(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-21
(45)【発行日】2023-09-29
(54)【発明の名称】搬送物又は保管物の状態の常時監視システム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/137 20060101AFI20230922BHJP
B65G 61/00 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
B65G1/137 A
B65G61/00 524
(21)【出願番号】P 2020014648
(22)【出願日】2020-01-31
【審査請求日】2022-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000133526
【氏名又は名称】株式会社チノー
(74)【代理人】
【識別番号】100109553
【氏名又は名称】工藤 一郎
(72)【発明者】
【氏名】吉泉 徹
(72)【発明者】
【氏名】森谷 拓朗
(72)【発明者】
【氏名】矢田目 直輝
(72)【発明者】
【氏名】福地 裕太
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-013922(JP,A)
【文献】特開2017-178465(JP,A)
【文献】特開2004-217326(JP,A)
【文献】特開2016-161294(JP,A)
【文献】特開2016-204094(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0341911(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/137
B65G 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送又は保管される監視対象の状態を示すデータをセンサによって検出する状態データ検出部と、
状態データ検出部と一対一に対応する識別情報である検出識別情報を保持する検出識別情報保持部と、
検出した状態データを保持する検出状態データ保持部と、
保持されている検出識別情報を自身が起動中は常時出力する検出識別情報出力部と、
検出した状態データを後記するゲートウエイ装置との間で構成される無線ネットワークを利用して所定のタイミングで検出識別情報と関連付けて識別付状態データとして送信するための状態データローカル出力部と、
ゲートウエイ装置と通信をするための対ゲートウエイ装置通信部と、
を有する状態データ検出装置と、
状態データ検出装置と通信をするための対状態データ検出装置通信部と、
状態データローカル出力部から出力された検出識別情報が通信相手として許容されるか判断する通信相手判断部と、
通信相手判断部での判断結果が通信相手として許容されるとの判断結果である場合に、状態データ検出装置の状態データローカル出力部から出力された識別付状態データを取得するための状態データローカル取得部と、
取得した識別付状態データを保持する取得状態データ保持部と、
取得した識別付状態データを所定のタイミングで広域無線ネットワークを介して送信するための状態データ広域送信部と、
を有するゲートウエイ装置と、
検出識別情報と、監視対象を識別する監視対象識別情報とを関連付けて保持する監視検出識別情報保持部と、
ゲートウエイ装置の状態データ広域送信部から送信された識別付状態データを受信する広域受信部と、
受信した識別付状態データを保持する状態データ保持部と、
保持されている識別付状態データを監視対象識別情報と関連付けて閲覧させるための状態データ閲覧部と、
を有する状態データ閲覧サーバ装置と、
からなる搬送物又は保管物の状態の常時監視システム。
【請求項2】
状態データ検出装置は、起動スイッチを有するが、停止スイッチを有さないように構成されている請求項1に記載の搬送物又は保管物の状態の常時監視システム。
【請求項3】
監視対象を監視していない状態の状態データ検出装置と通信をするための非監視状態データ検出装置通信部と、
状態データ検出装置の状態データローカル出力部から出力された検出識別情報が通信相手として許容されるか判断する通信相手判断部と、
通信相手判断部での判断結果が通信相手として許容されるとの判断結果である場合に、状態データ検出装置の検出状態データ保持部に保持された状態データの履歴データである履歴状態データであって、状態データローカル出力部から出力された履歴データを取得するための履歴状態データ取得部と、
取得した履歴状態データを保持する履歴状態データ保持部と、
取得した履歴状態データの全部又は一部を所定のタイミングで広域ネットワークを介して送信するための履歴状態データ広域送信部と、
を有する固定ゲートウエイ装置をさらに有する請求項1又は2に記載の搬送物又は保管物の状態の常時監視システム。
【請求項4】
状態データ検出装置は、
搬送又は保管のイベントの入力を受付けるイベント入力受付部と、
受付けたイベント入力をタイミングの情報と関連付けて保持するイベント保持部と、
イベント保持部に保持されているイベントをタイミング情報と関連付けて出力するイベント出力部と、
をさらに有する請求項1から請求項3のいずれか一に記載の搬送物又は保管物の状態の常時監視システム。
【請求項5】
状態データ検出装置は、
検出状態データ保持部は、状態データの検出順位を示す検出順位情報を検出した状態データに関連付けた情報である検出順位付状態データを保持する検出順位付状態データ保持手段を有し、
状態データローカル出力部は、検出順位付状態データをゲートウエイ装置との間で構成される無線ネットワークを利用して所定のタイミングで検出識別情報と関連付けて検出順位付識別付状態データとして送信するための検出順位付状態データローカル出力手段を有する、請求項1から請求項4のいずれか一に記載の搬送物又は保管物の状態の常時監視システム。
【請求項6】
ゲートウエイ装置は、
状態データローカル取得部は、通信相手判断部での判断結果が通信相手として許容されるとの判断結果である場合に、状態データ検出装置の検出順位付状態データローカル出力手段から出力された検出順位付識別付状態データを取得するための状態データローカル取得手段を有し、
取得し保持されている検出順位付状態データに欠損があるか判断する欠損判断部と、
欠損判断部での判断結果が欠損があるとの判断結果である場合には、状態データ検出装置に対する検出順位付状態データの再送を要求する検出順位付状態データ再送要求部と、
をさらに有する請求項5に記載の搬送物又は保管物の状態の常時監視システム。
【請求項7】
監視対象の状態を示すデータを検出する計算機である状態データ検出装置と、
状態データ検出装置が検出した識別付状態データを取得し、所定のタイミングで広域無線ネットワークを介して送信するための計算機であるゲートウエイ装置と、
ゲートウエイ装置から送信された識別付状態データを受信し、識別付状態データを監視対象識別情報と関連付けて閲覧させるための計算機である状態データ閲覧サーバ装置と、からなる搬送物又は保管物の状態の監視システムの動作方法であって、
状態データ検出装置を
搬送又は保管される監視対象の状態を示すデータをセンサによって検出する状態データ検出ステップと、
状態データ検出部と一対一に対応する識別情報である検出識別情報を保持する検出識別情報保持ステップと、
検出した状態データを保持する検出状態データ保持ステップと、
保持されている検出識別情報を自身が起動中は常時出力する検出識別情報出力ステップと、
検出した状態データを後記するゲートウエイ装置との間で構成される無線ネットワークを利用して所定のタイミングで検出識別情報と関連付けて識別付状態データとして送信する状態データローカル出力ステップと、
によって動作させ、
ゲートウエイ装置を
状態データ検出装置の状態データローカル出力ステップにて出力された検出識別情報が通信相手として許容されるか判断する通信相手判断ステップと、
通信相手判断ステップでの判断結果が通信相手として許容されるとの判断結果である場合に、状態データ検出装置の状態データローカル出力ステップにて出力された識別付状態データを取得する状態データローカル取得ステップと、
取得した識別付状態データを保持する取得状態データ保持ステップと、
取得した識別付状態データを所定のタイミングで広域無線ネットワークを介して送信するための状態データ広域送信ステップと、
によって動作させ、
状態データ閲覧サーバ装置を
検出識別情報と、監視対象を識別する監視対象識別情報とを関連付けて保持する監視検出識別情報保持ステップと、
ゲートウエイ装置の状態データ広域送信ステップにて送信された識別付状態データを受信する広域受信ステップと、
受信した識別付状態データを保持する状態データ保持ステップと、
保持されている識別付状態データを監視対象識別情報と関連付けて閲覧させる状態データ閲覧ステップと、
によって動作させる搬送物又は保管物の状態の常時監視システムの動作方法。
【請求項8】
状態データ検出装置から状態データの履歴データを取得し広域ネットワークを介して送信する固定ゲートウエイ装置をさらに有する搬送物又は保管物の状態の常時監視システムの動作方法であって、計算機である前記固定ゲートウエイ装置は、
監視対象を監視していない状態の状態データ検出装置と通信をするための非監視状態データ検出装置通信ステップと、
状態データ検出装置の状態データローカル出力部から出力された検出識別情報が通信相手として許容されるか判断する通信相手判断ステップと、
通信相手判断ステップでの判断結果が通信相手として許容されるとの判断結果である場合に、状態データ検出装置の検出状態データ保持ステップにて保持された状態データの履歴データである履歴状態データであって、状態データローカル出力ステップにて出力された履歴データを取得する履歴状態データ取得ステップと、
取得した履歴状態データを保持する履歴状態データ保持ステップと、
取得した履歴状態データの全部又は一部を所定のタイミングで広域ネットワークを介して送信する履歴状態データ広域送信ステップと、
によって動作させる請求項7に記載の搬送物又は保管物の状態の常時監視システムの動作方法。
【請求項9】
状態データ検出装置を、
搬送又は保管のイベントの入力を受付けるイベント入力受付ステップと、
受付けたイベント入力をタイミングの情報と関連付けて保持するイベント保持ステップと、
