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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】デジタル印刷のための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   B41M 5/00 20060101AFI20230925BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20230925BHJP
   C09D 11/30 20140101ALI20230925BHJP
【FI】
B41M5/00 100
B41J2/01 101
B41J2/01 123
B41J2/01 125
B41M5/00 120
B41M5/00 132
C09D11/30
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020531087
(86)(22)【出願日】2018-12-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-18
(86)【国際出願番号】 IB2018059686
(87)【国際公開番号】W WO2019111187
(87)【国際公開日】2019-06-13
【審査請求日】2021-12-02
(31)【優先権主張番号】62/595,582
(32)【優先日】2017-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/595,593
(32)【優先日】2017-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514210005
【氏名又は名称】ランダ コーポレイション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002723
【氏名又は名称】高法弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】レバノン,モシェ
(72)【発明者】
【氏名】シモニー-コーエン,タル
(72)【発明者】
【氏名】ユスポフ,イエレナ
(72)【発明者】
【氏名】ツロトニコフ,ナタリア
【審査官】高草木 綾音
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-096175(JP,A)
【文献】特開2015-058709(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0085038(US,A1)
【文献】特開2015-202616(JP,A)
【文献】特開2014-008609(JP,A)
【文献】特開2009-227909(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M 5/00ー5/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中間転写部材(ITM)を使用して印刷基材にデジタル画像を印刷する方法であって、
a.
i.第1の水性インク成分と、
ii.着色剤粒子を含む第2の水性インク成分と、を提供することと、
b.ある量の前記第1のインク成分を前記ITMの標的表面に送達し、前記第1のインク成分の体積で前記標的表面の一部を覆うことと、
c.前記第1のインク成分の体積の部分乾燥のみを行い、前記ITM上に前記第1のインク成分の部分乾燥層を生成することと、
d.湿潤カラーインク画像を前記ITMに形成するように、前記第2のインク成分の液滴を前記第1の成分の前記部分乾燥層にデジタルに堆積することであって、前記第2のインク成分の前記着色剤粒子の一部またはすべてが、前記第1のインク成分の前記部分乾燥層に浸透する、前記堆積することと、
e.前記湿潤カラーインク画像を少なくとも部分乾燥させることと、
f.前記少なくとも部分乾燥したインク画像を、前記ITMから印刷基材に転写することと、を含み、
前記第2のインク成分の前記液滴と前記第1のインク成分の前記層との間の衝突時に、前記第2のインク成分の前記着色剤粒子の少なくとも50%が、前記第1のインク成分の前記部分乾燥層に浸透して混合される、前記方法。
【請求項2】
ステップ(f)において、前記ITMからの転写時に、前記少なくとも部分乾燥したイ ンク画像が粘着性である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(i)前記少なくとも部分乾燥を実行して、乾燥した粘着性のインク画像保持残膜を生成し、かつ(ii)前記乾燥した粘着性のインク画像保持残膜を、ステップ(f)で前記ITMから前記印刷基材に転写する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(a)において提供される前記第1の水性インク成分が透明である、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
ステップ(b)において、前記第2の成分がインクジェットによって送達され、
前記第2のインク成分のインクジェット時、及び吐出条件下で、前記第2の水性インク成分が再溶解性インク成分である、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記第2のインク成分の前記液滴と前記第1のインク成分の前記層との間の衝突前の、前記第1のインク成分の前記層の液体含有量が、少なくとも20重量%である、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記第2のインク成分の前記着色剤粒子の少なくとも70%が、前記第1のインク成分の前記部分乾燥層に浸透して混合される、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記第2のインク成分の前記着色剤粒子の少なくとも90%が、前記第1のインク成分の前記部分乾燥層に浸透して混合される、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
提供される第1の水性インク成分が、(i)40重量%~70重量%の水を含み、(ii)さらに少なくとも10重量%のバインダーを含む、請求項1からのいずれかに記載の方法。
【請求項10】
ステップ(d)の間、前記第1の成分の前記層により、前記第2の成分の前記着色剤粒子が前記ITM表面に直接接触することが阻止され、それにより、前記転写時に、前記第2の成分の前記着色剤粒子下の前記ITM表面に前記第1の成分の着色剤粒子を含まない層が存在する、請求項1からのいずれかに記載の方法。
【請求項11】
転写時に、前記第1の成分の下層250が、前記第1及び第2の成分の混合物である混合物層254の下の前記ITM表面に配置される、請求項1から10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記第1の成分の下層250が、基材に転写され、転写後に前記基材の上及び前記混合物層254の上に配置される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第2のインク成分がナノ粒子を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記第2のインク成分の一次着色剤がナノ粒子である、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記第2のインク成分の少なくとも25%が、前記第1のインク成分層の上面より下に浸透する、請求項1から14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記第2のインク成分の少なくとも75%が、前記第1のインク成分層の上面より下に浸透する、請求項1から14のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記第2のインク成分が、前記ITMに接触するように前記第1のインク成分層全体を通って浸透しない、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
印刷基材にデジタル画像を間接印刷するためのシステムであって、
前記システムは、
a.ある量の第1の水性インク成分と、
b.着色剤粒子を含むある量の第2の水性インク成分と、
c.中間転写部材(ITM)と、
d.ある量の前記第1のインク成分を前記ITMの標的表面に送達し、前記第1のインク成分の体積で前記標的表面の一部を覆うように構成された第1の印刷バーと、
e.第2の印刷バーと、
f.前記ITMに配置された物質を搬送するための搬送システムであって、前記第1のインク成分の体積が前記第2の印刷バーに到達するときに前記第1のインク成分の体積が部分的にのみ乾燥されて前記第1のインク成分の部分乾燥層が生成するように、前記第1の印刷バーから前記第2の印刷バーに前記ITM上の前記第1のインク成分の体積を搬送するように前記搬送システムは構成され、ここで、湿潤カラーインク画像を前記ITMに形成するように、前記第2のインク成分の液滴を前記第1の成分の前記部分乾燥層にデジタルに堆積するように前記第2の印刷バーは構成され、ここで、前記第2のインク成分の前記着色剤粒子の一部またはすべてが、前記第1のインク成分の前記部分乾燥層に浸透する、前記搬送システムと、
g.前記転写ステーションに到達する時に前記湿潤カラーインク画像が少なくとも部分乾燥されるように、前記搬送システムは前記湿潤カラーインク画像を搬送し、前記搬送システムが前記湿潤カラーインク画像を搬送するように配置された転写ステーションであって、ここで、前記転写ステーションは前記少なくとも部分乾燥したインク画像を、前記ITMから印刷基材に転写するように構成された、転写ステーションと、
を有し、
前記第2のインク成分の前記液滴と前記第1のインク成分の前記層との間の衝突時に、前記第2のインク成分の前記着色剤粒子の少なくとも50%が、前記第1のインク成分の前記部分乾燥層に浸透して混合される、システム。
【請求項19】
前記第1の水性インク成分が透明である、請求項18に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本開示は、2017年12月6日出願の米国仮特許出願第62/595,582号及び2017年12月7日出願の米国仮特許出願第62/595,593号の優先権を利用するものであり、双方とも参照により目的を問わず、本明細書に完全に記載されているかのように援用される。
【0002】
本発明の分野
本開示は、デジタル印刷プロセス、インク成分調合物、ならびに関連する装置及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
以下の特許公報は、潜在的に関連する背景資料を提供し、これらの特許公報のすべては、参照することによりその全体が援用される:WO/2017/009722(2016年5月25日に出願されたPCT/IB2016/053049の公報)、WO/2016/166690(2016年4月4日に出願されたPCT/IB2016/052120の公報)、WO/2016/151462(2016年3月20日に出願されたPCT/IB2016/051560の公報)、WO/2016/113698(2016年1月14日に出願されたPCT/IB2016/050170の公報)、WO/2015/110988(2015年1月22日に出願されたPCT/IB2015/050501の公報)、WO/2015/036812(2013年9月12日に出願されたPCT/IB2013/002571の公報)、WO/2015/036864(2014年9月11日に出願されたPCT/IB2014/002366の公報)、WO/2015/036865(2014年9月11日に出願されたPCT/IB2014/002395の公報)、WO/2015/036906(2014年9月12日に出願されたPCT/IB2014/064277の公報)、WO/2013/136220(2013年3月5日に出願されたPCT/IB2013/051719の公報)、WO/2013/132419(2013年3月5日に出願されたPCT/IB2013/051717の公報)、WO/2013/132424(2013年3月5日に出願されたPCT/IB2013/051727の公報)、WO/2013/132420(2013年3月5日に出願されたPCT/IB2013/051718の公報)、WO/2013/132439(2013年3月5日に出願されたPCT/IB2013/051755の公報)、WO/2013/132438(2013年3月5日に出願されたPCT/IB2013/051751の公報)、WO/2013/132418(2013年3月5日に出願されたPCT/IB2013/051716の公報)、WO/2013/132356(2013年1月10日に出願されたPCT/IB2013/050245の公報)、WO/2013/132345(2013年3月5日に出願されたPCT/IB2013/000840の公報)、WO/2013/132339(2013年3月5日に出願されたPCT/IB2013/000757の公報)、WO/2013/132343(2013年3月5日に出願されたPCT/IB2013/000822の公報)、WO/2013/132340(2013年3月5日に出願されたPCT/IB2013/000782の公報)、WO/2013/132432(2013年3月5日に出願されたPCT/IB2013/051743の公報)。
【0004】
水性インクを使用する間接デジタル印刷のプロセスは、当技術分野で公知である(例えば、図1のフローチャートを参照)。このような水性インクは、着色剤(例えば顔料)とバインダー(例えばポリマー樹脂)との混合物を含む。このプロセスでは、中間転写部材ITM(例えば、ドラム、またはローラー周りに取り付けられた可撓性ブランケット)の表面にインク画像が形成され、乾燥された後、ITMから印刷基材(例えば、紙または厚紙またはプラスチック)に転写される。
【0005】
すなわち図1のステップS101及びS105で水性インク及びITMが提供される。従来のプロセスによれば、乾燥した画像の基材への画像転写を容易にするために、ITMの表面が疎水性を有していること、例えばシリコーン系剥離面を使用していると有利である。しかしながら、水性インクをそのような疎水性表面に直接塗布しようとすると、疎水性表面上でインクがビーズ状になり、それが画像品質を著しく損なう可能性がある。インク受容を容易にするために、最初にITMの表面を「調整」した後、水性インク(すなわち着色剤及びバインダーを含む)の液滴をITMに(例えばインクジェットによって)堆積させる。具体的には、最初に湿潤層の調整剤をITMに塗布して、ITM表面を「調整」することが可能である(ステップS109)。その場合、調整剤の表面エネルギーは、ITM表面の表面エネルギーを上回るが、水性インクの表面エネルギーよりは低い。この調整剤層を完全に乾燥させる(ステップS113)。続いて、ステップS117において、完全に乾燥した調整剤層上に水性インクの液滴を堆積させる。
【0006】
ステップS117では、水性インクの液滴のインクジェットにより、調整剤の乾燥層の上面にインク画像が形成される。このインク画像をステップS121で十分に加熱し(すなわち、インクの溶媒を蒸発させ)、インク画像を粘着性残膜に変換する。具体的には、インクの溶媒の蒸発により、吐出液滴の粘度を増加させ、インク画像を固化する。さらに、ステップS121における加熱はまた、インクのバインダーを軟化させることで、インク残膜を粘着性にする役割がある。次に、ステップS125において、粘着性の残膜インク画像が(例えば、乾燥した調整剤層とともに、またはこの層なしで)印刷基材に転写される。
【0007】
ステップS121で(すなわち、乾燥した調整剤層の上面に)生成される残膜インク画像が確実に粘着性残膜になるようにするには、元のインク(すなわち、その液滴がステップS117で堆積されるインク)中にバインダーが存在することが不可欠である。この粘着特性により、転写部材への以前の付着力と比較して、基材への残膜の付着力が増加する。プロセスが技術的及び商業的に実現可能であるためには、ステップS125でインク画像が完全に転写されることが必要不可欠であるため、間接印刷プロセスで用いられるインクは、ステップS121で形成される残膜が粘着性残膜になるに足る十分な比率のバインダーを含有する必要がある。
【0008】
中間転写部材上の粘着性残膜の温度は通常、基材の温度よりも高いため、基材への付着時に残膜が冷却される。
【0009】
残膜の熱レオロジー特性を適切に選択することにより(すなわち、ステップS101で提供され、ステップS117でインクジェットされる水性インクに十分な量のバインダーが存在することによる)、残膜の粘着力を高める冷却効果を得ることができる。それにより残膜の粘着力が、転写部材への残膜の付着力を上回るため、理想的なプロセスでは、残膜のすべてが中間転写部材から剥離され、基材上に薄膜として印圧される。
【0010】
結論として、間接デジタル印刷のプロセスは、とりわけ以下の特性を提供することが望ましい:(i)ITMの表面にわたる水性インク液滴のビーディングを回避すること、及び(ii)インク画像全体がITM表面から基材に転写されるような、インク画像残膜の良好な転写特性(例えば、粘着性による)。
【0011】
ITM表面から基材へのインク画像の転写が比較的完全であるという第2の特性は、特に重要なものである。画像の転写が不完全であると、最終表面の画像に不連続性または他の欠陥が生じ得るだけではなく、インク画像の不完全な転写により、ITM表面の区画に残留インクが残る。この残留物は洗浄する必要があり、かつ実用上、洗浄が常に可能であるとは限らない。残留インクが洗浄されないか、または完全には洗浄されない場合には、ITM表面に「復元性」が生じ、ITM表面を使用して印刷される後続の画像の品質を害するか、または損なう可能性がある。
【0012】
ITMから基材への「完全な画像転写」(ステップS125)が必要であるため、インク成分としてのバインダーの役割が必須であると考えられる。特に、水性インクは通常、高温で粘着性の乾燥インク画像(例えば薄膜)を印刷基材に転写でき、かつITMから基材への転写時に、乾燥インク画像に十分な粘着性を与える、すなわち転写時に乾燥インク画像を分割または崩壊させないように十分な量のポリマー性のバインダーまたは樹脂を含有している。
【0013】
水性インクを用いた印刷は、種々の有機溶媒をベースとするインクを用いた印刷よりも環境に優しいと考えられているにもかかわらず、水性印刷技術はまだ開発途上である。水性インクを用いた間接デジタル印刷のコスト削減、及び/または得られる画像の品質向上、及び/または機器の保守回数の削減、及び/または任意の他の方法でのプロセスの改善を可能にする方法、装置、及び組成物が引き続き必要とされている。
【発明の概要】
【0014】
本発明の実施形態は、インク画像保持残膜をITM(例えば、シリコーン系剥離層を有する)の表面に形成し、ITM表面上で転写温度T転写まで加熱する間接印刷のプロセスに関する。残膜は転写温度T転写時に粘着性である。粘着性であり、転写温度T転写のとき、残膜はITMから印刷基材に転写される。
【0015】
粘着性のインク画像保持残膜は、次のように生成される。第1及び第2の水性液体インク成分が、ITM表面に順次送達される。ITM表面に先に送達され、部分乾燥された第1の成分と、第2の水性成分とがITM表面で混合されるか、第2の水性成分が第1の成分の層に浸透して、その上に湿潤カラーインク画像が形成され、これがITM表面で加熱及び乾燥される。
【0016】
種々の例において、これが発生する転写温度T転写は、(i)最大115℃、最大110℃、最大105℃、最大100℃、最大95℃、または最大90℃であり、かつ(ii)少なくとも60℃、少なくとも65℃、少なくとも70℃、少なくとも75℃、少なくとも80℃、または少なくとも85℃である。
【0017】
例えば、第1の成分は透明であり、第2の成分は着色されている(例えば、着色剤粒子及び/または色素を含む)。
【0018】
本発明の実施形態では、第1の成分中のバインダー(または特定の種類のバインダー)の濃度は、第2の成分中のバインダーのバインダー濃度(または特定の種類のバインダーの濃度)を大幅に上回る。いくつかの実施形態では、(i)純粋成分としての第2の成分(すなわち、着色)単独では、この前述の「転写温度」T転写で粘着性の乾燥インク画像保持残膜を生成するにはバインダーが不十分であるが、(ii)第1の成分と第2の成分との重量比が5:1の混合物(より典型的には、重量比4:1、3:1、2.5:1、または2:1の混合物)のバインダー濃度は、粘着性の乾燥インク画像保持残膜を「転写温度」T転写で生成するのに十分である。
【0019】
第1の例では、第1及び第2の成分はいずれも、所定の画像パターン(例えば、コンピューターメモリに格納され、インクジェット印刷ヘッド(複数可)の動作を制御するデジタルコンピューターがアクセスする)に従って、(例えば、液滴堆積によって、例えばインクジェットによって)デジタルに送達される。第2の例によれば、第1の成分は、ITM表面の比較的広い領域(例えば、少なくとも1cm×1cm、典型的にはそれ以上)にわたって連続湿潤層としてITM表面に塗布される。
【0020】
非限定的な実施形態では、第1のインク成分中(さらには重量比5:1の混合物中)のバインダーは、薄膜形成ポリマーなどのポリマー、例えば残膜を形成可能なポリマーを含み、それは十分な粘着性があり、転写時または転写前に崩壊せずにITM表面から印刷基材に転写することができる。
【0021】
本開示では、インク成分(または2つのインク成分の混合物)の「乾燥薄膜ガラス転移温度T 乾燥薄膜」は、インク成分から(または成分の混合物から)形成される乾燥薄膜のガラス転移温度であると定義される。
【0022】
いくつかの実施形態は、(i)第2の成分(すなわち純粋成分である)の乾燥薄膜ガラス転移温度T 乾燥薄膜(第2の成分;純粋)と、(ii)第1の成分と第2の成分との重量比5:1の混合物(及び実質的に上記の重量比4:1、3:1、2.5:1、または2:1の混合物)の乾燥薄膜ガラス転移温度T 乾燥薄膜(第2の成分:第1の成分が5:1)との相関性に関する。
【0023】
ITM表面での2つのインク成分の原位置混合を可能にするには(すなわち、第2のインク成分それ自体は、乾燥した粘着性薄膜を所要温度で形成できない場合があるため)、第1のインク成分がITM表面上で完全に乾燥する状況になる前に、第2のインク成分をITM表面に送達するとよい。
【0024】
本発明の例示的な実施形態によれば、本発明で開示される間接印刷プロセスは、(i)ある量の第1のインク成分をITMの標的表面に(例えば、インクジェットまたは塗布によって)送達し、第1のインク成分の体積でその一部を覆う第1段階(この第1のインク成分は、第1段階中に部分的にのみ乾燥され、ITM表面に第1の成分の部分乾燥層を生成する)、(ii)第2の成分の液滴が第1の成分の部分乾燥層に堆積(例えばデジタルに堆積)されることで、第1及び第2の成分が原位置で混合され、最終的に(すなわち加熱及び乾燥後に)粘着性のインク画像保持残膜が形成される後続の第2段階、ならびに(iii)この粘着性のインク画像保持残膜がITM表面から基材に(例えば加圧接触により)転写される後続の第3段階を含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、第1段階は、ITM標的表面上の第1の成分の体積の湿潤厚さが少なくとも6μmまたは少なくとも7.5μmまたは少なくとも8.5μmまたは少なくとも10μmまたは少なくとも12μmであるように実行される。理論に束縛されることを意図するものではないが、比較的「厚い」第1の成分の体積に作用する重力は、ITMのシリコーン系剥離層上で水性の第1のインク成分がビーディングする熱力学的傾向を相殺するのに有用であり得ると考えられる。
【0026】
いくつかの実施形態では、第1段階は、この湿潤厚さが、6~30μm、6~25μm、7~20μm、8~25μm、8~20μm、10~25μm、10~20μm、10~18μm、10~16μm、11~25μm、11~20μm、12~25μm、または12~20μmの範囲内であるように実行される。
【0027】
本発明の実施形態は、ITM表面上で第1の成分がビーディングする、この熱力学的傾向を最小化及び/または相殺する特徴に関する。
【0028】
したがって、いくつかの実施形態では、第1の成分が水性である場合でも、25℃での第1の成分の静的表面張力が最大40ダイン/cmである。例えば、第1の成分中に少なくとも1種の界面活性剤(例えば表面エネルギー調整剤)が存在すると、界面活性剤がない場合よりも、水と比較して、または同一の第1の成分と比較して、静的表面張力を顕著に減少させることができる。
【0029】
代替的に、または追加的に、本発明の実施形態では、ITMの剥離層がシリコーン系である場合でも、(i)シリコーン系剥離層表面に堆積した蒸留水滴の後退接触角が最大60°であり、及び/または(ii)シリコーン系剥離層表面に堆積した蒸留水滴の10秒動的接触角(DCA)が最大108°であるように、シリコーン系剥離層表面が十分に親水性である。
【0030】
そのようなシリコーン系剥離層を製造する非限定的な方法を以下に記載する。
【0031】
本発明の実施形態では、着色剤粒子の少なくとも一部が第1のインク成分の部分乾燥層に浸透するように第1のインク成分の層が十分に湿潤性かつ浸透性である場合、第2のインク成分は、第1のインク成分の部分乾燥層が完全に乾燥する前に、この層に塗布される(すなわち、液滴堆積による)。
【0032】
本発明の実施形態では、印刷システムまたはその構成要素(複数可)の動作パラメータは、(例えば、第1のインク成分の層に送達される第2のインク成分の液滴に応じて)着色剤粒子の少なくとも大部分、または少なくとも75%、または少なくとも90%、または実質的にすべてが、第1のインク成分の部分乾燥層に浸透するように制御される。
【0033】
本発明の実施形態では、印刷システムまたはその構成要素(複数可)の動作パラメータは、着色剤粒子が、第1のインク成分の部分乾燥層に完全に浸透するように制御される。その結果、剥離層上に単一の均一化層が形成される、及び/または第1及び第2のインク成分の固形物が内部に共存する単一の融合層が、剥離層及び/または印刷基材上に(それぞれ剥離層及び印刷基材と略平行に)最終的に形成される。
【0034】
こうした浸透が望ましいが、本発明の実施形態では、第2の成分の浸透の程度を制限する、例えば、第2の成分(またはその一部、例えば顔料粒子)が第1の成分の層を通って完全に浸出し、ITMの剥離層または標的表面に接触するような状況を防止するように印刷プロセスが制御される。
【0035】
様々な実施形態において、そのような状況を防止するために、以下の特徴の1つ以上(すなわち、任意の組み合わせ)が有用であり得る:(i)第1の成分の体積が最初にITMの一部を覆うときに、この体積の厚さが少なくとも6μまたは少なくとも7.5μまたは少なくとも8.5μmまたは少なくとも10μである。後続の蒸発により被覆厚さが減少した場合でも、当初の厚さが厚いため、第2の成分が全体厚さを通って浸出し、ITMの剥離層表面に接触する可能性がないことを保証できる、(ii)第1のインク成分の60℃蒸発負荷が、最大10:1または最大9:1または最大8:1または最大7:1または最大6:1または最大5:1または最大4:1または最大3.5:1または最大3:1である。この蒸発負荷の制限により、第1の成分の層の粘度が十分に迅速に増加することを促進または保証し、第1の成分からの初期蒸発により、第2の成分の着色剤粒子が第1の成分層全体を通って浸出し、ITMの剥離層に接触することを防止することができる。着色剤粒子とITM剥離層との接触を防止するには、第1のインク成分の部分乾燥層の動的粘度が急速に増加することが望ましい場合もあるが、本発明の実施形態では、第1のインク成分と第2のインク成分との混合が可能であるように動的粘度の増加を制御または抑制するべきである。
