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特許7353230インクジェットプリンタによって印刷された基材のカールを減衰させるためのシステム及びデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-21
(45)【発行日】2023-09-29
(54)【発明の名称】インクジェットプリンタによって印刷された基材のカールを減衰させるためのシステム及びデバイス
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20230922BHJP
   B65H 29/70 20060101ALI20230922BHJP
   B05C 1/02 20060101ALN20230922BHJP
   B05C 9/10 20060101ALN20230922BHJP
   B05C 9/12 20060101ALN20230922BHJP
   B05C 13/00 20060101ALN20230922BHJP
   B05C 5/00 20060101ALN20230922BHJP
   B05C 11/10 20060101ALN20230922BHJP
【FI】
B41J2/01 123
B41J2/01 451
B41J2/01 401
B41J2/01 125
B41J2/01 305
B65H29/70
B05C1/02 102
B05C9/10
B05C9/12
B05C13/00
B05C5/00 101
B05C11/10
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2020072809
(22)【出願日】2020-04-15
(65)【公開番号】P2020183114
(43)【公開日】2020-11-12
【審査請求日】2023-04-17
(31)【優先権主張番号】16/406,520
(32)【優先日】2019-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】チュ-ヘン・リウ
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス・ケイ・ハーマン
(72)【発明者】
【氏名】シーミット・プラハラジ
(72)【発明者】
【氏名】ポール・ジェイ・マコンヴィル
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン・エム・ルフェーブル
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-212675(JP,A)
【文献】特開2013-75515(JP,A)
【文献】特開平10-272828(JP,A)
【文献】特開平10-151733(JP,A)
【文献】特開2014-234258(JP,A)
【文献】特開2008-238692(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0127228(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0011337(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
B65H 29/54-29/70
B05C 1/00-21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性インクプリンタであって、
水性インクの液滴を吐出するように構成された少なくとも1つのプリントヘッドと、
基材を前記少なくとも1つのプリントヘッドを通過させて、前記少なくとも1つのプリントヘッドが前記水性インクの液滴を前記基材上に吐出して水性インク画像を前記基材上に形成できるように構成された基材搬送システムと、
前記少なくとも1つのプリントヘッドが前記基材上に水性インク画像を形成する面の反対側の前記基材の面にカール防止液を塗布するように構成されたカール防止液アプリケータと、
クロスプロセス方向に配設された複数の電気的に絶縁されたセグメントを有する加圧部材であって、前記カール防止液アプリケータとニップを形成するように位置決めされている、加圧部材と、
電気エネルギーを前記加圧部材の前記セグメントに独立してかつ選択的に印加するように構成されたスイッチングネットワークと、を備える、水性インクプリンタ。
【請求項2】
前記加圧部材が、細長いエラストマー平面部材である、請求項1に記載の水性インクプリンタ。
【請求項3】
前記加圧部材が、ローラである、請求項1に記載の水性インクプリンタ。
【請求項4】
前記スイッチングネットワークが、前記加圧部材の前記セグメントにDC電気エネルギーを独立してかつ選択的に印加するように更に構成されている、請求項1に記載の水性インクプリンタ。
