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特許7353404UV LED及びフィルター部を使用した小型空気清浄機
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-21
(45)【発行日】2023-09-29
(54)【発明の名称】UV LED及びフィルター部を使用した小型空気清浄機
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/20 20060101AFI20230922BHJP
   A61L 9/00 20060101ALI20230922BHJP
   B01D 46/00 20220101ALI20230922BHJP
   F24F 8/22 20210101ALI20230922BHJP
【FI】
A61L9/20
A61L9/00 C
B01D46/00 Z
F24F8/22
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022027210
(22)【出願日】2022-02-24
(62)【分割の表示】P 2020114858の分割
【原出願日】2015-11-05
(65)【公開番号】P2022068341
(43)【公開日】2022-05-09
【審査請求日】2022-03-25
(31)【優先権主張番号】10-2014-0153955
(32)【優先日】2014-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2014-0153956
(32)【優先日】2014-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2014-0153957
(32)【優先日】2014-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2014-0153958
(32)【優先日】2014-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2014-0153959
(32)【優先日】2014-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2014-0153960
(32)【優先日】2014-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2014-0173020
(32)【優先日】2014-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】506029004
【氏名又は名称】ソウル バイオシス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SEOUL VIOSYS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】65-16,Sandan-ro 163 Beon-gil,Danwon-gu,Ansan-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】キム, ジョン-ラク
(72)【発明者】
【氏名】イ, ジェ-ソン
(72)【発明者】
【氏名】コ, イク-ファン
(72)【発明者】
【氏名】ビュン, サン-ファン
(72)【発明者】
【氏名】シン, サン-チョル
(72)【発明者】
【氏名】キム, ジ-ウォン
(72)【発明者】
【氏名】イ, ソン-ミン
(72)【発明者】
【氏名】チョン, ジェ-ハク
【審査官】河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-224292(JP,A)
【文献】登録実用新案第3104696(JP,U)
【文献】特開2011-183126(JP,A)
【文献】特開2001-096114(JP,A)
【文献】特開2005-003275(JP,A)
【文献】特開2007-209725(JP,A)
【文献】特開2002-096631(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0019861(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0209312(US,A1)
【文献】特開2015-051268(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0037217(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0044101(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 9/00 - 9/22
B01D 53/73
B01D 53/86 - 53/90
B01D 53/94
B01D 53/96
B01J 21/00 - 38/74
B01D 46/00 - 46/54
F24F 8/00 - 8/99
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部の空気が吐出される吐出部(34)、第1ダクト(381)、及び前記第1ダクト(381)の上部に配置される第2ダクト(382)が形成されたハウジングと、
前記ハウジングの内部に配置され、UV LED基板(55)に設置されたUV LED(57)と、
前記ハウジングの内部に配置され、前記UV LED基板(55)から前記UV LED(57)と向かう面に対して離隔して設置されるフィルター部と、
前記ハウジング内に形成されたファン収容部(301)に収容されるファン(60)と、を含み、
前記ハウジング内で前記UV LED基板(55)が設置された部分から前記フィルター部が設置された部分に空気が流動し、
前記ファン(60)の排出部(63)は、空気流動の後方上部方向に前記ハウジングの内部から空気を排出し、
前記吐出部(34)は、前記フィルター部が設置された部分より空気流動の下流に形成され、
前記第1ダクト(381)は、前記ファン収容部(301)の上部に形成され、前記ファンの排出部(63)から前記吐出部(34)に空気を流動させ、
前記ハウジングの内部に配置され、前記UV LED(57)から放出された紫外線が前記吐出部(34)を介して外部に照射されることを防止する紫外線出射防止板(39)を含み、
前記第2ダクト(382)及び前記紫外線出射防止板(39)は、前記フィルター部の上部に配置される空気清浄器。
【請求項2】
前記UV LED(57)は、互いに異なる第1のUV LEDと第2のUV LEDとを含む、請求項1に記載の空気清浄器。
【請求項3】
前記UV LED基板(55)は、前記第1のUV LEDが設置される基板と前記第2のUV LEDが設置される基板とを含む、請求項2に記載の空気清浄器。
【請求項4】
前記第1のUV LEDは、滅菌用波長を有する紫外線を放出する、請求項2に記載の空気清浄器。
【請求項5】
前記第2のUV LEDから照射される紫外線は、340~380nmのピーク波長を有する、請求項2に記載の空気清浄器。
【請求項6】
前記フィルター部は、前記UV LED(57)と前記紫外線出射防止板(39)との間に位置する、請求項1に記載の空気清浄器。
【請求項7】
前記ハウジングの内部で前記空気はフィルター部を通過する、請求項1に記載の空気清浄器。
【請求項8】
前記フィルター部は集塵フィルター(90)を含む、請求項1に記載の空気清浄器。
【請求項9】
前記フィルター部は光触媒フィルター(80)を含む、請求項1に記載の空気清浄器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気清浄器に関する。より詳細には、本発明は、車両のカップホルダーに嵌めて使用可能な程度に小型でありながらも脱臭性能に優れ、脱臭はもちろん、集塵及び殺菌が可能であり、フィルターを簡単に取り替えることができ、稼動と中断を繰り返しても、光触媒フィルターで発生する臭いが空気清浄器の外部に漏れないようにする空気清浄器に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化チタン(TiO2)は、コーティングされる基質の種類とは関係なく高い付着力を維持し、酸化チタンに光励起反応を起こし得る光源(主に紫外線)が提供されると光触媒活性を示す。
【0003】
特に、酸化チタンを用いた光触媒反応は、抗菌及び脱臭などの効果を有しており、空気清浄用として多く使用されている。例えば、空気を、酸化チタンでコーティングされた光触媒フィルター(TiO2 ceramic form filter)を介して通過させながら光触媒フィルターに紫外線を照射し、光触媒反応を起こすことによって空気の悪臭を脱臭する方式は、現在広く使用されている脱臭方式である。
【0004】
一般に、酸化チタンは、それ自体で使用されるよりは、基体上にコーティングされた形態で使用されるので、酸化チタンでコーティングされた光触媒フィルターの形状は、基体の形状によって決定されることがほとんどである。
【0005】
酸化チタンによる脱臭は、主に中大型空調機器で用いられており、小型又は家庭用空気清浄器にはあまり使用されていない。
【0006】
空気の流動量が多く、空気の流動面積が大きい大型空調機器の場合は、紫外線を強く発生させ、光触媒フィルターを大きく構成すると、何ら問題なく脱臭効果を収めることができた。
【0007】
しかし、小型空気清浄器の場合は、光触媒フィルターのサイズが制限されており、紫外線を発生させる装置のサイズも制限され、空気の流動量も少ない。したがって、小型光触媒フィルター及び紫外線発生構造によっても一定水準以上の脱臭効率を有する空気清浄器を開発する必要がある。特に、家庭用空気清浄器の場合、騒音を考慮しなければならなく、電気消耗量も非常に敏感に考慮しなければならない。しかし、従来は、中大型空調機器に重みを置いて技術が開発されてきたので、このような新しい環境に適用するのに適した技術がほとんどない。
【0008】
小型空気清浄器で光触媒フィルターの効率を高めようとする意図で紫外線をむやみに強く照射すると、光触媒フィルターの効率が保障されていない状態で強い紫外線が照射される領域の素材が速く変性したり、電気消耗量が過度に高くなったりする。また、UV LEDをより多く設置しなければならない点、及びUV LEDの寿命が短くなるという点は、原価を上昇させる他の一つの要因になり得る。
【0009】
また、酸化チタンが最もうまく吸収される波長帯領域として知られている270nm付近のピーク波長を有するUV LEDを使用したときに空気清浄器の効率を高められると漠然と予想することは可能であるが、実際に270nmのピーク波長を有するUV LEDが照射する紫外線の強さは、使用される電力に比べて相当弱い水準であるので、漠然と270nmのピーク波長を有するUV LEDを使用するとして脱臭効率が良いとは言えない。
