(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-21
(45)【発行日】2023-09-29
(54)【発明の名称】発電機を備える時計ムーブメント
(51)【国際特許分類】
G04C 10/00 20060101AFI20230922BHJP
【FI】
G04C10/00 C
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022043448
(22)【出願日】2022-03-18
【審査請求日】2022-03-18
(32)【優先日】2021-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591048416
【氏名又は名称】ウーテーアー・エス・アー・マニファクチュール・オロロジェール・スイス
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ロマン・ベスシェ
(72)【発明者】
【氏名】ステファーヌ・バレオン
(72)【発明者】
【氏名】パスカル・ラゴルゲット
【審査官】細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】特許第3196215(JP,B2)
【文献】特開2006-170762(JP,A)
【文献】特開平11-166987(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04C 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機械タイプの時計ムーブメント(2)であって、アナログ時間表示装置(16)と、発電機(20)とを備え、前記アナログ
時間表示
装置の少なくとも1つの表示器(18)を駆動できるように、少なくとも1つの電気機械モータ(12)を有し、前記発電機(20)は、ロータ(20A)を備え、前記
アナログ時間表示装置と同軸の回転錘(22)と関連し、前記時計ムーブメントは、前記表示器と同軸のシャフト(36)を有する一番車(40)を備え、前記シャフト(36)は、前記表示器を有
し前記電気機械モータとかみ合い関係にある二番車(23)と一体化された筒によって回転を誘導され
、または前記シャフト(36)は、周りに回転可能に前記筒が取り付けられる固定された円筒形の管(30)によって回転を誘導され、前記一番車(40)は前記発電機の前記ロータとかみ合い関係にあることを特徴とし、前記一番車は前記回転錘に、前記アナログ時間表示
装置と対向する側で固定されて接続し、それによって前記回転錘は、前記一番車を介して前記発電機の前記ロータを回転させることができることを特徴とする、時計ムーブメント(2)。
【請求項2】
請求項1に記載の時計ムーブメントであって、前記回転錘(22)は、ボールベアリング装置(44)の中心部(46)に固定され、前記中心部(46)は回転して移動可能であることを特徴とする、時計ムーブメント。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の時計ムーブメントであって、前記一番車(40)は、前記回転錘側で、前記一番車に特定のベアリングを配置せずに前記回転錘(22)に固定され、それによって前記一番車は、特定のピボットベアリングと関連しないことを特徴とする、時計ムーブメント。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の時計ムーブメントであって、前記電気機械モータ(12)と、前記発電機(20)と、第1の輪列(40、42)と、第2の輪列は共に、電気機械モジュール(4)を形成し、前記第1の輪列(40、42)は、前記一番車を備え、前記回転錘(22)を前記発電機の前記ロータに運動学的に結合し、前記第2の輪列は、前記二番車を備え、前記電気機械モータを前記少なくとも1つの表示器(18)に運動学的に結合し、前記電気機械モジュール(4)は、前記時計ムーブメントの別の部品からは独立し、前記時計ムーブメント内に取り外し可能な様式で配置されることを特徴とする、時計ムーブメント。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の時計ムーブメントであって、前記一番車(40)と前記発電機(20)の前記ロータ(20A)との間の伝達率は30に等しいことを特徴とする、時計ムーブメント。
【請求項6】
少なくとも第1のモータと、第2のモータ(12)とを備える
