(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-21
(45)【発行日】2023-09-29
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
F24F 11/89 20180101AFI20230922BHJP
F24F 11/88 20180101ALI20230922BHJP
【FI】
F24F11/89
F24F11/88
(21)【出願番号】P 2019211934
(22)【出願日】2019-11-25
【審査請求日】2022-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】316011466
【氏名又は名称】日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】秦 景龍
(72)【発明者】
【氏名】小倉 洋寿
(72)【発明者】
【氏名】北條 敏幸
【審査官】佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-069861(JP,A)
【文献】国際公開第2019/021508(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/89
F24F 11/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
四方弁コイルと、前記四方弁コイルへの通電によって移動する弁体と、を有し、冷媒の流路を切り替える四方弁を備えるとともに、
前記四方弁を含む機器への給電に用いられる電源プラグがコンセントから抜かれたことを検知する検知回路と、
前記機器への給電経路に含まれる一対の電力線に両端が接続されている第1抵抗器と、
前記給電経路の接続・遮断を切り替えるパワーリレーと、
前記四方弁コイルへの通電のオン・オフを切り替えるスイッチと、
前記検知回路からの信号に基づいて、少なくとも前記スイッチを制御する制御部と、を備え、
空調運転中に、前記コンセントから前記電源プラグが抜かれた場合、
又は、
前記パワーリレーが接続された状態での空調停止中に、前記コンセントから前記電源プラグが抜かれた場合、
前記制御部は、前記スイッチをオフ状態からオン状態に切り替え、前記四方弁コイルに通電させ、
前記スイッチがオン状態に切り替えられた状態で、前記電源プラグから見て、前記四方弁コイルと前記第1抵抗器とが、前記スイッチを介して並列接続されている空気調和機。
【請求項2】
前記制御部は、前記コンセントから前記電源プラグが抜かれた後、前記パワーリレーを介した給電が遮断されるまで、前記スイッチをオン状態で維持すること
を特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記検知回路は、前記電源プラグを介して印加される交流電圧の極性の切り替わりを検出するゼロクロス検出回路であり、
空調運転中に、前記ゼロクロス検出回路において交流電圧の極性の切り替わりが検出されなくなった場合、
又は、
前記パワーリレーが接続された状態での空調停止中に、前記ゼロクロス検出回路において交流電圧の極性の切り替わりが検出されなくなった場合、
前記制御部は、前記スイッチをオフ状態からオン状態に切り替えること
を特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記制御部は、前記スイッチをオフ状態からオン状態に切り替えた後、前記ゼロクロス検出回路において交流電圧の極性の切り替わりが再び検出された場合、前記スイッチをオン状態からオフ状態に戻すこと
を特徴とする請求項3に記載の空気調和機。
【請求項5】
前記制御部は、前記スイッチをオフ状態からオン状態に切り替えてから所定時間が経過した後、前記スイッチをオン状態からオフ状態に戻すこと
を特徴とする請求項3に記載の空気調和機。
【請求項6】
一対の前記電力線を介して流れる交流電流を整流する整流回路と、
前記整流回路の出力側から印加される電圧を平滑化する平滑コンデンサと、
前記平滑コンデンサから印加される直流電圧を交流電圧に変換するインバータ回路と、
前記インバータ回路から印加される交流電圧で駆動するモータと、を備え、
前記検知回路は、前記第1抵抗器に対して直列接続される第2抵抗器を有し、
前記整流回路は、第1コンデンサと第2コンデンサとが直列接続されてなる直列接続体を少なくとも有する倍電圧整流回路であり、
前記第1コンデンサの正極は、一対の前記電力線の一方に接続されるとともに、前記平滑コンデンサの正極に接続され、
前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとの中間接続点は、一対の前記電力線の他方に接続されるとともに、前記第2抵抗器の一端に接続され、
前記第2コンデンサの負極は、前記平滑コンデンサの負極に接続されるとともに、前記第2抵抗器の他端に接続されていること
を特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項7】
一対の前記電力線を介して流れる交流電流を整流する整流回路と、
前記整流回路の出力側から印加される電圧を平滑化する平滑コンデンサと、
前記平滑コンデンサから印加される直流電圧を交流電圧に変換するインバータ回路と、
前記インバータ回路から印加される交流電圧で駆動するモータと、を備え、
前記整流回路は、複数のダイオードがブリッジ形に接続されてなる全波整流回路であること
を特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機への電源プラグを介した給電中(例えば、空調運転中)に、ユーザがコンセントから電源プラグを引き抜くことがある。このような場合の感電を防止するために、電気用品安全法では、コンセントから電源プラグが引き抜かれてから1秒以内に、プラグ刃間の残電圧を所定電圧(例えば、45[V])以下に低下させることが規定されている。
【0003】