【0036】
したがって、いくつかの実施形態は、第1のインク成分の層の上面より下に第2のインク成分が浸透する程度を調整する、すなわち過小でも過剰でもない程度に調節することに関する。したがって、様々な実施形態において、浸透の程度は、第1の成分と第2の成分との適切な原位置混合が発生するのに十分なものであり得る。例えば、第2のインク成分の少なくとも25%または少なくとも大部分または少なくとも75%または全体が、第1のインク成分層の上面より下に浸透することができる。しかしながら、第2のインク成分が第1のインク成分層へある程度浸透することが有利であるが、第2のインク成分が第1のインク成分層全体を通って完全に浸透し、ITMに接触することがないようにプロセスを実行することができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、提供されるITMは、(a)支持層と、(b)インク画像を受容するためのインク受容表面、及び該インク受容表面に対向する第2の表面を有する剥離層とを含み、該第2の表面は、該支持層に付着され、該剥離層は付加硬化型シリコーン物質で形成され、該剥離層の厚さは最大500マイクロメートル(μm)であり、ITMは以下の構造特性、すなわち、(1)該インク受容表面の全表面エネルギーが、対応剥離層のインク受容表面に標準的エージング手順を施すことにより生成された改質インク受容表面の全表面エネルギーよりも、少なくとも2mN/m、少なくとも3mN/m、少なくとも4mN/m、少なくとも5mN/m、少なくとも6mN/m、少なくとも8mN/m、または少なくとも10mN/m高いこと、(2)該インク受容表面の全表面エネルギーが、該硬化型シリコーン物質のシリコーン前駆体の標準的空気硬化により作製された対応剥離層の疎水性インク受容表面の全表面エネルギーよりも、少なくとも4mN/m、少なくとも6mN/m、少なくとも8mN/m、少なくとも10mN/m、少なくとも12mN/m、少なくとも14mN/m、または少なくとも16mN/m高いこと、(3)該インク受容表面上の蒸留水液滴の後退接触角が、該硬化型シリコーン物質のシリコーン前駆体の標準的空気硬化により作製された対応剥離層のインク受容表面上の蒸留水液滴の後退接触角よりも、少なくとも7°、少なくとも8°、少なくとも10°、少なくとも12°、少なくとも14°、少なくとも16°、少なくとも18°、または少なくとも20°小さいこと、(4)該インク受容表面上の蒸留水液滴の後退接触角が、該インク受容表面に標準的エージング手順を施すことにより生成されたエージング表面上の蒸留水液滴の後退接触角よりも、少なくとも5°、少なくとも6°、少なくとも7°、または少なくとも8°小さいこと、(5)該インク受容表面の表面疎水性が該剥離層内の該硬化型シリコーン物質のバルク疎水性よりも小さく、該表面疎水性は、該インク受容表面上の蒸留水液滴の後退接触角により特徴付けられ、該バルク疎水性は、該剥離層内の該硬化型シリコーン物質の領域を曝露させ、曝露領域を形成することにより形成された内側表面上に配置される蒸留水液滴の後退接触角により特徴付けられ、該インク受容表面上で測定された該後退接触角が、該曝露領域で測定された該後退接触角よりも、少なくとも7°、少なくとも8°、少なくとも10°、少なくとも12°、少なくとも14°、少なくとも16°、少なくとも18°、または少なくとも20°小さいこと、及び(6)該インク受容表面上の蒸留水液滴の後退接触角が、最大60°、最大58°、最大56°、最大54°、最大52°、最大50°、最大48°、最大46°、最大44°、最大42°、最大40°、最大38°、または最大36°であることのうち少なくとも1つを満たす。
【0038】
いくつかの実施形態では、官能基は、該付加硬化型シリコーン物質の最大5重量%、最大3重量%、最大2重量%、または最大1重量%を占めるか、または該付加硬化型シリコーン物質は実質的に該官能基を含まない。いくつかの実施形態では、ポリエーテルグリコール官能化ポリジメチルシロキサンが該付加硬化型シリコーン物質に充填される。
【0039】
いくつかの実施形態では、ポリエーテルグリコール官能化シロキサンが該付加硬化型シリコーン物質に充填されるが、該付加硬化型シリコーン物質の共有結合構造の一部を形成することはない。
【0040】
いくつかの実施形態では、印刷システムとともに使用するための中間転写部材(ITM)(例えば、これは「提供されるITM」であるITMの場合がある)であって、該ITMは、(a)支持層と、(b)インク画像を受容するためのインク受容表面、及び該インク受容表面に対向する第2の表面を有する剥離層とを含み、該第2の表面は、該支持層に付着され、該剥離層は付加硬化型シリコーン物質で形成され、該剥離層の厚さは最大500マイクロメートル(μm)であり、該インク受容表面は、以下の構造特性、すなわち、(i)該インク受容表面上の蒸留水液滴の後退接触角が最大60°であること、(ii)該インク受容表面上に堆積された蒸留水液滴について、10秒動的接触角(DCA)が最大108°であることのうち少なくとも一方を満たすように適合され、該剥離層は以下の構造特性、すなわち、(1)該付加硬化型シリコーン物質が、付加硬化型シリコーンから本質的に構成されるか、または少なくとも95重量%の該付加硬化型シリコーンを含むこと、(2)官能基が、該付加硬化型シリコーン物質の最大3重量%を占めることのうち少なくとも一方を有する。
【0041】
いくつかの実施形態では、提供されるITMは、ポリエーテルグリコール官能化シロキサンが該付加硬化型シリコーン物質に充填されているが、該付加硬化型シリコーン物質の共有結合構造の一部を形成することはないという特徴を有する。
【0042】
いくつかの実施形態では、提供されるITMは、該剥離層の該厚さが最大500μm、最大100μm、最大50μm、最大25μm、または最大15μmであるという特徴を有する。
【0043】
いくつかの実施形態では、提供されるITMは、該剥離層の該厚さが1~100μm、5~100μm、8~100μm、10~100μm、または10~80μmの範囲内であるという特徴を有する。
【0044】
いくつかの実施形態では、ITMの提供される支持層は、該支持層の厚さが、約50~1000マイクロメートル(μm)、100~1000μm、100~800μm、または100~500μmの範囲内である。
【0045】
いくつかの実施形態では、提供されるITMは、インク受容表面の全表面エネルギーが、対応剥離層のインク受容表面に標準的エージング手順を施すことにより生成される改質インク受容表面の全表面エネルギーよりも、少なくとも2J/m、少なくとも3J/m、少なくとも4J/m、少なくとも5J/m、少なくとも6J/m、少なくとも8J/m、または少なくとも10J/m大きいという特徴を有する。
【0046】
いくつかの実施形態では、提供されるITMは、インク受容表面の全表面エネルギーが、硬化型シリコーン物質のシリコーン前駆体の標準的空気硬化により作製された対応剥離層の疎水性インク受容表面の全表面エネルギーよりも、少なくとも4J/m、少なくとも6J/m、少なくとも8J/m、少なくとも10J/m、少なくとも12J/m、少なくとも14J/m、または少なくとも16J/m大きいという特徴を有する。
【0047】
いくつかの実施形態では、提供されるITMは、インク受容表面上の蒸留水液滴の後退接触角が、硬化型シリコーン物質のシリコーン前駆体の標準的空気硬化により作製された対応剥離層のインク受容表面上の蒸留水液滴の後退接触角よりも、少なくとも7°、少なくとも8°、少なくとも10°、少なくとも12°、少なくとも15°、少なくとも18°、または少なくとも20°小さいという特徴を有する。
【0048】
いくつかの実施形態では、インク受容表面上の蒸留水液滴の後退接触角は、インク受容表面に標準的エージング手順を施すことにより生成されたエージング表面上の蒸留水液滴の後退接触角よりも、少なくとも5°、少なくとも6°、少なくとも7°、または少なくとも8°小さい。
【0049】
いくつかの実施形態では、インク受容表面の表面疎水性は剥離層内の硬化型シリコーン物質のバルク疎水性よりも小さく、表面疎水性はインク受容表面上の蒸留水液滴の後退接触角により特徴付けられ、バルク疎水性は、剥離層内の硬化型シリコーン物質の領域を曝露させ、曝露領域を形成することにより形成された内側表面上に配置される蒸留水液滴の後退接触角により特徴付けられる。いくつかの実施形態では、提供されるITM(すなわち、この印刷方法のITM)は、インク受容表面上で測定された後退接触角が、曝露領域で測定された後退接触角よりも、少なくとも7°、少なくとも8°、少なくとも10°、少なくとも12°、少なくとも14°、少なくとも16°、少なくとも18°、または少なくとも20°小さいという特徴を有する。
【0050】
いくつかの実施形態では、インク受容表面上の該蒸留水液滴の該後退接触角は、少なくとも25°、少なくとも28°、少なくとも30°、少なくとも32°、少なくとも34°、または少なくとも36°、さらには任意選択で、25°~60°、28°~60°、30°~60°、30°~60°、30°~55°、30°~50°、32°~60°、32°~55°、32°~44°、35°~60°、35°~55°、36°~44°、または38°~50°の範囲内である。
【0051】
いくつかの実施形態では、剥離層は、該インク受容表面が周囲環境に曝露される動作モードにITMがあるとき、インク受容表面の該極性基が該周囲環境に配向する方向または対面する方向を有するように適合される。
【0052】
いくつかの実施形態では、提供されるITMは、デジタル印刷システムの構成要素を形成し、シリコーンポリマーマトリックス内に、最大3重量%、最大2重量%、最大1重量%、最大0.5重量%、最大0.2重量%、または実質的に0重量%の合計量の官能基が含まれる剥離層を含む。
【0053】
いくつかの実施形態では、提供されるITMは、該剥離層が、そのシリコーンポリマーマトリックス内に、最大3重量%、最大2重量%、最大1重量%、最大0.5重量%、最大0.2重量%、または実質的に0重量%の合計量の、C=O、S=O、O-H、及びCOOからなる部分の群から選択される官能基を含むという特徴を有する。
【0054】
いくつかの実施形態では、提供されるITMは、該剥離層が、そのシリコーンポリマーマトリックス内に、最大3重量%、最大2重量%、最大1重量%、最大0.5重量%、最大0.2重量%、または実質的に0重量%の合計量の、シラン部分、アルコキシ部分、アミド部分、及びアミド-アルコキシ部分からなる群から選択される官能基を含むという特徴を有する。いくつかの実施形態では、提供されるITMは、該剥離層が、そのシリコーンポリマーマトリックス内に、最大3重量%、最大2重量%、最大1重量%、最大0.5重量%、最大0.2重量%、または実質的に0重量%の合計量の、アミン、アンモニウム、アルデヒド、SO、SO、SO、PO、PO、及びC-O-Cからなる群から選択される官能基を含むという特徴を有する。
【0055】
いくつかの実施形態では、提供されるITMは、ビニル官能性シリコーンから構築される構造を有する付加硬化型シリコーン物質を有する。付加硬化型シリコーン物質は「MQ」型の極性基を含む。
【0056】
いくつかの実施形態では、提供されるITMは、Owens-Wendt表面エネルギーモデルを使用して評価される、該インク受容表面の全表面エネルギーを有する。
【0057】
いくつかの実施形態では、提供されるITMは、10秒DCAが最大108°、最大106°、最大103°、最大100°、最大96°、最大92°、または最大88°、任意選択で、少なくとも60°、少なくとも65°、少なくとも70°、少なくとも75°、少なくとも78°、少なくとも80°、少なくとも82°、少なくとも84°、または少なくとも86°、さらには任意選択で、60~108°、65~105°、70~105°、70~100°、70~96°、70~92°、75~105°、75~100°、80~105°、80~100°、85~105°、または85~100°の範囲内である。
【0058】
いくつかの実施形態では、提供されるITMは、インク受容表面上に堆積された該蒸留水液滴について、該70秒動的接触角(DCA)と該10秒DCAとの間の差異が、少なくとも7°、少なくとも8°、少なくとも10°,または少なくとも12°、任意選択で最大25°、最大22°、最大20°、最大18°,または最大17°、さらには任意選択で、6~25°、6~22°、6~20°、6~18°、6~17°、7~25°、7~20°、7~17°、8~25°、8~22°、18~20°、8~18°、8~17°、10~25°、10~22°、10~20°、10~18°、または10~17°の範囲内であるように適合された該インク受容表面を有する。いくつかの実施形態では、該インク受容表面は、該インク受容表面上に堆積された該蒸留水液滴について、該70秒DCAが、最大92°、最大90°、最大88°、最大85°、最大82°、最大80°、最大78°、最大76°、最大74°、または最大72°、任意選択で少なくとも55°、少なくとも60°、少なくとも65°、または少なくとも68°、さらには任意選択で、55~92°、55~90°、55~85°、55~80°、65~92°、65~90°、65~85°、65~80°、68~85°、68~80°、70~92°、70~90°、70~85°、または70~80°の範囲内であるように適合される。
【0059】
いくつかの実施形態では、基材は、未コート繊維性印刷基材、市販のコート繊維性印刷基材、及びプラスチック印刷基材からなる群より選択される。
【0060】
いくつかの実施形態では、印刷基材は、ボンド紙、未コートオフセット紙、コートオフセット紙、複写紙、更紙、コート更紙、上質紙、コート上質紙、及びレーザー用紙からなる紙の群から場合により選択される紙である。
【0061】
いくつかの実施形態では、シリコーン系剥離層表面は十分に親水性であり、シリコーン系剥離層表面に堆積した蒸留水滴の10秒動的接触角(DCA)が最大108°である。
【0062】
いくつかの実施形態では、提供されるITMは、支持層と、該シリコーン系剥離層表面、及び(i)該シリコーン系剥離層表面に対向し、かつ(ii)該支持層に付着される第2の表面を有する剥離層とを含み、該剥離層は付加硬化型シリコーン物質で形成され、該剥離層の厚さは最大500マイクロメートル(μm)である。
【0063】
様々な実施形態において、本発明で開示されるデジタル印刷システムは、本文書のどこかに開示されている任意の特徴または特徴の組み合わせを提供することができる(例えば、本明細書に開示される任意の方法を実行するように制御される)。
【0064】
印刷システムのいくつかの実施形態について、ここで添付の図面を参照して説明する。この説明は、図面と併せると、本開示の教示が、非限定的な実施例により、どのように実施され得るかを当業者に明らかにする。これらの図面は例示的な説明を目的とするものであり、本開示の根本的な理解のために必要となる以上に詳細に実施形態の構造的詳細を示すことは意図しない。明瞭性及び簡素性のために、図面に示されるいくつかの物体は縮尺通りではない。
【図面の簡単な説明】
【0065】
図1】先行技術の印刷プロセスのフローチャートである。
図2】本発明のいくつかの態様及び実施形態による印刷プロセスのフローチャートである。
図3】例示的な実施形態による印刷システムまたはその構成要素の模式図を示す。
図4】例示的な実施形態による印刷システムまたはその構成要素の模式図を示す。
図5】A~Iは、例示的な実施形態による印刷システムまたはその構成要素の模式図を示す。
図6】A~Iは、例示的な実施形態による印刷システムまたはその構成要素の模式図を示す。Jは、一例による印刷基材上のインク画像保持残膜の模式図を示す。
図7】Aは担体の断面の模式図を示す。B~Fは、本開示によるITM製造の異なる段階を示す模式図である。Gは、印刷システムに搭載後の完成したITMの断面図である。
図8】A及びBは、先行技術により作製された剥離層の断面の模式図である。Cは、本開示の方法によって作製された剥離層の断面の模式図である。
図9】A~Dは、本発明の方法のいくつかの実施形態を実現可能な装置の、異なる製造段階を示す模式図である。
図10】Aは、実質的に完全に乾燥された第1の成分層上に第2のインク成分が吐出された、乾燥した2成分インク画像のSEM顕微鏡写真断面図である。Bは、部分乾燥のみされた第1のインク成分層上に第2のインク成分が吐出された、本発明の実施形態による乾燥した2成分インク画像のSEM顕微鏡写真断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0066】
ここで本発明について、添付の図面を参照しつつ、単に例示として説明する。ここで詳細な図面を特に参照して、本明細書で示す特定事項が、例として、及び本発明の好適な実施形態に関する例示的説明のためにのみ、本発明の原理及び概念的側面に関する最も有用で容易に理解される説明であると考えられる内容を提供することを目的として提示されたものであることが、強調される。この点に関して、本発明を基本的に理解するにあたり要求される以上に本発明の構造的詳細を示すことは意図するところではない。以下の図面と併せて説明を読むことにより、当業者には、本発明のいくつかの形態がどのように実際に実施され得るかが明らかになるであろう。これらの図面の全体を通して、同様の参考番号は全般に同様の要素を指すために使用される。
【0067】
定義
本出願では、以下の用語は、以下の意味を有するものとして理解されるべきである。
【0068】
a1)「後退接触角」または「RCA」という用語は、Data physics OCA15 Pro Contact Angle測定装置または同等のVideo-Based Optical Contact Angle Measuring Systemを使用して、上述のDrop Shape Methodを用いて大気温度で測定される後退接触角を指す。類義語「前進接触角」または「ACA」とは、上記で参照した「Contact Angle Measurements Using the Drop Shape Method」においてDr.Roger P. Woodwardにより詳述される方法を用いて、大気温度で、本明細書の以下の実施例46で詳述されるように、実質的に同一の方法で測定される前進接触角を指す。
【0069】
a2)「動的接触角」または「DCA」という用語は、Data physics OCA15 Pro Contact Angle測定装置または同等のVideo-Based Optical Contact Angle Measuring Systemを使用して、上記で参照した「Contact Angle Measurements Using the Drop Shape Method」においてDr.Roger P. Woodwardにより詳述される方法を用いて、大気温度で、本明細書の以下の実施例53で詳述されるように測定される動的接触角を指す。
【0070】
b)「標準的エージング手順」という用語は、標準的な対流炉において160℃にて2時間にわたり各試験剥離層に対して行われる加速されたエージング手順を指す。
【0071】
c)「標準的空気硬化」という用語は、剥離層を硬化するための従来の硬化処理を指し、この硬化処理では、剥離層を硬化させる間、剥離層表面(または「インク受容表面」)が空気に曝露される。
【0072】
d)「バルク疎水性」という用語は、剥離層の内側表面上に配置された蒸留水液滴の後退接触角により特徴付けられる。なお、内側表面は、剥離層内における硬化型シリコーン物質の領域を曝露することにより形成される。
【0073】
e)「画像転写部材」または「中間転写部材」または「転写部材」という用語は、インクが印刷ヘッド部により(例えばインクジェットヘッド部により)最初に塗布される部材であって、その後、吐出された画像は当該部材から他の基材(複数可)(通常は最終的な印刷基材)に転写される、印刷システムの構成要素を指す。
【0074】
f)「ブランケット」という用語は、2つ以上のローラー上にベルト状の構造体が形成されるよう、印刷装置内に搭載が可能である可撓性転写部材を指す。なお、これらのローラーのうちの少なくとも1つは、ブランケットを回転及び移動させて(例えばそのベルトを移動させることにより)、ローラーの周りを移動させることが可能である。
【0075】
g)インク画像または残留インクなどの物体に対して「剥離表面上」という用語は、その剥離表面により、及び/またはその剥離表面の上方で、支持されることを意味する。「剥離表面上」という用語は、インク画像または残留インクと剥離表面との間の直接的接触を必ずしも意味するものではない。
【0076】
h)その調合物中の特定の界面活性剤に対して「水性処理調合物の該静的表面張力を増加させる十分に高い静的表面張力を有する」などの用語は、その特定の界面活性剤の追加量または追加分量を調合物に加え、達成された調合物の静的表面張力と、これらの分量を追加する以前の調合物の静的表面張力とを比較することにより評価される。
【0077】
i)「液体吸湿剤」という用語は、25℃~90℃の範囲内の少なくとも1つの温度において液体であり、かつ、純粋状態において90℃で、最大0.05ata、より典型的には最大0.02ata、最大0.01ata、または最大0.003ataの蒸気圧を有する吸湿剤を指す。「液体吸湿剤」という用語はグリセロールなどの物質を指すことが特に意図される。
【0078】
j)「疎水性」及び「親水性」などの用語は、相対的な意味で使用することができ、必ずしも絶対的な意味で使用されるわけではない。
【0079】
k)「(処理)調合物」という用語は溶液または分散液を指す。
【0080】
l)摂氏x度(xは正数)蒸発負荷は次のように定義される。溶液が摂氏x度においてy%固体(重量/重量)、及びz%液体(重量/重量)であるとき、当該溶液の「摂氏x度蒸発負荷」は比z/yである。「蒸発負荷」の単位は、「溶媒重量/全溶質重量」である。本開示に関して、蒸発負荷は常に大気圧で定義される。本開示に関して、「x」のデフォルト値は摂氏60度である。すなわち温度を指定する接頭辞を有さない「蒸発負荷」という用語は大気圧における摂氏60度蒸発負荷を指す。
【0081】
m)ITMの一部分がvメートル/秒の速さで運動中であるとき、このことは、ブランケットITMの当該部分が、その局所的位置表面/平面に対して平行な方向に、例えば静止するアプリケータに対して、少なくともvメートル/秒の速さで移動していることを意味する。
【0082】
n)「静的表面張力」という用語は25℃及び大気圧における静的表面張力を指す。
【0083】
o)湿潤層の「厚さ」という用語は、以下のように定義することができる。物質の体積(ここではvol)が、面積SAを有する表面の表面積を湿潤層で被覆するとき、湿潤層の厚さは、vol/SAとみなされる。
【0084】
p)乾燥薄膜の「厚さ」は、以下のように定義される。x重量%が液体である体積volの物質が、表面積SAの表面を湿潤または被覆し、全液体が蒸発して湿潤層が乾燥薄膜に変換されたとき、乾燥薄膜の厚さは次の式として与えられるものとみなされる:
vol/ρ湿潤層(100-x)/(SA・ρ乾燥層
式中、ρ湿潤層は湿潤層の比重、ρ乾燥層は乾燥層の比重である。
【0085】
q)「粘着性薄膜」という用語は、付着していた表面から剥がされたときに一体化された状態を保つ構成体を指す。すなわち、表面から剥がされたときに、「粘着性薄膜」の構造的完全性が保持され、小片に分解されることなく膜として剥離される。
【0086】
r)特記なき限り、液体(例えば処理調合物)の物理的特性(例えば粘度及び表面張力など)は25℃における特性を指す。
【0087】
s)特記なき限り、「濃度」という用語は、重量/重量、すなわち(調合物の1成分の重量)/(当該調合物の全重量)を指す。
【0088】
t)「官能基」という用語は、剥離層のポリマー構造に結合され、従来の付加硬化型シリコーンのO-Si-O基よりも高い極性を有する基または部分を指す。様々な例が本明細書で提供される。本発明者らの観察によれば、純粋な付加硬化型ポリジメチルシロキサンポリマーは、O-Si-O基、SiO基、Si-CH基、及びC-C基を含み、かつ大部分の他の官能基は強い双極子を有し、したがって「官能性」であるとみなされ得る。そのような官能基は、最大120℃の処理温度で間接インクジェット印刷において利用される水性インクに典型的に存在する成分と反応する傾向または強い傾向を有し得ることは、当業者に明らかであろう。
【0089】
u)第1の水性インク成分などのインク成分に関する「透明」という用語は、(i)本明細書の以下の実施例8で詳述するように、不透明度が最大4%、より典型的には最大3%、最大2.5%、最大2%、最大1.5%、または最大1.2%であること、(ii)最大0.2%、最大0.1%、最大0.05%、または最大0.02%の着色剤(例えば顔料)含有量を有するか、またはそのような着色剤を実質的に含まないこと、(iii)印刷分野の当業者によって測定または特徴付けられる透明度であること、及び(iv)印刷分野の当業者によって理解される透明度であることのうちの少なくとも1つを指す。
【0090】
v)第2の水性インク成分などのインク成分に関する「再溶解可能」、「再溶解性」などの用語は、以下の実施例25に示す再溶解性特性決定手順によって決定される特徴を指す。
【0091】
w)「転写温度」などの用語は、ブランケットの剥離表面、ニップ領域にIR温度計を指すことによって測定される温度を指す。
【0092】
x)1種以上の乾燥インク薄膜に関する「第1のインク成分と第2のインク成分との重量比が5:1」などの用語は、第2のインク成分の乾燥薄膜の重量で除算される第1のインク成分の乾燥薄膜の重量を指す。
【0093】
図2に関する考察
図2は、水性インクを中間転写部材(ITM)の(例えばシリコーン系)剥離層表面に間接印刷する方法のフローチャートである。いくつかの実施形態では、図2の方法(または図2の方法のステップの任意の組み合わせ)は、図3及び図4に開示の装置(またはその構成要素(複数可))を使用して実行することができる。ただし、これらの図に示される構成要素のすべてが、あらゆる実施形態で必要とされるわけではない。
【0094】
図2には、ステップS201、S203、S205、S209、S211、S213、S217、及びS221が含まれる。
【0095】
具体的には、ステップS201~S205は、図2の印刷プロセスに使用される成分または構成要素または消耗品に関し、対してステップS209~S221はプロセス自体に関する。特に、ステップS221では、ITMの表面で転写温度T転写まで加熱された粘着性のインク画像保持残膜が(すなわち、転写温度T転写であるときにITM表面から)印刷基材に転写される。ステップS201またはS203に関連する1つ以上の特徴、及び1つ以上の「1/2組み合わせ特性」(以下に定義)を、ステップS221の転写温度T転写に関して説明する。
【0096】
簡潔には、図2のステップは以下の通りである。すなわち(i)ステップS201及びステップS203では、インクの第1及び第2の成分が提供され(例えば、第1の成分は透明である)(例えば、第2の成分は着色剤粒子または色素を含む)、(ii)ステップS205では、ITM(すなわち、シリコーン系剥離層表面を含む)が提供される。例示的な実施形態に応じた、インク成分(すなわち、個別または「1/2組み合わせ特性」である各成分両方)及びITMの物理的及び化学的特性を以下に説明する。
【0097】
ステップS209では、ある量の第1のインク成分をITMの標的表面に送達し、湿潤体積の該第1のインク成分で該標的表面の一部を覆う。例えば、第1のインク成分の液滴は標的表面の被覆「部分」が不連続であり得るように、ITMの標的表面に(例えばインクジェットにより)堆積されてもよい。しかしながら、これは必要条件ではなく、他の例では、ステップS209において比較的大きな連続領域(例えば、少なくとも1cm×1cm)が被覆されてもよい。
【0098】
ステップS211では、湿潤体積の第1のインク成分に部分乾燥のみを施し、ITM上に第1の成分の部分乾燥層を生成する。
【0099】
