(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】ドローンの制御システム、ドローンの制御方法およびドローン
(51)【国際特許分類】
A01G 7/00 20060101AFI20230925BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20230925BHJP
B64C 27/08 20230101ALI20230925BHJP
B64C 13/20 20060101ALI20230925BHJP
A01M 7/00 20060101ALI20230925BHJP
G05D 1/10 20060101ALI20230925BHJP
【FI】
A01G7/00 603
B64C39/02
B64C27/08
B64C13/20 Z
A01M7/00 H
G05D1/10
(21)【出願番号】P 2019203078
(22)【出願日】2019-11-08
【審査請求日】2022-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】515019537
【氏名又は名称】株式会社ナイルワークス
(74)【代理人】
【識別番号】100103872
【氏名又は名称】粕川 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100139778
【氏名又は名称】栗原 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100088856
【氏名又は名称】石橋 佳之夫
(74)【代理人】
【識別番号】100149456
【氏名又は名称】清水 喜幹
(74)【代理人】
【識別番号】100194238
【氏名又は名称】狩生 咲
(72)【発明者】
【氏名】黒川 圭一
(72)【発明者】
【氏名】和氣 千大
(72)【発明者】
【氏名】加藤 宏記
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/003082(WO,A1)
【文献】特開2018-111429(JP,A)
【文献】特開2003-339238(JP,A)
【文献】杉浦 綾、外2名,“UAVからの時系列画像によるバレイショ疫病の病徴評価”,第57回 システム制御情報学会 研究発表講演会講演論文集,日本,システム制御情報学会,2013年05月15日,pp.1-3
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 7/00
B64C 39/02
B64C 27/08
B64C 13/20
A01M 7/00
G05D 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場に生育する作物の生育情報を取得する生育情報取得部と、
前記作物の病理情報を取得する病理情報取得部と、
前記圃場に散布物を散布する散布制御部と、のいずれか2つ以上を備え、
前記生育情報に基づく生育診断、前記病理情報に基づく病理診断および前記散布物の散布のいずれか
複数のフライト目的
に応じて、ドローンを前記圃場の上空を網羅的に走査して飛行させる、ドローンの制御システムであって、
前記ドローンの前記フライト目的と、飛行高度の目標値、飛行速度の目標値および飛行経路の飛行密度の目標値の少なくともいずれかと、が対応付けられて記憶される記憶部と、
前記フライト目的に応じた飛行高度、飛行速度、および平面上の飛行
密度の少なくともいずれかに
前記ドローンを制御して、前記ドローンを前記圃場の上空に飛行させる飛行制御部と、
を備える、
ドローンの制御システム。
【請求項2】
前記生育情報取得部と前記病理情報取得部とを備え、
前記飛行制御部は、
前記生育診断よりも詳細な画像を必要とする前記病理診断を前記フライト目的とする飛行を、前記生育診断を前記フライト目的とする飛行よりも低い飛行高度で前記ドローンを飛行させる、
請求項1記載のドローンの制御システム。
【請求項3】
前記生育情報取得部と前記病理情報取得部とを備え、
前記飛行制御部は、
前記生育診断よりも詳細な画像を必要とする前記病理診断を前記フライト目的とする飛行を、前記生育診断を前記フライト目的とする飛行よりも低い飛行速度で前記ドローンを飛行させる、
請求項1又は請求項2に記載のドローンの制御システム。
【請求項4】
前記生育情報取得部と前記病理情報取得部とを備え、
前記飛行制御部は、
前記生育診断よりも詳細な画像を必要とする前記病理診断を前記フライト目的とする飛行における平面上の前記飛行経路の飛行密度が、前記生育診断を前記フライト目的とする飛行よりも高い飛行
密度となるように前記ドローンを飛行させる、
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のドローンの制御システム。
【請求項5】
前記生育情報取得部と前記病理情報取得部とを備え、
前記飛行制御部は、前記生育診断および前記病理診断
の双方を前記フライト目的とする飛行
の場合には、前記生育診断よりも詳細な画像を必要とする前記病理診断を前記フライト目的とする飛行に対応付けられる前記飛行高度の目標値、前記飛行速度の目標値および前記飛行
密度の目標
値の少なくともいずれかに基づいて前記ドローンを制御する、
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のドローンの制御システム。
【請求項6】
前記飛行制御部は、前記散布と、前記生育診断又は前記病理診断と、
の双方を前記フライト目的とする飛行
の場合には、前記散布を前記フライト目的とする飛行に対応付けられる前記飛行高度の目標値、前記飛行速度の目標値および前記飛行
密度の目標
値の少なくともいずれかで前記ドローンを制御する、
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のドローンの制御システム。
【請求項7】
ユーザの入力を受け付けるユーザインターフェース装置をさらに備え、
前記ユーザインターフェース装置からフライトの飛行予定日の入力を受け付けると、前記生育診断および前記病理診断の実施期間と、前記生育診断および前記病理診断に必要とされる実施頻度と、に応じて、
当該飛行予定日のフライトにおける前記フライト目的を
前記生育診断および前記病理診断のいずれにするか決定する、フライト計画部をさらに備える、
請求項1乃至6のいずれかに記載のドローンの制御システム。
【請求項8】
前記フライト計画部は、前記実施期間および前記実施頻度に応じて、前記フライトの実施予定時点を決定する、
請求項7記載のドローンの制御システム。
【請求項9】
前記フライト目的を入力するユーザインターフェース装置をさらに備え、
前記飛行制御部は、入力される前記フライト目的に応じて、前記飛行高度の目標値、前記飛行速度の目標値、および前記飛行
密度の目標
値の少なくともいずれかで前記ドローンを制御する、
請求項1乃至7のいずれかに記載のドローンの制御システム。
【請求項10】
圃場に生育する作物の生育情報を取得する生育情報取得部と、
前記作物の病理情報を取得する病理情報取得部と、
前記圃場に散布物を散布する散布制御部と、のいずれか2つ以上を備え、
前記生育情報に基づく生育診断、前記病理情報に基づく病理診断および前記散布物の散布のいずれか
複数のフライト目的に応じて、
前記圃場の上空を網羅的に走査して飛行させるドローンであって、
前記ドローンの前記フライト目的と、飛行高度の目標値、飛行速度の目標値および飛行経路の飛行密度の目標値の少なくともいずれかと、が対応付けられて記憶される記憶部と、
前記フライト目的に応じた飛行高度、飛行速度、および平面上の飛行経路の少なくともいずれかを制御して、前記圃場の上空に飛行させる飛行制御部と、