また、コンセントから電源プラグが引き抜かれた場合のプラグ刃間の残電圧を低下させる技術として、例えば、特許文献1に記載の技術が知られている。すなわち、特許文献1には、商用電源のライン間に第1の開閉手段が設けられる構成において、コンセントプラグが抜かれた場合、制御手段が、第1の開閉手段のオン期間の比率を増加させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術では、第1の開閉手段のオン期間の比率を調整する回路の他、放電用の抵抗等が設けられるため、部品点数の増加を招き、結果的に製造コストの増加を招く。したがって、電源プラグの残電圧を低下させる構成において、さらに低コスト化を図る余地がある。
【0006】
そこで、本発明は、電源プラグの残電圧を適切に低下させる低コストな空気調和機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した課題を解決するために、本発明に係る空気調和機は、空調運転中に、コンセントから電源プラグが抜かれた場合、又は、パワーリレーが接続された状態での空調停止中に、前記コンセントから前記電源プラグが抜かれた場合、制御部が、スイッチをオフ状態からオン状態に切り替え、四方弁コイルに通電させ、前記スイッチがオン状態に切り替えられた状態で、前記電源プラグから見て、前記四方弁コイルと第1抵抗器とが、前記スイッチを介して並列接続されていることとした。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電源プラグの残電圧を適切に低下させる低コストな空気調和機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る空気調和機の構成図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る空気調和機の電力系の回路図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る空気調和機の各抵抗器や四方弁コイルの接続関係を示す回路図であり、電源プラグがコンセントに差し込まれている状態を示している。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る空気調和機の各抵抗器や四方弁コイルの接続関係を示す回路図であり、電源プラグがコンセントから抜かれた状態を示している。
【
図5】本発明の第1実施形態に係る空気調和機において、スイッチが閉じた状態における合成抵抗や電圧V1,V2に関する説明図である。
【
図6】本発明の第1実施形態に係る空気調和機において、プラグ刃間の電圧、ゼロクロス検出回路の出力値、及びスイッチの状態の変化を示す図である。
【
図7】本発明の第2実施形態に係る空気調和機の電力系の回路図である。
【
図8】本発明の第2実施形態に係る空気調和機において、プラグ刃間の電圧、ゼロクロス検出回路の出力値、及びスイッチの状態の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
≪第1実施形態≫
<空気調和機の構成>
図1は、本発明の第1実施形態に係る空気調和機100の構成図である。
なお、
図1の実線矢印は、冷房サイクルにおける冷媒の流れを示している。
一方、
図1の破線矢印は、暖房サイクルにおける冷媒の流れを示している。
空気調和機100は、冷房運転や暖房運転等の空調を行う機器である。
図1に示すように、空気調和機100は、圧縮機1と、室外熱交換器2と、室外ファン3と、室内熱交換器4と、室内ファン5と、膨張弁6と、四方弁7と、を備えている。
【0011】
図1の例では、圧縮機1、室外熱交換器2、室外ファン3、膨張弁6、及び四方弁7が、室外機Uoに設けられている。一方、室内熱交換器4及び室内ファン5は、室内機Uiに設けられている。
【0012】
圧縮機1は、ガス状の冷媒を圧縮する機器であり、駆動源である圧縮機モータ1aを備えている。
図1に示すように、圧縮機1の吐出側は、吐出管kaを介して、四方弁7の高圧側接続口haに接続されている。一方、圧縮機1の吸入側は、吸入管kbを介して、四方弁7の低圧側接続口hbに接続されている。
【0013】
室外熱交換器2は、その伝熱管(図示せず)を通流する冷媒と、室外ファン3から送り込まれる外気と、の間で熱交換が行われる熱交換器である。室外熱交換器2の一端mは、配管kcを介して、四方弁7の室外側接続口hcに接続されている。室外熱交換器2の他端nは、配管kdを介して、室内熱交換器4の一端iに接続されている。
室外ファン3は、室外熱交換器2に外気を送り込むファンである。室外ファン3は、駆動源である室外ファンモータ3aを備え、室外熱交換器2の付近に設置されている。
【0014】
室内熱交換器4は、その伝熱管(図示せず)を通流する冷媒と、室内ファン5から送り込まれる室内空気(空調対象空間の空気)と、の間で熱交換が行われる熱交換器である。室内熱交換器4の一端iは、前記したように、配管kdを介して、室外熱交換器2の他端nに接続されている。室内熱交換器4の他端jは、配管keを介して、四方弁7の室内側接続口heに接続されている。
室内ファン5は、室内熱交換器4に室内空気(空調対象空間の空気)を送り込むファンである。室内ファン5は、駆動源である室内ファンモータ5aを備え、室内熱交換器4の付近に設置されている。
【0015】
膨張弁6は、「凝縮器」(室外熱交換器2及び室内熱交換器4の一方)で凝縮した冷媒を減圧する弁であり、配管kdに設けられている。なお、膨張弁6によって減圧された冷媒は、配管kdを介して、「蒸発器」(室外熱交換器2及び室内熱交換器4の他方)に導かれる。
【0016】
四方弁7は、空気調和機100の運転モードに応じて、冷媒の流路を切り替える弁である。四方弁7は、
図1に示す本体7aや弁体7bの他、後記する四方弁コイル7c(
図2参照)を備えている。本体7aは、弁体7b等を収容する殻状部材である。
図1の例では、本体7aの上部に、前記した高圧側接続口haが設けられている。一方、本体7aの下部には、前記した室外側接続口hc、低圧側接続口hb、及び室内側接続口heが、横並びで設けられている。
