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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-21
(45)【発行日】2023-09-29
(54)【発明の名称】磁気インパクターアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/46 20060101AFI20230922BHJP
   A61F 2/34 20060101ALI20230922BHJP
   A61B 17/92 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
A61F2/46
A61F2/34
A61B17/92
【請求項の数】 17
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022106898
(22)【出願日】2022-07-01
(62)【分割の表示】P 2019515309の分割
【原出願日】2017-11-06
(65)【公開番号】P2022130661
(43)【公開日】2022-09-06
【審査請求日】2022-07-19
(31)【優先権主張番号】62/420,064
(32)【優先日】2016-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510018328
【氏名又は名称】シンク サージカル, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100113376
【弁理士】
【氏名又は名称】南条 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100179394
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬田 あや子
(74)【代理人】
【識別番号】100185384
【弁理士】
【氏名又は名称】伊波 興一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100137811
【弁理士】
【氏名又は名称】原 秀貢人
(72)【発明者】
【氏名】ウー ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】ディクソン マーク
【審査官】沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-533491(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0303631(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0028196(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0096563(US,A1)
【文献】特表2009-525079(JP,A)
【文献】国際公開第2014/091454(WO,A1)
【文献】米国特許第04865324(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/46
A61F 2/34
A61B 17/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インパクターのためのガイドアセンブリであって、
以下を備える:
(1)ガイド磁気領域と軸を有する開口部とを有する、インパクターガイド;
ここで前記開口部は、前記インパクターの動きを前記開口部の軸に沿った並進に制約する
(2)上部支持体に接続されたブラケットと、レセプタクル磁気領域を有する、ガイドレセプタクル;
ここで前記レセプタクル磁気領域は、前記ガイド磁気領域を受け入れて、前記レセプタクル磁気領域と前記ガイド磁気領域の間に磁気引力を有する磁気界面を形成し、
インパクト力が前記開口部の軸からずれて前記インパクターに加えられ、前記インパクト力が前記磁気引力よりも大きい場合に、前記磁気界面は、前記ガイド磁気領域を前記レセプタクル磁気領域から少なくとも部分的に切り離す、
ガイドアセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載のガイドアセンブリであって、
前記レセプタクル磁気領域は、レセプタクル磁石を収容するレセプタクルチャンバーを備え、
前記ガイド磁気領域は、ガイド磁石を収容するガイドチャンバーを備える、
ガイドアセンブリ。
【請求項3】
請求項2に記載のガイドアセンブリであって、
前記レセプタクル磁石および前記ガイド磁石は、永久磁石、一時磁石、または電磁石から選択される、
ガイドアセンブリ。
【請求項4】
請求項2に記載のガイドアセンブリであって、
前記レセプタクル磁石および前記ガイド磁石は、永久磁石である、
ガイドアセンブリ。
【請求項5】
請求項2に記載のガイドアセンブリであって、
前記レセプタクル磁石および前記ガイド磁石は両方とも、変化のある厚さの形状をしていて、前記厚さに依存した磁力の勾配を作り出し、ここで、前記のレセプタクル磁石の形状は、前記のインパクターガイドおよびガイドレセプタクルが磁気的に連結された場合に、前記のガイド磁石の形状と実質的に鏡像になっている、
ガイドアセンブリ。
【請求項6】
請求項1に記載のガイドアセンブリであって、
前記レセプタクル磁気領域および前記ガイド磁気領域が、a)固形磁気材料で作られた本体;b)固形磁気材料で部分的に作られた本体;またはc)磁気材料のコーティングを有する本体のうちの1つである、
ガイドアセンブリ。
【請求項7】
請求項1に記載のガイドアセンブリであって、
前記ガイドレセプタクルが、ブラケットをさらに備え、
前記ブラケットは、前記ガイドレセプタクルを外科的デバイスまたは器具へ連結するように構成される、
ガイドアセンブリ。
【請求項8】
請求項7に記載のガイドアセンブリであって、
前記外科的デバイスが、ロボット外科的システムである、
ガイドアセンブリ。
【請求項9】
請求項1に記載のガイドアセンブリであって、
前記レセプタクル磁気領域が、突出をさらに備え、
前記ガイド磁気領域が、刻み目をさらに備え、
