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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-21
(45)【発行日】2023-09-29
(54)【発明の名称】エルボーアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/08 20060101AFI20230922BHJP
   A61M 16/06 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
A61M16/08 330
A61M16/06 A
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021032494
(22)【出願日】2021-03-02
(62)【分割の表示】P 2018533974の分割
【原出願日】2016-09-23
(65)【公開番号】P2021090831
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2021-03-19
(31)【優先権主張番号】62/222,435
(32)【優先日】2015-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/376,718
(32)【優先日】2016-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500046450
【氏名又は名称】レスメド・プロプライエタリー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ラックラン・リチャード・ゴールズピンク
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・アンソニー・パターソン
(72)【発明者】
【氏名】シヴァ・クマール・シャンムガ・スンダラ
(72)【発明者】
【氏名】スカイ・キンバリー・ショート
(72)【発明者】
【氏名】ハルゴパル・ヴァーマ
【審査官】菊地 牧子
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-520576(JP,A)
【文献】特表2008-507305(JP,A)
【文献】特開2013-116409(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者インターフェースのためのエルボーアセンブリであって、
前記患者インターフェースへ接続するように適合されたコンポーネントを備え、
前記コンポーネントは、ガス吐出のための複数の通気穴を含み、
前記コンポーネントは、内側ラジアル壁および外側ラジアル壁を含み、
前記内側ラジアル壁は、円筒形であり、加圧ガスの流入流れを案内するように構成された円筒形の流路を形成し、
前記外側ラジアル壁は、円筒形であり、
前記内側ラジアル壁および前記外側ラジアル壁は、排出ガスの排出流れを前記複数の通気穴へ案内するように構成された環状導管を形成するように協働しており、
前記環状導管は、前記円筒形の流路と同軸上に配置されており、且つ前記円筒形の流路のラジアル方向外側に配置されており、
前記内側ラジアル壁は、前記加圧ガスの流入流れを前記排出ガスの排出流れから分離するように構成されたバッフルとして機能し、
前記複数の通気穴は、前記排出ガスが前記エルボーアセンブリから略ラジアル方向外向きに方向付けられるのを可能するように、前記外側ラジアル壁に沿って設けられており、
前記環状導管は、前記排出ガスが前記複数の通気穴から大気中に出る場合に、前記排出流れを前記環状導管の略軸方向から前記略ラジアル方向外向きに案内するように構成され、
前記内側ラジアル壁の少なくとも1部分は、ノイズを低減させかつ/または患者の顔の敏感な部分上への直接的流れを最小限にするような様態で流れを再度方向付けするような構造および配置にされた内方に延びるリップまたはシェブロンを含む、エルボーアセンブリ。
【請求項2】
前記コンポーネントは、スイベルコンポーネントであり、
前記スイベルコンポーネントは、前記患者インターフェースに対して前記エルボーアセンブリを回転させることができるように適合される、請求項1に記載のエルボーアセンブリ。
【請求項3】
前記スイベルコンポーネントは、スイベル軸に関して前記患者インターフェースに対する前記エルボーアセンブリの360度自由回転を可能にするように適合される、請求項2に記載のエルボーアセンブリ。
【請求項4】
前記スイベルコンポーネントは、前記患者インターフェースと硬質間接続を含む、請求項2又は3に記載のエルボーアセンブリ。
【請求項5】
前記スイベルコンポーネントは、漏洩を最小化及び制御するために、前記エルボーアセンブリの前記外側ラジアル壁と前記患者インターフェースとの間の軸方向のシールおよびラジアル方向のシールを形成するような構造にされる、請求項2~4のいずれか一項に記載のエルボーアセンブリ。
【請求項6】
空気回路へ接続するように構成されたエルボーコンポーネントをさらに備え、
前記スイベルコンポーネント及び前記エルボーコンポーネントは、結合された場合に、前記スイベルコンポーネント及び前記エルボーコンポーネントを通じて前記空気回路から前記患者インターフェースへの流路を提供する、請求項2~5のいずれか一項に記載のエルボーアセンブリ。
【請求項7】
前記複数の通気穴への別個の流路を提供するように、前記環状導管内に軌道または導流壁をさらに備える、請求項1~6のうちいずれか一項に記載のエルボーアセンブリ。
【請求項8】
各通気穴及び関連した流路は、略U字型の断面形状を含む、請求項7に記載のエルボーアセンブリ。
【請求項9】
前記通気穴及び関連した流路は、前記エルボーアセンブリの外周の一部に沿ってのみ設けられる、請求項7又は8に記載のエルボーアセンブリ。
【請求項10】
前記リップ又は前記シェブロンは、前記排出流れから離れて前記流入流れを再度方向付けするような構造および配置にされる、請求項1~9のいずれか一項に記載のエルボーアセンブリ。
【請求項11】
前記リップ又は前記シェブロンは曲線状であり、前記内側ラジアル壁から前記入ってくる加圧空気の前記流入流れに向けて内方に延びる、請求項1~10のいずれか一項に記載のエルボーアセンブリ。
【請求項12】
前記リップ又は前記シェブロンは、前記内側ラジアル壁の外周の上側または上部に沿って設けられる、請求項1~11のうちいずれか一項に記載のエルボーアセンブリ。
【請求項13】
前記複数の通気穴は、少なくとも20個の通気穴を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のエルボーアセンブリ。
【請求項14】
前記複数の通気穴のそれぞれの出口端に隣接して配置された拡散機材料をさらに含む、請求項1~13のいずれか一項に記載のエルボーアセンブリ。
【請求項15】
前記コンポーネントは、一体型のワンピース構造を備える、請求項1~14のいずれか一項に記載のエルボーアセンブリ。
【請求項16】
前記コンポーネントは、前記内側ラジアル壁と前記外側ラジアル壁との間にベース壁をさらに備えており、
前記ベース壁は、前記排出流れを前記略軸方向から前記略ラジアル方向外向きへ滑らかに案内するように湾曲表面を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載のエルボーアセンブリ。
【請求項17】
空気回路に接続されるように適合されたエルボーコンポーネントをさらに備えており、
前記内側ラジアル壁は、前記エルボーコンポーネントを係合するように構成された内壁を含む開口部を形成する、請求項1~16のいずれか一項に記載のエルボーアセンブリ。
【請求項18】
前記内側ラジアル壁は、前記開口部内に前記エルボーコンポーネントを保持するように構成されたリムを含む、請求項17に記載のエルボーアセンブリ。
【請求項19】
前記エルボーコンポーネントは、球窩継手を形成するために、前記開口部内に係合された球部分を含む、請求項17又は18に記載のエルボーアセンブリ。
【請求項20】
前記外側ラジアル壁は、前記患者インターフェースのフレームアセンブリを係合するように構成される、請求項1~19のいずれか一項に記載のエルボーアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.関連出願の相互参照
本出願は、米国仮特許出願第62/222,435号(出願日:2015年9月23日)、および米国仮特許出願第62/376,718号(出願日:2016年8月18日)の利益を主張する。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する。
【0002】
2.技術の背景
2.1 技術分野
本技術は、呼吸関連疾患の検出、診断、治療、予防および改善のうち1つ以上に関する。本技術は、医療デバイスまたは装置およびその使用にも関する。
【背景技術】
【0003】
2.2 関連技術の説明
2.2.1 ヒトの呼吸器系およびその疾患
身体の呼吸器系は、ガス交換を促進させる。鼻および口腔は、患者の気道への入口を形成する。
【0004】
これらの気道は、一連の分岐する管を含み、これらの管は、肺の奥深くに進むほど狭く、短くかつ多数になる。肺の主要な機能はガス交換であり、空気から酸素を静脈血中へ取り入れさせ、二酸化炭素を退出させる。気管は、右および左の主気管支に分かれ、これらの主気管支はさらに分かれて、最終的に終末細気管支となる。気管支は、伝導のための気道を構成するものであり、ガス交換には関与しない。気道がさらに分割されると呼吸細気管支となり、最終的には肺胞となる。肺の肺胞領域においてガス交換が行われ、この領域を呼吸ゾーンと呼ぶ。以下を参照されたい:「Respiratory Physiology」, by John B. West, Lippincott Williams & Wilkins, 9th edition published 2011。
【0005】
一定範囲の呼吸器疾患が存在している。特定の疾患は、特定の発症(例えば、無呼吸、呼吸低下および過呼吸)によって特徴付けられ得る。
【0006】
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は、睡眠呼吸障害(SDB)の1つの形態であり、睡眠時の上通気道の閉鎖または閉塞などの発症によって特徴付けられる。これは睡眠時の異常に小さな上気道および舌領域における筋緊張の正常欠損、軟口蓋および後中咽頭壁の組み合わせに起因する。このような状態に起因して、罹患患者の呼吸停止が典型的には30~120秒にわたり、ときには一晩に200~300回も呼吸が停止する。その結果、日中の眠気が過度になり、心血管疾患および脳損傷の原因になり得る。この症候は一般的な疾患であり、特に中年の過体重の男性に多いが、患者に自覚症状は無い。特許文献1を参照されたい。
【0007】
チェーン・ストークス呼吸(CSR)は、別の形態の睡眠呼吸障害である。CSRは、患者の呼吸調節器の疾患であり、CSRサイクルとして知られる換気の漸増および漸減が交互に周期的に続く。CSRは、動脈血の脱酸素および再曝気の繰り返しによって特徴付けられる。反復低酸素症のため、CSRは有害であり得る。患者によっては、CSRに関連して睡眠から何度も目覚める者もおり、不眠が深刻化し、交感神経作用が増加し、後負荷が増加する。特許文献2を参照されたい。
【0008】
呼吸不全とは、呼吸器障害の総称であり、患者の需要を満たすための充分な酸素吸気または充分なCO呼気を肺が行うことができていないことを指す。呼吸不全は、以下の疾患のうちいくつかまたは全てを包含し得る。
【0009】
呼吸不全(一種の呼吸不全)の患者は、運動時に異常な息切れを経験することがある。
【0010】
肥満過換気症候群(OHS)は、低換気の原因が他に明確に無い状態における、重症肥満および覚醒時慢性高炭酸ガス血症の組み合わせとして定義される。症状には、呼吸困難、起床時の頭痛と過剰な日中の眠気が含まれる。
【0011】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、特定の共通する特性を有する下気道疾患のグループのうちのいずれも包含する。これには空気の動きに対する抵抗の増加、呼吸の呼気相の延長および肺における正常な弾性の減少が含まれる。COPDの例として、気腫および慢性気管支炎がある。COPDの原因としては、慢性喫煙(第一危険因子)、職業被ばく、空気汚染および遺伝因子がある。症状を挙げると、労作時の呼吸困難、慢性咳および痰生成がある。
【0012】
神経筋疾患(NMD)は、内在筋病理を直接介してまたは神経病理を間接的に介して筋肉機能を損なう多数の疾病および病気を包含する広範な用語である。NMD患者の中には、進行性の筋肉障害によって特徴付けられる者もあり、結果的に歩行不可能、車椅子への束縛、嚥下困難、呼吸筋力低下に繋がり、最終的には呼吸不全による死亡に繋がる。神経筋肉障害は、以下の急速進行性と緩徐進行性とに区分され得る:(i)急速進行性障害:数ヶ月かけて悪化する筋肉障害によって特徴付けられ、数年内に死亡に繋がる(例えば、ティーンエージャーにおける筋萎縮性側索硬化症(ALS)およびデュシェンヌ筋ジストロフィー(DMD));(ii)可変性または緩徐進行性障害:数年かけて悪化する筋肉障害によって特徴付けられ、平均余命が若干低減するだけである(例えば、肢帯、顔面肩甲上腕型および筋強直性筋ジストロフィー)。NMDにおける呼吸不全症状を以下に挙げる:全身衰弱の増加、嚥下障害、労作および安静時の呼吸困難、疲労、眠気、起床時の頭痛、および集中および気分の変化の困難。
【0013】
胸壁障害は、胸郭変形の1つのグループであり、呼吸筋肉と胸郭との間の連結の無効性の原因となる。これらの障害は、拘束性障害によって主に特徴付けられ、長期の炭酸過剰性呼吸不全の可能性を共有する。脊柱側弯症および/または後側弯症は、重篤な呼吸不全を発症することがある。呼吸不全の症状を以下に挙げる:労作時の呼吸困難、末梢浮腫、起座呼吸、反復性胸部感染症、起床時の頭痛、疲労、睡眠の質の低下、および食欲不振。
【0014】
このような状態を治療または改善するために、一定範囲の治療が用いられている。さらに、その他の点では健常人も、呼吸器疾患の予防治療を有利に利用することができる。しかし、これらにおいては、複数の欠陥がある。
【0015】
2.2.2 治療法
持続的気道陽圧(CPAP)療法が、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の治療において用いられている。その作用機構としては、例えば軟口蓋および舌を押して後中咽頭壁へ前進または後退させることにより、持続陽圧呼吸療法が空気スプリントとして機能し、これにより上気道の閉鎖を防止し得る。CPAP治療によるOSAの治療は自発的なものであり得るため、このような患者が治療の提供に用いられるデバイスについて以下のうち1つ以上に気づいた場合、患者が治療を遵守しないことを選択する可能性がある:不快、使用困難、高価、美観的な魅力の無さ。
【0016】
非侵襲的換気(NIV)は、換気補助を上気道を通じて患者へ提供して、呼吸機能の一部または全体を行うことにより患者の呼吸の補助および/または身体中の適切な酸素レベルの維持を提供する。換気補助が、非侵襲的患者インターフェースを介して提供される。NIVは、OHS、COPD、NMD、および胸壁障害などの形態のCSRおよび呼吸不全の治療に用いられている。いくつかの形態において、これらの治療の快適性および有効性が向上し得る。
【0017】
侵襲的換気(IV)は、自身で有効に呼吸することができなくなった患者に対して換気補助を提供し、気管切開管を用いて提供され得る。いくつかの形態において、これらの治療の快適性および有効性が向上し得る。
2.2.3 治療システム
【0018】
これらの治療は、治療システムまたはデバイスによって提供され得る。このようなシステムおよびデバイスは、疾患を治療することなく診断するためにも、用いられ得る。
【0019】
治療システムは、呼吸圧力治療デバイス(RPTデバイス)、空気回路、加湿器、患者インターフェース、およびデータ管理を含み得る。
【0020】
別の形態の治療システムとして、下顎再位置決めデバイスがある。
【0021】
2.2.3.1 患者インターフェース
患者インターフェースは、例えば気道入口への空気流れを提供することにより呼吸装具へのインターフェースを装着者へ提供するために、用いられ得る。空気流れは、鼻および/または口腔へのマスク、口腔への管、または患者気管への気管切開管を介して提供され得る。適用される療法に応じて、患者インターフェースは、例えば患者の顔の領域との密閉部を形成し得、これにより、療法実行のための雰囲気圧力と共に充分な分散の圧力において(例えば、例えば雰囲気圧力に対して約10cmHOの陽圧において)ガス送達を促進する。酸素送達などの他の治療形態において、患者インターフェースは、約10cmHOの陽圧において気道へのガス供給の送達を促進するのに充分な密閉を含まない場合がある。
【0022】
特定の他のマスクシステムは、本分野において機能的に不適切であり得る。例えば、純然たる装飾目的のマスクの場合、適切な圧力を維持することができない場合がある。水中水泳またはダイビングに用いられるマスクシステムは、外部からのより高い圧力からの水侵入から保護することと、周囲よりも高い圧力において内部の空気を維持しないこととを行うように、構成され得る。
【0023】
特定のマスクは、本技術において臨床的に好ましく無い場合があり得る(例えば、マスクが鼻を介して気流を遮断し、口を介した気流のみを通過させる場合)。
【0024】
特定のマスクにおいて、患者がマスク構造の一部を口に挿入し、唇を介して密閉状態を生成および維持しなければならない場合、本技術において不快であるかまたは非実際的である場合がある。
