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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】小動物逸走防止装置
(51)【国際特許分類】
   A01K 15/04 20060101AFI20230925BHJP
   A01M 29/30 20110101ALI20230925BHJP
【FI】
A01K15/04 B
A01M29/30
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019192508
(22)【出願日】2019-10-23
(65)【公開番号】P2021065140
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】504177284
【氏名又は名称】国立大学法人滋賀医科大学
(73)【特許権者】
【識別番号】519380288
【氏名又は名称】日本テクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土屋 英明
(72)【発明者】
【氏名】寺門 一郎
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 朋和
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-285747(JP,A)
【文献】特開2011-32761(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0328126(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 29/30
A01K 1/03
A01K 1/02
A01K 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一位置と第二位置との間にあり、前記第一位置から前記第二位置に向かう人が通過可能な開口面を有するフレームと、
前記開口面の下端から、前記開口面の上端よりも下方の位置にある所定の高さまで延びた所定位置に配置されて小動物の前記開口面の通過を妨げる通過防止体と、
前記通過防止体を前記所定位置から前記開口面に沿って上方向に移動させることで、前記通過防止体を前記開口面から退避させる駆動装置と、
前記駆動装置を制御する制御装置と、
を備える、
小動物逸走防止装置。
【請求項2】
前記第一位置に前記人がいることを検知するセンサを更に備え、
前記制御装置は、前記センサにて前記第一位置に前記人がいることを検知すると、前記駆動装置を制御し、前記通過防止体を前記開口面から退避させる、
請求項1記載の小動物逸走防止装置。
【請求項3】
前記センサを第一センサとし、
前記第一センサと前記開口面との間に前記人がいることを検知する第二センサを更に備え、
前記制御装置は、前記第二センサにて前記人がいることを検知すると、前記駆動装置を制御し、前記通過防止体を停止させる、
請求項2記載の小動物逸走防止装置。
【請求項4】
前記第二位置に前記人がいることを検知するセンサを更に備え、
前記制御装置は、前記通過防止体が前記開口面から退避した状態で、前記センサにて前記第二位置に前記人がいることを検知すると、前記駆動装置を制御し、前記通過防止体を前記開口面に沿って移動させて前記所定位置に位置させる、
請求項1~3のいずれか一項に記載の小動物逸走防止装置。
【請求項5】
前記第一位置にいる前記人が操作可能に設けられ、操作に応じて電気信号を出力する操作スイッチを更に備え、
前記制御装置は、前記操作スイッチから出力された電気信号に基づいて、前記駆動装置を制御する、
請求項1~4のいずれか一項に記載の小動物逸走防止装置。
【請求項6】
前記制御装置及び前記駆動装置に電力供給が可能なバッテリと、
前記バッテリと商用電源とに選択的に接続されるコネクタと、
を更に備える、
請求項1~5のいずれか一項に記載の小動物逸走防止装置。
【請求項7】
前記制御装置は、前記通過防止体が前記所定位置に無い時間を計測するタイマを有し、 前記制御装置は、前記タイマによって、前記通過防止体が前記所定位置に無い状態で所定時間経過したことを計測すると、前記駆動装置を制御し、前記通過防止体を前記開口面に沿って移動させて前記所定位置に位置させる、
請求項1~6のいずれか一項に記載の小動物逸走防止装置。
【請求項8】