ここで、前記突出および前記刻み目は、前記インパクターガイドが前記ガイドレセプタクルに磁気的に連結される場合に、自己整列するように構成される、
ガイドアセンブリ。
【請求項10】
請求項1に記載のガイドアセンブリであって、
前記インパクターガイドは、第二のガイド磁気領域をさらに備え、
前記ガイドレセプタクルは、第二のレセプタクル磁気領域をさらに備え、
ここで、前記レセプタクル磁気領域および前記第二のレセプタクル磁気領域は、前記ガイド磁気領域および前記第二のガイド磁気領域とそれぞれ磁気的に連結して、磁気界面を形成する、
ガイドアセンブリ。
【請求項11】
請求項10に記載のガイドアセンブリであって、
前記ガイド磁気領域および前記レセプタクル磁気領域は、第一の極性配置を有し、
前記第二のガイド磁気領域および前記第二のレセプタクル磁気領域は、第二の極性配置を有し、
ここで、前記第一の極性配置は、前記第二の極性配置と逆である、
ガイドアセンブリ。
【請求項12】
請求項1に記載のガイドアセンブリであって、
第二のガイド磁気領域をさらに備え、
前記ガイド磁気領域は第一の磁石を備え、前記第二のガイド磁気領域は第二の磁石を備える、
ガイドアセンブリ。
【請求項13】
請求項10に記載のガイドアセンブリであって、
前記ガイド磁気領域および前記第二のガイド磁気領域は、ギャップによって分離されている、
ガイドアセンブリ。
【請求項14】
請求項1に記載のガイドアセンブリであって、
前記インパクターガイド内のインサートとして形成されて前記開口部の壁を規定する軸受スリーブをさらに備える、
ガイドアセンブリ。
【請求項15】
請求項14に記載のガイドアセンブリであって、
前記軸受スリーブが、複数の部品から形成される、
ガイドアセンブリ。
【請求項16】
請求項1に記載のガイドアセンブリであって、
前記磁気界面が、ネオジム鉄ボロン(NdFeBまたはNIB)、サマリウムコバルト(SmCo)、またはアルニコでそれぞれ独立に形成された永久磁石によって形成される、
ガイドアセンブリ。
【請求項17】
請求項13に記載のガイドアセンブリであって、
前記レセプタクル磁気領域および前記ガイド磁気領域が磁気的に連結された場合に、前記開口部の軸と一致する第二の軸を前記ギャップが備え、
前記開口部の軸は、前記磁気界面が切り離された場合に、前記第二の軸と一致しなくなる、
ガイドアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本出願は、2016年11月10日に出願された米国仮出願番号62/420,064の優先権の利益を主張するものであり;その内容は参照により本明細書中に援用される。
【0002】
[技術分野]
本発明は概して、整形外科の外科的処置の分野に関し、より特に、整形外科手順を行なう間に対象の解剖学的構造または外科的デバイスに対して生産される過剰なまたは軸ずれした嵌入(インパクト)力を減少させる、適合したインターフェイスに関する。
【背景技術】
【0003】
関節全置換術(TJR)は、補綴コンポーネントによる対象の関節の置換を伴う。特に、股関節全置換術(THA)は、大腿補綴および寛骨臼補綴の両方の移植を必要とする。伝統的に、外科医は、骨が準備されて補綴が固定または移植される前に、骨内の補綴の位置および方位(POSE)を手術前に計画する。それから、外科医は、手動の器具を用いて骨を準備して、計画されたPOSE内で移植片を受け取る。残念ながら、手動の器具類の使用は、特定の外科医の技術に供されるので予測することができない。したがって、移植手順を改善するために、コンピューター支援の外科的システムが、より正確にカップ補綴を準備して移植するためにポピュラーになっている。
【0004】
THA手順を計画して実行するための1つのそのような外科的システムは、TSolution One(登録商標)Surgical System(THINK Surgical,Inc.,Fremont,CA)である。TSolution One(登録商標)は、外科的計画を生み出すための手術前計画の作業場および手術中に手術前計画を実行するためのロボット外科的デバイスを備える。手順の前に、外科医は、患者の解剖学的構造の三次元(3D)骨モデルおよび補綴のコンピューター支援設計(CAD)ファイルを用いて、大腿およびカップ補綴に関する所望のPOSEを手術前に計画する。それから、計画は、手術室(OR)内のロボットデバイスへ転送される。手術中、THA手順のカップ部分は、患者の骨の中にネジで留められるピンの使用により、ロボットデバイスを解剖学的構造へ固定することによって開始する。固定ステップ後に、骨は、ロボットデバイスに登録されて、骨の位置および外科的計画の座標をロボット座標系に変換する。それから、ロボットデバイスは、計画されたPOSEで、電気機械的アームに取り付けられた物理的ガイドを用いて、リーマーを配置および強制して、外科医が寛骨臼を準備するのを可能にする。寛骨臼の準備に続いて、カップ補綴を有するインパクターを電気機械的アームに取り付ける。アームは、計画されたPOSEにおいてインパクターをガイドおよび強制して、一方で、外科医は、インパクター上に一連の嵌入(インパクト)力を加えて、カップ補綴を移植する。
【0005】
しかしながら、嵌入(インパクト)中に、外科医が、インパクターの縦軸(すなわち、嵌入(インパクト)軸)から軸ずれであるインパクター上に力を与えた場合、軸ずれ力は、機械的アームに伝達する。軸ずれ力は、機械的アームのコンポーネントに損傷を生じさせ得て、アームコンポーネントを交換する必要性をもたらし、または、最低限でも、アームの精度を再調整する必要性をもたらす。この場合、外科医は、より正確でない手動の器具類によって手順を完了する必要があり得て、それは、全体的な手術時間をさらに増大させ得る。さらに、過剰な力は、外科的デバイスを損傷させ得るだけでなく、骨盤がより移動しやすくなり得て、そのことは、最終的な補綴前捻/傾斜角に負の影響を及ぼし得る。
【0006】