イベント保持部に保持されているイベントをタイミング情報と関連付けて出力するイベント出力ステップと、
によって動作させる請求項7又は請求項8に記載の搬送物又は保管物の状態の常時監視システムの動作方法。
【請求項10】
状態データ検出装置を、
検出状態データ保持ステップでは、状態データの検出順位を示す検出順位情報を検出した状態データに関連付けた情報である検出順位付状態データを保持する検出順位付状態データ保持サブステップを有し、
状態データローカル出力ステップは、検出順位付状態データをゲートウエイ装置との間で構成される無線ネットワークを利用して所定のタイミングで検出識別情報と関連付けて検出順位付識別付状態データとして送信するための検出順位付状態データローカル出力サブステップを有する、請求項7から請求項9のいずれか一に記載の搬送物又は保管物の状態の常時監視システムの動作方法。
【請求項11】
ゲートウエイ装置は、
状態データローカル取得ステップは、通信相手判断ステップでの判断結果が通信相手として許容されるとの判断結果である場合に、状態データ検出装置の検出順位付状態データローカル出力サブステップから出力された検出順位付識別付状態データを取得するための状態データローカル取得サブステップを有し、
取得し保持されている検出順位付状態データに欠損があるか判断する欠損判断ステップと、
欠損判断ステップでの判断結果が欠損があるとの判断結果である場合には、状態データ検出装置に対する検出順位付状態データの再送を要求する検出順位付状態データ再送要求ステップと、
をさらに有する請求項10に記載の搬送物又は保管物の状態の常時監視システムの動作方法。
【請求項12】
監視対象の状態を示すデータを検出する計算機である状態データ検出装置と、
状態データ検出装置が検出した識別付状態データを取得し、所定のタイミングで広域無線ネットワークを介して送信するための計算機であるゲートウエイ装置と、
ゲートウエイ装置から送信された識別付状態データを受信し、識別付状態データを監視対象識別情報と関連付けて閲覧させるための計算機である状態データ閲覧サーバ装置と、からなる搬送物又は保管物の状態の監視システムの動作プログラムであって、
状態データ検出装置を
搬送又は保管される監視対象の状態を示すデータをセンサによって検出する状態データ検出ステップと、
状態データ検出部と一対一に対応する識別情報である検出識別情報を保持する検出識別情報保持ステップと、
検出した状態データを保持する検出状態データ保持ステップと、
保持されている検出識別情報を自身が起動中は常時出力する検出識別情報出力ステップと、
検出した状態データを後記するゲートウエイ装置との間で構成される無線ネットワークを利用して所定のタイミングで検出識別情報と関連付けて識別付状態データとして送信する状態データローカル出力ステップと、
によって動作させるように状態データ検出装置に読み取り実行可能に記載され、
ゲートウエイ装置を
状態データ検出装置の状態データローカル出力ステップにて出力された検出識別情報が通信相手として許容されるか判断する通信相手判断ステップと、
通信相手判断ステップでの判断結果が通信相手として許容されるとの判断結果である場合に、状態データ検出装置の状態データローカル出力ステップにて出力された識別付状態データを取得する状態データローカル取得ステップと、
取得した識別付状態データを保持する取得状態データ保持ステップと、
取得した識別付状態データを所定のタイミングで広域無線ネットワークを介して送信するための状態データ広域送信ステップと、
によって動作させるようにゲートウエイ装置に読み取り実行可能に記載され、
状態データ閲覧サーバ装置を
検出識別情報と、監視対象を識別する監視対象識別情報とを関連付けて保持する監視検出識別情報保持ステップと、
ゲートウエイ装置の状態データ広域送信ステップにて送信された識別付状態データを受信する広域受信ステップと、
受信した識別付状態データを保持する状態データ保持ステップと、
保持されている識別付状態データを監視対象識別情報と関連付けて閲覧させる状態データ閲覧ステップと、
によって動作させるように状態データ閲覧サーバ装置に読み取り実行可能に記載された搬送物又は保管物の状態の常時監視システムの動作プログラム。
【請求項13】
状態データ検出装置から状態データの履歴データを取得し広域ネットワークを介して送信する固定ゲートウエイ装置をさらに有する搬送物又は保管物の状態の常時監視システムの動作方法であって、計算機である前記固定ゲートウエイ装置の動作プログラムであって、
監視対象を監視していない状態の状態データ検出装置と通信をするための非監視状態データ検出装置通信ステップと、
状態データ検出装置の状態データローカル出力部から出力された検出識別情報が通信相手として許容されるか判断する通信相手判断ステップと、
通信相手判断ステップでの判断結果が通信相手として許容されるとの判断結果である場合に、状態データ検出装置の検出状態データ保持ステップにて保持された状態データの履歴データである履歴状態データであって、状態データローカル出力ステップにて出力された履歴データを取得する履歴状態データ取得ステップと、
取得した履歴状態データを保持する履歴状態データ保持ステップと、
取得した履歴状態データの全部又は一部を所定のタイミングで広域ネットワークを介して送信する履歴状態データ広域送信ステップと、
によって動作させるように固定ゲートウエイ装置に読み取り実行可能に記載された請求項12に記載の搬送物又は保管物の状態の常時監視システムの動作プログラム。
【請求項14】
状態データ検出装置を、
搬送又は保管のイベントの入力を受付けるイベント入力受付ステップと、
受付けたイベント入力をタイミングの情報と関連付けて保持するイベント保持ステップと、
イベント保持部に保持されているイベントをタイミング情報と関連付けて出力するイベント出力ステップと、
によって動作させるように状態データ検出装置に読み取り実行可能に記載された請求項12又は請求項13に記載の搬送物又は保管物の状態の常時監視システムの動作プログラム。
【請求項15】
状態データ検出装置を、
検出状態データ保持ステップでは、状態データの検出順位を示す検出順位情報を検出した状態データに関連付けた情報である検出順位付状態データを保持する検出順位付状態データ保持サブステップを有し、
状態データローカル出力ステップは、検出順位付状態データをゲートウエイ装置との間で構成される無線ネットワークを利用して所定のタイミングで検出識別情報と関連付けて検出順位付識別付状態データとして送信するための検出順位付状態データローカル出力サブステップによって動作させるように状態データ検出装置に読み取り実行可能に記載された請求項12から請求項14のいずれか一に記載の搬送物又は保管物の状態の常時監視システムの動作プログラム。
【請求項16】
ゲートウエイ装置は、
状態データローカル取得ステップは、通信相手判断ステップでの判断結果が通信相手として許容されるとの判断結果である場合に、状態データ検出装置の検出順位付状態データローカル出力サブステップから出力された検出順位付識別付状態データを取得するための状態データローカル取得サブステップを有し、
取得し保持されている検出順位付状態データに欠損があるか判断する欠損判断ステップと、
欠損判断ステップでの判断結果が欠損があるとの判断結果である場合には、状態データ検出装置に対する検出順位付状態データの再送を要求する検出順位付状態データ再送要求ステップと、によって動作させるようにゲートウエイ装置に読み取り実行可能に記載された請求項15に記載の搬送物又は保管物の状態の常時監視システムの動作プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、医薬品を薬品メーカーの保管庫から医療機関に至るまで搬送する物流現場において用いられる搬送物又は保管物の状態の常時監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
上記したような医薬品の大半は高温化での扱いが嫌われるため、これまでは冷蔵冷凍車両に搭載したり個別に保冷箱に入れたりして搬送するのが一般的であった。
【0003】
このような搬送システムにおいて、搬送する医薬品がすべて同種類ないしはそれに近い医薬品である場合には、搬送中の温度管理を車両の温度計によって一括して行うことができるため支障は生じない。
ところが、昨今の医療の発展に応じて出現している多種多様な医薬品、或いは、血液や血清を搬送する場合には、搬送物の管理条件が一つひとつ異なるので、搭載車両を分けて搭載して搬送する、もしくは、個別に保冷箱に入れて搬送する必要があり、一括して温度管理を行うこの搬送システムでは、対応が困難になりつつある。
【0004】
こうした中、近年において、多種多様な医薬品や血液や血清等をそれぞれ個別に保冷箱に収容して搬送するシステムの構築が成されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、温度や湿度の管理が厳しく設定される医薬品や血液や血清等を搬送する場合には、医薬品の適正流通ガイドライン(GDP; Good Distribution Practices)により、搬送元から搬送先に至るまでの搬送中における温度データ等の全データを記録することが求められる。つまり、搬送途中の卸会社も含む搬送中において、保冷箱内の状態を把握することが重要であり、搬送中の保冷箱内の状態を監視することが搬送先である医療機関から求められる。特に、搬送中の保冷箱内の大きな温度逸脱を防ぐためには、保冷箱内の状態を監視することで得られる保冷箱内の状態をリアルタイムで把握できるようにすることが求められる。
【0007】
しかしながら、近年構築されている上記したような搬送システムも、このような搬送先である医療機関の要望をすべて満たすまでには至っておらず、これを解決することが従来の課題となっている。
【0008】
本発明は、上記した従来の課題を解決するために成されたものであり、搬送物、例えば、医薬品の搬送中における温度や湿度等の状態を監視対象単位で逐一監視することができると共に、その監視で得られる状態データを搬送先である医療機関等においてリアルタイムで把握することが可能である搬送物又は保管物の状態常時監視システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、以下の搬送物又は保管物の状態の常時監視システムを提供する。
