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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-21
(45)【発行日】2023-09-29
(54)【発明の名称】弁輪形成インプラント
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/24 20060101AFI20230922BHJP
【FI】
A61F2/24
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019558438
(86)(22)【出願日】2018-04-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-18
(86)【国際出願番号】 EP2018060996
(87)【国際公開番号】W WO2018197721
(87)【国際公開日】2018-11-01
【審査請求日】2021-04-27
(31)【優先権主張番号】62/491,727
(32)【優先日】2017-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17168875.7
(32)【優先日】2017-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】513277083
【氏名又は名称】エイチブイアール カーディオ オーイー
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】ゼルコウスキ, ハンス-ラインハルト
(72)【発明者】
【氏名】ケラネン, オリー
(72)【発明者】
【氏名】オキャロル, ガー
(72)【発明者】
【氏名】ピュー, マーク
(72)【発明者】
【氏名】オリーガン, ジェイク
(72)【発明者】
【氏名】ディーン, スチュアート
【審査官】胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-508928(JP,A)
【文献】特表2014-518699(JP,A)
【文献】国際公開第2015/198125(WO,A1)
【文献】特表2005-501605(JP,A)
【文献】特表2004-502494(JP,A)
【文献】国際公開第2007/030063(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0007402(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0225353(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0338706(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0199177(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁輪形成インプラント(100)であって、
前記弁輪形成インプラントは、第一(101)及び第二(102)の支持部材を有し、
前記弁輪形成インプラントは、形状記憶材料を含み、
カテーテル内を前進させるための細長い送達形状と、
臓弁の弁輪に配置するために前記形状記憶材料が前もって定められた形状をとる、コイル形状の移植された形状とを取り、
前記第一及び第二の支持部材は、前記コイル状の形状において、コイルのように配置され、2つの自由端(104、105)を有し、中心軸(103)の周りにあり、
前記コイル状の形状において、前記2つの自由端は、コイル面(107)内に延在する周囲オフセット距離(106)で互いからずれた位置に配置され、
前記コイル面は、前記コイルの環状周回部(108)に実質的に平行であり、前記中心軸に垂直であり、
前記第一及び第二の支持部材、並びにそれぞれの自由端は、心臓弁の本来の心臓弁尖の対向する側に配置されるように構成され、
前記周囲オフセット距離は、前記環状周回部の定められた扇形(109)に対応し、前記扇形によって、前記2つの自由端が隔てられており
前記第一の支持部材は、前記心臓弁の心室側に配置されるように適合され、前記第二の支持部材は、前記心臓弁の心房側に配置されるように適合され、前記第一の支持部材は、移植された状態のとき、前記心室側で実質的に360度の環状リング形状をとるように適合され、前記第二の支持部材は、前記移植された状態のとき、前記心房側で、360度から前記周囲オフセット距離分短い環状リング形状をとるように適合される、
弁輪形成インプラント。
【請求項2】
請求項1に記載の弁輪形成インプラントであって、
少なくとも1つの後方弓状部(110、110')と、少なくとも1つの前方部(111、111')とを備え、
前記少なくとも1つの後方弓状部は、前記心臓弁の後方部に合うように適合され、
前記少なくとも1つの前方部は、前記心臓弁の前面に合うように適合され、
前記定められた扇形は、前記少なくとも1つの前方部と一部が重なる、弁輪形成インプラント。
【請求項3】
請求項2に記載の弁輪形成インプラントであって、前記第一の支持部材は、第一の後方弓状部(110)と第一の前方部(111)を含み、前記第二の支持部材は第二の後方弓状部(110')を含み、前記第二の支持部材の第二の前方部(111')は、前記オフセット距離の分だけ短い長さを有する、弁輪形成インプラント。
【請求項4】