電気機械タイプのモータモジュールの使用法であって、前記第1のモータは、永久磁石ロータ(20A)と、ステータとから形成され、前記ステータは少なくとも1つのコイル(20B)を有し、軸を有する一番車(40)と関連し、前記第2のモータ(12)は、筒(26)を有する少なくとも二番車(23)と関連し、前記筒(26)はアナログ時間表示(16)の分表示器(18)を有するように意図され、前記軸は、周りに前記筒が取り付けられる固定された円筒形の管(30)によって回転を誘導されるか、または、前記筒自体によって回転を誘導され、前記モータモジュール内で秒表示器または秒カウンタを有することが意図されて電気機械モジュール(4)を形成し、前記電気機械モジュール(4)は、一方では、時間表示器(17)および前記分表示器(18)を駆動するための前記第2のモータから形成される少なくとも1つの電気機械モータ(12、14)を備え、他方では、前記永久磁石ロータおよび前記少なくとも1つのコイルを有する前記ステータによって形成される発電機(20)を備え、前記一番車(40)は、前記発電機の前記ロータを回転できるように、前記一番車と同軸であって前記電気機械モジュール下部に配置される回転錘(22)に固定されて接続する、使用法。
【請求項7】
請求項6に記載のモータモジュールの使用法であって、前記回転錘(22)は、ボールベアリング装置(44)の中心部(46)に固定され、前記中心部(46)は回転して移動可能であり、前記ボールベアリング装置(44)は前記電気機械モジュール(4)下部に配置される、使用法。
【請求項8】
請求項7に記載のモータモジュールの使用法であって、前記一番車(40)の前記軸は、前記回転錘に固定されるように構成されるシャフト(36)と交換され、前記一番車は、前記一番車に特定のベアリングを前記回転錘側に配置せずに、前記電気機械モジュールと関連する前記回転錘に固定され、それによって前記一番車は特定のベアリングと関連しない、使用法。
【請求項9】
請求項6~8のいずれか一項に記載のモータモジュールの使用法であって、前記ステータは位置決めノッチを有し、前記ステータは前記電気機械モジュール(4)内で位置決めノッチのないステータと交換され、それによって前記発電機内のリラクタンストルクを低減する、使用法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アナログの時間表示を有し、電流を消費する少なくとも1つの部品を備える時計ムーブメントに関する。本時計ムーブメントはさらに、電流を消費する前述の部品に電力を供給できるように、電気エネルギーを生成可能な発電機/マイクロ発電機(以下「発電機」と称する)を備える。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、第1の実施形態において、発電機を搭載する時計ムーブメントを記載する。発電機のロータは回転錘に直接結合する。回転錘は、発電機のロータとかみ合う関係にある歯車にねじで固定される。たとえば、回転錘とロータとの間の輪列は、100倍の回転速度を有すると考えられる。時計ムーブメント内の回転錘の構成には技術的な説明はなされていない。特許文献2および特許文献3は、同様の構成の発電機を提案し、アナログ表示が独立したモータによって駆動されることを示す。このアセンブリは、発電機および回転錘から形成されるアセンブリとは独立して表されているが、時計ムーブメントに回転錘を取り付ける具体的な開示はされていない。同一の出願人による特許文献4は、
図2(a)の断面図において、「発電機および第1の輪列に関連する回転錘アセンブリ」の構成と、「電動モータおよび第2の輪列と組み合わされる3つの同軸針を有するアナログ表示」の構成に関する技術的教示を示す。同技術的教示によれば、秒針はブリッジ12の下方で枢動する。このブリッジ下部には、ボールベアリングが配置される別のブリッジ13がある。回転錘は回転可能なボールベアリングの中心部にねじで固定される。発電機のロータに力のトルクを伝達するために、回転錘と一体化される中心車は、ブリッジ13と回転錘の円板との間に配置される。この中心車は、同じレベルに配置されるかなとかみ合う。この構成は、積み重ねられた複数の歯車と、中間ブリッジに配置される四番車のための下部ベアリングと、下部ブリッジに配置されるボールベアリングと、さらに、偏心歯車セットを介してトルクを発電機に伝達可能とするための下部ブリッジと回転錘との間の中心車とからなるため、かさばり、複雑となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】欧州特許出願第0998009号
【文献】米国特許第5,822,278号
【文献】米国特許第6,320,822号