【請求項5】
前記スイッチングネットワークが、前記DC電気エネルギーを独立してかつ選択的に印加して、前記加圧部材の前記セグメントを電気的に正にバイアスするように更に構成されている、請求項4に記載の水性インクプリンタ。
【請求項6】
前記スイッチングネットワークが、前記DC電気エネルギーを独立してかつ選択的に印加して、前記加圧部材の前記セグメントを電気的に負にバイアスするように更に構成されている、請求項4に記載の水性インクプリンタ。
【請求項7】
前記スイッチングネットワークが、AC電気エネルギーを独立してかつ選択的に印加して、前記加圧部材の前記セグメントを電気的にバイアスするように更に構成されている、請求項1に記載の水性インクプリンタ。
【請求項8】
前記カール防止液アプリケータが、
カール防止液を保持するように構成されたリザーバと、
アニロックスローラであって、前記アニロックスローラの一部分が前記リザーバ内の前記カール防止液中で回転し、前記アニロックスローラの別の部分が、前記セグメントを有する前記ローラと前記ニップを形成するように位置決めされている、アニロックスローラと、を更に備える、請求項に記載の水性インクプリンタ。
【請求項9】
前記カール防止液アプリケータが、
前記リザーバからカール防止液を受け取る前記アニロックスローラの前記一部分が前記加圧部材に係合する前に、前記アニロックスローラから余分なカール防止液を除去するように構成された調量ローラを更に備える、請求項8に記載の水性インクプリンタ。
【請求項10】
前記少なくとも1つのプリントヘッド及び前記スイッチングネットワークに動作可能に接続されたコントローラであって、前記少なくとも1つのプリントヘッドが、前記加圧部材と前記カール防止液アプリケータとの間の前記ニップ内にある、カールを生成するのに十分なインク塗布量を生成する前記基材の領域に対応する、前記加圧部材の前記セグメントを電気的にバイアスするように前記スイッチングネットワークを動作させるように構成されている、コントローラを更に備える、請求項1に記載の水性インクプリンタ。
【請求項11】
前記コントローラが、プロセス方向において1インチ当たり約5.0液滴~約25.0液滴の範囲に対応する速度で前記スイッチングネットワークを動作させる、請求項10に記載の水性インクプリンタ。
【請求項12】
前記コントローラが、
基材上に形成される画像のデータをレンダリングし、前記画像のハーフトーンデータを生成することと、
前記スイッチングネットワークを動作させるためのバイナリ画像を生成することと、を行うように更に構成されている、請求項10に記載の水性インクプリンタ。
【請求項13】
前記コントローラが、
前記基材上のインク画像の領域に噴射されるインク液滴の総数を特定することと、
前記領域の前記インク液滴の総数を、所定のベタ領域インク塗布量閾値と比較することと、
前記スイッチングネットワークのスイッチが前記セグメントのうちの1つを電圧源に接続するように動作されることを示すバイナリ値を、前記領域に対応する位置の前記バイナリ画像に保存することと、を行うように更に構成されている、請求項12に記載の水性インクプリンタ。
【請求項14】
記ローラの前記セグメントの各々が、クロスプロセス方向に約1.0~約5.0mmの範囲の幅を有する、請求項に記載の水性インクプリンタ。
【請求項15】
前記少なくとも1つのプリントヘッドが、前記基材が前記加圧部材と前記カール防止アプリケータとの間の前記ニップに入る前に前記基材上にインク画像を形成するように位置決めされている、請求項1に記載の水性インクプリンタ。
【請求項16】
前記少なくとも1つのプリントヘッドが、前記基材が前記加圧部材と前記カール防止アプリケータとの間の前記ニップに入った後に前記基材上にインク画像を形成するように位置決めされている、請求項1に記載の水性インクプリンタ。
【請求項17】
乾燥器と、
前記カール防止液アプリケータが、前記基材が前記加圧部材と前記アニロックスローラとの間の前記ニップに入ると、前記乾燥したインク画像にカール防止液を適用するように、前記基材が前記乾燥器で処理された後に前記基材を逆方向に動かすように構成されたデバイスと、を更に備える、請求項に記載の水性インクプリンタ。
【請求項18】
カール防止液アプリケータであって、
加圧部材であって、前記加圧部材の長手軸に沿ってクロスプロセス方向に配設された複数の電気的に絶縁されたセグメントを有する、加圧部材と、
カール防止液を保持するように構成されたリザーバと、
アニロックスローラであって、前記アニロックスローラの一部分が前記リザーバ内の前記カール防止液中で回転し、前記アニロックスローラの別の部分が、前記電気的に絶縁されたセグメントを有する前記加圧部材とニップを形成するように位置決めされた、アニロックスローラと、
電気エネルギーを前記加圧部材の前記電気的に絶縁されたセグメントに独立してかつ選択的に印加するように構成されたスイッチングネットワークと、を備える、カール防止液アプリケータ。