ステップS213では、第2の(例えば、顔料粒子及び/または色素などの着色剤を含む)インク成分の液滴が、第1の成分の部分乾燥層(すなわち、ステップS211で生成される層)に堆積(例えば、デジタルに堆積)されることで、湿潤カラーインク画像がITMに形成される。例えば、第1の成分の部分乾燥層が十分に湿潤性かつ浸透性であるときに、堆積した液滴が第1の成分の部分乾燥層に接触することで、第2のインク水性成分の着色剤粒子の一部または全部(例えば、少なくとも10%、または少なくとも30%、または少なくとも大部分)が第1の成分の部分乾燥層に浸透する(すなわち、その上面より下に浸透する)。
【0100】
ステップS217では、湿潤カラーインク画像(すなわち、ステップS213で形成されたもの)が少なくとも部分乾燥される。例えば、インク画像を加熱することにより、ステップS217の少なくとも部分的な試行が少なくとも部分的に実行される。代替的にまたは追加的に、少なくとも部分的な乾燥と同時または後に、インク画像をITM上で加熱し、その後ステップS221の後続の転写を行う。例えば、加熱(例えば、ステップS217で実行されるか、またはS217後であるがステップS221の前に実行される)は、溶媒を蒸発させる役割を果たし得る。例えば、加熱(例えば、ステップS217で実行されるか、またはS217後であるがステップS221の前に実行される)により、インク画像を十分に粘着性にする、及び/または乾燥した粘着性のインク画像保持残膜を生成することができる。「インク画像保持残膜」は、インク画像を含む残膜である。
【0101】
ステップS221では、少なくとも部分乾燥したインク画像が、ITMから印刷基材に転写される。例えば、粘着性のインク画像保持残膜がステップS217でまたはその後に生成される実施形態では、この粘着性のインク画像保持残膜を、ITM(例えば、その転写表面)から基材へ転写(すなわち、ステップS221)することができる。例えば、ステップS221の間、粘着性のインク画像保持残膜は「転写温度」T転写であり、例えば、その温度は最大115℃、最大110℃、最大105℃、最大100℃、最大95℃、最大90℃、最大85℃、最大80℃、最大75℃、最大70℃である。本発明の実施形態では、ステップS221は、ITM表面と基材との加圧接触により実行され、例えば、これは、転写中にインク画像保持残膜が配置される2つの対向する胴間のニップ領域での加圧接触である。
【0102】
概して、図2に示すステップの順序は必須ではない。例えば、ステップS201~S205は、任意の順序で実行することができる。いくつかの実施形態では、ステップS209~221は、図2に列挙された順序で実行される。
【0103】
S201に関する考察
いくつかの実施形態では、ステップS201の第1のインクの水性インク成分は、(すなわち、純粋形態で)以下の特徴A1~A24のうちの1つ以上(すなわち、任意の組み合わせ)を提供することができる。
【0104】
A1.最小重量/重量の水担体液体-いくつかの実施形態では、提供される(すなわち、ITMへ送達前-例えばリザーバーに格納されているときの)第1の水性インク成分処理調合物は、少なくとも35重量/重量%の水または少なくとも40重量/重量%の水または少なくとも50重量/重量%の水または少なくとも55重量/重量%の水を含む。
【0105】
A2.最大重量/重量の水担体液体-提供される(すなわち、ITMへの送達前-例えばリザーバーに格納されているときの)第1の水性インク成分は、最大75重量/重量%の水または最大70重量/重量%の水または最大65重量/重量%の水を含む。
【0106】
A3.重量/重量の水担体液体(特定の範囲)-提供される(すなわち、ITMへの送達前-例えばリザーバーに格納されているときの)第1の水性インク成分は、35重量/重量%~75重量/重量%の水、または40重量/重量%~75重量/重量%の水、または40重量/重量%~70重量/重量%の水、または50重量/重量%~70重量/重量%の水を含む。
【0107】
A4.蒸発負荷-いくつかの実施形態では、提供される(すなわち、ITMへの送達前-例えばリザーバーに格納されているときの)第1の水性インク成分は、60℃蒸発負荷が最大10:1、最大9:1、最大8:1、最大7:1、最大6:1、最大5:1、最大4:1、最大3.5:1、または最大3:1であり得る。代替的にまたは追加的に、60℃蒸発負荷は、少なくとも2:1、少なくとも2.2:1、または少なくとも2.5:1であってよい。いくつかの実施形態では、蒸発負荷は2:1~10:1である。いくつかの実施形態では、蒸発負荷は2:1~8:1である。いくつかの実施形態では、蒸発負荷は2.5:1~7:1である。いくつかの実施形態では、蒸発負荷は2.5:1~5:1である。いくつかの実施形態では、蒸発負荷は2.5:1~4:1である。いくつかの実施形態では、蒸発負荷は2.5:1~3.5:1である。いくつかの実施形態では、蒸発負荷は2.8:1~4:1である。いくつかの実施形態では、蒸発負荷は2.8:1~3.5:1である。
【0108】
理論に束縛されることを意図するものではないが、いくつかの実施形態では、比較的上限が「低い」蒸発負荷を有することは、(i)第1の成分の粘度が増加する速度を上げるため(例えばステップS211において、例えば、第1の成分がITM表面でビーズ状になる傾向を低減及び/または相殺するため)及び/または(ii)第1の成分と第2の成分との混合物の粘度が増加する速度を上げるため(例えばステップS217において、例えば、着色剤粒子が第1の成分の層全体を横断してITMの表面または剥離層に接触(「浸出」してITM表面に到達)しないようにするため)に有用であり得る。これにより、例えば、第1のインク成分中にキレート剤、または固体を標的表面に迅速に固定する他の薬剤の存在を含むか、または存在に依拠する必要性をなくすことができる。
【0109】
A5.1種以上のバインダーの含有(最小及び/または最大重量%)-いくつかの実施形態では、提供される(すなわち、ITMへの送達前-例えばリザーバーに格納されているときの)第1の水性の第1のインク成分調合物に、(すなわち、第1の水性インク成分の水性液体担体を含む第1のインク成分の重量%基準で)少なくとも6重量/重量%または少なくとも7重量/重量%または少なくとも8重量/重量%または少なくとも9重量/重量%または少なくとも10重量/重量%または少なくとも11重量/重量%または少なくとも12重量/重量%で含まれる。
【0110】
バインダーは、(例えば、比較的「低温」で)残膜を粘着性にするため、及び/または転写時に残膜の粘着性を維持する役割を果たすために有用であり得る。以下で考察するように、本発明の実施形態では、(i)第2の成分のバインダー分率は第1のインク成分のバインダー分率よりも低く、かつ(ii)ステップS213~S217の間に、第2の成分のバインダー液滴が混合され、単一の均一化薄膜層内に包含(例えば形成)され得る。
【0111】
バインダーは、乾燥した第1のインク成分、及び両方のインク成分を含有する乾燥インク画像の、ITMの剥離層からの転写性に重要な役割を果たす。バインダーはまた、乾燥インク画像の印刷基材への付着に重要な役割を果たす。
【0112】
バインダーの例として、ポリスチレン-アクリレートコポリマー、ポリ-アクリレートポリマー、ポリウレタン(例えば、アニオン性脂肪族ポリウレタンなどの脂肪族ポリウレタン)、ウレタン-アクリレートコポリマー、及びポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート)が挙げられる。
【0113】
例示的なスチレン-アクリル(またはポリスチレン-アクリレート)コポリマーとして、Joncryl(登録商標)77E、Joncryl(登録商標)586、Joncryl(登録商標)90、Joncryl(登録商標)8085、及びJoncryl(登録商標)ECO 2177が挙げられる。
【0114】
例示的なポリウレタンとして、DSM-PUD製のアニオン性脂肪族ポリウレタンであるNeoRez(登録商標)R-563が挙げられる。
【0115】
例示的なアクリル系またはポリアクリル系バインダーとして、アクリル系ポリマーエマルジョンであるJoncryl(登録商標)538が挙げられる。
【0116】
例示的なポリエステルとして、Plascoat Z-105、Plascoat Z-730、及びPlascoat Z-750(すべてGOO Chemicals製)が挙げられる。
【0117】
バインダーは、分散液またはエマルジョンなどの様々な形態で提供することができ、例えば典型的には水が主要な担体液体である。
【0118】
様々な実施形態において、バインダーの存在は、特定の転写温度T転写で残膜を粘着性にさせるため、及び/または転写時に粘着性を与えるために有用であり得る。
【0119】
A6.特定の範囲内の界面活性剤濃度を有する-いくつかの実施形態では、提供される(すなわち、ITMへの送達前-例えばリザーバーに格納されているときの)第1の水性インク成分は、最大5重量/重量%または最大4重量/重量%の界面活性剤を含む。
【0120】
A7.中程度の親水性の初期水性処理調合物-いくつかの実施形態、提供される(すなわち、ITMへの送達前-例えばリザーバーに格納されているときの)第1の水性インク成分は、中程度のみ親水性であり、例えば、25℃での静的表面張力が最大32ダイン/cm(例えば20~32ダイン/cm)または最大30ダイン/cm(例えば20~32ダイン/cm)または最大28ダイン/cm(例えば20~32ダイン/cm)である。ITMの剥離表面は中程度の疎水性(または中程度の親水性)の特性を有しているため、高親水性をもつ第1のインク成分を用いることは、ステップS209中にビーディングする熱力学的傾向を増加させる可能性があるため有用でない場合がある。
【0121】
A8.第4級アンモニウム塩を含まないか、または最大でも低濃度である-いくつかの実施形態では、提供される(すなわち、ITMへの送達前-例えばリザーバーに格納されているときの)第1の水性インク成分は、第4級アンモニウム塩を含まないか、または最大1重量/重量%もしくは最大0.75重量/重量%もしくは最大0.5重量/重量%もしくは最大0.25%の第4級アンモニウム塩、またはそれらの中和等価物を含む。
【0122】
A9.特定の範囲内の粘度を有する-いくつかの実施形態では、提供される(すなわち、ITMへの送達前-例えばリザーバーに格納されているときの)第1の水性インク成分の動的粘度は、最大100mPa・s(ミリパスカル秒)または最大80mPa・sである。
【0123】
A10.特定の範囲内の粘度を有する-ステップS209において、第1のインク成分が液滴堆積によって(例えばインクジェットによって)送達される実施形態では、低粘度の第1の水性インク成分は最大35mPa・s、最大30mPa・s、最大25mPa・s、最大20mPa・s、または最大15mPa・sの値を有し得る。
【0124】
A11.特定の範囲内の粘度を有する-いくつかの実施形態では、提供される(すなわち、ITMへの送達前-例えばリザーバーに格納されているときの)第1の水性インク成分の粘度は、少なくとも3mPa・s、少なくとも4mPa・s、少なくとも5mPa・s、または少なくとも6mPa・sである。
【0125】
A12.グリセロールなどの有機溶媒を含まない(または最大でも低濃度である)-いくつかの実施形態では、低蒸気圧の有機溶媒が存在すると、ITM表面での第1のインク成分の乾燥を阻止し得る、及び/または処理薄膜が、転写ステップにとって望ましい所望の弾力性及び/または粘着性または引張強度を失う場合がある。いくつかの実施形態では、提供される(すなわち、ITMへの送達前-例えばリザーバーに格納されているときの)第1の水性インク成分は、純粋状態の有機溶媒(蒸気圧を問わない)を含まない、及び/または最大3重量%、最大2重量%、最大1重量%、もしくは最大0.5重量%、もしくは最大0.25重量%、もしくは最大0.1重量%の有機溶媒を含む。いくつかの実施形態では、調合物は有機溶媒を含まない、及び/または最大3重量%、最大2重量%、最大1重量%、もしくは最大0.5重量%、もしくは最大0.25重量%、もしくは最大0.1重量%のグリセロールを含む。いくつかの実施形態では、調合物はグリセロールをまったく含まない。
【0126】
A13.キレート剤を含まない(または最大でも低濃度である)-いくつかの実施形態では、提供される(すなわち、ITMへの送達前-例えばリザーバーに格納されているときの)第1の水性インク成分は、キレート剤を含まなくてもよく、及び/または最大3重量%、最大2重量%、最大1重量%、もしくは最大0.5重量%、もしくは最大0.25重量%、もしくは最大0.1重量%のキレート剤を含む。
【0127】
A14.ポリビニルアルコール(PVA)またはポリビニルピロリドン(PVP)などの水溶性薄膜形成ポリマーを含まない(または最大でも低濃度である)-いくつかの実施形態では、提供される(すなわち、ITMへの送達前-例えばリザーバーに格納されているときの)第1の水性インク成分は、ポリビニルアルコール(PVA)またはポリビニルピロリドン(PVP)などの水溶性薄膜形成ポリマーを含まなくてもよく、及び/または最大3重量%、最大2重量%、最大1重量%、もしくは最大0.5重量%、及びより典型的には最大0.25重量%、または最大0.1重量%の水溶性薄膜形成ポリマーを含む。
【0128】
A15.乾燥薄膜ガラス転移温度T 乾燥薄膜([第1の成分])-いくつかの実施形態では、第1のインク成分の(すなわち、純粋成分としての)乾燥薄膜ガラス転移温度T 乾燥薄膜([第1の成分])は、最大115℃、または最大110℃、最大105℃、または最大100℃、または最大95℃、最大90℃、最大85℃、最大80℃、最大70℃、最大65℃、最大60℃、または最大55℃である。この参照は、純粋成分としての第1のインク成分の乾燥薄膜ガラス転移温度T 乾燥薄膜([第1の成分])に関するものである。
【0129】
A16.115℃での乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第1の成分])-いくつかの実施形態では、乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第1の成分]、115℃)は、1*10mPa・sまたは最大8*10mPa・sまたは最大6*10mPa・sまたは最大4*10mPa・sである。
【0130】
A17.110℃での乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第1の成分])-いくつかの実施形態では、乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第1の成分]、110℃)は、最大1*10mPa・s、または最大8*10mPa・s、または最大6*10mPa・sまたは最大5*10mPa・sまたは最大4*10mPa・sである。
【0131】
A18.105℃での乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第1の成分])-いくつかの実施形態では、乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第1の成分]、105℃)は、最大2*10mPa・s、最大1*10mPa・s、または最大8*10mPa・s、または最大6*10mPa・sである。
【0132】
A19.100℃での乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第1の成分])-いくつかの実施形態では、乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第1の成分]、100℃)は、最大2*10mPa・s、最大1*10mPa・s、または最大8*10mPa・s、または最大6*10mPa・sである。
【0133】
A20.95℃での乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第1の成分])-いくつかの実施形態では、乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第1の成分]、95℃)は、最大4*10mPa・s、最大2*10mPa・s、最大1*10mPa・s、最大8*10mPa・s、または最大6*10mPa・sである。
【0134】
A21.90℃での乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第1の成分])-いくつかの実施形態では、乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第1の成分]、90℃)は、最大2*10mPa・sまたは最大1.2*10mPa・s、またはより典型的には最大1*10mPa・s、最大8*10mPa・s、または最大6*10mPa・sである。
【0135】
A22.80℃での乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第1の成分])-いくつかの実施形態では、乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第1の成分]、80℃)は、最大2.5*10mPa・sまたは最大1.2*10mPa・s、またはより典型的には最大1*10mPa・s、最大8*10mPa・s、または最大8*10mPa・sである。
【0136】
A23.70℃での乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第1の成分])-いくつかの実施形態では、乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第1の成分]、70℃)は、最大6*10mPa・s、最大3*10mPa・s、または最大1.2*10mPa・s、またはより典型的には最大1*10mPa・s、最大8*10mPa・s、または最大8*10mPa・sである。
【0137】
A24.65℃での乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第1の成分])-いくつかの実施形態では、乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第1の成分]、65℃)は、最大1*10mPa・s、最大5*10mPa・s、または最大2*10mPa・s、またはより典型的には最大1*10mPa・s、最大8*10mPa・s、または最大8*10mPa・sである。
【0138】
A25.デンプンを含まない-いくつかの実施形態では、提供される(すなわち、ITMへの送達前-例えばリザーバーに格納されているときの)第1の水性インク成分は、デンプンを含まなくてもよく、及び/または最大3重量%、最大2重量%、最大1重量%、もしくは最大0.5重量%、より典型的には最大0.25重量%、もしくは最大0.1重量%のデンプンを含む。
【0139】
ステップS203に関する考察
いくつかの実施形態では、ステップS203の第2のインクの水性インク成分は、(すなわち純粋形態で)以下の特徴B1~B18のうちの1つ以上(すなわち、任意の組み合わせ)を提供することができる。
【0140】
B1.最小重量/重量の水担体液体-いくつかの実施形態では、提供される(すなわち、ITMへの送達前-例えばリザーバーに格納されているときの)第2の水性インク成分処理調合物は、少なくとも40重量/重量%の水または少なくとも45重量/重量%の水または少なくとも50重量/重量%の水または少なくとも55重量/重量%の水または少なくとも60重量/重量%の水または少なくとも65重量/重量%の水を含む。
【0141】
B2.固形物パーセント(下限)-いくつかの実施形態では、提供される(すなわち、ITMへの送達前-例えばリザーバーに格納されているときの)第2の水性インク成分処理調合物は、少なくとも6重量/重量%の固形物、または少なくとも7重量/重量%の固形物、または少なくとも8重量/重量%の固形物を含み、ただし用語「固形物」とは60℃で固体である物質を指す。
【0142】
B3.固形物パーセント(上限)-いくつかの実施形態では、提供される(すなわち、ITMへの送達前-例えばリザーバーに格納されているときの)第2の水性インク成分処理調合物は、最大15重量/重量%の固形物、または最大14重量/重量%の固形物、または最大13重量/重量%の固形物、または最大12重量/重量%の固形物を含み、ただし用語「固形物」とは60℃で固体である物質を指す。
【0143】
B4.固形物パーセント(特定の範囲)-いくつかの実施形態では、提供される(すなわち、ITMへの送達前-例えばリザーバーに格納されているときの)第2の水性インク成分処理調合物は、7重量/重量%~13重量/重量%の固形物を含む。
【0144】
B5.バインダーの重量分率(上限)-いくつかの実施形態では、提供される(すなわち、ITMへの送達前-例えばリザーバーに格納されているときの)第2の水性インク成分調合物は、(すなわち、第2の水性インク成分の水性液体担体を含む第2のインク成分の重量%基準で)最大3重量/重量%または最大2.5重量/重量%または最大2重量/重量%または最大1.5重量/重量%または最大1重量/重量%または最大0.5重量/重量%のバインダーを含む。
【0145】
B6.バインダー:顔料比-いくつかの実施形態では、提供される(すなわち、ITMへの送達前-例えばリザーバーに格納されているときの)第2の水性インク成分調合物内で、(i)第2の水性インク成分調合物内のバインダーの重量分率と(ii)第2の水性インク成分調合物内の顔料の重量分率との比は、最大1.5:1または最大1.3:1または最大1.2:1または最大1.1:1または最大0.8:1、または最大0.6:1、または最大0.4:1である。
【0146】
B7.再溶解性-いくつかの実施形態では、提供される(すなわち、ITMへの送達前-例えばリザーバーに格納されているときの)第2の水性インク成分は、再溶解性インク成分である。
【0147】
B8.ナノ粒子-いくつかの実施形態では、提供される(すなわち、ITMへの送達前-例えばリザーバーに格納されているときの)第2の水性インク成分はナノ粒子を含み、例えば、第2の水性インク成分の一次着色剤はナノ粒子である。
【0148】
B9.乾燥薄膜ガラス転移温度T 乾燥薄膜([第2の成分])-いくつかの実施形態では、第2のインク成分の(すなわち、純粋成分としての)乾燥薄膜ガラス転移温度T 乾燥薄膜([第2の成分])は、少なくとも90℃、または少なくとも95℃、または少なくとも100℃、少なくとも105℃、または少なくとも110℃、または少なくとも115℃である。この参照は、純粋成分としての第2のインク成分の乾燥薄膜ガラス転移温度T 乾燥薄膜([第2の成分])に関するものである。
【0149】
B10.115℃での乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第2の成分])-いくつかの実施形態では、乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第2の成分]、115℃)は、少なくとも8*10mPa・s、少なくとも1*10mPa・s、少なくとも3*10mPa・s、または少なくとも6*10mPa・sである。
【0150】
B11.110℃での乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第2の成分])-いくつかの実施形態では、乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第2の成分]、110℃)は、少なくとも1*10mPa・s、少なくとも3*10mPa・s、少なくとも5*10mPa・s、または少なくとも8*10mPa・sである。
【0151】
B12.105℃での乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第2の成分])-いくつかの実施形態では、乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第2の成分]、105℃)は、少なくとも1.2*10mPa・s、少なくとも3*10mPa・s、少なくとも5*10mPa・s、または少なくとも1*10mPa・sである。
【0152】
B13.100℃での乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第2の成分])-いくつかの実施形態では、乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第2の成分]、100℃)は、少なくとも1.5*10mPa・s、少なくとも3*10mPa・s、少なくとも7*10mPa・s、または少なくとも2*10mPa・sである。
【0153】
B14.95℃での乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第2の成分])-いくつかの実施形態では、乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第2の成分]、95℃)は、少なくとも2*10mPa・s、少なくとも5*10mPa・s、少なくとも1*10mPa・s、または少なくとも3*10mPa・sである。
【0154】
B15.90℃での乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第2の成分])-いくつかの実施形態では、乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第2の成分]、90℃)は、少なくとも2*10mPa・s、少なくとも4*10mPa・s、少なくとも6*10mPa・s、少なくとも8*10mPa・s、少なくとも1*10mPa・s、少なくとも3*10mPa、または少なくとも5*10mPaである。
【0155】
B16.80℃での乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第2の成分])-いくつかの実施形態では、乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第2の成分]、80℃)は、少なくとも3*10mPa・s、少なくとも6*10mPa・s、少なくとも8*10mPa・s、少なくとも2*10mPa・s、または少なくとも7*10mPa・sである。
【0156】
B17.70℃での乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第2の成分])-いくつかの実施形態では、乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第2の成分]、70℃)は、少なくとも3*10mPa・s、少なくとも6*10mPa・s、少なくとも8*10mPa・s、少なくとも2*10mPa・s、少なくとも5*10mPa・s、または少なくとも9*10mPa・sである。
【0157】
B18.60℃での乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第2の成分])-いくつかの実施形態では、乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第2の成分]、60℃)は、少なくとも3*10mPa・s、少なくとも6*10mPa・s、少なくとも8*10mPa・s、少なくとも2*10mPa・s、少なくとも5*10mPa・s、または少なくとも9*10mPa・sである。
【0158】
ステップS201及びS203に関する第1の考察(第1と第2のインク成分両方の特性に応じた「組み合わせ特徴」)
いくつかの実施形態では、ステップS201とS203それぞれの第1及び第2のインクの水性インク成分は、(すなわち、それぞれ純粋形態で)以下の特徴C1~C4のうちの1つ以上(すなわち、任意の組み合わせ)を提供することができる。
【0159】