前記フレームは、前記通過防止体を前記開口面に沿って上下方向に案内する少なくとも一つのガイド部を有する、 請求項1~7のいずれか一項に記載の小動物逸走防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小動物逸走防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、従来のネズミ返し装置が記載されている。特許文献1に記載のネズミ返し装置は、複数の板と、複数の板同士を重なった状態に保つ磁石と、を備える。このネズミ返し装置では、出入口の下端部において、複数の板を磁石によって連結し、これを立てておくことで、ネズミが出入口を通過して逃げるのを防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実登3221305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1記載のネズミ返し装置では、出入口を人が通過する際、立てられている板を跨ぐ必要がある。しかし、特許文献1記載のネズミ返しでは、例えば、台車を押して出入口を通過する場合や、荷物を持ちながら出入口を通過する際には、出入口からネズミ返し装置を手で取り外す必要があり、煩わしいという問題がある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、小動物の通過を妨げる通過防止体を手で取り外す煩わしさを解消することができる小動物逸走防止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る一態様の小動物逸走防止装置は、第一位置と第二位置との間にあり、前記第一位置から前記第二位置に向かう人が通過可能な開口面を有するフレームと、前記開口面の下端から所定の高さまで延びた所定位置に配置されて小動物の前記開口面の通過を妨げる通過防止体と、前記通過防止体を前記所定位置から前記開口面に沿って移動させることで、前記通過防止体を前記開口面から退避させる駆動装置と、前記駆動装置を制御する制御装置と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る上記態様の小動物逸走防止装置は、小動物の通過を妨げる通過防止体を手で取り外す煩わしさを解消することができる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る小動物逸走防止装置の正面図である。
図2】同上の小動物逸走防止装置の一部破断した正面図である。
図3】同上の通過防止体を説明するための鉛直面での断面図である。
図4】同上のガイド部を説明するための水平面での断面図である。
図5】同上の側面図である。
図6】同上の通過防止体の移動を説明するための正面図である。
図7】同上の制御装置、駆動装置及びセンサのブロック図である。
図8】同上のセンサの配置を説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(1)実施形態
以下、本実施形態に係る小動物逸走防止装置1(以下、「逸走防止装置1」という)について、詳細に説明する。
【0010】
逸走防止装置1は、図1に示すように、建物内の人の通過部10に装置され、通過防止体3によって開口面24を通ろうとする小動物の移動を妨げ、人が開口面24を通過しようとするときについては、通過防止体3を開口面24から退避させる装置である。
【0011】
逸走防止装置1が装置される建物としては、特に制限はないが、例えば、動物実験施設、動物実験棟、小動物飼育施設、小動物飼育棟、校舎、店舗、住宅家屋等が挙げられる。また「通過部10」は、人が通過し得る建物の開口又は通路を意味し、例えば、廊下、通路、部屋の出入り口、エレベータフロアにおけるエレベータへの開口、非常口、昇降口、玄関の出入り口、勝手口等が挙げられる。本実施形態では、逸走防止装置1は、出入り口と実験動物管理区域とをつなぐ通路に装置されている。
【0012】
また「小動物」は、小型の動物を意味する。「小動物」としては、特に制限はないが、例えば、マウス、ラット、モルモット、スナネズミ、フェレット、ハムスター、ウサギ、イヌ、ミニブタ、トカゲ、モモンガ、ハリネズミ等が挙げられる。「小動物」は、例えば、実験動物であってもよいし、販売用の動物であってもよいし、観賞用の動物であってもよい。本実施形態では、小動物として、実験動物のマウスを想定している。
【0013】
逸走防止装置1は、図1に示すように、フレーム2と、通過防止体3と、駆動装置4と、複数のセンサ7と、制御装置6(図7)と、操作スイッチ8と、を備える。
【0014】
(1.1)フレーム
フレーム2は、通過部10の内面に沿って設置され、人が通過可能な開口面24を有する。フレーム2は、第一位置11と第二位置12との間に設置され、第一位置11から第二位置12に向かう人が開口面24を通過する。
【0015】
