(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-21
(45)【発行日】2023-09-29
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20230922BHJP
H01L 21/027 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
H01L21/304 645C
H01L21/304 643A
H01L21/304 648K
H01L21/304 648F
H01L21/304 648G
H01L21/304 647Z
H01L21/30 572B
(21)【出願番号】P 2020032700
(22)【出願日】2020-02-28
【審査請求日】2022-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】小林 健司
(72)【発明者】
【氏名】村元 僚
(72)【発明者】
【氏名】尾辻 正幸
【審査官】堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0020551(US,A1)
【文献】特開2015-220318(JP,A)
【文献】特開2006-261685(JP,A)
【文献】特開2019-153721(JP,A)
【文献】特開2018-101677(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
H01L 21/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理液が供給されるタンクと、
前記タンクから供給される前記処理液を吐出口から基板に吐出するノズルと、
前記タンクと前記吐出口とに接続され、かつ、前記処理液が流れる第1の配管と、
前記第1の配管を流れる前記処理液にガスを供給し、かつ、供給される前記ガスにプラズマを生じさせるプラズマ処理を行うプラズマ処理部と、
前記プラズマ処理が行われた後の前記処理液が流れる前記第1の配管から分岐し、かつ、前記タンクに接続される第2の配管と、
前記第1の配管を介して前記吐出口から前記処理液を吐出させる吐出モードと、前記第2の配管を介して前記処理液を循環させ、かつ、前記処理液が前記吐出口から吐出することを停止させる吐出停止モードとの切り替え制御を行う制御部とを備える、
基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置であり、
前記プラズマ処理部は、前記処理液に供給される前の前記ガスに前記プラズマを生じさせる、
基板処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の基板処理装置であり、
前記プラズマ処理部は、前記処理液に供給されて気泡となった前記ガスに前記プラズマを生じさせる、
基板処理装置。
【請求項4】
請求項1から3のうちのいずれか1つに記載の基板処理装置であり、
前記プラズマ処理部は、前記ノズルの近傍に取り付けられ、
前記第2の配管は、前記ノズル内で前記第1の配管から分岐する、
基板処理装置。
【請求項5】
請求項1から4のうちのいずれか1つに記載の基板処理装置であり、
前記処理液に供給されるガスは、空気、H
2、Ar、N
2、HeまたはO
2である、
基板処理装置。
【請求項6】
請求項1から5のうちのいずれか1つに記載の基板処理装置であり、
前記処理液は、硫酸であり、
前記プラズマ処理部は、前記プラズマ処理を行うことによって、前記処理液からカロ酸を生成させる、
基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願明細書に開示される技術は、基板処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、基板処理に用いられる処理液にプラズマ処理を行って当該処理液の処理能力などを高め、これによって当該基板処理の効率を高める技術があった。
【0003】
たとえば、硫酸を酸素ラジカルによって酸化してカロ酸(ペルオキソー硫酸。H2SO5)を生成し、基板処理に用いる処理液の酸化力を高める技術があった(たとえば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
たとえば、特許文献1に示される場合では、プラズマ処理によって生成されたカロ酸が基板処理に用いられるが、1回のプラズマ処理によって生成されるカロ酸の量は少ないため、処理液の酸化力が十分に高められないという問題がある。
【0006】
本願明細書に開示される技術は、以上に記載されたような問題を鑑みてなされたものであり、基板処理に用いられる処理液の処理能力を十分に高めるための技術である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願明細書に開示される基板処理装置に関する技術の第1の態様は、処理液が供給されるタンクと、前記タンクから供給される前記処理液を吐出口から基板に吐出するノズルと、前記タンクと前記吐出口とに接続され、かつ、前記処理液が流れる第1の配管と、前記第1の配管を流れる前記処理液にガスを供給し、かつ、供給される前記ガスにプラズマを生じさせるプラズマ処理を行うプラズマ処理部と、前記プラズマ処理が行われた後の前記処理液が流れる前記第1の配管から分岐し、かつ、前記タンクに接続される第2の配管と、前記第1の配管を介して前記吐出口から前記処理液を吐出させる吐出モードと、前記第2の配管を介して前記処理液を循環させ、かつ、前記処理液が前記吐出口から吐出することを停止させる吐出停止モードとの切り替え制御を行う制御部とを備える。
【0008】
本願明細書に開示される技術の第2の態様は、第1の態様に関連し、前記プラズマ処理部は、前記処理液に供給される前の前記ガスに前記プラズマを生じさせる。
【0009】
本願明細書に開示される技術の第3の態様は、第1または2の態様に関連し、前記プラズマ処理部は、前記処理液に供給されて気泡となった前記ガスに前記プラズマを生じさせる。
【0010】
本願明細書に開示される技術の第4の態様は、第1から3のうちのいずれか1つの態様に関連し、前記プラズマ処理部は、前記ノズルの近傍に取り付けられ、前記第2の配管は、前記ノズル内で前記第1の配管から分岐する。