請求項2又は請求項に記載の弁輪形成インプラントであって、前記オフセット距離の長さは、前方部の長さの50~100%の間である、弁輪形成インプラント。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれかに記載の弁輪形成インプラントであって、
前記弁輪形成インプラントは、
形状記憶材料の内側コア(116)と、
前記内側コア材料の半径方向外側に配置され、前記内側コアの少なくとも一部を覆う外側カバー(117)とを有し、
前記外側カバーは、前記形状記憶材料が動く間、前記内側コアに対して、適合するような弾力性を有し、
前記外側カバーは、内皮化を促進する表面特性を有する第一の材料を含む、
弁輪形成インプラント。
【請求項6】
請求項1~請求項5のいずれかに記載の弁輪形成インプラントであって、前記周囲オフセット距離は、前記2つの自由端間の軸方向オフセット(120)に垂直に延在し、前記軸方向オフセットは、前記中心軸の方向に実質的に平行に延在する、弁輪形成インプラント。
【請求項7】
請求項1~請求項6のいずれかに記載の弁輪形成インプラントであって、前記第一及び第二の支持部材は、前記本来の心臓弁尖の対向する側に、それぞれ第一及び第二のリング形状を形成し、それらの間で前記弁尖を挟むように構成される、弁輪形成インプラント。
【請求項8】
請求項1~請求項7のいずれかに記載の弁輪形成インプラントであって、
コネクタ(112)を含み、
前記コネクタは、前記2つの自由端の少なくとも1つに取り付けられ、送達デバイスに取り外し可能に接続するように適合される、
弁輪形成インプラント。
【請求項9】
請求項に記載の弁輪形成インプラントであって、前記コネクタは、前記第一又は第二の支持部材の前方部(111)と実質的に平行に延在する、弁輪形成インプラント。
【請求項10】
請求項又は請求項9に記載の弁輪形成インプラントであって、
前記コネクタは、前記送達デバイスと連結するように構成された凹部(115)及び/又は突起(115')を有し、及び/又は
前記コネクタは、前記コネクタの凹部及び前記インプラントを通って配置されるロックピン(118)によって前記インプラントに固定されている、弁輪形成インプラント。
【請求項11】
請求項請求項10のいずれかに記載の弁輪形成インプラントであって、前記コネクタは、前記第一又は第二の支持部材の角度付きコネクタ延長部(122)に取り付けられ、前記角度付きコネクタ延長部は、前記環状周回部から半径方向内向きに、実質的に前記中心軸に向かって、延在する、弁輪形成インプラント。
【請求項12】
請求項1~請求項11のいずれかに記載の弁輪形成インプラントであって、前記の2つの自由端の少なくとも1つは、前記第一又は第二の支持部材の長手方向延長部(119)に対し、角度をつけて(114、114'、121、121')配置される、弁輪形成インプラント。
【請求項13】
請求項12に記載の弁輪形成インプラントであって、前記第一及び/又は第二の自由端は、前記コイル面から外向きの角度をつけて(114'、121')配置され、前記コイル面と平行でない方向に延在する、弁輪形成インプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、心臓弁置換術及び修復術の分野に関する。より詳細には、本発明は、心臓弁輪に配置するための、弁輪形成リング又は弁輪形成らせん等の、弁輪形成インプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
疾患のある僧帽弁及び三尖弁は、頻繁に、置換及び修復の必要がある。僧帽弁尖及び三尖弁尖又は支持腱索は、変性して弱体化する場合があり、又は、弁輪が広がって弁漏れに至る場合がある。僧帽弁及び三尖弁の置換及び修復は、弁輪形成リングの補助を伴い、頻繁に行われ、これは、弁輪の直径を小さくするために用いられるか、又は他の方法で弁輪の形状を変更するために用いられるか、又は弁置換若しくは修復処置中、概して支持構造として補助するために用いられる。
【0003】
先行技術の弁輪形成インプラントの問題は、拍動する心臓の動きに適応しながら同時に、弁輪に信頼性の高い固定を達成することである。つまり、特定の状況においては、確実に固定されたインプラントを提供することは可能な場合もあるが、多くの場合、心臓の動きに対して最適な適合を得ることおいて、トレードオフがある。これは、インプラントが、ある程度はこれらの本来の動きを妨げること、及び/又は、場合によっては、より長期間にわたって、移植された部位の周囲の解剖学的構造と、有害な形で相互作用することを意味する。弁輪形成インプラントは何年も間機能することを意図したものであるため、この点で長期的な安定性が重要である。先行技術のデバイスのさらなる問題は、前述の傾向から生じ、解剖学的構造と干渉し、それによって、そのような心臓弁の解剖学的構造の相違に対する適応において、許容性が低減される。したがって、前述の問題に関連することに加えて、既存のインプラントは、さまざまな解剖学的構造に対する適応度が限定される可能性がある。
【0004】
これにより、今度は、目前にある特定の状況に合わせて、インプラント及び/又は処置をより慎重に適合する必要が生じ、それにより、処置全体のために必要とされる複雑さと時間が増す。これは、患者により高いリスクを課し、したがって、それは先行技術のデバイスのさらなる問題である。
【0005】
上記の問題は、患者と医療システムにとって悲惨な結果をもたらす可能性がある。患者のリスクは増大する。
【0006】
