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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】屋根構造
(51)【国際特許分類】
   E04D 3/40 20060101AFI20230925BHJP
【FI】
E04D3/40 L
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022501670
(86)(22)【出願日】2020-12-24
(86)【国際出願番号】 JP2020048592
(87)【国際公開番号】W WO2021166445
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2022-07-05
(31)【優先権主張番号】P 2020025665
(32)【優先日】2020-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】長津 朋幸
(72)【発明者】
【氏名】太田 祐吾
【審査官】沖原 有里奈
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-185160(JP,A)
【文献】特開2001-254491(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 3/40
E04D 13/158
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の屋根下地と、
前記屋根下地の妻側の上面に配置されたのぼり木部材と
を備え、
前記のぼり木部材が鋼製であり、
前記のぼり木部材は、のぼり木部材本体と、前記のぼり木部材本体から前記のぼり木部材の幅方向に係る外方に突出された鍔部とを有しており、
前記のぼり木部材本体は、
前記のぼり木部材の下部において前記のぼり木部材の幅方向に延在された第1及び第2下壁部と、
前記幅方向に係る前記第1下壁部の一端から立設された第1側壁部と、
前記第1側壁部の上端から前記幅方向に延出された上壁部と、
前記幅方向に係る前記第2下壁部の一端から立設された第2側壁部と
を有し、
前記のぼり木部材の高さ方向に係る前記第2側壁部の延在幅は、前記のぼり木部材の高さ方向に係る前記第1側壁部の延在幅よりも短く、
前記鍔部は、
前記第2側壁部よりも前記幅方向に係る外方に向かって前記上壁部が延長された延長壁部と、
前記延長壁部の一端と前記第2側壁部の上端とを接続する接続壁部と
を有している、
屋根構造。
【請求項2】
前記第1及び第2下壁部の少なくとも一方が前記第1側壁部及び第2側壁部の下端から幅方向内方に向けて延出されており、
前記上壁部の上方から前記第1及び第2下壁部の少なくとも一方並びに前記上壁部を貫通するように前記屋根下地に緊結部材が打ち込まれることで、前記のぼり木部材が前記屋根下地に緊結されている、
請求項1に記載の屋根構造。
【請求項3】
前記第1下壁部が妻側に位置するとともに、前記第2下壁部が反妻側に位置するように前記のぼり木部材が配置されており、
反妻側の前記第2下壁部を前記緊結部材が打ち抜いている、
請求項2に記載の屋根構造。
【請求項4】
前記のぼり木部材本体は、
前記第1下壁部の先端に折返部を介して接続されているとともに、前記第1下壁部の下方において前記幅方向に延在された第3下壁部と、
前記第1側壁部の延長線上に延在されるように、前記第3下壁部の先端から下方に延出された第3側壁部と
をさらに有している、
請求項1に記載の屋根構造。
【請求項5】
前記屋根下地の妻側の下部に配置された破風板
をさらに備え、
前記第3側壁部が前記屋根下地及び前記破風板の側方に位置され、前記第3側壁部の側方から前記第3側壁部を貫通するように前記破風板に向かって緊結部材が打ち込まれることで、前記のぼり木部材が前記破風板に固定されている、
請求項4に記載の屋根構造。
【請求項6】
前記第2下壁部は、前記第2側壁部の下端から幅方向外方に向かって延出されており、
前記上壁部の上方から前記上壁部を貫通するように前記屋根下地に緊結部材が打ち込まれるとともに、前記第2下壁部の上方から前記第2下壁部を貫通するように前記屋根下地に向かって緊結部材が打ち込まれることにより、前記のぼり木部材が前記屋根下地に緊結されている、
請求項4又は請求項5に記載の屋根構造。
【請求項7】
前記のぼり木部材は、閉鎖断面を有している、