【0011】
本願明細書に開示される技術の第5の態様は、第1から4のうちのいずれか1つの態様に関連し、前記処理液に供給されるガスは、空気、H2、Ar、N2、HeまたはO2である。
【0012】
本願明細書に開示される技術の第6の態様は、第1から5のうちのいずれか1つの態様に関連し、前記処理液は、硫酸であり、前記プラズマ処理部は、前記プラズマ処理を行うことによって、前記処理液からカロ酸を生成させる。
【発明の効果】
【0013】
本願明細書に開示される技術の第1から6の態様によれば、第2の配管を介して処理液を循環させる間に、処理液に対し繰り返しプラズマ処理を行うことができる。そのため、処理液に対して十分な回数のプラズマ処理が行われ、基板処理に用いられる処理液の処理能力がプラズマ処理によって十分に高められた状態で、処理液をノズルから吐出させることができる。
【0014】
また、本願明細書に開示される技術に関連する目的と、特徴と、局面と、利点とは、以下に示される詳細な説明と添付図面とによって、さらに明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施の形態に関する、基板処理システムの構成の例を概略的に示す平面図である。
【
図2】
図1に例が示された制御部の構成の例を概念的に示す図である。
【
図3】実施の形態に関する、基板処理装置の構成の例を概略的に示す図である。
【
図4】実施の形態に関する、プラズマ処理部の構成の例を示す断面図である。
【
図5】実施の形態に関する、プラズマ処理部の構成の例を示す断面図である。
【
図6】実施の形態に関する、プラズマ処理部の構成の例を示す断面図である。
【
図7】実施の形態に関する、プラズマ処理部の構成の例を示す断面図である。
【
図8】実施の形態に関する、基板処理装置の構成の例を概略的に示す図である。
【
図9】実施の形態に関する、ノズルおよびそれに関連する構成の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付される図面を参照しながら実施の形態について説明する。以下の実施の形態では、技術の説明のために詳細な特徴なども示されるが、それらは例示であり、実施の形態が実施可能となるためにそれらすべてが必ずしも必須の特徴ではない。
【0017】
また、以下の実施の形態における「基板」としては、半導体ウエハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板などの各種基板を適用可能である。以下では、主として円盤状の半導体ウエハの処理に用いられる基板処理装置が例として説明されるが、上記の各種の基板の処理にも同様に適用可能である。また、基板の形状についても各種のものを適用可能である。
【0018】
なお、図面は概略的に示されるものであり、説明の便宜のため、適宜、構成の省略、または、構成の簡略化が図面においてなされるものである。また、異なる図面にそれぞれ示される構成などの大きさおよび位置の相互関係は、必ずしも正確に記載されるものではなく、適宜変更され得るものである。また、断面図ではない平面図などの図面においても、実施の形態の内容を理解することを容易にするために、ハッチングが付される場合がある。
【0019】
また、以下に示される説明では、同様の構成要素には同じ符号を付して図示し、それらの名称と機能とについても同様のものとする。したがって、それらについての詳細な説明を、重複を避けるために省略する場合がある。
【0020】
また、以下に記載される説明において、ある構成要素を「備える」、「含む」または「有する」などと記載される場合、特に断らない限りは、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0021】
また、以下に記載される説明において、「第1の」または「第2の」などの序数が用いられる場合があっても、これらの用語は、実施の形態の内容を理解することを容易にするために便宜上用いられるものであり、これらの序数によって生じ得る順序などに限定されるものではない。
【0022】
また、以下に記載される説明において、「上」、「下」、「左」、「右」、「側」、「底」、「表」または「裏」などの特定の位置または方向を意味する用語が用いられる場合があっても、これらの用語は、実施の形態の内容を理解することを容易にするために便宜上用いられるものであり、実際に実施される際の位置または方向とは関係しないものである。
【0023】
また、以下に記載される説明において、「…の上面」または「…の下面」などと記載される場合、対象となる構成要素の上面自体または下面自体に加えて、対象となる構成要素の上面または下面に他の構成要素が形成された状態も含むものとする。すなわち、たとえば、「甲の上面に設けられる乙」と記載される場合、甲と乙との間に別の構成要素「丙」が介在することを妨げるものではない。
【0024】
<第1の実施の形態>
以下、本実施の形態に関する基板処理システムにおける基板処理装置について説明する。
【0025】
<基板処理システムの構成について>
図1は、本実施の形態に関する基板処理システム1の構成の例を概略的に示す平面図である。基板処理システム1は、ロードポートLPと、インデクサロボットIRと、センターロボットCRと、制御部90と、少なくとも1つの処理ユニットUT(
図1においては4つの処理ユニット)とを備える。
【0026】
それぞれの処理ユニットUTは、基板W(ウエハ)を処理するためのものであり、そのうちの少なくとも1つおよび当該処理ユニットUTに接続される配線構造が、基板処理装置100に対応する。基板処理装置100は、基板処理に用いることができる枚葉式の装置であり、具体的には、基板Wに付着している有機物を除去する処理を行う装置である。基板Wに付着している有機物は、たとえば、使用済のレジスト膜である。当該レジスト膜は、たとえば、イオン注入工程用の注入マスクとして用いられたものである。
【0027】
なお、基板処理装置100は、チャンバ80を有することができる。その場合、チャンバ80内の雰囲気を制御部90によって制御することで、基板処理装置100は、所望の雰囲気中における基板処理を行うことができる。
【0028】
