(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-21
(45)【発行日】2023-09-29
(54)【発明の名称】温度制御ユニットを有するエネルギー貯蔵システム
(51)【国際特許分類】
H01M 10/6557 20140101AFI20230922BHJP
H01M 10/643 20140101ALI20230922BHJP
H01M 10/647 20140101ALI20230922BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20230922BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20230922BHJP
H01M 10/615 20140101ALI20230922BHJP
H01M 10/6568 20140101ALI20230922BHJP
H01M 10/663 20140101ALI20230922BHJP
H01M 10/653 20140101ALI20230922BHJP
【FI】
H01M10/6557
H01M10/643
H01M10/647
H01M10/625
H01M10/613
H01M10/615
H01M10/6568
H01M10/663
H01M10/653
(21)【出願番号】P 2021560748
(86)(22)【出願日】2021-09-29
(86)【国際出願番号】 IB2021058966
(87)【国際公開番号】W WO2022070114
(87)【国際公開日】2022-04-07
【審査請求日】2021-12-24
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518148098
【氏名又は名称】テーイー オートモーティブ テクノロジー センター ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アルベルト ベッカー
(72)【発明者】
【氏名】マティアス ウィンター
(72)【発明者】
【氏名】トシュテン シェーファー
(72)【発明者】
【氏名】フロリアン デイベル
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-065907(JP,A)
【文献】国際公開第2011/149075(WO,A1)
【文献】特開2019-009009(JP,A)
【文献】特開2014-235803(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/60 -10/667
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギー貯蔵システム(1)であって、
複数のエネルギー貯蔵セル(3)が
複数列に並んで配置された筐体(2)を備え、
前記筐体(2)には、温度制御ユニット(4)が配置されており、
前記温度制御ユニット(4)は、前記エネルギー貯蔵セル(3)に少なくとも部分的に接触しており、
前記温度制御ユニット(4)は、前記エネルギー貯蔵セル(3)の形状に少なくとも部分的に適合した形状を有し、
前記温度制御ユニット(4)は、
複数のプリフォーム(7)により形成されたブロー成形部品として設計されて
おり、
中空の管状体を備える各プリフォーム(7)は、前記エネルギー貯蔵セル(3)の隣接する列間に配置され、前記エネルギー貯蔵セル(3)の列間の複数の流路(6)を規定するように前記エネルギー貯蔵セル(3)の周りに形成されている
ことを特徴とするエネルギー貯蔵システム(1)。
【請求項2】
請求項1に記載のエネルギー貯蔵システムであって、
前記エネルギー貯蔵セル(3)は、円筒型セルとして設計されている
ことを特徴とするエネルギー貯蔵システム。
【請求項3】
請求項1に記載のエネルギー貯蔵システムであって、
前記エネルギー貯蔵セル(3)は、角型セル又はパウチセルである
ことを特徴とするエネルギー貯蔵システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のエネルギー貯蔵システムであって、
前記温度制御ユニット(4)は、前記エネルギー貯蔵セル(3)の外郭に寄り添っている接触部分(5)を有する
ことを特徴とするエネルギー貯蔵システム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のエネルギー貯蔵システムであって、
複数の流路(6)
は、前記エネルギー貯蔵セル(3)の複数列の一端に沿って配置され別個に形成されたコレクタ(8)に、それぞれ接続されている
ことを特徴とするエネルギー貯蔵システム。
【請求項6】
