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特許7353469シリカベースの艶消し配合物ならびにその作製および使用方法
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  • 特許-シリカベースの艶消し配合物ならびにその作製および使用方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-21
(45)【発行日】2023-09-29
(54)【発明の名称】シリカベースの艶消し配合物ならびにその作製および使用方法
(51)【国際特許分類】
   C09D 201/00 20060101AFI20230922BHJP
   C09D 5/00 20060101ALI20230922BHJP
   C09D 7/42 20180101ALI20230922BHJP
   C09D 7/61 20180101ALI20230922BHJP
   C09D 7/65 20180101ALI20230922BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20230922BHJP
   B05D 7/02 20060101ALI20230922BHJP
   B05D 5/06 20060101ALI20230922BHJP
   B05D 5/00 20060101ALI20230922BHJP
   B05D 7/00 20060101ALI20230922BHJP
   B05D 7/06 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
C09D201/00
C09D5/00 Z
C09D7/42
C09D7/61
C09D7/65
C09D7/63
B05D7/02
B05D5/06 D
B05D5/00 K
B05D7/00 F
B05D7/06 Z
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2022513116
(86)(22)【出願日】2020-08-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-07
(86)【国際出願番号】 US2020046935
(87)【国際公開番号】W WO2021041101
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2022-04-26
(31)【優先権主張番号】62/894,299
(32)【優先日】2019-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590001706
【氏名又は名称】ダブリュー・アール・グレース・アンド・カンパニー-コーン
【氏名又は名称原語表記】W R GRACE & CO-CONN
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】グ,フェン
(72)【発明者】
【氏名】プライア,ジェームズ・ニール
(72)【発明者】
【氏名】コランネ,マノージ
【審査官】小久保 敦規
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/028312(WO,A1)
【文献】特開平02-289670(JP,A)
【文献】特開2000-126677(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 33/00 - 33/193
C09C 1/00 - 3/12
C09D 1/00 - 201/10
B05D 1/00 - 7/26
B01J 20/00 - 20/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性コーティング組成物のための艶消し配合物であって、該艶消し配合物を水性コーティング組成物中に組み込み、基材上で乾燥してフィルムを形成させたときに、60°光沢度目標において増大した耐薬品性を有するフィルムを提供するのに十分な量の低細孔容積シリカ粒子とブレンドされた高細孔容積シリカ粒子を含み、該高細孔容積シリカ粒子は、Barrett-Joyner-Halenda(BJH)法によって決定して0.80cc/gより大きいメジアン細孔容積を有し、該低細孔容積シリカ粒子は、BJH法によって決定して0.80cc/g以下のメジアン細孔容積を有し、前記低細孔容積シリカ粒子の細孔容積が、前記高細孔容積シリカ粒子の細孔容積より少なくとも0.50cc/g小さく、前記低細孔容積シリカ粒子および前記高細孔容積シリカ粒子の全重量に基づき、前記低細孔容積シリカ粒子が1.0重量%~99.0重量%の量で存在し、前記高細孔容積シリカ粒子が99.0重量%~1.0重量%の量で存在する、前記艶消し配合物。
【請求項2】
60°光沢度目標が、携帯型Micro-TRI-Gloss計測器を用いて測定して3.0~30.0である、請求項1に記載の艶消し配合物。
【請求項3】
請求項1~2のいずれか一項に記載の艶消し配合物であって、水性コーティング組成物中に組み込み、基材上に施用したときに、コーティング組成物が、試験方法EN 12720またはDIN68861-1を使用して1~5の尺度内の3~5の耐薬品性等級を有するフィルムを形成することを可能にする、前記艶消し配合物。
【請求項4】
フィルムがクリアコートフィルムである、請求項1~3のいずれか一項に記載の艶消し配合物。
【請求項5】
基材が木材、プラスチック、または黒色チャート紙である、請求項1~4のいずれか一項に記載の艶消し配合物。
【請求項6】
水性コーティング組成物が、平滑で非浸透性の普通黒色チャート紙上に施用して乾燥した場合、携帯型Spectro-Guide 45/0比色計を用いて測定して10.0単位以下50/50水/エタノール損傷1時間ΔL値を有するフィルムを形成する、請求項1~5のいずれか一項に記載の艶消し配合物。
【請求項7】
水性コーティング組成物が、平滑で非浸透性の普通黒色チャート紙上に施用して乾燥した場合、携帯型Spectro-Guide 45/0比色計を用いて測定して7.0単位以下フィルム明澄度ΔLを有するフィルムを形成する、請求項1~6のいずれか一項に記載の艶消し配合物。
【請求項8】
記低細孔容積シリカ粒子および前記高細孔容積シリカ粒子の全重量に基づき、前記低細孔容積シリカ粒子が50.0重量%~98.0重量%の量で存在し、前記高細孔容積シリカ粒子が50.0重量%~2.0重量%の量で存在する請求項1~7のいずれか一項に記載の艶消し配合物。
【請求項9】
記低細孔容積シリカ粒子の細孔容積が、前記高細孔容積シリカ粒子の細孔容積より少なくとも0.80cc/g小さい、請求項1~8のいずれか一項に記載の艶消し配合物。
【請求項10】
前記低細孔容積シリカ粒子が、BJH法によって決定して0.01cc/g~0.79cc/gの細孔容積を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の艶消し配合物。
【請求項11】
前記高細孔容積シリカ粒子が、BJH法によって決定して0.80cc/g~2.40cc/gの細孔容積を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の艶消し配合物。
【請求項12】
前記高細孔容積シリカ粒子および前記低細孔容積シリカ粒子が本質的にシリカからなる、請求項1~11のいずれか一項に記載の艶消し配合物。
【請求項13】
前記低細孔容積シリカ粒子が、前記低細孔容積シリカ粒子の細孔を少なくとも部分的に満たすのに十分な量の1以上の第1のワックスをさらに含、請求項1~11のいずれか一項に記載の艶消し配合物。
【請求項14】
前記低細孔容積シリカ粒子が、前記低細孔容積シリカ粒子の全重量に基づき5.0重量%~65.0重量%未満の前記1以上の第1のワックスを含む、請求項13に記載の艶消し配合物。
【請求項15】
前記高細孔容積シリカ粒子が、高細孔容積シリカ粒子の細孔を少なくとも部分的に満たすのに十分な量の1以上の第2のワックスをさらに含、請求項1~11、13及び14のいずれか一項に記載の艶消し配合物。
【請求項16】
前記高細孔容積シリカ粒子が、前記高細孔容積シリカ粒子の全重量に基づき5.0重量%~65.0重量%未満の前記1以上の第2のワックスを含む、請求項15に記載の艶消し配合物。
【請求項17】
前記1以上の第1のワックスおよび前記1以上の第2のワックスの各々が、独立して、炭化水素ワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、植物ワックス、動物ワックス、またはそれらの任意の組み合わせを含、請求項13~16のいずれか一項に記載の艶消し配合物。
【請求項18】
前記低細孔容積シリカ粒子および前記高細孔容積シリカ粒子の各々が、独立して、シリカゲル、沈降シリカ、ヒュームドシリカ粒子、またはそれらの任意の組み合わせを含、請求項1~17のいずれか一項に記載の艶消し配合物。
【請求項19】
前記低細孔容積シリカ粒子および前記高細孔容積シリカ粒子が自由流動性粒子である、請求項1~18のいずれか一項に記載の艶消し配合物。
【請求項20】
請求項1~19のいずれか一項に記載の艶消し配合物を調製する方法であって、低細孔容積シリカ粒子と高細孔容積シリカ粒子を組み合わせて、低細孔容積シリカ粒子と高細孔容積シリカ粒子のブレンドを形成することを含む、前記方法。
【請求項21】
さらに、低細孔容積シリカ粒子を1以上の第1のワックスと接触させることを含む、及び/又は、さらに、高細孔容積シリカ粒子を1以上の第2のワックスと接触させることを含、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記接触させることが、
1以上の第1または第2のワックスを1以上の溶媒に溶解または分散させて、1以上の懸濁液または分散液を形成し;
低細孔容積シリカ粒子または高細孔容積シリカ粒子を1以上の懸濁液または分散液中に組み込み;そして
1以上の懸濁液または分散液から溶媒を除去する;
ことを含むか、又は
前記接触させることが、
1以上の第1または第2のワックスを溶融して1以上の溶融液体を形成し;そして
低細孔容積シリカ粒子または高細孔容積シリカ粒子を1以上の溶融液体中に組み込む;
ことを含むか、又は
前記接触させることが、
(a)1以上の第1または第2のワックス、および(b)低細孔容積シリカ粒子または高細孔容積シリカ粒子を、加熱しつつ同時に混合および/またはミル粉砕することを含む、
請求項21に記載の方法。
【請求項23】
さらに、(a)低細孔容積シリカ粒子または高細孔容積シリカ粒子の粒径を低減させて、100ミクロン(μm)未満の最終粒径を有するシリカ粒子を得ることを含み、又は
さらに、(b)500ミクロン(μm)未満の第1の粒径を有する低細孔容積シリカ粒子または高細孔容積シリカ粒子を形成し;
低細孔容積シリカ粒子または高細孔容積シリカ粒子を高温で熱処理時間にわたり熱処理し;
熱処理された低細孔容積シリカ粒子または熱処理された高細孔容積シリカ粒子を放置して冷却し;そして
熱処理された低細孔容積シリカ粒子または熱処理された高細孔容積シリカ粒子を、100μm未満の最終粒径がもたらされるようにミル粉砕する;
ことを含み、
(b)において、
低細孔容積シリカ粒子または高細孔容積シリカ粒子を90℃~140℃の範囲の高温で熱処理し、熱処理時間が1.0時間(hr)~4.0時間の範囲である、請求項20~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記粒径を低減させること(a)が、45.0μm未満の最終粒径を有する低細孔容積シリカ粒子または高細孔容積シリカ粒子をもたらす、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
請求項1~19のいずれか一項に記載の艶消し配合物を含むコーティング組成物であって、
前記コーティング組成物が水性組成物を含む、コーティング組成物。
【請求項26】
前記コーティング組成物が、前記コーティング組成物の全重量に基づき最大16.0重量%前記艶消し配合物を含む、請求項25に記載のコーティング組成物。
【請求項27】
請求項25及び26のいずれか一項に記載のコーティング組成物でコーティングされた基材であって、
前記基材が木材、プラスチック、または黒色チャート紙を含む、基材。
【請求項28】
木材またはプラスチック基材に施用される水系組成物の耐薬品性の改善方法であって、
請求項1~19のいずれか一項に記載の艶消し配合物をコーティング組成物中に組み込み;
該コーティング組成物を木材またはプラスチック基材の少なくとも1つの表面上に施用してコーティングを形成し;そして
コーティングを乾燥させて、木材またはプラスチック基材の少なくとも1つの表面上にフィルムを形成する;
ことを含み、
フィルムクリアコートフィルムである、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年8月19日に米国企業であるW.R.Grace & Co.-Connの名義でPCT国際特許出願として出願されており、全ての国を指定し、2019年8月30日に出願された米国仮特許出願第62/894299号、名称「SILICA-BASED MATTING FORMULATIONS AND METHODS OF MAKING AND USING THE SAME.」に優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、改善されたシリカベースの艶消し配合物に関する。一観点において、本発明は、水系(waterborne)コーティング系のための改善されたシリカベースの艶消し配合物に関する。別の観点において、本発明は、低細孔容積シリカ粒子と高細孔容積シリカ粒子とのブレンドを含むシリカベースの艶消し配合物、該シリカ粒子のブレンドを含有する水性コーティング組成物、ならびに該組成物の作製および使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
シリカベースの艶消し配合物は、コーティングされたフィルムの光沢を減少させるために、コーティングおよび塗装配合物において広く使用されている。溶媒ベースのコーティングまたは100%固体UV硬化配合物では、有効な光沢低減および艶消しのために高レベルのシリカが必要とされる。他方、高濃度の親水性シリカは溶媒ベースのラッカーのレオロジー特性の変化を引き起こす可能性があり、しばしば分配可能性および沈降の問題を有することがある。これらの問題を解決するために、典型的には、従来技術は、微粒子シリカの表面を処理してその表面を疎水性にし、したがって配合物中の溶媒系および有機物とより適合性にすることを標的とする。この目的のために、ワックスおよび/またはポリマーでコーティングされたシリカがしばしば使用されてきた。
【0004】
米国特許公報第6039798号は、シリカが少なくとも1.5cm/g、好ましくは少なくとも1.8cm/gの細孔容積を有する非晶質シリカである、ワックスコーティングされたシリカ艶消し剤を開示している。ワックスコーティングは艶消し剤の6重量%~15重量%(wt%)の範囲で存在し、合成ポリエチレンワックスを含む。
【0005】
欧州特許第0759959号は、シリカが、細孔の90%が15ナノメートルを超える直径を有し、細孔容積の20%未満が10~30ナノメートルの細孔直径を有する細孔内にある、細孔径分布を有する非晶質シリカであることを特徴とする、ワックスコーティングされたシリカ艶消し剤を開示しており、該ワックスコーティングは、艶消し剤の約2重量%~約15重量%の範囲で存在し、硬質マイクロクリスタリンワックス、可塑化マイクロクリスタリンワックス、合成ポリエチレンワックス、またはそれらの混合物を含む。
