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特許7353472凍結乾燥用モールドおよびこれを用いる水溶性高分子球の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-21
(45)【発行日】2023-09-29
(54)【発明の名称】凍結乾燥用モールドおよびこれを用いる水溶性高分子球の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/36 20060101AFI20230922BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20230922BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20230922BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230922BHJP
   A61K 6/60 20200101ALI20230922BHJP
   A61L 15/12 20060101ALI20230922BHJP
   A61L 31/04 20060101ALI20230922BHJP
   C08J 9/28 20060101ALI20230922BHJP
   C12N 5/00 20060101ALI20230922BHJP
   B01J 2/22 20060101ALI20230922BHJP
   F26B 5/10 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
A61K47/36
A61K47/42
A61K8/73
A61K45/00
A61K6/60
A61L15/12 100
A61L31/04 120
C08J9/28 101
C08J9/28 CEP
C12N5/00
B01J2/22
F26B5/10
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022515711
(86)(22)【出願日】2020-09-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-10
(86)【国際出願番号】 KR2020011908
(87)【国際公開番号】W WO2021049822
(87)【国際公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-03-09
(31)【優先権主張番号】10-2019-0111947
(32)【優先日】2019-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517016163
【氏名又は名称】ジェネウェル シーオー.,エルティーディー.
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100124453
【弁理士】
【氏名又は名称】資延 由利子
(74)【代理人】
【識別番号】100135208
【弁理士】
【氏名又は名称】大杉 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100183656
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100224786
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 卓之
(74)【代理人】
【識別番号】100225015
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 彩夏
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,マン クン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ミン ギュ
【審査官】田澤 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-174505(JP,A)
【文献】特表2008-528777(JP,A)
【文献】特開平05-245848(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 47/00-47/69
8/73
45/00
6/60
A61L 15/12
31/04
C08J 9/28
C12N 5/00
B01J 2/22
F26B 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面に複数本の第1の収容溝が形成され、上面には前記第1の収容溝とそれぞれ連通できるように排出部が形成される第1のモールドと、
上面に複数本の第2の収容溝が形成されて前記第1のモールドと向かい合って結合されながら前記第1の収容溝と第2の収容溝とが一つの収容部をなす第2のモールドと、
を備え、
前記第1のモールドは、前記第2のモールドよりも熱伝導度が低いことを特徴とする、凍結乾燥用モールド。
【請求項2】
前記第1の収容溝と第2の収容溝は半球状を呈し、前記収容部は球状を呈することを特徴とする、請求項1に記載の凍結乾燥用モールド。
【請求項3】
前記収容部は、直径が5~30mmであることを特徴とする、請求項2に記載の凍結乾燥用モールド。
【請求項4】
前記第1の収容溝と第2の収容溝は、格子状に並べられたことを特徴とする、請求項1に記載の凍結乾燥用モールド。
【請求項5】
前記第1のモールドの底面に嵌合部が段差をなして突設され、前記嵌合部の表面に前記第1の収容溝が形成され、
前記第2のモールドの上面に前記嵌合部が嵌合できるように凹んだ嵌合溝が形成され、前記嵌合溝の内面に前記第2の収容溝が形成されたことを特徴とする、請求項1に記載の凍結乾燥用モールド。
【請求項6】
前記第1のモールドと第2のモールドには、合致する締付孔が少なくとも一本以上形成されて締結部材を介して互いに締め付け合うことが可能であることを特徴とする、請求項1に記載の凍結乾燥用モールド。
【請求項7】
前記第1のモールドは、熱可塑性樹脂を含んでなることを特徴とする、請求項1に記載の凍結乾燥用モールド。
【請求項8】
前記第2のモールドは、金属を含んでなることを特徴とする、請求項1に記載の凍結乾燥用モールド。
【請求項9】
前記第2のモールドは、表面がアノダイズ(Anodizing)処理されたことを特徴とする、請求項8に記載の凍結乾燥用モールド。
【請求項10】
前記アノダイズ(Anodizing)処理された表面にシール(Sealing)、着色またはこれらの両方が施されたことを特徴とする、請求項に記載の凍結乾燥用モールド。
【請求項11】
前記第2のモールドは、上面にフッ素化樹脂およびポリオレフィン樹脂よりなる群から選ばれたいずれか一種以上によりコーティングされたことを特徴とする、請求項810のいずれか一項に記載の凍結乾燥用モールド。
【請求項12】
底面に複数本の第1の収容溝が形成され、上面には前記第1の収容溝とそれぞれ連通できるように排出部が形成される第1のモールドと、上面に複数本の第2の収容溝が形成されて前記第1のモールドと向かい合って結合されながら前記第1の収容溝と第2の収容溝とが一つの収容部をなす第2のモールドと、を結合するステップと、
水溶性高分子溶液を凍結乾燥させるステップと、
結合された第1のモールドおよび第2のモールドを引き離して水溶性高分子球を得るステップと、
を含み、
前記水溶性高分子溶液は、前記第1のモールドと第2のモールドとの結合の前に前記第2のモールドに供給されるか、あるいは、前記結合の後に前記排出部を介して収容部に供給され、