【0010】
小さいサイズでも効率を高められる光触媒フィルターの形状や寸法、及び光触媒フィルターと紫外線光源との関係も新しく研究されなければならない。特に、光触媒フィルターの形状や寸法などは空気抵抗と密接に関連していると言えるが、小型空気清浄器に適用可能なファンの規格や性能は制限的であるので、小型空気清浄器における流動抵抗を減少させることによって空気の流動を円滑に維持することも、空気清浄器としての諸機能をするにおいて重要な課題である。
【0011】
併せて、光触媒フィルター自体の光触媒活性化効率を高められるフィルターの製造方法も模索すべき必要性がある。小さい体積の光触媒フィルターのみでもより大きい脱臭効果を収められる技術は、小型空気清浄器に関する技術分野で最も必要な技術の一つであると言っても過言ではない。
【0012】
次に、UV LED及び光触媒フィルターを活用してコンパクトな空気清浄器を構成するにおいて、どのような順序でファン及び各種フィルターを配置すべきであるのかも愼重に考慮すべき事項である。従来の中大型空調機器では、まず、集塵フィルターで埃をろ過した後、光触媒フィルターで脱臭を行ったが、フィルターは流動する空気の圧力を低下させる最も大きな構成であるので、これをそのまま小型空気清浄器に適用するとして、光触媒フィルターが中大型空調機器に使用される場合のようにその機能を発揮するのかは未知数である。
【0013】
また、家庭では、空気中の有害細菌を除去する必要性があるが、細菌までろ過するものと知られているHEPAフィルターは、空気抵抗の激しいフィルターであるので、空気清浄器が小さくなるほど適用しにくい。また、HEPAフィルターを設置することによって空気抵抗が激しくなると、却って光触媒フィルターの脱臭反応にも影響を及ぼし得るので、空気清浄器内の空気流動を大きく妨害しないと共に細菌を効率的に除去できる他の方案を模索する必要性がある。
【0014】
特に、タバコの臭いがめったに抜けない車両の内部は、脱臭効率に優れた空気清浄器が切実に要求される空間であるが、車両の内部は非常に狭いので、空間をほとんど占めないと共に相当な水準の空気清浄能力を有する空気清浄器が必要である。特に、車両は揺れの多い空間であるので、そのような環境でも固定された位置をよく維持できる形態が要求され、設置が簡単でなければならない。特に、車両用空気清浄器は、ほとんどが自動車企業でオプションとしている状況であり、車両を変えるときに空気清浄器を継続して使用できないという問題を有するので、車両用空気清浄器に関する技術分野ではポータブルな空気清浄器に対する需要が高くなるだろう。
【0015】
また、空気清浄器を車両で使用する場合、空気清浄器は車両を運行する間にのみ使用するので、空気清浄器を稼動及び中断する使用パターンが繰り返される。ところが、このような光触媒フィルターが適用された空気清浄器の使用パターンを実験した結果、空気清浄器の稼動を長時間中断してから再び稼動すると、光触媒フィルターが適用されていないフィルターに比べて稼動初期に空気清浄器の吐出部から良くない臭いが排出されるという点を確認できた。小型の車両用空気清浄器において、特に、稼動と中断が繰り返され、車両運行時間がそれほど長くない点を勘案すると、消費者は、車両を運行する度に空気清浄器から吐出される臭いに不快感を感じることがあり、製品使用の満足度が低下する。
【0016】
併せて、機能のみを過度に強調した結果、維持補修又は製作が難しくなると、商品性が低下することはもちろん、ユーザーが不便を感じるおそれがあるので、構造が複雑でなく、製作が難しくなく、維持補修が便利でなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、上述した従来技術の問題を解決するためになされたものであって、UV LED及び光触媒フィルターを用いて空気清浄器を小型で構成するにおいて、脱臭効率を高められるUV LEDの紫外線の強さ、ピーク波長、入力電源、光触媒フィルターの形状、サイズ、寸法、材質、加工方法、及びUV LEDと光触媒フィルターとの間の関係を提供することを目的とする。
【0018】
また、本発明は、脱臭効率のみならず、集塵及び殺菌効率も高い小型の空気清浄器を提供することを目的とする。
【0019】
また、本発明は、車両のカップホルダーに嵌めて使用可能な程度にコンパクトで、車両の室内空間に簡単に固定できる空気清浄器を提供することを目的とする。
【0020】
また、本発明は、空気清浄能力を最大限大きくしながらも消耗電力が少なく、騒音が少ない空気清浄器を提供することを目的とする。
【0021】
また、本発明は、維持補修が簡便な空気清浄器を提供することを目的とする。
【0022】
また、本発明は、複雑であるが、仕組みを備えて内部を構成し、よりコンパクトな空気清浄器を提供することを目的とする。
【0023】
また、本発明は、光触媒フィルターを適用した空気清浄器で稼動初期に発生する臭いの原因を究明し、そのような現象を防止できる解決策を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上述した課題を解決するために、本発明は、UV LED基板(55)に設置された光触媒用UV LED(57)と、前記UV LED基板から前記光触媒用UV LEDと向かう面に離隔して設置される光触媒フィルターと、を含む空気清浄器を提供するにおいて、次のような技術的特徴を有する空気清浄器を提供する。
【0025】
前記光触媒フィルターは、基体上にTiO2がコーティングされたものである空気清浄器を提供する。
【0026】
前記光触媒フィルターの前面で測定した紫外線の強さが10mW/cm2~20mW/cm2で、好ましくは14mW/cm2~15mW/cm2である空気清浄器を提供する。
【0027】
前記光触媒用UV LEDから照射される紫外線は340nm~380nmのピーク波長を有し、好ましくは360nm~370nmのピーク波長を有する空気清浄器を提供する。
【0028】
前記光触媒用UV LEDに印加される電源は、電圧が5V~15Vで、電流が200mA~300mAである空気清浄器を提供する。
【0029】
前記光触媒フィルターは、前記光触媒用UV LEDと向かう方向に空気流動路が形成される複数のセル(83)が隣接して平行に形成された構造であり、前記光触媒フィルターの高さ(h)は2mm~15mmで、好ましくは、5mm~10mmである空気清浄器を提供する。
【0030】
空気流動方向から見た前記セルの形状は正方形である空気清浄器を提供する。
【0031】
前記各セルを区分する隔壁であるフレームの厚さ(t)は0.3mm~1.2mmで、好ましくは0.5mm~0.7mmである空気清浄器を提供する。
【0032】
前記セルの内部離隔間隔は1mm~4mmで、好ましくは1.8mm~2.2mmである空気清浄器を提供する。
【0033】
前記セルの稠密度は30セル/inch2~260セル/inch2で、好ましくは80セル/inch2~120セル/inch2である空気清浄器を提供する。
【0034】
前記基体は多孔質のセラミック材質である空気清浄器を提供する。
【0035】
前記光触媒フィルターにTiO2をコーティングするために焼結する温度は350℃~450℃で、焼結時間は1時間~2時間である空気清浄器を提供する。
【0036】
前記UV LED基板が設置された部分から前記光触媒フィルターが設置された部分に空気が流動する空気清浄器を提供する。
【0037】
前記UV LED基板と光触媒フィルターとの間の側面には紫外線反射板が設置された空気清浄器を提供する。
【0038】
空気流動方向から見た前記光触媒フィルターの前面の外観形状は円形又は正方形である空気清浄器を提供する。
【0039】
前記光触媒フィルターの前面の面積が42cm2~72cm2で、前記光触媒用UV LEDと前記光触媒フィルターの前面との間の距離が2cm~3cmで、好ましくは、前記光触媒フィルターの前面の面積が5.32cm2~5.72cm2で、前記光触媒用UV LEDと前記光触媒フィルターの前面との間の距離が2cm~3cmである空気清浄器を提供する。
【0040】
前記UV LED基板(55)には、光触媒用UV LEDの紫外線照射方向と同一の方向に殺菌用波長を有する紫外線を照射する殺菌用UV LED(56)が設置された空気清浄器を提供する。
【0041】
前記光触媒フィルターの後面側には第2カーボンフィルター(75)が設置された空気清浄器を提供する。
【0042】
前記第2カーボンフィルターは粒状活性炭であってよい。
【0043】
前記第2カーボンフィルターは、前記粒状活性炭が埋め込まれた不織布の形態であってよい。
【0044】
前記第2カーボンフィルター(75)はパルプ型活性炭であってよい。
【0045】
前記光触媒フィルターの後面側には集塵フィルター(90)が設置された空気清浄器を提供する。
【0046】
前記光触媒フィルターの後面側に設置された第2カーボンフィルターは、前記光触媒フィルターの後面側に設置された集塵フィルターより光触媒フィルターに近く設置された空気清浄器を提供する。
【0047】
前記光触媒フィルターの後面側に設置された第2カーボンフィルターは、前記光触媒フィルターの後面側に設置された集塵フィルターと一体に形成されてフィルター部材(93)を形成する空気清浄器を提供する。
【0048】
前記UV LED基板及び前記光触媒フィルターは、空気が流動する内部ハウジング(30)内に設置され、前記光触媒フィルターは、相対的に断面積が大きい内部ハウジングの内壁に接して設置され、前記UV LED基板は、相対的に断面積が小さい内部ハウジングの内壁に対して離隔して設置される空気清浄器を提供する。
【0049】
相対的に直径が大きい上部ハウジング(10)の下部に相対的に直径が小さい下部ハウジング(20)が配置され、上下方向に連通する中空の内部空間を有する前記内部ハウジング(30)は、上部ハウジング及び下部ハウジングの内部に離隔して固定され、断面積が大きい内部ハウジング部分は上部ハウジングに、断面積が小さい内部ハウジング部分は下部ハウジングに対応して固定され、前記下部ハウジングの上端一側には、下部ハウジングの外部の空気が下部ハウジングの内部に吸入される通路として吸入グレートが形成される空気清浄器を提供する。
【0050】
前記内部ハウジングの下端に形成された空気流入口(302)は前記吸入グレートより低い部分に位置し、前記吸入グレートと空気流入口との間の高さ部分で前記下部ハウジングと前記内部ハウジングとが互いに離隔している空気清浄器を提供する。
【0051】
前記内部ハウジング内で前記UV LED基板が設置された部分より空気流動の上流にファン(60)が設置される空気清浄器を提供する。
【0052】
