(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-21
(45)【発行日】2023-09-29
(54)【発明の名称】材料の均熱化を行う送給装置、スクリュー、及び、外部温調部
(51)【国際特許分類】
B29B 7/82 20060101AFI20230922BHJP
B29C 45/17 20060101ALI20230922BHJP
B29C 48/84 20190101ALI20230922BHJP
【FI】
B29B7/82
B29C45/17
B29C48/84
(21)【出願番号】P 2022559320
(86)(22)【出願日】2021-06-21
(86)【国際出願番号】 JP2021023452
(87)【国際公開番号】W WO2022269705
(87)【国際公開日】2022-12-29
【審査請求日】2022-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000144740
【氏名又は名称】株式会社山城精機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(72)【発明者】
【氏名】岸川 健
(72)【発明者】
【氏名】桝本 巧
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 良雄
【審査官】坂本 薫昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-230051(JP,A)
【文献】特開平07-137102(JP,A)
【文献】特開平03-288613(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 7/82
B29C 45/17,48/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のバレル部の内部に配置され、前記バレル部に対して回転可能、且つ、前後方向に進退可能であり、熱硬化性樹脂材料が供給されるスクリューであって、スクリューが回転することで
前記バレル部と前記スクリューとの間に供給された前記熱硬化性樹脂材料を攪拌しながら送給するスクリューと、
前記スクリューの内部に設けられ、前記スクリューにより送給される熱硬化性樹脂材料の内部の温度を調整して前記熱硬化性樹脂材料の温度を均熱化する内部温調部と、を備え、
前記内部温調部は、前記スクリューの内部において前記スクリューの基部から先端部に至るまで延びて形成され温調のための流体を流通させる流路を有し、前記流路は、前記スクリューと一体的に回転し、
前記流路は、
前記スクリューの軸心位置に形成された流入側流路と、
前記流入側流路の、前記スクリューの半径方向外方の位置に形成された流出側流路と、を有し、
前記流出側流路は、前記スクリューの軸心に平行に複数形成され、
前記流出側流路にそれぞれ連通し、前記流出側流路と前記流出側流路からの前記流体を排出する流体供給部の排出流路とをそれぞれ連通する排出凹部が形成され、
前記流入側流路に連通し、前記流入側流路と前記流入側流路に前記流体を供給する流体供給部の供給流路とを連通する流路の開口が、前記排出凹部の数よりも少ない数で形成される、熱硬化性樹脂材料の均熱化を行う送給装置。
【請求項2】
前記スクリューが回転しているときに、前記流入側流路に対して常時前記流体を流入可能であり、
前記スクリューが回転しているときに、前記流出側流路から常時前記流体を流出可能である、請求項1に記載の、熱硬化性樹脂材料の均熱化を行う送給装置。
【請求項3】
前記流入側流路は、前記スクリューの周面において周方向に一周する溝を有する、請求項1又は請求項2のいずれかに記載の、熱硬化性樹脂材料の均熱化を行う送給装置。
【請求項4】
前記バレル部に設けられ前記熱硬化性樹脂材料の外部の温度を調整する外部温調部を備える、請求項1、請求項2、請求項3のいずれかに記載の、熱硬化性樹脂材料の均熱化を行う送給装置。
【請求項5】
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4のいずれかに記載の、前記熱硬化性樹脂材料の均熱化を行う送給装置を備え、所定の量の前記熱硬化性樹脂材料を計量する材料計量機。
【請求項6】
筒状のバレル部の内部に配置され、前記バレル部に対して回転可能、且つ、前後方向に進退可能であり、熱硬化性樹脂材料が供給されるスクリューであって、スクリューが回転することで
前記バレル部と前記スクリューとの間に供給された前記熱硬化性樹脂材料を攪拌しながら送給するスクリューと、前記スクリューの内部に設けられ、前記スクリューにより送給される熱硬化性樹脂材料の内部の温度を調整して前記熱硬化性樹脂材料の温度を均熱化する内部温調部と、を備え、