を備える、
ドローン。
【請求項11】
前記生育情報取得部と前記病理情報取得部とを備え、
前記飛行制御部は、
前記生育診断よりも詳細な画像を必要とする前記病理診断を前記フライト目的とする飛行を、前記生育診断を前記フライト目的とする飛行よりも低い飛行高度で飛行する、
請求項10に記載のドローン。
【請求項12】
前記生育情報取得部と前記病理情報取得部とを備え、
前記飛行制御部は、
前記生育診断よりも詳細な画像を必要とする前記病理診断を前記フライト目的とする飛行を、前記生育診断を前記フライト目的とする飛行よりも低い飛行速度で飛行する、
請求項10又は請求項11に記載のドローン。
【請求項13】
前記生育情報取得部と前記病理情報取得部とを備え、
前記飛行制御部は、
前記生育診断よりも詳細な画像を必要とする前記病理診断を前記フライト目的とする飛行における平面上の前記飛行経路の飛行密度が、前記生育診断を前記フライト目的とする飛行よりも高い飛行経路密度となるように飛行する、
請求項10乃至請求項12のいずれかに記載のドローン。
【請求項14】
前記飛行制御部は、前記散布と、前記生育診断又は前記病理診断と、
の双方を前記フライト目的とする飛行
の場合には、前記散布を前記フライト目的とする飛行に対応付けられる前記飛行高度の目標値、前記飛行速度の目標値および前記飛行
密度の目標
値の少なくともいずれかを制御する、
請求項10乃至請求項13のいずれかに記載のドローン。
【請求項15】
圃場に生育する作物の生育状態を診断するために作物の画像を取得する生育情報取得、
前記作物の病理状態を診断するために作物の画像を取得する病理情報取得、
前記圃場に散布物を散布する散布、
のフライト目的に応じて、
ドローンを前記圃場の上空を網羅的に走査して飛行させる、ドローンの制御方法であって、
前記ドローンの前記フライト目的と、飛行高度の目標値、飛行速度の目標値および飛行経路の飛行密度の目標値の少なくともいずれかと、が対応付けられて記憶される記憶部を参照し、
前記フライト目的に応じた飛行高度、飛行速度、および平面上の飛行密度の少なくともいずれかに前記ドローンを制御して、前記ドローンを前記圃場の上空に飛行させる飛行制御ステップ
を含む、
ドローンの制御方法。
【請求項16】
前記飛行制御ステップにおいて、
前記生育診断よりも詳細な画像を必要とする前記病理情報取得を前記フライト目的とする飛行を、前記生育情報取得を前記フライト目的とする飛行よりも低い飛行高度で前記ドローンを飛行させる、
請求項15に記載のドローンの制御方法。
【請求項17】
前記飛行制御ステップにおいて、
前記生育診断よりも詳細な画像を必要とする前記病理情報取得を前記フライト目的とする飛行を、前記生育情報取得を前記フライト目的とする飛行よりも低い飛行速度で前記ドローンを飛行させる、
請求項15又は請求項16に記載のドローンの制御方法。
【請求項18】
前記飛行制御ステップにおいて、
前記生育診断よりも詳細な画像を必要とする前記病理情報取得を前記フライト目的とする飛行における平面上の飛行経路の飛行密度が、前記生育情報取得を前記フライト目的とする飛行よりも高い飛行経路密度となるように前記ドローンを飛行させる、
請求項15乃至請求項17のいずれかに記載のドローンの制御方法。
【請求項19】
前記生育情報取得
および前記病理情報取得
の双方を前記フライト目的とする飛行
の場合に
は、前記飛行制御ステップにおいて、
前記生育診断よりも詳細な画像を必要とする前記病理診断を前記フライト目的とする飛行に対応付けられる前記飛行高度の目標値、前記飛行速度の目標値および前記飛行密度の目標値の少なくともいずれかに基づいて前記ドローンを制御する、
請求項15乃至請求項18のいずれかに記載のドローンの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ドローンの制御システム、ドローンの制御方法およびドローンに関する。
【背景技術】
【0002】
一般にドローンと呼ばれる小型ヘリコプター(マルチコプター)の応用が進んでいる。その重要な応用分野の一つとして農地(圃場)への農薬や液肥などの散布が挙げられる(たとえば、特許文献1)。比較的狭い農地においては、有人の飛行機やヘリコプターではなくドローンの使用が適しているケースが多い。
【0003】
また、ドローンに搭載されたカメラを用いて、圃場の作物の生育診断および病理診断を行う技術が知られている。生育診断および病理診断とでは、分析する対象が異なるため、診断に求められる撮影画像の精度および監視頻度が異なる。また、散布を目的とする飛行における最適な飛行方法は、診断を目的とする飛行とは異なる。そこで、フライト目的に応じてドローンの飛行方法を適切に制御する、飛行制御システムが必要とされている。
【0004】
特許文献2には、飛行中の撮像画像を取得する画像解析手段と、画像解析した手段に基づいて、作物に付着している害虫を検出する害虫検出手段と、害虫が付着している作物の位置情報に基づいて害虫駆除剤を散布するように移動体を制御する移動体制御手段と、を備える移動体制御アプリケーションが開示されている。
【0005】
特許文献3には、飛行ロボットの飛行高度が設定高度未満のときに、撮影を許可して、飛行ロボットの飛行速度を基準速度以下に制限する監視システムが開示されている。
【0006】
特許文献4には、散布機構を有する無人ヘリコプターによる散布を支援する装置であって、目標散布濃度に基づいて高度又は速度を含む目標飛行特性を決定する散布支援装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許公開公報 特開2001-120151
【文献】特許公報 特許6427301
【文献】特許公報 特許6539072
【文献】特許公開公報 特開2014-113864
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
フライト目的に応じてドローンの飛行方法を適切に制御する、ドローンの飛行制御システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の一の観点に係るドローンの飛行制御システムは、圃場に生育する作物の生育情報を取得する生育情報取得部と、前記作物の病理情報を取得する病理情報取得部と、前記圃場に散布物を散布する散布制御部と、のいずれか2つ以上を備え、前記生育情報に基づく生育診断、前記病理情報に基づく病理診断および前記散布物の散布のいずれか1以上のフライト目的に応じた飛行高度、飛行速度、および平面上の飛行経路の少なくともいずれかにドローンを制御して、前記ドローンを前記圃場の上空に飛行させる飛行制御部と、を備える。
【0010】
前記生育情報取得部と前記病理情報取得部とを備え、前記飛行制御部は、前記病理診断を前記フライト目的とする飛行を、前記生育診断を前記フライト目的とする飛行よりも低い飛行高度で前記ドローンを飛行させるものとしてもよい。
【0011】
前記生育情報取得部と前記病理情報取得部とを備え、前記飛行制御部は、前記病理診断を前記フライト目的とする飛行を、前記生育診断を前記フライト目的とする飛行よりも低い飛行速度で前記ドローンを飛行させるものとしてもよい。
【0012】
前記生育情報取得部と前記病理情報取得部とを備え、前記飛行制御部は、前記病理診断を前記フライト目的とする飛行における平面上の前記飛行経路の飛行密度が、前記生育診断を前記フライト目的とする飛行よりも高い飛行経路密度となるように前記ドローンを飛行させるものとしてもよい。
【0013】
前記生育情報取得部と前記病理情報取得部とを備え、前記フライト目的と、前記飛行高度の目標値、前記飛行速度の目標値および前記飛行経路の目標の少なくともいずれかと、が対応付けられて記憶される記憶部を備え、前記飛行制御部は、前記生育診断および前記病理診断を前記フライト目的とする飛行において、前記病理診断を前記フライト目的とする飛行に対応付けられる前記飛行高度の目標値、前記飛行速度の目標値および前記飛行経路の目標の少なくともいずれかに基づいて前記ドローンを制御するものとしてもよい。