【0006】
米国特許出願公開第20050065268号は、シリカの粒子が親水性ポリオレフィンワックスで処理されている粒状非晶質シリカを含むシリカ艶消し剤を開示している。
米国特許公報第6921781号は、少なくとも1つのシリカ粒子の表面の少なくとも一部を少なくとも1つのワックスでコーティングすることを開示しており、コーティングは、少なくとも1つのガス中で、ワックスの融点よりも高く、ワックスの分解温度よりも低い温度で実施される。ワックス含量は、シリカの含量の2~15重量%と定義される。
【0007】
米国特許公報第7303624号は、構造的にコーティングされたシリカを、適切な混合容器中で熱分解法シリカを水およびコーティング剤と噴霧および混合した後、ミル粉砕し、次いで、生成物をコンディショニングすることによって調製することができることを開示している。
【0008】
米国特許公報第8926748号は、無機酸化物微粒子;および無機酸化物微粒子上にコーティングされたワックス;を含む艶消しコーティングの調製に有用な艶消し剤を開示しており、該ワックスは約50%以上の結晶化度を有し、前記ワックスは、前記艶消し剤の全重量に基づいて15重量%~30重量%の範囲の量で存在する。
【0009】
国際公開1999051692号は、二酸化ケイ素に基づく艶消し剤に関する発明を開示しており、該二酸化ケイ素粒子は、2.5~20μmの粒径および艶消し剤に基づき0~65重量%の含水量を有し、また、0.2~10重量%の尿素-ウレタン誘導体または尿素-ウレタン誘導体の混合物でコーティングされている。
【0010】
現在、溶媒ベースのコーティング組成物は、環境上の懸念、ならびに安全性および健康問題のために望ましくない。政府の規制は塗料またはコーティング配合物中の揮発性有機化合物(VOC)の低減および排除を推進しており、本質的により水系のコーティングの使用が促進されている。
【0011】
水系配合物には、シリカ艶消し剤、有機艶消し剤、および両者のブレンドを含むさまざまなタイプの艶消し剤が使用されてきた。
ACEMATT(登録商標)TS100およびSYLOID(登録商標)C807などのシリカベースの艶消し剤は、優れた艶消し効果、および水系配合物におけるフィルム明澄度を有するが、耐薬品性および耐候性が劣る傾向があり、化学薬品に暴露された場合、または気象条件が変化した場合に、しばしば白くなるか、または曇る。シリカベースの艶消し剤はまた、温度の急速な変化を受けた場合に、不十分な耐熱応力を有する傾向がある。いかなる特定の理論にも束縛されることを望むものではないが、光の有効な散乱である亀裂をもたらす艶消し剤-ラテックス界面での接着不良、ならびにフィルムの湿潤および乾燥中のフィルムの膨潤(次いで収縮)に起因する応力によって引き起こされ、乾燥中の艶消し粒子の粒子収縮によって悪化する接着不良は、水系コーティング配合物中のシリカ艶消し剤のこれらの欠点の原因であり得る。これらの欠点はすべて、木材またはプラスチック基材上のコーティング用途において望ましくない。
【0012】
純粋な有機ベースの有機艶消剤も使用されてきた。例えば、DEUTERON(登録商標)MKおよびCERAFLOUR(登録商標)920のような尿素-ホルムアルデヒド樹脂ベースの艶消し剤が知られている。しかしながら、これらの艶消し剤はともに、残留出発物質である有毒なホルムアルデヒドを潜在的に放出し得るので、環境上の懸念を有する。改質された超微粉ポリエチレンベースの艶消し剤CERAFLOUR(登録商標)929も入手可能である。しかしながら、この製品は、コーティング配合物中のシリカベースの艶消し剤と比較した場合、艶消し効率が劣る。また、有機艶消し剤は、純粋なシリカベースの艶消し剤と比較した場合、フィルム明澄度が劣ることが知られている。これはおそらく、シリカベースの艶消し剤は、コーティングされたフィルム中の他の成分(例えば、バインダー)の屈折率に近い屈折率を有するが、有機ベースの艶消し剤とそのような成分の屈折率の差はより大きいという事実に起因する。加えて、有機艶消し剤は、典型的には生産がより困難であり、また、より高価である。
【0013】
シリカベースの艶消し剤と有機艶消し剤のブレンディングはまた、必要とされるコーティングフィルム特性のバランスをとるために、水系の系において使用されてきた。しかしながら、2つの異なるタイプの材料のブレンディングは、塗料配合物中の2つの個々の成分の各々に関連する問題、またはコーティングされたフィルムの品質を解決しない。例えば、有機艶消し剤の不十分なフィルム明澄度は、ブレンドに依然として存在するであろう。
【0014】
したがって、(i)水性コーティング系での使用に適しており、(ii)良好な艶消し効率と相まって改善された耐薬品性を有するクリアコートフィルムを提供する艶消し剤をさらに開発するための単純な解決法が依然として必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【文献】米国特許公報第6039798号
【文献】欧州特許第0759959号
【文献】米国特許出願公開第20050065268号
【文献】米国特許公報第6921781号
【文献】米国特許公報第7303624号
【文献】米国特許公報第8926748号
【文献】国際公開1999051692号
【発明の概要】
【0016】
本発明は、「水系」または水性コーティング組成物から生じるコーティングされたフィルムにおいて増大した耐薬品性と相まって良好な艶消し効率を提供する、改善されたシリカベースの艶消し配合物の発見によって、当該技術分野における上記必要性に対処する。意外にも、水性コーティング組成物中に艶消し配合物として低細孔容積シリカ粒子と高細孔容積シリカ粒子のブレンドを組み込むと、とりわけ木材またはプラスチック基材上に施用したときに、乾燥コーティング組成物から形成されるフィルムの耐薬品性が増大することが見出された。有利には、本発明の水性組成物はまた、従来の水性コーティングされた組成物と比較して、木材またはプラスチック基材の表面に改善されたフィルム明澄度の非常に優れた特性を提供する。
【0017】
したがって、本発明は、水性コーティング組成物のためのシリカベースの艶消し配合物であって、該艶消し配合物を水性コーティング組成物中に組み込み、基材上で乾燥してフィルムを形成させたときに、60°光沢度目標において増大した耐薬品性を有するフィルムを提供するのに十分な量の低細孔容積シリカ粒子とブレンドされた高細孔容積シリカを含む、前記シリカベースの艶消し配合物を提供し、該高細孔容積シリカ粒子は、Barrett-Joyner-Halenda(BJH)法によって決定して0.80cc/gより大きいメジアン細孔容積を有し、該低細孔容積シリカ粒子は、BJH法によって決定して0.80cc/g以下のメジアン細孔容積を有する。典型的には、60°光沢度目標は、携帯型Micro-TRI-Gloss計測器を用いて測定して約3.0~約30.0である。
【0018】
いくつかの態様において、(i)低細孔容積シリカ粒子、(ii)高細孔容積シリカ粒子、または(iii)低細孔容積シリカ粒子および高細孔容積シリカ粒子の両方、の少なくとも一部はさらに、低細孔容積シリカ粒子、高細孔容積シリカ粒子、または低細孔容積シリカ粒子および高細孔容積シリカ粒子の両方の細孔を少なくとも部分的に満たすのに十分な量の1以上のワックスを含む。すべての態様において、低細孔容積シリカ粒子と高細孔容積シリカ粒子のブレンドは、水性コーティング組成物中で有効な艶消し配合物として機能し、とりわけ木材またはプラスチック基材上に施用したときに、乾燥コーティング組成物から形成されるフィルムに増大した耐薬品性を提供する。有利には、本発明の水性組成物はまた、従来の水性コーティングされた組成物と比較して、木材またはプラスチック基材の表面に改善されたフィルム明澄度の非常に優れた特性を提供する。
【0019】
本発明はまた、本発明の改善されたシリカベースの艶消し配合物を含む水性コーティング組成物または配合物を提供し、この組成物は、乾燥すると、改善された耐薬品性およびフィルム明澄度を有する乾燥した「クリアコート」フィルムを提供する。本発明の目的のために、本明細書中では、用語「クリアコート」フィルムを、木材またはプラスチック基材の少なくとも1つの表面上に施用したときに、木材またはプラスチック基材の天然の木目または色が人間の目に本質的に見えるような、透明または本質的に透明であるフィルムを示すために用いる。本発明のコーティング組成物は、本発明のシリカベースの艶消し配合物を含有しない公知のコーティング/フィルムと比較して、改善された耐薬品性および/またはフィルム明澄度を有するフィルムを提供する。
【0020】
本発明はさらに、シリカベースの艶消し配合物の作製方法、および本発明の艶消し配合物を含む水性コーティング組成物の調製方法に関する。本発明はまた、本明細書に記載の水性コーティング組成物で基材をコーティングする方法を対象とする。好ましい態様において、基材は木材またはプラスチック基材である。
【0021】
本発明はさらに、本明細書に記載されるシリカベースの艶消し配合物の使用方法を対象とする。いくつかの態様において、本明細書に記載されるシリカベースの艶消し配合物の使用方法は、基材、とりわけ木材またはプラスチック基材の耐薬品性および/またはフィルム明澄度、またはそれらの任意の組み合わせの改善方法を含み、該方法は、本明細書に記載されるシリカベースの艶消し配合物を水性コーティング組成物中に組み込んだ後、基材上にコーティング組成物を施用することを含む。意外にも、本明細書に記載されるコーティング組成物は、比色計(例えば、携帯型Spectro-Guide 45/0比色計)を用いて測定して公知の液体コーティング組成物と比較した場合、所定の木材またはプラスチック基材に改善された保護を提供する。
【0022】
本発明はさらに、本明細書に記載されるシリカベースの艶消し配合物を含有する水性組成物で形成されたクリアコートフィルム、および本明細書に記載されるシリカベースの艶消し配合物を含有する水性組成物でコーティングされた基材を対象とする。いくつかの代表的態様において、基材は、本明細書に記載されるシリカベースの艶消し配合物を含有する水性組成物でコーティングされた木材またはプラスチック基材を含む。
【0023】
本発明のこれらおよび他の特徴および利点は、開示された態様の以下の詳細な説明および添付の特許請求の範囲を検討した後に明らかになるであろう。
本発明を、添付の図面を参照してさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本発明の代表的な艶消し配合物を含有するフィルムの化学的損傷および艶消し配合物の重量パーセント要件の、フィルムを形成するために使用される艶消し配合物内の低細孔容積粒子の量および高細孔容積粒子の量に対するプロットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の原理の理解を促進するために、本発明の特定の態様の説明が続き、特定の態様を説明するために特定の専門用語が使用される。とは言え、特定の専門用語の使用によって本発明の範囲の限定を意図していないことは、理解されるであろう。論じられる本発明の原理の変更、さらなる修正、およびそのようなさらなる応用は、本発明が関係する当業者に通常想起されるように企図される。
【0026】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が別段の明確な指示をしない限り、複数の指示対象を包含することに留意されたい。したがって、例えば、「酸化物」への言及は、複数のそのような酸化物を包含し、「酸化物」への言及は、当業者に公知の1以上の酸化物およびその等価物への言及などを包含する。
【0027】
本開示の態様を説明する際に採用される、例えば、コーティングされた粒子および/または組成物中の構成成分の分量、濃度、体積、プロセス温度、プロセス時間、回収率または収率、流速、および同様の値、およびそれらの範囲を修飾する「約」は、例えば、典型的な測定および取扱い手順によって;これらの手順における故意ではない誤りによって;該方法を実施するために使用される構成成分の違いによって;および同様の近似の考慮事項によって生じ得る数量の変動をさす。用語「約」はまた、特定の初期濃度またはブレンドを有する配合物の経時変化によって異なる量、および特定の初期濃度またはブレンドを有する配合物の混合または加工によって異なる量を包含する。用語「約」によって修飾されているか否かにかかわらず、本明細書に添付される請求の範囲は等価物を包含する。
【0028】
本明細書で使用される場合、「ブレンド」という用語は、2つの異なる細孔容積を有する2つの異なるシリカ粒子のセットの均質または本質的に均質な物理的混合物を意味する。
【0029】
本明細書で使用される場合、「結晶質」という用語は、構成要素である原子、分子またはイオンが、全3方向に伸長する規則正しいパターンで配列されている固体材料を意味し、X線回析または示差走査熱量測定によって測定することができる、本明細書で使用される場合、「非晶質」という用語は、構成要素である原子、分子またはイオンが、全3方向に伸長するランダムで不規則なパターンで配列されている固体材料を意味し、X線回析または示差走査熱量測定によって決定することができる。
【0030】
本明細書中で使用される場合、「シリカベースの艶消し配合物」という用語は、本発明のコーティング配合物中の艶消し配合物として使用される、多孔質シリカ粒子および/またはシリカ/ワックス複合粒子をさす。多孔質シリカ粒子は、シリカゲル、沈降シリカまたはヒュームドシリカ粒子であることができる。シリカゲルおよび沈降シリカは、ケイ酸ナトリウムと硫酸のような酸から作製することができる。これらの粒子の作製プロセスは当技術分野で周知であり、これらの粒子のほとんどは、W. R. Grace & Co、またはEvonik、または他の供給業者のような会社から市販されている。ヒュームドシリカは、四塩化ケイ素の火炎熱分解から、または高温で気化した珪砂から作製することができる。多くのヒュームドシリカは、Evonik、Cabot Corporation、Wacker Chemie、またはDow Corningなどの世界的製造業者から市販されている。
【0031】
本明細書で使用される場合、「シリカ/ワックス複合粒子」という語句は、低細孔容積シリカ粒子、高細孔容積シリカ粒子、または低細孔容積シリカ粒子および高細孔容積シリカ粒子の両方の細孔を少なくとも部分的に満たすのに十分な量の1以上のワックスを含み、結果として元のシリカ粒子の細孔容積が低減している、低細孔容積シリカ粒子および/または低細孔容積シリカ粒子をさす。
【0032】
本明細書中で使用される場合、「低減した細孔容積」は、得られる細孔容積が処理および/またはコーティングおよび/または含浸の前のシリカ粒子の細孔容積未満になるように、材料(例えば、ワックス)で処理および/またはコーティングおよび/または含浸されているシリカ粒子の細孔容積をさす。
【0033】
本明細書中で使用される場合、「BET粒子表面積」という用語は、Brunauer Emmet Teller(BET)窒素吸着法によって測定される、多孔質シリカ粒子またはシリカ/ワックス複合粒子の粒子表面積を意味するものとして定義される。「最終BET粒子表面積」という用語は、BET窒素吸着法によって測定される、多孔質シリカ粒子へのワックスの処理/コーティング/含浸後のシリカ/ワックス複合粒子の粒子表面積をさす。