制御部90は、基板処理システム1におけるそれぞれの構成(後述のスピンチャック10のスピンモータ10D、バルブ、ヒーター、ポンプまたは交流電源304など)の動作を制御することができる。キャリアCは、基板Wを収容する収容器である。また、ロードポートLPは、複数のキャリアCを保持する収容器保持機構である。インデクサロボットIRは、ロードポートLPと基板載置部PSとの間で基板Wを搬送することができる。センターロボットCRは、基板載置部PSおよび処理ユニットUT間で基板Wを搬送することができる。
【0029】
以上の構成によって、インデクサロボットIR、基板載置部PSおよびセンターロボットCRは、それぞれの処理ユニットUTとロードポートLPとの間で基板Wを搬送する搬送機構として機能する。
【0030】
未処理の基板WはキャリアCからインデクサロボットIRによって取り出される。そして、未処理の基板Wは、基板載置部PSを介してセンターロボットCRに受け渡される。
【0031】
センターロボットCRは、当該未処理の基板Wを処理ユニットUTに搬入する。そして、処理ユニットUTは基板Wに対して処理を行う。
【0032】
処理ユニットUTにおいて処理済みの基板Wは、センターロボットCRによって処理ユニットUTから取り出される。そして、処理済みの基板Wは、必要に応じて他の処理ユニットUTを経由した後、基板載置部PSを介してインデクサロボットIRに受け渡される。インデクサロボットIRは、処理済みの基板WをキャリアCに搬入する。以上によって、基板Wに対する処理が行われる。
【0033】
図2は、
図1に例が示された制御部90の構成の例を概念的に示す図である。制御部90は、電気回路を有する一般的なコンピュータによって構成されていてよい。具体的には、制御部90は、中央演算処理装置(central processing unit、すなわち、CPU)91、リードオンリーメモリ(read only memory、すなわち、ROM)92、ランダムアクセスメモリ(random access memory、すなわち、RAM)93、記憶装置94、入力部96、表示部97および通信部98と、これらを相互に接続するバスライン95とを備える。
【0034】
ROM92は基本プログラムを格納している。RAM93は、CPU91が所定の処理を行う際の作業領域として用いられる。記憶装置94は、フラッシュメモリまたはハードディスク装置などの不揮発性記憶装置によって構成されている。入力部96は、各種スイッチまたはタッチパネルなどによって構成されており、オペレータから処理レシピなどの入力設定指示を受ける。表示部97は、たとえば、液晶表示装置およびランプなどによって構成されており、CPU91の制御の下、各種の情報を表示する。通信部98は、local area network(LAN)などを介してのデータ通信機能を有する。
【0035】
記憶装置94には、
図1の基板処理システム1におけるそれぞれの構成の制御についての複数のモードがあらかじめ設定されている。CPU91が処理プログラム94Pを実行することによって、上記の複数のモードのうちの1つのモードが選択され、当該モードでそれぞれの構成が制御される。なお、処理プログラム94Pは、記録媒体に記憶されていてもよい。この記録媒体を用いれば、制御部90に処理プログラム94Pをインストールすることができる。また、制御部90が実行する機能の一部または全部は、必ずしもソフトウェアによって実現される必要はなく、専用の論理回路などのハードウェアによって実現されてもよい。
【0036】
図3は、本実施の形態に関する基板処理装置100の構成の例を概略的に示す図である。
図3においては、複数の処理ユニットUTのうちの1つの処理ユニットUTに接続される、処理液の配管構造が示されている。なお、
図3においては便宜上1種類の処理液の配管構造が示されているが、複数種の処理液が用いられる場合には、それぞれの処理液に対応する配管構造が別途接続される。
【0037】
基板処理装置100は、処理液供給源(ここでは、図示せず)から供給される処理液を貯留する貯留タンク14と、貯留タンク14から流れる処理液の温度を制御するヒーター16と、ヒーター16で温度が制御された処理液を処理ユニットUTに至る配管200に流すポンプ18と、配管200を流れる処理液中の不純物を除去するフィルター20と、配管200における処理液の流路を開閉可能なバルブ22と、バルブ22よりも上流の配管200から分岐し、かつ、貯留タンク14に接続される分岐配管202と、分岐配管202における処理液の流路を開閉可能なバルブ24と、バルブ22よりも下流の配管200において流れる処理液の流量を測定する流量計26と、配管200を流れる処理液の流量を調整可能な流量調整バルブ28と、配管200を流れる処理液を所望の吐出温度に加熱するヒーター30と、ヒーター30よりも下流の配管200における処理液の流路を開閉可能なバルブ32と、バルブ32よりも下流の配管200における処理液に対してプラズマ処理を行うプラズマ処理部34と、プラズマ処理部34よりも下流の配管200における処理液の流路を開閉可能なバルブ36と、プラズマ処理部34よりも下流でバルブ36よりも上流の配管200から分岐し、かつ、クーラー54さらには貯留タンク14に接続される分岐配管204と、分岐配管204における処理液の流路を開閉可能なバルブ40と、バルブ40よりも上流の分岐配管204から分岐し、分岐配管204を介して処理液を吸引する吸引配管206と、吸引配管206における処理液の流路を開閉可能なバルブ42と、分岐配管204から供給される処理液を冷却し、かつ、貯留タンク14に戻すクーラー54と、ヒーター30よりも下流でバルブ32よりも上流の配管200とバルブ40よりも下流の分岐配管204との間の処理液の流路を開閉可能なバルブ44と、バルブ36よりも下流の配管200に接続され、処理ユニットUTにおける基板Wに吐出口148から処理液を吐出するノズル38と、基板Wを処理するための処理ユニットUTとを備える。
【0038】
なお、上記のバルブは、空気バルブまたは電磁バルブであってもよいし、それ以外のバルブであってもよい。また、吸引配管206の下流側には、吸引装置(ここでは、図示せず)が接続される。また、クーラー63は、水冷ユニットまたは空冷ユニットであってもよいし、これら以外の冷却ユニットであってもよい。
【0039】
処理ユニットUTは、1枚の基板Wを略水平姿勢で保持しつつ、基板Wの中央部を通る鉛直な回転軸線Z1まわりに基板Wを回転させるスピンチャック10と、基板Wの回転軸線Z1まわりにスピンチャック10を取り囲む筒状の処理カップ12とを備える。
