蓋体から前記収容空間内に突出している、ことを特徴とする。


【発明の効果】
【0009】
本発明の流量センサ装置の構造によれば、耐候性及び防虫性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施の形態に係る流量センサ装置の斜視図である。
図2図1に示す流量センサ装置の分解斜視図である。
図3図1に示す流量センサ装置の断面図である。
図4図1に示す流量センサ装置のカバー部材を裏面側から見た斜視図である。
図5】本実施の形態に係る流量センサ装置に配置される駆動基板の裏面図である。
図6】本実施の形態に係る流量センサ装置に配置されるセンサ基板の裏面図である。
図7】本実施の形態の流量センサ装置の回路図(一例)である。
図8図1に示す流量センサ装置を複数個、多連接続した状態を示す正面図である。
図9図1とは別の実施の形態に係る流量センサ装置の正面図である。
図10図10Aから図10Cは、本実施の形態の流量センサ装置の光の出射方向を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本実施の形態に係る流量センサ装置について説明する。図1は、本実施の形態に係る流量センサ装置の斜視図である。図2は、図1に示す流量センサ装置の分解斜視図である。図3は、図1に示す流量センサ装置の断面図である。図3に示す断面図は、図1に示すA-A線に沿って切断し矢印方向から見た切断面である。なお、本実施の形態では、センサ装置として流量センサを例示して説明するが、センサ装置は流量変化を検知できれば、検知の対象は特に限定されない。ただし、以下では、センサ素子11、12を、風速センサとして説明する。
【0012】
図1から図3に示す流量センサ装置1は、カバー部材2と、キャップ部材3と、カバー部材2とキャップ部材3の間に位置する異物侵入防止ネット4と、を具備する。
【0013】
図1から図3に示すように、カバー部材2は、流量センサ装置1の上部に位置し、キャップ部材3は、流量センサ装置1の下部に位置し、異物侵入防止ネット4は、流量センサ装置1の中間部に位置する。まずは、カバー部材2について説明する。
【0014】
<カバー部材2>
カバー部材2は、流量センサ装置1の内部に配置される基板ユニット5を、雨や雪などから防護する防水カバーとして機能する。これにより、本実施の形態の流量センサ装置1を、屋外で適用することができる。
【0015】
図1から図3に示すように、カバー部材2は、天井部2aと、天井部2aの外周から下方に向けて突出する側壁部2bと、天井部2aの中央上面に設けられた柱状の吊り下げ部2cと、を有して構成される。天井部2a、側壁部2b及び吊り下げ部2cは、一体で形成されている。形状を限定するものではないが、本実施の形態では、天井部2aは、円形状で形成されている。
【0016】
図1から図3に示すように、吊り下げ部2cの中心には、接続孔2dが形成されており、接続孔2dの内壁面には、ねじが切られている。
【0017】
図3に示すように、側壁部2bの下面には、周方向に沿って、異物侵入防止ネット4を挿入可能な幅を有する溝2fが形成されている。
【0018】
カバー部材2の材質を限定するものではないが、例えば、アクリル系樹脂やポリカーボネート系樹脂等の熱可塑性樹脂、ガラスが挙げられる。カバー部材2は、防水性である。カバー部材2は、透明であってもよいし、半透明であってもよいし、或いは、非透明であってもよい。「半透明」とは、透明よりも光透過度が低い状態を指す。
【0019】
図3に示すように、カバー部材2の天井部2aと側壁部2bとの間の収容部2e内に、基板ユニット5のうち、駆動基板8、センサ基板9及び蓋体6が収められている。以下、カバー部材2の裏面側に配置される基板ユニット5について説明する。
【0020】
<基板ユニット5>
図4は、図1に示す流量センサ装置のカバー部材を裏面側から見た斜視図である。図5は、本実施の形態に係る流量センサ装置に配置される駆動基板の裏面図である。図6は、本実施の形態に係る流量センサ装置に配置されるセンサ基板の裏面図である。
【0021】
図4に示すように、基板ユニット5を、裏面側から見ると、次に説明する駆動基板8やセンサ基板9を下面側から覆う蓋体6や、蓋体6の中央の開口6aから下方に向けて突出するセンサ素子11、12や、ガード部材7が現れている。
【0022】
(駆動基板8)