したがって、改善された弁輪形成インプラントは利点を有するものであり、特に、上記の問題と妥協の多くを回避することを可能にし、とりわけ、移植段階中の確実な固定のために、そして長期間機能を果たすために、弁の解剖学的構造に対する適合の改善を可能にする。
【発明の概要】
【0007】
したがって、本発明の例は、添付の特許請求の範囲に係るデバイスを提供することにより、当技術分野の1つ又は複数の欠陥、欠点又は問題、例えば上記で特定されたようなものであって、単独又は任意の組み合わせであるもの、を軽減、緩和又は排除しようとすることが好ましい。
【0008】
第一の態様によれば、弁輪形成インプラントが提供され、弁輪形成インプラントは、第一及び第二の支持部材を有し、第一及び第二の支持部材は、コイル状の形状を有し、第一及び第二の支持部材がコイルのように配置され、2つの自由端を有し、中心軸の周りにあり、前記コイル状の形状において、前記2つの自由端は、コイル面内に延在する周囲オフセット距離で互いからずれた位置に配置され、前記コイル面は、前記コイルの環状周回部に実質的に平行であり、前記中心軸に垂直であり、第一及び第二の支持部材、並びにそれぞれの自由端は、心臓弁の本来の心臓弁尖の対向する側に配置されるように構成される。
【0009】
第二の形態によれば、心臓の標的部位に弁輪形成インプラントを移植する方法が提供される。インプラントは、第一及び第二の支持部材を含む。方法は、送達デバイスから前記インプラントを送達する工程を含み、そうすると、前記第一及び第二の支持部材は、コイルのように、中心軸の周りにコイル状の形状で配置され、2つの自由端を有する。方法は、前記心臓内の弁の第一の交連を通って、前記インプラントを配置する工程を含む。方法は、心室側及び心房側を有する前記弁の対向する側に、前記第一及び第二の支持部材を配置する工程を含み、前記配置する工程は、前記心室側に、環形状となるように前記第一支持部材を配置する工程と、前記第一及び第二支持部材の2つの自由端が、周囲オフセット距離で互いからずれた位置に配置されるように、前記心房側に、環形状となるように前記第二の支持部材を配置する工程を含み、前記周囲オフセット距離は、コイル面内に延在し、前記コイル面は、前記コイルの環状周回部に実質的に平行であり、前記中心軸に垂直である。
【0010】
本発明のさらなる例は、従属クレームに規定されており、本開示の第二及び後続の態様の特徴は、必要な変更を加えて第一の態様の特徴と同様である。
【0011】
本開示のいくつかの例は、標的部位に対する弁輪形成インプラントの容易な固定を提供する。
【0012】
本開示のいくつかの例は、標的部位に対する弁輪形成のより信頼可能な固定を提供する。
【0013】
本開示のいくつかの例により、標的部位に対する弁輪形成の固定に費やす時間をより少なくすることができる。
【0014】
本開示のいくつかの例は、弁輪形成インプラントの長期的な機能及び位置の確保を提供する。
【0015】
本開示のいくつかの例は、弁輪形成インプラントのより簡単な固定処置を提供する。
【0016】
本開示のいくつかの例は、弁輪又は弁尖等の心臓の解剖学的構造を損傷するリスクの低減をもたらす。
【0017】
本開示のいくつかの例は、縫合糸等の固定ユニットを正しい位置に配置することを容易にする。
【0018】
本開示のいくつかの例は、様々な解剖学的構造に対する、弁輪形成インプラントの適合の改善をもたらす。
【0019】
「含む/有する」という用語は、この明細書で用いられるとき、述べられた特徴、整数、ステップ又は構成要素の存在を示すために用いられるが、1つ又は複数の他の特徴、整数、ステップ、構成要素、又はそれらのグループの存在又は追加を排除するものではないことが強調されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明の例におけるこれら及び他の態様、特徴及び利点は、添付される図面を参照して、本発明の実施形態の以下の説明から明らかになり、理解されるであろう。
図1図1は、一例に係る弁輪形成インプラントの概略図であり、斜視図である。
図2a図2aは、本開示の例に係る弁輪形成インプラントの概略図であり、上面図である。
図2b図2bは、本開示の例に係る弁輪形成インプラントの概略図であり、上面図である。
図2c図2cは、本開示の例に係る弁輪形成インプラントの概略図であり、斜視図である。
図3a図3aは、一例に係る弁輪形成インプラントの概略図であり、上面図である。
図3b図3bは、一例に係る弁輪形成インプラントの概略図であり、側面図である。
図4a図4aは、一例に係る弁輪形成インプラントの概略図であり、上面図である。
図4b図4bは、一例に係る弁輪形成インプラントの概略図であり、側面図である。
図5a図5aは、一例に係る弁輪形成インプラントの概略図であり、側面図である。
図5b図5bは、一例に係る図5aの弁輪形成インプラントのセクション(A)の詳細の概略図であり、側面図である。
図6a図6aは、一例に係る弁輪形成インプラントの概略図であり、側面図である。
図6b図6bは、一例に係る弁輪形成インプラントの概略図であり、図6aの側面図に対して90度回転した側面図である。
図7図7は、一例に係る弁輪形成インプラントの概略図であり、斜視図である。
図8図8は、一例に係る弁輪形成インプラントの、側面視における断面の詳細の概略図である。
図9a図9aは、一例に係る心臓の標的部位に弁輪形成インプラントを移植する方法のフローチャートである。
図9b図9bは、一例に係る心臓の標的部位に弁輪形成インプラントを移植する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