請求項1に記載の屋根構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋根下地及びのぼり木部材を有する屋根構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来用いられていたこの種の屋根構造としては、例えば下記の特許文献1等に示されている屋根構造を挙げることができる。すなわち、従来の屋根構造では、屋根下地のケラバ側の上面にのぼり木部材を配置している。のぼり木部材は、屋根のケラバ側の端部を覆うケラバ水切を支持するために利用される。すなわち、ケラバ水切を通してのぼり木部材に例えば釘等の緊結部材を打ち込むことで、ケラバ水切がのぼり木部材に緊結される。一般に、のぼり木部材としては木製の角材が使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-112055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
屋根は直射日光や風雨に曝される。このため、のぼり木部材は大きな温度変化に曝されて徐々に劣化してしまう。のぼり木部材として木製の角材が使用される場合、のぼり木部材の劣化によりケラバ水切の緊結が弱まり、台風等の強風によりケラバ水切が吹き飛ばされる虞がある。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、のぼり木部材の劣化を抑え、より長期的にケラバ水切の緊結を維持できる屋根構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る屋根構造は、板状の屋根下地と、屋根下地の妻側の上面に配置されたのぼり木部材とを備え、のぼり木部材が鋼製であり、のぼり木部材は、のぼり木部材本体と、のぼり木部材本体からのぼり木部材の幅方向に係る外方に突出された鍔部とを有しており、のぼり木部材本体は、のぼり木部材の下部においてのぼり木部材の幅方向に延在された第1及び第2下壁部と、幅方向に係る第1下壁部の一端から立設された第1側壁部と、第1側壁部の上端から幅方向に延出された上壁部と、幅方向に係る第2下壁部の一端から立設された第2側壁部とを有し、のぼり木部材の高さ方向に係る第2側壁部の延在幅は、のぼり木部材の高さ方向に係る第1側壁部の延在幅よりも短く、鍔部は、第2側壁部よりも幅方向に係る外方に向かって上壁部が延長された延長壁部と、延長壁部の一端と第2側壁部の上端とを接続する接続壁部とを有している。
【発明の効果】
【0007】
本発明の屋根構造によれば、のぼり木部材が鋼製であるので、のぼり木部材の劣化を抑え、より長期的にケラバ水切の緊結を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態1による屋根構造を示す正面図である。
図2図1の垂木部材を示す斜視図である。
図3図1ののぼり木部材を示す斜視図である。
図4図3ののぼり木部材の第1変形例を示す斜視図である。
図5】本発明の実施の形態2による屋根構造を示す正面図である。
図6図5ののぼり木部材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。本発明は各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態の構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0010】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1による屋根構造を示す正面図である。図1に示すように、本実施の形態の屋根構造は、屋根下地1、屋根材2、のぼり木部材3、垂木部材4、破風板5及びケラバ水切役物6を含んでいる。
【0011】
屋根下地1は、建物の上部に配置された板状体である。屋根下地1の上にルーフィング1aが敷かれており、そのルーフィング1aを介して屋根下地1の上に複数の屋根材2が配置されている。屋根材2には、瓦若しくはスレート等の窯業系屋根材及び金属屋根材が含まれる。
【0012】
のぼり木部材3は、屋根下地1の妻側の上面に固定された部材である。妻側とは、屋根の軒方向にかかる屋根の端部に近い側を意味する。のぼり木部材3は、屋根の妻側端部において、屋根の軒端と棟端との間で軒棟方向に延在されている。のぼり木部材3は、例えばビス又は釘等により構成される緊結部材7によって屋根下地1に緊結されている。本実施の形態の緊結部材7は、ビスによって構成されている。本実施の形態では、のぼり木部材3の上方からのぼり木部材3に打ち込まれた緊結部材7が屋根下地1を貫通して垂木部材4まで到達することにより、のぼり木部材3が屋根下地1及び垂木部材4に緊結されている。
