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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】車両用シート装置
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/14 20060101AFI20230925BHJP
   B60N 2/54 20060101ALI20230925BHJP
   B60N 2/06 20060101ALI20230925BHJP
【FI】
B60N2/14
B60N2/54
B60N2/06
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019026600
(22)【出願日】2019-02-18
(65)【公開番号】P2020131870
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2022-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002192
【氏名又は名称】弁理士法人落合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】望月 治希
【審査官】松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】実公平06-018841(JP,Y2)
【文献】特開2010-173491(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/14,2/50-54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートクッション(11a)を支持するシートフレーム(15)が取付けられる回転部材(30)ならびに当該回転部材(30)を回転可能に支持するベース部材(29)を有する回転機構(14)と、前記シートクッション(11a)の上方からの荷重を受けるようにして前記シートフレーム(15)に取付けられるクッション側受圧部材(19)とを含む車両用シート装置において、前記クッション側受圧部材(19)が、その少なくとも一部を側面視で前記回転機構(14)に重ねるようにして前記シートフレーム(15)に取付けられることを特徴とする車両用シート装置。
【請求項2】
前記回転部材(30)の中央部に上方に開放する円形の収容部(41)が形成され、前記クッション側受圧部材(19)の少なくとも一部が、側面視で前記回転部材(30)と重なる位置に在るようにして前記収容部(41)に収容されることを特徴とする請求項1に記載の車両用シート装置。
【請求項3】
前記クッション側受圧部材(19)が、当該クッション側受圧部材(19)の最下端部の前記回転機構(14)との当接を避けるようにして前記シートフレーム(15)に取付けられることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用シート装置。
【請求項4】
前記クッション側受圧部材(19)が、前記シートクッション(11a)への乗員の着座状態で当該クッション側受圧部材(19)の前記回転機構(14)との当接を避けるようにして前記シートフレーム(15)に取付けられることを特徴とする請求項3に記載の車両用シート装置。
【請求項5】
前記シートフレーム(15)が、相互に離間した位置で並ぶようにしつつ直線状に延びて前記回転部材(30)上に固定配置される一対のサイドフレーム(16a)を備え、前記クッション側受圧部材(19)が、平面視で一対の前記サイドフレーム(16a)間に配置されることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の車両用シート装置。
【請求項6】
前記シートクッション(11a)への乗員の着座状態を検知する着座センサ(43)が、平面視で前記回転部材(30)との重なりを避ける位置で前記クッション側受圧部材(19)に設けられるセンサ取付け部(44)に取付けられることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の車両用シート装置。
【請求項7】
前記シートクッション(11a)に着座した乗員の荷重を検出する荷重センサ(50)が、平面視で前記着座センサ(43)との重なりを避ける位置に配置されることを特徴とする請求項6に記載の車両用シート装置。