前記内部温調部は、前記スクリューの内部において前記スクリューの基部から先端部に至るまで延びて形成され温調のための流体を流通させる流路を有し、前記流路は、前記スクリューと一体的に回転し、
前記流路は、
前記スクリューの軸心位置に形成された流入側流路と、
前記流入側流路の、前記スクリューの半径方向外方の位置に形成された流出側流路と、を有し、
前記流出側流路は、前記スクリューの軸心に平行に複数形成され、
前記流出側流路にそれぞれ連通し、前記流出側流路と前記流出側流路からの前記流体を排出する流体供給部の排出流路とをそれぞれ連通する排出凹部が形成され、
前記流入側流路に連通し、前記流入側流路と前記流入側流路に前記流体を供給する流体供給部の供給流路とを連通する流路の開口が、前記排出凹部の数よりも少ない数で形成される、熱硬化性樹脂材料の均熱化を行う送給装置を構成するスクリュー。
【請求項7】
前記流入側流路は、前記スクリューの周面において周方向に一周する溝を有する、請求項6に記載のスクリュー。
【請求項8】
筒状のバレル部の内部に配置され、前記バレル部に対して回転可能、且つ、前後方向に進退可能であり、熱硬化性樹脂材料が供給されるスクリューであって、前記スクリューが回転することで
前記バレル部と前記スクリューとの間に供給された前記熱硬化性樹脂材料を攪拌しながら送給する前記スクリューと、前記スクリューの内部に設けられ、前記スクリューにより送給される熱硬化性樹脂材料の内部の温度を調整して前記熱硬化性樹脂材料の温度を均熱化する内部温調部と、
前記バレル部に設けられ前記熱硬化性樹脂材料の外部の温度を調整する外部温調部と、を備え、
前記内部温調部は、前記スクリューの内部において前記スクリューの基部から先端部に至るまで延びて形成され温調のための流体を流通させる流路を有し、前記流路は、前記スクリューと一体的に回転し、
前記流路は、
前記スクリューの軸心位置に形成された流入側流路と、
前記流入側流路の、前記スクリューの半径方向外方の位置に形成された流出側流路と、を有し、
前記流出側流路は、前記スクリューの軸心に平行に複数形成され、
前記流出側流路にそれぞれ連通し、前記流出側流路と前記流出側流路からの前記流体を排出する流体供給部の排出流路とをそれぞれ連通する排出凹部が形成され、
前記流入側流路に連通し、前記流入側流路と前記流入側流路に前記流体を供給する流体供給部の供給流路とを連通する流路の開口が、前記排出凹部の数よりも少ない数で形成される、熱硬化性樹脂材料の均熱化を行う送給装置を構成する外部温調部。
【請求項9】
前記外部温調部は、前記スクリューの最先端部の近傍の部分を取り囲むように配置される請求項8に記載の外部温調部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料の均熱化を行う送給装置、スクリュー、及び、外部温調部に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、材料が供給され、スクリューが回転することで供給された材料を攪拌しながら送給するスクリューを備える、樹脂材料の送給装置が知られている(例えば、特許文献1)。押出スクリューにホッパから樹脂材料が供給され、押出スクリューの回転により、押出スクリューの長さ方向に沿って移送されてバレル内の射出ゾーン内に投入される。そして、押出スクリューが回転しない状態で前進して、溶融材料をモールド内に射出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の送給装置では、スクリューを取り囲むように複数のヒータが設けられており、バレル内の材料を加熱して温調することはできるが、スクリューの軸心寄りの位置にある材料と、ヒータ寄りの位置にある材料との間に温度差が生ずる。樹脂材料においては、全体として均一の温度とされることが好ましい。
【0005】
本発明は、樹脂材料を全体として均熱化して送給することが可能な、材料の均熱化を行う送給装置、当該送給装置に設けられるスクリュー、及び、外部温調部を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、材料が供給されるスクリューであって、スクリューが回転することで供給された前記材料を攪拌しながら送給するスクリューと、前記スクリューの内部に設けられ、前記スクリューにより送給される材料の内部の温度を調整して前記材料の温度を均熱化する内部温調部と、を備える、材料の均熱化を行う送給装置に関する。
【0007】