請求項1に記載のエネルギー貯蔵システムであって、
前記流路(6)は、流入側と流出側とにおいて、コレクタ(8)に連結されている
ことを特徴とするエネルギー貯蔵システム。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載のエネルギー貯蔵システムであって、
前記エネルギー貯蔵システム(1)は、車両の一部である
ことを特徴とするエネルギー貯蔵システム。
【請求項8】
請求項6に記載のエネルギー貯蔵システムであって、
前記コレクタ(8)は、車両の冷却回路に動作可能に連結されている
ことを特徴とするエネルギー貯蔵システム。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載のエネルギー貯蔵システムであって、
前記温度制御ユニット(4)は、蛇行形状に形成されている
ことを特徴とするエネルギー貯蔵システム。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載のエネルギー貯蔵システムであって、
前記温度制御ユニット(4)は、熱可塑性材料から形成されている
ことを特徴とするエネルギー貯蔵システム。
【請求項11】
アシスト用電気駆動部と、
請求項1~10のいずれか1項に記載のエネルギー貯蔵システム(1)とを
少なくとも備える車両。
【請求項12】
複数のエネルギー貯蔵セル(3)が配置された筐体(2)を備えるエネルギー貯蔵システム(1)を製造する方法であって、
前記
複数のエネルギー貯蔵セル(3)が、前記筐体(2)に
複数列に並んで配置され、
次いで、プリフォーム(7)が、前記エネルギー貯蔵セル(3)
の各列の間に配置され、
温度制御ユニット(4)が、前記プリフォーム(7)からブロー成形によって形成される
方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、
コレクタが、別個に形成され、前記エネルギー貯蔵セル(3)の複数列の片側に沿って各流路(6)に接続される
ことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項7に記載のエネルギー貯蔵システムであって、
流入側及び流出側は、エネルギー貯蔵セル(3)の複数列の反対側の端である
ことを特徴とするエネルギー貯蔵システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本開示は、2020年9月30日出願の欧州特許出願公開第20199326.8号の優先権を主張するものであり、参照により本明細書に援用する。
【0002】
本開示は、エネルギー貯蔵システムに関し、このエネルギー貯蔵システムは、複数のエネルギー貯蔵セルが配置された筐体を備え、筐体には温度制御ユニットが配置されており、温度制御ユニットは、エネルギー貯蔵セルに少なくとも部分的に接触しており、エネルギー貯蔵セルの形状に少なくとも部分的に適合した形状を有する。本開示は、このようなエネルギー貯蔵システムを有する車両にも関する。
【背景技術】
【0003】
そのようなエネルギー貯蔵システムは、例えば、特許文献1から知られている。この種のエネルギー貯蔵システムは、定置型システムに特に適しており、且つ、電気駆動のみ又は電気駆動が補助する車両等の移動型システムで使用するのに特に適している。エレクトロモビリティによく使用されるエネルギー貯蔵システムは、バッテリ形態の充電式エネルギー貯蔵セルを備えており、リチウムイオンバッテリが使用されることが特に多い。このようなバッテリは複数のエネルギー貯蔵セルからなり、これらセルは共に筐体に設置される。この場合、複数のエネルギー貯蔵セルを収容する筐体がエネルギー貯蔵モジュールを形成する。
【0004】
リチウムイオンバッテリなどの電気化学バッテリは、可能な最大容量を示す温度範囲は小さい。そのため、環境条件応じて、筐体に配置されたエネルギー貯蔵セルを冷却又は加熱することが必要となる。この目的のために、温度制御ユニットを筐体内にホースと共に配置し、このホースがエネルギー貯蔵セルの間に設置されることが、前述の先行技術から知られている。このホースは可撓性があり、加圧された温度制御媒体が温度制御ユニットを通して搬送されるときにこのホースはエネルギー貯蔵セルに寄り添っている。しかし、本発明者らによれば、ここで、ホース状の温度制御ユニットによってエネルギー貯蔵セルに機械的な力が印加される可能性があることは問題があり、特に、加圧された温度制御媒体が温度制御ユニットを通して搬送される場合に問題となることが分かった。機械的な力は、制動過程やカーブに沿った運転から生じ得るものであり、エネルギー貯蔵システムに損傷を引き起こす可能性がある。本発明者らが見つけた別の課題は、温度制御ユニット内部の圧力条件に応じて、温度制御ユニットとエネルギー貯蔵セルとの間の接触面が小さくなる可能性があり、それにより局所的な過加熱及び損傷が引き起こされ得ることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2019/046871(A1)号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の目的は、簡単に装着可能であり、機械的特性が良好であり且つ高い熱伝導を可能にする、エネルギー貯蔵システム用温度制御ユニットを提供することである。