【0017】
弁体7bは、その移動によって四方弁7の流路を切り替えるものであり、縦断面視で上に凸の∩状を呈している。そして、後記する四方弁コイル7c(
図2参照)への通電によって、本体7a内で弁体7bが横方向に移動するようになっている。
【0018】
例えば、冷房運転が行われる際には、弁体7bの位置が、
図1の実線で示す「第1の位置」に配置される。これによって、高圧側接続口haと室外側接続口hcとが、弁体7bの外側(上側)の空間を介して連通する。また、低圧側接続口hbと室内側接続口heとが、弁体7bの内側(下側)の空間を介して連通する。
【0019】
そして、圧縮機1、室外熱交換器2(凝縮器)、膨張弁6、及び室内熱交換器4(蒸発器)が、四方弁7を介して順次接続されてなる冷媒回路Qにおいて、冷媒が循環するようになっている(
図1の実線矢印)。
【0020】
一方、暖房運転が行われる際には、弁体7bの位置が、
図1の二点鎖線で示す「第2の位置」に配置される。これによって、高圧側接続口haと室内側接続口heとが、弁体7bの外側(上側)の空間を介して連通する。また、低圧側接続口hbと室外側接続口hcとが、弁体7bの内側(下側)の空間を介して連通する。
【0021】
そして、圧縮機1、室内熱交換器4(凝縮器)、膨張弁6、及び室外熱交換器2(蒸発器)が、四方弁7を介して順次接続されてなる冷媒回路Qにおいて、冷媒が循環するようになっている(
図1の破線矢印)。
【0022】
<空気調和機の電力系>
図2は、空気調和機100の電力系の回路図である。
空気調和機100は、前記した各構成(
図1参照)の他に、電源プラグPと、一対の電力線ga,gbと、パワーリレーSa,Sbと、を備えている。電源プラグPは、空気調和機100への給電(四方弁7を含む機器への給電)に用いられる接続器であり、壁WのコンセントTに差し込まれる一対のプラグ刃Pa,Pbを備えている。また、電源プラグPには、一対の電力線gaが,gbが接続されている。
【0023】
一対の電力線ga,gbは、四方弁7を含む機器への給電経路gに含まれる配線である。そして、電源プラグP及び電力線ga,gbを順次に介して、交流電源Eから所定の交流電力が供給されるようになっている。なお、前記した四方弁7を含む「機器」には、
図1に示す圧縮機1や室外ファン3の他、室内ファン5、膨張弁6、及び四方弁7が含まれる。
【0024】
図2に示すように、一方の電力線gaは、その一端が電源プラグPに接続され、他端がインバータ回路10の入力側(直流側)に接続されている。また、電力線gaは所定に分岐し、ゼロクロス検出回路8の他、第1コンデンサC1や平滑コンデンサCmといった複数の素子にも接続されている。
【0025】
他方の電力線gbは、その一端が電源プラグPに接続され、他端が、第1コンデンサC1と第2コンデンサC2との間の中間接続点fに接続されている。また、電力線gbは所定に分岐し、ゼロクロス検出回路8等にも接続されている。
【0026】
パワーリレーSa,Sbは、給電経路gの接続・遮断を切り替える継電器である。
図2の例では、室内機Ui(
図1参照)において、一方のパワーリレーSaが電力線gaに設けられ、他方のパワーリレーSbが電力線gbに設けられている。
【0027】
例えば、リモコン(図示せず)の操作によって空調運転が開始された場合、室内制御回路(図示せず)によって、パワーリレーSa,Sbが遮断から接続の状態に切り替えられる。また、空調運転が停止された場合には、室内制御回路(図示せず)によって、パワーリレーSa,Sbが接続から遮断の状態に切り替えられる。
【0028】
さらに、空気調和機100は、室内機Ui側の電力系の構成として、XコンデンサCxと、第1抵抗器R1と、を備えている。XコンデンサCxは、高周波ノイズの除去等に用いられる無極性のコンデンサであり、一対の電力線ga,gbに接続されている。
第1抵抗器R1は、コンセントTから電源プラグPが引き抜かれた場合の放電等に用いられる抵抗器である。
図2に示すように、第1抵抗器R1の両端は、空気調和機100の機器への給電経路gに含まれる一対の電力線ga,gbに接続されている。具体的には、第1抵抗器R1は、その一端が電力線gaに接続され、他端が電力線gbに接続されている。
【0029】
なお、
図2では図示を省略しているが、電力線ga,gbを介して供給される交流電力が所定に変換され、変換後の電力が室内制御回路(図示せず)や室内ファンモータ5a(
図1参照)に供給されるようになっている。
【0030】
また、空気調和機100は、室外機Uo側の電力系の構成として、四方弁コイル7cと、スイッチS1と、ゼロクロス検出回路8(検知回路)と、倍電圧整流回路9(整流回路)と、平滑コンデンサCmと、インバータ回路10と、電源回路11と、制御回路12(制御部)と、を備えている。
【0031】
四方弁コイル7cは、前記したように、四方弁7の構成要素の一つであり、その通電によって四方弁7の弁体7bを移動させる機能を有している。なお、整流回路(図示せず)等を含む所定の四方弁駆動回路(図示せず)が、四方弁コイル7cの両端に介在していてもよい。
図2に示すように、四方弁コイル7cは、その一端が配線geを介して電力線gaに接続され、他端が配線gfを介して電力線gbに接続されている。
【0032】
なお、四方弁7として、冷房サイクル及び暖房サイクルのうち一方から他方への切替時や、電源プラグPが抜かれたときに四方弁コイル7cに通電させ、それ以外の期間は無通電状態にするものを用いてもよい。これによって、四方弁7における無駄な電力消費を削減できる。
【0033】
図2では、スイッチS1が開かれており、四方弁コイル7cには通電していない。ただし、暖房サイクル及び冷房サイクルのうち一方から他方に切り替える際には、制御回路12がスイッチS1を閉じて四方弁コイル7cに通電させ、弁体7bを移動させる。このように弁体7bを移動させた後、所定の空調運転中は、四方弁7の本体7a内において、冷媒の高圧側(弁体7bの外側の空間:
図1参照)から低圧側(弁体7bの内側の空間:
