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特許7353283安定化ブレース付き電気流体フローヒーター
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-21
(45)【発行日】2023-09-29
(54)【発明の名称】安定化ブレース付き電気流体フローヒーター
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/44 20060101AFI20230922BHJP
【FI】
H05B3/44
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020531077
(86)(22)【出願日】2018-12-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-18
(86)【国際出願番号】 EP2018083967
(87)【国際公開番号】W WO2019110799
(87)【国際公開日】2019-06-13
【審査請求日】2021-10-08
(31)【優先権主張番号】17206200.2
(32)【優先日】2017-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521437688
【氏名又は名称】カンタール ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シャッツ, ステファン
(72)【発明者】
【氏名】マン, マルクス
【審査官】高橋 武大
(56)【参考文献】
【文献】特開昭54-021642(JP,A)
【文献】特開2003-148806(JP,A)
【文献】特開平07-320850(JP,A)
【文献】西独国特許出願公開第01615278(DE,A1)
【文献】特開平08-338587(JP,A)
【文献】米国特許第02619579(US,A)
【文献】米国特許第01727584(US,A)
【文献】特開2013-125663(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1296047(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/02-3/18、3/40-3/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の流れを加熱するための電気ヒーター(1)であって、
第1の長手方向端部(7a)及び第2の長手方向端部(7b)を有する軸方向に細長いジャケットブロック(7)を画定する少なくとも1つの軸方向に細長いジャケット要素(6)と、
前記ジャケットブロック(7)内を通って延び、それぞれの前記第1の長手方向端部(7a)及び第2の長手方向端部(7b)で開いている複数の長手方向ボア又はチャネル(8)と、
前記長手方向ボア又はチャネル(8)を通って軸方向に延びる少なくとも1つの加熱要素(11)であって、前記ジャケットブロック(7)と共に加熱アセンブリ(5)を形成する、少なくとも1つの加熱要素(11)と、
前記加熱アセンブリ(5)を少なくとも部分的に取り囲むように配置されたケーシング(2)と、
を備え、
前記ケーシング(2)に対して、前記ジャケットブロック(7)の軸方向及び/又は横方向の動きを抑制するため、前記ジャケットブロック(7)に接触するように前記ケーシング(2)に接続される又は前記ケーシング(2)から突出する少なくとも1つのブレース(12)が設けられ、
前記ケーシング(2)が、前記加熱アセンブリ(5)を取り囲む外側シース(3)を備え、
前記少なくとも1つのブレース(12)が、前記外側シース(3)と前記ジャケットブロック(7)との間で半径方向に延在し、
前記ブレース(12)は、前記長手方向ボア又はチャネル(8)の間の領域でジャケットブロック(7)内を通って延びる複数のロッド(18)を備える、
電気ヒーター(1)。
【請求項2】
前記ケーシングはさらに、前記外側シース(3)から前記ジャケットブロック(7)に向かって半径方向に延びる少なくとも1つのスペーサ(9a、9b)を備え、前記ブレース(12)は、前記ジャケットブロック(7)に接触するように、前記スペーサ(9a、9b)に取り付けられるか、前記スペーサ(9a、9b)から延びている、請求項1に記載の電気ヒーター。
【請求項3】
前記ブレース(12)は、前記スペーサ(9a、9b)の半径方向内側領域に、又は半径方向内側領域に向って配置されたショルダーブロック(15)を備える、請求項に記載の電気ヒーター。
【請求項4】
前記ブレース(12)は、前記ジャケットブロック(7)の対向する側面に配置された少なくとも1つのショルダーブロック(15)のペアを備え、前記ロッド(18)は、前記ジャケットブロック(7)を通って延びるように、前記ショルダーブロック(15)に取り付けられ、前記ショルダーブロック(15)間に延びる、請求項3に記載の電気ヒーター。
【請求項5】
前記ジャケットブロック(7)の側面に配置されたショルダーブロック(15)の少なくとも第1のペアと、
前記ショルダーブロック(15)間の前記ジャケットブロック(7)を通って横切って延びる前記ロッド(18)の第1の組と、前記ロッド(18)の第1の組に対して垂直に前記ジャケットブロック(7)を通って延びる前記ロッド(18)の第2の組と、
を備える請求項4に記載の電気ヒーター。
【請求項6】
ショルダーブロック(15)の第1のペアと、前記ジャケットブロック(7)を通って延びる前記ロッド(18)の第1の組と、
前記ショルダーブロック(15)の第2のペアと、前記ジャケットブロック(7)を通って延びる前記ロッド(18)の第2の組とを備え、
