(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-21
(45)【発行日】2023-09-29
(54)【発明の名称】燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04302 20160101AFI20230922BHJP
H01M 8/12 20160101ALI20230922BHJP
H01M 8/0612 20160101ALI20230922BHJP
H01M 8/04014 20160101ALI20230922BHJP
H01M 8/04746 20160101ALI20230922BHJP
【FI】
H01M8/04302
H01M8/12 101
H01M8/0612
H01M8/04014
H01M8/04746
(21)【出願番号】P 2019222927
(22)【出願日】2019-12-10
【審査請求日】2022-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 雅士
【審査官】笹岡 友陽
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-032986(JP,A)
【文献】国際公開第2017/104213(WO,A1)
【文献】特開2015-135735(JP,A)
【文献】国際公開第2017/104210(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/04302
H01M 8/12
H01M 8/0612
H01M 8/04014
H01M 8/04746
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料供給源からの燃料を改質処理した改質燃料と酸化剤ガス供給源からの酸化剤ガスを固体酸化物形の燃料電池に供給して発電させる燃料電池システムであって、
前記燃料電池を暖機する燃焼ガスを生成する燃焼器と、
前記燃焼器からの燃焼ガスと前記燃料供給源からの燃料との熱交換を行う燃焼器用蒸発器と、
前記燃焼器からの燃焼ガスと前記燃料供給源からの燃料との熱交換を行うことにより、前記燃料の改質処理を行う改質処理装置と、
前記燃焼器からの燃焼ガスと前記酸化剤ガスとの熱交換を行う空気熱交換器と、
前記燃焼器用蒸発器からの燃料を前記燃焼器の上流に供給する第一燃料通路と、
前記燃焼器用蒸発器からの燃料を前記空気熱交換器の上流に供給する第二燃料通路と、
前記燃焼器用蒸発器からの燃焼ガスを少なくとも前記空気熱交換器を介して排気系に排出する排気燃焼ガス通路と、
前記改質処理装置、前記空気熱交換器、及び前記燃焼器用蒸発器のうち少なくとも何れかの高温側通路に触媒を塗布することで構成される補助燃焼部と、
燃料電池システムの始動時に前記燃焼器の状態に応じて少なくとも前記燃料供給源から前記燃焼器用蒸発器への燃料供給を制御する制御装置と、を備えた、
燃料電池システム。
【請求項2】
請求項1に記載の燃料電池システムであって、
前記第一燃料通路に供給される燃料の供給量が、前記第二燃料通路に供給される燃料の供給量よりも多くなるように構成される
燃料電池システム。
【請求項3】
請求項2に記載の燃料電池システムであって、
前記第一燃料通路と前記第二燃料通路との燃料供給量を調節する燃料供給量調節装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記燃料供給量調節装置を操作することによって、前記第一燃料通路の供給量が前記第二燃料通路の供給量よりも多くなるように制御する、
燃料電池システム。
【請求項4】
請求項3に記載の燃料電池システムであって、
前記制御装置は、前記触媒
の温度検出値を予め定められる耐熱温度以下に維持しつつ、前記燃焼器用蒸発器を通過することで失われる燃焼ガスの熱量を補うように、前記第二燃料通路への燃料の供給量を制御する、
燃料電池システム。
【請求項5】
請求項2に記載の燃料電池システムであって、
前記第一燃料通路に供給される単位時間あたりの燃料の供給量が、前記第二燃料通路に供給される単位時間当たりの燃料の供給量よりも多くなるように、前記第一燃料通路及び前記第二燃料通路の形状が定められる、
燃料電池システム。
【請求項6】
請求項1から請求項5の何れか一項に記載の燃料電池システムであって、
前記改質処理装置、前記空気熱交換器、及び前記燃焼器用蒸発器のうち二つ以上の高温側通路に前記触媒が塗布される、
燃料電池システム。
【請求項7】
請求項1から請求項6の何れか一項に記載の燃料電池システムであって、
前記補助燃焼部に供給される燃料は気化燃料である、
燃料電池システム。
【請求項8】
請求項1から請求項7の何れか一項に記載の燃料電池システムであって、
第一燃料供給器と第二燃料供給器とをさらに備え、
前記第一燃料供給器は、前記燃料供給源から前記第一燃料通路に供給される燃料の供給量を調節し、
前記第二燃料供給器は、前記燃料供給源から前記第二燃料通路に供給される燃料の供給量を調節する、
燃料電池システム。
【請求項9】
請求項8に記載の燃料電池システムであって、
前記第二燃料通路と前記補助燃焼部との間に、前記第二燃料通路から供給される燃料を気化するための燃料気化器をさらに備える、
燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、燃料を改質した改質ガスを燃料電池に供給する燃料電池システムが提案されている。この燃料電池システムでは、燃料電池からの排ガスを利用した燃焼排ガスを生成する燃焼器が設けられており、この燃焼器の下流には、燃焼排ガスによって燃料を温めるための熱交換器と、この熱交換器を通過した燃焼排ガスが供給される改質器とが配置されている。改質器において改質された燃料は、燃料電池に供給されて発電に用いられる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の燃料電池システムでは、燃焼器の下流における熱交換器によって排出ガスの熱が奪われるため、その下流に配置された改質器に供給される排出ガスの温度が低下する。これにより、改質器の速やかな暖機が阻害され、燃料電池システムの始動に時間を要するという問題があった。
【0005】
本発明は、始動の遅れが抑制される燃料電池システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様によれば、燃料供給源からの燃料を改質処理した改質燃料と酸化剤ガス供給源からの酸化剤ガスを固体酸化物形の燃料電池に供給して発電させる燃料電池システムであって、燃料電池を暖機する燃焼ガスを生成する燃焼器と、燃焼器からの燃焼ガスと燃料供給源からの燃料との熱交換を行う燃焼器用蒸発器と、燃焼器からの燃焼ガスと燃料供給源からの燃料との熱交換を行うことにより、燃料の改質処理を行う改質処理装置と、燃焼器からの燃焼ガスと酸化剤ガスとの熱交換を行う空気熱交換器と、燃焼器用蒸発器からの燃料を燃焼器の上流に供給する第一燃料通路と、燃焼器用蒸発器からの燃料を空気熱交換器の上流に供給する第二燃料通路と、燃焼器用蒸発器からの燃焼ガスを少なくとも空気熱交換器を介して排気系に排出する排気燃焼ガス通路と、改質処理装置、空気熱交換器、及び燃焼器用蒸発器のうち少なくとも何れかの高温側通路に触媒を塗布することで構成される補助燃焼部と、燃料電池システムの始動時に燃焼器の状態に応じて少なくとも燃料供給源から燃焼器用蒸発器への燃料供給を制御する制御装置と、を備えた、燃料電池システムが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、燃料電池システムの始動の遅れが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態による燃料電池システムの構成の概要を示す図である。