すなわち、本発明の第一の態様は、搬送又は保管される監視対象の状態を示すデータをセンサによって検出する状態データ検出部と、状態データ検出部と一対一に対応する識別情報である検出識別情報を保持する検出識別情報保持部と、検出した状態データを保持する検出状態データ保持部と、保持されている検出識別情報を自身が起動中は常時出力する検出識別情報出力部と、検出した状態データを後記するゲートウエイ装置との間で構成される無線ネットワークを利用して所定のタイミングで検出識別情報と関連付けて識別付状態データとして送信するための状態データローカル出力部と、ゲートウエイ装置と通信をするための対ゲートウエイ装置通信部と、を有する状態データ検出装置と、状態データ検出装置と通信をするための対状態データ検出装置通信部と、状態データローカル出力部から出力された検出識別情報が通信相手として許容されるか判断する通信相手判断部と、通信相手判断部での判断結果が通信相手として許容されるとの判断結果である場合に、状態データ検出装置の状態データローカル出力部から出力された識別付状態データを取得するための状態データローカル取得部と、取得した識別付状態データを保持する取得状態データ保持部と、取得した識別付状態データを所定のタイミングで広域無線ネットワークを介して送信するための状態データ広域送信部と、を有するゲートウエイ装置と、検出識別情報と、監視対象を識別する監視対象識別情報とを関連付けて保持する監視検出識別情報保持部と、ゲートウエイ装置の状態データ広域送信部から送信された識別付状態データを受信する広域受信部と、受信した識別付状態データを保持する状態データ保持部と、保持されている識別付状態データを監視対象識別情報と関連付けて閲覧させるための状態データ閲覧部と、を有する状態データ閲覧サーバ装置と、からなる構成としている。
【0010】
また、本発明の第二の態様において、状態データ検出装置は、起動スイッチを有するが、停止スイッチを有さないように構成されている。
【0011】
さらに、本発明の第三の態様は、監視対象を監視していない状態の状態データ検出装置と通信をするための非監視状態データ検出装置通信部と、状態データローカル出力部から出力された検出識別情報が通信相手として許容されるか判断する通信相手判断部と、通信相手判断部での判断結果が通信相手として許容されるとの判断結果である場合に、状態データ検出装置の検出状態データ保持部に保持された状態データの履歴データである履歴状態データであって、状態データローカル出力部から出力された履歴データを取得するための履歴状態データ取得部と、取得した履歴状態データを保持する履歴状態データ保持部と、取得した履歴状態データの全部又は一部を所定のタイミングで広域ネットワークを介して送信するための履歴状態データ広域送信部と、を有する固定ゲートウエイ装置をさらに有する構成としている。
【0012】
さらにまた、本発明の第四の態様において、状態データ検出装置は、搬送又は保管のイベントの入力を受付けるイベント入力受付部と、受付けたイベント入力をタイミングの情報と関連付けて保持するイベント保持部と、イベント保持部に保持されているイベントをタイミング情報と関連付けて出力するイベント出力部と、をさらに有する構成としている。
【0013】
さらにまた、本発明の第五の態様は、状態データ検出装置の検出状態データ保持部は、状態データの検出順位を示す検出順位情報を検出した状態データに関連付けた情報である検出順位付状態データを保持する検出順位付状態データ保持手段を有し、状態データローカル出力部は、検出順位付状態データをゲートウエイ装置との間で構成される無線ネットワークを利用して所定のタイミングで検出識別情報と関連付けて検出順位付識別付状態データとして送信するための検出順位付状態データローカル出力手段を有する、構成としている。
【0014】
さらにまた、本発明の第六の態様は、ゲートウエイ装置において、状態データローカル取得部は、通信相手判断部での判断結果が通信相手として許容されるとの判断結果である場合に、状態データ検出装置の検出順位付状態データローカル出力手段から出力された検出順位付識別付状態データを取得するための状態データローカル取得手段を有し、取得し保持されている検出順位付状態データに欠損があるか判断する欠損判断部と、欠損判断部での判断結果が欠損があるとの判断結果である場合には、状態データ検出装置に対する検出順位付状態データの再送を要求する検出順位付状態データ再送要求部と、をさらに有する構成としている。
【0015】
さらにまた、本発明の第七の態様は、監視対象の状態を示すデータを検出する計算機である状態データ検出装置と、状態データ検出装置が検出した識別付状態データを取得し、所定のタイミングで広域無線ネットワークを介して送信するための計算機であるゲートウエイ装置と、ゲートウエイ装置から送信された識別付状態データを受信し、識別付状態データを監視対象識別情報と関連付けて閲覧させるための計算機である状態データ閲覧サーバ装置と、からなる搬送物又は保管物の状態の監視システムの動作方法であって、状態データ検出装置を搬送又は保管される監視対象の状態を示すデータをセンサによって検出する状態データ検出ステップと、状態データ検出部と一対一に対応する識別情報である検出識別情報を保持する検出識別情報保持ステップと、検出した状態データを保持する検出状態データ保持ステップと、保持されている検出識別情報を自身が起動中は常時出力する検出識別情報出力ステップと、検出した状態データを後記するゲートウエイ装置との間で構成される無線ネットワークを利用して所定のタイミングで検出識別情報と関連付けて識別付状態データとして送信する状態データローカル出力ステップと、よって動作させ、ゲートウエイ装置を状態データ検出装置の状態データローカル出力ステップにて出力された検出識別情報が通信相手として許容されるか判断する通信相手判断ステップと、通信相手判断ステップでの判断結果が通信相手として許容されるとの判断結果である場合に、状態データ検出装置の状態データローカル出力ステップにて出力された識別付状態データを取得する状態データローカル取得ステップと、取得した識別付状態データを保持する取得状態データ保持ステップと、取得した識別付状態データを所定のタイミングで広域無線ネットワークを介して送信するための状態データ広域送信ステップと、よって動作させ、状態データ閲覧サーバ装置を検出識別情報と、監視対象を識別する監視対象識別情報とを関連付けて保持する監視検出識別情報保持ステップと、ゲートウエイ装置の状態データ広域送信ステップにて送信された識別付状態データを受信する広域受信ステップと、受信した識別付状態データを保持する状態データ保持ステップと、保持されている識別付状態データを監視対象識別情報と関連付けて閲覧させる状態データ閲覧ステップと、によって動作させる構成としている。
【0016】
さらにまた、本発明の第八の態様は、状態データ検出装置から状態データの履歴データを取得し広域ネットワークを介して送信する固定ゲートウエイ装置をさらに有する搬送物又は保管物の状態の常時監視システムの動作方法であって、計算機である前記固定ゲートウエイ装置は、監視対象を監視していない状態の状態データ検出装置と通信をするための非監視状態データ検出装置通信ステップと、状態データ検出装置の状態データローカル出力部から出力された検出識別情報が通信相手として許容されるか判断する通信相手判断ステップと、通信相手判断ステップでの判断結果が通信相手として許容されるとの判断結果である場合に、状態データ検出装置の検出状態データ保持ステップにて保持された状態データの履歴データである履歴状態データであって、状態データローカル出力ステップにて出力された履歴データを取得する履歴状態データ取得ステップと、取得した履歴状態データを保持する履歴状態データ保持ステップと、取得した履歴状態データの全部又は一部を所定のタイミングで広域ネットワークを介して送信する履歴状態データ広域送信ステップと、によって動作させる構成としている。
【0017】
さらにまた、本発明の第九の態様は、状態データ検出装置を、搬送又は保管のイベントの入力を受付けるイベント入力受付ステップと、受付けたイベント入力をタイミングの情報と関連付けて保持するイベント保持ステップと、イベント保持部に保持されているイベントをタイミング情報と関連付けて出力するイベント出力ステップと、によって動作させる構成としている。
【0018】
さらにまた、本発明の第十の態様は、状態データ検出装置を、検出状態データ保持ステップでは、状態データの検出順位を示す検出順位情報を検出した状態データに関連付けた情報である検出順位付状態データを保持する検出順位付状態データ保持サブステップを有し、状態データローカル出力ステップは、検出順位付状態データをゲートウエイ装置との間で構成される無線ネットワークを利用して所定のタイミングで検出識別情報と関連付けて検出順位付識別付状態データとして送信するための検出順位付状態データローカル出力サブステップを有する、構成としている。
【0019】
さらにまた、本発明の第十一の態様において、ゲートウエイ装置は、状態データローカル取得ステップは、通信相手判断ステップでの判断結果が通信相手として許容されるとの判断結果である場合に、状態データ検出装置の検出順位付状態データローカル出力サブステップから出力された検出順位付識別付状態データを取得するための状態データローカル取得サブステップを有し、取得し保持されている検出順位付状態データに欠損があるか判断する欠損判断ステップと、欠損判断ステップでの判断結果が欠損があるとの判断結果である場合には、状態データ検出装置に対する検出順位付状態データの再送を要求する検出順位付状態データ再送要求ステップと、をさらに有する構成としている。
【0020】