前記ショルダーブロック(15)の第2のペアは、前記第1のペアに対して、前記ジャケットブロック(7)の異なる側面に配置され、前記ロッド(18)の第2の組は、前記ロッド(18)の第1の組に対して概ね垂直に伸びる、請求項4に記載の電気ヒーター。
【請求項7】
前記ショルダーブロック(15)の第1のペアと前記ショルダーブロック(15)の第2のペアは、前記長手方向端部(7a、7b)の間の前記ジャケットブロック(7)の長さに沿った、異なる領域に配置される、請求項6に記載の電気ヒーター。
【請求項8】
前記ジャケットブロック(7)は、前記ロッド(18)を受け入れるために、前記長手方向ボア又はチャネル(8)に対して概ね垂直に延在する複数のチャネル(19)を備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の電気ヒーター。
【請求項9】
一体化された本体として共に組み立てられた複数のジャケット要素(6)を備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の電気ヒーター。
【請求項10】
前記ジャケット要素(6)の各々が、前記ジャケット要素の外面に窪んだ少なくとも第1の溝(19a)及び第2の溝(19b)を備え、隣接又は近接したジャケット要素(6)の前記第1の溝(19a)及び前記第2の溝(19b)が整列して、それぞれのチャネル(19)のうちの1つを画定し、それぞれのロッド(18)のうちの1つを受容する、請求項8に従属する、請求項9に記載の電気ヒーター。
【請求項11】
前記ジャケット要素(6)の各々が、少なくとも1つの外面の第1の領域に突出部(6g)を、少なくとも1つの外面の第2の領域に溝(6f)を備え、前記ジャケット要素(6)のうちの1つの前記突出部(6g)は、近接するジャケット要素(6)の前記溝(6f)内に少なくとも部分的に位置し、前記ジャケット要素(6)を少なくとも部分的にインターロックするように構成される、請求項10に記載の電気ヒーター。
【請求項12】
前記ジャケット要素(6)の各々が、多角形または長方形の外側断面輪郭を含む、請求項9から11のいずれか一項に記載の電気ヒーター。
【請求項13】
前記突出部(6g)及び前記溝(6f)は、それぞれのジャケット要素(6)の異なる側面(6b、6c)に設けられる、請求項11に従属する、請求項12に記載の電気ヒーター。
【請求項14】
前記スペーサ(9a、9b)の各々が、前記ジャケットブロック(7)の一部が伸びて通過する、中央開口(10)を有する部分的な円板形状部材を備える、請求項2、又は、請求項2に従属する請求項から13のいずれか一項に記載の電気ヒーター。
【請求項15】
前記ケーシング(2)は、前記加熱アセンブリ(5)を取り囲む概して円筒形の外側シース(3)を備える、請求項14に記載の電気ヒーター。
【請求項16】
前記スペーサ(9a、9b)は、前記外側シース(3)の半径方向内側表面(3b)に取り付けられている、請求項15に記載の電気ヒーター。
【請求項17】
前記細長いジャケットブロック(7)を画定するため互いに接触して組み立てられた複数のジャケット要素(6)を含み、前記複数の長手方向ボア又はチャネル(8)はそれぞれ前記ジャケット要素(6)の各々を通って延び、
前記ブレースは、前記ジャケットブロック(7)の対向する側面に配置された少なくとも1つのショルダーブロック(15)のペアを含み、前記ジャケットブロック(7)を通って延びるように、複数のロッド(18)が前記ショルダーブロック(15)に取り付けられて前記ショルダーブロック(15)間に延びる、
請求項1に記載の電気ヒーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の流れを加熱するための電気ヒーターに関し、特に限定するものではないが、加熱要素から流体に熱エネルギーを伝導するように構成された加熱アセンブリの横方向及び/又は軸方向の移動を抑制するための少なくとも1つのブレースを有する電気ヒーターに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスを高温に加熱するための電気ヒーターは、典型的には、ガスの貫流(through-flow)に適合したチューブと、チューブ内に配置され、チューブの第1の開放端部に流入し、ワイヤを通過し、次いで、第2の開放端部を介してチューブから流出する際に、ガスに熱を伝導する電気加熱要素とを含む。
【0003】
従来、比較的細いワイヤは、ガスがチューブを流れる際にワイヤに電流を流すことによって加熱効果が達成されるように、チューブ内で螺旋状に巻かれている。したがって、(電熱線を介して)電気エネルギーの熱への変換の有効性は、例えば、印加される利用可能な電圧及びワイヤの抵抗に依存する。したがって、電気ヒーターの有効性は、部分的に、ワイヤによって達成可能な最高温度、流動抵抗及び熱交換に利用可能な表面積に依存する。典型的には、従来の電気プロセスヒーターで達成されうる最大ガス温度は、700~900℃のオーダー又は700~900℃の近傍になりうる。しかしながら、温度が高くなるほどワイヤの破壊や破損の傾向が大きくなる。
【0004】
つい最近、EP2926623において、加熱ロッドと該加熱ロッドが延びる管状ボアとの間に規定の断面比を有する加熱ロッドによって、電気ヒーターが置き換えられることが開示された。単一の加熱要素は、複数の曲がった(又はループ状の)端部を介して、(細長い管状要素内に形成される)複数のボアを通って延びる。1200℃までのガス加熱温度が開示されている。
【0005】