【
図2】
図2は、本実施形態による燃料電池システムの始動時制御の一例を説明するフローチャートである。
【
図3】
図3は、本実施形態の燃料電池システムの動作を説明するタイミングチャートである。
【
図4】
図4は、第2実施形態による燃料電池システムの構成の概要を示す図である。
【
図5】
図5は、本実施形態による燃料電池システムの始動時制御の一例を説明するフローチャートである。
【
図6】
図6は、本実施形態の燃料電池システムの動作を説明するタイミングチャートである。
【
図7】
図7は、変形例による燃料電池システムの構成の概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について
図1及び
図2を参照して説明する。
【0010】
図1は、本実施形態による燃料電池システム1の構成の概要を示す図である。
【0011】
図1に示す燃料電池システム1は、燃料電池スタック10に対して発電に必要となるアノードガス及びカソードガスを供給し、燃料電池スタック10を電気負荷(車両走行用の電動モータ等)に応じて発電させるシステムである。
【0012】
燃料電池システム1は、燃料電池スタック10にアノードガスを供給するアノードガス供給系統20と、燃料電池スタック10にカソードガスを供給するカソードガス供給系統40と、燃料電池スタック10から排出されたアノードオフガス及びカソードオフガスを排気する排気系統60と、燃料電池システム1のシステム全体の動作を統括的に制御するコントローラ70とを備える。
【0013】
まず、アノードガス供給系統20について説明する。
【0014】
アノードガス供給系統20は、主燃料供給通路21と、副燃料供給通路65と、燃料タンク23と、改質処理装置24と、第1インジェクタ28と、を備える。
【0015】
主燃料供給通路21は、主として、燃料タンク23に貯留されている燃料を燃料電池スタック10へ供給する通路として機能する。
【0016】
改質処理装置24は、主燃料供給通路21を介して燃料供給源である燃料タンク23に接続されている。燃料タンク23には、例えばエタノールなどの燃料が貯留されている。主燃料供給通路21には、燃料タンク23から改質処理装置24へ供給する燃料の量を調節する第1インジェクタ28が設けられている。
【0017】
改質処理装置24は、燃料タンク23から供給される液体燃料を、燃料電池スタック10における発電に用いるために適切な状態とするために改質処理する装置である。改質処理装置24は、改質器用蒸発器30及び改質器31により構成される。
【0018】
改質器用蒸発器30は、燃料タンク23から主燃料供給通路21を介して供給される液体燃料を、後述のアノード側排気燃焼ガス通路66aを介して供給される燃焼ガスとの熱交換によって加熱して気化させる熱交換器である。
【0019】
より詳細には、改質器用蒸発器30は、燃料入口30aから燃料出口30bに向かって流れる燃料と、燃焼ガス入口30cから燃焼ガス出口30dに向かって流れる燃焼ガスと、の熱交換を可能とする内部構造を有する。
【0020】
改質器31は、燃料入口31aから燃料出口31bに向かって流れる気体燃料と、燃焼ガス入口31cから燃焼ガス出口31dに向かって流れる燃焼ガスと、の熱交換を可能とする内部構造を有する。このように、本実施形態の改質器31は、燃焼ガスの保有熱によって、気体燃料を改質反応に適した温度に加熱する。
【0021】
続いて、カソードガス供給系統40について説明する。
【0022】
カソードガス供給系統40は、カソードガス供給通路41と、エアブロア42と、空気熱交換器43と、を備える。
【0023】
カソードガス供給通路41は、主として、エアブロア42からの空気を燃料電池スタック10へ供給する通路として機能する。燃料電池スタック10のカソード極入口10bは、カソードガス供給通路41を介して酸化剤ガス供給源としてのエアブロア42と接続されている。エアブロア42は、コントローラ70による制御に基づいて、燃料電池システム1の運転状態に応じた流量の空気をカソード極入口10bを介して燃料電池スタック10内に供給する。
【0024】
空気熱交換器43は、エアブロア42からの空気を、後述のカソード側排気燃焼ガス通路66bを介して供給される燃焼ガスとの熱交換によって加熱する機能を有する。より詳細には、空気熱交換器43は、空気入口43aから空気出口43bに向かって流れる空気と、燃焼ガス入口43cから燃焼ガス出口43dに向かって流れる燃焼ガスと、の熱交換を可能とする内部構造を有する。
【0025】
燃料電池スタック10は、改質器31からのアノードガス(改質燃料)とエアブロア42からのカソードガス(空気)の供給を受けて発電する。なお、燃料電池スタック10に供給されるアノードガスの流量は第1インジェクタ28により開度を操作することにより調節される。また、燃料電池スタック10に供給されるカソードガスの流量はエアブロア42の出力を操作することにより調節される。
【0026】
続いて、排気系統60について説明する。
【0027】
排気系統60は、オフガス通路62と、第1燃焼器63と、燃焼器用蒸発器64と、排気燃焼ガス通路66と、第2インジェクタ67と、温度センサT1~T5と、排気系68と、第2燃焼器69と、を備える。
【0028】
第1燃焼器63は、オフガス通路62を介して燃料電池スタック10に接続されている。
【0029】
第1燃焼器63は、燃料電池スタック10から排出されるアノードオフガス及びカソードオフガスを燃焼させる装置であって、オフガス通路62に配置される。第1燃焼器63には、燃焼器用蒸発器64において気化された燃料が第1燃料供給通路65aを介して供給される。
【0030】
より詳細には、第1燃焼器63は、上記アノードオフガスなどを触媒燃焼させるための、白金(Pt)及びパラジウム(Pd)などの触媒材料を担持させた触媒部を備える。また、第1燃焼器63には、当該触媒部を加熱するための図示しない電気式のヒータが設けられてもよい。
【0031】
第1燃焼器63の燃焼ガスが排出される排気燃焼ガス通路66には、燃焼器用蒸発器64が接続される。排気燃焼ガス通路66は、分岐部J2において、アノード側排気燃焼ガス通路66aとカソード側排気燃焼ガス通路66bとに分岐する。
【0032】
アノード側排気燃焼ガス通路66aは、燃焼器用蒸発器64の燃焼ガス出口64dと改質器31の燃焼ガス入口31cとを接続する。そして、アノード側排気燃焼ガス通路66aは、改質器31の燃焼ガス出口31dと改質器用蒸発器30の燃焼ガス入口30cとを接続し、改質器用蒸発器30の燃焼ガス出口30dから延びて合流部J5においてカソード側排気燃焼ガス通路66bと合流する。
【0033】