【0007】
上記の目的は、請求項1の特徴を用いることで達成される。従属請求項は、有利な実施形態を示す。
【0008】
本開示によるエネルギー貯蔵システムは、複数のエネルギー貯蔵セルが配置された筐体を備え、筐体には温度制御ユニットが配置されており、温度制御ユニットは、エネルギー貯蔵セルに少なくとも部分的に接触しており、温度制御ユニットは、エネルギー貯蔵セルの形状に少なくとも部分的に適合した形状を有し、温度制御ユニットはブロー成形部品として形成されている。したがって、温度制御ユニットは、寸法安定性のあるプラスチックから形成されており、好ましくは、寸法安定性のある熱可塑性物質から形成されている。
【0009】
温度制御ユニットの成形は、筐体内において本来の位置(in situ)で且つエネルギー貯蔵セル同士の間で、行われる。温度制御ユニットを製造するために、プリフォームがエネルギー貯蔵セル同士の間に設置され、ブロー成形によって成形される。その工程において、プリフォームは各エネルギー貯蔵セルに寄り添った状態になり、それにより、エネルギー貯蔵セルと各温度制御ユニットとの間の接触面積が特に大きくなる。これは、特に良好な熱伝導をもたらす。ブロー成形工程の完了後は、温度制御ユニットは、寸法安定性を有し、つまり、特にエネルギー貯蔵システムの動作中は、エネルギー貯蔵セルに機械的な荷重が伝達されない。
【0010】
しかし、温度制御ユニットは、寸法安定性があるので、支持装置として働くことができ、各エネルギー貯蔵セルを適位置に固定することもできる。さらに、温度制御ユニットがブロー成形部品として形成されることから、エネルギー貯蔵セルの配置及び設計に関して、融通性が大きくなる。特に、エネルギー貯蔵セルの配置及びエネルギー貯蔵セルの設計に応じて温度制御ユニットの形状を変更する必要がなくなる。温度制御ユニットの成形は、ブロー成形工程中に自動的に行われ、これにより、温度制御ユニットにおいては非常に様々な形状が実現可能になる。
【0011】
エネルギー貯蔵セルは、円筒型セルとして設計可能である。このようなエネルギー貯蔵セルは、筒形状を有し、筐体内に直立して又は横向きに配置される。この場合、温度制御ユニットは、筒状の円筒型セルの周囲に寄り添っている。温度制御ユニットは、ブロー成形工程中に形成されるものであり、これにより、温度制御ユニットが、円筒型セルの筒状壁と大きな面積に亘って接触することが確実となる。温度制御ユニットの成形がエネルギー貯蔵セルの形状に応じて自動的に実行されるので、円筒型セルの直径は重要ではなく、高さも重要ではない。代替の実施形態では、エネルギー貯蔵セルは、例えば、パウチセル又は角型セル(prismatic cell)でもよい。
【0012】
温度制御ユニットは、流路を少なくとも1つ有してもよい。そのために、温度制御ユニットは、流路を有する中空体として設計されている。この流路により、温度制御媒体は、温度制御ユニットを通って流れることが可能となり、これにより、各エネルギー貯蔵セルから放射される熱を吸収したり又はエネルギー貯蔵セルに熱を放出したりする。有利な実施形態では、例えば、流路を、膜又は壁によって互いから分離された複数の準流路に分割することも考えられる。
【0013】
温度制御ユニットは接触部分を有してもよく、この接触部分は、エネルギー貯蔵セル3の外郭に寄り添っている。これにより、温度制御ユニットとエネルギー貯蔵セルとの間の接触面積が特に大きくなる。
【0014】
温度制御ユニットは、複数の流路を有することができる。本実施形態では、別々に形成された複数のプリフォームが、エネルギー貯蔵装置同士の間に配置され、各プリフォームがそれぞれ流路を形成する。その結果、各流路は単純な形状を有することになり、プリフォームは簡単に装着可能とある。さらに、熱要件又は低温要件に適合した温度制御媒体が流路を通って流れることが考えられる。これに関連して、局所的に限られた動作不良等の場合には、隣接する流路が、高体積流量の温度制御媒体又はより低温の温度制御媒体にさらされることが考えられる。
【0015】