【請求項8】
車両の床面(47)上に、前記シートフレーム(15)をスライド可能とするための一対のスライドレール(13)が相互に平行に並んで設けられ、それらのスライドレール(13)の一部を構成する可動レール(46)と、前記ベース部材(29)との間に前記荷重センサ(50)が設けられることを特徴とする請求項7に記載の車両用シート装置。
【請求項9】
記シートフレーム(15)は、
相互に離間した位置で並ぶようにして直線状に延びる一対のサイドフレーム(16a)、それらのサイドフレーム(16a)の一端部間を連結する一端部連結部材(16b)、ならびに一対の前記サイドフレーム(16a)の他端部間を連結する他端部連結部材(16c)を有してシートクッション(11a)を支持するシートクッションフレーム(16)と;
相互に離間した位置で並ぶように配置されて上下方向に延びる一対のシートバックサイドフレーム(17a)、それらのシートバックサイドフレーム(17a)の上端部間を連結するアッパフレーム(17b)、ならびに一対の前記シートバックサイドフレーム(17a)の下端部間を連結するロアフレーム(17c)を有してシートバック(11b)を支持するシートバックフレーム(17)と:を備え、
前記クッション側受圧部材(19)が前記一端部連結部材(16b)および前記他端部連結部材(16c)間に架け渡されることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の車両用シート装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートクッションを支持するシートフレームが取付けられる回転部材ならびに当該回転部材を回転可能に支持するベース部材を有する回転機構と、前記シートクッションの上方からの荷重を受けるようにして前記シートフレームに取付けられるクッション側受圧部材とを含む車両用シート装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような車両用シート装置は、たとえば特許文献1によって知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-173491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1で開示されたものでは、回転機構の上方にクッション側受圧部材が配置されており、シート装置の上下方向での大型化が避けられなかった。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、上下方向でのコンパクト化を可能とした車両用シート装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、シートクッションを支持するシートフレームが取付けられる回転部材ならびに当該回転部材を回転可能に支持するベース部材を有する回転機構と、前記シートクッションの上方からの荷重を受けるようにして前記シートフレームに取付けられるクッション側受圧部材とを含む車両用シート装置において、前記クッション側受圧部材が、その少なくとも一部を側面視で前記回転機構に重ねるようにして前記シートフレームに取付けられることを第1の特徴とする。
【0007】
また本発明は、第1の特徴の構成に加えて、前記回転部材の中央部に上方に開放する円形の収容部が形成され、前記クッション側受圧部材の少なくとも一部が、側面視で前記回転部材と重なる位置に在るようにして前記収容部に収容されることを第2の特徴とする。
【0008】
本発明は、第1または第2の特徴の構成に加えて、前記クッション側受圧部材が、当該クッション側受圧部材の最下端部の前記回転機構との当接を避けるようにして前記シートフレームに取付けられることを第3の特徴とする。
【0009】
本発明は、第3の特徴の構成に加えて、前記クッション側受圧部材が、前記シートクッションへの乗員の着座状態で当該クッション側受圧部材の最下端部の前記回転機構との当接を避けるようにして前記シートフレームに取付けられることを第4の特徴とする。
【0010】
本発明は、第1~第4の特徴の構成のいずれかに加えて、前記シートフレームが、相互に離間した位置で並ぶようにしつつ直線状に延びて前記回転部材上に固定配置される一対のサイドフレームを備え、前記クッション側受圧部材が、平面視で一対の前記サイドフレーム間に配置されることを第5の特徴とする。
【0011】