「開口面24」は、逸走防止装置1が通過部10に装置された状態で、フレーム2内に形成されている開口面24を意味し、必ずしも、フレーム2によって外周が囲まれている必要はない。すなわち、「開口面24」を囲む外周部は、左右方向の両側及び上側をフレーム2とし、下側を通過部10の一部(例えば、床)としてもよい。
【0016】
「第一位置11」は、人の通過方向において、開口面24よりも手前側の一範囲を意味する。本実施形態に係る「第一位置11」は、通路における開口面24よりも出入り口側の一範囲である。また、「第二位置12」は、人の通過方向において、開口面24よりも奥側の一範囲を意味する。本実施形態に係る「第二位置12」は、通路における開口面24よりも実験動物管理区域側にある一範囲である。以下では、第一位置11から第二位置12に向かう方向を「前方向」とし、その反対方向を「後方向」として定義する。また、前後方向に直交しかつ水平面に沿う方向を「左右方向」とし、前後方向及び左右方向に直交する方向を「上下方向」として定義する。
【0017】
フレーム2は、図2に示すように、左右方向に離れた一対の柱21と、横架材23と、を備える。
【0018】
柱21は、長手方向が上下方向に略平行に形成されており、床から天井にまで延びている。一対の柱21は、左右方向に離れており、通過部10の左右方向の両側面に沿っている。本実施形態では、各柱21は、通過部10の側面に接しているが、小動物が通過できない程度の間隙であれば、当該側面と柱21との間に間隙があってもよい。
【0019】
柱21は、中空の角柱状に形成されており、図1に示すように、骨組み211と、骨組み211に取り付けられた化粧材212と、を備える。骨組み211は、特に制限はないが、例えば、アルミフレーム、山形鋼、溝形鋼、軽量山形鋼、軽量溝形鋼、H形鋼、樹脂アングル等で構成される。化粧材212は、特に制限はないが、鉄板、鋼板、アルマイト処理されたアルミニウム板、アルミニウム合金、ステンレス鋼板、樹脂板等が挙げられる。骨組み211に対する化粧材212の取付けは、例えば、ねじ止め、リベット止め、溶接、溶着、接着、ピンによる止着、引っ掛け、スナップフィット構造等により実現される。
【0020】
横架材23は、一対の柱21の上端部同士をつなぐ。横架材23は、通過部10の天井面に略平行に形成されており、天井面との間に間隙がある。横架材23と天井面との間の間隙には、後述の駆動装置4の各要素(駆動源41、シャフト43等)が配置されている。横架材23は、柱21と同様に、骨組み211と、化粧材212と、を備える。骨組み211及び化粧材212は、柱21に用いられるものと同じである。
【0021】
(1.2)通過防止体
通過防止体3は、図2に示すように、小動物が開口面24を通過するのを妨げる。通過防止体3は、開口面24に沿って、所定位置から退避位置まで移動可能にフレーム2に取り付けられており、所定位置に配置されると、開口面24の下端から所定の高さまで延び、かつ開口面24の左右方向の全長にわたる。
【0022】
ここでいう「所定位置」とは、開口面24のうちの下端部を塞ぐような通過防止体3の位置を意味する。所定位置にある通過防止体3は、小動物が開口面24を通過するのを妨げることができる。本実施形態では、所定位置にある通過防止体3は、通過防止体3の下端面が床に接触しているが、例えば、通過防止体3の下端面と床との間に、小動物が通過できない程度であれば、間隙があってもよく、小動物が開口面24を通過するのを妨げることができるという作用を発揮する範囲であれば、通過防止体3が「所定位置」にある範疇である。
【0023】
また、「所定の高さ」とは、小動物が乗り越えられないように設定された高さ寸法を意味する。「所定の高さ」は、小動物に応じて適宜設定されるが、例えば、小動物が跳ねても越えられない高さであることが好ましく、450mm以上であることが好ましい。一方、通過防止体3の移動速度を適切な速度に保つべく、軽量化を図るという観点から、通過防止体3の高さは、600mm以下とすることが好ましい。
【0024】
通過防止体3は、略板状に形成されている。通過防止体3は、幅方向(所定位置において上下方向に平行な方向)が、湾曲するように変形可能に構成されており、退避位置において変形することができる。通過防止体3は、図2に示すように、複数の分割体31を備える。
【0025】
複数の分割体31は、上下方向に並んでいる。各分割体31の長手方向は、左右方向に略平行である。各分割体31は、図3に示すように、鎧張り状に配置されており、上下方向に隣り合う分割体31は、一部が重なっている。各分割体31は、通過防止体3を移動させるための動力伝達体47(ここではアタッチメント付きチェーン)が持つアタッチメント471に取り付けられている。分割体31を構成する材料としては、特に制限はないが、例えば、アルマイト処理されたアルミニウム合金、ステンレス(例えば、SUS304)、めっき鋼板、塗装鋼板、スチール、合成樹脂等が挙げられる。各分割体31は、本体部311と、覆い部312と、を備える。分割体31は、本体部311と覆い部312とが曲げ加工により一体に形成されている。
