(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-21
(45)【発行日】2023-09-29
(54)【発明の名称】貯蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 19/00 20060101AFI20230922BHJP
【FI】
F25D19/00 560B
(21)【出願番号】P 2020002239
(22)【出願日】2020-01-09
【審査請求日】2022-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000239585
【氏名又は名称】フクシマガリレイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148138
【氏名又は名称】森本 聡
(72)【発明者】
【氏名】小城 武士
【審査官】庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-143891(JP,A)
【文献】実開平05-032986(JP,U)
【文献】実開昭59-045473(JP,U)
【文献】実開昭60-162882(JP,U)
【文献】特開2011-144986(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 19/00
F25D 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方開口を有する貯蔵室(5)と、貯蔵室(5)の側方に配されて四角形状の前方開口を有する機械室(7)と、機械室(7)の内部に前後方向に出退可能に組み込まれる冷却ユニット(9)と、機械室(7)の前方開口の上下端部に形成されたパネル取付部(16・17)と、機械室(7)の前方開口を覆う機械室パネル(10)と、機械室パネル(10)を機械室(7)の前面に取付けるためのパネル取付構造(44)とを備え、
パネル取付構造(44)は、上端側のパネル取付部(16)と機械室パネル(10)の上端部との間に形成された締結構造(45)と、下端側のパネル取付部(17)と機械室パネル(10)の下端部との間に形成された係合構造(46)とを含み、
締結構造(45)は、機械室パネル(10)の上端部分に形成された通孔(47)と、通孔(47)に対応して上方側のパネル取付部(16)に形成されたネジ穴(48)と、通孔(47)を介してネジ穴(48)にねじ込まれる締結体(49)とを含み、
係合構造(46)は、機械室パネル(10)の下端部分に形成されたストッパー(51)と、ストッパー(51)に対応して下方側のパネル取付部(17)に形成された被係合部(52)とを含み、
ストッパー(51)は、機械室パネル(10)の下端部から後方に向かって片持ち梁状に形成されたアーム(55)と、アーム(55)の後端に膨出形成された係合片(56)とを含み、係合片(56)の前方には被係合部(52)と係合して係合片(56)の前方への抜け止めを図るストッパー面(57)が形成されており、
係合片(56)のストッパー面(57)を被係合部(52)に係合させることで、下方側のパネル取付部(17)と機械室パネル(10)との間の係合固定状態が確立されるように構成されて
おり、
機械室パネル(10)には、左右方向に走る一群のルーバー壁(37)が、上下方向に所定間隔を置いて形成されており、
機械室パネル(10)の上方への浮き上がりを防ぐための規制構造(63)が設けられており、
規制構造(63)は、冷却ユニット(9)の底部を支持するユニットベース(25)と、最下方に位置するルーバー壁(37a)とからなり、
最下方に位置するルーバー壁(37a)の後端が、ユニットベース(25)の前端に係合するように構成されていることを特徴とする貯蔵庫。
【請求項2】
係合構造(46)は、冷却ユニット(9)の前端に設けられたブラケット(29)に形成された係合孔(53)を含み、
冷却ユニット(9)を機械室(7)内に組み込んだとき、ブラケット(29)は下方側のパネル取付部(17)よりも前方側に位置しており、
