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特許73533133次元モデルチェック装置、および3次元モデルチェックプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-21
(45)【発行日】2023-09-29
(54)【発明の名称】3次元モデルチェック装置、および3次元モデルチェックプログラム
(51)【国際特許分類】
   E01C 1/00 20060101AFI20230922BHJP
   G06F 30/13 20200101ALI20230922BHJP
   G06T 17/05 20110101ALI20230922BHJP
【FI】
E01C1/00 Z
G06F30/13
G06T17/05
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021003283
(22)【出願日】2021-01-13
(65)【公開番号】P2022108355
(43)【公開日】2022-07-26
【審査請求日】2023-06-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】594058333
【氏名又は名称】川田テクノシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168952
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 壮一郎
(72)【発明者】
【氏名】早川 貴俊
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-184388(JP,A)
【文献】特開2020-030391(JP,A)
【文献】特開2002-099586(JP,A)
【文献】特開2015-210582(JP,A)
【文献】特開2009-205584(JP,A)
【文献】特開2004-100148(JP,A)
【文献】特開2002-319039(JP,A)
【文献】特開2002-074404(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 1/00
G06F 30/13
G06T 17/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路の設計を支援するソフトウェアを用いて作成された3次元道路モデルの中から、妥当性のチェック対象とする3次元道路モデルの選択を受け付ける選択受付手段と、
前記選択受付手段で選択を受け付けた前記3次元道路モデルを対象として、前記3次元道路モデルの妥当性をチェックするための処理を実行する妥当性チェック処理実行手段と、
前記妥当性チェック処理実行手段による前記3次元道路モデルの妥当性のチェック結果を表示装置に表示するチェック結果表示手段とを備え
前記妥当性チェック処理実行手段によって実行される前記3次元道路モデルの妥当性をチェックするための処理は、前記3次元道路モデルと該3次元道路モデルの生成元となった道路の線形モデルとを比較して、前記3次元道路モデルと前記線形モデルとの間の差異を測定する処理、事前に設計された2次元の道路図面と前記3次元道路モデルの差異を計測する処理、前記3次元道路モデルに基づいて、道路とその他の構造物との干渉の有無をチェックする処理、および前記3次元道路モデルの中に、隙間がある要素、はみ出しがある要素、閉じていない要素、または自己交差がある要素が存在しないかをチェックする処理の少なくとも一つを含むことを特徴とする3次元モデルチェック装置。
【請求項2】
請求項に記載の3次元モデルチェック装置において、
前記チェック結果表示手段は、前記妥当性チェック処理実行手段によって測定された前記3次元道路モデルと前記線形モデルとの間の差異の大きさに応じて、判定結果の表示を変更することを特徴とする3次元モデルチェック装置。
【請求項3】
請求項に記載の3次元モデルチェック装置において、
前記チェック結果表示手段は、道路とその他の構造物とが干渉する場合には、3次元道路モデル上で道路の他の構造物と干渉している範囲を表示することを特徴とする3次元モデルチェック装置。
【請求項4】
請求項に記載の3次元モデルチェック装置において、
前記妥当性チェック処理実行手段は、操作者によって確認対象として選択された要素がソリッド要素である場合には、該ソリッド要素の隙間の有無、はみ出しの有無、および自己交差の有無をチェックし、操作者によって確認対象として選択された要素がサーフェス要素である場合には、該サーフェス要素の閉じていない面の有無をチェックすることを特徴とする3次元モデルチェック装置。
【請求項5】
道路の設計を支援するソフトウェアを用いて作成された3次元道路モデルの中から、妥当性のチェック対象とする3次元道路モデルの選択を受け付ける選択受付手順と、
前記選択受付手順で選択を受け付けた前記3次元道路モデルを対象として、前記3次元道路モデルの妥当性をチェックするための処理を実行する妥当性チェック処理実行手順と、
前記妥当性チェック処理実行手順による前記3次元道路モデルの妥当性のチェック結果を表示装置に表示するチェック結果表示手順とをコンピュータに実行させるための3次元モデルチェックプログラムであって、
前記妥当性チェック処理実行手順によって実行される前記3次元道路モデルの妥当性をチェックするための処理は、前記3次元道路モデルと該3次元道路モデルの生成元となった道路の線形モデルとを比較して、前記3次元道路モデルと前記線形モデルとの間の差異を測定する処理、事前に設計された2次元の道路図面と前記3次元道路モデルの差異を計測する処理、前記3次元道路モデルに基づいて、道路とその他の構造物との干渉の有無をチェックする処理、および前記3次元道路モデルの中に、隙間がある要素、はみ出しがある要素、閉じていない要素、または自己交差がある要素が存在しないかをチェックする処理の少なくとも一つを含むことを特徴とする3次元モデルチェックプログラム
【請求項6】
請求項に記載の3次元モデルチェックプログラムにおいて、
前記チェック結果表示手順は、前記妥当性チェック処理実行手順で測定した前記3次元道路モデルと前記線形モデルとの間の差異の大きさに応じて、判定結果の表示を変更することを特徴とする3次元モデルチェックプログラム。