【0014】
前記フライト目的と、前記飛行高度の目標値、前記飛行速度の目標値および前記飛行経路の目標の少なくともいずれかと、が対応付けられて記憶される記憶部を備え、前記飛行制御部は、前記散布と、前記生育診断又は前記病理診断と、を前記フライト目的とする飛行において、前記散布を前記フライト目的とする飛行に対応付けられる前記飛行高度の目標値、前記飛行速度の目標値および前記飛行経路の目標の少なくともいずれかで前記ドローンを制御するものとしてもよい。
【0015】
前記生育診断および前記病理診断の実施期間と、前記生育診断および前記病理診断に必要とされる実施頻度と、に応じて、フライトにおける前記フライト目的を決定する、フライト計画部をさらに備えるものとしてもよい。
【0016】
前記フライト計画部は、前記実施期間および前記実施頻度に応じて、前記フライトの実施予定時点を決定するものとしてもよい。
【0017】
前記フライト目的を入力するユーザインターフェース装置をさらに備え、前記飛行制御部は、入力される前記フライト目的に応じて、前記飛行高度の目標値、前記飛行速度の目標値、および前記飛行経路の目標の少なくともいずれかで前記ドローンを制御するものとしてもよい。
【0018】
上記目的を達成するため、本発明の別の観点に係るドローンは、圃場に生育する作物の生育情報を取得する生育情報取得部と、前記作物の病理情報を取得する病理情報取得部と、前記圃場に散布物を散布する散布制御部と、のいずれか2つ以上を備え、前記生育情報に基づく生育診断、前記病理情報に基づく病理診断および前記散布物の散布のいずれか1以上のフライト目的に応じて、飛行高度、飛行速度、および平面上の飛行経路の少なくともいずれかを制御して、前記圃場の上空に飛行させる飛行制御部と、を備える。
【0019】
前記生育情報取得部と前記病理情報取得部とを備え、前記飛行制御部は、前記病理診断を前記フライト目的とする飛行を、前記生育診断を前記フライト目的とする飛行よりも低い飛行高度で飛行するものとしてもよい。
【0020】
前記生育情報取得部と前記病理情報取得部とを備え、前記飛行制御部は、前記病理診断を前記フライト目的とする飛行を、前記生育診断を前記フライト目的とする飛行よりも低い飛行速度で飛行するものとしてもよい。
【0021】
前記生育情報取得部と前記病理情報取得部とを備え、前記飛行制御部は、前記病理診断を前記フライト目的とする飛行における平面上の前記飛行経路の飛行密度が、前記生育診断を前記フライト目的とする飛行よりも高い飛行経路密度となるように飛行するものとしてもよい。
【0022】
前記フライト目的と、前記飛行高度の目標値、前記飛行速度の目標値および前記飛行経路の目標の少なくともいずれかと、が対応付けられて記憶される記憶部を備え、前記飛行制御部は、前記散布と、前記生育診断又は前記病理診断と、を前記フライト目的とする飛行において、前記散布を前記フライト目的とする飛行に対応付けられる前記飛行高度の目標値、前記飛行速度の目標値および前記飛行経路の目標の少なくともいずれかを制御するものとしてもよい。
【0023】
上記目的を達成するため、本発明のさらに別の観点に係るドローンの制御方法は、圃場に生育する作物の生育状態を診断するために作物の画像を取得する生育情報取得、前記作物の病理状態を診断するために作物の画像を取得する病理情報取得、前記圃場に散布物を散布する散布、のフライト目的に応じて、他のフライト目的時とは異なる飛行方法により、ドローンを前記圃場の上空に飛行させる飛行制御ステップを含む。
【0024】
前記飛行制御ステップにおいて、前記病理情報取得を前記フライト目的とする飛行を、前記生育情報取得を前記フライト目的とする飛行よりも低い飛行高度で前記ドローンを飛行させるものとしてもよい。
【0025】
前記飛行制御ステップにおいて、前記病理情報取得を前記フライト目的とする飛行を、前記生育情報取得を前記フライト目的とする飛行よりも低い飛行速度で前記ドローンを飛行させるものとしてもよい。
【0026】
前記飛行制御ステップにおいて、前記病理情報取得を前記フライト目的とする飛行における平面上の飛行経路の飛行密度が、前記生育情報取得を前記フライト目的とする飛行よりも高い飛行経路密度となるように前記ドローンを飛行させるものとしてもよい。
【0027】
前記フライト目的と、飛行高度の目標値、飛行速度の目標値および飛行経路の目標の少なくともいずれかと、が対応付けられて記憶される記憶部を備え、前記散布と、前記生育情報取得又は前記病理情報取得と、を前記フライト目的とする飛行を行う場合に、前記飛行制御ステップにおいて、前記散布を前記フライト目的とする飛行に対応付けられる飛行方法で前記ドローンを制御するものとしてもよい。
【発明の効果】
【0028】
フライト目的に応じてドローンの飛行方法を適切に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図6】本願発明に係る飛行制御システムの全体概念図である。
【
図7】上記ドローンが有する機能ブロック図である。
【
図8】本願発明に係る飛行制御システムが有するドローン、操作器、計画装置および診断装置の機能ブロック図である。
【
図9】上記飛行制御システムが有する飛行方法記憶部に記憶されている、フライト目的、飛行方法および各フライトの実施条件が互いに対応付けられる記憶テーブルの一例である。
【
図10】作物の各生長期における生育曲線の様子を示す模式的なグラフである。
【
図11】上記飛行制御システムが、フライト目的に応じて飛行方法を決定する流れを示すフローチャートである。
【
図12】上記飛行制御システムが、当該圃場におけるドローンの使用目的およびフライトスケジュールに応じてフライト計画を決定する流れを示すフローチャートである。
【
図13】上記飛行制御システムが、当該圃場におけるドローンの使用目的に応じてフライト計画を決定する流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図を参照しながら、本願発明を実施するための形態について説明する。図はすべて例示である。以下の詳細な説明では、説明のために、開示された実施形態の完全な理解を促すために、ある特定の詳細について述べられている。しかしながら、実施形態は、これらの特定の詳細に限られない。また、図面を単純化するために、周知の構造および装置については概略的に示されている。
【0031】
まず、本発明にかかるドローンの構成について説明する。本願明細書において、ドローンとは、動力手段(電力、原動機等)、操縦方式(無線であるか有線であるか、および、自律飛行型であるか手動操縦型であるか等)を問わず、複数の回転翼を有する飛行体全般を指すこととする。
【0032】
図1乃至
図5に示すように、回転翼101-1a、101-1b、101-2a、101-2b、101-3a、101-3b、101-4a、101-4b(ローターとも呼ばれる)は、ドローン100を飛行させるための手段であり、飛行の安定性、機体サイズ、および、電力消費量のバランスを考慮し、8機(2段構成の回転翼が4セット)備えられている。各回転翼101は、ドローン100の筐体110からのび出たアームにより筐体110の四方に配置されている。すなわち、進行方向左後方に回転翼101-1a、101-1b、左前方に回転翼101-2a、101-2b、右後方に回転翼101-3a、101-3b、右前方に回転翼101-4a、101-4bがそれぞれ配置されている。なお、ドローン100は
図1における紙面下向きを進行方向とする。
【0033】