パネル取付部(17)とブラケット(29)とが接する状態としたうえで、係合孔(53)内を挿通された係合片(56)を被係合部(52)に係合させることで、下方側のパネル取付部(17)と、冷却ユニット(9)のブラケット(29)と、機械室パネル(10)の3者の係合固定状態が確立されるように構成されている、請求項1に記載の貯蔵庫
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯蔵庫に関し、特に貯蔵庫の機械室の前面を覆う機械室パネルの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に係る貯蔵庫では、機械室パネルの上端側を締結構造で固定し、機械室パネルの下端側を係合構造で固定するが、同様の構成は、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1のショーケースでは、カバー(機械室パネル)の上部を螺子で機械室のフレームに締め付け固定しており、換言すればカバーの上部を締結構造で固定している。カバーの下部は、当該下部に設けた掛合部をフレームの開口部の下端縁に掛合させることで固定している。掛合部は、カバーの下部を折り返し重ね合わせることで形成された重合部にコ字状の切り欠きを形成し、当該切り欠き部分を内方に起こし上げて形成されている。カバーの裏面と切り起こし部分との間には、下向きに開口を有する間隙が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実願昭62-23863号(実開昭63-175787号)のマイクロフィルム
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のショーケースでは、掛合部とフレームとを位置合わせしたのち、カバーを下方にスライド移動させてフレームに掛合部を落とし込むことで、掛合部とフレームとの係合状態を確立することができる。このような落とし込み作業を要するため、特許文献1の取付構造では、カバーの取付時には、係止構造によりカバーの下方を係止させ、その後に締結構造によりカバーの上方を締結固定させる手順を採ることが必要であり、特に掛合部とフレームとの位置合わせ作業などが煩わしく、作業効率よくカバーを機械室の開口周縁に装着することができない点で不利があった。
【0005】
本発明は、機械室パネルの上方側が締結構造で固定され、機械室パネルの下方側が係合構造で固定されている貯蔵庫において、係合構造と締結構造の取付順序に自由度があり、機械室パネルの取付作業をより作業効率よく行うことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の貯蔵庫は、前方開口を有する貯蔵室5と、貯蔵室5の側方に配されて四角形状の前方開口を有する機械室7と、機械室7の内部に前後方向に出退可能に組み込まれる冷却ユニット9と、機械室7の前方開口の上下端部に形成されたパネル取付部16・17と、機械室7の前方開口を覆う機械室パネル10と、機械室パネル10を機械室7の前面に取付けるためのパネル取付構造44とを備える。パネル取付構造44は、上端側のパネル取付部16と機械室パネル10の上端部との間に形成された締結構造45と、下端側のパネル取付部17と機械室パネル10の下端部との間に形成された係合構造46とを含む。締結構造45は、機械室パネル10の上端部分に形成された通孔47と、通孔47に対応して上方側のパネル取付部16に形成されたネジ穴48と、通孔47を介してネジ穴48にねじ込まれる締結体49とを含む。係合構造46は、機械室パネル10の下端部分に形成されたストッパー51と、ストッパー51に対応して下方側のパネル取付部17に形成された被係合部52とを含む。ストッパー51は、機械室パネル10の下端部から後方に向かって片持ち梁状に形成されたアーム55と、アーム55の後端に膨出形成された係合片56とを含み、係合片56の前方には被係合部52と係合して係合片56の前方への抜け止めを図るストッパー面57が形成されている。そして、係合片56のストッパー面57を被係合部52に係合させることで、下方側のパネル取付部17と機械室パネル10との間の係合固定状態が確立されるように構成されている。機械室パネル10には、左右方向に走る一群のルーバー壁37が、上下方向に所定間隔を置いて形成されている。機械室パネル10の上方への浮き上がりを防ぐための規制構造63が設けられている。規制構造63は、冷却ユニット9の底部を支持するユニットベース25と、最下方に位置するルーバー壁37aとからなり、最下方に位置するルーバー壁37aの後端が、ユニットベース25の前端に係合するように構成されている。