【請求項7】
請求項に記載の3次元モデルチェックプログラムにおいて、
前記チェック結果表示手順は、道路とその他の構造物とが干渉する場合には、3次元道路モデル上で道路の他の構造物と干渉している範囲を表示することを特徴とする3次元モデルチェックプログラム。
【請求項8】
請求項に記載の3次元モデルチェックプログラムにおいて、
前記妥当性チェック処理実行手順は、操作者によって確認対象として選択された要素がソリッド要素である場合には、該ソリッド要素の隙間の有無、はみ出しの有無、および自己交差の有無をチェックし、操作者によって確認対象として選択された要素がサーフェス要素である場合には、該サーフェス要素の閉じていない面の有無をチェックすることを特徴とする3次元モデルチェックプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元モデルチェック装置、および3次元モデルチェックプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
次のような道路線形設計装置が知られている。この道路線形設計装置では、高速道路の道路線形設計において所定の条件を満足させながら建設コストや走行安全性をも最適化するように平面線形および縦断線形を同時に自動設計する(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-100148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
道路の設計に当たり3次元で道路モデルを作成する方法が存在している。この3次元道路モデルを作成した場合には、従来の道路線形設計装置で作成したような道路の線形モデルと3次元道路モデルに差異がないかなど、3次元道路モデルの妥当性をチェックしてチェック結果を表示することができれば、3次元道路モデルの妥当性を確認することができるが、従来はそのような方法については何ら検討されていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による3次元モデルチェック装置は、道路の設計を支援するソフトウェアを用いて作成された3次元道路モデルの中から、妥当性のチェック対象とする3次元道路モデルの選択を受け付ける選択受付手段と、選択受付手段で選択を受け付けた3次元道路モデルを対象として、3次元道路モデルの妥当性をチェックするための処理を実行する妥当性チェック処理実行手段と、妥当性チェック処理実行手段による3次元道路モデルの妥当性のチェック結果を表示装置に表示するチェック結果表示手段とを備え、妥当性チェック処理実行手段によって実行される3次元道路モデルの妥当性をチェックするための処理は、3次元道路モデルと該3次元道路モデルの生成元となった道路の線形モデルとを比較して、3次元道路モデルと線形モデルとの間の差異を測定する処理、事前に設計された2次元の道路図面と3次元道路モデルの差異を計測する処理、3次元道路モデルに基づいて、道路とその他の構造物との干渉の有無をチェックする処理、および3次元道路モデルの中に、隙間がある要素、はみ出しがある要素、閉じていない要素、または自己交差がある要素が存在しないかをチェックする処理の少なくとも一つを含むことを特徴とする。
本発明による3次元モデルチェックプログラムは、道路の設計を支援するソフトウェアを用いて作成された3次元道路モデルの中から、妥当性のチェック対象とする3次元道路モデルの選択を受け付ける選択受付手順と、選択受付手順で選択を受け付けた3次元道路モデルを対象として、3次元道路モデルの妥当性をチェックするための処理を実行する妥当性チェック処理実行手順と、妥当性チェック処理実行手順による3次元道路モデルの妥当性のチェック結果を表示装置に表示するチェック結果表示手順とをコンピュータに実行させるためのプログラムであって、妥当性チェック処理実行手順によって実行される3次元道路モデルの妥当性をチェックするための処理は、3次元道路モデルと該3次元道路モデルの生成元となった道路の線形モデルとを比較して、3次元道路モデルと線形モデルとの間の差異を測定する処理、事前に設計された2次元の道路図面と3次元道路モデルの差異を計測する処理、3次元道路モデルに基づいて、道路とその他の構造物との干渉の有無をチェックする処理、および3次元道路モデルの中に、隙間がある要素、はみ出しがある要素、閉じていない要素、または自己交差がある要素が存在しないかをチェックする処理の少なくとも一つを含むことを特徴とする
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、3次元道路モデルの妥当性をチェックしてチェック結果を表示するようにしたので、生成された3次元道路モデルの妥当性を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】3次元モデルチェック装置100の一実施の形態の構成を示すブロック図である。
図2】3次元空間上で線形(ポリライン)2aが選択された場合の一例を模式的に示した図である。
図3】3次元空間上でモデル3aが選択された場合の一例を模式的に示した図である。
図4】3次元モデルが多数の面や線から構成されている例を模式的に示した図である。
図5】面のグルーピング処理について説明するための第1の図である。
図6】面のグルーピング処理について説明するための第2の図である。
図7】線のグルーピング処理について説明するための第1の図である。
図8】線のグルーピング処理について説明するための第2の図である。
図9】第1の実施の形態における妥当性チェック処理において線形と比較する対象の選択例を模式的に示した図である。
図10】操作者によって選択された3次元モデル上の面と線形との間の距離を算出する方法を模式的に示した図である。
図11】操作者によって選択された3次元モデル上の線と線形との間の距離を算出する方法を模式的に示した図である
図12】第1の実施の形態における測定結果の表示例を示す第1の図である。
図13】第1の実施の形態における測定結果の表示例を示す第2の図である。
図14】第1の実施の形態における3次元モデルチェック装置100で実行される処理の流れを示すフローチャート図である。
図15】操作者によって2次元の道路図面上に基準点1と基準点2の2点が指定された例を示す図である。