カソード側排気燃焼ガス通路66bは、燃焼器用蒸発器64の燃焼ガス出口64dと空気熱交換器43の燃焼ガス入口43cとを接続する。そして、カソード側排気燃焼ガス通路66bは、空気熱交換器43の燃焼ガス出口43dから延びて合流部J5においてアノード側排気燃焼ガス通路66aと合流する。
【0034】
アノード側排気燃焼ガス通路66aとカソード側排気燃焼ガス通路66bとは合流部J5において合流し、排気燃焼ガス通路66としてマフラなどの排気系68に接続される。
【0035】
燃焼器用蒸発器64は、排気燃焼ガス通路66を介して第1燃焼器63に接続されている。また、燃焼器用蒸発器64は、副燃料供給通路65によって燃料タンク23に接続されている。特に、副燃料供給通路65には、燃料タンク23から燃焼器用蒸発器64へ供給する燃料の量を調節する第2インジェクタ67が設けられている。
【0036】
オフガス通路62は、燃料電池スタック10のアノード極出口10cに接続されるアノードオフガス通路62a、及び燃料電池スタック10のカソード極出口10dに接続されるカソードオフガス通路62bを有する。アノードオフガス通路62aには、燃料電池スタック10のアノード極内からのアノードオフガスが排出される。一方、カソードオフガス通路62bには、燃料電池スタック10のカソード極内からのカソードオフガスが排出される。
【0037】
そして、これらアノードオフガス通路62a及びカソードオフガス通路62bは、それぞれアノード極出口10c及びカソード極出口10dの直後において合流し、一つのオフガス通路62を構成する。
【0038】
燃焼器用蒸発器64は、燃料タンク23から副燃料供給通路65を介して供給される液体燃料を、排気燃焼ガス通路66を介して供給される燃焼ガスとの熱交換によって加熱して気化させる熱交換器である。
【0039】
より詳細には、燃焼器用蒸発器64は、燃料入口64aから燃料出口64bに向かって流れる燃料と、燃焼ガス入口64cから燃焼ガス出口64dに向かって流れる燃焼ガスと、の熱交換を可能とする内部構造を有する。
【0040】
副燃料供給通路65は、この燃焼器用蒸発器64の燃料出口64bから、第1燃焼器63の上流側に接続される第1燃料供給通路65aと、第2燃料供給通路65bと、に分岐する。第2燃料供給通路65bは、合流部J3において、カソード側排気燃焼ガス通路66bに合流する。また、第2燃料供給通路65bに連通する空気熱交換器43の高温側通路には以下で詳述する第2燃焼器69が設けられる。
【0041】
温度センサT1~T5は、排気系統60の各要素の温度を検出するために設けられている。具体的には、温度センサT1は、オフガス通路62における合流部J1の下流であって第1燃焼器63の上流に設けられる。すなわち、温度センサT1は、第1燃焼器63の入口の温度を検出するセンサとして機能する。温度センサT2は、排気燃焼ガス通路66における第1燃焼器63の下流且つ燃焼器用蒸発器64の上流に設けられる。すなわち、温度センサT3は、第1燃焼器63の出口の温度を検出するセンサとして機能する。
【0042】
温度センサT3は、カソード側排気燃焼ガス通路66bにおける第2燃料供給通路65bとの合流部J3の下流に設けられる。すなわち、温度センサT3は、第2燃焼器69の入口の温度を検出するセンサとして機能する。温度センサT4は、排気燃焼ガス通路66における分岐部J2と合流部J3の間に設けられる。すなわち、温度センサT4は、燃焼器用蒸発器64の排気燃焼ガス通路66における出口の温度を検出するセンサとして機能する。
【0043】
さらに、温度センサT5は、カソード側排気燃焼ガス通路66bにおける空気熱交換器43の下流且つ合流部J5の上流に設けられている。すなわち、温度センサT5は、空気熱交換器43の燃焼ガス出口43dの温度を検出するセンサとして機能する。
【0044】
ここで、上記のような本実施形態の燃料電池システム1における第2燃焼器69の構成についてより詳細に説明する。
【0045】
上記したように、本実施形態の第2燃焼器69は、第2燃料供給通路65bに連通する空気熱交換器43の内部の通路の少なくとも一部に構成される。より詳細には、本実施形態の第2燃焼器69は、空気熱交換器43の高温側通路の少なくとも一部を燃焼反応ための経路として利用することで構成されるものである。
【0046】
ここで、本実施形態の第2燃焼器69は、空気熱交換器43の高温側通路を構成する配管の内面に燃焼触媒が塗布されて構成されている。より詳細には、本実施形態の第2燃焼器69では、燃焼触媒が第2燃料供給通路65bに連通する空気熱交換器43の内部のチューブやプレートの表面に塗布される。このような構成により、燃焼器用蒸発器64において気化された気化燃料がこの燃焼触媒が塗布された領域において空気と反応して燃焼する。特に、燃焼反応をより活性化するために、第2燃焼器69は、空気熱交換器43の高温側(カソード側排気燃焼ガス通路66bにおける上流)に構成されている。
【0047】
そして、燃焼器用蒸発器64において加熱された気化燃料は、合流部J3において排気燃焼ガス通路66からの排出ガスと合流して混合ガスとなり、空気熱交換器43の燃焼ガス入口43cから空気熱交換器43に供給される。空気熱交換器43は、供給された混合ガスの保有熱により、エアブロア42からの空気を加熱する。そして、空気熱交換器43において昇温された空気は燃料電池スタック10のカソード極入口10bから供給されて、燃料電池スタック10における発電に用いられる。したがって、第2燃焼器69が設けられることによって、空気熱交換器43に供給される空気を加熱するガスには、第2燃焼器69における燃焼による生成熱相当の熱量が加えられることとなる。このため、第2燃焼器69が設けられない場合と比較してより確実に所望の温度に加熱された空気を燃料電池スタック10に供給することができる。
【0048】
特に、本実施形態では、主として、空気熱交換器43の高温側のチューブやプレートに燃焼触媒を塗布することで第2燃焼器69を構成している。すなわち、第1燃焼器63における燃焼通路のようにハニカム構造などの燃焼を促進させるための専用の通路構造を用いることなく、既存のカソード側排気燃焼ガス通路66bに対する簡易な改良により、上記した燃料電池スタック10に供給する空気に対するより確実な加熱を実現することができる。なお、この第2燃焼器69は、空気熱交換器43に連通する高温側通路であるカソード側排気燃焼ガス通路66b及び第2燃料供給通路65bの少なくとも一部に亘って設けられてもよい。
【0049】
一方、第2燃焼器69は、通路に燃焼触媒を塗布した構造であるため、例えば第1燃焼器63のようにガスと燃焼触媒の接触面積を大きくするためのハニカム構造などの通路構造により構成される燃焼器と比較して、燃焼反応に供する面積が小さい。このため、第2燃焼器69による燃焼が適切に実行される観点から受け入れ可能な燃料量は、第1燃焼器63のそれに比べて少なくなる。したがって、第2燃焼器69に供給する燃料の量を、第1燃焼器63に供給する燃料の量よりも少なくすることが望ましい。この観点から、本実施形態の燃料電池システム1では、第2燃料供給通路65bに供給される燃料の供給量は、第1燃料供給通路65aに供給される燃料の供給量よりも少なくなるように制御される構成となっている。
【0050】
