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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-21
(45)【発行日】2023-09-29
(54)【発明の名称】冷凍装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 49/00 20060101AFI20230922BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
F25B49/00 Z
F25B1/00 D
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022146727
(22)【出願日】2022-09-15
【審査請求日】2022-09-15
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】316011466
【氏名又は名称】日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000420
【氏名又は名称】弁理士法人MIP
(72)【発明者】
【氏名】西尻 直樹
(72)【発明者】
【氏名】井澤 宏昌
(72)【発明者】
【氏名】小堀 大河
(72)【発明者】
【氏名】小松 満
【審査官】森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-008284(JP,A)
【文献】実開昭60-146270(JP,U)
【文献】特開2001-088190(JP,A)
【文献】特開2008-301690(JP,A)
【文献】中国特許第112264816(CN,B)
【文献】特開2017-044465(JP,A)
【文献】国際公開第2019/171532(WO,A1)
【文献】特開2005-249246(JP,A)
【文献】実開昭54-078361(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 49/00
F25B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を圧縮する圧縮機と、
圧縮された前記冷媒を凝縮させる凝縮器と、
凝縮した前記冷媒を膨張させる膨張弁と、
膨張した前記冷媒を蒸発させる蒸発器と、
回路基板を収納し、自立可能な構造とされた制御部と
を含み、
前記圧縮機と前記凝縮器と前記膨張弁と前記蒸発器とが1つの筐体内に収納され、
前記筐体と前記制御部とが分離可能とされ、
前記制御部は、前記筐体を設置した後のスペースに応じて、設置環境の床もしくは壁または前記筐体の外側面のうちの、冷凍装置と接続される設備側に向いた1つの側面を除く残りの3つの側面のうちの1つ隣接させて固定され、前記筐体もしくは前記設置環境の壁に固定するための第1の固定部と前記設置環境の床に固定するための第2の固定部とを有し、
前記筐体は、前記残りの3つの側面のうちの1つである正面に前記制御部を固定するための第3の固定部と正面に連続し、該正面に対して左右に位置する左右側面に該制御部を固定するための第4の固定部とを有する、冷凍装置。
【請求項2】
前記筐体を他の筐体と隣り合わせで設置する場合、前記設備側に向いた1つの側面と前記他の筐体側に向いた側面とを除いた残りの側面のうちの1つに前記制御部が固定される、請求項1に記載の冷凍装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍装置に関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍装置は、食品を冷蔵・冷凍し、製氷し、室内を冷却する等のために使用される。冷凍装置は、圧縮、凝縮、膨張、蒸発を繰り返しながら循環する冷媒により、直接的もしくは間接的に食品の冷蔵や室内の冷却等を行う。このため、冷凍装置は、圧縮機と、凝縮器と、膨張弁と、蒸発器と、圧縮機や膨張弁等を制御する制御部とを含んで構成されている。(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-204258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
市場に存在する既設の冷凍装置は、定期的にメンテナンス等が実施されるが、冷凍装置を構成する圧縮機等の構成機器には、耐用年数があることから、その耐用年数ごとに更新時期を迎えることになる。既設の冷凍装置を更新するにあたり、入替性に優れた製品が求められている。
【0005】