【0025】
特定のマスクは、睡眠時(例えば、横向きにベッドに寝て枕の上に頭を置いた状態で睡眠する場合)における使用においては非実際的である場合がある。
【0026】
患者インターフェースの設計においては、複数の課題がある。顔は、複雑な三次元形状を有する。鼻および頭のサイズおよび形状は、個人によって大きく異なる。頭部には骨、軟骨および軟組織が含まれるため、顔の異なる領域は、機械的力に対して異なる反応を示す。すなわち、顎部または下顎は、頭蓋骨の他の骨に相対して動き得る。頭部全体は、呼吸治療期間を通じて動き得る。
【0027】
これらの課題に起因して、いくつかのマスクの場合、特に装着時間が長い場合または患者がシステムに不慣れである場合、押しつけがましい、美観的に望ましくない、コストが高い、フィット感が悪い、使用が困難、および不快感があるなどの理由のうち1つ以上がある。誤ったサイズのマスクが用いられた場合、適応性の低下、快適性の低下および患者予後の低下に繋がり得る。飛行士専用のマスク、個人用保護装具(例えば、フィルターマスク)、SCUBAマスクの一部として設計されたマスク、または麻酔投与用マスクは、その元々の用途には耐えられるものの、このようなマスクの場合、長時間(例えば、数時間)にわたって装着するには望ましくないほど不快な場合がある。このような不快感に起因して、治療に対する患者の承諾が低下する可能性がある。これは、マスクを睡眠時に装着する必要がある場合、特に当てはまる。
【0028】
CPAP治療は、患者が治療を承諾している場合、特定の呼吸疾患の治療においては極めて効果的である。マスクが不快である場合または使用が難しい場合、患者は、治療を承諾しない場合がある。患者はマスクを定期的に洗浄するよう推奨されることが多いため、マスクの清浄が難しい(例えば、組立または分解が困難である場合)、患者は、マスクを清浄することができず、患者の承諾に影響が出る場合がある。
【0029】
他の用途(例えば、飛行士)用のマスクの場合、睡眠呼吸障害の治療の使用には不適である場合があるため、睡眠呼吸障害の治療の使用のために設計されたマスクは、他の用途に適している場合がある。
【0030】
これらの理由のめ、睡眠時のCPAP送達のための患者インターフェースは、明瞭な分野を形成する。
【0031】
2.2.3.1.1 シール形成部分
患者インターフェースは、シール形成部分を含み得る。患者インターフェースは、患者の顔と直接接触するため、シール形成部分の形状および構成は、患者インターフェースの有効性および快適性に直接影響を持ち得る。
【0032】
患者インターフェースは、使用時にシール形成部分を顔と係合させる場所の設計意図に従って、部分的に特徴付けられ得る。患者インターフェースの一形態において、シール形成部分は、各左鼻孔および右鼻孔と係合する2つのサブ部分を含み得る。患者インターフェースの一形態において、シール形成部分は、使用時において双方の鼻孔を包囲する単一の要素を含み得る。このような単一の要素は、例えば顔の上唇領域および鼻梁領域上に載置されるように、設計され得る。患者インターフェースの一形態において、シール形成部分は、使用時に例えば顔の下唇領域上に密閉を形成することにより口腔領域を包囲する要素を含み得る。患者インターフェースの一形態において、シール形成部分は、使用時に双方の鼻孔および口腔領域を包囲する単一の要素を含み得る。これらの異なる種類の患者インターフェースは、その製造業者によって鼻マスク、フルフェイスマスク、鼻枕、鼻パフおよび口鼻マスクなどの多様な名称によって公知であり得る。
【0033】
患者の顔の一領域において有効であり得るシール形成部分は、例えば患者の顔の異なる形状、構造、変化性および感受性領域に起因して、別の領域において不適切であり得る。例えば、患者の額上に載置される水泳用ゴーグルの密閉部は、患者の鼻上における使用には不適切である場合がある。
【0034】
特定のシール形成部分は、広範囲の異なる顔形状およびサイズに対して1つの設計が適合し、快適でありかつ有効になるように、大量製造用に設計され得る。密閉部を形成するためには、患者の顔の形状と、大量製造された患者インターフェースのシール形成部分との間の不整合がある範囲まで、一方または双方を適合させる必要がある。
【0035】
1つの種類のシール形成部分は、患者インターフェースの周囲を包囲して延び、シール形成部分が患者の顔に対向して係合している状態で力が患者インターフェースへ付加された際、患者の顔を密閉することを意図する。このシール形成部分は、空気または流体充填クッションを含み得るか、または、ゴムなどのエラストマーによって構成された弾力性のある密閉要素の成形された、または形成された表面を含み得る。この種のシール形成部分により、フィット感が不適切である場合、シール形成部分と顔との間に隙間が発生し、密閉を達成するには、患者インターフェースを顔に押しつけるためにさらなる力が必要になる。
【0036】
別の種類のシール形成部分は、陽圧がマスク内に付加された際に患者の顔に対して自己気密作用を提供するように、マスクの周囲の周辺に配置された薄材のフラップシールを使用する。先述の種類のシール形成部分と同様に、顔とマスクとの間の整合が良くない場合、密閉を達成するために必要なさらなる力が必要になり得るか、またはマスクから漏洩が発生し得る。さらに、シール形成部分の形状が患者の形状と整合しない場合、使用時においてシール形成部分に折り目または座屈が発生し、漏洩の原因になる。
【0037】
別の種類のシール形成部分は、例えば鼻孔中へ挿入される摩擦嵌め要素を含み得るが、これらのシール形成部分を不快であると感じる患者も存在する。
【0038】
別の形態のシール形成部分は、密閉を達成するために接着部を用い得る。患者の中には、常に接着部を自身の顔に貼り付けるかまたは取り外すことが不便であると感じる患者もいる。
【0039】
一定範囲の患者インターフェースシール形成部分の技術について、(ResMed Limitedへ譲渡された、特許文献3、特許文献4、特許文献5)に開示がある。
【0040】
鼻枕の一形態が、Puritan Bennettによって製造されたAdam回路において見受けられる。別の鼻枕または鼻パフが、Puritan-Bennett Corporationへ譲渡された特許文献6の主題になっている。
【0041】
ResMed Limitedは、鼻枕を用いた以下の製品を製造している:SWIFT(登録商標)鼻枕マスク、SWIFT(登録商標)II鼻枕マスク、SWIFT(登録商標)LT鼻枕マスク、SWIFT(登録商標)FX鼻枕マスクおよびMIRAGELIBERTY(登録商標)フルフェイスマスク。ResMed Limitedへ譲渡された以下の特許出願において、鼻枕マスクの実施例についての記載がある:特許文献7(特に、ResMed LimitedのSWIFT(登録商標)鼻枕の様相を記載)、特許文献8(特に、ResMed LimitedのSWIFT(登録商標)LT鼻枕の様相を記載);特許文献9および特許文献10(特に、ResMed LimitedのMIRAGE LIBERTY(登録商標)フルフェイスマスクの様相を記載);特許文献11(特に、ResMed LimitedのSWIFT(登録商標)FX鼻枕の様相を記載)。
【0042】
2.2.3.1.2 位置決めおよび安定化
陽圧空気治療に用いられる患者インターフェースのシール形成部分は、密閉を妨害する空気圧力の対応する力を受ける。そのため、シール形成部分を位置決めすることと、顔の適切な部分に対して密閉を維持することとを行うために、多様な技術が用いられている。
【0043】
1つの技術において、接着部が用いられる。例えば、特許文献12を参照されたい。しかし、接着部を用いた場合、不快感がある場合がある。
【0044】
別の技術において、1つ以上のストラップおよび/または安定化ハーネスが用いられる。多数のこのようなハーネスの場合、フィット感が悪い、かさばる、不快および扱いにくいなどの点のうち1つ以上が当てはまる。
【0045】
2.2.3.2 呼吸圧力治療(RPT)デバイス
空気圧生成器は、広範な用途(例えば、工業規模通気システム)において公知である。しかし、医療用途のための空気圧生成器は、より一般的な空気圧生成器(例えば、医療機器の信頼性要件、サイズ要件および重量要件)では満足できない特定の要件を有する。加えて、医療治療向けに設計されたデバイスであっても、以下のうち1つ以上に関連して欠陥を免れない場合がある:快適性、ノイズ、使いやすさ、有効性、サイズ、重量、製造可能性、コストおよび信頼性。
【0046】
特定のRPTデバイスの特殊な要件の一例として、音響ノイズがある。
【0047】
従来のRPTデバイスのノイズ出力レベルの表(試料1個のみをISO3744に指定の試験方法を用いてCPAPモードにおいて10cmHOにて測定)。
【0048】
【表1】
【0049】
睡眠呼吸障害の治療に用いられる1つの公知のRPTデバイスとして、S9睡眠治療システム(製造元:ResMed Limited)がある。RPTデバイスの別の実施例として、人工呼吸器がある。人工呼吸器(例えば、成人および小児用人工呼吸器のResMed Stellar(登録商標)シリーズ)の場合、複数の状態(例を非限定的に挙げると、NMD、OHSおよびCOPD)の治療のための一定範囲のための患者のための侵襲的および非侵襲的な非依存的呼吸のための補助を提供し得る。
【0050】
ResMed Elisee(登録商標)150人工呼吸器およびResMedVSIII(登録商標)人工呼吸器は、複数の状態の治療のための成人患者または小児用患者に適した侵襲的および非侵襲的な依存的呼吸の補助を提供し得る。これらの人工呼吸器により、単一または二重の肢回路を用いた容積通気モードおよび気圧通気モードが得られる。RPTデバイスは典型的には、圧力生成器(例えば、電動送風機または圧縮ガスリザーバ)を含み、患者の気道へ空気流れを供給するように構成される。場合によっては、空気流れは、患者の気道へ陽圧で供給され得る。RPTデバイスの出口は、空気回路を介して上記したような患者インターフェースへ接続される。
【0051】
デバイスの設計者には、無数の選択肢が提示され得る。設計基準同士が対立することが多くあるため、特定の設計選択肢が慣例からほど遠くなるかあるいは避けられないことがある。さらに、特定の態様の快適性および有効性は、1つ以上のパラメータの些細な変更から大きく影響を受ける可能性もある。
【0052】
2.2.3.3 加湿器
空気流れの送達を加湿無しで行った場合、気道の乾燥に繋がり得る。加湿器をRPTデバイスおよび患者インターフェースと共に用いた場合、加湿ガスが生成されるため、鼻粘膜の乾燥が最小化され、患者気道の快適性が増加する。加えて、より冷涼な気候においては、概して患者インターフェースの周囲の顔領域へ温風を付加すると、冷風の場合よりも快適性が高まる。一定範囲の人工的加湿機器およびシステムが公知であるが、医療加湿器の特殊な要件を満たせていない。
【0053】
医療加湿器は、典型的には患者が(例えば病院において)睡眠時または安静時にあるときに、必要な場合に周囲空気に相対して空気流れの湿度および/または温度を増加させるように、用いられる。枕元に置かれる医療加湿器は、小型である場合がある。医療加湿器は、患者へ送達される空気流れの加湿および/または加熱のみを行うように構成され得、患者の周囲の加湿および/または加熱は行わない。例えば、部屋ベースのシステム(例えば、サウナ、エアコン、または蒸発冷却器)は、呼吸により患者体内に取り込まれる空気も加湿し得るものの、これらのシステムの場合、部屋全体も加湿および/または加熱するため、占有者にとって不快感であり得る。さらに、医療加湿器の場合、工業用加湿器よりも安全面での制約がより厳しい場合もある。
【0054】
多数の医療加湿器が公知であるものの、このような医療加湿器の場合、1つ以上の欠陥を被り得る。すなわち、このような医療加湿器の場合、加湿が不適切なものもあれば、患者にとって使用が困難または不便であるものもある。
【0055】
2.2.3.4 データ管理
臨床的理由により、呼吸治療が処方された患者が「コンプライアンスを遵守している」(例えば、患者が自身のRPTデバイスを特定の「コンプライアンスルール」に則っているか)を決定するためのデータを入手する場合がある。CPAP治療についてのコンプライアンスルールの一例として、患者がコンプライアンスを遵守しているとみなすためには、患者が連続30日間のうち少なくとも21日間にわたってRPTデバイスを一晩あたり少なくとも4時間にわたって使用する必要がある。患者のコンプライアンスを決定するためには、RPTデバイスのプロバイダ(例えば、ヘルスケアプロバイダ)は、RPTデバイスを用いた患者の治療を記述するデータを手作業で入手し、所定期間にわたる使用率を計算し、これをコンプライアンスルールと比較し得る。ヘルスケアプロバイダが、患者が自身のRPTデバイスをコンプライアンスルールに則って使用したと決定すると、当該ヘルスケアプロバイダは、患者がコンプライアンスを遵守している旨を第三者に通知し得る。
【0056】
患者の治療において、治療データの第三者または外部システムへの通信から恩恵を受ける他の態様があり得る。
【0057】
このようなデータを通信および管理するための既存のプロセスの場合、高コスト、時間がかかること、エラーの発生し易さのうち1つ以上が発生し得る。
【0058】
2.2.3.5 下顎の再位置決め
下顎再位置決めデバイス(MRD)または下顎前方固定デバイス(MAD)は、睡眠時無呼吸およびいびきの治療選択肢の1つである。これは、歯科医または他の供給業者から利用可能である調節可能な口腔用器具であり、下顎部(下顎)を睡眠時に前方位置に保持する。MRDは、取り外し可能なデバイスであり、患者の睡眠前に口腔内に挿入され、睡眠後に取り外される。そのため、MRDは、常時装着用途を想定した設計はされていない。MRDは、カスタム仕様にしてもよいし、あるいは、標準形態で製造してもよく、患者の歯に適合するように設計された咬合印象部位を含む。この下顎からの機械的突出部は、舌の後ろ側の空間を拡張させ、咽頭壁上へ張力を付加して、気道崩壊を低減させ、口蓋振動を低減させる。
【0059】
特定の実施例において、下顎前方固定デバイスは、上顎骨または上顎骨上の歯と係合するかまたは嵌め合うように意図された上側スプリントと、上顎骨または下顎骨上の歯と係合するかまたは嵌め合うように意図された下側スプリントとを含み得る。上側スプリントおよび下側スプリントは、一対の接続ロッドを介して相互に横方向に接続される。この1組の接続ロッドは、上側スプリントおよび下側スプリント上において対称に固定される。
【0060】
このような設計において、接続ロッドの長さは、MRDが患者の口腔中に配置されたときに下顎が前方位置に保持されるように、選択される。接続ロッドの長さは、下顎の突出レベルを変化させるように、調節され得る。歯科医は、突出レベルを下顎に合わせて決定することができ、その結果、接続ロッドの長さが決定される。
【0061】
下顎を上顎骨に対して前方に押し出すように構成されているMRDもあれば、ResMed Narval CC(登録商標)MRDなどの他のMADのように、下顎を前方位置に保持するように設計されているものもある。このデバイスにより、歯科的副作用および側頭/下顎間の関節(TMJ)の副作用も低下または最小化される。そのため、このデバイスは、歯のうち1つ以上の任意の移動を最小化または回避するように構成される。
【0062】
2.2.3.6 通気技術
いくつかの形態の治療システムは、吐き出された二酸化炭素を押し出すための通気部を含み得る。この通気部により、患者インターフェースの内部空間(例えば、プレナムチャンバ)から患者インターフェースの外部(例えば、周囲)への流れが可能になり得る。この通気部は、オリフィスを含み得、マスク使用時において、ガスがオリフィスを通じて流れ得る。多数のこのような通気部の場合、音がうるさい。他の場合、使用時において閉塞し得るため、押し出しが不十分になる。いくつかの通気部の場合、例えば音または気流集中に起因して、患者1000と同床者1100の睡眠を妨げる場合がある。
【0063】
ResMed Limitedは、複数の向上したマスク通気技術を開発している。特許文献13、特許文献14、特許文献15、特許文献16、及び特許文献17を参照されたい。
【0064】
従来のマスクのノイズの表(ISO17510-2:2007、1mにおける10cmHO圧力)
【0065】
【表2】
【0066】
(*試料1個のみをISO3744に指定の試験方法を用いてCPAPモードにおいて10cmHOにて測定)多様な対象の多様な音圧値を下記のリストに示す。
【0067】
【表3】
【0068】
2.2.4 診断システムおよび監視システム
睡眠ポリグラフ(PSG)は、心肺疾患の診断および監視のための従来のシステムであり、典型的には、システム適用のために専門家臨床スタッフを必要とすることが多い。PSGにおいては、多様な身体信号(例えば、脳波検査(EEG)、心電図検査(ECG)、電気眼球図記録(EOG)、筋電図描画法(EMG))を記録するために、典型的には15~20個の接触覚センサーを人体上に配置する。睡眠時呼吸障害のPSGのめには、患者を専門病院において二晩にわたって観察する必要があった。すなわち、第一夜は純然たる診断のためであり、第二夜は、臨床医による治療パラメータのタイトレーションのために必要であった。そのため、PSGは高コストであり、利便性も低い。PSGは、家庭における睡眠テストには特に不向きである。
【0069】
臨床専門家は、患者の診断または監視をPSG信号の視覚的観察に基づいて適切に行い得る。しかし、臨床専門家が居ないまたは臨床専門家への支払いができない状況がある。患者の状態について臨床専門家によって意見が異なる場合がある。さらに、或る臨床専門家は、時期によって異なる基準を適用し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0070】