本発明は、第1~第5の特徴の構成のいずれかに加えて、前記シートクッションへの乗員の着座状態を検知する着座センサが、平面視で前記回転部材との重なりを避ける位置で前記クッション側受圧部材に設けられるセンサ取付け部に取付けられることを第6の特徴とする。
【0012】
本発明は、第6の特徴の構成に加えて、前記シートクッションに着座した乗員の荷重を検出する荷重センサが、平面視で前記着座センサとの重なりを避ける位置に配置されることを第7の特徴とする。
【0013】
本発明は、第7の特徴の構成に加えて、車両の床面上に、前記シートフレームをスライド可能とするための一対のスライドレールが相互に平行に並んで設けられ、それらのスライドレールの一部を構成する可動レールと、前記ベース部材との間に前記荷重センサが設けられることを第8の特徴とする。
【0014】
さらに本発明は、第1~第8の特徴の構成のいずれかに加えて、前記シートフレームは、相互に離間した位置で並ぶようにして直線状に延びる一対のサイドフレーム、それらのサイドフレームの一端部間を連結する一端部連結部材、ならびに一対の前記サイドフレームの他端部間を連結する他端部連結部材を有してシートクッションを支持するシートクッションフレームと;相互に離間した位置で並ぶように配置されて上下方向に延びる一対のシートバックサイドフレーム、それらのシートバックサイドフレームの上端部間を連結するアッパフレーム、ならびに一対の前記シートバックサイドフレームの下端部間を連結するロアフレームを有してシートバックを支持するシートバックフレームと:を備え、前記クッション側受圧部材が前記一端部連結部材および前記他端部連結部材間に架け渡されることを第9の特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の上記特徴によれば、クッション側受圧部材の少なくとも一部が側面視で回転機構に重なるので、回転機構およびクッション側受圧部材を上下方向でコンパクトに纏めて配置することができる。
【0016】
また特に本発明の第2の特徴によれば、回転部材が中央部に有する円形の収容部に、クッション側受圧部材の少なくとも一部が収容されるので、回転部材の中央部の空きスペースを有効に利用することで、回転機構およびクッション側受圧部材を上下方向でコンパクトに纏めて配置することができる。
【0017】
特に本発明の第3の特徴によれば、クッション側受圧部材がその最下端部の回転機構との当接が避けられるように配設されることで、クッション側受圧部材および回転機構の相互干渉が生じることを防止することができる。
【0018】
特に本発明の第4の特徴によれば、シートクッションへの乗員の着座状態でクッション側受圧部材の最下端部の回転機構との当接が避けられるので、乗員の着座による荷重がクッション側受圧部材にかかった状態でもクッション側受圧部材および回転機構の相互干渉が生じることを防止することができる。
【0019】
特に本発明の第5の特徴によれば、シートフレームの一部を構成しつつ相互に離間した位置で並ぶようにしつつ直線状に延びる一対のサイドフレームが、回転部材上に固定配置され、クッション側受圧部材が、平面視で一対のサイドフレーム間に配置されるので、クッション側受圧部材の配置による径方向の大型化を避けることができる。
【0020】
特に本発明の第6の特徴によれば、着座センサを取り付けるための取付け部が、平面視で回転部材との重なりを避ける位置でクッション側受圧部材に設けられるので、着座センサの配設のためにシート装置が径方向で大型化することを避けつつ、取付け部への着座センサの取付け確認を容易とすることができる。
【0021】
特に本発明の第7の特徴によれば、荷重センサが、平面視で着座センサとの重なりを避ける位置に配置されるので、荷重センサおよび着座センサが上下方向で相互に重ならないようにして、上下方向で車両用シート装置をよりコンパクト化することが可能となるとともに、荷重センサおよび着座センサの視認性向上も期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】シートフレームがシート装置上に在る状態を示す斜視図である。
図2】クッション側受圧部材および回転機構を上方から見た平面図である。
図3図2の3-3線に沿う断面図である。
図4】スライドレールおよび回転機構を図3の4矢視方向から見た図である。
図5】スライドレールおよび回転機構を図3の5矢視方向から見た図である。
図6図4の6-6-線断面図である。