【0007】
係合構造46は、ストッパー51に対応して冷却ユニット9の前端に設けられたブラケット29に形成された係合孔53を含む。冷却ユニット9を機械室7内に組み込んだとき、ブラケット29は下方側のパネル取付部17よりも前方側に位置している。そして、パネル取付部17とブラケット29とが接する状態としたうえで、係合孔53内を挿通された係合片56を被係合部52に係合させることで、下方側のパネル取付部17と、冷却ユニット9のブラケット29と、機械室パネル10の3者の係合固定状態が確立されるように構成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明のように、ストッパー51が、機械室パネル10の下端部から後方に向かって片持ち梁状に形成されたアーム55と、アーム55の後端に膨出形成された係合片56とを含んで構成されていると、機械室パネル10を上下方向へスライド移動させることなく、機械室パネル10を前後方向に移動させるだけで、下方側のパネル取付部17と機械室パネル10との間に係合固定状態を確立することができる。したがって、本発明の貯蔵庫において機械室パネル10をパネル取付部16・17に取付ける際には、例えば、締結構造45を構成する締結体49の先端部のみをネジ穴48に螺合させて機械室パネル10を仮止め状態としたうえで、当該締結体49を揺動中心として、係合構造46を構成するストッパー51を後方側に揺動させることで、係合片56のストッパー面57を被係合部52に係合させて、下方側のパネル取付部17と機械室パネル10との間の係合固定状態を確立させることができる。尤も、係合構造46による係合固定状態を確立させたのちに、締結構造45による締結固定状態を確立させることによっても、機械室パネル10をパネル取付部16・17に取付けることができる。
【0011】
以上のように、本発明の貯蔵庫によれば、上方側の締結構造45と下方側の係合構造46のいずれから取付作業を始めても機械室パネル10をパネル取付部16・17に取付けることができるので、係合構造46と締結構造45の取付順序に自由度を与えて、機械室パネル10の取付作業をより作業効率よく行うことができる。このため、例えば機械室7の前方スペースが狭隘であり、機械室パネル10側のストッパー51と機械室7側の被係合部52との間の目視による位置合わせが困難な場合であっても、上述のように締結構造45により機械室パネル10を仮止め状態としたのちに、ストッパー51を後方側に揺動させるだけで、下方側のパネル取付部17と機械室パネル10との間の係合固定状態を確立させることができる。以上のような手順を採れば、ストッパー51と被係合部52との間の厳密な位置合わせは不要となり、簡単且つ作業効率良く機械室パネル10をパネル取付部16・17に取付けることが可能となる。
【0012】
係合構造46は、ストッパー51に対応して冷却ユニット9の前端に設けられたブラケット29に形成された係合孔53を含み、パネル取付部17にブラケット29が接する状態としたうえで、係合孔53内を挿通された係合片56のストッパー面57を被係合部52に係合させることで、下方側のパネル取付部17と、冷却ユニット9のブラケット29と、機械室パネル10の3者の係合固定状態が確立される構成を採ることができる。これによれば、機械室パネル10の取付と同時に、冷却ユニット9の機械室7内での位置決めを図ることができるので、別途冷却ユニット9の位置決め構造を備える構成に比べて、係合構造46の簡素化を図ることができる。
【0013】
締結構造45により機械室パネル10の上方が締結固定状態とされている場合でも、例えば冷却ユニット9を構成する圧縮機22等の振動を受けて機械室パネル10が上方に浮き上がると、ストッパー51の係合片56のストッパー面57と下方側のパネル取付部17の被係合部52との間の係合固定状態が解除されるおそれがある。そこで、本発明のように、機械室パネル10の上方への浮き上がりを防ぐための規制構造63が設けられていると、機械室パネル10が浮き上がるのを抑えることができるので、係合構造46による係合固定状態が不用意に解除されることを防ぐことができる。