内部ハウジングの外部の空気を内部ハウジングの内部に強制に流動させるファンが前記内部ハウジングの下端のファン収容部(301)に固定設置され、前記ファンの吸入部(61)は互いに対向して左側及び右側方向に形成されており、前記空気流入口(302)もファン収容部(301)の左右方向に互いに対向して形成され、前記吸入グレートは下部ハウジングの前方に形成された空気清浄器を提供する。
【0053】
前記内部ハウジングは左側ハウジング(31)と右側ハウジング(32)とに二分される空気清浄器を提供する。
【0054】
前記空気流入口(302)には第1カーボンフィルターが設置される空気清浄器を提供する。
【0055】
前記下部ハウジング(20)は、前方ハウジング(21)と後方ハウジング(22)とに二分され、前記前方ハウジング(21)を分離すると、前記第1カーボンフィルターの設置部が外部に露出する空気清浄器を提供する。
【0056】
前記空気流入口(302)には一対の平行な段付き部材(305)が形成され、前記第1カーボンフィルター(70)のハウジング(71)の幅が前記一対の段付き部材(305)の間に圧入される幅である空気清浄器を提供する。
【0057】
前記内部ハウジング及び下部ハウジングのねじ締結部(306)のラウンド形状が前記ハウジング(71)を支持し、前記第1カーボンフィルターが段付き部材から抜け出ることを防止する空気清浄器を提供する。
【0058】
前記第1カーボンフィルターのハウジング(71)にはプリフィルター面(72)が形成され、ハウジングの内部には活性炭が収容された空気清浄器を提供する。
【0059】
前記ハウジング(71)には弾性シーラー(73)が付着しており、ハウジングと段付き部材(305)との間の隙間に空気が流入することを防止する空気清浄器を提供する。
【0060】
前記ファンの排出部(63)は、後方上部方向に内部ハウジングの内部に空気を排出し、前記内部ハウジングのファン収容部(301)の上部には、前記排出部(63)から空気が流動する断面積が徐々に広くなる形状の流線型拡大ダクト(381)が設置された空気清浄器を提供する。
【0061】
前記ファンの排出部(63)上部の内部ハウジングの内部には、拡径されたダクトへの空気の拡散を誘導する流動ガイド(37)が形成された空気清浄器を提供する。
【0062】
前記流線型拡大ダクト(381)の上部には前記UV LED基板が離隔して設置され、前記UV LED基板は前記流線型拡大ダクトの流線方向に対応して傾斜して設置される空気清浄器を提供する。
【0063】
前記光触媒フィルター(80)及び集塵フィルター(90)は上部ハウジングの高さ部分に対応する内部ハウジングに設置され、内部ハウジングに対して一側方向に引き出し可能に設置されている空気清浄器を提供する。
【0064】
前記光触媒フィルター(80)は、触媒部(81)と、前記触媒部(81)の周囲を取り囲む弾性バンパー(82)と、を含む空気清浄器を提供する。
【0065】
前記内部ハウジングの光触媒フィルター収容部(36)には、前記光触媒フィルターの両側面の前方一部が露出するように側面の一部が切り取られた空気清浄器を提供する。
【0066】
前記集塵フィルター(90)は第2カーボンフィルター(75)複合型集塵フィルターであってよい。
【0067】
前記集塵フィルター(90)は、集塵を行うフィルター部材(93)と、前記フィルター部材を収容し、前記フィルター部材を内部ハウジングに固定したり、前記フィルター部材を内部ハウジングから引き出したりするフレーム(91)と、前記フレーム(91)の前面に形成された取っ手(92)と、を含む空気清浄器を提供する。
【0068】
前記第2カーボンフィルター(75)複合型集塵フィルター(90)は、有害ガスを吸着し、集塵をするフィルター部材(93)と、前記フィルター部材を収容し、前記フィルター部材を内部ハウジングに固定したり、前記フィルター部材を内部ハウジングから引き出したりするフレーム(91)と、前記フレーム(91)の前面に形成された取っ手(92)と、を含む空気清浄器を提供する。
【0069】
前記内部ハウジング内で前記光触媒フィルターが設置された部分より下流に、空気が内部ハウジングから吐出される吐出部(34)が形成される空気清浄器を提供する。
【0070】
前記内部ハウジングの上部には、吐出部への空気の流動を誘導する流線型縮小ダクト(382)が形成された空気清浄器を提供する。
【0071】
前記吐出部(34)の上流には、紫外線が吐出部を介して外部に直接照射されることを防止する紫外線出射防止板(39)が設置された空気清浄器を提供する。
【0072】
前記流線型縮小ダクトの上部には、制御PCB(51)を固定するPCB固定部(33)が設けられる空気清浄器を提供する。
【0073】
前記PCB固定部(33)の上部には、前記内部ハウジングの上部に固定された制御PCB(51)及び吐出部を覆う上面ハウジング(40)が固定され、前記上部ハウジング(10)が内部ハウジング(30)の上部に固定された状態で上部ハウジングの上端が上面ハウジングの外側枠の下端と接する空気清浄器を提供する。
【0074】
前記上面ハウジング(40)には、吐出部(34)と連通する吐出グレート(43)が形成された空気清浄器を提供する。
【0075】
前記上面ハウジング(40)には、前記制御PCB(51)のスイッチを押すことができるボタン(41)が形成される空気清浄器を提供する。
【0076】
前記制御PCB(51)からファン(60)及びUV LED基板(55)に電源を供給し、制御するために接続する内部電源ケーブルは、前記制御PCB(51)から延びて内部ハウジング(30)の外面に密着した後、前記ファン収容部(301)に形成された内部電源ケーブル貫通孔(315)を介して内部ハウジング(30)の内部空間に入っていく空気清浄器を提供する。
【0077】
前記内部電源ケーブル貫通孔(315)を介して内部ハウジング(30)の内部空間に延びた内部電源ケーブルは前記ファン(60)に接続され、内部ハウジングの内部空間に沿ってさらに延びて前記UV LED基板(55)に接続される空気清浄器を提供する。
【0078】
前記フィルター(80、90)は、内部ハウジングに対して前方に引き出し可能に設置され、前記内部電源ケーブル貫通孔(315)は、前記内部ハウジングの左側面又は右側面に密着して延びる空気清浄器を提供する。
【0079】
前記内部電源ケーブル貫通孔(315)は、ファン収容部(301)の前方上部に形成される。
【0080】
前記制御PCB(51)には、右側面に向かって露出することによって左側方向にコネクターが嵌められたり、左側面に向かって露出することによって右側方向にコネクターが嵌められたりする入力電源コネクター(512)が形成される空気清浄器を提供する。
【0081】
前記上部ハウジング(10)は、円筒状の側面部(11)、及び側面部の下端から内側に延びて形成された段付き部(12)を含み、前記下部ハウジング(20)は、前記上部ハウジングより直径が小さい円筒状の側面部(211、221)、及び前記側面部の上部に形成された段付き部(213、223)を含み、上部ハウジング(10)は、下部ハウジング(20)の下部から下部ハウジング(20)に外挿された状態で内部ハウジング(30)の上部に固定される空気清浄器を提供する。
【0082】
前記段付き部(12)には通過孔(13)が形成され、前記段付き部(213、223)には切り取り部(215)が形成され、前記入力電源コネクター(512)に接続される外部電源ケーブルは、前記通過孔(13)と切り取り部(215)が互いにマッチされて連通する空間を介して外部に延びる空気清浄器を提供する。
【0083】
前記上部ハウジング(10)の内面には、円周方向に傾斜面を有する締結突起部(14)が形成され、前記内部ハウジング(30)の上部外面で前記締結突起部(14)の位置に対応する位置には、突起収容溝(316)と、クリック感を与える突起と向かい合い、前記突起収容溝(316)の側面に隣り合って形成される突起固定溝(317)と、が形成された空気清浄器を提供する。
【0084】
前記突起収容溝(316)は下側に開放された形状で、前記突起固定溝(317)は下側が閉鎖されている形状であり、前記上部ハウジングの内面の締結突起部(14)が前記突起収容溝(316)の下方から前記突起収容溝(316)に嵌められ、側方に移動し、クリック感を与える突起を乗り越えながら前記突起固定溝(317)に嵌められることによって、前記上部ハウジングが前記内部ハウジングに固定される空気清浄器を提供する。
【0085】
前記下部ハウジングの上部に形成された段付き部(213、223)には、前記上部ハウジングを下部ハウジングに外挿して上げたり下げたりするとき、前記締結突起部(14)が通過できる陥没部(216)が形成されており、前記陥没部(216)は前記突起収容溝(316)の直下方に形成された空気清浄器を提供する。
【0086】
前記外部電源ケーブルの端末には、「¬」字状に曲がった形態の端子が形成された空気清浄器を提供する。
【発明の効果】
【0087】
本発明の空気清浄器は、小型で、エネルギー消耗が少ないと共に空気清浄能力に優れる。
【0088】
また、本発明の空気清浄器は、小型でありながらも、集塵及び脱臭のみならず、殺菌効果にも優れる。
【0089】
また、本発明の空気清浄器は、カップホルダーに嵌めて使用するのに便利な形状及びコンパクトなサイズで構成されることはもちろん、このような外部形状に対応してうまく仕組まれた内部構造を有しているので堅固である。
【0090】
また、本発明の空気清浄器は、分解構造が簡単で、最小限の分解のみでフィルターを着脱可能な状態になり、維持補修をするのに便利な構造を有しているので、フィルターの維持補修が便利である。
【0091】
また、本発明は、紫外線が外部に照射されることを防止し、紫外線によって発生し得る弊害をなくした。
【0092】
また、本発明は、コンパクト且つ複雑な内部構造で効果的な配線位置を提供し、製作、維持補修及び使用が非常に便利である。
【0093】
また、本発明のハウジング構造によると、外部電源ケーブルの取り替えを容易にし、また、外部電源ケーブルが抜けたり破損したりすることを防止する。
【0094】
また、本発明の空気清浄器は、光触媒反応による浄化効率を高めると同時に、車両のように稼動と中断を頻繁に行う使用環境でも、光触媒フィルターによって発生し得る不快な臭いが空気清浄器の外側に出ないようにし、ユーザーの満足度を高めることができる。
【0095】
上述した効果に加えて、本発明の具体的な効果は、以下の発明を実施するための具体的な事項を説明しながら共に記述する。
【図面の簡単な説明】
【0096】
本発明の上述した目的、他の目的、特徴及び他の利点は、添付の図面と共に下記の詳細な説明からより明確に理解され得る。
【0097】
図1】本発明に係る空気清浄器の斜視図である。
図2図1の空気清浄器の分解斜視図である。
図3図2に示した分解構成を組み立てる状態を示す斜視図である。