図7】ロック部材がロック位置に在る状態(a)ならびにロック解除位置にある状態(b)を対比しつつ図4の7-7線に沿って示す断面図である。
図8図7の8-8線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面を参照しながら説明する。以下の説明で「前後」、「左右」および「上下」は、座った乗員が前向きとなる姿勢にシートがある状態でで当該乗員から見た方向を言うものとする。
【0024】
先ず図1において、車両用シート装置は、シート11をスライド可能とするために左右方向に間隔をあけつつ相互に平行に並んで直線状に延びる一対のスライドレール13と、前記シート11を回転可能に支持しつつ前記スライドレール13に沿って移動可能な回転機構14とを含む。
【0025】
前記シート11のシートフレーム15は、シートクッション11aを支持するシートクッションフレーム16と、前記シートクッション11aの上方に配置されるシートバック11bを支持するようにして前記シートクッションフレーム16に連結されるシートバックフレーム17とを備える。
【0026】
シートクッションフレーム16は、相互に左右方向に離間した位置に並ぶようにして前後方向に直線状に延びるように配置される一対のサイドフレーム16aと、それらのサイドフレーム16aの前端部間を連結する一端部連結部材としてのパンフレーム16bと、一対の前記サイドフレーム16aの後端部間を連結する他端部連結部材としてのリヤパイプ16cとを有する。
【0027】
図2において、前記シートフレーム15には、前記シートクッション11aの上方からの荷重を受けるクッション側受圧部材19が取付けられており、このクッション側受圧部材19は、金属線を左右に蛇行するようにジグザグに湾曲して成る複数(この実施の形態では4個)のシートスプリング20を有し、それらのシートスプリング20は、隣接するシートスプリング20同士が左右対称となるように配置され、インサート成形によってそれらのシートスプリング20と一体に成形される樹脂製の複数の中間部連結部材21で、隣接のシートスプリング20同士が連結される。
【0028】
複数の前記シートスプリング20の前端部は、前記シートフレーム15における前記パンフレーム16bに設けられる係止部22にそれぞれ係合される。また相互に隣接するシートスプリング20の後端部は、前記シートフレーム15の前記リヤパイプ16cに係合されるとともに、インサート成形によってシートスプリング20と一体に成形される樹脂製の後端部連結部材23で連結されており、前記後端部連結部材23が、前記リヤパイプ16cを覆うように形成される。
【0029】
すなわち前記クッション側受圧部材19は、前記シートフレーム15における前記シートクッションフレーム16の前記パンフレーム16bおよび前記リヤパイプ16c間に架け渡されており、平面視で前記シートフレーム15の前記シートクッションフレーム16における一対の前記サイドフレーム16a間に配置される。
【0030】
再び図1に注目して、前記シートバックフレーム17は、相互に左右方向に離間した位置に並ぶようにして上下方向に延びる一対のシートバックサイドフレーム17aと、それらのシートバックサイドフレーム17aの上端部間を連結するアッパフレーム17bと、一対の前記シートバックサイドフレーム17aの下端部間を連結するロアフレーム17cとを有する。
【0031】
一対の前記シートバックサイドフレーム17a間には、樹脂等によって弾性変形可能に形成されるバック側受圧部材24が配置されており、このバック側受圧部材24は、上部連結ワイヤ25および下部連結ワイヤ26を介して左右の前記シートバックサイドフレーム17a間に架け渡される。
【0032】
図3図6を併せて参照して、前記シートフレーム15は、前記回転機構14上に載置されており、この回転機構14は、前記スライドレール13に沿って移動可能なベース部材29と、前記シートフレーム15を支持して前記ベース部材29に回転可能に支持される回転部材30と、当該回転部材30の一部を上方から覆って前記ベース部材29に固定されるカバー部材31とを備える。
【0033】
前記ベース部材29は、環状である第1底壁部29aと、第1底壁部29aの外周部から上方に立ち上がる円筒状の第1側壁部29bと、第1側壁部29bの上端部から外側方に張り出す第1鍔部29cとを有し、第1鍔部29cは矩形状に形成される。
【0034】