回転翼101の各セットの外周には、略円筒形を形成する格子状のプロペラガード115-1,115-2,115-3,115-4が設けられ、回転翼101が異物と干渉しづらくなるようにしている。
図2および
図3に示されるように、プロペラガード115-1,115-2,115-3,115-4を支えるための放射状の部材は水平ではなくやぐら状の構造である。衝突時に当該部材が回転翼の外側に座屈することを促し、ローターと干渉することを防ぐためである。
【0034】
回転翼101は、回転軸から端部に伸びる各羽において、強度の異なる部分を有している。強度とは、例えば降伏強度又は破断強度である。特に、回転翼101は、一部強度が弱くなっていて、回転翼101に人や物を含む異物が干渉すると、当該強度の弱い部分が変形もしくは破断することで、人に危害を加えたり、物を破損させたりしづらい。怪我に至らない十分弱い衝撃にて、回転翼101を積極的に破断させることで、人への切傷を防止することができる。
【0035】
当該強度の弱い部分は、回転軸に近い部分であるとよく、例えば、回転軸から端部に伸びる長さ方向において中央より回転軸寄りに形成されている。また、強度の弱い部分は、1箇所でも複数箇所でもよい。強度の弱い部分は、他の部分とは異なる材質で形成されていてもよいし、形状によって強度が弱くなるように構成されていてもよい。
【0036】
また、回転翼101は、回転軸から端部に伸びる各羽において弾性力の異なる部分を有していて、異物との干渉時に当該部分が弾性変形するようになっていてもよい。当該部分は、回転軸に近い部分であると良く、例えば、回転軸から端部に伸びる長さ方向において中央より回転軸寄りに形成されている。また、回転翼101は、全体が弾性体で形成されていてもよい。
【0037】
上述のような構成によれば、異物と干渉しても回転翼101が変形もしくは破断し、人への危害や物の破損を起こしづらく、より安全性の高いドローンを実現することができる。このような構成の場合、プロペラガード115-1,115-2,115-3,115-4はなくてもよい。プロペラガード115が不要となることで、より軽量かつ低コストなドローンを実現することができる。
【0038】
回転翼101の回転軸から下方には、それぞれ棒状の足107-1,107-2,107-3,107-4が伸び出ている。
【0039】
モーター102-1a、102-1b、102-2a、102-2b、102-3a、102-3b、102-4a、102-4bは、回転翼101-1a、101-1b、101-2a、101-2b、101-3a、101-3b、101-4a、101-4bを回転させる手段(典型的には電動機だが発動機等であってもよい)であり、一つの回転翼に対して1機設けられている。モーター102は、推進器の例である。1セット内の上下の回転翼(たとえば、101-1aと101-1b)、および、それらに対応するモーター(たとえば、102-1aと102-1b)は、ドローンの飛行の安定性等のために軸が同一直線上にあり、かつ、互いに反対方向に回転する。
【0040】
ノズル103-1、103-2、103-3、103-4は、散布物を下方に向けて散布するための手段であり4機備えられている。なお、本願明細書において、散布物とは、農薬、除草剤、液肥、殺虫剤、種、および、水などの圃場に散布される液体または粉体を一般的に指すこととする。
【0041】
タンク104は散布物を保管するためのタンクであり、重量バランスの観点からドローン100の重心に近い位置でかつ重心より低い位置に設けられている。ホース105-1、105-2、105-3、105-4は、タンク104と各ノズル103-1、103-2、103-3、103-4とを接続する手段であり、硬質の素材から成り、当該ノズルを支持する役割を兼ねていてもよい。ポンプ106は、散布物をノズルから吐出するための手段である。
【0042】
図6に本願発明に係るドローン100の飛行制御システムの全体概念図を示す。本図は模式図であって、縮尺は正確ではない。同図において、ドローン100、操作器401、小型携帯端末401aが、それぞれ基地局404と接続されていて、操作器401のみが営農クラウド405と接続されているが、接続関係は例示であり、これに限られない。ドローン100、操作器401、小型携帯端末401a、基地局404は、営農クラウド405にそれぞれ接続されている。これらの接続は、Wi-Fiや移動通信システム等による無線通信を行ってもよいし、一部又は全部が有線接続されていてもよい。
【0043】
操作器401は、使用者402の操作によりドローン100に指令を送信し、また、ドローン100から受信した情報(たとえば、位置、散布物の貯留量、電池残量、カメラ映像等)を表示するための手段であり、コンピューター・プログラムを稼働する一般的なタブレット端末等の携帯情報機器によって実現されてよい。操作器401は、ユーザインターフェース装置としての入力部4011および表示部4012を備える(
図8参照)。本願発明に係るドローン100は自律飛行を行なうよう制御されるが、離陸や帰還などの基本操作時、および、緊急時にはマニュアル操作が行なえるようになっていてもよい。携帯情報機器に加えて、緊急停止専用の機能を有する非常用操作器(図示していない)を使用してもよい。非常用操作器は緊急時に迅速に対応が取れるよう大型の緊急停止ボタン等を備えた専用機器であってもよい。さらに、操作器401とは別に、操作器401に表示される情報の一部又は全部を表示可能な小型携帯端末401a、例えばスマートホンがシステムに含まれていてもよい。また、小型携帯端末401aから入力される情報に基づいて、ドローン100の動作が変更される機能を有していてもよい。小型携帯端末401aは、例えば基地局404と接続されていて、基地局404を介して営農クラウド405からの情報等を受信可能である。
【0044】
圃場403は、ドローン100による散布の対象となる田圃や畑等である。実際には、圃場403の地形は複雑であり、事前に地形図が入手できない場合、あるいは、地形図と現場の状況が食い違っている場合がある。通常、圃場403は家屋、病院、学校、他の作物圃場、道路、鉄道等と隣接している。また、圃場403内に、建築物や電線等の侵入者が存在する場合もある。
【0045】
基地局404は、Wi-Fi通信の親機機能等を提供する装置であり、RTK-GPS基地局としても機能し、ドローン100の正確な位置を提供できるようになっていてもよい(Wi-Fi通信の親機機能とRTK-GPS基地局が独立した装置であってもよい)。また、基地局404は、3G、4G、およびLTE等の移動通信システムを用いて、営農クラウド405と互いに通信可能であってもよい。
【0046】
営農クラウド405は、典型的にはクラウドサービス上で運営されているコンピュータ群と関連ソフトウェアであり、操作器401と携帯電話回線等で無線接続されていてもよい。営農クラウド405は、ハードウェア装置により構成されていてもよい。営農クラウド405は、ドローン100が撮影した圃場403の画像を分析し、作物の生育状況を把握して、飛行ルートを決定するための処理を行ってよい。また、保存していた圃場403の地形情報等をドローン100に提供してよい。加えて、ドローン100の飛行および撮影映像の履歴を蓄積し、様々な分析処理を行ってもよい。
【0047】
小型携帯端末401aは例えばスマートホン等である。小型携帯端末401aの表示部には、ドローン100の運転に関し予測される動作の情報、より具体的にはドローン100が発着地点406に帰還する予定時刻や、帰還時に使用者402が行うべき作業の内容等の情報が適宜表示される。また、小型携帯端末401aからの入力に基づいて、ドローン100の動作を変更してもよい。
【0048】