また、前記内部温調部は、前記スクリューの内部に形成され温調のための流体を流通させる流路を有することが好ましい。また、前記流路は、前記スクリューと一体的に回転することが好ましい。また、前記流路は、前記スクリューの軸心位置に形成された流入側流路と、前記流入側流路の、前記スクリューの半径方向外方の位置に形成された流出側流路と、を有することが好ましい。
【0008】
また、前記スクリューが回転しているときに、前記流入側流路に対して常時前記流体を流入可能であり、前記スクリューが回転しているときに、前記流出側流路から常時前記流体を流出可能であることが好ましい。また、前記流出側流路は、前記スクリューの軸心に平行に複数形成されていることが好ましい。
【0009】
また、前記流入側流路は、前記スクリューの周面において周方向に一周する溝を有することが好ましい。また、前記材料の外部の温度を調整する外部温調部を備えることが好ましい。また、本発明は、上記いずれかに記載の、前記材料の均熱化を行う送給装置を備え、所定の量の前記材料を計量する材料計量機に関する。
【0010】
また、本発明は、材料が供給されるスクリューであって、スクリューが回転することで供給された前記材料を攪拌しながら送給するスクリューと、前記スクリューの内部に設けられ、前記スクリューにより送給される材料の内部の温度を調整して前記材料の温度を均熱化する内部温調部と、を備える、材料の均熱化を行う送給装置を構成するスクリューに関する。
【0011】
また、前記内部温調部は、前記スクリューの内部に形成され温調のための流体を流通させる流路を有することが好ましい。また、前記流路は、前記スクリューと一体的に回転することが好ましい。また、前記流路は、前記スクリューの軸心位置に形成された流入側流路と、前記流入側流路の、前記スクリューの半径方向外方の位置に形成された流出側流路と、を有することが好ましい。
【0012】
また、前記流出側流路は、前記スクリューの軸心に平行に複数形成されていることが好ましい。また、前記流入側流路は、前記スクリューの周面において周方向に一周する溝を有することが好ましい。
【0013】
また、本発明は、材料が供給されるスクリューであって、前記スクリューが回転することで供給された前記材料を攪拌しながら送給する前記スクリューと、前記スクリューの内部に設けられ、前記スクリューにより送給される材料の内部の温度を調整して前記材料の温度を均熱化する内部温調部と、前記材料の外部の温度を調整する外部温調部と、を備える、材料の均熱化を行う送給装置を構成する外部温調部に関する。
【0014】
また、前記内部温調部は、前記スクリューの内部に形成され温調のための流体を流通させる流路を有し、前記外部温調部は、前記スクリューの最先端部の近傍の部分を取り囲むように配置されることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、樹脂材料を全体として均熱化して送給することが可能な、材料の均熱化を行う送給装置、当該送給装置に設けられるスクリュー、及び、外部温調部を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態に係る送給装置を示す側方部分断面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る送給装置のスクリュー、及び、バレル部を示す側方部分断面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る送給装置のスクリューの先端部を示す側方拡大断面図である。
【
図7】
図2のVII-VII線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本実施形態による送給装置を有する材料計量機1について、図面を参照しながら説明する。ここで、説明の便宜上、後述のホッパ部50からカッター部30へ向かう方向(
図1における左へ向かう方向)を前方向Frと定義し、その反対の方向を後方向Rrと定義する。また、スクリュー10からホッパ部50へ向かう方向(
図1における上へ向かう方向)を上方向Upと定義し、その反対の方向を下方向Dwと定義する。主要な図面には、これらの方向を示す矢印を図示している。
【0018】
材料計量機1は、載置台Bの上面に固定されて配置されており、スクリュー10と、バレル部20と、カッター部30と、駆動部40と、ホッパ部50と、流体供給部60と、を有している。スクリュー10と、バレル部20と、駆動部40と、流体供給部60とは、送給装置を構成する。筒状に形成されたバレル部20の前端部は、カッター部30に接続されている。カッター部30は、載置台Bの上面に固定されている。バレル部20の後端部の後方には、駆動部40が設けられている。駆動部40は、載置台Bの上面に固定されている。
【0019】