図16】操作者によって3次元道路モデル上に配置点1と配置点2の2点が指定された例を示す図である。
図17】2次元の道路図面から寸法線だけを抽出した場合の一例を示す図である。
図18】3次元道路モデルから断面図が取得された例を示す図である。
図19】3次元道路モデルから取得した断面図の正規化例を示す図である。
図20】3次元道路モデルから取得した断面図と2次元の道路図面から抽出した寸法線とを重ね合わせて生成された重ね合わせ図の例を示す図である。
図21】寸法線の端点S1に近い断面図の端点D1と、寸法線の端点S2に近い断面図の端点D2が抽出された場合の具体例を模式的に示す図である。
図22】2次元の道路図面と3次元道路モデルの差異の計測例を示す図である。
図23】第2の実施の形態における結果表示例を示す第1の図である。
図24】第2の実施の形態における結果表示例を示す第2の図である。
図25】第2の実施の形態における3次元モデルチェック装置100で実行される処理の流れを示すフローチャート図である。
図26】3次元道路モデル上で道路中心線が選択された場合の例を示す図である。
図27】建築限界条件設定画面の一例を示す図である。
図28】道路中心線上に設定した基準点に対して建築限界領域を配置した例を模式的に示す図である。
図29】各基準点ごとに配置した建築限界領域の各構成点を結んで建築限界条件を表す境界面を構築した場合の一例を示す図である。
図30】第3の実施の形態における結果表示例を示す図である。
図31】第3の実施の形態における3次元モデルチェック装置100で実行される処理の流れを示すフローチャート図である。
図32】ソリッド要素の妥当性チェック例を示す図である。
図33】サーフェス要素の妥当性チェック例を示す図である。
図34】第4の実施の形態における3次元モデルチェック装置100で実行される処理の流れを示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
―第1の実施の形態―
図1は、第1の実施の形態における3次元モデルチェック装置100の一実施の形態の構成を示すブロック図である。3次元モデルチェック装置100としては、例えば、サーバ装置やパソコン等が用いられ、図1は、3次元モデルチェック装置100としてパソコンを用いた場合の一実施の形態の構成を示している。3次元モデルチェック装置100は、操作部材101と、制御装置102と、記録装置103と、表示装置104とを備えている。
【0009】
操作部材101は、3次元モデルチェック装置100の操作者によって操作される種々の装置、例えばキーボードやマウスを含む。
【0010】
制御装置102は、CPU、メモリ、およびその他の周辺回路によって構成され、3次元モデルチェック装置100の全体を制御する。なお、制御装置102を構成するメモリは、例えばSDRAM等の揮発性のメモリである。このメモリは、CPUがプログラム実行時にプログラムを展開するためのワークメモリや、データを一時的に記録するためのバッファメモリとして使用される。
【0011】
記録装置103は、3次元モデルチェック装置100が蓄える種々のデータや、制御装置102が実行するためのプログラムのデータ等を記録するための記憶媒体で構成される記録装置であり、例えばHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等が用いられる。なお、記録装置103に記録されるプログラムのデータは、CD-ROMやDVD-ROMなどの記録媒体に記録されて提供されたり、ネットワークを介して提供されたりし、操作者が取得したプログラムのデータを記録装置103にインストールすることによって、制御装置102がプログラムを実行できるようになる。
【0012】
表示装置104は、例えば液晶ディスプレイなどであって、制御装置102によって出力された表示用データを表示するための装置である。
【0013】
第1の実施の形態における3次元モデルチェック装置100は、道路の設計を支援するためソフトウェアを用いて作成された3次元道路モデルの妥当性をチェックするための機能を備えている。ここで、3次元道路モデルの妥当性チェックは、3次元道路モデルと該3次元道路モデルの生成元となった道路の線形モデルとを比較して、3次元道路モデルと道路の線形モデルとの間に差異がないかをチェックすることにより行われる。
【0014】
本実施の形態における3次元モデルチェック装置100では、記録装置103に上記の3次元道路モデルを作成するためのソフトウェアで作成された3次元道路モデルのデータが記録されている。また、道路の線形モデルのデータとして、例えば線形計算書のCSVデータが記録されている。そして、制御装置102は、記録装置103に記録されている3次元道路モデルのデータと道路の線形モデルのデータを読み出して、3次元道路モデルの妥当性チェックのための処理を実行する。以下、制御装置102による処理の詳細について説明する。
【0015】
本実施の形態における3次元モデルチェック装置100の操作者、例えば、3次元道路モデルの妥当性チェックを実行する人物は、操作部材101を操作して、3次元道路モデルの妥当性チェックの開始を指示することができる。制御装置102は、操作者によって3次元道路モデルの妥当性チェックの開始が指示された場合には、記録装置103に記録されている3次元道路モデルの妥当性チェックのためのプログラムを起動する。これによって、表示装置104に3次元道路モデルの妥当性チェックを行うためのソフトウェアの画面が表示される。
【0016】
操作者は、画面上に妥当性チェックを行う道路の3次元道路モデルを表示させる。制御装置102は、操作者によって3次元道路モデルの表示が指示されると、記録装置103から該当する3次元道路モデルのデータと、該3次元道路モデルの生成元となった道路の線形モデルを読み出して表示装置104に表示する。このとき、制御装置102は、表示装置104に表示した3次元空間上に3次元道路モデルのデータと道路の線形モデルを重ね合わせて表示する。
【0017】
操作者は、操作部材101、例えばマウスを操作して、表示装置104で3次元空間上にある線形、すなわちポリラインを選択する。図2は、操作者によって3次元空間上で線形(ポリライン)2aが選択された場合の一例を模式的に示した図である。
【0018】