しかしながら、従来の上記冷凍装置は、構成機器や配管が露出した構造で、その外形が複雑であり、しかも、制御部の取付位置に制限があるため、冷凍装置の更新にあたって入れ替えるのが容易ではないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題に鑑み、冷媒を圧縮する圧縮機と、
圧縮された冷媒を凝縮させる凝縮器と、
凝縮した冷媒を膨張させる膨張弁と、
膨張した冷媒を蒸発させる蒸発器と、
回路基板を収納した制御部と
を含み、
圧縮機と凝縮器と膨張弁と蒸発器とが1つの筐体内に収納され、
筐体と制御部とが分離可能とされ、
制御部は、設置環境または筐体に固定可能である、冷凍装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、様々な設備環境に合わせられる入替性に優れた冷凍装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】冷凍装置の構成例を示した図。
図2】冷凍装置の冷媒回路について説明する図。
図3】筐体としてのカバーがない場合の冷凍装置の構成機器と制御部とを連結する様子を例示した図。
図4】冷凍装置の構成機器と制御部とを連結する部分を拡大して示した図。
図5】筐体としてのカバーを取り付け、冷凍装置の構成機器をカバー内に収納した後に構成機器と制御部とを連結した様子を例示した図。
図6】単独での冷凍装置の設置パターンを例示した図。
図7】複数台での冷凍装置の第1の設置パターンを例示した図。
図8】複数台での冷凍装置の第2の設置パターンを例示した図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、冷凍装置の構成例を示した図である。冷凍装置10は、冷媒が圧縮、凝縮、膨張、蒸発を繰り返すことにより気液の相転移を繰り返し、蒸発の際に、冷媒が熱を吸収して対象を冷却する装置である。冷却する対象は、食品、水、室内の空気等である。食品等は、冷凍装置10により直接冷却してもよいし、冷凍装置10により空気や水等を冷却し、所定の設備へ供給して、当該所定の設備において冷却された空気や水等を使用し、間接的に食品等を冷却してもよい。所定の設備は、例えば、冷蔵・冷凍用の倉庫、工場やデータセンター内の空気調和装置、冷却を要する加工機等の製造装置等である。
【0010】
冷凍装置10は、冷媒を循環するとともに冷媒を圧縮する圧縮機11と、圧縮された冷媒を外部の空気や冷水塔から供給される冷却水等と熱交換して凝縮させる凝縮器12と、凝縮された冷媒を膨張させる膨張弁13と、膨張された冷媒を、冷却する対象と熱交換して蒸発させる蒸発器14とを備える。また、冷凍装置10は、回路基板を収納し、圧縮機11や膨張弁13等を制御する制御部15を備える。
【0011】
冷媒は、ハイドロフルオロカーボン(HFC)やハイドロフルオロオレフィン(HFO)等を使用することができる。HFCの種類としては、R-410A、R-32、R-134a等を挙げることができ、HFOの種類としては、R-1234yf等を挙げることができる。これらの冷媒は、塩素原子を有しないため、オゾン層破壊について一定の抑止効果を有している。
【0012】
圧縮機11は、レシプロ圧縮機やスクリュー圧縮機等であり、電動機を備える。レシプロ圧縮機では、電動機の回転により、ピストンを往復動させることができる。スクリュー圧縮機では、電動機の回転により、スクリューを回転駆動させることができる。冷凍装置10は、圧縮機11が備える電動機の回転数を、電源の周波数を変えることにより連続的に変化させることを可能にするインバーターユニットを備えることができる。制御部15は、周波数を決定し、制御信号としてインバーターユニットへ出力して、電動機の回転数を制御することができる。
【0013】
凝縮器12は、空冷式、水冷式、蒸発式のいずれの方式であってもよい。空冷式は、冷媒を空気で冷却し、凝縮させる方式で、複数の冷却管(コイル)内に冷媒を通し、複数のコイルの外側に空気が流れるようにして、冷媒と空気とを熱交換する。空気は、複数のコイルの長手方向に対して垂直方向へ流れる。空気は、自然に流通させてもよいし(自然対流式)、ファンにより強制的に流通させてもよい(強制通風式)。
【0014】
水冷式は、例えばシェルアンドチューブ凝縮器等であり、鋼製の円筒内に複数のコイルを備え、複数のコイル内に冷却水を通し、コイルの外側に冷媒を流すことにより、冷媒と冷却水とを熱交換する。
【0015】
蒸発式は、空冷と水冷を兼ね備えた凝縮器で、コイル内に冷媒を通し、コイルの上部から冷却水を散水し、下部からファンにより送風し、風がコイルの表面を通過する際、水の蒸発潜熱により、コイル内の冷媒を冷却する。
【0016】