【請求項19】
前記加圧部材が、細長いエラストマー平面部材である、請求項18に記載のカール防止液アプリケータ。
【請求項20】
前記加圧部材がローラである、請求項19に記載のカール防止液アプリケータ。
【請求項21】
前記リザーバからカール防止液を受け取る前記アニロックスローラの前記一部分が前記加圧部材に係合する前に、前記アニロックスローラから余分なカール防止液を除去するように構成された調量ローラを更に備える、請求項18に記載のカール防止液アプリケータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般にインクジェット印刷システムに関し、より具体的には、そのようなプリンタによって印刷された基材に生じるカールに対処することに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット印刷システムは、インクの液滴で基材上に画像を形成する。画像が基材に直接印刷されるか、中間転写部材の周りに構成されたブランケットから転写されるかに関わらず、画像が基材上にあると、インク中の水及び他の溶媒が、基材に吸収され始める。最終的に、画像を乾燥させることにより、水及び他の溶媒が表面から除去される。紙基材などの繊維基材の製造中、基材はストレッチされ、その後乾燥される。伸長ストレッチは、乾燥により基材に固定される。印刷中に基材が再び濡れると、伸長ストレッチが解除される。基材のその後の乾燥により、基材が印刷前の寸法から収縮する可能性がある。これらの問題は、水性インクで画像を形成するプリンタで特に顕著である。これらのインクに含まれる水は、伸長ストレスを解放する。印刷後に基材が乾燥した後でも、保湿剤といくらかの水分が基材に残っており、基材の印刷後も数日間基材を収縮させ続ける可能性がある。実質的に全ての水分と保湿剤が最終的に基材からなくなるが、この乾燥レベルに達する前に生じる収縮により、基材がカールする可能性がある。場合によっては、カールの大きさが大きくかつ持続する場合がある。カールした基材が出力トレイを満たすと、この不均一性がトレイに印刷された基材を積み重ねる問題を引き起こす可能性があり、基材の表面の不均一性の程度は、ユーザにとって印刷されたシートの望ましさに影響を与える可能性がある。インクジェット印刷及び乾燥後、基材の元のサイズ及び平坦度を維持できることが有益である。
【発明の概要】
【0003】
新しい印刷システムには、基材を処理して、インクジェット印刷と乾燥によって引き起こされる基材のカールを減らすカール防止液アプリケータが含まれる。システムは、水性インクの液滴を吐出するように構成された少なくとも1つのプリントヘッドと、基材を少なくとも1つのプリントヘッドを通過させて少なくとも1つのプリントヘッドが水性インクの液滴を基材上に吐出して水性インク画像を基材上に形成できるように構成された基材搬送システムと、少なくとも1つのプリントヘッドが基材上に水性インク画像を形成する面の反対側の基材の面にカール防止液を塗布するように構成されたカール防止液アプリケータと、クロスプロセス方向に配設された複数の電気的に絶縁されたセグメントを有する加圧部材であって、カール防止液アプリケータとニップを形成するように位置決めされている、加圧部材と、電気エネルギーを加圧部材のセグメントに独立してかつ選択的に印加するように構成されたスイッチングネットワークと、を備える。
【0004】
プリンタの基材を処理して、インクジェット印刷及び乾燥によって引き起こされる基材のカールを低減する新しいカール防止液アプリケータ。本方法は、クロスプロセス方向に加圧部材の縦長手方向軸に沿って配設された複数の電気的に絶縁されたセグメントを有する加圧部材と、カール防止液を保持するように構成されたリザーバと、アニロックスローラであって、アニロックスローラの一部分がリザーバ内のカール防止液中で回転するように位置決めされ、アニロックスローラの別の部分が、電気的に絶縁されたセグメントを有する加圧ローラとニップを形成する、アニロックスローラと、加圧部材の電気的に絶縁されたセグメントに電気エネルギーを独立してかつ選択的に印加するように構成されたスイッチングネットワークと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0005】
プリンタ内の基材のカールを低減する基材処理システムの前述の態様及び他の特徴は、添付図面に関連して以下の説明で説明される。
【0006】
図1】かなりの追加の複雑さ又は乾燥温度の著しい上昇なしに水性インク画像の効率的な乾燥を可能にする水性インク印刷システムのブロック図である。
図2図1の印刷システムと同様に使用されるセグメント化された加圧ローラの図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本実施形態の一般的な理解のために、図面を参照する。図面中、同様の参照番号は、同様の要素を指定するために全体にわたって使用されている。