図3図5に示すように、駆動基板8は、天井部2aの裏面側(下面側)に固定されている。図5に示すように、駆動基板8の表面(下面)8aには、各種コネクタ10や、図示しない能動素子、受動素子、及び機構素子等の各回路要素が搭載されている。なお、駆動基板8は、天井部2aと一体に形成されていてもよく、係る場合は、コネクタ10などが直接、天井部2aの下面に搭載されることになる。
【0023】
コネクタ10の種類を限定するものではないが、例えば、電源接続用のコネクタや、上位側接続用のコネクタ、下位側接続用のコネクタ等である。本実施の形態では、後述するように、複数の流量センサ装置1を多連接続することができるが、このとき、流量センサ装置1のコネクタ10同士を電気的に接続することで、流量センサ装置1同士で信号の送受信を行うことができる。
【0024】
図5に示すように、駆動基板8の略中央には、突出した囲み形状の支持体14が設けられている。この支持体14は、次に説明するセンサ基板9を、駆動基板8の下面側に配置したときに、センサ基板9と駆動基板8との間に所定の間隔を保持するためのものである。支持体14とセンサ基板9とは接触しても、接触しなくてもよい。図5に示すように、支持体14の外側の領域には、複数の第1接続部15が下方に向けて突出して形成されている。第1接続部15の先端部には、鉤状部15aが形成されている。センサ基板9側に形成された接続穴23に、第1接続部15が挿入されて、鉤状部15aを、穴の縁部に引っ掛けることができる(図6参照)。これにより、センサ基板9を、駆動基板8の下面側に固定することができる。
【0025】
また、図5に示すように、駆動基板8の外側には、天井部2aの下面から複数の第2接続部16が下方に向けて突出して形成されている。第2接続部16の先端部には、鉤状部16aが形成されている。図4に示すように、鉤状部16aを、蓋体6の外縁に引っ掛けることができる。これにより、蓋体6を、天井部2aの下面側に固定することができる。
【0026】
(センサ基板9)
上記したように、図6に示すセンサ基板9は、図5に示す駆動基板8の下面側に重ねて配置され、このとき、駆動基板8の第1接続部15が、センサ基板9に形成された接続穴23に通され、鉤状部15aが、接続穴23の周縁に当接することで、駆動基板8の下面側に保持される。
【0027】
図6に示すように、センサ基板9の表面(下面)9aには、センサ素子11、12及び、LED13が搭載されている。
【0028】
センサ素子11は、後述する流量検知用抵抗素子17を備えており、リード端子(リード線)19に接続されている。また、センサ素子12は、後述する温度補償用抵抗素子18を備えており、リード端子(リード線)20に接続されている。
【0029】
流量検知用抵抗素子17及び温度補償用抵抗素子18の両側に位置する各リード端子19、20は、折り曲げられて、センサ基板9の表面9aに固定接続されている。例えば、センサ基板9には端子穴(図示せず)が形成されており、各リード端子19、20の先端が、端子穴に挿入される。そして、リード端子19、20は、半田付け等で、センサ基板9に固定される。これにより、各センサ素子11、12は、駆動基板8に設けられた駆動制御回路と電気的に接続された状態となる。
【0030】
図3図4に示すように、センサ素子11、12は、カバー部材2の天井部2a側から吊り下げられた状態で支持されている。
【0031】
図6に示すように、センサ基板9には、センサ素子11、12の周囲をほぼ囲むように、第1の溝21が形成されている。また、第1の溝21が途切れた位置の近くには、第2の溝22が形成されている。このように、センサ素子11、12の周囲を囲むように、溝21、22を設けることで、センサ基板9の熱源と、駆動基板8の熱源とを分離でき、センサ素子11、12に対する熱的影響を弱めることができる。
【0032】
図3図6に示すように、センサ基板9の表面9aには、複数のLED13が設けられている。LED13は、下方向に向けて面発光する発光素子である。図6では、LED13の数は、3個であるが、個数を限定するものではない。なお、本実施の形態では、発光素子としてLED13を例に挙げたが、LED13以外の発光素子を適用することもできる。
【0033】
複数のLED13は、基板中心から等間隔(等角度)で配置されることが好ましい。ただし、使用用途によって、LED13の配置を適宜変更することができる。
【0034】
(センサ素子11、12)
センサ素子11、12について説明する。例えば、センサ素子11は、感温抵抗素子としての流量検知用抵抗素子17を備える。また、センサ素子12は、感温抵抗素子としての温度補償用抵抗素子18を備える。
【0035】