特に、本実施形態では、第1燃料供給通路65aへの燃料供給量及び第2燃料供給通路65bへの燃料供給量を第2燃料供給通路65bに設けられる開閉弁V1の開度操作により調節する。より詳細には、コントローラ70は、開閉弁V1の開度を調節することによって、第1燃料供給通路65aの燃料の流量を第2燃料供給通路65bの流量よりも大きくなるように調節する。
【0051】
そして、このように、第2燃焼器69を構成する空気熱交換器43の高温側通路への燃料供給量を第1燃料供給通路65aへの燃料供給量に比べて少なくしても、当該第2燃焼器69における燃焼によって、燃焼器用蒸発器64を経て温度が低下した後に空気熱交換器43に供給されるガスの温度(すなわち、カソード側排気燃焼ガス通路66bにおけるガス温度)を回復させるために要求される程度の生成熱を好適に確保することができる。
【0052】
なお、第2燃料供給通路65bに供給される燃料は、燃焼効率を向上させる観点から、気化燃料であることが望ましい。この観点から、例えば、燃焼器用蒸発器64の温度に応じて熱交換により燃料に与えられる熱量に応じて、当該熱量により好適に気化される量の燃料が第2燃料供給通路65bに供給されるように、第2インジェクタ67の開度を調節する制御を採用しても良い。
【0053】
コントローラ70は、CPU等の各種演算・制御装置、ROM及びRAM等の各種記憶装置、並びに入出力インターフェース等を備えるマイクロコンピュータからなる電子制御ユニットとして構成されている。
【0054】
本実施形態のコントローラ70は、燃料電池システム1の運転状態(特に各温度センサから取得した検出値)に応じて、改質器31への燃料供給、第1燃焼器63への燃料供給、第2燃焼器69への燃料供給、燃焼器用蒸発器64への燃料供給、及び空気流量を制御するようにプログラムされている。
【0055】
より詳細には、本実施形態のコントローラ70は、燃料電池システム1の運転状態に応じて設定される第1燃焼器63の温度の目標値及び第2燃焼器69の温度の目標値に応じた空気流量が実現されるように、エアブロア42の出力を操作する。さらに、コントローラ70は、設定された空気流量及び現在の運転状態などに応じて、第1インジェクタ28及び第2インジェクタ67の開度を操作するようにプログラムされている。
【0056】
特に、本実施形態のコントローラ70は、燃料電池システム1の始動時(以下、単に「始動時」とも記載する)に第1燃焼器63及び第2燃焼器69の状態に応じて燃料タンク23から燃焼器用蒸発器64への燃料供給を制御する。
【0057】
特に、本実施形態では、コントローラ70は、システム始動時において、少なくとも燃焼器用蒸発器64が燃料を好適に気化させる観点から定まる蒸発可能温度TVに達するとともに第1燃焼器温度及び第2燃焼器温度の双方が燃焼可能となる温度であるライトオフ温度T1L,T2Lに達してから、燃料タンク23から副燃料供給通路65を介して燃焼器用蒸発器64に燃料が供給されるように第2インジェクタ67を操作する。
【0058】
したがって、本実施形態の燃料電池システム1によれば、システム始動時において、燃料は、燃焼器用蒸発器64において第1燃焼器63からの燃焼ガスとの熱交換で加熱されて、副燃料供給通路65及び第1燃料供給通路65aを介して第1燃焼器63に燃料が供給されることとなる。
【0059】
すなわち、本実施形態の燃料電池システム1の構成によれば、第1燃焼器63の生成熱の一部を再び第1燃焼器63に戻す熱ループを実現することができる。
【0060】
次に、本実施形態の燃料電池システム1の始動時制御について説明する。
図2は、コントローラ70による燃料電池システム1の始動時制御の手順を示すフローチャートである。
【0061】
この始動時制御は、燃料電池システム1の始動時にコントローラ70によって実行される。ここにいうシステム始動時とは、燃料電池システム1の運転が停止している状態(燃料電池スタック10を含む燃料電池システム1内の各要素の動作が停止している状態)において、コントローラ70が外部からのシステム始動指令を検出したことをトリガとして、改質器31、燃料電池スタック10、及び燃焼器16等の燃料電池システム1内の要素をそれぞれの作動に適した所望温度に昇温させるプロセス(燃料電池システム1の起動のための暖機運転)が実行されている期間を指す。なお、システム始動時には、燃料電池スタック10の非発電状態(アイドルストップ状態)からの復帰の際の暖機運転の期間も含まれ得る。
【0062】
コントローラ70は、ユーザの所定の操作などをトリガとする燃料電池システム1の始動指令を検出すると、
図2に示される始動時制御を開始する。
【0063】
ステップS101において、コントローラ70は、第1燃焼器63に付属するヒータ(オフガス通路62のガスを加熱するように設けられたヒータ)を用いて第1燃焼器63、第2燃焼器69、及び燃焼器用蒸発器64を暖機するプレ暖機処理を実行する。具体的に、コントローラ70は、上記ヒータに予め設定される所望の流量の空気を供給するようにエアブロア42の出力を調節する。
【0064】
そして、コントローラ70は、ステップS102において、燃焼器用蒸発器64が上記蒸発可能温度以上であって、且つ第2燃焼器69の温度がライトオフ温度T2L以上か否かを判定する。
【0065】
そして、コントローラ70は、ステップS102の判定結果が肯定的である場合に、ステップS103の処理に進み、第1燃焼器63及び第2燃焼器69に対する本暖機処理を開始する。
【0066】
この本暖機処理において、コントローラ70は、第1燃焼器63の温度及び第2燃焼器69の温度のそれぞれが予め定められる目標温度に到達するように、第1燃焼器63及び第2燃焼器69への燃料供給量(第2インジェクタ67の開度及び開閉弁V1の開度)、及びエアブロア42の出力(第1燃焼器63及び第2燃焼器69への空気供給量)を調節する。
【0067】
特に、コントローラ70は、第1燃料供給通路65aに供給される燃料の供給量が、第2燃料供給通路65bに供給される燃料の供給量よりも多くなるように開閉弁V1を操作する。
【0068】
なお、本実施形態では、上記のようにヒータは第1燃焼器63に付属して設けられる。このため、本実施形態のプレ暖機処理においては、ヒータに対して相対的に近い位置の第1燃焼器63の昇温速度は、相対的に遠い位置の第2燃焼器69の昇温速度よりも大きくなる。したがって、第2燃焼器69の温度がライトオフ温度T2Lに到達するよりも早く第1燃焼器63の温度がライトオフ温度T1Lに到達する。
【0069】
この点を考慮して、本実施形態では、第2燃焼器69の温度がライトオフ温度T2Lに達した判断された場合には、第1燃焼器63及び第2燃焼器69の温度の双方がライトオフ温度T1L,T2Lに達したとみなして各燃焼器への燃料供給が開始される本暖機処理に移行する。すなわち、本実施形態の燃料電池システム1の構成であれば、第1燃焼器63及び第2燃焼器69の双方がライトオフ温度T1L,T2Lに達するタイミングを、第2燃焼器69の温度のみから適切に判断することができる。これにより、制御ロジックの簡素化を図ることができるとともに、適宜、第1燃焼器63の温度を検出するためのセンサ類を省略して製造コストの低減を図ることもできる。
【0070】