前記第1のモールドは、前記第2のモールドよりも熱伝導度が低いことを特徴とする、水溶性高分子球の製造方法。
【請求項13】
前記水溶性高分子溶液は、ヒアルロン酸系組成物溶液であり、および
前記ヒアルロン酸系組成物溶液は、A)平均分子量100,000ダルトン(Dalton)未満のヒアルロン酸またはヒアルロン酸塩44~93重量%、B-1)平均分子量100,000~1,000,000ダルトン(Dalton)のヒアルロン酸またはヒアルロン酸塩0.5~12重量%、B-2)平均分子量1,000,000ダルトン(Dalton)超えのヒアルロン酸またはヒアルロン酸塩0.1~5重量%、およびC)親水性高分子1~50重量%からなるベース高分子100重量部と、有効成分0.1~25重量部と、を含むが、
前記ヒアルロン酸塩は、ヒアルロン酸ナトリウム、ヒアルロン酸カリウム、ヒアルロン酸カルシウム、ヒアルロン酸マグネシウム、ヒアルロン酸亜鉛、ヒアルロン酸コバルトおよびヒアルロン酸テトラブチルアンモニウムよりなる群から選ばれたいずれか一種以上であり、
前記親水性高分子は、マルトデキストリン、デキストリン、グアガム、キサンタンガム、アラビアガム、カルボキシメチルセルロース、寒天、β-グルカン、フルラン、コラーゲン、アルギン、架橋ヒアルロン酸塩、架橋ヒアルロン酸、キトサン、ヘパリン、ゼラチン、エラスチン、加水分解エラスチン、フィブリン、ラミニン、フィブロネクチン、プロテオグリカン、ヘパラン硫酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸およびケラタン硫酸よりなる群から選ばれたいずれか一種以上であること、
を特徴とする、請求項12に記載の水溶性高分子球の製造方法。
【請求項14】
前記ヒアルロン酸系組成物溶液はオリーブ油脂肪酸セテアリル(Cetearyl Olivate)、オリーブ油脂肪酸エチルヘキシル(Ethylhexyl Olivate)、ヒアルロン酸ヒドロキシプロピルトリモニウム、カプロオイルヒアルロン酸ナトリウム、オレオイルヒアルロン酸ナトリウム、アセチルヒアルロン酸ナトリウム、アルブチン、カジノキエキス、甘草エキス、ゾクズイシ種子エキス、白朮エキス、エチルアスコルビルエーテル、アスコルビルグルコシド、ナイアシンアミド、アスコルビルリン酸マグネシウム、アスコルビン酸およびその誘導体、コウジ酸、グルタチオン、チロシナーゼ、ジオスメチン、メースリグナン、ビタミン類およびその誘導体、アシアチコシド、ユビデカレノン、シャクヤクエキス、ポリエトキシル化レチンアミド、ヒドロキシプロリン、レチノイン酸およびその誘導体、アルファヒドロキシ酸(AHA)、アデノシン、ボトックスおよびその誘導体と、ローズマリー、丁香、柏子仁、キョウオウ、緑茶、黒豆種皮、バラの花葉、シャクヤク根、キキョウ、マメモヤシ、有色大麦種皮、ツバキの花葉、ソバ、グレープフルーツ、甘草、オウレン、オウギ、オウバク、オウゴン、ケイヒ、モクサク、トックリイチゴ、ゴバイシ、イブキ、レンギョウ、トウガラシの葉、ハッカ、ヘビイチゴ、クワ、ドクダミ、マツ、モグサ、ギョセイソウ、エイシュウザクラ、スズタケまたはインゲンマメの茎エキスからなる群から選ばれるいずれか一種以上を含む前記有効成分を含み、および
前記有効成分がベース高分子100重量部に対して0.1~25重量部であること、
を特徴とする、請求項13に記載の水溶性高分子球の製造方法。
【請求項15】
前記凍結乾燥させるステップは、-1℃以下において水溶性高分子溶液を凍結させる凍結ステップと、凍結された水溶性高分子溶液を減圧(Evacuation)下で加温乾燥させる乾燥ステップと、を含むことを特徴とする、請求項12に記載の水溶性高分子球の製造方法。
【請求項16】
底面に嵌合部が段差をなして突設され、前記嵌合部の表面には複数本の半球状の第1の収容溝が格子状に形成され、上面には前記第1の収容溝とそれぞれ連通できるように排出部が形成される第1のモールドと、
上面に前記嵌合部が嵌合できるように凹んだ嵌合溝が形成され、前記嵌合溝の内面には複数本の半球状の第2の収容溝が格子状に形成され、前記第1のモールドとの結合により前記第1の収容溝と第2の収容溝とが一つの球状の収容部となる第2のモールドと、
を備え、
前記第1のモールドと第2のモールドには、合致する締付孔が少なくとも一本以上形成されて締結部材を介して互いに締め付け合うことが可能であり、前記第1のモールドは、前記第2のモールドよりも熱伝導度が低いことを特徴とする、水溶性高分子凍結乾燥用モールド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凍結乾燥用モールドおよびこれを用いる水溶性高分子球の製造方法に係り、さらに詳しくは、凍結乾燥に際して溶液の収縮率が調節されて球状の凍結乾燥物が製造され、製造された凍結乾燥物がモールドから手軽に剥落され、乾燥効率が極大化される凍結乾燥用モールド、およびこれを用いて、ポア孔と分布が揃っており、強度が高い他、表面にフィルムが張らない水溶性高分子球を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水溶性高分子の一種であるヒアルロン酸は、N-アセチル-グルコサミンとD-グルクロン酸とから構成された繰り返し単位が線形状に連結されている多糖類の一種であって、生体高分子物質であり、動物の眼球を満たしている液体から初めて分類されて[Meyer K. et al., Journal of Biology and Chemistry 107 629-34 (1934)]以来、動物の胎盤、関節の滑液(synovial fluid)、胸膜液(pleural fluid)、肌、雄どりの鶏冠などに多量存在すると言われており、ストレプトコッカス属微生物のストレプトコッカス・エクイ、ストレプトコッカス・ズーエピデミクスなどからも産生される。
【0003】
ヒアルロン酸は、生体適合性に優れており、溶液の状態で高い粘弾性の特性を有することから、化粧品添加剤などの化粧品用途だけではなく、眼科用手術補助剤、関節機能改善剤、薬物伝達物質および点眼剤などの多種多様な医薬用途にも広く用いられている。しかしながら、ヒアルロン酸それ自体では、生体内(in vivo)または酸、アルカリなどの条件で分解され易いがゆえに、使用が制限的である。この理由から、ヒアルロン酸を架橋結合(cross-linking)したり、官能基をつけたりする方法を用いて、構造的に安定しているヒアルロン酸誘導体を開発するための取り組みが盛んに行われている(Laurent, T.C., et al., Portland Press Ltd, London, 1998)。
【0004】
また、ヒアルロン酸の物理化学的、生物学的な特性を変形して前記多種多様な用途に適用しようとする試みとして、細胞や組織の培養と移植を目的とする支持体やドラッグデリバリシステムの担体、傷被覆材、歯科用材料、化粧品材料および医療用材料に用いるべく、ヒアルロン酸をスポンジの形状などに製造することが知られている。
【0005】
しかしながら、ヒアルロン酸をスポンジの形状に製造するとき、モールドの位置に応じて収縮率が異なってくるがゆえに、非対称状の製品が作製され、作製されてからもモールドから剥がされ難いが故に回収率が低下し、工程上の難点があり、しかも、強度も低く、表面に薄いフィルムができてヒアルロン酸の物性や活用を阻害してしまうといった不都合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】大韓民国登録特許第2010-0079363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のような従来の技術が抱える不都合を解決すべく、本発明は、凍結乾燥に際して溶液の収縮率が調節されて球状の凍結乾燥物が製造され、製造された凍結乾燥物がモールドから手軽に剥落され、乾燥効率が極大化される凍結乾燥用モールド、およびこれを用いて、ポア孔と分布が揃っており、強度が高い他、表面にフィルムが張らない水溶性高分子球を製造する方法を提供することを目的とする。