【0040】
ここで、処理液としては硫酸が想定されるが、たとえば、硫酸塩、ペルオキソー硫酸およびペルオキソー硫酸塩の少なくともいずれかを含む液、純水(DIW)、または、過酸化水素を含む液などであってもよい。
【0041】
スピンチャック10は、略水平姿勢の基板Wの下面を真空吸着する円板状のスピンベース10Aと、スピンベース10Aの中央部から下方に延びる回転軸10Cと、回転軸10Cを回転させることによって、スピンベース10Aに吸着されている基板Wを回転させるスピンモータ10Dとを備える。なお、スピンチャック10の代わりに、スピンベースの上面外周部から上方に突出する複数のチャックピンを備え、当該チャックピンによって基板Wの周縁部を挟持する挟持式のチャックが用いられてもよい。
【0042】
なお、処理ユニットUTは、
図1におけるチャンバ80に囲まれていてよい。また、チャンバ80内の圧力は、およそ大気圧(たとえば、0.5気圧以上、かつ、2気圧以下)であってよい。
【0043】
<基板処理装置の動作について>
次に、制御部90によって制御される基板処理装置の動作について説明する。本実施の形態に関する基板処理装置による基板処理方法は、処理ユニットUTへ搬送された基板Wに対し薬液処理を行う工程と、薬液処理が行われた基板Wに対し洗浄処理を行う工程と、洗浄処理が行われた基板Wに対し乾燥処理を行う工程と、乾燥処理が行われた基板Wを処理ユニットUTから搬出する工程とを備える。
【0044】
以下では、基板処理装置の動作に含まれる、薬液処理中または薬液処理後に基板Wに付着している有機物(たとえば、使用済みのレジスト膜)を除去する工程(上記の工程のうち、薬液処理を行う工程、または、洗浄処理を行う工程に属する工程)における、処理液の吐出モード、処理液の吐出を停止する吐出停止モード、および、処理液を吸引する吸引モードについて説明する。吐出モード、吐出停止モードおよび吸引モードは、制御部90の制御によって切り替えられる。
【0045】
処理液をノズル38から吐出する吐出モードでは、バルブ22、流量調整バルブ28、バルブ32、バルブ36が開いており、他のバルブは閉じている。
【0046】
吐出モードでは、貯留タンク14内の処理液は、ヒーター16によって加熱された後、ポンプ18によって配管200へ送られる。配管200を流れる処理液は、フィルター20において不純物が除去された後、バルブ22の下流の配管200へ送られる。
【0047】
そして、バルブ22の下流の配管200において、処理液は、流量計26で流量が測定され、流量調整バルブ28で流量が調整された後、ヒーター30によって所望の吐出温度まで加熱される。そして、当該処理液は、プラズマ処理部34においてプラズマ処理が行われた後、ノズル38から処理ユニットUTにおいて保持されている(望ましくは、回転している)基板Wの上面に吐出される。なお、ノズル38近傍の配管200において処理液に過酸化水素が加えられてもよい。
【0048】
処理液の吐出が停止されている吐出停止モードでは、バルブ22、バルブ24、流量調整バルブ28、バルブ32、バルブ40が開いており、他のバルブは閉じている。
【0049】
吐出停止モードでは、貯留タンク14内の処理液は、ヒーター16によって加熱された後、ポンプ18によって配管200へ送られる。配管200を流れる処理液は、フィルター20において不純物が除去された後、一部がバルブ22の下流の配管200へ送られ、他の一部がバルブ24の下流の分岐配管202へ送られて貯留タンク14に戻る。
【0050】
そして、バルブ22の下流の配管200において、処理液は、流量計26で流量が測定され、流量調整バルブ28で流量が調整された後、ヒーター30によって所望の吐出温度まで加熱される。そして、当該処理液は、プラズマ処理部34においてプラズマ処理が行われた後、分岐配管204を介してバルブ40の下流へ流れ、クーラー54を介して貯留タンク14に戻る。
【0051】
吐出停止モードでは、貯留タンク14からノズル38の近傍に至る循環経路において処理液を循環させることによって、ノズル38の近傍においても処理液を所望の温度に維持することができる。また、当該循環経路内にプラズマ処理部34が配置されており、循環する処理液に対し繰り返しプラズマ処理を行うことができる。そのため、処理液に対して十分な回数のプラズマ処理が行われることによって、たとえば、硫酸である処理液からカロ酸(ペルオキソー硫酸。H2SO5)が生成される量を所望の量とすることができる。よって、基板処理に用いられる処理液の処理能力がプラズマ処理によって十分に高められた状態で制御部90の制御によって吐出モードに切り替えれば、処理液をノズル38から吐出させることができる。
【0052】
ノズル38付近に残留する処理液を吸引する吸引モードでは、バルブ22、バルブ24、流量調整バルブ28、バルブ36、バルブ42、バルブ44が開いており、他のバルブは閉じている。
【0053】
吸引モードでは、貯留タンク14内の処理液は、ヒーター16によって加熱された後、ポンプ18によって配管200へ送られる。配管200を流れる処理液は、フィルター20において不純物が除去された後、一部はバルブ22の下流の配管200へ送られた後、バルブ44を介して貯留タンク14に戻る。配管200を流れる処理液の他の一部も、バルブ24の下流の分岐配管202へ送られて貯留タンク14に戻る。
【0054】
また、分岐配管204との分岐位置よりも下流の配管200に残留している処理液は、吸引配管206から分岐配管204を介して伝達された吸引力によって、吸引配管206内に吸引される。
【0055】
<プラズマ処理部の構成について>
次に、プラズマ処理部の構成について説明する。なお、以下のプラズマ処理部におけるプラズマ処理は、大気圧で行われる大気圧プラズマ処理であってよい。
【0056】
図4は、本実施の形態に関するプラズマ処理部34の構成の例を示す断面図である。
図4に例が示されるように、プラズマ処理部34は、絶縁体などからなる配管部301に処理液101が流れる。また、プラズマ処理部34は、配管部301の曲がり角部分の側面に接続される絶縁体などからなる配管部302と、配管部302の接続位置よりも下流の配管部301の側面に設けられ、かつ、配管部301を介して互いに対向して配置される一対の電極303と、一対の電極303に交流電圧を印加する交流電源304とを備える。