なお、凝縮器12において冷媒を凝縮させることができれば、空気や冷却水以外の流体を用いてもよい。
【0017】
膨張弁13は、冷媒を膨張させるとともに冷媒の流量を調整する。
【0018】
蒸発器14は、複数のコイルを備え、コイル内に冷媒を通し、コイルの外側に冷却する対象を流通させて、当該冷却する対象から熱を奪い、冷媒を蒸発させる。蒸発器14は、プレート形であってもよいし、プレートフィン形であってもよいし、シェルアンドチューブ形であってもよい。
【0019】
制御部15は、回路基板を収納し、圧縮機11を駆動する電動機の回転数や膨張弁13の開度を制御する。冷凍装置10は、圧縮機11の吐出圧を検知するセンサ、圧縮機11の吐出温度を検知するセンサ、冷却する対象の温度を検知するセンサ、凝縮器12の出口温度を検知するセンサ、蒸発器14の入口温度を検知するセンサ、蒸発器14の出口温度を検知するセンサ等の各種のセンサを備える。制御部15は、各種のセンサにより検知した情報に基づき、電動機の回転数や膨張弁13の開度等を制御する。制御部15は、回路基板にプロセッサとメモリを少なくとも備え、上記の制御を実現する。また、制御部15は、運転を開始し、運転を停止させるボタンや、運転中や異常を示すランプ等を備えることができる。制御部15は、回路基板を筐体内に収納し、筐体に上記のボタンやランプ等を設けることができる。
【0020】
次に、図2を参照して、冷凍装置10の冷媒回路について説明する。冷凍装置10は、制御部15による制御により、矢印に示すように、圧縮機11、凝縮器12、膨張弁13、蒸発器14、圧縮機11の順で、系内に封入された冷媒を循環させる。ここでは、凝縮器12に設備側から冷却水を供給し、冷媒の凝縮に使用した後の冷却水を再び設備側へ戻し、設備側で使用された冷水を蒸発器14に供給し、冷媒の蒸発に使用した後の冷水を再び設備側へ戻すものとして説明する。
【0021】
圧縮機11は、低温低圧のガス状態の冷媒(冷媒ガス)を圧縮し、高温高圧の冷媒ガスとして吐出する。凝縮器12は、冷媒と冷却水との熱交換を行い、冷媒ガスを冷却して凝縮させる。冷却水は、凝縮器12において冷媒から熱を奪い、温度が上昇し、設備側へ戻される。膨張弁13は、冷媒を減圧する。この減圧の際、冷媒の一部が気化していてもよい。膨張弁13は、適切な流量になるように制御部15により開度が調整される。
【0022】
蒸発器14は、冷媒と冷水との間で熱交換を行う。凝縮した液体の冷媒は、蒸発器14において冷水から熱を奪って全て気化し、冷媒ガスとして排出される。これにより、冷水は、温度が低下し、設備側へ戻される。排出された冷媒ガスは、低圧低温のガスであり、圧縮機11へ戻される。冷媒回路では、これらの各動作が、冷凍装置10の運転を停止するまで繰り返される。
【0023】
ところで、制御部15は、内部の精密機器である回路基板等が損傷等しないようにカバー等の筐体により保護される。圧縮機11、凝縮器12、膨張弁13、蒸発器14等の冷凍装置10本体の構成機器は、それぞれ最適な位置に配置される。冷凍装置10本体の構成機器が露出した構造であり、その外形が複雑である場合、奥ばった箇所や突出した箇所等が存在し、制御部15は、このような箇所には取り付けることができず、制御部15の取付位置は、特定の位置に制限される。
【0024】
冷凍装置10の更新時期を迎え、冷凍装置10を更新する場合、既設の冷凍装置と全く同じ装置でない限り、各構成機器の形状、大きさ、配置や、配管の取り回しや、制御部15の取付位置等が変わる。新規に設置もしくは前回の更新から数十年経過した冷凍装置10は、一般的に、モデルチェンジ等により各構成機器の形状等が変わっている。すると、冷凍装置10全体の高さや幅等が異なり、設置しにくくなったり、制御部15が備えるボタンやランプ等の向きを操作しやすく、見やすくするために、冷凍装置10全体の向きを変える等、既設の冷凍装置から新しい冷凍装置へ入れ替える作業が容易ではないという問題が生じる。
【0025】
この問題は、冷凍装置10本体の構成機器が露出した構造で、その外形が複雑であり、制御部15の取付位置に制限があること、制御部が本体に固定されていること等により生じる。
【0026】
そこで、冷凍装置10を次のように構成して、上記問題を解決する。具体的には、図3に示すように、本体から制御部15を分離可能な構成とする。図3(a)、(b)は、冷凍装置10の見る方向を変えた斜視図である。本体は、H形鋼、I形鋼、溝形鋼等の形鋼を使用して形成された支持台16を有する。
【0027】
支持台16上には、凝縮器12と蒸発器14が短手方向に並んで設置され、凝縮器12上には、支持部17を介して圧縮機11が設置されている。圧縮機11の側方には、凝縮した冷媒を受ける受液器18が設置されている。圧縮機11、凝縮器12、膨張弁13、蒸発器14、受液器18は、それぞれ配管19により接続されている。