【0008】
本発明の前記目的およびその他の目的は、後述する本発明によりいずれも成し遂げることが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を成し遂げるために、本発明は、底面に複数本の第1の収容溝が形成され、上面には前記第1の収容溝とそれぞれ連通できるように排出部が形成される第1のモールドと、上面に複数本の第2の収容溝が形成されて前記第1のモールドと向かい合って結合されながら前記第1の収容溝と第2の収容溝とが一つの収容部をなす第2のモールドと、を備えることを特徴とする凍結乾燥用モールドを提供する。
【0010】
また、本発明は、底面に嵌合部が段差をなして突設され、前記嵌合部の表面には複数本の半球状の第1の収容溝が格子状に形成され、上面には前記第1の収容溝とそれぞれ連通できるように排出部が形成される第1のモールドと、上面に前記嵌合部が嵌合できるように凹んだ嵌合溝が形成され、前記嵌合溝の内面には複数本の半球状の第2の収容溝が格子状に形成され、前記第1のモールドとの結合により前記第1の収容溝と第2の収容溝とが一つの球状の収容部となる第2のモールドと、を備え、前記第1のモールドと第2のモールドには、合致する締付孔が少なくとも一本以上形成されて締結部材を介して互いに締め付け合うことが可能であることを特徴とする水溶性高分子凍結乾燥用モールドを提供する。
【0011】
さらに、本発明は、底面に複数本の第1の収容溝が形成され、上面には前記第1の収容溝とそれぞれ連通できるように排出部が形成される第1のモールドと、上面に複数本の第2の収容溝が形成されて前記第1のモールドと向かい合って結合されながら前記第1の収容溝と第2の収容溝とが一つの収容部をなす第2のモールドと、を結合するステップと、水溶性高分子溶液を凍結乾燥させるステップと、結合された第1のモールドおよび第2のモールドを引き離して水溶性高分子球を得るステップと、を含み、前記水溶性高分子溶液は、前記第1のモールドと第2のモールドとの結合の前に前記第2のモールドに供給されるか、あるいは、前記結合の後に前記排出部を介して収容部に供給されることを特徴とする水溶性高分子球の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、凍結乾燥に際して溶液の収縮率が調節されて球状の凍結乾燥物が製造され、製造された凍結乾燥物がモールドから手軽に剥落され、乾燥効率が極大化される凍結乾燥用モールド、およびこれを用いて、ポア孔と分布が揃っており、強度が高い他、表面にフィルムが張らない水溶性高分子球を製造する方法を提供することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る第1のモールドの底面を示す斜視図である。
図2】本発明に係る第1のモールドの上面を示す平面図である。
図3】本発明に係る第1のモールドの底面を示す平面図である。
図4】本発明に係る第1のモールドの側面を示す側面図である。
図5】本発明に係る第1のモールドの断面を示す断面図である。
図6】本発明に係る第2のモールドの上面を示す斜視図である。
図7】本発明に係る第2のモールドの上面を示す平面図である。
図8】本発明に係る第2のモールドの側面を示す側面図である。
図9】本発明に係る第2のモールドの断面を示す断面図である。
図10】本発明に係る第1のモールドと第2のモールドとが嵌合された凍結乾燥用モールドの断面を示す断面図である。
図11】実施例1、比較例1~7および参照例1において製造されたヒアルロン酸系組成物球をそれぞれ撮影した写真である。
図12】実施例1において凍結乾燥させた後にモールドからヒアルロン酸系組成物球をそれぞれ回収して残った状態を撮影した写真である。ここで、モールドの下端の写真は、回収したヒアルロン酸系組成物球を撮影したものである。
図13】比較例1~7および参照例1において凍結乾燥させた後にモールドからヒアルロン酸系組成物球をそれぞれ回収して残った状態を撮影した写真である。ここで、モールドの下端の写真は、回収したヒアルロン酸系組成物球を撮影したものである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この開示における凍結乾燥用モールドおよびこれを用いる水溶性高分子球の製造方法について詳しく説明する。
【0015】
本発明者らは、下モールドと上モールドとからなる一対の雌雄モールドとしての下モールドと上モールドの構造と熱伝導度などを所定の範囲に調整する場合、これを用いて水溶性高分子溶液であるヒアルロン酸系組成物溶液を凍結乾燥させるとき、収縮率が調節されて所望の形状、すなわち、モールドキャビティ(cavity)と同じ形状の凍結乾燥物が製造され、このようにして製造された凍結乾燥物はまた、ポア径と分布が揃っており、強度が高い他、表面にフィルムが張らないなどといった優れた効果が奏されるということを知見し、これに基づいてさらに研究に取り組んで本発明を完成するに至った。
【0016】
本発明の凍結乾燥用モールドは、底面に複数本の第1の収容溝が形成され、上面には前記第1の収容溝とそれぞれ連通できるように排出部が形成される第1のモールドと、上面に複数本の第2の収容溝が形成されて前記第1のモールドと向かい合って結合されながら前記第1の収容溝と第2の収容溝とが一つの収容部をなす第2のモールドと、を備えることを特徴とする。この場合、所望の形状の凍結乾燥物を手軽にかつ速やかに得ることができるというメリットがある。
【0017】
例えば、前記第1の収容溝と第2の収容溝はそれぞれ半球の形状を呈して、これらの結合により前記収容部は球状を呈することができ、この場合、凍結乾燥物の取り扱い性や活用度が高いというメリットがある。
【0018】
前記収容部は、例えば、直径が5~30mm、好ましくは、5~25mm、より好ましくは、10~20mm、さらに好ましくは、10~15mmであってもよく、この範囲内において凍結乾燥物の取り扱い性や化粧品材料などへの活用度が高いというメリットがある。
【0019】
前記第1の収容溝と第2の収容溝は、好ましくは、格子状に並べられてもよく、この場合、凍結乾燥物の取り扱い性や生産性に優れているという効果がある。
【0020】
好適な例を挙げると、前記第1のモールドの底面に嵌合部が段差をなして突設され、前記嵌合部の表面に前記第1の収容溝が形成され、前記第2のモールドの上面に前記嵌合部が嵌合できるように凹んだ嵌合溝が形成され、前記嵌合溝の内面に前記第2の収容溝が形成されてもよく、この場合、凍結乾燥工程を行い易く、以降の凍結乾燥物を取り扱い易いというメリットがある。
【0021】
前記嵌合溝は、例えば、空き空間の大きさが第1の収容溝の空き空間の大きさに等しいかもしくはそれよりも大きくてもよく、好ましくは、1~2倍であってもよく、この範囲内において凍結乾燥工程を行い易く、対象となる溶液の消失が少ない他、所望の形状の凍結乾燥物が得られるという効果がある。
【0022】
他の例を挙げると、前記嵌合溝は、深さが第1の収容溝の深さに等しいか、あるいは、第1の収容溝の1~2倍であってもよく、具体例を挙げると、第1の収容溝の深さ以上であり、かつ、2.5~15mm、好ましくは、5~12.5mm、より好ましくは、7.5~10mmであってもよく、この範囲内において凍結乾燥工程を行い易く、対象となる溶液の消失が少ない他、所望の形状の凍結乾燥物が得られるという効果がある。
【0023】
前記第1のモールドと第2のモールドには、合致する締付孔が少なくとも一本以上形成されて締結部材を介して互いに締め付け合うことが可能であることが好ましく、より好ましくは、1~5本形成されることであり、この範囲内において凍結乾燥処理が安全に行われ、以降の凍結乾燥物の取り扱いを行い易いというメリットがある。