【文献】欧州特許出願第0326312号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、前述の欧州特許出願第0326312号に記載した同一のタイプのムーブメントよりもかさばらず、簡潔で、廉価である発電機を有する電気機械ムーブメントを提供することを目的とする。具体的には、本発明による電気機械ムーブメントは、ほとんど修正を必要とせず、従来の電気機械ムーブメントと比較しても高さを追加する必要がないことが期待される。従来の電気機械ムーブメントは、中心回転錘と、同じく中心に3つの針を持つアナログ時間表示を有する。
【発明を解決するための手段】
【0005】
そのため、本発明は、電気機械タイプの時計ムーブメントと発電機に関する。本電気機械タイプの時計ムーブメントはアナログ時間表示装置を備え、アナログ表示の少なくとも1つの表示器を駆動するために、少なくとも1つの電気機械モータを有する。本発電機はロータを備え、時間表示装置と同軸の回転錘と関連する。時計ムーブメントは、表示器と同軸のシャフトを有する一番車を備える。シャフトは、表示器を有する筒によって回転を誘導され、電気機械モータとかみ合い関係にある二番車と一体化される。またはシャフトは、周りに回転可能に筒が取り付けられる固定された円筒形の管によって回転を誘導される。本発明によれば、一番車は発電機のロータとかみ合い関係にある。一番車は、アナログ時間表示と対向する側で、回転錘に固定されて接続する。それによって、この回転錘は一番車を介して発電機のロータを回転させることができる。
【0006】
本発明の特徴のおかげで、発電機のロータを第1の輪列を介して回転させるために、回転錘に固定される中心車は、シャフトを有する四番車と同様の様式で形成される。シャフトは、固定された円筒形の管によってアナログ表示側で、回転を誘導される。管の周りには日の裏車の筒が回転可能に取り付けられる。またはシャフトは、この筒自体によって回転を誘導される。この構成によって、時計ムーブメントのサイズを小さくすることができ、具体的には時計ムーブメントの高さ/厚さを低減することができる。好ましくは、アナログ表示は、分表示器と同軸の秒表示器を有さない。ただし、詳しく後述はしないが、特定の実施形態では、分表示器と同軸の秒表示器が提供される。この場合には、秒表示器は四番車の筒に取り付けられる。四番車の筒内部には、中心車のシャフトが回転可能に配置され、次に、日の裏車の筒は四番車の筒の周りに取り付けられる。
【0007】
本発明によれば、少なくとも第1のモータと、第2のモータとを備える電気機械タイプのモータモジュールを使用することがさらに提案される。第1のモータは、永久磁石ロータおよびステータから形成され、ステータは少なくとも1つのコイルを有し、シャフトを有する一番車と関連する。第2のモータは、筒を有する少なくとも二番車と関連する。筒はアナログ時間表示の分表示器を有するように意図される。このシャフトは、周りに筒が取り付けられる固定された円筒形の管によって回転を誘導される。またはシャフトは、この筒自体によって回転を誘導され、モータモジュール内で秒表示器または秒カウンタを有するように意図され、電気機械モジュールを形成する。電気機械モジュールは、一方では、時間表示器および分表示器を駆動するための第2のモータから形成される少なくとも1つの電気機械モータを備え、他方では、永久磁石ロータおよび少なくとも1つのコイルを有するステータによって形成される発電機を備える。一番車は回転錘に固定されて接続する。回転錘は、発電機のロータを回転できるように、一番車と同軸であって、電気機械モジュール下部に配置される。
【0008】
本発明を、非制限的な実施例として提示される添付図を用いて以下詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明による電気機械式時計ムーブメントの一実施形態の底面斜視図および部品分解組立図である。
【
図3A】
図1の時計ムーブメントの破線に沿った断面の部品であり、本時計ムーブメントの電気機械モジュールの様々な要素を示す。
【
図3B】
図2の時計ムーブメントの破線に沿った断面の部品であり、本時計ムーブメントの電気機械モジュールの様々な要素を示す。
【
図4A】前述の図の時計ムーブメントを形成する電気機械モジュールの斜視図である。
【
図4B】前述の図の時計ムーブメントを形成する電気機械モジュールの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付図を参照し、本発明による実施形態を以下に説明する。
【0011】