電熱線及びジャケットブロックは、典型的には、ケーシングによって少なくとも部分的に封入されるか、または取り囲まれる加熱アセンブリとして定義されうる。ガスが加圧下で加熱アセンブリに押し込まれ、(加熱要素と、ボアを画定する内面との間の)非常に狭い間隙を通って流れることが要求されるため、加熱アセンブリ全体が、アセンブリの「低温」端部と「高温」端部との間の圧力降下によって、シフト及び/又は偏向することがしばしば観察される。この現象は、重力がアセンブリ上の応力及び物理的要求にさらに寄与するように、加熱アセンブリが垂直に配向されている場合には、さらに顕著である。加熱要素に対する加熱ブロックの軸方向及び/又は横方向の偏向は、加熱要素と、局所的な過熱、損傷及び加熱要素の破損につながるジャケットブロックの入口開口部及び出口開口部のエッジとの間の繰り返し接触をもたらす。加熱効果を高めるために、アセンブリの構成要素の動きと振動の大きさをさらに増大させる、より高いガス流速とより大きな圧力差が用いられる。これは次に、加熱アセンブリ構成要素の応力及び疲労を増大させ、摩耗を加速させる。したがって、要求されるのは、これらの問題に対処する電気フローヒーターである。
【発明の概要】
【0006】
したがって、本発明の態様は、ヒーターの耐用年数を大幅に高めるため、(電気ヒーター内の)加熱アセンブリの構成要素での物理的な応力、疲労及び損傷を最小限に抑えつつ、流体、特に気体(気相媒体)を700℃、1000℃のオーダーの中程度から高い加熱温度まで、また、潜在的には1200℃まで加熱する電気フローヒーターを提供することである。さらなる目的は、加熱アセンブリ構成要素、特に、細長い加熱要素を取り囲み、少なくとも部分的に封入するジャケットブロックを安定化させ、その結果、加熱要素及び/又は加熱アセンブリを取り囲むケーシングに対して、軸方向及び横方向の両方の独立したジャケットブロックの移動が抑制される、好ましくは防止されるようにすることである。
【0007】
さらなる特定の態様は、(長手方向に延びる複数のボア又はチャネルを有する)コレクティブジャケットブロックを形成するために一緒に組み立てられた個々のジャケット要素を位置的に安定させ、かつ周囲のケーシングに対して、(ジャケットブロック及び加熱要素を含む)加熱アセンブリの個別の移動を最小限に抑えることである。したがって、加熱アセンブリにわたる(加熱アセンブリのガス入口端及びガス出口端に対して)大きな圧力差で高いガス流速に耐えながら、1000℃又は1200℃までのオーダーの高い加熱温度を達成するように動作することができる電気ヒーターを提供することが具体的な目的である。
【0008】
これらの態様は、ジャケットブロックに接触し、ケーシングに対するブロックの軸方向及び/又は横方向の移動を抑制するために、ケーシングに接続されるか、またはケーシングから突出する少なくとも1つのブレースを有する電気流体フローヒーターを介して達成される。
【0009】
本発明態様によれば、第1及び第2の長手方向端部を有する軸方向に細長いジャケットブロックを画定する少なくとも1つの軸方向に細長いジャケット要素と、ジャケットブロックを通って内部に延び、それぞれの第1及び第2の長手方向端部の各々で開いている複数の長手方向ボア又はチャネルと、ボア又はチャネルを通って軸方向に延び、加熱アセンブリを形成する少なくとも1つの加熱要素と、加熱アセンブリを少なくとも部分的に囲むように配置されたケーシングとを備え、ケーシングに対してジャケットブロックの軸方向及び/又は横方向の移動を抑制するようにジャケットブロックに接触するため、ケーシングに接続されるか、又はケーシングから突出する少なくとも1つのブレースによって特徴付けられる、流体の流れを加熱するための電気ヒーターが提供される。
特に、本発明の態様によれば、請求項1に記載する、以下の電気ヒーターが提供される。すなわち、流体の流れを加熱するための電気ヒーターであって、第1の長手方向端部及び第2の長手方向端部を有する軸方向に細長いジャケットブロックを画定する少なくとも1つの軸方向に細長いジャケット要素と、前記ジャケットブロックを内を通って延び、それぞれの前記第1の長手方向端部及び第2の長手方向端部で開いている複数の長手方向ボア又はチャネルと、前記長手方向ボア又はチャネルを通って軸方向に延びる少なくとも1つの加熱要素であって、前記ジャケットブロックと共に加熱アセンブリを形成する、少なくとも1つの加熱要素と、前記加熱アセンブリを少なくとも部分的に取り囲むように配置されたケーシングと、を備え、さらに、電気ヒーターにおいて、前記ケーシングに対して、前記ジャケットブロックの軸方向及び/又は横方向の動きを抑制するため、前記ジャケットブロックに接触するように前記ケーシングに接続される又は前記ケーシングから突出する少なくとも1つのブレースが設けられ、前記ケーシングが、前記加熱アセンブリを取り囲む外側シースを備え、前記少なくとも1つのブレースが、前記シースと前記ジャケットブロックとの間で半径方向に延在し、前記ブレースは、前記長手方向ボア又はチャネルの間の領域でジャケットブロック内に、ジャケットブロックを通って延びる複数のロッド(18)を備える。
さらに、電気ヒーターにおいて、前記ケーシングに対して、前記ジャケットブロックの軸方向及び/又は横方向の動きを抑制するため、前記ジャケットブロックに接触するように前記ケーシングに接続される又は前記ケーシングから突出する少なくとも1つのブレースが設けられ、前記ケーシングが、前記加熱アセンブリを取り囲む外側シースを備え、前記少なくとも1つのブレースが、前記シースと前記ジャケットブロックとの間で半径方向に延在し、前記ブレースは、前記長手方向ボア又はチャネルの間の領域でジャケットブロック内を通って延びる複数のロッド(18)を備える。
【0010】
本明細書において、「少なくとも1つの軸方向に細長いジャケット要素」及び「軸方向に細長いジャケットブロック」についての言及は、ヒーターの軸方向に「細長い」となるように、カバー、スリーブ、及び対応する幅又は厚さを上回る長さを有する他のジャケットタイプの要素を包含する。このような「細長い」要素及びブロックについての言及は、それらのそれぞれの長手方向端部の間でほぼ連続的に中実であり、間隙、空洞、間隔、又は他の分離を含まない本体、或いは長手方向端部の間の本体を包含する。
【0011】