【0024】
前記第1のモールドは、好ましくは、第2のモールドよりも熱伝導度が低く、より好ましくは、基準温度が20℃であるとき、100W/mK以上差が出ることであり、より好ましくは、150W/mK以上、さらに好ましくは、200W/mK以上、最も好ましくは、200~250W/mK差が出ることであり、この範囲内において、凍結乾燥に際して凍結乾燥の対象となる溶液の収縮率が調節されて所望の形状、すなわち、モールドキャビティと同じ形状の凍結乾燥物が得られ、乾燥効率が極大化されるという効果がある。
【0025】
この開示における熱伝導度は、本発明が属する技術分野において通常的に適用される熱伝導度の測定方法による場合、特に制限されないが、具体例を挙げると、ASTM E1461による非接触式方法を用いて測定してもよい。前記非接触式方法について詳しく説明すると、熱拡散率(α)、比熱(Cp)、密度(ρ)を測定した後、熱伝導度(λ)に換算するが、厚さ(y)、水平(x)の各方向に応じて熱伝導度を考慮することができるというメリットがあり、測定範囲は、0.1~2000W/m・K前後である。
【0026】
前記第1のモールドは、例えば、熱可塑性樹脂を含んでいてもよく、好ましくは、ポリアセタール樹脂およびポリオレフィン樹脂よりなる群から選ばれたいずれか一種以上を含んでなり、より好ましくは、ポリアセタールまたはポリプロピレン樹脂を含んでなり、この場合、凍結乾燥時の乾燥効率が抜群であり、対象となる溶液の収縮率が調節されて球状の凍結乾燥物が得られ、製造された凍結乾燥物がモールドから剥落し易くて回収率が極大化され、ポア径と分布が揃っており、強度が高い他、表面にフィルムが張らない凍結乾燥物を提供することができるという効果がある。
【0027】
前記熱可塑性樹脂は、例えば、1気圧、293Kの条件下で、熱伝導度が100W/mK以下、好ましくは、50W/mK以下、より好ましくは、10W/mK以下、さらに好ましくは、1W/mK以下、より一層好ましくは、0.01~1W/mKであり、この範囲内において凍結乾燥させるときに、凍結乾燥の対象となる溶液の収縮率が調節されて所望の形状、すなわち、モールドキャビティと同じ形状の凍結乾燥物が得られ、乾燥効率が極大化されるという効果がある。
【0028】
前記第2のモールドは、好ましくは、金属を含んでなり、より好ましくは、アルミニウム、ジュラルミン、タングステン、鉄、鋳鉄、炭素鋼、ステンレス鋼、銅、青銅、黄銅、鉛、ニッケル、金および銀よりなる群から選ばれたいずれか一種以上の金属を含んでなり、さらに好ましくは、アルミニウムを含んでなり、この場合、凍結乾燥時の乾燥効率が抜群であり、対象となる溶液の収縮率が調節されて球状の凍結乾燥物が得られ、製造された凍結乾燥物がモールドから剥落し易くて回収率が極大化され、ポア径と分布が揃っており、強度が高い他、表面にフィルムが張らない凍結乾燥物を提供することができるという効果がある。
【0029】
前記金属は、例えば、1気圧、293Kの条件下で熱伝導度が200W/mK以上、好ましくは、210W/mK以上、より好ましくは、220W/mK以上、さらに好ましくは、225W/mK以上、より一層好ましくは、225~250W/mKであり、この範囲内において凍結乾燥させるときに、凍結乾燥の対象となる溶液の収縮率が調節されて所望の形状、すなわち、モールドキャビティと同じ形状の凍結乾燥物が得られ、乾燥効率が極大化されるという効果がある。
【0030】
前記第2のモールドは、表面が、例えば、アノダイズ(Anodizing)処理(アルマイト処理、陽極酸化処理)されたものであってもよく、好ましくは、硬質アノダイズ処理されたものであってもよく、この場合、製造された凍結乾燥物がモールドから剥落し易くて回収率が極大化され、表面にフィルムが張らないというメリットがある。
【0031】
好ましくは、前記アノダイズ(Anodizing)処理された表面にシール(Sealing)、着色またはこれらの両方を施してもよく、より好ましくは、シール処理に際して白色顔料で着色してもよく、この場合、製造された凍結乾燥物がモールドから剥落し易くて回収率が極大化され、表面にフィルムが張らないというメリットがある。
【0032】
この開示におけるアノダイズ処理は、金属の表面を電気的または化学的な方法を用いてアルミナに変化させる工法であって、本発明が属する技術分野において通常的に行う方法による場合に特に制限されない。
【0033】
この開示におけるシール処理は、アノダイズ処理後に金属の表面に形成された皮膜を滑らかにすることであって、本発明が属する技術分野において通常的に行う方法による場合に特に制限されない。
【0034】
この開示における着色処理は、シール処理に際して顔料を投入して光沢のある外観や見栄えのよい外観に仕上げようとすることであって、本発明が属する技術分野において通常的に行う方法による場合に特に制限されない。
【0035】
前記第2のモールドは、好ましくは、上面にフッ素化樹脂およびポリオレフィン樹脂よりなる群から選ばれたいずれか一種以上によりコーティングされたものであってもよく、この場合、製造された凍結乾燥物がモールドから剥落し易くて回収率が極大化され、表面にフィルムが張らないというメリットがある。
【0036】
前記フッ素化樹脂は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニール(PVF)、パーフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、4フッ化エチレン-6フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン4フッ化エチレン共重合体(ETFE)およびエチレンクロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)よりなる群から選ばれたいずれか一種以上であり、この場合、製造された凍結乾燥物がモールドから剥落し易くて回収率が極大化され、表面にフィルムが張らないというメリットがある。
【0037】
前記コーティングは、本発明が属する技術分野において通常的に用いられるウェットコーティングまたはドライコーティングなどによる場合に特に制限されないが、好ましくは、フッ素化樹脂パウダーを熱またはプラズマを用いて直接的に基材の表面にコーティングするドライコーティングであってもよい。
【0038】
前記ポリオレフィン樹脂は、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンまたはこれらの混合であってもよく、この場合、製造された凍結乾燥物がモールドから剥落し易くて回収率が極大化され、表面にフィルムが張らないというメリットがある。
【0039】
本発明の凍結乾燥用モールドは、底面に嵌合部が段差をなして突設され、前記嵌合部の表面には複数本の半球状の第1の収容溝が格子状に形成され、上面には前記第1の収容溝とそれぞれ連通できるように排出部が形成される第1のモールドと、上面に前記嵌合部が嵌合できるように凹んだ嵌合溝が形成され、前記嵌合溝の内面には複数本の半球状の第2の収容溝が格子状に形成され、前記第1のモールドとの結合により前記第1の収容溝と第2の収容溝とが一つの球状の収容部となる第2のモールドと、を備え、前記第1のモールドと第2のモールドには、合致する締付孔が少なくとも一本以上形成されて締結部材を介して互いに締め付け合うことが可能であることを特徴とする。この場合、水溶性高分子溶液の凍結乾燥に際してその収縮率が調節されて球状の乾燥水溶性高分子が得られ、この球状の乾燥水溶性高分子がモールドから剥落し易くて回収率が抜群であり、凍結乾燥効率が極大化され、得られた水溶性高分子球のポア径と分布が揃っており、強度が高いという効果がある。