操作者は、操作部材101、例えばマウスを操作して、表示装置104で3次元空間上にある妥当性チェック対象の3次元モデルを選択する。図3は、操作者によって3次元空間上でモデル3aが選択された場合の一例を模式的に示した図である。
【0019】
制御装置102は、操作者によって選択された妥当性チェック対象の3次元モデルを対象として、面や線のグルーピングを行う。例えば、図3に示したモデル3aのように、一見すると単なる直方体に見えるモデルであっても、内部的には図4に示すように多数の面や線から構成されている場合がほとんどである。しかしながら、操作者は見た目が1つの面であればそれを1つの面と扱いたいし、見た目が1本の線であれば1本の線と扱いたいものである。このため、本実施の形態では、見た目が1つの面は1つの面として扱い、見た目が1本の線であれば1本の線と扱えるようにするために、以下に説明するように面や線のグルーピングを行う。
【0020】
まず、面のグルーピング処理について説明する。例えば、図5(A)に示す3次元モデル3aにおける面F´1のように操作者が1つの面として扱いたい面であっても、図5(B)に示すように3次元モデル3a上ではF1~F4の4つの面で構成されている場合がある。この場合には、制御装置102は、各面の法線を算出し、その法線ベクトルが所定の範囲内に入っている場合には、各面は1つのグループに属するものとしてグルーピングする。例えば、制御装置102は、図6に示すように、面F1の法線ベクトル6a、面F2の法線ベクトル6b、面F3の法線ベクトル6c、および面F4の法線ベクトル6dがあらかじめ設定された所定の範囲内に入っている場合に、面F1、F2、F3、およびF4をグルーピングする。これによって、3次元モデル3a上の4つの面F1~F4は1つの面F´1として扱えるようになる。面のグルーピング処理は、3次元モデル上の全ての面に対して行われ、例えば図5(B)では、同様に面F5と面F6もグルーピングされて、図7(A)に示す面F´2として扱えるようになる。
【0021】
次に、線のグルーピング処理について説明する。例えば、図7(A)に示す3次元モデル3aにおける線L´1のように操作者が1つの線として扱いたい線であっても、図7(B)に示すように3次元モデル3a上ではL1とL4の2本の線で構成されている場合がある。この場合には、制御装置102は、端点を共有している線であって、かつそれぞれのベクトルが所定の範囲内に入っている場合には、各線は1つのグループに属するものとしてグルーピングする。例えば、制御装置102は、図8に示すように、端点を共有する線L1のベクトル8aと線L4のベクトル8bが所定の範囲内に入っている場合に、線L1と線L4をグルーピングする。これによって、3次元モデル3a上の線L1と線L4は1本の線L´1として扱えるようになる。線のグルーピング処理は、L1~L11の全ての線を対象として行われ、例えば図7(B)では、同様に線L8と線L9もグルーピングされて、図7(A)に示す1本の線L4´として扱えるようになる。
【0022】
操作者は、表示装置104に表示されている妥当性チェック対象の3次元モデル3a上で、線形と比較する対象を選択する。本実施の形態では、操作者は、マウスを操作して3次元モデル3a上で面または線を指定することにより、線形と比較する対象を選択することができる。制御装置102は、例えば、図9(A)に示すように、操作者によって妥当性チェック対象の3次元モデル3a内の稜線上または稜線近傍の点9aがクリックされた場合には、クリックされた点9aに対応する線を比較対象として特定する。また、制御装置102は、例えば、図9(B)に示すように、操作者によって妥当性チェック対象の3次元モデル3a内の稜線以外の点9bがクリックされた場合には、クリックされた点9bを含む面を比較対象として特定する。
【0023】
制御装置102は、操作者によって選択された3次元モデル3a上の面または線と線形との間の距離を算出することによって、線形と3次元モデル3aとの差異を測定する。具体的には、操作者によって3次元モデル3a上で選択されたものが面である場合には、制御装置102は、図10に示すように、線形10a上の点から操作者によって選択された面10bに対して垂直な線をおろし、その線の長さを線形10a上の各点と面10bとの間の距離として算出する。このとき、距離を算出する線形10a上の点は、あらかじめ設定された距離ごと、例えば線形の始点から1m間隔に設定される。また、操作者によって3次元モデル3a上で選択されたものが線である場合には、制御装置102は、図11に示すように、線形11a上の点から操作者によって選択された線11bに対して垂直な線をおろし、その線の長さを線形11a上の各点と線11bとの間の距離として算出する。この場合も距離を算出する線形11a上の点は、あらかじめ設定された距離ごと、例えば線形の始点から1m間隔に設定される。
【0024】
制御装置102は、線形と3次元モデル3aとの差異の測定結果を表示装置104に出力して表示する。測定結果の表示方法は、例えば、図12に示すように、線形の始点からの距離(m)12aごとに、上記処理で算出した線形上の各点と操作者によって選択されたモデルとの離れ(mm)、すなわち線形上の各点と面または線との間の距離(mm)12bと、判定結果12cとが一覧表示される。
【0025】
本実施の形態では、このとき、制御装置102は、3次元道路モデルと線形モデルとの間の差異の大きさに応じて判定結果の表示を変更する。例えば、図12に示すように、判定結果12cは、あらかじめ判定のための閾値12dが設定されており、制御装置102は、モデルとの離れ(mm)12bとあらかじめ設定された閾値12dとを比較して、モデルとの離れ(mm)の大きさに応じて〇、△、×の三段階で測定結果を判定する。図12に示す例では、閾値12dは、モデルとの離れ(mm)が1.00mm以内の場合は〇、1.00mmより大きく10.00mm以内の場合は△、10.00mmより大きい場合は×と判定するように設定されている。なお、図12において、制御装置102は、判定結果12cに表示する〇、△、×を判定結果に応じて色分けしてもよい。例えば、制御装置102は、〇は青、△は黒、×は赤のように色分けして表示してもよい。
【0026】
また、制御装置102は、例えば図13に示すように、画面上に線形13aと3次元モデル13bとを表示し、線形13a上の各点に判定結果を表示する。図13では、線形13a上の各点に判定結果を示す〇、△、×を表示した例を示している。