C1.バインダーの重量分率比(上限)-いくつかの実施形態では、提供される(すなわち、ITMへの送達前-例えばリザーバーに格納されているときの)第1及び第2の水性インク成分調合物は共同して以下の特性を提供する。すなわち、(i)第1の成分中のバインダーの重量分率と(ii)第2の成分中のバインダーの重量分率との比は、少なくとも1.5、または少なくとも1.75:1、または少なくとも2:1、または少なくとも2.25:1、または少なくとも2.25:1、または少なくとも3:1、または少なくとも4:1、または少なくとも5:1、または少なくとも6:1、または少なくとも7:1、または少なくとも8:1、または少なくとも9:1、または少なくとも10:1である。第2のインク成分がバインダーを含まなくてもよいため、この比が無限大になる場合がある。
【0160】
C2.固形物パーセント比-いくつかの実施形態では、提供される(すなわち、ITMへの送達前-例えばリザーバーに格納されているときの)第1及び第2の水性インク成分調合物は共同して以下の特性を提供する。すなわち、(i)第1の成分中の固形物の重量分率と(ii)第2の成分中の固形物の重量分率との比は、少なくとも1.8、少なくとも2.0、少なくとも2.2、少なくとも2.5、または少なくとも3.0であり、ただし用語「固形物」とは60℃で固体である物質を指す。
【0161】
C3.乾燥薄膜ガラス転移温度T 乾燥薄膜([第2の成分])とT 乾燥薄膜([第1の成分])との差-いくつかの実施形態では、T 乾燥薄膜([第2の成分])とT 乾燥薄膜([第1の成分])との差は、少なくとも0℃、または少なくとも1℃、または少なくとも2℃、または少なくとも3℃、または少なくとも4℃、または少なくとも5℃、または少なくとも6℃、または少なくとも7℃、または少なくとも8℃、または少なくとも9℃、または少なくとも10℃、または少なくとも12℃、または少なくとも15℃である。
【0162】
C4.115℃での乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第2の成分])-いくつかの実施形態では、(i)μ 乾燥薄膜([第2の成分]、115℃)と(ii)μ 乾燥薄膜([第2の成分]、115℃)との比は、少なくとも3:1、少なくとも4:1、少なくとも5:1、少なくとも7:1、少なくとも10:1、少なくとも15:1、もしくは少なくとも25:1、及び/または3:1~25:1、3:1~10:1、3:1~7:1、5:1~25:1、5:1~15:1、5:1~10:1、5:1~7:1、7:1~25:1、7:1~15:1、もしくは7:1~10:1の範囲内である。
【0163】
ステップS201及びS203に関する第2の考察(第1と第2のインク成分両方の特性に応じた「組み合わせ特徴」)
いくつかの実施形態では、ステップS201とS203それぞれの第1及び第2のインクの水性インク成分は、(すなわち、それぞれ純粋形態で)以下の特徴D1~D10のうちの1つ以上(すなわち、任意の組み合わせ)を提供することができる。各特徴は、第1の成分と第2の成分との重量比が5:1の混合物について説明している。
【0164】
D1.乾燥薄膜ガラス転移温度T 乾燥薄膜([第2の成分:第1の成分が5:1])(上限)-いくつかの実施形態では、第1の成分と第2の成分との重量比が5:1の乾燥薄膜ガラス転移温度T 乾燥薄膜([第2の成分:第1の成分が5:1])は、115℃未満、または110℃未満、または105℃未満、または100℃未満、または95℃未満、または90℃未満、または85℃未満、または80℃未満、または70℃未満、または65℃未満、または60℃未満、または55℃未満である。
【0165】
D2.115℃での乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第1の成分])-いくつかの実施形態では、第1の成分と第2の成分との重量比が5:1の乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第2の成分:第1の成分が5:1]、115℃)は、最大1*10mPa・s、または最大8*10mPa・s、最大6*10mPa・s、または最大4*10mPa・sである。
【0166】
D3.110℃での乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第1の成分])-いくつかの実施形態では、第1の成分と第2の成分との重量比が5:1の乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第2の成分:第1の成分が5:1]、110℃)は、最大1*10mPa・s、もしくは最大8*10mPa・s、またはより典型的には最大6*10mPa・s、もしくは最大5*10mPa・s、もしくは最大4*10mPa・sである。
【0167】
D4.105℃での乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第1の成分])-いくつかの実施形態では、第1の成分と第2の成分との重量比が5:1の乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第2の成分:第1の成分が5:1]、105℃)は、最大2*10mPa・s、最大1*10mPa・s、最大8*10mPa・s、または最大6*10mPa・sである。
【0168】
D5.100℃での乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第1の成分])-いくつかの実施形態では、第1の成分と第2の成分との重量比が5:1の乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第2の成分:第1の成分が5:1]、100℃)は、最大2*10mPa・s、最大1*10mPa・s、最大8*10mPa・s、または最大6*10mPa・sである。
【0169】
D6.95℃での乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第1の成分])-いくつかの実施形態では、第1と第2の重量比が5:1の乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第2の成分:第1の成分が5:1]、95℃)は、最大4*10mPa・s、最大2*10mPa・s、最大1*10mPa・s、最大8*10mPa・s、または最大6*10mPa・sである。
【0170】
D7.90℃での乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第1の成分])-いくつかの実施形態では、第1の成分と第2の成分との重量比が5:1の乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第2の成分:第1の成分が5:1]、90℃)は、最大2*10mPa・s、もしくは最大1.2*10mPa・s、またはより典型的には最大1*10mPa・s、最大8*10mPa・s、もしくは最大6*10mPa・sである。
【0171】
D8.80℃での乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第1の成分])-いくつかの実施形態では、第1の成分と第2の成分との重量比が5:1の乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第2の成分:第1の成分が5:1]、80℃)は、最大2.5*10mPa・s、もしくは最大1.2*10mPa・s、またはより典型的には最大1*10mPa・s、最大8*10mPa・s、もしくは最大8*10mPa・sである。
【0172】
D9.70℃での乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第1の成分])-いくつかの実施形態では、第1の成分と第2の成分との重量比が5:1の乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第2の成分:第1の成分が5:1]、70℃)は、最大6*10mPa・s、最大3*10mPa・s、もしくは最大1.2*10mPa・s、またはより典型的には最大1*10mPa・s、最大8*10mPa・s、もしくは最大8*10mPa・sである。
【0173】
D10.65℃での乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第1の成分])-いくつかの実施形態では、第1の成分と第2の成分との重量比が5:1の乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第2の成分:第1の成分が5:1]、65℃)は、最大1*10mPa・s、最大5*10mPa・s、もしくは最大2*10mPa・s、またはより典型的には最大1*10mPa・s、最大8*10mPa・s、もしくは最大8*10mPa・sである。
【0174】
図2のステップS205に関する考察
いくつかの実施形態では、ステップS205で提供されるITMは、シリコーン系剥離層を有するが、その剥離表面は、多数の従来型シリコーン系剥離層よりも、疎水性が低いかまたは顕著に低いものであり得る。この構造特性は、様々な方法で測定し、特徴付けることができる。
【0175】
例えば図2のステップS205で示されるように、中間転写部材(ITM)は、以下の特性、すなわち、(i)シリコーン系剥離層表面上に堆積された蒸留水滴の後退接触角が最大60°であること、及び(ii)シリコーン系剥離層表面上に堆積された蒸留水滴の10秒動的接触角(DCA)が最大108°であることのうちの少なくとも一方を満たす十分な親水性を示すシリコーン系剥離層表面を含み得る。
【0176】
シリコーン系剥離層の疎水性を低下させる複数の技術のうちのいずれか1つを用いることができる。
【0177】
いくつかの実施形態では、極性官能基が、シリコーン系剥離層に導入されている及び/または生成される。一例として、官能基はプレポリマーバッチ(例えば溶液中のモノマー)に付加され、硬化時に、これらの官能基がシリコーンポリマー網状組織の構成部分となり得る。代替的にまたは追加的に、シリコーン系剥離層を(例えば、コロナ放電により、または電子ビームにより)前処理し、それにより剥離層の表面エネルギーを増加させる。
【0178】
代わりに、シリコーン系剥離層は、官能基を実質的に有さないときでも、低疎水性を有するように製造することができる。一例として、剥離層のシリコーンポリマー骨格は、その極性基(例えばO-Si-O)が、ITM表面の局部的平面に対して略垂直であり、かつ剥離層表面に向かって「上向き」に面する方向に配向するよう構築することができる。
【0179】
様々な実施形態において、以下の特徴E1~E5のうちの1つ以上(すなわち、任意の組み合わせ)を提供することができる。
【0180】
E1:剥離層-いくつかの実施形態では、剥離層はシリコーン物質(例えば、付加硬化型)で形成される-これは、ステップS117に有用な疎水性特性をITMに与える。
【0181】
E2:疎水性を低減した剥離層-シリコーン系剥離層は、その疎水性を低下させる方法で生成されている。例えば、剥離層に親水性を与える官能性反応基の付加を利用する代わりに、極性基の極性原子(例えば、極性部分Si-O-Siにおける酸素原子)が剥離層表面に対して外向きに整列するか、またはそれ以外の方法で外側に面するようにシリコーン剥離層を硬化させることができる。この例では、「Si-O-Si」の酸素原子は、通常の処理状態下で、処理溶液中の物質、乾燥インク画像、及び/または乾燥処理薄膜に化学的に結合する能力を有さない。しかしながら、外向きに配向された極性「O」の親水性から利点を得ることは可能である。
【0182】
E3:中程度の疎水性を有する剥離層-ITMの剥離表面は中程度の疎水性特性を有するが、過度の疎水性を示さない。したがって、剥離表面は、(25℃で)少なくとも20ダイン/cmもしくは少なくとも21ダイン/cmもしくは少なくとも22ダイン/cmもしくは少なくとも23ダイン/cm、もしくは少なくとも25ダイン/cm、少なくとも28ダイン/cm、少なくとも30ダイン/cm、少なくとも32ダイン/cm、少なくとも34ダイン/cm、もしくは少なくとも36ダイン/cm、及び/または最大48ダイン/cm、最大46ダイン/cm、最大44ダイン/cm、最大42ダイン/cm、最大40ダイン/cm、最大38ダイン/cm、もしくは最大37ダイン/cmもしくは最大35ダイン/cmの表面エネルギーを有し得る。
【0183】
E4:剥離層表面での蒸留水液滴の後退接触角-インク受容表面または剥離層表面上の蒸留水液滴の後退接触角は、典型的には少なくとも30°、及びより典型的には30°~80°、35°~80°、30°~75°、35°~75°、30°~65°、30°~55°、または35°~55°である。
【0184】
E5:架橋ポリマー構造内に結合された官能基を有さない-ITMの剥離層は、架橋ポリマー構造内に結合された官能基を有さなくても、または実質的に有さなくてもよい。本発明者らは、そのような官能基は望ましくない付着を増加または促進し得るものと考える。
【0185】
ステップS209に関する考察
いくつかの実施形態では、以下の特徴F1~F4のうちの1つ以上(すなわち、任意の組み合わせ)を提供するようにステップS209を実行する。
【0186】
F1-ITM表面の(すなわち、ITM表面上での形成直後/塗布直後/送達直後の)第1の成分の被覆湿潤体積の厚さは、少なくとも6μmまたは少なくとも8μmまたは少なくとも10μmまたは少なくとも12μmである。
【0187】
F2-第1のインク成分は、液滴堆積(例えば、インクジェットによる)によってITM表面に送達される。
【0188】
F3-第1のインク成分は、ステップS213で形成されるインク画像のパターンに応じて、液滴堆積(例えば、インクジェットによる)によってITM表面に送達される(例えば、衝突時の第1のインク成分の液滴の中心は、ステップS213で後に形成されるインク画像の中心に対応する)。
【0189】
F4-ITM表面が少なくとも1メートル/秒または少なくとも1.5メートル/秒または少なくとも2メートル/秒の速度で移動中であるときに、第1のインク成分がITM表面に送達され、そこに湿潤処理層が形成される。
【0190】
ステップS211に関する考察
いくつかの実施形態では、以下の特徴G1~G2のうちの1つ以上(すなわち、任意の組み合わせ)を提供するようにステップS211を実行する。
【0191】
G1-(i)ステップS213で第2の水性インク成分の液滴が第1のインク成分の部分乾燥層に衝突するときの第1の成分の部分乾燥層の厚さと(ii)ステップS209でITM表面の(すなわち、ITM表面上での形成直後/塗布直後/送達直後の)第1の成分の被覆湿潤体積の厚さとの比は、最大0.6または最大0.5または最大0.4である。
【0192】
G2-(i)ステップS213で第2の水性インク成分の液滴が第1のインク成分の部分乾燥層に衝突するときの第1の成分の部分乾燥層の厚さと(ii)ステップS209でITM表面の(すなわち、ITM表面上での形成直後/塗布直後/送達直後の)第1の成分の被覆湿潤体積の厚さとの比は、少なくとも0.25または少なくとも0.3または少なくとも0.35である。
【0193】
ステップS213に関する考察
いくつかの実施形態では、以下の特徴H1~H5のうちの1つ以上(すなわち、任意の組み合わせ)を提供するようにステップS213を実行する。
【0194】
H1-第2の成分をインクジェットにより送達する。
【0195】
H2-第2の成分のインクジェット時のインクジェットノズル内、及び吐出条件(例えば温度)下の実施形態では、第2の水性インク成分は再溶解性インク成分である。したがって、いくつかの実施形態では、第2の水性インク成分の液滴の堆積は、第2のインク成分が完全に再溶解性である一連の条件下で実行される。
【0196】
理論に束縛されることを意図するものではないが、これは、少なくとも部分的に、ステップS203で提供される第2の水性インク成分のバインダー分率が比較的低いことに起因する可能性がある。
【0197】
H3-第2のインク成分の液滴と第1のインク成分の層との間の衝突直前の、第1のインク成分の層の液体含有量は、少なくとも10重量/重量%または少なくとも20重量/重量%または少なくとも30重量/重量%または少なくとも40重量/重量%である。
【0198】
H4-第2のインク成分の液滴と第1のインク成分の層との間の衝突直前の、第1のインク成分の層の厚さは、少なくとも1μmまたは少なくとも1.5μmまたは少なくとも2μmまたは少なくとも3μmまたは少なくとも4μmである。
【0199】
H5-第2のインク成分の液滴と第1のインク成分の層との間の衝突時に、第2のインク成分の着色剤粒子の一部またはすべてが、第1のインク成分の部分乾燥層に浸透する。一例では、第2の成分の所与の堆積液滴に関して、着色剤粒子の少なくとも10%または少なくとも20%または少なくとも30%または少なくとも50%または少なくとも70%または少なくとも80%または少なくとも90%が、第1のインク成分の部分乾燥層に成分浸透して混合され得る。
【0200】
ステップS221に関する考察
いくつかの実施形態では、以下の特徴のうちの1つ以上であるようにステップS221を実行する。
【0201】
I1-転写温度T転写は、少なくとも60℃、少なくとも65℃、少なくとも70℃、少なくとも75℃、少なくとも80℃、少なくとも85℃、少なくとも90℃、少なくとも95℃、少なくとも100℃、少なくとも105℃、少なくとも110℃、または少なくとも115℃である。
【0202】
I2-転写温度T転写は、最大75℃、最大80℃、または最大85℃、または最大90℃、または最大95℃、または最大100℃、または最大105℃、または最大110℃、または最大115℃である。
【0203】
I3-転写温度T転写は60℃~70℃である。
【0204】
I4-転写温度T転写は65℃~75℃である。
【0205】
I5-転写温度T転写は70℃~80℃である。
【0206】
I6-転写温度T転写は75℃~85℃である。
【0207】
I7-転写温度T転写は80℃~90℃である。
【0208】
I9-転写温度T転写は85℃~95℃である。
【0209】
I10-転写温度T転写は90℃~100℃である。
【0210】
I11-転写温度T転写は95℃~105℃である。
【0211】
I12-転写温度T転写は105℃~115℃である。
【0212】
I13-転写温度T転写は115℃超である。
【0213】
I14:第2のインク成分の乾燥薄膜ガラス転移温度T 乾燥薄膜([第2の成分])は、転写温度T転写を(例えば、少なくとも5℃、または少なくとも10℃、または少なくとも12℃、少なくとも15℃、または少なくとも20℃、または少なくとも30℃、または少なくとも40℃)上回り、第1のインク成分と第2のインク成分との重量比が5:1である乾燥薄膜ガラス転移温度T 乾燥薄膜([第2の成分:第1の成分が5:1])は、転写温度T転写よりも(例えば、少なくとも5℃、または少なくとも10℃、または少なくとも12℃、少なくとも15℃、または少なくとも20℃、または少なくとも30℃、または少なくとも40℃)低い。
【0214】
図3~4に関する考察
図3は、図2の方法を実行するための1つの例示的なシステムの模式図である。図3は、図2の方法を実行するための別の例示的なシステムの模式図である。図3のシステムは、(i)印刷バー110Aのインクジェット印刷ノズルに第1のインク成分を供給する第1のインク成分のリザーバー120(すなわち、印刷バー110Aは1つ以上の印刷ヘッドを含み、印刷ヘッドのそれぞれがリザーバー120によって供給される複数のインクジェットノズルを含む)と、(ii)第2のインク成分(すなわち、同じ組成または異なる組成のいずれかを有する。すなわち、「第2のインク成分」はそれぞれ、色は異なっていてもよいが、共通する他の特性(例えば、熱レオロジー特性)を共有し得る)の1つ以上のリザーバー124A~124Dであって、それぞれが各々の第2のインク成分を各々の印刷バー110B~110Dに供給するリザーバーと、を含む。
【0215】
図3の例では、ITM140は、複数の胴104、102周りに取り付けられたブランケット(例えば、可撓性ブランケット)である。これは限定ではなく、他の例では、ITM140は、例えば剛性ドラムであってもよい。図3の例では、印刷バー110Aは、ITM140の表面上に第1のインク成分の液滴を堆積させ(例えば、図2のステップS209を参照)、その上に第1のインク成分の層を形成する。ITM140の移動により、第1のインク成分のこの層が、印刷バー110A下の位置から印刷バー110B下の位置に搬送され、そこで第2のインク成分の液滴が(例えば、インクジェットによって)第1のインク成分の層に堆積される(例えば、図4のステップS213を参照)。その結果、ITMの表面にインク画像が形成され、これが画像転写位置LocXに搬送される。インク画像が搬送されると、加熱されて(例えば、図2のステップS217を参照)(例えば、いくつかの実施形態では、少なくとも一部の乾燥が乾燥ステーション130で実行される)、粘着性の残膜になる。インク画像残膜は、画像転写位置LocXで、ITMの表面から基材148に転写される(例えば、ステップS221を参照)(例えば、転写は、例えば圧胴142と版胴146との間で圧力をかけることにより実行される)。
【0216】
図3の非限定的な例では、第2のインク成分の複数のリザーバーが提供される。例えば、リザーバー124のそれぞれに、異なる種類の(例えば、色が異なる)第2のインク成分が収容される。例えば、各種類の第2のインク成分を順次塗布して、カラーインク画像を生成することができる。
【0217】
図4図3と同様であるが、第1のインク成分を塗布するための装置118は、液滴堆積を利用しない。種々の例において、第1のインク成分の体積で「広い」領域(例えば、連続して少なくとも1cm×1cm)を被覆するための装置118は、コーター及び/または噴霧アセンブリ及び/または浴槽アセンブリ(例えばITM表面の浸漬用)を含み得る。最初に塗布される第1のインク成分の量は「過多」であってもよく、いくつかの実施形態では、装置118に薄膜化アセンブリ及び/またはドクターブレードが含まれる。
【0218】
図3のシステムの動作の一例を図5A図5Iに示す。それぞれの図は、異なる時間「枠」でITM140の表面に配置される物質112を示す。したがって、図5Aにおいて要素112[t1]は、印刷バー110Aの真下の位置LocAでITM140の表面上に(例えば、ステップS209の時点で)(例えば液滴堆積、例えばインクジェットにより)塗布直後の第1の成分の層を示す。図5Bにおいて要素112[t2]は、後の時間t2における、印刷バー110Aのわずかに下流である位置LocBの第1の成分の層を示す。
【0219】
図5Cにおいて要素112[t3]は、後の時間t3における、印刷バー110Bのわずかに上流である位置LocCの第1の成分の層を示す。図5Dにおいて要素112[t3]は、後の時間t4における、印刷バー110Bによって堆積される第1のインク成分の層と第2のインク成分の液滴との組み合わせを示す。図5Dに示すように、この組み合わせは、印刷バー110Bの真下であるLocDに配置される。したがって、時間t4は、図2のステップS213において第2のインク成分の液滴が第1のインク成分の層に堆積される時間に対応する。
【0220】
図5E~5Hは、以後の3時点t5~t8及び以後のITM140上の3箇所に対応する。図5Iは、画像転写時間t9に対応し、このとき画像転写位置LocXに画像が転写される。
【0221】
図6A~6Iは、それぞれ図5A~5Iに対応し、ある特定のシナリオ/動作パラメータ群/第1及び第2の水性インク成分の例に応じた112[t1]を示す。
【0222】
ブランケット
ITMは、図7B~7Gにより説明される様式で製造され得る。係るITMはLanda CorporationのNanographic Printing(登録商標)技術に対して特に好適である。
【0223】
ここで図7Aを参照すると、担体10を通る断面が概略的に示されている。これら全部の図面では、仕上げられた物品の部分を形成する層から区別するために、担体10は中実の黒い線として示されている。担体10は担体接触表面12を有する。
【0224】
いくつかの実施形態では、担体接触表面12は、最大約50nm、最大30nm、最大20m、最大15nm、最大12nm、または、より典型的には、最大10nm、最大7nm、または最大5nmの粗度(Ra)を有する良好に研磨された平坦表面であり得る。いくつかの実施形態では、担体接触表面12は、1~50nm、3~25nm、3~20nm、または5nm~20nmである。
【0225】
担体接触表面12の親水特性については以下で説明する。
【0226】
いくつかの実施形態では、担体10は、可撓性を有さず、例えば1枚のガラスまたは厚い金属シートで形成され得る。
【0227】
いくつかの実施形態では、担体10は、可撓性を有する箔(例えば、主にアルミニウム、ニッケル、及び/またはクロムからなるか、またはこれを含む可撓性箔)で形成されると有利であり得る。一実施形態では、この箔は、アルミニウム処理されたPET(ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル)、例えば蒸発されたアルミニウム金属で被覆されたPETのシートである。アルミニウムの上部被覆はポリマー被覆により保護され得る。なおこのシートは典型的には、可撓性を維持しつつもシワを回避するために小さい半径で曲がりにくいよう、0.05mm~1.00mmの厚さを有する。
【0228】
いくつかの実施形態では、担体10は静電防止ポリマー薄膜(例えばPETなどのポリエステル薄膜など)で形成されると有利であり得る。静電防止薄膜の静電防止特性は、様々な添加剤(例えばアンモニウム塩など)をポリマー組成物に添加することを含む当業者に周知の様々な手段により達成される。
【0229】
結果が図7Bに示される本ITM製造方法のステップでは、流体第1硬化可能組成物(図9Bにおいて36として示される)が提供され、層16が当該組成物から担体接触表面12上に形成される。層16は、外側のインク転写表面14を有する初期剥離層を構成する。
【0230】
層16の流体第1硬化可能組成物は、典型的にはシリコーンポリマー(例えばポリジメチルシロキサン(例えば、ビニル末端ポリジメチルシロキサンなど))からなるエラストマーを含み得る。
【0231】
いくつかの実施形態では、流体第1硬化可能物質は、ビニル官能シリコーンポリマー(例えば、例えばビニル官能ポリジメチルシロキサンなどの末端ビニル基に加えて少なくとも1つの側鎖ビニル基を含むビニルシリコーンポリマー)を含む。
【0232】
いくつかの例示的な実施形態では、流体第1硬化可能物質は、ビニル末端ポリジメチルシロキサンと、末端ビニル基に加えてポリシロキサン鎖上に少なくとも1つの側鎖ビニル基を含むビニル官能ポリジメチルシロキサンと、架橋剤と、付加硬化型触媒と、所望により、さらに硬化抑制剤と、を含む。
【0233】
当該技術分野で周知のように、硬化可能な接着剤組成物は、単位モルベースで任意の好適な量(典型的には1モルあたり最大0.01%のプレポリマー)の付加硬化型触媒を含み得る。
【0234】
流体第1硬化可能物質に対する代表的な配合は以下の事例において提供される。
【0235】
流体第1硬化可能組成物の層16が担体接触表面12に塗布され、その後、硬化される。層16は、例えばドクターブレード(ロール上に搭載されたナイフ)を使用して、ドクターブレードが、ITMのインク転写表面14として最終的に機能することになる表面に接触せず、それによりドクターブレードにおける欠陥が完成品の品質に影響を及ぼさないよう、所望の厚さに展開され得る。硬化後、「剥離」層16は、約2マイクロメートル~約200マイクロメートルの厚さを有し得る。係るステップ及び方法が実装される装置が図9A及び9Bで概略的に示されている。
【0236】