外科的デバイスを不注意に損傷させ得る嵌入(インパクト)力に加えて、患者の解剖学的構造に伝達される過剰な力を減少することが有益であり得る他の状況が存在する。患者の解剖学的構造が過剰な力に供せられる1つの特定の状況は、再TJRにおける一次補綴の除去中である。伝統的に、補綴を除去するために、外科医は、スラップハンマーをそこにアセンブルして、補綴から離す方向の一連の嵌入(インパクト)力を加える。しかしながら、これらの嵌入(インパクト)力を加える間に、外科医が骨をはぎ取るまたは損傷させるのは珍しいことではない。損傷した骨は、患者に合併症を引き起こし得て、および/または、損傷を直すためのさらなる処置を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、骨内の移植片の嵌入(インパクト)中に、外科的デバイスによって受け取られる軸ずれまたは過剰な嵌入(インパクト)力の伝達を減少させるデバイスおよびメカニズムに関する必要性が当該分野に存在する。移植片の除去中に患者に対して生じる力の量を制御する必要性がさらに存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
インパクターのためのガイドアセンブリは、フレームおよびフレームの側方にアセンブルされた1つまたは複数のガイド磁気領域を有するインパクターガイドを備える。フレームは、開口部と同心の嵌入(インパクト)軸に沿ってインパクターを支持および並進的にガイドする開口部を備える。ガイドアセンブリは、上部支持体に接続されたブラケットと、1つまたは複数のガイド磁気領域と相補的な1つまたは複数のレセプタクル磁気領域とを有する、ガイドレセプタクルをさらに備える。ガイドレセプタクルは、インパクターガイドを受け入れて、1つまたは複数のガイド磁気領域と相補的な1つまたは複数のレセプタクル磁気領域の間に磁気界面を形成する。インパクターガイドおよびガイドレセプタクルは、軸ずれした嵌入(インパクト)力がインパクターに加えられた場合に、磁気界面から少なくとも部分的に切り離される。
【0009】
インパクターのためのガイドアセンブリは、挿入されたインパクターを開口部と同心の嵌入(インパクト)軸に沿って支持および並進的にガイドするための開口部およびフレームと、フレームの対向する両末端上の少なくとも第一の磁気領域および第二の磁気領域とを有する、インパクターガイドを備える。ガイドアセンブリは、インパクターガイドを受け入れるためのガイドレセプタクルをさらに備え、ガイドレセプタクルは、少なくとも第三の磁気領域および第四の磁気領域を有し、ここで、第三の磁気領域および第四の磁気領域は、第一の磁気領域および第二の磁気領域とそれぞれ磁気的に結合して、磁気界面を形成する。インパクターガイドおよびガイドレセプタクルは、軸ずれした嵌入(インパクト)力がインパクターに加えられた場合に、磁気界面から少なくとも部分的に切り離される。
【0010】
磁気インパクターアセンブリは、第一の磁気領域を有する磁気インパクターレセプタクル、および、第一の磁気領域に着脱可能に連結されて磁気界面を形成する第二の磁気領域を有する磁気インパクターガイドを備える。磁気インパクターアセンブリは、嵌入(インパクト)軸を有するインパクターをさらに備え、ここで、インパクターは、磁気インパクターガイドと動作可能に関連する。補綴は、インパクターの末端に着脱可能に取り付けられる。インパクターレセプタクルまたはインパクターガイドの1つは、i.インパクターに加えられる事前に決定された嵌入(インパクト)力が超過される;またはii.嵌入(インパクト)軸から逸れた嵌入(インパクト)力がインパクターに加えられる、のいずれかの場合に、磁気界面から分離する。
【0011】
例示的な実施態様の例が、これに添付された図面に関して以下に説明される。図面において、1つよりも多い図面に現れる同一の構造、エレメントまたは部分は、一般に、それらが現れる全ての図面において同一の数字で標識される。図面に示されるコンポーネントおよび特徴の寸法は、一般に、便宜および説明の明確性のために選択されて、縮尺どおりに示される必要はない。図面は以下に挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A】本発明の実施態様に係る、インパクターアセンブリを示す。
図1B】本発明の実施態様に係る、外科的デバイスに連結されたインパクターアセンブリを示す。
図1C】本発明の実施態様に係る、インパクターが外科的デバイスから取り外され得る方法を説明する。
図2A】本発明の実施態様に係る、ガイドレセプタクルを示す。
図2B】本発明の実施態様に係る、ガイドレセプタクルの分解立体図を示す。
図2C】本発明の実施態様に係る、ガイドレセプタクルと関連するレセプタクルチャンバーの斜視図である。
図2D】本発明の実施態様に係る、ガイドレセプタクルの上部支持体の斜視図である。
図3】本発明の実施態様に係る、レセプタクルチャンバーまたはガイドチャンバーのための蓋を示す。
図4A】本発明の実施態様に係る、インパクターガイドを示す。
図4B】本発明の実施態様に係る、インパクターガイドの分解立体図を示す。
図4C】本発明の実施態様に係る、インパクターガイドと関連するガイドチャンバーを示す。
図5】軸受スリーブ本発明の実施態様に係る、軸受スリーブを示す。
図6】本発明の実施態様に係る、磁石を示す。
図7】本発明の実施態様に係る、インパクターガイドに接合されたガイドレセプタクルの部分的断面図を示す。
図8】対象の寛骨臼の上に配置された磁気インパクターアセンブリを示す。
図9】本発明の実施態様に係る、インパクターアセンブリの底面図を示す。
図10】本発明の実施態様に係る、スラップハンマーを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明はここで、以下の実施態様に関して説明される。これらの説明によって明らかであるように、本発明は、異なる形態で具体化され得て、本明細書において示される実施態様に制限されると解釈されるべきでない。むしろ、これらの実施態様は、本開示が徹底的かつ完全であり、本発明の範囲を当業者に完全に伝えるように提供される。例えば、一実施態様に関して説明される特徴は、他の実施態様に組み込まれ得て、特定の実施態様に関して説明される特徴は、その実施態様から除去され得る。加えて、本明細書において示唆される実施態様に対する非常に多くの変動および追加が、本開示に照らして当業者に明らかであり、それは本発明から逸脱しない。それ故に、以下の明細書は、本発明の一部の特定の実施態様を説明することを意図し、それらの全ての置換、組み合わせ、および変動を網羅的に特定することを意図しない。
【0014】