そして、コントローラ70は、本暖機処理を完了した後に、適宜、ステップS104に示される通常運転に移行する。通常運転では、少なくとも、第1燃焼器63の温度が通常運転可能温度T1Cに到達し、かつ第2燃焼器69の温度が通常運転可能温度T2Cに到達している。また、コントローラ70は、システム外部からの要求に応じて定まる燃料電池スタック10の目標出力に応じた供給空気流量及び供給燃料量を実現するように、第1インジェクタ28の開度及びエアブロア42の出力を調節する。
【0071】
続いて、
図3のタイミングチャートを参照して、上記の発電制御処理について説明する。
図3は、本実施形態の各部の作動状態を時系列に示すタイミングチャートである。
【0072】
図3のタイミングチャートでは、上から順に、カソードガスの流量の変化、第1燃料供給通路65aの燃料流量の変化、第2燃料供給通路65bの燃料流量の変化、ヒータの出力電力の変化、及び各要素の温度の変化が示されている。なお、本実施形態では、コントローラ70は、一例として、第1燃焼器63の温度を温度センサT2に基づいて検出し、燃焼器用蒸発器64の温度を温度センサT4に基づいて検出し、また第2燃焼器69の温度を温度センサT5に基づいて検出するものとする。
【0073】
時刻t1において、プレ暖機処理(ステップS103)が開始されることで、第1燃焼器63、燃焼器用蒸発器64、及び第2燃焼器69のそれぞれの温度が上昇し始める。
【0074】
時刻t2において、相対的にヒータに近い位置に設けられている第1燃焼器63の温度がライトオフ温度T1Lに達する。その後、時刻t3において、第1燃焼器63の排気燃焼ガス通路66において下流に配置される燃焼器用蒸発器64の温度が燃料を気化することができる蒸発可能温度TVに達する。さらにその後、時刻t4において、第2燃焼器69の温度がライトオフ温度T2Lに達する。
【0075】
そして、時刻t4において本暖機処理(ステップS103)に移行する。したがって、第1燃焼器63の燃焼による生成熱及び第2燃焼器69の燃焼による生成熱によって、燃料電池システム1における各要素(特に、空気熱交換器43、第1燃焼器63、第2燃焼器69、燃焼器用蒸発器64、燃料電池スタック10、及び改質処理装置24)の温度が徐々に上昇することとなる。
【0076】
特に、
図3に示されるように、本暖機処理中において、第1燃料供給通路65aの燃料供給量は第2燃料供給通路65bの燃料供給量よりも多くなるように調節されている。
【0077】
なお、本実施形態では、本暖機処理中においては、第1燃焼器63からの燃焼ガスの保有熱に対して第2燃焼器69における燃焼による生成熱が上乗せされて空気熱交換器43に供給されることとなる。これにより、第1燃焼器63からの燃焼ガスの保有熱が燃焼器用蒸発器64における熱交換により奪われたとしても、空気熱交換器43に供給すべき熱量を確保することができる。
【0078】
なお、
図3では、時刻t4の後、一時的に燃焼器用蒸発器64の温度が低下しているが、これは燃料タンク23から供給された低温の燃料による影響である。したがって、本実施形態では、
図3に示すように、このような低温の燃料の供給を開始することに起因した急激な温度変化を抑制する観点から、第1燃焼器63及び第2燃焼器69に対する燃料供給量を段階的に増加させている。
【0079】
なお、本実施形態では、上記のように、第1燃料供給通路65aに供給される燃料の供給量を第2燃料供給通路65bに供給される燃料の供給量よりも多く設定するための具体的な手段として、コントローラ70による開閉弁V1の開度制御を行っている。しかしながら、これに限られず、例えば、第1燃料供給通路65a及び第2燃料供給通路65bのそれぞれの流路径の調整、又は第2燃料供給通路65bにオリフィスを設けるなどの各燃料供給路の構造そのものを変更することによって、上記燃料の供給量の大小関係を実現してもよい。
【0080】
また、上記の実施形態では、空気熱交換器43の高温側通路に触媒が塗布されている。しかしながら、これに代えて又はこれとともに、第1燃焼器63の下流に配置されている改質器31の高温側通路であるアノード側排気燃焼ガス通路66a、又は燃焼器用蒸発器64の高温側通路である排気燃焼ガス通路66に触媒を設ける構成を採用しても良い。
【0081】
また、上記実施形態においては、第1燃焼器63の温度、燃焼器用蒸発器64の温度、及び第2燃焼器69の温度を、それぞれ一つの温度センサの値に基づいて検出する構成が例示されている。しかしながら、上記の各構成の温度は、それぞれ複数の温度センサの値に基づいて各構成の温度を検出されてもよい。例えば、第1燃焼器63の温度に関して、入口温度を示す温度センサT1と出口温度を示す温度センサT2とから、第1燃焼器63の温度が推定されてもよい。
【0082】
以上説明した本実施形態の燃料電池システム1によれば、以下の作用効果を奏する。
【0083】
本実施形態の燃料電池システム1は、燃料タンク(燃料供給源)23からの燃料を改質処理した改質燃料とエアブロア(酸化剤ガス供給源)42からの酸化剤ガスを固体酸化物形の燃料電池スタック(燃料電池)10に供給して発電させる燃料電池システム1である。燃料電池システム1は、燃料電池スタック10を暖機する燃焼ガスを生成する第1燃焼器63と、第1燃焼器63からの燃焼ガスと燃料タンク23からの燃料との熱交換を行う燃焼器用蒸発器64と、第1燃焼器63からの燃焼ガスと燃料タンク23からの燃料との熱交換を行うことにより、燃料の改質処理を行う改質処理装置24と、第1燃焼器63からの燃焼ガスとカソードガス(酸化剤ガス)との熱交換を行う空気熱交換器43と、燃焼器用蒸発器64からの燃料を、第1燃焼器63の上流に供給する第1燃料通路(第一燃料通路)65aと、燃焼器用蒸発器64からの燃料を、空気熱交換器43の上流に供給する第2燃料通路(第二燃料通路)65bと、燃焼器用蒸発器64からの燃焼ガスを少なくとも空気熱交換器43を介して排気系68に排出する排気燃焼ガス通路66と、空気熱交換器43の高温側通路(空気熱交換器43内部の高温ガス通路)に触媒を塗布することで構成される補助燃焼部としての第2燃焼器69と、燃料電池システム1の始動時に第1燃焼器63の状態に応じて少なくとも燃料タンク23から燃焼器用蒸発器64への燃料供給を制御するコントローラ(制御装置)70と、を備える。
【0084】
このように、本実施形態の燃料電池システム1によれば、空気熱交換器43の高温側通路である空気熱交換器43の内部のチューブやプレートに燃焼触媒が塗布されることによって、この高温側通路が第2燃焼器69として機能する。これにより、燃焼器用蒸発器64を通過することによって失われた燃焼ガスの熱量を補填することができるので、空気熱交換器43に所望の熱量を供給することができる。
【0085】
具体的には、比較例としての
図8に示されるように、第1燃焼器63から排出される燃焼ガスは燃焼器用蒸発器64において熱交換された後、空気熱交換器43に流入する。したがって、燃焼器用蒸発器64において温度が低下した燃焼ガスが空気熱交換器43に供給される。これに対して、本実施形態の燃料電池システム1では、空気熱交換器43の高温側の通路であるカソード側排気燃焼ガス通路66bに塗布された燃焼触媒によって生じる熱により、空気熱交換器43に対して所望の熱量を供給することができる。
【0086】
このように、本実施形態の燃料電池システム1によれば、燃焼器用蒸発器64を経ることによって燃焼ガスの熱量が低下したとしても、第2燃焼器69における燃焼による熱が追加されるため、空気熱交換器43において所望の熱量が確保される。
