(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-21
(45)【発行日】2023-09-29
(54)【発明の名称】減圧弁及びバルブユニット
(51)【国際特許分類】
F16K 17/30 20060101AFI20230922BHJP
G05D 16/10 20060101ALI20230922BHJP
G05D 16/06 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
F16K17/30 A
G05D16/10 B
G05D16/06 R
(21)【出願番号】P 2020015831
(22)【出願日】2020-01-31
【審査請求日】2022-10-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135220
【氏名又は名称】石田 祥二
(72)【発明者】
【氏名】藤本 佳照
(72)【発明者】
【氏名】岡本 将佳
(72)【発明者】
【氏名】東浦 将隆
(72)【発明者】
【氏名】白澤 利隆
(72)【発明者】
【氏名】富田 力
(72)【発明者】
【氏名】森 重好
【審査官】篠原 将之
(56)【参考文献】
【文献】実公昭28-007358(JP,Y1)
【文献】実開平01-146076(JP,U)
【文献】特開2010-019353(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106931207(CN,A)
【文献】特開2015-178903(JP,A)
【文献】国際公開第2021/065090(WO,A1)
【文献】特開2009-024780(JP,A)
【文献】特開2003-278928(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 17/30
F16K 7/17
G05D 16/06
G05D 16/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁通路が形成されるケーシングと、
前記ケーシングに移動可能に収容され、二次圧に応じて位置を変えて前記弁通路の開度を調整する弁体と、
前記弁体を二次圧に抗して前記弁通路を開く開方向に付勢する付勢部材と、を備え、
前記付勢部材は、板状のばねであって前記弁体から側方に延在している、減圧弁。
【請求項2】
前記ケーシングは、二次圧が導かれる二次室を有し、
前記付勢部材は二次室を覆い、二次室に導かれる二次圧を受圧し、受圧する二次圧に応じた位置へと前記弁体を移動させる、請求項1に記載の減圧弁。
【請求項3】
前記ケーシングは、弁体を収容する弁室を有し、
前記付勢部材は、前記弁室と前記二次室との間をシールするように前記ケーシングに設けられている、請求項2に記載の減圧弁。
【請求項4】
前記付勢部材は、金属製の部材であり、
前記弁体は、樹脂製の部材である、請求項1又は2に記載の減圧弁。
【請求項5】
前記付勢部材は、前記開方向に凸状の円板状に形成されている、請求項1乃至4の何れか1つに記載の減圧弁。
【請求項6】
前記付勢部材は、外縁部分と中心部分とを繋ぐテーパ状のテーパ部を有し、前記ケーシングによって前記外縁部分が支持され且つ前記弁体が中心部分に取り付けられている、請求項5に記載の減圧弁。
【請求項7】
前記テーパ部は、その外縁部分側の部分に比べて中心部分側の部分の方が鋭角になるように形成されている、請求項6に記載の減圧弁。
【請求項8】
前記ケーシングには、二次圧をリリーフするリリーフポートが形成され、
前記リリーフポートは、前記ケーシングにおいて前記弁体の側方に形成されている、請求項1乃至7の何れか1つに記載の減圧弁。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか1つに記載の減圧弁と、
前記減圧弁の二次圧をリリーフするリリーフ弁とを備え、
前記ケーシングは、二次圧が導かれる二次室を有し、
前記減圧弁は、前記ケーシングにおいて、前記付勢部材に対して前記二次室の反対側に、前記二次室及び弁通路から隔離されている大気室が形成され、