【0013】
垂木部材4は、屋根下地1の下部に配置された部材である。破風板5は、屋根下地1の妻側の下部に配置された板状の部材である。垂木部材4及び破風板5は、のぼり木部材3と同様に屋根の軒端と棟端との間で軒棟方向に延在されている。
【0014】
ケラバ水切役物6は、のぼり木部材3を覆うための部材である。本実施の形態のケラバ水切役物6は、屋根下地1の妻側端部も覆っている。ケラバ水切役物6は、のぼり木部材3及び垂木部材4と同様に、屋根の軒端と棟端との間で軒棟方向に延在されている。
【0015】
<垂木部材について>
次に、図2及び図1を参照しながら垂木部材4について説明する。図2は、図1の垂木部材4を示す斜視図である。図2に示すように、本実施の形態の垂木部材4は閉鎖断面を有する角形金属管によって構成されている。より具体的には、本実施の形態の垂木部材4は、長壁40及び短壁41を有する断面長方形状の角形金属管によって構成されている。長壁40及び短壁41は、垂木部材4の壁部を構成する。図1に示すように、本実施の形態の垂木部材4は、長壁40の延在方向を上下方向とし、短壁41の上に屋根下地1が載せられるように適合されている。但し、角形金属管の断面形状は、任意であり、例えば正方形又は台形等の他の形状であってもよい。
【0016】
角形金属管の素材としては、冷延鋼板、ステンレス鋼板若しくはアルミニウム板又はこれらに表面処理を施したものを使用することができる。表面処理には、めっき及び塗装が含まれる。特に、めっきには、Zn-Al-Mg合金めっきが含まれる。角形金属管の肉厚は、0.8mm程度とすることができる。
【0017】
短壁41には、垂木部材4の長手方向に延在されたリブ43が設けられている。このようなリブ43が短壁41に設けられていることで、垂木部材4の長手方向に直交する方向に沿って垂木部材4に加えられる外力に対する垂木部材4の剛性を向上できる。本実施の形態のリブ43は、短壁41の幅方向に間隔を置いて配置された複数の凹部を有している。本実施の形態の複数の凹部は、第1及び第2凹部群431,432を形成している。第1及び第2凹部群431,432は、短壁41の幅方向に係る中央部に形成された平板部433の両側に配置されている。なお、リブ43は、短壁41の幅方向に間隔を置いて配置された複数の凸部を有していてもよい。
【0018】
垂木部材4には、垂木部材4を構成する金属板(素材金属板)の両側部がカシメられたカシメ部45が設けられている。換言すると、本実施の形態の垂木部材4では、素材金属板の両側部を溶接により接合していない。素材金属板として表面処理を施した金属板を用いる場合、素材金属板の両側部を溶接すると、接合部の表面処理が除去されてしまう。表面処理が除去されると接合部から腐食が生じやすくなる。また、接合部に対して表面処理の補修を行う必要が生じる。素材金属板の両側部をカシメにより接合することで、このような問題の発生を回避することができる。本実施の形態のカシメ部45は、素材金属板の両側部がハゼ折りされたハゼ折り部により構成されている。
【0019】
図1に示しているように、のぼり木部材3を緊結する緊結部材7は、垂木部材4の上方から短壁41を貫通して垂木部材4の内側に進入している。短壁41の内側には、緊結部材7を取り囲むように打ち抜きバリ41aが形成される。打ち抜きバリ41aは、緊結部材7に絡みつき緊結部材7の引き抜きを阻害する。
【0020】
なお、垂木部材4が必ず金属管でなければならないわけでなく、例えば木材等の他の材料によって垂木部材4を構成してもよい。木材又は他の材料により垂木部材4を構成するとき、垂木部材4は中実構造であってもよい。すなわち、垂木部材4の内部が空洞でなくてもよい。
【0021】
<のぼり木部材について>
次に、図3図4及び図1を参照しながら、のぼり木部材3について説明する。図3は、図1ののぼり木部材3を示す斜視図である。図4は、図3ののぼり木部材3の変形例を示す斜視図である。図3に示すように、本実施の形態ののぼり木部材3は断面形状が非矩形の異形部材によって構成されている。具体的には、のぼり木部材3は、のぼり木部材本体30と、のぼり木部材本体30からのぼり木部材3の幅方向3aに係る外方に突出された鍔部31とを有している。
【0022】
のぼり木部材本体30は、のぼり木部材3の鍔部31を除く部分である。本実施の形態ののぼり木部材本体30は、断面矩形の外形を有している。本実施の形態ののぼり木部材本体30には、第1下壁部300、第1側壁部301、上壁部302、第2側壁部303及び第2下壁部304が設けられている。
【0023】