【0008】
図1は、プリンタ10によって印刷された基材に誘導されるカールを減衰させるカール防止液アプリケータ24を備えて構成された高速水性インク印刷システム又はプリンタ10を示している。図示のように、プリンタ10は、搬送システム14によってプリンタ10を通って搬送される基材Sの表面にインク画像を直接形成する。搬送システム14は、一対のローラ44Aに巻き付けられたエンドレスベルト48A(その一方が図に示されている)と、一対のローラ44Bに巻き付けられた別のエンドレスベルト48Bとを含む。コントローラ80は、ローラ44Aの少なくとも1つに動作可能に接続されたアクチュエータ40の1つを動作させて、エンドレスベルト48Aをローラの周りで回転させて、カール防止液アプリケータ24内のニップに基材を移動させる。プリントヘッドモジュール34A、34B、34C、及び34Dは、別の対のローラ44B及び別のエンドレスベルト48Bに対向して位置決めされ、基材をカール防止液アプリケータ24からプリントヘッドモジュールに対向するプリントゾーンに搬送する。別の実施形態では、基材Sがプリントヘッドモジュールによって印刷された後、カール防止液アプリケータ24が搬送システム14のエンドレスベルトの間に位置決めされる。すなわち、基材Sは、プリントヘッドモジュールによって印刷される前又は後にカール防止液アプリケータ24によって処理することができる。
【0009】
コントローラ80は、基材上に形成される画像のデータを受け取り、そのデータをハーフトーンデータに変換して、既知の様態で各プリントヘッドモジュール内のプリントヘッド又は複数のプリントヘッドを動作させる。基材がプリントヘッドモジュールを通過して基材上にインク画像を形成するとき、プリントヘッドのイジェクタは基材S上にインク液滴を排出する。一実施形態では、各印刷ヘッドモジュールは、印刷機によって印刷され得るクロスプロセス方向において、最も広い媒体の幅に対応する幅を有する1つの印刷ヘッドのみを有する。他の実施形態では、印刷ヘッドモジュールは、複数の印刷ヘッドを有し、各印刷ヘッドが、印刷機が印刷できるクロスプロセス方向において、最も広い媒体の幅未満の幅を有する。これらのモジュールでは、印刷ヘッドは、単一の印刷ヘッドよりも広い媒体が印刷されることを可能にする千鳥状の印刷ヘッドのアレイ内に配置される。付加的に、印刷ヘッドはまた、印刷ヘッドによってクロスプロセス方向に噴射された液滴の密度が、クロスプロセス方向において、印刷ヘッド内のインクジェット間の最小の間隔よりも大きくなり得るように組み合わせることができる。プリンタ10はまた、ウェブがウェブ上に画像を印刷するために印刷ヘッドを通過して移動することができるように、輸送システム14ではなく移動ウェブを有するプリンタであってもよい。この文書で使用される「プロセス方向」という用語は、プリンタ10を通る基材の移動方向を指し、「クロスプロセス方向」という用語は、基材の平面内でプロセス方向に垂直な方向を指す。
【0010】
水性インク送達サブシステム20は、各プリントヘッドモジュールに1色の水性インクを含有する少なくとも1つのインクリザーバを有する。図示されたプリンタ10は多色画像生成機であるため、インク送達システム20は、4つの異なる色CYMK(シアン、イエロー、マゼンタ、ブラック)の水性インクを表す4つのインクリザーバを含む。各インクリザーバは、モジュール内の印刷ヘッドにインクを供給するように、印刷ヘッド又は印刷ヘッドモジュール内の複数の印刷ヘッドに接続されている。送達システム20の圧力源及び通気口も、インクリザーバとプリントヘッドモジュール内のプリントヘッドとの間に動作可能に接続され、マニホールド及びインクジェットパージを実施する。更に、図1には示されていないが、プリントヘッドモジュール内の各プリントヘッドは、マニホールド及びインクジェットパージ動作中にパージされたインクの収集を可能にするバルブを備えた対応する廃インクタンクに接続される。プリントヘッドモジュール34A~34Dは、コントローラ80による1つ以上のプリントヘッドの動作のための関連する電子機器を含むことができるが、これらの接続は図を簡略化するために示されていない。印刷機10は、4つの印刷ヘッドモジュール34A~34Dを含み、各々が2つのアレイの印刷ヘッドを有するが、代替的な構成は、モジュール内に異なる数の印刷ヘッドモジュール又はアレイを含む。コントローラ80はまた、カール防止液アプリケータ24を動作させて、印刷の前又は後に基材を処理し、印刷のみにより基材に誘導されるカールを減衰させる。
【0011】