通常、ドローン100は圃場403の外部にある発着地点406から離陸し、圃場403に散布物を散布した後に、あるいは、散布物の補充や充電等が必要になった時に発着地点406に帰還する。発着地点406から目的の圃場403に至るまでの飛行経路(侵入経路)は、営農クラウド405等で事前に保存されていてもよいし、使用者402が離陸開始前に入力してもよい。発着地点406は、ドローン100に記憶されている座標により規定される仮想の地点であってもよいし、物理的な発着台があってもよい。
【0049】
図7に本願発明に係る散布用ドローンの実施例の制御機能を表したブロック図を示す。フライトコントローラー501は、ドローン全体の制御を司る構成要素であり、具体的にはCPU、メモリー、関連ソフトウェア等を含む組み込み型コンピュータであってよい。フライトコントローラー501は、操作器401から受信した入力情報、および、後述の各種センサーから得た入力情報に基づき、ESC(Electronic Speed Control)等の制御手段を介して、モーター102-1a、102-1b、102-2a、102-2b、102-3a、102-3b、104-a、104-bの回転数を制御することで、ドローン100の飛行を制御する。モーター102-1a、102-1b、102-2a、102-2b、102-3a、102-3b、104-a、104-bの実際の回転数はフライトコントローラー501にフィードバックされ、正常な回転が行なわれているかを監視できる構成になっている。あるいは、回転翼101に光学センサー等を設けて回転翼101の回転がフライトコントローラー501にフィードバックされる構成でもよい。
【0050】
フライトコントローラー501が使用するソフトウェアは、機能拡張・変更、問題修正等のために記憶媒体等を通じて、または、Wi-Fi通信やUSB等の通信手段を通じて書き換え可能になっている。この場合において、不正なソフトウェアによる書き換えが行なわれないように、暗号化、チェックサム、電子署名、ウィルスチェックソフト等による保護が行われている。また、フライトコントローラー501が制御に使用する計算処理の一部が、操作器401上、または、営農クラウド405上や他の場所に存在する別のコンピュータによって実行されてもよい。フライトコントローラー501は重要性が高いため、その構成要素の一部または全部が二重化されていてもよい。
【0051】
フライトコントローラー501は、Wi-Fi子機機能503を介して、さらに、基地局404を介して操作器401とやり取りを行ない、必要な指令を操作器401から受信すると共に、必要な情報を操作器401に送信できる。この場合に、通信には暗号化を施し、傍受、成り済まし、機器の乗っ取り等の不正行為を防止できるようにしておいてもよい。基地局404は、Wi-Fiによる通信機能に加えて、RTK-GPS基地局の機能も備えている。RTK基地局の信号とGPS測位衛星からの信号を組み合わせることで、フライトコントローラー501により、ドローン100の絶対位置を数センチメートル程度の精度で測定可能となる。フライトコントローラー501は重要性が高いため、二重化・多重化されていてもよく、また、特定のGPS衛星の障害に対応するため、冗長化されたそれぞれのフライトコントローラー501は別の衛星を使用するよう制御されていてもよい。
【0052】
6軸ジャイロセンサー505はドローン機体の互いに直交する3方向の加速度を測定する手段であり、さらに、加速度の積分により速度を計算する手段である。6軸ジャイロセンサー505は、上述の3方向におけるドローン機体の姿勢角の変化、すなわち角速度を測定する手段である。地磁気センサー506は、地磁気の測定によりドローン機体の方向を測定する手段である。気圧センサー507は、気圧を測定する手段であり、間接的にドローンの高度も測定することもできる。レーザーセンサー508は、レーザー光の反射を利用してドローン機体と地表との距離を測定する手段であり、IR(赤外線)レーザーであってもよい。ソナー509は、超音波等の音波の反射を利用してドローン機体と地表との距離を測定する手段である。これらのセンサー類は、ドローンのコスト目標や性能要件に応じて取捨選択してよい。また、機体の傾きを測定するためのジャイロセンサー(角速度センサー)、風力を測定するための風力センサーなどが追加されていてもよい。また、これらのセンサー類は、二重化または多重化されていてもよい。同一目的複数のセンサーが存在する場合には、フライトコントローラー501はそのうちの一つのみを使用し、それが障害を起こした際には、代替のセンサーに切り替えて使用するようにしてもよい。あるいは、複数のセンサーを同時に使用し、それぞれの測定結果が一致しない場合には障害が発生したと見なすようにしてもよい。
【0053】
流量センサー510は散布物の流量を測定するための手段であり、タンク104からノズル103に至る経路の複数の場所に設けられている。液切れセンサー511は散布物の量が所定の量以下になったことを検知するセンサーである。
【0054】
生育診断カメラ512aは、圃場403を撮影し、画像分析のためのデータを取得する手段である。また、生育診断カメラ512aは、例えばマルチスペクトルカメラであるが、可視光線を受光するカメラであってもよい。病理診断カメラ512bは、圃場403に生育する作物を撮影し、病理診断のためのデータを取得する手段である。病理診断カメラ512bは、例えば可視光線を受光するカメラである。病理診断は、生育診断に比べて作物の詳細な画像を必要とするため、病理診断カメラ512bは、生育診断カメラ512aよりも高解像度であってもよい。また、病理診断カメラ512bの焦点距離は、生育診断カメラ512aの焦点距離よりも大きくてもよい。なお、生育診断カメラ512aおよび病理診断カメラ512bは、1個のハードウェア構成により実現されていてもよい。
【0055】
侵入者検知カメラ513はドローン侵入者を検知するためのカメラであり、画像特性とレンズの向きが生育診断カメラ512aおよび病理診断カメラ512bとは異なるため、生育診断カメラ512aおよび病理診断カメラ512bとは別の機器である。スイッチ514はドローン100の使用者402が様々な設定を行なうための手段である。侵入者接触センサー515はドローン100、特に、そのローターやプロペラガード部分が電線、建築物、人体、立木、鳥、または、他のドローン等の侵入者に接触したことを検知するためのセンサーである。なお、侵入者接触センサー515は、6軸ジャイロセンサー505で代用してもよい。カバーセンサー516は、ドローン100の操作パネルや内部保守用のカバーが開放状態であることを検知するセンサーである。注入口センサー517はタンク104の注入口が開放状態であることを検知するセンサーである。
【0056】
これらのセンサー類はドローンのコスト目標や性能要件に応じて取捨選択してよく、二重化・多重化してもよい。また、ドローン100外部の基地局404、操作器401、または、その他の場所にセンサーを設けて、読み取った情報をドローンに送信してもよい。たとえば、基地局404に風力センサーを設け、風力・風向に関する情報をWi-Fi通信経由でドローン100に送信するようにしてもよい。
【0057】
フライトコントローラー501はポンプ106に対して制御信号を送信し、吐出量の調整や吐出の停止を行なう。ポンプ106の現時点の状況(たとえば、回転数等)は、フライトコントローラー501にフィードバックされる構成となっている。
【0058】