【文献】米国特許第4944310号明細書
【文献】米国特許第6532959号明細書
【文献】国際公開第1998/004310号
【文献】国際公開第2006/074513号
【文献】国際公開第2010/135785号
【文献】米国特許第4782832号明細書
【文献】国際公開第2004/073778号
【文献】米国特許出願第2009/0044808号明細書
【文献】国際公開第2005/063328号
【文献】国際公開第2006/130903号
【文献】国際公開第2009/052560号
【文献】米国特許出願公開第2010/0000534号明細書
【文献】国際公開第1998/034665号
【文献】国際公開第2000/078381号
【文献】;米国特許第6581594号明細書
【文献】米国特許出願公開第2009/0050156号明細書
【文献】米国特許出願公開第2009/0044808号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0071】
3.技術の簡単な説明
本技術は、呼吸器疾患の診断、改善、治療または予防において用いられる医療機器の提供に関連し、これらの医療機器は、向上した快適性、コスト、有効性、使い易さおよび製造可能性のうち1つ以上を有する。
【課題を解決するための手段】
【0072】
本技術の第1の態様は、呼吸器疾患の診断、改善、治療または予防に用いられる装置に関連する。
【0073】
本技術の別の様態は、呼吸障害の診断、改善、治療または予防において用いられる方法に関連する。
【0074】
本技術の特定の形態の一態様は、呼吸治療についての患者のコンプライアンスを向上させる方法および/または装置を提供することである。
【0075】
本技術の別の態様は、患者インターフェースのためのエルボーアセンブリに関連する。このエルボーアセンブリは、患者インターフェースへ接続するように適合されたスイベルコンポーネントおよび空気回路へ接続するように適合されたエルボーコンポーネントを含む。スイベルコンポーネントは、球窩継手およびヒンジ継手によってエルボーコンポーネントへ結合されるため、エルボーコンポーネントが単一軸を中心としてスイベルコンポーネントに相対して枢動することができる。
【0076】
本技術の別の態様は、患者インターフェースのためのエルボーアセンブリに関連する。このエルボーアセンブリは、患者インターフェースへ接続するように適合されたスイベルコンポーネントおよび空気回路へ接続するように適合されたエルボーコンポーネントを含む。スイベルコンポーネントは、ヒンジ継手によってエルボーコンポーネントへ結合されるため、エルボーコンポーネントが単一軸を中心としてスイベルコンポーネントに相対して枢動することができる。
【0077】
一実施例において、スイベルコンポーネントは、患者インターフェースへ接続するような構造および配置にされた一対のバネアームを含む。一実施例において、ヒンジ継手は、エルボーコンポーネントがバネアーム内に回転または接触する事態を防止するような構造および配置にされる。一実施例において、スイベルコンポーネントは、ガス吐出のための複数の通気穴を含む。一実施例において、スイベルコンポーネントは、複数の通気穴へ繋がるラジアル導管を規定する内側ラジアル壁および外側ラジアル壁を含む。一実施例において、複数の通気穴への別個の流路を提供するように、軌道または導流壁が導管内に設けられる。一実施例において、内側ラジアル壁のうち少なくとも一部は、ノイズを低減させかつ/または患者の顔の敏感な部分上への直接的流れを最小限にするような様態で流れを再度方向付けするような構造および配置にされた内方に延びるリップまたはシェブロンを含む。一実施例において、エルボーコンポーネントは、球窩継手を形成するようにスイベルコンポーネントの開口部内に係合された球部を含む。一実施例において、球部は、スイベルコンポーネントの各ピボットピンと係合した一対の反対側に設けられた凹部を含み、これにより、ヒンジ継手を形成する。一実施例において、凹部はそれぞれ、略円形の開口部へ続くテーパ側部を含む。一実施例において、エルボーコンポーネントは、一対の窒息防止弁を収容する。一実施例において、エルボーコンポーネントは、一対の窒息防止弁を収容する。一実施例において、エルボーコンポーネントは、超音波接合接続によって接続された第1の端部および第2の端部を含む。一実施例において、スイベルコネクタは、エルボーコンポーネントへ設けられ、空気回路へ接続するように適合される。一実施例において、スイベルコネクタは、スナップ嵌め接続によってエルボーコンポーネントへ接続される。一実施例において、スイベルコネクタは、オーバーモールド接続によってエルボーコンポーネントへ接続される。一実施例において、スイベルコンポーネントは、患者インターフェースとの硬質間接続を含む。一実施例において、スイベルコンポーネントは、患者インターフェースと動的直径シールおよび動的面シールを形成するような構造にされ、これにより、蛇行状の漏洩経路が得られる。
【0078】
本技術の特定の形態の一態様は、例えば医療トレーニングを受けたことの無い人、あまり器用ではない人や洞察力の欠いた人、またはこの種の医療デバイスの使用経験が限られた人にとって使い易い医療デバイスである。
【0079】
本技術の一形態の一態様は、患者の家庭において例えば石けん水などによって洗浄することが可能な患者インターフェースであり、特殊な清浄器具は不要である。
【0080】
もちろん、上記態様の一部は、本技術の下位態様を形成し得る。また、下位態様および/または態様のうち多様な1つを多様に組み合わせることができ、本技術のさらなる態様または下位態様も構成し得る。
【0081】
本技術の他の特徴は、以下の詳細な説明、要約、図面および特許請求の範囲中に含まれる情報に鑑みれば明らかになる。
【0082】
4.図面の簡単な説明
本技術を、添付図面中に非限定的に一実施例として例示する。図面中、類似の参照符号は、以下の類似の要素を含む:
4.1 治療システム
図1A図1C
4.2 呼吸システムおよび顔の解剖学的構造
図2A図2L
4.3 患者インターフェース
図3A図53
【図面の簡単な説明】
【0083】
図1A】患者インターフェース3000を装着している患者1000を含むシステムを示す。このシステムは、鼻枕の形態をとり、RPTデバイス4000から供給される陽圧の空気を受容する。RPTデバイス4000からの空気は、加湿器5000によって加湿され、空気回路4170に沿って患者1000へと移動する。同床者1100も図示される。
図1B】患者インターフェース3000を装着している患者1000を含むシステムを示す。このシステムは、鼻マスクの形態をとり、RPTデバイス4000から供給される陽圧の空気を受容する。RPTデバイスからの空気は、加湿器5000によって加湿され、空気回路4170に沿って患者1000へと移動する。
図1C】患者インターフェース3000を装着している患者1000を含むシステムを含む。患者インターフェース3000は、フルフェイスマスクをとり、陽圧の空気供給をRPTデバイス4000から受容する。RPTデバイスからの空気は、加湿器5000によって加湿され、空気回路4170に沿って患者1000へと移動する。
図2A】鼻および口腔、喉頭、声帯ひだ、食道、気管、気管支、肺、肺胞嚢、心臓および横隔膜を含むヒト呼吸器系の概要を示す。
図2B】鼻腔、鼻骨、側鼻軟骨、大鼻翼軟骨、鼻穴、上唇、下唇、喉頭、硬口蓋、軟口蓋、中咽頭、舌、喉頭蓋、声帯ひだ、食道および気管を含むヒトの上気道の図である。
図2C】上唇、上唇紅、下唇紅、下唇、口の幅、内眼角、鼻翼、鼻唇溝および口角点を含む表面解剖学的構造のいくつかの特徴を含む顔の正面図である。上側、下側、ラジアル内方およびラジアル外方の方向も記載される。
図2D】眉間、セリオン、鼻尖点、鼻下点、上唇、下唇、スプラメントン、鼻堤、鼻翼頂上点、耳基底上点および耳基底下点を含む表面解剖学的構造のいくつかの特徴を含む頭部の側面図である。上側および下側と、前方および後方との方向も記載される。
図2E】頭部のさらなる側面図である。フランクフォート水平および鼻唇角の大まかな位置が記載されている。冠状面も記載される。
図2F】鼻唇溝、下唇、上唇紅、鼻孔、鼻下点、鼻柱、鼻尖点、鼻孔の主軸および矢状面を含むいくつかの特徴を含む鼻の底面図である。
図2G】鼻の表面的特徴の側面図である。
図2H】側鼻軟骨、鼻中隔軟骨、大鼻翼軟骨、小鼻翼軟骨、鼻種子軟骨、鼻骨、表皮、脂肪組織、上顎骨の前頭突起および線維性脂肪組織を含む鼻の皮下構造を示す。
図2I】鼻の中間切開、矢状面からおよそ数ミリメートルの位置における鼻の中間切開を示し、特に鼻中隔軟骨および大鼻翼軟骨の内側脚を示す。
図2J】前頭骨、鼻骨および頬骨を含む頭蓋骨の骨正面図である。鼻甲介が上顎骨および下顎骨と共に図示されている。
図2K】頭蓋骨を頭部表面のプロファイルおよびいくつかの筋肉と共に示す側面図である。以下の骨が図示されている:前頭骨、蝶形骨、鼻骨、頬骨、上顎骨、下顎骨、頭頂骨、側頭骨および後頭骨。オトガイ隆起が図示されている。以下の筋肉が図示されている:顎二腹筋、咬筋、胸鎖乳突筋および僧帽筋。
図2L】鼻の前外側を示す。
図3A】本技術の一形態による鼻マスクの形態の患者インターフェースを示す。
図3B】構造を1つの点において切断した模式的断面図である。この点における外向き法線が図示される。この点における曲率は、正の符号と、3Cに示す曲率の大きさと比較して比較的大きな大きさとを有する。
図3C】構造を1つの点において切断した模式的断面図である。この点における外向き法線が図示される。この点における曲率は、正の符号と、図3Bに示す曲率の大きさと比較して比較的小さな大きさとを有する。
図3D】構造を1つの点において切断した模式的断面図である。この点における外向き法線が図示される。この点における曲率の値はゼロである。
図3E】構造を1つの点において切断した模式的断面図である。この点における外向き法線が図示される。この点における曲率は、負の符号と、図3Fに示す曲率の大きさと比較して比較的小さな大きさとを有する。
図3F】構造を1つの点において切断した模式的断面図である。この点における外向き法線が図示される。この点における曲率は、負の符号と、図3Eに示す曲率の大きさと比較して比較的大きな大きさとを有する。
図3G】2つの枕を含むマスク用クッションを示す。クッションの外面が図示される。表面の縁部が図示される。ドーム領域およびサドル領域が図示される。
図3H】マスク用クッションを示す。クッションの外面が図示される。表面の縁部が図示される。点Aと点Bとの間の表面上の経路が図示される。AとBとの間の直線距離が図示される。2つのサドル領域およびドーム領域が図示される。
図3I】構造の表面を示し、この表面中には一次元穴が開いている。平面曲線301Dは、一次元穴の境界を形成する。
図3J図3Iの構造を通じた断面図である。図3Iの構造中の二次元穴を境界付ける表面302Dを示す。
図3K】二次元穴および一次元穴を含む図3Iの構造の斜視図である。図3Iの構造中の二次元穴を境界付ける表面302Dを示す。
図3L】クッションとしての可膨張性ブラダーを有するマスクを示す。
図3M図3Lのマスクの断面図であり、ブラダーの内面を示す。
図3N】左手の法則を示す。
図3O】右手の法則を示す。
図3P】左耳螺旋を含む左耳を示す。
図3Q】右耳螺旋を含む右耳を示す。
図3R】右手螺旋を示す。
図3S】マスクの異なる領域内の密閉膜の縁部によって規定された空間曲線のねじれのサインを含むマスクの図である。
図4】本技術の一実施例によるエルボーアセンブリを含む患者の頭部上に図示された患者インターフェースの斜視図である。
図5】ヘッドギアが除去された状態の図4に示す患者インターフェースの斜視図である。
図6図5に示す患者インターフェースの正面図である。
図7図5に示す患者インターフェースの側面図である。
図8】エルボーアセンブリと取り外し可能に接続されるクッションアセンブリおよびフレームアセンブリが除去された様子を示す図5の患者インターフェースの分解図である。
図9図7に示す患者インターフェースの断面図である。
図10図5に示す患者インターフェースの断面図である。
図11図10に示す患者インターフェースの拡大図である。
図12】本技術の一実施例によるエルボーアセンブリの正面斜視図である。
図13図12に示すエルボーアセンブリの後方斜視図である。
図14図12に示すエルボーアセンブリの側面図である。
図15図12に示すエルボーアセンブリの正面図である。
図16図12に示すエルボーアセンブリの背面図である。
図17図12に示すエルボーアセンブリの上面図である。
図18図12に示すエルボーアセンブリの下面図である。
図19図12に示すエルボーアセンブリの前方分解図である。
図20図12に示すエルボーアセンブリの後方分解図である。
図21図15に示すエルボーアセンブリの断面図である。
図22図14に示すエルボーアセンブリの断面図である。
図23図14に示すエルボーアセンブリの断面図である。
図24図14に示すエルボーアセンブリの断面図である。
図25】本技術の一実施例によるエルボーアセンブリの正面斜視図である。
図26図25に示すエルボーアセンブリの後方斜視図である。
図27図25に示すエルボーアセンブリの側面図である。
図28図25に示すエルボーアセンブリの正面図である。
図29図25に示すエルボーアセンブリの別の正面図である。
図30図25に示すエルボーアセンブリの背面図である。
図31図25に示すエルボーアセンブリの上面図である。
図32図25に示すエルボーアセンブリの下面図である。
図33図25に示すエルボーアセンブリの前方分解図である。
図34図25に示すエルボーアセンブリの後方分解図である。
図35図28に示すエルボーアセンブリの断面図である。
図36図35の断面の斜視図である。
図37図27に示すエルボーアセンブリの断面図である。
図38図27に示すエルボーアセンブリの断面図である。
図39図30に示すエルボーアセンブリの断面図である。
図40図27に示すエルボーアセンブリの断面図である。
図41図40の断面の拡大図である。
図42図40の断面の斜視図である。
図43図42の断面の拡大図である。
図44図25に示すエルボーアセンブリのスイベルコンポーネントの斜視図である。
図45図25に示すエルボーアセンブリの一エルボーコンポーネントの第1の端部の斜視図である。
図46図25に示すエルボーアセンブリの一エルボーコンポーネントの第2の端部の斜視図である。
図47】本技術の一実施例による図25のアセンブリに示すエルボーアセンブリと取り外し可能に接続されたクッションアセンブリおよびフレームアセンブリを示す断面図である。
図48A】本技術の一実施例によるエルボーアセンブリを含む患者の頭部上に図示された患者インターフェースの斜視図である。
図48B図48Aに示す患者インターフェースの斜視図であり、エルボーアセンブリのエルボーコンポーネントが図48Aに示すエルボーアセンブリのエルボーコンポーネントに相対して上方に枢動する。
図48C】エルボーアセンブリが図48Aに示すエルボーアセンブリに相対して回転した様子の図48Aに示す患者インターフェースの斜視図である。
図48D】エルボーアセンブリのエルボーコンポーネントが図48Cに示すエルボーアセンブリのエルボーコンポーネントに相対して上方に枢動した様子の図48Cに示す患者インターフェースの斜視図である。
図49】本技術の一実施例によるエルボーアセンブリの後方斜視図である。
図50図49に示すエルボーアセンブリの背面図である。
図51図49に示すエルボーアセンブリの断面図である。
図52図49に示すエルボーアセンブリの、わずかな斜視角度からの断面図である。
図53】本技術の一実施例による図49のエルボーアセンブリを含む患者の頭部上に図示された患者インターフェースの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0084】
5.本技術の実施例の詳細な説明
本技術についてさらに詳細に説明する前に、本技術は、本明細書中に記載される異なり得る特定の実施例に限定されるのではないことが理解されるべきである。本開示中に用いられる用語は、本明細書中に記載される特定の実施例を説明する目的のためのものであり、限定的なものではないことも理解されるべきである。
【0085】
以下の記載は、1つ以上の共通の特性および/または特徴を共有し得る多様な実施例に関連して提供される。任意の1つの実施例の1つ以上の特徴は、別の実施例または他の実施例の1つ以上の特徴と組み合わせることが可能であることが理解されるべきである。加えて、これらの実施例のうちのいずれかにおける任意の単一の特徴または特徴の組み合わせは、さらなる実施例を構成し得る。
【0086】
5.1 治療
一形態において、本技術は、呼吸器疾患の治療方法を含む。本方法は、患者1000の気道の入口へ陽圧を付加するステップを含む。
【0087】
本技術の特定の実施例において、陽圧における空気供給が鼻孔の片方または双方を介して患者の鼻通路へ提供される。
【0088】
本技術の特定の実施例において、口呼吸が制限されるか、限定されるかまたは妨げられる。
【0089】
5.2 治療システム
一形態において、本技術は、呼吸障害の治療のための装置またはデバイスを含む。装置またはデバイスは、加圧空気を患者インターフェース3000への空気回路4170を介して患者1000へ供給するRPTデバイス4000を含み得る(例えば、図1A図1Cを参照されたい)。
【0090】
5.3 患者インターフェース