【0027】
図14は、第1の形態における3次元モデルチェック装置100で実行される処理の流れを示すフローチャートである。図14に示す処理は、ユーザによって3次元道路モデルと該3次元道路モデルの生成元となった道路の線形モデルとを比較して3次元道路モデルの妥当性をチェックするための処理の開始が指示されると起動するプログラムとして、制御装置102によって実行される。
【0028】
ステップS10において、制御装置102は、上述したように、記録装置103から3次元道路モデルのデータと、該3次元道路モデルの生成元となった道路の線形モデルを読み出し、これらを重ね合わせて表示装置104に表示する。その後、ステップS20へ進む。
【0029】
ステップS20では、制御装置102は、上述したように、操作者によって3次元空間上にある線形が選択されたか否かを判断する。ステップS20で肯定判断した場合には、ステップS30へ進む。
【0030】
ステップS30では、制御装置102は、上述したように、操作者によって3次元空間上で妥当性チェック対象の3次元モデルが選択されたか否かを判断する。ステップS30で肯定判断した場合には、ステップS40へ進む。
【0031】
ステップS40では、制御装置102は、上述したように、操作者によって選択された妥当性チェック対象の3次元モデルを対象として、面や線のグルーピングを行う。その後、ステップS50へ進む。
【0032】
ステップS50では、制御装置102は、操作者によって、表示装置104に表示されている妥当性チェック対象の3次元モデル3a上で、線形と比較する面または線が比較対象として選択されたか否かを判断する。ステップS50で肯定判断した場合には、ステップS60へ進む。
【0033】
ステップS60では、制御装置102は、上述したように、操作者によって比較対象として選択された3次元モデル3a上の面または線と線形との間の距離を算出することによって、線形と3次元モデル3aとの差異を測定する。その後、ステップS70へ進む。
【0034】
ステップS70では、制御装置102は、制御装置102は、例えば図12図13に示したように、線形と3次元モデル3aとの差異の測定結果を表示装置104に出力して表示する。その後、処理を終了する。
【0035】
以上説明した第1の実施の形態によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
(1)制御装置102は、妥当性のチェック対象とする3次元道路モデルの選択を受け付け、選択された3次元道路モデルを対象として、3次元道路モデルの妥当性をチェックするための処理を実行し、3次元道路モデルの妥当性のチェック結果を表示装置に表示するようにした。これによって、操作者は、生成された3次元道路モデルの妥当性を確認することができる。
【0036】
(2)制御装置102は、3次元道路モデルと該3次元道路モデルの生成元となった道路の線形モデルとを比較して、3次元道路モデルと線形モデルとの間の差異を測定することにより、3次元道路モデルの妥当性をチェックするようにした。これによって、3次元道路モデルと該3次元道路モデルの生成元となった道路の線形モデルとの間に差異がないかを確認することができる。
【0037】
(3)制御装置102は、測定した3次元道路モデルと線形モデルとの間の差異の大きさに応じて、判定結果の表示を変更するようにした。これによって、操作者は、3次元道路モデルと線形モデルとの間の差異の大きさを視覚的に把握することができる。
【0038】
―第2の実施の形態―
第2の実施の形態では、3次元モデルチェック装置100は、事前に設計された2次元の道路図面と、該2次元の道路図面に基づいて道路の設計を支援するためソフトウェアを用いて作成された3次元道路モデルの差異を計測することにより、3次元道路モデルの妥当性をチェックするための機能について説明する。なお、第2の実施の形態では、図1に示した3次元モデルチェック装置100のブロック図は、第1の実施の形態と同様のため、説明を省略する。
【0039】
第2の実施の形態においても、3次元モデルチェック装置100では、記録装置103に3次元道路モデルを作成するためのソフトウェアで作成された3次元道路モデルのデータが記録されている。また、2次元の道路図面のデータとして、事前に設計されて作成された道路の2次元図面のデータが記録されている。そして、制御装置102は、記録装置103に記録されている3次元道路モデルのデータと2次元の道路図面のデータを読み出して、3次元道路モデルの妥当性チェックのための処理を実行する。以下、制御装置102による処理の詳細について説明する。
【0040】
操作者は、マウスを操作して、画面上で3次元道路モデルとの比較対象とする2次元の道路図面を指定する。操作者によって2次元の道路図面が指定されると、制御装置102は、指定された2次元の道路図面のデータを記録装置103から読み出して画面上に表示する。操作者は、画面上で2次元の道路図面が寸法通りに生成されているかを確認する。
【0041】
使用者は、マウスを操作して、画面上に表示された2次元の道路図面上に、3次元道路モデルとマッチングさせるための基準点を2点指定する。図15では、操作者によって2次元の道路図面上に基準点1と基準点2の2点が指定された例を示している。
【0042】
次に、操作者は、マウスを操作して、画面上で妥当性のチェック対象とする3次元道路モデルを選択する。操作者によって3次元道路モデルが指定されると、制御装置102は、指定された3次元道路モデルのデータを記録装置103から読み出して画面上に表示する。操作者は、画面上で3次元道路モデルが寸法通りに生成されているかを確認する。
【0043】
使用者は、マウスを操作して、画面上に表示された3次元道路モデル上に、2次元の道路図面とマッチングさせるための配置点を2点配置する。図16は、操作者によって3次元道路モデル上に配置点1と配置点2の2点が指定された例を示している。
【0044】
制御装置102は、操作者によって2次元の道路図面上に2つの基準点が指定され、3次元道路モデル上に2つの配置点が指定されると、2次元の道路図面と3次元道路モデルの差異を測定するための差異測定処理を実行する。以下、第2の実施の形態における差異測定処理について説明する。