図4図2に示した分解構成を組み立てる状態を示す斜視図である。
図5図2に示した分解構成を組み立てる状態を示す斜視図である。
図6】本発明の上部ハウジングを上側から見た遠近斜視図である。
図7】外部ハウジング(上部ハウジング、下部ハウジング及び上面ハウジング)を全て分離し、第1カーボンフィルターを分離した状態の内部ハウジングを多くの方向から見た斜視図である。
図8】外部ハウジング(上部ハウジング、下部ハウジング及び上面ハウジング)を全て分離し、第1カーボンフィルターを分離した状態の内部ハウジングを多くの方向から見た斜視図である。
図9】外部ハウジング(上部ハウジング、下部ハウジング及び上面ハウジング)を全て分離し、第1カーボンフィルターを分離した状態の内部ハウジングを多くの方向から見た斜視図である。
図10】外部ハウジング(上部ハウジング、下部ハウジング及び上面ハウジング)を全て分離し、第1カーボンフィルターを分離した状態の内部ハウジングを多くの方向から見た斜視図である。
図11】上部ハウジング及び前面ハウジングのみを分離した状態の本発明の空気清浄器を示した斜視図である。
図12】上面ハウジング、上部ハウジング、後方ハウジング及び右側ハウジングを省略した状態の本発明に係る空気清浄器を示した斜視図である。
図13】上面ハウジング、上部ハウジング、下部ハウジング及び右側ハウジングを省略した状態で本発明に係る空気清浄器を側面から見た図である。
図14】光触媒フィルター及びUV LED基板の配置状態を示した斜視図である。
図15】光触媒フィルターの平面図である。
図16】光触媒フィルターの前面に到逹する紫外線の強さによるアセトアルデヒドの分解率を示したグラフである。
図17】紫外線波長による光触媒フィルターの紫外線吸収率を示したグラフである。
図18】紫外線波長によるアセトアルデヒドの除去率を示したグラフである。
図19】光触媒フィルターの高さ(h)によるアセトアルデヒドの脱臭率の差を示したグラフである。
図20】光触媒フィルターの高さ(h)による酢酸の脱臭率の差を示したグラフである。
図21】2gのTiO2を1時間にわたって焼結した光触媒フィルターの焼結温度別脱臭性能を示したグラフである。
図22】2.5gのTiO2を1時間にわたって焼結した光触媒フィルターの焼結温度別脱臭性能を示したグラフである。
図23】2.5gのTiO2を400℃の焼結温度で焼結時間を異ならせて製作した光触媒フィルターの焼結時間別脱臭性能を示したグラフである。
図24】光触媒フィルターにローディングされた光触媒物質の量による光触媒反応効率を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0098】
本発明は、以下で開示する各実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態に具現可能である。但し、本実施例は、本発明の開示を完全にし、通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものである。
【0099】
また、以下で記述する各実施例のうちのいずれか一つの実施例の構造や構成は、通常の技術者が必要に応じて他の実施例の構造や構成に適用又は置換することもでき、構成を削除したり、他の構成を付加したりすることも可能であることは自明である。
【0100】
以下、上述した本発明の好適な実施例を添付の図面を参照して具体的に説明する。
【0101】
[空気清浄器の外観]
本発明に係る空気清浄器の斜視図である図1を参照すると、本発明に係る空気清浄器は、相対的に直径が大きい上部ハウジング10と、上部ハウジングより少し小さい直径で構成された下部ハウジング20と、上部ハウジングの上端に位置する上面ハウジング40とを含む。
【0102】
上面ハウジング40の中央部には、空気清浄器のオン-オフと、空気清浄器の空気流動量(風の強さ)の調節とを行うためのボタン41がそれぞれ1個ずつ2個備えられる。また、空気清浄器のオン-オフ状態と、空気流動量(風の強さ)の程度とを肉眼で確認できるランプもそれぞれ1個ずつ2個備えられている。空気清浄器の作動は、例えば、空気清浄器をオン-オフするためにはオン-オフボタンを数秒押し、風の強さを調節するためには風の強さ調節ボタンを1回ずつ押す方式で行わせてよい。
【0103】
上面ハウジング40の一側には、図示したように、浄化された空気が吐出される吐出グレート43が設置されているので、浄化された空気は吐出グレートを介して通過される。このグレート形状により、大きな異物が外部から内部に入っていくことが防止される。
【0104】
上部ハウジング10は下部ハウジング20より直径が大きい。上部ハウジングの直径は、車両用カップホルダーの上端部の直径より大きく構成し、空気清浄器を車両用カップホルダーに嵌めて固定する場合、上部ハウジングまでカップホルダーの内側に挿入されることを防止することが好ましい。
【0105】
下部ハウジング20は、前方ハウジング21及び後方ハウジング22の2個の分割体からなっており、前方ハウジング21の上端付近には吸入グレート212が形成されている。
【0106】
したがって、外部の空気は、前記吸入グレート212を介して下部ハウジング20側に流入し、内部構造によって浄化された後、上面ハウジング40の吐出グレート43を介して抜け出るようになる。
【0107】
[空気清浄器の構成及び締結構造]
図2は、図1の空気清浄器を分解した状態を示した斜視図で、図3図5は、それぞれ図2に示した分解構成を組み立てる状態を示した斜視図である。図2図5において、上部ハウジング10を最も下側に配置させた理由は、上部ハウジングが空気清浄器の下端から上部に向かって締結される構造であるためである。
【0108】
図1に示したように、本発明の上部ハウジング10、下部ハウジング20及び上面ハウジング40は空気清浄器の外形をなしており、その内部には、図2に示したように、内部ハウジング30が設置されている。内部ハウジングは、外部ハウジングである上部ハウジング10、下部ハウジング20及び上面ハウジング40に結合され、外部ハウジングを堅固に固定する。
【0109】
内部ハウジング30は、図示したように、2個の分割体からなっているが、内部ハウジング30が左側ハウジング31と右側ハウジング32とに分割された方向は、下部ハウジング20が前方ハウジング21と後方ハウジング22とに分割された方向と互いに直角をなす。このように、外部ハウジングである下部ハウジング20と内部ハウジング30とが互いに異なる分割方向に構成されると、各ハウジングが構造的に互いにより強く結束され得る。
【0110】
内部ハウジング30の上部にはPCB固定部33が設けられているが、これは、制御PCB51が内部ハウジングの上端一側に位置する吐出部34を隠さないようにする位置である。併せて、PCB固定部33の空間は、PCB固定部の下部に形成された流線型縮小ダクト382によって設けられる。後述するが、内部ハウジング30の内部で流動する空気を吐出部34に誘導するために流線型縮小ダクト382が内部ハウジングの上端に形成されるが、流線型縮小ダクト382によって設けられた空間にPCB固定部33を設けることによって、小型空気清浄器の内部空間を効率的に利用することができる。
【0111】
PCB固定部33が設けられる内部ハウジング部分の右側には、制御PCB51に外部電源ケーブルが接続され得る経路として外部電源ケーブル貫通孔322が形成され、左側には、制御PCB51から後述するファン60及びUV LED基板55に電源を供給するための内部電源ケーブルの接続経路として内部電源ケーブル通過孔312が形成されている。
【0112】
内部ハウジング30によって形成される空気の流動ダクト構造内には、図示したように、上部から下部に、まず、集塵フィルター90と光触媒フィルター80とが互いに隣接して設置され、その下部には、UV LED基板55が光触媒フィルターと所定距離だけ離隔して固定される。UV LED基板上のUV LEDは光触媒フィルターに向かって配置されている。
【0113】
集塵フィルター90及び光触媒フィルター80は空気の流動ダクト構造を完全に遮蔽し、ダクトに流れる空気が必ず光触媒フィルター80及び集塵フィルター90を通過するようにする。その一方で、UV LED基板55は、内部ハウジング30の内壁から内側に突出形成された基板固定部303によって内部ハウジング30の内壁と離隔した状態で設置されることによって、それらの間の空間に空気が流動できるようにした。後述するが、UV LED基板55の中央部には、殺菌効果のために275nmのピーク波長を有するUV LEDが1個設置され、その周辺には、光触媒フィルターの活性化のために365nmのピーク波長を有するUV LEDが3個設置される。
【0114】
ここで注目すべきことは、集塵フィルター90及び光触媒フィルター80が取り替え可能に前方に引き出される構造であるという点にある。これらのフィルターが引き出される方向(前方)と、上述した外部電源ケーブル(右側)及び内部電源ケーブル(左側)の配置方向とが互いに重ならないようにした配置構造により、フィルターを取り替えようとするときにケーブルを分離する必要がない。
【0115】
前記集塵フィルター90は、第2カーボンフィルター75が一体に形成された第2カーボンフィルター複合型集塵フィルターであってよい。
【0116】
内部ハウジング30の下端部には、ファン60を収容して固定するファン収容部301が設けられており、ファン収容部301の左右側面には、それぞれファンによって吸い込まれる空気が流入する空気流入口302が形成されている。
【0117】
本発明の空気清浄器に使用されるファン60は、狭い空間でも空気の流動を効率的に発生できる構造を有する。図示したように、ファン60の中央部には、両側方向に開放された吸入部61が形成されており、吸入部61を介して流入する空気は、羽根の回転によって後方上部に形成された排出部63に強く排出される。
【0118】
内部ハウジング30内の排出部63の上部には、断面積が狭い排出部から排出される空気の流動を広く分散させるための形状からなる流動ガイド37が設置されている。これと共に、内部ハウジングの下部には、前記排出部から排出される空気の流動を広く分散させるための他の構成として流線型拡大ダクト381が形成されている。上述した流動ガイド37及び流線型拡大ダクト381により、狭い出口から高速で排出される空気の運動エネルギー損失を最小化しながら空気の流れを自然に誘導することができる。
【0119】
内部ハウジング30の下端に形成された空気流入口302の周辺は平板状からなり、その上端及び下端には前後に伸びる長さ方向にそれぞれ段付き部材305が形成されている。この段付き部材305は、空気流入口302を覆う第1カーボンフィルター70と締結された構造である。
【0120】