本技術の一態様による非侵襲的患者インターフェース3000は、以下の機能様態を含む:シール形成構造3100、プレナムチャンバ3200、位置決めおよび安定化構造3300、通気孔3400、空気回路4170への接続のための一形態の接続ポート3600、および前額支持部3700。いくつかの形態において、機能様態が、1つ以上の物理的コンポーネントによって提供され得る。いくつかの形態において、1つの物理的コンポーネントは、1つ以上の機能様態を提供し得る。使用時において、シール形成構造3100は、気道への陽圧での空気供給を促進するように、患者の気道の入口を包囲するように配置される。
【0091】
図4図11は、本技術の一態様による非侵襲的な患者インターフェース6000を示す。非侵襲的な患者インターフェース6000は、フレームアセンブリ6100、シール形成構造6200を含むクッションアセンブリ6175と、エルボーアセンブリ6600と、位置決めおよび安定化構造(例えば、ヘッドギア6800)とを含む。図4は、患者の頭部上の患者インターフェース6000の例示的図であり、図5図11は、ヘッドギア6800無しの患者インターフェース6000の例示的図であり、図12図24は、本技術の一実施例によるエルボーアセンブリ6600の例示的図である。使用時において、シール形成構造6200の一形態は、気道への陽圧での空気供給を促進するように、患者1000の気道の入口を包囲するように配置される。(例えばシリコーン製の)シール形成構造6200は、クッションとも一般的に呼ばれ得る。いくつかの形態において、機能様態が、1つ以上の物理的コンポーネントによって提供され得る。いくつかの形態において、1つの物理的コンポーネントは、1つ以上の機能様態を提供し得る。
【0092】
本技術の一形態において、フレームアセンブリ6100は、中間コンポーネントとしてクッションアセンブリ6175およびエルボーアセンブリ6600へ接続する。例えば、エルボーアセンブリ6600は、クッションアセンブリ6175から独立して(フレームアセンブリ上の保持特徴部を介して)フレームアセンブリ6100へ接続する(例えば、図8を参照)。しかし、空気流路のシールが、エルボーアセンブリ6600とクッションアセンブリ6175との間に形成される(すなわち、フレームアセンブリ6100は、空気流路内に無い(例えば、図9図10および図11を参照))。
【0093】
図示の実施例において、患者インターフェースは、フルフェース/口腔鼻インターフェース型であり、患者の鼻および口腔周囲にシールを形成するような構造にされたシール形成構造6200を含む。しかし、本技術の態様は、他の適切なインターフェース型(例えば、鼻インターフェース、鼻カニューレ)との使用に適合され得る。
エルボーアセンブリ
【0094】
図4図24に示すように、エルボーアセンブリ6600は、患者インターフェース6000のフレームアセンブリ6100から繰り返し係合可能かつ取り外し可能に係合解除可能であるスイベルコンポーネント6610と、例えばスイベルコネクタ6625を介して空気回路4170へ接続するように適合されたエルボーコンポーネント6620とを含む。
【0095】
スイベルコンポーネント6610は、球窩継手と、エルボーコンポーネント6620が単一軸を中心としてスイベルコンポーネント6610に相対して枢動することを可能にするヒンジ継手とによってエルボーコンポーネント6620へ結合される。すなわち、エルボーコンポーネント6620が複数の軸においてスイベルコンポーネント6610に相対して回転する事態がヒンジ継手によって防止される。
【0096】
図25図47は、本技術の別の実施例によるエルボーアセンブリ7600を示す。エルボーアセンブリ7600は、スイベルコンポーネント7610、エルボーコンポーネント7620およびスイベルコネクタ7625を含む。スイベルコンポーネント7610は、球窩継手と、エルボーコンポーネント7620が単一軸を中心としてスイベルコンポーネント7610に相対して枢動することを可能にするヒンジ継手とにより、上記したようにエルボーコンポーネント7620へ結合される。
【0097】
図48A図53は、本技術の別の実施例による患者インターフェース8000およびエルボーアセンブリ8600を示す。エルボーアセンブリ8600は、エルボーアセンブリ7600と実質的に同様である。すなわち、エルボーアセンブリ8600は、球窩継手およびヒンジ継手によってエルボーコンポーネント7620へ結合されたスイベルコンポーネント8610を含む。これとは対照的に、エルボーアセンブリ8600のスイベルコンポーネント8610は、以下にさらに詳述するようにノイズを低減させかつ/または患者の顔の敏感な部分上への直接的流れを最小限にするような様態で流れを再度方向付けるための構造を含む。
【0098】
通気部の配置構成
図4図24に示す実施例において、スイベルコンポーネント6610は、スイベル部材6612、拡散器材料6614および拡散器カバー6616を含む。スイベル部材6612は、内壁6630と、外壁6632と、内壁6630および外壁6632間のベース壁6634とを含む。患者インターフェースからの呼気ガスの退出を可能にするために、複数の通気穴6640がベース壁6634に沿って設けられ(例えば、少なくとも30個の通気穴(例えば、30個~60個の通気穴))。図示のように、通気穴6640は、内壁6630によって規定された開口部6635の周囲に環状になった実質的に円形の形状を規定するように配置される。一実施例において、各穴6640は、長さに沿って外形またはテーパを含み得る(例えば、各穴は、呼気ガス方向に輻輳する)。
【0099】
内壁6630および外壁6632は、拡散器材料6614が通気穴6640それぞれの出口端に隣接して配置されるように、拡散器材料6614を受容または収容するように適合された導管(環状窪み)を規定する。拡散器カバー6616は、拡散器材料6614を導管内に保持するように、スイベル部材6612へ接続される。拡散器カバー6616は、上壁と、拡散器カバー6616をスイベル部材6612へ固定するような構造にされた保持構造(例えば、スイベル部材へ恒久的に取り付けられた拡散器カバー)をそれぞれ含む間隔を空けて配置された側壁とを含む。これらの間隔を空けて配置された側壁により、開口部または出口6618が側壁亜衣エイディに規定されて、通気部への呼気ガスが雰囲気へ移動することが可能になる。詳細には、スイベルコンポーネント6610は、通気部流路を提供する。通気部流路は、導管内の拡散器材料6614を通じて通気穴6640を通過し、拡散器カバー6616の出口6618を介して雰囲気へ退出する。このような配置構成により、排気ガスがエルボーアセンブリからラジアル方向に外方に方向付けられることが可能になる。すなわち、拡散器カバー6616により、拡散器材料6614を通過する流れが再度方向付けられる。
【0100】
別の実施例において、エルボーアセンブリは、拡散器材料無しに設けられ得る。例えば、図25~47図の実施例に示すように、スイベルコンポーネント7610は、内側ラジアル壁7630、外側ラジアル壁7632、および内側ラジアル壁7630と外側ラジアル壁7632との間のベース壁7634を含む。内側ラジアル壁7630および外側ラジアル壁7632により、呼気ガスが患者インターフェースから雰囲気へ退出することを可能にするように外側ラジアル壁7632に沿って設けられた複数の通気穴7640(例えば、少なくとも20個の通気穴(例えば、20個~60個の通気穴))へ続くラジアル導管7633が規定される。図示のように、通気穴7640は、エルボーアセンブリ7600からの排気ガスがラジアル方向に外方に方向付けられるように、外側ラジアル壁7632に沿って配置される。
【0101】
図30図35図36図39図42および図43に最良に示すように、排気ガスを通気穴7640へ方向付ける別個の流路を提供するように、軌道または導流壁7637が各通気穴7640の近隣の導管7633内に設けられる。図示の実施例において、各軌道または導流壁7637は、内壁7630と外壁7632との間にラジアル方向に延び、協働して各通気穴7640へ続く流路または通路7639を規定する。すなわち、各通気穴7640は、軌道または導流壁7637によって提供された関連付けられた通路7639を含む。
【0102】
図示の実施形態において、通気穴7640および関連付けられた通路7639は、例えばピンチアーム7650を収容しかつ/またはピンチアーム7650中へのガス吐出の方向付けを回避するように、エルボーアセンブリの縁部の一部のみに沿って設けられる。図示のように、スイベルコンポーネント7610は、自身の縁部の上側または上部に沿ってかつ自身の下側または下部に沿って通気穴7640を含む。しかし、スイベルコンポーネント7610の縁部全体またはスイベルコンポーネント7610の縁部の1つ以上の選択された部分に沿って通気穴を設けてもよいことが理解されるべきである。
【0103】
図示の実施例において、図40図43に最良に示すように、各通気穴7640および関連付けられた通路7639は、略U字型の断面形状(より短い壁のうち1つが輪郭を有する略矩形の形状を含むアーチ状開口部)を含む。しかし、各通気穴7640および関連付けられた通路7639は、排気または吐出ガスを方向付けるための他の適切な形状を持ち得る。
【0104】
使用時において、内側ラジアル壁7630は、後側に突出してバッフルとして機能し、例えば周期的ノイズの低減のために、RPTデバイスからの入来する加圧空気の流路を通気部を介した排気の流路から分離させる。排気ガスは、導管7633内に流入した後、各通気穴7640と関連付けられた通路7639内に流入する。図35図36および図39に最良に示すように、排気流れは通気穴7640から雰囲気へ退出する際に略ラジアル方向において通路7639を下方に移動するため、各通路7639の端部におけるベース壁7634は、排気流れを略軸方向からより円滑に誘導するように曲線状にされる。
【0105】
上記したエルボーアセンブリ7600と同様に、エルボーアセンブリ8600のスイベルコンポーネント8610は、内側ラジアル壁8630および外側ラジアル壁8632を含む。内側ラジアル壁8630および外側ラジアル壁8632は、(例えば図49図53に最良に示すように)呼気ガスが患者インターフェースから雰囲気へ退出することを可能にするように外側ラジアル壁8632に沿って設けられた複数の通気穴8640(例えば、少なくとも20個の通気穴(例えば、20個~60個の通気穴))へと続くラジアル導管8633を規定する。
【0106】
しかし、図49図53の実施例において、内側ラジアル壁8630のうち少なくとも一部は、内方に延びるリップまたはシェブロン8631を含む。このリップまたはシェブロン8631は、ノイズを低減させかつ/または患者の顔の敏感な部分上への直接的流れを最小限にするような様態で流れを再度方向付けするような構造および配置にされる。
【0107】
図示の実施例において、リップまたはシェブロン8631は曲線状であり、内側ラジアル壁8630から入来加圧空気の流路へと内方に延びる。図示のように、リップまたはシェブロン8631は、内壁8630の縁部の上側または上部に沿って設けられる(例えば、図49および図50を参照)。しかし、リップまたはシェブロン8631は、内壁8630の縁部全体または内壁の縁部の1つ以上の選択された部分に沿って設けてもよいことが理解されるべきである。
【0108】
使用時において、図53に最良に示すように、内側ラジアル壁7630およびリップまたはシェブロン8631は、通気部を介して入来加圧空気の入口流れを排気の出口流れと分離させる。さらに、リップまたはシェブロン8631は、入口流れを出口流れから離隔方向に再度方向付けするような構造および配置にされ、これにより、ウィンドシアおよび乱流と関連付けられたノイズが低減する(例えば、エルボーアセンブリの上方1/4を概して包含する空気を偏向させることにより、通気ノイズが低減する(空気/ウィンドシアを回避する))。一実施例において、リップまたはシェブロン8631は、ジュージュー音(例えば、空気流れからのシューシュー音またはパチパチ音ノイズ)を最小限にするような構造および配置にされる。
【0109】
加えて、図53に最良に示すように、リップまたはシェブロン8631は、入口流れを患者の顔の敏感な部分(例えば、鼻尖または鼻先端)(例えば、くすぐりを感じることが知られる箇所)から離隔方向に再度方向付けるような構造および配置にされる。
【0110】
ピンチアーム
図4図24の実施例において、スイベル部材6612は、一対の弾性のクイックリリースピンチアーム6650(すなわち、カンチレバー型バネアームまたはピンチボタン)を含む。バネアームまたはピンチアーム6650はそれぞれ、フレームアセンブリ6100との機械的インターロック(例えば、スナップ嵌め接続)を提供するような構造にされた反矢じり端またはタブ6652を含む。
【0111】
図25図47の実施例において、各ピンチアーム7650のヒンジ部7655は、略台形またはテーパ状の形状を自身の長さに沿って含む(例えば、図29図40および図44を参照)。すなわち、スイベルコンポーネント7610の本体への接続部におけるヒンジ部7655の幅は、ピンチアーム7650への接続部におけるヒンジ部の幅よりも大きい。ヒンジ部7655をこのような形状にすることにより、使いやすさが可能になる(例えば、フレームアセンブリ上における回転移動を保持および許容できるだけの充分な付勢を維持しつつ、ピンチアーム7650の屈曲が促進される)。
【0112】
また、各ピンチアーム7650がエルボーコンポーネント7620へむかって過度に内方に押圧される事態を防止するようにエルボーコンポーネント7620が停止部として機能するように各ピンチアーム7650とエルボーコンポーネント7620との間のクリアランスまたは間隔C(例えば、図29および図38を参照)を調節すると、エルボーアセンブリをフレームアセンブリ上に保持するための元々の位置へ各ピンチアーム7650を確実に戻すことができる。
【0113】
各バネアーム7650は、フレームアセンブリとのスナップ嵌め接続を提供するような構造にされた反矢じり端またはペグキャッチ7652を含む。また、各バネアーム7650は、フィンガーグリップ部7657(例えば、正方形の突起)を自由端に隣接して含む。
【0114】
図示の実施例において、スイベルコンポーネント7610は、エルボーコンポーネント7620の材料(例えば、ポリカーボネート(例えば、Makrolon))よりもより可撓性および弾性が高い材料(例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)(例えば、Pocan))によって構成され得る。このような材料の使用により、使用時におけるバネアーム7650の屈曲が促進される。
【0115】
上記したエルボーアセンブリ7600と同様に、図48A図53の実施例において、エルボーアセンブリ8600のスイベルコンポーネント8610は、患者インターフェース8000のフレームアセンブリ8100との機械的インターロック(例えば、スナップ嵌め接続)を提供するような構造にされた一対の弾性クイックリリースピンチアーム8650を含む。
【0116】
スイベル部材の内壁および外壁
図4図24の実施例において、スイベル部材6612の内壁6630により、球窩継手用のソケットを提供する開口部6635が規定される。加えて、一対の対向する突出しかつ円筒型のピボットピンまたはペグ6645は、内壁6630から開口部6635内に延びて、ヒンジ継手へのヒンジ接続を形成する。
【0117】
また、図4図24に示す実施例において、外壁6632は、フレームアセンブリ6100を通じて延びてクッションアセンブリ6175とのシールを形成するような構造にされる。
【0118】
同様に、スイベルコンポーネント7610の内壁7630により、球窩継手用のソケットを提供する開口部7635が規定される。また、円筒型ピボットピンまたはペグ7645は、ヒンジ継手用のヒンジ接続を形成する内壁7630から延びる。しかし、以下に述べるように、図25図47の実施例において、外壁7632は、フレームアセンブリ7100との硬質間接続およびシールと係合しかつこのようなシールを形成するような構造にされる(図47を参照)。
【0119】
エルボーコンポーネントの第1の端部および第2の端部
図4図24に示す実施例において、エルボーコンポーネント6620は、スイベル部材6612へ設けられた第1の端部6660と、第2の端部6670とを含む。第2の端部6670は、空気回路4170へ接続するように適合されたスイベルコネクタ6625(例えば、第2の端部へ恒久接続されたスイベルコネクタ)を備える。本実施例において、スイベルコネクタ6625は、第2の端部6670の管状端部6671へオーバーモールドされる(例えば、図21を参照)。図示のように、管状端部6671により、スイベルコネクタ6625を第2の端部6670上に受容しかつ軸方向に保持するための導管が規定される。
【0120】
図25図47中のエルボーコンポーネント7620は、スイベルコンポーネント7610へ設けられた第1の端部7660と、スイベルコネクタ7625へ設けられた第2の端部7670とを含む。本実施例において、エルボーコンポーネント7620およびスイベルコネクタ7625は、別個に成型されたコンポーネントを含む。その後、これらのコンポーネントは、相互に機械接続される(例えば、スナップ嵌め接続)。例えば、スイベルコネクタ7625は、エルボーコンポーネント7620の材料(例えば、ポリカーボネート(例えば、Makrolon))よりも可撓性が高い材料(例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)(例えば、Pocan))を含み得るため、スイベルコネクタ7625は、エルボーコンポーネント7620の第2の端部7670の管状端部7671上において屈曲することができる。第2の端部7670の管状端部7671は、溝部7671Aを自身の外面に沿って含む。この溝部7671Aは、スイベルコネクタ7625の内面に沿って設けられた舌部7626を受容するように適合される(例えば、図35を参照)(すなわち、スイベル接続のためのスナップ嵌め舌部および溝部)。エルボーコンポーネント7620と、スイベルコネクタ7625との接続により、漏洩の制御および最小化のための蛇行状経路も両者間に得られる。