詳細な説明
以下、本発明の具体例を、添付図面を参照して説明する。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具体化されてもよく、本明細書に記載される例に限定されるものと解釈されるべきではない。むしろ、これらの例は、この開示が徹底的かつ完全であろうように、本発明の範囲を当業者に十分に伝えるように提供されている。添付図面に示されている実施形態の詳細な説明で用いられる用語は、本発明を限定することを意図したものではない。図面において、同様の番号は同様の要素を指す。
【0022】
以下の説明は、弁輪形成リング等の心臓弁インプラントに適用可能な本発明の一実施形態に焦点を当てたものである。しかしながら、本発明はこの用途に限定されず、例えば、置換弁及び他の医療用移植可能デバイスを含む、他の多くの弁輪形成インプラント及び心臓弁インプラントに適用可能であることが理解されよう。
【0023】
図1は、コイルのように、すなわち、図1に示すように中心軸103の周りに螺旋形状に、コイル形状に配置されるように適合された、第一の支持部材101及び第二の支持部材102を含む、弁輪形成インプラント100の例を概略的に示している。インプラント100は、少なくともインプラント100を形成する材料が弛緩状態にあるとき、すなわち、インプラント100に作用する外部の力がないとき、コイル状の形状に配置される。コイル状インプラント100は、2つの自由端104、105を有する。第一及び第二の支持部材101、102、及びそれぞれの自由端104、105は、心臓弁302の本来の心臓弁尖の対向する側に配置されるように構成される。図2a-bは、そのような、弁302の対向する側に配置されたインプラント100の上面図を示す。更に以下に詳細に説明するように、第一の支持部材101は、破線で示され、これらの例では心臓弁302の心室側に配置されている。一方、第二の支持部材102は心臓弁302の心房側に配置されている。図2a-bは、2つの交連301、301'のいずれかを通って心房側と心室側との間に延在するコイル状インプラント100を示す。図2cは、図2bに示した構成に対応する斜視図である。したがって、第一及び第二の支持部材101、102は、移植された状態にあるときもコイル状の形状をとる。以下でさらに説明するように、インプラント100は形状記憶材料を含むことができ、その結果、インプラント100は、一時的にカテーテルの細長い形状に拘束された後、カテーテルから標的部位に送達され、その後、コイル状の形状を再びとる。あるいは、インプラント100は、標的部位に送達されている間、コイル状の形状を維持してもよく、この場合、例えば、肋骨間の切開、又は胸部を開くことにより、標的部位に移植されてもよい。本開示、及び様々な例に関して説明される関連する利点は、このようなインプラント100の変形形態の両方に当てはまる。コイル状の形状のインプラント100においては、図1に示されるように、2つの自由端104、105は、互いに、コイル面107に延在する周囲オフセット距離106を維持し、離れた位置に配置されている。コイル面107は、コイルの環状周回部108に実質的に平行であり、中心軸103に垂直である。したがって、中心軸103は、コイル面107に垂直である。よって、コイル面107は、コイル状の形状のインプラント100の環状周回部108が広がる平面に対応する。したがって、図1、2a-c、3a、4bに概略的に示されている2つの自由端104、105間の周囲オフセット距離106は、中心軸103に実質的に垂直に延在している。これは、例えば図2a-cに示すように、インプラント100が、移植された状態で、心臓弁の弁輪の周りに配置されるとき、2つの自由端は、弁の面に沿って隔てられるであろうことをも意味する。弁302の面内にそのようなオフセット106を有することにより、第一又は第二の支持部材101、102の長さが低減される結果となり、これにより、インプラント100を弁302に確実に固定するために必要な縫合又は他の締結ユニットの数を減らすことが可能となり、同時に、第一及び第二の支持部材101、102の十分な重なりが提供され、弁の対向する側で、弁輪を修正された形状に固定するように、それらの間の十分に強い矜持効果を得ることができる。締結ユニットは、第一及び/又は第二の支持部材101、102と一体化されてもよい。状況によっては、締結ユニットを前方部に配置するとリスクが高くなる場合がある。よって、上記されたようにオフセット106を有することにより、これを回避することができる。さらに、インプラント100の、弁302の動きとの干渉が軽減される。図7は、インプラント100の斜視図を示す。図2a~cは、2つの自由端104、105間の周囲オフセット距離106によって、心臓弁302の心房側に位置する第二の支持部材102の長さが短くされた例を示す。締結ユニット401は、図2aにおいて、第二の支持部材102の残っている部分、つまり、自由端105から前交連301の位置までの距離に対応する部分上に示されており、コイル状リング100は、前交連301を通って、弁の心室側に延在している。図2bでは、図2aと比較して、オフセット距離106がさらにより増加し、インプラントの前方部111と平行な方向において測定されるインプラント100の幅に実質的に対応し、これは心臓弁302の前側に配置されるように構成される。これは、例えば図2a~cの例に見られるように、インプラント100の最も広い幅に対応する場合もある。図2bでは、第一及び第二の支持部材101、102は、後交連301'を通って接続する。図2a~cに見られるインプラントのコイル状の形状は、インプラント100が形成される材料が弛緩した形状、すなわち、例え移植された状態で示されていても、インプラント100に作用する外力がない状態に対応してもよい。インプラント100は、少なくともコイル面107において作用する力に関して、インプラント100が移植された際にそのような弛緩した形状をとることができる。しかし、インプラント100は、第一及び第二の支持部材101、102の間で、すなわち中心軸103と平行に作用する力で、弁302の組織を矜持することができる。