好ましくは、細長いジャケット要素及び細長いジャケットブロックは、加熱要素の直線的な部分又は線形の部分を受け入れるための、少なくとも1つのそれぞれの内部ボアを備えるほぼ直線的な/線形の本体である。したがって、本ジャケット要素及びジャケットブロックは、加熱要素の曲がった又は湾曲した端部の間の直線的な/線形の部分の長さにほぼ沿って、加熱要素の直線的な/線形の部分をほぼ包み込み、覆い、収納し、又は収容するように構成される。したがって、加熱要素の曲がった又は湾曲した部分は、加熱要素/ジャケットブロックから突き出しているだけで、加熱要素/ジャケットブロックによって覆われたり、収納されたりしないことが好ましい。
【0012】
したがって、本明細書において、「ジャケット」要素及び「ジャケット」ブロックについての言及は、ジャケット要素/ブロックのそれぞれの長手方向端部から突出する加熱要素の曲がった又は湾曲した端部の間でほぼ連続的に、加熱要素を収容し、収納し、取り囲み、覆うそれぞれの中空本体を包含する。
【0013】
対応する軸方向に細長い内部ボアを有する細長いジャケット要素及びジャケットブロックの効果は、加熱要素と、加熱要素の周囲に密閉された状態でボアを通って流れる流体との間の熱エネルギー伝導の効率を最大化することである。加熱要素及びブロックの長手方向に細長い構成によって、流動流体は、加熱要素の直線的な/線形の部分のほぼ全長にわたって、加熱要素の周囲のボア内に適切に収容される。
【0014】
本明細書において、細長い加熱要素/ジャケットブロック内のボア又はチャネルから現われる加熱要素のそれぞれの第1及び第2の長手方向端部を参照すると、要素/ブロックのボア内に連続して収容される加熱要素の直線的な/線形の部分とは区別されると考えられる。当然ながら、加熱要素と流体との間の熱伝導のほぼすべてが、細長いボア内で生じる。
【0015】
任意選択で、ブレースは、単一の構成要素を含んでよく、又は複数の構成要素から形成されてもよい。任意選択で、ブレースは、単一の領域又は複数の領域でジャケットブロックに接触するように構成されてもよい。
【0016】
上記又は以下に定義される本発明の一実施形態によれば、ケーシングは、加熱アセンブリを取り囲む外側シースを含み、少なくとも1つのブレースは、シースとジャケットブロックとの間で半径方向に延びる。より好ましくは、ケーシングは、シースから半径方向に延び、ジャケットブロックに向かって延びる少なくとも1つのスペーサを備え、ブレースはジャケットブロックに接触するようにスペーサに取り付けられるか、又はスペーサから延びる。好ましくは、スペーサは、溶接を介してシースの内面に機械的に取り付けられたディスク状の部品として形成される。任意選択で、スペーサはシースと一体的に形成されてよく、化学的又は機械的取り付け手段を介してシースに接続され、融合され、又は接着されてもよい。
【0017】
任意選択で、ブレースは、加熱アセンブリの位置安定性を高めるために、ジャケットブロック内に、ジャケットブロックを通って延びるように構成された少なくとも1つの構成要素を備える。任意選択で、ブレースは、ジャケットブロック内に、ジャケットブロックを通って延びるように構成された少なくとも1つのロッド又はバー部材を備える。好ましくは、ブレースは、長手方向ボア又はチャネルの間の領域でジャケットブロック内に、ジャケットブロックを通って延びる複数のロッドを備える。任意選択で、ロッドは、ジャケットブロックを完全には貫通しないように部分的に延びる。より好ましくは、ブレースは、ジャケットブロックと接触する少なくとも1つのショルダーブロックをさらに備える。好ましくは、ブレース(すなわち、ショルダーブロック)は、少なくとも1つのスペーサの半径方向内側領域に、又はそれに向かって配置される。任意選択で、ブレースは、ジャケットブロックの反対側面に配置された少なくとも1つのショルダーブロックのペアと、ジャケットブロックを通って延びるように、ショルダーブロックに取り付けられ、ショルダーブロック間に延びる複数のロッドと、を備えることができる。特定の実装によれば、電気ヒーターは、ジャケットブロックの側面に配置された少なくともショルダーブロックの第1のペアと、ショルダーブロック間のジャケットブロックを通って横切って延びるブレース(例えばロッド)の第1の組と、ロッドの第1の組に対して垂直にジャケットブロックを通って延びるブレース(例えばロッド)の第2の組と、を備えることができる。
【0018】
ショルダーブロック(又は複数のブロック)は、この摩擦係合がジャケットブロックをケーシングに対して軸方向及び横方向の両方に位置的に安定させるように、接触しているジャケットブロックの外面に当接するように構成される。本発明が、(ジャケットブロックの各側面に配置された)複数の対向して配置されたショルダーブロックを備える場合、ジャケットブロックは同様に、少なくとも1つのスペーサを介してケーシングにしっかりと取り付けられたショルダーブロックの間に挟まれているとみなすことができる。理解されるように、また、さらなる実施形態によれば、ショルダーブロックは、ケーシングに直接取り付けられてもよく、又は、ケーシングから内側に突出するようにケーシングと一体に形成されて、ジャケットブロックの外面と接触するようにしてもよい。好ましくは、加熱アセンブリの位置安定性をさらに高めるために、ブレースは、加熱アセンブリの外面の少なくとも1つの領域に接触する一又は複数のブロックに加えて、加熱アセンブリを通って延びる複数のロッドを備える。好ましい実装によれば、電気ヒーターは、ショルダーブロックの第1のペアと、ジャケットブロックを通って延びるロッドの第1の組と、ショルダーブロックの第2のペアと、ジャケットブロックを通って延びるロッドの第2の組とを備え、ショルダーブロックの第2のペアは、ロッドの第1の組に概ね垂直に伸びるロッドの第1のペアと第2の組に対して、ジャケットブロックの異なる側面に配置される。
【0019】