【0121】
球窩継手およびヒンジ継手
エルボーコンポーネント6620の第1の端部6660は、球窩継手のための球を提供する球部6662を含む。加えて、球部6662は、ヒンジ継手のためのヒンジ接続を形成する一対の反対側に設けられた凹部6664を含む。
【0122】
球部6662がスイベル部材6612の開口部6635内に係合すると、球窩継手が形成され、凹部6664が(例えばスナップ嵌めによって)各ピボットピン6645と係合すると、ヒンジ継手が形成される。
【0123】
同様に、エルボーコンポーネント7620の球部7662がスイベルコンポーネント7610の開口部7635内に係合すると、球窩継手が形成され、反対側に設けられた凹部7664が(例えばスナップ嵌めによって)各ピボットピン7645と係合すると、ヒンジ継手が形成される。図示のように、開口部7635は、リム7636(例えば、図35および図44)を含むため、球部7662が開口部7635内にさらに保持される。
【0124】
図25図47の実施例において、各凹部7664(各ピボットピンまたはペグ7645と係合するような構造にされたペグ係合部とも呼ばれる)は、略円形の開口部へ続くテーパ側部を含む。この構成は、弾性膨張することで係合時にピボットピン7645を包含するかまたは実質的により封入するような構造にされる。この種の係合は、球部7662と球窩継手の開口部7635との間の相対的動きを制限するような構造にされ、これにより、球部7662によって提供される外面と開口部7635によって提供される内面との間のクリアランスの制御が可能になる。このようにクリアランスを制御することにより、スイベルコンポーネント7610とエルボーコンポーネント7620との間の任意の相対的構成において球部7662と開口部7635との間のあらゆる漏洩を比較的同様にすることが可能になり、これにより漏洩の予測が可能になるため、通気部配置構成の調整が容易になる。
【0125】
AAVアセンブリ
エルボーコンポーネント6620の第1の端部6660および第2の端部6670(例えば、ポリカーボネート(例えば、Makrolon)製のもの)は、相互に結合(例えば、恒久接続)され、一対のAAV6680(例えば、液体シリコーンゴム(LSR)製のもの)を含むデュアルフラップの窒息防止弁(AAV)アセンブリを収容するような構造にされる。第1の端部6660は、AAV6680の各フラップ部6682によって選択的に閉鎖させることが可能な一対のポート6665を含む。エルボーアセンブリへ提供された加圧ガスが充分な大きさである場合、AAV6680のフラップ部6682は上昇して、ポート6665を遮断する。この場合、加圧ガスはエルボーアセンブリを通じて誘導されて、患者インターフェースおよび患者気道へ送達される。加圧ガスの大きさが不充分であるかまたは送達されない場合、フラップ部6682は「静止」位置(例えば、図21および図24を参照)に留まるため、患者ポート6665を通じて周囲空気を呼吸および呼気することができる。
【0126】
第1の端部6660は、AAV6680をエルボーコンポーネント内に固定するような構造にされた各ポート6665の真下に一対の開口部6667を含む。各AAV6680は、対応する開口部6667内においてロック係合(例えば、機械的インターロック)するような構造にされた接続部6684を含む。各フラップ部6682は、ヒンジ部によって接続部6684へ移動可能に設けられる(例えば、ヒンジ接続される)ため、フラップ部6682は、枢動してポート6665を選択的に閉鎖させる。
【0127】
第2の端部6670は、AAV6680の各フラップ部6682によって選択的に閉鎖される内部開口部を規定するベース壁6672を含む。1つ以上のリブ6675は、ベース壁6672から開口部内へと延びて、フラップ部6682のための停止部を規定する。図示の実施例において、ベース壁6672は、壁部6672Aおよび6672B(例えば、図20および図24を参照)を含む。これらは相互に角度を以て配向されているため、フラップ部6682は、「静止」位置(例えば、図24を参照)にあるときに相互に角度を以て配向される。
【0128】
同様に、エルボーコンポーネント7620の第1の端部7660および第2の端部7670(例えば、ポリカーボネート(例えば、Makrolon)製のもの)は、一対のAAV7680を収容するように、相互に結合されかつ構造される。第1の端部7660は、上記したようにAAV7680の各フラップ部7682によって選択的に閉鎖させることが可能な一対のポート7665を含む。図37は、「静止」位置にあるフラップ部7682を示す。各AAV7680は、第1の端部7660内の対応する開口部7667内にロック係合(例えば、機械的インターロック)するような構造にされた接続部7684を含む。
【0129】
図33図34および図46に最良に示すように、第2の端部7670は、AAV7680の各フラップ部7682によって選択的に閉鎖される一対の開口部または治療ポート7673を規定するベース壁7672を含む。開口部7673は、フラップ部7682の相互接触を回避するブリッジ7674によって分離されるため、フラップ部7682間の干渉からの摩擦が防止される。さらに、ブリッジ7674は、フラップ部7682が「静止」位置にあるときに開口部7673から呼気ガスの漏れを防止するために、フラップ部7682間の任意の隙間の形成を防止する。
【0130】
リブ7675は、ブリッジ7674の各側から各開口部7673内へ延びて、フラップ部7682のための停止部を規定する(例えば、フラップ部7682がブリッジ7674の下側へ移動して固着する事態を防止する)。
【0131】
図示の実施例において、ベース壁7672は、壁部7672Aおよびベース壁7672B(例えば、図46を参照)を含む。これらは相互に角度を以て配向されているため、フラップ部7682は、「静止」位置にあるときに相互に角度を以て配向される。このような配置構成により、フラップ部7682への事前負荷またはフラップ部7682の事前屈曲が可能になるため、開口部7673のリムまたは縁部(すなわち、密閉面)へ付加される力がフラップ部7682によって最小限に維持されるため、加圧ガスが送達されていないときに開口部7673は遮断される。フラップ部7682は、治療圧力の停止時に開口部7673を完全遮断するような構造にされる。このような完全遮断により、任意の排気ガスが開口部7673内を通じて流れる事態が防止され、次いで患者によって再呼吸される(すなわち、全ての呼気ガスはAAVポート7665を介して退出する)。また、事前負荷型の構成にすることにより、エルボーアセンブリ全体が動いているときにフラップ部7682が静止位置または閉鎖位置に維持される(すなわち、動き時または重力下において開口に耐える)。
【0132】
フラップ部7682を接続部7684へ旋回接続またはヒンジ接続させるヒンジ部7685(例えば、図34および図37を参照)は、治療圧力下において容易に開口しかつできかつAAVポート7665を完全遮断するように、調節され得る。
【0133】
図49図51および図52は、エルボー接続のさらなるフィーチャであるリム8665.1を示す。リム8665.1は、ポート8665を少なくとも部分的に包囲する。このリムは、図示のようにポートの3つの側部を包囲し、テーパ厚さを2つの従属脚部に沿って有する。リム8665.1は、エルボーが加圧されたときに対応するAAVのフラップ8682と接触するような配置および寸法にされる。このリムにより、AAVとエルボーの内壁との接触表面積が最小化されるため、内壁へのAAV固着の危険性も最小化される。エルボー内壁へのAAV固着が発生した場合、治療圧力が停止したときにもポートが遮断されたままである事態が発生し得る。
【0134】
エルボーコンポーネントの第1の端部および第2の端部の接続
一実施例において、エルボーコンポーネント6620および7620の第1の端部および第2の端部を超音波接合によって相互結合させることにより、第1の端部および第2の端部が恒久接続され得る。このような配置構成において、第1の端部および第2の端部は、第1の端部および第2の端部の配向および接合を容易化させる構造を含み得る。
【0135】
一実施例において、図34および図45に最良に示すように、エルボーコンポーネント7620の第1の端部7660は、長細支持溝部7690を自身の外周に沿って含む。これらの長細支持溝部7690は、超音波接合プロセス時において第1の端部7660を配置および支持する溶接ネストと係合されるように適合される。また、エルボーコンポーネント7620の第1の端部7660は、第2の端部7670を配置および整合するための配向特徴(例えば、図45に示すような対向する平面7692)を自身の内周に沿って含む。
【0136】
図46に最良に示すように、エルボーコンポーネント7620の第2の端部7670は、第1の端部7660の内周と超音波接合されるような構造にされた溶接ビード7695を含む。図示のように、溶接ビード7695は、溶接ビード7695を第1の端部7660の内周内に配置および整合させるために、第1の端部7660の配向特徴(例えば、対向する平面7692)に対応する配向特徴(例えば、対向する平面7696)を含む。また、第2の端部7670は、超音波接合プロセス時に音響振動を第2の端部7670へ付加する溶接ホーンと係合するように適合されたビード7695の反対側の平面7698(例えば、図35を参照)を提供する。
【0137】
組み立て
一実施例において、エルボーアセンブリ7600の組み立ては、AAV7680をエルボーコンポーネント7620の第2の端部7670へ組み付けることと、エルボーコンポーネント7620の第1の端部7660および第2の端部7670を(例えば超音波接合を介して)接続することと、スイベルコネクタ7625をエルボーコンポーネント7620の第2の端部7670へ組み付けること(例えばスナップ嵌め接続)と、その後スイベルコンポーネント7610をエルボーコンポーネント7620へ組み付けること(例えば、スナップ嵌め接続)とを含み得る。しかし、エルボーアセンブリの組み立ては、別のステップおよび/または結果を含み得ることが理解されるべきである。
【0138】
エルボーアセンブリと、フレームアセンブリとの間の接続
エルボーアセンブリ6600は、ピンチアーム6650(例えば、クイックリリーススナップ嵌め)を介して、フレームアセンブリ6100に解放可能に接続する。フレームアセンブリ6100は、ピンチアーム6650の反矢じり端6652を受容して、エルボーアセンブリ6600をフレームアセンブリ6100へ解放可能に保持するような構造にされ、スイベル接続(例えば、図7および図9を参照)を形成する(すなわち、エルボーアセンブリ6600のフレームアセンブリ6100に相対して円形の導管の軸を中心として(例えば、図6を参照)360°の自由回転を可能にする)ような構造にされた円形の導管6120を含む。
【0139】
図47に最良に示すように、エルボーアセンブリ7600のピンチアーム7650は、フレームアセンブリ7100へ同様な様態で解放可能に接続する。すなわち、ピンチアーム7650の反矢じり端7652は、フレームアセンブリ7100の円形の導管7120内へ係合(例えば、クイックリリーススナップ嵌め)して、エルボーアセンブリ7600をフレームアセンブリ7100へ解放可能に保持しかつスイベル接続を形成する。
【0140】
図示の実施例において、エルボーアセンブリ7600のスイベルコンポーネント7610と、スイベルコンポーネント7610と連通するフレームアセンブリ7100中の対応するボアとは、空気回路またはガス送達管へ接続するように適合されたスイベルコネクタ7625によって提供される直径(例えば、約22mm)よりも大きな直径(例えば、約25~35mm)を含む。
【0141】
エルボーアセンブリとクッションアセンブリとの間のシール
図4図24に示す実施例において、クッションアセンブリ6175は、エルボーアセンブリ6600とのシールを提供する可撓性フランジまたはリップシール6250を含む。図10および11に示すように、エルボーアセンブリ6600は、フレームアセンブリ6100と機械的にインターロックするような構造にされるが、クッションアセンブリ6175の密閉膜6250と密閉的に係合して、空気流路に対するシールを形成するような構造および配置にされる(すなわち、密閉機構は、保持特徴部と別個である)。
【0142】
図示のように、エルボーアセンブリ6600の外壁6632の前縁は、リップシール6250と面シールを形成する。このような係合の形態にすることにより、接触表面積が最小限になるため摩擦が低下し、これにより、エルボーアセンブリ6600がフレームおよびクッションアセンブリ6100および6175に相対して自由に旋回することを可能にしつつ、コンポーネント間のシールが可能になる。
【0143】
別の配置構成において、エルボーアセンブリ6600は、フレームアセンブリ6100と実質的に密閉された係合を形成し得る。フレームアセンブリ6100とエルボーアセンブリ6600との間の実質的に密閉された係合により、この実質的に密閉された係合を通じて漏洩レベルを制御しつつ、エルボーアセンブリ6600を自由に旋回させることが可能になり得る。この配置構成において、フレームアセンブリ6100は、クッションアセンブリ6175と別個の密閉された係合を形成し得る。この配置構成により、フレームアセンブリ6100から別個に係合解除可能なエルボーアセンブリ6600から独立してクッションアセンブリ6175をフレームアセンブリ6100から係合解除することが可能になる。
【0144】
例えば、図47に示すように、エルボーアセンブリ7600は、フレームアセンブリ7100との硬質間接続およびシールを確立するような構造にされる。図示のように、動的直径シールは、エルボーアセンブリ7600の外壁7632の円筒型外面7632Aと、フレームアセンブリ7100の環状フランジ7115の内面7115Aとの間に形成される。また、フレームアセンブリ7100の環状フランジ7115は、ラジアル方向に内方に延びる隆起7125を含む。このリッジ7125は、エルボーアセンブリ7600がフレームアセンブリ7100内へ過度に挿入される事態を防止するための停止部として機能する。隆起7125の表面により、エルボーアセンブリ7600の外壁7632の前縁または表面7632Bとの動的面シールも得られる。外壁7632の表面7632Bと、環状フランジ7115/隆起7125の表面との間に設けられた直径シールおよび面シールにより、エルボーアセンブリ7600とフレームアセンブリ7100との間に2つの接触噛み合い表面が得られ、その結果、エルボーアセンブリ7600とフレームアセンブリ7100との間の接触表面積が増加する。これら2つの噛み合い表面は、蛇行した漏洩路(すなわち、2つの噛み合い表面間の漏洩路が患者インターフェース内部からラジアル方向に周囲へと軸方向に延びること)を設けることにより、漏洩を最小限にするような構成および配置にされる。
【0145】
また、図47に示すように、フレームアセンブリ7100は、クッションアセンブリ7175との静的直径シールおよび静的面シールを漏れを最小化および制御するように形成するような構造にされる。図示のように、フレームアセンブリ7100は、クッションアセンブリ7175へ設けられた接続部7176を受容するように適合された導管7105を含む。接続部7176の前縁7176Aおよび導管7105の端壁7105Aは、静的面シールを提供するように構成および配置され、接続部7176の外側7176Bおよび導管7105の側壁7105Bは、静的直径シールを提供するように構成および配置される。
【0146】
結合解除の配置構成
図示の実施例において、エルボーアセンブリ6600、7600および8600は、エルボーアセンブリ6600、7600および8600がフレームアセンブリ6100、7100および8100ならびに記クッションアセンブリ6175、7175および8175に対して自由回転できるようにするための(例えば、シール不安定性を防止するために患者インターフェース上の管牽引の結合解除を向上させるための)2つの別個の結合解除形態を提供する。
【0147】
第1の結合解除形態は、エルボーアセンブリ6600、7600および8600がフレームアセンブリ6100、7100および8100に対して360°自由回転すること(例えば、図6中の矢印を参照)を可能にするスイベル接続を形成するピンチアーム6650、7650および8650によって提供される。また、図48Aは、第1の位置にあるエルボーアセンブリ8600の一実施例を示し、図48Cは、スイベル接続を介して第1の位置に相対する第2の位置へ回転したエルボーアセンブリ8600の一例を示す。
【0148】
第2の結合解除形態は、球窩継手およびヒンジ継手によって提供されるため、エルボーコンポーネント6620、7620および8620がスイベルコンポーネント6610、7610および8610に相対して単一軸を中心として(例えば、ピボットピン6645および7645の軸を中心として)枢動することが可能になる(例えば、図7中の矢印を参照)。また、図48Aは、第1の位置にあるエルボーアセンブリ8600の一実施例を示し、図48Bは、球窩継手およびヒンジ継手を介して第1の位置に相対して第2の位置へ上方枢動したエルボーアセンブリ8600の一例を示す。図48Dも、図48Aに示すエルボーアセンブリ位置に相対して上方に回転および枢動したエルボーアセンブリを示す。一実施例において、球窩継手およびヒンジ継手の移動範囲は約10~30度である(約15度の移動範囲、約25~30度(例えば、26度)の移動範囲)。エルボーコンポーネント6620、7620および8620と、スイベルコンポーネント6610、7610および8610との間にこのようなヒンジ接続を設けることにより、エルボーコンポーネント6620、7620および8620が(例えば、不意にエルボーアセンブリをフレームアセンブリから解放させ得る)ピンチアーム6650、7650および8650内に回転するかまたは接触する事態を防止するように、自由回転またはフルの360度の動きが防止される。エルボーコンポーネント6620、7620および8620と、スイベルコンポーネント6610、7610および8610との間のヒンジ接続により、ピボットピン6645および7645が球部6662および7652が開口部またはソケット6635および7635内に完全挿入される事態を防止するための停止部として機能することも可能になる。