第1及び第2下壁部300,304は、のぼり木部材3の下部において、のぼり木部材3の幅方向3aに延在された壁部である。第1及び第2下壁部300,304は幅方向3aに互いに離間して設けられており、これら第1及び第2下壁部300,304の間には開口305が設けられている。幅方向3aに係るのぼり木部材3の下部の中央位置は開口305の位置に設けられている。但し、のぼり木部材3が閉鎖断面を有していてもよい。すなわち、図4に示すように、第1及び第2下壁部300,304が互いに接続されていてもよい。
【0024】
第1側壁部301は、幅方向3aに係る第1下壁部300の一端から立設された壁部である。第1側壁部301と第1下壁部300との間の角度は、任意であるが、本実施の形態では90°とされている。
【0025】
上壁部302は、第1側壁部301の上端からのぼり木部材3の幅方向3aに延出された壁部である。第1側壁部301と上壁部302との間の角度は、任意であるが、本実施の形態では90°とされている。
【0026】
第2側壁部303は、幅方向3aに係る第2下壁部304の一端から立設された壁部である。第2側壁部303と第2下壁部304との間の角度は、任意であるが、本実施の形態では90°とされている。のぼり木部材3の高さ方向3bに係る第2側壁部303の延在幅は、屋根材2の厚み以上に設定される。
【0027】
鍔部31は、第2側壁部303から幅方向3aに係る外方(第1側壁部301から遠ざかる方向)に向かって突出された部分である。鍔部31は、第2側壁部303の上部に配置されている。第2側壁部303の外面を基準とする幅方向3aに係る鍔部31の突出幅は、20~100mmであることが好ましい。突出幅を20mm以上とすることで、屋根材2の切断面に向かう日光を遮ることができる。突出幅を100mm以下とすることで、強風時にのぼり木部材3等が受ける圧力抵抗を抑えることができる。
【0028】
鍔部31の断面形状は矩形又は台形等の任意の形状とすることができるが、本実施の形態の鍔部31の断面形状は三角形とされている。本実施の形態の鍔部31は、延長壁部310及び接続壁部311を有している。
【0029】
延長壁部310は、第2側壁部303よりも幅方向3aに係る外方に向かって上壁部302が延長された壁部である。
【0030】
接続壁部311は、延長壁部310の一端と第2側壁部303の上端とを接続する壁部である。本実施の形態の接続壁部311は、延長壁部310の先端から第2側壁部303の上端に向かってのぼり木部材3の高さ方向3bに対して傾斜して延在されている。本実施の形態では延長壁部310と接続壁部311との間の角度は鋭角とされている。これら延長壁部310と接続壁部311との間の角度は、屋根材2の切断面に向かう日光を鍔部31によって遮ることができるように、第2側壁部303の外面を基準とする幅方向3aに係る鍔部31の突出幅とともに決めることができる。上述のように鍔部31の突出幅を20~100mmとしたとき、延長壁部310と接続壁部311との間の角度は20°以上かつ60°以下であることが好ましい。本実施の形態では、延長壁部310と接続壁部311との間の角度が38°とされている。
【0031】
本実施の形態ののぼり木部材3は、金属板の成形体である。具体的には、のぼり木部材3は金属板が折り曲げられることにより成形されたものである。上述の第1下壁部300、第1側壁部301、上壁部302、第2側壁部303及び第2下壁部304並びに延長壁部310及び接続壁部311は互いに一体に形成されている。のぼり木部材3が金属板の成形体であることにより、のぼり木部材3が木材によって構成される場合と比較して、のぼり木部材3の劣化によりのぼり木部材3及びケラバ部材62の緊結が弱まる虞を低減できる。
【0032】
図1に示すように、本実施の形態ののぼり木部材3は、第1及び第2下壁部300,304を屋根下地1の上面に載せるように配置される。このとき、第1下壁部300及び第1側壁部301が屋根の妻側に位置するように配置される。また、第2側壁部303、第2下壁部304及び鍔部31が反妻側に位置するように配置される。換言すると、第2側壁部303、第2下壁部304及び鍔部31は、第1下壁部300及び第1側壁部301と比較して、屋根の妻側端部から離れた位置に配置される。
【0033】
第1下壁部300は妻側の下壁部を構成し、第2下壁部304は反妻側の下壁部を構成する。第1下壁部300は、幅方向3aに係るのぼり木部材3の下部の中央位置よりも妻側に位置する。また、第2下壁部304は、中央位置よりも反妻側に位置する。第1側壁部301はのぼり木部材3の妻側の側壁を構成し、第2側壁部303はのぼり木部材3の反妻側の側壁を構成する。
【0034】
