(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-21
(45)【発行日】2023-09-29
(54)【発明の名称】アンテナ及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H01Q 9/16 20060101AFI20230922BHJP
H01Q 21/24 20060101ALI20230922BHJP
H01Q 5/385 20150101ALI20230922BHJP
H01Q 21/30 20060101ALI20230922BHJP
H01Q 1/24 20060101ALI20230922BHJP
H01Q 21/08 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
H01Q9/16
H01Q21/24
H01Q5/385
H01Q21/30
H01Q1/24 Z
H01Q21/08
(21)【出願番号】P 2022523546
(86)(22)【出願日】2020-10-27
(86)【国際出願番号】 CN2020123906
(87)【国際公開番号】W WO2021083123
(87)【国際公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-04-20
(31)【優先権主張番号】201911046671.0
(32)【優先日】2019-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517372494
【氏名又は名称】維沃移動通信有限公司
【氏名又は名称原語表記】VIVO MOBILE COMMUNICATION CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.1, vivo Road, Chang’an, Dongguan,Guangdong 523863, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン、シェン
【審査官】白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110212283(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110098465(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109742533(CN,A)
【文献】特開2009-225030(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/261929(US,A1)
【文献】特表2022-531808(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 9/16
H01Q 21/24
H01Q 5/385
H01Q 21/30
H01Q 1/24
H01Q 21/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナであって、板体を含み、前記板体に少なくとも一つのアンテナユニットが設置されており、各アンテナユニットは、前記板体に設置される一つの凹溝、一つのカップリング筐体、四つの放射体、四つのカップリング体と四つの導電部材を含み、前記四つの放射体と前記四つのカップリング体は、いずれも前記カップリング筐体によって囲まれる空間内に設置され、前記カップリング筐体は、前記凹溝内に設置され、各放射体には、いずれも給電ポイントが設置されており、異なる導電部材は、前記凹溝の底部を貫通して異なる放射体における給電ポイントに接続され、前記四つの放射体と前記四つの導電部材は、一対一で対応して接続され、
前記四つの放射体は、二対の差分信号にアクセスし、
前記板体、前記カップリング筐体、前記四つの放射体及び前記四つのカップリング体の間は、いずれも接触せず、且つ絶縁媒体によって充填され、前記四つの導電部材は、前記凹溝の底部と絶縁して設置される、ことを特徴とするアンテナ。
【請求項2】
前記四つの放射体は、第一の放射体、第二の放射体、第三の放射体と第四の放射体を含み、前記四つのカップリング体は、第一のカップリング体、第二のカップリング体、第三のカップリング体と第四のカップリング体を含み、前記カップリング筐体によって囲まれる空間は、積層して設置される第一の空間と第二の空間を含み、
前記第一の放射体、前記第二の放射体、前記第一のカップリング体と前記第二のカップリング体は、いずれも前記第一の空間に設置され、前記第一の放射体と前記第二の放射体は、対称に設置され、前記第一のカップリング体と前記第二のカップリング体は、対称に設置され、前記第一の放射体と前記第二の放射体は、いずれも前記第一のカップリング体と前記第二のカップリング体との間に設置され、