【0057】
配管部302の一端は、配管部301の曲がり角部分の側面に接続され、当該箇所において、配管部301と配管部302とは連通する。
【0058】
プラズマ処理に際しては、ガス供給源(ここでは、図示しない)から配管部302へガスが供給され、当該ガスが気泡305となって配管部301内の処理液101に供給される。さらに、気泡305が一対の電極303に挟まれる配管部301内の領域に到達すると、一対の電極303に所定の交流電圧が印加されることによって、気泡305内の気体にプラズマPLが生じる。プラズマPLの作用により気泡305内に活性種が生じる。活性種には、極性を有するイオン、または、電気的に中性であるラジカルなどが含まれる。気泡305内に生じた活性種は処理液101に供給され、活性種の作用によって処理液101が変質する。たとえば、処理液101が硫酸(H2SO4)である場合に、処理液101に活性種である酸素ラジカルが供給されると、酸素ラジカルの酸化力によって処理液101からカロ酸が生成される。
【0059】
なお、ガス供給源からは、たとえば、O2(オゾンガス)、Ne、CO2、空気、不活性ガスまたはそれらの組み合わせであるガスが供給されるものとする。不活性ガスは、たとえば、N2または希ガスである。希ガスは、たとえば、HeまたはArなどである。たとえば、供給されるガスがO2を含む場合は、プラズマ処理において酸素ラジカルを生じさせることができる。
【0060】
また、プラズマPLの作用によって処理液101中にラジカルが生成される。このラジカルの酸化力によって、処理液101の基板処理能力が高まる。たとえば、基板Wからのレジスト膜(ここでは、図示しない)の除去が促進される。
【0061】
図5は、本実施の形態に関するプラズマ処理部34Aの構成の例を示す断面図である。
【0062】
図5に例が示されるように、プラズマ処理部34Aは、樹脂などからなる配管部301Aに処理液101が流れる。また、プラズマ処理部34Aは、配管部301Aの側面に接続される絶縁体などからなる配管部302Aと、配管部302Aの側面に設けられ、かつ、配管部302Aを介して互いに対向して配置される一対の電極303と、一対の電極303に交流電圧を印加する交流電源304とを備える。
【0063】
配管部302Aの一端は、配管部301Aの曲がり角部分の側面に接続され、当該箇所において、配管部301Aと配管部302Aとは連通する。
【0064】
また、プラズマ処理部34Aは、配管部301Aと配管部302Aとが連通する箇所の配管部301A内において、多孔質材料306を備える。なお、多孔質材料306は備えられていなくてもよい。
【0065】
プラズマ処理に際しては、ガス供給源(ここでは、図示しない)から配管部302Aへガスが供給される。そして、一対の電極303に所定の交流電圧が印加されることによって、一対の電極303に挟まれる配管部302A内の空間においてプラズマPLが生じる。プラズマPLを通過するガスは、プラズマPLの作用によりその一部が活性種へと変性する。こうして生じた活性種は、配管部302Aから配管部301A内の多孔質材料306へと、ガス供給源から供給されるガスの流れに沿って移動する。
【0066】
このようにして、活性種は、配管部302A内のガスとともに多孔質材料306へ供給される。そして、多孔質材料306を通過した処理液101には、気泡307内の活性種が供給される。
【0067】
図6は、本実施の形態に関するプラズマ処理部34Bの構成の例を示す断面図である。
【0068】
図6に例が示されるように、プラズマ処理部34Bは、配管部301Aに処理液101が流れる。また、プラズマ処理部34Bは、配管部301Aの側面に接続される配管部302Aと、配管部302A内に設けられる棒状の電極303Aと、配管部302Aの側面に環状に設けられる電極303Bと、電極303Aおよび電極303Bに交流電圧を印加する交流電源304とを備える。
【0069】
プラズマ処理に際しては、ガス供給源(ここでは、図示しない)から配管部302Aへガスが供給される。そして、電極303Aと電極303Bとの間に所定の交流電圧が印加されることによって、電極303Aと電極303Bとに挟まれる配管部302A内の空間においてプラズマPLが生じる。プラズマPLを通過するガスは、プラズマPLの作用によりその一部が活性種へと変性する。こうして生じた活性種は、配管部302Aから配管部301Aへと、ガス供給源から供給されるガスの流れに沿って移動する。
【0070】
このようにして、プラズマPLにより生じた活性種は、配管部302A内のガスとともに気泡307となって処理液101に供給される。
【0071】
図7は、本実施の形態に関するプラズマ処理部34Cの構成の例を示す断面図である。
【0072】
図7に例が示されるように、プラズマ処理部34Cは、絶縁体などからなる配管部301Bに処理液101が流れる。また、プラズマ処理部34Cは、配管部301Bの側面に接続される配管部302Aと、配管部302A内に設けられる棒状の電極303Aと、配管部302Aの接続位置よりも上流の配管部301B内に挿入される電極303Cと、電極303Aおよび電極303Cに交流電圧を印加する交流電源304とを備える。
【0073】
プラズマ処理に際しては、ガス供給源(ここでは、図示しない)から配管部302Aへガスが供給される。そして、電極303Aと電極303Cとの間に所定の交流電圧が印加されることによって、主に、電極303Aと電極303Cとに挟まれる配管部301B内の領域においてプラズマPLが生じる。プラズマPLを通過するガスは、プラズマPLの作用によりその一部が活性種へと変性する。こうして生じた活性種は、配管部302Aから配管部301Bへと、ガス供給源から供給されるガスの流れに沿って移動する。
【0074】
このようにして、プラズマPLにより生じた活性種は、配管部302A内のガスとともに気泡307となって処理液101に供給される。
【0075】
<第2の実施の形態>
本実施の形態に関する基板処理装置について説明する。なお、以下の説明においては、以上に記載された実施の形態で説明された構成要素と同様の構成要素については同じ符号を付して図示し、その詳細な説明については適宜省略するものとする。
【0076】
<基板処理装置の構成について>
図8は、本実施の形態に関する基板処理装置100Aの構成の例を概略的に示す図である。