さらにまた、本発明の第十二の態様は、監視対象の状態を示すデータを検出する計算機である状態データ検出装置と、状態データ検出装置が検出した識別付状態データを取得し、所定のタイミングで広域無線ネットワークを介して送信するための計算機であるゲートウエイ装置と、ゲートウエイ装置から送信された識別付状態データを受信し、識別付状態データを監視対象識別情報と関連付けて閲覧させるための計算機である状態データ閲覧サーバ装置と、からなる搬送物又は保管物の状態の監視システムの動作プログラムであって、 状態データ検出装置を搬送又は保管される監視対象の状態を示すデータをセンサによって検出する状態データ検出ステップと、状態データ検出部と一対一に対応する識別情報である検出識別情報を保持する検出識別情報保持ステップと、検出した状態データを保持する検出状態データ保持ステップと、保持されている検出識別情報を自身が起動中は常時出力する検出識別情報出力ステップと、検出した状態データを後記するゲートウエイ装置との間で構成される無線ネットワークを利用して所定のタイミングで検出識別情報と関連付けて識別付状態データとして送信する状態データローカル出力ステップと、よって動作させるように状態データ検出装置に読み取り実行可能に記載され、ゲートウエイ装置を状態データ検出装置の状態データローカル出力ステップにて出力された検出識別情報が通信相手として許容されるか判断する通信相手判断ステップと、通信相手判断ステップでの判断結果が通信相手として許容されるとの判断結果である場合に、状態データ検出装置の状態データローカル出力ステップにて出力された識別付状態データを取得する状態データローカル取得ステップと、取得した識別付状態データを保持する取得状態データ保持ステップと、取得した識別付状態データを所定のタイミングで広域無線ネットワークを介して送信するための状態データ広域送信ステップと、によって動作させるようにゲートウエイ装置に読み取り実行可能に記載され、状態データ閲覧サーバ装置を検出識別情報と、監視対象を識別する監視対象識別情報とを関連付けて保持する監視検出識別情報保持ステップと、ゲートウエイ装置の状態データ広域送信ステップにて送信された識別付状態データを受信する広域受信ステップと、受信した識別付状態データを保持する状態データ保持ステップと、保持されている識別付状態データを監視対象識別情報と関連付けて閲覧させる状態データ閲覧ステップと、によって動作させるように状態データ閲覧サーバ装置に読み取り実行可能に記載される構成としている。
【0021】
さらにまた、本発明の第十三の態様は、状態データ検出装置から状態データの履歴データを取得し広域ネットワークを介して送信する固定ゲートウエイ装置をさらに有する搬送物又は保管物の状態の常時監視システムの動作方法であって、計算機である前記固定ゲートウエイ装置の動作プログラムであって、監視対象を監視していない状態の状態データ検出装置と通信をするための非監視状態データ検出装置通信ステップと、状態データ検出装置の状態データローカル出力部から出力された検出識別情報が通信相手として許容されるか判断する通信相手判断ステップと、通信相手判断ステップでの判断結果が通信相手として許容されるとの判断結果である場合に、状態データ検出装置の検出状態データ保持ステップにて保持された状態データの履歴データである履歴状態データであって、状態データローカル出力ステップにて出力された履歴データを取得する履歴状態データ取得ステップと、取得した履歴状態データを保持する履歴状態データ保持ステップと、取得した履歴状態データの全部又は一部を所定のタイミングで広域ネットワークを介して送信する履歴状態データ広域送信ステップと、によって動作させるように固定ゲートウエイ装置に読み取り実行可能に記載された構成としている。
【0022】
さらにまた、本発明の第十四の態様は、状態データ検出装置を、搬送又は保管のイベントの入力を受付けるイベント入力受付ステップと、受付けたイベント入力をタイミングの情報と関連付けて保持するイベント保持ステップと、イベント保持部に保持されているイベントをタイミング情報と関連付けて出力するイベント出力ステップと、によって動作させるように状態データ検出装置に読み取り実行可能に記載された構成としている。
【0023】
さらにまた、本発明の第十五の態様は、状態データ検出装置を、検出状態データ保持ステップでは、状態データの検出順位を示す検出順位情報を検出した状態データに関連付けた情報である検出順位付状態データを保持する検出順位付状態データ保持サブステップを有し、状態データローカル出力ステップは、検出順位付状態データをゲートウエイ装置との間で構成される無線ネットワークを利用して所定のタイミングで検出識別情報と関連付けて検出順位付識別付状態データとして送信するための検出順位付状態データローカル出力サブステップによって動作させるように状態データ検出装置に読み取り実行可能に記載された構成としている。
【0024】
さらにまた、本発明の第十六の態様において、ゲートウエイ装置は、状態データローカル取得ステップは、通信相手判断ステップでの判断結果が通信相手として許容されるとの判断結果である場合に、状態データ検出装置の検出順位付状態データローカル出力サブステップから出力された検出順位付識別付状態データを取得するための状態データローカル取得サブステップを有し、取得し保持されている検出順位付状態データに欠損があるか判断する欠損判断ステップと、欠損判断ステップでの判断結果が欠損があるとの判断結果である場合には、状態データ検出装置に対する検出順位付状態データの再送を要求する検出順位付状態データ再送要求ステップと、によって動作させるようにゲートウエイ装置に読み取り実行可能に記載された構成としている。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、搬送物の搬送中における温度や湿度等の状態を監視対象単位で逐一監視することができると共に、その監視で得られる状態データを搬送先においてリアルタイムで把握することが可能であるという非常に優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1A】実施形態1に係る搬送物又は保管物の状態常時監視システムのシステム構成図
【
図2】実施形態1の搬送物又は保管物の状態常時監視システムにおけるロガーの機能ブロック図
【
図3】実施形態1の搬送物又は保管物の状態常時監視システムにおけるゲートウエイ装置の機能ブロック図
【
図4】実施形態1の搬送物又は保管物の状態常時監視システムにおけるクラウドの機能ブロック図
【
図5】実施形態1の搬送物又は保管物の状態常時監視システムにおけるロガーのハードウェア構成例を示す図
【
図6】実施形態1の搬送物又は保管物の状態常時監視システムにおけるゲートウエイ装置のハードウェア構成例を示す図
【
図7】実施形態1の搬送物又は保管物の状態常時監視システムにおけるクラウドのハードウェア構成例を示す図
【
図8】実施形態1の搬送物又は保管物の状態常時監視システムにおけるロガーのハードウェアによる動作処理フローチャート
【
図9】実施形態1の搬送物又は保管物の状態常時監視システムにおけるゲートウエイ装置のハードウェアによる動作処理フローチャート
【
図10】実施形態1の搬送物又は保管物の状態常時監視システムにおけるクラウドのハードウェアによる動作処理フローチャート
【
図11】実施形態2の搬送物又は保管物の状態常時監視システムにおけるロガーの正面図
【
図12】実施形態3に係る搬送物又は保管物の状態常時監視システムにおけるロガーの状態データを固定ゲートウエイ装置が回収する状況を示すシステム構成図
【
図13】実施形態3の搬送物又は保管物の状態常時監視システムにおける固定ゲートウエイ装置の機能ブロック図
【
図14】実施形態3の搬送物又は保管物の状態常時監視システムにおける固定ゲートウエイ装置のハードウェア構成例を示す図
【
図15】実施形態3の搬送物又は保管物の状態常時監視システムにおける固定ゲートウエイ装置のハードウェアによる動作処理フローチャート
【
図16】実施形態4の搬送物又は保管物の状態常時監視システムにおけるロガーの機能ブロック図
【
図17】実施形態4の搬送物又は保管物の状態常時監視システムにおけるロガーのハードウェア構成例を示す図
【
図18】実施形態4の搬送物又は保管物の状態常時監視システムにおけるロガーのハードウェアによる動作処理フローチャート
【
図19A】実施形態5の搬送物又は保管物の状態常時監視システムにおけるロガーの機能ブロック図
【
図19B】実施形態5の搬送物又は保管物の状態常時監視システムにおけるゲートウエイ装置の機能ブロック図
【
図20A】ロガーからの状態データをゲートウエイ装置が欠損なく取得した場合の通信イメージ図
【
図20B】ロガーからの状態データをゲートウエイ装置が取得し得なかった場合の通信イメージ図
【
図20C】ゲートウエイ装置が取得し得なかったロガーからの状態データを補完した場合の状態データの通信イメージ図
【
図21】実施形態5の搬送物又は保管物の状態常時監視システムにおけるロガーのハードウェア構成例を示す図
【
図22】実施形態5の搬送物又は保管物の状態常時監視システムにおけるゲートウエイ装置のハードウェア構成例を示す図
【
図23】実施形態5の搬送物又は保管物の状態常時監視システムにおけるロガーのハードウェアによる動作処理フローチャート
【
図24】実施形態5の搬送物又は保管物の状態常時監視システムにおけるゲートウエイ装置のハードウェアによる動作処理フローチャート
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明の実施形態を説明する。実施形態と請求項の相互の関係は以下のとおりである。実施形態1は主に請求項1に関し、実施形態2は主に請求項2に関し、実施形態3は主に請求項3に関し、実施形態4は主に請求項4に関し、実施形態5は主に請求項5及び請求項6に関する。なお、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得る。
【0028】
<ハードウェアの説明>
以下に記載する本願発明の計算機は、一例としてマザーボード上などに備えられる、CPU、不揮発性メモリ、メインメモリ、グラフィックカード、さらにI/Oコントローラ、USBやIEEE。LANなどのインターフェースや、BIOS、PCIスロット、リアルタイムクロックなど及び、これらを相互に接続するバス並びにバスを接続するチップセット(ノースブリッジ、サウスブリッジ)から構成される。
「バス」は、CPU(MPU)と、周辺機器や各種制御部を繋ぐために備えられる。又、バスは前述のチップセットによって連結される。
「CPU」(MPU)はメインメモリ上にあるプログラムと呼ばれる命令列を順に読み込んで解釈・実行することで信号からなる情報を同じくメインメモリ上に出力する。CPUは計算機内での演算を行なう中心として機能する。
「不揮発性メモリ」(HDD)の一例はハードディスクドライブである。基本構造は、磁気ディスク、磁気ヘッド、および磁気ヘッドを搭載するアームから構成される。
なお、不揮発性メモリとしては「(NANDフラッシュ)から構成されるSSDをHDDとともに採用してもよいし、HDDに置き換えて採用してもよい。
メインメモリは、揮発性のメモリで構成される。最も代表的なものはダイナミックラムである。