別段の定義がない限り、本明細書において用いられる全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する当業者の一人によって一般に理解されるのと同一の意味を有する。本発明の説明において用いられる専門用語は、特定の実施態様を説明する目的のためのみであり、本発明の制限を意図しない。
【0015】
本明細書において言及される全ての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、それらの全体で参照により援用される。
【0016】
定義
明確にまたは文脈によって別段の指定がない限り、以下の用語は、以下に示されるように本明細書において用いられる。
【0017】
本発明の説明および添付の特許請求の範囲において用いられる、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明確に別段の指示をしない限り、複数形も同様に含むことが意図される。
【0018】
また、本明細書において用いられる「および/または」は、関係がある挙げられた項目の1つまたは複数の任意および全てのあり得る組み合わせ、ならびに、代替(「または」)と解釈された場合は組み合わせの欠失を指し、および包含する。
【0019】
本明細書において用いられる用語「インパクター」は、力を受け入れるまたは嵌入(インパクト)事象を生じさせる、任意の物体を指す。この技術の範囲はこれらの例に制限されないが、「インパクター」は、米国特許番号7,335,207に記載の補綴を移植するための器具、米国特許番号8,393,409における物体を打ち付けるための整形外科の嵌入(インパクト)ツール、米国特許番号8,486,084に記載のスラップハンマーの滑りウエイト、および、力を受け入れ得るまたは嵌入(インパクト)事象を生じさせ得る同様の嵌入(インパクト)デバイスを含んでよい。
【0020】
本明細書において用いられる用語「嵌入(インパクト)軸」は、一般に、インパクターの第一の末端から第二の末端へ伸びる中心軸を指す。
【0021】
本明細書において用いられる用語「軸ずれ」は、嵌入(インパクト)軸に対して実質的に平行または実質的に逆平行でない任意の方向を指す。
【0022】
本明細書において「磁石」の使用が開示されて、磁場を生じる任意の材料または物質を指す。
【0023】
本明細書において用いられる用語「第一」、「第二」、「第三」などは、エレメントの連続した順番を必ずしも意味しないが、むしろ、他のコンポーネントと関連する同様のエレメント間の違いを意味し得る。
【0024】
本発明は、骨内の補綴の移植または除去中の、外科的デバイスまたは患者の解剖学的構造に対する軸ずれまたは過剰な嵌入(インパクト)力の伝達を減少させるためのデバイスおよびメカニズムとして有用性がある。本明細書において、適用可能な手順として股関節全置換術(THA)に対して参照されるように、本発明の実施態様は、体内に見られる他の骨または関節に関わる手順に容易に適用され得ることが理解されるべきである。これらの他の関節は、膝関節、肩関節、足首関節、手首関、指関節、つま先関節、または他の関節を例示的に含む。本明細書に記載の実施態様は、目的の物体上に及ぼされる力の量を制御および/または伝達を減少させることが望ましい医療分野以外の産業に適用可能であることも理解されるべきである。
【0025】
本発明の実施態様は、一般に、磁気ガイドアセンブリを提供する。磁気ガイドアセンブリは、THAにおける寛骨臼カップの嵌入(インパクト)中の、ロボットアームに対する軸ずれした嵌入(インパクト)力の伝達を減少させるのに特に有利である。これは、さらに以下に説明されるように磁気界面の使用によって達成される。このデバイスに用いられる戻り止めは、他のメカニズムが用いられてよいことが明らかであるが、磁気的に操作されるように有利に決定されている。
【0026】
特定の実施態様では、ここで図1Aを参照して、インパクターアセンブリ100は、一般に、ガイドアセンブリ200およびインパクター300を備える。ガイドアセンブリ200は、ガイドレセプタクル400およびインパクターガイド500を備える。ガイドレセプタクル400は、インパクターガイド500を受け入れてそれと磁気的に連結して、磁気界面MIを形成するように構成される。インパクターガイド500は、さらに、嵌入(インパクト)中にインパクター300を保持およびガイドするように構成される。
【0027】
インパクター300は、嵌入(インパクト)軸310を有し、ユーザーが、嵌入(インパクト)軸310に沿ってインパクター300を並進させてインパクター300を嵌入(インパクト)軸310に関して回転させることができるように、インパクターガイド500内で動作可能に関連される。特定の実施態様では、インパクター300は、補綴330をそれに着脱可能に取り付けるように構成された補綴取付部材320を備える。補綴330は、THAに関する寛骨臼カップコンポーネントであってよいが、対象の解剖学的構造の一部を交換するための他の補綴も実行可能であることが理解されるべきである。補綴取付部材320は、ネジ式シャフト、非ネジ式シャフト、クランプ、補綴330の一部と関連する対応する形状と嵌合する独特な形状を有する突起、またはそれらの等価物を含む、補綴を着脱可能に取り付けることが可能な任意のメカニズムであってよい。
【0028】
特定の実施態様では、ガイドレセプタクル400は、さらに、コンピューター支援外科的システムと着脱可能に連結するように構成されて、ここで、ガイドアセンブリ200および外科的システムは、嵌入(インパクト)中、計画されたPOSEにインパクター300の動きを制約する(嵌入(インパクト)軸310に沿った並進動作および嵌入(インパクト)軸310に関する回転動作を除く)。例えば、図1Bに関して、磁気インパクターアセンブリ100は、ロボット外科的システムの電気機械的アーム600に連結される。インパクター300を計画されたPOSEにガイドすることが可能なロボット外科的システムの例は、米国特許番号5,086,401、8,498,744および米国特許出願番号20140039681に記載される。しかしながら、本発明の範囲は、図1Bに示される全てのコンポーネントが存在する、または存在する場合は使用されることを必要とせず、範囲はこれらのコンポーネントに制限されないことが理解されるべきである。