【0028】
制御部15は、形鋼を支持台20として使用し、支持台20上に支持脚21を介して筐体内に回路基板等を収納した制御盤22が設置された構成とされている。制御盤22は、筐体の一部に開口部が設けられ、開口部に各種ボタンやランプ等が配置され、作業員の操作および視認を可能にしている。なお、制御盤22内には、上記のインバーターユニットが収納されていてもよい。
【0029】
制御盤22の各種ボタンやランプ等が配置される正面に対してその裏側となる背面に、接続端子23が設けられ、制御用配線24により、圧縮機11や膨張弁13と電気的に接続される。なお、本体は、支持部17等に接続端子を設け、この接続端子に制御用配線24を接続する構成であってもよい。
【0030】
制御盤22の頂部には、電源接続口25が設けられ、電源設備へ電源ケーブルを使用して接続される。制御盤22は、電源設備から電力の供給を受けて動作し、制御用配線24を介して制御信号を出力して、圧縮機11が備える電動機を起動させ、電動機の回転数や膨張弁13の開度を制御する。
【0031】
凝縮器12の一端には、2つのノズル26、27が設けられ、設備側から冷却水を受け入れ、設備側へ戻す。蒸発器14の一端にも、2つのノズル28、29が設けられ、設備側から冷水を受け入れ、設備側へ戻す。なお、凝縮器12において冷媒の凝縮に使用する流体は、冷却水に限定されるものではなく、空気であってもよいし、その他のガスや液体であってもよい。また、蒸発器14において冷却する対象は、冷水に限定されるものではなく、空気であってもよいし、その他のガスや液体であってもよい。
【0032】
図4は、支持台16および支持台20を拡大して示した図である。支持台16および支持台20を構成する形鋼、例えば溝形鋼(チャンネル)は、断面がコの字形の形鋼で、「コ」の横2本の部分をフランジと呼び、縦1本の部分をウェブと呼ぶ。支持台16および支持台20は、床に隣接する一方のフランジに、床と固定する穴30、31が設けられ、それぞれのウェブに、互いを連結して固定する複数の穴32、33が設けられる。
【0033】
図4に示す例では、支持台20のウェブが、支持脚21の幅より広く、本体側へと延びている。支持台20のウェブの本体側に延びた部分に4つの穴33が設けられている。このため、支持台20のウェブの延びた部分を、支持台16のウェブに隣接させるように溝形鋼のコの字内に挿入し、支持台16の4つの穴32の各々の位置と、支持台20の4つの穴33の各々の位置とを一致させ、重なった穴32と穴33に締結手段としてのボルトを通し、ナットで締めることにより、本体に制御部15を固定することができる。また、ナットを緩め、ボルトを取り外すことで、本体から制御部15を分離させることができる。
【0034】
制御部15の支持台20も、床と固定する穴31を有することから、ボルト等の締結手段を使用して制御部15を自立させて設置することができる。
【0035】
図5は、本体および制御部15の支持脚21の部分をカバーで覆い、互いを連結したところを示した図である。図5も、図3と同様、2方向から見た図を示し、図5(a)が、制御部15側から見た斜視図であり、図5(b)が、本体側から見た斜視図である。図5では、図5(c)に、本体の上部のカバーを取り外し、上部から本体内部を見た図も示している。
【0036】
制御部15は、制御盤22の正面と背面とに連続する2枚のカバーが設けられ、支持脚21の部分を覆っている。本体は、支持台16がある底を除き、側方の4面と上部の1面の計5面を、鉄、ステンレス、アルミニウム等の金属製の複数の平板からなるカバーで覆い、筐体34を形成している。
【0037】
したがって、本体も、制御部15も、単純な略直方体の形状であり、制御部15は、図5(a)、(b)に示すような、本体の長手方向の一方の面である正面だけに限らず、正面の両側にある左右の側面にも取り付けることが可能になる。本体の筐体34の左右の側面には、制御部15を固定するための穴が設けられ、ボルトおよびナット等の締結手段を使用して、左右のいずれかの側面にも制御部15を固定することができる。
【0038】
本体の筐体34の左右の側面に設けられる、制御部15を固定するための穴は、左右の側面の中央位置が望ましいが、これに限られるものではない。また、制御部15を固定するための穴の数は、本体に制御部15を固定することができれば、いかなる数であってもよい。
【0039】