また前記カバー部材31は、前記ベース部材29の第1底壁部29aに上方から当接される環状の第2底壁部31aと、その第2底壁部31aの外周からわずかに上方に立ち上がる円筒状の第2側壁部31bと、上方に向かうにつれて大径となるように形成されて第2側壁部31bの上端部に連設される第1テーパ部31cと、第1テーパ部31cの上端部に連なる環状の第1平坦壁部31dと、第1平坦壁部31dの外周から上方に立ち上がる円筒状の第3側壁部31eとを有し、前記第2底壁部31aは前記ベース部材29の前記第1底壁部29aに複数のリベット32で結合される。
【0035】
前記回転部材30は、前記カバー部材31の前記第1テーパ部31cに外側方から対向する位置に配置されて上方に向かうにつれて大径となるように形成される第2テーパ部30aと、前記カバー部材31の前記第2側壁部31bに外側方から対向するようにして前記第2テーパ部30aの上端部から上方に立ち上がる円筒状の第4側壁部30bと、第4側壁部30bから外側方に張り出す第2鍔部30cとを有し、第2鍔部30cは矩形状に形成される。また第2鍔部30cに、前記スライドレール13と平行に延びるブラケット33が複数ずつの第1のボルト34および第2のナット35で締結される。このブラケット33には、前記シートフレーム15における前記シートクッションフレーム16の前記サイドフレーム16aが結合され、当該サイドフレーム16aは、相互に離間した位置で並ぶようにしつつ直線状に延びて前記回転部材30の前記第2鍔部30c上に固定配置されることになる。
【0036】
前記回転部材30は、前記ベース部材29が有する環状の回転支持部36に軸受37を介して回転可能に支持されており、前記回転支持部36は、前記ベース部材29における第1底壁部29aと、前記第1側壁部29bとで横断面形状が略L字状となるように形成される。
【0037】
前記軸受37は、環状のリテーナ38の周方向複数箇所にボール39が保持されて成り、前記回転部材30における前記第1テーパ部31cには、前記ボール39を転動させるための環状凹部40が形成される。
【0038】
ところで、前記回転部材30の中央部には、当該回転部材30における前記第2テーパ部30aおよび前記第4側壁部30bによって構成される円形の収容部41が上方に開放するとともに下方にも開放するようにして形成されており、前記カバー部材31はその収容部41内に収容、配置される。
【0039】
また前記クッション側受圧部材19の少なくとも一部は、側面視で前記回転部材30と重なる位置に在るようにして前記収容部41に収容される。すなわち図3において、前記回転部材30の上端すなわち前記第2鍔部30cの上面を通る仮想平面PLよりも下方に前記クッション側受圧部材19の少なくとも一部(この実施の形態では車両前後方向に沿う後方側の一部)が在る。
【0040】
しかも前記クッション側受圧部材19は、当該クッション側受圧部材19の最下端部の前記回転機構14との当接を避けるようにして前記シートフレーム15における前記シートクッションフレーム16に取付けられており、前記シートクッション11aへの乗員の着座状態にあっても図3の二点鎖線で示すように当該クッション側受圧部材19の前記回転機構14との当接を避けるようにして前記シートクッションフレーム16に取付けられる。
【0041】
また前記クッション側受圧部材19には、前記シートクッション11aへの乗員の着座状態を検知する着座センサ43が取付けられるものであり、平面視で前記回転部材30との重なりを避ける位置に配置されるようにして前記クッション側受圧部材19に設けられるセンサ取付け部44に前記着座センサ43が取付けられる。この実施の形態で前記センサ取付け部44は、前記シートクッションフレーム16の前記パンフレーム16bの近傍で前記クッション側受圧部材19に前記センサ取付け部44が設けられる。
【0042】
ところで前記スライドレール13は、車両の前後方向に延びる固定レール45と、その固定レール45に摺動可能に嵌合される可動レール46とから成り、車両前後方向に沿う前記固定レール45の前部は車両の床面47に前部ブラケット48を介して固定され、前記固定レールの後部は前記床面47に後部ブラケット49を介して固定される。しかも前記前部ブラケット48は、前記後部ブラケット49よりも高く形成されており、前記固定レール45すなわち前記スライドレール13は、車両前後方向後方に向かうにつれて低くなるように傾斜して車両前後方向に延びる。
【0043】