流路は、流入側又は流出側又はその両方において、コレクタに連結することができる。このことは、流路の全部又は少なくとも一部に、温度制御媒体を容易に供給できることを意味する。流路を通って流れる温度制御媒体の体積流量を制御するために、切替え弁を、コレクタと流路との間に配置可能である。流路と同様に、コレクタもブロー成形部品として形成することができる。
【0016】
エネルギー貯蔵システムは車両の一部であってもよい。この場合、エネルギー貯蔵システムは、電気駆動部用の電気エネルギーを供給する。ブロー成形部品の形態をなす、本開示における温度制御ユニットの実施形態は、温度制御ユニットがエネルギー貯蔵セルの形状に適合されるので、この点において特に有利である。一方で、これにより、温度制御ユニットと各エネルギー貯蔵セルとの間の広範囲にわたる効率的な熱伝導が実現し、他方で、温度制御ユニットは、運転中に、特に、制動中やカーブに沿った運転中に、エネルギー貯蔵セルに作用する力を吸収することができる。
【0017】
コレクタは、車両の冷却回路に動作可能に連結することができる。本実施形態では、エネルギー貯蔵システムの温度制御ユニットは、車両の効率的な冷却回路に連結される。コレクタは、直接的又は間接的に冷却回路に連結可能である。
【0018】
温度制御ユニットは、蛇行形状にすることができる。この場合、温度制御ユニットは、複数のエネルギー貯蔵セルを円弧状に囲んでいる。これらエネルギー貯蔵セルは、規則的に配置可能であり、温度制御ユニットによって複数の列に分離されている。
【0019】
温度制御ユニットは熱可塑性材料から形成可能である。熱可塑性物質は、ブロー成形により容易に加工される。熱伝導率を改善するために、熱可塑性物質に添加物を加えてもよい。考えられる添加物には、例えば、金属粒子又は炭素粒子が含まれる。さらに、機械的特性を改善するために、熱可塑性材料の基剤は繊維強化剤を有してもよい。
【0020】
本開示による車両は、アシスト用電気駆動部と、先に記載したような温度制御ユニットを備えるエネルギー貯蔵システムとを少なくとも備える。
【0021】
本開示の目的は、複数のエネルギー貯蔵セルからなる列を有するエネルギー貯蔵装置のための温度制御ユニットを製造する方法によっても達成される。この方法では、エネルギー貯蔵セルからなる列にプリフォームを1つ配置し、温度制御ユニットがこのプリフォームからブロー成形によって形成される。したがって、本開示による方法では、まず、エネルギー貯蔵セルが筐体に配置され、必要に応じて、筐体に固定される。次いで、前述のプリフォームが、エネルギー貯蔵セル同士の間に配置される。プリフォームは蛇行形状に配置してもよい。またはその代わりに、エネルギー貯蔵セル同士の間に複数のプリフォームが配置されてもよい。次いで、温度制御ユニットがブロー成形によって成形される。この工程の間に、プリフォームの材料が加熱され且つ加圧されて、プリフォームが塑性変形してエネルギー貯蔵セルに部分的に寄り添った状態になる。これにより、温度制御ユニットと各エネルギー貯蔵セルとの間の接触面積が大きくなる。ブロー成形工程の完了後は、温度制御ユニットは、寸法安定性を有し、その調整機能に加えて、エネルギー貯蔵セル用の支持体として機能することもできる。
【0022】
ブロー成形中に、少なくとも1つの機能要素が、温度制御ユニットにモールド成型されるか又は配置されてもよい。温度制御回路の各流路は、温度制御ユニットを機能させるために必要な機能要素を複数収納することができる。このような機能要素には、例えば、絞り弁、逆止め弁、切替え弁、ポンプ、フローセンサ、温度センサがある。本開示によるエネルギー貯蔵システムでは、上述の機能要素の少なくとも1つが、温度制御ユニットに配置されてもよく、例えば流路内に配置されてもよい。これにより、機能要素は、温度制御媒体と接触状態になる。
【0023】
機能要素がエネルギー貯蔵システム内においてエネルギー貯蔵セル同士の間に配置されるので、温度制御媒体の各状態パラメータが測定可能となり、調整対象領域において、これらのパラメータに直接影響を与えることもできる。それにより、第1の実施形態では、機能要素は、基部に直接形成されてもよく、これは、絞り弁などのパッシブ要素を特に対象としている。またはこれの代わりに、機能要素は、ブロー成形後に温度制御ユニット内に正確に位置決めされるように、プリフォームに配置されてもよい。
【0024】
本開示におけるエネルギー貯蔵システムの実施形態のいくつかを、図を参照しながら以下により詳細に説明する。これらはいずれも概略的に示す。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】複数の流路を有するエネルギー貯蔵システムを示している。
【
図2】蛇行形状の温度制御ユニットを有するエネルギー貯蔵システムを示している。
【
図3】
図1におけるエネルギー貯蔵システムの製造方法を示している。
【
図4】角型セルの形態のエネルギー貯蔵セルを有するエネルギー貯蔵システムの製造方法を示している。