【0024】
前述のように、固定点が少ないという利点に加えて、弁105の面内での自由端105、104の隔離により、弁302の動きとの干渉が減少し、そうでなければ、示された距離106に延在する第二の支持部材102の部分は、心臓の拍動によって弁組織を繰り返し打つことが観察されている。このような繰り返しの干渉は、長期的には組織の損傷につながる場合がある。移植段階で、インプラント100を、前述の干渉部分を含み、その全周囲を固定するように注意を払うことができるが、自由端104、105を隔離する周囲オフセット106がない場合、長期的な機能には不確実性があり、要件が追加されるため、処置はより複雑で時間がかかるようになる。周囲オフセット距離106を有することにより、解剖学的構造に関する干渉が最小となるため、弁解剖学的構造における差異に関する追従を、さらに最適化することもできる。例えば、弁の形状及びダイナミクスのより大きな変動を、インプラント100と干渉せず、適合させることができる。これにより、特定のサイズのインプラント100に追従する弁寸法の範囲の拡大をも供することができる。したがって、特定の移植処置中に、インプラント100はより良好な適応性を供し、変動に対する許容度が増加する。解剖学的構造はさまざまな画像化処理で調査されるが、インプラント100が標的部位に配置され固定されるとき、実際の弁の複雑さとその動きのダイナミクスは、常に重要な因子となる。
【0025】
オフセット距離106は、図1に示すように、2つの自由端104、105を隔離する環状周回部108の所定の扇形109に対応し得る。扇形109は、中心軸103に対して付与される。中心軸は、コイルのほぼ中心点に配置される。扇形109の長さ、及び、関連する、2つの自由端104、105を隔離する距離は、様々な用途及び処置に対応するように変更することができ、様々な解剖学的構造に適合することができる。したがって、心臓の本来の動きとの干渉を最小限にし、より容易に固定できる、追随性の高いインプラント100を提供することが可能である。
【0026】
例えば、図1に示すように、弁輪形成インプラント100は、心臓弁302の後方部に合うように適合された、少なくとも1つの後方弓状部110、110'と、心臓弁302の前方部に合うように適合された、少なくとも1つの前方部111、111'とを含むことができる。前記所定の扇形109は、前述の弛緩状態において、そして移植状態にあるとき、少なくとも1つの前方部111と部分的に重なり合う可能性がある。したがって、2つの自由端104、105は、インプラント100の前方部111に沿って隔離されている。上記の利点の達成に関し、前方部の所定の扇形109又はオフセット距離106を有すること、すなわち、この部分に沿う組織に対して、インプラント100が繰り返し拍動する結果生じる弁の前方部での有害な損傷のリスクを有することを回避することは、特に有益であり得る。そして、インプラント100を後方弓状部110、110'のみに沿って固定することが可能となる。以下でさらに説明される図1に示す例では、扇形109が前方部と一部重なり、そのため、2つの自由端104、105の隔離により、弁302の心室側に、第一の前方部111を有する第一の支持部材101を提供し、又は結果としてもたらし、かつ、弁302の心房側に、所定の扇形109が重なる長さの分短縮された第二の前方部111'を有する第二の支持部材102を提供し、又は結果としてもたらす。図2bに関し、上述したように、オフセット距離106は、前方部111に沿ったインプラントの幅に対応するように増加させることができる。この場合、インプラント100は、図2bによると、第一の支持部材101の一部として、第一の前方部111のみを有してもよい。これは、心臓弁302でのインプラント100の位置決め及び固定に、特に利益を供し得る。
【0027】
したがって、第一の支持部材101は、前記心臓弁の心室側に配置されるように適合されてもよく、第二の支持部材102は、前記心臓弁の心房側に配置されるように適合されてもよい。第一の支持部材101は、移植された状態にあるとき、心室側で実質的に360度の環状リング形状をとるように適合されることができ、第二の支持部材102は、移植された状態にあるとき、心房側で、360度から周囲オフセット距離106分短い環状リング形状をとるように適合されることができる。したがって、心房側のインプラント100の固定は、後方弓状部110'の固定によって達成することができ、オフセット距離106により第二の支持部材102の扇形が小さくなるため、心房側には弁の動きとの干渉は生じない。
【0028】