前記シートクッション11aに着座した乗員の荷重は荷重センサ50で検出されるものであり、当該荷重センサ50は、平面視で前記着座センサ43との重なりを避ける位置に配置され、この実施の形態では、左右一対の前記スライドレール13の一部を構成する前記可動レール46の前部および後部と、前記回転部材30における第2鍔部30cの左右前後端部との間の4箇所に設けられる。
【0044】
図7および図8を併せて参照して、前記回転部材30の前記ベース部材29および前記カバー部材31に対するロック状態ならびにロック状態解除は、前記回転部材30に支持されるロック部材52の操作で切替えられるものであり、このロック部材52の作動に連動するがたつき抑制部材53が前記カバー部材31および前記回転部材30間に配置される。
【0045】
前記カバー部材31が有する第1テーパ部31cと、前記回転部材30が有する第2テーパ部30aとの間には、上方に向かうにつれて大径となるテーパ状の押し出し部材54が配置される。この押し出し部材54の周方向に間隔をあけた複数箇所には、当該押し出し部材54の周方向に長く延びる収容孔55が設けられており、前記カバー部材31の前記第1テーパ部31cおよび前記回転部材30の第2テーパ部30a間に介在するがたつき抑制部材53が前記収容孔55に収容される。
【0046】
一方、前記回転部材30には、前記ロック部材52が鉛直な軸線を有する軸51を介して回動可能に支持されており、このロック部材52は、図7(a)で示すように前記カバー部材31の前記第1テーパ部31cに係合して前記回転部材30の回転を阻止するロック位置と、図7(b)で示すように前記第1テーパ部31cとの係合を解除して前記回転部材30の回転を許容するロック解除位置との間での回動が可能であり、ばね56によって前記ロック位置側に回動付勢される。
【0047】
前記ロック部材52が有する連結腕部52aは、前記回転部材30の前記第2テーパ部30aに形成された挿通孔57に挿通され、前記連結腕部52aの先端部は、前記押し出し部材54に形成される連結孔58に挿通可能であり、前記連結腕部52aの先端部を前記連結孔58に挿通させることで前記押し出し部材54に前記ロック部材52が連結される。この連結腕部52aは、図7(b)で示すように、前記ロック部材52がロック解除位置となったときに前記連結孔58に連結され、前記押し出し部材54にその回動方向への押圧力が前記連結腕部52aから作用することになる。
【0048】
また前記ロック部材52が有する係合腕部52bは、図7(a)で示す前記ロック位置では、前記回転部材30における前記第2テーパ部30aに形成された第1の貫通孔59と、前記カバー部材31の第1テーパ部31cに形成された第2の貫通孔60に係合するものの、図7(b)で示すロック解除位置では前記第2の貫通孔60から離脱して前記カバー部材31との係合を解除するものであり、前記ロック位置および前記ロック解除位置間で前記係合腕部52bは前記押し出し部材54を跨ぐように作動する。
【0049】
前記回転部材30における前記第2テーパ部30aには、前記がたつき抑制部材53の一部を収容する凹部61が前記がたつき抑制部材53を緊密に嵌合させることを可能として形成される。
【0050】
前記がたつき抑制部材53は、前記ロック部材52の前記ロック解除位置から前記ロック位置側への作動に応じた前記押し出し部材54の移動方向62に進むにつれて高さが次第に低くなる斜面53aを有するようにして楔形に形成され、前記がたつき抑制部材53を緊密に嵌合させることを可能とした前記凹部61は、前記斜面53aに対向する凹部側斜面61aを有しつつ当該がたつき抑制部材53の一部を収容するようにして三角形状に形成される。
【0051】
また前記押し出し部材54に形成された前記収容孔55の長手方向両端部のうち前記移動方向62に沿う前端部と、前記がたつき抑制部材53との間には、コイルばね63が縮設されており、このコイルばね63が発揮するばね力で前記がたつき抑制部材53は前記移動方向62とは逆方向に付勢される。
【0052】
而して前記ロック部材52が前記ロック位置にあるときには、図7(a)で示すように、前記がたつき抑制部材53の前記斜面53aが、前記凹部61の前記凹部側斜面61aに緊密に当接することで前記がたつき抑制部材52が前記回転部材30および前記カバー部材31に緊密に接触することになり、それにより前記回転部材30のがたつきが阻止される。
【0053】