内部ハウジング30の下端に形成された空気流入口302は、図示したように、第1カーボンフィルター70で覆うようになる。第1カーボンフィルター70は、第1カーボンフィルターの形態を維持するためのハウジング71と、ハウジング71の両側面(空気流入口302と向い合う面及びその反対面)の開放された部分に設置されるプリフィルター面72とを含む。
【0121】
プリフィルター面72は、埃をろ過するプリフィルターとしての機能を有すると共に、ハウジングの内部空間に収容されている活性炭(図示せず)がハウジングの外部に流れ出ることを防止する機能を有する。
【0122】
第1カーボンフィルター70内部の活性炭は、空気中の臭い粒子を吸着することによって脱臭を行う。活性炭は、使用するほど吸着力が低下し、再生も難しい。したがって、本発明では、第1カーボンフィルター70の取り替えを念頭に置いて着脱構造を構成した。
【0123】
上述したように、空気流入口302の周辺は平板状であり、その上・下端にはそれぞれ段付き部材305が形成されている。また、第1カーボンフィルター70の幅(第1カーボンフィルターが正方形であるとき、その正方形の一辺の長さ)は、二つの段付き部材の間隔と同じかそれより少し大きい。したがって、別途の締結構造を用いることなく、二つの段付き部材の間に第1カーボンフィルターの上・下端を圧入することによって、第1カーボンフィルターを内部ハウジングの下端左右側にそれぞれ設置することができる。
【0124】
第1カーボンフィルターのハウジング71の周辺には、図示したように、弾性シーラー73が設置されており、この弾性シーラー73は、第1カーボンフィルターのハウジング71と空気流入口302周辺の平板との間の隙間に空気が流入することを防止する。
【0125】
また、第1カーボンフィルターのハウジングの形状は、図示したように、内部ハウジングと接触する側の面が最も広く、その反対側に行くほど徐々に狭くなる台形断面形状である。このような構造によって形成される第1カーボンフィルターの枠部分の傾斜面の形状は、図4に示したように、内部ハウジング30と後方ハウジング22とを締結するためのねじ締結部306のラウンド形状と互いに噛み合うようになる。よって、このような構造により、第1カーボンフィルターがねじ締結部と噛み合いながら内部ハウジングの結合面と向かう方向に支持される。
【0126】
各ハウジングの締結構造を説明すると、まず、内部ハウジング30のいずれか一側にファン60及びUV LED基板55が固定された状態で、内部ハウジング30の二つの分割体をねじなどで締結する。本発明の実施例では、制御PCB51、ファン60及びUV
LED基板55を接続する内部電源ケーブルが内部電源ケーブル通過孔312を通過しながら左側ハウジング31に配置され得るので、内部電源ケーブル通過孔312が形成された左側ハウジング31にファン60及びUV LED基板55を固定した後、右側ハウジング32を覆うことによって内部ハウジングの二つの分割体を締結することが好ましい。
【0127】
次に、図4に示したように、制御PCB51を内部ハウジングの上端に設けられた基板固定部303にねじなどで固定し、集塵フィルター収容部35及び光触媒フィルター収容部36にそれぞれ集塵フィルター90及び光触媒フィルター80を嵌め込む。
【0128】
そして、図5に示したように、後方ハウジング22を内部ハウジングの下部にねじで固定した後(図4に示した後方ハウジング内部のねじ締結溝及び内部ハウジングのねじ締結部306を参照)、後方ハウジングの前方に前方ハウジング21を締結することによって下部ハウジング20を内部ハウジング30に固定し、内部ハウジング30の上端に上面ハウジング40を固定する。
【0129】
そして、最後に、図5の状態で下部から上部ハウジング10を嵌め込み、図1のように上部ハウジングを締結すると組み立てが終了する。
【0130】
[空気清浄器のハウジング構造とフィルター取り替え構造との関係]
本発明では、他のハウジングを締結する場合とは異なり、前方ハウジング21及び上部ハウジング10を締結するとき、ねじ締結を用いることなく、他の構造によって前方ハウジング及び上部ハウジングを順次堅固に結合することができる。本発明によると、上部ハウジング10は、別途の工具を用いることなく、図5のような状態に分離可能であり、上部ハウジングの分離後は、前方ハウジング21も別途の工具を用いることなく分離可能である。
【0131】
以下、このような前方ハウジングと上部ハウジングとの締結構造を説明する。
【0132】
図6は、本発明の上部ハウジング10を上側から見た遠近斜視図である。
【0133】
上部ハウジング10は、円筒状の側面部11、及び側面部の下端から内側に延びて形成された段付き部12からなる。段付き部12によって形成される内径は、下部ハウジング20の直径と同じかそれより少し大きいので、下部ハウジング20を内部ハウジング30に結合した状態で上部ハウジング10が下部ハウジング20の下端部から下部ハウジングに外挿され、内部ハウジング30の上部まで上げることができる。
【0134】
下部ハウジング20は、上部ハウジングより小さい直径を有する円筒状の側面部211、221、側面部の上部に形成された段付き部213、223、及び段付き部の端部から上方に延びた段付き側面部214、224を含む。下部ハウジング20の段付き部213、223は、上部ハウジング10が下部ハウジング20に外挿されて上部に嵌められるとき、上部ハウジング10の段付き部12と互いに当接することによって上部ハウジングの上方移動を規制し、このように上部ハウジングが規制される高さで上部ハウジングの上端が上面ハウジング40と当接するようになる。
【0135】
上部ハウジングの内面には、図6に示したように、締結突起部14及び整列突出部15が形成されている。そして、前方ハウジング21の前方段付き部213及び前方段付き側面部214には、前記締結突起部14に対応する位置に陥没部216が形成されており、後方ハウジング22の後方段付き部223には、前記整列突出部15に対応する位置に整列溝226が形成されている。
【0136】
したがって、上部ハウジング10を下部ハウジング20に外挿して上げるとき、上述した締結突起部14及び整列突出部15がそれぞれ陥没部216及び整列溝226に整列されたときのみ、上部ハウジング10が締結位置まで完全に上げられる。
【0137】
一方、内部ハウジング30の側面には、図8に示したように、突起収容溝316と突起固定溝317とが互いに隣接して形成されているが、突起収容溝316及び突起固定溝317はいずれも締結突起部14に対応する形状である。但し、突起収容溝316は下側に開放された形状で、突起固定溝317は下側が閉鎖されている形状であり、突起収容溝と突起固定溝との間にはクリック感を与える突起が形成されている。
【0138】
上述したように、締結突起部14及び整列突出部15がそれぞれ陥没部216及び整列溝226に整列され、上部ハウジング10を締結位置まで完全に上げると、上部ハウジング10の内面に形成された締結突起部14は突起収容溝316に収容され、この状態で上部ハウジング10を回転させることによって、締結突起部14の傾斜面(図6参照)が突起収容溝と突起固定溝との間のクリック感を与える突起を乗り越えるようにすると、締結突起部14が突起固定溝317に固定され、上部ハウジング10が完全に固定される。
【0139】
すなわち、この状態で、上部ハウジング10の上方への移動は、上面ハウジング40及び段付き部213、223によって規制され、上部ハウジングの回転は、突起固定溝317の左右側に形成された突起及び壁によって規制される。併せて、上部ハウジングの下方への移動は、締結突起部14が閉鎖されている突起固定溝317の下部によって規制される。
【0140】
このように上部ハウジング10が固定されると、前方ハウジング21も上部ハウジング10及び後方ハウジング22によって拘束され、特に、上部ハウジング10が下部ハウジング20を取り囲む形態で固定されているので、前方ハウジング21に別途のねじ締結を行わないとしても、前方ハウジング21も堅固に固定できるようになる。但し、上部ハウジング10が下部ハウジング20の上部のみを取り囲んでいるので、前方ハウジング21の底面が後方ハウジングの底面229とスナップ方式などで締結される程度の構造のみを有すると、前方ハウジング21は固定状態を堅固に維持することができる。
【0141】
一方、上部ハウジング10には通過孔13が形成されているが、これは、前方ハウジング21の切り取り部215に対応する位置に形成される。通過孔13のサイズは外部電源ケーブルが通過できる程度になり、切り取り部215は、外部電源ケーブルが通過できると共に、上部ハウジングの締結突起部14が突起収容溝と突起固定溝との間を回転する角度だけさらに切り取られている。
【0142】
図5に示したように、切り取り部215は、下部ハウジング20が内部ハウジング30に締結された状態で右側ハウジング32側に位置するようになる。これは、外部電源ケーブルの移動経路を確保するためのものであり、外部電源ケーブルは、右側ハウジング32の外部電源ケーブル貫通孔322を介して制御PCB51の入力電源コネクター512に接続された後、右側ハウジング32と上部ハウジング10との間の空間を介して通過孔13及び切り取り部215を通過して外部に延びてよい。
【0143】
入力電源コネクター512は、外部電源ケーブルの端子(図示せず)が嵌められるソケット類からなってよい。端子及びソケット構造を適用した理由は、外部電源ケーブルの取り替えを容易にするためである。例えば、車両で本発明の空気清浄器を使用するときはシガージャックの12V直流電源を使用するが、家庭や事務室で本発明の空気清浄器を使用するときは220Vの交流電源を使用しなければならないので、外部電源ケーブルを取り替える蓋然性が十分であり、よって、端子及びソケット構造で外部電源ケーブルを制御PCB51に接続することが好ましい。
【0144】
ここで注目すべき点は、端子が嵌められる方向と外部電源ケーブルの引き出し方向とが互いに垂直をなすということである。すなわち、外部電源ケーブルの端子が嵌められる方向は直径方向で、外部電源ケーブルが引き出される方向は下側方向であるので、例えば、外部電源ケーブルの端子が「¬」字状であると、上部ハウジング10の内面がこの端子を端子の接続方向に支持する形態になり、外部電源ケーブルが外側から引っ張られるとしても、外部電源ケーブルが抜けることを防止することができる。
【0145】
上部ハウジングと前方ハウジングとの締結構造を上記のように構成した理由は、空気清浄器の集塵フィルター90を取り替えるとき、何ら工具も用いることなく、上部ハウジングのみを分離するだけで集塵フィルターの取り替えを可能にするためである。すなわち、上記の締結方式の逆順に、上部ハウジングを反対に回転させ、締結突起部14が突起固定溝317からクリック感を与える突起を乗り越えることによって抜け出て突起収容溝316に戻るようにした状態で、上部ハウジングを下側に分離すると図5のような状態になるが、この状態では、図示したように、集塵フィルター90の挿入部が露出している。したがって、単純に上部ハウジングを分離するだけでも、集塵フィルター90を容易に取り替えることができる。