したがって、第一の支持部材101は、第一の後方弓状部110及び第一の前方部111を備えることができ、第二の支持部材102は、第二の後方弓状部110'を備えることができる。ここで、第二の支持部材の第二の前方部111'の長さは、オフセット距離106の分だけ短い。第二の支持部材102の部分は、例えば、図1に示されるように、その後方弓状部110が、短い長さの前方部111'に向かって湾曲した移行部を有するように調整することができる。これにより、インプラント100と送達デバイス(図示せず)との相互作用を促進することができる。これは、例えば、以下でさらに説明するように、インプラント100のコネクタ112を、移植処置中にそのような送達デバイスに対して正しい位置に配置するためである。さらに、2つの自由端104、105間のオフセット106に関連する上述の利点を提供しながら、第一及び第二の支持部材104、105間の十分な強力な挟持力を高め、提供することができる。
【0029】
オフセット距離106の長さは、インプラント100の前方部111の長さの50~100%であり、例えば上述のように100%であってもよい。前方部111の全長は、後方弓状部110、110'に比べて、実質的に直線状に延在した形をとるインプラント100の一部と実質的に対応するものとでき、又は、少なくとも弁302の後側に隣接する前交連及び後交連の間に延在するインプラントの一部、すなわち、後方弓状部が前述の交連間に延在している後側の反対側に対応するものとできる。図2aは、前交連301と後交連301'を備えた弁302に配置されたインプラント100を概略的に示している。前方部111は、前述の交連の間の心室側上に延在する。したがって、心室側の2つの自由端105、106の隔離を定めるオフセット距離106の長さは、図2bに示すように、交連間の前側の全長をとる場合から、前側の距離の半分に延在する場合まで変化し得る。この範囲により、前述の移植の促進についての利点と、長期効果の改善に関する利点とを得る事に関して、適切なトレードオフを提供しながら、修正された形状の環を安定的に確実に固定することをなお可能にし、そのような形状において弁尖は意図したように適合することができる。
【0030】
インプラント100は、NiTiNol等の形状記憶材料、又は熱処理工程で所定の形状にヒートセットできる別の適切な生体適合性合金を含んでもよい。さらに、形状記憶材料は、例えば、熱及び/又は電磁エネルギーを提供する等のエネルギー源との外部相互作用に応じて、必要に応じて形状を変化させることができる任意の材料として解すことができ、形状記憶材料は、インプラントとなり、その形状を変更することができる。また、インプラント100の環形状の曲率を、例えば、送達デバイスを介してインプラントに力又はトルクを伝達することによって、直接機械的に操作することにより、インプラントの形状に影響を与える可能性も考えられる。前述のさまざまな形状に影響を与える処置を介し、インプラント100は、カテーテル(図示せず)内を前進させるための細長い送達形状、及び移植された状態における移植された形状を取り、心臓弁302の環に位置するため、形状記憶材料の所定の形状をとる。
【0031】
オフセット距離106は、2つの自由端104、105の間の軸方向オフセット120に垂直に延在することができる。そのような軸方向オフセット120が図6aに示されている。したがって、軸方向オフセット120は、中心軸103の方向に対し実質的に平行に延在し、すなわち、コイル面107に対する垂直線として延在する。
そのような軸方向のオフセット120は、弁302を通って容易に挿入可能であって、第一及び第二の支持部材101、102、及び関連する2つの自由端104、105を弁302の対向する側に配置するという利点を有するコイル形状又は螺旋形状のインプラント100を提供する。したがって、上記の周囲オフセット距離106と軸方向オフセット120の両方を有することにより、らせん形状の利点、並びに、この開示の例に関して説明した改善点からの利益を得た、有利な弁輪形成インプラント100が提供される。図6aに示すように、第一及び第二の支持部材101、102はピッチ距離120、130'で隔離されている。ピッチ距離は、異なる解剖学的構造への最適化のために変化させることができ、その結果、弁組織が第一及び第二の支持部材101、102の間に効果的に挟持される。
図6aは、実質的に等しいようなピッチ距離130及び130'を示しているが、例えば、例えば、ピッチ距離130は、ピッチ距離130'よりも長くすることも可能である。これにより、心臓弁の対向する側にインプラント100を容易に配置することが可能となる。
【0032】
したがって、第一及び第二の支持部材104、105は、本来の心臓弁尖の対向する側にそれぞれ第一及び第二の環形状を形成し、それらの間で弁尖を矜持するように構成されてもよい。
【0033】
弁輪形成インプラント100は、2つの自由端104、105の少なくとも一方に取り付けられたコネクタ112を備えてもよい。図1に示す例では、コネクタは第二の支持リング101の自由端105上に配置されている。コネクタは、送達デバイス(図示せず)に解放可能に接続するように適合することができる。これにより、コネクタ112は、標的部位に送達されている間、及びインプラント100が配置されている間、例えば、回転により弁302の位置に配置される間、送達デバイスへの確実な固定を提供することができ、次いで送達装置から切り離され、その場所からインプラント100を解放する。
【0034】
コネクタ112は、例えば、図1に示されるように、第一又は第二の支持部材101、102の前方部111、111'と実質的に平行に延在することができる。
これにより、コネクタ112は第一及び第二の支持部材104、105のような、弁輪の延在部と位置合わせされるので、移植された状態にあるときにインプラント100の有利なプロファイルを提供することができる。