少なくとも1つのロッドは、任意選択で、ロッドの第1及び第2の組であり、好ましくは、それぞれのチャネル(又はボア)を通って延び、次いで、ジャケットブロックを通って延び、加熱要素が延びる長手方向ボアに対して垂直に整列される。ロッドを受け入れるためのボアは、使用中に電気ヒーターの低温端から高温端へのボア(又はチャネル)を通る長手方向のガス流を妨げうる長手方向に延びるボアの間を通過し、ボアとは干渉しない。
【0020】
上記または以下に定義される本発明の一実施形態によれば、ショルダーブロックの第1のペア及びショルダーブロックの第2のペアは、ジャケットブロックの長手方向端部間の長さに沿って異なる領域に配置される。この構成は、ショルダーブロック及びロッドの異なるペアと組みによってそれぞれ提供される安定化効果を軸方向に分配することに加えて、ロッドの第1の組と第2の組が互いに干渉しないようにする。好ましくは、ジャケットブロックは、ブレース(即ち、ロッド)の少なくとも一部を受け入れるために、長手方向ボアに対してほぼ垂直に延びる複数のクロスボア又はチャネルを備える。
【0021】
本構成は、細長いジャケット要素/ブロックのそれぞれの長手方向端部の間の細長いボア内に閉塞されていない流体の流れを提供することによって、加熱要素と流体との間の熱エネルギー伝導の程度及び効率を最大にするのに有利である。したがって、ジャケットブロックを位置的に安定させる位置的支持ブレース、ショルダーブロック、ロッド等は、流体の流れに干渉せず、したがってエネルギー伝達効率を妨げない。特に、ブレース(及び関連する構成要素)は、加熱要素のそれぞれの湾曲した/曲がった部分の間の線形直線部分において加熱要素と接触しない。
【0022】
好ましくは、加熱要素の終端部は、管状要素/ジャケットブロックの同じ端部に出入りし、これは、典型的には、加熱されたガスが現われる「高温」端部(約1000℃)に対してガスが流れ込む「低温」端部(周囲温度又はより低い温度)である。次いで、加熱要素の2つの終端部は、電圧を印加するため対応する端子に接続され、その結果、加熱要素と各ボアを画定する内面との間に画定された間隙を通って流れるガスを加熱することができる。
【0023】
任意選択で、電気ヒーターは、一体化された本体として一緒に組み立てられた複数のジャケット要素を備える。一体化された本体は、ジャケットブロックの外面と接触するか、部分的に接触するか、又はほぼ接触するように取り囲むように配置されたスペーサを介して一緒に保持されてもよい。
【0024】
上記又は以下に定義されるような本発明の一実施形態によれば、ジャケット要素は、隣接又は近接したジャケット要素の第1及び第2の溝が整列して、それぞれのチャネルのうちの1つを画定し、ブレース(すなわち、ロッド)の少なくとも一部を受容するように、ジャケット要素の外面に窪んだ少なくとも第1及び第2の溝を備える。
【0025】
任意選択で、ジャケット要素は、第1の領域に突出部と、少なくとも1つの外面の第2の領域に溝とを備え、ジャケット要素のうちの1つの突出部は、少なくとも部分的にジャケット要素をインターロックするために、近接したジャケット要素の溝内に少なくとも部分的に位置するように構成される。このような構成は、互い対して、及び/又は、長手方向ボア内に延びる加熱要素に対して、ジャケット要素の独立した軸方向及び横方向の移動を防止するのに有利である。任意選択で、ジャケット要素の外面は、多角形又は長方形の外側断面輪郭を備える。ジャケット要素は、それらの外形輪郭を介して、コレクティブブロックとして互いに密着して位置することができる。ジャケット要素が、舌状部/突出部及び溝配列などのインターロックのための手段を含む場合、舌状部/突出部及び溝は、それぞれのジャケット要素の異なる側面に設けられる。
【0026】
好ましい実施形態によれば、ケーシング及び少なくとも1つのスペーサは、金属材料を含む。好ましくは、少なくとも1つのジャケット要素及びブレースの少なくとも一部は、耐火材料又はセラミック材料などの非導電性材料を含む。好ましくは、ロッドが非導電性であるように、ロッドは任意選択で、耐火材料またはセラミック材料によって部分的に又は全体的に囲まれた、又は被覆された金属(コア)を含みうる。好ましくは、ショルダーブロックは、金属から形成されうる。代替的に、ショルダーブロックは、耐火材料またはセラミック材料から形成されてもよい。
【0027】
好ましい実施形態によれば、電気ヒーターは、細長いジャケットブロックを画定するために互いに接触して一緒に組み立てられた複数のジャケット要素を備え、複数の長手方向ボアの各々は、ジャケット要素の各々を通ってそれぞれ延びる。ブレースは、ジャケットブロックの反対側面に位置決めされた少なくともショルダーブロックのペアと、ジャケットブロックを通って延びるようにショルダーブロックの間に取り付けられて延びる複数のロッドとを含む。
【0028】
ブレース及びジャケットブロックの表面被覆を任意選択で含む少なくとも一部は、好ましくは、同じ耐熱性耐火材料から形成され、互いにぴったりと嵌合するように配置される。したがって、ジャケットブロックとブレースの熱膨張差は(材料の選択により)最小限に抑えられ、電気ヒーターによる1200℃までの高温加熱を可能にする。
【0029】
ジャケット要素の中空ボア又はチャネルは、好ましくは、その断面が加熱要素の外部断面のサイズに適合される。円形断面を有する通常の加熱ワイヤの場合、ボア又はチャンネルはそれぞれ、(各ボアの軸長に沿って)均一な環状の間隙を提供するように、円形の断面を備え、これにより、加熱要素での必要以上の過熱又は応力なしに、最大1200℃近辺の温度までのガスの加熱が容易になる。また、これらのボア又はチャネルの断面は、一実施形態では、加熱要素を縦軸に垂直なボアの中心に配置するために、周囲に沿ったスペーサを含みうる。
【0030】
明細書内での「加熱要素」への言及は、比較的細いワイヤ及びより大きな断面の加熱ロッドを包含する。このような加熱ロッド又はワイヤは、好ましくは、鉄-クロム-アルミニウム(Fe-Cr-Al)合金又はニッケル-クロム-鉄(Ni-Cr-Fe)合金を含む。小さな断面を有する細いワイヤは、各ボアの軸に沿って直線的に延びるように十分な剛性及び安定性を提供するのに適している。