【0026】
本体部311は、分割体31の主体を構成する部分である。本体部311は、左右方向に帯状に形成されており、その両端部が動力伝達体47のアタッチメント471に取り付けられている。
【0027】
覆い部312は、当該本体部311と、下側に隣接する他の分割体31の本体部311との間を、後ろ側から覆う。覆い部312は、傾斜片313と、縦片314と、で構成されている。傾斜片313は、本体部311の下端から後ろ斜め下方に向かって突出しており、本体部311に対して傾斜している。縦片314は、傾斜片313の下端から下方向に突出しており、本体部311と略平行である。通過防止体3が平面状をなす状態では、縦片314の少なくとも一部と、他の分割体31の本体部311の上端部とが重なっている。
【0028】
ここで、図4には通過防止体3の水平断面図を示す。通過防止体3は、ガイド部22によって、開口面24に沿って上下方向に案内される。通過防止体3は、ガイドブラケット32と、一対の接触子33と、を備える。ガイドブラケット32は、分割体31に対して接触子33を取り付けるためのブラケットである。ガイドブラケット32は、断面クランク状に形成されており、複数の分割体31のうちの少なくとも一つの分割体31に取り付けられている。ガイドブラケット32は、分割体31の左右方向の端から左右方向の外側に突出している。ガイドブラケット32の左右方向の外側の端部には、一対の接触子33が取り付けられている。一対の接触子33は、分割体31から左右方向に突出したガイドブラケット32の一部分のうち、前方向に向く面と、後方向に向く面と、の両方に、一対一で取り付けられている。
【0029】
ガイド部22は、接触子33の上下方向の移動を案内する。ガイド部22は、接触子33に対し、前側と後ろ側の両側に配置されている。ガイド部22は、柱21(具体的には、骨組み211、チェーンガイド25等)に取り付けられており、上下方向の全長にわたって連続している。したがって、通過防止体3が上下方向に移動し、通過防止体3の移動に従って接触子33が上下方向に移動すると、接触子33がガイド部22に沿って移動する。このため、通過防止体3は、開口面24に沿ってスムーズに上下方向に沿って移動する。
【0030】
接触子33とガイド部22とは、互いに摺動(しゅう動)するが、本実施形態では、接触子33とガイド部22との摺動の際に生ずる摩擦力を低減するように構成されている。接触子33及びガイド部22は、例えば、ポリアセタール、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフェニレンサルファイド等の摺動性を持つ材料で構成されことが好ましい。また、接触子33とガイド部22との間に、グリース等の潤滑油が塗布されてもよい。
【0031】
(1.3)駆動装置
駆動装置4は、通過防止体3を、所定位置から退避位置まで、開口面24に沿って移動させる。退避位置は、開口面24から退いた通過防止体3の位置を意味する。退避位置に通過防止体3が位置すると、人が開口面24を通過する際に、通過防止体3が邪魔にならない。本実施形態では、退避位置にある通過防止体3は、横架材23の下端面よりも上方に位置する。ただし、本発明でいう「退避位置」は、通過防止体3の全てが開口面24から退く必要はなく、人が開口面24を通過する際に妨げにならなければ、通過防止体3の一部が開口面24上に位置していても「退避位置」の範疇である。駆動装置4は、図5に示すように、駆動源41と、駆動機構42と、を備える。
【0032】
駆動源41は、駆動装置4の動力源である。駆動源41としては、例えば、電動モータ、油圧モータ、超音波モータ、リニアモータ、リニアアクチュエータ、エアモータ、電動シリンダ、エアシリンダ、油圧シリンダ等が挙げられる。本実施形態では、駆動源41は、電動モータ(サーボモータ)である。駆動源41は、柱21の上端部に取り付けられた支持フレーム26に設置されている。駆動源41の出力軸は、駆動機構42のスプロケット(第一スプロケット44)に対し、動力伝達体47を介して、連結されている。
【0033】
駆動機構42は、図2に示すように、シャフト43と、第一スプロケット44と、一対の第二スプロケット45と、第三スプロケット46と、動力伝達体47と、一対の下部スプロケット48と、バランスウェイト49と、を備える。
【0034】