【0034】
本明細書中で使用される場合、「細孔容積」という語句は、DIN 66134に記載されているBarrett-Joyner-Halenda(BJH)窒素ポロシメトリー(すなわち、窒素吸着の手段によるメソポーラス固体の細孔径分布および比表面積の決定-Barrett、Joyner、およびHalenda(BJH)の方法)を使用して決定される、複数の粒子(すなわち、低細孔容積シリカ粒子、高細孔容積シリカ粒子、シリカ/ワックス複合粒子、またはそれらの任意の組合せを含む、あらゆる粒子)のメジアン細孔容積をさす。
【0035】
本明細書で使用される場合、「メジアン細孔容積」という語句は、DIN 66134に記載されているBarrett-Joyner-Halenda(BJH)窒素ポロシメトリーによって測定される細孔容積径(V50、これは、サイズにおいて粒子細孔容積の50体積パーセントがこの数より小さく、粒子細孔容積の50体積パーセントがこの数より大きい、さまざまな粒子の細孔容積分布である)をさす。
【0036】
本明細書で使用される場合、「多孔質シリカ粒子」という語句は、Barrett-Joyner-Halenda(BJH)法によって決定して0.01cc/g以上の細孔容積を有するシリカ粒子をさす。
【0037】
本明細書で使用される場合、「低細孔容積シリカ粒子」または「LPVシリカ粒子」という語句は、Barrett-Joyner-Halenda(BJH)法によって決定して0.80cc/g以下(すなわち、0.01cc/g程度)の細孔容積を有するシリカ多孔質粒子またはシリカ/ワックス複合粒子をさす。
【0038】
本明細書で使用される場合、「高細孔容積シリカ粒子」または「HPVシリカ粒子」という語句は、Barrett-Joyner-Halenda(BJH)法によって決定して0.80cc/gを超える細孔容積を有する多孔質シリカ粒子またはシリカ/ワックス複合粒子をさす。
【0039】
本明細書で使用される場合、「粒径」という語句は、粒子を水またはアセトンもしくはエタノールなどの有機溶媒、またはIgepal(登録商標)CA-630などの界面活性剤中でスラリー化したときに、動的光散乱によって測定されるメジアン粒径(D50、これは、サイズにおいて粒子の50体積パーセントがこの数よりも小さく、粒子の50体積パーセントがこの数よりも大きい、さまざまな粒子の体積分布である)をさす。
【0040】
本発明の目的のために、本明細書に挙げた光沢度は、水性コーティング組成物のドローダウン(drawdown)を平滑で非浸透性の普通黒色チャート紙上で実施し、以下の実施例に記載する手順4を用いて室温で少なくとも四(4)日間乾燥させたときに測定した。すべての耐薬品性およびフィルム明澄度の値はまた、以下の実施例に記載する手順4を用いた黒色チャート紙上での測定に基づいていた。
【0041】
本明細書で使用される場合、「耐薬品性」という語句は、欧州標準規格EN 12720DIN 68861-1に概説されている試験方法を使用して、および以下の実施例に記載する手順4を使用して記載されるように、水中の50v/v%エタノール溶液に暴露したときに、フィルムが分解に耐える能力(または不能)をさす。所定のフィルムの「耐薬品性」は、(1)フィルムを木材、プラスチック、または黒色チャート紙などの基材上に施用する場合、EN 12720/DIM 68861-1に概説される1~5の尺度を使用することにより、または(2)フィルムを平滑で非浸透性の普通黒色チャート紙上に施用して乾燥する場合、携帯型Spectro-Guide 45/0比色計を使用して測定される、50/50水/エタノール損傷1時間ΔL値を測定することにより、示すことができる。
【0042】
本発明は、基材、好ましくは、木材またはプラスチック基材上への水性コーティング組成物の施用によって生じるフィルムにおいて改善された耐薬品性を提供する、改善されたシリカベースの艶消し配合物を対象とする。典型的には、改善されたシリカベースの艶消し配合物は、以下のブレンドを含む:(a)Barrett-Joyner-Halenda(BJH)法により決定して0.80cc/g以下の細孔容積を有する低細孔容積シリカ粒子、および(b)BJH法により決定定して0.80cc/gを超えるメジアン細孔容積を有する高細孔容積シリカ粒子。
【0043】
典型的には、低細孔容積シリカ粒子の細孔容積は、高細孔容積シリカ粒子の細孔容積よりも少なくとも0.10cc/g(例えば、0.20cc/g、0.25cc/g、0.30cc/gなど)小さい。いくつかの態様において、低細孔容積シリカ粒子のメジアン細孔容積は、高細孔容積シリカ粒子のメジアン細孔容積よりも少なくとも0.20cc/g小さい。いくつかの態様において、低細孔容積シリカ粒子のメジアン細孔容積は、高細孔容積シリカ粒子のメジアン細孔容積よりも少なくとも0.50cc/g小さい。いくつかの態様において、低細孔容積シリカ粒子の細孔容積は、高細孔容積シリカ粒子の細孔容積よりも少なくとも0.80cc/g小さい。いくつかの態様において、低細孔容積シリカ粒子の細孔容積は、高細孔容積シリカ粒子の細孔容積よりも少なくとも1.10cc/g小さい。
【0044】
低細孔容積シリカ粒子は、0.01cc/gの増分で0.80cc/g以下の任意の細孔容積を有することができる。いくつかの態様において、低細孔容積シリカ粒子は、0.79cc/g以下(または、0.78cc/g、0.77c/gなど)の細孔容積を有する。いくつかの態様において、低細孔容積シリカ粒子は、BJH法によって決定して、約0.01cc/g~約0.79cc/g(または、0.01cc/gの増分で0.01cc/g~0.79cc/gの値の任意の範囲、例えば、約0.010cc/g~約0.50cc/g)の範囲の細孔容積を有する。他の態様において、低細孔容積シリカ粒子は、BJH法によって決定して約0.01cc/g~約0.60cc/gの範囲の細孔容積を有する。
【0045】
高細孔容積シリカ粒子は、0.01cc/gの増分で0.80cc/gを超える任意の細孔容積を有することができる。いくつかの態様において、高細孔容積シリカ粒子は、0.81cc/g以上(または、0.82cc/g、0.83cc/gなど)の細孔容積を有する。いくつかの態様において、高細孔容積シリカ粒子は、BJH法によって決定して、約0.80cc/g~約2.40cc/g(または、0.01cc/gの増分で0.80cc/g~2.40cc/gの値の任意の範囲、例えば、約1.00cc/g~約2.00cc/g)の範囲のメジアン細孔容積を有する。他の態様において、高細孔容積シリカ粒子は、Barrett-Joyner-Halenda(BJH)法によって測定して、0.90cc/g~約2.00cc/gの範囲のメジアン細孔容積を有する。
【0046】
いくつかの望ましい態様において、本発明の艶消し配合物は、高細孔容積シリカ粒子と低細孔容積シリカ粒子のブレンドを含み、該高細孔容積シリカ粒子および該低細孔容積シリカ粒子は両方とも、本質的にシリカからなる。本明細書中で使用される場合、「本質的にシリカからなる」という語句は、高細孔容積シリカ粒子および低細孔容積シリカ粒子の細孔内にワックスをまったく含有しない、高細孔容積シリカ粒子および低細孔容積シリカ粒子をさす。
【0047】
いくつかの望ましい態様において、本発明の艶消し配合物は、(1)(a)低細孔容積シリカ粒子と(b)高細孔容積シリカ粒子とのブレンドを、(2)ブレンド内の粒子の少なくとも一部またはすべての細孔を少なくとも部分的に満たす1以上のワックスと共に含み、その結果、ブレンド内の粒子の少なくとも一部またはすべてはシリカ/ワックス複合粒子を含む。いくつかの態様において、所定のブレンドの低細孔容積シリカ粒子の少なくとも一部またはすべては、シリカ/ワックス複合粒子を含む。いくつかの態様において、所定のブレンドの高細孔容積シリカ粒子の少なくとも一部またはすべては、シリカ/ワックス複合粒子を含む。いくつかの態様において、所定のブレンドの低細孔容積シリカ粒子および高細孔容積シリカ粒子の少なくとも一部またはすべては、シリカ/ワックス複合粒子を含む。
【0048】
いくつかの態様において、所定のブレンドの低細孔容積シリカ粒子はさらに、低細孔容積シリカ粒子の細孔を少なくとも部分的に満たすのに十分な量の1以上の第1のワックスを含む。いくつかの態様において、所定のブレンドの低細孔容積シリカ粒子は、1以上の第1のワックスが低細孔容積シリカ粒子の細孔を少なくとも部分的に満たす前に、0.80cc/gまたは0.80cc/gを超える初期細孔容積を有する。他の態様において、所定のブレンドの低細孔容積シリカ粒子は、1以上の第1のワックスが低細孔容積シリカ粒子の細孔を少なくとも部分的に満たす前に、0.80cc/g未満の初期細孔容積を有する。
【0049】
いくつかの態様において、所定のブレンドの低細孔容積シリカ/ワックス複合粒子は、低細孔容積シリカ/ワックス複合粒子の全重量に基づき約5.0重量%~約65.0重量%未満の1以上の第1のワックスを含む。他の態様において、所定のブレンドの低細孔容積シリカ/ワックス複合粒子は、低細孔容積シリカ/ワックス複合粒子の全重量に基づき約10.0重量%~約60.0重量%未満の1以上の第1のワックスを含む。さらに他の態様において、所定のブレンドの低細孔容積シリカ/ワックス複合粒子は、低細孔容積シリカ/ワックス複合粒子の全重量に基づき約15.0重量%~約55.0重量%未満の1以上の第1のワックスを含む。
【0050】
いくつかの態様において、所定のブレンドの高細孔容積シリカ/ワックス複合粒子は、高細孔容積シリカ粒子の細孔を少なくとも部分的に満たすのに十分な量の1以上の第2のワックスを含む。いくつかの態様において、所定のブレンドの高細孔容積シリカ/ワックス複合粒子は、高細孔容積シリカ/ワックス複合粒子の全重量に基づき約5.0重量%~約65.0重量%未満の1以上の第2のワックスを含む。他の態様において、所定のブレンドの高細孔容積シリカ/ワックス複合粒子は、前記高細孔容積シリカ/ワックス複合粒子の全重量に基づき約10.0重量%~約60.0重量%未満の前記1以上の第2のワックスを含む。さらに他の態様において、所定のブレンドの高細孔容積シリカ/ワックス複合粒子は、高細孔容積シリカ/ワックス複合粒子の全重量に基づき約15.0重量%~約55.0重量%未満の1以上の第2のワックスを含む。
【0051】
本発明の艶消し配合物として有用な適した多孔質シリカ粒子としては、(i)ワックスを含まない場合、および(ii)シリカ/ワックス複合粒子の調製に使用される場合の両方に関し、限定されるものではないが、シリカゲル、沈降シリカ、ヒュームドシリカ粒子が挙げられる。また、本発明の艶消し配合物として有用な適した多孔質シリカ粒子としては、(i)ワックスを含まない場合、および(ii)シリカ/ワックス複合粒子の調製に使用される場合の両方に関し、限定されるものではないが、シリカ粒子の形成中に有機テンプレート(例えば、界面活性剤)を通して調製され、続いて有機物を「燃焼除去」するために高温で処理された、規則的メソポーラスシリカ粒子も挙げられる。本発明の艶消し配合物として有用なとりわけ好ましい多孔質シリカ粒子は、(i)ワックスを含まない場合、および(ii)シリカ/ワックス複合粒子の調製に使用される場合の両方に関し、シリカゲルまたは沈降シリカ粒子を含む。
【0052】
本発明の艶消し配合物として有用な好ましい多孔質シリカ粒子はとして、(i)ワックスを含まない場合、および(ii)シリカ/ワックス複合粒子の調製に使用される場合の両方に関し、限定されるものではないが、2.5cc/g以下、およびいくつかの態様では約0.01cc/g~約2.5cc/gの初期BJH細孔容積を有するシリカゲルまたは沈降シリカが挙げられる。本発明に有用な市販の多孔質シリカ粒子としては、W.R. Grace(メリーランド州、コロンビア)から商品名SYLOID(登録商標)で入手可能な粒子、例えば、SYLOID(登録商標)C807シリカゲル粒子およびSYLOID(登録商標)MX106沈降シリカ粒子、SYLOBLOC(登録商標)シリカゲル粒子、ならびにDARACLAR(登録商標)シリカゲル粒子が挙げられる。
【0053】
好ましい態様において、本発明の艶消し配合物として有用な多孔質シリカ粒子は、(i)ワックスを含まない場合、および(ii)シリカ/ワックスシリカ/ワックス複合粒子の調製に使用される場合の両方に関し、多孔質シリカ粒子の全重量に基づき、少なくとも約93.0重量%のSiO、または少なくとも約93.5重量%のSiO、少なくとも約94.0重量%のSiO、少なくとも約95.0重量%のSiO、少なくとも約96.0重量%のSiO、少なくとも約97.0重量%のSiO、または少なくとも約98.0重量%のSiO、最高100重量%のSiOの純度を有する多孔質シリカ粒子を含む。
【0054】
本発明の艶消し配合物として有用な多孔質シリカ粒子は、(i)ワックスを含まない場合、および(ii)シリカ/ワックスシリカ/ワックス複合粒子の調製に使用される場合の両方に関し、鎖状、棒状またはラス(lath)形状を含む、さまざまな異なる対称、非対称または不規則な形状を有することができる。多孔質シリカ粒子は、非晶質または結晶質などを含む異なる構造を有することができる。好ましい態様において、多孔質シリカ粒子は非晶質である。多孔質シリカ粒子は、異なる組成、サイズ、形状もしくは物理的構造を含む粒子、または表面処理が異なる点を除き同一であることができる粒子のブレンドを包含することができる。多孔質シリカ粒子の多孔度は、より小さな粒子が凝集してより大きな粒子を形成する場合、粒子内または粒子間であることができる。
【0055】
本発明の艶消し配合物として有用な多孔質シリカ粒子またはシリカ/ワックス複合粒子、シリカワックス複合体シリカワックス複合体は、典型的には、0.0m/g超~1000.0m/g未満(または、0.1m/gの増分で0m/g~1000.0m/g未満の値の任意の範囲、例えば、約0.1m/g~約999.9m/g)のBET粒子表面積を有する。いくつかの態様において、シリカ粒子および/またはシリカ/ワックス複合粒子は、約1.0m/gから最大約800.0m/g(または、0.1m/gの増分で1.0m/g~800.0m/gの値の任意の範囲、例えば、約1.1m/g~約799.9m/g)の最終BET粒子表面積を有する。他の態様において、本発明の艶消し配合物を形成するために使用されるシリカおよび/またはシリカ/ワックス複合粒子は、約25.0m/gから最大約700.0m/gのBET粒子表面積を有する。
【0056】
本発明の艶消し配合物は、典型的には、約1.0ミクロン(μm)~約50.0μm(または、0.1μmの増分で、両端を含めて1.0μm~最大約50.0μmの値の任意の範囲、例えば、約39.2μm~約49.1μm)のメジアン粒径を有する。しかしながら、本発明の艶消し配合物は、粒子の使用に応じて任意のメジアン粒径を有することができることを理解すべきである。いくつかの態様において、本発明の艶消し配合物は約2.0μm~約20.0μmのメジアン粒径を有する。いくつかの態様において、本発明の艶消し配合物は約3.0μm~約15.0μmのメジアン粒径を有する。
【0057】
1以上の第1および第2のワックスの各々は、存在する場合、独立して、限定されるものではないが、炭化水素ワックス(すなわち、比較的長いアルキル鎖、例えば、20個以上の炭素原子を有するアルキル鎖を含み、脂肪酸、第1級および第2級の長鎖アルコール、不飽和結合、芳香族、アミド、ケトン、およびアルデヒドなどの1以上のさまざまな官能基を有するかまたは有さないワックス)、パラフィンワックス(すなわち、追加の官能基を有さない20~40個の炭素原子からのワックス)、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、カルナバワックス(すなわち、ブラジルワックス)などの植物ワックス、蜜蝋などの動物ワックス、またはそれらの任意の組合せを含むことができる。