【0031】
多くの実際的な場合において、加熱要素と、各ボア又は各チャネルを画定する内部に面する表面との間の最大内部間隔は、0.2mmから2mmの間であるが、0.02mmから50mmの間のより広い範囲内にあってもよい。任意選択で、より厚い加熱要素は次に、互いに絡み合った又は撚り合わされた個々のロッド又はワイヤの束を含みうる。このような実施形態では、上記の内部間隔は、各長手方向ボア又はチャネルを画定する内面に対するロッド又はワイヤの束の間の内部間隔によって画定される。
【0032】
明細書内での「ケーシング」への言及は、内部に取り付けられた加熱アセンブリ(加熱要素及びジャケットブロックを含む)の周囲に配置される電気ヒーターの構成要素を包含する。このような構成要素には、支持支柱、内側又は外側のシース或いはハウジング、支持ブレース(ヒーターの内部及び外部の両方)、バー、ロッド、スポーク、スペーシング又は支持フランジなどが含まれうる。任意選択で、ケーシングは、加熱アセンブリを封入するほぼ円筒形のシースを含みうる。
【0033】
任意選択で、各ボア又は各チャネルの直径は、1mm~20mm、さらには0.5mm~60mmの範囲であってもよい。したがって、ロッドの断面積と各孔/チャネルの内部断面積との好ましい比率は、0.04~0.95、0.04~0.8、0.04~0.9、0.1~0.95、0.2~0.95、0.3~0.8、又は0.5~0.9の範囲であってもよい。
【0034】
加熱要素は、入口開口部から出口開口部まで、各ボア又は各チャンネルを通って延びている。加熱されるガスは、ボア又はチャネルを通り、加熱要素に沿って流れる。ボア又はチャネルの長さに対する内部断面は、一定である必要はないが、実質的に一定のクリアランスギャップを生成するため、特に加熱要素と各ボア又は各チャネルの内面との間の一定の環状の間隙を生成するためには一定であることが好ましい。各ボアは、内側突出部を備えることができ、内側突出部は、加熱要素をボア面の残部から一定の距離を保つために、内面に沿って、かつその周囲に分布する。各ボア又はチャネルの軸方向長さの少なくとも60%に沿って、ほぼ一定の環状の間隙が、加熱要素と係合する突出部を除いて達成される。
【0035】
ジャケット要素はそれぞれ、任意の多角形断面を有してもよい。この点に関して、外面の共通する平坦で平面的な部分を形成するため、六角形又は直交する断面の管、又は任意の他の外部多角形輪郭を使用することが可能である。特に、ジャケット要素の辺の長さが等しい四角形又は三角形の外部輪郭は、ジャケット要素の非常にコンパクトな組立配置を可能にし、そこで、ブレースは、本明細書に記載されるように、アセンブリ内のジャケット要素の外側側面によって形成される平坦な表面部分に沿って延びてもよい。その結果、ブレースの少なくとも一部がジャケット要素/ジャケットブロックの外面及び/又は内側領域に係合するため、共通軸の長手方向の変位ならびに(それに垂直な方向の)横方向の変位が阻止される。
【0036】
また、共通軸に対する変位に対するコンパクト性及び安定性を高めるために、異なる多角形断面のジャケット要素を同一アレイ内で使用することが可能である。本発明の一実施形態では、端面の上面にあって、共通軸に沿ったジャケット要素は、ハニカム構造を形成する。任意選択で、ジャケット要素のアレイは、直方体を形成しうる。ジャケット要素の少なくとも外側面は、アセンブリの包絡面を形成し、好ましくは、ブレースの少なくとも一部と接触係合する。本発明の一実施形態では、アレイのすべてのジャケット要素は、同一の矩形断面を有し、特に、(ジャケット要素の(共通の)軸に沿った平面図で)矩形アレイを形成するために、辺の長さが等しい四角形の断面を有する。
【0037】
任意選択で、ジャケット要素の各々は、その側面のうちの少なくとも1つに凹部形成され、ジャケット要素の軸に対して垂直に整列された少なくとも1つの溝を備える。一実施形態では、ジャケット要素は、互いに対して軸方向に整列またはオフセットされうる、複数の(例えば、異なる、対向する、又は近接する)側面上に溝を備える。好ましくは、溝は、直径方向に対向して、平行な配向で側面上に設けられ、同じ軸方向位置に配置される。本発明の別の実施形態では、ブレーシングロッドは、整列した溝の組によって、ボアに沿った変位に対して固定される。
【0038】
任意選択で、ロッドは、加熱アセンブリ(ジャケット要素)の外面の一部と嵌合する対応ブラケットを通って誘導されるか、又はその中に固定され、ブラケットは、スペーサを介して直接又は間接的にケーシングに固定される。任意選択で、ブラケットは、スペーサ及び/又はケーシングと一体に形成されてもよい。任意選択で、ロッドは、ブラケット、スペーサ又はケーシングと一体に形成される。
【0039】
ジャケット要素がインターロックする関係で互いに嵌合すること、又はぴったりと噛み合うことが可能になるように、各ジャケット要素は、任意選択で、外部表面において対応する溝又は凹部から離間して配置されたリブ、リッジ、突出部又は舌状部を含みうる。このような構成は、ジャケット要素の横方向の動きを抑制して、本明細書でジャケットブロックと称される固定アセンブリを形成するのに有利である。任意選択で、それぞれの突出部及び凹部/溝は、それぞれの第1の端部と第2の端部との間のジャケット要素の各々に沿って長手方向に延びてもよい。任意選択で、それぞれの突出部及び凹部/溝は、細長いボアに垂直なジャケット要素を横切って幅方向又は横方向に延びてもよい。ジャケット要素の外面が、その全軸長にほぼ沿って互いに密着して嵌合するように配置されるように、ジャケット要素は、任意選択で、協働する形状を有する同様に湾曲した又は多角形の断面輪郭を介して、共にぴったりと噛み合ってもよい。示されているように、任意選択で、ジャケットブロックは、ジャケットブロックの第1の長手方向端部と第2の長手方向端部との間に延びる複数の平行な細長いボアを備える単一の本体として形成されてもよい。