【0045】
制御装置102は、2次元の道路図面から寸法線だけを抽出する。図17は、図17(A)に示す2次元の道路図面から、図17(B)に示すように寸法線を抽出した例を示している。
【0046】
制御装置102は、3次元道路モデルから、配置点1、配置点2、およびその鉛直方向の仮想点から一意の面を生成し、生成した面で対象となるモデルの断面図を取得する。図18は、図18(A)に示す3次元道路モデルから断面18aの断面図として、図18(B)に示す断面図が取得された例を示している。
【0047】
制御装置102は、上記の処理で取得した断面図を正規化する。3次元道路モデルから取得した断面図は、見た目は1本の線分であっても図19(A)に示すように複数の構成点をもつポリラインから構成されていることが多い。このため、制御装置102は、図19(A)に示す状態から不要な構成点を削除することによって断面図を正規化する。本実施の形態では、制御装置102は、その点が存在しなくても断面図の形状を維持できる構成点を不要な構成点として特定し、断面図上から削除する。これによって、図19(A)に示す断面図は、図19(B)に示すように正規化される。
【0048】
制御装置102は、3次元道路モデルから取得した断面図に、上述した処理で2次元の道路図面から抽出した寸法線を重ね合わせる。このとき、制御装置102は、2次元の道路図面上に指定された基準点1と3次元道路モデル上に指定された配置点1の座標値を合わせ、2次元の道路図面上に指定された基準点2と3次元道路モデル上に指定された配置点2についてはその向きを合わせて配置して重ね合わせを行う。これによって、例えば、図20に示すように、図20(A)に示す3次元道路モデルから取得した断面図と、図20(B)に示す2次元の道路図面から抽出した寸法線とを重ね合わせて、図20(C)に示す重ね合わせ図が生成される。
【0049】
制御装置102は、図20(C)に示した重ね合わせ図において、寸法線の端点に近い断面図の端点を抽出する。例えば、図20(C)に示した重ね合わせ図においては、図21に示すように、寸法線の端点S1に近い断面図の端点D1と、寸法線の端点S2に近い断面図の端点D2が抽出される。
【0050】
制御装置102は、図22(A)に示す3次元道路モデルから取得した断面図の端点D1とD2の水平方向の距離22aと、図22(B)に示す2次元の道路図面から抽出した寸法線の端点S1とS2との水平方向の距離22bとを比較することにより、2次元の道路図面と3次元道路モデルの差異を計測する。本実施の形態では、制御装置102は、距離22aと距離22bの差分を2次元の道路図面と3次元道路モデルの差異として算出する。
【0051】
制御装置102は、上述した処理によって計測した2次元の道路図面と3次元道路モデルの差異を示す情報を表示装置104に出力して表示する。本実施の形態では、制御装置102は、図23示すような表示結果をダイアログ表示するとともに、図24に示すように3次元道路モデルを上記の配置点1と配置点2でカットし、そこに2次元の道路図面を配置した状態の図を表示する。
【0052】
図25は、第2の形態における3次元モデルチェック装置100で実行される処理の流れを示すフローチャートである。図25に示す処理は、ユーザによって事前に設計された2次元の道路図面と、道路の設計を支援するためソフトウェアを用いて作成された3次元道路モデルの差異を計測して3次元道路モデルの妥当性をチェックするための処理の開始が指示されると起動するプログラムとして、制御装置102によって実行される。
【0053】
ステップS110において、制御装置102は、画面上で操作者によって3次元道路モデルとの比較対象とする2次元の道路図面が指定されたか否かを判断する。ステップS110で肯定判断した場合には、ステップS120へ進む。
【0054】
ステップS120では、制御装置102は、画面上に表示された2次元の道路図面上に、使用者によって、3次元道路モデルとマッチングさせるための基準点が2点指定されたか否かを判断する。ステップS120で肯定判断した場合には、ステップS130へ進む。
【0055】
ステップS130では、制御装置102は、操作者によって画面上で妥当性のチェック対象とする3次元道路モデルが選択されたか否かを判断する。ステップS130で肯定判断した場合には、ステップS140へ進む。
【0056】
ステップS140では、制御装置102は、画面上に表示された3次元道路モデル上に、使用者によって、2次元の道路図面とマッチングさせるための配置点が2点指定されたか否かを判断する。ステップS140で肯定判断した場合には、ステップS150へ進む。
【0057】
ステップS150では、制御装置102は、上述したように、2次元の道路図面と3次元道路モデルの差異を測定するための差異測定処理を実行する。その後、ステップS160へ進む。
【0058】
ステップS160では、制御装置102は、例えば図23図24に示したように、上述した処理によって計測した2次元の道路図面と3次元道路モデルの差異を示す情報を表示装置104に出力して表示する。その後、処理を終了する。
【0059】
以上説明した第2の実施の形態によれば、制御装置102は、事前に設計された2次元の道路図面と、3次元道路モデルの差異を計測することにより、3次元道路モデルの妥当性をチェックするようにしたので、事前に設計された2次元の道路図面と3次元道路モデルとの間に差異がないかを確認することができる。
【0060】
―第3の実施の形態―
第3の実施の形態では、3次元モデルチェック装置100は、道路の設計を支援するためソフトウェアを用いて作成された3次元道路モデルに基づいて、道路とその他の構造物との干渉の有無をチェックすることにより、3次元道路モデルの妥当性をチェックするための機能について説明する。なお、第3の実施の形態では、図1に示した3次元モデルチェック装置100のブロック図は、第1の実施の形態と同様のため、説明を省略する。
【0061】
第3の実施の形態においても、3次元モデルチェック装置100では、記録装置103に3次元道路モデルを作成するためのソフトウェアで作成された3次元道路モデルのデータが記録されている。そして、制御装置102は、記録装置103に記録されている3次元道路モデルのデータを読み出して、3次元道路モデルの妥当性チェックのための処理を実行する。以下、制御装置102による処理の詳細について説明する。