【0014】
規制構造63が、冷却ユニット9の底部に設けられたユニットベース25と、最下方に位置するルーバー壁37aとで構成されており、最下方に位置するルーバー壁37aの後端が、ユニットベース25の前端に係合される構成を採ることができる。このように、最下方に位置するルーバー壁37aの後端を含んで規制構造63を構成していると、ストッパー51の最近傍で機械室パネル10の上方への浮き上がりを防ぐことができるので、ストッパー51に大きな傾動モーメントが作用することを抑えて、ストッパー51が大きく変形することを防ぐことができるので、より確実に機械室パネル10が不用意に浮き上がるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の貯蔵庫が適用されたショーケースの実施形態の要部の縦断側面図である。
【
図5】機械室パネルの機械室の前面開口への取付方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1乃至
図8に、本発明に係る貯蔵庫をスライド扉式のショーケース(以下単に「ショーケース」と記す。)に適用した実施形態を示す。本実施形態において前後左右上下は、
図1、
図2に示す交差矢印と、矢印の近傍の前後、左右、上下の表記に従う。
図2に示すようにショーケースは、ショーケース本体1と、その上面全体を覆う天板2とを備える。ショーケース本体1は、前面開口を除く周囲壁を断熱壁で形成した箱体からなる貯蔵ボックス3と、貯蔵ボックス3の左側(一側)の外面に設けられる側部筐体4とで構成される。貯蔵ボックス3の内部は貯蔵室5とされており、貯蔵室5の前面開口は、引き違い構造の左右一対のガラス扉6・6で開閉される。貯蔵ボックス3の左側外面と側部筐体4とで囲まれる空間が機械室7とされており(
図3、4参照)、その中には貯蔵室5を冷却するための蒸発器ユニット8と凝縮器ユニット(冷却ユニット)9とが収容されている。機械室7の前面開口を覆うように機械室パネル10が着脱可能に装着されている。ショーケース本体1の下方には脚11が配置されている。
【0017】
図3および
図4に示すように、側部筐体4は、貯蔵ボックス3の左側面と、天板2、上下フレーム12・13、後フレーム14、および左フレーム15とにより区画され、前面開口を有する四角箱状に形成されている。上フレーム12は、貯蔵ボックス3の左側面の上方前端から左方向に向かって片持ち状に張り出し形成された金属成形品であり、天板2に沿う上壁12aと、上壁12aの前後端から下向きに連接された前後壁12b・12cとを備え、下方に開口を有する断面コ字状に形成されている。下フレーム13は、貯蔵ボックス3の左側面の下端から左方向に向かって張り出し形成された金属成形品であり、底壁13aと、底壁13aの前後端から上向きに連接された前後壁13b・13cとを備え、上方に開口を有する断面コ字状に形成されている。上フレーム12の前壁12bと下フレーム13の前壁13bのそれぞれには、機械室パネル10を取付けるためのパネル取付部16・17が形成されている。
【0018】
機械室7の上半部には、蒸発器ユニット8が組付けられており、機械室7の下半部には凝縮器ユニット9が組付けられている。蒸発器ユニット8は、蒸発器20と循環ファン21とで構成される。凝縮器ユニット9は、圧縮機22、凝縮器23、送風ファン24と、これらを支持する水平の台板25aを含むユニットベース25などで構成される。ユニットベース25は機械室7の下方を区画する下フレーム13の底壁13aに沿って前後方向にスライド可能に構成されており、ユニットベース25を前後にスライドさせることにより、凝縮器ユニット9の全体を機械室7に対して出し入れできる。機械室7の前方上部には、蒸発器ユニット8や凝縮器ユニット9の制御基板などの電装品を収容する制御箱26が固定されている。制御箱26の前面には、ショーケースの運転状態を制御する操作パネル27や、運転状態を表示する表示パネル28が配置されており、機械室パネル10には、これら操作パネル27と表示パネル28を前方に露出させるための窓部30が形成されている。ユニットベース25の台板25aの前端には、台板25aの下面に沿う水平部29aと、水平部29aの前端から下方に伸びる鉛直部29bとからなる断面L字状のブラケット29が固定されている。ブラケット29は、その鉛直部29bがユニットベース25の台板25aの前端よりも後方側に位置するように配されている(