図1参照)に向けて弁体7bが押圧される。したがって、空調運転中にスイッチS1が開かれても、弁体7bの位置はそのまま保たれる。
【0034】
スイッチS1は、制御回路12からの信号に基づいて、四方弁コイル7cへの通電のオン・オフを切り替えるものであり、配線gfに設けられている。
【0035】
ゼロクロス検出回路8は、電源プラグPを介して印加される交流電圧の極性の切り替わりを検出する回路である。また、ゼロクロス検出回路8は、電源プラグPがコンセントTから抜かれたことを検知する機能や、電源プラグPがコンセントTに差し込まれたことを検知する機能も有している。
【0036】
図2の例では、ゼロクロス検出回路8は、抵抗器Ra,Rb,Rc,Rdと、コンパレータ81と、マイコン82と、を備えている。抵抗器Raの一端は電力線gbに接続され、他端は抵抗器Rb及び配線gdを順次に介して、配線gcに接続されている。また、抵抗器Rcの一端は電力線gaに接続され、他端は抵抗器Rd及び配線gdを順次に介して、配線gcに接続されている。
【0037】
配線gcは、各機器への給電経路gの一部であり、その一端は、配線gaにおけるダイオードDaのアノード側に接続され、他端はインバータ回路10の入力側(直流側)に接続されている。配線gcは所定に分岐し、第2コンデンサC2や平滑コンデンサCmといった複数の素子にも接続されている。また、
図2の例では、配線gcが接地されている。
【0038】
ゼロクロス検出回路8が備えるコンパレータ81は、直列接続された抵抗器Ra,Rb間の電位と、直列接続された抵抗器Rc,Rd間の電位と、の大小関係を示す所定の信号をマイコン82に出力する比較器である。抵抗器Ra,Rbの間の接続箇所は、配線giを介して、コンパレータ81の正側入力端子に接続されている。一方、抵抗器Rc,Rdの間の接続箇所は、配線gjを介して、コンパレータ81の負側入力端子に接続されている。
【0039】
マイコン82は、図示はしないが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、各種インタフェース等の電子回路を含んで構成されている。そして、ROMに記憶されたプログラムを読み出してRAMに展開し、CPUが各種処理を実行するようになっている。
【0040】
マイコン82は、コンパレータ81から入力される信号に基づいて、交流電源Eの電圧の極性(正又は負)を示す所定の信号を制御回路12に出力する。また、マイコン82は、例えば、交流電圧の極性の変化が所定時間(例えば、交流電圧の1周期分の時間)以上ない場合、コンセントTから電源プラグPが抜かれたと判定し、この判定結果を示す所定の信号を制御回路12に出力する。
【0041】
倍電圧整流回路9は、一対の電力線ga,gbを介して流れる交流電流を整流する回路である。また、倍電圧整流回路9は、交流電源Eから印加される交流電圧を、その最大値の約2倍の大きさの電圧(脈流状の直流電圧)に変換する機能を有している。
図2に示すように、倍電圧整流回路9の入力側は、電力線ga,gbに接続されている。一方、倍電圧整流回路9の出力側は、電力線gaに接続されるとともに、配線gcに接続されている。
【0042】
倍電圧整流回路9は、第1コンデンサC1と、第2コンデンサC2と、ダイオードDa,Db,Dc,Ddと、を備えている。そして、第1コンデンサC1と第2コンデンサC2とが直列接続されてなる直列接続体91に対して、複数のダイオードDa,Db,Dc,Ddが所定に接続されている。
【0043】
より詳しく説明すると、第1コンデンサC1の正極は、一対の電力線ga,gbのうち一方の電力線gaに接続されるとともに、平滑コンデンサCmの正極に接続されている。第1コンデンサC1と第2コンデンサC2との中間接続点fは、一対の電力線ga,gbのうち他方の電力線gbに接続されるとともに、後記する第2抵抗器R2(抵抗器Ra,Rbの直列接続体:
図5参照)の一端R2h(
図5参照)に接続されている。第2コンデンサC2の負極は、配線gcを介して平滑コンデンサCmの負極に接続されるとともに、後記する第2抵抗器R2(抵抗器Ra,Rbの直列接続体:
図5参照)の他端R2k(
図5参照)に接続されている。
【0044】
ダイオードDaは、電力線gaに設けられ、電源プラグPから電力線gaを介して第1コンデンサC1に向かう電流の流れを許容し、逆向きの流れを禁止するように接続されている。ダイオードDbは、配線gcに設けられ、アノードが配線gcを介して接地され、カソードがダイオードDaのアノードに接続されている。
【0045】
ダイオードDcは、配線gcに設けられ、アノードが電力線gbに接続され、カソードが電力線gaに接続されている。ダイオードDdは、アノードが配線gcを介して接地され、ダイオードDcのアノードに接続されるとともに、電力線gbに接続されている。
【0046】
そして、一対の電力線ga,gbに印加される交流電圧の極性が正の期間では、ダイオードDaが設けられた一方の電力線ga、第1コンデンサC1、中間接続点f、及び他方の電力線gbを順次に介して電流が流れる。また、交流電圧の極性が負の期間では、他方の電力線gb、中間接続点f、第2コンデンサC2、ダイオードDbが設けられた配線gc、及び、一方の電力線gaを順次に介して電流が流れる。
【0047】
平滑コンデンサCmは、倍電圧整流回路9(整流回路)の出力側から印加される電圧を平滑化するコンデンサである。平滑コンデンサCmは、正極が電力線gaに接続され、負極が配線gcに接続されている。
【0048】
インバータ回路10は、平滑コンデンサCmから印加される直流電圧を交流電圧に変換する電力変換器である。インバータ回路10は、図示は省略するが、上・下アームのスイッチング素子が接続されてなるスイッチングレグを3つ備えている。前記した3つのスイッチングレグは並列接続され、その接続点は、電力線ga及び配線gcを介して、平滑コンデンサCmに接続されている。また、3つのスイッチングレグにおいて、上・下アームのスイッチング素子の接続点は、配線u,v,wを介して、モータMの三相巻線(図示せず)に接続されている。
【0049】