前記第三の放射体、前記第四の放射体、前記第三のカップリング体と前記第四のカップリング体は、いずれも前記第二の空間に設置され、前記第三の放射体と前記第四の放射体は、対称に設置され、前記第三のカップリング体と前記第四のカップリング体は、対称に設置され、前記第三の放射体と前記第四の放射体は、いずれも前記第三のカップリング体と前記第四のカップリング体との間に設置される、ことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ。
【請求項3】
前記第一の放射体と前記第二の放射体との対称軸は、前記第三の放射体と前記第四の放射体との対称軸に垂直である、ことを特徴とする請求項2に記載のアンテナ。
【請求項4】
前記第一の放射体の給電信号と前記第二の放射体の給電信号は、大きさが等しく且つ位相が逆であり、前記第三の放射体の給電信号と前記第四の放射体の給電信号は、大きさが等しく且つ位相が逆である、ことを特徴とする請求項2に記載のアンテナ。
【請求項5】
前記凹溝の開口部に階段構造が設置されている、ことを特徴とする請求項1~
請求項4のいずれか一項に記載のアンテナ。
【請求項6】
前記板体に少なくとも二つのアンテナユニットが設置されており、前記少なくとも二つのアンテナユニットは、前記板体の長手方向に沿って配列される、ことを特徴とする請求項1~
請求項4のいずれか一項に記載のアンテナ。
【請求項7】
前記少なくとも二つのアンテナユニットの凹溝の開口の向きは同じである、ことを特徴とする請求項6に記載のアンテナ。
【請求項8】
前記少なくとも一つのアンテナユニットはミリ波アンテナユニットである、ことを特徴とする請求項1~
請求項4のいずれか一項に記載のアンテナ。
【請求項9】
前記第一の放射体、前記第二の放射体、前記第一のカップリング体と前記第二のカップリング体の前記凹溝の底部から離れる面は、いずれも前記板体の外側壁の位置する平面と面一になる、ことを特徴とする請求項2~
請求項4のいずれか一項に記載のアンテナ。
【請求項10】
前記カップリング筐体によって囲まれる空間は矩形の空間である、ことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ。
【請求項11】
前記四つの放射体はいずれもT字状構造である、ことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ。
【請求項12】
電子機器であって、請求項1~
請求項11のいずれか一項に記載のアンテナを含み、前記電子機器は、金属フレームをさらに含み、前記アンテナの板体は、前記金属フレームの一部である、ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は通信技術分野に関し、特にアンテナ及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
通信技術の急速な発展に伴い、マルチアンテナ通信は、すでに電子機器の主流と今後の発展のトレンドになっており、そしてこの過程において、ミリ波アンテナは、徐々に電子機器に導入される。ミリ波アンテナは、より高い通信速度、より低い遅延及びより多くの同時接続数などを提供することができ、ユーザの生活のためにより便利にする。
【0003】
しかしながら、従来技術では、ミリ波アンテナの放射性能は比較的悪い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施例は、ミリ波アンテナの放射性能が比較的悪いという問題を解決するためのアンテナ及び電子機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第一の方面によれば、本発明の実施例は、アンテナを提供した。このアンテナは、板体を含み、前記板体に少なくとも一つのアンテナユニットが設置されており、各アンテナユニットは、前記板体に設置される一つの凹溝、一つのカップリング筐体、四つの放射体、四つのカップリング体と四つの導電部材を含み、前記四つの放射体と前記四つのカップリング体は、いずれも前記カップリング筐体によって囲まれる空間内に設置され、前記カップリング筐体は、前記凹溝内に設置され、各放射体には、いずれも給電ポイントが設置されており、異なる導電部材は、前記凹溝の底部を貫通して異なる放射体における給電ポイントに接続され、前記四つの放射体と前記四つの導電部材は、一対一で対応して接続され、
前記四つの放射体は、二対の差分信号にアクセスし、
前記板体、前記カップリング筐体、前記四つの放射体及び前記四つのカップリング体の間は、いずれも接触せず、且つ絶縁媒体によって充填され、前記四つの導電部材は、前記凹溝の底部と絶縁して設置される。