【0058】
本発明での使用に適した市販のワックスとしては、限定されるものではないが、Mitsui Chemicals, LLC(日本、大阪)から商品名Hi-WAXTMまたはEXCEREXTMワックスで入手可能なワックス、Honeywell Performance Additives(ニュージャージー州、モリスタウン)から商品名RHEOLUB(登録商標)ワックスで入手可能なワックス;およびTH.C.TROMM GmbH(ドイツ、ケルン)から商品名POLARWACHS(登録商標)ワックスで入手可能なワックスが挙げられる。
【0059】
いくつかの態様において、艶消し配合物は、低細孔容積シリカ粒子と高細孔容積シリカ粒子とのブレンドを含み、該粒子の少なくとも一部は、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、またはそれらの組み合わせを有する多孔質シリカ粒子(例えば、低細孔容積シリカ粒子および/または高細孔容積シリカ粒子)を含むシリカ/ワックス複合粒子である。いくつかの望ましい態様において、複合粒子は、少なくとも2000の平均分子量を有するポリエチレンワックスを含む。このような比較的高分子量のポリエチレンワックスは、TH.C.TROMM GmbH(ドイツ、ケルン)から商標名POLARWACHS(登録商標)ワックスで市販されている。
【0060】
いくつかの望ましい態様において、複合粒子は、存在する場合、上記の1以上の第1のワックスおよび1以上の第2のワックスを含み、上記の1以上の第1のワックスおよび1以上の第2のワックスの両方は、同一の1以上のワックスを含む。
【0061】
シリカ/ワックス複合粒子を形成するために、多孔質シリカ粒子(例えば、低細孔容積シリカ粒子および/または高細孔容積シリカ粒子)を、上記で定義され、BJH法によって決定されるような望ましい低細孔容積または高細孔容積を有するシリカ/ワックス複合粒子を提供するのに十分な量の1以上のワックスで処理する。典型的には、シリカ/ワックス複合粒子は、本明細書中で上記したように、シリカ/ワックス複合粒子の全重量に基づき約5.0重量%~約65.0重量%の1以上のワックス(すなわち、1以上の第1または第2のワックス)を含む。典型的には、1以上のワックス(すなわち、1以上の第1または第2のワックス)は、多孔質シリカ粒子の細孔を部分的または実質的に満たして、シリカ/ワックス複合粒子に望ましい低細孔容積または高細孔容積を提供するのに十分な任意の量で、ただし、1以上のワックスが多孔質シリカ粒子の細孔を満たし、得られるシリカ/ワックス複合粒子の外側表面に沿って蓄積し始めるほど過剰ではない量で、多孔質シリカ粒子上にコーティングされる。
【0062】
本発明に有用なシリカ/ワックス複合粒子は、以下の複合粒子を提供するのに十分な方法で、多孔質シリカ粒子を1以上のワックス(すなわち、1以上の第1または第2のワックス)と接触させることによって調製することができる:(i)BJH法により決定して0.80cc/g以下または0.80cc/gより大きい望ましい細孔容積を有し、(ii)シリカ/ワックス複合粒子の全重量に基づき約5.0重量%~約65.0重量%(より典型的には約10.0重量%~約60.0重量%、さらにより典型的には約15.0重量%~約55.0重量%)の1以上のワックス(すなわち、1以上の第1または第2のワックス)の少なくとも一部が多孔質シリカ粒子の細孔内にある。シリカ/ワックス複合粒子を提供するために、任意の従来法を使用して多孔質シリカ粒子を1以上のワックスと接触させることができる。いくつかの態様において、接触段階は湿式プロセスであることができる。湿式接触プロセス段階は、1以上のワックスを溶媒に溶解または分散させて溶媒混合物を形成し;多孔質シリカ粒子を溶媒混合物に組み込み;そして、溶媒混合物から溶媒を除去または蒸発させて、シリカ/ワックス複合粒子を形成することを含むことができる。
【0063】
シリカ/ワックス複合粒子は、その後、サイズ低減に付すことができる。粒径を低減する任意の公知の方法を用いて、シリカ/ワックス複合粒子、低細孔容積シリカ粒子、および/または高細孔容積シリカ粒子の粒径を低減することができ、方法としては、限定されるものではないが、ボールミルまたは乳鉢乳棒での磨砕段階などのミル粉砕段階が挙げられる。一態様において、シリカ/ワックス複合粒子は、シリカ/ワックス複合粒子のメジアン粒径を約500ミクロン(μm)未満の第1のメジアン粒径に低減するサイズ低減段階に付される。サイズを低減させたら、シリカ/ワックス複合粒子を、望ましくは高温で熱処理時間にわたって熱処理する。典型的には、高温は約90℃~約140℃(または、1.0℃の増分で90℃から140℃以下の値の任意の範囲、例えば、約91.0℃~約102.0℃)である。典型的には、熱処理時間は、約1.0時間(hr)~約4.0時間(または、1.0分の増分で1.0時間から4.0時間以下の値の任意の範囲、例えば、約1.0時間と9分~約2.0時間と5分)の範囲である。
【0064】
本発明のシリカ/ワックス複合粒子を形成するための1つの代表的な熱処理段階において、熱処理段階の高温は約100℃~約130℃の範囲であり、熱処理時間は約1.0時間~約1.5時間の範囲である。
【0065】
任意の所望による熱処理段階の後、熱処理されたシリカ/ワックス複合粒子を放置して冷却する。冷却したら、所望により、熱処理されたシリカ/ワックス複合粒子のサイズを、約100.0μm未満(または、1.0μmの増分で約1.0μmから100.0μm以下の値の任意の範囲、例えば、約4.0μm~約6.7μm)の最終粒径がもたらされるように、さらに低減することができる。上述したように、粒径を低減する任意の公知の方法を使用することができる。代表的な一態様では、約45.0μm未満の最終粒径を有するシリカ/ワックス複合粒子がもたらされるように、ミル粉砕段階を用いることができる。
【0066】
他の代表的態様において、接触段階はいかなる溶媒も包含せず、したがって、乾式プロセスであることができる。一態様において、乾式プロセスは、1以上のワックス(すなわち、1以上の第1または第2のワックス)を溶融して溶融液体を形成し;該溶融液体に多孔質シリカ粒子を組み込んだ後、粒径を低減させることを含むことができる。さらに他の態様において、乾式プロセスは、(a)1以上のワックス、および(b)多孔質シリカ粒子を、高温(すなわち、必要であれば、任意のワックスを溶融する温度)で、リボンブレンダー、Henschelミキサー、二軸スクリュー押出機、流体エネルギーミル(FEM)または超微粉砕ジェットミルなどの従来のミキサーにおいて、同時に接触および混合することを含むことができる。これらの態様において、加熱段階および粒径低減段階は組み合わされ、追加の粒径低減は、必要な場合もあるし、必要でない場合もある。
【0067】
上記の低細孔容積シリカまたはシリカ/ワックス複合粒子および高細孔容積シリカまたはシリカ/ワックス複合粒子は、所定のブレンド内に任意の量で存在することができるが、典型的には、低細孔容積シリカまたはシリカ/ワックス複合粒子は、所定のブレンド内に、ブレンドの全重量に基づき約1.0重量%(wt%)~約99.0重量%の量で存在し、高細孔容積シリカまたはシリカ/ワックス複合粒子は、約99.0重量%~約1.0重量%の量で存在する。いくつかの態様において、低細孔容積シリカまたはシリカ/ワックス複合粒子は、所定のブレンド内に、ブレンドの全重量に基づき約50.0重量%~約98.0重量%の量で存在し、高細孔容積シリカまたはシリカ/ワックス複合粒子は、約50.0重量%~約2.0重量%の量で存在する。他の態様において、低細孔容積シリカまたはシリカ/ワックス複合粒子は、所定のブレンド内に、ブレンドの全重量に基づき約60.0重量%~約95.0重量%の量で存在し、高細孔容積シリカまたはシリカ/ワックス複合粒子は、約40.0重量%~約5.0重量%の量で存在する。
【0068】
コーティング組成物
本発明の艶消し配合物(すなわち、本明細書中に記載される低細孔容積シリカ粒子と高細孔容積シリカ粒子のブレンド)は、本明細書中に記載されるシリカベースの艶消し配合物の水性懸濁液または分散液を含むコーティング組成物の調製に有用である。好ましい態様において、コーティング組成物は水系または水性コーティング組成物であり、これは一般に、基材上で乾燥するとクリアコートフィルムをもたらす。基材が木材である場合、クリアコートフィルムは、チーク、サクラ、オーク、クルミ、マホガニー、およびシタンなどの木材の天然の色および木目構造を目に見えるようにするか、または本質的に目に見えるようにすることができ、この特徴は、家具および木彫品などの用途において非常に高く評価される可能性がある。
【0069】
コーティング組成物は、コーティング組成物に使用されるさまざまな他の成分に加えて、開示されるシリカベースの艶消し配合物(すなわち、本明細書に記載される低細孔容積シリカ粒子と高細孔容積シリカ粒子のブレンド)を含むことができる。組成物中に存在することができる他の構成成分の例としては、限定されるものではないが、水性フィルム形成性バインダー樹脂、例えば、自己架橋性修飾アクリルコポリマーエマルションまたはラテックスアクリルバインダーNEOCRYL(登録商標)XK12(オランダ、ヘールレンのRoyal DSMから入手可能)、および合体溶媒(coalescent solvent)、例えば、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル(DOWANOLTM PDnB)が挙げられる。組成物は、基材が木材である場合、木材の天然の木目が依然として本質的に目に見える限り、有機顔料または二酸化チタン白色無機顔料のような着色顔料を含有していても含有していなくてもよい。組成物が着色顔料を含有する場合、分散剤も配合物中に包含され可能性がある。
【0070】
組成物の残りは、典型的には水である。水のほかに、他の希釈剤、例えば、限定されるものではないが、脂肪族化合物、芳香族化合物、アルコール、ケトン、ホワイトスピリット、石油蒸留物、エステル、グリコールエーテル、低分子量合成樹脂なども包含することができる。水などの環境に優しい希釈剤が好ましい。
【0071】
他の多種多様な添加剤、例えば、限定されるものではないが、表面張力を改質するため、流動特性を改善するため、仕上がり外観を改善するため、湿潤エッジ(wet edge)を増大させるため、顔料安定性を改善するため、凍結防止特性を付与するため、発泡を制御するため、スキンニングを制御するためなどの添加剤も、組成物に包含させることができる。組成物に包含させることができるさらなる添加剤としては、限定されるものではないが、界面活性剤、触媒、増粘剤、安定剤、乳化剤、テクスチャライザー(texturizer)、接着促進剤、UV安定剤、脱光沢配合物、細菌増殖に対抗するための殺生物剤などが挙げられる。油は、レオロジー配合物、光沢改質剤、ならびに、通常なら形成プロセスおよびコーティングされた材料の使用環境における崩壊要素から生じるはずのコーティングへの損傷を低減する保護配合物として、油を包含させることができる。
【0072】
本発明のコーティング組成物は、典型的には、(I)最大約16.0重量%(または、0.1重量%の増分で0.1重量%~16.0重量%以下の値の任意の範囲、例えば、約7.5~約12.5重量%)のシリカベースの艶消し配合物(すなわち、本明細書に記載される低細孔容積シリカ粒子と高細孔容積シリカ粒子のブレンド)と、(II)約84.0重量%以上の1以上の追加成分とを含み、成分(I)および(II)の重量百分率は、両方ともコーティング組成物の全重量に基づく。
【0073】
いくつかの望ましい態様において、本発明のコーティング組成物は、(I)約5.0重量%~最大約15.0重量%(または、0.1重量%の増分で5.0重量%~15.0重量%以下の値の任意の範囲、例えば、約6.8~約12.8重量%)の本明細書に記載される低細孔容積シリカ粒子と高細孔容積シリカ粒子のブレンドと、(II)約95.0重量%~約85.0重量%(または、0.1重量%の増分で95.0重量%~85.0重量%以下の値の任意の範囲、例えば、約96.2~約94.2重量%)の1以上の追加成分とを含み、成分(I)および(II)の重量百分率は、両方ともコーティング組成物の全重量に基づく。
【0074】
使用
本発明はさらに、さまざまなコーティング用途/プロセスにおけるシリカベースの艶消し配合物(すなわち、本明細書中に記載される低細孔容積シリカ粒子および高細孔容積シリカ粒子のブレンド)の使用を対象とする。コーティング組成物中の艶消し配合物として使用される場合、本明細書に記載されるシリカ粒子は、最終コーティングにおいて、改善された耐薬品性に加えて、改善された熱応力耐性、改善された耐候性、改善されたフィルム明澄度、またはそれらの任意の組み合わせなどの他の望ましい特性を提供する。
【0075】
好ましい態様において、本発明のシリカベースの艶消し配合物(すなわち、本明細書に記載される低細孔容積シリカ粒子と高細孔容積シリカ粒子のブレンド)は、基材に施用される水性コーティング組成物から得られるフィルムの耐薬品性を改善する方法において有用である。他の態様において、本発明のシリカベースの艶消し配合物は、基材に施用される水性フィルムコーティング組成物から得られるクリアコートフィルムのフィルム明澄度を改善すると同時に、耐薬品性を改善する方法において有用である。
【0076】
特に好ましい態様において、基材は木材基材である。望ましい一態様では、木材またはプラスチック基材は、木材またはプラスチック基材の表面上を水性コーティング組成物で処理され、該コーティング組成物は、本発明のシリカベースの艶消し配合物(すなわち、本明細書中に記載される低細孔容積シリカ粒子と高細孔容積シリカ粒子のブレンド)を含む。本発明によるコーティング組成物でコーティングすることができる他の基材としては、限定されるものではないが、皮革、プラスチック(例えば、ビニル)、金属(例えば、コイル)もしくは金属合金、セメントもしくはコンクリート、または他の工業的仕上げ材料が挙げられる。
【0077】
一般に、本発明によるコーティング組成物に艶消し配合物を利用する方法は、コーティング組成物を基材上に施用する前に、本発明のシリカベースの艶消し配合物(すなわち、本明細書中に記載される低細孔容積シリカ粒子と高細孔容積シリカ粒子のブレンド)をコーティング組成物、好ましくは水性コーティング組成物中に組み込むことを含む。典型的な組み込み段階は、シリカベースの艶消し配合物(すなわち、本明細書に記載される低細孔容積シリカ粒子と高細孔容積シリカ粒子のブレンド)を配合物中に混合または分散させることを包含する。コーティング組成物を基材に施用する方法としては、はけ塗り、ロール塗り、吹き付け、またはドローダウン手順、または他の可能な方法が挙げられる。
【0078】
以下の実施例でさらに論じるように、本発明のシリカベースの艶消し配合物(すなわち、本明細書に記載される低細孔容積シリカ粒子と高細孔容積シリカ粒子のブレンド)を水性コーティング組成物中に組み込んだ後、コーティング組成物を平滑で非浸透性の普通黒色チャート紙上に施用し、乾燥すると、本発明のシリカベースの艶消し配合物を含有しない公知のコーティング/フィルムと比較して、単独で、または60°光沢度目標(すなわち、携帯型Micro-TRI-Gloss計測器を用いて測定して約3.0~約30.0の60°光沢度)において改善されたフィルム明澄度との組み合わせで、改善された耐薬品性を有する、コーティングされた膜が形成する。