LED107は、ドローンの操作者に対して、ドローンの状態を知らせるための表示手段である。LEDに替えて、または、それに加えて液晶ディスプレイ等の表示手段を使用してもよい。ブザーは、音声信号によりドローンの状態(特にエラー状態)を知らせるための出力手段である。Wi-Fi子機機能519は操作器401とは別に、たとえば、ソフトウェアの転送などのために外部のコンピューター等と通信するためのオプショナルな構成要素である。Wi-Fi子機機能に替えて、または、それに加えて、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、NFC等の他の無線通信手段、または、USB接続などの有線通信手段を使用してもよい。また、Wi-Fi子機機能に替えて、3G、4G、およびLTE等の移動通信システムにより相互に通信可能であってもよい。スピーカー520は、録音した人声や合成音声等により、ドローンの状態(特にエラー状態)を知らせる出力手段である。天候状態によっては飛行中のドローン100の視覚的表示が見にくいことがあるため、そのような場合には音声による状況伝達が有効である。警告灯521はドローンの状態(特にエラー状態)を知らせるストロボライト等の表示手段である。これらの入出力手段は、ドローンのコスト目標や性能要件に応じて取捨選択してよく、二重化・多重化してもよい。
【0059】
●制御システムの概要
図8に示すように、ドローン100の飛行制御システム1000は、例えばドローン100、操作器401、診断装置600および計画装置700を含むシステムであり、これらはネットワークNWを通じて互いに通信可能に接続されている。診断装置600および計画装置700は、ハードウェア構成であってもよいし、営農クラウド405上に構成されていてもよい。ドローン100、操作器401、診断装置600および計画装置700は、無線で互いに接続されていてもよいし、一部又は全部が有線により接続されていてもよい。なお、
図8に示した構成は例示であり、ある構成要素が別の構成要素を包含していてもよいし、各構成要素が有する機能部は、別の構成要素が有していてもよい。
【0060】
●ドローンの機能部
ドローン100は、情報処理を実行するためのCPU(Central Processing Unit)などの演算装置、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などの記憶装置を備え、これによりソフトウェア資源として少なくとも、飛行制御部1001、散布制御部1002、生育情報取得部1003および病理情報取得部1004を有する。
【0061】
飛行制御部1001は、モーター102を稼働させ、ドローン100の飛行および離着陸を制御する機能部である。飛行制御部1001は、例えばフライトコントローラー501によって実現される。飛行制御部1001は後述する飛行方法決定部702により決定された飛行高度、飛行速度、および飛行経路の少なくともいずれかにドローン100を制御して、ドローン100を圃場の上空に飛行させる。
【0062】
散布制御部1002は、ポンプ106を稼働させ、ノズル103-1、103-2、103-3、103-4からの散布物の散布を制御する機能部である。散布制御部1002は、例えばフライトコントローラー501によって実現される。
【0063】
生育情報取得部1003は、ドローン100が圃場の上空を飛行中に、当該圃場に生育する作物の生育情報を取得する機能部である。生育情報は、作物の生育状態を診断するための、作物の画像を含む。
【0064】
窒素吸収量により葉の葉緑素(クロロフィルa、クロロフィルb、カロテノイド等)の密度が変化することを利用し、葉の反射光の特性を分析することで、葉緑素の密度を推定して葉への窒素吸収量を推定し、この窒素吸収量に基づいて作物の生長度を測定できることが知られている。そこで、生育情報取得部1003は、圃場403から得られる日光の反射光を受信することで、作物の生育状況の分析に用いるデータを取得する。
【0065】
生育情報取得部1003は、生育診断カメラ512aにより作物の画像を取得する。生育診断カメラ512aは例えばマルチスペクトルカメラであり、互いに波長の異なる複数の光線を受信する。当該複数の光線は、例えば赤色光(波長約650nm)と近赤外光(波長約774nm)である。生育情報取得部1003は、ビームスプリッタを有し、光源から所定の周波数範囲の光線のみを取得する。生育情報取得部1003が受信する光線は、生育情報取得部1003から送信される光線が主に作物から反射される反射光を含む。ドローン100は、飛行制御部1001により圃場403を飛行しながら、生育情報取得部1003により圃場403から反射される反射光を受信することで、圃場403に生育する作物の生育情報を取得する。
【0066】
なお、生育情報取得部1003は、これに代えて、又はこれに加えて、分げつ数、茎又は稲穂の色、稲穂の量、もしくは茎の長さ又はたわみ量等の視覚的な情報を取得してもよい。この視覚的な情報のみを取得する場合、生育情報取得部1003は、可視光線を受光可能なカメラを利用することができる。
【0067】
病理情報取得部1004は、ドローン100が圃場の上空を飛行中に、当該圃場における作物の病気の罹患情報、すなわち病理情報を取得する機能部である。病理情報取得部1004は、病理診断カメラ512bにより、作物の病理状態を診断するための、作物の画像を取得する。病理情報取得部1004は、作物のうち病気特有の症状、例えば病斑が表れる部位の画像を取得する。また、病理情報取得部1004は、茎又は穂の色又は形を撮影してもよい。病気により、変色又は変形の可能性があるためである。
【0068】
なお、本実施形態においては、ドローン100が散布制御部1002、生育情報取得部1003および病理情報取得部1004を備えている構成としたが、本発明の技術的思想はこれに限られるものではなく、ドローン100は、散布制御部1002、生育情報取得部1003および病理情報取得部1004のいずれか2個以上を備えていればよい。
【0069】
●診断装置の機能部
図8に示すように、診断装置600は、ドローン100が取得する情報に基づいて、当該ドローン100が飛行する圃場403に生育する作物を診断する機能部である。診断装置600は、情報処理を実行するためのCPU(Central Processing Unit)などの演算装置、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などの記憶装置を備え、これによりソフトウェア資源として少なくとも、生育診断部601および病理診断部602を備える。
【0070】
生育診断部601は、生育情報取得部1003により取得される生育情報に基づいて、当該圃場における作物の生育状況を診断する機能部である。生育診断部601は、赤色光(波長約650nm)と近赤外光(波長約774nm)の反射光による画像に基づいてNDVI(Normalized Difference Vegetation Index)を計算し、赤色光の吸収率を求める。また、NDVIにより、有効受光面積を推定することができる。一般に、NDVIは(IR-R)/(IR+R)という計算式により求められる(ここで、IRは近赤外光の反射率、Rは赤色光の反射率である。)。IRとRは圃場の画像を周波数帯域毎に分析することにより得られる。
【0071】
生育診断部601は、生育情報取得部1003が受光する光線に対してハード的又はソフト的に周波数フィルタを掛けることで、生育状況に関連のある所定の周波数範囲の光線の光量、例えばパワースペクトル密度を取得する。なお、光量の計算処理は、生育情報取得部1003で行い、生育診断部601は受信される光量に基づいて生育状況を診断してもよい。
【0072】
生育診断部601は、あらかじめ記憶された、所定の周波数帯域における光量と生育量とを対応付ける情報に基づいて、当該圃場の生育状況を診断する。生育診断部601は、生育状況に基づいて、当該圃場における収穫量を予測してもよい。
【0073】
病理診断部602は、病理情報取得部1004により取得される病理情報に基づいて、当該圃場における作物の病気の罹患状況を診断する機能部である。病理診断部602は、例えば画像解析により、病気特有の病斑の有無を判定する。また、病理診断部602は、茎又は穂の色又は形を解析して、病理診断を行ってもよい。
【0074】