前記大気室は、前記リリーフ弁の二次側通路を介して大気に開放されている、バルブユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスを減圧して出力する減圧弁、バルブユニット、弁装置、及び弁体を付勢する板ばねに関する。
【背景技術】
【0002】
圧縮天然ガス及び水素ガス等のガスに関する減圧弁として、例えば特許文献1のような減圧弁が知られている。特許文献1の減圧弁では、弁体に閉方向に二次圧が作用し、また弁体が二次圧に抗するように圧縮コイルばねによって付勢されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の減圧弁では、圧縮コイルばねによって弁体を開方向に付勢しているので、減圧弁のサイズ、特に軸線方向の長さが大きくなる。
【0005】
そこで本発明は、小型化を図ることができる減圧弁、バルブユニット、弁装置、及びばね部材を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明である減圧弁は、弁通路が形成されるケーシングと、前記ケーシングに移動可能に収容され、二次圧に応じて位置を変えて前記弁通路の開度を調整する弁体と、前記弁体を二次圧に抗して前記弁通路を開く開方向に付勢する付勢部材と、を備え、前記付勢部材は、板状のばねであって前記弁体から側方に延在しているものである。
【0007】
第1の発明に従えば、付勢部材として前記弁体の側方に延在する板状のばねを用いるので、減圧弁の軸線方向の長さを短くすることができる、即ち減圧弁の小型化を図ることができる。
【0008】
第2の発明であるバルブユニットは、前述する減圧弁と、前記減圧弁の二次圧をリリーフするリリーフ弁とを備え、前記減圧弁は、前記ケーシングにおいて、前記付勢部材に対して前記二次室の反対側に、前記二次室及び弁通路から隔離されている大気室が形成され、前記大気室は、前記リリーフ弁の二次側通路を介して大気に開放されているものである。
【0009】
第2の発明に従えば、付勢部材が変形して大気室の容積が変動した際やガスが大気室に漏れ出た場合であっても、大気室を大気圧にて維持することができる。また、二次圧が設定圧を超えてリリーフ弁が作動するような場合、二次側の圧であるリリーフ圧を大気室に導くことができる。これにより、二次圧に抗してリリーフ圧を付勢部材に作用させることができる。それ故、リリーフ弁が作動した際の付勢部材に作用する荷重を抑制することができる。
【0010】
第3の発明である弁装置は、弁通路が形成されるケーシングと、前記ケーシングに移動可能に収容され、作用する力に応じて前記弁通路の開度を変える弁体と、前記弁体を作用する力に抗して付勢する付勢部材と、を備え、前記付勢部材は、板状のばねであって前記弁体から側方に延在しているものである。
【0011】
第3の発明に従えば、付勢部材として前記弁体の側方に延在する板状のばねを用いるので、弁装置の軸線方向の長さを短くすることができる、即ち弁装置の小型化を図ることができる。
【0012】
第4の発明である板ばねは、弁体を一方向に付勢するための板ばねであって、前記弁体が取り付けられる内側部分と、支持される外縁部分と、前記内側部分と前記外縁部分とを繋ぐテーパ状のテーパ部とを有するものである。
【0013】
第4の発明に従えば、板ばねの高さを抑えつつ、弁体を円滑に付勢することができる。板ばねが撓む際、テーパ部が外縁部分側及び中心側部分の相対角を変えながら弾性変形し、中心部分が軸方向に平行に移動する。これにより、中心部分に取り付けられる弁体の傾きを抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係る減圧弁を示す断面図である。
【
図2】
図1の減圧弁における板ばねの一部分を拡大して示す拡大断面図である。
【
図3】
図1の減圧弁において弁体が弁座に着座している状態を示す断面図である。
【
図4】その他の実施形態に係る減圧弁において、