流量検知用抵抗素子17及び温度補償用抵抗素子18は、図7に示す回路を構成する。図7に示すように、流量検知用抵抗素子17と、温度補償用抵抗素子18と、抵抗器36、37とでブリッジ回路38を構成している。図7に示すように、流量検知用抵抗素子17と抵抗器36とで第1の直列回路39を構成し、温度補償用抵抗素子18と抵抗器37とで第2の直列回路40を構成している。そして、第1の直列回路39と第2の直列回路40とが、並列に接続されてブリッジ回路38を構成している。
【0036】
図7に示すように、第1の直列回路39の出力部31と、第2の直列回路40の出力部32とが、夫々、差動増幅器(アンプ)43に接続されている。ブリッジ回路38には、差動増幅器43を含めたフィードバック回路44が接続されている。フィードバック回路44には、トランジスタ(図示せず)等が含まれる。
【0037】
抵抗器36、37は、流量検知用抵抗素子17、及び温度補償用抵抗素子18よりも抵抗温度係数(TCR)が小さい。流量検知用抵抗素子17は、例えば、所定の周囲温度よりも所定値だけ高くなるように制御された加熱状態で、所定の抵抗値Rs1を有し、また、温度補償用抵抗素子18は、例えば、前記の周囲温度にて、所定の抵抗値Rs2を有するように制御されている。なお、抵抗値Rs1は、抵抗値Rs2よりも小さい。流量検知用抵抗素子17と第1の直列回路39を構成する抵抗器36は、例えば、流量検知用抵抗素子17の抵抗値Rs1と同様の抵抗値R1を有する固定抵抗器である。また、温度補償用抵抗素子18と第2の直列回路40を構成する抵抗器37は、例えば、温度補償用抵抗素子18の抵抗値Rs2と同様の抵抗値R2を有する固定抵抗器である。
【0038】
センサ素子11が、周囲温度よりも高い温度に設定されており、風を受けると、発熱抵抗である流量検知用抵抗素子17の温度は低下する。このため、流量検知用抵抗素子17が接続された第1の直列回路39の出力部31の電位が変動する。これにより、差動増幅器43により差動出力が得られる。そして、フィードバック回路44では、差動出力に基づいて、流量検知用抵抗素子17に駆動電圧を印加する。そして、流量検知用抵抗素子17の加熱に要する電圧の変化に基づき、マイコン(図示せず)にて風速を換算し出力することができる。なお、マイコン、抵抗器、トランジスタ等は、駆動基板8の表面に設置され、各センサ素子11、12と、各リード端子19、20を介して電気的に接続されている。
【0039】
また、センサ素子12に設けられた温度補償用抵抗素子18は、流体そのものの温度を検知し、流体の温度変化の影響を補償する。このように、温度補償用抵抗素子18を備えることで、流体の温度変化が流量検知に影響するのを低減でき、流量検知を精度よく行うことができる。上記したように、温度補償用抵抗素子18は、流量検知用抵抗素子17よりも十分に抵抗が高く、且つ、温度が周囲温度付近に設定されている。このため、センサ素子12が風を受けても、温度補償用抵抗素子18が接続された第2の直列回路40の出力部32の電位は、ほとんど変化しない。したがって、出力部32の電位を基準電位として、流量検知用抵抗素子17の抵抗変化に基づく差動出力を精度よく得ることができる。
【0040】
なお、図7に示す回路構成は、一例であり、これに限定されるものではない。
【0041】
図3図6に示すように、センサ素子11、12は、カバー部材2と、キャップ部材3と、異物侵入防止ネット4と、で囲まれた収容空間25内に配置される。LED13も収容空間25内(特に、カバー部材2の収容部2e内)に配置される。
【0042】
図3に示すように、流量検知用抵抗素子17が接続されたセンサ素子11は、異物侵入防止ネット4を通して、適切に風が当たるように、異物侵入防止ネット4の内側に配置されている。図3に示すように、流量検知用抵抗素子17が接続されたセンサ素子11は、温度補償用抵抗素子18が接続されたセンサ素子12よりも、下方に位置している。一方、温度補償用抵抗素子18が接続されたセンサ素子12は、蓋体6に近い位置に設けられ、風が、異物侵入防止ネット4を通して、流量検知用抵抗素子17より当たりにくい位置に配置される。本実施の形態のように、流量検知用抵抗素子17と、温度補償用抵抗素子18との高さを変えることで、流量検知用抵抗素子17に適切に風を当てることができる。
【0043】
なお、図3図6に示すセンサ素子11、12の配置は、一例であり、横方向に間隔を空けて並行に並べてもよい。また、センサ素子11、12には、チップ型抵抗素子を用いることもできる。
【0044】
(蓋体6)