機械又はプリンタ10の様々なサブシステム、構成要素及び機能の動作及び制御は、コントローラ又は電子サブシステム(electronic subsystem、ESS)80の助けを借りて実施される。ESS又はコントローラ80は、インク送達システム20の構成要素、カール防止液アプリケータ24、プリントヘッドモジュール34A~34D(したがってプリントヘッド)、及びアクチュエータ40に動作可能に接続されている。ESS又はコントローラ80は、例えば、電子データ記憶装置を備えた中央処理装置(central processor unit、CPU)、及びディスプレイ又はユーザインターフェース(user interface、UI)50を有する内蔵型の専用ミニコンピューターである。ESS又はコントローラ80は、例えば、センサ入力及び制御回路、並びに画素配置及び制御回路を含む。加えて、CPUは、走査システム又はオンライン又はワークステーション接続などの画像入力源と、印刷ヘッドモジュール34A~34Dとの間の画像データの流れを読み出し、捕捉し、準備し、管理する。したがって、ESS又はコントローラ80は、印刷プロセスを含む他の全ての機械サブシステム及び機能を操作及び制御するための主要なマルチタスクプロセッサである。
【0012】
コントローラ80は、プログラムされた命令を実行する汎用又は専用のプログラマブルプロセッサで実装することができる。プログラムされた機能を実行するために必要とされる命令及びデータは、プロセッサ又はコントローラに関連付けられたメモリ内に記憶され得る。プロセッサ、それらのメモリ、及びインターフェース回路は、以下に説明される動作を実行するようにコントローラを構成する。これらの構成要素は、プリント回路カード上に提供されてもよく、又は特定用途向け集積回路(ASIC)内の回路として提供されることもある。各々の回路は、別個のプロセッサで実装することができ、又は複数の回路が、同じプロセッサ上に実装されることもある。代替的に、回路は、超大規模集積回路(VLSI)内で提供される個別の構成要素又は回路で実装することができる。また、本明細書に記載される回路は、プロセッサ、ASIC、別個の構成要素、又はVLSI回路の組み合わせで実装することができる。
【0013】
動作中、生成されるインク画像の画像データは、プリントヘッドモジュール34A~34Dに出力されるプリントヘッド制御信号及びカール防止液アプリケータ24を作動させて、カール防止材料を基材Sに適用する信号のレンダリング及び生成のために、走査システム又はオンライン又はワークステーション接続のいずれかからコントローラ80に送信される。付加的に、コントローラ80は、例えば、ユーザインターフェース50を介したオペレータ入力から関連サブシステム及びコンポーネント制御を決定及び受け入れ、それに応じてそのような制御を実行する。結果として、適切な色のための水性インクが、印刷ヘッドモジュール34A~34Dに送達される。
【0014】
カール防止液アプリケータ24は、カール防止液を含有するリザーバ64内に位置するアニロックスローラ60を含む。この文書で使用されている「アニロックスローラ」とは、通常セルと呼ばれる数百万個のディンプルを含む表面を有する工業用セラミック材料でコーティングされた、鋼又はアルミニウムから構築される硬質材料のコアを有するシリンダーを意味する。調量ローラ68は、アニロックスローラ60に隣接して位置決めされて、アニロックスローラに押し付けられて、ローラから余分なインクを除去し、それをリザーバに戻す。加圧部材72は、アニロックスローラ60とは反対の搬送経路側に位置決めされ、アニロックスローラとニップを形成し、カール防止液の適用のために基材Sが通過する。加圧部材72は、加圧部材72を電気的に付勢するために電圧源76に電気的に接続されている。電圧源は、電気接地と正電圧又は負電圧との間で交番するDC電圧源とすることができる。アニロックスロールはアースに接続されているため、加圧部材とアニロックスローラ間の電界をプロセス方向とプロセス間方向の両方で変調して、ニップ内のセル内のカール防止液のピックアップに電力を供給することができる。代替的に、電圧源76は、AC電源であってもよい。図1に示すように、加圧部材72はローラであるが、他の実施形態では、ブレード部材などの細長いエラストマー平面部材が加圧ローラの代わりに使用され、それはまた、ローラについて以下に説明するクロスプロセス方向のその長さにわたって電気的に絶縁されたセグメントを含む。
【0015】
図2に示すように、加圧部材72は、互いに電気的に絶縁された同心状セグメント80~80で構成されており、そのため、セグメントは独立して電圧源76に接続され得る。ローラ72の内部容積内で、各セグメントは、電極に電気的に接続され、各電極はスイッチングネットワーク84を介して電圧源76に独立して接続されている。コントローラ80は、スイッチングネットワーク84に動作可能に接続され、ネットワーク84内のスイッチを独立して動作させて、電極を選択的に電圧源76に接続し、互いに独立してセグメントを電気的にバイアスするように構成される。セグメントの幅は、カール防止液がセグメントの反対側の基材の部分のカールに対抗するために、クロスプロセス方向に適切な空間解像度を提供する。