(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-21
(45)【発行日】2023-09-29
(54)【発明の名称】段取ステーション
(51)【国際特許分類】
B23Q 1/52 20060101AFI20230922BHJP
F16H 7/00 20060101ALI20230922BHJP
B23Q 17/00 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
B23Q1/52
F16H7/00 A
B23Q17/00 A
B23Q17/00 B
(21)【出願番号】P 2020021268
(22)【出願日】2020-02-12
【審査請求日】2022-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000149066
【氏名又は名称】オークマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【識別番号】100079038
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100199369
【氏名又は名称】玉井 尚之
(72)【発明者】
【氏名】土田 康二
【審査官】野口 絢子
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-149153(JP,A)
【文献】特開2003-074649(JP,A)
【文献】特開平03-136740(JP,A)
【文献】特開平03-270852(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 1/00- 1/76
B23Q 7/00- 7/18
B23Q17/00-23/00
F16H 7/00- 7/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パレットが載置されるようベース部に設けられた回転体と、
前記ベース部に設けられ、前記回転体をベルトにより回転させる駆動モータと、
前記回転体に設けられ、前記パレットが前記回転体に載置されたときに第1状態となり、前記パレットが前記回転体から除去されたときに第2状態となるパレット検知部材と、
前記ベース部に設けられ、前記パレット検知部材の状態変化を検出して、前記第1状態に対する第1検知状態と、前記第2状態に対する第2検知状態とに切り替わる近接スイッチと、
前記駆動モータを駆動制御する制御部と、を備え、
前記第1状態にある前記パレット検知部材を前記近接スイッチが検知したときの前記回転体の回転位相を基準位相とし、
前記回転体を一度に回転させる送り角度が設定され、
前記回転体における外表面のうち、前記回転体が前記基準位相から前記送り角度に係る回転を行う際に、前記近接スイッチに対向する領域の何れかの位置に、前記近接スイッチが前記第1検知状態から前記第2検知状態に切り替わるチェックポイントが少なくとも一つ設けられている、段取ステーション。
【請求項2】
前記パレット検知部材が前記第1状態にあるとき、前記パレット検知部材の一部に形成された検知面が前記回転体の表面と連続な面を形成する状態となり、
前記パレット検知部材が前記第2状態にあるとき、前記検知面が前記回転体の表面と不連続な面を形成する状態となるように構成され、
前記チェックポイントが、前記回転体の表面に対して、前記第2状態にある前記検知面と等しく離間した位置あるいはより多く離間した位置にチェック面を備えている、請求項1に記載の段取ステーション。
【請求項3】
前記回転体に向けて出退するピン部材が前記ベース部に設けられ、
前記回転体が前記基準位相にあるとき、および、前記回転体が前記基準位相から前記送り角度に係る回転を順次行った際に、前記ピン部材が進入可能な固定孔が、前記回転体に形成されている、請求項1または2に記載の段取ステーション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ駆動による回転駆動状態の健全性を容易に判別できる段取ステーションに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、このような段取ステーションに類似した技術としては例えば以下の特許文献1(〔0003〕乃至〔0006〕段落及び
図1など参照)に記載された装置がある。
【0003】
この装置は電動式射出成形機であって、樹脂の射出工程に際して、金型を開閉させる従動プーリや射出用のスクリュを回転させる従動プーリを、モータおよびベルトを用いて駆動回転させるものである。従動プーリの表面のうち回転軸に垂直な面には円周方向に沿って複数の突起あるいは貫通穴が設けられ、これらに対向する位置には近接スイッチが設けられている。
【0004】