シャフト43は、駆動源41の回転動力を受けて回転する。シャフト43は、一対のベアリングユニット50によって、横架材23の上面に回転可能に取り付けられている。シャフト43の回転軸は、左右方向に平行である。
【0035】
第一スプロケット44は、シャフト43に取り付けられている。第一スプロケット44は、上述のように、駆動源41の出力軸に対し、動力伝達体47を介して、連結されている。したがって、駆動源41からの回転動力は、動力伝達体47を介して、第一スプロケット44に伝達し、シャフト43を回転させる。
【0036】
第二スプロケット45は、シャフト43に取り付けられており、シャフト43の回転に従って回転する。第二スプロケット45は、下部スプロケット48に対し、動力伝達体47を介して、連結されている。下部スプロケット48は、各柱21の下端部に回転可能に取り付けられている。下部スプロケット48の回転軸は、左右方向に平行である。
【0037】
駆動源41から出力された回転動力は、図5に示すように、シャフト43を回転させ、これに従って第二スプロケット45(図2)を回転させる。第二スプロケット45の回転動力は、下部スプロケット48に伝達する。このとき、動力伝達体47は、第二スプロケット45を駆動輪、下部スプロケット48を従動輪とした無限軌道として動作する。
【0038】
動力伝達体47は、動力を伝達するための部材であり、駆動源41からの動力の種類に応じて適宜選択される。動力伝達体47としては、例えば、チェーン、ベルト、ワイヤ、シャフト、ロッド、カム機構、歯車等が挙げられる。本実施形態に係る動力源は、電動モータであるため、動力伝達体47は、無端状に形成された、チェーンである。
【0039】
第二スプロケット45と下部スプロケット48とに掛けられた動力伝達体47には、通過防止体3が取り付けられている。このため、第二スプロケット45及び下部スプロケット48が回転すると、図6に示すように、動力伝達体47が無限軌道として動作し、通過防止体3が上下方向に移動する。通過防止体3は、所定位置(図6のA位置)と、退避位置(図6のB位置)との間で、往復移動することができる。
【0040】
なお、通過防止体3の所定位置と退避位置との位置制御は、下限センサ91(図7)及び上限センサ90(図7)、並びに制御装置6によって制御される。下限センサ91は、通過防止体3が下限位置(ここでは所定位置)に位置することを検出する。上限センサ90は、通過防止体3が上限位置(ここでは退避位置)に位置することを検出する。制御装置6は、下限センサ91又は上限センサ90から取得した電気信号に基づいて、駆動源41を制御する。下限センサ91及び上限センサ90は、非接触センサ、接触センサのいずれであってもよい。非接触センサとしては、例えば、フォトセンサ、近接センサ、光電センサ、ホール素子、ロータリエンコーダ等が挙げられる。
【0041】
第三スプロケット46は、図2に示すように、シャフト43に取り付けられており、バランスウェイト49に連結されている。バランスウェイト49は、シャフト43において、通過防止体3の自重により生ずるトルクに対し、反対方向のトルクを発生させ、これによって、駆動源41による通過防止体3の動作を安定させる。通過防止体3によるトルクとバランスウェイト49によるトルクとは、略同じであることが好ましいが、バランスウェイト49によるトルクが、通過防止体3によるトルクよりも小さくなるように、バランスウェイト49が設定されることが好ましい。これによって、仮に、通過防止体3が退避位置にあるときに、停電等によって駆動源41が停止しても、通過防止体3を、ゆっくりとした動きで、所定位置に向かって移動させることができる。
【0042】
(1.4)制御装置
制御装置6は、駆動装置4を制御する。制御装置6は、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを主構成とする。すなわち、マイクロコントローラのメモリに記録されたプログラムを、マイクロコントローラのプロセッサが実行することにより、制御部61の機能が実現される。制御装置6は、図7に示すように、制御部61と、タイマ62と、を備える。
【0043】
制御部61は、各種センサ7から入力された電気信号を取得すると、この電気信号に基づいて、駆動源41を動作させる。また、制御部61は、駆動源41を制御することで、通過防止体3の移動速度を調整することができる。
【0044】
タイマ62は、通過防止体3が所定位置に無い時間を計測する。「通過防止体3が所定位置に無い」とは、通過防止体3が退避位置にある場合だけでなく、通過防止体3が退避位置と所定位置との間にある場合も含む。
【0045】