図1の領域Xに対応する部分を拡大して示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る実施形態の減圧弁1、バルブユニット2、及び板ばね12について前述する図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明で用いる方向の概念は、説明する上で便宜上使用するものであって、発明の構成の向き等をその方向に限定するものではない。また、以下に説明する減圧弁1及び板ばね12は、本発明の一実施形態に過ぎない。従って、本発明は以下の実施形態に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で追加、削除、変更が可能である。
【0017】
図1に示すバルブユニット2は、圧縮天然ガス及び水素ガス等のガスの圧力を使用圧力や大気圧まで減圧する場合に用いられている。バルブユニット2は、例えば減圧弁1とリリーフ弁3とを備えている。減圧弁1は、圧縮天然ガス及び水素ガス等のガスの圧力を使用圧力や大気圧まで減圧する機能を有している。減圧弁1は、ケーシング10と、弁体11と、板ばね12とを備えている。
【0018】
ケーシング10は、内部に弁通路13と二次室26を有している。更に詳細に説明すると、ケーシング10は、カバー部10aとハウジングブロック部10bとを有している。本実施形態では、ハウジングブロック部10bに、弁通路13が形成されている。弁通路13は、一次側通路21と、弁室22と、二次側通路23とを有している。弁室22には、一次側通路21の開度(即ち、弁通路13の開度)を調整すべく弁体11が挿入されている。弁通路13では、一次側通路21に入力されるガスは弁室22を介して二次側通路23へと出力される。
【0019】
より詳細に説明すると、一次側通路21及び弁室22は、共に所定の軸線L1に沿って形成され且つ互いに繋がっている。即ち、弁室22の底には、一次側通路21が繋がっている。また、弁室22の内周面には、二次側通路23が繋がっている。二次側通路23は、軸線L1に交差する方向に延在している。本実施形態では、軸線L1に直交する方向に延在している。
【0020】
弁体11は、樹脂によって成形された円柱部材である。弁体11の外周面と弁室22の内周面(即ち、ハウジングブロック部10b)との間には、シール部材27が配置されている。弁体11は、シール部材27によってシールされている状態で弁室22に移動可能に収容されている。即ち、弁体11は、軸線L1に沿って一次側通路21に対して近接及び離反するように移動することができる。また、ハウジングブロック部10bには、着座部24が形成されている。着座部24は、一次側通路21の弁室22側の開口22a周りに形成されている。そして、弁体11の先端部11aを着座部24に着座させることによって一次側通路21が閉じられる。他方、弁体11を着座部24から離すことで一次側通路21を開くことができる。これにより、弁体11の先端側部分の周りにある環状通路22cを介して一次側通路21と二次側通路23とが繋がる。このように、減圧弁1では、弁体11を軸線L1に沿う軸線方向一方(即ち、閉方向)に移動させることで弁通路13が閉じられる。また、弁体11を軸線L1に沿う軸線方向他方(即ち、開方向)に移動させることで弁通路13が開かれる。
【0021】
弁体11には、板ばね12が取り付けられている。板ばね12は、変位に応じた復元力を発生することができる。そして、板ばね12は、発生する復元力によって弁体11を移動させる。本実施形態では、圧縮コイルばねの代わりに板ばね12が用いられている。付勢部材である板ばね12は、弁体11を開方向に付勢する。更に詳細に説明すると、板ばね12は、板状の金属製の部材(本実施形態においてSUS304CSP等のSUS製及び合金製の部材)である。板ばね12は、平面視で円板状に形成されている。板ばね12の中心部分12aは、軸線方向一方に盛り上がった断面凸状に形成されている。板ばね12の中心部分12aは、弁体11の外形より大径で且つ平坦に形成されている。
【0022】
板ばね12には、弁体11の基端面が取り付けられている。本実施形態では、中心部分12aの軸線方向他方側の表面に、弁体11の基端面が接合されている。弁体11の基端面を板ばね12に取り付けることにより、弁体11と板ばね12の接合面を大きく確保することができる。
【0023】