【0079】
例えば、いくつかの態様において、シリカベースの艶消し配合物(すなわち、本明細書に記載される低細孔容積シリカ粒子と高細孔容積シリカ粒子のブレンド)を、3.0~30.0単位、より好ましくは5.0~20.0単位、より好ましくは10.0~15.0単位(例えば、12.5単位)の60°光沢度を達成するのに十分な量で含むコーティング組成物は、平滑で非浸透性の普通黒色チャート紙上に施用し乾燥した場合、フィルム、好ましくはクリアコートフィルムをもたらし、該フィルムは、携帯型Spectro-Guide 45/0比色計および以下の実施例に記載する方法を用いて測定して、10.0単位未満(または、0.1単位の増分で10.0単位未満の値の任意の範囲、例えば、約2.5単位~約7.0単位)の50/50水/エタノール損傷1時間ΔLを示す。いくつかの態様において、本発明のシリカベースの艶消し配合物(すなわち、本明細書に記載される低細孔容積シリカ粒子と高細孔容積シリカ粒子のブレンド)を、3.0~30.0単位、より好ましくは5.0~20.0単位、より好ましくは10.0~15.0単位(例えば、12.5単位)の60°光沢度を達成するのに十分な量で含むコーティング組成物は、平滑で非浸透性の普通黒色チャート紙上に施用し乾燥した場合、フィルム、好ましくはクリアコートフィルムをもたらし、該フィルムは、携帯型Spectro-Guide 45/0比色計および以下の実施例に記載する方法を用いて測定して、7.0単位未満または5.0単位未満または3.0単位未満の50/50水/エタノール損傷1時間ΔLを示す。
【0080】
いくつかの望ましい態様において、3.0~30.0単位、より好ましくは5.0~20.0単位、より好ましくは10.0~15.0単位(例えば、12.5単位)の60°光沢度を有し、平滑で非浸透性の普通黒色チャート紙上に施用し乾燥した場合に上記の耐薬品性の改善を示すフィルムはまた、携帯型Spectro-Guide 45/0比色計および以下の実施例に記載する方法を用いて測定して、7.0単位未満(または、0.1単位の増分で7.0単位未満の値の任意の範囲、例えば、約1.2単位~約5.0単位)のフィルム明澄度ΔLを示す。いくつかの望ましい態様において、3.0~30.0単位、より好ましくは5.0~20.0単位、より好ましくは10.0~15.0単位(例えば、12.5単位)の60°光沢度を有し、平滑で非浸透性の普通黒色チャート紙上に施用し乾燥した場合に上記の耐薬品性の改善を示すフィルムはまた、携帯型Spectro-Guide 45/0比色計および以下の実施例に記載する方法を用いて測定して、6.0単位未満(または5.0単位未満、または4.5単位未満)のフィルム明澄度ΔLを示す。
【0081】
いくつかの望ましい態様において、乾燥フィルム中に3.0~30.0単位、より好ましくは5.0~20.0単位、より好ましくは10.0~15.0単位(例えば12.5単位)の60°光沢度を達成するのに十分な量の本明細書に記載されるシリカベースの艶消し配合物(すなわち、本明細書に記載される低細孔容積シリカ粒子と高細孔容積シリカ粒子のブレンド)を含むコーティング組成物は、木材基材、プラスチック基材、または黒色チャート紙などの基材上にフィルム、好ましくはクリアコートフィルムをもたらし、これは、試験方法EN 12720またはDIN688861-1(すなわち、冷液に対する家具表面の耐性の評価のための欧州規格)で用いられる1~5の尺度内の3~5の視覚的耐薬品性等級(R)を示し、R値1~5は以下の視覚的特徴によって表される:
5=目に見える変質なし(損傷なし)
4=光沢または色のわずかな変化、または何らかの孤立した識別可能な表面マーキング
3=さまざまな視角から見えるわずかなマーキング、例えば、別個の円形の線または領域
2=強いマーキングはあるが、表面構造はほとんど損傷を受けていない
1=強いマーキング、表面構造が損傷を受けているか、コーティング材料が完全もしくは部分的に破壊されているか、または濾紙が表面に貼り付いている。
【0082】
コーティングを黒色チャート紙上に施用し、バインダー系がアクリルバインダー系、NEOCRYL(登録商標)XK12(オランダ、ヘールレンのRoyal DSMから入手可能)である場合、EN 12720/DIN 68861-1試験法の上記尺度のR値1~5は、以下の等級換算式を使用して、おおよそのΔL値(すなわち、携帯型Spectro-Guide 45/0比色計を用いて以下の実施例に記載する方法で測定される50/50水/エタノール損傷1時間ΔL)に変換することができ、逆もまた同様である:
R=(24-ΔL)/4.8。
【0083】
いくつかの望ましい態様において、本明細書に記載されるシリカベースの艶消し配合物(すなわち、本明細書に記載される低細孔容積シリカ粒子と高細孔容積シリカ粒子のブレンド)を、3.0~30.0単位、より好ましくは5.0~20.0単位、より好ましくは10.0~15.0単位(例えば12.5単位)の60°光沢度を達成するのに十分な量で含むコーティング組成物は、平滑で非浸透性の普通黒色チャート紙上に施用して乾燥した場合、以下の1以上またはすべてを示すフィルムを形成する:(a)携帯型Spectro-Guide 45/0比色計および以下の実施例に記載する方法を用いて測定して、10.0単位未満(または、0.1単位の増分で10.0単位未満の値の任意の範囲、例えば、約2.5単位~約8.0単位)の50/50水/エタノール損傷1時間ΔL;(b)試験方法EN 12720/DIN 68861-1を使用して1~5の尺度内の3~5の耐薬品性等級(R);および(c)携帯型Spectro-Guide 45/0比色計および以下の実施例に記載する方法を用いて測定して、7.0単位未満(または6.0単位未満、または5.0単位未満、または4.5単位未満)のフィルム明澄度ΔL
【0084】
いくつかの望ましい態様において、本明細書に記載されるシリカベースの艶消し配合物(すなわち、本明細書に記載される低細孔容積シリカ粒子と高細孔容積シリカ粒子のブレンド)を、3.0~30.0単位、より好ましくは5.0~20.0単位、より好ましくは10.0~15.0単位(例えば12.5単位)の60°光沢度を達成するのに十分な量で含むコーティング組成物は、平滑で非浸透性の普通黒色チャート紙上に施用して乾燥した場合、以下の1以上またはすべてを示すフィルムを形成する:(a)携帯型Spectro-Guide 45/0比色計および以下の実施例に記載する方法を用いて測定して、8.0単位未満(または、0.1単位の増分で8.0単位未満の値の任意の範囲、例えば、約2.5単位~約7.5単位)の50/50水/エタノール損傷1時間ΔL;(b)試験方法EN 12720/DIN 68861-1を使用して1~5の尺度内の3~5の耐薬品性等級(R);および(c)携帯型Spectro-Guide 45/0比色計および以下の実施例に記載する方法を用いて測定して、6.0単位未満(または5.0単位未満、または4.5単位未満)のフィルム明澄度ΔL
【0085】
いくつかの望ましい態様において、本明細書に記載されるシリカベースの艶消し配合物(すなわち、本明細書に記載される低細孔容積シリカ粒子と高細孔容積シリカ粒子のブレンド)を、3.0~30.0単位、より好ましくは5.0~20.0単位、より好ましくは10.0~15.0単位(例えば12.5単位)の60°光沢度を達成するのに十分な量で含むコーティング組成物は、平滑で非浸透性の普通黒色チャート紙上に施用して乾燥した場合、以下の1以上またはすべてを示すフィルムを形成する:(a)携帯型Spectro-Guide 45/0比色計および以下の実施例に記載する方法を用いて測定して、6.0単位未満(または、0.1単位の増分で6.0単位未満の値の任意の範囲、例えば、約2.5単位~約5.8単位)の50/50水/エタノール損傷1時間ΔL;(b)試験方法EN 12720/DIN 68861-1を使用して1~5の尺度内の3~5の耐薬品性等級(R);および(c)携帯型Spectro-Guide 45/0比色計および以下の実施例に記載する方法を用いて測定して、5.0単位未満(または4.5単位未満)のフィルム明澄度ΔL
【0086】
いくつかの望ましい態様において、本明細書に記載されるシリカベースの艶消し配合物(すなわち、本明細書に記載される低細孔容積シリカ粒子と高細孔容積シリカ粒子のブレンド)を、3.0~30.0単位、より好ましくは5.0~20.0単位、より好ましくは10.0~15.0単位(例えば12.5単位)の60°光沢度を達成するのに十分な量で含むコーティング組成物は、平滑で非浸透性の普通黒色チャート紙上に施用して乾燥した場合、以下の1以上またはすべてを示すフィルムを形成する:(a)携帯型Spectro-Guide 45/0比色計および以下の実施例に記載する方法を用いて測定して、4.0単位未満(または、0.1単位の増分で4.0単位未満の値の任意の範囲、例えば、約2.5単位~約3.8単位)の50/50水/エタノール損傷1時間ΔL;(b)試験方法EN 12720/DIN 68861-1を使用して1~5の尺度内の3~5の耐薬品性等級(R);および(c)携帯型Spectro-Guide 45/0比色計および以下の実施例に記載する方法を用いて測定して、4.5単位未満のフィルム明澄度ΔL
【0087】
いかなる特定の理論にも束縛されることを望まないが、改善されたシリカベースの艶消し配合物、ならびに得られる組成物およびフィルムに起因する改善された耐薬品性の特性は、以下の要因のうちの1以上に起因し得るという仮説が立てられる:1)コーティングされたワックスは、存在する場合、多孔質シリカ粒子の細孔を少なくとも部分的に満たし、これにより、溶媒への暴露および乾燥中の粒子収縮の低減がもたらされる;2)コーティングされたワックスは、艶消し粒子とラテックスとの間の改善された接着をもたらす;3)コーティングされたワックスは、存在する場合、ワックスコーティングが形成される際に、ワックスコーティングがより良好に流動して亀裂を満たす能力を有する;4)コーティングされたワックスは、存在する場合、粒子を取り囲む領域におけるラテックスの軟化により、ラテックス-粒子界面への応力を低減する;5)ワックスは存在する場合にはフィルムの細孔の少なくともいくつかに拡散し、それによって、水、エタノールまたは他の溶媒のフィルムへの浸透を低減する;6)コーティングされたワックスは、存在する場合、多孔質シリカ粒子の細孔を少なくとも部分的に満たすが、多孔質シリカ粒子の外側表面をさらにコーティングするほど過剰ではない。
【0088】
いかなる特定の理論にも束縛されることを望むものではないが、粒径が同じであると仮定すると、高細孔容積粒子(すなわち、高度に多孔質の粒子)は、そのような粒子を含有するコーティング配合物から作り出されるコーティングされたフィルムにおいて艶消し効果を作り出すのにはるかに効率的であると考えられる。しかしながら、高度に多孔性の粒子は、水のような溶媒に暴露し、続いて乾燥すると、溶媒の毛管力に起因して収縮しやすく、これらの収縮は、粒子と、乾燥フィルム中で粒子と接続しているポリマーバインダーとの間の「間隙」をもたらす。間隙は、光を散乱させ、このようなフィルムに視覚的欠陥を生じさせる。他方、低細孔容積またはより多孔度の低い粒子は艶消し効果を作り出すのに効率的ではないが、収縮する傾向がより少ない。従って、コーティング形成における高細孔容積および低細孔容積粒子のブレンディングは、望ましい艶消し効率および改善された耐薬品性の両方を有するフィルムを結果として提供する。
【0089】
上記のシリカベースの艶消し配合物(すなわち、本明細書に記載される低細孔容積シリカ粒子と高細孔容積シリカ粒子のブレンド)、方法および使用は、1以上の成分または段階を「含んでいる」と記載されているが、上記のシリカ粒子、方法および使用は、シリカ粒子、方法および使用の上記成分または段階のいずれか「を含む」、「からなる」、または「から本質的になる」ことができることを理解すべきである。したがって、本発明またはその一部が、「含んでいる」などのオープンエンドの用語で記載されている場合、本発明またはその一部の説明はまた(特記しない限り)、以下で論じるように、「から本質的になる」または「からなる」という用語またはその変形を使用して、本発明またはその一部を記載していると解釈すべきであることを、容易に理解するべきである。
【0090】
本明細書で使用する場合、用語「含む」、「含んでいる」、「包含する」、「包含している」、「有する」、「有している」、「含有する」、「含有している」、「によって特徴づけられる」、またはそれらの任意の他の変形は、明示的に特記される任意の限定を条件として、列挙された成分の非排他的な包含を含むことが意図される。例えば、要素(例えば、成分または段階)のリストを「含む」シリカベースの艶消し配合物、方法および/または使用は、必ずしもそれらの要素(または成分または段階)のみに限定されず、シリカベースの艶消し配合物、方法および/または使用について明示的に列挙されていない、または固有ではない他の要素(または成分または段階)を含むことができる。
【0091】
本明細書で使用される場合、「からなる」および「からなっている」という移行句は、特定されていない任意の要素、段階、または成分を除外する。例えば、請求項で使用される「からなる」または「からなっている」は、通常関連する不純物(すなわち、所定の成分内の不純物)を除き、その請求項を、その請求項に具体的に列挙される成分、材料または段階に限定する。「からなる」または「からなっている」という語句が、前文の直後ではなく、請求項の主文の条項に見られる場合、「からなる」または「からなっている」という語句は、当該条項に記載される要素(または成文または段階)のみを制限し、他の要素(または成文)は、その請求項全体からは除外されない。
【0092】
本明細書で使用される場合、移行句「から本質的になる」および「から本質的になっている」は、文字通り開示されたものに加えて、材料、段階、特徴、成分、または要素を包含するシリカベースの艶消し化配合物、方法および/または使用を定義するために使用される。ただし、これらの追加の材料、段階、特徴、成分、または要素は、請求項に記載される本発明の基本的および新規な特徴(1以上)に実質的に影響を及ぼさないことを条件とする。「から本質的になっている」という用語は、「含んでいる」と「からなっている」との間の中間領域にある。
【0093】
本発明を以下の実施例によってさらに例示するが、それらは、決してその範囲に限定を課すものとして解釈されるべきではない。反対に、さまざまな他の態様、修正、およびその等価物を用いてもよいことは明確に理解されるべきであり、これは、本明細書の説明を読んだ後に、本発明の精神および/または添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、当業者に想起され得る。
【実施例
【0094】
以下の実施例に、(i)シリカベースの粒子を調製するための本発明によるプロセス、(ii)シリカベースの粒子の評価およびコーティング組成物中の粒子のブレンディング、ならびに(iii)これらの評価からの結果について記載する。
【0095】
本明細書に記載する実施例において、艶消し配合物は、シリカ粒子、またはシリカ/ワックス複合体、またはワックス粒子からなっていた。これらのシリカ粒子は、シリカゲル、沈降シリカ、およびヒュームドシリカであり得た。これらの粒子の調製は、当技術分野で周知であった。これらのシリカ粒子は一般に、W. R. Grace & Co.(米国、メリーランド州、コロンビア)またはEvonik Industries AG(ドイツ、エッセン)のようなさまざまな供給業者から市販されている。ワックスベースの艶消し配合物も市販されており、例えば、CERAFLOUR(登録商標)929(C929)は、BYK USA Inc.(米国、コネティカット州、ウォリンフォード)から購入することができる。