【0146】
集塵フィルター90の取っ手92を引っ張ると、図10に示したように、集塵フィルターを抜き出すことができ、集塵フィルターを抜き出した状態でフレーム91内のフィルター部材93のみを取り替えればよい。
【0147】
併せて、上述したように、上部ハウジングを分離した後は、何らかの工具も用いることなく、前方ハウジング21を後方ハウジングから分離できるので、図11に示したように、前方ハウジングを分離することによって露出する内部ハウジング30部分を通じて光触媒フィルター80と第1カーボンフィルター70を交換することも可能である。
【0148】
図7図10は、外部ハウジング(上部ハウジング、下部ハウジング及び上面ハウジング)を全て分離し、第1カーボンフィルターを分離した状態の内部ハウジングを多くの方向から見た斜視図で、図11は、上部ハウジング及び前面ハウジングのみを分離した状態の本発明の空気清浄器を示した斜視図である。
【0149】
本発明の空気清浄器の内部ハウジングを説明すると、内部ハウジングは、その前方に集塵フィルター90、光触媒フィルター80及び第1カーボンフィルター70を全て挿入したり引き出したりすることができる構造を有している。したがって、上部ハウジング10を分離した後は、内部ハウジングの前面に露出した集塵フィルター90の取っ手92を引っ張ることによって集塵フィルターを取り替えることができ、前方ハウジング21を分離した後は、内部ハウジングの前面に露出した光触媒フィルターを抜き出すことができる。
【0150】
光触媒フィルターの触媒部81は、図14及び図15に示したように、格子状のセラミック基体にTiO2を焼結させることによって製作されるので、硬度及び脆性がいずれも大きい。したがって、図示したように、触媒部81の周囲を弾性バンパー82で取り囲み、触媒部を衝撃から保護し、触媒部と内部ハウジング30とをうまく密着させる。
【0151】
TiO2コーティング光触媒フィルターは、時間の経過と共にその表面に異物が付着し、光触媒効率が低下するという問題を有するが、価格が高いという点で取り替えが負担なフィルターであるので、フィルターの再生と関連する技術が持続的に開発されている。したがって、光触媒フィルターは、交換や再生のための脱着構造が必要である。しかし、上述したように、光触媒フィルターは、触媒部81の周辺を弾性バンパー82で取り囲んだ形態からなっているので、集塵フィルターのように内部ハウジング30に着脱するための取っ手を形成することが煩雑な面がある。そこで、本発明では、図7図11に示したように、内部ハウジング30の前面部のみを開放した形態ではなく、前面部と連通しながらその側面の一部を切り取ることによって、内部ハウジング30に嵌められた光触媒フィルター80の前面はもちろん、側面の一部を共に露出させた。このような内部ハウジングの形態により、光触媒フィルターの両側面を手で把持できるので、光触媒フィルターを引き出すことが容易である。
【0152】
[空気清浄器の電気的接続構造]
図8を参照すると、本発明に係る空気清浄器の左側ハウジング31の表面には、図示したように、内部電源ケーブル通過孔312、内部電源ケーブル通過溝313及び内部電源ケーブル案内溝314が形成されている。そして、内部ハウジングのファン収容部301の前方上部には内部電源ケーブル貫通孔315が形成されている。
【0153】
したがって、ファン60及びUV LED基板55に電源を供給するために制御PCB51に接続される内部電源ケーブルは、PCB固定部33に固定された制御PCB51から内部ハウジングの外面に沿って内部電源ケーブル通過孔312、内部電源ケーブル通過溝313及び内部電源ケーブル案内溝314を順次経て内部電源ケーブル貫通孔315を貫通することによって内部ハウジングの内部空間に入るようになり、内部空間に入った内部電源ケーブルは、内部ハウジングの下端に設置されたファン60に接続され、さらに延びてUV LED基板55に接続される。本発明の空気清浄器は、外部空間から内部空間へのゲートウェイであるファン収容部301に形成された内部電源ケーブル貫通孔315を介して内部電源ケーブルが貫通して内部ハウジングの内部空間に入ることによって、内部ハウジングの気密を維持し、ファンによる空気流動加速効率をさらに高めた(内部ハウジングの他の部分を穿孔し、その部分を介して内部電源ケーブルを内部ハウジングの内部に挿入する場合、穿孔された部分と内部電源ケーブルとの隙間を介して内部に流動していた空気の一部が流出し得る)。
【0154】
ここで、制御PCB51と隣接した内部ハウジング30の吐出部34を介して内部電源ケーブルが内部ハウジングの内部に容易に挿入できるように見えるが、内部ハウジングの空気流動経路が集塵フィルター90及び光触媒フィルター80によって遮断されているので、このような経路は不可能である(このような経路にケーブルを配置する場合、ケーブルの周辺に内部空気がバイパスされ、フィルターによる空気清浄効率が低下する可能性がある)。また、上述したように、内部ハウジングの前方を介して各フィルターを取り替えなければならない。したがって、本発明では、内部電源ケーブルが内部ハウジングの一側面を介して上記のような経路で接続されるようにした。
【0155】
図10に示したように、内部電源ケーブル通過孔312及び外部電源ケーブル貫通孔322は、フィルターの引き出し方向を避けて両側面に形成されているので、図9に点線で示したように、内部電源ケーブル及び外部電源ケーブルがそれぞれ内部ハウジングの左側面及び右側面の経路で接続されるようにした構造は、非常に小さく、且つ、その前面を介したフィルターの着脱構造を備えなければならない本発明の空気清浄器の内部空間活用効率を大きく高め、本発明の空気清浄器をさらにコンパクトに構成できるようにする。
【0156】
[空気清浄器の流動経路]
図12は、上面ハウジング、上部ハウジング、後方ハウジング及び右側ハウジングを省略した状態の本発明に係る空気清浄器を示した斜視図で、図13は、上面ハウジング、上部ハウジング、下部ハウジング及び右側ハウジングを省略した状態で本発明に係る空気清浄器を側面から見た図である。
【0157】
本発明に係る空気清浄器の流動経路を説明すると、ファンによって発生する陰圧によって前方ハウジングの吸入グレート212を介して吸入された空気は、下部ハウジングと内部ハウジングとの間の空間を経て内部ハウジング30の下端両側面の第1カーボンフィルター70及び空気流入口302を介してファン60の吸入部61に吸入される。続いて、ファンによって排出部63から上向きに排出される空気は、流動ガイド37及び流線型拡大ダクト381によって拡径されたダクト構造に均一に分散されて上部に移動する。
【0158】
流動ガイド37は、上方に上がるほど流線形に前方に向かって傾斜し、UV LED基板55も、基板上のUV LEDの照射方向が光触媒フィルターから大きく逸脱しない限度内で前方に行くほど少し上向きに傾斜した状態で設置される。また、図13及び図2から確認できるように、基板の周囲は、いずれも内部ハウジングによって形成される空気流動ダクトに対して離隔して配置され、空気の流れを自然に誘導することによって、空気の流動エネルギー損失を減少させた。
【0159】
図12及び図13を参照すると、流線型拡大ダクト381は、空気流動で上部に上がるほど前方に向かって徐々に拡径される構造である。これは、逆に言えば、吸入グレート212を介して外部から下部ハウジング20の内部に流入した空気も、内部ハウジング30の下端の空気流入口302に下向きに移動しながら流線型拡大ダクト381によって拡大された流動経路を有するようになることを意味する。すなわち、流線型拡大ダクト381は、内部ハウジング内の空気流動経路の断面積を拡大させるだけでなく、下部ハウジング20と内部ハウジング30との間の空間でも空気流動経路の断面積を拡大させる機能をする。このような本発明の空気流動構造及びダクト構造は、空気流動損失を最小化しながらも空気清浄器をコンパクトに構成できるようにする。
【0160】
次に、ファンによって上昇する空気は、上述した構成によって流動が案内され、光触媒フィルター80に形成された多数の貫通孔を通過した後、集塵フィルター90を通過するようになる。
【0161】
ここで注目すべき部分は、UV LED基板55が、相対的に小径の下部ハウジング20の高さに対応する内部ハウジングの下部に配置されており、光触媒フィルター80及び集塵フィルター90が、上部ハウジング10の高さに対応する内部ハウジングの上部に配置されていることにある。すなわち、内部ハウジングも、下部ハウジングと上部ハウジングとの間の段付き部高さで拡径されるが、相対的に小さく構成できると共に、光触媒フィルターとは一定程度離隔して配置されなければならないUV LED基板55を内部ハウジングの小径部に配置し、空気と接触する面積を最大限確保するために少し大きく製作されなければならない光触媒フィルターを内部ハウジングの拡径部に配置し、空気圧力降下が多く起こる集塵フィルターも、空気が通過するフィルターの断面積をより大きくするために内部ハウジングの拡径部に配置した本発明の構造は、製品をコンパクトに構成しながらも空気清浄効率を大きく高めることができる構造であることが分かる。
【0162】
各フィルター80、90を通過した空気は、再び流線型縮小ダクト382によって狭くなった吐出部34に案内されて外部に排出される。
【0163】
流線型縮小ダクト382は、空気流動の断面積を減少させながらも空気の流動損失を減少できるように流線形に形成されており、このような形状によって設けられる流線型縮小ダクトの上部空間はPCB固定部33として活用することができる。PCB固定部33には制御PCBが固定され、空気清浄器の上面から製品の作動状態を確認して操作できるようになる。カップホルダーに固定して使用することを念頭に置いた本発明の空気清浄器の使用ボタンが上面にあることと、空気の吐出方向も空気清浄器の上面から上部に向かっていることは、本発明の使用状態に最もよく符合すると言える。また、流線型縮小ダクト構造は、空気の流動損失を減少させ、空気の流れを狭い吐出部に誘導しながらも制御PCB51が形成され得る空間を確保し、製品をさらにコンパクトに構成することができる。
【0164】
一方、吐出部34の下部には、UV LED基板から照射する紫外線が吐出部を介して外部に直接照射されることを防止するために紫外線出射防止板39が形成されており、ユーザーが紫外線の有害性に対して疑いを有することを未然に防止することができる。
【0165】