モータMは、インバータ回路10から印加される三相の交流電圧で駆動する。このようなモータMとして、例えば、圧縮機モータ1a(
図1参照)や室外ファンモータ3a(
図1参照)が挙げられる。なお、
図2に示すモータMが圧縮機モータ1aであるとすると、電力線ga,gbが所定に分岐し、別のインバータ回路(図示せず)を介して、室外ファンモータ3a(
図1参照、
図2には図示せず)が接続されている。
【0050】
図2に示す電源回路11は、電力線gaと配線gcとの間の直流電圧を所定に変換し、変換後の直流電圧を制御回路12に印加する。
制御回路12は、図示はしないが、CPU、ROM、RAM、各種インタフェース等の電子回路を含んで構成され、ROMに記憶されたプログラムを読み出してRAMに展開し、CPUが各種処理を実行するようになっている。
【0051】
制御回路12は、ゼロクロス検出回路8からの信号に基づいて、少なくともスイッチS1を制御する。その他、制御回路12は、ゼロクロス検出回路8からの信号や各センサ(図示せず)の検出値等に基づいて、インバータ回路10の各スイッチング素子(図示せず)のオン・オフを所定に制御する。
【0052】
図3は、各抵抗器や四方弁コイル7cの接続関係を示す回路図であり、電源プラグPがコンセントTに差し込まれている状態を示している。
すなわち、
図3は、各抵抗器や四方弁コイル7cといった素子の接続関係を分かりやすくするために、
図2の回路図から四方弁7の本体7aや弁体7bの他、コンパレータ81やマイコン82、電源回路11等の図示を省略したものである。また、
図3の状態において、所定の空調運転(例えば、冷房運転)が行われているものとする。
【0053】
図3に示すように、ゼロクロス検出回路8は、第1抵抗器R1に対して直列接続される第2抵抗器R2を有している。ここで、第2抵抗器R2は、抵抗器Ra,Rbを含んで構成される。
【0054】
前記したように、暖房サイクル及び冷房サイクルのうち一方から他方に切り替える際には、制御回路12がスイッチS1を閉じて四方弁コイル7cに通電させるが、弁体7b(
図2参照)の移動後の空調運転中には、前記したように、スイッチS1が開いたままの状態(
図3参照)であっても特に支障はない。ここで、例えば、空調運転中にユーザがコンセントTから電源プラグPを引き抜いたとする。
【0055】
仮に、電源プラグPが引き抜かれた直後にスイッチS1が開かれたままで維持された場合でも、XコンデンサCxの電荷が電力線ga等を介して第1抵抗器R1や抵抗器Ra,Rbに放電され、第1抵抗器R1等で熱エネルギとして消費される。その結果、プラグ刃Pa,Pb間の残電圧は、徐々に低下する。しかしながら、空調運転中の第1抵抗器R1での損失を低減させるために、第1抵抗器R1として、その抵抗値が比較的大きいものが用いられることが多い。その結果、電源プラグPが引き抜かれた直後にスイッチS1が開かれたままでは、第1抵抗器R1に流れる電流が小さいため、プラグ刃Pa,Pb間の電圧を急激に低下させることが難しいという問題があった。
【0056】
これに対して第1実施形態では、空調運転中にコンセントTから電源プラグPが抜かれた場合、プラグ刃Pa,Pbから見て、第1抵抗器R1と四方弁コイル7cとが並列接続されるように、制御回路12がスイッチS1をオン状態に切り替える。これによって、並列接続された第1抵抗器R1及び四方弁コイル7cの合成抵抗を、第1抵抗器R1の単体の抵抗値よりも小さくし、プラグ刃Pa,Pb間の電圧を速やかに低下させるようにしている。このような処理について、次の
図4等を用いて詳細に説明する。
【0057】
図4は、各抵抗器や四方弁コイル7cの接続関係を示す回路図であり、電源プラグPがコンセントTから抜かれた状態を示している。
空調運転中、コンセントTから電源プラグPが抜かれた場合、制御回路12(制御部)は、スイッチS1をオフ状態からオン状態に切り替え、四方弁コイル7cに通電させる。このようにスイッチS1がオン状態に切り替えられた状態で、電源プラグPから見て、四方弁コイル7cと第1抵抗器R1とが、スイッチS1を介して並列接続されている。
【0058】
図5は、スイッチS1が閉じた状態における合成抵抗や電圧V1,V2に関する説明図である。
なお、
図5に示す各素子の接続関係は、スイッチS1が閉じられていること以外は、
図2の接続関係と同一である。また、
図5では、説明を分かりやすくするために、倍電圧整流回路9が備える第1抵抗器R1及び第2抵抗器R2を図示している一方、ダイオードDa,Db,Dc,Dd(
図2参照)の図示を省略している。
【0059】
前記したように、スイッチS1が閉じられると、電源プラグPから見て、四方弁コイル7cと第1抵抗器R1とが並列接続された状態になる。ここで、第1抵抗器R1の抵抗値をR1とし、四方弁コイル7cの抵抗値(インピーダンスの抵抗成分)をRLとすると、四方弁コイル7cと第1抵抗器R1とが並列接続されてなる並列接続体J1の合成抵抗RJは、以下の式(1)で表される。なお、スイッチS1が閉じられた直後の過渡現象においては、四方弁コイル7cに流れる電流の位相遅れ等を考慮する必要は特にない。
【0060】
RJ=(R1・RL)/(R1+RL) ・・・(1)
【0061】
一方、抵抗器Raの抵抗値をRaとし、抵抗器Rbの抵抗値をRbとすると、抵抗器Ra,Rbが直列接続されてなる第2抵抗器R2の合成抵抗RTは、以下の式(2)で表される。
【0062】
RT=Ra+Rb ・・・(2)
【0063】
ここで、前記した式(1)から、合成抵抗RJが抵抗値R1よりも小さくなることは、明らかである。これによって、合成抵抗RTに対して合成抵抗RJが占める比率を小さくすることができる。そして、コンセントTから電源プラグPが抜かれた直後にスイッチS1が閉じられると、XコンデンサCxに蓄えられていた電荷が、第1抵抗器R1や四方弁コイル7cの他、抵抗器Ra,Rbを介して流れる。このように、第1実施形態では、空調運転中に電源プラグPが引き抜かれた直後に、四方弁コイル7c等で放電させるようにしている。
【0064】