【0096】
実施例で報告される粒径は、ASTM B822-10に従ってMalvern Instruments Ltd.から入手可能なMalvern Mastersizer 3000を使用する光散乱によって決定した。メジアン粒径(D50)を報告した。D50は、体積分布をこの値の上半分および下半分で分割するミクロン単位のサイズである。
【0097】
以下の実施例で使用したコーティング配合物、ドローダウン手順および光沢(艶消し効率)、ならびに耐薬品性の測定方法を、以下に記載した。また、シリカ/ワックス複合体の調製、ならびに粒子の細孔容積の測定手順を示した。
【0098】
手順1-コーティング組成物の試験のための原液の形成
以下の表1に列挙する成分を、以下に記載するように組み合わせて、以下で論じるコーティング組成物を試験するための原液を形成した。
【0099】
【表1】
【0100】
77.43グラム(g)のNEOCRYL(登録商標)KX12および5.53gの脱イオン水を第1の容器中で混合した。8.85gのDOWANOLTM PDnBおよび5.54gの脱イオン水を第2の容器中で混合した。次に、第2の容器の内容物を第1の容器にゆっくりと注ぎ入れた。混合物を、幅30mmのブレードを有するGardner Company(フロリダ州、ポンパノビーチ)製のDISPERMAT(登録商標)分散機を用いて、1500rpmで15分間分散させた。
【0101】
0.55gのBYK(登録商標)024、1.11gのSURFYNOL(登録商標)104E、および0.22gのRHEOLATE(登録商標)299を第1の容器中の混合物に加えた。その後、混合物を、DISPERMAT(登録商標)分散機を用いて2500rpmで10分間分散させた。
【0102】
0.77gのBYK(登録商標)346を第1の容器中の混合物に加えた。その後、混合物を、DISPERMAT(登録商標)分散機を用いて1000rpmで5分間分散させた。次いで、得られた混合物を、最長1ヶ月保管することができる原液として使用した。
【0103】
手順2-艶消し配合物および原液を含むコーティング組成物の形成
艶消し配合物および手順1の原液を含むコーティング組成物を、以下のように調製した。艶消し配合物を使用する目的は、コーティングしたフィルムの光沢を低下させ、目標60°光沢を10.0~15.0、または12.5に近づけることであった。このレベルの光沢を達成するために、必要とされる艶消し配合物の量は異なる試料ごとにさまざまであり、別個の添加量(loading)対光沢試験から決定した。このような試験からの結果のプロットをしばしば艶消し曲線とよんだ。これらの試験の後、特定の艶消し配合物について12.5の光沢に達するための添加量レベルを計算した。所定量の艶消し配合物または2つの艶消し配合物の混合物を、上記の手順1で形成された所定量の原液に加え、得られた混合物を、DISPERMAT(登録商標)分散機を使用して2500rpmで30分間分散させた後、室温で一晩静置した。
各コーティング組成物を試験するためのドローダウンを、上記のドローダウン手順を用いて2日目(すなわち、所定のコーティング組成物を作製した翌日)に行った。
【0104】
手順3-ドローダウン手順およびドローダウンカード
ドローダウンは、ワイヤサイズが40のGardner Company製の巻線型ラボロッドで実施した。このサイズでは、湿潤フィルムの厚さは約100μmであった。乾燥後、乾燥フィルムの厚さは約30~35μmであった。使用したドローダウンプレートは、Leneta Company,Inc.(ニュージャージー州、モーウォー)製の219×286mmの普通黒色チャート紙であった。各ドローダウンの手順は以下の通りであった:
1.無塵クリーンルームにおいて、ブランクドローダウンプレートを真空ホルダー上に置いた。
2.ピペットを使用して、約2~5mLの十分に混合されたコーティング組成物試料を、試料シートの上部およびその付近に配置した。
3.ドローダウンロッドの端部を速やかに把持した。両手の親指を使用してロッドが試料から離れて反ったり曲がったりしないようにし、ドローダウンロッドを液体プールに通して引き下ろして、試料シートの全体にわたり流体を塗り広げ、計測した。所定のドローダウンを行った後、ドローダウンロッドを、使用後洗浄トレイに浸漬した。
4.ドローダウン後、ドローダウン試料を室温で少なくとも4日間放置して、コーティングされた層を完全に乾燥させた。
5.コーティングされたドローダウンプレートを乾燥した後、耐薬品性、フィルム明澄度、艶消し効率およびコールドチェック試験を、以下の手順を用いて行った。
【0105】
手順4-光沢(艶消し効率)、フィルム明澄度および耐薬品性の測定ならびに試験方法
フィルム光沢の読み取りには、携帯型Micro-TRI-Gloss計測器(BYK-Gardner USA製、メリーランド州、コロンビア)を使用した。60°光沢度を測定し、報告した。
【0106】
フィルム明澄度および化学的損傷チェック(すなわち、以下に記載するΔL)には、携帯型Spectro-Guide 45/0比色計(同様にBYK-Gardner製)を使用した。L値は、所定のコーティングされたフィルム上での比色計の読み取りによって得た。背景が黒色のカード上で、艶消しなしの原液は約7.9のL値を生じた。原液中への艶消し配合物(例えば、シリカ)の添加によりフィルムはより白くなり(すなわち、より高いL値がもたらされる)、艶消ししたフィルムのフィルム明澄度を、新しいL値と、艶消し配合物を含有しない原液から形成されたフィルムからのL値との間の差として定義した。化学的損傷チェックのために、L値を、所定のコーティングされたフィルム上での比色計の読み取りによって得た。用いた耐薬品性試験法は、欧州標準規格EN 12720/DIN 68861-1に記載されているものと同様であった。水中の50v/v%エタノールに対する耐性を試験した。試験は以下のように行った:
1.ドローダウンを、手順2および3に記載したように実施した。コーティングされたドローダウンカードを周囲条件で1週間にわたって乾燥した後、コーティングされたフィルムを耐薬品性について評価した。
2.Fisherブランドの濾紙から円(直径1インチ)を切り取った。
3.円を50/50エタノール/水に30秒間浸した。
4.浸した各円を、乾燥したドローダウンカード上に置き、次いで、蒸発を防ぐために秤量ボートで覆った。
5.1時間後、秤量ボートおよび紙を除去した。
6.接触領域に白色マークが経時的に現れ、一晩の後、Spectro-Guide 45/0比色計を用いてL値を測定した。
7.化学的損傷(耐薬品性に反比例する)は、白色マークのL値(すなわち、少なくとも3つの読み取り値のうちの最大の読み取り値)と、周囲の損傷を受けていないフィルム背景のL値との差(ΔL)として定義した。変化の百分率も計算した。
【0107】
手順5-シリカ/ワックス複合粒子の調製
5.1 湿式プロセス
2.5~10グラムのポリエチレンワックス(Aldrichを含むさまざまな供給業者から市販されている)を、加熱しながら60~100mLのトルエンに溶解した。10gのシリカ(シリカゲルまたは沈降シリカまたはヒュームドシリカ、W. R. Graceを含むさまざまな供給業者から市販されている)粒子をワックス溶液と混合した。混合物を、十分に換気されたヒュームフード内の結晶化皿に一晩放置して、すべてのトルエンを蒸発させた。「乾燥した」残渣を乳鉢乳棒での磨砕にかけて、すべての粒子が500μmのスクリーンを通過できるようにした。次に、ふるい分けされた粒子を130℃で1時間加熱した。乾燥後、粒子を冷却し、分析ミルを用いて粒径をさらに低減させて、粒子が44μmのスクリーン(325メッシュ)を通過できるようにした。ふるい分けされた粒子は、そのままで、例えば塗料配合物に直接使用するのに適していた。
【0108】
5.2-乾式プロセス
4.0kgの多孔質シリカ粒子を、10LのHenscher Mixer中、窒素下で、1.0~4.0kgのポリエチレンワックスと混合した。ミキサーを120℃に2時間加熱した。混合物を3000rpmで2時間混合した。その後、試料を室温まで冷却し、複合体を窒素下で流体エネルギーミルにかけて、粒径を9μm(メジアン粒径)まで小さくした。
【0109】
手順6-シリカおよびシリカ/ワックス複合粒子の窒素細孔容積測定
以下の実施例に記載するように調製したシリカおよびワックスの複合粒子の窒素細孔容積(PV)を、Quantachrome Instrument(フロリダ州、Boynton Beach)から入手可能なAutosorb(登録商標)iQ分析器を使用して測定した。各試料の脱気を65℃(すなわち、約80℃のワックスの融点未満)で4時間行った。窒素の吸着および脱着等温線を、77Kにおいて、窒素圧力を0.01%大気から0.998%大気に上昇させた後、0.998%大気から0.025%大気に低下させて、それぞれ測定した。細孔容積の計算は、AsiQwinTM 5.0バージョンプログラムを用いてBJH理論に基づいて測定した。例えば、Barrett et al., “The Determination of Pore Volume and Area Distributions in Porous Substances. I. Computations from Nitrogen Isotherms”, J. Am. Chem. Soc., 1951, 73 (1), pp 373-380参照。これの主題を、本明細書中で全体として参考として援用する。複合体について測定した細孔容積を、以下に記載する実施例で報告した。
【0110】
艶消し配合物粒子試料
高細孔容積(HPV)および低細孔容積(LPV)シリカ、シリカ/ワックス複合体、ならびに実施例における艶消し配合物に使用される無細孔容積(NPV)ワックス粒子を、以下の表2に列挙する。
【0111】
【表2】
【0112】
表2において、報告した細孔容積(PV)は、手順6に従って測定した。これらの粒子のメジアン粒径も挙げる。HPV-1、HPV-3、HPV-4、LPV-2、LPV-3は、市販のシリカベースの艶消し配合物粒子である。具体的にいうと、HPV-1、HPV-3、およびLPV-2は、列挙した特性を有するSYLOID(登録商標)グレードのシリカゲルベースの艶消し配合物であり、それらは、W. R. Grace & Co.製である。HPV-4は、Evonik製のACEMATT(登録商標)TS100ヒュームドシリカであり、NPV-4は、上記のようにBYK USA製のCERAFLOUR(登録商標)929である。
【0113】
HPV-2、LPV-1およびLPV-3は、手順5を用いて調製したシリカ/ワックス複合粒子である。HPV-1を約22重量%および50重量%のポリエチレンワックスでコーティングして、それぞれHPV-2およびLPV-1を得た。シリカ/ワックス複合体粒子の細孔容積は、出発シリカ粒子の最初の2.0cc/gから1.2および0.2cc/gに低減し、表面積も著しく低減する。LPV-3は約0.6cc/gの初期細孔容積を有するシリカゲル試料であり、22%のポリエチレンワックスでコーティングした。この複合体の細孔容積は約0.2cc/gで、LPV-1の細孔容積と同様である。
【0114】
実施例
異なるタイプの艶消し配合物ブレンドを有するコーティング配合物を手順1に従って調製し(それぞれ配合物の全量100g)、黒色チャート紙上へのコーティングを手順2に従って実施し、コーティングされたフィルムを手順3に従って評価した。以下の実施例で、異なる重量比の高細孔容積粒子および低細孔容積粒子のブレンディングからの比較結果、特定の光沢目標範囲に達するために使用される艶消し配合物の量、コーティングされたフィルムから測定した光沢度、および乾燥したコーティングされたフィルムからの耐薬品性の結果を実証する。
【0115】
実施例1
実施例1では、コーティング配合物中の5つの異なる比率でのHPV-1およびLPV-1のブレンディングを実施し、これらの配合物からのコーティングされたフィルムの評価結果を以下の表3に列挙する。
【0116】
【表3】
【0117】
実施例2
実施例2では、コーティング配合物中の5つの異なる比率でのHPV-2およびLPV-1のブレンディングを実施し、これらの配合物からのコーティングされたフィルムの評価結果を以下の表4に列挙する。
【0118】
【表4】
【0119】
実施例3
実施例3では、コーティング配合物中の5つの異なる比率でのHPV-3およびLPV-1のブレンディングを実施し、これらの配合物からのコーティングされたフィルムの評価結果を以下の表5に列挙する。
【0120】
【表5】
【0121】
実施例4
実施例4では、コーティング配合物中の5つの異なる比率でのHPV-4およびLPV-1のブレンディングを実施し、これらの配合物からのコーティングされたフィルムの評価結果を以下の表6に列挙する。
【0122】
【表6】
【0123】
実施例5
実施例5では、コーティング配合物中の5つの異なる比率でのHPV-3およびLPV-2のブレンディングを実施し、これらの配合物からのコーティングされたフィルムの評価結果を以下の表7に列挙する。
【0124】
【表7】
【0125】
実施例6
実施例6では、コーティング配合物中の5つの異なる比率でのHPV-2およびLPV-3のブレンディングを実施し、これらの配合物からのコーティングされたフィルムの評価結果を以下の表8に列挙する。
【0126】
【表8】
【0127】
実施例7
実施例7では、コーティング配合物中の5つの異なる比率でのHPV-2およびLPV-1のブレンディングを、より多い添加量(したがって、コーティングされたフィルムについて約7.0以下のより低い光沢度)で実施し、これらの配合物からのコーティングされたフィルムの評価結果を以下の表9に列挙する。
【0128】
【表9】
【0129】
実施例1~7から分かるように、一般的な傾向は、ブレンド中のLPV粒子の量が増加すると、同様の光沢に達するのための全艶消し配合物の要件はシリカ光沢レベルに達するためにより高かったが、配合物中のLPV粒子の部分が増大するにつれて、耐薬品性はより良好になった(より小さいΔLの形態で)ということであった。
【0130】
図1は、(a)フィルムを形成するために使用される所定の艶消し配合物ブレンド内の低細孔容積粒子および高細孔容積粒子の量に対する、本発明の代表的艶消し剤(すなわち、実施例1~6からのもの)を含有するフィルムの(i)左のy軸に沿って示される化学的損傷(すなわち、滑らかな実線によって示されるΔL)、および(ii)右のy軸に沿って示される11~14の光沢目標範囲に達するための艶消し剤の重量パーセント要件(すなわち、点線によって示される)のプロットを示す。図1から分かるように、ΔL値(すなわち、耐薬品性)は低細孔容積粒子の量が増加するにつれて低くなり、低細孔容積粒子の量が、低細孔容積粒子および高細孔容積粒子の全重量に基づき約50重量%を超えると、特に低くなる(すなわち、6.0程度以下に低くなる(as low as 6.0 of less))。
【0131】
比較例1
比較例1では、コーティング配合物中の5つの異なる比率でのHPV-4およびNPV-4のブレンディングを実施し、これらの配合物からのコーティングされたフィルムの評価結果を以下の表10に列挙する。
【0132】
【表10】
【0133】
分かるように、現在の一般的な実践において、高細孔容積シリカを純粋なワックスベースの艶消し配合物とブレンディングすると、さまざまな比率の異なるタイプの艶消し配合物で光沢および耐薬品性の目標に達することができる。