例えば、上記で詳述した剥離層調合物が、5~200マイクロメートル(μ)の厚さに均一化され、120℃~130℃でおよそ2~10分間硬化された、PET保持体上に均一に塗布され得る。驚くべきことに、蒸留水の0.5~5マイクロリットル(μl)液滴に関するその後退接触角(RCA)により推定される、そのように準備された剥離層のインク転写表面の疎水性は、およそ60°であり得る。その一方で、同一の剥離層の他の側部(空気界面を用いて従来準備された層の疎水性を近似する作用を有する)は顕著により高い(典型的にはおよそ90°)RCAを有し得る。インク転写表面14を生産するために使用されたPET担体は典型的におよそ40°以下のRCAを示し得る。接触角度測定は、接触角分析器-Kruss(登録商標)「Easy Drop」FM40Mk2及び/またはDataphysics OCA15 Pro(Particle and Surface Sciences Pty.Ltd.,Gosford,NSW,Australia)を用いて実施された。
【0237】
その結果が図9Cで示される、この方法の後続ステップにおいて、追加層18(コンプライアンス層と呼ばれる)が、インク転写表面14に対して逆側において層16に塗布される。コンプライアンス層18は、層16及びその最外部表面14が、インク画像が印圧されている基材の表面輪郭に近接して追随することを可能にするエラストマー層である。コンプライアンス層18をインク転写表面14の反対側の側部に取り付けることは、コンプライアンス層18の物質に加えて、接着または結合組成物の塗布を含み得る。通常、コンプライアンス層18は典型的には、約100マイクロメートル~約300マイクロメートル以上の厚さを有する。
【0238】
コンプライアンス層18が剥離層16と同一の組成を有する一方で、物質及び処理の経済性の観点からは、より安価な物質を使用することが是認され得る。さらに、コンプライアンス層18は典型的には、剥離層16とは異なる機械的特性(例えば張力に対する耐性がより大きい)を有するよう選択される。特性における係る所望の差異は、例えば剥離層16に対して異なる組成を利用することにより、剥離層16の調合物を準備するために使用された成分との間で割合を変化させることにより、さらなる成分を係る調合物に加えることにより、及び/または、異なる硬化条件を選択することにより、達成され得る。例えば、充填剤粒子の添加により、剥離層16と比較してコンプライアンス層18の機械的強度は望ましく向上し得る。
【0239】
いくつかの実施形態では、コンプライアンス層18は多様なゴムを含み得る。好適には係るゴムは、少なくとも100℃の温度で安定であり、アクリル酸アルキルコポリマーゴム(ACM)、メチルビニルシリコーンゴム(VMQ)、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム(EPDM)、フルオロエラストマポリマー、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、エチレンアクリルエラストマー(EAM)、及び水素化ニトリルブタジエンゴム(HNBR)などのゴムを含み得る。
【0240】
非限定的な例として、2つの成分が1:1の比で混合された2成分液体シリコーンゴムであるSilopren(登録商標)LSR2530(Momentive Performance Materials Inc.,Waterford NY)が前述の硬化剥離層16に塗布された。シリコーンゴム混合物は、ナイフブレードを用いて、約250マイクロメートルの厚さを有する初期コンプライアンス層18を取得するために、計量しながら供給され/均一化され、次にコンプライアンス層18は150℃~160℃でおよそ5分間にわたり硬化された。
【0241】
その結果が図7Dにおいて示される、この方法の後続ステップでは、補強層または支持層20がコンプライアンス層18上に構築される。支持層20は典型的には、ITMが印刷システムにおいて張力下で保持されたときに伸張に耐えるための十分な構造的完全性を有する支持層20を提供するために、織物または織地の形態にある繊維補強材を含む。支持層20は、後に硬化されかつ硬化後に可撓性を保持する樹脂で、繊維補強材を被覆することにより形成される。
【0242】
代替的に、支持層20は、補強層として別に形成され、独立的に硬化された樹脂内に埋め込まれ、及び/または注入された係る繊維を含み得る。この場合、支持層20は、接着層を介してコンプライアンス層18に取り付けられ得、所望により、現場で支持層20を硬化する必要性が排除される。全般的に、支持層20は、現場でコンプライアンス層18上に形成された場合でも、または別個に形成された場合でも、約100マイクロメートル~約500マイクロメートルの厚さを有し得、その一部は繊維または織地の厚さに寄与し、その厚さは通常約50マイクロメートル~約300マイクロメートルで変動する。しかし支持層厚さは限定的ではない。高耐久性の用途に対しては、例えば支持層は、200マイクロメートル以上、500マイクロメートル以上、または1mm以上の厚さを有し得る。
【0243】
例えば、ビニル官能化された剥離被覆16及び2成分シリコーンゴムコンプライアンス層18を含む本明細書で記載の多層化されたITM構造に対して、ガラス繊維の編み込み織地を含む支持層20が塗布された。約100マイクロメートルの厚さを有するガラス繊維織地は、垂直方向に16ヤーン/cmを有する平織物であった。ガラス繊維織地は、コンプライアンス層に対応する液体シリコーンゴムSilopren(登録商標)LSR2530を含む硬化可能流体に埋め込まれた。全体的に、結果的に生成された支持層20は、約200マイクロメートルの厚さを有し、およそ2~5分間にわたり150℃で硬化された。好適には、より高密度の織物(例えば24×23ヤーン/cmを有する)が使用され得る。
【0244】
支持層20を現場で形成した後、または支持層20を取り付けた後、必要に応じて追加層がその反対側に構築され得る。図7Eでは、支持層20の反対側に固定された(例えば硬化接着剤または樹脂により)所望によるフェルトブランケット22が示されており、図7Fでは、ブランケット22の反対側上に被覆された高摩擦層24が示されている。当業者に理解されるであろうように、様々な比較的柔らかいゴムが、高摩擦特性を有する層を準備するために用いられ得る。係るゴムの単なる一例としてシリコーンエラストマーが挙げられる。ブランケット22などの介在する層が存在しない状況では、高摩擦層24が支持層20に直接的に取り付けられ得る。
【0245】
上述のように、ITMの剥離層に加えられるすべての層(例えば、18、20、22、24、または任意の介在する接着層もしくは下塗り層、その他)は、図8Cにおける基部200に対して示されるように、共同して構造体の基部を形成する。
【0246】
ITMが使用される前に、図7Gに示すように、担体10を取り除いて、剥離層16のインク転写表面14を露出させることが必要である。通常は、完成品を単に担体10から引きはがすとよい。
【0247】
担体10が可撓性を有する箔である場合、ITMが印刷システムに据え付けられる等のときまでITM上の定位置に残されるほうが好適であり得る。この箔は、格納、輸送、及び据え付けの際に、ITMのインク転写表面14を保護する作用を有するであろう。加えて担体10は、製造プロセスの完了後、保護膜として好適である代替的な箔と交換され得る。
【0248】
図9A~9Dでは、ITMがその中で製造され得る装置90が概略的に示されている。図9Aでは、可撓性を有するループコンベア100を移動させる巻き出しローラー40及び巻き取りローラー42を有する係る装置90の概略が提供されている。コンベア100により追従される経路に沿って、所望のITMに対して好適である硬化可能な流体組成物を吐出することが可能な吐出ステーション52と、ステーションの下流方向に移動するにつれて硬化可能層の厚さを制御することが可能なレベリングステーション54と、後続ステップが存在する場合に後続ステップに対する初期層として機能することが可能となるよう、層を少なくとも部分的に硬化することが可能な硬化ステーション56と、が配置される。吐出ステーション52、レベリングステーション54、及び硬化ステーション56は層形成ステーション50aを構成する。50bにより示されるように、装置90は所望により2個以上の層形成ステーションを含み得る。さらに、形成ステーション50は、ステーション50aにおいて吐出ローラー58により示される追加的な下位ステーションを含み得る。
【0249】
いくつかの実施形態では、ループコンベア100に対する必要性は省略され、担体10は直接的にローラー40とローラー42との間で張架される。未処理の担体10が巻き出しローラー40から巻き出され、ステーション50a及び50bを通過した後、巻き取りローラー42に巻き取られる。
【0250】
図面には示されないが、この装置はさらに、吐出ステーションの上流側に「表面処理」ステーションを含み得る。この表面処理ステーションは、必要に応じて、硬化可能な組成物を後に塗布することを、または、場合によっては担体接触表面または初期層に硬化可能な組成物を取り付けることを、容易にする。担体に関して上述したように、所望による表面処理ステーション(図示せず)は物理的処理(例えば、コロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、その他)に対して好適であり得る。
【0251】
図9Bでは、装置90の形成ステーション50においてコンベア100上に配置された担体10が被覆される得る様子が概略的に示されている。吐出ステーション52において、剥離層16の硬化可能組成物36が担体接触表面12に塗布される。担体10が矢印の方向に駆動されるにつれて、硬化可能組成物36は、例えばドクターブレードを使用することにより、レベリングステーション54において所望の厚さに均一化される。均一化された層が下流方向に進行するにつれて、当該層は硬化ステーション56に進入する。硬化ステーション56は、硬化可能組成物36を少なくとも部分的に硬化させ、それにより初期層16が硬化ステーションの出口側で形成されることが可能となるよう、構成されている。係る代表的ステップについては、図7A及び7Bに関連してすでに説明した。
【0252】
図9C及び9Dでは、追加的な層(基部を形成する)が塗布される様子が概略的に示されている。図9Cでは、硬化可能組成物38が吐出ステーション52(図9Bで示す剥離層16で担体を被覆するために使用されたステーションと同一であってもよく異なってもよい)において吐出される。硬化可能組成物38はレベリングステーション54において所望の厚さに均一化され、次に硬化ステーション56に入り、後続のステップなどのための初期層18として機能するよう十分に硬化された状態で、硬化ステーション56から出る。係る代表的ステップについては、図7Cに関連してすでに説明した。ここで図9Cを参照すると、図9Cでは、硬化可能組成物39が吐出ステーション52において塗布される様子が概略的に示されている。支持層(例えば織地)の基幹は吐出ローラー58により供給され得る。代表的な織地は、硬化ステーション56に進入する前に、ステーション60において硬化可能組成物の下方に沈み込み得る。そのようにして、支持層20が硬化ステーションの出口側において形成され得る。
【0253】
図8A及び8Bでは、欠陥が、上記の方法にしたがって準備された外側層80(例えば剥離層)の断面に現れる様子が概略的に示されている。図8Aでは、気泡が排除され(例えばガス抜きにより)得る前に硬化が生じた場合に、あらゆる硬化可能組成物に捕捉され得る気泡に関連する、異なる現象が示されている。図面において見られるように、泡沫82は製造の間、本体800の上方で、矢印で示される流動方向に空気界面に向かって層80の方向に流動する。したがってこれらの泡沫82は合併して、より大きい気泡になり得る。気泡は、そのサイズの大小に関わらず、層のバルク内に、またはその表面上に、捕捉された状態に留まり得る。気泡エンベロープの上方部分は突起84を形成する。層の硬化が進行中に表面に隣接する気泡が破裂すると、表面から突出する気泡エンベロープの区域が消失したとしても、クレータ86は残存し得る。これらの現象は、したがって典型的には、気泡の「勾配」を提供する。上方区域は、全般的に、下方区域と比較してより大きい気泡で占められ、及び/または、断面積または堆積あたり、より高い密度の気泡を有する。なお、下方及び上方は、その製造時における層の方向に関するものである。気泡に誘導される欠陥が表面に与える影響は自明であり、表面の不均質性は通常、例えばインク画像に対する、あらゆる後続の相互作用に対して悪影響を及ぼす。係るITMが通常、張力下及び/または圧力下で動作する状況下では、時間とともに、クレータは拡がり、合併して、より顕著な亀裂が形成される。したがって、係る現象は、表面の構造的完全性及び係る完全性がITMに付与したであろう任意の機械的特性に影響を及ぼし得る。
【0254】
図8Bでは、粉塵などの固体汚染物質に関する異なる現象が概略的に示されている。本例示説明では、粉塵が気泡に追加されるものとして表現されているが、このことは必ずしも真であるとは限らず、係る表面欠陥または層欠陥は独立的に発生することが可能である。図面において見られるように、固体汚染物質は表面上に留まり得る。外側層80が硬化された後に汚染物質が定着するならば、係る汚染物質92は、外側層を好適に洗浄するのみで、除去され得る。それでも、使用可能となる前に係るITMの追加的洗浄が必要となり得るため、係る現象は望ましくない。層がまだ未硬化状態にあるとき係る汚染物質が発生する場合、汚染物質は、層80の表面上に捕捉される(例えば、「浮かんで」いるように見受けられる汚染物質94)か、または、剥離層内に沈下していることさえ可能である(例えば汚染物質96)。容易に理解可能であるように、より大きい/より重い汚染物質は、小さい汚染物質よりも、より深く沈下し得る。
【0255】
本明細書で開示の方法は、層の一方の側部が担体接触表面に接触する状態で流体第1硬化可能物質の層を形成することを含む。なおこの層は初期剥離層を構成する。担体接触表面は、初期剥離層を保護する機能を有する。それにより、インク転写層に所望の特性が与えられる一方で、担体は、ITMが完成するまで他の層がその上に追加されてITMが形成される物理的に堅牢な支持構造体として機能する。その結果として、欠陥の多数の潜在的原因が回避される。さらに、インク転写表面の仕上げは、主に、排他的ではないとしても、担体接触表面により決定される。
【0256】
図8Cでは、本方法にしたがって準備された外側層16(例えば剥離層)を通る断面が概略的に示されている。以前の図面と比較するために、この断面は、担体を示すことなく、図8A及び図8Bと同一の方向で示されているが、製造は矢印により示されるように逆方向に実行されている。基部200(後に詳述する)は、第1外側層16が少なくとも部分的に硬化された後、第1外側層16に取り付けられ、したがって、製造過程の間にすでに支持体として機能する本体800とは等価でない。単に例示目的のために、層16は、多数の気泡82を含むものとして表現されているが、これは必ずしも真実ではない。しかし、存在するならば、係る気泡は、以前に記述した気泡のパターンよりも、特異的パターンを示すであろう。第1に、層16のここでは最上方となっているインク転写表面14は、以前は担体と接触していたため、突起は観察されず、したがって剥離層は、表面から突出する気泡84により以前に示されたような現象が存在しない。同様に、キャビティ86として以前示されたクレータはほとんど存在しない。なぜなら、係るクレータは、相性の悪い硬化可能な層及び担体の使用を意味するためである。本方法によれば、外側層を形成する硬化可能物質は好適に担体を湿潤させ、担体と、担体上に形成される初期層と、の間に捕捉され得る気泡が実質的にはまったくないと考えられる。したがって、たとえ存在したとしても、係る気泡は層のバルク内に配置されるであろう。しかし、製造が従来の方法と比較して反転方向で行われるため、気泡の勾配は、同一の理由のために、反転されるであろう。したがって、図8Cに示されるように、小さい気泡は、より大きい気泡よりも外側表面により近接し、より大きい気泡は基部により近接するであろう。
【0257】
付加硬化型調合物から生産された本開示の上記剥離層構造は、ポリマーマトリックス内に共有結合した官能基を、実質的にまったく含まないか、またはごく小数(ごく少数のOH基)しか含み得ない。係る官能基は、例えばC=O、S=O、及びOHなどの部分を含み得る。
【0258】
これらの剥離層構造は、最大でも、ごく少数しか係る官能基を含まないため、その剥離層が高い疎水性を示すであろうことは期待されるであろう。本方法により生産された剥離層表面は実際にいくらか親水性を示し、対応する剥離層(すなわち、同一の組成を有するが、剥離層が空気に曝露される従来の硬化技術(「標準的空気硬化」)を使用して製造された剥離層)よりも明らかにより大きい親水性を示す。担体接触表面と初期剥離層表面との間の緊密な接触により、担体接触表面のいくらかの親水特性が剥離層表面に導入されると考えられる。
【0259】
上述のように、低い表面エネルギーを有するITM剥離層は、乾燥インク画像を印刷基材に転写することを容易にし得る。しかし、インク受容段階の間、係る低エネルギーの疎水性剥離層に吐出された水性インク液滴は、初期衝突の後、ビーズ状に凝集し、それにより画像品質が損なわれる傾向がある。エネルギーが高く、より疎水性が低い剥離層は、この効果を緩和し得るが、画像転写品質に対して有害であり得る。本明細書で開示される剥離層構造が通常は、蒸留水に対する最大80°、または最大70°、典型的には最大60°、または最大50°、及びより典型的に30°~60°、35°~60°、30°~55°、30°~50°、30°~45°、または35°~50°の後退接触角により表される特性的に中程度の疎水性の剥離表面を有し得ることを見出した。しかしながら、乾燥、加熱されたインク画像のインク受容及びインク転写の両方が良好な品質であり得ることを見出した。
【0260】
より高い親水性を有する(蒸留水滴に対する接触角がより低い)担体表面を用いることにより、及び/または、コロナ(または同様の)処理により、さらに低い値の後退接触角(及び以下で論じられる動的接触角)が達成され得ることが強調されなければならない。
【0261】
上述の誘導された表面特性が、剥離層表面上の極性基(例えばO-Si-O)と、剥離層表面上に堆積された水性液体(例えば水性インクジェットインク)における対応する極性部分(例えば水の中のOH基)と、の間の相互作用を改善するものと考えられる。引き続き、インクを乾燥させ、インク薄膜を転写温度に加熱した後、これらの相互作用は弱められ、乾燥された、または実質的に乾燥されたインク画像の完全な転写が可能となる。したがって、本発明の独創的な剥離層構造の性能は、インク受容段階及びインク薄膜転写段階の両方において、中程度の疎水性を有するが、担体接触表面により誘導される特別な表面構造及び特性を有さない剥離層に期待されるよりも、明らかに良好である。
【0262】
バインダー
バインダーは、乾燥した第1のインク成分、及び両方のインク成分を含有する乾燥インク画像の、ITMの剥離層からの転写性に重要な役割を果たす。バインダーはまた、乾燥インク画像の印刷基材への付着に重要な役割を果たす。
【0263】
様々な系列のバインダーを本発明の第1のインク調合物中で利用することができ、それには、ポリスチレン-アクリレートコポリマー、ポリ-アクリレートポリマー、ポリウレタン(例えば、脂肪族ポリウレタンまたはアニオン性脂肪族ポリウレタン)、ウレタン-アクリレートコポリマー、及びポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート)が含まれる。
【0264】
例示的なスチレン-アクリル(またはポリスチレン-アクリレート)コポリマーとして、Joncryl(登録商標)77E(Tg=35℃)、Joncryl(登録商標)586(Tg=66℃)、Joncryl(登録商標)90(Tg=110℃)、Joncryl(登録商標)8085(Tg=57℃)、及びJoncryl(登録商標)ECO 2177(Tg=21℃)が挙げられる。
【0265】
例示的なポリウレタンとして、DSM-PUD製のアニオン性脂肪族ポリウレタンであるNeoRez(登録商標)R-563が挙げられる。
【0266】
例示的なウレタンとして、DSM-PUD製の脂肪族ウレタン分散液であるNeoRez(登録商標)R-600が挙げられる。
【0267】
例示的なアクリル系またはポリアクリル系バインダーとして、アクリル系ポリマーエマルジョンであるJoncryl(登録商標)538(Tg=64℃)が挙げられる。
【0268】
例示的なポリエステルとして、Plascoat Z-105(Tg52℃)、Plascoat Z-730(Tg46℃)、及びPlascoat Z-750(Tg52℃)(すべてGOO Chemicals製)が挙げられる。
【0269】
バインダーは、分散液またはエマルジョンなどの様々な形態で提供することができ、典型的には水が主要な担体液体である。
【0270】
剥離層から印刷基材に完全に転写されるのに十分な粘着性(tacky)(及び粘着性(cohesive))であるように、処理転写温度でバインダーが十分に軟質である必要がある。さらに、バインダーは、転写特性の乏しい成分(例えば、乾燥した第2のインク成分)が含有されている可能性がある乾燥したインク画像(すなわち、乾燥した第2のインク成分を含む)の転写を促進しなければならない。結果として、バインダーのガラス転移温度は、典型的に最大100℃または最大90℃、より典型的には最大85℃、最大80℃、最大75℃、または最大70℃である。
【0271】
強調すべき点として、インク調合物には、バインダーのガラス転移温度を低下させるのに役立つ場合がある少なくとも1種の可塑剤を含有していてもよい。場合によっては、ガラス転移温度が比較的低い可塑性バインダーを第1のインク成分に導入してもよい。この可塑性バインダーは、乾燥した第1のインク成分のガラス転移温度(及び所要転写温度)、及び/または乾燥したインク画像のガラス転移温度(及び所要転写温度)を下げるのに役立つ場合がある。
【0272】
第1のインク成分調合物を吐出(典型的にはデジタルに塗布)する場合、バインダー濃度(バインダー固形物を基準とする)は、重量基準で調合物の5%~28%の範囲内であってよい。ただし、第1のインク成分調合物を連続層として塗布する場合、このバインダー濃度は5%~55%であってよい。
【0273】
したがって、第1のインク成分調合物に、可塑剤、界面活性剤などを含む他の不揮発性含有物が存在する場合、この調合物の不揮発物の総濃度は、吐出調合物の場合には8%~35%、及び塗布調合物の場合には8%~65%であり得る。
【0274】
可塑剤
可塑剤を添加して物質の可塑性を高めると、乾燥薄膜を印刷基材に転写できる所要温度を下げることができる。
【0275】
可塑剤の系列には、尿素誘導体及びソルビタン誘導体が含まれる。そのようなソルビタン誘導体には、ソルビタンエステル(SPAN20、SPAN40、SPAN60、及びSPAN80など)及びポリエトキシル化ソルビタンエステル(例えば、TWEEN20、TWEEN40、TWEEN60、及びTWEEN80などのポリエトキシル化ソルビタンモノエステル)などの誘導体が含まれてもよく、これらは特に適し得る。ポリエトキシル化ソルビタンモノエステルの構造は、以下を示し:
【化1】
式中、Rは脂肪酸のアルキル基であり、エチレンオキシドの総モル数はv+x+yである。この系列内の典型的な可塑剤として、ポリエトキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリエトキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリエトキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエトキシエチレンソルビタントリステアレート、及びポリエトキシエチレンソルビタンモノオレエートが挙げられる。可塑剤はまた、非イオン性界面活性剤としても機能することができる。
【0276】
いくつかの実施形態では、可塑剤のHLB数は、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、または少なくとも10であり得る(例として、ポリエトキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエートのHLB数は15.0である)。エチレンオキシド単位の数を増加または減少させることによりポリエトキシル化ソルビタンモノエステル分子のHLB数を調整することで、親水性(及び概して相対的にHLB数)を(それぞれ)増加または減少させることができる。
【0277】
本発明の吐出調合物は、少なくとも1重量%、少なくとも2重量%、少なくとも3重量%、または少なくとも4重量%、より典型的には1重量%~7重量%、1.5重量%~7重量%、2重量%~7重量%、2.5重量%~7重量%、3重量%~7重量%、1.5重量%~6重量%、2重量%~6重量%、2.5重量%~6重量%、3重量%~6重量%、または2.5重量%~5.5重量%の範囲内のそのような界面活性剤を含有し得る。
【0278】
界面活性剤
界面活性剤を利用すると、調合物の表面張力を低下させること、及び/または例えば剥離層を用いて湿潤特性を改善することができる。
【0279】
アニオン性界面活性剤(例えばSDS)を含む様々な種類の界面活性剤が好適であり得る。本発明のシリコーン系剥離層と組み合わせた使用に特に適した界面活性剤として、非イオン性界面活性剤が挙げられる。これには、シロキサン、及びポリエーテルシロキサンコポリマーなどのシロキサンコポリマーが含まれ得る。そのような界面活性剤は、例えば、Tego(登録商標)Wet 240、Tego(登録商標)Wet 280、Tego(登録商標)Twin 4100、Byk(登録商標)348、Byk(登録商標)349、Byk(登録商標)3455として市販されている。
【0280】
本発明の吐出調合物は、少なくとも1重量%、少なくとも2重量%、少なくとも3重量%、または少なくとも4重量%、より典型的には1重量%~5重量%、1.5重量%~5重量%、2重量%~5重量%、2.5重量%~5重量%、3重量%~5重量%、1.5重量%~4.5重量%、2重量%~4.5重量%、2.5重量%~4.5重量%、3重量%~4.5重量%、または2.5重量%~4重量%の範囲内のそのような界面活性剤を含有し得る。
【0281】
本発明の塗布調合物は、吐出調合物と同量のそのような界面活性剤を含有し得る。ただし、塗布調合物がそのような界面活性剤を含まなくてもよい。より典型的には、塗布調合物は、0%~2%、0.1%~2%、または0.3%~1.5%のそのような界面活性剤を含み得る。
【0282】
表面エネルギー調整剤
表面エネルギー調整剤を使用すると、調合物の表面エネルギーを低減することができる。これは、湿潤性、例えば剥離層表面の湿潤性を高めることができる。
【0283】
そのような表面エネルギー調整剤の系列には、ポリシロキサン-ポリオキシアルキレンコポリマーなどのシリコーン系界面活性剤が含まれる。そのような表面エネルギー調整剤は、例えば、Byk(登録商標)307、Byk(登録商標)333、及びByk(登録商標)378として市販されている。
【0284】
pH調整剤
pH調整剤を使用すると、酸性度を上下して望ましい範囲内にすることができる。典型的には、pH調整剤は塩基性であり、アミン官能基を含み得る。具体的な例として、アンモニア、トリエタノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール(AMP 95(登録商標)として市販)、及びジメチルエチルアミンが挙げられる。
【0285】
湿潤剤
湿潤剤は調合物が乾燥する傾向を低減でき、ノズルの詰まりの低減及び他の不利な現象の軽減を可能にする。湿潤剤の系列には、例としてアルコール、ポリオール、及びグリコールが含まれる。
【0286】
第1及び第2のインク成分中の1種の湿潤剤または複数種の湿潤剤の濃度は、吐出調合物の場合には典型的に5%~50%の範囲内であってよく、塗布調合物の場合には典型的に0%~25%の範囲内であってよい。
【0287】
追加考察
発明概念1.中間転写部材(ITM)を使用して印刷基材にデジタル画像を印刷する方法であって、
a.