【0040】
前記凍結乾燥用モールドは、好ましくは、水溶性高分子凍結乾燥用モールドであってもよい。
【0041】
本発明の水溶性高分子球の製造方法は、底面に複数本の第1の収容溝が形成され、上面には前記第1の収容溝とそれぞれ連通できるように排出部が形成される第1のモールドと、上面に複数本の第2の収容溝が形成されて前記第1のモールドと向かい合って結合されながら前記第1の収容溝と第2の収容溝とが一つの収容部をなす第2のモールドと、を結合するステップと、水溶性高分子溶液を凍結乾燥させるステップと、結合された第1のモールドおよび第2のモールドを引き離して水溶性高分子球を得るステップと、を含み、前記水溶性高分子溶液は、前記第1のモールドと第2のモールドとの結合の前に前記第2のモールドに供給されるか、あるいは、前記結合の後に前記排出部を介して収容部に供給され、前記第1のモールドは、前記第2のモールドよりも熱伝導度が低いことを特徴とする。これらのステップを経る場合、凍結乾燥に際して溶液の収縮率が調節されて球状の凍結乾燥物が製造され、製造された凍結乾燥物がモールドから剥落し易くて回収率が極大化され、凍結乾燥効率が抜群であり、製造される凍結乾燥物のポア径と分布が揃っており、強度が高いというメリットがある。
【0042】
前記水溶性高分子球の製造方法は、好ましくは、A)底面に複数本の第1の収容溝が形成され、上面には前記第1の収容溝とそれぞれ連通できるように排出部が形成される第1のモールドと、上面に複数本の第2の収容溝が形成されて前記第1のモールドと向かい合って結合されながら前記第1の収容溝と第2の収容溝とが一つの収容部をなす第2のモールドと、を用意するステップと、B)水溶性高分子溶液を第2のモールドに供給した後、第1のモールドを結合するステップと、C)供給された水溶性高分子溶液を凍結乾燥させるステップと、D)結合された第1のモールドおよび第2のモールドを引き離して水溶性高分子球を得るステップと、を含み、前記第1のモールドは、前記第2のモールドよりも熱伝導度が低いことを特徴とする。これらのステップを経る場合、凍結乾燥に際して溶液の収縮率が調節されて球状の凍結乾燥物が製造され、製造された凍結乾燥物がモールドから剥落し易くて回収率が極大化され、凍結乾燥効率が抜群であり、製造される凍結乾燥物のポア径と分布が揃っており、強度が高いというメリットがある。
【0043】
前記第1のモールドは、好ましくは、底面に嵌合部が段差をなして突設され、前記嵌合部の表面には複数本の半球状の第1の収容溝が格子状に形成され、上面には前記第1の収容溝とそれぞれ連通できるように排出部が形成されてもよい。
【0044】
前記第2のモールドは、好ましくは、上面に前記嵌合部が嵌合できるように凹んだ嵌合溝が形成され、前記嵌合溝の内面には複数本の半球状の第2の収容溝が格子状に形成され、前記第1のモールドとの結合により前記第1の収容溝と第2の収容溝とが一つの球状の収容部を形成してもよい。
【0045】
前記第2のモールドの嵌合溝まで凍結乾燥の対象となる溶液を詰めた後、第2のモールドの上に第1のモールドを結合すると、第1のモールドの第1の収容溝まで凍結乾燥の対象となる溶液が自然に詰められることになり、余分の凍結乾燥の対象となる溶液は前記排出部を介して排出され、かつ、凍結乾燥に際して凍結乾燥の対象物が膨らんだり水分が生じたりしたときであっても、排出部を介して排出したり取り除いたりすることが可能であり、これにより、凍結乾燥工程を行い易く、所望の形状の凍結乾燥物が得られるという効果がある。
【0046】
前記第1のモールドと第2のモールドには、好ましくは、合致する締付孔が少なくとも一本以上形成されて締結部材を介して互いに締め付け合うことが可能である。
【0047】
前記水溶性高分子球の製造方法は、例えば、a)底面に複数本の第1の収容溝が形成され、上面には前記第1の収容溝とそれぞれ連通できるように排出部が形成される第1のモールドと、上面に複数本の第2の収容溝が形成されて前記第1のモールドと向かい合って結合されながら前記第1の収容溝と第2の収容溝とが一つの収容部をなす第2のモールドと、を結合するステップと、b)水溶性高分子溶液を前記排出部を介して前記収容部に供給するステップと、c)前記収容部に供給された水溶性高分子溶液を凍結乾燥させるステップと、d)結合された第1のモールドおよび第2のモールドを引き離して水溶性高分子球を得るステップと、を含むことを特徴とする。これらのステップを経る場合、凍結乾燥に際して溶液の収縮率が調節されて球状の凍結乾燥物が製造され、製造された凍結乾燥物がモールドから剥落し易くて回収率が極大化され、凍結乾燥効率が抜群であり、製造される凍結乾燥物のポア径と分布が揃っており、強度が高いというメリットがある。
【0048】
前記水溶性高分子は、例えば、自然系の水溶性高分子であってもよく、別の例を挙げると、生体合成天然高分子であってもよく、好ましくは、ヒアルロン酸またはこの塩であってもよい。
【0049】
前記水溶性高分子溶液は、例えば、水溶性高分子水溶液であってもよい。
【0050】
前記水溶性高分子溶液は、好ましくは、ヒアルロン酸系化合物と親水性高分子を含むヒアルロン酸系組成物溶液であってもよい。
【0051】
前記水溶性高分子球の製造方法は、例えば、回収率が90%以上、好ましくは、91%以上、より好ましくは、93%以上、さらに好ましくは、95%以上であり、この範囲内において経済性に富んでいるというメリットがある。
【0052】
この開示における「ヒアルロン酸系化合物」とは、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸塩およびこれらの誘導体を網羅するもののことをいい、「ヒアルロン酸またはヒアルロン酸塩」は、ある成分を排除するわけではなく、単に種類を並べたものであり、「ヒアルロン酸とヒアルロン酸塩との混合」という意味もまた含む。
【0053】
前記ヒアルロン酸系組成物溶液は、好適な一実施形態によれば、A)平均分子量100,000ダルトン(Dalton)未満のヒアルロン酸またはヒアルロン酸塩44~93重量%と、B-1)平均分子量100,000~1,000,000ダルトン(Dalton)のヒアルロン酸またはヒアルロン酸塩0.5~12重量%と、B-2)平均分子量1,000,000ダルトン(Dalton)超えのヒアルロン酸またはヒアルロン酸塩0.1~5重量%、およびC)親水性高分子1~50重量%からなるベース高分子100重量部と、有効成分0~25重量部と、を含むが、前記ヒアルロン酸塩は、ヒアルロン酸ナトリウム、ヒアルロン酸カリウム、ヒアルロン酸カルシウム、ヒアルロン酸マグネシウム、ヒアルロン酸亜鉛、ヒアルロン酸コバルトおよびヒアルロン酸テトラブチルアンモニウムよりなる群から選ばれたいずれか一種以上であり、前記親水性高分子は、マルトデキストリン、デキストリン、グアガム、キサンタンガム、アラビアガム、カルボキシメチルセルロース、寒天、アラビアガム、β-グルカン、フルラン、コラーゲン、アルギン、架橋ヒアルロン酸塩、架橋ヒアルロン酸、キトサン、ヘパリン、ゼラチン、エラスチン、加水分解エラスチン、フィブリン、ラミニン、フィブロネクチン、プロテオグリカン、ヘパラン硫酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸およびケラタン硫酸よりなる群から選ばれたいずれか一種以上であり、前記有効成分は、オリーブ油脂肪酸セテアリル(Cetearyl Olivate)、オリーブ油脂肪酸エチルヘキシル(Ethylhexyl