【0087】
なお、上記したように、補助燃焼部としての第2燃焼器69は、燃焼器用蒸発器64又は改質器31の高温側通路に形成されてもよい。この場合においても、燃焼器用蒸発器64又は改質器31の第2燃焼器69において燃焼が生じて発熱するため、燃焼器用蒸発器64又は改質器31に対して高温の燃焼ガスを供給することができる。
【0088】
さらに、このように、既存の通路や熱交換路を利用して第2燃焼器69を構成することができるので、相対的に大型の燃焼器を設ける必要がない。これにより、レイアウトに余裕ができるため、第2燃焼器69に供給される燃料と空気との混合距離を稼ぐことができる。このため、通常の燃焼器のように、ハニカム構造などの特殊な流路形状を用いずとも、燃焼反応を効率的に実行する観点から好適な燃料と空気との混合作用を得ることができる。特に、このように第2燃焼器69が一定距離以上の長さに亘って構成されることで、燃焼時の生成熱が当該長さ領域に分散して生じることとなる。このため、特定領域における熱集中の発生が抑制されるため、第2燃焼器69の熱劣化を抑制してその耐用年数を向上させることができる。さらに、特殊な流路形状が要求されないので、簡素且つ低コストに第2燃焼器69を構成することができる。
【0089】
また、本実施形態の燃料電池システム1は、第1燃料供給通路65a(第一燃料通路)に供給される燃料の供給量が、第2燃料供給通路65b(第二燃料通路)に供給される燃料の供給量よりも多くなるように構成される。
【0090】
上記のように、第2燃焼器69は通路に塗布された燃焼触媒によって構成されるため、ハニカム構造などの特殊な流路形状を有する燃焼器と比較して燃焼反応に寄与する面積が小さくなる傾向にある。したがって、第2燃焼器69において許容される燃料供給量の上限は第1燃焼器63のそれと比べて小さくなる。このため、第2燃料供給通路65bへの燃料供給量を、第1燃料供給通路65aへの燃料供給量よりも少なくすることによって、より確実に第2燃焼器69への燃料供給量を許容上限以下に抑えることができ、第2燃焼器69においても好適に燃焼反応を生じさせることができる。
【0091】
また、本実施形態の燃料電池システム1は、第1燃料通路(第一燃料通路)65aと第2燃料通路(第二燃料通路)65bとの燃料供給量を調節する開閉弁(燃料供給量調節装置)V1をさらに備える。コントローラ(制御装置)70は、開閉弁V1を操作することによって、第1燃料供給通路65aの供給量が第2燃料供給通路65bの供給量よりも多くなるように制御する。
【0092】
このように、通路に開閉弁V1を設ける簡易な構成によって、第1燃焼器63及び第2燃焼器69に供給される燃料の流量を調節することができる。
【0093】
また、本実施形態の燃料電池システム1において、第1燃料供給通路65aに供給される単位時間あたりの燃料の供給量が、第2燃料供給通路65bに供給される単位時間当たりの燃料の供給量よりも多くなるように、第1燃料供給通路65a及び第2燃料供給通路65bの通路の形状を定めても良い。
【0094】
このように、二つの燃料供給路にそれぞれ所望の流量の燃料が供給されるように、それぞれの通路の形状が定められることにより、電気的な制御を要さずに、第1燃焼器63及び第2燃焼器69の燃料供給量を調節することもできる。
【0095】
また、本実施形態の燃料電池システム1では、改質器31、空気熱交換器43、及び燃焼器用蒸発器64のうち二つ以上の熱交換器の高温側通路に触媒が塗布されることが望ましい。
【0096】
このように、改質器31、空気熱交換器43、及び燃焼器用蒸発器64のうち二つ以上の熱交換器の高温側の通路に触媒が塗布されることによって、これらの内の何れかの高温側の通路に触媒を塗布する場合と比較して触媒の塗布面積が向上するため、一定の触媒容積に対する単位時間当たりの燃料の処理量(SV比)を向上させることができる。
【0097】
また、本実施形態の燃料電池システム1では、第2燃焼器69に供給される燃料は気化燃料であることが望ましい。
【0098】
このように、気化燃料が第2燃焼器69に供給されることによって、第2燃焼器69において高効率で燃焼反応が生じるため、液体燃料を燃焼するよりも多くの熱量が生じる。これにより、空気熱交換器43に追加される熱量が増加し、結果として燃料電池システム1の暖機を促進することができる。
【0099】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る燃料電池システム1について説明する。なお、第1実施形態と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0100】
図4は本実施形態の燃料電池システム1の構成の概要を示す図である。
図4に示されるように、本実施形態の燃料電池システム1は、第1実施形態の構成に対して第2燃焼器用蒸発器80、第3燃料供給通路81、及び第3インジェクタ82が追加されている。
【0101】
第2燃焼器用蒸発器80は、燃料タンク23から第3燃料供給通路81を介して供給される液体燃料を、カソード側排気燃焼ガス通路66bを介して供給される燃焼ガスとの熱交換によって加熱して気化させる熱交換器である。
【0102】
より詳細には、第2燃焼器用蒸発器80は、燃料入口80aが第3燃料供給通路81を介して燃料タンク23に接続される。また、第2燃焼器用蒸発器80の燃料出口80bは、合流部J3において、第3燃料供給通路81を介してカソード側排気燃焼ガス通路66bに接続される。
【0103】
また、第2燃焼器用蒸発器80の燃焼ガス入口80cは、カソード側排気燃焼ガス通路66bを介して燃焼器用蒸発器64の燃焼ガス出口64dに接続される。燃焼ガス出口80dは、カソード側排気燃焼ガス通路66bを介して空気熱交換器43の燃焼ガス入口43cに接続される。
【0104】
このように、第2燃焼器用蒸発器80は、燃料入口80aから燃料出口80bに向かって流れる燃料と、燃焼ガス入口80cから燃焼ガス出口80dに向かって流れる燃焼ガスと、の熱交換を可能とする内部構造を有する。
【0105】
第3燃料供給通路81は、燃料タンク23から第2燃焼器用蒸発器80へ燃料を供給する燃料供給路として機能する。
【0106】
第3インジェクタ82は、第3燃料供給通路81に設けられており、コントローラ70によって制御されて第2燃焼器用蒸発器80に供給する燃料を調節する。
【0107】
本実施形態における第2燃焼器69は、第1実施形態と同様に、空気熱交換器43の内部の高温側通路の内面に触媒を塗布することによって構成されている。
【0108】
第2燃焼器69に供給される燃料は、第2燃焼器用蒸発器80において、その一部又は全部が気化されたものである。第2燃焼器用蒸発器80の燃料出口80bから供給された燃料は、第2燃焼器69に塗布された触媒によって燃焼反応を生じる。そして、第2燃焼器69において生じた熱は、第2燃焼器69における燃焼ガスと第2燃焼器用蒸発器80からの燃焼ガスとが混合した混合ガスの保有熱として、空気熱交換器43に供給される。
【0109】
そして、空気熱交換器43では、カソードガス供給通路41から供給されるカソードガスは、第2燃焼器69からの燃焼ガス及び第2燃焼器用蒸発器80を通過した燃焼ガスの混合ガスの保有熱によって昇温される。