i.第1の水性インク成分であって、前記第1の水性インク成分は場合により透明である、前記第1の水性インク成分と、
ii.着色剤粒子を含む第2の水性インク成分と、を提供することと、
b.ある量の前記第1のインク成分を前記ITMの標的表面に送達し、湿潤体積の前記第1のインク成分で前記標的表面の一部を覆うことと、
c.前記湿潤体積の部分乾燥のみを行い、前記ITM上に前記第1のインク成分の部分乾燥層を生成することと、
d.湿潤カラーインク画像を前記ITMに形成するように、前記第2のインク成分の液滴を前記第1の成分の前記部分乾燥層にデジタルに堆積することであって、前記第1のインク成分の前記部分乾燥層が十分に湿潤性かつ浸透性であり、前記第2のインク成分の前記着色剤粒子の一部またはすべてが、前記第1のインク成分の前記部分乾燥層に浸透する、前記堆積することと、
e.前記湿潤カラーインク画像を少なくとも部分乾燥させることと、
f.前記少なくとも部分乾燥したインク画像を、前記ITMから印刷基材に転写することと、を含む、前記方法。
【0288】
発明概念2.ステップ(f)において、前記ITMからの転写時に、前記少なくとも部分乾燥したインク画像が粘着性である、請求項1に記載の方法。
【0289】
発明概念3.ステップ(e)の前記乾燥を加熱により少なくとも部分的に実行する、及び/または前記少なくとも部分乾燥したインク画像を前記転写前に前記ITM上で加熱する、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0290】
発明概念4.(i)前記少なくとも部分的な乾燥を実行して、乾燥した粘着性のインク画像保持残膜を生成し、かつ(ii)前記乾燥した粘着性のインク画像保持残膜を、ステップ(f)で前記ITMから前記印刷基材に転写する、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0291】
発明概念5.中間転写部材(ITM)を使用して印刷基材にデジタル画像を印刷する方法であって、
a.
i.第1の水性インク成分であって、前記第1の水性インク成分は場合により透明である、前記第1の水性インク成分と、
ii.着色剤粒子を含む第2の水性インク成分と、を提供することと、
b.ある量の前記第1のインク成分を前記ITMの標的表面に送達し、湿潤体積の前記第1のインク成分で前記標的表面の一部を覆うことと、
c.前記湿潤体積の部分乾燥のみを行い、前記ITM上に前記第1のインク成分の部分乾燥層を生成することと、
d.湿潤カラーインク画像を前記ITMに形成するように、前記第2のインク成分の液滴を前記第1の成分の前記部分乾燥層にデジタルに堆積することであって、前記第1のインク成分の前記部分乾燥層が十分に湿潤性かつ浸透性であり、前記第2のインク成分の前記着色剤粒子の一部またはすべてが、前記第1のインク成分の前記部分乾燥層に浸透する、前記堆積することと、
e.前記湿潤カラーインク画像を少なくとも部分乾燥及び加熱して、乾燥した粘着性のインク画像保持残膜を転写温度T転写で生成することと、
f.前記転写温度T転写である前記乾燥した粘着性のインク画像保持残膜を前記ITMから印刷基材に転写を行い、前記印刷基材に前記デジタル画像を生成することと、を含む前記方法。
【0292】
発明概念6.ステップ(a)において提供される前記第1の水性インク成分が透明である、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0293】
発明概念7.ステップ(b)において、前記第1のインク成分が液滴堆積よって、任意選択でインクジェットによって前記ITM表面に送達される、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0294】
発明概念8.前記第2のインク成分の前記液滴の前記デジタル堆積によって後に形成される前記インク画像のパターンに従って、前記第1のインク成分が液滴堆積によって前記ITM表面に送達される、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0295】
発明概念9.ステップ(b)において、前記第2の成分がインクジェットによって送達される、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0296】
発明概念10.前記第2のインク成分のインクジェット時、及び吐出条件下で、前記第2の水性インク成分が再溶解性インク成分である、発明概念8に記載の方法。
【0297】
発明概念11.前記第2のインク成分の前記液滴と前記第1のインク成分の前記層との間の衝突前の、前記第1のインク成分の前記層の液体含有量が、少なくとも10重量/重量%または少なくとも20重量/重量%または少なくとも30重量/重量%または少なくとも40重量/重量%である、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0298】
発明概念12.前記第2のインク成分の前記液滴と前記第1のインク成分の前記層との間の衝突直前の、前記第1のインク成分の前記層の液体含有量が、少なくとも10重量/重量%または少なくとも20重量/重量%または少なくとも30重量/重量%または少なくとも40重量/重量%である、発明概念1~10のいずれか1つに記載の方法。
【0299】
発明概念13.前記第1のインク成分の前記層の前記液体含有量が、少なくとも20重量/重量%である、発明概念11~12のいずれか1つに記載の方法。
【0300】
発明概念14.前記第1のインク成分の前記層の前記液体含有量が、少なくとも30重量/重量%である、発明概念11~12のいずれか1つに記載の方法。
【0301】
発明概念15.前記第1のインク成分の前記層の前記液体含有量が、少なくとも40重量/重量%である、発明概念11~12のいずれか1つに記載の方法。
【0302】
発明概念16.前記第2のインク成分の前記液滴と前記第1のインク成分の前記層との間の衝突時に、前記第2のインク成分の前記着色剤粒子の一部またはすべてが、前記第1のインク成分の前記部分乾燥層に浸透する、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0303】
発明概念17.前記第2のインク成分の前記着色剤粒子の少なくともpP%が、前記第1のインク成分の前記部分乾燥層に浸透して混合され、かつpPが少なくとも値10を有する正数である、発明概念16に記載の方法。
【0304】
発明概念18.前記第2のインク成分の液滴が堆積される場合、前記着色剤粒子の少なくともpP%が、前記第1のインク成分の前記部分乾燥層に浸透して混合され、かつpPが少なくとも値10を有する正数である、発明概念15に記載の方法。
【0305】
発明概念19.pPの値が少なくとも20である、発明概念17~18のいずれか1つに記載の方法。
【0306】
発明概念20.pPの値が少なくとも30である、発明概念17~18のいずれか1つに記載の方法。
【0307】
発明概念21.pPの値が少なくとも50である、発明概念17~18のいずれか1つに記載の方法。
【0308】
発明概念22.pPの値が少なくとも70である、発明概念17~18のいずれか1つに記載の方法。
【0309】
発明概念23.pPの値が少なくとも80である、発明概念17~18のいずれか1つに記載の方法。
【0310】
発明概念24.前記ITMからの転写時に、前記少なくとも部分乾燥したインク画像の温度がT転写である、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0311】
発明概念25.
A.前記第2のインク成分の乾燥薄膜ガラス転移温度T 乾燥薄膜([第2の成分])が、前記転写温度T転写を少なくともX℃上回り、ただしXが第1の正数であり、かつ
B.前記第1のインク成分と前記第2のインク成分との重量比が5:1である乾燥薄膜のガラス転移温度T 乾燥薄膜([第2の成分:第1の成分が5:1])が、前記転写温度T転写よりも少なくともY℃低く、ただしYが第2の正数である、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0312】
発明概念26.
A.前記第2のインク成分の乾燥薄膜ガラス転移温度T 乾燥薄膜([第2の成分])が、前記転写温度T転写を少なくともX℃上回り、ただしXが第1の正数であり、かつ
B.前記第1のインク成分の乾燥薄膜ガラス転移温度T 乾燥薄膜([第1の成分])が、前記転写温度T転写よりも少なくともY℃低く、ただしYが第2の正数である、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0313】
発明概念27.Xの値が少なくとも5または少なくとも10または少なくとも15または少なくとも20または少なくとも30または少なくとも40である、発明概念25~26のいずれか1つに記載の方法。
【0314】
発明概念28.Yの値が少なくとも5または少なくとも10または少なくとも15または少なくとも20または少なくとも30または少なくとも40である、発明概念25~26のいずれか1つに記載の方法。
【0315】
発明概念29.Xの値が少なくとも5である、発明概念25~26のいずれか1つに記載の方法。
【0316】
発明概念30.Xの値が少なくとも10である、発明概念25~26のいずれか1つに記載の方法。
【0317】
発明概念31.Xの値が少なくとも15である、発明概念25~26のいずれか1つに記載の方法。
【0318】
発明概念32.Xの値が少なくとも20である、発明概念25~26のいずれか1つに記載の方法。
【0319】
発明概念33.Xの値が少なくとも30である、発明概念25~26のいずれか1つに記載の方法。
【0320】
発明概念34.Xの値が少なくとも40である、発明概念25~26のいずれか1つに記載の方法。
【0321】
発明概念35.Yの値が少なくとも5である、発明概念25~26または29~34のいずれか1つに記載の方法。
【0322】
発明概念36.Yの値が少なくとも10である、発明概念25~26または29~34のいずれか1つに記載の方法。
【0323】
発明概念37.Yの値が少なくとも15である、発明概念25~26または29~34のいずれか1つに記載の方法。
【0324】
発明概念38.Yの値が少なくとも20である、発明概念25~26または29~34のいずれか1つに記載の方法。
【0325】
発明概念39.Yの値が少なくとも30である、発明概念25~26または29~34のいずれか1つに記載の方法。
【0326】
発明概念40.Yの値が少なくとも40である、発明概念25~26または29~34のいずれか1つに記載の方法。
【0327】
発明概念41.
A.前記転写温度T転写での前記第2の水性インク成分の乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第2の成分]、T転写)と、
B.前記転写温度T転写での、前記第1の成分と前記第2の成分との重量比が5:1の乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第2の成分:第1の成分が5:1]、T転写)との比が、少なくとも正数Vであり、Vの値が少なくとも2.5または少なくとも3または少なくとも4または少なくとも5または少なくとも7または少なくとも10または少なくとも15または少なくとも25または少なくとも50である、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0328】
発明概念42.Vの値が少なくとも3である、発明概念41に記載の方法。
【0329】
発明概念43.Vの値が少なくとも4である、発明概念41に記載の方法。
【0330】
発明概念44.Vの値が少なくとも5である、発明概念41に記載の方法。
【0331】
発明概念45.Vの値が少なくとも7である、発明概念41に記載の方法。
【0332】
発明概念46.Vの値が少なくとも10である、発明概念41に記載の方法。
【0333】
発明概念47.Vの値が少なくとも15である、発明概念41に記載の方法。
【0334】
発明概念48.Vの値が少なくとも25である、発明概念41に記載の方法。
【0335】
発明概念49.Vの値が少なくとも50である、発明概念41に記載の方法。
【0336】
発明概念50.
A.前記転写温度T転写での前記第2の水性インク成分の乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第2の成分]、T転写)と、
B.前記転写温度T転写での前記第1の水性インク成分の乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第1の成分]、T転写)との比が、
少なくとも正数Wであり、Wの値が2.5または少なくとも3または少なくとも4または少なくとも5または少なくとも7または少なくとも10または少なくとも15または少なくとも25または少なくとも50である、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0337】
発明概念51.Wの値が少なくとも3である、発明概念50に記載の方法。
【0338】
発明概念52.Wの値が少なくとも4である、発明概念50に記載の方法。
【0339】
発明概念53.Wの値が少なくとも5である、発明概念50に記載の方法。
【0340】
発明概念54.Wの値が少なくとも7である、発明概念50に記載の方法。
【0341】
発明概念55.Wの値が少なくとも10である、発明概念50に記載の方法。
【0342】
発明概念56.Wの値が少なくとも15である、発明概念50に記載の方法。
【0343】
発明概念57.Wの値が少なくとも25である、発明概念50に記載の方法。
【0344】
発明概念58.Wの値が少なくとも50である、請求項50に記載の方法。
【0345】
発明概念59.前記ITM表面上に前記第1の水性インク成分のゲル相またはゼラチン相を形成することなく実行される、いずれかの先行請求項に記載の方法。
【0346】
発明概念60.提供される第1の水性インク成分が、(i)40重量/重量%~70重量/重量%の水を含み、(ii)さらに少なくとも10重量/重量%のバインダーを含む、いずれかの先行請求項に記載の方法。
【0347】
発明概念61.前記ITM標的表面の(25℃での)表面エネルギーが、少なくとも20ダイン/cmまたは少なくとも21ダイン/cmまたは少なくとも22ダイン/cmまたは少なくとも23ダイン/cmである、いずれかの先行請求項に記載の方法。
【0348】
発明概念62.前記ITMがシリコーン系剥離層表面を含む、いずれかの先行請求項に記載の方法。
【0349】
発明概念63.前記シリコーン系剥離層表面が、以下の特性、すなわち、(i)前記シリコーン系剥離層表面上に堆積された蒸留水滴の後退接触角が最大60°であること、及び(ii)前記シリコーン系剥離層表面上に堆積された蒸留水滴の10秒動的接触角(DCA)が最大108°であることのうちの少なくとも1つを満たす十分な親水性である、発明概念62に記載の方法。
【0350】
発明概念64.前記10秒DCAが、最大108°、最大106°、最大103°、最大100°、最大96°、最大92°、または最大88°、任意選択で少なくとも60°、少なくとも65°、少なくとも70°、少なくとも75°、少なくとも78°、少なくとも80°、少なくとも82°、少なくとも84°、または少なくとも86°、さらには任意選択で60~108°、65~105°、70~105°、70~100°、70~96°、70~92°、75~105°、75~100°、80~105°、80~100°、85~105°、または85~100°の範囲内である、発明概念63のいずれかに記載の方法。
【0351】
発明概念65.前記シリコーン系剥離層表面が十分に親水性であり、前記シリコーン系剥離層表面に堆積した蒸留水滴の後退接触角が最大60°である、発明概念63~64のいずれか1つに記載の方法。
【0352】
発明概念66.前記シリコーン系剥離層表面が十分に親水性であり、前記シリコーン系剥離層表面に堆積した蒸留水滴の10秒動的接触角(DCA)が最大108°である、発明概念63~65のいずれか1つに記載の方法。
【0353】
発明概念67.前記提供されるITMが、支持層と、前記シリコーン系剥離層表面、及び(i)前記シリコーン系剥離層表面に対向し、かつ(ii)前記支持層に付着される第2の表面を有する剥離層とを含み、前記剥離層は付加硬化型シリコーン物質で形成され、前記剥離層の厚さは最大500マイクロメートル(μm)である、発明概念63~66のいずれか1つに記載の方法。
【0354】
発明概念68.前記付加硬化型シリコーン物質が付加硬化型シリコーンから本質的に構成されるか、または少なくとも95重量%の前記付加硬化型シリコーンを含有するという構造特性を、前記提供されるITMの前記剥離層が有する、発明概念67に記載の方法。
【0355】
発明概念69.前記提供されるITMの前記シリコーン系剥離層表面内の官能基が、前記付加硬化型シリコーン物質の最大3重量%を占める、発明概念67~68のいずれか1つに記載の方法。
【0356】
発明概念70.ポリエーテルグリコール官能化ポリジメチルシロキサンが、前記提供されるITMの前記付加硬化型シリコーン物質に充填される、発明概念67~69のいずれか1つに記載の方法。
【0357】
発明概念71.前記提供されるITMの前記剥離層が、インク受容表面の極性基が前記第2の表面から離れた方向または反対の方向を有するように適合される、発明概念67~70のいずれか1つに記載の方法。
【0358】
発明概念72.前記提供されるITMの前記シリコーン系剥離層の表面疎水性が、前記剥離層内の前記硬化型シリコーン物質のバルク疎水性よりも小さく、前記表面疎水性が前記インク受容表面上の蒸留水液滴の後退接触角により特徴付けられ、前記バルク疎水性が、前記剥離層内の前記硬化型シリコーン物質の領域を曝露させ、曝露領域を形成することにより形成された内側表面上に配置される蒸留水液滴の後退接触角により特徴付けられる、発明概念63~71のいずれか1つに記載の方法。
【0359】
発明概念73.ステップb~fの実行前に、コロナ処理、プラズマ処理、及びオゾン処理のうちの少なくとも1つを用いて前記シリコーン系剥離表面を前処理することにより前記シリコーン系剥離表面の疎水性を低下させることをさらに含む、発明概念63~72のいずれかに記載の方法。
【0360】
発明概念74.前記提供される第1の水性インク成分が、少なくとも35重量/重量%の水または少なくとも40重量/重量%の水または少なくとも50重量/重量%の水または少なくとも55重量/重量%の水を含む、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0361】
発明概念75.前記提供される第1の水性インク成分が、最大75重量/重量%の水または最大70重量/重量%の水または最大65重量/重量%の水を含む、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0362】
発明概念76.前記提供される第1の水性インク成分が、35重量/重量%~75重量/重量%の水、または40重量/重量%~75重量/重量%の水、または40重量/重量%~70重量/重量%の水を含む、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0363】
発明概念77.前記提供される第1の水性インク成分の60℃蒸発負荷が、最大10:1、最大9:1、最大8:1、最大7:1、最大6:1、最大5:1、最大4:1、最大3.5:1、または最大3:1である、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0364】
発明概念78.前記提供される第1の水性インク成分の60℃蒸発負荷が、少なくとも2:1、少なくとも2.2:1、または少なくとも2.5:1である、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0365】
発明概念79.前記提供される第1の水性インク成分の60℃蒸発負荷が、2:1~10:1、または2:1~8:1である、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0366】
発明概念80.前記提供される第1の水性インク成分の60℃蒸発負荷が、2:1~9:1である、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0367】
発明概念81.前記提供される第1の水性インク成分の60℃蒸発負荷が、2:1~8:1である、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0368】
発明概念82.前記提供される第1の水性インク成分の60℃蒸発負荷が、2.5:1~7:1である、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0369】
発明概念83.前記提供される第1の水性インク成分の60℃蒸発負荷が、2.5:1~5:1である、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0370】
発明概念84.前記提供される第1の水性インク成分の60℃蒸発負荷が、2.5:1~4:1である、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0371】
発明概念85.前記提供される第1の水性インク成分の60℃蒸発負荷が、2.5:1~3.5:1である、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0372】
発明概念86.60℃蒸発負荷が、2.8:1~4:1である、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0373】
発明概念87.前記提供される第1の水性インク成分の60℃蒸発負荷が、2.8:1~3.5:1である、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0374】
発明概念88.前記提供される第1の水性インク成分が、少なくとも6重量/重量%または少なくとも7重量/重量%または少なくとも8重量/重量%または少なくとも9重量/重量%または少なくとも10重量/重量%または少なくとも11重量/重量%または少なくとも12重量/重量%のバインダーを含む、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0375】
発明概念89.前記提供される第1の水性インク成分の25℃静的表面張力が、最大32ダイン/cm、最大30ダイン/cmまたは最大28ダイン/cm、及び任意選択で少なくとも20ダイン/cm、少なくとも22ダイン/cm、または少なくとも23ダイン/cm、さらに場合により20~33ダイン/cm、21~31ダイン/cm、21~30ダイン/cm、21~28ダイン/cm、21~27ダイン/cm、または21~26ダイン/cmの範囲内である、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0376】
発明概念90.前記提供される第1の水性インク成分が、第4級アンモニウム塩を含まないか、あるいは最大1重量/重量%もしくは最大0.75重量/重量%もしくは最大0.5重量/重量%もしくは最大0.25%の第4級アンモニウム塩、またはそれらの中和等価物を含む、いずれかの先行発明概念の方法。
【0377】
発明概念91.前記提供される第1の水性インク成分の動的粘度が、最大100mPa・s(ミリパスカル秒)または最大80mPa・sである、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0378】
発明概念92.前記提供される第1の水性インク成分の動的粘度が、最大35mPa・s、最大30mPa・s、最大25mPa・s、最大20mPa・s、または最大15mPa・sである、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0379】
発明概念93.前記提供される第1の水性インク成分の動的粘度が、少なくとも3mPa・s、少なくとも4mPa・s、少なくとも5mPa・s、または少なくとも6mPa・sである、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0380】
発明概念94.前記提供される第1の水性インク成分が、有機溶媒を含まない、及び/または最大3重量%、最大2重量%、最大1重量%、もしくは最大0.5重量%、もしくは最大0.25重量%、もしくは最大0.1重量%の有機溶媒を含む、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0381】
発明概念95.前記提供される第1の水性インク成分が、グリセロールを含まない、及び/または最大3重量%、最大2重量%、最大1重量%、もしくは最大0.5重量%、もしくは最大0.25重量%、もしくは最大0.1重量%のグリセロールを含む、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0382】
発明概念96.前記提供される第1の水性インク成分が、キレート剤を含まない、及び/または最大3重量%、最大2重量%、最大1重量%、もしくは最大0.5重量%、もしくは最大0.25重量%、もしくは最大0.1重量%のキレート剤を含む、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0383】
発明概念97.前記提供される第1の水性インク成分が、デンプンを含まない、及び/または最大3重量%、最大2重量%、最大1重量%、もしくは最大0.5重量%、もしくは最大0.25重量%、もしくは最大0.1重量%のデンプンを含む、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0384】
発明概念98.前記提供される第1の水性インク成分が、水溶性薄膜形成ポリマーを含まない、及び/または最大3重量%、最大2重量%、最大1重量%、もしくは最大0.5重量%、及びより典型的には最大0.25重量%もしくは最大0.1重量%の水溶性薄膜形成ポリマーを含む、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0385】
発明概念99.前記提供される第1のインク成分の乾燥薄膜ガラス転移温度T 乾燥薄膜([第1の成分])が、最大115℃、または最大110℃、最大105℃、または最大100℃、または最大95℃、または最大90℃、または最大85℃、または最大80℃、または最大75℃、または最大70℃、または最大65℃、または最大60℃、または最大65℃である、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0386】
発明概念100.前記提供される第1のインク成分の乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第1の成分]、115℃)が、最大1*10mPa・sまたは最大8*10mPa・sまたは最大6*10mPa・sまたは最大4*10mPa・sである、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0387】