I/Oコントローラは外部機器との接続に利用される。USBコネクタもその一例である。
IEEE1394コネクタは最も代表的な通信規格のインターフェースである。
OS(オペレーティングシステム)は、コンピュータを稼働するための基本ソフトウエアである。ユーザやアプリケーションプログラムに対してインターフェースを提供し、ハードウェアなどの機能部や、各リソースに対して効率的な管理を行う役割を果たす。
デバイスドライバはオペレーティングシステムを介して計算機に付属する各種のデバイスをユーザやアプリケーションに利用可能等するためのデバイスのハードウェアを制御するためのプログラムである。
<実施形態1(主に請求項1に対応)>
<概要>
【0029】
本実施形態に係る搬送物の状態の常時監視システムは、監視対象となる搬送物である例えば、医薬品等を薬品メーカーの冷蔵庫から医療機関に搬送する物流現場において用いられるシステムであり、搬送車両に備えられたゲートウエイ装置によって搬送中の医薬品等の状態を検出して、この検出した医薬品等(医薬品、血液、血清、臓器、幹細胞、細胞、皮膚等)の保管状態、運搬状態、バイオデータ等のデータを状態データ閲覧サーバ装置に送信し、閲覧可能とするようにしたことを主たる特徴とする。なお、本発明の監視対象は医薬品等に限定されるものでなく、温度、湿度、振動、などの監視対象の状態を精緻に管理しなければならない物を含む。
【0030】
本実施形態に係る搬送物の状態の常時監視システムでは、搬送物である医薬品の搬送中における温度等の状態データを監視対象単位で逐一監視でき、リアルタイムで把握することが可能になるという効果を奏する。
<構成>
【0031】
すなわち、本実施形態の搬送物の状態の常時監視システムは、
図1Aに示すように、温度センサを内蔵したロガー(状態データ検出装置)0100と、ゲートウエイ装置0130と、クラウド(状態データ閲覧サーバ装置)0140と、から主として構成されている。以下では、医薬品等(医薬品、血液、血清、臓器、幹細胞、細胞、皮膚等)を自動車で搬送する場合を例として説明する。
【0032】
ロガー0100は、搬送物である医薬品Pを収容する保冷箱Bに着脱可能となっており、搬送開始地点(搬送元)SPにおいて医薬品Pを収容した複数の保冷箱Bのそれぞれに1個ずつ取り付けられ、医薬品Pの納品後の保冷箱回収地点EPにおいて保冷箱Bからそれぞれ外されるようになっている。
【0033】
なお、このロガー0100は、保冷箱Bに常時固定されていてもよく、その場合には、本実施形態のセンサ一体型のロガー0100に代えて、
図1Bに示すように、温度センサ0115のみを保冷箱Bの内側に配置して本体0116を保冷箱Bの外側に配置するセンサ分離タイプのロガー0100Aも採用し得る。
【0034】
ゲートウエイ装置0130は、搬送車両C毎に1台ずつ配置され、例えば、運転席Dの運転者から見易い位置に設置される。このゲートウエイ装置0130は、1台で複数(例えば60個)のロガー0100から後述のごとく状態データを収集可能となっている。
クラウド0140は、医薬品Pの搬送先である医療機関に設置されたサーバ装置等である。
【0035】
図2に示すように、搬送開始地点において医薬品を収容する保冷箱に配置されるロガー0200は、状態データ検出部0201と、検出状態データ保持部0202と、検出識別情報保持部0203と、検出識別情報出力部0204と、状態データローカル出力部0205と、対ゲートウエイ装置通信部0206と、を有している。
【0036】
状態データ検出部0201は、搬送中において、監視対象である医薬品の状態(この場合は温度)を示す状態データを温度センサによって検出し、検出状態データ保持部0202は、状態データ検出部0201で検出した状態データを保持する。
【0037】
一方、検出識別情報保持部0203は、状態データ検出部0201と一対一に対応する識別情報であるID(検出識別情報)を保持する。ここで、「状態データ検出部0201と一対一に対応する」とは、一の状態データ検出部0201に対応する一の識別情報であるIDのことを言う。つまり、検出識別情報保持部0203は、ロガー0200のIDを保持する。
【0038】
検出識別情報出力部0204は、検出識別情報保持部0203で保持されている検出識別情報であるロガー0200のIDをゲートウエイ装置に向けて出力する。このロガー0200のIDは、ロガー0200が起動している限りにおいて常時出力される。
【0039】
状態データローカル出力部0205は、検出状態データ保持部0202で保持されている状態データをゲートウエイ装置に向けて所定のタイミングで送信する。このとき、状態データをロガー0200のIDと関連付けて識別付状態データとして送信する。
【0040】
この際、検出識別情報出力部0204によるロガー0200のIDの出力、及び、状態データローカル出力部0205による識別付状態データの送信は、対ゲートウエイ装置通信部0206とゲートウエイ装置の後述する対状態データ検出装置通信部との間で構成される無線ネットワーク(この実施形態では低電力のLPWA(Low Power Wide Area))を利用して成されるようになっている。
【0041】
なお、識別付状態データをゲートウエイ装置に送信する所定のタイミングとは、医薬品個々に設定される監視条件や搬送時間に応じて決められるものとなっており、適宜設定可能である。
【0042】
また、
図3に示すように、搬送車両の運転席に配置されるゲートウエイ装置0330は、対状態データ検出装置通信部0331と、通信相手判断部0332と、状態データローカル取得部0333と、取得状態データ保持部0334と、状態データ広域送信部0335と、を有している。
【0043】
対状態データ検出装置通信部0331は、上述したように、搬送中にロガーの対ゲートウエイ装置通信部との間で無線ネットワークを構成する。
【0044】
通信相手判断部0332は、ロガーの検出識別情報出力部から常時単独で出力されているロガーのID、或いは、ロガーの状態データローカル出力部から出力された識別付状態データ上のロガーのIDが通信相手として許容されるか否かを判断し、状態データローカル取得部0333は、通信相手判断部0332が通信相手として許容されると判断した場合に、ロガーの状態データローカル出力部から出力された識別付状態データを取得する。
【0045】
取得状態データ保持部0334は、状態データローカル取得部0333で取得した識別付状態データを保持し、状態データ広域送信部0335は、取得状態データ保持部0334で保持している識別付状態データを所定のタイミングで広域無線ネットワーク(この実施形態では、データ通信サービスLTE(Long Term Evolution)を介して送信する。この際、状態データ広域送信部0335は、GPS受信機能を有しており、識別付状態データを位置情報とともに送信する。
【0046】
ここで、識別付状態データを位置情報とともにて送信するとは、後述するように、医薬品の搬送先である医療機関のサーバ装置等であるクラウド0140に識別付状態データ及び位置情報をアップロードすることである(イメージを
図1Aに破線矢印で示す)。
【0047】
したがって、状態データ広域送信部0335において広域無線ネットワークを介して識別付状態データを送信する所定のタイミングは、主として、医薬品の搬送先である医療機関の要望に応じて決められるものとなっており、適宜設定される。
【0048】
この実施形態において、ゲートウエイ装置0330は、搬送中の保冷庫内に何らかのトラブルが生じて状態データである温度が上昇したのをロガーが検出した場合に、この事態を運転者や搬送先である医療機関に対してデータ通信サービスLTEを介して通知する異常通知機能も有している。また、例えば、納品時において、運転者のスマートフォン等による状態データの閲覧を可能とする機能も有している。
【0049】
さらに、
図4に示すように、状態データ閲覧サーバ装置としてのクラウド0440は、監視検出識別情報保持部0441と、広域受信部0442と、状態データ保持部0443と、状態データ閲覧部0444と、を有している。
【0050】
監視検出識別情報保持部0441は、検出識別情報であるロガーのIDをこのIDのロガーが取り付けられた保冷箱内の医薬品を識別する監視対象識別情報に関連付けて保持する。
【0051】
広域受信部0442は、上述したように、搬送中において、搬送車両に搭載されたゲートウエイ装置の状態データ広域送信部から送信された識別付状態データを受信し、状態データ保持部0443は、受信した識別付状態データを保持する。
【0052】
状態データ閲覧部0444は、状態データ保持部0443に保持されている識別付状態データを監視対象識別情報と関連付けて閲覧させる機能を有する。つまり、クラウド0440にアクセスして、状態データ保持部0443に保持されている識別付状態データに監視対象識別情報を関連付けることで、識別付状態データを閲覧することができる。すなわち、医薬品の搬送中における温度等の状態データを監視対象単位で、しかもリアルタイムで把握することができる。
【0053】
図5に示すように、ロガー0500は、CPU0511と、HDD、ROM等の不揮発性メモリ0512と、D-RAM等のメインメモリ0513と、インターフェースとから構成されている。不揮発性メモリ0512には、状態データ検出プログラム、検出状態データ保持プログラム、検出識別情報保持プログラム、検出識別情報出力プログラム、状態データローカル出力プログラム、対ゲートウエイ装置通信プログラム等のプログラムが格納されている。データとしては、信号や各種情報などがあり、これらのプログラムやデータは、主メモリ0513の保持領域に読み込まれて作動領域で実行される。また、インターフェースには、特定小電力無線等がある。
この場合、ロガー0500は、状態データ記録用のメモリ(不揮発性メモリ0512)を2個有しており、いずれか一方が破損した場合であったとしても、状態データが欠落してしまうといった事態を生じないようにしている。
【0054】
また、
図6に示すように、ゲートウエイ装置0630は、CPU0641と、HDD、ROM等の不揮発性メモリ0642と、D-RAM等の主メモリ0643とインターフェースとから構成されている。不揮発性メモリ0642には、対状態データ検出装置通信プログラムと、通信相手判断プログラムと、状態データローカル取得プログラムと、取得状態データ保持プログラムと、状態データ広域送信プログラム等のプログラムが格納されている。データとしては、信号や各種情報などがあり、これらのプログラムやデータは、主メモリ0643の保持領域に読み込まれて作動領域で実行される。また、インターフェースには、無線LAN,特定小電力無線,LTE等がある。