【0029】
インパクターアセンブリ100は、一般に以下のように機能する。補綴330の嵌入(インパクト)中、ユーザーは、一連の力をインパクター300の一方の末端に加える。図1Cを参照して、インパクター300上で受ける嵌入(インパクト)力が嵌入(インパクト)軸310(図1Aに示される)から軸ずれである場合、インパクターガイド500は、ガイドレセプタクル400から分離して、磁気界面MIを切り離す。これは、他の方法ではインパクター300を強固に保持、ガイド、および/または制約する外部デバイス(例えば、電気機械的アーム600)に伝達される任意の軸ずれした嵌入(インパクト)力の伝達を、効果的に減少させる。ガイドアセンブリ200のエレメントおよびコンポーネントの特定の実施態様を以下にさらに説明する。
【0030】
図2Aを参照して、ガイドレセプタクル400の特定の実施態様は、ブラケット402、上部支持体404、および少なくとも1つのレセプタクル磁気領域406を備える。特定の実施態様では、ガイドレセプタクル400は、ギャップGによって分離された2つのレセプタクル磁気領域(406a、406b)を備える。しかしながら、本発明の実施態様は、たった1つの磁気領域を備え得て、依然として作動可能かつ有用であることが理解されるべきである。ブラケット402は、上部支持体404に取り付けられて、外科的デバイスまたは器具(電気機械的アーム600を例示的に含む)にガイドレセプタクル400を連結するように構成される。ブラケット402は、留めエレメント(例えば、ネジ、ラッチ、および連結)、接着剤、磁石などを用いて、外科的デバイスにガイドレセプタクル400を連結させ得る。特定の実施態様では、ブラケット403は、同時係属中の米国仮特許出願番号62/433,373に記載の雄ダブテール関節の形態の形状をしている。上部支持体404は、磁気領域(単数または複数)(406a、406b)を支持して、ガイドレセプタクル400のコンポーネントのアセンブリを促進して、および/または、磁気領域(単数または複数)(406a、406b)およびブラケット402の間のリンクを提供する。特定の実施態様では、上部支持体404は、ガイドレセプタクル400の全体重量を減少させるために複数の開口部412を備えてよい。
【0031】
レセプタクル磁気領域(406a、406b)は、インパクターガイド500と関連する1つまたは複数のガイド磁気領域(506a、506b)(図4Aに示される)とレセプタクル磁気領域の磁気連結を促進するための磁場を生じるように構成される。磁場の発生は、いくつかの異なる方法で達成され得る。特定の実施態様では、それぞれの磁気領域(406a、406b、506a、506b)は、磁気材料で完全に作られた単一の固形本体である。他の実施態様では、それぞれの磁気領域(406a、406b、506a、506b)は、少なくとも部分的な固形本体であり、本体の一部のみ、例えば本体の単一の表面または壁が、磁気材料で作られる。一部の実施態様では、それぞれの磁気領域(406a、406b、506a、506b)は、磁気材料によってコーティングされた単一の本体である。別の実施態様では、それぞれの磁気領域(406a、406b、506a、506b)は、コイルを通して電流を流すことによって磁場を誘導および/または制御するように周りが包まれた伝導性コイルを有する磁化可能な材料で作られる。磁場を生じるための他の実施態様は、以下にさらに説明される。
【0032】
図2Aおよび2Bを参照して、ガイドレセプタクル400と関連するコンポーネントの特定の実施態様が示されて、ここで、図2Aは、ガイドレセプタクル400の組み立てられた図であり、図2Bは、ガイドレセプタクル400の分解立体図である。レセプタクル400の上部支持体404は、複数のネジ穴(414、416)、上表面418、および一組の羽根を有する本体408を備え、それぞれの羽は、上表面418から下方に伸びて角度的に離れて、2つの底表面(420a、420b)を形成するように終わる。そこで羽はギャップGによって分離される。ブラケット402は、ネジ穴414を通してネジで留められた第一のセットの締結ネジを用いて上表面418に着脱可能にアセンブルされる。特定の実施態様では、磁気領域(406a、406b)は、ネジ穴416を通してネジで留められた第二のセットの締結ネジを通して上部支持体404の底表面(420a、420b)にアセンブルされる。特定の発明の実施態様では、磁気領域(406a、406b)は、それぞれ、1つまたは複数の磁石(700a、700b)をその中に収容して磁場を生じさせるレセプタクルチャンバー(422a、422b)を備える。レセプタクルチャンバー(422a、422b)は、上部支持体404の底表面(420a、420b)に着脱可能にアセンブルされてよく、磁気引力を調節するように、またはユーザーがレセプタクルチャンバー(422a、422b)内の任意のコンポーネントを消毒するのを可能にするように、ユーザーがレセプタクルチャンバー(422a、422b)の内側の磁石(単数または複数)(700a、700b)を交換するのを可能にする。しかしながら、レセプタクルチャンバー(422a、422b)の内側に収容された1つまたは複数の磁石(700a、700b)をユーザーがいじるのを防ぐために、レセプタクルチャンバー(422a、422b)は、上部支持体404に永久的にアセンブルされてよいことが理解されるべきである。
【0033】
図2Cを参照して、レセプタクルチャンバー422がより詳細に示される。特定の実施態様では、レセプタクルチャンバー(単数または複数)422は、界面壁424、少なくとも2つの側壁426、背壁428、開口部430、底壁432、および前界面壁424上に配置された突出434を備える。一実施態様では、レセプタクルチャンバー(単数または複数)422の開口部430は、1つまたは複数の磁石700を収容する。他の実施態様では、チャンバー422の壁の1つまたは複数、例えば界面壁424は、磁石700が開口部430内に収容される必要性を除去するために磁気材料で作られる。特定の実施態様では、磁気領域(単数または複数)(406a、406b)は、チャンバー(単数または複数)(422a、422b)を備えないが、むしろ、上述の固形または半固形磁気材料で作られる。
【0034】