●計画装置の機能部
図8に示すように、計画装置700は、情報処理を実行するためのCPU(Central Processing Unit)などの演算装置、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などの記憶装置を備え、これによりソフトウェア資源として少なくとも、飛行方法記憶部701、飛行方法決定部702、およびフライト計画部703を有する。
【0075】
飛行方法記憶部701は、ドローン100のフライト目的と、作業中におけるドローン100の飛行方法と、当該フライトの実施条件と、が互いに対応付けられて記憶されている記憶部である。
【0076】
図9は、飛行方法記憶部701に記憶されているテーブルの一例である。フライト目的は、1回のフライトで実施する作業の目的であり、例えば、生育診断、病理診断および散布に大別される。飛行方法記憶部701には、フライト目的ごとに、作業中におけるドローン100の飛行方法が対応付けられて記憶されている。本実施形態においては、ドローン100は発着地点406を離陸し、圃場403まで移動して圃場403に進入し、圃場403内で作業を行う。ドローン100は、作業が中断又は終了すると、圃場403から退出して、発着地点406に帰還する。飛行方法記憶部701に記憶される飛行方法は、圃場403内の作業中における特性である。また、1回のフライトは、圃場403内を略1回ずつ網羅的に走査する飛行を想定している。ドローン100は、1回の走査の間、作業前に定められたフライト目的により飛行する。
【0077】
飛行方法は、ドローン100の飛行制御の目標値であり、飛行高度の目標値、飛行速度の目標値および平面上の飛行経路の目標の少なくともいずれかを含む。生育診断と病理診断とでは、撮影が求められる撮影範囲又は画像の精度が異なる。すなわち、生育情報の取得と病理情報の取得とでは、最適な飛行方法が異なる。そのため、飛行方法記憶部701には、フライト目的に応じた飛行方法が記憶されている。
【0078】
病理診断は、生育診断よりも検出が難しく、詳細な画像が必要なため、生育診断時よりも作物の近くから監視することが望ましい。したがって、病理情報の取得をフライト目的とする飛行(以下、「病理情報取得飛行」ともいう。)を行う際は、生育情報の取得をフライト目的とする飛行(以下、「生育情報取得飛行」ともいう。)よりも、飛行高度を低くする。この構成によれば、病理情報取得飛行において、より拡大して作物を撮影することができる。また、病理情報取得飛行は、生育情報取得飛行よりも平面上の飛行経路の密度を高くする。すなわち、例えば平面上の飛行経路長を長くする。この構成によれば、同じ画角で撮影する場合、高密度で飛行することで進行方向と直交する幅方向に重複の多い画像が取得できるため、精度の高い診断が可能である。さらに、病理情報取得飛行は、生育情報取得飛行よりも飛行速度を低くする。この構成によれば、進行方向に重複の多い画像が取得できるため、精度の高い診断が可能である。
【0079】
また、飛行方法記憶部701には、診断しようとする病気の種類ごとに異なる飛行方法が対応付けられていてもよい。株元に病変が発生する病気の診断と、穂先に病変が発生する病気の診断とでは、求められる撮影範囲が異なるためである。例えば、株元に病変が発生する病気Aを診断するための飛行時には、穂先に病変が発生する病気Bの診断時に比べて飛行高度が低くなっていてもよい。高度を低くすることでドローン100が株元に近接して撮影可能になる他、回転翼から発生する下降気流により作物を倒伏させて株元を露出させ、株元をより鮮明に撮影できる。
【0080】
散布を目的とする飛行においては、散布物を圃場403に適切な濃度で散布する必要がある。そのため、散布を目的とする飛行は、生育診断および病理診断とは異なる飛行方法が対応付けられて記憶されている。散布を目的とする飛行の飛行速度および飛行高度の各目標値は、生育情報取得飛行および病理情報取得飛行の各目標値とは独立して記憶されていれば足り、各目標値より大きくても小さくてもよい。また、散布を目的とする飛行の平面上の飛行経路は、生育情報取得飛行および病理情報取得飛行より経路長が長くても短くてもよく、同じ経路長で異なる経路であってもよい。言い換えれば、散布を目的とする飛行の平面上の飛行経路密度は、生育情報取得飛行および病理情報取得飛行の飛行経路密度より高くても低くても、同一であってもよい。
【0081】
フライトの実施条件は、例えば当該フライト目的に応じた飛行を行うべき実施期間、および複数回同一の目的で飛行する場合における一連のフライトの、当該実施期間中における実施頻度を含む。例えば、
図9においては、生育診断に関して、「播種からd1日目乃至d2日目においてd3日間隔」で飛行することが定められている。また、実施条件の始期及び終期は、播種などの別の作業を契機にする他、日付又は温湿度に基づいて設定されてもよい。例えば、病理診断において、いもち病は、高温多湿の季節に発生することが分かっているので、所定の温度および湿度になったときにいもち病の病理診断をする。さらに、実施条件の始期及び終期は、本システム1による生育診断又は病理診断の結果に基づいて決定されてもよい。例えば、生長曲線の傾きが所定範囲であることが判定されたことに基づいて散布を行うことを決定してもよい。また、病気の発生が判定されてから所定期間内に散布を行うことを決定してもよい。逆に、散布のタイミングに基づいて生育診断又は病理診断を行うタイミングが決定されてもよい。
【0082】
図10は、作物の例である稲の、各生長期における生長曲線の様子を示す模式的なグラフである。同図には、茎数、すなわち分げつ数を生育量の指標とする分げつ曲線g1、穂長を生育量の指標とする穂長曲線g2、および実った穂の粒重を生育量の指標とする粒重曲線g3が表されている。
【0083】
稲は、発芽および移植後、栄養生長期において茎数の増加が始まり、所定の時期に急激に増加する。当該急激な増加の後、分げつ曲線g1がなだらかに変化する有効分げつ終止期p11に至る。その後、茎数が最大となる最高分げつ期p12を経て、茎数は徐々に減少する。また、有効分げつ終止期p11と最高分げつ期との間において、稲は生殖生長期に移行し、幼穂の形成が開始される。幼穂形成期p21は、幼穂長が2mmの時点である。穂長は、生殖生長期の所定の時期に急激に増加し、その後なだらかになる。稲は、生殖生長期の後、出穂を期に登熟期に移行する。登熟期には、実る穂の粒重が増加し、粒重曲線g3が右肩上がりとなっている。粒重は、登熟期の所定の時期に急激に増加し、その後なだらかになる。
【0084】
このように、作物の生育の性質および度合は、時期により異なる。そこで、生長曲線の性質に合わせて所定の時期に生育診断を行うことで、作物の生育を効率的かつ精度よく診断することができる。例えば、分げつ曲線g1が急激に上昇している期間に高頻度で生育診断を行うことで、分げつ曲線g1の形状を推定し、最高分げつ期の茎数および穂数を推定することができる。したがって、生育曲線の性質に則した実施条件に基づいて生育診断を行う構成によれば、当該圃場403における収穫量を正確に予測することができる。また、分げつ曲線g1が急激に上昇しない場合、栄養が不足している可能性があるため、追肥を行う、といった対策を講じることができる。
【0085】
飛行方法記憶部701には、薬剤散布における散布物の種類が区別して記憶されていて、散布物の種類に応じて異なる飛行方法が設定されていてもよい。散布物の種類とは、例えば豆粒剤、液剤等である。なお、豆粒剤は、主に肥料又は除草目的に散布されるものであり、粒剤は肥料又は殺菌もしくは殺虫目的に散布される。粒剤の粒子形状の相違や粒剤と液剤の相違により、ドローン100からの落下の態様が異なるため、最適な飛行方法が異なる。また、散布物の種類とは、圃場への散布濃度の種類であってもよい。この構成によれば、散布物を意図した位置に落下させ、圃場403に至る散布物の濃度を高精度に管理することができる。