図1参照)。
【0019】
機械室パネル10は、窓部30と通気口31などを有する四角形状のパネル本体部32と、パネル本体部32の周縁部に形成された補強枠部33とを一体に備えるプラスチック成型品である。
図1に示すように通気口31は、パネル本体部32の上部に形成された上ルーバー34と、凝縮器23に臨むパネル本体部32の下部に設けられた下ルーバー35で構成される。下ルーバー35は、後方側に設けられて前後水平方向に走る複数個の導風壁36と、前方側に設けられて後方から前方に向かって下り傾斜する複数個のルーバー壁37とで構成される。導風壁36とルーバー壁37のそれぞれは、所定間隔を置いて上下方向に並設されている。これら導風壁36とルーバー壁37の間には、フィルタ38を挿入するためのスリット39が形成されている。下方に行くほどスリット39は後側に配されており、フィルタ38は、前方から後方へ下り傾斜する姿勢で下ルーバー35に装着される。装着状態におけるフィルタ38の上端は、機械室パネル10の前面側に露出しており、フィルタ38の上端を摘まんで上方へ引き出すことで、フィルタ38を下ルーバー35から取り外すことができる。
図2、
図4および
図5において、符号40は、制御箱26に設けられたブレーカの開閉操作部とテストボタンとを操作するためのブレーカ開口を示す。
【0020】
機械室パネル10を機械室7の前面に取付けるためのパネル取付構造44は、上端側のパネル取付部16と機械室パネル10の上端部との間に形成された締結構造45と、下端側のパネル取付部17と機械室パネル10の下端部との間に形成された係合構造46とで構成される。締結構造45は、機械室パネル10の補強枠部33の上端部に形成された通孔47と、通孔47に対応して上方側のパネル取付部16に形成されたネジ穴48と、通孔47を介してネジ穴48にねじ込まれるビス(締結体)49とで構成される。上記のように、本実施形態では、上方側のパネル取付部16は、上フレーム12の前壁12bであり、当該上フレーム12の前壁12bの盤面中央部に、ビス49の雄ネジ部と螺合する雌ネジ部を有するネジ穴48が形成されている。機械室パネル10の補強枠部33の上端後面には、前方開口を有して後方に向かって伸びる有底円筒状のボス50が突設されており、このボス50の後端部に通孔47が開設されている。以上より、通孔47を介してビス49をネジ穴48に螺合させることで、締結構造45による締結固定状態を確立することができる。
【0021】
係合構造46は、機械室パネル10の補強枠部33の下端部分に形成された左右一対のストッパー51・51と、これらストッパー51・51に対応して下方側のパネル取付部17である下フレーム13の前壁13bに形成された左右一対のストッパー受け(被係合部)52・52と、これらストッパー51・51に対応して凝縮器ユニット9のユニットベース25のブラケット29に形成された左右一対の係合孔53・53とで構成される。各ストッパー51は、補強枠部33の下端部から後方に向かって片持ち梁状に形成された弾性変形可能なアーム55と、アーム55の後端に膨出形成された断面略三角形状の係合片56とからなるプラスチック成型品であり、機械室パネル10のパネル本体部32や補強枠部33とともに一体に形成される。係合片56のアーム55との境界部には、鉛直面であるストッパー面57が形成されており、前壁13bを乗り越えた係合片56のストッパー面57が前壁13bの後面と係合することで、係合構造46による係合固定状態が確立される。ストッパー受け52への組み付けを容易に行うために、係合片56の後端下部には、斜め下方に指向するガイド面58が形成されている。
図8に示すように、本実施形態おいては補強枠部33の下端部を形成する内壁の中央2箇所を後方に向かって延設するとともに、各延設部分と内壁との境界部分に前後方向に伸びる切り欠き59を形成して、弾性変形可能なアーム55としている。
【0022】