レセプタクルチャンバー(単数または複数)(422a、422b)の界面壁424上の突出434は、ガイドレセプタクル400およびインパクターガイド500が、軸ずれした嵌入(インパクト)力の後に、互いに関してそれらのオリジナルの位置に自己整列するように、インパクターガイド100と関連する刻み目534(図4Cに示される)と係合する。この自己整列は、軸ずれした嵌入(インパクト)力の後に、ガイドレセプタクル400およびインパクターガイド500が再連結する場合に、インパクター300が計画されたPOSEに再整列するのを確実にさせる。また、突出434および刻み目534は、磁気表面積を増大させて、その結果として、ガイドレセプタクル400とインパクターガイド500との間の磁力を増大させる。
【0035】
特定の実施態様では、図2B、2D、特に図3を参照して、レセプタクルチャンバー(単数または複数)(422a、422b)の開口部430は、蓋(単数または複数)(800a、800b)によって覆われて、レセプタクルチャンバー(単数または複数)(422a、422b)の内側に収容された磁石(単数または複数)(700a、700b)をシールして保護する。蓋800とレセプタクルチャンバー(422a、422b)との間のレーザ溶接のような永久接続は、生物学的流体がチャンバー(422a、422b)に入ることができないように、チャンバー(422a、422b)が漏れないことを確実にする。蓋800は、複数の整列ホール802および少なくとも1つのネジ穴804をさらに備えてよい。レセプタクルチャンバー(単数または複数)(422a、422b)は、したがって、ネジ穴416および804を通してネジで留められた第二のセットの締結ネジを用いてガイドレセプタクル400にアセンブルされる。整列ホール802は、上部支持体404の底表面(420a、420b)から突き出ている整列ピン438をさらに受け入れてよく、チャンバー(422a、422b)を上部支持体404に対してさらに安定化して、チャンバー(422a、422b)がガイドレセプタクル400に対して正しいPOSEにおいて正確にアセンブルされることを確実にする。この精度および安定性、および、インパクターアセンブリ100内にアセンブルされる全てのコンポーネントの精度および安定性は、どのように良好にインパクター300が計画されたPOSE内で整列して補綴330を嵌入(インパクト)するかどうかに直接的に影響を及ぼすので、重要である。特に、寛骨臼におけるカップ補綴の整列は、患者成果および移植片の耐容寿命と直接相関する。
【0036】
図4Aを参照して、磁気インパクターガイド500の特定の実施態様が示される。磁気インパクターガイド500は、フレーム502およびフレーム502の側方にアセンブルされた1つまたは複数のガイド磁気領域506を備えてよい。特定の実施態様では、インパクターガイド500は、ガイドレセプタクル400のレセプタクル磁気領域(406a、406b)と相補的であるように、間隔が離れた2つのガイド磁気領域(506a、506b)を備える。上述のように、1つまたは複数のガイド磁気領域(506a、506b)は、1つまたは複数のレセプタクル磁気領域(406a、406b)と磁気的に連結して、磁気界面MIを形成する。フレーム502は、その中にインパクター300を支持およびガイドするための開口部504を備える。開口部504は、インパクター300が嵌入(インパクト)軸310に沿って並進して嵌入(インパクト)軸310に関して回転するのを可能にして、一方で、残りの自由度の全てにおける動きを制約する。特定の実施態様では、フレーム502は、突起512をさらに備えてよい。突起512は、フレーム502の形状の一部またはそれに加えられたコンポーネントであってよい。突起512は、突起512が2つのレセプタクル磁気領域(406a、406b)間にフィットし得るように、ガイドレセプタクル400のギャップGの距離と等しいまたはそれ未満の幅(一定または可変)を有してよい。したがって、突起512は、2つが磁気的に連結された場合にガイドレセプタクル400とインパクターガイド500をさらに安定化して整列し得る。
【0037】
図4Bを参照して、インパクターガイド500と関連するコンポーネントの特定の実施態様を分解立体図で示す。フレーム502は、第一のチャネル512を有する第一の部分508、および逆チャネル514を有する第二の部分510を備えてよく、アセンブルして開口部504を形成する。特定の実施態様では、ユーザーまたは製造の専門家は、第一の部分508を第二の部分510から分離し得て、外科的手順の前にインパクター300をインパクターガイド500にインストールする。他の実施態様では、インパクター300は、インパクターガイド500に事前にアセンブルされて、多数の手順における使用のために単一ユニットとして除菌可能である。少なくとも1つの例示的な実施態様が前述の詳細な説明に提供されているが、インパクターガイド500が、異なる形状およびサイズを有する膨大な数のインパクターを収容することができることが理解されるべきである。
【0038】
図5を参照して、インパクターガイド500は、フレーム502の開口部504の内側に置かれた軸受スリーブ900を備えてよい。軸受スリーブ900は、第一部902および第二部904をさらに有し、一緒に接合して軸受開口部906を形成する。軸受開口部906は、インパクター300を収容し得る。特定の実施態様では、軸受スリーブ900は、インパクターガイド500の内側のインパクター300の回転および並進のために滑らかな表面を提供する。軸受スリーブ900は、複数の玉軸受をさらに備えてよい。軸受スリーブ900は、任意の形状、サイズまたは材料であってよいことが理解されるべきである。また、本発明の範囲は、軸受スリーブの使用が存在、または存在する場合は使用される必要はなく、範囲はこれらのコンポーネントに制限もされない。
【0039】
特定の実施態様では、図4Bに戻って参照して、ガイド磁気領域(506a、506b)は、1つまたは複数の磁石(700a、700b)をその中に収容して磁場を発生させるガイドチャンバー(522a、522b)を備える。ガイドチャンバー(522a、522b)は、レセプタクルチャンバー(422a、422b)と磁気的に連結して、磁気界面MIを形成する。ガイドチャンバー(522a、522b)は、ネジのような留めエレメントを介してフレーム502に着脱可能または永久のいずれかで直接的にアセンブルされてよい。