タイマ62は、通過防止体3が所定位置に無い状態で所定時間経過したことを計測すると、その情報を制御部61に出力する。すると、制御部61は、駆動源41を制御し、通過防止体3を、開口面24に沿って移動させて所定位置に位置させる。これによって、通過防止体3が所定位置に無い状態のまま長時間経過するのを防ぐことができる。ここでいう「所定時間」とは、例えば、15秒以上60秒以下であることが好ましいが、開口面24の面積や小動物に応じて、ユーザが適宜設定してもよい。
【0046】
(1.5)センサ
センサ7は、検知範囲内に人がいることを検知する。各センサ7としては、例えば、光電センサ、赤外線センサ、超音波センサ等の人感センサが挙げられるが、本実施形態では、光電センサ7が用いられる。複数のセンサ7として、図8に示すように、複数の第一センサ71と、複数の第二センサ72と、複数の第三センサ73と、複数の第四センサ74と、を備える。制御部61は、各センサ7による検知結果を用いて、駆動源41を制御することができる。
【0047】
ここでいう「人がいることを検知する」とは、人と一緒に移動する物を検知したことをもって、人がいることを検知することも含む。例えば、人が台車を押す場合に台車を検知すること、及び人が荷物を抱える場合に荷物を検知することも「人がいることを検知する」範疇である。
【0048】
ここで、図8には、各センサ7の検知範囲を破線で示している。なお、図8において検知範囲は説明の便宜上表現しているに過ぎず、実際には、検知範囲は現れない。
【0049】
第一センサ71は、第一位置11に人がいることを検知する。第一センサ71は、第一位置11に人がいることを検知すると、それに応じた電気信号を生成し、制御装置6に出力する。制御装置6の制御部61は、第一センサ71から電気信号が入力されると、電気信号に応じて駆動源41を制御し、通過防止体3を退避位置に移動させる。
【0050】
第二センサ72は、第一位置11と開口面24との間に人がいることを検知する。第二センサ72は、第一位置11と開口面24との間に人がいることを検知すると、それに応じた電気信号を生成し、制御装置6に出力する。制御装置6の制御部61は、第二センサ72から電気信号が入力されると、電気信号に応じて駆動源41を制御し、駆動源41が作動中であれば駆動源41を停止させ、駆動源41が停止中であれば、そのまま停止状態を維持する。これによって、通過防止体3の移動中に、人が通過防止体3に接触するのを回避することができる。
【0051】
第三センサ73は、第二位置12に人がいることを検知する。第三センサ73は、第二位置12に人がいることを検知すると、それに応じた電気信号を生成し、制御装置6に出力する。制御装置6の制御部61は、第三センサ73から電気信号が入力されると、電気信号に応じて駆動源41を制御し、通過防止体3を所定位置に移動させる。
【0052】
第四センサ74は、第二位置12と開口面24との間に人がいることを検知する。第四センサ74は、第二位置12と開口面24との間に人がいることを検知すると、それに応じた電気信号を生成し、制御装置6に出力する。制御装置6の制御部61は、第四センサ74から電気信号が入力されると、電気信号に応じて駆動源41を制御し、駆動源41が作動中であれば駆動源41を停止させ、駆動源41が停止中であれば、そのまま停止状態を維持する。これによって、通過防止体3の移動中に、人が通過防止体3に接触するのを回避することができる。
【0053】
各センサ7は、図8に示すように、左右方向に離れて配置されている。例えば、複数の第一センサ71のうち、一の第一センサ71は通過部10の左側の側面に取り付けられ、他の一の第一センサ71は通過部10の右側の側面に取り付けられる。これによって、仮に人が通過部10を移動する際に、一方の側面に片寄った位置にいても、人が検知できない事態を回避することができる。
【0054】
また、図1に示すように、第一センサ71、第二センサ72、第三センサ73及び第四センサ74は、それぞれ、上側センサと、下側センサと、を備える(すなわち、本実施形態では、第一センサ71は、四つのセンサ7を有する)。下側センサの検知範囲は、小動物の高さよりも高い位置に設定されている。下側センサによって、例えば、人体よりも台車が先行して進む場合に、台車を検知することができる。これによれば、台車が通過防止体3に干渉するのを防ぐことができる。
【0055】
上側センサの検知範囲は、成人男性の平均的な腰の高さ以上の高さに設定されている。上側センサによって、例えば、荷物を腕に抱えて移動する際に、人体よりも先に荷物を検知することができる。これによれば、腕に抱えた荷物が通過防止体3に干渉するのを防ぐことができる。
【0056】
(1.6)操作スイッチ