【0110】
続いて、本実施形態の始動時制御について説明する。
図5は、本実施形態の始動時制御の流れを説明するフローチャートである。第1の実施形態と同様の処理には同一の符号を付して説明を省略する。
【0111】
コントローラ70は、ユーザの所定の操作などをトリガとする燃料電池システム1の始動指令を検出すると、
図5に示される始動時制御を開始する。
【0112】
ステップS101において、コントローラ70は、第1燃焼器63、第2燃焼器69、及び燃焼器用蒸発器64を暖機するプレ暖機処理を実行する。
【0113】
そして、コントローラ70は、ステップS202において、ヒータに最も近い位置に配置される第1燃焼器63がライトオフ温度T1L以上であり、かつ燃焼器用蒸発器64が蒸発可能温度TV以上であるか否かを判定する。コントローラ70は、ステップS202の判定結果が肯定的である場合に、ステップS203の処理に進み、第1燃焼器63の本暖機処理を開始する。
【0114】
第1燃焼器63の本暖機処理では、コントローラ70が第2インジェクタ67を制御することによって第1燃焼器63に燃料供給を開始する。第1燃焼器63は、燃料供給が開始されると、燃焼器用蒸発器64から供給される気化燃料を燃焼して燃焼ガスを生成する。この燃焼ガスは、排気燃焼ガス通路66を介して、燃焼器用蒸発器64、第2燃焼器用蒸発器80、及び空気熱交換器43に供給される。
【0115】
したがって、第1燃焼器63において本暖機処理が行われることによって、燃焼器用蒸発器64及び第2燃焼器用蒸発器80の暖機が促進される。また、空気熱交換器43を通るカソードガスの温度も上昇することになるため、燃料電池システム1全体の暖機も促進される。
【0116】
そして、コントローラ70は、ステップS204において、第1燃焼器63よりもヒータから遠い位置にある第2燃焼器69がライトオフ温度以上であるか否かを判定する。コントローラ70は、ステップS204の判定結果が肯定的である場合に、ステップS205の処理に進み、第2燃焼器69の本暖機処理を開始する。
【0117】
第2燃焼器69の本暖機処理では、コントローラ70が第3インジェクタ82を制御することによって第2燃焼器69に燃料供給を開始する。第2燃焼器69は、燃料供給が開始されると第2燃焼器用蒸発器80から供給される気化燃料を燃焼して燃焼ガスを生成する。
【0118】
したがって、空気熱交換器43には、第2燃焼器用蒸発器80の燃焼ガス出口80dによって供給される熱に加えて、第2燃焼器69の燃焼熱が供給される。このように、本実施形態では、燃焼器用蒸発器64を通過することによって失われた熱量を、第2燃焼器69において生じる燃焼熱によって補填する。
【0119】
また、本実施形態では、第1燃焼器63及び第2燃焼器69のそれぞれに対して、第2インジェクタ67及び第3インジェクタ82が備えられている。このように、それぞれの燃焼器に対して燃料供給を制御する第2インジェクタ67及び第3インジェクタ82が設けられているため、第1燃焼器63及び第2燃焼器69に対してそれぞれ異なるタイミングで燃料を供給することができる。このため、コントローラ70は、二つの燃焼器が異なるタイミングでライトオフ温度T1L,T2Lに達する場合であっても、それぞれの燃焼器がライトオフ温度T1L,T2Lに達した時点で個別に燃料供給を開始できる。
【0120】
そして、コントローラ70は、本暖機処理を完了した後に、適宜、ステップS104に示される通常運転に移行する。
【0121】
なお、本実施形態の始動制御においては、コントローラ70は、第1燃焼器63の温度判定の後に第2燃焼器69の温度判定を行っている。これは、第1燃焼器63が第2燃焼器69よりもヒータに近い位置に設けられており、第1燃焼器63の温度上昇が第2燃焼器69の温度上昇よりも早いことを前提としているためである。したがって、ヒータの配置に応じて、第2燃焼器69の温度判定の後に第1燃焼器63の温度判定が実行されてもよく、また二つの燃焼器の温度判定が並行に実行されても良い。
【0122】
続いて、
図6に示されるタイミングチャートを参照して、本実施形態の始動制御を説明する。
【0123】
時刻t1において、プレ暖機処理(ステップS103)が開始されることで、第1燃焼器63、燃焼器用蒸発器64、第2燃焼器69、及び第2燃焼器用蒸発器80、のそれぞれの温度が上昇し始める。
【0124】
時刻t2において、相対的にヒータに近い位置に設けられている第1燃焼器63の温度がライトオフ温度T1Lに到達する。そして、第1燃焼器63が燃焼可能な温度となってからしばらく経過した時刻t3において、燃焼器用蒸発器64が蒸発可能温度TVに到達する。
【0125】
時刻t3において、副燃料供給通路65を介して燃焼器用蒸発器64に燃料が供給されると、燃料は気化されて第1燃焼器63に供給される。そして、第1燃焼器63では、燃焼による本暖機処理(ステップS203)が行われる。
【0126】
その後、第1燃焼器63における燃焼熱によって、時刻t4において、第2燃焼器69の温度がライトオフ温度T2Lに到達する。時刻t4において、第3燃料供給通路81を介して第2燃焼器用蒸発器80に燃料が供給されると、燃料は気化されて第2燃焼器69に供給される。そして、第2燃焼器69では、燃焼による本暖機処理(ステップS205)が行われる。
【0127】
また、
図5に示されるように、本暖機処理中において(ステップS203及びステップS205)、第1燃料供給通路65aの燃料供給量は第3燃料供給通路81の燃料供給量よりも多くなるように調節されている。
【0128】
なお、本実施形態においても、本暖機処理中においては、第1燃焼器63からの燃焼ガスの保有熱に対して第2燃焼器69における燃焼による生成熱が上乗せされて空気熱交換器43に供給されることとなる。これにより、第1燃焼器63からの燃焼ガスの保有熱が燃焼器用蒸発器64における熱交換により奪われたとしても、空気熱交換器43に供給すべき熱量を確保することができる。
【0129】
また、本実施形態では、上記のように、第1燃料供給通路65aに供給される燃料の供給量を第3燃料供給通路81に供給される燃料の供給量よりも多く設定するための具体的な手段として、コントローラ70による第3インジェクタ82の制御を行っている。しかしながら、コントローラ70による制御に限らず、例えば、副燃料供給通路65及び第3燃料供給通路81のそれぞれの流路径の調整、又は副燃料供給通路65にオリフィスを設けるなどの各燃料供給路の構造そのものを変更することによって、上記燃料の供給量の大小関係を実現してもよい。
【0130】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
【0131】
本実施形態の燃料電池システム1によれば、第2インジェクタ(第一燃料供給器)67と第3インジェクタ(第二燃料供給器)82とをさらに備える。そして、第2インジェクタ67は、燃料タンク(燃料供給源)23から第1燃料供給路(第一燃料通路)65aに供給される燃料の供給量を調節する。第3インジェクタ82は、燃料タンク23から第3燃料供給通路81に供給される燃料の供給量を調節する。
【0132】