【0006】
第二の方面によれば、本発明の実施例は、電子機器を提供した。この電子機器は、上記アンテナを含み、前記電子機器は、金属フレームをさらに含み、前記アンテナの板体は、前記金属フレームの一部である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の実施例のアンテナは、板体を含み、前記板体に少なくとも一つのアンテナユニットが設置されており、各アンテナユニットは、前記板体に設置される一つの凹溝、一つのカップリング筐体、四つの放射体、四つのカップリング体と四つの導電部材を含み、前記四つの放射体と前記四つのカップリング体は、いずれも前記カップリング筐体によって囲まれる空間内に設置され、前記カップリング筐体は、前記凹溝内に設置され、各放射体には、いずれも給電ポイントが設置されており、異なる導電部材は、前記凹溝の底部を貫通して異なる放射体における給電ポイントに接続され、前記四つの放射体と前記四つの導電部材は、一対一で対応して接続され、前記四つの放射体は、二対の差分信号にアクセスし、前記板体、前記カップリング筐体、前記四つの放射体及び前記四つのカップリング体の間は、いずれも接触せず、且つ絶縁媒体によって充填され、前記四つの導電部材は、前記凹溝の底部と絶縁して設置される。本発明の実施例は、ミリ波アンテナの放射性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明実施例によるアンテナの構造概略図のその一である。
【
図2】本発明実施例によるアンテナの構造概略図のその二である。
【
図3】本発明実施例によるアンテナの構造概略図のその三である。
【
図4】本発明実施例によるアンテナの構造概略図のその四である。
【
図5】本発明実施例によるアンテナの構造概略図のその五である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施例の技術案をより明瞭に説明するために、以下は、本発明の実施例の記述において使用される必要がある添付図面を簡単に紹介する。自明なことに、以下の記述における添付図面は、ただ本発明のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な労力を払わない前提で、それらの添付図面に基づき、他の添付図面を取得することもできる。
【0010】
以下は、本発明の実施例における添付図面を結び付けながら、本発明の実施例における技術案を明瞭且つ完全に記述する。明らかに、記述された実施例は、本発明の一部の実施例であり、すべての実施例ではない。本発明における実施例に基づき、当業者が創造的な労力を払わない前提で得られたすべての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0011】
図1~
図3を参照すると、
図1~
図3は、いずれも本発明の実施例によるアンテナの構造概略図であり、
図1~
図3に示されるように、板体1を含み、前記板体1に少なくとも一つのアンテナユニットが設置されており、各アンテナユニットは、前記板体1に設置される一つの凹溝、一つのカップリング筐体2、四つの放射体3、四つのカップリング体4と四つの導電部材を含み、前記四つの放射体3と前記四つのカップリング体4は、いずれも前記カップリング筐体2によって囲まれる空間内に設置され、前記カップリング筐体2は、前記凹溝内に設置され、各放射体3には、いずれも給電ポイントが設置されており、異なる導電部材は、前記凹溝の底部を貫通して異なる放射体における給電ポイントに接続され、前記四つの放射体3と前記四つの導電部材は、一対一で対応して接続され、前記四つの放射体3は、二対の差分信号にアクセスし、前記板体1、前記カップリング筐体2、前記四つの放射体3及び前記四つのカップリング体4の間は、いずれも接触せず、且つ絶縁媒体5によって充填され、前記四つの導電部材は、前記凹溝の底部と絶縁して設置される。
【0012】
本実施例では、
図1に示されるのは、凹溝内に絶縁媒体5が充填されている構造概略図であるが、
図2は、凹溝内の絶縁媒体5を除去した後の構造概略図である。上記アンテナユニットは、ミリ波アンテナユニットであってもよい。上記凹溝は、矩形の凹溝であってもよく、上記カップリング筐体2は、矩形の筐体であってもよく、上記放射体3の形状は、T字状であってもよく、上記カップリング体4の形状は、長尺状であってもよい。
【0013】
本実施例では、上記四つの放射体3と四つのカップリング体4は、空間的に層状に配置されてもよい。例えば、二つの放射体3と二つのカップリング体4を空間的に一層目に設置し、他の二つの放射体3と他の二つのカップリング体4を空間的に二層目に設置する。