なお、取付方法としては、例えば軸線方向他方側の表面処理を施してしてその表面にPEEK、PPS、PI、及びPAI等の合成樹脂製の弁体11を樹脂成形して接合する方法がある。また、表面処理の例としては、化学的処理や、レーザ照射による物理的処理などがある。その他の取付方法としては、スナップフィット、接着材、接着テープ、及びブッシュを用いて取り付けたり、化学的な接合やアウトサート成形等によって取り付けたりする方法が考えられる。また、これらの取付方法では、シール部材等を用いて弁体11と板ばね12との間のシール性を確保しておくことが好ましい。
【0024】
板ばね12は、ケーシング10に固定されている。本実施形態では、板ばね12は、カバー部10aとハウジングブロック部10bとに挟持されることで、ケーシング10に固定されている。更に詳細に説明すると、板ばね12の外縁部分12bは、平坦に形成されている。この外縁部分12bが、ケーシング10に固定されている。即ち、外縁部分12bが、カバー部10aとハウジングブロック部10bとに挟持されている。
【0025】
ハウジングブロック部10bには、板ばね12の外縁が載せられている。ハウジングブロック部10bには、外縁部分12bの外縁(即ち、板ばね12の外縁)に対応させるように段部10cが形成されている。より詳細に説明すると、ハウジングブロック部10bでは、その一端面に軸線L1に沿って弁室22が形成されている。ハウジングブロック部10bの一端面に板ばね12より大径の段部10cが形成されている。板ばね12は、その外縁を段部10cに載せるように配置されている。そして、ハウジングブロック部10bの一端面にカバー部10aが被せられている。カバー部10aには、段部10cに対応する円環状の環状突起部10dが形成されている。そして、環状突起部10dを段部10cに嵌め込むことによって外縁が段部10cと環状突起部10dとによって挟持される。なお、段部10cと環状突起部10dとは、必ずしも設ける必要はなく、省略することも可能である。また、段部10cは、必ずしもハウジングブロック部10bに形成されている必要はなく、カバー部10aに形成されてもよい。この場合、ハウジングブロック部10bに環状突起部10dが形成されている。カバー部10a及びハウジングブロック部10bは、複数の締結具、本実施形態においてボルトによって締結されており、その締結力によって板ばね12の外縁が挟持されている。なお、カバー部10a及びハウジングブロック部10bは、必ずしも締結具によって固定されている必要ななく、互いを螺合してもよい。
【0026】
また、ケーシング10には、板ばね12に対して軸線方向一方側に二次室26が形成されている。また、板ばね12に対して二次室26の反対側、即ち軸線方向他方側に大気室28が形成されている。本実施形態では、二次室26は、カバー部10aと板ばね12とで囲われている。より詳細に説明すると、カバー部10aには、環状突起部10dの内側に凹所10eが形成されている。凹所10eと板ばね12とに囲われた空間が、二次室26を成している。また、大気室28は、ハウジングブロック部10bと板ばね12とで囲われている。より詳細に説明すると、ハウジングブロック部10bには、段部10cの内側に凹所10fが形成されている。凹所10fと板ばね12とに囲われた空間が、大気室28を成している。
【0027】
二次室26は、弁体11に二次圧を作用させるべく二次圧が導かれる部屋である。二次室26は、板ばね12によって覆われている。そのため、板ばね12によって、二次室26が大気室28から隔離されている。即ち、板ばね12の外縁が段部10cと環状突起部10dとに挟持されることによって、段部10cと環状突起部10dとの間にメタルシールが形成される。これにより、二次室26が大気室28から隔離されている。また、弁体11には、連通路11bが形成されている。連通路11bは、環状通路22cと二次室26とを繋いでいる。それ故、二次室26には、連通路11bを介して二次圧が導かれる。そして、板ばね12は、二次室26に導かれた二次圧を受圧することができる。即ち、板ばね12を介して二次圧を弁体11に対して閉方向に作用させることができる。
【0028】