【0055】
さらに、
図7に示すように、クラウド0740は、CPU0741と、HDD、ROM等の不揮発性メモリ0742と、D-RAM等の主メモリ0743とインターフェースとから構成されている。不揮発性メモリ0742には、監視検出識別情報保持プログラムと、広域受信プログラムと、状態データ保持プログラムと、状態データ閲覧プログラム等のプログラムが格納されている。データとしては、信号や各種情報などがあり、これらのプログラムやデータは、主メモリ0743の保持領域に読み込まれて作動領域で実行される。また、インターフェースには、I/Oコントローラ、USBやIEEEやLAN端子等がある。
なお、このクラウドには、クラウドコンピューティングシステムを利用してもよい。
<処理の流れ>
【0056】
この実施形態に係る搬送物の状態の常時監視システムでは、まず、搬送開始地点において、搬送する複数の医薬品個々に対応する管理条件を起動状態にあるロガーにそれぞれセットするのに続いて、これらのロガーを保冷箱にそれぞれ取り付ける。
【0057】
ロガーを保冷箱に取り付けた状態において、
図8に示すように、状態データ検出ステップ(ステップS0801)が実行されて、温度センサによる医薬品の状態データの検出が開始される。
【0058】
このとき、検出識別情報出力ステップ(ステップS0802)が同時に実行されて、状態データ検出ステップ(ステップS0801)で検出される状態データと一対一に対応する識別情報であるロガーのIDがゲートウエイ装置に向けて出力される。このロガーのIDは、ロガーが起動している限りにおいて常時出力される。
【0059】
次いで、状態データローカル出力ステップ(ステップS0803)が実行されて、状態データ検出ステップ(ステップS0801)で検出された状態データをゲートウエイ装置に向けて所定のタイミングで送信する。このとき、状態データをロガーのIDと関連付けて識別付状態データとして送信する。
この識別付状態データのゲートウエイ装置に向けた送信は、少なくとも、納品が完了するまで所定のタイミングで続けられる。
【0060】
一方、ゲートウエイ装置では、
図9に示すように、対状態データ検出装置通信ステップ(ステップS0901)が実行されて、ロガーから出力された識別情報であるロガーのIDを取得すると、通信相手判断ステップ(ステップS0902)が実行される。
【0061】
この通信相手判断ステップ(ステップS0902)では、対状態データ検出装置通信ステップ(ステップS0901)で取得したロガーのIDが通信相手として許容されると判断した場合にのみ、状態データローカル取得ステップ(ステップS0903)に進み、この状態データローカル取得ステップ(ステップS0903)が実行されて、ロガーの状態データローカル出力部から出力された識別付状態データを取得する。
【0062】
次いで、状態データ広域送信ステップ(ステップS0904)が実行され、状態データローカル取得ステップ(ステップS0903)で取得した識別付状態データを所定のタイミングで広域無線ネットワークを介して送信する。この際、位置情報とともに送信する。
なお、状態データローカル取得ステップ(ステップS0903)で取得した識別付状態データは、ロギングしてまとめて広域無線ネットワークを介して送信するようにしてもよく、この場合には、広域無線通信の頻度を少なく抑え得ることとなる。
【0063】
医薬品の搬送先である医療機関のクラウドでは、
図10に示すように、監視検出識別情報取得ステップ(ステップS1001)が実行されて、検出識別情報であるロガーのIDをこのIDのロガーが取り付けられた保冷箱内の医薬品を識別する監視対象識別情報に関連付けて取得する。
【0064】
次に、広域受信ステップ(ステップS1002)が実行されて、搬送中において、搬送車両に搭載されたゲートウエイ装置からアップロードされた識別付状態データを受信する。
【0065】
そして、状態データ閲覧ステップ(ステップS1003)が実行されて、受信した識別付状態データを監視対象識別情報と関連付けて提示する。すなわち、閲覧が可能になるようにする
【0066】
つまり、クラウドにアクセスして、このクラウドに保持されている識別付状態データに監視対象識別情報を関連付けることで、識別付状態データを閲覧することができ、したがって、医薬品の搬送中における温度等の状態データを監視対象単位で、しかもリアルタイムで把握し得ることとなる。
<効果>
【0067】
上記したように、この実施形態1に係る搬送物又は保管物の状態常時監視システムでは、監視対象である医薬品の搬送中における温度の状態を監視対象単位で逐一監視することができ、この監視で逐一得られる状態データをリアルタイムで把握することが可能であるという効果を奏する。
<実施形態2(主に請求項2に対応)>
<概要>
【0068】
本実施形態は実施形態1を基本とし、状態データ検出装置であるロガーは、起動スイッチを有するが、停止スイッチを有さないように構成されていることを特徴としている。すなわち、この実施形態のロガーは、電源の投入により自動起動するものとなっている。
このように、停止スイッチを有さないようにすることで、搬送中におけるロガーのデータ取得動作を誤って停止させてしまうといった事態の発生を回避することができるという効果を奏する。
<構成>
【0069】
本実施形態において、先の実施形態と相違するところは、
図11に簡略的に示すように、状態データ検出装置であるロガー1100の正面下部に起動スイッチ1117を設けている以外、停止スイッチのような起動に係るスイッチを正面、背面、上下面及び左右側面のいずれの面にも有していない点にあり、他の構成は先の実施形態と同じである。
【0070】
本実施形態に係る状態データ検出装置であるロガー1100は、電源を乾電池としており、動作の停止はこの乾電池の取り出しにより成されるようになっている。
なお、このような電源が落ちないロガー1100には、本来起動スイッチ1117を設ける必要はないが、この起動スイッチ1117は、例えば、継続してデータを取得している状態において、消費電力を抑えるべく非表示モードになっているディスプレイを表示モードに復帰させたりするための役割を担うものである。
<効果>
【0071】
上記したように、この実施形態2に係る搬送物又は保管物の状態常時監視システムでは、搬送中におけるロガーのデータ取得動作を誤って停止させるのを防ぐことができるという効果を奏する。
<実施形態3(主に請求項3に対応)>
<概要>
【0072】
本実施形態は少なくとも実施形態1を基本とし、搬送車両に搭載されるゲートウエイ装置とは別に、ロガーと通信可能な固定ゲートウエイ装置を保冷箱の回収地点に設置したことを特徴としている。
このように、保冷箱の回収地点に固定ゲートウエイ装置を設置することで、搬送車両に搭載されるゲートウエイ装置において収集し得なかった状態データを補完することができるという効果を奏する。
<構成>
【0073】
本実施形態において、先の実施形態1と相違するところは、
図12に示すように、温度センサを内蔵したロガー(状態データ検出装置)1200と、ゲートウエイ装置1230と、クラウド(状態データ閲覧サーバ装置)1240を有しているのに加えて、保冷箱Bの回収地点EPに設置される固定ゲートウエイ装置1250をさらに有している点にあり、他の構成は先の実施形態と同じである。
【0074】
図13に示すように、固定ゲートウエイ装置1350は、非監視状態データ検出装置通信部1351と、通信相手判断部1352と、履歴状態データ取得部1353と、履歴状態データ保持部1354と、履歴状態データ広域送信部1355と、を有している。
【0075】
非監視状態データ検出装置通信部1351は、監視対象である医薬品を監視していない状態のロガー、すなわち、搬送先の医療機関に医薬品を納入した後の状態のロガーと通信をするための機能部である。
【0076】
通信相手判断部1352は、ロガーの状態データローカル出力部から出力された識別付状態データ上のロガーのIDが通信相手として許容されるか否かを判断し、履歴状態データ取得部1353は、通信相手判断部0552が通信相手として許容されると判断した場合に、ロガーの状態データローカル出力部から出力された履歴データを取得する。この履歴データは、ロガーの検出状態データ保持部に保持された状態データの履歴データ、すなわち、履歴状態データである。
【0077】
この場合、固定ゲートウエイ装置1350の非監視状態データ検出装置通信部1351とロガーとの通信には、920MHz帯の通信、詳しくはFSK変調による通信が使用される。そして、保冷箱の回収地点では、固定ゲートウエイ装置1350にロガーを近づけると(
図12に一点鎖線で示す状態にすると)、ロガーとゲートウエイ装置との間に構成されていたLPWAが920MHz帯の通信に自動的に切り替わり、これにより、ロガーの検出状態データ保持部に保持された状態データの履歴状態データ取得部1353による自動収集が成される。
【0078】
履歴状態データ保持部1354は、履歴状態データ取得部1353で取得した履歴状態データを保持し、履歴状態データ広域送信部1355は、取得した履歴状態データの全部又は一部を所定のタイミングで広域ネットワークを介してクラウドに宛てて送信する。
【0079】
つまり、本実施形態では、搬送中におけるロガーとゲートウエイ装置との間に通信不良等によるデータ未転送が生じた場合であったとしても、最終的に、固定ゲートウエイ装置1350の履歴状態データ取得部1353にロガーの検出状態データ保持部に保持されていた状態データが全て自動収集されるので、搬送先の医療機関のクラウドにおいてデータの補完が成されることとなる。
【0080】
ここで、取得して状態データ保持部に保持されている状態データに欠測があるか否かを判断する欠測判断機能、及び、欠測があるとの判断結果である場合にロガーに対する状態データの再送を要求する状態データ再送要求機能を状態データ閲覧サーバ装置としてのクラウドが有していてもよい。
この場合には、固定ゲートウエイ装置1350にロガーを近づけると、固定ゲートウエイ装置1350は近づけたロガーのIDをクラウドに通知し、クラウドでは、既に取得済みのデータと通知されたIDに対応するロガーの履歴状態データとを比較し、状態データに欠測があるときには、固定ゲートウエイ装置1350を介して不足分の状態データをロガーに要求する。