【0134】
しかしながら、表10の比較例(すなわち、純粋なワックスベースの艶消し配合物を含有する試料)と比較して、実施例1~6および表3~8のさまざまなブレンド(11~14.4の同様の光沢範囲を有する)のフィルム明澄度の値は概して5.7未満であり、これらのブレンドを使用することによって、純粋なワックスベースの艶消し配合物(6.90程度の高いフィルム明澄度の値を有する)が関与するより不十分なフィルム明澄度の欠点を克服することができる。
【0135】
本発明を限られた数の態様で説明してきたが、これら特定の態様は、本明細書で別段に説明し、特許請求する本発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書の代表的態様を検討すれば、さらなる修正、等価物、および変形が可能であることが、当業者には明らかであろう。実施例および本明細書の残りの部分における部および百分率はすべて、特記しない限り、重量に基づく。さらに、特定のセットの特性、測定単位、条件、物理的状態または百分率を表すものなど、本明細書または特許請求の範囲に列挙される数の任意の範囲は、そのような範囲内に入る任意の数を、そのように列挙される任意の範囲内の数の任意のサブセットを含め、参照または他の方法によって本明細書に文字通り明示的に組み込まれるものであることを意図している。例えば、下限、R、および上限Rを有する数値範囲が開示される場合、範囲内に含まれる任意の数Rが具体的に開示される。とりわけ、範囲内の以下の数Rは具体的に開示される:R=R+k(R-R)、式中、kは、1%の増分での1%~100%の範囲の変数であり、例えば、kは、1%、2%、3%、4%、5%...50%、51%、52%...95%、96%、97%、98%、99%、または100%である。さらに、上記で計算されたRの任意の2つの値によって表される任意の数値範囲もまた、具体的に開示されている。本発明の任意の修正は、本明細書に示され、説明されたものに加えて、前述の説明および添付の図面から当業者には明らかになるのであろう。このような修正は、添付の特許請求の範囲の範囲内にあるものとする。本明細書に引用される刊行物はすべて、その全体を参考として援用する。
本発明は以下の態様を含む。
[1]
水性コーティング組成物のための艶消し配合物であって、該艶消し配合物を水性コーティング組成物中に組み込み、基材上で乾燥してフィルムを形成させたときに、60°光沢度目標において増大した耐薬品性を有するフィルムを提供するのに十分な量の低細孔容積シリカ粒子とブレンドされた高細孔容積シリカ粒子を含む、前記艶消し配合物、該高細孔容積シリカ粒子は、Barrett-Joyner-Halenda(BJH)法によって決定して0.80cc/gより大きいメジアン細孔容積を有し、該低細孔容積シリカ粒子は、BJH法によって決定して0.80cc/g以下のメジアン細孔容積を有する。
[2]
60°光沢度目標が、携帯型Micro-TRI-Gloss計測器を用いて測定して約3.0~約30.0である、[1]に記載の艶消し配合物。
[3]
60°光沢度目標が、携帯型Micro-TRI-Gloss計測器を用いて測定して約5.0~約20.0である、[1]または[2]に記載の艶消し配合物。
[4]
60°光沢度目標が、携帯型Micro-TRI-Gloss計測器を用いて測定して約10.0~約15.0である、[1]~[3]のいずれか一項に記載の艶消し配合物。
[5]
[1]~[4]のいずれか一項に記載の艶消し配合物であって、水性コーティング組成物中に組み込み、基材上に施用したときに、コーティング組成物が、試験方法EN 12720またはDIN68861-1を使用して1~5の尺度内の3~5の耐薬品性等級を有するフィルムを形成することを可能にする、前記艶消し配合物。
[6]
フィルムがクリアコートフィルムである、[1]~[5]のいずれか一項に記載の艶消し配合物。
[7]
基材が木材、プラスチック、または黒色チャート紙である、[1]~[6]のいずれか一項に記載の艶消し配合物。
[8]
水性コーティング組成物が、平滑で非浸透性の普通黒色チャート紙上に施用して乾燥した場合、携帯型Spectro-Guide 45/0比色計を用いて測定して10.0単位以下の50/50水/エタノール損傷1時間ΔL値を有するフィルムを形成する、[1]~[7]のいずれか一項に記載の艶消し配合物。
[9]
水性コーティング組成物が、平滑で非浸透性の普通黒色チャート紙上に施用して乾燥した場合、携帯型Spectro-Guide 45/0比色計を用いて測定して7.0単位以下の50/50水/エタノール損傷1時間ΔL値を有するフィルムを形成する、[1]~[8]のいずれか一項に記載の艶消し配合物。
[10]
水性コーティング組成物が、平滑で非浸透性の普通黒色チャート紙上に施用して乾燥した場合、携帯型Spectro-Guide 45/0比色計を用いて測定して5.0単位以下の50/50水/エタノール損傷1時間ΔL値を有するフィルムを形成する、[1]~[9]のいずれか一項に記載の艶消し配合物。
[11]
水性コーティング組成物が、平滑で非浸透性の普通黒色チャート紙上に施用して乾燥した場合、携帯型Spectro-Guide 45/0比色計を用いて測定して3.0単位以下の50/50水/エタノール損傷1時間ΔL値を有するフィルムを形成する、[1]~[10]のいずれか一項に記載の艶消し配合物。
[12]
水性コーティング組成物が、平滑で非浸透性の普通黒色チャート紙上に施用して乾燥した場合、携帯型Spectro-Guide 45/0比色計を用いて測定して7.0単位以下のフィルム明澄度ΔLを有するフィルムを形成する、[1]~[11]のいずれか一項に記載の艶消し配合物。
[13]
水性コーティング組成物が、平滑で非浸透性の普通黒色チャート紙上に施用して乾燥した場合、携帯型Spectro-Guide 45/0比色計を用いて測定して6.0単位以下のフィルム明澄度ΔLを有するフィルムを形成する、[1]~[12]のいずれか一項に記載の艶消し配合物。
[14]
水性コーティング組成物が、平滑で非浸透性の普通黒色チャート紙上に施用して乾燥した場合、携帯型Spectro-Guide 45/0比色計を用いて測定して5.0単位以下のフィルム明澄度ΔLを有するフィルムを形成する、[1]~[13]のいずれか一項に記載の艶消し配合物。
[15]
水性コーティング組成物が、平滑で非浸透性の普通黒色チャート紙上に施用して乾燥した場合、携帯型Spectro-Guide 45/0比色計を用いて測定して4.5単位以下のフィルム明澄度ΔLを有するフィルムを形成する、[1]~[14]のいずれか一項に記載の艶消し配合物。
[16]
前記低細孔容積シリカ粒子および前記高細孔容積シリカ粒子の全重量に基づき、前記低細孔容積シリカ粒子が約1.0重量%(wt%)~約99.0重量%の量で存在し、前記高細孔容積シリカ粒子が約99.0重量%~約1.0重量%の量で存在する、[1]~[15]のいずれか一項に記載の艶消し配合物。
[17]
前記低細孔容積シリカ粒子および前記高細孔容積シリカ粒子の全重量に基づき、前記低細孔容積シリカ粒子が約50.0重量%~約98.0重量%の量で存在し、前記高細孔容積シリカ粒子が約50.0重量%~約2.0重量%の量で存在する、[1]~[16]のいずれか一項に記載の艶消し配合物。
[18]
前記低細孔容積シリカ粒子および前記高細孔容積シリカ粒子の全重量に基づき、前記低細孔容積シリカ粒子が約60.0重量%~約95.0重量%の量で存在し、前記高細孔容積シリカ粒子が約40.0重量%~約5.0重量%の量で存在する、[1]~[17]のいずれか一項に記載の艶消し配合物。
[19]
低細孔容積シリカ粒子の細孔容積が、高細孔容積シリカ粒子の細孔容積と少なくとも0.1cc/g異なる、[1]~[18]のいずれか一項に記載の艶消し配合物。
[20]
前記低細孔容積シリカ粒子の細孔容積が、前記高細孔容積シリカ粒子のメジアン細孔容積より少なくとも0.2cc/g小さい、[1]~[19]のいずれか一項に記載の艶消し配合物。
[21]
前記低細孔容積シリカ粒子の細孔容積が、前記高細孔容積シリカ粒子の細孔容積より少なくとも0.50cc/g小さい、[1]~[20]のいずれか一項に記載の艶消し配合物。
[22]
前記低細孔容積シリカ粒子の細孔容積が、前記高細孔容積シリカ粒子の細孔容積より少なくとも0.80cc/g小さい、[1]~[21]のいずれか一項に記載の艶消し配合物。
[23]
前記低細孔容積シリカ粒子が、BJH法によって決定して約0.01cc/g~約0.79cc/gの細孔容積を有する、[1]~[22]のいずれか一項に記載の艶消し配合物。
[24]
前記低細孔容積シリカ粒子が、BJH法によって決定して約0.01cc/g~約0.60cc/gの細孔容積を有する、[1]~[23]のいずれか一項に記載の艶消し配合物。
[25]
前記高細孔容積シリカ粒子が、BJH法によって決定して約0.80cc/g~約2.40cc/gの細孔容積を有する、[1]~[24]のいずれか一項に記載の艶消し配合物。
[26]
前記高細孔容積シリカ粒子が、Barrett-Joyner-Halenda(BJH)法によって決定して約0.90cc/g~約2.00cc/gの細孔容積を有する、[1]~[25]のいずれか一項に記載の艶消し配合物。
[27]
前記高細孔容積シリカ粒子および前記低細孔容積シリカ粒子が本質的にシリカからなる、[1]~[26]のいずれか一項に記載の艶消し配合物。
[28]
前記低細孔容積シリカ粒子が、前記低細孔容積シリカ粒子の細孔を少なくとも部分的に満たすのに十分な量の1以上の第1のワックスをさらに含む、[1]~[26]のいずれか一項に記載の艶消し配合物。
[29]
前記低細孔容積シリカ粒子が、前記低細孔容積シリカ粒子の全重量に基づき約5.0重量%~約65.0重量%未満の前記1以上の第1のワックスを含む、[28]に記載の艶消し配合物。
[30]
前記低細孔容積シリカ粒子が、前記低細孔容積シリカ粒子の全重量に基づき約10.0重量%~約60.0重量%未満の前記1以上の第1のワックスを含む、[28]または[29]に記載の艶消し配合物。
[31]
前記低細孔容積シリカ粒子が、前記低細孔容積シリカ粒子の全重量に基づき約15.0重量%~約55.0重量%未満の前記1以上の第1のワックスを含む、[28]~[30]のいずれか一項に記載の艶消し配合物。
[32]
前記高細孔容積シリカ粒子が、高細孔容積シリカ粒子の細孔を少なくとも部分的に満たすのに十分な量の1以上の第2のワックスをさらに含む、[1]~[26]および[28]~[31]のいずれか一項に記載の艶消し配合物。
[33]
前記高細孔容積シリカ粒子が、前記高細孔容積シリカ粒子の全重量に基づき約5.0重量%~約65.0重量%未満の前記1以上の第2のワックスを含む、[32]に記載の艶消し配合物。
[34]
前記高細孔容積シリカ粒子が、前記高細孔容積シリカ粒子の全重量に基づき約10.0重量%~約60.0重量%未満の前記1以上の第2のワックスを含む、[32]または[33]に記載の艶消し配合物。
[35]
前記高細孔容積シリカ粒子が、前記高細孔容積シリカ粒子の全重量に基づき約15.0重量%~約55.0重量%未満の前記1以上の第2のワックスを含む、[32]~[34]のいずれか一項に記載の艶消し配合物。
[36]
前記1以上の第1のワックスおよび前記1つ以上の第2のワックスの各々が、独立して、炭化水素ワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、植物ワックス、動物ワックス、またはそれらの任意の組み合わせを含む、[28]~[35]のいずれか一項に記載の艶消し配合物。
[37]
前記1以上の第1のワックスおよび前記1以上の第2のワックスの各々が、独立して、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、またはそれらの組み合わせを含む、[28]~[36]のいずれか一項に記載の艶消し配合物。
[38]
前記1以上の第1のワックスおよび前記1以上の第2のワックスの各々が、独立して、少なくとも2000の平均分子量を有するポリエチレンワックスを含む、[28]~[37]のいずれか一項に記載の艶消し配合物。
[39]
前記1以上の第1のワックスおよび前記1以上の第2のワックスの各々が、同一の1以上のワックスを含む、[28]~[38]のいずれか一項に記載の艶消し配合物。
[40]
前記低細孔容積シリカ粒子および前記高細孔容積シリカ粒子の各々が、独立して、シリカゲル、沈降シリカ、ヒュームドシリカ粒子、またはそれらの任意の組み合わせを含む、[1]~[39]のいずれか一項に記載の艶消し配合物。
[41]
前記低細孔容積シリカ粒子および前記高細孔容積シリカ粒子の各々が、独立して、シリカゲル粒子を含む、[1]~[40]のいずれか一項に記載の艶消し配合物。
[42]
前記低細孔容積シリカ粒子および前記高細孔容積シリカ粒子が、独立して、約1.0ミクロン(μm)~約50.0μmのメジアン粒径を有する、[1]~[41]のいずれか一項に記載の艶消し配合物。
[43]
前記低細孔容積粒子および前記高細孔容積粒子が、独立して、約3.0μm~約15.0μmのメジアン粒径を有する、[1]~[42]のいずれか一項に記載の艶消し配合物。
[44]
前記低細孔容積シリカ粒子および前記高細孔容積シリカ粒子が自由流動性粒子である、[1]~[43]のいずれか一項に記載の艶消し配合物。
[45]
[1]~[44]のいずれか一項に記載の艶消し配合物を調製する方法であって、低細孔容積シリカ粒子と高細孔容積シリカ粒子を組み合わせて、低細孔容積シリカ粒子と高細孔容積シリカ粒子のブレンドを形成することを含む、前記方法。
[46]
さらに、低細孔容積シリカ粒子を1以上の第1のワックスと接触させることを含む、[45]に記載の方法。
[47]
さらに、高細孔容積シリカ粒子を1以上の第2のワックスと接触させることを含む、[45]または[46]に記載の方法。
[48]
前記接触段階が、
1以上の第1または第2のワックスを1以上の溶媒に溶解または分散させて、1以上の懸濁液または分散液を形成し;
低細孔容積シリカ粒子または高細孔容積シリカ粒子を1以上の懸濁液または分散液中に組み込み;そして
1以上の懸濁液または分散液から溶媒を除去する;
ことを含む、[46]または[47]に記載の方法。
[49]
前記接触段階が、
1以上の第1または第2のワックスを溶融して1以上の溶融液体を形成し;そして
低細孔容積シリカ粒子または高細孔容積シリカ粒子を1以上の溶融液体中に組み込む;
ことを含む、[46]または[47]に記載の方法
[50]
前記接触段階が、(a)1以上の第1または第2のワックス、および(b)低細孔容積シリカ粒子または高細孔容積シリカ粒子を、加熱しつつ同時に混合および/またはミル粉砕することを含む、[46]または[47]に記載の方法。
[51]
さらに、低細孔容積シリカ粒子または高細孔容積シリカ粒子の粒径を低減させて、100ミクロン(μm)未満の最終粒径を有するシリカ粒子を得ることを含む、[45]~[50]のいずれか一項に記載の方法。
[52]
さらに、
約500ミクロン(μm)未満の第1の粒径を有する低細孔容積シリカ粒子または高細孔容積シリカ粒子を形成し;
低細孔容積シリカ粒子または高細孔容積シリカ粒子を高温で熱処理時間にわたり熱処理し;
熱処理された低細孔容積シリカ粒子または熱処理された高細孔容積シリカ粒子を放置して冷却し;そして
熱処理された低細孔容積シリカ粒子または熱処理された高細孔容積シリカ粒子を、約100μm未満の最終粒径がもたらされるようにミル粉砕する;
ことを含む、[45]~[50]のいずれか一項に記載の方法。
[53]