筒状のバレル部20の周面には、外部温調部が設けられている。外部温調部は、バレル部20の周面に環状に一周する外部溝201により構成されており、外部溝201は、バレル部20の軸方向に所定の間隔で複数形成されている。従って、外部溝201は、後述するスクリュー10の先端部110の最先端部の近傍の部分を取り囲むように配置されている。外部溝201には、外部溝201に対して蓋をするように、設けられた周回蓋部202がそれぞれ設けられており、外部溝201には温調水が流通する。外部溝201及び周回蓋部202により構成される外部温調部は、スクリュー10によって送給される樹脂材料の外部の温度を調整する。
【0020】
筒状のバレル部20の内部には、スクリュー10が、バレル部20に対して回転可能、且つ、前後方向に進退可能に配置されている。スクリュー10の後端部は、シリンダ等により構成される駆動部40のアクチュエータ410に接続されている。アクチュエータ410が駆動することにより、スクリュー10は、前後方向に進退する。また、スクリュー10の中間部には、フランジ状にスクリュー10に固定された歯車151が設けられている。歯車151は、モータ等により構成される駆動部40の回転部420の出力軸に固定されたピニオン421と噛合して連結されている。回転部が回転駆動することにより、スクリュー10は回転するように構成されている。
【0021】
ホッパ部50は、
図1に示すように、ホッパ部接続部210においてバレル部20の後部の周面に設けられたホッパ部接続部210に接続されている。ホッパ部50の内部空間は、スクリュー10の外周面とバレル部20の内周面との間に形成される材料送給空間204(
図2等参照)に連通しており、ホッパ部50から材料送給空間204へ、紛体である樹脂材料を供給する。流体供給部60は、スクリュー10の後端部に接続されている。流体供給部60は、スクリュー10の内部に形成された流路(流入側流路121、171、流出側流路131、161)に、流体である温調水を供給し、流路を流通した温調水を排出する。カッター部30は、シャッター式のカッター310を有しており、材料送給空間204の前端部に送給された樹脂材料を切断する。
【0022】
次に、スクリュー10について、より詳細に説明する。スクリュー10は、
図2等に示すように、先端部110と基部150とを有している。先端部110は、
図3に示すように、螺旋状部1101と、螺旋状部1101の前端部に、シール部材1103を介して着脱可能に固定された螺旋先端部1102とを有している。螺旋状部1101の外周面には螺旋状の歯が形成されている。基部150の前端部は、先端部110の後端部に接続されており、基部150は先端部110よりも拡径して構成されている。基部150の軸心位置には、
図2に示すように、菅部材140が基部150に対して固定されて設けられている。先端部110及び菅部材140は、後述の流入側流路121、171及び流出側流路131、161を有しており、流入側流路121、171及び流出側流路131、161は、スクリュー10と一体的に回転する。
【0023】
先端部110に接続されている基部150の前端部の後方の近傍の位置には、基部150からフランジ状に突出する前述の歯車151が、基部150と一体的に回転可能に設けられている。スクリュー10の基部150の歯車151よりも後側の部分は、流体供給部60において温調性の流路である供給流路621が形成された供給基部610に固定された回転支持部650によって、軸受を介して回転可能に支持されている。
【0024】
スクリュー10は、スクリュー10の内部に形成され温調水を流通させる内部流路を有する内部温調部を備えている。内部流路は、
図2に示すように、スクリュー10の基部150から先端部110に至るまで延びて形成されており、流入側流路121、171と流出側流路131、161と、を有している。流入側流路121、171は、スクリュー10の軸心位置において、スクリュー10の基部150の端部から、スクリュー10の先端部110において外形が先細り形状を有する先端先細り部113の近傍に至るまで延びている。
【0025】
より詳細には、スクリュー10の先端部110においては、先端部110の軸心位置に流入側流路121が形成されており、スクリュー10の後部においては、基部150に固定された菅部材140の軸心位置に流入側流路171が形成されており、流入側流路121の後端部と流入側流路171の前端部とは接続されている。流入側流路171の後端部は、
図7に示すように、菅部材140の直径方向に延びる流路175に連通している。
【0026】
流路175は、