また、倍電圧整流回路9において、第1コンデンサC1の電圧V1と、第2コンデンサC2の電圧V2と、の比(V1:V2)は、前記した並列接続体J1の合成抵抗RJと、抵抗器Ra,Rbが直列接続されてなる第2抵抗器R2の合成抵抗RTと、の比(RJ:RT)に等しくなる。つまり、V1:V2=RJ:RTとなる。
【0065】
前記したように、合成抵抗RTに対する合成抵抗RJの比率は、合成抵抗RTに対する抵抗値R1(第1抵抗器R1の単体の抵抗値)の比率よりも小さくなる。その結果、電圧V2に対する電圧V1の比率が小さくなるため、電源プラグPが引き抜かれた直後のプラグ刃Pa,Pb間の残電圧を速やかに低下させることができる。このように、四方弁コイル7cは、XコンデンサCxを放電させる機能の他、分圧比(V1:V2)における電圧V1の値を小さくするという機能も有している。
【0066】
図6は、第1実施形態に係る空気調和機において、プラグ刃間の電圧、ゼロクロス検出回路の出力値、及びスイッチS1の状態の変化を示す図である(適宜、
図2を参照)。
図6の紙面の上から順に、プラグ刃Pa,Pb間の電圧、ゼロクロス検出回路8の出力値、及び、スイッチS1の状態の時間的な変化を示している。
図6の例では、正弦波状の交流電圧が正の期間には、ゼロクロス検出回路8から制御回路12に‘1’の値が出力され、その一方で、交流電圧の極性が負の期間には‘0’の値が出力されている。
【0067】
ここで、交流電源Eから電源プラグPを介して交流電力が供給されているとき、空調運転のリモコン(図示せず)の停止ボタン(図示せず)が押されることなく、時刻t2において、コンセントTから電源プラグPが引き抜かれたとする。
【0068】
図6の例では、電源プラグPが引き抜かれる直前に交流電圧の極性が変化した時刻t1から所定時間Δtが経過しても、プラグ刃Pa,Pb間の電圧の極性が変化していない。この場合、ゼロクロス検出回路8のマイコン82(
図2参照)は、コンセントTから電源プラグPが抜かれたことを示す所定の信号を制御回路12(
図2参照)に出力する。なお、前記した所定時間Δtは、コンセントTから電源プラグPが抜かれたか否かの判定基準となる閾値(例えば、交流電圧の1周期以上の長さの時間閾値)であり、予め設定されている。
【0069】
そして、前記した信号がゼロクロス検出回路8から入力された場合、制御回路12は、スイッチS1をオフ状態からオン状態に切り替える(
図6の時刻t3)。言い換えると、空調運転中に、ゼロクロス検出回路8において交流電圧の極性の切り替わりが検出されなくなった場合、制御回路12は、スイッチS1をオフ状態からオン状態に切り替える。その結果、第1抵抗器R1と四方弁コイル7cとが並列接続された状態になり(
図5参照)、前記した電圧V1,V2における分圧比(V1:V2)の変化や、四方弁コイル7c等における放電によって、時刻t3においてプラグ刃Pa,Pb間の電圧が急激に低下している。
【0070】
ちなみに、スイッチS1が閉じられるまでは、四方弁コイル7cの両端の電圧はゼロである。したがって、四方弁コイル7cが閉じられた直後は、四方弁コイル7cのインダクタンスによって、四方弁コイル7cの両端の電圧をゼロに留めようとする自己誘導が生ずる。このような四方弁コイル7cにおける自己誘導も、
図6の時刻t3におけるプラグ刃Pa,Pb間の電圧の急激な低下に寄与している。
【0071】
そして、コンセントTから電源プラグPが引き抜かれた時刻t2から1秒後の時刻t4には、プラグ刃Pa,Pb間の電圧(残電圧)が閾値Vth(例えば、45[V])よりも低くなっている。この閾値Vthは、電源プラグPが抜かれてから1秒後には、プラグ刃Pa,Pb間の残電圧が当該閾値Vth以下にするように予め設定された電圧閾値である。
【0072】
なお、
図6には図示していないが、
図2に示すコンセントTから電源プラグPが抜かれた後、パワーリレーSa,Sbを介した給電(制御回路12への給電)が遮断されるまで、制御回路12が、スイッチS1をオン状態で維持することが好ましい。これによって、プラグ刃Pa,Pb間の残電圧を略ゼロまで低下させることができる。
なお、コンセントTから電源プラグPが抜かれた場合において、例えば、制御回路12がスイッチS1をオン状態に切り替えてから所定時間の経過後、パワーリレーSa,Sbを介した給電が、室内制御回路(図示せず)によって遮断されるようになっている。
【0073】
また、
図2に示すスイッチS1をオフ状態からオン状態に切り替えた後、ゼロクロス検出回路8において交流電圧の極性の切り替わりが再び検出された場合、制御回路12が、スイッチS1をオン状態からオフ状態に戻すことが好ましい。これによって、四方弁コイル7cで無駄に電力が消費されることを抑制できる。また、倍電圧整流回路9における第1コンデンサC1と第2コンデンサC2との分圧比を元の状態に戻すことができる。
【0074】
<効果>
第1実施形態によれば、空調運転中にコンセントTから電源プラグPが抜かれた場合、制御回路12は、スイッチS1をオン状態に切り替え、四方弁コイル7cに通電させる。これによって、第1抵抗器R1及び四方弁コイル7cの並列接続体J1(
図5参照)の合成抵抗が、第1抵抗器R1の単体の合成抵抗よりも小さくなるため、プラグ刃Pa,Pb間の残電圧を急激に低下させることができる。
【0075】
また、第1抵抗器R1と四方弁コイル7cとが並列接続されることで、倍電圧整流回路9における第1コンデンサCと第2コンデンサC2との分圧比(V1:V2)が変化する。つまり、電圧V2に対する電圧V1の比率が小さくなる。これによって、分圧比(V1:V2)の影響でプラグ刃Pa,Pb間の残電圧の低下速度が緩慢になることを防止できる。
【0076】
ちなみに、
図6には図示していないが、交流電源Eの電圧の極性が負のときに電源プラグPが抜かれた場合には、プラグ刃Pa,Pb間の残電圧が、負の極性から正の極性に転じて、第1コンデンサC1の極板間の電圧までいったん収束した後、徐々に低下して略ゼロになる。ここで、第1実施形態では、スイッチS1を介して四方弁コイル7cを第1抵抗器R1に並列接続することで、前記した第1コンデンサC1の電圧V1を小さくするようにしている。これによって、プラグ刃Pa,Pb間の残電圧を速やかに低下させることができる。