【0062】
操作者は、表示装置104に表示された3次元道路モデル上で、構造物の干渉チェックを行う対象道路の中心線をマウス操作により選択する。図26は、操作者によって3次元道路モデル上で道路中心線26aが選択された場合の例を示している。
【0063】
操作者は、図27に示す建築限界条件設定画面を表示装置104に表示させて、対象道路の建築限界の条件を設定する。建築限界は道路構造令により規定されており、路肩の有無や設計区分によって幅や高さが異なっており、操作者は、対象道路に合わせて建築限界の条件を設定する。
【0064】
制御装置102は、対象道路の道路中心線と設定された建築限界条件とに基づいて、3次元道路モデル上に建築限界を表す境界面を道路中心線に沿って構築する。以下、3次元道路モデル上に建築限界を表す境界面を構築するための処理について説明する。
【0065】
制御装置102は、道路中心線上に所定間隔で境界面の配置基準点を設定し、該配置基準点を基準として建築限界条件に合わせて建築限界領域を配置する。図28(A)は、道路中心線上に設定した基準点28aに対して建築限界領域28bを配置した例を示している。また、図28(B)は、道路中心線26a上の各基準点28aごとに建築限界領域28bを配置した例を示している。
【0066】
制御装置102は、図29に示すように、各基準点ごとに配置した建築限界領域の各構成点を結んで建築限界条件を表す境界面29aを構築する。
【0067】
制御装置102は、上記の処理で構築した建築限界条件を表す境界面29aと他の構造物との干渉の有無を確認する。具体的には、制御装置102は、境界面29aと他の構造物の面との交差計算を行い、交差していれば境界面29aと他の構造物の面とは干渉していると判定し、交差していなければ境界面29aと他の構造物の面とは干渉していないと判定する。そして、制御装置102は、例えば図30に示すように、3次元道路モデル上で対象道路の他の構造物と干渉している範囲を表示する。図30では、対象道路の他の構造物と干渉している範囲30aを実線で表している。なお、制御装置102は、例えば、3次元道路モデル上で対象道路の他の構造物と干渉している部分を赤い線で示すことにより、干渉範囲をわかりやすく表示するようにしてもよい。
【0068】
図31は、第3の形態における3次元モデルチェック装置100で実行される処理の流れを示すフローチャートである。図31に示す処理は、道路とその他の構造物との干渉の有無をチェックして3次元道路モデルの妥当性をチェックするための処理の開始が指示されると起動するプログラムとして、制御装置102によって実行される。
【0069】
ステップS210において、制御装置102は、表示装置104に表示された3次元道路モデル上で、操作者によって構造物の干渉チェックを行う対象道路の中心線が選択されたか否かを判断する。ステップS210で肯定判断した場合には、ステップS220へ進む。
【0070】
ステップS220では、制御装置102は、操作者によって、図27に示した建築限界条件設定画面上で対象道路の建築限界の条件が設定されたか否かを判断する。ステップS220で肯定判断した場合には、ステップS230へ進む。
【0071】
ステップS230では、制御装置102は、上述したように、対象道路の道路中心線と設定された建築限界条件とに基づいて、3次元道路モデル上に建築限界を表す境界面を道路中心線に沿って構築する。その後、ステップS240へ進む。
【0072】
ステップS240では、制御装置102は、上述したように、上記の処理で構築した建築限界条件を表す境界面と他の構造物との干渉の有無を確認するための干渉チェック処理を実行する。その後、ステップS250へ進む。
【0073】
ステップS250では、制御装置102は、上述したチェック処理の結果に基づいて、例えば図30に示したように、3次元道路モデル上に対象道路の他の構造物と干渉している範囲がわかるように表示して表示装置104に出力して表示する。その後、処理を終了する。
【0074】
以上説明した第3の実施の形態によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
(1)制御装置102は、3次元道路モデルに基づいて、道路とその他の構造物との干渉の有無をチェックすることにより、3次元道路モデルの妥当性をチェックするようにした。これによって、3次元道路モデルの道路が他の構造物と干渉していないかを確認することができる。
【0075】
(2)制御装置102は、道路とその他の構造物とが干渉する場合には、3次元道路モデル上で道路の他の構造物と干渉している範囲を表示するようにした。これによって、操作者は、3次元道路モデル上で道路の他の構造物と干渉している範囲を視覚的に把握することができる。
【0076】
―第4の実施の形態―
第4の実施の形態では、3次元モデルチェック装置100は、道路の設計を支援するためソフトウェアを用いて作成された3次元道路モデルに基づいて、3次元道路モデルの中に、隙間がある要素、はみ出しがある要素、閉じていない要素、または自己交差がある要素が存在しないかをチェックすることにより、3次元道路モデルの妥当性をチェックするための機能について説明する。なお、第4の実施の形態では、図1に示した3次元モデルチェック装置100のブロック図は、第1の実施の形態と同様のため、説明を省略する。
【0077】
第4の実施の形態においても、3次元モデルチェック装置100では、記録装置103に3次元道路モデルを作成するためのソフトウェアで作成された3次元道路モデルのデータが記録されている。そして、制御装置102は、記録装置103に記録されている3次元道路モデルのデータを読み出して、3次元道路モデルの妥当性チェックのための処理を実行する。以下、制御装置102による処理の詳細について説明する。
【0078】
操作者は、表示装置104に表示された3次元道路モデル上で、確認を行いたいソリッド要素やサーフェス要素などの対象要素をマウスを操作して選択する。制御装置102は、操作者によって選択された対象要素を対象として、以下のチェック処理を行う。
【0079】