【0040】
特定の実施態様では、図4Cを参照して、ガイドチャンバー(単数または複数)(522a、522b)は、背界面壁524、前壁526、上壁528、底壁530、開口部532、および背界面壁524の表面上の刻み目534を備える。開口部532は、ガイドレセプタクル400と関連するレセプタクルチャンバー(422a、422b)と同様に磁石700を収容し得る。他の実施態様では、背界面壁524は、磁気材料で作られてよく、磁石が開口部532内に収容される必要性を緩和する。別の実施態様では、ガイド磁気領域(506a、506b)は、ガイドチャンバー(522a、522b)を備えないが、その代わりに、少なくとも部分的に固形または半固形磁気材料で作られる。
【0041】
ガイドチャンバー(522a、522b)の開口部532は、ガイドレセプタクル400の上部支持体404に対する蓋800のアセンブリおよびレセプタクルチャンバー422に関して上述したのと同様の様式で、蓋(800a、800b)によってフレーム502に対してさらに覆われてアセンブルされてよい。
【0042】
ガイドチャンバー(522a、522b)と関連する刻み目534は、軸ずれした嵌入(インパクト)力の後にインパクターガイド500およびガイドレセプタクル400が再連結するときに、レセプタクルチャンバー(422a、422b)の突出(434a、434b)と係合して、インパクターガイド500およびガイドレセプタクル400をそれらのオリジナルの位置で自己整列させる。特定の実施態様では、刻み目534および突出434は、再連結中に刻み目534および突出434が互いの中に簡単にスライドするように半球形の形状である。しかしながら、刻み目534および突出434は、任意の形状またはサイズであってよいことが理解されるべきである。特定の実施態様では、さらなる刻み目534および突出434が、背界面壁534および前界面壁424にそれぞれ加えられて、整列の精度ならびに接触表面積を増大させて、磁気引力を増大させる。
【0043】
この特定の実施態様は、この設計に制限されないが、ガイド磁気領域(506a、506b)の前方外側表面は、レセプタクル磁気領域(406a、406b)の異なった形状の前方外側表面を有する。例えば、ガイドチャンバー(522a、522b)の前壁(526a、526b)は、曲がった外側表面を有してよく、レセプタクルチャンバー(422a、422b)の前界面壁(424a、424b)は、平らな外側表面を有してよい。したがって、ユーザーは、ガイドチャンバー(522a、522b)の曲がった前壁(526a、526b)をレセプタクルチャンバー(422a、422b)の平らな前界面壁424に不注意に連結し得ない。これは、磁石700の形状が対称でない場合に、および/または、ガイドチャンバー522およびレセプタクルチャンバー422と関連する磁石700が、さらに以下に説明されるように特定の構成で整列する必要がある場合に、重要である。
【0044】
図6を参照して、磁石700の特定の実施態様が示される。磁石(700a、700b)は、レセプタクルチャンバー(422a、422b)およびガイドチャンバー(522a、522b)内に収容されるように適合されて、磁気引力を生じて磁気界面MIを形成する。磁石700は、一般に、北極、南極、界面壁702、少なくとも2つの側壁704、および背壁706を備える。特定の実施態様では、磁石700の背壁706は、磁石700が磁石700の長さに沿って厚さが変化するように部分的に先細である。したがって、磁石700は、磁石700の厚さに依存した磁力の勾配を有する。
【0045】
特定の実施態様では、図7を参照して、第一の磁石700bは、インパクターガイド500のガイドチャンバー522b内に収容されて、ここで、第一の磁石700bの界面壁702bは、ガイドチャンバー522bの内側の背界面壁524に隣接して配置される。第二の磁石700b’は、ガイドレセプタクル400のレセプタクルチャンバー422b内に収容されて、ここで、第二の磁石700b’の界面壁702b’は、レセプタクルチャンバー422bの内側の前界面壁424に隣接して配置される。磁石(700b、700b’)の界面壁(702b、702b’)は、逆の極性を有し、インパクターガイド500をガイドレセプタクル400へ引き寄せて、磁気界面MIを形成する。レセプタクルチャンバー422bおよびガイドチャンバー522bは、刻み目534と一致する突出434によって互いに自己整列する。
【0046】
特定の実施態様では、第一の磁石700bおよび第二の磁石700b’は、第一の磁石700bが第二の磁石700b’をミラーする(mirror)ようにチャンバー(422b、522b)内に収容される。この配列において、第一の磁石700bの界面壁702bは、第二の磁石700bの界面壁702b’と逆の極性を有して、それらの間に引力を作り出す。加えて、第一の磁石700bの第一の背壁706bが先細であることは、図7に示されるように、第二の磁石700b’の第二の背壁706b’が先細であることをミラーする。磁石(700b、700b’)の厚さが先細によって変化するので、これは2つの磁石(700b、700b’)の間に引力の勾配を作り出し、ここで、最も大きな厚さ、したがって、最も大きな磁気吸引は、連結チャンバー(422b、522b)の底壁(432、530)付近である。これは特に、連結の理由のために有利である。1つには、図8を参照して、患者の解剖学的構造、例えば患者の骨盤Pは、典型的に、インパクター300の下にある手術台1000の上に置かれる。インパクター300は、したがって、寛骨臼Aに、上から、通常は図8に示されるような角度で近づく。インパクター300は、インパクター300上に大きな下方力Fを生じるハンドル340を備えてよく、ここでガイドアセンブリ200は、支点として作用する。下方力Fに逆らうために、連結チャンバー(422b、522b)の底壁(432、530)付近で最も大きな引力を有することが有利である。しかしながら、2つの磁石(700b、700b’)の間の引力が大きすぎる場合は、その結果、インパクターガイド500は、特定の大きさの軸ずれした嵌入(インパクト)力の後にガイドレセプタクル400から分離しない。したがって、インパクター300を、計画されたPOSEにおいて十分に保持およびガイドすることのできる引力を有するバランス作用が存在し、一方で依然として、特定の大きさの軸ずれした嵌入(インパクト)力が生じた場合に、インパクター300が電気機械的アーム600のような外科的デバイスから分離するのを可能にする。先細による磁石(700b、700b’)の厚さの変化は、これらの引力を制御する/バランスをとるための、1つのそのような方法である。引力を制御するための他の実施態様は、2以上の磁石を接合/分離すること、より高いまたはより低い磁場を有する磁石の1つまたは複数を交換すること、および/または、磁化可能な材料の周りを流れる電流を変更することによって特定の強度に磁場を誘導することを含む。