【発明を実施するための形態】
【0026】
各図は、複数のエネルギー貯蔵セル3が配置された筐体2を備えるエネルギー貯蔵システム1を示す。これに関して、エネルギー貯蔵セル3は、第1の実施形態では円筒型セルであってもよく、第2の実施形態ではパウチセルでもよい。これの代わりに、また、エネルギー貯蔵セル3は、角型セルの形態であってもよい。ここに記載するエネルギー貯蔵システム1は、電気自動車の電気駆動部用及び補助ユニット用の電気エネルギーを貯蔵する。
【0027】
筐体2には温度制御ユニット4が配置されており、温度制御ユニット4はエネルギー貯蔵セル3に少なくとも部分的に接触している。これに関して、温度制御ユニット4は、エネルギー貯蔵セル3の形状に部分的に適合した形状を有する。
【0028】
図1による実施形態では、エネルギー貯蔵セル3は、円筒型セルの形態であり、筐体2において直立して設置されている。筐体2には、複数の流路6を備える温度制御ユニット4がさらに配置されている。ここで、流路6は、エネルギー貯蔵セル3が複数列に並んで配置されるように、エネルギー貯蔵セル3同士の間に配置される。流路6の形態をなしている温度制御ユニット4は接触部分5を有し、この接触部分5はエネルギー貯蔵セル3の外郭に寄り添っている。
【0029】
流路6は、流入側と流出側とにおいて、コレクタ8に連結されている。流入側では、温度制御媒体がコレクタ8を介して流路6の方向に搬送され、流出側に配置されたコレクタ8を介して、温度制御媒体が流路6から離れる方向に搬送される。コレクタ8は、流路6と同様に、ブロー成形部品として形成されている。コレクタ8は、電気的に駆動される車両の冷却回路に動作可能に連結されている。
【0030】
流路6及びコレクタ8を有する温度制御ユニット4は、熱可塑性材料から形成されている。熱伝導率を改善するために、熱可塑性材料の基剤は、金属粉又は炭素粉の形態の熱伝導性粒子を備える。
【0031】
図2は、
図1に記載したエネルギー貯蔵システム1の別の実施形態を示す。本実施形態では、温度制御ユニット4は、流路6を1つ備え、この流路6は、蛇行形状になるように形成されており、エネルギー貯蔵セル3同士の間を円弧状に延在する。
【0032】
図3は、温度制御ユニット4を有するエネルギー貯蔵システム1を製造する方法を示す。この場合、まず、筐体2にエネルギー貯蔵セル3が配置される。本実施形態では、エネルギー貯蔵セル3は、筐体2に直立して配置された円筒型セルの形態である。
【0033】
第2ステップでは、エネルギー貯蔵セル3同士の間に各プリフォーム7が配置される。エネルギー貯蔵セル3がプリフォーム7同士の間で列状に配置されるように、プリフォーム7は配置される。プリフォーム7は細長い中空体である。温度センサやフローセンサ等の機能要素が、プリフォーム7の少なくとも1つに配置されてもよい。
【0034】
次のステップでは、温度制御ユニット4が、プリフォーム7からブロー成形によって形成される。ブロー成形中にプリフォーム7の塑性変形が起こることにより、プリフォーム7が膨張し、それにより、各エネルギー貯蔵セル3と接触する。この場合、プリフォーム7、又は、プリフォーム7から形成された流路6を有する温度制御ユニット4は、エネルギー貯蔵セル3の周囲に寄り添っている。接触部分5は流路6から形成されており、流路6は、エネルギー貯蔵セル3の周囲と一致する。これにより、温度制御ユニット4と各エネルギー貯蔵セル3との間の接触面積が大きくなる。ブロー成形中に、機能要素は、温度制御ユニット4内に正確に位置決めされる。さらに、機能要素は、ブロー成形中にプリフォーム7から直接形成されてよい。
【0035】
そして、流路6がコレクタ8に連結される。本事例では、これは溶接継手によって行われる。
【0036】
図の左側部分では、エネルギー貯蔵セル3同士の間にプリフォーム7が配置された状態のエネルギー貯蔵システム1が見られる。右側の図では、プリフォーム7から形成された温度制御ユニット4が見られる。この温度制御ユニット4は、エネルギー貯蔵セル3同士の間に配置されており、エネルギー貯蔵セル3の形状に適合されている。
【0037】
図4は、
図3におけるエネルギー貯蔵システム1の別の製造方法を示している。本実施形態では、各エネルギー貯蔵セル3は角型セルの形態をなしている。本実施形態においても、各プリフォーム7はエネルギー貯蔵セル3同士の間に配置され、温度制御ユニット4がプリフォーム7からブロー成形によって形成される。この工程中において、プリフォーム7は、角型セルの形態をなすエネルギー貯蔵セル3の外郭に寄り添っており、これにより、温度制御ユニット4と各エネルギー貯蔵セル3との間の接触面積が大きくなる。パウチセルの形態のエネルギー貯蔵セル3が使用されるときと同等の実施形態がもたらされる。