モータの駆動回転に際してはモータに付属するエンコーダがモータの回転位置を検出する。併せて、近接スイッチが従動プーリの回転に伴うON-OFF信号を検出する。これら二つの検出信号により、モータから従動プーリに至る駆動系が健全に稼働していることを判別する。
【0005】
仮に二つの検出信号が所定の対応を示さないときには、ベルト破断等が発生したものとしてモータの駆動を停止させる。これにより、例えば、金型が全閉ではない状態で射出工程が実施されることや、樹脂の射出後に製品が金型から取り出されていないにも拘わらず次工程の型締工程に移行すること等の不都合の発生を未然に防止しようとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来の装置にあっては、金型開閉用の従動プーリや射出スクリュを回転させる従動プーリに対して、突起や貫通穴を新たに加工し、近接スイッチを新設する必要がある。この従来装置の場合、従動プーリは夫々の駆動力を伝達すために設けられた専用部品であるため、その他に付属する補器類は少なく、上記追加加工や近接スイッチの設置は比較的容易である。
【0008】
しかし、これらの機構を他の形態の従動プーリに設けようとすると支障が生じる場合がある。例えば駆動回転の状況を確認したい対象が、各種のパレットを順次脱着する段取りステーションの回転体である場合、回転体の一方の空間はパレットの脱着空間となるため利用することができない。また、その周囲の空間においても、例えば、段取りステーションに係る各種治具を動作させるための油空圧配管を設置する空間や、パレットを移動させる駆動機構の設置空間等が必要となるうえ、パレットの脱着を検出するセンサ等を設ける必要もある。このように従来の段取りステーションにあっては、回転体の回転検出装置を設けるにも各種の制限があり改良の余地があった。
【0009】
本発明の目的は、パレットが脱着される回転体に対しても設置の自由度が高く駆動機構の健全性判定が確実に行える段取ステーションを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は上記の目的を達成するために、以下の態様からなる。
【0011】
1)パレットが載置されるようベース部に設けられた回転体と、前記ベース部に設けられ、前記回転体をベルトにより回転させる駆動モータと、前記回転体に設けられ、前記パレットが前記回転体に載置されたときに第1状態となり、前記パレットが前記回転体から除去されたときに第2状態となるパレット検知部材と、前記ベース部に設けられ、前記パレット検知部材の状態変化を検出して、前記第1状態に対する第1検知状態と、前記第2状態に対する第2検知状態とに切り替わる近接スイッチと、前記駆動モータを駆動制御する制御部と、を備え、前記第1状態にある前記パレット検知部材を前記近接スイッチが検知したときの前記回転体の回転位相を基準位相とし、前記回転体を一度に回転させる送り角度が設定され、前記回転体における外表面のうち、前記回転体が前記基準位相から前記送り角度に係る回転を行う際に、前記近接スイッチに対向する領域の何れかの位置に、前記近接スイッチが前記第1検知状態から前記第2検知状態に切り替わるチェックポイントが少なくとも一つ設けられている段取ステーション。
【0012】
2)前記パレット検知部材が前記第1状態にあるとき、前記パレット検知部材の一部に形成された検知面が前記回転体の表面と連続な面を形成する状態となり、前記パレット検知部材が前記第2状態にあるとき、前記検知面が前記回転体の表面と不連続な面を形成する状態となるように構成され、前記チェックポイントが、前記回転体の表面に対して、前記第2状態にある前記検知面と等しく離間した位置あるいはより多く離間した位置にチェック面を備えている、上記1)の段取ステーション。
【0013】
3)さらに、前記回転体に向けて出退するピン部材が前記ベース部に設けられ、前記回転体が前記基準位相にあるとき、および、前記回転体が前記基準位相から前記送り角度に係る回転を順次行った際に、前記ピン部材が進入可能な固定孔が、前記回転体に形成されている、上記1)または2)の段取ステーション。
【発明の効果】
【0014】
上記1)の段取ステーションでは、当該段取ステーションの基体となるベース部に回転体が設けられ、この回転体に各種のワークを保持するパレットが順次載置される。パレットを載置した回転体は、ベース部に設けられた駆動モータによってベルト駆動される。ベース部には、パレットの載置状態を検出するパレット検知部材と近接スイッチが設けられ、回転体が適切に駆動されるか否かの確認が行われる。
【0015】
本発明に係る段取りステーションは、これらパレット検知部材と近接スイッチを利用し、回転体の外表面のうち回転体の駆動に際して近接スイッチに対向する領域に、少なくとも一つのチェックポイントを設けるものである。これにより、従来の段取ステーションの構成を大きく変更しなくても設置の自由度が高く、モータ駆動に伴う回転体の駆動状態の健全性を確実に判別することができる。