【0047】
加えて、特定の実施態様では、磁気引力は、軸ずれした嵌入(インパクト)力が生じた場合にインパクターガイド500およびガイドレセプタクル400が実際に分離するように選択されるが、ガイド500およびレセプタクル400を直ちに一緒にスナップし直すくらい十分に強い。したがって、ユーザーは、ガイドアセンブリ200を絶えず再アセンブルする必要はないが、むしろ、アセンブリ200は、引力によって直ちに再アセンブルされて、突出434および刻み目534を介して自己整列する。
【0048】
図9を参照して、インパクターアセンブリ100の底面図が示される。特定の実施態様では、インパクターガイド500が2つのガイド磁気領域(506a、506)を備え、ガイドレセプタクル400が2つのレセプタクル磁気領域(406a、406b)を備える場合、インパクターガイド500が、ガイドレセプタクル400に、逆にアセンブルされ得る可能性が存在する。加えて、磁気領域(406a、406b、506a、506b)が、特定の構成(例えば、図7に示されるように磁石(700b、700b’)のミラーイング(mirroring))で整列する必要のある磁石700を収容するチャンバー(422a、422b、522a、522b)を備える場合、その結果、ガイドレセプタクル400に、インパクターガイド500を逆にアセンブルすることは、2つの磁石(400a、400b)の間で逆整列構成を作り出す。例えば、図7を参照して、インパクターガイド500が、ガイドレセプタクル400に逆にアセンブルされた場合、ガイドチャンバー522aは、レセプタクルチャンバー422bと整列して、その結果、磁石はもはや互いにミラーしない。むしろ、第一の磁石700bの最も厚い部分は、第二の磁石700b’の最も薄い部分と整列して引き寄せる。
【0049】
この問題を緩和するために、ガイドアセンブリ200の第一のサイド上に配置された磁気領域(406a、506a)の間の極性配置は、ガイドアセンブリ200の第二のサイド上に配置された磁気領域(406b、506b)の間の極性配置と逆である。これは図9に示されて、ここで、「N」は、磁気界面MIに最も近い北向きの極性を表わし、「S」は、磁気界面MIに最も近い南向きの極性を表わす。したがって、もしユーザーがガイドレセプタクル400にインパクターガイド500を逆にアセンブルしようとしたら、「S」ガイド磁気領域506bは、「S」レセプタクル磁気領域406aに反発する。
【0050】
少なくとも1つの例示的な実施態様が前述の詳細な説明において示されたが、磁石700は、任意の公知の永久磁石、一時磁石または電磁石であってよいが、好ましくは永久磁石であることが理解されるべきである。例えば、永久磁石は、ネオジム鉄ボロン(NdFeBまたはNIB)、サマリウムコバルト(SmCo)、アルニコおよびセラミックまたはフェライトを含んでよい。特定の実施態様では、磁石700は、永久磁石であり、より特に、ネオジム鉄ボロン(NdFeB)磁石である(その高い強度に起因する)。また、磁石700の実施態様は、任意の形状またはサイズであってよい。例えば、磁石700の実施態様は、丸い棒、長方形の棒、蹄鉄、輪またはドーナッツ、円板、長方形、マルチフィンガーリング、ペンキ、粉末または鋳型に作られ得る。磁石700は磁化されてもよく、陰および陽極は、磁石の使用および構成に基づく。加えて、特定の材料の磁化は、当業者に公知の任意の方法によってなされ得る。
【0051】
スラップ-ハンマー
骨から補綴を取り除く間の力の量を制御するために、磁気に適合した界面を有する本発明のスラップハンマーの実施態様が図10に示される。スラップハンマー1100は、インパクターガイド1102、ガイドレセプタクル1104およびインパクター1106を備える。インパクターガイド1102は、第一の末端、第二の末端、および、第一の末端と第二の末端との間の磁気シャフト部分を有するシャフトを備える。第一の末端は、補綴330をそこにアセンブルするための取付機構を備えてよい。第二の末端は、ハンドル1104を備えてよい。インパクター1106は、嵌入(インパクト)軸1110の方向でシャフトの長さに沿ってスライド可能なウエイトである。ガイドレセプタクル1104は、インパクター1106からの力を受ける嵌入(インパクト)表面およびシャフトの一部と接触する磁気表面を有するプレートまたは他の本体であってよい。ガイドレセプタクルの磁気表面は、磁気シャフト部分と磁気的に連結して、磁気界面MIを形成する。磁気表面と磁気シャフト部分との間の磁気引力は、インパクター1106が特定の量の力をガイドレセプタクル1104上に加えた場合に、ガイドレセプタクル1104が磁気界面MIから切り離して、患者からの補綴330の除去中の患者に対する過剰な力の伝達を減少させるように、選択され得る(すなわち、力の閾値量)。力の閾値量は、患者の害が生じる前に磁気界面MIを切り離すように選択され得る。
【0052】
他の実施態様
少なくとも1つの例示的な実施態様が前述の詳細な説明に提示されているが、膨大な数のバリエーションが存在することが理解されるべきである。また、例示的な実施態様(単数または複数)は単に例示であって、いかなる方法においても、記載される実施態様の範囲、適用性、または構成を制限することを意図しないことも理解されるべきである。むしろ、前述の詳細な説明は、例示的な実施態様(単数または複数)を実施するための便利なロードマップを当業者に与える。添付の特許請求の範囲に記載の範囲およびその法的等価物を逸脱せずに、エレメントの機能および配列に様々な変更がなされ得ることが理解されるべきである。

図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8
図9
図10