このように、第2インジェクタ67及び第3インジェクタ82の二つのインジェクタを、第1燃料供給通路65aと第3燃料供給通路81のそれぞれに設けることによって、各燃料供給路に対して異なるタイミングで燃料供給を開始することができる。これにより、各燃料供給路の先に接続される燃焼器の温度が異なるタイミングでライトオフ温度T1L,T2Lに達する場合においても、それぞれの燃焼器がライトオフ温度T1L,T2Lに達するタイミングに合わせて個別に燃料供給を開始することができる。したがって、先にライトオフ温度T1L,T2Lに達した一方の燃焼器に対する本暖機処理を、他方の燃焼器に対する本暖機処理に先立って開始することができる。結果として、先に本暖機処理が開始される燃焼器の燃焼熱によって他方の燃焼器のライトオフ温度T1L,T2Lへの到達を促進することができる。結果として、第1燃焼器63及び第2燃焼器69の双方の本暖機処理の完了までの時間をより短縮することができる。
【0133】
さらに、燃料電池システム1内が高温になることが想定されるため、燃料電池システム1のケース内に燃料供給量を調節するためのバルブを設けることが困難なことがある。このような場合に、二つの燃焼器のそれぞれに対して燃料供給通路とインジェクタとが設けられることによって、燃料供給を安定的に制御することができる利点もある。
【0134】
また、本実施形態の燃料電池システム1によれば、第3燃料供給路(第二燃料通路)82と第2燃焼器(補助燃焼部)69との間に、第3燃料供給通路81から供給される燃料を気化するための第2燃焼器用蒸発器(燃料気化器)80をさらに備える。
【0135】
このように、第2燃焼器69の手前に第2燃焼器用蒸発器80が設けられることによって、第2燃焼器69に供給される燃料がより確実に気化される。これにより、第2燃焼器69における燃焼効率が上昇するため、空気熱交換器43に供給される燃焼ガスの熱量を上げることが可能となる。
【0136】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る燃料電池システム1について説明する。なお、第1実施形態又は第2実施形態と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0137】
本実施形態に係る燃料電池システム1では、
図1に示す構成の燃料電池システム1において、第1燃焼器63及び第2燃焼器69に塗布された燃焼触媒の耐熱温度に応じた燃料供給制御が行われる。
【0138】
特に、コントローラ70は、温度センサT1の検出値(第1燃焼器63の入口におけるガス温度に相当)、及び温度センサT2の検出値(第1燃焼器63の出口におけるガス温度に相当)に基づいて、第1燃焼器63への目標燃料供給量を定める。
【0139】
具体的に、第1燃焼器63を通過する燃焼ガスの質量が保存されることを前提として適切に定められる係数を、温度センサT1の検出値と温度センサT2の検出値の差(第1燃焼器63を通過する燃焼ガスの熱量の増大分に相当)に乗じることで、第1燃焼器63の燃焼による生成熱量として演算する。
【0140】
さらに、コントローラ70は、第1燃焼器63へ供給される燃料が全て燃焼に消費されること、及び燃焼熱が全て燃焼ガスに与えられることを前提として定められる係数を演算した生成熱量に乗じることで、第1燃焼器63への燃料供給量を演算することができる。
【0141】
コントローラ70は、上記のように設定したモデルにしたがい、第1燃焼器63の燃焼触媒の実温度(例えば、温度センサT2の検出値)が予め定められる耐熱温度以下となる制限を維持しつつ、演算される生成熱量が要求値にできるだけ近づくように、第1燃焼器63への目標燃料供給量を定めることができる。
【0142】
同様に、コントローラ70は、温度センサT3の検出値(第2燃焼器69の入口におけるガス温度に相当)及び温度センサT5の検出値(第2燃焼器69の出口におけるガス温度に相当)に基づいて、第2燃焼器69への目標燃料供給量を定める。特に、第2燃焼器69への目標燃料供給量は、第2燃焼器69の燃焼触媒の実温度(例えば、温度センサT3の検出値)が予め定められる耐熱温度以下となる制限を維持しつつ、燃焼ガスが燃焼器用蒸発器64を通過することによって失われる熱量を補う生成熱量が得られるように設定される。
【0143】
なお、コントローラ70は、燃焼器用蒸発器64の入口温度に相当する温度センサT2の値と、燃焼器用蒸発器64の出口温度に相当する温度センサT4の値と、を用いて燃焼ガスが燃焼器用蒸発器64を通過することによって失われる熱量を演算する。
【0144】
また、燃料供給量の演算方法は上記の方法に限られず、燃焼器用蒸発器64によって奪われた熱量が補完されるような燃料供給量の方法であればいかなる方法であってもよい。
【0145】
なお、上記燃料供給制御方法の説明においては、第1実施形態の構成を例示して説明した。しかしながら、本実施形態における燃料供給制御方法は、第2実施形態の燃料電池システム1に対して適用されてもよい。特に、本実施形態の説明において、第1実施形態の第2燃料供給通路65bに対応する第2実施形態の構成は第3燃料供給通路81である。
【0146】
本実施形態の作用効果を以下で説明する。
【0147】
コントローラ70は、触媒を耐熱温度以下に維持しつつ、燃焼器用蒸発器(燃焼気化器)64を通過することで失われる燃焼ガスの熱量を補うように、第2燃料供給通路(第二燃料通路)65bへの燃料の供給量を制御する。
【0148】
このように、第2燃焼器69に対して、温度低下に応じた分の燃料を供給することによって、必要最低限の燃料を第2燃焼器69に供給するため、燃料の消費量を削減することができる。また、第2燃料供給路の燃料供給量を、触媒の耐熱温度以下となる供給量に抑えることによって、第2燃焼器69の触媒の耐用年数を向上させることができる。
【0149】
(変形例)
次に、
図7を参照して第2実施形態の変形例について説明する。
【0150】
本変形例では、第2実施形態の構成に加えて、第2燃焼器69が改質器31の高温側通路に設けられている。さらに、本変形例の燃料電池システム1では、アノード側排気燃焼ガス通路66aに代えて改質器31に燃焼ガスを供給するための第2燃焼ガス通路90が設けられる。第2燃焼ガス通路90は、第3燃料供給通路81の分岐部J6から改質器31の燃焼ガス入口31cの間を接続する。すなわち、第2燃焼ガス通路90は、カソード側排気燃焼ガス通路66bにおける第3燃料供給通路81との合流部J3又はその下流の分岐部J6から燃焼ガス入口31cに亘って設けられている。
【0151】
このように、本変形例では、改質器31には、第2燃焼ガス通路90によって、燃焼ガスと燃料との混合ガスが供給される構成となっている。したがって、第2燃焼ガス通路90は改質器31の第2燃焼器69に燃料を供給するための通路として機能する。
【0152】
これにより、第2実施形態と同様の効果を奏するとともに、改質器31が第2燃焼器69の燃焼により直接暖められるため、改質器31の暖機を促進することができる。
【符号の説明】
【0153】
1 燃料電池システム
10 燃料電池スタック
23 燃料タンク
24 改質処理装置
42 エアブロア
43 空気熱交換器
63 第1燃焼器
64 燃焼器用蒸発器
65a 第1燃料供給通路
65b 第2燃料供給通路
66 排気燃焼ガス通路
68 排気系
69 第2燃焼器
70 コントローラ