【0077】
また、第1実施形態によれば、電源プラグPのプラグ刃Pa,Pb間の残電圧を低下させるための回路部品として、四方弁コイル7c(
図2参照)が用いられる。このように、四方弁コイル7cという既存の部品が用いられるため、追加の部品を設ける必要がない。また、制御回路12(
図2参照)の出力ポート(図示せず)を増やす必要もなく、さらに、制御回路12において複雑な処理を行う必要も特にない。したがって、空気調和機100の製造コストの増加を招くおそれがほとんどない。このように、第1実施形態によれば、電源プラグPの残電圧を適切に低下させる低コストな空気調和機100を提供できる。
【0078】
≪第2実施形態≫
第2実施形態は、倍電圧整流回路9(
図2参照)に代えて、全波整流回路9A(整流回路:
図7参照)を用いる点が、第1実施形態とは異なっている。なお、その他の構成(空気調和機の全体的な構成等:
図1参照)については、第1実施形態と同様である。したがって、第1実施形態とは異なる部分について説明し、重複する部分については説明を省略する。
【0079】
図7は、第2実施形態に係る空気調和機100Aの電力系の回路図である。
図7に示すように、空気調和機100Aは、電力系の構成として、全波整流回路9A等を備えている。全波整流回路9Aは、交流電源Eから電力線ga,gbを介して供給される交流電流を全波整流する回路である。全波整流回路9Aは、複数の(
図7の例では4つの)ダイオードDe,Df,Dg,Dhがブリッジ形に接続された構成になっている。
【0080】
すなわち、全波整流回路9AのダイオードDeは、電力線gaに設けられ、電源プラグPから電力線gaを介して平滑コンデンサCmに向かう電流の流れを許容し、逆向きの流れを禁止するように接続されている。ダイオードDfは、配線gcに設けられ、アノードが配線gcを介して接地され、カソードがダイオードDeのアノードに接続されている。
【0081】
ダイオードDgは、アノードが電力線gbに接続され、カソードが電力線gaに接続されている。ダイオードDhは、アノードが配線gcを介して接地され、カソードがダイオードDgのアノードに接続されるとともに、電力線gbに接続されている。
そして、交流電圧の極性が正の期間にはダイオードDe,Dhを順次に介して電流が流れ、交流電圧の極性が負の期間にはダイオードDg,Dfを順次に介して電流が流れるようになっている。
【0082】
なお、ゼロクロス検出回路8や制御回路12が実行する処理は、第1実施形態と同様であるから、その説明を省略する。
【0083】
図8は、第2実施形態に係る空気調和機において、プラグ刃間の電圧、ゼロクロス検出回路の出力値、及びスイッチの状態の変化を示す図である(適宜、
図7を参照)。
図8の紙面の上から順に、プラグ刃Pa,Pb間の電圧、ゼロクロス検出回路8の出力値、及び、スイッチS1の状態の時間的な変化を示している。また、交流電源Eから電源プラグPを介して交流電力が供給されているとき、空調運転のリモコン(図示せず)の停止ボタン(図示せず)が押されることなく、時刻t12において、コンセントTから電源プラグPが引き抜かれたものとする。
【0084】
図8の例では、電源プラグPが引き抜かれる直前に交流電圧の極性が変化した時刻t11から所定時間Δtが経過しても、プラグ刃Pa,Pb間の電圧の極性が変化していない。この場合、ゼロクロス検出回路8のマイコン82(
図7参照)は、コンセントTから電源プラグPが抜かれたことを示す所定の信号を制御回路12(
図7参照)に出力する。
【0085】
そして、前記した信号がゼロクロス検出回路8から入力された場合、制御回路12は、スイッチS1をオフ状態からオン状態に切り替える(
図8の時刻t13)。すなわち、ゼロクロス検出回路8において交流電圧の極性の切り替わりが検出されなくなった場合、制御回路12は、スイッチS1をオフ状態からオン状態に切り替える。これによって、第1抵抗器R1と四方弁コイル7cとが並列接続された状態になる。その結果、四方弁コイル7c等における放電によって、時刻t13の直後にプラグ刃Pa,Pb間の電圧が急勾配で低下している。そして、コンセントTから電源プラグPが引き抜かれた時刻t12から1秒後の時刻t14には、プラグ刃Pa,Pb間の電圧(残電圧)が閾値V
th(例えば、45[V])よりも低くなっている。
【0086】
<効果>
第2実施形態によれば、コンセントTから電源プラグPが抜かれた場合、制御回路12は、スイッチS1をオン状態に切り替え、四方弁コイル7cに通電させる。これによって、第1抵抗器R1及び四方弁コイル7cの並列接続体の合成抵抗が、第1抵抗器R1の単体の合成抵抗よりも小さくなるため、プラグ刃Pa,Pb間の残電圧を速やかに低下させることができる。
【0087】
≪変形例≫
以上、本発明に係る空気調和機100,100Aについて各実施形態により説明したが、本発明はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
例えば、各実施形態では、空調運転中にコンセントTから電源プラグPが抜かれる場合について説明したが、これに限らない。
すなわち、リモコン(図示せず)の操作等によって空調運転が停止された後であって、パワーリレーSa,Sbが遮断される前に電源プラグPが抜かれた場合にも、各実施形態を適用できる。具体的には、パワーリレーSa,Sbが接続された状態での空調停止中に、コンセントTから電源プラグPが抜かれた場合(つまり、交流電圧の極性の切り替わりが検出されなくなった場合)、制御回路12(制御部)は、スイッチS1をオフ状態からオン状態に切り替え、四方弁コイル7cに通電させる。このようにスイッチS1がオン状態に切り替えられた状態で、電源プラグPから見て、四方弁コイル7cと第1抵抗器R1とが、スイッチS1を介して並列接続される。このような制御でも、プラグ刃Pa,Pb間の残電圧を速やかに低下させることができる。
【0088】