図8においては、複数の処理ユニットUTのうちの1つの処理ユニットUTに接続される、処理液の配管構造が示されている。なお、
図8においては便宜上1種類の処理液の配管構造が示されているが、複数種の処理液が用いられる場合には、それぞれの処理液に対応する配管構造が別途接続される。
【0077】
図8に示される基板処理装置100Aは、
図3に示された構成に加えて、プラズマ処理部34よりも下流でバルブ36よりも上流の配管200から分岐し、かつ、バッファータンク48に接続される分岐配管208と、分岐配管208における処理液の流路を開閉可能なバルブ46と、バルブ46よりも下流の分岐配管208に設けられ、かつ、分岐配管208に流れる処理液を貯留するバッファータンク48と、バッファータンク48よりも下流の分岐配管208に設けられ、かつ、分岐配管208を流れる処理液の温度を制御するヒーター50と、ヒーター50よりも下流の分岐配管208に設けられ、分岐配管208における処理液を流すポンプ52とを備える。
【0078】
<基板処理装置の動作について>
以下では、特に、処理液の吐出が停止されている吐出停止モードについて説明する。吐出停止モードでは、バルブ22、バルブ24、流量調整バルブ28、バルブ32、バルブ46が開いており、他のバルブは閉じている。
【0079】
吐出停止モードでは、貯留タンク14内の処理液は、ヒーター16によって加熱された後、ポンプ18によって配管200へ送られる。配管200を流れる処理液は、フィルター20において不純物が除去された後、一部がバルブ22の下流の配管200へ送られ、他の一部がバルブ24の下流の分岐配管202へ送られて貯留タンク14に戻る。
【0080】
そして、バルブ22の下流の配管200において、処理液は、流量計26で流量が測定され、流量調整バルブ28で流量が調整された後、ヒーター30によって所望の吐出温度まで加熱される。そして、当該処理液は、プラズマ処理部34においてプラズマ処理が行われた後、分岐配管208を介してバルブ46の下流へ流れる。
【0081】
バルブ46の下流においては、処理液はバッファータンク48に一旦貯留された後、ヒーター50によって温度制御され、ポンプ52から再びプラズマ処理部34よりも上流の配管200に戻る。
【0082】
このようにして、分岐配管208に流れる処理液に対して、プラズマ処理部34において繰り返しプラズマ処理が行われる。
【0083】
吐出停止モードでは、分岐配管208を含む比較的短い循環経路において処理液を循環させることによって、循環する処理液に対し比較的短い周期で繰り返しプラズマ処理を行うことができる。そのため、処理液に対して短時間で十分な回数のプラズマ処理が行われることによって、短時間で、たとえば、硫酸である処理液からカロ酸が生成される量を所望の量とすることができる。
【0084】
<第3の実施の形態>
本実施の形態に関する基板処理装置について説明する。なお、以下の説明においては、以上に記載された実施の形態で説明された構成要素と同様の構成要素については同じ符号を付して図示し、その詳細な説明については適宜省略するものとする。
【0085】
<基板処理装置の構成について>
本実施の形態では、
図3に示された構成において、プラズマ処理部がノズルの近傍に取り付けられる態様について説明する。すなわち、プラズマ処理部よりも配管200の下流に位置する分岐配管204およびバルブ36に対応する構成は、ノズル内にそれぞれ設けられる。
【0086】
図9は、本実施の形態に関するノズル38Aおよびそれに関連する構成の例を示す断面図である。
【0087】
図9に例が示されるように、ノズル38Aには、空気が流れる配管401および配管402と、処理液101が流れる配管311および配管312とが接続されている。そして、配管311の側面には、ガス供給源(ここでは、図示しない)からガスが供給される配管321が接続されている。
【0088】
ノズル38Aは、処理液101を導く流路135が形成された本体136と、流路135を開閉する弁体137と、弁体137を弁室140内でX1方向に進退させて流路135を開閉させる空圧アクチュエータ138とを備える。空圧アクチュエータ138は、バルブ36に対応する構成である。
【0089】
ここで、流路135は、配管311に延びる流路135Aと、配管312に延びる流路135Bと、弁室140の下流に延びる流路135Cとを備える。また、流路135Aと流路135Bとは、弁室140の上流において合流する。流路135Bは、分岐配管204に対応する構成である。また、流路135Cは、ノズル38Aの先端へ導かれる流路であり、ノズル38Aの下方に位置し、かつ、処理液101を吐出する吐出口148に導かれる。
【0090】
空圧アクチュエータ138は、シリンダ139と、ピストン142と、バネ143と、ロッド144とを備える。シリンダ139と弁室140とは、X1方向において並んで配置される。また、シリンダ139と弁室140との間は、隔壁141によって隔てられている。
【0091】
シリンダ139は、ピストン142によって、隔壁141側の前室と、ピストン142を挟んでX1方向の反対側の後室とに隔てられている。ピストン142は、シリンダ139の前室または後室のいずれか一方に配管401または配管402から供給される空気の空気圧が伝達されることによって、シリンダ139内を、X1方向に沿って進退する。
【0092】
バネ143は、シリンダ139の後室側において、ピストン142と本体136との間に介挿されて、ピストン142を、隔壁141側に押圧する。
【0093】
ロッド144は、基部がピストン142に連結され、先端部が、隔壁141を貫通して弁室140に突出されている。弁室140に突出されたロッド144の先端部には、弁体137が連結されている。弁体137は円板状に形成され、ロッド144の先端部に、径方向をX1方向と直交させて連結されている。弁体137は、シリンダ139内でピストン142がX1方向に沿って進退すると、ロッド144を介して、弁室140内でX1方向に沿って進退する。
【0094】
弁室140は、隔壁141と対向し、かつ、X1方向と直交する円環状の弁座面146を備え、弁座面146の中心位置に、流路135A(または流路135B)が同心状に開口されている。また、流路135Cは、弁室140の、弁体137の進退方向(X1方向)の側方に開口されている。