【0016】
上記2)の段取ステーションに記載のチェックポイントを備えることで、回転体の形状を僅かに変更するだけでよく、従来の段取りステーションの構成を大きく変更することなく、回転体の駆動状態の健全性が判別可能となる。
【0017】
上記3)の段取ステーションによれば、所定のピン部材と固定孔を設ける結果、回転体が所定の送り角度分回転したか否かの確認が可能となる。よって、駆動モータの回転機能やベルトの健全性をより正確に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第1の実施形態に係る段取ステーションの構成を示す斜視図である。
【
図2】第1の実施形態に係るパレット検知部材の構成を示す説明図である。
【
図3】第1の実施形態に係る回転体の動作態様を示す説明図である。
【
図4】第1の実施形態に係る段取ステーションの動作態様を示すフローチャートである。
【
図5】第2の実施形態に係るパレット検知部材の構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0020】
〔第1の実施形態〕
(全体概要)
本発明の第1の実施形態に係る段取ステーション(S)の構成を
図1乃至
図4に示す。この段取ステーション(S)は、ベース部(H)に設けられた駆動モータ(M)によって回転操作される回転体(T)を備えている。回転体(T)には、例えば切削加工などが施されるワークを保持したパレット(P)が固定される。パレット(P)はワークを保持した状態で回転体(T)に対して着脱可能である。
【0021】
駆動モータ(M)と回転体(T)との間には、
図1に示すように、駆動モータ(M)の出力軸(m1)に付属の第1プーリ(p1)に巻き回されたベルト(B)と、ベルト(B)からの動力伝達によって回転する減速部材が設けられている。本実施形態の減速部材は、ベルト(B)が巻き回される第2プーリ(p2)と、この第2プーリ(p2)と一体回転する第1歯車(g1)とを備えている。一方、回転体(T)には、第1歯車(g1)に歯合する第2歯車(g2)が設けられている。因みに、これら第1歯車(g1)および第2歯車(g2)は、互いに当接するゴム輪のような摩擦車であっても良い。
【0022】
(パレット検知部材)
回転体(T)には、パレット(P)が回転体(T)に載置された状態を検知するためのパレット検知部材(1)を設けてある。パレット検知部材(1)は、回転体(T)の円周方向に沿って例えば一カ所だけに設けておく。
図2に示すように、パレット検知部材(1)は検出ピン(11)を備えている。検出ピン(11)は、回転体(T)の回転軸芯(X)に沿って回転体(T)に形成された孔部(t1)に挿通されている。検出ピン(11)が上下に円滑に往復移動するよう、孔部(t1)の両端部には低摩擦係数を有する軸受部材(12)が設けてある。
【0023】
孔部(t1)には、検出ピン(11)と共にコイルばね(13)が設置してある。このコイルばね(13)は、検出ピン(11)の長手方向中程に形成されたフランジ部(11a)をパレット(P)の側に常時付勢する(
図2(a))。これにより、パレット(P)が載置されていない状態では、検出ピン(11)の先端が回転体(T)の上面から突出し、パレット(P)が回転体(T)に載置された際(
図2(b))には、検出ピン(11)が回転体(T)の内部に押し込まれる。
【0024】
検出ピン(11)の反対側の端部には円盤状の検知ディスク(14)が一体的に設けてある。検知ディスク(14)の下面(14F) はパレット(P)の載置状態を検出するための検知面(14F)として機能する。一方、回転体(T)の下面(TF)には、検知ディスク(14)が上下に移動する空間を確保するための凹部(TH)が形成されている。
【0025】
パレット(P)が載置されていないときは、検出ピン(11)は上方に移動し、検知面(14F)と回転体(T)の下面(TF)とは互いに不連続な面となる。このとき、検知ディスク(14)が凹部(TH)の底面(THa)に当接して検出ピン(11)の更なる変位を規制する。一方、検出ピン(11)がパレット(P)によって押し込まれたときには検知ディスク(14)が下方に移動し、検知面(14F)が回転体(T)の下面(TF)と同じ平面内に位置して双方が連続的な面となる。
【0026】
以降においては、パレット(P)が回転体(T)に載置され検出ピン(11)が回転体(T)に引退した状態を第1状態とし、パレット(P)が回転体(T)から除去されて検出ピン(11)が回転体(T)から突出した状態を第2状態という。
【0027】
(近接スイッチ)