コネクタ112は、図2bに示されるように、前方部111に実質的に垂直に延在することもできる。
図2aの例に示すように、オフセット距離106は、コネクタ112及び関連する自由端105が実質的に前方部111の外側に配置されるように、コイル面107内に延在してもよい。つまり、コネクタ112及び関連する自由端105は、交連301'に隣接して配置される。図2bに示されるように、コネクタ112、及び関連する自由端105は、交連301にもまた、隣接して配置することができる。
そのように延在するオフセット106を有することは、拍動する心臓の解剖学的構造に関連して自由端105が移動するリスクをさらに最小限に抑えることが望まれる、いくつかの用途において、特に有用である場合がある。締結ユニット401は、そのような移動のリスクを最小限に抑え、上述の有利な効果をさらに奏するように、交連301'の近く、したがってコネクタ112及び関連する自由端105の近くに配置することができる。
【0035】
コネクタ112は、送達デバイスと連結するように構成された凹部115及び/又は突起115'を備えることができる。図5aはインプラント100の側面図を示し、図5bは図5aのセクション「A」の拡大図である。図5bの例では、コネクタ112は凹部115を備える。凹部115は、ロック部材(図示せず)を取り外し可能に受け入れるように構成することができ、ロック部材は、凹部115を通って延在し、送達デバイスに対して固定されるさらなる凹部と連結するように設けられ、それにより、ロック部材が、送達デバイスに対しコネクタ112を固定する。
図5bは、コネクタ112上の突起115'をさらに示しており、突起115'は、対応する送達デバイスのロック面に対して配置され、付加的な支持を供し、送達装置に対するインプラント100の位置をさらに安定させることができる。
【0036】
図5bにさらに示すように、コネクタ112は、コネクタ112の凹部及びインプラント100を通り配置されるロックピン118によって、インプラント100に固定することができる。これにより、コネクタ112はインプラント100に対し、信頼性高く固定され、これら2つの間で外れるリスクを最小限に抑える。
【0037】
コネクタ112は、第一又は第二の支持部材101、102の角度付きコネクタ延長部122に取り付けることもできる。図3aは、第二の支持部材102に角度付きコネクタ延長部122が設けられた例を示しており、これは、コイル形状インプラント100の環状周回部108から内側に半径方向に延在することができる。これは、送達デバイスが、中心軸103の周り、すなわち、図3aのコイル形状のインプラント100の中心103周りにインプラント100を回転させる状況において、有利である場合があり、
インプラント100が回転して、つまり、インプラント100を中心軸103の周りを回転することによって、弁302に挿入されようとするとき、半径方向、すなわち、中心軸に対する垂線方向への並進運動が最小限に抑えられ、挿入処置が容易になる。この状況において、コネクタ112は、回転軸103に向かってより角度が付けられた方向に配置され、そのような送達デバイスへの接続を容易にすることができ、そのような送達デバイスは、実質的に中心軸103に、その長手方向のカテーテル軸を有する。そのような容易な接続を提供することにより、コネクタ112をこの半径方向に位置合わせして、標的部位に対して、より容易にナビゲートされる、よりコンパクトな送達デバイスが可能になり得る。
【0038】
2つの自由端104、105のうちの少なくとも1つは、第一又は第二の支持部材101、102の長手方向延長部119に対して角度114、114'、121、121'をつけて配置することができる。コネクタ112を設けることができる、第二の支持部材の自由端105で始まり、中心軸103に向かって角度121を有することの利点は、前の段落で説明した。第一の支持部材101の自由端104はまた、例えば、図3a及び4aに示されるように、支持体の長手方向119に対して、コイル面107内に角度114を設けてもよい。
これにより、弁尖に付いた腱索に絡まないようにしながら、インプラント100を弁302内の位置に配置するときに、自由端104を前交連301(図3a)に挿入することを容易にすることができる。角度114によって、インプラント100を配置する間、自由端104に対して腱索を偏向させることができる。同時に、図3a及び4aに示すように、角度114は、自由端104が心臓の隣接する中隔と干渉しないように選択され、それは、半径方向外向きの角度が大きすぎるときに生じ得る。図4aを参照すると、例えば、長手方向119から約10度の外向きの角度114は、周囲の組織との干渉を回避しながら、説明した利点を達成するのに適している場合がある。自由端104には、非外傷性であるため、かつ、周囲の組織を傷つけるリスクを最小限にするために、鈍端部113が設けられてもよい。鈍端部113は、鈍端部113の凹部及びインプラント100を通って配置されたロックピン118'によって、インプラント100の自由端104に固定することができる。これにより、鈍端部113のインプラント100への信頼性の高い固定が可能となり、この2つの間の外れのリスクを最小限に抑えられる。
【0039】