発明概念101.前記提供される第1のインク成分の乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第1の成分]、110℃)が、最大1*10mPa・s、または最大8*10mPa・s、または最大6*10mPa・s、または最大5*10mPa・s、または最大4*10mPa・sである、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0388】
発明概念102.前記提供される第1のインク成分の乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第1の成分]、105℃)が、最大2*10mPa・s、最大1*10mPa・s、または最大8*10mPa・s、または最大6*10mPa・sである、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0389】
発明概念103.前記提供される第1のインク成分の乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第1の成分]、100℃)が、最大2*10mPa・s、または最大8*10mPa・s、または最大6*10mPa・sである、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0390】
発明概念104.前記提供される第1のインク成分の乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第1の成分]、95℃)が、最大4*10mPa・s、最大2*10mPa・s、最大1*10mPa・s、最大8*10mPa・s、または最大6*10mPa・sである、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0391】
発明概念105.前記提供される第1のインク成分の乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第1の成分]、90℃)が、最大4*10mPa・s、最大2*10mPa・s、最大1.2*10mPa・s、またはより典型的には最大1*10mPa・s、最大8*10mPa・s、もしくは最大8*10mPa・sである、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0392】
発明概念106.前記提供される第2の水性インク成分が、少なくとも40重量/重量%の水または少なくとも45重量/重量%の水または少なくとも50重量/重量%の水または少なくとも55重量/重量%の水または少なくとも60重量/重量%の水または少なくとも65重量/重量%の水を含む、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0393】
発明概念107.前記提供される第2の水性インク成分が、少なくとも6重量/重量%の固形物、または少なくとも7重量/重量%の固形物、または少なくとも8重量/重量%の固形物を含み、ただし用語「固形物」とは60℃で固体である物質を指す、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0394】
発明概念108.前記提供される第2の水性インク成分が、最大15重量/重量%の固形物、または最大14重量/重量%の固形物、または最大13重量/重量%の固形物、または最大12重量/重量%の固形物を含み、ただし用語「固形物」とは60℃で固体である物質を指す、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0395】
発明概念109.前記提供される第2の水性インク成分が、7重量/重量%~13重量/重量%の固形物を含む、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0396】
発明概念110.前記提供される第2の水性インク成分が、前記第2のインク成分の前記液体担体を含む前記第2の水性インク成分の重量%基準で、最大3重量/重量%または最大2.5重量/重量%または最大2重量/重量%または最大1.5重量/重量%または最大1重量/重量%または最大0.5重量/重量%のバインダーを含む、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0397】
発明概念111.前記提供される第2の水性インク成分内で、(i)前記第2の水性インク成分内のバインダーの重量分率と(ii)前記第2の水性インク成分内の顔料の重量分率との比が、最大1.5:1または最大1.3:1または最大1.2:1または最大1.1:1または最大0.8:1、または最大0.6:1、または最大0.4:1である、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0398】
発明概念112.前記提供される第2の水性インク成分内に、再溶解性インク成分がある、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0399】
発明概念113.前記提供される第2の水性インク成分内に、例えば前記第2の水性インク成分の一次着色剤としてナノ粒子を含む、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0400】
発明概念114.前記第2のインク成分の(すなわち、純粋成分としての)乾燥薄膜ガラス転移温度T 乾燥薄膜([第2の成分])が、少なくとも60℃、または少なくとも65℃、少なくとも70℃、または少なくとも75℃、少なくとも80℃、または少なくとも85℃、少なくとも90℃、または少なくとも95℃、または少なくとも100℃、または少なくとも105℃、または少なくとも110℃、または少なくとも115℃である、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0401】
発明概念115.前記提供される第2の成分の乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第2の成分]、115℃)が、少なくとも8*10mPa・s、少なくとも1*10mPa・s、少なくとも3*10mPa・s、または少なくとも6*10mPa・sである、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0402】
発明概念116.前記提供される第2の成分の乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第2の成分]、110℃)が、少なくとも1*10mPa・s、少なくとも3*10mPa・s、少なくとも5*10mPa・s、または少なくとも8*10mPa・sである、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0403】
発明概念117.乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第2の成分]、105℃)が、少なくとも1.2*10mPa・s、少なくとも3*10mPa・s、少なくとも5*10mPa・s、または少なくとも1*10mPa・sである、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0404】
発明概念118.前記提供される第2の成分の乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第2の成分]、100℃)が、少なくとも1.5*10mPa・s、少なくとも3*10mPa・s、少なくとも7*10mPa・s、または少なくとも2*10mPa・sである、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0405】
発明概念119.前記提供される第2の成分の乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第2の成分]、95℃)が、少なくとも2*10mPa・s、少なくとも5*10mPa・s、少なくとも1*10mPa・s、または少なくとも3*10mPa・sである、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0406】
発明概念120.前記提供される第2の成分の乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第2の成分]、90℃)が、少なくとも2*10mPa・s、少なくとも4*10mPa・s、少なくとも6*10mPa・s、少なくとも8*10mPa・s、少なくとも1*10mPa・s、少なくとも3*10mPa、または少なくとも5*10mPaである、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0407】
発明概念121.(i)前記第1の成分中のバインダーの重量分率と(ii)前記第2の成分中のバインダーの重量分率との比が、少なくとも1.5、または少なくとも1.75:1、または少なくとも2:1、または少なくとも2.25:1、または少なくとも2.25:1、または少なくとも3:1、または少なくとも4:1、または少なくとも5:1、または少なくとも6:1、または少なくとも7:1、または少なくとも8:1、または少なくとも9:1、または少なくとも10:1であるか、あるいはこの比が無限大であるという特性を、前記提供される第1及び第2の水性インク成分が共同して提供する、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0408】
発明概念122.(i)前記第1の成分中の固形物の重量分率と(ii)前記第2の成分中の固形物の重量分率との比が、少なくとも1.8、少なくとも2.0、少なくとも2.2、少なくとも2.5、または少なくとも3.0であり、ただし用語「固形物」とは60℃で固体である物質を指すという特性を、前記提供される第1及び第2の水性インク成分が共同して提供する、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0409】
発明概念123.T 乾燥薄膜([第2の成分])とT 乾燥薄膜([第1の成分])との差が、少なくとも0℃、または少なくとも1℃、または少なくとも2℃、または少なくとも3℃、または少なくとも4℃、または少なくとも5℃、または少なくとも6℃、または少なくとも7℃、または少なくとも8℃、または少なくとも9℃、または少なくとも10℃、または少なくとも12℃、または少なくとも15℃であるという特性を、前記提供される第1及び第2の水性インク成分が共同して提供する、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0410】
発明概念124.前記第1の成分と第2の成分との重量比が5:1の乾燥薄膜のガラス転移温度T 乾燥薄膜([第2の成分:第1の成分が5:1])が、115℃未満、または110℃未満、または105℃未満、または100℃未満、または95℃未満、または90℃未満、または85℃未満、または80℃未満、または75℃未満、または70℃未満、または65℃未満、または60℃未満、または55℃未満であるという特性を、前記提供される第1及び第2の水性インク成分が共同して提供する、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0411】
発明概念125.前記第1の成分と前記第2の成分との重量比が5:1の乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第2の成分:第1の成分が5:1]、115℃)が、最大1*10mPa・s、または最大8*10mPa・s、または最大6*10mPa・s、または最大4*10mPa・sであるという特性を、前記提供される第1及び第2の水性インク成分が共同して提供する、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0412】
発明概念126.前記第1の成分と前記第2の成分との重量比が5:1の乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第2の成分:第1の成分が5:1]、110℃)が、最大1*10mPa・s、もしくは最大8*10mPa・s、またはより典型的には最大6*10mPa・s、もしくは最大5*10mPa・s、もしくは最大4*10mPa・sであるという特性を、前記提供される第1及び第2の水性インク成分が共同して提供する、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0413】
発明概念127.前記第1の成分と前記第2の成分との重量比が5:1の乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第2の成分:第1の成分が5:1]、105℃)が、最大2*10mPa・s、最大1*10mPa・s、最大8*10mPa・s、または最大6*10mPa・sであるという特性を、前記提供される第1及び第2の水性インク成分が共同して提供する、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0414】
発明概念128.前記第1の成分と前記第2の成分との重量比が5:1の乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第2の成分:第1の成分が5:1]、100℃)が、最大2*10mPa・s、最大1*10mPa・s、最大8*10mPa・s、または最大6*10mPa・sであるという特性を、前記提供される第1及び第2の水性インク成分が共同して提供する、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0415】
発明概念129.前記第1と前記第2の重量比が5:1の乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第2の成分:第1の成分が5:1]、95℃)が、最大2*10mPa・s、最大1*10mPa・s、または最大8*10mPa・s、または最大6*10mPa・sであるという特性を、前記提供される第1及び第2の水性インク成分が共同して提供する、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0416】
発明概念130.前記第1の成分と前記第2の成分との重量比が5:1の乾燥インク薄膜の動的粘度μ 乾燥薄膜([第2の成分:第1の成分が5:1]、90℃)が、最大1*10mPa・s、最大1.2*10mPa・s、またはより典型的には最大1*10mPa・s、もしくは最大8*10mPa・sであるという特性を、前記提供される第1及び第2の水性インク成分が共同して提供する、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0417】
発明概念131.前記第1の成分の前記被覆湿潤体積を前記ITM表面に塗布した直後の、前記被覆湿潤体積の厚さが、少なくとも6μmまたは少なくとも8μmまたは少なくとも10μmまたは少なくとも12μmである、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0418】
発明概念132.前記第1の成分の前記被覆湿潤体積を前記ITM表面に塗布した直後の、前記被覆湿潤体積の厚さが、少なくとも8μmまたは少なくとも10μmまたは少なくとも12μmである、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0419】
発明概念133.前記ITM表面が少なくとも1メートル/秒または少なくとも1.5メートル/秒または少なくとも2メートル/秒の速度で移動中であるときに、前記第1のインク成分が前記ITM表面に送達される、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0420】
発明概念134.前記ITM表面が少なくとも1メートル/秒または少なくとも1.5メートル/秒または少なくとも2メートル/秒の速度で移動中であるときに、前記第2のインク成分の前記液滴を前記第1の成分の前記部分乾燥層に堆積させる、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0421】
発明概念135.(i)ステップ(d)において前記第2の水性インク成分の前記液滴が前記第1のインク成分の部分乾燥層に衝突するときの前記第1の成分の前記部分乾燥層の厚さと(ii)前記ITM表面に前記第1の成分の前記被覆湿潤体積を塗布直後の前記第1の成分の前記被覆湿潤体積の厚さとの比が、最大0.6または最大0.5または最大0.4であるように前記方法が実行される、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0422】
発明概念136.(i)ステップ(d)において前記第2の水性インク成分の前記液滴が前記第1のインク成分の部分乾燥層に衝突するときの前記第1の成分の前記部分乾燥層の厚さと(ii)前記ITM表面に前記第1の成分の前記被覆湿潤体積を塗布直後の前記第1の成分の前記被覆湿潤体積の厚さとの比が、少なくとも0.25または少なくとも0.3または少なくとも0.35であるように前記方法が実行される、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0423】
発明概念137.前記提供される第2の水性インク成分内に、前記第2の水性インク成分の一次着色剤としてナノ粒子を含む、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0424】
発明概念138.前記第2のインク成分の前記液滴と前記第1のインク成分の前記層との間の衝突直前の、第1のインク成分の前記層の厚さが、少なくとも1μmまたは少なくとも1.5μmまたは少なくとも2μmまたは少なくとも3μmまたは少なくとも4μmである、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0425】
発明概念139.前記転写温度T転写が、少なくとも60℃、または少なくとも65℃、少なくとも70℃、または少なくとも75℃、少なくとも80℃、または少なくとも85℃、または少なくとも90℃、または少なくとも95℃、または少なくとも100℃、または少なくとも105℃、または少なくとも110℃、または少なくとも115℃である、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0426】
発明概念140.前記転写温度T転写が、最大65℃、または最大70℃、または最大75℃、または最大80℃、または最大85℃、または最大90℃、または最大95℃、または最大100℃、または最大105℃、または最大110℃、または最大115℃である、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0427】
発明概念141.前記転写温度T転写が、少なくとも60℃かつ最大115℃である、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0428】
発明概念142.前記転写温度T転写が、65℃~70℃である、発明概念1~138のいずれか1つに記載の方法。
【0429】
発明概念143.前記転写温度T転写が、70℃~75℃である、発明概念1~138のいずれか1つに記載の方法。
【0430】
発明概念144.前記転写温度T転写が、75℃~80℃である、発明概念1~138のいずれか1つに記載の方法。
【0431】
発明概念145.前記転写温度T転写が、80℃~85℃である、発明概念1~138のいずれか1つに記載の方法。
【0432】
発明概念146.前記転写温度T転写が、85℃~90℃である、発明概念1~138のいずれか1つに記載の方法。
【0433】
発明概念147.前記転写温度T転写が、90℃~95℃である、発明概念1~138のいずれか1つに記載の方法。
【0434】
発明概念148.前記転写温度T転写が、90℃~100℃である、発明概念1~138のいずれか1つに記載の方法。
【0435】
発明概念149.前記転写温度T転写が、95℃~100℃である、発明概念1~138のいずれか1つに記載の方法。
【0436】
発明概念150.前記転写温度T転写が、95℃~105℃である、発明概念1~138のいずれか1つに記載の方法。
【0437】
発明概念151.前記転写温度T転写が、100℃~105℃である、発明概念1~138のいずれか1つに記載の方法。
【0438】
発明概念152.前記転写温度T転写が、100℃~110℃である、発明概念1~138のいずれか1つに記載の方法。
【0439】
発明概念153.前記転写温度T転写が、105℃~110℃である、発明概念1~138のいずれか1つに記載の方法。
【0440】
発明概念154.前記転写温度T転写が、105℃~115℃である、発明概念1~138のいずれか1つに記載の方法。
【0441】
発明概念155.前記転写温度T転写が、110℃~115℃である、発明概念1~138のいずれか1つに記載の方法。
【0442】
発明概念156.前記転写温度T転写が、115℃超である、発明概念1~138のいずれか1つに記載の方法。
【0443】
発明概念157.前記第2のインク成分の乾燥薄膜ガラス転移温度T 乾燥薄膜([第2の成分])が、転写温度T転写をP℃上回り、かつ前記第1のインク成分と前記第2のインク成分との重量比が5:1である乾燥薄膜のガラス転移温度T 乾燥薄膜([第2の成分:第1の成分が5:1])が、前記転写温度T転写よりもQ℃低い、発明概念1~138のいずれか1つに記載の方法。
【0444】
発明概念158.Pの値が少なくとも5、または少なくとも10、または少なくとも12,または少なくとも15、または少なくとも20、または少なくとも30、または少なくとも40である、発明概念157に記載の方法。
【0445】
発明概念159.Qの値が少なくとも5、または少なくとも10、または少なくとも12,または少なくとも15、または少なくとも20、または少なくとも30、または少なくとも40である、発明概念157~158のいずれか1つに記載の方法。
【0446】
発明概念160.ステップ(d)の間、前記第1の成分の前記層により、前記第2の成分の前記着色剤粒子が前記ITM表面に直接接触することが阻止され、それにより、前記転写時に、前記第2の成分の前記着色剤粒子下の前記ITM表面に着色剤粒子を含まない層が存在する、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0447】
発明概念161.ステップ(d)の間、及び第1の成分の層が少なくとも10重量/重量%の水または少なくとも20重量/重量%の水を含んでいる間に、前記第1の成分の前記層により、前記第2の成分の前記着色剤粒子が前記ITM表面に直接接触することが阻止され、それにより、前記転写時に、前記第2の成分の前記着色剤粒子下の前記ITM表面に、着色剤粒子を含まない層が存在する、いずれかの先行発明概念に記載の方法。
【0448】
発明概念162.デジタル印刷システムであって、
a.回転可能な中間転写部材(ITM)と、
b.前記ITM上に配置された物質の加熱を行うための乾燥装置と、
c.第1及び第2の水性インク成分それぞれのリザーバーであって、前記第1の水性インク成分は任意選択で透明であり、前記第2の水性インク成分は着色剤粒子を含む、前記第1及び第2の水性インク成分それぞれのリザーバーと、
d.前記第1のリザーバーが配置される第1の液体送達ステーションであって、ある量の前記第1のインク成分を前記ITMの標的表面に送達し、湿潤体積の前記第1のインク成分で前記標的表面の一部を覆うように構成される前記第1の液体送達ステーションと、
e.前記第2のリザーバーが配置される第2の液体送達ステーションであって、前記回転可能なITM上での下流搬送後に、前記第2のインク成分の液滴を前記第1の成分の体積にデジタルに堆積することで、湿潤カラーインク画像を形成するように構成される前記第2の液体送達ステーションと、を含み、前記システムが、
i.前記第2の液体送達ステーションで、前記表面の一部が被覆された後で、かつその表面に前記第2のインク成分の前記液滴が衝突する前に、前記湿潤体積の前記第1のインク成分を部分的にのみ乾燥させることで、前記第1のインク成分を十分に湿潤性かつ浸透性にし、それにより、前記第2のインク成分の前記着色剤粒子の一部またはすべてが、前記第1のインク成分の前記部分乾燥層に浸透し、
ii.前記第2の液体送達ステーションでの前記インク画像の形成後に、前記インク画像が少なくとも部分的に乾燥して、乾燥した粘着性のインク薄膜を生成するように制御され、
かつ、前記システムが、前記乾燥インク薄膜を前記ITMから印刷基材に転写する転写ステーションをさらに含む、前記デジタル印刷システム。
【0449】
発明概念163.デジタル印刷システムであって、
a.回転可能な中間転写部材(ITM)と、
b.前記ITM上に配置された物質の加熱を行うための乾燥装置と、
c.第1及び第2の水性インク成分それぞれのリザーバーであって、前記第1の水性インク成分は任意選択で透明であり、前記第2の水性インク成分は着色剤粒子を含む、前記第1及び第2の水性インク成分それぞれのリザーバーと、
d.前記第1のリザーバーが配置される第1の液体送達ステーションであって、ある量の前記第1のインク成分を前記ITMの標的表面に送達し、湿潤体積の前記第1のインク成分で前記標的表面の一部を覆うように構成される前記第1の液体送達ステーションと、
e.前記第2のリザーバーが配置される第2の液体送達ステーションであって、前記回転可能なITM上での下流搬送後に、前記第2のインク成分の液滴を前記第1の成分の体積にデジタルに堆積することで、湿潤カラーインク画像を形成するように構成される前記第2の液体送達ステーションと、を含み、前記システムが、
i.前記第2の液体送達ステーションで、前記表面の一部が被覆された後で、かつその表面に前記第2のインク成分の前記液滴が衝突する前に、前記湿潤体積の前記第1のインク成分を部分的にのみ乾燥させることで、衝突時に、前記第1のインク成分を十分に湿潤性かつ浸透性にし、それにより、前記第2のインク成分の前記着色剤粒子の一部またはすべてが、前記第1のインク成分の前記部分乾燥層に浸透し、
ii.前記乾燥装置によって、前記湿潤カラー画像が前記ITM上で少なくとも部分乾燥されるように制御され、
前記システムが、前記少なくとも部分乾燥されたインク画像を前記ITMから印刷基材に転写する転写ステーションをさらに含む、前記デジタル印刷システム。
【0450】
発明概念164.前記乾燥装置が、前記ITM上に配置された物質の加熱及び乾燥の両方を行うための加熱乾燥装置である、発明概念162~163のいずれか1つに記載のシステム。
【0451】
発明概念165.前記転写ステーションでの前記ITMから前記基材への転写時に粘着性になるように、前記部分乾燥されたインク画像を前記加熱乾燥装置により十分に加熱する、発明概念164に記載のシステム。
【0452】
発明概念166.(i)前記少なくとも部分的な乾燥により、乾燥した粘着性のインク画像保持残膜を生成するように前記システムが制御され、かつ(ii)前記乾燥した粘着性のインク画像保持残膜を、前記転写ステーションで前記ITMから前記印刷基材に転写する、発明概念162~165のいずれかに記載のシステム。
【0453】
発明概念167.