図1に示すように、回転体(T)の下方であって回転体(T)の下面(TF)との間に所定の間隔を設けた位置に近接スイッチ(15)が設けてある。この近接スイッチ(15)は、自身の周辺に磁場を形成しておき、磁性材料が接近した際に、磁場の変化を捉えてON・OFFが切り替わるものである。本実施形態では、検知ディスク(14)を、例えば磁性材料である各種金属材料によって構成しておき、検出ピン(11)が引退した第1状態にあるとき、近接スイッチ(15)は第1検知状態つまりON状態となるように構成する。一方、検出ピン(11)が突出して第2状態にあるとき、近接スイッチ(15)は第2検知状態つまりOFF状態となるように構成する。
【0028】
(回転体の回転検知)
本実施形態では、回転体(T)およびパレット(P)が駆動モータ(M)の駆動に伴って回転しているか否かを近接スイッチ(15)のON・OFF状態の変化に基づいて検出する。まず、近接スイッチ(15)が第1検知状態つまりON状態になったときの回転体(T)の回転位相を基準位相とする。この状態を
図3に示す。ここでは、検知ディスク(14)と近接スイッチ(15)とが重なった位置にある。
【0029】
ベース部(H)に設けられた制御部(2)は、回転体(T)をこの基準位相から所定の角度すなわち予め設定された送り角度だけ回転させるものとする。本実施形態では、この送り角度を例えば90度に設定する。
【0030】
図1および
図3に示すように、回転体(T)の下面(TF)には、凹部(TH)の他に、周方向に沿って90度毎に四つのチェックポイント(CP)が設けられている。回転軸芯(X)に対するこれらチェックポイント(CP)の回転半径は検出ピン(11)の回転半径と同じである。チェックポイント(CP)も、凹部(TH)と同様に回転体(T)の下面(TF)に凹溝状に形成してある。ただし、他の形状として回転体(T)の下面(TF)から所定深さの孔を穿工するものであっても良い。
【0031】
このように複数のチェックポイント(CP)を設けることで、回転体(T)の回転に伴い、近接スイッチ(15)がチェックポイント(CP)に至るとOFF状態に切り替わる。つまり、回転体(T)が基準位相にあるとき、検知ディスク(14)は回転体(T)の下面(TF)と面一の位置にあるから、近接スイッチ(15)はON状態となる。ここから回転体(T)が所定角度だけ回転すると、近接スイッチ(15)は一つ目のチェックポイント(CP)に対向する状態となる。ここでは、チェックポイント(CP)の底部は近接スイッチ(15)から離れた状態となり、近接スイッチ(15)はOFF状態となる。さらに回転体(T)が回転すると、近接スイッチ(15)と回転体(T)の下面(TF)とが再び接近してON状態となる。このように、回転体(T)が基準位相から送り角度分の回転を行う際にON状態-OFF状態-ON状態と切り替わり、制御部(2)は、回転体(T)が回転していることを検出することができる。
【0032】
本願の近接スイッチ(15)はパレット(P)の有無と回転の有無の両方を検知する機能を備えている。本実施形態では、さらに、回転体(T)の下面(TF)に複数のチェックポイント(CP)を設けて近接スイッチ(15)の状態変化を捉えるようにしたことで、従来の段取ステーション(S)の構成を大きく変更することなく、駆動モータ(M)の回転に伴って回転体(T)が回転していることの検出が可能となった。
【0033】
尚、チェックポイント(CP)の数は、回転体(T)の回転を検出できる限りにおいて任意である。例えば、回転体(T)が一回分の送り角度だけ回転する間に、近接スイッチ(15)のON状態とOFF状態とが何度も切り替わるように、チェックポイント(CP)を複数設けておくこともできる。その結果、近接スイッチ(15)からの検知信号がより短時間で変化するから、回転体(T)が回転しているか否かの検出がより正確なものとなる。
【0034】
(回転体を固定するピン部材)
回転体(T)の一部には、回転体(T)が所定の回転角だけ回転した状態で固定されるように位置固定部(3)が設けてある。位置固定部(3)は、例えば
図1に示すように、回転体(T)の下面(TF)に形成した固定孔(31)と、この固定孔(31)に突入・離脱するようにベース部(H)に設けたピン部材(32)とを備えている。
【0035】
ピン部材(32)は例えば空気圧を利用して駆動させる。ピン部材(32)の固定孔(31)に対する突入状態と離脱状態は、ピン部材(32)に付随して設けた位置センサ(図外)の出力に基づいて制御部(2)が把握する。本実施形態での回転体(T)の回転ピッチは90度であるから、固定孔(31)も90度ピッチで形成してある。
【0036】
制御部(2)は、駆動モータ(M)の回転が開始される前にピン部材(32)を離脱操作し、駆動モータ(M)の回転終了の信号を検知してピン部材(32)を固定孔(31)に突入させる。このように、近接スイッチ(15)による回転体(T)の回転検知に加えてピン部材(32)の状態を検知することで、ピン部材(32)による回転角度の確認が可能となり、駆動モータ(M)の回転機能やベルト(B)の健全性をより正確に確認することができる。
【0037】