本発明の空気清浄器で空気が吸入される位置及び方向は、下部ハウジング20の上端(上部ハウジング及び下部ハウジングの段付き部の下部分)から前面に向かっており、空気が排出される位置及び方向は、上面ハウジング40の上面から上部に向かっている。このように吸入口と排出口が互いに遠く異なる方向に向かって配置された構造は、浄化されて排出された空気が吸入口に再び流入することを防止する。
【0166】
また、光触媒フィルターによって分解されるアセトアルデヒド及び酢酸が空気より重くて沈む点を勘案すると、空気吸入口が下部ハウジングに位置するときに空気清浄効率をさらに高めることができる。
【0167】
併せて、本発明は、カップホルダーに固定して使用することを念頭に置いたものであるので、下部ハウジングの上端に吸入グレート212を形成することによって浄化する空気を吸入させ、下部ハウジング20と内部ハウジング30との間の狭小な空間に空気の流動損失を最小化するために流線型拡大ダクト381を形成し、内部ハウジングの下部の両側には、内部ハウジングの内部に入っていく通路として空気流入口302を流線型拡大ダクトの拡大方向と垂直方向に置き、内部ハウジングの内部でも再び流線型拡大ダクトによって空気流動断面積を確保したという点で、空気清浄器のサイズ及び使用状態に最適な空気流動経路を実現したと言える。
【0168】
[空気清浄器のフィルター配置]
本発明の空気清浄器の空気移動経路によるフィルターの配置順序によると、まず、空気がプリフィルター及び活性炭からなる第1カーボンフィルター70を通過することによって、空気中の大きな粒子の埃がプリフィルターによってろ過され、アンモニア(NH4)及び酢酸(CH3COOH)などの有害物質が活性炭に吸着・除去され、光触媒フィルター80の光触媒反応を通じてアセトアルデヒド(CH3CHO)が分解され、再び活性炭が埋め込まれている不織布や繊維フィルターなどからなる第2カーボンフィルター複合型集塵フィルター90を介して臭いを起こす有害ガスが吸着し、微細埃がろ過された後で排出される。
【0169】
プリフィルターは、予め大きな埃をろ過し、後方にある光触媒フィルターの表面に埃などの異物が付着することによって光触媒フィルターの効率が低下することを防止する。また、光触媒反応の競争でアンモニア及び酢酸より遅く反応するアセトアルデヒドの分解効率を高めるために、本発明では、まず、アセトアルデヒドより競争反応で優れたアンモニア及び酢酸を吸着させた後(アセトアルデヒドは活性炭にうまく吸着しない)、光触媒競争反応でアセトアルデヒドより優れた他のガスの濃度を稀薄にした状態で光触媒反応を起こすことによって、アセトアルデヒドが早期に光触媒反応を通じて分解できるようにする。
【0170】
本発明によると、光触媒フィルターの前方及び後方に全てカーボンフィルターを設置したことが主な特徴の一つである。光触媒フィルターの前方にカーボンフィルターを配置させた理由は、上述した通りである。一方、光触媒フィルターの後方にカーボンフィルターを配置させた理由は、以上で簡略に言及したように、光触媒フィルターの稼動初期に発生する臭いのためである。
【0171】
光触媒フィルター及び光源が設置された空気清浄器を数時間稼働させていない状態で稼動を開始すると、空気清浄器から吹き出る空気から不快な臭いが発生する。このように臭いが発生する原因を確認するために様々な実験を行った結果、光触媒フィルターが備えられた空気清浄器で稼動初期に吹き出る不快な臭いは、光触媒フィルターの基体で表れる臭いでもなく、基体の種類に応じて臭いの発生有無が決定されるのでもなく、光触媒コーティングを行うときに使用する添加剤(分散剤)の有無や種類がこのような臭い発生の原因になるのでもないことを確認した。
【0172】
また、基体にローディングした光触媒物質(TiO2)の量が少ないほど、稼動初期の臭いの発生量も少なくなることを確認した。
【0173】
併せて、光触媒フィルターに紫外線光源が照射されない時間が長くなるほど、再び空気清浄器を稼動する場合に臭いがさらに激しくなることを確認した。また、空気清浄器を再び稼動することによって初期に臭いが発生するとしても、稼動時間が経過すると臭いが再び消えることを確認した。
【0174】
このような事実から類推できる光触媒フィルターで臭いが発生する原因を類推すると、光触媒を活性化させるエネルギーを提供する光源がオフになった状態で長時間光触媒フィルターを放置する場合、光触媒フィルターにコーティングされた光触媒物質に臭いの原因になる気体が吸着して積もり、このような状態で空気清浄器の電源をオンにする場合、ファンによって流動する空気と共に、光触媒物質に吸着している臭い原因気体が分離されながら流動し、空気清浄器の稼動初期に臭いが発生すると類推できた。
【0175】
実験の結果、光触媒フィルターの後方に活性炭を置く場合、活性炭が上記のように光触媒物質に吸着してから分離された気体を吸着し、空気清浄器の稼動初期に発生する臭いを除去できることを確認した。すなわち、稼動初期に光触媒フィルターに吸着してから分離される臭い原因ガスは、活性炭によってうまく吸着する気体であることを確認できた。
【0176】
そのため、本発明は、空気を浄化する経路に単純に一つのカーボンフィルターを配置するのではなく、光触媒フィルターの前方及び後方に全てカーボンフィルターを配置した。したがって、同一のカーボンフィルターであるとしても、光触媒フィルターの前方にあるカーボンフィルター及び後方にあるカーボンフィルターの役割はそれぞれ異なる。
【0177】
すなわち、光触媒フィルターの前方にあるカーボンフィルターは、光触媒フィルターで競争反応が遅れるガスの分解を促進するために光触媒フィルターで競争反応に優れたガスを予め吸着する機能をする構成であり、光触媒フィルターの後方にあるカーボンフィルターは、光源を照射しない状態で光触媒フィルターを長期間放置した場合、光触媒フィルターに吸着していたガスが空気清浄器の外側に抜け出ないようにガスを吸着する機能をする構成である。
【0178】
したがって、光触媒フィルターの前方及び後方にそれぞれ配置されるカーボンフィルターと同一量のカーボンフィルターを光触媒フィルターの前方又は後方にのみ置くよりは、光触媒フィルターの前方及び後方にカーボンフィルターを分けて配置することが、光触媒フィルターの光触媒浄化効率をさらに高め、光触媒フィルターの初期稼動時に発生する臭いを予防する方案になる。
【0179】
一方、上述したように、基体にローディングした光触媒物質の量が少ないほど、空気清浄器の稼動初期の臭いの発生量が少なくなる。その一方で、基体にローディングした光触媒物質の量が多いほど光触媒反応効率は増加するが、光触媒物質の量が一定程度多くなった後は、光触媒反応効率がこれ以上増加しない。
【0180】
これは、光触媒反応の原理と光触媒物質に基体が吸着する原理とが異なるためである。すなわち、光触媒反応は、主に紫外線が照射される領域の表面でのみ起こるので、光触媒物質の量が一定程度以上になると、紫外線が照射される領域がこれ以上増加しないので、光触媒反応効率がさらに上昇しない。その一方で、紫外線が照射されない間、光触媒物質に吸着するガスは、光触媒物質の表面にのみ吸着するのではなく、一定程度の深さまで吸着し得るので、光触媒物質のローディング量が増加するほど、空気清浄器の稼動初期の臭いの発生量も増加する。
【0181】
したがって、空気清浄器の稼動初期の臭い発生量を最大限減少させながらも、光触媒フィルターの光触媒反応効率を高めるためには、光触媒物質の量が増加するとしても、光触媒反応効率がこれ以上良くならない時点の量だけ光触媒物質をローディングしなければならない。例えば、光触媒フィルターにローディングされた光触媒物質の量による光触媒反応効率を示した図24のグラフから確認できるように、1.5gの光触媒物質をローディングすることは、光触媒反応効率を最も高くした状態で、空気清浄器の稼動初期の臭い発生量を最小化する方案である。
【0182】
一方、カーボンフィルターは活性炭を含むが、空気の流動に沿って活性炭の微細粒子が空気清浄器の外部に排出される可能性を排除できないので、これを防止する構成が必要である。特に、第1カーボンフィルター70及び第2カーボンフィルター75のうちの少なくともいずれか一つのカーボンフィルターが粒状活性炭を含む場合は、活性炭が外部に排出されることを防止する構成がさらに要求される。
【0183】
このために、本発明において、第2カーボンフィルター75は、粒状活性炭が埋め込められた不織布の形態で構成してもよく、パルプ型活性炭で構成してもよい。不織布やパルプは、活性炭粒子が外部に排出されることを防止するのに十分であるので、本発明では、このようなフィルター構造を少なくとも第2カーボンフィルターの後方に置いてよく、よりコンパクトな構成のために第2カーボンフィルター自体を不織布やパルプの形態にしてよい。
【0184】
また、空気清浄器に集塵フィルターを設置しようとする場合、集塵フィルターは、第2カーボンフィルターと一体に形成された形態にしてもよく、第2カーボンフィルターの後方に配置させてもよい。もちろん、第2カーボンフィルター複合型集塵フィルターを使用すると、よりコンパクトな空気清浄器の構成が可能である。
【0185】
本発明によると、集塵フィルターが第2カーボンフィルターと一体になったり、その後方に位置したりすることによって、カーボンフィルターの活性炭粒子の外部排出を防止すると同時に、圧力降下が最も多く起こる集塵フィルターを光触媒フィルターの後方に置く結果となり、光触媒フィルターと接触する空気流動の圧力を高め、光触媒フィルターと空気との接触効率をさらに高めたという点に注目する必要がある。
【0186】
また、本発明において、光触媒フィルターの前方に光触媒用UV LED57を配置し、光触媒フィルターの前方から紫外線を照射させたことは、光触媒フィルターを通過して空気の圧力降下が発生する前に光触媒フィルターの前面表面から光触媒反応を起こすことによって、光触媒フィルターの有害ガス分解効率をさらに高めたという点で意味を有する。さらに、このような配置は、光触媒フィルターの後方に第2カーボンフィルター複合型集塵フィルターを直ぐ密着させて配置できるようにするので、空気清浄器をさらにコンパクトに構成することができる。併せて、本発明のUV LED基板55には殺菌用UV LED56が共に設置されており、殺菌用紫外線を光触媒フィルターの後方に直ぐ接して設置される集塵フィルターに照射させ、フィルター部材93によってろ過された微生物やウイルスを殺菌できるので、単純に流動する空気中に紫外線を照射させる場合に比べて殺菌効率に優れる。さらに、光触媒用UV LED及び殺菌用UV LEDを一つの基板に設置し、構成まで単純にした。しかし、必要に応じては、光触媒用UV LED及び殺菌用UV LEDを別途の基板に設置し、光触媒用UV LED及び殺菌用UV LEDの紫外線の照射方向が互いに異なる方向、例えば、互いに向い合う方向になるように設置することも可能であることは当然である。特に、殺菌用UV LEDから照射される紫外線が人体に照射される場合に有害であり得るので、殺菌が効率的に起こる方向及び紫外線が外部に漏れない方向を全て考慮して殺菌用UV LEDを配置する必要がある。