【0081】
つまり、このように、クラウドが欠測判断機能及び状態データ再送要求機能を有していると、例えば、固定ゲートウエイ装置1350とクラウドとの通信に欠測がある場合や、複数台ある固定ゲートウエイ装置1350のうちのどの固定ゲートウエイ装置1350にロガーが接続するのかわからない場合であったとしても、最終的に、ロガーに保持されていた状態データが全てクラウドに収集されるので、搬送先の医療機関のクラウドにおいてデータの補完が成されることとなる。
【0082】
図14に示すように、この固定ゲートウエイ装置1450は、CPU1461と、HDD、ROM等の不揮発性メモリ1462と、D-RAM等の主メモリ1463とインターフェースとから構成されている。不揮発性メモリ1462には、非監視状態データ検出装置通信プログラムと、通信相手判断プログラムと、履歴状態データ取得プログラムと、履歴状態データ保持プログラムと、履歴状態データ広域送信プログラム等のプログラムが格納されている。データとしては、信号や各種情報などがあり、これらのプログラムやデータは、主メモリ1463の保持領域に読み込まれて作動領域で実行される。また、インターフェースには、無線LAN,特定小電力無線,LTE等がある。
<処理の流れ>
【0083】
この実施形態に係る搬送物の状態の常時監視システムでは、
図15に示すように、保冷箱の回収地点において、搬送車両から降ろされた保冷箱のロガーを固定ゲートウエイ装置に近づけると、ロガーとゲートウエイ装置との間に構成されていたLPWAが920MHz帯の通信に自動的に切り替わり、非監視状態データ検出装置通信ステップ(ステップS1501)が実行されて、ロガーから出力された識別情報であるロガーのIDを取得する。
【0084】
このように、ロガーから出力された識別情報であるロガーのIDを取得すると、通信相手判断ステップ(ステップS1502)が実行され、この通信相手判断ステップ(ステップS1502)では、非監視状態データ検出装置通信ステップ(ステップS1501)で取得したロガーのIDが通信相手として許容されると判断した場合にのみ、履歴状態データ取得ステップ(ステップS1503)に進む。
【0085】
次いで、この履歴状態データ取得ステップ(ステップS1503)が実行されて、ロガーの状態データローカル出力部から出力された履歴状態データを取得する。これにより、ロガーの検出状態データ保持部に保持された状態データの履歴状態データ取得部による自動収集が成される。
【0086】
そして、履歴状態データ広域送信ステップ(ステップS1504)が実行され、履歴状態データ取得ステップ(ステップS1503)で取得した履歴状態データを所定のタイミングで広域無線ネットワークを介して送信する。
【0087】
つまり、本実施形態では、搬送中におけるロガーとゲートウエイ装置との間に通信不良等によるデータ未転送が生じて、ゲートウエイ装置からアップロードされた状態データに欠損が生じていた場合であったとしても、最終的に、搬送先の医療機関のクラウドにおいてデータの補完が成されることとなる。
【0088】
また、クラウドが欠測判断機能及び状態データ再送要求機能を有している場合において、固定ゲートウエイ装置1350は、近づけたロガーのIDをクラウドに通知し、一方、クラウドにおいて、既に取得済みのデータと通知されたIDに対応するロガーの履歴状態データとの比較がなされ、状態データに欠測があるときには、固定ゲートウエイ装置1350を介して不足分の状態データをロガーに要求する。
【0089】
したがって、例えば、固定ゲートウエイ装置1350とクラウドとの通信に欠測が生じたりしたとしても、最終的に、ロガーに保持されていた状態データが全てクラウドに収集されるので、搬送先の医療機関のクラウドにおいてデータの補完が成されることとなる。
<効果>
【0090】
上記したように、この実施形態3に係る搬送物又は保管物の状態常時監視システムでは、保冷箱の回収地点に固定ゲートウエイ装置を設置することで、搬送車両に搭載されるゲートウエイ装置において搬送中にロガーから収集し得なかった状態データをクラウドにおいて補完することができるという効果を奏する。
<実施形態4(主に請求項4に対応)>
<概要>
【0091】
本実施形態は少なくとも実施形態1を基本とし、状態データ検出装置であるロガーが、搬送のイベントの入力,保持及び出力を行う機能を有することを特徴としている。
本実施形態では、ロガーに、搬送のイベントの入力,保持及び出力を行う機能を持たせることで、搬送の開始と終了、すなわち、ロガーの搬送中に検出する状態データの管理が容易になるという効果を奏する。
<構成>
【0092】
本実施形態において、先の実施形態1と相違するところは、
図16に示すように、搬送開始地点において医薬品を収容する保冷箱に配置されるロガー1600が、状態データ検出部1601と、検出状態データ保持部1602と、検出識別情報保持部1603と、検出識別情報出力部1604と、状態データローカル出力部1605と、対ゲートウエイ装置通信部1606と、を有しているのに加えて、イベント入力受付部1607と、イベント保持部1608と、イベント出力部1609と、をさらに有している点にあり、他の構成は先の実施形態と同じである。
【0093】
先の実施形態1と相違して有するイベント入力受付部1607は、搬送のイベント入力を受付け、イベント保持部1608は、イベント入力受付部1607で受付けた搬送のイベントにタイミングの情報を関連付けし、イベント出力部1609は、タイミングの情報と関連付けした搬送のイベントを出力する。
【0094】
具体的には、ロガー1600の図示しないイベントボタンを搬送の開始時と終了時に押すことで、ロガーの搬送中に検出する状態データにフラグを付けて管理する。
【0095】
図17に示すように、この実施形態のロガー1700は、CPU1711と、HDD、ROM等の不揮発性メモリ1712と、D-RAM等のメインメモリ1713と、インターフェースとから構成されている。不揮発性メモリ1712には、状態データ検出プログラム、検出状態データ保持プログラム、検出識別情報保持プログラム、検出識別情報出力プログラム、状態データローカル出力プログラム、対ゲートウエイ装置通信プログラム、イベント入力受付プログラム、イベント保持プログラム、イベント出力等のプログラムが格納されている。データとしては、信号や各種情報などがあり、これらのプログラムやデータは、主メモリ1713の保持領域に読み込まれて作動領域で実行される。また、インターフェースには、特定小電力無線等がある。
<処理の流れ>
【0096】
この実施形態に係る搬送物の状態の常時監視システムでは、まず、搬送開始地点において、搬送する複数の医薬品個々に対応する管理条件を起動状態にあるロガーにそれぞれセットし、これらのロガーを保冷箱にそれぞれ取り付ける。
【0097】
この際、
図18に示すように、ロガーの図示しない各イベントボタンを押すことで、搬送のイベントをロガーに入力すると、起動状態にあって既に状態の検出を行っているロガーのデータに記録開始のフラグが付き、以降、ロガーのデータには「フラグあり」の情報が記録される。
【0098】
このようにして、ロガーを保冷箱に取り付けた状態において、状態データ検出ステップ(ステップS1801)が実行され、これと同時に、検出識別情報出力ステップ(ステップS1802)が同時に実行されて、状態データ検出ステップ(ステップS1801)で検出される状態データと一対一に対応する識別情報であるロガーのIDがゲートウエイ装置に向けて出力される。
【0099】
次いで、状態データローカル出力ステップ(ステップS1803)が実行されて、状態データ検出ステップ(ステップS1801)で検出された状態データをゲートウエイ装置に向けて所定のタイミングで送信する。このとき、状態データをロガーのIDと関連付けて識別付状態データとして送信する。
【0100】
そして、納品時において、必要に応じてイベントボタンを再度押すことで搬送の終了が記録され、以降、ロガーで継続して検出されるデータには「フラグなし」の情報が記録される。
<効果>
【0101】
上記したように、この実施形態4に係る搬送物又は保管物の状態常時監視システムでは、搬送の開始と終了、すなわち、ロガーの搬送中に検出する状態データの管理が容易になるという効果を奏する。
なお、この実施形態4に係る搬送物又は保管物の状態常時監視システムにおいて、起動状態にあるロガーは、乾電池を取り出さない限り状態データを記録し続ける仕様になっているので、例えば、イベントボタンを押す操作を忘れることがあったとしても、状態データを保持し得る。
<実施形態5(主に請求項5及び請求項6に対応)>
<概要>
【0102】
本実施形態は実施形態1~4のうちの少なくとも実施形態1を基本とし、状態データ検出装置であるロガーにおいて、検出した状態データにこの状態データの検出順位を示す検出順位情報を関連付けし、この検出順位が付いた状態データを検出識別情報と関連付けて検出順位付識別付状態データとしてゲートウエイ装置に送信することを特徴としている。
一方、ゲートウエイ装置において、通信相手として許容されたロガーからの検出順位付識別付状態データを取得するようにしたうえで、この検出順位付状態データに欠損がある場合には、ロガーに対して検出順位付状態データの再送を要求することを特徴としている。
【0103】
本実施形態では、搬送中において、ゲートウエイ装置が受信する状態データに欠損が生じた場合であったとしても、ゲートウエイ装置がロガーから受け取る状態データには、検出識別情報とともに検出順位情報が関連付けられているので、この欠損している検出順位付状態データのゲートウエイ装置からの再送要求により、収集し得なかった状態データを補完することができるという効果を奏する。
<構成>
【0104】
本実施形態において、
図19Aに示すように、状態データ検出装置であるロガー1900の検出状態データ保持部1902が、検出順位付状態データ保持手段1902aを有していて、状態データローカル出力部1905が、検出順位付状態データローカル出力手段1905aを有しているところが、まず先の実施形態1と相違する点として挙げられる。
また、
図19Bに示すように、ゲートウエイ装置1930の状態データローカル取得部1933が、状態データローカル取得手段1933aを有していて、このゲートウエイ装置1930が、欠損判断部1936と、検出順位付状態データ再送要求部1937と、をさらに有しているところが、次に実施形態1と相違する点として挙げられ、これらの相違点以外の構成は先の実施形態1と同じである。