図7に示すように、スクリュー10が回転することにより、流体供給部60を構成し供給基部610に形成された供給流路621に対向するように構成されている。流路175が供給流路621に対向していないときには、スクリュー10の菅部材140の周面を周方向に一周するように形成されて、直径方向に延びる流路175の一方の開口と他方の開口をと連通する周回溝176を介して、供給流路621と流路175とは連通している。周回溝176は、流入側流路121の一部を構成する。このため、供給流路621と流入側流路171とは、常時連通しており、スクリュー10が回転しているときに、供給流路621から流入側流路171に対して常時温調水を流入可能であるが、スクリュー10が回転することにより、供給流路621に流路175が対向することにより、供給流路621から流入側流路171へ温調水が勢いよく流入するように構成されている。
【0027】
流出側流路131、161は、
図2~
図7に示すように、流入側流路121、171の、スクリュー10の半径方向外方の位置に形成されており、
図2、
図3に示すように、流入側流路121の先端部110と同一の位置から、
図2に示すように、スクリュー10の基部150の菅部材140の後端部よりもスクリュー10の先端部110寄りの位置に至るまで延びている。
【0028】
より詳細には、スクリュー10の先端部110においては、
図3、
図4等に示すように、流出側流路131は、4つの貫通孔125を介して流入側流路121に連通している。流出側流路131は、
図4に示すように、流入側流路121を中心として、同軸的な位置関係で流入側流路121を一周するように形成されている。そして流出側流路131は、先端部110の後端部まで延びている。スクリュー10の後部においては、
図6等に示すように、基部150に固定された菅部材140の軸心位置に形成された流入側流路171を中心として、同軸的な位置関係で流入側流路171を一周するように4つの流出側流路161が、スクリュー10の軸心に平行に形成されている。4つの流出側流路161は、菅部材140の周方向に等間隔で配置されており、流出側流路161の後端部は、流入側流路171の後端部よりも先端寄りの位置に至るまで延びている。
【0029】
4つの流出側流路161の後端部は、菅部材140の半径方向内方に窪んだ排出凹部165に、それぞれ1つずつ接続されて連通している。排出凹部165は、
図6に示すように、スクリュー10が回転することにより、流体供給部60を構成し供給基部610に形成された排出流路631に対向するように構成されている。排出凹部165が排出流路631に対向していないときには、菅部材140を一周するように形成されて、4つ排出凹部165の開口を連通する周回溝166を介して、排出流路631と排出凹部165とは連通している。このため、排出流路631と排出凹部165とは、常時連通しており、スクリュー10が回転しているときに、排出凹部165から排出流路631に対して常時温調水を流出可能であるが、スクリュー10が回転することにより、排出流路631に排出凹部165が対向することにより、排出凹部165から排出流路631へ温調水が勢いよく流出するように構成されている。周回溝166は、流出側流路161の一部を構成する。
【0030】
以上の構成による材料計量機1においては、以下のようにして供給された樹脂材料が攪拌され、均熱化されて、送給され材料の計量が行われる。
【0031】
先ず、ホッパ部50にペレットの樹脂材料を供給するとともに、温調水を外部溝201に供給し、また、温調水を流体供給部60の供給流路621から、流路175及び周回溝176を通して流入側流路171へ供給する。流入側流路171へ供給された温調水は、流入側流路171を前方向に流れ、流入側流路121へ流入する。温調水は、流入側流路121の前端部において貫通孔125を通して流出側流路131に流入し、後方へ流れてゆき、4つの流出側流路161に流入する。そして温調水は、更に後方へ流れてゆき、排出凹部165及び周回溝166を通して、供給基部610に形成された排出流路631に流出して、流体供給部60から材料計量機1の外部へと排出される。
【0032】
次に、駆動部40の回転部420のピニオン421が回転駆動することにより、歯車151がスクリュー10と一体で回転する。これによりスクリュー10の先端部110の螺旋状のねじ山111の回転により、材料送給空間204に供給されたペレット状の樹脂材料を、せん断し攪拌しながら前方向へ送給する。
【0033】
このとき、前述のように、温調水が外部溝201に供給され、また、流入側流路121及び流出側流路131に温調水が流通しているため、温調水の熱により、バレル部20側からとスクリュー10側からとの両方から、材料送給空間204においてスクリュー10により送給されている樹脂材料が加熱され温調され、樹脂材料の内部の温度が均熱化される。これにより、樹脂材料は、半溶融状態で固化された粉体とされる。
【0034】