【0095】
シリンダ139の前室および後室のいずれにも配管401(または配管402)からの空気圧を作用させず、空圧アクチュエータ138を作動させない状態では、ピストン142がバネ143によって、シリンダ139内の前進位置、つまり、
図9に例が示されるように、隔壁141側に近接した位置に押圧される。それによって、弁室140内で弁体137が弁座面146に接触して、流路135A(または流路135B)の開口が閉鎖される。
【0096】
そのため、流路135A(または流路135B)と流路135Cとの間が閉じられて、貯留タンク14から供給される処理液101は、流路135B(分岐配管204に相当)を介してクーラー54、さらには、貯留タンク14に還流される(吐出停止モード)。
【0097】
吐出停止モードにおいて、シリンダ139の前室に空気圧を伝達して、ピストン142を、バネ143の押圧力に抗してシリンダ139の後室方向に後退させると、弁室140内で弁体137が弁座面146から離れる。それによって、流路135A(または流路135B)の開口が弁室140に解放される。
【0098】
そのため、流路135A(または流路135B)と流路135Cとが弁室140を介して繋がり、貯留タンク14から供給される処理液101は、流路135Cを介してノズル38Aの開口から吐出される(吐出モード)。
【0099】
吐出モードにおいて、シリンダ139の前室への空気圧の伝達を停止し、その代わりにシリンダ139の後室に空気圧を伝達して、ピストン142を、バネ143の押圧力にしたがってシリンダ139の前室方向(すなわち、隔壁141に近接する方向)に前進させると、弁室140内で、弁体137が弁座面146に接触する。それによって、流路135A(または流路135B)の開口が閉鎖される。
【0100】
そのため、流路135A(または流路135B)と流路135Cとの間が閉じられて、貯留タンク14から供給される処理液101は、流路135B(分岐配管204に相当)を介してクーラー54、さらには、貯留タンク14に還流される吐出停止モードに復帰する。
【0101】
なお、ノズル38A内に設けられるバルブは上記のような空気バルブに限られるものではなく、電磁バルブであってもよいし、それ以外のバルブであってもよい。
【0102】
一方で、配管321には、プラズマ処理を行うための構成として、配管321の側面に設けられ、かつ、配管321を介して互いに対向して配置される一対の電極303と、一対の電極303に交流電圧を印加する交流電源304とが取り付けられている。このように、配管321、電極303および交流電源304を備えるプラズマ処理部が、配管311の側面に取り付けられている。
【0103】
配管321の一端は、配管311の側面に接続され、当該箇所において、配管321と配管311とは連通する。また、配管321と配管311とが連通する箇所の配管311内において、多孔質材料306が設けられる。なお、多孔質材料306は備えられていなくてもよい。
【0104】
プラズマ処理に際しては、ガス供給源から配管321へガスが供給される。そして、一対の電極303に所定の交流電圧が印加されることによって、一対の電極303に挟まれる配管321内の空間においてプラズマPLが生じる。プラズマPLを通過するガスは、プラズマPLの作用によりその一部が活性種へと変性する。こうして生じた活性種は、配管321から配管311内の多孔質材料306へと、ガス供給源から供給されるガスの流れに沿って移動する。
【0105】
このようにして、プラズマPLにより生じた活性種は、配管321内のガスとともに多孔質材料306へ供給される。そして、多孔質材料306を通過した処理液101には、気泡307内の活性種が供給される。
【0106】
本実施の形態によれば、配管321、電極303および交流電源304を備えるプラズマ処理部が、ノズル38Aの近傍に取り付けられる。そのため、処理液101が流路135Bを流れて循環し、十分な回数のプラズマ処理が行われる。よって、基板処理に用いられる処理液101の処理能力がプラズマ処理によって十分に高められた状態で、処理液101をノズル38Aの吐出口148から吐出させることができる。
【0107】
それに加えて、プラズマ処理部がノズル38Aの近傍に取り付けられているため、プラズマ処理によって生じたラジカルが処理液101中に残存する間に、処理液101をノズル38Aの吐出口148から吐出することも可能となる。その場合には、ラジカルの酸化力によって、処理液101の基板処理能力が高まる。なお、OHラジカルの寿命は数百μ秒程度であり、液滴速度が数十m/sである場合、OHラジカルの活性は少なくとも10mm程度は十分に維持されるものと考えられる。
【0108】
<以上に記載された実施の形態によって生じる効果について>
次に、以上に記載された実施の形態によって生じる効果の例を示す。なお、以下の説明においては、以上に記載された実施の形態に例が示された具体的な構成に基づいて当該効果が記載されるが、同様の効果が生じる範囲で、本願明細書に例が示される他の具体的な構成と置き換えられてもよい。
【0109】
また、当該置き換えは、複数の実施の形態に跨ってなされてもよい。すなわち、異なる実施の形態において例が示されたそれぞれの構成が組み合わされて、同様の効果が生じる場合であってもよい。
【0110】
以上に記載された実施の形態によれば、基板処理装置は、タンクと、ノズル38(またはノズル38A。以下では便宜上、これらのうちのいずれか1つを対応させて記載する場合がある)と、第1の配管と、プラズマ処理部34(または、プラズマ処理部34A、プラズマ処理部34B、プラズマ処理部34C。以下では便宜上、これらのうちのいずれか1つを対応させて記載する場合がある)と、第2の配管と、制御部90とを備える。ここで、タンクは、たとえば、貯留タンク14またはバッファータンク48などに対応するものである(以下では便宜上、これらのうちのいずれか1つを対応させて記載する場合がある)。また、第1の配管は、たとえば、配管200などに対応するものである。また、第2の配管は、たとえば、分岐配管204または分岐配管208などに対応するものである(以下では便宜上、これらのうちのいずれか1つを対応させて記載する場合がある)。貯留タンク14には、処理液101が供給される。ノズル38は、貯留タンク14から供給される処理液101を、吐出口148から基板Wに吐出する。配管200は、貯留タンク14と吐出口148とに接続される。また、配管200には、処理液101が流れる。プラズマ処理部34は、配管200を流れる処理液101にガスを供給する。また、プラズマ処理部34は、供給されるガスにプラズマを生じさせるプラズマ処理を行う。分岐配管204は、プラズマ処理が行われた後の処理液101が流れる配管200から分岐する。また、分岐配管204は、貯留タンク14に接続される。制御部90は、配管200を介して吐出口148から処理液101を吐出させる吐出モードと、分岐配管204を介して処理液101を循環させ、かつ、処理液101が吐出口148から吐出することを停止させる吐出停止モードとの切り替え制御を行う。