のぼり木部材3を緊結するための緊結部材7は、上壁部302の上方から上壁部302、第2下壁部304及び屋根下地1を貫通して垂木部材4に打ち込まれる。すなわち、緊結部材7は、幅方向3aに係るのぼり木部材3の下部の中央位置よりも妻側端部から離れた位置で屋根下地1を貫通する。このように緊結部材7が打ち込まれることで、屋根下地1の妻側端部が破損する虞を低減できる。但し、状況によっては、上壁部302及び第1下壁部300を貫通するようにのぼり木部材3に緊結部材7を打ち込んでのぼり木部材3を緊結してもよい。また、第1及び第2下壁部300,304の両方をそれぞれ貫通するようにのぼり木部材3に緊結部材7を打ち込んでもよい。
【0035】
ケラバ水切役物6を緊結するための緊結部材7は、第1側壁部301を貫通してのぼり木部材3の内側に進入している。第1側壁部301の内側には、緊結部材7を取り囲むように打ち抜きバリ301aが形成されている。打ち抜きバリ301aは、緊結部材7に絡みつき緊結部材7の引き抜きを阻害する。
【0036】
鍔部31の下方には屋根材2の端部が収められる。すなわち、本実施の形態の屋根構造を鉛直方向上方から見たとき、鍔部31が屋根材2の端部を覆っている。ケラバ水切役物6は、鍔部31を覆う形状を有している。鍔部31は、例えば作業員の踏み潰し及び飛来物の衝突等の外力によって屋根材2の端部及びケラバ水切役物6が破損する虞を低減できる。
【0037】
このような屋根構造では、のぼり木部材3が鋼製であるので、のぼり木部材3の劣化を抑え、より長期的にケラバ水切役物6の緊結を維持できる。
【0038】
また、第1及び第2下壁部300,304の少なくとも一方並びに上壁部302を打ち抜くように上壁部302側から屋根下地1に緊結部材が打ち込まれることで、のぼり木部材3が屋根下地1に緊結されているので、地震や嵐による振動に対し、強固な構造となる。
【0039】
また、反妻側の第2下壁部304を緊結部材7が打ち抜いているので、屋根下地1の妻側端部が破損する虞を低減できる。
【0040】
また、のぼり木部材本体30からのぼり木部材3の幅方向3aに係る外方に鍔部31が突出されているので、例えば作業員の踏み潰し及び飛来物の衝突等の外力によって屋根材2の端部及びケラバ水切役物6が破損する虞を低減できる。
【0041】
また、のぼり木部材本体30が閉鎖断面を有しているので、形状変形し難く、強度が増す。
【0042】
実施の形態2.
図5は本発明の実施の形態2による屋根構造を示す正面図であり、図6図5ののぼり木部材3を示す斜視図である。実施の形態2による屋根構造は、実施の形態1の屋根構造からのぼり木部材3の形状が変更されている。
【0043】
図5及び図6に示すように、本実施の形態2ののぼり木部材本体30は、第1下壁部300、第1側壁部301、上壁部302、第2側壁部303及び第2下壁部304に加えて、第3下壁部306及び第3側壁部307を有している。
【0044】
第3下壁部306は、第1下壁部300の先端に折返部306aを介して接続されているとともに、第1下壁部300の下方において幅方向3aに延在されている。第3側壁部307は、第3下壁部306の先端から下方に延出されている。第3側壁部307は、第1側壁部301の延長線上に延在されている。
【0045】
実施の形態1では、第2下壁部304が第2側壁部303の下端から幅方向内方(第1下壁部300に近づく方向)に向かって延出されるように説明した。しかしながら、本実施の形態2の第2下壁部304は、第2側壁部303の下端から幅方向外方(第1下壁部300から遠ざかる方向)に向かって延出されている。第2側壁部303を基準とする第2下壁部304の突出幅は、第2側壁部303を基準とする鍔部31の突出幅よりも大きくすることができる。
【0046】
図5に示すように、本実施の形態2ののぼり木部材3は、第2及び第3下壁部304,306を屋根下地1の上面に載せるように配置される。このとき、第3側壁部307は、屋根下地1及び破風板5の側方に位置される。ケラバ部材62の下垂片621及び第3側壁部307を貫通するように、下垂片621の外側から破風板5に向かって緊結部材7を打ち込むことができる。これにより、ケラバ部材62及びのぼり木部材3を破風板5に固定することができる。
【0047】
また、第2下壁部304を貫通するように第2下壁部304の上方から屋根下地1に向かって緊結部材7を打ち込むことができる。これにより、のぼり木部材3を屋根下地1に固定することができる。その他の構成は、実施の形態1と同様である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6