Olivate)、ヒアルロン酸ヒドロキシプロピルトリモニウム、カプロオイルヒアルロン酸ナトリウム、オレオイルヒアルロン酸ナトリウム、アセチルヒアルロン酸ナトリウム、アルブチン、カジノキエキス、甘草エキス、ゾクズイシ種子エキス、白朮エキス、エチルアスコルビルエーテル、アスコルビルグルコシド、ナイアシンアミド、アスコルビルリン酸マグネシウム、アスコルビン酸およびその誘導体、コウジ酸、グルタチオン、チロシナーゼ、ジオスメチン、メースリグナン、ビタミン類およびその誘導体、アシアチコシド、ユビデカレノン、シャクヤクエキス、ポリエトキシル化レチンアミド、ヒドロキシプロリン、レチノイン酸およびその誘導体、アルファヒドロキシ酸(AHA)、アデノシン、ボトックスおよびその誘導体と、ローズマリー、丁香、柏子仁、キョウオウ、緑茶、黒豆種皮、バラの花の葉、シャクヤク根、キキョウ、マメモヤシ、有色大麦種皮、ツバキの花の葉、ソバ、グレープフルーツ、甘草、オウレン、オウギ、オウバク、オウゴン、ケイヒ、モクサク、トックリイチゴ、ゴバイシ、イブキ、レンギョウ、トウガラシの葉、ハッカ、ヘビイチゴ、クワ、ドクダミ、マツ、モグサ、ギョセイソウ、エイシュウザクラ、スズタケまたはインゲンマメの茎エキスよりなる群から選ばれるいずれか一種以上を含んでいてもよく、この範囲内において、本発明に係る凍結乾燥用モールドに有利であり、従来、機械的な強度が確保し難かった低い分子量のヒアルロン酸系化合物を用いるにも拘わらず、機械的な強度が抜群であり、ひいては、低い分子量により溶解時間が短いながらも、ベタツキが少ないことから、使い勝手の良さに優れている乾燥ヒアルロン酸系組成物を提供することができるというメリットがある。
【0054】
また、前記ヒアルロン酸系組成物溶液は、好ましくは、A)平均分子量100,000ダルトン(Dalton)未満のヒアルロン酸またはヒアルロン酸塩45~65重量%、B-1)平均分子量100,000~1,000,000ダルトン(Dalton)のヒアルロン酸またはヒアルロン酸塩1~15重量%、B-2)平均分子量1,000,000ダルトン(Dalton)超えのヒアルロン酸またはヒアルロン酸塩0.5~2重量%、およびC)親水性高分子20~50重量%からなるベース高分子100重量部と、有効成分0.1~25重量部と、を含んでいてもよく、この範囲内において、本発明に係る凍結乾燥用モールドに適しており、機械的な強度が抜群であり、低い分子量により溶解時間が短いながらも、ベタツキが少ないことから、使い勝手の良さに優れているという メリットがある。
【0055】
前記ヒアルロン酸塩は、好ましくは、ヒアルロン酸ナトリウムであってもよく、この場合に美肌および傷の治療に有効である。
【0056】
本発明におけるダルトン(Dalton)は、一つの中性12C原子質量の1/12であると定義されてもよい。
【0057】
本発明における平均分子量の算出法について述べると、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)測定により得られたヒアルロン酸および/またはヒアルロン酸塩の各ピークの分子量にピーク面積を乗じた値を算出し、このピークごとに算出した値を積算する。なお、この積算した値を全体のピーク面積で割ることにより、平均分子量を算出することができる。
【0058】
前記水溶性高分子溶液は、例えば、水溶性高分子の総重量を基準として、水が10倍~1,000倍、好ましくは、20倍~500倍、より好ましくは、30倍~200倍、さらに好ましくは、40倍~100倍、より一層好ましくは、40倍~80倍であってもよく、この範囲内において、凍結乾燥の収得率を高めることができるという効果がある。
【0059】
前記ヒアルロン酸系組成物溶液は、例えば、前記A)ヒアルロン酸またはヒアルロン酸塩の総重量を基準として、水が10倍~1,000倍、好ましくは、20倍~500倍、より好ましくは、30倍~200倍、さらに好ましくは、40倍~100倍、より一層好ましくは、40倍~80倍であってもよく、この範囲内において凍結乾燥の収得率を高めることができるという効果がある。
【0060】
前記水は、例えば、水の総重量に対して20重量%未満の範囲内において有機溶媒に置き換えられてもよく、好ましくは、10重量%以下、より好ましくは、5重量%以下の範囲内において置き換えられてもよく、具体例を挙げると、1重量%以上~20重量%未満、好ましくは、1~10重量%、より好ましくは、1~5重量%の範囲内において置き換えられてもよく、この範囲内において、所望の形状に上手に仕上げられ、乾燥効率が良好である他、凍結乾燥の収得率が高まるという効果がある。
【0061】
前記有機溶媒は、好ましくは、アルコールよりなる群から選ばれたいずれか一種以上であり、より好ましくは、エタノールであってもよい。
【0062】
前記水溶性高分子球は、直径が、例えば、3~25mm、好ましくは、5~20mm、より好ましくは、8~15mm、さらに好ましくは、10~12mmであってもよく、この範囲内において、取り扱い性や化粧品の材料などへの活用度が高いというメリットがある。
【0063】
前記水溶性高分子球は、圧縮強度(平均)(N)が、例えば、1以上、好ましくは、2以上、より好ましくは、2.2以上であってもよく、具体例を挙げると、1~5、好ましくは、1.5~4、より好ましくは、2~3であってもよく、この範囲内において、取り扱い性や化粧品の材料などへの活用度が高いというメリットがある。
【0064】
前記水溶性高分子球は、溶ける時間(秒)が、例えば、20秒未満、好ましくは、19秒以下、より好ましくは、18秒以下、さらに好ましくは、18秒未満であってもよく、この範囲内において、取り扱い性や化粧品の材料などへの活用度が高いというメリットがある。
【0065】
前記凍結ステップは、好ましくは、前記水溶性高分子溶液を常圧下で-1~-10℃において10分~60分間凍結させる第1次凍結ステップと、第1次凍結の行われた水溶性高分子溶液を常圧下で-40~-60℃において1時間~10時間かけて降温させる第2次凍結ステップと、第2次凍結の行われた水溶性高分子溶液を常圧下で-40~-60℃において30分~5時間かけて保持する第3次凍結ステップと、を含んでいてもよく、この範囲内において、凍結効率が高く、乾燥水溶性高分子の機械的な強度が抜群であり、溶解時間が短いながらも、ベタツキが少ないことから、使い勝手の良さに優れているというメリットがある。
【0066】
この開示における常圧とは、特に圧力を低めたり高めたりしないときの圧力のことであり、普通、大気圧と同じ圧力である約1気圧の圧力を指すこともあり、具体例を挙げると、1bar±300Paの範囲の圧力を指すこともある。
【0067】
好適な一実施形態を挙げると、前記凍結ステップは、前記水溶性高分子溶液を常圧下で-3~-8℃において20分~40分間凍結させる第1次凍結ステップと、第1次凍結の行われた水溶性高分子溶液を常圧下で-40~-50℃において5時間~9時間かけて降温させる第2次凍結ステップと、第2次凍結の行われた水溶性高分子溶液を常圧下で-40~-50℃において1時間~3時間かけて保持する第3次凍結ステップと、を含んでいてもよく、この範囲内において、凍結効率が高く、製造される乾燥水溶性高分子の機械的な強度が抜群であり、溶解時間が短いながらも、ベタツキが少ないことから、使い勝手の良さに優れているというメリットがある。
【0068】
前記乾燥ステップは、好ましくは、凍結された水溶性高分子溶液を100~1,000μbarの条件下で10~40℃において5時間~30時間かけて段階的にまたは連続的に昇温させる第1次乾燥ステップと、第1次乾燥の行われた水溶性高分子溶液を1~99μbarの条件下で20~50℃において1時間~20時間かけて乾燥させる第2次乾燥ステップと、を含んでいてもよく、この範囲内において、乾燥効率が高く、乾燥水溶性高分子の機械的な強度が抜群であり、溶解時間が短いながらも、ベタツキが少ないことから、使い勝手の良さに優れているというメリットがある。
【0069】