プロセス方向の解像度は、アニロックスローラと基材間のニップ幅と、電気バイアスのスイッチング周波数によって制御される。実際の設計では、プロセス方向及びクロスプロセス方向の両方の解像度は、適切なカール防止液の適用に十分な高さに設定されている。典型的には、セグメントは、クロスプロセス方向において数ミリメートル幅である。様々な実施形態において、セグメントの幅は、約1.0mm~約5.0mmの範囲であり、1つの特定の実施形態では、セグメントは、幅2.0mmである。コントローラは、ニップ内の基材Sの一部分に接触する加圧ローラ72の部分が、ローラセグメントの幅及びほぼ同じ距離の長さの領域に電気的にバイアスをかけることを可能にする速度でスイッチングネットワーク84を動作させることができる。一実施形態において、コントローラは、基材がおよそ847mm/秒の速度で移動する状態で、プロセス方向に1200ドット/インチ(dpi)を生成するために40kHzの速度でイジェクタを動作させる。333Hz(40kHz/120)の速度でネットワーク84を切り替えることにより、カール防止流体液送達システムの解像度は、プロセス方向で約10dpiであり、これは約2.54mm(2.54cm/100)に対応する。したがって、通電されたセグメントは、約2.54mm×2.0mmである基材の面積に影響を及ぼす。基材速度及び現在のプリンタの排出速度の場合、コントローラは、スイッチングネットワークを動作させて、プロセス方向において約5.0~約25.0ドットの範囲の適用されたカール防止液の解像度を生成する。コントローラは、印刷ヘッド内のイジェクタを動作させるために使用される画像データを参照して、セグメントを電気的に付勢するセグメントを特定する。具体的には、コントローラは、基材にカールを生成させるのに十分なインク塗布量を有するか、又は有するであろう基材の領域の反対側にある基材の領域に接触しているローラセグメントのスイッチを動作させる。
【0016】
セグメントの電気的バイアスは、セグメントの周囲の電界を発生させる。基材Sを通って切断された電界の線は、カール防止液を、アニロックスローラ60に接触する基材の面に向かって引く。この引力は、カール防止液がアニロックスローラから基材に移動して、加圧ローラ72の帯電セグメントとアニロックスローラ60との間のニップ内の基材Sの一部分をより効果的に濡らすのに役立つ。非荷電セグメントとアニロックスローラとの間のニップにおける基材Sの部分は、カール防止液を最小限に受け取るか、又は全く受け取らない。スイッチングネットワーク84を制御するために使用される画像を生成するために、コントローラは、印刷される画像内の各色分離のためのハーフトーン画像を生成する。上記の333Hzなどのスイッチングネットワーク周波数でのプロセス画像内の画像の解像度に対応する画像の各部分について、画像のその部分に放出される液滴の数が合計され、所定のインク塗布量閾値と比較される。数が所定のインク塗布量閾値以上である場合、対応するセグメントを電気的にバイアスすることに対応するバイナリ値がスイッチングネットワーク画像に載置される。そうでなければ、他のバイナリ値は、その画像内に記憶される。この文書で使用される「カールを生成するのに十分なインクを有する画像の部分」とは、所定のインク塗布量閾値を超えるインク液滴の合計を有する領域を意味する。所定のインク閾値は経験的に決定され、基材のタイプ、インクの種類、及び関連するパラメータに依存する。次いで、この二値画像は、基材が加圧部材72とアニロックスローラ60との間のニップを通過する際に、セグメントを電気的にバイアスするために使用される。
【0017】
両面印刷の場合、印刷された基材は、プリントヘッドモジュールを通過し、印刷された画像は、乾燥器88によって照射され、基材上のインクから水やその他の溶剤が除去される。本明細書で使用するとき、「乾燥器」という用語は、基材から流体を除去するために、基材にエネルギーを印加するように構成された任意のデバイスを意味する。このような乾燥器は既知であり、対流式ヒータ、マイクロ波放射器、赤外線放射器などで実装することができる。次いで、逆向き輸送経路又は回転バーなどの既知の方法で基材を回転させ、無端ベルト48Aに戻す。ここで、基材上の乾燥画像は、加圧部材72とアニロックスローラとの間のニップに入るとき、アニロックスローラ60に面する。乾燥画像へのカール防止液の適用は、乾燥画像の画質に悪影響を及ぼさない。二重画像はその後、プリンタから出るか、又は更なる処理のために他の構成要素に移動することができる。
【0018】
上記で開示された装置及び他の特徴、機能、又はそれらの代替物の変形は、多くの他の異なるシステム又は用途に望ましく組み合わせられ得ることが理解されるであろう。様々な現在予見できない又は予期しない代替、修正、変形、又は改良が当業者によって後に行われる可能性があり、これらもまた添付の特許請求の範囲に含まれることが意図されている。
図1
図2