カバーを取り付け、筐体34内に本体の構成機器を収納すると、図5(c)に示すような本体の構成機器全体を取り囲んだ状態となる。制御部15が固定される本体の正面の裏側となる背面には、凝縮器12および蒸発器14に設けられるノズル26~29が挿通する穴が設けられ、ノズル26、27が露出し、ノズル28、29が背面を構成するカバーから突出している。ノズル26とノズル27には、設備側から冷却水を供給する配管と設備側へ冷却水を戻す配管が接続される。ノズル28とノズル29には、設備側で使用された冷水を受け入れる配管と設備側へ冷水を供給する配管が接続される。
【0040】
図6は、単独での冷凍装置10の設置パターンを例示した図である。単独での冷凍装置10の設置とは、冷凍装置10を1台だけ単独で設置する場合のことである。なお、図6に示す例では、4台の冷凍装置10が一定の間隔で離間して設置されたイメージとなっているが、これらは異なる設置パターンを例示するものであり、実際には、設備に対して1台のみが設置されるものとして参照されたい。
【0041】
冷凍装置10は、冷凍装置10により冷却された冷水を使用する設備と配管を介して接続される。図6に示す例では、設備がある側を設備側とし、配管を介して冷凍装置10と接続される。冷凍装置10の本体は、構成機器が筐体内に収納された筐体部40として参照される。図6に示す冷凍装置10の設置環境は、設備側から配管が延びており、筐体部40の背面がその配管が延びる設備側に対向するような配置として、筐体部40の配置が決定される。筐体部40は、一例として、設備側と冷凍装置10を最短の距離で接続する配置として決定することができる。
【0042】
筐体部40も、制御部15も、略直方体の形状であり、この設置環境では、筐体部40の正面と、その正面側から見て両方の側とに、制御部15を設置可能なスペースが存在する。このため、筐体部40の正面か、もしくは筐体部40のいずれかの側面に隣接した配置として制御部15の配置が決定される。制御部15は、設置可能なスペースが存在すれば、正面、もしくはいずれかの側面のどの面に隣接した配置として決定してもよい。制御部15は、決定された配置を基に、締結手段を使用して、筐体部40の正面もしくは側面に固定することができる。
【0043】
図6に示す例では、筐体部40の正面、筐体部40の正面側から見て右側面、筐体部40の正面側から見て左側面に隣接させて制御部15を、締結手段を使用して固定している。筐体部40に近隣した位置に壁等の構造物が存在する設置環境である場合、壁等の構造物の近隣した位置に自立するような配置として制御部15の配置を決定し、締結手段を使用して制御部15をその設置環境の床に固定することができる。なお、筐体部40に近隣した位置に構造物が存在する場合、構造物自体に取り付ける配置として制御部15の配置を決定し、その設置環境の構造物自体に締結手段を使用して固定してもよい。このように筐体部40から離れた場所に制御部15を設置する場合、所望の長さの制御用配線24を使用して互いを接続することにより、制御部15が筐体部40内の圧縮機11や膨張弁13を制御することができる。
【0044】
図7は、複数台での冷凍装置10の第1の設置パターンを例示した図である。冷凍装置10は、1台に限らず、2台以上設置してもよい。図7では、2台の冷凍装置10を隣り合わせで設置した場合の例を示している。図7に示す例も、2台の冷凍装置10を1組とし、3組が一定の間隔で離間して設置されたイメージとなっているが、これらは異なる設置パターンを例示するものであり、実際には、設備に対して1組のみが設置されるものとして参照されたい。
【0045】
冷凍装置10を隣り合わせで2台設置する場合、設備側との配管の取り合いを考慮し、筐体部40は、2台とも背面を設備側に向けた配置として筐体部40の配置を決定し、2つの筐体部40が設置される。筐体部40の正面側から見て、右側の筐体部40の左側面と、左側の筐体部40の右側面とは隣接もしくは近隣して設置されるため、2つの筐体部40の正面側か、右側の筐体部40については右側面側、左側の筐体部40については左側面側にしかスペースが存在しない。そこで、図7に示すように、2つの筐体部40の各正面に各制御部15が隣接した配置として各制御部15の配置を決定し、2つの筐体部40の各正面に締結手段を使用して各制御部15を固定することができる。また、右側の筐体部40については右側面、左側の筐体部40については左側面に各制御部15が隣接した配置として各制御部15の配置を決定し、2つの筐体部40の各側面に締結手段を使用して各制御部15を固定することができる。
【0046】
なお、2つの筐体部40の一方については正面に、他方についてはスペースのある右側面もしくは左側面に各制御部15が隣接した配置として各制御部15の配置を決定し、一方の正面および他方の側面に締結手段を使用して各制御部15を固定してもよい。
【0047】