好適な一実施形態を挙げると、前記乾燥ステップは、凍結された水溶性高分子溶液を100~1,000μbarの条件下で順次に-40℃未満~10℃以下において2時間~6時間かけて保持するステップと、-10℃超え~5℃以下において2時間~6時間かけて保持するステップと、-5℃超え~0℃以下において2時間~6時間かけて保持するステップと、0℃超え~10℃以下において30分~2時間かけて保持するステップと、10℃超え~20℃以下において30分~2時間かけて保持するステップと、20℃超え~30℃以下において30分~2時間かけて保持するステップと、30℃超え~45℃以下において30分~2時間かけて保持するステップと、を含んでいてもよく、この範囲内において、乾燥効率が高く、乾燥水溶性高分子溶液の機械的な強度が抜群であり、溶解時間が短いながらも、ベタツキが少ないことから、使い勝手の良さに優れているというメリットがある。
【0070】
前記水溶性高分子溶液の製造方法は、必要に応じて、前記凍結の前に加熱および攪拌して分散させるステップを含んでいてもよい。
【0071】
前記加熱および攪拌は、例えば、5~50℃、好ましくは、10~25℃において行われてもよい。
【0072】
また、前記水溶性高分子溶液の製造方法は、選択的に、前記分散させるステップ後に、ろ過、滅菌またはこれらの両方を行うステップを含んでいてもよい。
【0073】
前記ろ過ステップは、例えば、通孔の直径0.1~5μmの大きさのマイクロフィルター(microfilter)を使って行ってもよく、好ましくは、0.3~1μmの大きさのマイクロフィルターを使って行ってもよく、より好ましくは、0.5~0.8μmの大きさのマイクロフィルターを使って行ってもよい。
【0074】
この開示における通孔の直径は、マイクロフィルターの技術分野において一般的に認められる定義に従ってもよく、かつ、市販中のマイクロフィルター製品に記載の規格に準拠してもよい。
【0075】
前記ろ過および滅菌ステップは、それぞれ、例えば、20~25℃および最大5barの条件下で行ってもよく、好ましくは、20~25℃および1.5~3barの条件下で行ってもよく、より好ましくは、20~25℃および2~3barの条件下で行ってもよい。
【0076】
本発明に係る凍結乾燥に用いられる装置としては、本発明が属する技術分野において通常的に使用可能な装置であって、本発明に係る温度および圧力条件を成し遂げられる装置である場合に特に制限されず、例えば、凍結器(冷凍庫)と真空乾燥器とが分離された分離型凍結乾燥装置や凍結装置、真空装置および加熱器が結合された一体型凍結乾燥装置などであってもよい。
【0077】
以下、本発明に係る凍結乾燥用モールドの好適な実施例について添付図面に基づいて詳しく説明するが、これは、本発明を単に例示するものに過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0078】
下記の図1は、本発明に係る第1のモールド100の底面を示す斜視図であって、嵌合部130が段差をなして突設されており、嵌合部130には複数本の半球状の第1の収容溝110が格子状に並べられて形成されている。なお、第1のモールド100と第2のモールド200とを嵌合して凍結乾燥用モールドをなすときに、これを固定するために第1のモールド100の中心に第1の締付孔140が形成されており、嵌合部130の他の四方の周縁部に第2の締付孔141が形成されている。前記締付孔は、ボルト、ナット、固定ピンなどといった締め付け部材を介して固定されてもよい。
【0079】
図面に具体的に示されてはいないが、第1のモールド100の長さは、概ね280~320mmの範囲内において300mmに、幅は、概ね130~170mmの範囲内において150mmに、高さは、概ね12~18mmの範囲内において16mmに、第1の収容溝110の半径、すなわち、溝の深さは、概ね6~10mmの範囲内において8mmに作製され、この範囲内において、凍結乾燥工程を行い易く、凍結乾燥効率が抜群であり、凍結乾燥物を取り扱い易いという効果がある。
【0080】
また、第1のモールド100の材質は、熱伝導度が低いポリアセタール樹脂(POM樹脂)であって、底面に別途のコーティング処理を施さなくても凍結乾燥に際して溶液の収縮率が調節され易くて球状の凍結乾燥物が製造され易く、かつ、製造された凍結乾燥物がモールドから剥落し易くて原料の回収率が極大化され、製造されたポア径と分布が揃っており、強度が高い他、表面にフィルムが張らないというメリットがある。
【0081】
下記の図2は、本発明に係る第1のモールド100の上面を示す平面図であって、図1に示す第1のモールド100をひっくり返したものであり、第1の収容溝110と連通された複数の排出部120の入り口が形成されている。水溶性高分子溶液が詰められた第2のモールド200の上に第1のモールド100を結合するとき、収容部11の容量を超える水溶性高分子溶液は、前記排出部120を介して排出されてもよく、かつ、凍結乾燥に際して水溶性高分子溶液が膨らんだり縮んだりするとき、前記排出部120を介して余分または不足分の水溶性高分子溶液が出入りすることができ、気化された水分もまた前記排出部120を介して排出されることができる。他の例を挙げると、第1のモールド100と第2のモールド200とを結合した後、前記排出部120を介して第1の収容溝と第2の収容溝との結合により形成されたそれぞれの収容部11に水溶性高分子溶液といった凍結乾燥させようとする溶液を投入してもよい。
【0082】
下記の図3は、本発明に係る第1のモールド100の底面を示す平面図であって、嵌合部130が段差をなして突設されており、嵌合部13には複数本の半球状の第1の収容溝110が格子状に並べられて形成されており、第1の収容溝110の底面には排出部120が連結されている。なお、凍結乾燥用モールド10を固定するために第1のモールド100の中心に第1の締付孔140が形成され、嵌合部130の外の四方の周縁部に第2の締付孔141が形成されている。
【0083】
下記の図4は、本発明に係る第1のモールド100の側面を示す側面図であって、第1の収容溝110が形成された嵌合部130が段差をなして突設されている。
【0084】
下記の図5は、本発明に係る第1のモールド100の断面を示す断面図であって、第1のモールド100の内部に半球状の第1の収容溝110、過剰に凍結乾燥させようとする溶液を排出する排出部120および凍結乾燥用モールド10を固定する第1の締付孔140が形成されている。
【0085】
下記の図6は、本発明に係る第2のモールド200の上面を示す斜視図であって、第1のモールド100に対応して嵌合溝230が刻設されており、嵌合溝230には複数本の半球状の第2の収容溝210が格子状に並べられて形成されている。第2の収容溝210は、第1のモールドの第1の収容溝110と結合して球を形成する。なお、第1のモールド100と第2のモールド200とを結合して凍結乾燥用モールド10をなすとき、これを固定するために、第2のモールド200の中心に第1の締付孔240が形成されており、嵌合溝230の外の四方の周縁部に第2の締付孔241が形成されている。第1のモールド100と第2のモールド200の締付孔は、互いにボルト、ナット、固定ピンなどといった締め付け部材を介して固定されてもよく、これは、収容部11に詰められる水溶性高分子溶液が凍結乾燥の過程において外部に漏れずに収容部に安定的に詰められているようにする。
【0086】
図面に具体的に示されてはいないが、第2のモールド200の長さは、概ね280~320mmの範囲内において300mmに、幅は、概ね130~170mmの範囲内において150mmに、高さは、概ね12~18mmの範囲内において16mmに、第2の収容溝210の半径、すなわち、溝の深さは、概ね6~10mmの範囲内において8mmに、そして、嵌合溝230の深さ(a)は、前記第1の収容溝の深さ以上の範囲内において8mmに作製され、この範囲内において、凍結乾燥工程を行い易く、凍結乾燥効率が抜群であり、凍結乾燥物の取り扱いを行い易い他、所望の形状の凍結乾燥物が得られるというメリットがある。