【0014】
図3に示されるように、四つの放射体3は、第一の放射体31、第二の放射体32、第三の放射体33と第四の放射体34を含んでもよく、四つのカップリング体4は、第一のカップリング体41、第二のカップリング体42、第三のカップリング体43と第四のカップリング体44を含んでもよい。第一の放射体31、第二の放射体32、第一のカップリング体41と第二のカップリング体42は、空間的に一層目に設置されてもよく、第三の放射体33、第四の放射体34、第三のカップリング体43と第四のカップリング体44は、空間的に二層目に設置されてもよい。
【0015】
四つの放射体3は、低周波数バンドの信号を放射することができ、四つのカップリング体4は、高周波数バンドの信号を放射することができ、カップリング筐体2は、低周波数バンドの信号を放射することができる。上記四つの放射体は、二対の差分信号にアクセスし、二重偏波特性を実現させることができる。このように、周波数バンドと偏波の放射体を合理的に層状に構成することによって、アンテナユニットは、限られた空間内で二つの共振周波数と二種類の偏波に対するカバーを実現させることができ、それによってミリ波アンテナの放射性能を向上させることができる。そして、アンテナユニットが金属筐体に設計されることが可能であるため、金属ボディの設計の下においてもミリ波アンテナを金属ボディに設計することができ、それによって他の低周波数バンドアンテナとよりよく組み合わせて一体に設計することが図れる。
【0016】
本実施例では、上記電子機器は、携帯電話、タブレットパソコン(Tablet Personal Computer)、ラップトップコンピュータ(Laptop Computer)、パーソナルデジタルアシスタント(personal digital assistant、PDA)、モバイルインターネットデバイス(Mobile Internet Device、MID)又はウェアラブルデバイス(Wearable Device)などであってもよい。
【0017】
選択的に、前記四つの放射体3は、第一の放射体31、第二の放射体32、第三の放射体33と第四の放射体34を含み、前記四つのカップリング体4は、第一のカップリング体41、第二のカップリング体42、第三のカップリング体43と第四のカップリング体44を含み、前記カップリング筐体によって囲まれる空間は、積層して設置される第一の空間と第二の空間を含み、
前記第一の放射体31、前記第二の放射体32、前記第一のカップリング体41と前記第二のカップリング体42は、いずれも前記第一の空間に設置され、前記第一の放射体31と前記第二の放射体32は、対称に設置され、前記第一のカップリング体41と前記第二のカップリング体42は、対称に設置され、前記第一の放射体31と前記第二の放射体32は、いずれも前記第一のカップリング体41と前記第二のカップリング体42との間に設置され、
前記第三の放射体33、前記第四の放射体34、前記第三のカップリング体43と前記第四のカップリング体44は、いずれも前記第二の空間に設置され、前記第三の放射体33と前記第四の放射体34は、対称に設置され、前記第三のカップリング体43と前記第四のカップリング体44は、対称に設置され、前記第三の放射体33と前記第四の放射体34は、いずれも前記第三のカップリング体43と前記第四のカップリング体44との間に設置される。
【0018】
この実施形態では、上記構造をよりよく理解するために
図3を参照してもよい。
図3に示されるように、上記第一の放射体31、上記第二の放射体32、上記第一のカップリング体41と上記第二のカップリング体42は、いずれも上記第一の空間に設置され、上記第一の放射体31と上記第二の放射体32は、対称に設置され、上記第一のカップリング体41と上記第二のカップリング体42は、対称に設置され、上記第一の放射体31と上記第二の放射体32は、いずれも上記第一のカップリング体41と上記第二のカップリング体42との間に設置される。
【0019】
この実施形態では、上記第三の放射体33、上記第四の放射体34、上記第三のカップリング体43と上記第四のカップリング体44は、いずれも上記第二の空間に設置され、上記第三の放射体33と上記第四の放射体34は、対称に設置され、上記第三のカップリング体43と上記第四のカップリング体44は、対称に設置され、上記第三の放射体33と上記第四の放射体34は、いずれも上記第三のカップリング体43と上記第四のカップリング体44との間に設置される。
【0020】
なお、上記第一の空間と上記第二の空間は、空間的に積層された二つの空間層と理解してもよい。このように、各偏波の複数の放射体の複合構成によって、各偏波の指向性と利得を向上させた。
【0021】
選択的に、前記第一の放射体と前記第二の放射体との対称軸は、前記第三の放射体と前記第四の放射体との対称軸に垂直である。