【0149】
よって、エルボーアセンブリ6600、7600および8600は全般的にフレームアセンブリおよびクッションアセンブリ6100、6175、7100、7175、8100および8175に相対して旋回することを可能にさせる。一方、エルボーコンポーネント6620、7620および8620は、エルボーアセンブリ6600、7600および8600の任意のスイベル位置においてスイベルコンポーネント6610、7610および8610に相対して枢動することができる。すなわち、エルボーコンポーネント6620、7620および8620は、エルボーアセンブリ6600、7600および8600のフレームアセンブリおよびクッションアセンブリ6100、6175、7100、7175、8100および8175に相対する回転位置の配向に関係無く、スイベルコンポーネント6610、7610および8610に相対して枢動することができる。
【0150】
5.3.1 シール形成構造
本技術の一形態において、シール形成構造は、シール形成表面を提供し、クッション機能をさらに提供し得る。
【0151】
本技術によるシール形成構造は、柔らかく、可撓性でありかつ弾力性のある材料(例えば、シリコーン)から構成され得る。
【0152】
一形態において、シール形成構造は、密閉フランジおよび支持フランジを含む。密閉フランジは、厚さが約1mm未満(例えば、約0.25mm~約0.45mm)の比較的肉薄の部材を含む。この部材は、プレナムチャンバの縁部長さの周囲に延びる。支持フランジは、密閉フランジよりも比較的肉厚であり得る。支持フランジは、密閉フランジと、プレナムチャンバの周辺縁との間に配置され、縁部長さの周囲の少なくとも一部に延びる。支持フランジは、バネ様要素であるかまたはバネ様要素を含み、密閉フランジを使用時に座屈しないように支持するよう機能する。使用時において、密閉フランジは、プレナムチャンバ中のシステム圧力に容易に応答してその下側上に作用して、面と緊密な密閉係合を形成させ得る。
【0153】
一形態において、非侵襲的患者インターフェースのシール形成部分は、一対の鼻パフまたは鼻枕を含む。各鼻パフまたは鼻枕は、患者の鼻の各鼻孔とのシールを形成するように構成および配置される。
【0154】
本技術の一態様による鼻枕は、円錐台を含む。円錐台のうち少なくとも一部は、患者の鼻の下側、柄部、円錐台の下側上の可撓性領域上に密閉を形成し、円錐台を柄部へ接続させる。加えて、本技術の鼻枕が接続される構造は、柄部のベースに隣接する可撓性領域を含む。可撓性領域は、自在接合構造を促進するように機能し得る。自在接合構造は、円錐台の変位および角度双方と、鼻枕が接続される構造との相互移動に対応する。例えば、円錐台は、柄部が接続された構造に向かって軸方向に変位し得る。
【0155】
一形態において、非侵襲的患者インターフェースは、患者の顔の上唇領域(すなわち、上唇)上にシールを形成するシール形成部分を含む。
【0156】
1つの形態において、非侵襲的患者インターフェースは、患者の顔の顎領域上にシールを形成するシール形成部分を含む。
【0157】
本技術の特定の形態において、シール形成構造は、特定のサイズの顔の頭部および/または形状に対応するように構成される。例えば、1つの形態のシール形成構造は、小さなサイズの頭部ではなく、大きなサイズの頭部に適している。別の実施例において、1つの形態のシール形成構造は、大きなサイズの頭部ではなく、小さなサイズの頭部に適している。
【0158】
5.3.2 プレナムチャンバ
プレナムチャンバは、使用時にシールが形成される領域において平均的な人の顔の表面輪郭に対して相補的である形状の縁部を有する。使用時において、プレナムチャンバの周辺縁部は、顔の隣接する表面に近接して位置決めされる。顔との実際の接触は、シール形成構造によって提供される。シール形成構造は、使用時においてプレナムチャンバの周囲全体の周りに延び得る。
【0159】
5.3.3 位置決めおよび安定化構造
本技術の患者インターフェースのシール形成構造は、使用時において位置決めおよび安定化構造によって密閉位置において保持され得る。
【0160】
本技術の一形態において、患者が睡眠時に装着されるように構成された位置決めおよび安定化構造が提供される。一実施例において、位置決めおよび安定化構造3300は、装置の感知される嵩または実際の嵩を低減するように、ロープロファイルまたは断面厚さを有する。一実施例おいて、位置決めおよび安定化構造は、矩形断面を有する少なくとも1つのストラップを含む。一実施例において、位置決めおよび安定化構造は、少なくとも1つの平坦ストラップを含む。
【0161】
本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造は、織物患者接触層、発泡材料内側層および織物外側層の積層物から構成されたストラップを含む。一形態において、発泡材料は、湿気(例えば、汗)がストラップを通過できるような多孔性である。一形態において、織物外側層は、フック材料部分と係合するループ材料を含む。
【0162】
本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造は、伸張可能である(例えば、弾力性と共に伸張可能である)ストラップを含む。例えば、ストラップは、使用時にはピンと張った状態にされて、クッションを患者の顔の一部と密着させる力を方向付けるように、構成され得る。一実施例において、ストラップは、タイとして構成され得る。
【0163】
本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造は、屈曲可能であり例えば非剛性であるストラップを含む。本態様の利点として、患者が睡眠時に体を横たえたときにストラップがより快適になっている点がある。
【0164】
本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造は、特定のサイズの頭部および/または形状の顔に対応するように構成された保持力を提供する。例えば、位置決めおよび安定化構造の1つの形態により、小さなサイズの頭部ではなく、大きなサイズの頭部に適した保持力が提供される。別の実施例において、位置決めおよび安定化構造の1つの形態により、大きなサイズの頭部ではなく、小さなサイズの頭部に適した保持力が提供される。
【0165】
5.3.4 通気
一形態において、患者インターフェースは、吐き出されたガス(例えば、二酸化炭素)の押し出しを可能にするように構成および配置された通気部を含む。
【0166】
本技術による一形態の通気部は、複数の穴(例えば、約20個~約80個の穴または約40個~約60個の穴または約45個~約55個の穴)を含む。
【0167】
通気部は、プレナムチャンバ内に配置され得る。あるいは、通気部は、結合解除構造(例えば、スイベル)内に配置される。
【0168】
5.3.5 結合解除構造(複数)
患者インターフェースの一形態は、少なくとも1つの結合解除構造(例えば、スイベルまたは球窩およびソケット)を含む。
【0169】
5.3.6 接続ポート
接続ポートは、空気回路4170への接続を可能にする。
【0170】
5.3.7 前額支持部
図示の実施例において、フレームアセンブリ6100は、前額支持部無しに設けられる。
【0171】
別の形態において、患者インターフェースは、前額支持部を含み得る。例えば、フレームアセンブリは、前額支持部を含み得る。
【0172】
5.3.8 窒息防止弁
一形態において、患者インターフェースは、窒息防止弁を含む。
【0173】
5.3.9 ポート
本技術の一形態において、患者インターフェースは、プレナムチャンバ内の量へのアクセスを可能にする1つ以上のポートを含む。一形態において、これにより、臨床医が補充酸素を供給することが可能になる。一形態において、これにより、プレナムチャンバ内のガス(例えば、圧力)の特性を直接測定することが可能になる。
【0174】
5.4 用語集
本技術の開示目的のため、本技術の特定の形態において、以下の定義のうち1つ以上が適用され得る。本技術の他の形態において、別の定義も適用され得る。
【0175】
5.4.1 一般
空気:本技術の特定の形態において、空気は大気を意味し得、本技術の他の形態において、空気は、他の呼吸可能なガスの組み合わせ(例えば、酸素を豊富に含む大気)を意味し得る。
【0176】
雰囲気:本技術の特定の形態において、「雰囲気」という用語は、(i)治療システムまたは患者の外部、および(ii)治療システムまたは患者を直接包囲するものを意味するものとしてとられるべきである。
【0177】
例えば、加湿器に対する雰囲気湿度とは、加湿器を直接包囲する空気の湿度であり得る(例えば、患者が睡眠をとっている部屋の内部の湿度)。このような雰囲気湿度は、患者が睡眠をとっている部屋の外部の湿度と異なる場合がある。
【0178】
別の実施例において、雰囲気圧力は、身体の直接周囲または外部の圧力であり得る。
【0179】
特定の形態において、雰囲気(例えば、音響)ノイズは、例えばRPTデバイスから発生するかまたはマスクまたは患者インターフェースから発生するノイズ以外の、患者の居る部屋の中のバックグラウンドノイズレベルとみなすことができる。雰囲気ノイズは、部屋の外の発生源から発生し得る。
【0180】
自動的な気道陽圧(APAP)療法:SDB発症の兆候の存在または不在に応じて、例えば、呼吸間に最小限界と最大限界との間で治療圧力を自動的に調節することが可能なCPAP療法。
【0181】
持続的気道陽圧(CPAP)療法:治療圧力が患者の呼吸サイクルを通じてほぼ一定である呼吸圧療法。いくつかの形態において、気道への入口における圧力は、呼息時において若干上昇し、吸息時において若干低下する。いくつかの形態において、圧力は、患者の異なる呼吸サイクル間において変動する(例えば、部分的な上気道閉塞の兆候の検出に応答して増加され、部分的な上気道閉塞の通知の不在時において低減される)。
【0182】
流量:単位時間あたりに送出される空気の瞬時の量(または質量)。流量とは、瞬間の量を指し得る。場合によっては、流量について言及した場合、スカラー量(すなわち、大きさのみを有する量)を指す。他の場合において、流量について言及した場合、ベクトル量(すなわち、大きさおよび方向両方を持つ量)を指す。流量には、符号Qが付与され得る。「流量」を簡略的に「流れ」と呼ぶ場合もある。
【0183】
患者の呼吸の実施例において、流量は、患者の呼吸サイクルの吸気部分に対してノミナルに陽圧であり得るため、患者の呼吸サイクルの呼気部分に対して負であり得る。合計流量Qtは、RPTデバイスから退出する空気の流量である。通気流量Qvは、吐き出されたガスの流出を可能にするために通気孔から退出する空気の流量である。漏洩流量Qlは、患者インターフェースシステムまたは他の場所からの漏洩の流量である。呼吸流量Qrは、患者の呼吸器系中に受容される空気の流量である。
【0184】
漏洩:「漏洩」という用語は、意図しない空気流れとしてとられる。一実施例において、漏洩は、マスクと患者の顔との間のシールが不完全であることに起因して発生し得る。別の実施例において、漏洩は、周囲に対する回りエルボーにおいて発生し得る。
【0185】
ノイズ伝導(音響):本文書において、伝導ノイズとは、空気圧式経路(例えば、空気回路および患者インターフェースおよびその内部の空気)によって患者へ搬送されるノイズを指す。一形態において、伝導ノイズは、空気回路の端部における音圧レベルを測定することにより、定量化され得る。
【0186】
ノイズ放射(音響):本文書において、放射ノイズとは、周囲空気によって患者へ搬送されるノイズを指す。一形態において、放射ノイズは、当該対象の音響パワー/圧力レベルをISO3744に従って測定することにより、定量化され得る。
【0187】
ノイズ通気(音響):本文書において、通気ノイズとは、任意の通気(例えば、患者インターフェース中の通気穴)を通じた空気流れにより生成されるノイズを指す。
【0188】
患者:呼吸器疾患に罹患しているかまたはしていない人。
【0189】
圧力:単位面積あたりの力。圧力は、多様な単位で表現測定され得る(例えば、cmHO、g-f/cm2、及びヘクトパスカル)。1cmHOは、1g-f/cm2に等しく、およそ0.98ヘクトパスカルである。本明細書において、他に明記無き限り、圧力はcmHOの単位で付与される。
【0190】
患者インターフェース中の圧力には記号Pmが付与され、現時点においてマスク圧力Pmが達成すべき目標値を表す治療圧力には記号Ptが付与される。
【0191】
呼吸圧力治療(RPT):雰囲気に対して典型的には陽圧である治療圧力における空気供給の気道入口への付加。
【0192】
人工呼吸器:患者が呼吸動作の一部または全てを行い際に圧力補助を提供する機械的デバイス。
【0193】
5.4.1.1 材料
シリコーンまたはシリコーンエラストマー:合成ゴム。本明細書において、シリコーンについて言及される場合、液体シリコーンゴム(LSR)または圧縮成形シリコーンゴム(CMSR)を指す。市販のLSRの一形態として、Dow Corningによって製造されるSILASTIC(この登録商標下において販売される製品群に含まれる)がある。別のLSR製造業者として、Wackerがある。他に逆の明記無き限り、例示的形態のLSRのASTMD2240によって測定した場合のショアA(またはタイプA)押込み硬さは、約35~約45である。
【0194】
ポリカーボネート:典型的には、ビスフェノールAカーボネートの透明な熱可塑性ポリマーである。
【0195】
5.4.1.2 機械的特性
弾性:弾性変形時にエネルギーを吸収することおよび除荷時にエネルギーを解放することが可能な材料の能力。
・「弾性」:除荷時に実質的に全てのエネルギーを解放する。例えば特定のシリコーンおよび熱可塑性エラストマーを含む。
【0196】
硬度:材料自体の変形に抵抗する能力(例えば、ヤング係数または規格化されたサンプルサイズ上において測定された押込硬さスケールによって記述されたもの)。
・「軟性」材料は、シリコーンまたは熱可塑性エラストマー(TPE)を含み得、例えば指圧力下において容易に変形し得る。
・「硬質」材料は、ポリカーボネート、ポリプロピレン、鋼またはアルミニウムを含み得、例えば指圧力下において容易に変形し得ない。
【0197】
構造または構成要素の剛度(または剛性):構造または構成要素が負荷を受けたときに変形に抵抗する能力。負荷は、力またはモーメントであり得る(例えば、圧縮、伸張、屈曲またはねじれ)。構造または構成要素は、異なる方向において異なる抵抗を提供し得る。
・「フロッピー」構造または構成要素:自重を支持させられた際に比較的短期間(例えば、1秒)以内に形状を変化させる(例えば、屈曲する)構造または構成要素。
・「剛性」の構造または構成要素:使用時において典型的に遭遇する負荷を受けた際に実質的に形状変化の無い構造または構成要素。このような用途の実施例として、患者インターフェースを例えばおよそ20~30cmHOの圧力の負荷において患者気道入口に対して密閉した様態でセットアップおよび維持することがあり得る。
【0198】
一実施例として、I形ばりは、第2の直交方向と比較した第1の方向において、異なる曲げ剛性(曲げ負荷に対する抵抗)を含み得る。別の実施例において、構造または構成要素は、第1の方向においてはフロッピーであり得、第2の方向においては剛性であり得る。
【0199】
5.4.2 呼吸サイクル
無呼吸:いくつかの定義によれば、無呼吸とは、所定の閾値を下回った流れが例えば10秒間の継続期間にわたって継続した場合に発生したと言われる。閉塞性無呼吸とは、患者の労作にもかかわらず、何らかの気道閉塞により空気の流れが許されないときに発生すると言われる。中枢性無呼吸とは、気道が開通しているにも関わらず呼吸努力の低下または呼吸努力の不在に起因して無呼吸が検出された状態を指すと言われる。混合無呼吸とは、呼吸努力の低下または不在が気道閉塞と同時発生した状態を指すと言われる。
【0200】
呼吸速度:患者の自発呼吸速度であり、通常は毎分あたりの呼吸回数で測定される。
【0201】
負荷サイクル:吸息時間Tiの合計呼吸時間Ttotに対する比。
【0202】
労作(呼吸):呼吸努力は、呼吸しようとしている人の自発呼吸によって行われる動きを指すと言われる。
【0203】
呼吸サイクルの呼気部分:呼気流れの開始から吸気流れの開始までの期間。
【0204】
流量制限:流量制限は、患者による労作の増大が流量の対応する増大を引き起こさない患者の呼吸における状況であると解釈される。呼吸サイクルの吸気部分において流量制限が発生した場合、当該流量制限は吸気流量制限と称することができる。呼吸サイクルの呼気部分において流量制限が発生した場合、当該流量制限は呼気流量制限と称することができる。
【0205】
流れ制限吸気の波形の種類:
(i)平坦化:上昇の後に比較的平坦な部位が続いた後、下降が発生すること。
(ii)M字型:立ち上がりにおいて1つおよび立ち下がりにおいて1つの2つの局所的ピークを持ち、これら2つのピークの間に比較的平坦な部位がある。
(iii)椅子状:単一の局所的ピークを持ち、このピークが立ち上がり部分に発生した後、比較的平坦な部位が続く。