図6および
図7に示すように、機械室7の区画壁となる下フレーム13の前壁13bには、左右一対のストッパー受け52・52が凹み形成されている。各ストッパー受け52は、前壁13bの上端面よりも下方に位置する受面60を有する凹入部であり、ストッパー受け52の後面にストッパー51のストッパー面57が係合することで、係合構造46による係合状態が確立されるようになっている。
【0023】
図6および
図8に示すように、ユニットベース25を構成するブラケット29の鉛直部29bには、ストッパー51・51の挿通を許す左右一対の横長四角形状の係合孔53が開設されている。
図1に示すように、凝縮器ユニット9を機械室7内に組み込んだとき、ブラケット29の鉛直部29bはパネル取付部17よりも前方側に位置している。また、
図1および
図8に示すように、凝縮器ユニット9を機械室7内に組み込んだとき、ブラケット29の係合孔53の下端縁の高さ位置は、パネル取付部17のストッパー受け52の受面60の高さ位置と一致するように構成されている。
【0024】
以上の構成からなる係合構造46によれば、機械室7内に凝縮器ユニット9を組み付け、
図5に示す状態から下フレーム13の前壁13bの前面と、ブラケット29の鉛直部29bの後面とが接するまで、凝縮器ユニット9のユニットベース25を下フレーム13に沿って後方まで押し込む。次いで、ガイド面58を使って、係合片56を係合孔53の下端縁とパネル取付部17のストッパー受け52とを乗り越えさせて、ストッパー受け52の後面にストッパー51のストッパー面57を係合させる。このとき、アーム55を弾性変形させながら係合片56を乗り越えさせることで、ストッパー受け52の後面にストッパー51のストッパー面57を係合させることができる。以上より、係合構造46による係合固定状態を確立させることができる。また、ストッパー51を上方に持ち上げて、ストッパー面57とストッパー受け52との間の係合を解除することで、係合構造46による係合固定状態を解除することができる。
【0025】
凝縮器ユニット9の底部を支持するユニットベース25と、最下方に位置するルーバー壁37aとの間には、機械室パネル10が上方へ不用意に浮き上がるのを防ぐための規制構造63が設けられている。詳しくは、
図1に示すように、下フレーム13の前壁13bの前面と、ブラケット29の鉛直部29bの後面とが接するまで、凝縮器ユニット9のユニットベース25を下フレーム13に沿って後方まで押し込んだとき、最下方に位置するルーバー壁37aの後端がユニットベース25の台板25a前端の下方に位置するとともに、該ルーバー壁37aの後端がユニットベース25の台板25aの前端に受け止められるようになっている。以上のように、ルーバー壁37aの後端がユニットベース25の台板25aの前端に受け止められることにより、機械室パネル10が不用意に上方へ浮き上がることを規制することができる。
【0026】
以上のようなパネル取付構造44において、機械室パネル10をパネル取付部16・17に取付ける際の取付手順は、締結構造45、次いで係合構造46の順に限られず、係合構造46、次いで締結構造45の順であってもよい。前者の取付手順(締結構造45→係合構造46)を採る場合には、まず、機械室パネル10の通孔47と上方側のパネル取付部16のネジ穴48とを位置合わせしたのち、通孔47を介してビス49の先端部をネジ穴48に螺合させて仮止め状態とする。次いで、ビス49を揺動中心として、係合構造46のストッパー51を後方側に揺動させることで、係合孔53内を係合片56を挿通させて、ストッパー面57をストッパー受け52に係合させて、下方側のパネル取付部17と機械室パネル10との間の係合構造46による係合固定状態を確立する。最後に、ビス49をネジ穴48内に完全に締め込むことで、締結構造45による締結固定状態を確立させる。
【0027】
後者の取付手順(係合構造46→締結構造45)を採る場合には、まず、係合孔53に係合片56が対峙するようにストッパー51を位置合わせしたのち、係合孔53内を係合片56を挿通させて、ストッパー面57をストッパー受け52に係合させて、下方側のパネル取付部17と機械室パネル10との間の係合構造46による係合固定状態を確立する。次いで、機械室パネル10の通孔47と上方側のパネル取付部16のネジ穴48とを位置合わせしたのち、通孔47を介してビス49をネジ穴48に螺合させて、上方側のパネル取付部16と機械室パネル10との間の締結構造45による締結固定状態を確立させる。