【0187】
一方、光触媒フィルターとUV LED基板との間の内部ハウジングの内面に紫外線反射板(図示せず)を設置すると、内部ハウジングの内面に照射される紫外線が再び光触媒フィルターに向かって照射できるようになり、脱臭及び殺菌効率をさらに高めることができる。
【0188】
[光触媒フィルターとUV LEDとの関係]
図14は、光触媒フィルター及びUV LED基板の配置状態を示した斜視図で、図15は、光触媒フィルターの平面図である。
【0189】
図14を参照すると、UV LED基板55上の中央部分には殺菌用UV LED56が設置されており、その周囲に3個の光触媒用UV LED57が設置されている。特に、光触媒用UV LED57は、光触媒フィルター80に向かって紫外線を照射するようになる。
【0190】
光触媒フィルター80は、図15に示したように、碁盤の格子柄を有するセラミック多孔体にTiO2(Titanium Dioxide)を被せて焼結させた触媒部81と、前記触媒部の側面を取り囲む弾性バンパー82とからなる。
【0191】
触媒部の前面と光触媒用UV LED57との間の距離は、UV LED基板と光触媒フィルターとの間の距離による空気の流動特性変化、及び光触媒に到逹する紫外線の面積及び強さによって変わることを予想して実験した結果、正方形の光触媒フィルターの一辺の長さ(l)が5.5cmであるとき、光源57と触媒部81の前面との間の距離が2.5cmだけ離隔した場合に脱臭効率に最も優れ、その距離が2cm以下に減少したり、3cm以上に増加したりした場合に脱臭効率が急激に低下することを確認できた。
【0192】
光源と触媒部の前面との間の距離が2cm以下であって過度に近いと、光触媒フィルターの面積のうち、紫外線が照射される光触媒フィルターの面積が減少する一方、光触媒フィルターの単位面積当たりの紫外線の強さが強くなっても光触媒活性化効率がこれ以上増加しない状態(saturation、図16と関連して後述する紫外線の強さと関連する実験参照)になる。併せて、UV LED基板55が光触媒フィルターと過度に近い場合、紫外線が主に照射される光触媒フィルターの中間領域では空気流動がうまく行われないので、活性化が最もうまく行われる領域において光触媒フィルターと接触する空気の量がより少なくなる。
【0193】
また、光源と触媒部の前面との間の距離が3cm以上であって過度に遠いと、光触媒フィルターの単位面積当たりの紫外線の強さが減少する。その結果、光触媒活性化程度が低下し、遠い距離間で流動する空気の流れが安定化され、層流(laminar flow)のように挙動し、光触媒フィルターの表面と接する空気の量自体が減少する。
【0194】
一方、フィルターの一辺の長さ(l)が4cm以上7cm以下である場合に脱臭効率が良い。フィルターの一辺の長さが4cm以下に短くなると、紫外線が照射される領域にフィルターが全て存在しないので、紫外線の浪費をもたらす結果となる。その一方で、フィルターの一辺の長さが7cm以上である場合は、紫外線が照射されないフィルター領域が存在し、フィルター素材の浪費をもたらす。
【0195】
次に、UV LED57に供給される電源の場合、電圧が5V以下であるか、電流が200mA以下である場合は、発光量が著しく減少し、UV LEDを追加しなければならない問題が発生する。また、電圧が15V以上であるか、電流が300mA以上である場合は、供給電源を高めるとしても発光量はほとんど増加しないことを確認した。
【0196】
一方、本発明の発明者は、触媒部81に形成された格子の形状、各セル83の離隔間隔(g)、格子のフレームの厚さ(t)、触媒部の一辺の長さ(l)、触媒部のセルの個数(n)、触媒部の高さ(h)、空気の流動方向(正方向、逆方向)、触媒部の焼結温度及び焼結時間、光触媒用UV LED57のピーク波長、触媒部の前面に照射される紫外線の強さによって光触媒フィルターの脱臭性能が変わることを確認した。
【0197】
図16は、光触媒フィルターの前面に到逹する紫外線の強さによるアセトアルデヒドの分解率を示したグラフである。
【0198】
まず、触媒部の前面に照射される紫外線の強さによって光触媒の脱臭性能がどのように変化するのかを繰り返して測定した。測定の結果、光触媒表面の単位面積当たりの紫外線の強さが14.67mW/cm2であるときまでは、紫外線の強さが増加するほど光触媒の脱臭効率が増加することを確認したが、それ以上に増加するときはこれ以上脱臭効率が上昇しないことを確認できた。特に、このような傾向は、上述したセル83の離隔間隔(g)、格子のフレームの厚さ(t)、触媒部の一辺の長さ(l)、触媒部のセルの個数(n)、触媒部の高さ(h)、触媒部の焼結温度及び焼結時間とは関係なく一貫していた。
【0199】
また、繰り返して実験した結果、光触媒表面の単位面積当たりの紫外線の強さが10mW/cm2より低い場合は、光量の不足によって光触媒反応による脱臭効率が急激に減少し、光触媒表面の単位面積当たりの紫外線の強さが20mW/cm2より高い場合は、紫外線の強さを高めるために消耗される電気エネルギーが増加するだけで、光触媒活性化による脱臭効率はほとんど増加しなかった。
【0200】
図17は、紫外線波長による光触媒フィルターの紫外線吸収率を示したグラフで、図18は、紫外線波長によるアセトアルデヒドの除去率を示したグラフである。
【0201】
紫外線波長による光触媒フィルターの紫外線吸収率は、図17に示したように、270nm付近の波長を最もうまく吸収し、400nmに行くほど吸収率が線形的に低下することが分かる。しかし、実際にUV LEDを使用するとき、最も優れた光触媒効率で活性化されるピーク波長のUV LEDは365nmであることを確認できた。これはUV LEDの発光効率のためであるが、ピーク波長が小さいUV LEDであるほど素子の発光量が急激に低下するので、低いピーク波長を有するUV LEDを使用して光触媒フィルターの表面で必要な適正な紫外線強さを合わせるためには多数のUV LEDを使用しなければならない。しかし、空気の流動のために基板のサイズを増加させるのにも限界があり、費用自体が急激に増加するようになる。これを念頭に置いて実験した結果、340nm以下のピーク波長を有するUV LEDを使用すると、光触媒フィルターによる脱臭効率が急激に低下することを確認できた。
【0202】
また、380nm以上のピーク波長を有するUV LEDを使用するときは、光触媒の紫外線吸収率自体が大きく低下し、UV LEDと既存のブラックライトとの差がなくなるので、UV LEDを使用する大きな意味がなくなる。
【0203】
実験の結果、ピーク波長が360nm以上370nm以下であるUV LEDを使用したとき、光触媒フィルターによる脱臭性能を最も高められることを確認できた。
【0204】
図19は、光触媒フィルターの高さ(h)によるアセトアルデヒドの脱臭率の差を示したグラフで、図20は、光触媒フィルターの高さ(h)による酢酸の脱臭率の差を示したグラフである。
【0205】
実験の結果から確認した事実は、図15のような形状の光触媒フィルターの場合、光触媒フィルターのフレームの厚さ(t)によって増加する前面の光触媒表面の面積は光触媒フィルターの脱臭効率にほとんど影響を及ぼさなく、光触媒フィルターの高さ(深さ)が内部空気流動路の内壁の面積に影響を及ぼし、空気との接触面積に直接的な影響を及ぼすことである。
【0206】
したがって、フィルターの高さが5mm~10mmである場合、光触媒フィルターの脱臭効率が最も良いことを確認できた。併せて、フィルターの高さが2mm以下に薄くなると、光触媒フィルター自体の強度が弱くなって使用しにくい。また、フィルターの高さが15mm以上である場合は、空気抵抗のみが激しくなり、紫外線が到逹できないか、その強さが非常に弱くなり、その結果、脱臭効率は高くならない状態で費用のみが増加する原因になる。
【0207】
また、セル83の内部離隔間隔(g)が2mmであるとき、空気抵抗が増加しないと共に、フィルターの形状自体が、紫外線がフィルターの内部に照射される紫外線を遮り、陰影の発生程度が大きくないので、紫外線が照射されるセル内部面積が最も適切であることを確認できた。内部離隔間隔が1mm以下に狭くなる場合は、空気抵抗が高くなり、内壁に到逹する紫外線の量が減少するので、脱臭効率が低下し、また、内部離隔間隔が4mm以上である場合は、セルの稠密度が過度に低く、内壁の面積自体が大きく減少するので、脱臭効率が低下することを確認できた。
【0208】
これをセルの密度観点で説明すると、セルの稠密度が30cell/inch2より低い場合は、内部離隔間隔が4mm以上に大きくなり、内壁の面積自体が大きく減少するので、脱臭効率が低下し、また、セルの稠密度が260cell/inch2以上である場合は、内部離隔間隔が1mm以下に狭くなり、空気抵抗が高くなり、内壁に到逹する紫外線の量が減少し、脱臭効率が低下すると見ることができる。また、セルの稠密度が100cell/inch2前後である場合は、空気抵抗が増加しないと共に、フィルターの形状自体が、紫外線がフィルターの内部に照射される紫外線を遮り、陰影の発生程度が大きくないので脱臭効率に最も優れる。
【0209】
次に、フレームの厚さ(t)に対して実験した結果、厚さが0.3mm以下である場合は、TiO2層が過度に薄くなり、光触媒効率が低下し、強度にも問題がある。その一方で、フレームの厚さが1.2mm以上である場合は、材料費が増加するだけで、光触媒効率はこれ以上増加しなかった。フレームの厚さが0.6mmである場合、光触媒効率が最も高かった。
【0210】
図21は、2gのTiO2を1時間にわたって焼結した光触媒フィルターの焼結温度別脱臭性能を示したグラフで、図22は、2.5gのTiO2を1時間にわたって焼結した光触媒フィルターの焼結温度別脱臭性能を示したグラフで、図23は、2.5gのTiO2を400℃の焼結温度で焼結時間を異ならせて製作した光触媒フィルターの焼結時間別脱臭性能を示したグラフである。
【0211】
図21図23を参照すると、焼結温度が350℃~450℃である場合に脱臭性能が良く、焼結時間が1時間~2時間である場合に光触媒フィルターの脱臭性能に大きな問題がないことを確認できる。したがって、温度の偏差を勘案して、焼結温度が400℃で、焼結時間が1時間より短い場合、焼結が未完である場合があり得る。焼結時間が過度に長いと、却って光触媒フィルターの脱臭性能が低下するという点で、焼結時間は1時間~2時間にする。
【0212】
本明細書に開示した実施例及び図面によって本発明が限定されることはなく、本発明の技術思想の範囲内で当業者によって多様な変形が可能であることは自明である。
【産業上の利用可能性】
【0213】
上述した本発明に産業上の利用可能性があることが明白である。
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