(iv)逆椅子状:比較的平坦な部位の後に単一の局所的ピークが続き、このピークが立ち下がり部分に発生する。
【0206】
呼吸低下:一部の定義によれば、呼吸低下は、流れの中断ではなく、流れの低下を意味する。一形態において、閾値速度を下回った流れ低下が継続期間にわたって続いた場合、呼吸低下が発生したと言われる。呼吸努力の低下に起因して呼吸低下が検出された場合、中枢性呼吸低下が発生したと言われる。成人の一形態において以下のうちいずれかが発生した場合、呼吸低下と見なされ得る:
(i)患者呼吸の30%の低下が少なくとも10秒+関連する4%の脱飽和、または、
(ii)患者呼吸の(50%未満の)低下が少なくとも10秒間継続し、関連して脱飽和が少なくとも3%であるかまたは覚醒が発生する。
【0207】
過呼吸:流れが通常の流量よりも高いレベルまで増加すること。
【0208】
呼吸サイクルの吸気部分:吸気流れの開始から呼気流れの開始までの期間が、呼吸サイクルの吸気部分としてとられる。
【0209】
開通性(気道):気道が開いている度合いまたは気道が開いている範囲。気道開通性とは、開口である。気道開通性の定量化は、例えば、開通性を示す値(1)と、閉鎖(閉塞)を示す値(0)で行われ得る。
【0210】
呼吸終末陽圧(PEEP):肺中の大気を越える圧力であり、呼気終了時に存在する。
【0211】
ピーク流量(Qpeak):呼吸流れ波形の吸気部分における流量最大値。
【0212】
呼吸気流量、空気流量、患者の空気流量、呼吸気空気流量(Qr):これらの用語は、RPTデバイスの呼吸空気流量の推定を指すものとして理解され得、通常リットル/分で表される患者の実際の呼吸流量である「真の呼吸流量」または「真の呼吸気流量」と対照的に用いられる。
【0213】
1回換気量(Vt):余分な努力をせずに通常の呼吸時に吸い込まれたかまたは吐き出された空気の量である。
【0214】
(吸息)時間(Ti):呼吸流量波形の吸気部分の継続期間。
【0215】
(呼息)時間(Te):呼吸流量波形の呼気部分の継続期間。
【0216】
(合計)時間(Ttot):呼吸流量波形の一つの吸気部分の開始と呼吸流量波形の次の吸気部分の開始との間の合計継続期間。
【0217】
典型的な最近の換気:所定の時間スケールにわたる換気Ventの直近値が密集する傾向となる換気値(すなわち、換気の直近値の中心の傾向の度合い)。
【0218】
上気道閉塞(UAO):部分的な上気道閉塞および合計上気道閉塞両方を含む。上気道上の圧力差の増加(スターリングレジスタ挙動)と共に流量がわずかに増加するかまたは低下し得る流量制限の状態と関連し得る。
【0219】
換気(Vent):患者の呼吸器系によって行われるガス交換率の測定。換気の測定は、単位時間あたりの吸気および呼気流のうち片方または双方を含み得る。1分あたりの体積として表される場合、この量は、「分換気」と呼ばれることが多い。分換気は、単に体積として付与されることもあり、1分あたりの体積として理解される。
【0220】
5.4.3 換気
適応サーボ人工呼吸器(ASV):一定の目標換気を持つのではなく変更が可能なサーボ人工呼吸器。変更可能な目標換気は、患者の何らかの特性(例えば、患者の呼吸特性)から学習され得る。
【0221】
バックアップレート:人工呼吸器のパラメータであり、(自発呼吸努力によってトリガされない場合に)人工呼吸器から患者へ送達される最小呼吸速度(典型的には、1分あたりの呼吸数)を確立させる。
【0222】
サイクル:人工呼吸器の吸気フェーズの終了。自発呼吸をしている患者へ人工呼吸器から呼吸を送達する場合、呼吸サイクルの吸気部分の終了時において、当該人工呼吸器は、呼吸送達を停止するようサイクルされると言われる。
【0223】
呼気の気道陽圧(EPAP):、人工呼吸器が所与の時期に達成しようとする所望のマスク圧力の生成のために、呼吸内において変化する圧力が付加される基本圧力。
【0224】
終了時呼気圧力(EEP):呼吸の呼気部分の終了時において人工呼吸器が達成しようとする所望のマスク圧力。圧力波形テンプレートΠ(Φ)が呼気終了時にゼロの値である(すなわち、Φ=1のときにΠ(Φ)=0である場合)、EEPはEPAPに等しい。
【0225】
吸息の気道陽圧(IPAP):呼吸の吸気部分時に人工呼吸器が達成しようとする最大の所望のマスク圧力。
【0226】
圧力補助:人工呼吸器吸気時における当該人工呼吸器呼気時における圧力増加を示す数であり、吸気時の最大値と、基本圧力との間の圧力差を主に意味する(例えば、PS=IPAP‐EPAP)。いくつかの文脈において、圧力補助とは、(人工呼吸器が実際に達成する差ではなく)人工呼吸器が達成しようとする差を意味する。
【0227】
サーボ人工呼吸器:患者換気を有しかつ目標換気を有する人工呼吸器であり、患者換気を目標換気に近づけるために圧力補助レベルを調節する。
【0228】
自発/タイミング(S/T):自発呼吸している患者の呼吸の開始を検出しようとする、人工呼吸器または他のデバイスのモード。しかし、デバイスが所定期間の間に呼吸を検出できない場合、デバイスは、呼吸送達を自動的に開始する。
【0229】
スイング:圧力補助に相当する用語。
【0230】
トリガ:人工呼吸器が自発呼吸する患者へ空気の呼吸を送達する場合、患者自身が呼吸サイクルの呼吸部分を開始したとき、当該人工呼吸器が呼吸送達を行うようトリガされたと言う。
【0231】
典型的な最近の換気:典型的な最近の換気Vtypは、一定の所定の時間スケールにわたって最近の換気測定が密集する傾向となる一定範囲の値である。例えば、最近の履歴にわたる換気測定の中心的傾向の測定は、典型的な最近の換気の適切な値であり得る。
【0232】
5.4.4 解剖学的構造
5.4.4.1 顔の解剖学的構造
翼:外部の外壁または各鼻穴の「翼」(複数形:alar)
【0233】
Alare:鼻翼上の最外側の点。
【0234】
翼曲率(または鼻翼頂上)点:各翼の曲線状基準線における最後方点であり、翼および頬の結合によって形成される折り目において見受けられる。
【0235】
耳介:耳の視認できる部分全体。
【0236】
(鼻)骨格:鼻の骨格は、鼻骨、上顎骨の前頭突起および前頭骨の鼻部分を含む。
【0237】
(鼻)軟骨格:鼻の軟骨格は、中隔軟骨、外側軟骨、大軟骨および小軟骨を含む。
【0238】
鼻柱:鼻孔を分離する皮膚片であり、鼻尖点から上唇へ延びる。
【0239】
鼻柱角度:鼻穴の中点を通じて引かれる線と、鼻下点と交差しつつフランクフルト水平に対して垂直に引かれる線との間の角度。
【0240】
フランクフォート水平面:眼窩縁の最下側点から左耳点へ延びる線。耳点は、ノッチ上側から耳介の耳珠への最も深い点である。
【0241】
眉間:軟組織中に配置され、前額部の正中矢状において最も顕著な点。
【0242】
側鼻軟骨:軟骨の略三角形の板。その上側周縁は鼻骨および上顎骨の前頭突起へ取り付けられ、その下側周縁は大鼻翼軟骨へ接続される。
【0243】
唇、下側(下唇:labrale inferius):
【0244】
唇、上側(上唇:labrale superius):
【0245】
大鼻翼軟骨:軟骨の板であり、側鼻軟骨の下側に配置される。これは、鼻孔の前方部分の周囲において曲線状になる。その後端は、3つまたは4つの翼の小軟骨を含む強靱な線維膜により、上顎骨の前頭突起へ接続される。
【0246】
鼻孔(鼻穴):概して楕円体の翼穴であり、鼻腔への入口を形成する。鼻孔(nares)の単数形は鼻孔(naris)(鼻穴)である。これらの鼻孔は、鼻中隔によって分離される。
【0247】
鼻唇溝または鼻唇折り目:皮膚の折り目または溝であり、鼻の各側から口腔の角部へ延びて、頬を上唇から分離させる。
【0248】
鼻唇角:鼻柱と上唇との間の角度であり、鼻下点と交差する。
【0249】
耳基底下点:耳介の顔の皮膚への取り付けの最低点。
【0250】
耳基底上点:耳介の顔の皮膚への取り付けの最高点。
【0251】
鼻尖点:鼻の最も突出した点または先端であり、頭部の部分の残り部分の側面図中に確認され得る。
【0252】
人中:鼻中隔の下側境界から上唇領域中の唇の上部へ延びる正中線溝。
【0253】
ポゴニオン:軟組織上に配置された、顎の最前方中点。
【0254】
(鼻)堤:鼻堤は、鼻の正中線隆起であり、セリオンから鼻尖点へ延びる。
【0255】
矢状面:前方(前)から後方(後)へ続く垂直面であり、本体を右半分および左半分に分割する。
【0256】
セリオン:軟組織上に配置された、前頭鼻骨縫合の領域上の最も凹状の点である。
【0257】
中隔軟骨(鼻):鼻中隔軟骨は、隔膜の一部であり、鼻腔の前部分を分割する。
【0258】
鼻翼最下点:翼ベースの下側周縁における点であり、翼ベースは上(上)唇の皮膚と接合する。
【0259】
鼻下点:軟組織上に配置され、鼻柱が正中矢状における上唇と合体する点。
【0260】
スプラメンターレ:下唇中点と軟組織ポゴニオンとの間の下唇の正中線中の最も凹状の点。
【0261】
5.4.4.2 頭蓋骨の解剖学的構造
前頭骨:前頭骨は、前額部として知られる領域に対応する大型垂直部分である前頭鱗を含む。
【0262】
下顎骨:下顎骨は、下側顎部を形成する。オトガイ隆起は、顎部の骨隆起であり、顎を形成する。
【0263】
上顎骨:上顎骨は、上側顎部を形成し、下顎骨の下側および眼窩の下側に配置される。上顎骨の前頭突起は、鼻の側部によって上方に突出し、その外側境界の部分を形成する。
【0264】
鼻骨:鼻骨は、2つの小さな長方形骨であり、個人によってサイズおよび形態が異なる。鼻骨は、顔の中間部分および上部分に並んで配置され、その接合により鼻の「ブリッジ」を形成する。
【0265】
鼻根点:前頭骨および2本の鼻骨の交差であり、眼と鼻のブリッジの上側との間に直接設けられた凹領域である。
【0266】
後頭骨:後頭骨は、頭蓋の裏および下側部分に配置される。後頭骨は、楕円穴である大後頭孔を含み、この穴を通じて、頭蓋内腔が椎管と連痛する。大後頭孔の後側の曲面板は、後頭鱗である。
【0267】
眼窩:頭蓋骨中の骨空洞であり、眼球を含む。
【0268】
頭頂骨:頭頂骨は、相互に接合されると頭蓋の頂部および側部を形成する骨である。
【0269】
側頭骨:側頭骨は、頭蓋骨のベースおよび側部上に配置され、こめかみとして知られる顔の部分を支持する。
【0270】
頬骨:顔に含まれる2つの頬骨は、顔の上側部分および外側部分中に配置され、頬の隆起を形成する。
【0271】
5.4.4.3 呼吸器系の解剖学的構造
横隔膜:シート状の筋肉であり、胸郭下部上に延びる。横隔膜は、心臓、肺および肋骨を含む胸腔を腹腔から分離させる。横隔膜が収縮すると、胸腔の容量が増加し、肺中に空気が引き込まれる。
【0272】
喉頭:声帯ひだを収容する喉頭または発声器であり、咽頭の下部(下咽頭)を気管へ接続させる。
【0273】
肺:ヒトにおける呼吸臓器。肺の伝導性ゾーンは、気管、気管支、気管支、および終末細気管支を含む。呼吸ゾーンは、呼吸細気管支、肺胞管および肺胞を含む。
【0274】
鼻腔:鼻腔(または鼻窩)は、顔の中央の鼻の上方および後方の空気が充填された大きな空間である。鼻腔は、鼻中隔と呼ばれる垂直フィンによって2つに分割される。鼻腔の側部には、鼻甲介または鼻介骨と呼ばれる3つの水平伸長物がある。鼻腔の前方には鼻があり、後方は後鼻孔を介して鼻咽頭内に繋がる。
【0275】
咽頭:鼻腔の直接下側(下方)に配置されかつ食道および喉頭の上方に配置された咽喉の部分。咽頭は、従来から以下の3つの部分へ区分される:鼻咽頭(上咽頭)(咽頭の鼻部分)、中咽頭(中咽頭)(咽頭の口部分)、および咽喉(下咽頭)。
【0276】
5.4.5 患者インターフェース
窒息防止弁(AAV):マスクシステムの構成要素またはサブアセンブリであり、フェールセーフ様態での雰囲気中への開口により、患者による過度のCOの再呼吸の危険性を低減させる。
【0277】
エルボー:エルボーは、内部を移動する空気の流れの軸を方向付けて、角度を通じて方向を変化させる構造の実施例である。一形態において、角度はおよそ90度であり得る。別の形態において、角度は、90度超過または未満であり得る。エルボーは、ほぼ円形の断面を持ち得る。別の形態において、エルボーは、楕円または矩形の断面を持ち得る。特定の形態において、エルボーは、噛み合い構成要素に対して例えば約360度で回転可能であり得る。特定の形態において、エルボーは、噛み合い構成要素から例えばスナップ接続を介して取り外すことが可能であり得る。特定の形態において、エルボーは、製造時にワンタイムスナップを介して噛み合い構成要素へ組み付けることが可能である一方、患者が取り外すことはできない。
【0278】
フレーム:フレームは、ヘッドギアを接続する2つ以上の点間の引張荷重を支持するマスク構造を意味するものとしてとられる。マスクフレームは、マスク中の非気密負荷支持構造であり得る。しかし、いくつかの形態のマスクフレームは、気密であってもよい。
【0279】
機能的死空間(Functional deadspace):
【0280】
ヘッドギア:ヘッドギアは、頭部上において使用されるように設計された、一形態の位置決めおよび安定化構造を意味するものとしてとられる。例えば、ヘッドギアは、患者インターフェースを呼吸治療の送達のために患者の顔上の所定位置に配置および保持するように構成された1つ以上の支柱、タイおよび補剛材の集合を含み得る。いくつかのタイは、柔らかい可撓性の弾性材料(例えば、発泡材料および織物の層状複合材)によって形成される。
【0281】
膜:膜は、典型的には肉薄の要素を意味するものとしてとられ、好適には屈曲に対して実質的に抵抗せずかつ伸縮に対しては抵抗する。
【0282】
プレナムチャンバ:マスクプレナムチャンバは、空間の容積を少なくとも部分的に封入する壁を有する患者インターフェースの一部を意味するものとしてとられ、容積中の空気は、加圧されて使用時において気圧を超える。シェルは、マスクプレナムチャンバの壁の一部を形成し得る。
【0283】
シール:名詞(「シール」)として用いられる場合は構造を指し得、動詞(「密閉(する)」)として用いられる場合はその効果を指し得る。2つの要素は、別個の「シール」要素自体を必要とすることなく両者間において「シール」するかまたは「密閉」効果を得るように、構築および/または配置され得る。
【0284】
シェル:シェルは、屈曲、引っ張りおよび圧縮剛性を有する曲線状の比較的肉薄構造を意味するものとしてとられる。例えば、マスクの曲線状構造壁は、シェルであり得る。いくつかの形態において、シェルはファセットされ得る。いくつかの形態において、シェルは気密であり得る。いくつかの形態において、シェルは気密でない場合もある。
【0285】
補剛材:補剛材は、別の構成要素の剛軟度を少なくとも1つの方向において増加させるように設計された構造構成要素を意味するものとしてとられる。
【0286】
支柱:支柱は、別の構成要素の圧縮抵抗を少なくとも1つの方向において増加させるように設計された構造構成要素を意味するものとしてとられる。
【0287】
スイベル(名詞):構成要素のサブアセンブリであり、共通軸の周囲において好適には独立して好適には低トルク下において回転するように構成される。一形態において、スイベルは、少なくとも360度の角度で回転するように構成され得る。別の形態において、スイベルは、360度未満の角度で回転するように構成され得る。空気送達導管の文脈において用いられる場合、構成要素のサブアセンブリは好適には、一対組み合わせの円筒導管を含む。使用時において、スイベルからの空気漏れはほとんど無い。
【0288】
つなぎ材(名詞):張力に抵抗するように設計された構造。
【0289】
通気:(名詞):マスクまたは導管の内部の周囲空気への空気流れを可能にする構造であり、吐き出されたガスの臨床的に有効な洗い流しを可能にする。例えば、臨床的に有効な洗い流しにおいては、約10リットル/分~約100リットル/分の流量がマスク設計および治療圧力に応じて用いられ得る。
【0290】
5.4.6 構造の形状
本技術による製品は、1つ以上の三次元機械構造(例えば、マスククッションまたはインペラ)を含み得る。三次元構造は、二次元表面によって制限され得る。これらの表面は、関連付けられた表面の方向、位置、機能または他の何らかの特性を記述するためのラベルを用いて区別され得る。例えば、構造は、前表面、後表面、内面および外面のうち1つ以上を含み得る。別の実施例において、クッション構造は、顔を含む(例えば、外側の)表面と、別個の顔を含まない(例えば、下側または内側の)表面を含み得る。別の実施例において、構造は、第1の表面および第2の表面を含み得る。
【0291】
三次元構造の形状および表面の説明を容易にするために、構造の表面を通じた点pにおける断面について先ず検討する。図3B図3Fを参照されたい。図3B図3Fは、表面上における点pにおける断面例と、その結果得られる平面曲線の例とを示す。図3B図3Fは、pにおける外向き法線ベクトルも示す。pにおける外向き法線ベクトルは、表面から離隔方向に延びる。いくつかの実施例において、架空の小さな人が表面上に直立している観点から、この表面について説明する。
【0292】
5.4.6.1 一次元における曲率
pにおける平面曲線の曲率は、符号(例えば、正、負)および大きさ(例えば、pにおいて曲線に接する円形の1/半径)を持つものとして記述され得る。
【0293】
正の曲率:pにおける曲線が外向き法線に向かって曲がる場合、その点における曲率は、正の値を持つものとしてとられる(この架空の小さな人が点pから立ち去る場合、上り坂を歩行する必要がある)。図3B図3Cと比較して比較的大きな正の曲率)および図3C図3Bと比較して比較的小さな正の曲率)を参照されたい。このような曲線を、凹状と呼ぶことが多い。
【0294】
ゼロ曲率:pにおける曲線が直線である場合、曲率はゼロとしてとられる(この架空の小さな人が点pから立ち去る場合、上向きでも下向きでもない水平面を歩行することができる)。図3Dを参照されたい。
【0295】