【0105】
ロガー1900の検出状態データ保持部1902が有する検出順位付状態データ保持手段1902aは、検出した状態データにこの状態データの検出順位を示す検出順位情報を関連付けして保持する。
【0106】
また、ロガー1900の状態データローカル出力部1905が有する検出順位付状態データローカル出力手段1905aは、検出状態データ保持部1902の検出順位付状態データ保持手段1902aが保持する検出順位付状態データを検出識別情報と関連付けて検出順位付識別付状態データとして計測時刻とともに送信する。
このデータの送信も、ゲートウエイ装置1930との間で構成されるLPWAを利用して成され、送信タイミングは、医薬品個々に設定される監視条件や搬送時間に応じて決められるインターバルをもって成されるものとなっている。
なお、この実施形態においても、ロガー1900は、搬送中に検出する状態データにフラグを付与して管理するようになっている。
【0107】
一方、ゲートウエイ装置1930の状態データローカル取得部1933が有する状態データローカル取得手段1933aは、通信相手判断部1932が通信相手として許容されると判断した場合に、ロガー1900の状態データローカル出力部1905から出力された検出順位付識別付状態データを取得するためのものである。
【0108】
また、ゲートウエイ装置1930の欠損判断部1936は、状態データローカル取得部1933の状態データローカル取得手段1933aで取得する検出順位付状態データに欠損があるか否かを判断する。
さらに、ゲートウエイ装置1930の検出順位付状態データ再送要求部1937は、欠損判断部1936がデータの欠損ありと判断した場合に、ロガー1900に対して検出順位付状態データの再送を要求する。
【0109】
つまり、搬送中において、ロガーからゲートウエイ装置への通信があらかじめ定められた間隔で行われている場合には、
図20Aの(ID1~3)に示すように、ロガーの状態データローカル出力部の検出順位付状態データローカル出力手段から計測時刻とともに順次出力される検出順位付識別付状態データは、ゲートウエイ装置の状態データローカル取得部の状態データローカル取得手段に検出順位通り取得される。
【0110】
一方、ロガーのデータ計測間隔など、ロガーの設定変更を行った場合には、
図20Bの(ID4~7)に示すように、ロガーの状態データローカル出力部の検出順位付状態データローカル出力手段から4~7番目に出力された検出順位付識別付状態データは、ゲートウエイ装置に認識されずに欠損が発生する。
【0111】
この際、識別付状態データに付されているのが計測時刻だけであれば、ゲートウエイ装置では欠損部分を認識し得ないが、識別付状態データに検出順位情報である検出順位(ID)を付けているので、ゲートウエイ装置の欠損判断部が、この検出順位(ID)に基づいて、検出順位付状態データに欠損があるか否かを判断して、この欠損判断部が欠損ありと判断した場合には、検出順位付状態データ再送要求部が、ロガーに対して(ID4~7)の検出順位付状態データの再送を要求するので、
図20Cに示すように、ゲートウエイ装置で収集し得なかった状態データの補完が成されることとなる。
【0112】
そして、納品時には、例えば、イベントボタンを押すことで搬送の終了が記録され、ID(n+1)以降に検出するロガーのデータには「フラグなし」の情報が記録される。
【0113】
本実施形態に係るロガーも、データの取りこぼしを防ぐために、乾電池を取り出して放置しない限り、次のイベントである搬送時までは(ロガーの待機状態では)、データを取り続ける仕様になっており、取得したデータは、古いものから順に上書きされる仕様になっている。
【0114】
本実施形態では、
図20A~
図20Cに示すように、ロガーが搬送中に検出する状態データにフラグを付与するようにしているので、このフラグを付与したデータを選択することで、ロガーが搬送中に検出する状態データを上書きされることなく必要なデータとして保管し得ることとなる。
【0115】
また、本実施形態に係るロガーにあっては、上記したように、乾電池を取り出して放置しない限り、データを取り続ける仕様になっているので、ロガーが搬送中に検出する状態データにフラグを付与する操作、例えば、イベントボタンを押す操作を忘れることがあったとしても、上書きされるまでは後からデータを抽出することが可能である。
【0116】
なお、本実施形態では、検出した状態データに関連付けする検出順位を示すものとして、数字を採用しているが、関連付けする検出順位は数字に限定されるものではなく、検出順位を示すものとしてアルファベットやカタカナやひらがなを採用してもよいほか、検出順位を示すものとして一定したインターバルで刻まれる時刻を採用してもよい。
【0117】
図21に示すように、ロガー2100は、CPU2111と、HDD、ROM等の不揮発性メモリ2112と、D-RAM等のメインメモリ2113と、インターフェースとから構成されている。不揮発性メモリ2112には、状態データ検出プログラム、検出状態データ保持プログラム、検出順位付状態データ保持サブプログラム、検出識別情報保持プログラム、検出識別情報出力プログラム、状態データローカル出力プログラム、検出順位付状態データローカル出力サブプログラム、対ゲートウエイ装置通信プログラム等のプログラムが格納されている。データとしては、信号や各種情報などがあり、これらのプログラムやデータは、主メモリ2113の保持領域に読み込まれて作動領域で実行される。また、インターフェースには、特定小電力無線等がある。
【0118】
また、
図22に示すように、ゲートウエイ装置2230は、CPU2241と、HDD、ROM等の不揮発性メモリ2242と、D-RAM等の主メモリ2243とインターフェースとから構成されている。不揮発性メモリ2242には、対状態データ検出装置通信プログラムと、通信相手判断プログラムと、状態データローカル取得プログラムと、状態データローカル取得サブプログラムと、取得状態データ保持プログラムと、欠損判断プログラムと、検出順位付状態データ再送要求プログラムと、状態データ広域送信プログラム等のプログラムが格納されている。データとしては、信号や各種情報などがあり、これらのプログラムやデータは、主メモリ2243の保持領域に読み込まれて作動領域で実行される。また、インターフェースには、無線LAN,特定小電力無線,LTE等がある。
<処理の流れ>
【0119】
この実施形態に係る搬送物の状態の常時監視システムでは、
図23に示すように、検出順位情報関連付けステップ(ステップS2302)が実行されて、状態データ検出ステップ(ステップS2301)で検出した状態データにこの状態データの検出順位を示す検出順位情報が関連付けされる。
【0120】
次いで、状態データローカル出力ステップ(ステップS2303)が実行されて、検出順位情報関連付けステップ(ステップS2302)からの検出順位付状態データをゲートウエイ装置に向けて所定のタイミングで送信する。このとき、検出順位付状態データをロガーのIDと関連付けて識別付状態データとして送信する。
【0121】
一方、ゲートウエイ装置では、
図24に示すように、通信相手判断ステップ(ステップS2402)が、対状態データ検出装置通信ステップ(ステップS2401)で取得したロガーのIDが通信相手として許容されると判断した場合にのみ、状態データローカル取得ステップ(ステップS2403)に進み、この状態データローカル取得ステップ(ステップS2403)が実行されて、ロガーの状態データローカル出力部から出力された検出順位付識別付状態データを取得する。
【0122】
次いで、欠損判断ステップ(ステップS2404)が実行され、状態データローカル取得ステップ(ステップS2403)で取得する検出順位付状態データに欠損があるか否かの判断が成され、欠損判断ステップ(ステップS2404)においてデータの欠損ありと判断された場合には、検出順位付状態データ再送要求ステップ(ステップS2405)が実行されて、ロガーに対して検出順位付状態データの再送を要求する。
【0123】
このように、本実施形態では、ロガーからゲートウエイ装置に送られる状態データに、検出識別情報とともに検出順位情報を関連付けているので、搬送中において、ゲートウエイ装置の状態データローカル取得手段が取得する状態データに欠損が生じた場合には、ゲートウエイ装置の欠損判断部による欠損あり判定を受けて、検出順位付状態データ再送要求部が、欠損している検出順位付状態データの再送を要求することで、収集し得なかった状態データの補完が成されることとなる。
【0124】
また、本実施形態では、ロガーが搬送中に検出する状態データにフラグを付与するようにしているので、このフラグを付与したデータを選択することで、上書きされることなく必要なデータとして保管し得ることとなる。
加えて、識別付状態データに付与したIDを確認するようにしているので、同じIDの識別付状態データが上書きされるのを阻止し得ることとなる。
<効果>
【0125】
上記したように、この実施形態5に係る搬送物又は保管物の状態常時監視システムでは、ゲートウエイ装置、及び、クラウドやPCなどの上位システムが受信する状態データに欠損が生じた場合であったとしても、収集し得なかった状態データを補完することができるという効果を奏する。
【0126】
上記した本実施形態では、本発明に係る搬送物又は保管物の状態の常時監視システムを、医薬品等(医薬品、血液、血清、臓器、幹細胞、細胞、皮膚等)を自動車で搬送する場合を例に挙げて説明したが、本発明に係る搬送物又は保管物の状態の常時監視システムを、医薬品等を倉庫や冷蔵室に保管する場合に適用してもよい。
また、搬送物や保管物は上記医薬品等に限定されない。
【符号の説明】
【0127】
0100 ロガー(状態データ検出装置)
0130 ゲートウエイ装置
0140 クラウド(状態データ閲覧サーバ装置)
0201 状態データ検出部
0202 検出状態データ保持部
0203 検出識別情報保持部
0204 検出識別情報出力部
0205 状態データローカル出力部
0206 対ゲートウエイ装置通信部
0331 対状態データ検出装置通信部
0332 通信相手判断部
0333 状態データローカル取得部
0334 取得状態データ保持部
0335 状態データ広域送信部
0441 監視検出識別情報保持部
0442 広域受信部
0443 状態データ保持部
0444 状態データ閲覧部