また、各実施形態では、コンセントTから電源プラグPが抜かれた後、パワーリレーSa,Sbを介した給電が遮断されるまで、制御回路12がスイッチS1をオン状態で維持する処理について説明したが、これに限らない。例えば、制御回路12が、スイッチS1をオフ状態からオン状態に切り替えてから所定時間が経過した後、スイッチS1をオン状態からオフ状態に戻すようにしてもよい。ここで、「所定時間」は、例えば、電源プラグPが実際に抜かれてからパワーリレーSa,Sbの遮断までに要する時間よりも短く、また、XコンデンサCxの放電に要する時間よりも長い所定の時間であり、予め設定されている。これによって、パワーリレーSa,Sbが再び接続されたとき、四方弁コイル7cの通電に伴う無駄な消費電力を削減できる。
【0089】
また、各実施形態では、室内機Ui側に電源プラグP(
図2参照)やパワーリレーSa,Sb(
図2参照)が設けられる構成に説明したが、これに限らない。すなわち、室外機Uo側に電源プラグPやパワーリレーSa,Sbが設けられていてもよい。
【0090】
また、各実施形態では、ゼロクロス検出回路8(
図2参照)のマイコン82と、制御回路12(
図2参照)と、が別々に設けられる構成について説明したが、これに限らない。例えば、制御回路12がマイコン82に含まれるようにしてもよい。また、四方弁コイル7cの通電に関する処理をマイコン82が実行するようにしてもよい。
【0091】
また、各実施形態で説明した四方弁コイル7cに別の抵抗器(図示せず)が予め並列接続又は直列接続されていてもよい。このような構成も、スイッチS1がオン状態である場合において、電源プラグPから見て、四方弁コイル7cと第1抵抗器R1とが、スイッチS1を介して「並列接続」されている、という事項に含まれる。
【0092】
また、四方弁コイル7cに所定の四方弁駆動回路(不図示の整流回路を含む。)が接続されていてもよい。このような構成も、スイッチS1がオン状態である場合において、電源プラグPから見て、四方弁コイル7cと第1抵抗器R1とが、スイッチS1を介して「並列接続」されている、という事項に含まれる。
また、各実施形態では、四方弁7として、冷房サイクル及び暖房サイクルのうち一方から他方への切替時や、電源プラグPが抜かれたときに四方弁コイル7cに通電させる場合について説明したが、これに限らない。すなわち、四方弁7として、常時通電型のものを用いてもよい。
【0093】
また、各実施形態(
図6、
図8参照)では、正弦波状の交流電圧が正の期間には、ゼロクロス検出回路8から制御回路12に‘1’の値が出力される一方、交流電圧の極性が負の期間には‘0’の値が出力される場合について説明したが、これに限らない。すなわち、交流電圧の極性が区別するように、ゼロクロス検出回路8の出力値が設計段階で適宜に設定されるようにしてもよい。また、電源プラグPがコンセントTから抜かれたことを検知する「検知回路」として、ゼロクロス検出回路8とは異なる所定の回路を用いるようにしてもよい。
【0094】
また、第1実施形態では、倍電圧整流回路9(
図2参照)が4つのダイオードDa,Db,Dc,Ddを備える構成について説明したが、これに限らない。すなわち、第1コンデンサC1と第2コンデンサC2とが直列接続されてなる直列接続体を少なくとも有する別の回路構成の倍電圧整流回路(図示せず)を用いてもよい。その一例として、第1実施形態の倍電圧整流回路9から保護用のダイオードDc,Ddを省略してもよい。このような構成でも、第1実施形態と同様の効果が奏される。
【0095】
また、第1実施形態で説明した倍電圧整流回路9(
図2参照)や全波整流回路9A(
図7参照)は一例であって、他の種類の「整流回路」が用いられてもよい。
【0096】
また、各実施形態では、電力線ga(
図2参照)にパワーリレーSaが設けられ、また、電力線gb(
図2参照)にパワーリレーSbが設けられる構成について説明したが、これに限らない。例えば、電力線gaにパワーリレーSaが設けられる一方、電力線gbにはパワーリレーが設けられない構成であってもよい。
【0097】
また、各実施形態では、電力系において配線gc(
図2参照)が接地される構成について説明したが、これに限らない。すなわち、接地対象となる配線等は、適宜に変更可能である。また、各実施形態では、室内機Ui(
図1参照)及び室外機Uo(
図1参照)を一台ずつ備える空気調和機100,100Aについて説明したが、これに限らない。すなわち、ルームエアコンの他、他の種類の空気調和機にも各実施形態を適用できる。
【0098】
また、各実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に記載したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、前記した機構や構成は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての機構や構成を示しているとは限らない。
【符号の説明】
【0099】
1 圧縮機(機器)
1a 圧縮機モータ(モータ)
2 室外熱交換器
3 室外ファン(機器)
3a 室外ファンモータ(モータ)
4 室内熱交換器
5 室内ファン(機器)
6 膨張弁(機器)
7 四方弁(機器)
7a 本体
7b 弁体
7c 四方弁コイル
8 ゼロクロス検出回路(検知回路)
9 倍電圧整流回路(整流回路)
9A 全波整流回路(整流回路)
91 直列接続体
10 インバータ回路
11 電源回路
12 制御回路(制御部)
100,100A 空気調和機
C1 第1コンデンサ
C2 第2コンデンサ
Cm 平滑コンデンサ
Cx Xコンデンサ
Da,Db,Dc,Dd ダイオード
De,Df,Dg,Dh ダイオード(複数のダイオード)
E 交流電源
f 中間接続点
g 給電経路
ga 電力線(一対の電力線の一方)
gb 電力線(一対の電力線の他方)
J1 並列接続体
M モータ
P 電源プラグ
Q 冷媒回路
R1 第1抵抗器
R2 第2抵抗器
R2h 一端(第2抵抗器の一端)
R2k 他端(第2抵抗器の他端)
Ra,Rb 抵抗器(第2抵抗器)
S1 スイッチ
Sa,Sb パワーリレー
T コンセント