蓋体6は、図6に示すセンサ基板9の下面側に重ねて配置される。このとき、図4に示すように、蓋体6の外縁に、天井部2aの下面に配置された第2接続部16の鉤状部16aが引っ掛かり、蓋体6は、センサ基板9の下面側に固定される。
【0045】
図3図4に示すように、蓋体6には、その中央に開口6aが形成されている。したがって、蓋体6がセンサ基板9の下面側に固定されたとき、センサ素子11、12は、開口6aを介して蓋体6よりも下方向に突出した状態で支持される。
【0046】
図4に示すように、ガード部材7は、蓋体6の開口6aの外周に固定接続されている。ガード部材7は、例えば、開口6aの外周に沿って略等間隔で配置される複数の柱部材7aと、各柱部材7aの先端に配置されるリング部7bとを有して構成される。柱部材7aとリング部7bとは一体で形成されることが好ましい。センサ素子11、12は、ガード部材7の内側に配置される。これにより、流量センサ装置1の各パーツを組み込む際、手指がセンサ素子11、12に触れるなどして、センサ素子11、12が破損したり、センサ素子11、12の感度が低下する等の不具合を抑制することができる。また、柱部材7aの間の空間は、風の通り道となり、センサ素子11、12にて適切に風速を測定することができる。
【0047】
蓋体6は、透明部材、或いは半透明部材であり、LED13からの光を、蓋体6を通して、下方向に導くことができることが好ましい。なお、光を下へ通さずに、カバー部材2の表面から外部に光を射出する形態、すなわち、光を横から上方向に導く形態とすることもできる。この場合、蓋体6は非透明部材であってもよいが、蓋体6の内面(すなわち、LED13と対向する上面)は光反射面、或いは、光拡散面であることが好ましい。
【0048】
<キャップ部材3>
図2図3に示すように、キャップ部材3は、底部3aと、底部3aの外周に形成された側壁部3bと、を具備して構成される。限定するものではないが、底部3aの外周形状は、カバー部材2の天井部2aの外周形状と同じ円形状で且つ同じ大きさで形成される。
【0049】
図2図3に示すように、底部3aの表面(上面)は、円錐台(截頭錐体)形状で形成される。円錐台の傾斜面3a1が、光を反射し、四方へ拡散する光拡散面(光反射面)として機能する。
【0050】
図2図3に示すように、側壁部3bの上面には、周方向に沿って、異物侵入防止ネット4を挿入可能な幅を有する溝3fが形成されている。
【0051】
キャップ部材3の材質を問うものではなく、キャップ部材3は、透明であっても半透明であっても、或いは、非透明であってもよい。特に、上記したように、円錐台の傾斜面3a1を光拡散面として機能させる場合は、キャップ部材3は、有色の非透明部材であってもよい。
【0052】
なお、キャップ部材3に光透過性を持たせ、LED13からの光を、キャップ部材3の下面から下方向に出射する形態では、例えば、アクリル系樹脂やポリカーボネート系樹脂等の熱可塑性樹脂や、ガラス等の透明部材で形成されることが好ましい。
【0053】
<異物侵入防止ネット4>
異物侵入防止ネット4の上部及び下部は、カバー部材2及び、キャップ部材3の側壁部2b、3bに形成された溝2f、3fに挿入される。これにより、異物侵入防止ネット4は、カバー部材2とキャップ部材3との間に固定される。
【0054】
異物侵入防止ネット4は、複数の通孔としての網目を有するメッシュ状部材であることが好ましい。材質を限定するものではないが、異物侵入防止ネット4は、メッシュ状の不織布或いは、樹脂材料で形成されることが好ましい。
【0055】
本実施の形態に係る流量センサ装置1は、カバー部材2により、基板ユニット5を、雨や雪などから防護することができる。加えて、異物侵入防止ネット4により、風は通すが、虫等が内部に侵入するのを防止でき、基板ユニット5のうち、特に、露出した状態で支持されるセンサ素子11、12を、虫等の異物侵入から保護することができる。
【0056】
以上により、本実施の形態の流量センサ装置1の構造によれば、耐候性及び防虫性を高めることができる。
【0057】
<流量センサ装置の多連構造>
図1に示す流量センサ装置1は、カバー部材2の上面に、吊り下げ部2cを備え、流量センサ装置1を吊り下げた状態で支持することが可能である。
【0058】
したがって、例えば、図8に示すように、複数の流量センサ装置1を、例えば、バー状の支持体50にねじ止め等で吊り下げた多連構造とすることができる。このとき、多連接続する複数の流量センサ装置1は、同じ構造のものであっても、異なる構造のものであってもどちらでもよい。
【0059】
複数の流量センサ装置1を多連接続することで、多様なイルミネーション演出等を行うことができる。