【0028】
図9は、ストッパー受け(被係合部)52の変形例を示している。本変形例では下フレーム13の前壁13bの上縁は直線状に形成されており、同壁13bの上縁全体がストッパー受け52とされている。下フレーム13の前壁13bの上縁(ストッパー受け52)の後面にストッパー51のストッパー面57が係合することで、係合構造46による係合状態が確立されるようになっている。凝縮器ユニット9を機械室7内に組み込んだとき、ブラケット29の係合孔53の下端縁の高さ位置は、パネル取付部17のストッパー受け52の高さ位置よりも僅かに上方になるように構成されている。なお、係合孔53の下端縁の高さ位置とストッパー受け52の高さ位置とが一致するように構成することもできる。
【0029】
以上のように、本実施形態のショーケースにおいては、上方側の締結構造45と下方側の係合構造46のいずれから取付作業を始めても機械室パネル10をパネル取付部16・17に取付けることができるので、係合構造46と締結構造45の取付順序に自由度を与えて、機械室パネル10の取付作業をより作業効率よく行うことができる。特に、締結構造45により機械室パネル10を仮止め状態としたのちに、ストッパー51を後方側に揺動させるだけで、下方側のパネル取付部17と機械室パネル10との間の係合固定状態を確立させることができるので、例えば、機械室7の前方スペースが狭隘であり、機械室パネル10側のストッパー51と機械室7側のストッパー受け52との間の位置合わせが困難な場合であっても、簡単且つ作業効率よく機械室パネル10の取付作業を進めることができる点で優れている。
【0030】
係合構造46を、ストッパー51に対応して凝縮器ユニット9のブラケット29に形成された係合孔53を含むものとして、係合孔53内を挿通された係合片56のストッパー面57をストッパー受け52に係合させることで、下方側のパネル取付部17と、凝縮器ユニット9のブラケット29と、機械室パネル10の3者の係合固定状態が確立されるようにしたので、機械室パネル10の取付と同時に、凝縮器ユニット9の機械室7内での位置決めを図ることが可能となり、別途凝縮器ユニット9の位置決め構造を備える構成に比べて、係合構造46の簡素化を図ることができる。
【0031】
凝縮器ユニット9の底部を支持するユニットベース25と、最下方に位置するルーバー壁37aとの間に、機械室パネル10の上方への浮き上がりを規制するための規制構造63を設けたので、機械室パネル10に衝撃が加わった場合でも、係合構造46による係合固定状態が解除されることを抑えて、機械室パネル10が不用意に外れることを防ぐことができる。また、最下方に位置するルーバー壁37aの後端を含んで規制構造63を構成したので、ストッパー51の最近傍で機械室パネル10の上方への浮き上がりを防ぐことができる。したがって、ストッパー51に大きな傾動モーメントが作用することを抑えて、ストッパー51が大きく変形することを防ぐことができるので、より確実に機械室パネル10が不用意に浮き上がるのを防ぐことができる。
【0032】
上記実施例では、係合構造46として左右一対のストッパー51・51を含むものとしたが、ストッパー51の個数は2つに限られず、1つであっても3つ以上であってもよい。同様に、上記実施例では、締結構造45として1本のビス49を含むものとしたが、ビスの本数は1本に限られず、2本以上であってもよい。本発明の貯蔵庫はショーケースに限られず、横型冷蔵庫や製氷機などであってもよい。
【符号の説明】
【0033】
5 貯蔵室
7 機械室
9 冷却ユニット(凝縮器ユニット)
10 機械室パネル
16 パネル取付部
17 パネル取付部
25 ユニットベース
29 ブラケット
37 ルーバー壁
37a 最下方に位置するルーバー壁
44 パネル取付構造
45 締結構造
46 係合構造
47 通孔
48 ネジ穴
49 締結体(ビス)
51 ストッパー
52 被係合部(ストッパー受け)
53 係合孔
55 アーム
56 係合片
57 ストッパー面
63 規制構造