そして、駆動部40のアクチュエータ410が駆動することにより、スクリュー10は、前方向に前進し、これにより、スクリュー10よりも前方に送給され固化された状態の樹脂材料は、前方向へ押し出されてカッター部30のシャッター式のカッター310へ送給される。そして、樹脂材料は、シャッター式のカッター310により切断されて、所定量に計量された固化された状態の樹脂材料のタブレットが形成される。
【0035】
上記構成の本実施形態に係る送給装置を有する材料計量機1によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0036】
本実施形態に係る材料計量機1は、材料が供給されるスクリュー10であって、スクリュー10が回転することで供給された材料を攪拌しながら送給するスクリュー10と、スクリュー10の内部に設けられ、スクリュー10により送給される材料の内部の温度を調整して材料の温度を均熱化する内部温調部(流入側流路121及び流出側流路131)と、を備える。この構成により、材料送給空間204においてスクリュー10により送給されている樹脂材料は、スクリュー10側から加熱されて温調され、樹脂材料の内部の温度を均熱化することが可能となる。即ち、スクリュー10により送給することによるスクリュー計量式により、ペレットに対して熱を均一に伝えることができる。
【0037】
また、タブレットを形成するため機器を、予め余熱しておくことが不要となる。また、スクリュー10を直接、余熱することにより均熱性が期待できる。また、スクリュー10の径を変更することにより、多種タブレットの径、容量に対応することができる。また、スクリュー材質を変更することで多種材料に対応できる。
【0038】
また、内部温調部は、スクリュー10の内部に形成され温調のための流体である温調水を流通させる流路である流入側流路121及び流出側流路131を有する。この構成により、これら流路を流れる温調水により、スクリュー10側の樹脂材料を容易に温調することが可能となる。
【0039】
また、流入側流路121及び流出側流路131は、スクリュー10と一体的に回転する。この構成により、ペレット状の樹脂材料を攪拌させながら加熱する際に、樹脂材料の回転に追従して樹脂材料を確実に加熱して温調することができ、樹脂材料の均熱化を図ることを容易とすることができる。
【0040】
また、流路は、スクリュー10の軸心位置に形成された流入側流路121と、流入側流路121の、スクリュー10の半径方向外方の位置に形成された流出側流路131と、を有する。この構成により、スクリュー10の内部において温調水を流通させる続けることが可能となり、安定して樹脂材料の温調を行い続けることが可能となる。
【0041】
また、スクリュー10が回転しているときに、流入側流路121に対して常時流体を流入可能であり、スクリュー10が回転しているときに、流出側流路131から常時流体を流出可能である。この構成により、スクリュー10の内部において、確実に温調水を流通させる続けることが可能となり、より安定して樹脂材料の温調を行い続けることが可能となる。
【0042】
また、流出側流路161は、スクリュー10の軸心に平行に複数形成されている。この構成により、環状の流出側流路131を流れてきた温調水を複数の流出側流路161に分けて、流すことが可能となる。
【0043】
また、流入側流路171は、スクリュー10の周面において周方向に一周する溝である周回溝176を有する。この構成により、スクリュー10が回転しているときに、流入側流路171に対して常時温調水を流入可能な構成を容易に実現することができる。
【0044】
また、樹脂材料の外部の温度を調整する外部温調部(外部溝201、周回蓋部202)を備える。これにより、材料送給空間204において外部温調部(外部溝201、周回蓋部202)からも樹脂材料を加熱して温調でき、樹脂材料の外部の温度も内部の温度と同様に均熱化することが可能となる。
【0045】
本発明は、上述した実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲に記載された技術的範囲において変形が可能である。
【0046】
例えば、本実施形態においては、流体は温調水であったが、これに限定されない。また、スクリュー、流路、外部温調部等の構成は、本実施形態におけるスクリュー10、流入側流路121、流出側流路131、外部溝201、周回蓋部202等の構成に限定されない。
【符号の説明】
【0047】
1 材料計量機
10 スクリュー(送給装置)
20 バレル部(送給装置)
40 駆動部(送給装置)
60 流体供給部(送給装置)
121 流入側流路
131、161 流出側流路
176 周回溝
201 外部溝
202 周回蓋部