【0040】
本発明の特定の実装態様を単なる実施例として、添付の図面を参照しながら以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】本発明の一態様による電気ヒーターの一部の斜視図である。
図2図1の電気ヒーターの一部を形成する加熱アセンブリの斜視図である。
図3図1の電気ヒーターの一部の側断面図である。
図4図3のA-Aに沿った断面図である。
図5図2の加熱アセンブリの一部を形成するジャケット要素及び加熱要素の一部の斜視図である。
図6】密接に嵌合する接触状態で一緒に組み立てられた一対のジャケット要素のさらなる斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1図2及び図3を参照すると、電気ヒーター1は、両軸端で開口した内部チャンバ4を画定する円筒状のシース3(それぞれ、内部及び外部の対向面3b、3aを有する)の形態のケーシング2を備える。一般的に、参照符号5によって示される加熱アセンブリは、チャンバ4内に取り付けられる。加熱アセンブリ5は、長手方向に細長いジャケットブロック7を形成するように一緒に組み立てられ保持される複数の長手方向に細長いジャケット要素6から形成される。各細長いジャケット要素6は、ジャケットブロック7の第1の軸端部7aと第2の軸端部7bで開口するように各ジャケット要素6の全長にわたって長手方向に延びる長手方向内部ボア8を備える。ジャケット要素6及びジャケットブロック7は、固体塊及び空間が第1の軸端部7aと第2の軸端部7bとの間に連続的に延びる中空体として形成される。すなわち、ジャケット要素6及びジャケットブロック7は、端部7aと端部7bとの間で不連続ではない。このような構成は、本明細書でさらに詳細に説明するように、それぞれのジャケット要素6内の熱エネルギー伝導の程度及び効率を最大化するのに有利である。
【0043】
ジャケットブロック7は、各ジャケットブロック軸端部7a、7bに向かって長手方向に位置決めされた一対の円板状スペーサ9a、9bを介して(ケーシング2内に)位置決めされている。シース3及びスペーサ9a、9bは、スペーサ9a、9bが溶接を介してシース3の内部対向面3bに固定されるように金属から形成されてもよい。各スペーサ9a、9bは、矩形の形状輪郭を有し、外部の概して立方体の形状輪郭をも含むジャケットブロック7を収容するように寸法決めされた中央開口10を備える。したがって、ジャケットブロック7は、チャンバ4内に懸架され、スリーブ内部対向面3bから空間的に分離されるように、各スペーサ開口10内に取り付けられる。
【0044】
一般的に参照符号11によって示される加熱要素は、ジャケットブロック7の軸端部の1つからほぼ突出するそれぞれの端部11d、11eを有する細長いロッドとして形成される。端部11d、11eは、説明のために、ジャケットブロック7の「高温」端部7bから突出するように図1図3に示されている。端部11d、11eは、好ましくは、ジャケットブロック7の「低温」端部7aから延びている。加熱要素11は、概して円形の断面輪郭を含み、各ジャケット要素ボア8の断面積よりも僅かに小さい寸法にされている。単一の加熱要素11は、それぞれの曲げられた軸端部11a及び11bを介して、ジャケットブロック7の各細長いボア8を順次貫通して延びるように適合されている。特に、加熱要素11は、第1のジャケット要素6の1つのボア8から現われ、ジャケットブロックの第1の軸端部7aで近接又は隣接するボア8に戻るように、(加熱要素端部11aで)180度曲げられる。これは、曲げられた端部11bを介してジャケットブロックの第2の軸端部7bで繰り返される。加熱要素端部11d、11eは、理解されるように、電流を要素11に通すことを可能にするため、電気接続部に結合することができる。
【0045】
図6を参照すると、各ジャケット要素6は、ほぼ平面的な4つの長手方向に延びる側面6a、6b、6e及び6hを備え、その結果、ジャケット要素6の個々の側面がジャケットブロック7の外部対向面を形成する直方体の一体化された本体を形成するように、各ジャケット要素は、ジャケット要素一緒に接触して位置することができるように適合されたほぼ正方形の外部断面形状輪郭を備える。各スペーサ開口10と(ジャケット要素の側面6a、6b、6e、6hによって画定される)ジャケットブロック7の外面との間に小さな間隙が設けられる。このような間隙は、(典型的には金属から形成される)スペーサ9a、9bと、好ましくは非導電性耐火材料から形成されるジャケット要素6との熱膨張差を適合した。しかしながら、ジャケットブロック7及び加熱要素11の少なくともある程度の構造的支持は、ジャケットブロック7と少なくとも部分的に接触するスペーサ9a、9b(開口10を介して)によって提供される。(ヒーター1を通って延びる縦軸20に対して)個々のジャケット要素6の各々の軸方向及び横方向の移動を抑制するために、各ジャケット要素6は、ジャケット要素6を横切って横方向に、かつ、軸20に垂直に延びる溝6f及び対応するリブ6gを含む。隣接するジャケット要素6の溝6f及びリブ6gは、互いに相互嵌合するように適合され、軸方向負荷力及び横方向せん断力に抵抗するように部品が互いにぴったりと噛み合うジャケットブロック7を提供する。図5の溝及びリブ配置(6f、6g)は、スペーサ9a、9bを介して加熱アセンブリ5の位置保持を補完する。
【0046】
図2図3及び図4を参照すると、本電気ヒーターは、電気ヒーター1内で、特にケーシング2に対して、(ジャケットブロック7及び加熱要素11を包含する)加熱アセンブリ5を位置的に安定させるように構成された、一般的に参照符号12によって示される少なくとも1つのブレース(代替的に、加熱アセンブリ安定化ユニットとも称される)を備えて具体的に構成される。このような構成は、ヒーター1内で、並びにケーシング2に関して、加熱アセンブリ5の独立した動きを最小限に抑えるのに有利である。