尚、固定孔(31)の形状や設置位置は、近接スイッチ(15)が誤って反応しないものとする。また、固定孔(31)やピン部材(32)は、回転体(T)の下面(TF)に設けるものの他に側面に設けるものであってもよく、適宜の改変が可能である。
【0038】
〔実施例〕
本実施形態の段取ステーション(S)の動作態様を
図4のフローチャートに示す。先ず、制御部(2)は、パレット(P)が回転体(T)に載置されているか否かを検出する(♯10)。即ち、回転体(T)に設けられた検出ピン(11)が押し込まれ、近接スイッチ(15)がこれを検知することでパレット(P)が載置されていることを検出する。
【0039】
パレット(P)の載置状態が検出されると、回転体(T)を固定しているピン部材(32)を下降させる(♯20)。ピン部材(32)の下降が確認されると回転体(T)を所定の送り角度だけ回転させる(♯30)。この回転の最中には、近接スイッチ(15)は少なくとも一つのチェックポイント(CP)を通過するから、近接スイッチ(15)がON状態から一旦OFF状態となる。これを制御部(2)が記憶する(♯40)。このOFF信号の検出によって回転体(T)の回転が検知され、駆動用のベルト(B)等に不具合がないことがわかる。
【0040】
駆動モータ(M)は回転体(T)を所定の送り角度だけ回転させたのち駆動を停止し(♯50)、制御部(2)は、それまでにOFF信号を記憶しているか否かを確認する(♯60)。OFF信号が記憶されている場合には、ピン部材(32)を再び上昇させ(♯70)、ピン部材(32)が所定の距離だけ上昇したことを確認する(♯80)。これにより、回転体(T)が所定の送り角度だけ回転し、所定の姿勢に固定されたことが確認される(♯90)。
【0041】
一方、回転体(T)の回転が停止した際に、近接スイッチ(15)のOFF状態が記憶されていない場合(♯60)には、ベルト(B)が切れている等何らかのトラブルが発生したとして、音や光などでエラー警報を発し(♯100)、その後の段取ステーション(S)の駆動を停止する。
【0042】
また、(♯80)においてピン部材(32)が所定の高さだけ上昇しない場合にも、ベルト(B)が切れている等何らかのトラブルが発生したとして音や光などでエラー警報を発し(♯100)、その後の段取ステーション(S)の駆動を停止する。
【0043】
〔第2の実施形態〕
図5には、パレット検知部材(1)の別実施形態を示す。
図5(a)に示すように、ここでは、回転体(T)の上面かつ周縁部に溝部(Th)を設け、この溝部(Th)の上に、揺動可能な回転部材(16)を備えたユニット(U)を設ける。この回転部材(16)は二つの腕部(16a,16b)を接続した略L字形状であり、両腕部(16a,16b)の交点に設けた軸部(17)によってユニット(U)に軸支されている。回転部材(16)の一方の腕部(16a)の端部には、パレット(P)の下面(TF)に当接する凸部(16c)を設けておき、他方の腕部(16b)の端部には近接スイッチ(15)に近接離間する検知板(16d)を設けておく。
【0044】
軸部(17)には、トグルバネ(18)を取り付けておき、ユニット(U)に設けた第1係止部(19)と、回転部材(16)に設けた第2係止部(16e)とに係合させる。これにより、凸部(16c)が回転体(T)から突出するように回転部材(16)が常時付勢される。
【0045】
パレット(P)が回転体(T)に載置されていない状態では、回転部材(16)は
図5(b)に示す姿勢となり、凸部(16c)が回転体(T)から突出する。一方、パレット(P)が載置された状態では、
図5(c)に示すように凸部(16c)が押し込まれ、検知板(16d)がトグルバネ(18)の付勢力に抗って回転体(T)の外側に変位する。検知板(16d)の外面と回転体(T)の側面とが略連続な面となり、回転体(T)の側面に対向配置させた近接スイッチ(15)がON状態となる。
【0046】
回転体(T)の側面には、この溝部(Th)を基準にして、回転体(T)の送り角度に応じたチェックポイント(CP)を複数形成しておく。これらチェックポイント(CP)の機能は第1の実施形態に示したものと同じである。
【0047】
本構成であれば近接スイッチ(15)を配置し得る場所が広がる。よって、例えばピン部材(32)の設置場所との干渉が確実に回避でき、パレット検知部材(1)をより合理的に構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明に係る段取ステーションの構成は、駆動モータの駆動回転をベルトを介して他の回転体に伝達する構成を有するものに広く適用することができる。
【符号の説明】
【0049】
(1):パレット検知部材
(14F):検知面
(15):近接スイッチ
(2):制御部
(31):固定孔
(32):ピン部材
(B):ベルト
(CF):チェック面
(CP):チェックポイント
(H):ベース部
(M):駆動モータ
(P):パレット
(S):段取ステーション
(T):回転体