電気機械タイプの時計ムーブメント2は、電気機械モジュール4と、様々な機能を実施して電気機械モジュールを制御する電子モジュール6と、リューズ巻真10に関連して、具体的には、アナログ表示16の時間設定を実施する制御モジュール8とを備える。アナログ表示16の分針18と時針17は同軸であり、回転中心軸56を有し、電気機械モジュール4の2つの電気機械モータ12および14によって、2つの独立した輪列を介してそれぞれ回転する。針17および18は、回転軸56上で位置合わせされる2つの細長い筒25および26にそれぞれ取り付けられる。筒26は、筒25内部に位置する。筒25は筒26によって回転を誘導される。筒26は、円筒形の管30によって回転を誘導される。円筒形の管30は筒26内部に配置され、一端部で、電気機械モジュール4のブリッジ32に固定される。電気機械モジュール4はさらに、本モジュールの様々な要素が取り付けられる板50を備える。板上には、少なくとも1つのデジタル表示が配置可能なダイヤル52が設けられる。本ダイヤルは、次に電子モジュール6に電気的に接続する。
【0012】
図3Aの断面は、電気機械モータ12を示し、具体的にはラベット型のステッパモータを示す。電気機械モータ12は、永久磁石を有するロータ12Aと、磁気回路上に取り付けられるコイル12Bとを備える。コイル12Bは、ロータ磁石12Aの周りに2つの磁極を有するステータを形成する。ロータ12Aと分針18との間に輪列を見ることができる。本輪列は、分針を有する細長い筒26に固定される中心車23と、歯車セット24とを備える。歯車セット24の歯車はロータのかなとかみ合い、ロータのかなは二番車とも称される中心車23とかみ合う。
【0013】
図3Bの断面に示すように、電気機械モジュール4はさらに、ロータ20Aとコイル20Bから形成される発電機20とを備える。コイル20Bは、従来方式で、2つの磁極(磁極片)を有する磁気回路を画成するステータの強磁性コア上に取り付けられる。2つの磁極はロータ20Aの双極性永久磁石を囲む。好ましくは、磁気回路、具体的にはその2つの磁極片は、具体的にはステッパモータに配置されることが多い位置決めノッチを排除することによって、発電機のロータに対する低リラクタンストルクを生成するように構成される。電気エネルギーの供給という観点において電気機械ムーブメントが自律するために、このような時計ムーブメントを搭載する腕時計が受ける可能性のある加速、具体的にはユーザの腕の運動から電気エネルギーを生成可能であることによって、発電機20は、時間表示装置と同軸である回転錘22と関連する。
【0014】
発電機20は、回転錘22と運動学的に接続する。その接続様式では、比較的簡潔な電気機械モジュール4が保持可能であり、発電機を回転させるために、アナログ時間表示と同軸に配置される回転錘を追加した後も、ムーブメントが余り厚くならないようにされる。そのため、発電機は、一番車とも称される歯車40と、歯車40と発電機のロータ20Aとの間に配置される中間車セット42とを介して、回転錘に運動学的に接続する。歯車40はシャフト36を備える。シャフト36は、2つの針17および18の2つの筒25および26と同軸であり、固定された円筒形の管30によって回転を誘導される。円筒形の管30内には、部分的にシャフト36を形成する軸37が配置される。したがって、一番車40のシャフト36は、アナログ表示側のベアリング内では枢動しない。さらに、固定された円筒形の管30は、すでに示したように、分針および時針の2つのそれぞれの筒の回転を誘導するように用いられる。したがって、本発明による構成を用いると物的手段の節約になる。
【0015】
シャフト36は下部部品38を備える。下部部品38は、ボールベアリング装置44の中心部46の方向に軸37を延在させる。中心部46は回転して移動可能であり、ボールベアリング装置44は追加のブリッジ54上に取り付けられる。この下部部品38は、軸37の直径より大きい直径を有し、中心部46に固定される。中心部46には回転錘22も固定される。一番車40は、したがって、円筒形の管30に対向する側で回転錘22に固定されて接続する。それによって、この回転錘は発電機20のロータ20Aとかみ合い関係を有し、一番車を介して発電機を回転させることができる。一番車40は、回転錘の側で一番車に特定のベアリングを配置することなく回転錘22に固定されるため、一番車は特定のピボットベアリングと関連しないことに留意されたい。
【0016】
不図示の変形において、固定された円筒形の管30は省略される。したがって、針/表示器18を有する細長い筒26は、一番車40のシャフト36の軸37を直接囲む。次に、この筒26が、発電機20に運動学的に結合する一番車40の回転を表示側で誘導する。
【0017】
電気機械モータ12と、発電機20と、第1の輪列と、第2の輪列は共に、時計ムーブメント2内に取り外し可能な様式で配置される個別の電気機械モジュール4を形成する。第1の輪列は少なくとも一番車40を備え、回転錘22を発電機のロータに運動学的に結合する。第2の輪列は少なくとも二番車23を備え、電気機械モータをアナログ表示の少なくとも1つの表示器に運動学的に結合する。本モジュール4は、
図4Aおよび4Bの斜視図に示される。