また前記ロック部材52が前記ロック解除位置となったときには、図7(b)で示すように、前記収容孔55の長手方向両端部のうち前記移動方向62に沿う後端部が前記がたつき抑制部材53に当接し、前記コイルばね63の勢力に抗して前記がたつき抑制部材53は前記移動方向62に押されることになり、前記がたつき抑制部材53の前記斜面53aが前記凹部側斜面61aから離反する側に前記がたつき抑制部材53が移動し、がたつき防止状態が解除されることになる。
【0054】
次にこの実施の形態の作用について説明すると、シートクッション11aの上方からの荷重を受けるようにしてシートフレーム15に取付けられるクッション側受圧部材19が、その少なくとも一部を側面視で回転機構14に重ねるようにして前記シートフレーム15に取付けられるので、前記回転機構14および前記クッション側受圧部材19を上下方向でコンパクトに纏めて配置することができる。
【0055】
また回転機構14の一部を構成する回転部材30の中央部に上方に開放する円形の収容部41が形成され、前記クッション側受圧部材19の少なくとも一部が、側面視で前記回転部材30と重なる位置に在るようにして前記収容部41に収容されるので、前記回転部材30の中央部の空きスペースを有効に利用することで、前記回転機構14および前記クッション側受圧部材19を上下方向でコンパクトに纏めて配置することができる。
【0056】
また前記クッション側受圧部材19が、当該クッション側受圧部材19の最下端部の前記回転機構14との当接を避けるようにして前記シートフレーム15に取付けられるので、前記クッション側受圧部材19および前記回転機構14の相互干渉が生じることを防止することができる。特に前記クッション側受圧部材19が、前記シートクッション11aへの乗員の着座状態で当該クッション側受圧部材19の前記回転機構14との当接を避けるようにして前記シートフレーム15に取付けられるので、乗員の着座による荷重がクッション側受圧部材19にかかった状態でもクッション側受圧部材19および回転機構14の相互干渉が生じることを防止することができる。
【0057】
また前記シートフレーム15が、相互に離間した位置で並ぶようにしつつ直線状に延びて前記回転部材30上に固定配置される一対のサイドフレーム16aを備えており、前記クッション側受圧部材19が、平面視で一対の前記サイドフレーム16a間に配置されるので、前記クッション側受圧部材19の配置による径方向の大型化を避けることができる。
【0058】
またシートクッション11aへの乗員の着座状態を検知する着座センサ43が、平面視で前記回転部材30との重なりを避ける位置で前記クッション側受圧部材19に設けられるセンサ取付け部44に取付けられるので、着座センサ43の配設のために車両用シート装置が径方向で大型化することを避けつつ、前記センサ取付け部44への前記着座センサ43の取付け確認を容易とすることができる。
【0059】
また前記シートクッション11aに着座した乗員の荷重を検出する荷重センサ50が、平面視で前記着座センサ43との重なりを避ける位置に配置されるので、前記荷重センサ50および前記着座センサ43が上下方向で相互に重ならないようにして、上下方向で車両用シート装置をよりコンパクト化することが可能となるとともに、前記荷重センサ50および前記着座センサ43の視認性向上も期待できる。
【0060】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0061】
たとえばクッション側受圧部材は、金属線を左右に蛇行するようにジグザグに湾曲して成る複数のシートスプリング20を有するものに限定されることはなく、金属線を前後に蛇行するようにジグザグに湾曲して成る複数のシートスプリングが左右のサイドフレーム間に架け渡されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0062】
11b・・・シートバック
14・・・回転機構
15・・・シートフレーム
16・・・シートクッションフレーム
16a・・・サイドフレーム
16b・・・一端部連結部材としてのパンフレーム
16c・・・他端部連結部材としてのリヤパイプ
17・・・シートバックフレーム
17a・・・シートバックサイドフレーム
17b・・・アッパフレーム
17c・・・ロアフレーム
19・・・クッション側受圧部材
29・・・ベース部材
30・・・回転部材
41・・・収容部
43・・・着座センサ
44・・・センサ取付け部
46・・・可動レール
50・・・荷重センサ
図1
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