負の曲率:pにおける曲線が外向き法線から離隔方向に曲がる場合、その点およびその方向における曲率は、負の値を持つものとしてとられる(この架空の小さな人が点pから立ち去る場合、下り坂を歩行する必要がある)。図3E図3Fと比較して比較的小さな負の曲率)および図3F図3Eと比較して比較的大きな負の曲率)を参照されたい。このような曲線は、凸状と呼ばれることが多い。
【0296】
5.4.6.2 二次元表面の曲率
本技術による二次元表面上の所与の点における形状の記述は、複数の垂直断面を含み得る。複数の断面は、外向き法線(「法平面」)を含む面において表面を切断し得、各断面は、異なる方向においてとられ得る。各断面の結果、対応する曲率を有する平面曲線が得られる。その点における異なる曲率は、同一符号または異なる符号を持ち得る。その点における曲率はそれぞれ、(例えば、比較的小さな)大きさを有する。図3B図3F中の平面曲線は、特定の点におけるこのような複数の断面の例であり得る。
【0297】
主要な曲率および方向:曲線の曲率が最大値および最小値をとる法平面の方向を主要な方向と呼ぶ。図3B図3Fの実施例において、最大曲率は図3Bにおいて発生し、最小は図3Fにおいて発生するため、図3Bおよび図3Fは、主要な方向における断面である。pにおける主要な曲率は、主要な方向における曲率である。
【0298】
表面の領域:表面上の連結された点の集合。領域内のこの1組の点は、類似の特性(例えば、曲率または符号)を持ち得る。
【0299】
サドル領域:(上り坂または下り坂を歩行し得る架空の人が向く方向に応じて)各点において主要な曲率が反対の符号(すなわち、片方が正の符号および他方が負の符号)を有する領域。
【0300】
ドーム領域:各点において主要な曲率が同一符号(双方とも正(「凹状ドーム」)または双方とも負(「凸状ドーム」))を持つ領域。
【0301】
円筒型領域:1つの主要な曲率がゼロ(または、例えば製造公差内のゼロ)をとり、他方の主要な曲率が非ゼロである領域。
【0302】
平面領域:主要な曲率双方がゼロであるか(または例えば製造交差内のゼロである)表面の領域。
【0303】
表面の縁部:表面または領域の境界または限界。
【0304】
経路:本技術の特定の形態において、「経路」は、数学的‐トポロジー的意味合いにおける経路(例えば、表面上におけるf(0)からf(1)への連続空間曲線)を意味するものとしてとられる。本技術の特定の形態において、「経路」は、例えば表面上の1組の点を含むルートまたはコースとして記述され得る。(架空の人の経路は、表面上において歩行する場所であり、庭の経路に類似する)。
【0305】
経路長さ:本技術の特定の形態において、「経路長さ」とは、表面に沿ったf(0)からf(1)への距離(すなわち、表面上の経路に沿った距離)を指すものとしてとられる。表面上の2つの点間において1つよりも多くの経路があり得、このような経路は、異なる経路長さを持ち得る。(架空の人の経路長さは、表面上を経路に沿って歩行する距離である)。
【0306】
直線距離:直線距離は、表面上の2つの点間の距離であるが、表面は考慮しない。平面領域上において、表面上の2つの点間の直線距離と同一の経路長さを有する表縁上の距離がある。非平面表面上において、2つの点間の直線距離と同一の経路長さを有する経路は存在し得ない。(架空の人にとって、直線距離は、「カラスが飛ぶ」距離に対応する)。
5.4.6.3 空間曲線
【0307】
空間曲線:平面曲線と異なり、空間曲線は、任意の特定の平面内に必ずしも存在しない。空間曲線は、三次元空間の一次元ピースとみなされ得る。DNA螺旋の鎖上を歩行している架空の人物は、空間曲線に沿って歩行する。典型的なヒトの左耳は、左手螺旋を含む(図3Pを参照)。典型的なヒトの右耳は、右手螺旋を含む(図3Qを参照)。図3Rは、右手螺旋を示す。構造の縁部(例えば、膜または羽根車の縁部)は、空間曲線をたどり得る。一般的に、空間曲線は、空間曲線上の各点における曲率およびねじれによって記述され得る。ねじれとは、平面から発生する曲線の様態の尺度である。ねじれは、符号および大きさを有する。空間曲線上の点におけるねじれは、当該点における接線ベクトル、法線ベクトルおよび従法線ベクトルに対して特徴付けられ得る。
【0308】
接線単位ベクトル(または単位接線ベクトル):曲線上の各点について、当該点におけるベクトルは、当該点からの方向および大きさを指定する。接線単位ベクトルとは、当該点における曲線と同じ方向を向く単位ベクトルである。架空の人物が曲線に沿って飛行しており、特定の点において自身の車両から落ちた場合、接線ベクトルの方向は、その人物が移動しているはずの方向である。
【0309】
単位法線ベクトル:架空の人物が曲線に沿って移動している場合、この接線ベクトルそのものが変化する。接線ベクトルが変化している方向と同じ方向を向く単位ベクトルは、単位主法線ベクトルと呼ばれる。これは、接線ベクトルに対して垂直である。
【0310】
従法線単位ベクトル:従法線単位ベクトルは、接線ベクトルおよび主法線ベクトル双方に対して垂直である。その方向は、右手の法則(例えば図3Oを参照)または表すあるいは左手の法則(図3N)によって決定され得る。
【0311】
接触平面:単位接線ベクトルおよび単位主法線ベクトルを含む平面。図3Nおよび図3Oを参照されたい。
【0312】
空間曲線のねじれ:空間曲線の点におけるねじれとは、当該点における従法線単位ベクトルの変化速度の大きさである。これは、曲線の接触平面からの逸脱の程度を測定する。平面内にある空間曲線のねじれはゼロである。空間曲線の接触平面からの逸脱が比較的少量である場合、その空間曲線のねじれの大きさは比較的小さい(例えば、緩やかに傾斜する螺旋状経路)。空間曲線の接触平面からの逸脱が比較的大量である場合、その空間曲線のねじれの大きさは比較的大きい(例えば、急勾配に傾斜する螺旋状経路)。図3Rを参照して、T2>T1であるため、図3Rの螺旋の最上部コイルの近隣のねじれの大きさは、図3Rの螺旋の最下部コイルのねじれの大きさよりも大きい。
【0313】
図3Oの右手の法則を参照して、右手従法線の方向に向かって曲がる空間曲線は、右手方向に正のねじれとしてみなされ得る(例えば、図3Rに示すような右手螺旋)。右手従法線方向から離隔方向を向く空間曲線は、右手の負のねじれを持つものとしてみなされ得る(例えば、左手螺旋)。
【0314】
同様に、左手の法則(図3Nを参照)を参照して、左手従法線方向を向く空間曲線は、左手の正のねじれ(例えば、左手螺旋)を持つものとしてみなされ得る。よって、左手の正の方向は、右手の負の方向に相当する。図3Sを参照されたい。
【0315】
5.4.6.4 穴
表面は、一次元穴を持ち得る(例えば、平面曲線または空間曲線によって境界付けられた穴)。穴を含む肉薄構造(例えば、膜)の場合、この構造は、一次元穴を有するものとして記述され得る。例えば、図3Iに示す構造の表面中の一次元穴が平面曲線301Dによって境界付けられる様子を参照されたい。
【0316】
構造は、二次元穴(例えば、表面によって境界付けられた穴)を持ち得る。例えば、可膨張性タイヤは、タイヤの内側の面によって境界付けられた二次元穴を有する。別の実施例において、空気またはゲルのための空洞を備えたブラダーは、二次元穴を持ち得る。例えば、図3Lのクッションおよび図3M中の内部を貫通する例示的断面を参照されたい。さらに別の実施例において、導管は、(例えばその入口またはその出口において)一次元穴を含み得、導管の内面によって境界付けられた二次元穴を含み得る。図3Kに示す構造を通じておりかつ図示のように表面302Dによって境界付けられた二次元穴も参照されたい。
【0317】
5.5 他の注意事項
本特許文書の開示の一部は、著作権保護が与えられる内容を含む。著作権所有者は、何者かが本特許文書または本特許開示をファックスにより再生しても、特許庁の特許ファイルまたは記録に記載されるものであれば目的のものであれば異論は無いが、その他の目的については全ての著作権を保持する。
【0318】
他に文脈から明確に分かる場合および一定の範囲の値が提供されていない限り、下限の単位の1/10、当該範囲の上限と下限の間、および記載の範囲の他の任意の記載の値または介入値に対する各介入値は本技術に包含されることが理解される。介入範囲中に独立的に含まれるこれらの介入範囲の上限および下限が記載の範囲における制限を特に超えた場合も、本技術に包含される。記載の範囲がこれらの制限のうち1つまたは双方を含む場合、これらの記載の制限のいずれかまたは双方を超える範囲も、本技術に包含される。
【0319】
さらに、本明細書中に値(単数または複数)が本技術の一部として具現される場合、他に明記無き限り、このような値が近似され得、実際的な技術的実行が許容または要求する範囲まで任意の適切な有効桁までこのような値を用いることが可能であると理解される。
【0320】
他に明記しない限り、本明細書中の全ての技術用語および科学用語は、本技術が属する分野の当業者が一般的に理解するような意味と同じ意味を持つ。本明細書中に記載の方法および材料に類似するかまたは等しい任意の方法および材料を本技術の実践または試験において用いることが可能であるが、限られた数の例示的方法および材料が本明細書中に記載される。
【0321】
特定の材料が構成要素の構築に好適に用いられるものとして記載されているが、特性が類似する明白な代替的材料が代替物として用いられる。さらに、それとは反対に記載無き限り、本明細書中に記載される任意および全ての構成要素は、製造可能なものとして理解されるため、集合的にまたは別個に製造され得る。
【0322】
本明細書中及び添付の特許請求の範囲において用いられるように、単数形である「a」、「an」および「the」は、文脈から明らかにそうでないことが示されない限り、その複数の均等物を含む点に留意されたい。
【0323】
本明細書中に記載される公開文献は全て、これらの公開文献の対象である方法および/または材料の開示および記載、参考のために援用される。本明細書中に記載の公開文献は、本出願の出願日前のその開示内容のみのために提供するものである。本明細書中のいずれの内容も、本技術が先行特許のためにこのような公開文献に先行していない、認めるものと解釈されるべきではない。さらに、記載の公開文献の日付は、実際の公開文献の日付と異なる場合があり、個別に確認が必要であり得る。
【0324】
「comprises」および「comprising」という用語は、要素、構成要素またはステップを非排他的な意味合いで指すものとして解釈されるべきであり、記載の要素、構成要素またはステップが明記されていない他の要素、構成要素またはステップと共に存在、利用または結合され得ることを示す。
【0325】
詳細な説明において用いられる見出しは、読者の便宜のためのものであり、本開示または特許請求の範囲全体において見受けられる内容を制限するために用いられるべきではない。これらの見出しは、特許請求の範囲または特許請求の範囲の制限の範囲の解釈において用いられるべきではない。
【0326】
本明細書中の技術について、特定の実施例を参照して述べてきたが、これらの実施例は本技術の原理および用途を例示したものに過ぎないことが理解されるべきである。いくつかの場合において、用語および記号は、本技術の実施に不要な特定の詳細を示し得る。例えば、「first(第1の)」および「second(第2の)」(など)という用語が用いられるが、他に明記無き限り、これらの用語は任意の順序を示すことを意図しておらず、別個の要素を区別するために用いられる。さらに、本方法におけるプロセスステップについての記載または例示を順序付けて述べる場合があるが、このような順序は不要である。当業者であれば、このような順序が変更可能でありかつ/またはその様態を同時にまたはさらに同期的に行うことが可能であることを認識する。
【0327】
よって、本技術の意図および範囲から逸脱することなく、例示的な実施例において多数の変更例が可能であり、また、他の配置構成が考案され得ることが理解されるべきである。
【0328】
例えば、任意の1つのエルボーアセンブリの実施例(例えば、エルボーアセンブリ6600、7600および8600)のうち1つ以上のフィーチャは、別のエルボーアセンブリの例(例えば、エルボーアセンブリ6600、7600および8600)または関連する他の例の1つ以上のフィーチャと組み合わせることが可能であることが理解されるべきである。例えば、エルボーアセンブリ8600の1つ以上の態様(例えば、リップまたはシェブロン8631)は、エルボーアセンブリ6600および7600において採用され得る。
【0329】
また、本技術の1つ以上の態様は、以下の態様のうち1つ以上と組み合わせることが可能であることが理解されるべきである:以下の出願の利益を主張するPCT出願第PCT/AU2016/050891(出願日:2016年9月23日、タイトル:「Patient Interface」):米国仮出願第62/222,593(出願日:2015年9月23日および米国仮出願第62/376,961号(出願日:2016年8月19日;米国仮出願第62/377,217号(出願日:2016年8月19日、タイトル:「Patient Interface with a Seal-Forming Structure having Varying Thickness」);米国仮出願第62/377,158号(出願日:2016年8月19日、タイトル:「Patient Interface with a Seal-Forming Structure having Varying Thickness」);以下の出願の恩恵を主張するPCT出願第PCT/AU2016/050893(出願日:2016年9月23日、タイトル:「Vent Adaptor for a Respiratory Therapy System」):米国仮出願第62/222,604号(出願日:2015年9月23日);および/または以下の出願の恩恵を主張するPCT出願第PCT/AU2016/050228号(出願日:2016年3月24日、タイトル:「Patient Interface with Blowout Prevention for Seal-Forming Portion」):米国仮出願第62/138,009号(出願日:2015年3月25日、および米国仮出願第62/222,503号(出願日:2015年9月23日)。上記した出願それぞれ全体を、本明細書中、同文献全体を参考のため援用する。
【符号の説明】
【0330】
1000 患者
1100 同床者
3000 患者インターフェース
3100 シール形成構造
3200 プレナムチャンバ
3300 位置決めおよび安定化構造
3400 通気
3600 接続ポート
3700 前額支持部
4000 RPTデバイス
4170 空気回路
5000 加湿器
6000 患者インターフェース
6100 フレームアセンブリ
6120 導管
6175 クッションアセンブリ
6200 シール形成構造
6250 リップシール
6600 エルボーアセンブリ
6610 スイベルコンポーネント
6612 スイベル部材
6614 拡散器材料
6616 拡散器カバー
6618 出口
6620 エルボーコンポーネント
6625 スイベルコネクタ
6630 内壁
6632 外壁
6634 ベース壁
6635 開口部
6640 通気穴
6645 ピボットピン
6650 ピンチアーム
6652 反矢じり端
6660 第1の端部
6662 球部
6664 凹部
6665 ポート
6667 開口部
6670 第2の端部
6671 管状端部
6672 ベース壁
6672A 壁部
6672B 壁部
6675 リブ
6680 AAV
6682 フラップ部
6684 接続部位
6800 ヘッドギア
7100 フレームアセンブリ
7105 導管
7105A 端壁
7105B 側壁
7115 環状フランジ
7115A 内面
7120 導管
7125 隆起
7175 クッションアセンブリ
7176 接続部位
7176A 前縁
7176B 外側
7600 エルボーアセンブリ
7610 スイベルコンポーネント
7620 エルボーコンポーネント
7625 スイベルコネクタ
7626 舌部
7630 内壁
7632 外壁
7632A 外面
7632B 前縁
7633 導管
7634 ベース壁
7635 開口部
7636 リム
7637 軌道
7639 通路
7640 通気穴
7645 ピボットピン
7650 ピンチアーム
7652 反矢じり端
7655 ヒンジ部
7657 フィンガーグリップ
7660 第1の端部
7662 球部
7664 凹部
7665 ポート
7667 開口部
7670 第2の端部
7671 管状端部
7671A 溝
7672 ベース壁
7672A 壁部
7672B 壁部
7673 開口部
7674 ブリッジ
7675 リブ
7680 AAV
7682 フラップ部
7684 接続部位
7685 ヒンジ部
7690 溝
7692 平面
7695 溶接ビード
7696 平面
7698 平面
8000 患者インターフェース
8100 フレームアセンブリ
8175 クッションアセンブリ
8600 エルボーアセンブリ
8610 スイベルコンポーネント
8620 エルボーコンポーネント
8630 内壁
8631 リップまたはシェブロン
8632 外壁
8633 導管
8640 通気穴
8650 ピンチアーム
8665 ポート
8665.1 リム
8682 AAVフラップ
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図2I
図2J
図2K
図2L
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図3I
図3J
図3K
図3L
図3M
図3N
図3O
図3P
図3Q
図3R
図3S
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