【0022】
この実施形態では、上記第一の放射体と上記第二の放射体との対称軸は、上記第三の放射体と上記第四の放射体との対称軸に垂直であり、アンテナ放射方向図にさらに優れた左右対称性を持たせることができる。
【0023】
選択的に、前記第一の放射体の給電信号と前記第二の放射体の給電信号は、大きさが等しく且つ位相が逆であり、前記第三の放射体の給電信号と前記第四の放射体の給電信号は、大きさが等しく且つ位相が逆である。
【0024】
上記給電方式をよりよく理解するために、
図4を参照して理解してもよく、
図4は、本発明の実施例によるアンテナの構造概略図である。
図4に示されるように、給電信号Aと給電信号Bは、それぞれ二重偏波の二つの偏波信号であり、それぞれ3dB電力分割器を介して振幅が等しく位相が同じである二つの信号に分割され、そのうちの一つは、180度位相反転器を介して電流の位相が反転された後、アンテナの相応なポートに180度の差分で給電される。電力分割器と位相反転器によって処理された給電信号Aと給電信号Bのそれぞれ二つの逆相差分給電分岐は、それぞれ導電部材を介してアンテナの低周波数バンドV偏波給電放射体(第一の放射体31と第二の放射体32)及び低周波数バンドH偏波給電放射体(第三の放射体33と第四の放射体34)に接続される。
【0025】
第一のカップリング体41、第二のカップリング体42は、第一の放射体31、第二の放射体32とカップリングし、第三のカップリング体43、第四のカップリング体44は、第三の放射体33、第四の放射体34とカップリングする。第一のカップリング体41と第二のカップリング体42は、高周波数バンドV偏波であり、第一の放射体31と第二の放射体32は、低周波数バンドV偏波であり、第三のカップリング体43と第四のカップリング体44は、高周波数バンドH偏波であり、第三の放射体33と第四の放射体34は、低周波数バンドH偏波である。
【0026】
V偏波とH偏波は、互いに垂直な二つの偏波であり、その偏波方向は、
図3における座標によって定義される。低周波数バンドV/H偏波カップリング放射筐体(カップリング筐体2)、高周波数バンドV偏波カップリング放射体(第一のカップリング体41と第二のカップリング体42)と高周波数バンドH偏波カップリング放射体(第三のカップリング体43と第四のカップリング体44)は、給電放射体との間の電磁カップリングによって電磁誘導電流を生じることによって、放射を生じる。本発明のミリ波アンテナは、この構造によって二重周波数共振、二重偏波の特性を有する。
【0027】
上記給電方式は、各偏波の複数の放射体の複合構成によって、各偏波の指向性と利得を向上させた。差分給電の使用によって、アンテナ放射方向図にさらに優れた左右対称性を持たせ、二つの偏波の給電を互いに分離する給電放射体にそれぞれ給電することによって、アンテナの二つの偏波の間により高いポートアイソレーションと偏波純度を備えさせる。本発明のアンテナユニットが比較的高い利得を有するため、比較的少ないアレイアンテナユニットをアレイ化すれば、アレイ利得は3GPP(登録商標)の要求を達することができ、現在の設計に比べてアレイのサイズを減少させることができる。
【0028】
選択的に、前記凹溝の開口部に階段構造が設置されている。
【0029】
この実施形態では、
図2を参照して理解してもよい。
図2に示されるように、上記凹溝の開口部に階段構造が設置されており、この階段構造は、アンテナ共振周波数の微調整に用いることができ、それによってアンテナの放射性能がより良好になる。
【0030】
選択的に、前記板体に少なくとも二つのアンテナユニットが設置されており、前記少なくとも二つのアンテナユニットは、前記板体の長手方向に沿って配列される。
【0031】
この実施形態では、
図5を参照して理解してもよく、
図5は、本発明の実施例によるアンテナの構造概略図である。
図5に示されるように、上記アンテナに少なくとも二つのアンテナユニットが設置されており、この少なくとも二つのアンテナユニットがアンテナの長手方向に沿って配列されることによって、アンテナアレイを形成しやすく、このアンテナアレイは、ミリ波アンテナアレイであってもよく、アンテナをアレイ化した後に同時に給電し且つサブアンテナユニット給電の位相差を調整することによって、アンテナアレイに対してビームフォーミングとビームスキャンを行うことができ、アンテナ放射の指向性と利得を向上させ、且つ放射の空間カバー率を向上させた。
【0032】
無論、アンテナユニットの構造がほぼ変わらない場合にアンテナユニット内の各放射体の位置に対して調整と最適化を行ってもよく、又はアレイを構成したアンテナユニットの向きに対して統一的な90度ステアリング調整などを行ってもよい。
【0033】