制御装置102は、操作者によって選択された対象要素がソリッド要素である場合には、対象要素の隙間の有無、はみ出しの有無、および自己交差の有無をチェックする。具体的には、制御装置102は、ソリッド要素において閉じていない面が存在する場合は、そのソリッド要素には隙間があると判定する。例えば、図32(A)においては、ソリッド要素の面上に閉じていない領域32a~32dが存在しているため、このような場合に対象要素には隙間があると判定する。
【0080】
また、制御装置102は、ソリッド要素において構成点の中に3つの稜線を共有していない点、すなわち3つの稜線に接続されていない点が存在する場合は、そのソリッド要素にははみ出しがあると判定する。例えば、図32(B)においては、ソリッド要素に3つの稜線を共有していない点32e~32gが存在しているため、このような場合に対象要素にははみ出しがあると判定する。
【0081】
また、制御装置102は、ソリッド要素に含まれるオブジェクトの構成点が他のオブジェクトの内側にあれば、そのソリッド要素には自己交差があると判定する。例えば、図32(C)に示す例では、点線で示したオブジェクト32hと32iが存在するため、このような場合に対象要素には自己交差があると判定する。
【0082】
制御装置102は、操作者によって選択された対象要素がサーフェス要素である場合には、対象要素の閉じていない面の有無をチェックする。具体的には、制御装置102は、サーフェス要素において他の構成点と線分を共有していない点がある場合には、そのサーフェス要素は閉じていない面であると判定する。例えば、図33においては、サーフェス要素の構成点の中に他の構成点と線分を共有していない点33aと33bが存在しているため、このような場合に対象要素には閉じていないと判定する。
【0083】
制御装置102は、上記のチェック処理の結果、3次元道路モデルの中に隙間がある要素、はみ出しがある要素、閉じていない要素、または自己交差がある要素が存在すると判定した場合には、操作者が3次元道路モデル上で隙間がある要素、はみ出しがある要素、閉じていない要素、または自己交差がある要素を把握できるような表示形態で表示装置104に3次元道路モデルを表示する。例えば、制御装置102は、3次元道路モデル上の隙間がある要素、はみ出しがある要素、閉じていない要素、または自己交差がある要素を赤い線で表示するなどすればよい。
【0084】
図34は、第4の形態における3次元モデルチェック装置100で実行される処理の流れを示すフローチャートである。図34に示す処理は、3次元道路モデルの中に、隙間がある要素、はみ出しがある要素、閉じていない要素、または自己交差がある要素が存在しないかをチェックして3次元道路モデルの妥当性をチェックするための処理の開始が指示されると起動するプログラムとして、制御装置102によって実行される。
【0085】
ステップS310において、制御装置102は、表示装置104に表示された3次元道路モデル上で、操作者によって確認を行いたいソリッド要素やサーフェス要素などの対象要素が選択されたか否かを判断する。ステップS310で肯定判断した場合には、ステップS320へ進む。
【0086】
ステップS320では、制御装置102は、上述したように、対象要素に応じたチェック処理を行って、対象要素が隙間がある要素、はみ出しがある要素、閉じていない要素、または自己交差がある要素であるかをチェックするための処理を実行する。その後、ステップS330へ進む。
【0087】
ステップS330では、制御装置102は、チェック処理の結果、3次元道路モデルの中に隙間がある要素、はみ出しがある要素、閉じていない要素、または自己交差がある要素が存在すると判定した場合には、操作者が3次元道路モデル上で隙間がある要素、はみ出しがある要素、閉じていない要素、または自己交差がある要素を把握できるような表示形態で表示装置104に3次元道路モデルを表示する。その後、処理を終了する。
【0088】
以上説明した第4の実施の形態によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
(1)制御装置102は、3次元道路モデルの中に、隙間がある要素、はみ出しがある要素、閉じていない要素、または自己交差がある要素が存在しないかをチェックすることにより、3次元道路モデルの妥当性をチェックするようにした。これによって、3次元道路モデルの中に正常ではない要素が含まれていないかを確認することができる。
【0089】
(2)制御装置102は、操作者によって確認対象として選択された要素がソリッド要素である場合には、該ソリッド要素の隙間の有無、はみ出しの有無、および自己交差の有無をチェックし、操作者によって確認対象として選択された要素がサーフェス要素である場合には、該サーフェス要素の閉じていない面の有無をチェックするようにした。これによって、対象要素がソリッド要素である場合、およびサーフェス要素である場合のそれぞれについて、要素に応じたチェックを実施することができる。
【0090】
―変形例―
なお、上述した実施の形態の3次元モデルチェック装置100は、以下のように変形することもできる。
【0091】
(1)上述した実施の形態では、3次元モデルチェック装置100としては、例えば、サーバ装置やパソコン等が用いられる例について説明した。しかしながら、上述した処理を実行することができる装置であれば、サーバ装置やパソコンには限定されない。
【0092】
なお、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、本発明は、上述した実施の形態における構成に何ら限定されない。また、上述の実施の形態と複数の変形例を組み合わせた構成としてもよい。
【符号の説明】
【0093】
100 3次元モデルチェック装置
101 操作部材
102 制御装置
103 記録装置
104 表示装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
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図22
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図26
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図28
図29
図30
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図33
図34