【0111】
このような構成によれば、分岐配管204または分岐配管208を介する循環経路において処理液101を循環させる間に、処理液101に対し繰り返しプラズマ処理を行うことができる。そのため、処理液101に対して十分な回数のプラズマ処理が行われることによって、たとえば、硫酸である処理液101からカロ酸が生成される量を所望の量とすることができる。よって、基板処理に用いられる処理液101の処理能力がプラズマ処理によって十分に高められた状態で、処理液101をノズル38から吐出させることができる。
【0112】
なお、上記の構成に本願明細書に例が示された他の構成を適宜追加した場合、すなわち、上記の構成としては言及されなかった本願明細書中の他の構成が適宜追加された場合であっても、同様の効果を生じさせることができる。
【0113】
また、以上に記載された実施の形態によれば、プラズマ処理部34A、プラズマ処理部34Bおよびプラズマ処理部34Cは、処理液101に供給される前のガスにプラズマを生じさせる。このような構成によれば、処理液101に対して十分な回数のプラズマ処理が行われることによって、基板処理に用いられる処理液101の処理能力がプラズマ処理によって十分に高められた状態で、処理液101をノズル38から吐出させることができる。
【0114】
また、以上に記載された実施の形態によれば、プラズマ処理部34は、処理液101に供給されて気泡となったガスにプラズマを生じさせる。このような構成によれば、処理液101に対して十分な回数のプラズマ処理が行われることによって、基板処理に用いられる処理液101の処理能力がプラズマ処理によって十分に高められた状態で、処理液101をノズル38から吐出させることができる。
【0115】
また、以上に記載された実施の形態によれば、配管321、電極303および交流電源304を備えるプラズマ処理部は、ノズル38Aの近傍に取り付けられる。そして、第2の配管に対応する流路135Bは、ノズル38A内で第1の配管に対応する流路135Aから分岐する。このような構成によれば、プラズマ処理によって生じたラジカルが処理液101中に残存する間に、処理液101をノズル38Aの吐出口148から吐出することも可能となる。その場合には、ラジカルの酸化力によって、処理液101の基板処理能力が高まる。
【0116】
また、以上に記載された実施の形態によれば、処理液101に供給されるガスは、空気、H2、Ar、N2、HeまたはO2である。このような構成によれば、処理液101に対して十分な回数のプラズマ処理が行われることによって、基板処理に用いられる処理液101の処理能力がプラズマ処理によって十分に高められた状態で、処理液101をノズル38から吐出させることができる。
【0117】
また、以上に記載された実施の形態によれば、処理液101は、硫酸である。そして、プラズマ処理部34は、プラズマ処理を行うことによって、処理液101からカロ酸を生成させる。このような構成によれば、処理液101に対して十分な回数のプラズマ処理が行われることによって、たとえば、硫酸である処理液101からカロ酸が生成される量を所望の量とすることができる。
【0118】
<以上に記載された実施の形態の変形例について>
以上に記載された実施の形態では、それぞれの構成要素の材質、材料、寸法、形状、相対的配置関係または実施の条件などについても記載する場合があるが、これらはすべての局面においてひとつの例であって、本願明細書に記載されたものに限られることはないものとする。
【0119】
したがって、例が示されていない無数の変形例、および、均等物が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。たとえば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの実施の形態における少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態における構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
【0120】
また、以上に記載された実施の形態において、特に指定されずに材料名などが記載された場合は、矛盾が生じない限り、当該材料に他の添加物が含まれた、たとえば、合金などが含まれるものとする。
【符号の説明】
【0121】
1 基板処理システム
10 スピンチャック
10A スピンベース
10C 回転軸
10D スピンモータ
12 処理カップ
14 貯留タンク
16,30,50 ヒーター
18,52 ポンプ
20 フィルター
22,24,32,36,40,42,44,46 バルブ
26 流量計
28 流量調整バルブ
34,34A,34B,34C プラズマ処理部
38,38A ノズル
48 バッファータンク
54,63 クーラー
80 チャンバ
90 制御部
91 CPU
92 ROM
93 RAM
94 記憶装置
94P 処理プログラム
95 バスライン
96 入力部
97 表示部
98 通信部
100,100A 基板処理装置
101 処理液
135,135A,135B,135C 流路
136 本体
137 弁体
138 空圧アクチュエータ
139 シリンダ
140 弁室
141 隔壁
142 ピストン
143 バネ
144 ロッド
146 弁座面
148 吐出口
200,311,312,321,401,402 配管
202,204,208 分岐配管
206 吸引配管
301,301A,301B,302,302A 配管部
303,303A,303B,303C 電極
304 交流電源
305,307 気泡
306 多孔質材料