2つの筐体部40を設置した位置に近隣して壁等の構造物が存在する場合、その構造物に近隣した位置に2つの制御部15を並べ、自立するような配置として各制御部15の配置を決定し、締結手段を使用して床に固定してもよいし、その構造物自体に取り付ける配置として各制御部15の配置を決定し、その構造物に締結手段を使用して2つの制御部15を並べ、締結手段を使用して固定してもよい。また、制御部15の1つを、2つの筐体部40のいずれかの正面またはスペースのある右側面もしくは左側面に、制御部15のもう1つを、構造物に近隣した位置の床もしくは構造物自体に取り付ける配置として各制御部15の配置を決定し、その配置を基に、締結手段を使用して各制御部15を各面に固定してもよい。
【0048】
図8は、冷凍装置10が複数台の場合の制御部15の第2の設置パターンを例示した図である。図8では、3台の冷凍装置10を隣り合わせで設置し、これら3台から離れた位置に1台の冷凍装置10を設置したものを1組とし、それが対向する形で2組設置された例を示している。いずれの冷凍装置10も、設備側との配管の取り合いを考慮し、背面が設備側に対向した配置として各筐体部40の配置が決定され、各筐体部40が設置される。3つ隣り合わせで配置される筐体部40に対しては、各筐体部40の正面に隣接した配置として各制御部15の配置を決定し、これら3つの筐体部40から離れた位置にある1つの筐体部40に対しては、当該筐体部40の正面側から見て、スペースがある側面に隣接した配置として制御部15の配置を決定し、各筐体部40に締結手段を使用して各制御部15を固定している。
【0049】
3つの筐体部40から離れた位置にある1つの筐体部40は、近隣した位置に壁等の構造物が存在するため、構造物に近隣した位置に制御部15を自立するような配置として制御部15の配置を決定し、締結手段を使用して床に固定してもよい。また、構造物自体に取り付ける配置として決定し、構造物自体に締結手段を使用して制御部15を固定してもよい。また、隣り合わせで配置される3つの筐体部40は、中央に位置する筐体部40については正面側にしかスペースがないため、正面に制御部15を固定するしかないが、その左右にある筐体部40については正面に代えて、スペースのある一方の側面に隣接した配置として決定し、その一方の側面に締結手段を使用して制御部15を固定してもよい。
【0050】
なお、筐体部40の左右の一方の側面に制御部15を固定する場合、側面に設けられた穴を使用し、筐体部40の筐体と制御部15の筐体とを締結手段により締結することで固定することを説明してきたが、筐体部40の左右の一方の側面に近隣した位置に、制御部15を自立するような配置として制御部15の配置を決定し、締結手段を使用して制御部15をその位置の床に固定してもよい。
【0051】
以上に説明してきたように、冷凍装置10の構成機器を筐体内に収納し、外形の簡素化を図り、制御部15を本体から分離可能な構成とすることで、本体の筐体の正面、右側面、左側面のいずれかに制御部15の1つの側面を隣接させて配置し、締結手段を使用して本体に制御部15を固定することができる。また、制御部15が自立可能な構造であるため、本体から離れた位置に制御部15を設置することもできる。これにより、位置が決まっている設備側の配管・配管位置に合わせて、本体の筐体の位置と制御部15の位置を決定し、固定することができるため、優れた入替性を有する冷凍装置を提供することが可能となる。
【0052】
これまで本発明の冷凍装置について上述した実施形態をもって詳細に説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態や、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0053】
10…冷凍装置
11…圧縮機
12…凝縮器
13…膨張弁
14…蒸発器
15…制御部
16…支持台
17…支持部
18…受液器
19…配管
20…支持台
21…支持脚
22…制御盤
23…接続端子
24…制御用配線
25…電源接続口
26~29…ノズル
30~33…穴
34…筐体
40…筐体部
【要約】
【課題】 様々な設備環境に合わせられる入替性に優れた冷凍装置を提供すること。
【解決手段】 冷凍装置10は、冷媒を圧縮する圧縮機11と、圧縮された冷媒を凝縮させる凝縮器12と、凝縮した冷媒を膨張させる膨張弁13と、膨張した冷媒を蒸発させる蒸発器14と、回路基板を収納した制御部15とを含む。冷凍装置10は、圧縮機11と凝縮器12と膨張弁13と蒸発器14とが1つの筐体34内に収納され、筐体34と制御部15とが分離可能とされ、制御部15は、設置環境または筐体34に固定可能である。
【選択図】 図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8