【0060】
<別の実施の形態の流量センサ装置>
図1に示す流量センサ装置1は、カバー部材2と、キャップ部材3と、カバー部材2とキャップ部材3との間に配置される異物侵入防止ネット4と、を有して構成されるが、図9に示すように、キャップ部材3に代えて、異物侵入防止ネット4にて、カバー部材2の下方を覆ってもよい。すなわち、図9に示す流量センサ装置の構造は、カバー部材2の下側に、ケース状の異物侵入防止ネット4が配置されており、側面や下面からの虫などの異物侵入を、異物侵入防止ネット4で防止している。図9に示す流量センサ装置の構造では、図1に比べて部品点数を少なくでき、簡易な構造とすることができる。
【0061】
<LEDにより光の照射>
本実施の形態における流量センサ装置1には、LED13が組み込まれており、LED13からの光を流量センサ装置1の外部に照射することができる。このとき、センサ素子11、12による風速の測定結果に基づいて、LED13を発光させることができる。
【0062】
例えば、図8に示す流量センサ装置1の多連構造では、風の測定結果に応じて、例えば、各流量センサ装置1内のLED13を順次発光させることができる。なお、発光の形態を、適宜設定することができる。これにより、気流の見える化を実現できる。
【0063】
図3に示すように、キャップ部材3には、光拡散面としての傾斜面3a1が設けられており、図10Aに示すように、LED13から下方に照射された光L1を、傾斜面3a1で反射させ、流量センサ装置1の周囲から外部に出射させることができる。図10Aでは、主に、流量センサ装置1の側面を光らせることができる。
【0064】
或いは、図10Bに示すように、LED13から下方に照射された光L2を、そのまま、キャップ部材3を通して下方に出射させることができる。図10Bでは、主に、流量センサ装置1の下面を光らせることができる。図10Bでは、キャップ部材3を透明とするとともに、キャップ部材3内部での光の反射を抑制する構造を用いることが好ましい。
【0065】
また、図10Cに示すように、LED13の光L3を、例えば、カバー部材2内で反射させ、カバー部材2の上方に向けて出射させることも可能である。
【0066】
図10Aから図10Cに示す光の照射方向を複数組み合わせて、例えば、流量センサ装置1の側面から下面に向けて光らせたり、流量センサ装置1の側面から上面に向けて光らせたり、流量センサ装置1全体を光らせる構造とすることも可能である。
【0067】
本実施の形態における流量センサ装置1は、耐候性及び防虫性に優れるため、屋外にて使用することに適しているが、屋内で使用することも可能である。適用例としては、イルミネーション等の光演出や、分析装置などに用いることができる。
上記では、センサ素子11、12は風速センサであったが、風速以外に、ガス流や、水等の液体を対象とした流速変化を検知可能なセンサであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0068】
以上説明したように、本発明は、センサ素子と発光素子を配置することができ、屋外、屋内を問わず、流量検知を利用して、表示形態としての様々なアプリケーションに適用することができ、また分析用などとして適用することも可能である。
【符号の説明】
【0069】
1 :流量センサ装置
2 :カバー部材
2a :天井部
2b :側壁部
2c :吊り下げ部
2d :接続孔
2e :収容部
2f、3f :溝
3 :キャップ部材
3a :底部
3a1 :傾斜面
3b :側壁部
4 :異物侵入防止ネット
5 :基板ユニット
6 :蓋体
6a :開口
7 :ガード部材
7a :柱部材
7b :リング部
8 :駆動基板
9 :センサ基板
10 :コネクタ
11、12 :センサ素子
13 :LED
14 :支持体
15 :第1接続部
15a、16a :鉤状部
16 :第2接続部
17 :流量検知用抵抗素子
18 :温度補償用抵抗素子
19、20 :リード端子
21 :第1の溝
22 :第2の溝
23 :接続穴
25 :収容空間
31、32 :出力部
36、37 :抵抗器
38 :ブリッジ回路
39 :第1の直列回路
40 :第2の直列回路
43 :差動増幅器
44 :フィードバック回路
50 :支持体
L1、L2、L3 :光
図1
図2
図3
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図5
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図7
図8
図9
図10