【0086】
飛行方法決定部702は、飛行方法記憶部701を参照し、フライト目的に応じて圃場403での作業中におけるドローン100の飛行方法を決定する機能部である。すなわち、飛行方法決定部702は、フライト目的に応じて、他のフライト目的時とは異なる飛行方法を決定する。さらに言えば、飛行方法決定部702は、フライト目的に応じて、飛行高度の目標値、飛行速度の目標値、及び平面上の飛行経路の目標のいずれかを決定する。飛行方法決定部702は、当該飛行のフライト目的が1個である場合、作業中において、当該フライト目的に則した飛行方法でドローン100を飛行させることを決定する。
【0087】
飛行方法決定部702は、当該飛行のフライト目的が複数ある場合、複数のフライト目的に基づいて飛行方法を決定する。より具体的には、飛行方法決定部702は、1回のフライトで生育診断と病理診断を目的にする場合は、病理診断に対応付けられる飛行方法で飛行させることを決定する。病理情報取得飛行は、生育情報取得飛行よりも低高度、低速度、かつ高密度な飛行経路で飛行するため、生育診断に必要な情報を包含しているためである。
【0088】
また、飛行方法決定部702は、1回のフライトで、散布と、病理診断又は生育診断とを目的にする場合は、散布に対応付けられる飛行方法で飛行させることを決定する。すなわち、飛行制御部1001は、散布をフライト目的とする飛行に対応付けられる飛行高度の目標値、飛行速度の目標値、および飛行経路の目標の少なくともいずれかでドローン100を制御する。散布の飛行方法を他の目的の飛行方法よりも優先して採用することで、他の目的による飛行を同時に行う場合であっても、高精度な散布濃度での散布が可能である。
【0089】
フライト計画部703は、飛行方法記憶部701を参照し、フライトスケジュールおよび、当該フライトにおけるフライト目的を決定する機能部である。なお、フライトスケジュールは、フライトの実施タイミングであり、例えばドローン100を飛行させる日付又は日時である。
【0090】
フライト計画部703は、入力部4011から入力される、圃場403におけるドローン100の使用目的を受信する。使用目的は、当該圃場403で作物を生育させ、収穫する一連の作業において、複数回のフライトを通じて達成すべき目的であり、散布、生育診断および病理診断のうち1又は複数の目的が入力されてよい。また、散布物の種類が複数入力されてもよい。さらに、病理診断を行う病気の種類が複数入力されてもよい。
【0091】
また、フライト計画部703は、入力部4011から入力されるフライトスケジュールを受信する。一度に受信するフライトスケジュールは、1回のフライトの実施予定時点であってもよいし、複数回の実施予定時点であってもよい。フライト計画部703は、フライトスケジュールに含まれるフライトのフライト目的を、実施タイミングに応じて決定する。フライト計画部703は、飛行方法記憶部701を参照し、各フライトについて実施条件に適合するフライト目的を探索し、決定する。また、フライト計画部703は、当該圃場403におけるフライトの履歴を参照し、必要とされる実施頻度に照らして、各フライトのフライト目的を決定する。なお、入力される実施予定時点に実施条件を満たすフライト目的が存在しない場合は、操作器401のユーザインターフェース装置を介してその旨を使用者に通知してもよい。
【0092】
使用者は、ドローン100を飛行させるにあたり、ドローン100を充電したり、ドローン100を発着地点406まで運搬したりといった、ドローン100の飛行を補助する所定の補助作業を行う。そのため、使用者の都合によりドローン100を飛行させたいタイミングが決まっている場合がある。そこで、使用者により実施予定時点が決定されるフライトに適切なフライト目的を設定することで、使用者の都合に則しつつ、散布、生育診断および病理診断を適切なタイミングで実施することができる。
【0093】
また、フライト計画部703は、入力される目的に対応付けられる実施期間および実施頻度に応じて、フライトスケジュールおよび各フライトにおけるフライト目的を決定してもよい。フライト計画部703は、同時に複数のフライト目的によるフライトを要する場合は、その日のフライトに複数のフライト目的を設定してもよい。
【0094】
本実施形態によれば、使用目的を入力するだけで、使用目的に応じて適切なフライトスケジュールを計画し、ドローン100を飛行させることができる。特に、ドローン100が自動で充電およびタンク104の補充を行う構成である場合、使用者の補助作業は不要であり、使用者の都合を鑑みることなく最適なタイミングで飛行すればよい。すなわち、本構成によれば、使用目的を入力するだけで、当該圃場403で作物を生育させ、収穫する一連の作業における複数のフライトが計画され、実行されるため、使用者の作業負担が非常に小さい。
【0095】
●フライト目的に応じて飛行方法を決定するフローチャート
図11に示すように、まず、操作器401から当該フライトにおけるドローン100のフライト目的が入力される(S11)。フライト目的は、散布、生育診断および病理診断のうち1又は複数の目的が入力されてよい。次いで、飛行方法決定部702は、入力されたフライト目的に薬剤散布が含まれているか判断する(S12)。フライト目的に薬剤散布が含まれているとき、飛行方法決定部702は、飛行方法記憶部701を参照し、薬剤散布に則した飛行方法を設定する(S13)。フライト目的に薬剤散布が含まれていないとき、フライト目的に病理診断が含まれているか判断する(S14)。フライト目的に病理診断が含まれているとき、飛行方法決定部702は、飛行方法記憶部701を参照し、病理診断に則した飛行方法を設定する(S15)。フライト目的に病理診断が含まれていないとき、飛行方法決定部702は、生育診断に則した飛行方法を設定する(S16)。
【0096】
この構成によれば、フライト目的に応じてドローンの飛行方法を適切に制御することができる。すなわち、使用者はフライト目的を入力するだけで、ドローン100が適切な飛行方法で飛行を行い、散布又は診断を行うため、簡便である。
【0097】
●ドローンの使用目的およびフライトスケジュールに応じてフライト計画を決定するフローチャート
図12に示すように、まず、操作器401から当該圃場403におけるドローン100の使用目的が入力される(S21)。
【0098】
次いで、操作器401からドローン100のフライトスケジュールが入力される(S22)。なお、ステップS21およびS22は順不同であり、同時であってもよい。次いで、フライト目的決定部7031は、飛行方法記憶部701を参照し、使用目的に応じたフライトの実施条件を取得する(S23)次いで、フライトスケジュールに含まれるフライトごとに、実施条件を満たすフライト目的を設定する(S24)。フライトの飛行予定日に実施条件を満たすフライト目的が存在しない場合は、操作器401のユーザインターフェース装置を介してその旨を使用者に通知してもよい。
【0099】
●ドローンの使用目的に応じてフライト計画を決定するフローチャート
図13に示すように、まず、操作器401から当該圃場403におけるドローン100の使用目的が入力される(S31)。フライト計画部703は、飛行方法記憶部701を参照し、使用目的に対応する実施条件を取得する(S32)。次いで、ドローン100が飛行するフライトスケジュール、およびフライトスケジュールに含まれる各フライトのフライト目的を決定する(S33)。なお、予定されるフライトの日付又は日時を、各フライトの所定時間前に、事前に使用者に通知してもよい。
【0100】
(本願発明による技術的に顕著な効果)
本発明にかかるドローンの飛行制御システムにおいては、フライト目的に応じてドローンの飛行方法を適切に制御できる。