【0087】
また、第2のモールド200の材質は、熱伝導度の高いアルミニウム金属であり、第2のモールドの全体に白色の硬質アノダイズ処理を施し、上面にはテフロンコーティングを施す。これにより、凍結乾燥に際して溶液の収縮率が調節され易くて球状の凍結乾燥物が製造され、かつ、製造された凍結乾燥物がモールドから剥落し易くて原料の回収率が極大化され、製造された凍結乾燥物のポア径と分布が揃っており、強度が高い他、表面にフィルムが張らないというメリットがある。
【0088】
下記の図7は、本発明に係る第2のモールド200の上面を示す平面図であって、嵌合溝230が段差をなして刻設されており、嵌合溝230には複数本の半球状の第2の収容溝210が格子状に並べられて形成されており、かつ、凍結乾燥用モールド10を固定するために第2のモールド100の中心に第1の締付孔240が形成され、嵌合溝230の外の四方の周縁部に第2の締付孔241が形成されている。
【0089】
下記の図8は、本発明に係る第2のモールド200の側面を示す側面図であって、第2の収容溝210の形成された嵌合溝130が内部に段差をなして刻設されていて、側面からは視認されない。
【0090】
下記の図9は、本発明に係る第2のモールド200の断面を示す断面図であって、第2のモールド200の内部に半球状の第2の収容溝210および凍結乾燥用モールド10を固定する第2の締付孔240が形成されている。
【0091】
下記の図10は、明に係る第1のモールド100と第2のモールド200とが結合された凍結乾燥用モールド10の断面を示す断面図であって、収容部11の内部に過剰の水溶性高分子溶液が排出されたり凍結乾燥に際して水分が気化されて排出されたりする排出部120と、第1の収容溝と第2の収容溝とが結合して球状を呈し、凍結乾燥の対象となる溶液が詰められる収容部と、が形成されており、かつ、第1のモールド100と第2のモールド200の締付孔が結合されて凍結乾燥用モールドを貫通している。
【0092】
以下、本発明の理解への一助となるために好適な実施例を挙げるが、下記の実施例は、単に本発明を例示するものに過ぎず、本発明の範疇および技術的思想の範囲内において種々の変更および修正を行うことができるということは当業者にとって自明であり、このような変更および修正が特許請求の範囲に属するということはいうまでもない。
【0093】
[実施例]
製造例
ヒアルロン酸(HA)低分子である平均分子量10,000ダルトンのヒアルロン酸100重量部、ヒアルロン酸(HA)中分子である平均分子量220,000ダルトンのヒアルロン酸ナトリウム6.5重量部、ヒアルロン酸(HA)高分子である平均分子量1,400,000ダルトンのヒアルロン酸ナトリウム1.5重量部、親水性高分子であるアルギンおよび加水分解コラーゲンの混合物(重量比1:3)27重量部を秤量して反応器内の精製水1Lに徐々にかつ順番に入れ、完全に溶解されるまで攪拌してヒアルロン酸系組成物溶液を製造した。このとき、攪拌は、10~15℃前後において攪拌熱が生じないように細心な注意を払いながら行い、約1時間以上をかけて攪拌して溶解の具合を確認し、反応器の上中下の位置において溶解された溶液をそれぞれ取った後、乾燥減量を測定して完全に溶けたこと(上中下の位置において乾燥減量が同じであること)を確認した。
【0094】
実施例1、比較例1~7および参照例1
製造されたヒアルロン酸系組成物溶液を、分注装置を用いて、下記の図6および下記の表1の記載に当たる第2のモールドである底板の収容部に、定められた吐き出し量だけ分注した。このとき、吐き出し量は250~350mLの前後にして分注を行い、状況に応じて分注装置の吐き出し量を調節した。下記の図1および下記の表1の記載に当たる第1のモールドである天板の嵌合部と下記の図6に当たる第2のモールドである底板の嵌合溝に合わせて、第1のモールドと第2のモールドとを下記の図10のように結合し、締付孔に適したねじを用いて完全に密着させた。このようにしてヒアルロン酸系組成物溶液が注入された凍結乾燥用モールドを凍結乾燥機に挿入し、下記の表2に記載の凍結乾燥条件に従って凍結乾燥させた。ただし、ここで、参照例1においては、下記の表2に記載の凍結乾燥の条件下でステップ10を省略した。凍結乾燥が終わった後、前記モールドを凍結乾燥機から回収して球状の凍結乾燥ヒアルロン酸系組成物を得た。
【0095】
【表1】
【0096】
(前記POMはポリアセタールであり、前記PEはポリエチレンである。)
【0097】
【表2】
【0098】
[試験例]
前記実施例1、比較例1~7および参照例1において得られたヒアルロン酸系組成物球の特性を下記の方法を用いて測定し、その結果を下記の表3および図11~13に示す。
【0099】
*外観特性:目視観察および撮影された写真(下記の図11を参照されたい)を用いて表面特性を確認した。このとき、まともな球状に分離が行われ、表面が滑らかであり、未乾燥の部分がなく、強度が高い他、表面にフィルムができていない場合に良好と評価した。
【0100】
*回収率:凍結乾燥結果物の外観、大きさ、重さを確認し、直径10~11mm、重さ20mg以上の条件に見合う結果物を選別して回収した後、モールドの総収容溝の本数に比べて、回収された凍結乾燥結果物の数の比率を確認して回収率を計算した。
【0101】
*圧縮強度(N):機械的試験システム(Instron社製、型番:3340series)を用いて圧縮強度を測定した。詳しく述べると、凍結乾燥された球状のヒアルロン酸系組成物を圧縮強度治具に取り付けた後、圧縮速度2mm/minの速度にて結果物の高さの50%まで圧縮して最大圧縮強度(N)を測定した
【0102】
*溶ける時間(溶解能):前記ヒアルロン酸系組成物が沈漬できる容器に水を十分に詰めた後、ヒアルロン酸系組成物を水の上に落として完全に溶ける時間を測定して評価した。
【0103】
【表3】
【0104】
上記の表3に記載されているように、本発明に係る凍結乾燥用モールドを用いてヒアルロン酸系組成物球を製造した場合(実施例1)、そうでない比較例1~7に比べて、外観特性、回収率、強度および溶ける時間などがいずれも格段に優れているということを確認することができた。
【0105】
ただし、たとえ本発明に係る凍結乾燥用モールドを用いるとしても、凍結乾燥時間、特に、乾燥時間を大幅に短縮させる場合(参照例1)には、常識的にも一部が乾燥されていないヒアルロン酸系組成物球が得られて回収率などが低下するということを確認することができた。
【0106】
また、下記の図11に示すように、実施例1において製造されたヒアルロン酸系組成物球は、表面がきれいであり、まともな球状を呈するものの、比較例1~7などは、どれ一つとしてまともな球状を呈するものがなく、モールドからの分離もまた円滑に行われないということを確認することができた。
【0107】
また、下記の図12および図13に示すように、実施例1において凍結乾燥させた後、ヒアルロン酸系組成物球を回収して残った凍結乾燥用モールドの場合、残っているカスが全くなく、収容部がきれいであったものの、比較例1~7などは、ヒアルロン酸系組成物球を回収して残った凍結乾燥用モールドの収容部に多量のヒアルロン酸系組成物がカスとして残っているということを確認することができた。
【符号の説明】
【0108】
10 凍結乾燥用モールド
100 第1のモールド
110 第1の収容溝
120 排出部
130 嵌合部
140 締付孔
141 締付孔
200 第2のモールド
210 第2の収容溝
230 嵌合溝
240 締付孔
241 締付孔
11 収容部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13