また、板ばね12は、前述の通り、軸線方向一方(一方向)、即ち開方向に凸状に形成されている。そのため、弁体11が軸線方向他方側、即ち閉方向側に移動すると、弾性復帰しようと弁体11を開方向に付勢する。それ故、弁体11は、前述する二次圧に抗する付勢力を板ばね12から受けている。また、弁体11に対しては、一次側通路21の一次圧及び環状通路22cの二次圧が開方向に作用している。それ故、弁体11は、受圧する一次圧及び二次圧、並びに付勢力が釣り合う位置へと移動する。これにより、弁体11が二次圧に応じた位置へと移動して弁通路13の開度を調整し、二次圧を所定圧に保つ。このような機能を有する板ばね12は、開方向に凸状の円板部材であるので、圧縮コイルばねを用いる場合に比べてばねの高さを抑えることができる。これにより、減圧弁1の高さを抑えつつ円滑に弁体11を開方向に付勢することができる。また、板ばね12は、外縁部分12bと中心部分12aとを繋ぐテーパ部12cが以下のように形成されている。
【0029】
即ち、テーパ部12cは、
図2に示すようにテーパ状に形成されている。本実施形態では、テーパ部12cは複数の角度のテーパ状に形成されている。詳細に説明すると、テーパ部12cは外縁側部分12dと中心側部分12eとが互いに異なるテーパ角α,βを有している。即ち、中心側部分12eのテーパ角βは、外縁側部分12dのテーパ角αより鋭角になっている。それ故、板ばね12は、その外縁が挟持された状態で弁体11が閉方向に移動する。なお、テーパ角α、βは、直接測定することも可能であるが、外縁部分12b(平坦部分)と外縁側部分12d及び中心側部分12eの各々とが成す角度から計算してもよい。
【0030】
更に詳細に説明すると、板ばね12は、中心部分12aが軸線方向他方に動くと以下のように撓む。即ち、テーパ部12cが外縁側部分12d及び中心側部分12eの相対角を変えながら弾性変形し、中心部分12aを平行に移動させる。それ故、板ばね12は弁体11を閉方向へと略真っ直ぐ降ろして軸ずれ(弁体11の傾き)を防止することで弁体11が閉方向に移動する際に弁体11が弁室22にて片当たりすることを抑制することができる。また、テーパ部12cを形成することで、板ばね12の反り返りを抑制できる。これにより、板ばね12から弁体11が外れることを抑制することができる。なお、テーパ部12cは、必ずしも外縁側部分12dと中心側部分12eとが互いに異なるテーパ角を有している必要はなく、1つのテーパ角にて形成されていてもよい。
【0031】
また、板ばね12の外縁部分12bの内側部分は、段部10cから凹所10fへと突き出ている。これにより、中心部分12aが閉方向に移動した際に、板ばね12が撓むためのスペースを確保することができる。即ち、外縁部分12bの内側部分を凹所10f側(
図1の紙面下側)に撓ませることができ、テーパ部12cの外縁側部分12dが外縁部分12bに対し略平坦になるまで板ばね12を変形させることができる。それ故、
図3に示すように弁体11が着座部24に着座している際に外縁側部分12dが外縁部分12bに対し略平坦になるように板ばね12を設計することによって、減圧弁1における板ばね12の高さを更に抑えることができる。
【0032】
また、減圧弁1では、弁室22の内周面にリリーフポート22dが形成されている。本実施形態において、リリーフポート22dは、軸線L1に対して二次側通路23の開口と対称な位置に形成されている。リリーフポート22dには、リリーフ通路25が繋がっている。リリーフ通路25は、軸線L1に直交する方向に延在している。また、ケーシング10には、リリーフ弁3が一体的に設けられており、リリーフ通路25は、リリーフ弁3を介して大気に繋がっている。リリーフ弁3は、減圧弁1の二次圧が所定の設定圧を超えると二次圧を大気等に排出する。このように弁室22の内周面にリリーフポート22dを形成することによって、弁体11の側方にリリーフ弁3を配置することができる。これにより、バルブユニット2の軸線方向の長さを抑えることができる。
【0033】