低細孔容積シリカ粒子または高細孔容積シリカ粒子を約90℃~約140℃の範囲の高温で熱処理し、熱処理時間が約1.0時間(hr)~約4.0時間の範囲である、[52]に記載の方法。
[54]
高温が約100℃~約130℃の範囲であり、熱処理時間が約1.0時間~約1.5時間の範囲である、[53]に記載の方法。
[55]
前記低減段階が、約45.0μm未満の最終粒径を有する低細孔容積シリカ粒子または高細孔容積シリカ粒子をもたらす、[51]に記載の方法。
[56]
[1]~[44]のいずれか一項に記載の艶消し配合物を含むコーティング組成物。
[57]
前記コーティング組成物が水性組成物を含む、[56]に記載のコーティング組成物。
[58]
コーティング組成物を基材上で乾燥してフィルムを形成させる場合、該フィルムが、携帯型Micro-TRI-Gloss計測器を用いて測定して約5.0~約20.0の60°光沢度を有する、[56]または[57]に記載のコーティング組成物。
[59]
コーティング組成物を基材上で乾燥してフィルムを形成させる場合、該フィルムが、携帯型Micro-TRI-Gloss計測器を用いて測定して約10.0~約15の60°光沢度を有する、[56]~[58]のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
[60]
コーティング組成物を基材上で乾燥させてフィルムを形成する場合、フィルムが、試験方法EN 12720またはDIN68861-1を使用して1~5の尺度内の3~5の耐薬品性等級を有する、[56]~[59]のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
[61]
フィルムがクリアコートフィルムである、[56]~[60]のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
[62]
基材が木材、プラスチック、または黒色チャート紙である、[56]~[61]のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
[63]
平滑で非浸透性の普通黒色チャート紙上に施用して乾燥した場合、携帯型Spectro-Guide 45/0比色計を用いて測定して10.0単位以下の50/50水/エタノール損傷1時間ΔL値を有するフィルムを形成する、[56]~[62]のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
[64]
平滑で非浸透性の普通黒色チャート紙上に施用して乾燥した場合、携帯型Spectro-Guide 45/0比色計を用いて測定して7.0単位以下の50/50水/エタノール損傷1時間ΔL値を有するフィルムを形成する、[56]~[63]のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
[65]
平滑で非浸透性の普通黒色チャート紙上に施用して乾燥した場合、携帯型Spectro-Guide 45/0比色計を用いて測定して5.0単位以下の50/50水/エタノール損傷1時間ΔL値を有するフィルムを形成する、[56]~[64]のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
[66]
平滑で非浸透性の普通黒色チャート紙上に施用して乾燥した場合、携帯型Spectro-Guide 45/0比色計を用いて測定して3.0単位以下の50/50水/エタノール損傷1時間ΔL値を有するフィルムを形成する、[56]~[65]のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
[67]
平滑で非浸透性の普通黒色チャート紙上に施用して乾燥した場合、携帯型Spectro-Guide 45/0比色計を用いて測定して7.0単位以下のフィルム明澄度ΔLを有するフィルムを形成する、[56]~[66]のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
[68]
平滑で非浸透性の普通黒色チャート紙上に施用して乾燥した場合、携帯型Spectro-Guide 45/0比色計を用いて測定して6.0単位以下のフィルム明澄度ΔLを有するフィルムを形成する、[56]~[67]のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
[69]
平滑で非浸透性の普通黒色チャート紙上に施用して乾燥した場合、携帯型Spectro-Guide 45/0比色計を用いて測定して5.0単位以下のフィルム明澄度ΔLを有するフィルムを形成する、[56]~[68]のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
[70]
平滑で非浸透性の普通黒色チャート紙上に施用して乾燥した場合、携帯型Spectro-Guide 45/0比色計を用いて測定して4.5単位以下のフィルム明澄度ΔLを有するフィルムを形成する、[56]~[69]のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
[71]
前記低細孔容積シリカ粒子および前記高細孔容積シリカ粒子の全重量に基づき、前記低細孔容積シリカ粒子が約1.0重量%(wt%)~約99.0重量%の量で存在し、前記高細孔容積シリカ粒子が約99.0重量%~約1.0重量%の量で存在する、[56]~[70]のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
[72]
前記低細孔容積シリカ粒子および前記高細孔容積シリカ粒子の全重量に基づき、前記低細孔容積シリカ粒子が約50.0重量%~約98.0重量%の量で存在し、前記高細孔容積シリカ粒子が約50.0重量%~約2.0重量%の量で存在する、[56]~[71]のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
[73]
前記低細孔容積シリカ粒子および前記高細孔容積シリカ粒子の全重量に基づき、前記低細孔容積シリカ粒子が約60.0重量%~約95.0重量%の量で存在し、前記高細孔容積シリカ粒子が約40.0重量%~約5.0重量%の量で存在する、[56]~[72]のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
[74]
低細孔容積シリカ粒子の細孔容積が、高細孔容積シリカ粒子の細孔容積と少なくとも0.1cc/g異なる、[56]~[73]のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
[75]
前記低細孔容積シリカ粒子の細孔容積が、前記高細孔容積シリカ粒子のメジアン細孔容積より少なくとも0.2cc/g小さい、[56]~[74]のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
[76]
前記低細孔容積シリカ粒子の細孔容積が、前記高細孔容積シリカ粒子の細孔容積より少なくとも0.50cc/g小さい、[56]~[75]のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
[77]
前記低細孔容積シリカ粒子の細孔容積が、前記高細孔容積シリカ粒子の細孔容積より少なくとも0.80cc/g小さい、[56]~[76]のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
[78]
前記低細孔容積シリカ粒子が、BJH法によって決定して約0.01cc/g~約0.79cc/gの細孔容積を有する、[56]~[77]のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
[79]
前記低細孔容積シリカ粒子が、BJH法によって決定して約0.01cc/g~約0.60cc/gの細孔容積を有する、[56]~[78]のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
[80]
前記高細孔容積シリカ粒子が、BJH法によって決定して約0.80cc/g~約2.40cc/gの細孔容積を有する、[56]~[79]のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
[81]
前記高細孔容積シリカ粒子が、Barrett-Joyner-Halenda(BJH)法によって決定して約0.90cc/g~約2.00cc/gの細孔容積を有する、[56]~[80]のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
[82]
前記高細孔容積シリカ粒子および前記低細孔容積シリカ粒子が本質的にシリカからなる、[56]~[81]のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
[83]
前記低細孔容積シリカ粒子が、前記低細孔容積シリカ粒子の細孔を少なくとも部分的に満たすのに十分な量の1以上の第1のワックスをさらに含む、[56]~[81]のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
[84]
前記低細孔容積シリカ粒子が、前記低細孔容積シリカ粒子の全重量に基づき約5.0重量%~約65.0重量%未満の前記1以上の第1のワックスを含む、[83]に記載のコーティング組成物。
[85]
前記低細孔容積シリカ粒子が、前記低細孔容積シリカ粒子の全重量に基づき約10.0重量%~約60.0重量%未満の前記1以上の第1のワックスを含む、[83]または[84]に記載のコーティング組成物。
[86]
前記低細孔容積シリカ粒子が、前記低細孔容積シリカ粒子の全重量に基づき約15.0重量%~約55.0重量%未満の前記1以上の第1のワックスを含む、[83]~[85]のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
[87]
前記高細孔容積シリカ粒子が、高細孔容積シリカ粒子の細孔を少なくとも部分的に満たすのに十分な量の1以上の第2のワックスをさらに含む、[56]~[81]および[83]~[84]のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
[88]
前記高細孔容積シリカ粒子が、前記高細孔容積シリカ粒子の全重量に基づき約5.0重量%~約65.0重量%未満の前記1以上の第2のワックスを含む、[87]に記載のコーティング組成物。
[89]
前記高細孔容積シリカ粒子が、前記高細孔容積シリカ粒子の全重量に基づき約10.0重量%~約60.0重量%未満の前記1以上の第2のワックスを含む、[87]または[88]に記載のコーティング組成物。
[90]
前記高細孔容積シリカ粒子が、前記高細孔容積シリカ粒子の全重量に基づき約15.0重量%~約55.0重量%未満の前記1以上の第2のワックスを含む、[87]~[89]のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
[91]
前記1以上の第1のワックスおよび前記1以上の第2のワックスの各々が、独立して、炭化水素ワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、植物ワックス、動物ワックス、またはそれらの任意の組み合わせを含む、[83]~[90]のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
[92]
前記1以上の第1のワックスおよび前記1以上の第2のワックスの各々が、独立して、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、またはそれらの組み合わせを含む、[83]~[91]のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
[93]
前記1以上の第1のワックスおよび前記1以上の第2のワックスの各々が、独立して、少なくとも2000の平均分子量を有するポリエチレンワックスを含む、[83]~[92]のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
[94]
前記1以上の第1のワックスおよび前記1以上の第2のワックスの各々が、同じ1以上のワックスを含む、[83]~[93]のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
[95]
前記低細孔容積シリカ粒子および前記高細孔容積シリカ粒子の各々が、独立して、シリカゲル、沈降シリカ、ヒュームドシリカ粒子、またはそれらの任意の組み合わせを含む、[56]~[94]のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
[96]
前記低細孔容積シリカ粒子および前記高細孔容積シリカ粒子の各々が、独立して、シリカゲル粒子を含む、[56]~[95]のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
[97]
前記低細孔容積シリカ粒子および前記高細孔容積シリカ粒子が、独立して、約1.0ミクロン(μm)~約50.0μmのメジアン粒径を有する、[56]~[96]のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
[98]
前記低細孔容積粒子および前記高細孔容積粒子が、独立して、約3.0μm~約15.0μmのメジアン粒径を有する、[56]~[97]のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
[99]
前記低細孔容積シリカ粒子および前記高細孔容積シリカ粒子が自由流動性粒子である、[56]~[98]のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
[100]
前記コーティング組成物が、前記コーティング組成物の全重量に基づき最大約16.0重量%の前記艶消し配合物を含む、[56]~[99]のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
[101]
前記コーティング組成物が、前記コーティング組成物の全重量に基づき約5.0重量%~約15.0重量%の前記艶消し配合物を含む、[56]~[100]のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
[102]
前記コーティング組成物が、前記コーティング組成物の全重量に基づき約7.5重量%~約12.5重量%の前記艶消し配合物を含む、[56]~[101]のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
[103]
[56]~[102]のいずれか一項に記載のコーティング組成物でコーティングされた基材。
[104]
前記基材が木材、プラスチック、または黒色チャート紙を含む、[103]に記載の基材。
[105]
木材またはプラスチック基材に施用される水系組成物の耐薬品性の改善方法であって、
[1]~[44]のいずれか一項に記載の艶消し配合物をコーティング組成物中に組み込み;
該コーティング組成物を木材またはプラスチック基材の少なくとも1つの表面上に施用してコーティングを形成し;そして
コーティングを乾燥させて、木材またはプラスチック基材の少なくとも1つの表面上にフィルムを形成する;
ことを含む前記方法。
[106]
フィルムがクリアコートフィルムである、[105]に記載の方法。

図1