【0047】
理解されるように、加熱要素11及びボア8の寸法は、各ボア8の内向きの面と加熱要素11の外面との間の所望の小さな分離間隙を達成するように注意深く制御される。このような構成は、軸端部7aで入口流14aとして最初にチャンバ4内に導入され、次に各ボア8を通って流れ、軸端部7bで出口流14bとして加熱アセンブリ5から出る気相媒体の流れに対して、要素11からの熱エネルギー伝導の有効性及び効率を最大化させるのに有利である。電気ヒーター1が使用時に垂直に吊り下げられると、曲げられた端部11a、11bと端面6cとの間の、特に各ボア8の入口端及び出口端を画定する環状エッジとの間の望ましくない接触は、加熱要素11の疲労及び損傷、並びにそれに対応するヒーター1の使用寿命低下の一因となる。これを軽減するために、ブレース12は、特に、加熱要素11に対するジャケットブロック7の任意の独立した軸方向及び横方向の動きを抑制するように、特に防止するように適合される。
【0048】
有利には、ブレース12は、加熱ガス流出14bのための(最大1200℃の温度の)「高温」軸端部と比べて、ガスの入口流14aに対応する加熱アセンブリ5の(周囲温度により近い)「低温」軸端部に、又は「低温」軸端部に向かって配置される。「低温の」第1の軸端部7aは、第2の軸端部7bに対してより低い応力(より低い温度差)の領域であり、そのため、第1の軸端部7aに向かって安定化することは、より実用的かつ効果的である。
【0049】
図4及び図5を参照すると、ブレース12は、スペーサ9aの前面16に固定され、対向ガス流14aに向って前方に突出するように離間されたブラケット15のペアを備える。ボアホール17は、ヒーター1の主縦軸20に対して垂直に延びる軸16に沿って、各ブラケット15を貫通して延びる。細長いロッド(又はバー)18は、軸16の中心に位置するように、また対向するブラケット15の各々の間でジャケットブロック7を通って横方向に延びるように、各ボアホール17内に取り付けられる。本発明は、各々が互いに平行で主縦軸20に対して垂直なジャケットブロック7を通って延びる複数の安定化ロッド18を備える。
【0050】
各ジャケット要素6は、図6のリブ6gと溝6fに加えて、図6のリブ6g及び溝6fに対して各ジャケット要素6の長さに沿った異なる軸方向位置に配置される付加的な溝19a、19bのペアも含む。図5を参照すると、溝19a、19bは、ジャケット要素6の長さに沿った同じ軸方向位置で、直径方向に対向する側面6b、6eに設けられ、主軸20に対して垂直なジャケット要素6を横切って横方向に延びる。各溝19a、19bは、ロッド18の外面の一部に対応するように(軸16に対して)半円形の断面輪郭を備える。したがって、ジャケット要素6が共に配置されてアレイ(ジャケットブロック6)を形成する場合、図4に例示されているように、隣接するジャケット要素6の溝19a、19bは、円形断面のチャネル19(代替的にボアホールと称される)を画定するように整列する。チャネル19は、ジャケットブロック7を通って横方向に延び、各ロッド18を収容するように構成されている。チャネル19は、ボア7及び導電性加熱要素11と干渉しないように、主ボア7の側面に対して横方向に配置されている。好ましい特定の実装によれば、各ロッド18は、耐火コーティングによって囲まれた金属コアを含む。このような構成は、ロッド18とジャケットブロック7との任意の熱膨張差を最小にするのに有利である。したがって、ブラケット15を介する本電気ヒーターは、加熱アセンブリ5を外部表面領域6a、6b、6e、6hで安定させ、また、ロッド18を介してジャケットブロック7の内部接触を介して安定させるように構成される。
【0051】
電気ヒーターは、ブラケット15の1つのペアと、対応するロッド18の第1の組とを備えるように図示され、説明されているが、ヒーター1は、さらなる特定の実装によれば、ブラケット15の複数のペアと、ロッド18の複数の組とを備えてもよい。このような追加のペア及び組は、軸端部7aと7bとの間の加熱アセンブリ5の軸方向の長さに沿った、異なる領域に設けられてもよい。このような構成は、加熱アセンブリ5をその軸方向長さに沿って安定させるのに有利である。代替的に、ブレース12の複数のペア及び組は、ガス入口流14aの「低温」端部(7a)に向かって配置されてもよい。
【0052】
軸方向及び横方向に安定化された加熱アセンブリ5を有する本電気ヒーターは、加熱要素11及びケーシング2に対するジャケットブロック7の独立した動きを最小限に抑えて、動作寿命を延ばすように構成されている。本電気ヒーター内の熱エネルギー伝導の有効性及び効率は、それぞれの端部7aと7bとの間で連続的に長さ方向(軸方向)に延びる加熱要素6によってもたらされる。特に、加熱要素11は、端部7aと7bとの間の細長いジャケット要素6によって完全にかつ連続的に収納され、覆われ、収容される。
【0053】
理解されるように、主題の発明は、ジャケットブロック7を通って挿入されるブラケット15及び細長いロッド18を参照して記載されるが、同じ安定化は、ジャケットブロック7の外部及び/又は内部領域が、ケーシング2に直接又は間接的に(例えば、中間スペーサ9a、9bを介して)固定される少なくとも一又は複数の当接構成要素及び/又は部材によって接触される、代替の構成要素及び配置を介して達成されうる。例えば、このような当接構成要素は、ジャケットブロック7の外部及び/又は内部領域での当接接触に適合したフランジ、突出部、アイレット、フック形状部材、プレート、シース、ワイヤ、ケーブル、ピン、メッシュ、グリッド、又はワッシャを備えてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6