更に、バルブユニット2では、ケーシング10に開放通路29が形成されている。開放通路29は、リリーフ弁3の二次側の空間と大気室28とを連通している。更に詳細に説明すると、大気室28は、板ばね12によって二次室26から隔離され、且つシール部材27によって環状通路22cからも隔離されている。開放通路29は、大気室28をリリーフ弁3の二次側の空間と連通している。それ故、板ばね12が変形して大気室28の容積が変動した際やガスが大気室28に漏れ出た場合であっても、大気室28を大気圧にて維持することができる。また、二次圧が設定圧を超えてリリーフ弁3がリリーフ通路25を開くと、開放通路29によってリリーフ弁3の二次側の圧力であるリリーフ圧が大気室28に導入される。これにより、リリーフ圧を二次圧に抗して板ばね12に作用させることができる。それ故、リリーフ弁3が作動した際の板ばね12に作用する荷重を抑制することができる。
【0034】
このように構成されている減圧弁1では、板ばね12が弁体11から径方向外方、即ち側方に延在している。それ故、減圧弁1の軸線方向の長さを従来の減圧弁より短くすることができる、即ち減圧弁1の小型化を図ることができる。また、減圧弁1では、前述の通り板ばね12が受圧機能も有しているので、弁体11の小型化又は部品点数の低減を図ることができる。更に、板ばね12がシール機能も有しているので、更に部品点数の低減を図ることができる。これにより、減圧弁1の小型化を図ることができる。また、板ばね12をシールとして用いることで、弁体11に設けられる摺動シール部材の数を減らすことができる。これによって、弁体に作用する摺動抵抗を小さくすることができる。また、板ばね12をシールとして用いることで、摺動抵抗を小さくすることができる。更に、減圧弁1では、弁体11が樹脂製の部材で構成されているので、着座部24に着座する部分と残余部とが別体で形成されているものに比べて、部品点数を低減することができ、また弁体11の製造が容易である。それ故、減圧弁1の製造コストの低減を図ることができる。
【0035】
[その他の実施形態]
本実施形態では、板ばね12を減圧弁1に適用した場合を説明したが、適用される弁装置は減圧弁1に限定されない。例えば、開閉弁やリリーフ弁であってもよく、一次圧や二次圧等のガス圧に抗して弁体を開方向又は閉方向に付勢する弁装置であればよい。また、板ばね12は、必ずしも弁体11の端面に取り付けられる必要はなく、弁体11の側面に取り付けられてもよい、更に板ばね12は、前述するような形状に限定されず、弁体11から側方に延在する板形状(例えば、矩形状)のものであればよい。また、板ばね12は、必ずしも受圧機能やシール機能を有している必要もなく、弁体11や別部材によって達成するようにしてもよい。即ち、弁体11に受圧部を形成したり、Oリングやダイアフラムを用いてシールを達成したりするようにしてもよい。
【0036】
また、
図4に示す減圧弁1AのようにOリング15を用いてシールを達成するようにしてもよい。即ち、環状突起部10dに環状の凹部10gが形成され、そこにOリング15が嵌め込まれ、Oリング15と共に板ばね12の外縁が段部10cと環状突起部10dとに挟持される。これにより、よりシール性を高めることができる。
【0037】
また、弁通路13の形状も前述の形状に限定されない。例えば、二次室26に二次側通路23が繋がっていてもよい。また、リリーフ弁3の位置も前述の位置に限定されず、二次側通路23に接続されるようにしてもよい。また、二次室26へ二次圧を導くべく、弁体11に必ずしも
図1のような連通路11bが形成されている必要はない。例えば、ケーシング10に、二次側通路23(又は環状通路22c)と二次室26とを繋ぐ通路を形成してもよい。他にも、二次側通路23を通路及び外部配管を介して二次室26に繋いでもよい。また、開放通路29は、必ずしもリリーフ弁3に繋がっている必要はない。即ち、開放通路29は、直接大気に開放されていてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 減圧弁(弁装置)
2 バルブユニット
3 リリーフ弁
10 ケーシング
11 弁体
12 板ばね(付勢部材)
12a 中心部分
12b 外縁部分
12c テーパ部
12d 外縁側部分
12e 中心側部分
13 弁通路
22 弁室
22d リリーフポート
26 二次室
28 大気室