操作スイッチ8は、第一位置11にいる人が操作可能に設けられている。操作スイッチ8は、操作に応じて電気信号を出力する。ここで「第一位置11にいる人が操作可能に設けられている」とは、操作スイッチ8が第一位置11にあるかどうかは問わず、第一位置11にいる人が操作できる位置にあればよい。例えば、操作スイッチ8は、通過部10の側面に取り付けられてもよいし、柱21に取り付けられてもよいし、天井から吊り下げられてもよい。操作スイッチ8が操作されると、操作スイッチ8は操作に応じて電気信号を出力する。操作スイッチ8によって出力された電気信号は、制御装置6に入力される。
【0057】
操作スイッチ8は、例えば、上昇ボタン、下降ボタン及停止ボタン(非常停止ボタン)を有する。上昇ボタンが操作されると、制御部61は通過防止体3を上昇させる。下降ボタンが操作されると、制御部61は通過防止体3を下降させる。停止ボタンが操作すると、制御部61は移動中の通過防止体3を停止させる。ここでいう「操作」は、例えば、押し操作、スライド操作、引張り操作、タッチ操作等が挙げられる。ここでの操作は、センサ7の検知結果を用いた制御装置6による制御に対して優先されることが好ましい。
【0058】
(1.7)その他
制御装置6は、特に図示しないが、商用電源のコンセントに接続可能なコネクタ(ここではプラグ)を有し、商用電源から電力の供給を受けて駆動する。制御装置6に供給された電力は、駆動装置4及び操作スイッチ8に供給される。制御装置6は、AC/DCコンバータを内蔵しており、商用電源から交流電力の供給を受けると、AC/DCコンバータによって直流電力に変換し、当該電力によって制御装置6自身が作動すると共に、駆動装置4及び操作スイッチ8に電力を供給する。
【0059】
また、制御装置6は、バッテリから直流電力を受けることでも駆動すると共に駆動装置4及び操作スイッチ8に電力を供給することができる。したがって、例えば、停電時に、操作スイッチ8のコネクタをバッテリにつなぎ変えることで、操作スイッチ8は、バッテリから電力の供給を受けることができ、停電時においても、一時的に動作させることができる。したがって、本実施形態に係る小動物逸走防止装置1は、バッテリを備えている。
【0060】
また、逸走防止装置1は、通過防止体3の移動中に音を出力するスピーカ(不図示)を有する。これにより、通過防止体3が移動していることを知らしめることができ、安全性をより高めることができる。
【0061】
(2)変形例
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0062】
上記実施形態に係る逸走防止装置1では、通路において実験動物管理区域側が第二位置12となるように装置されたが、本発明では、通路において実験動物管理区域側が第一位置11となるように装置されてもよい。また、本実施形態では、人は、第一位置11から第二位置12の一方向に向かうように設定されていたが、第一位置11と第二位置12との双方向に移動可能としてもよい。この場合、人が開口面24に向かうときの開口面24の手前側を「第一位置11」とし、奥側を「第二位置12」とし、センサ7の検知に対する制御を、人の移動方向に応じて切り替えればよい。
【0063】
上記実施形態では通過防止体3は、複数の分割体31を備えたが、本発明では、柔軟性を持つ樹脂板等で構成されてもよいし、鎧戸によって構成されてもよい。また、上記実施形態に係る通過防止体3は、幅方向に湾曲するように可変するが、本発明では、通過防止体3は、変形しない板体で構成されてもよい。
【0064】
上記実施形態に係る通過防止体3は、開口面24に沿うように、所定位置から上方向に移動するように構成されたが、本発明では、これに限らず、所定位置から下方向に移動し、通過防止体3が床面に沿って移動してもよいし、所定位置から左右方向のいずれかにスライド移動してもよいし、所定位置から、中心よりも右側半部は右方向に移動し、かつ中心よりも左側半部は左方向に移動してもよい。また、通過防止体3の左右方向のいずれか一方の端部の下端において、前後方向に沿う回転軸を中心に回転させて、通過防止体3を開口面24に沿って移動させてもよい。
【0065】
また、本実施形態に係る逸走防止装置1では、左右方向の両側の柱21がガイド部22を有するが、本発明では、いずれか一方の柱21のみがガイド部22を有してもよい。
【0066】
上記実施形態に係る逸走防止装置1では、センサ7の検知結果を用いて、駆動装置4の駆動源41を制御したが、本発明では、センサ7を用いることなく、操作スイッチ8の操作に応じた電気信号に基づいて、駆動装置4を制御してもよい。
【0067】
(3)態様
以上説明したように、第1の態様に係る小動物逸走防止装置1は、第一位置11と第二位置12との間にあり、第一位置11から第二位置12に向かう人が通過可能な開口面24を有するフレーム2と、開口面24の下端から所定の高さまで延びた所定位置に配置されて小動物の開口面24の通過を妨げる通過防止体3と、通過防止体3を所定位置から開口面24に沿って移動させることで、通過防止体3を開口面24から退避させる駆動装置4と、駆動装置4を制御する制御装置6と、を備える。