図4Aは上面図であり、
図4Bは底面図である。これらの図および前述の記載は、本発明の優れた特徴を示す。すなわち、発電機と、発電機を回転錘に運動学的に接続する第1の輪列の構成は、従来のモータモジュールで秒針を駆動する電気機械モータの構成と実質的に対応する。従来のモータモジュールでは、秒針は、分針および時針と同軸であり、分針および時針とは独立して駆動される。そのため、秒針は前述の「第1の輪列」と称される秒針自体の輪列と関連する。一概に、ステッパモータ、具体的にはラベット型のステッパモータは、1回転ごとに2つのステップを実施する。秒を示す歯車である四番車と、問題となるモータのロータとの間の伝達率は30に等しい。そのため、秒針は1秒ごとに対応するジャンプを連続して実施する。したがって、本発明の有利な変形では、最低限の修正でモータモジュールを使用できるように、中心車40と発電機のロータ20Aとの間の伝達率は、30と等しくなる。ただし、一般的な変形では、この伝達率は10から100の間となる。
【0018】
本発明に照らして、このように、少なくとも第1のモータと、第2のモータとを備える電気機械タイプのモータモジュールの使用が提案される。第1のモータは、永久磁石ロータとステータから形成される。ステータは少なくとも1つのコイルを備え、シャフトを有する一番車と関連する。第2のモータは、筒を有する少なくとも二番車と関連する。筒はアナログ時間表示の分表示器を有するように意図される。このシャフトは、周りに筒が取り付けられる固定された円筒形の管によって回転を誘導されるか、または、この筒自体によって回転を誘導され、モータモジュール内で秒表示器または秒カウンタを有し、本発明による電気機械モジュールを形成する。本発明による電気機械モジュールは、一方では、時間表示器および分表示器を駆動するための第2のモータを含む少なくとも1つの電気機械モータを備え、他方では、永久磁石ロータと、少なくとも1つのコイルを含むステータとによって形成される発電機を備える。本発明によれば、一番車のシャフトは、アナログ時間表示と対向する側に延在し、一番車と同軸であり、発電機のロータを回転できるように、電気機械モジュール下部に配置される回転錘に固定されて接続する。
【0019】
好ましい変形では、回転錘22は、電気機械モジュール下部に配置されるボールベアリング装置44の中心部46に固定される。中心部46は回転して移動可能である。そのため、電気機械モジュール4に直接固定される追加のブリッジ54が提供され、電気機械モジュールが完成される。または、追加のブリッジ54は枠60に固定される。枠60は、たとえばプラスチック素材からなり、電気機械モジュールが配置されるハウジング内に位置する(
図1参照)。好ましい本変形では、前述したように、一番車40のシャフト36は電気機械モジュールの下部ベアリング内では枢動しない。回転錘の側に、この一番車に特定のベアリングを配置することなく、一番車は回転錘22に固定される。それによって一番車は特定のベアリングと関連しないため、時計ムーブメント2の厚さを比較的薄く、高さを比較的低く維持することができる。
【0020】
具体的な変形では、本発明による電気機械モジュールを製造するために用いられる当初のモータモジュールは、ステータ(強磁性回路)を備える。ステータは、対応するモータがステッパタイプとなるように、ロータの永久磁石が配置される穴の周りに位置決めノッチを有する。これらのステータのうち1つは、位置決めノッチのないステータと交換された後、発電機のリラクタンストルクを軽減するように、電気機械モジュールの発電機を形成するために用いられる。
【0021】
このように、本発明によって、電気機械ムーブメント用の通常のモータモジュールを利用して、ほとんど修正なしに本発明による電気機械モジュールを得ることができることに留意されたい。実際に、四番車の軸のみを、下部部品を回転錘の側に有するシャフトと交換するだけでよい。シャフトは下部部品で回転錘に固定するように構成され、または、下部部品によって完成されるように構成される。下部部品は、発電機を駆動するために追加された回転錘に固定するように適応される。
【符号の説明】
【0022】
2 時計ムーブメント
4 電気機械モジュール
6 電子モジュール
8 制御モジュール
10 リューズ巻真
12 電気機械モータ
12A ロータ
12B コイル
16 アナログ時間表示装置
17 時針
18 分針
20 発電機
20A ロータ
20B コイル
22 回転錘
23 二番車
24 歯車セット
25 筒
26 筒
30 管
32 ブリッジ
36 シャフト
37 軸
38 下部部品
40 一番車
42 中間車セット
44 ボールベアリング装置
46 中心部
50 板
52 ダイヤル
54 ブリッジ
56 回転軸
60 枠