i.前記第1の液体送達ステーションが、1つ以上の印刷バー(複数可)からなる第1の印刷バー列を含み、前記第1の印刷バー列が、液滴堆積によって前記第1のインク成分の量の少なくとも一部を前記ITMの前記標的表面に送達するように構成され、
ii.前記第2の液体送達ステーションが、前記第1の印刷バー列の下流に位置する1つ以上の印刷バー(複数可)からなる第2の印刷バー列を含み、前記第2の印刷バー列が、前記第2のインク成分の前記液滴の少なくとも一部をデジタルに堆積するように構成される、発明概念86~162~166のいずれか1つに記載のシステム。
【0454】
発明概念168.一連の印刷バーが前記ITM周りに配置され、それによって、
i.前記一連の印刷バーのうちの第1の印刷バーが、第1の液体送達ステーションに属し、液滴堆積によって前記量の前記第1の液体成分を前記標的表面に堆積させ、
ii.前記一連の印刷バーの他のすべての印刷バーが第2の液体送達ステーションに属する、発明概念162~166のいずれか1つに記載のシステム。
【0455】
発明概念169.前記第1の液体送達ステーションが1つ以上のインクジェット印刷ヘッドを含む、発明概念162~168のいずれか1つに記載のシステム。
【0456】
発明概念170.前記第1の液体送達ステーションが、コーター、噴霧アセンブリ、浴槽アセンブリ、薄膜化アセンブリ、及びドクターブレードのうちの少なくとも1つ(すなわち、任意の組み合わせ)を含む、発明概念162~169のいずれか1つに記載のシステム。
【実施例
【0457】
ここで以下の実施例を参照する。上記の説明と併せて、これらの実施例は非限定的な様式で本発明を例示する。
【表1】
【0458】
実施例1
第1のインク成分の調製
水、湿潤剤、及び任意のpH調整剤を添加し、混合容器内で撹拌した。他の成分を添加しながら混合を続行した。次に、可塑剤を添加した後、バインダー/樹脂、続いて界面活性剤を添加した。
【0459】
実施例2
本発明の例示的な第1のインク成分は、以下の組成を有していた(数字はすべて重量パーセントで示す):
Joncryl(登録商標)538 40%
Tween(登録商標)80 5%
Tego(登録商標)Wet 240 3.3%
Byk-333 0.3重量%
AMP 95(登録商標)0.2%
プロピレングリコール8%
残部:水
この組成を実施例1で示した手順に従って調合した。pHは8.0であった。
【0460】
実施例3
本発明の別の例示的な第1のインク成分は、以下の組成を有していた:
Joncryl(登録商標)538 15%
Tween(登録商標)40 2%
Tego(登録商標)Wet 240 2.5%
Byk(登録商標)-333 0.3重量%
AMP 95(登録商標)0.2%
プロピレングリコール32.5%
残部:水
この組成を実施例1で示した手順に従って調合した。
【0461】
実施例4
本発明の別の例示的な第1のインク成分は、以下の組成を有していた:
Joncryl(登録商標)538 40%
Tween(登録商標)60 3.5%
Tego(登録商標)Twin 4100 3.5%
AMP 95(登録商標)0.2%
プロピレングリコール8.1%
残部:水
この組成を実施例1で示した手順に従って調合した。
【0462】
実施例4A
別の例示的な第1のインク成分は、以下の組成を有していた:
Joncryl(登録商標)90 22%
Joncryl(登録商標)8085 12.2%
Tween(登録商標)20 3.5%
Tego(登録商標)Wet 240 2.5%
AMP 95(登録商標)0.2%
プロピレングリコール18%
残部:水
この組成を実施例1で示した手順に従って調合した。
【0463】
実施例4B
別の例示的な第1のインク成分は、以下の組成を有していた:
Joncryl(登録商標)90 10%
Joncryl(登録商標)8085 22%
Tween(登録商標)60 3.5%
Tego(登録商標)Wet 240 2.5%
AMP 95(登録商標)0.2%
プロピレングリコール18%
残部:水
この組成を実施例1で示した手順に従って調合した。pHは7.9であった。
【0464】
実施例5
第2のインク成分の調製
顔料、水、及び分散剤を含有する顔料濃縮物を、高剪断ミキサーを使用して分散させる。次に、得られた生成物をビーズミルで粉砕する。粒径の測定値に基づいて粉砕の進行をモニターし、制御した(例えば、Malvern(登録商標)及びNanosizer(登録商標)の装置)。平均粒径(d50)が70~100nmに達したとき、粉砕を縮小した。
【0465】
実施例6
動的粘度の測定
本明細書に記載のインク成分の粘度は、粘度計(BrookfieldによるDVII+Pro)を使用して25℃で測定した。粘度は典型的に約2mPa~100mPa・sの範囲内であった。
【0466】
実施例7
表面張力の測定
インク成分の表面張力は、標準的な液体張力計(KrussによるEasyDyne)を使用して測定し、一般に約20~40mN/mの範囲内であった。
【0467】
実施例8
不透明度の測定手順
第1のインク成分の不透明度は、X-Rite製のi1Pro分光光度計を使用して測定した。Leneta Company,Inc.製のForm 2A Opacityカードで測定を行った。
【0468】
各インク試料の不透明度(コントラスト比測定による)を、次の式に従って決定した。
不透明度=Yb*100/Yw
式中、
Ybはカードの黒い半面の測定値であり、
Ywはカードの白い半面の測定値であり、
ただしYbとYwは、それぞれの領域の異なる場所での3つの測定値の平均である。不透明度が低いほど、透明度は高くなる。
【0469】
評価は一般に、国際規格ISO 6504-3に従って実施する。試料をITMに吐出した後、乾燥薄膜をLeneta Opacityカードに転写した。
【0470】
実施例9
不透明度の結果
透明な層がない場合、「参照用」不透明度カードは約0.87の不透明度になる。
【0471】
本発明の透明層を不透明度カードの上に配置した場合、不透明度は0.87~1.17の範囲であった。より一般的には、不透明度カードの上に配置した本発明の透明層の不透明度は、0.87~4、0.87~3、0.87~2.5、0.87~2、0.87~1.5、0.87~1.2、0.9~4、0.9~3、0.9~2.5、0.9~1.5、または0.9~1.2の範囲内に入る。
【0472】
実施例10
実施例5の方法に従って調合された、分散剤中に黒色顔料を含有するミルベースは、以下の組成を有していた。
【表2】
【0473】
実施例11
実施例5で示した手順に従って実施例10のミルベースを利用して調合された、本発明の例示的な第2のインク成分は、以下の組成を有していた。
【表3】

不揮発物の総含有量は12.5%であった。このインクは以下の測定特性を有していた。
【表4】
【0474】
実施例12
実施例5で示した手順に従って実施例10のミルベースを利用して調合された、本発明の別の例示的な第2のインク成分は、以下の組成を有していた。
【表5】
不揮発物の総含有量は11.5%であった。このインクは以下の測定特性を有していた。
【表6】
【0475】
実施例12A
実施例5の方法に従って調合された、分散剤中に黒色顔料を含有するミルベースは、以下の組成を有していた。
【表7】
固形物の含有量は約40重量%であった。
【0476】
実施例13~20
実施例5で示した手順に従って実施例12Aのミルベースを利用して調合された、本発明の例示的な第2のインク成分は、以下の組成を有していた。
【表8】
【0477】
実施例20A
実施例5の方法に従って調合された、分散剤中に青色顔料を含有するミルベースは、以下の組成を有していた。
【表9】
固形物の含有量は約42.5重量%であった。
【0478】
実施例21
実施例5で示した手順に従って実施例12Aのミルベースを利用して調合された、本発明の例示的な第2のインク成分は、以下の組成を有していた。
【表10】
【0479】
実施例22
25℃で測定された様々な例示的な第1のインク成分の粘度を以下に示す(値はすべてmPa・s単位):
実施例2=6.5
実施例3=6.3
実施例4A=5.4
実施例4B=6.5
【0480】
実施例23
25℃で測定された以下の例示的な第1のインク成分の表面張力を以下に示す(値はすべてmN/m単位):
実施例2=25.3
実施例4B=23.3
より一般的には、25℃で測定された本発明の第1のインク成分の表面張力は、20~35mN/m、20~32mN/m、22~28mN/m、または22~26mN/mの範囲内に入る。
【0481】
実施例24
インクの乾燥手順
試料20グラムを2つのアルミ皿(直径90mm)に入れた。90℃に設定されたオーブンに皿を入れ、最低48時間乾燥させた。24時間後と48時間後に皿の重さを計量した。重量の差が1%を超えている場合は、さらに24時間加熱を実施し、皿を再度計量した。最大1%の重量差の基準が満たされるまでこれを繰り返した。本明細書で提供される試料に関しては、48時間を超える加熱を必要とするものはなかった。
【0482】
実施例25
再溶解性の特性決定
再溶解性は次の通りに決定した:容量約100mlを有するポリプロピレンビーカーにインク1グラムを入れ、40℃のオーブンで24時間乾燥させた。続いて、新たにインク2グラムをビーカーに入れ、内容物を手動で最大10分間かきまぜることにより混合した。ビーカーの底に薄膜残渣が残らなかった場合、及び/または混合物が詰まらずに0.7GFシリンジフィルターを通過した場合、インクは再溶解性であるとみなされる。
【0483】
実施例26
再溶解性の結果
実施例14、15、17、18、及び20の第2のインク成分の再溶解性を、実施例25に示す手順に従って評価した。ビーカーの底に薄膜残渣が残らず、混合物は詰まらずにシリンジフィルターを通過した。したがって、各実施例はすべて再溶解性を示した。
【0484】
実施例27~28
実施例2の第1のインク成分と実施例21の第2のインク成分との1:1(重量対重量)混合物(「実施例27」)を室温で混合することにより調製した。同様に、2.5:1(重量対重量)の混合物を調製した(「実施例28」)。
【0485】
実施例29
ガラス転移温度の測定
Q2000示差走査熱量計(TA Instruments)に試料を入れ、DSC測定を実施した。何らかの小幅なTgピークが存在するかどうかを検出するために、最初にDSCを変調動作モードで稼働した。このモードは、温度振幅が1.27℃、期間が60秒、及び加熱速度が毎分2℃であった。変調動作で、そのような小幅なピークは観察されなかった。そのため、変調なし、スキャン速度毎分8℃で、より厳格でない手順(「標準動作モード」)を行った。
【0486】
スキャンモードを開始する前に、最初に試料を120℃に加熱して60秒間維持し、熱平衡にした。
【0487】
実施例30~33:ガラス転移温度の結果
実施例30
実施例21のシアンに着色した第2のインク成分の乾燥残渣のガラス転移温度(Tg)を、実施例29の手順に従って評価した。実施例24の乾燥手順に従って残渣を得た。融点を除き、温度約120℃までTgは観察されなかった。
【0488】
実施例31~33
実施例24の乾燥手順に続いて、実施例2の第1のインク成分ならびに実施例27~28の混合物のTgを実施例29の手順に従って評価した。3つの試料は、同様のガラス転移温度Tg=56±2℃を示した。したがって、実施例21の第2のインク成分の軟度及び転写性は、実施例2の第1のインク成分と重量比2.5:1及びさらには1:1で混合することにより顕著に増強された。
【0489】
実施例34
乾燥インク薄膜の熱レオロジー特性決定
Discovery HR-2レオメーター(TA Instruments)を使用して、乾燥インク薄膜の粘度の特性決定を温度の関数として実施した。実施例24の乾燥手順に続いて、最初に周波数1Hzで乾燥インク薄膜のひずみ掃引を実施し、特性決定する材料の挙動が線形粘弾性範囲内に十分に収まることを実証した。その結果、後続の粘度特性決定を1Hzで実行した。
【0490】
最初に、乾燥残留インクを120℃に加熱した後、何らかの余分な材料を除去した。温度を60秒間120℃に維持した後、粘度を(60秒間隔で)2回測定し、さらに温度を90℃に下げて60秒間維持した。90℃で2回(60秒間隔で)粘度を測定し、さらに温度を70℃に下げて60秒間維持した。70℃で2回の(60秒間隔での)粘度の測定に続いて、温度を50℃に下げて60秒間維持した後、50℃で2回の最終粘度測定を(60秒間隔で)実施した。粘度の結果は、2回の測定それぞれを平均することにより得た。
【0491】
実施例35~38
熱レオロジー特性決定-結果
実施例34の手順を用いて、実施例2の第1のインク成分、実施例21のシアンに着色した第2のインク成分、及び実施例27~28の混合物に熱レオロジー特性決定を行った。粘度の結果を次の表に示す。
【表11】
【0492】
実施例39
実施例39のITM剥離層は、以下の組成(重量/重量)を有していた。
【表12】
剥離層は、実質的に、以下に示す次の調製手順に記載のように調製した。
【0493】
ブランケット作製手順(担体表面に対して硬化した剥離層用)
剥離層調合物の全成分は完全に混合された。所望の厚さの初期剥離層は、ロッド/ナイフを使用して(他の被覆方法が使用されてもよい)PETシート上に被覆された後、150℃で3分間にわたり硬化された。引き続き、所望の厚さを達成するために、Siloprene LSR 2530がナイフを使用して剥離層の上部上に被覆された。次に硬化が3分間にわたり150℃で行われた。Siloprene LSR2530の追加層が以前の(硬化された)シリコーン層の上部上に被覆され、湿潤化されたシリコーンが織物構造に貫入するよう、ガラス繊維織地がこの湿潤化された新鮮な層に組み込まれた。次に硬化が3分間にわたり150℃で行われた。次に、Siloprene LSR 2530の最終層がガラス繊維織地上に被覆され、再び硬化が3分間にわたり150℃で行われた。次に一体型ブランケット構造は室温まで冷却され、PETが除去された。
【0494】
実施例40
実施例40のITM剥離層は、以下の組成を有していた。
【表13】

このブランケットは実質的に実施例39に記載のように調製した。
【0495】
実施例41
実施例41のITM剥離層は、以下の組成を有していた。
【表14】

このブランケットは実質的に実施例39に記載のように調製した。
【0496】
実施例42
実施例42のITM剥離層は、以下の組成を有していた。
【表15】

このブランケットは実質的に実施例39に記載のように調製した。
【0497】
実施例43
実施例43のITM剥離層は、2つの成分が1:1の比で混合された2成分液体シリコーンゴムであるSilopren(登録商標)LSR2530(Momentive Performance Materials Inc.,Waterford,NY)から調製した。このブランケットは実質的に実施例39に記載のように調製した。
【0498】
実施例44
実施例44のITM剥離層は、実施例4のITM剥離層と実質的に同一の組成を有するが、極性基を含む市販のシリコーン系樹脂であるSR545(Momentive Performance Materials Inc.,Waterford,NY)を含む。極性基は「MQ」型のものであり、ただし「M」はMeSiOを表し、「Q」はSiOを表す。全組成を以下に示す。
【表16】

このブランケットは実質的に実施例39に記載のように調製した。
【0499】
実施例45
実施例45のITM剥離層は、実施例44のITM剥離層と実質的に同一の組成を有するが、上述のように高密度のビニル基を有するビニル官能性ポリジメチルシロキサンを含むポリマーRV5000を含む。全組成を以下に示す。
【表17】

このブランケットは実質的に実施例39に記載のように調製した。
【0500】
比較実施例39A~39F
対応剥離層(比較実施例39A~39Fと命名)がそれぞれ実施例39~44と同一の組成を有するように、実施例39~44の組成に対する「対応剥離層」または「参照剥離層」としてのITM剥離層を調製する。ただし、剥離層を硬化させる間、以下に示す従来の調製手順に従って、剥離層表面(または「インク受容表面」)を空気に曝露した(「標準的空気硬化」)。
【0501】
比較ブランケット作製手順(硬化の間、空気に曝露される剥離層用)
Siloprene LSR2530の第1層がロッド/ナイフを使用してPETシート上に被覆された後、所望の厚さを達成するために150℃で3分間にわたり硬化された。Siloprene LSR2530の追加層が以前の(硬化された)シリコーン層の上部上に被覆され、湿潤化されたシリコーンが織物構造に貫入するよう、ガラス繊維織地がこの湿潤化された新鮮な層に組み込まれた。次に、SilopreneLSR2530がガラス繊維織地の上部上に被覆され、引き続き、硬化が3分間にわたり150℃で行われた。初期剥離層を形成する前に、剥離層調合物の全成分が一緒に完全に混合された。剥離層は、所望の厚さを達成するために、硬化されたSilopreneLSR2530の上部上に被覆され、引き続き、3分間にわたり150℃で硬化され、その一方で、剥離層表面は空気に曝露された。
【0502】
実施例46
剥離層表面上蒸留水滴の接触角は、専用のDataphysics OCA15 Pro接触角測定装置(Particle and Surface Sciences Pty.Ltd.,Gosford,NSW,Australia)を使用して測定された。後退接触角(RCA)及び前進接触角(ACA)測定を実施するために使用された手順は、Dr.Roger P.Woodward(“Contact Angle Measurements Using the Drop Shape Method”、とりわけwww.firsttenangstroms.com/pdfdocs/CAPaper.pdf)により詳述される従来の技術である。
【0503】
実施例39~44の結果は、比較実施例39A~39Fにしたがって準備された剥離層に対する結果とともに、以下に提供されている。
【0504】
実質的にすべての場合において、担体表面に対して生産された剥離表面は、空気中で硬化された同一の調合物よりも小さい後退接触角を示した。さらに詳細には、担体表面に対して生産された剥離表面は、少なくとも5°、少なくとも7°、少なくとも10°、少なくとも12°、または少なくとも15°の差異だけ低い後退接触角を、または、5°~30°、7°~30°、10°~30°、5°~25°、5°~22°、7°~25°、または10°~25°の範囲内の差異だけ低い後退接触角を表した。
【0505】
実施例47
実施例39~44において生産された剥離層、及び、比較実施例33A~39Fにおいて生産されたそれぞれの剥離層は、長い動作条件下でのエージングをシミュレートするために、2時間にわたり160℃においてエージングが施された。後退接触角が測定され、その結果を以下に挙げる。
【表18】
【0506】
比較実施例に関しては、後退接触角がエージング処理の実施後は実質的に維持されたことが明らかである。しかし本発明の実施例39~44に関しては、後退接触角がエージング処理の実施後は典型的には4°~15°だけ増加したことが明らかである。理論に拘束されることを望むものではないが、発明者らは、本発明の剥離層構造における接触角の増加の原因が、剥離層表面における極性基(例えばSi-O-Si)の位置における何らかの変化に起因する親水性挙動における損失(または増加された疎水性挙動)にあるものと考える。
【0507】
実施例47
実施例2で作製された剥離層を接触角測定にかけた。後退接触角は45°であった。重要なことに、静電防止PET担体表面に対して調製した実施例40の剥離層表面は、空気に曝露させながら調製した同じ組成物の後退接触角よりも約50°小さい後退接触角を示した。
【0508】
実施例48
実施例40で利用した担体表面を接触角測定にかけ、前進接触角と後退接触角の両方を決定した。前進接触角は40°であり、対する後退接触角は20°であった。重要なことに、担体表面の親水性挙動がそれぞれの剥離表面に少なくとも部分的に誘導されており、空気に曝露させながら硬化した調合物は65°のRCAを有し、静電防止PET表面に対して作製した同一の調合物は45°のRCAを有し、使用された静電防止PET担体は20°のRCAを示す。したがって、この剥離層構造は、親水性/疎水性特性が、空気中で硬化された同一の調合物の特性と担体表面自体の特性との間に収まる剥離表面を有する。
【0509】
実施例49
静電防止PET表面に対して硬化した、実施例39のインク受容表面について剥離層表面エネルギーを計算した。実施例39では、静電防止PET表面に対する硬化の後、160℃で2時間の標準的エージング手順を施した。これらの表面は同一の化学調合物を有している。
【0510】
これらの実施例のそれぞれに関して、全表面エネルギーを、従来的な「調和平均」法(Owens-Wendt表面エネルギーモデルとしても知られる。例えば、KRUSS Technical Note TN306eを参照)を使用して計算した。結果を以下に示す。
【表19】
【0511】
静電防止PET表面に対して硬化した場合、実施例39は約26J/mの全表面エネルギーを示した。この調合物に標準的エージング手順を施した後、全表面エネルギーは約26J/mから23J/m未満に減少した。この結果は、この例示的な調合物の、種々のエージング物質及び非エージング物質について得られたRCAの結果を裏付けるものと思われる。
【0512】
実施例50
以下の実施例のインク受容表面に対する剥離層表面エネルギーを計算した。静電防止PET表面に対して硬化した実施例40、及び静電防止PET表面に対する硬化の後、160℃で2時間の標準的エージング手順を施した実施例40-エージング。これらの実施例は同一の化学調合物を有している。
【0513】
実施例49と同様、全表面エネルギーを、従来的な「調和平均」法を使用して計算した。結果を以下に示す。
【表20】
【0514】
静電防止PET表面に対して硬化した実施例40は、約49J/mの全表面エネルギーを示した。これは、「空気硬化」試料よりも疎水性が著しく低い。この調合物に標準的エージング手順を施した後、全表面エネルギーは約49J/mから約40J/mへと減少した。この結果は、この例示的な調合物の、種々のエージング物質及び非エージング物質について得られたRCAの結果を裏付けるものと思われる。
【0515】
実施例51
ブランケット表面上の温度は75℃に保持される。画像(通常に10~100%のカラーグラデーション)は1200dpiの解像度で1.7m/秒の速度でブランケット上に印刷される。未被覆紙(A4 Xeroxプレミアム・コピー用紙、80gsm)が加圧ローラーとブランケットとの間にセットされ、圧力が3バールに設定されて、加圧ローラーはブランケットに対して加圧される。加圧ローラーは紙上で移動し、ブランケットと紙との間の接触線上に圧力を印加し、転写プロセスを促進させる。いくつかの場合では、不完全な転写(残留インクがブランケット表面上に残った状態)が観察され得る。残留インクの程度を評価するために、光沢紙(A4 Burgo光沢紙130gsm)が未被覆紙と同様にブランケット上に置かれ、転写プロセスが再び実施される。ブランケット上に残され、かつ未被覆紙に転写されないあらゆるインクは光沢紙に転写されるであろう。したがって、光沢紙は以下のスケール(画像表面エリアの%)にしたがって残留インクに対して評価され得る。
A-視認可能な残留なし
B-視認可能な残留は1~5%
C-視認可能な残留は5%より大きい
評価の結果は以下に提供される。
【表21】
【0516】
実施例52
実施例40及び41の剥離表面に対して実施例51を繰り返した。ただし印刷速度はブランケット上で3.4m/秒であった。いずれの剥離表面も転写等級Aを保持した。
【0517】
実施例53
実施例40及び41のITM剥離層組成物を、実施例39に示す手順に従ってPET基材に対して硬化した。次に試料を以下の手順に従って、10秒、続いて70秒、動的接触角(DCA)測定にかけた。
【0518】
液滴は、運動エネルギーが液滴を展開させないよう、可能な限り小さい液滴が落下する状態で、滑らかなPTFE薄膜表面上に配置される。次に垂滴が形成される。引き続き、標本は液滴の底部に接触するまで上昇させられる。液滴が十分に大きい場合、表面に対する付着はニードルの先端部から液滴を引き離すであろう。ニードル先端部は、表面の上方において、成長する垂滴が表面に接触し、かつ、それ自体の重さにより自由落下する以前に分離する高さに配置される。
【0519】
次に、10秒及び70秒で動的接触角を測定する。結果を以下に示す。
【表22】
【0520】
10秒における動的接触角の初期測定が剥離層表面の親水性の強力な指標を提供することが観察される。その後の70秒における測定は、剥離層内に配置された任意の液体(例えばポリエーテルグリコール官能化ポリジメチルシロキサンなど)が液滴に組み込まれる程度の指示を提供する。係る組み込みは、測定されたDCAをさらに減少させ得る。
【0521】
実施例54
図10Aは、実質的に完全に乾燥された第1の成分層(実施例2)上に第2のインク成分(実施例13)が吐出された、乾燥した2成分インク画像のSEM顕微鏡写真断面図である。顕微鏡写真から、2種類のインク層を観察することができる。薄い方の層は約600nmの実質的に均一な厚さのものであり、その上に配置される厚い方の層も約2800~3000nmの実質的に均一な厚さのものである。
【0522】
実施例55
図10Bは、部分乾燥のみされた実施例54の第1のインク成分層上に実施例54の第2のインク成分を吐出する本発明の実施形態に従う乾燥した2成分インク画像のSEM顕微鏡写真断面図である。これによれば、第2のインク成分は第1のインク成分層に完全に浸透し、単一のインク画像層を形成することが可能であった。乾燥インク画像は、実質的に均一な約4000nmの厚さを有する単一のインク層(第1のインク成分と第2のインク成分の両方からの固形物残渣を含有する)で形成される。
【0523】
結語
特記なき限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。矛盾する場合には、定義を含めた本明細書が優先する。
【0524】
本明細書及び本開示の請求項において、「含む」、「包含する」、及び「有する」という動詞及びその活用は、当該動詞の目的語(複数可)が、必ずしも、当該動詞の主題(複数可)の部材、構成要素、要素、ステップ、または部分の完全な一覧ではないことを示すために使用される。これらの用語は、「~からなる」及び「実質的に~からなる」という用語を包含する。
【0525】
本明細書で使用される単数形「a」、「an」、及び「the」は複数形の参照を含み、特記なき限り、「少なくとも1つ」または「1つまたは複数」を意味する。
【0526】
特記なき限り、選択のための選択肢一覧の最後の2つの要素間における「及び/または」という表現の使用は、一覧された選択肢の1つまたは複数の選択が可能であることを示す。
【0527】
本明細書で、及び添付の請求項で使用される「%」という用語は、特記なき限り、重量%を指す。
【0528】
同様に、本明細書及び添付の請求項において使用される「比」という用語は、特記なき限り、重量比を指す。
【0529】
本開示では、特記なき限り、本技術の一実施形態の特徴(複数可)の状態または関係特性を修飾する「実質的に」及び「約」という形容詞は、状態または特性が、本技術が意図された応用に対する実施形態の動作に対して許容可能である誤差の範囲内で定められることを意味するものと理解すべきである。
【0530】
本開示では、特記なき限り、一連の上限及び下限が想定される場合、上限及び下限のあらゆる組み合わせが明示的に想定される。例えば、転写温度T転写が、少なくとも60℃、または少なくとも65℃、少なくとも70℃、または少なくとも75℃、少なくとも80℃、または少なくとも85℃、または少なくとも90℃、または少なくとも95℃、または少なくとも100℃、または少なくとも105℃、または少なくとも110℃、または少なくとも115℃であり、転写温度T転写が、最大65℃、または最大70℃、または最大75℃、または最大80℃、または最大85℃、または最大90℃、または最大95℃、または最大100℃、または最大105℃、または最大110℃、または最大115℃である以下の例において、あらゆる個々の温度が明示的に想定される。いくつかの実施形態では、転写温度T転写は少なくとも60℃である。いくつかの実施形態では、転写温度T転写は少なくとも65℃である。いくつかの実施形態では、転写温度T転写は少なくとも70℃である。いくつかの実施形態では、転写温度T転写は少なくとも75℃である。いくつかの実施形態では、転写温度T転写は少なくとも80℃である。いくつかの実施形態では、転写温度T転写は少なくとも85℃である。いくつかの実施形態では、転写温度T転写は少なくとも90℃である。いくつかの実施形態では、転写温度T転写は少なくとも95℃である。いくつかの実施形態では、転写温度T転写は少なくとも100℃である。いくつかの実施形態では、転写温度T転写は少なくとも105℃である。いくつかの実施形態では、転写温度T転写は少なくとも110℃である。いくつかの実施形態では、転写温度T転写は少なくとも115℃である。
【0531】
さらに、60℃~65℃、60℃~70℃、60℃~75℃、60℃~80℃、60℃~85℃、60℃~90℃、60℃~95℃、60℃~100℃、60℃~105℃、60℃~110℃、及び60℃~115℃、65℃~70℃、65℃~75℃、605℃~80℃、65℃~85℃、65℃~90℃、65℃~95℃、65℃~100℃、65℃~105℃、65℃~110℃、及び65℃~115℃などの転写温度T転写を含む上限と下限のあらゆる組み合わせが明示的に想定される。
図1
図2
図3
図4
図5-1】
図5-2】
図5-3】
図5-4】
図5-5】
図6-1】
図6-2】
図6-3】
図6-4】
図6-5】
図6-6】
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図7G
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B