選択的に、前記少なくとも二つのアンテナユニットの凹溝の開口の向きは同じである。
【0034】
この実施形態では、
図5を参照して理解してもよい。
図5に示されるように、上記少なくとも二つのアンテナユニットの凹溝の開口の向きは同じである。
【0035】
選択的に、前記少なくとも一つのアンテナユニットはミリ波アンテナユニットである。
【0036】
この実施形態では、上記少なくとも一つのアンテナユニットはミリ波アンテナユニットである。
【0037】
選択的に、前記第一の放射体、前記第二の放射体、前記第一のカップリング体と前記第二のカップリング体の前記凹溝底部から離れる面は、いずれも前記板体の外側壁の位置する平面と面一になる。
【0038】
この実施形態では、
図1を参照して理解してもよい。
図1に示されるように、上記第一の放射体、上記第二の放射体、上記第一のカップリング体と上記第二のカップリング体の上記凹溝底部から離れる面は、いずれも上記板体の外側壁の位置する平面と面一になる。このような設置方式によって、電子機器が比較的良好な外観を有するよう確保することができる。
【0039】
選択的に、前記カップリング筐体によって囲まれる空間は矩形の空間である。
【0040】
この実施形態では、上記カップリング筐体によって囲まれる空間は矩形の空間である。
【0041】
選択的に、前記四つの放射体はいずれもT字状構造である。
【0042】
この実施形態では、上記四つの放射体はいずれもT字状構造である。
【0043】
本発明の実施例の電子機器は、板体1を含み、前記板体1に少なくとも一つのアンテナユニットが設置されており、各アンテナユニットは、前記板体1に設置される一つの凹溝、一つのカップリング筐体2、四つの放射体3、四つのカップリング体4と四つの導電部材を含み、前記四つの放射体3と前記四つのカップリング体4は、いずれも前記カップリング筐体2によって囲まれる空間内に設置され、前記カップリング筐体2は、前記凹溝内に設置され、各放射体3には、いずれも給電ポイントが設置されており、異なる導電部材は、前記凹溝の底部を貫通して異なる放射体における給電ポイントに接続され、前記四つの放射体3と前記四つの導電部材は、一対一で対応して接続され、前記四つの放射体3は、二対の差分信号にアクセスし、前記板体1、前記カップリング筐体2、前記四つの放射体3及び前記四つのカップリング体4の間は、いずれも接触せず、且つ絶縁媒体5によって充填され、前記四つの導電部材は、前記凹溝の底部と絶縁して設置される。本発明の実施例は、ミリ波アンテナの放射性能を向上させることができる。
【0044】
本発明の実施例は、電子機器をさらに提供し、上記アンテナを含み、前記電子機器は、金属フレームをさらに含み、前記アンテナの板体は、前記金属フレームの一部である。
【0045】
選択的に、前記アンテナは、第一のアンテナをさらに含み、前記アンテナの少なくとも一つのアンテナユニットの位置する放射体は、前記第一のアンテナの放射体でもあり、前記放射体は、前記板体の少なくとも一部であり、前記第一のアンテナは、非ミリ波アンテナである。
【0046】
この実施形態では、上記アンテナは、第一のアンテナをさらに含み、上記アンテナの少なくとも一つのアンテナユニットの位置する放射体は、上記第一のアンテナの放射体でもあり、上記放射体は、上記板体の少なくとも一部であり、上記第一のアンテナは、非ミリ波アンテナである。即ち、少なくとも一つのアンテナユニットは、セルラーアンテナ又は非セルラーアンテナの放射体に配置されてもよく、放射体を共用する。
【0047】
なお、本明細書において、「含む」、「包含」という用語又はその他の任意の変形は、非排他的な「含む」を意図的にカバーするものであり、それによって、一連の要素を含むプロセス、方法、物品又は装置は、それらの要素を含むだけではなく、明確にリストアップされていない他の要素も含み、又はこのようなプロセス、方法、物品又は装置に固有の要素も含む。それ以上の制限がない場合に、「……を一つ含む」という文章で限定された要素について、この要素を含むプロセス、方法、物品又は装置には他の同じ要素も存在することが排除されるものではない。
【0048】
以上は、添付図面を結び付けながら、本発明の実施例を記述したが、本発明は、上記具体的な実施の形態に限らず、上記具体的な実施の形態は、例示的なものに過ぎず、制限性のあるものではない。当業者は、本発明による示唆を基にして、本発明の趣旨や請求項が保護する範囲から逸脱しない限り、多くの形式の変更を行うことができ、それらはいずれも本発明の保護範囲に入っている。
【0049】
〔関連出願の相互参照〕
本出願は、2019年10月30日に中国で提出された中国特許出願番号No.201911046671.0の優先権を主張しており、同出願の内容の全ては、ここに参照として取り込まれる。