【0068】
この態様によれば、通常時は、通過防止体3によって、小動物の開口面24の通過を妨げることができながら、人が開口面24を通過する際には、駆動装置4によって通過防止体3を開口面24から退避させることができるため、人が通過防止体3を取り外す煩わしさを解消することができる。
【0069】
第2の態様に係る小動物逸走防止装置1では、第1の態様において、第一位置11に人がいることを検知するセンサ7を更に備える。制御装置6は、センサ7にて第一位置11に人がいることを検知すると、駆動装置4を制御し、通過防止体3を開口面24から退避させる。
【0070】
この態様によれば、人が開口面24の手前に位置すると、通過防止体3が開口面24から退避するため、人が荷物を持っていたり、台車を押していたりして、手が空いていなくても、通過防止体3を開口面24から退避させることができ、人が開口面24をスムーズに通過することができる。
【0071】
第3の態様に係る小動物逸走防止装置1では、第2の態様において、センサ7を第一センサ71とする。第一位置11と開口面24との間に人がいることを検知する第二センサ72を更に備える。制御装置6は、第二センサ72にて人がいることを検知すると、駆動装置4を制御し、通過防止体3を停止させる。
【0072】
この態様によれば、人体又は荷物が、移動中の通過防止体3に接触するのを防ぐことができる。
【0073】
第4の態様に係る小動物逸走防止装置1では、第1~3のいずれか1つの態様において、第二位置12に人がいることを検知するセンサ7を更に備える。制御装置6は、通過防止体3が開口面24から退避した状態で、センサ7にて第二位置12に人がいることを検知すると、駆動装置4を制御し、通過防止体3を開口面24に沿って移動させて所定位置に位置させる。
【0074】
この態様によれば、開口面24を通過した後に、通過防止体3を所定位置に戻すことを忘れるのを防ぐことができる。
【0075】
第5の態様に係る小動物逸走防止装置1では、第1~4のいずれか1つの態様において、第一位置11にいる人が操作可能に設けられ、操作に応じて電気信号を出力する操作スイッチ8を更に備える。制御装置6は、操作スイッチ8から出力された電気信号に基づいて、駆動装置4を制御する。
【0076】
この態様によれば、操作スイッチ8によって、通過防止体3を移動させることができる。これにより、例えば、通過防止体3の移動中に緊急に停止させたい場合、操作スイッチ8によって通過防止体3を停止させることもできる。
【0077】
第6の態様に係る小動物逸走防止装置1では、第1~5のいずれか1つの態様において、電力供給が可能なバッテリと、バッテリと商用電源とに選択的に接続されるコネクタと、を更に備える。
【0078】
この態様によれば、通常時は商用電源に対してコネクタを接続し、停電時には、バッテリにコネクタを接続することで、停電時にも小動物逸走防止装置1を動作させることができる。
【0079】
第7の態様に係る小動物逸走防止装置1では、第1~6のいずれか1つの態様において、制御装置6は、通過防止体3が所定位置に無い時間を計測するタイマ62を有する。制御装置6は、タイマ62によって、通過防止体3が所定位置に無い状態で所定時間経過したことを計測すると、駆動装置4を制御し、通過防止体3を開口面24に沿って移動させて所定位置に位置させる。
【0080】
この態様によれば、例えば、人が通過防止体3を所定位置に戻し忘れたり、人がセンサ7の検知範囲にまで到達する前に立ち止まって立ち話を行ったりしても、通過防止体3を所定位置に位置させることができる。
【0081】
第8の態様に係る小動物逸走防止装置1では、第1~7のいずれか1つの態様において、フレーム2は、通過防止体3を開口面24に沿って上下方向に案内する少なくとも一つのガイド部22を有する。
【0082】
この態様によれば、通過防止体3をスムーズに移動させることができる。
【0083】
第2~第8の態様に係る構成については、小動物逸走防止装置1に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0084】
1 逸走防止装置(小動物逸走防止装置)
11 第一位置
12 第二位置
2 フレーム
22 ガイド部
24 開口面
3 通過防止体
4 駆動装置
6 制御装置
62 タイマ
7 センサ
71 第一センサ(センサ)
72 第二センサ
73 第三センサ(センサ)
8 操作スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8