第一及び/又は第二の自由端104、105は、コイル面107から外向きの角度114'、121'をつけて配置されて、コイル面107と非平行方向に延在することができる。図3b又は図6bの例を参照すると、第一の支持部材101の自由端104は、下向きの角度114'を有することができ、すなわちコイル面107の外にあり、自由端104を前交連301に対して挿入することをさらに容易にする。したがって、インプラント100が、交連の上の弁の心室側上に配置されているとき、自由端104は交連をより容易に捕捉するであろう。図3bに示されるように、第二の支持部材102の自由端105もまた、コイル面107の外に上向きの角度121'を有することができる。これは、中心軸103に向かって延在する自由端105の、角度付きコネクタ延長部122がある場合に、特に有利であり、なぜならば、自由端105の上方への傾斜は、弁尖の動きとの干渉を最小限に抑え、それは、中心軸103、すなわち弁の中心に向かって移動するとき、ますますより顕著になるであろうためである。
【0040】
図8に示すように、弁輪形成インプラント100は、形状記憶材料の内側コア116と、内側コア材料116の半径方向外側に配置されて内側コア116の少なくとも一部を覆う外側カバー117を備えることができる。外側カバー117は、形状記憶材料の移動中、例えば、送達カテーテル内部における、細長い送達形状から、移植された状態の弛緩したコイル状の形状に動くときに、内側コア116に適合する弾力性を有する。外側カバー117は、内皮化を促進する表面特性を有する第一の材料を含むことができる。そのような材料は、NiTiNol等の生体適合性合金であっても、ステンレス鋼であってもよい。
カバー117は、内皮化を促進するために、メッシュ構造、又は不規則な、波状の、多孔性の、若しくはそうでなければ平坦でない表面を含む、任意の構造を有することができる。
カバーは、ダクロン(登録商標)等のポリマーを含んでもよい。同時に、カバー117は、移植されている時に周囲の組織との滑らかな並置をもたらす表面特性を有し、拍動する心臓とともに移動するような弁と、さらに安全な相互作用を確立する。
【0041】
心臓の標的部位に弁輪形成インプラント100を移植する方法200もまた、提供される。方法200は、図9aに概略的に示されている。ステップが説明される順番は、限定的なものとして解釈されるべきではなく、ステップの順番は特定の処置に応じて変更される可能性があると考えられる。説明したように、インプラント100は、第一の支持部材101と第二の支持部材102を備える。方法200は、送達デバイスからインプラントを送達する工程201を含み、そうすると、第一及び第二の支持部材101、102は、コイルのように、中心軸103の周りにコイル状の形状で配置され、2つの自由端104、105を有する。方法200は、心臓内の弁302の第一の交連301、301'を通って、インプラント100を配置する工程202、及び、心室側及び心房側を有する弁302の対向する側に、第一及び第二の支持部材101、102を配置する工程203をさらに含む。弁302の対向する側に第一及び第二の支持部材101、102を配置する工程は、第一の支持部材101を心室側で環形状をとるように配置する工程204、及び、第一及び第二の支持部材101、102の2つの自由端104、105が周囲オフセット距離106で互いにずれた位置に配置されるように、第二の支持部材102を心房側に環形状となるように配置する工程205を含む。上記で説明したように、周囲オフセット距離106は、2つの自由端104、105の間の距離であり、ここで、周囲オフセット距離106はコイル面107内に延在し、コイル面107はコイルの環状周回部108に実質的に平行であり、中心軸103に垂直である。これにより、上記の利点がもたらされ、最終的に弁輪形成インプラント100の固定が改善され、患者の安全性が向上する。
【0042】
心臓の標的部位に弁輪形成インプラント100を移植する方法200を図9bに概略的に示す。ステップが説明される順番は、限定的なものとして解釈されるべきではなく、ステップの順番は特定の処置に応じて変更される可能性があると考えられる。
【0043】
第一の支持部材101を心室側で環形状とするように配置する工程は、心室側に、実質的に360度の環状リング形状とするように第一の支持部材101を配置する工程204'を含むことができる。
【0044】
第二の支持部材102を配置する工程205は、心房側に、実質的に360度から周囲オフセット距離106の分短い環状リング形状をとるように第二の支持部材102を配置する工程205'を含むことができる。
【0045】
方法200は、主としてインプラント100の後方弓状部110、110'に締結ユニット401を配置することにより、インプラント100を固定する工程206を含むことができる。繰り返しになるが、これにより、移植処置を容易にすることができる。
【0046】
本発明は、特定の実施形態を参照して上記に記載されている。しかしながら、上記以外の他の実施形態は、等しく、本発明の範囲内で可能である。本発明の異なる特徴及びステップは、記載されたもの以外の、他の組み合わせで組み合わされてもよい。発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。より一般的には、当業者は、本明細書に記載のすべてのパラメータ、寸法、材料、及び形状が例示的なものであることを意味することを容易に理解するであろうし、また、実際のパラメータ、寸法、材料、及び/又は形状は、特定の用途、又は、本発明の教示が用いられる用途に応じるものであることを容易に理解するであろう。
図1
図2a
図2b
図2c
図3a
図3b
図4a
図4b
図5a
図5b
図6a
図6b
図7
図8
図9a
図9b